説明

試験装置及びケーブルガイドユニット

複数の光ファイバケーブルの曲率制限を満足させることができるケーブル布設技術を提供するを目的とする試験装置100は、被試験デバイスにテストパターンを印加する複数のテストボードを有するテストヘッド102と、テストヘッド102によるテストシーケンスを制御するメインフレーム104と、テストヘッド102とメインフレーム104とを光接続する複数のフラット型ケーブル200を有する光ファイバケーブルユニット106及び複数の光ファイバケーブル108と、光ファイバケーブルユニット106と複数の光ファイバケーブル108とを接続するダム107と、光ファイバケーブルユニット106が有する複数のフラット型ケーブル200間の周長差を吸収する周長差吸収装置110と、メインフレーム104が有するテストボード612に接続される光ファイバケーブル108を湾曲させて保持するケーブルガイドユニット112とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置及びケーブルガイドユニットに関する。特に本発明は、複数の光ファイバケーブルの曲率制限を満足させるケーブル布設技術に関する。
【0002】
文献の参照による組み込みが認められる指定国については、下記の出願に記載された内容を参照により本出願に組み込み、本出願の記載の一部とする。
特願2003−376139 出願日 平成15年11月5日
【背景技術】
【0003】
近年の電子デバイスの高速化に伴い、電子デバイスを試験する試験装置においても、動作の高速化が望まれている。そこで、近年、試験信号や制御信号の高速伝送を実現するため、被試験デバイスにテストパターンを印加するテストヘッドと、テストヘッドのテストシーケンスを制御するメインフレームとを光ファイバケーブルによって接続するものが提案されている。なお、現時点で先行技術文献の存在を認識していないので、先行技術文献に関する記載を省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信号伝送路として光ファイバケーブルを用いる場合には、光ファイバケーブルの曲率制限を満足させることが必要であり、特にテストヘッドのような動く機器に接続される場合に重大な問題となる。また、テストヘッドのように狭い空間において布設される多数の光ファイバケーブルの曲率制限を満足させることが課題となる。
【0005】
そこで本発明は、上記の課題を解決することができる試験装置及びケーブルガイドユニットを提供することを目的とする。この目的は請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態によると、被試験デバイスを試験する試験装置であって、被試験デバイスにテストパターンを印加するテストヘッドと、テストヘッドのテストシーケンスを制御するメインフレームと、メインフレームとテストヘッドとを光接続する光ファイバケーブルユニットとを備える。光ファイバケーブルユニットは、配列方向に並んで配列された複数の光ファイバ心線を含む光ファイバケーブルが、重ね合わせ方向に複数積層されたケーブル群と、積層された複数の光ファイバケーブルを互いに摺動可能に保持し、重ね合わせ方向に向けて湾曲可能なケーブル収納チェーンとを有する。ケーブル収納チェーンの最小曲げ半径は、光ファイバケーブルの許容曲げ半径より大きくてもよい。
【0007】
光ファイバケーブルユニットは、積層された複数の光ファイバケーブルの間に設けられ、複数の光ファイバケーブルを互いに摺動可能に保持する摺動シートをさらに有してもよい。ケーブル群は、配列方向に並んで配列された複数の光ファイバケーブルを含む第1ケーブル層と、配列方向に並んで配列された複数の光ファイバケーブルを含み、重ね合わせ方向に沿って第1ケーブル層に積層された第2ケーブル層とを有し、摺動シートは、第1ケーブル層と第2ケーブル層との間に設けられてもよい。
【0008】
複数の光ファイバケーブルのケーブル収納チェーンに収容されていない部分の一部において複数の光ファイバケーブル間の周長差を調整し、複数の光ファイバケーブルの周長差を吸収する周長差吸収装置をさらに備えてもよい。周長差吸収装置は、ケーブル収納チェーンを固定し、複数の光ファイバケーブルのケーブル収納チェーンに収容されていない部分の一部において複数の光ファイバケーブルをそれぞれたわませて保持し、複数の光ファイバケーブルのたわみ部分において、複数の光ファイバケーブル間に隙間を形成しておくことにより、複数の光ファイバケーブルの周長差を吸収してもよい。
【0009】
本発明の第2の形態によると、光ファイバケーブル接続ボードが有する配列方向に並んで配列された複数の接続コネクタにそれぞれ接続された複数の光ファイバケーブルを湾曲させて保持するケーブルガイドユニットであって、最小曲率半径が光ファイバケーブルの許容曲げ半径より大きく、複数の光ファイバケーブルをそれぞれ湾曲させて保持する複数のケーブルハンガ部材を備える。ケーブルハンガ部材は、光ファイバケーブルの許容曲げ半径より大きい半径の略1/4円弧の形状であり、光ファイバケーブルを、接続コネクタから光ファイバケーブルへの接続方向から配列方向へ湾曲させて保持してもよい。複数のケーブルハンガ部材は、配列方向において、複数の接続コネクタと略同一の配列間隔で設けられてもよい。複数のケーブルハンガ部材は、接続方向において、配列方向における配列間隔よりも狭い間隔ずれた位置に配列されてもよい。
【0010】
ケーブルガイドユニットは、複数のケーブルハンガ部材を含む第1ケーブルハンガ部材群と、複数のケーブルハンガ部材を含む第2ケーブルハンガ部材群とをさらに備える。第1ケーブルハンガ部材群は、第2ケーブルハンガ部材群より、配列方向に沿って高い位置に設けられ、第1ケーブルハンガ部材群によって湾曲された複数の光ファイバケーブルは、第2ケーブルハンガ部材群の横を通って、当該ケーブルガイドユニットの外部に導かれてもよい。
【0011】
第2ケーブルハンガ部材群に含まれるケーブルハンガ部材は、第1ケーブルハンガ部材群に含まれるケーブルハンガ部材より幅が狭く、第1ケーブルハンガ部材群によって湾曲された複数の光ファイバケーブルは、第2ケーブルハンガ部材群の横を通って、当該ケーブルガイドユニットの外部に導かれてもよい。第1ケーブルハンガ部材群によって湾曲された複数の光ファイバケーブル、及び第2ケーブルハンガ部材群によって湾曲された複数の光ファイバケーブルを束ねて当該ケーブルガイドユニットの外部に導くクランプ部材をさらに備えてもよい。
【0012】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の光ファイバケーブルの曲率制限を満足させることができるケーブル布設技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】試験装置100の構成の一例を示す図である。
【図2】光ファイバケーブルユニット106の構成の一例を示す図である。
【図3】周長差吸収装置110の構成の一例を示す図である。
【図4】ケーブルガイドユニット112の構成の一例を示す図である。
【図5】光ファイバケーブルユニット106の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0015】
100 試験装置
102 テストヘッド
104 メインフレーム
106 光ファイバケーブルユニット
107 ダム
108 光ファイバケーブル
110 周長差吸収装置
112 ケーブルガイドユニット
200 フラット型ケーブル
202 フラット型ケーブル群
204 ケーブル収納チェーン
206 ピース
208 溝
210 爪
212 背割れ部
550 クランプ部材
600 ケーブルハンガ部材
602 第1ケーブルハンガ部材群
604 ケーブルハンガ部材
606 第2ケーブルハンガ部材群
608 クランプ部材
610 ケーブルハンガ保持板
612 テストボード
614 接続コネクタ
700 光ファイバケーブル
702 ケーブル層
704 摺動シート
706 ケーブル群
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る試験装置100の構成の一例を示す。本実施形態に係る試験装置100では、テストヘッド102とメインフレーム104との間で信号伝送を行う光ファイバケーブルの曲率制限を満足させること、曲率制限を満足させることにより光ファイバケーブルの破損を防止することを目的とする。また、特にテストヘッド102のような動く機器に接続される複数の光ファイバケーブル間の周長差を調整すること、メインフレーム104のように狭い空間において布設される多数の光ファイバケーブルの曲率制限を満足させること等を目的とする。
【0018】
試験装置100は、被試験デバイスにテストパターンを印加する複数のテストボードを有するテストヘッド102と、テストヘッド102によるテストシーケンスを制御するメインフレーム104と、テストヘッド102とメインフレーム104とを光接続する複数のフラット型ケーブル200を有する光ファイバケーブルユニット106及び複数の光ファイバケーブル108と、異なる構造を有する光ファイバケーブルユニット106と複数の光ファイバケーブル108とを接続するダム107と、光ファイバケーブルユニット106が有する複数のフラット型ケーブル200間の周長差を吸収する周長差吸収装置110と、メインフレーム104が有するテストボード612に接続される光ファイバケーブル108を湾曲させて保持するケーブルガイドユニット112とを備える。
【0019】
本実施形態に係る試験装置100によれば、テストヘッド102に対するテストボードの脱着時、被試験デバイスのハンドリング装置との脱着時等におけるテストヘッド102の動きにより、複数のフラット型ケーブル200間に周長差が発生する場合であっても、周長差吸収装置110によって複数のフラット型ケーブル200間の周長差を吸収することができる。また、メインフレーム104が有するテストボード612に接続された多数の光ファイバケーブル108をケーブルガイドユニット112により保持することにより、光ファイバケーブル108の曲率制限を満足させて破損の防止、伝送信号レベルの損失の低減等を実現できる。
【0020】
図2は、本実施形態に係る光ファイバケーブルユニット106の構成の一例を示す。図2(a)及び(b)に光ファイバケーブルユニット106の側面図を示し、図2(c)に光ファイバケーブルユニット106のAA’断面図を示す。なお、図2(a)は、光ファイバケーブルユニット106が湾曲していない状態を示し、図2(b)は、光ファイバケーブルユニット106が湾曲している状態を示す。
【0021】
光ファイバケーブルユニット106は、フラット型ケーブル200が重ね合わせ方向Bに複数積層されたフラット型ケーブル群202と、積層された複数のフラット型ケーブル200を互いに摺動可能に保持し、重ね合わせ方向Bに向けて湾曲可能なケーブル収納チェーン204とを備える。ケーブル収納チェーンとは、電気信号又は光信号を伝達するケーブルの周囲を覆うことによりケーブルを保護し、ケーブルの損傷を防ぐために設けられるものである。
【0022】
図2(a)及び(b)に示すように、ケーブル収納チェーン204は、複数のピース206が互いに回転可能に接続されて構成される。複数のピース206は、左右にそれぞれ設けられた溝208及び爪210をそれぞれ有し、隣り合う一のピース206の溝208と他のピースの爪210が嵌め合わされる。そして、一のピース206の爪210の動きが他のピース206の溝208の範囲に制限されることにより、隣り合うピース206間の曲角が制限される。これにより、ケーブル収納チェーン204の最小曲げ半径が制限される。ケーブル収納チェーン204の最小曲げ半径は、ケーブル収納チェーン204に収容された複数のフラット型ケーブル200の許容曲げ半径より大きいことが好ましく、これにより、複数のフラット型ケーブル200の曲げ半径を許容曲げ半径より大きく維持することができる。フラット型ケーブル200の許容曲げ半径は、例えば50mmである。
【0023】
また、図2(c)に示すように、フラット型ケーブル200は、配列方向Cに並んで配列された複数の光ファイバ心線を含む光ファイバケーブルが配列方向Cに複数繋ぎ合わされている。また、ケーブル収納チェーン204は、重ね合わせ方向Bのケーブル収納チェーン204の側面に、ケーブル収納チェーン204の長手方向に沿って割れた背割れ部212を有する。これにより、ケーブル収納チェーン204は、光ファイバケーブルユニット106のねじれに対する柔軟性をもつことができる。
【0024】
なお、ケーブル収納チェーン204は、フラット型ケーブル200が積層されない空間を重ね合わせ方向Bに残して、フラット型ケーブル200を積層させて保持することが好ましい。ケーブル収納チェーン204は、例えばケーブル収納チェーン204が重ね合わせ方向Bに有する空間の幅の約60%以下までフラット型ケーブル200を積層させて保持することが好ましい。ケーブル収納チェーン204が重ね合わせ方向Bに余裕をもってフラット型ケーブル200を保持することによって、フラット型ケーブル200を自由に摺動させることができ、またケーブル収納チェーン204にねじれが生じた場合にそのねじれよるフラット型ケーブル200への影響を軽減できる。
【0025】
図3は、本実施形態に係る周長差吸収装置110の構成の一例を示す。周長差吸収装置110は、複数のフラット型ケーブル200a及び200bのケーブル収納チェーン204に収容されていない部分の一部において複数のフラット型ケーブル200a及び200b間の周長差を調整し、複数のフラット型ケーブル200a及び200bの全長における周長差を吸収する。
【0026】
周長差吸収装置110は、ケーブル収納チェーン204の端部を固定し、複数のフラット型ケーブル200a及び200bのケーブル収納チェーン204に収容されていない部分の一部をケーブル収納チェーン204から周長差吸収装置110の内部に導く。また、周長差吸収装置110は、周長差吸収装置110の内部において、複数のフラット型ケーブル200a及び200bのケーブル収納チェーン204に収容されていない部分の一部において複数のフラット型ケーブル200a及び200bをそれぞれ異なる曲率にたわませて保持する。また、周長差吸収装置110は、複数のフラット型ケーブル200a及び200bをクランプ部材550により束ねて周長差吸収装置110の外部に導く。そして、メインフレーム104は、複数のフラット型ケーブル200a及び200bを固定する。
【0027】
周長差吸収装置110は、複数のフラット型ケーブル200a及び200bのたわみ部分において、複数のフラット型ケーブル200a及び200b間に隙間を形成しておくことにより、光ファイバケーブルユニット106が有する複数のフラット型ケーブル200a及び200bの曲げ半径の差異に起因する周長差を吸収する。ここで、周長差吸収装置110における複数のフラット型ケーブル200a及び200bの隙間の間隔Dは、光ファイバケーブルユニット106が曲げられる可能性のある曲げ角度に基づいて算出される。例えば、光ファイバケーブルユニット106の曲げ角度が180度である場合、フラット型ケーブル200a及び200bは互いに逆方向に移動しようとするため、間隔Dをフラット型ケーブル200aと200bとの周長差の50%離すことにより、フラット型ケーブル200aと200bとが接近してもぶつかり合うことを防ぐことができる。
【0028】
図4は、本実施形態に係るケーブルガイドユニット112の構成の一例を示す。図4(a)にケーブルガイドユニット112の斜視図を示し、図4(b)にケーブルガイドユニット112の側面図を示し、図4(c)にケーブルガイドユニット112の背面図を示す。
【0029】
ケーブルガイドユニット112は、テストボード612が有する複数の接続コネクタ614にそれぞれ接続された複数の光ファイバケーブル108を同一方向に湾曲させて保持する複数のケーブルハンガ部材600及び604と、複数のケーブルハンガ部材600及び604によってそれぞれ湾曲された複数の光ファイバケーブル108を束ねてケーブルガイドユニット112の外部に導くクランプ部材608と、ケーブルハンガ部材600及び604並びにクランプ部材608を保持してテストボード612に接続されるケーブルハンガ保持板610とを備える。テストボード612は、本発明の光ファイバケーブル接続ボードの一例であり、配列方向Eに並んで配置された複数の接続コネクタ614を有する。なお、メインフレーム104は、テストボード612の厚さ方向に複数のテストボード612を着脱可能に保持する。
【0030】
ケーブルハンガ部材600及び604は、最小曲率半径が光ファイバケーブル108の許容曲げ半径より大きく、光ファイバケーブル108の曲率制限を満足させた状態で保持する。具体的には、ケーブルハンガ部材600及び604は、光ファイバケーブル108の許容曲げ半径より大きい半径の円筒から切り出した略1/4円弧の形状であり、光ファイバケーブル108を、接続コネクタ614から光ファイバケーブル108への接続方向Fから配列方向Eへ湾曲させて保持する。例えば、ケーブルハンガ部材600及び604の許容曲げ半径が30mmである場合、ケーブルハンガ部材600及び604は、半径30mm以上の略1/4円弧の形状である。
【0031】
図4(b)に示すように、複数のケーブルハンガ部材600及び604は、互いに重なり合うように配列されている。具体的には、複数のケーブルハンガ部材600及び604は、配列方向Eにおいて、複数の接続コネクタ614と略同一の配列間隔で設けられる。また、複数のケーブルハンガ部材600及び604は、接続方向Fにおいて、配列方向Eにおける配列間隔よりも狭い間隔ずれた位置に配列される。これにより、複数の光ファイバケーブル108の接続方向Fにおける布設範囲を狭めることができる。
【0032】
また、ケーブルガイドユニット112は、複数のケーブルハンガ部材600を含む第1ケーブルハンガ部材群602と、複数のケーブルハンガ部材604を含む第2ケーブルハンガ部材群606とを備える。第1ケーブルハンガ部材群602は、複数の光ファイバケーブル108の湾曲先であるクランプ部材608から遠い位置に設けられ、第2ケーブルハンガ部材群606は、クランプ部材608に近い位置に設けられる。即ち、第1ケーブルハンガ部材群602は、配列方向Eに沿って、第2ケーブルハンガ部材群606より高い位置に設けられる。例えば、第1ケーブルハンガ部材群602は、第2ケーブルハンガ部材群606の2倍の高さに設けられる。
【0033】
そして、図4(b)及び(c)に示すように、第1ケーブルハンガ部材群602に含まれる複数のケーブルハンガ部材600によってそれぞれ湾曲された複数の光ファイバケーブル108は、第2ケーブルハンガ部材群606に含まれる複数のケーブルハンガ部材604の横を通って、ケーブルガイドユニット112の外部に導かれる。そして、クランプ部材608は、第1ケーブルハンガ部材群602によって湾曲された複数の光ファイバケーブル108、及び第2ケーブルハンガ部材群606によって湾曲された複数の光ファイバケーブル108を束ねて固定し、ケーブルガイドユニット112の外部に導く。クランプ部材608が自重によって垂れ下がる光ファイバケーブル108を押さえることにより、複数の光ファイバケーブル108の曲率制限を満足させたまま維持することができる。
【0034】
さらに、図4(c)に示すように、第2ケーブルハンガ部材群606に含まれるケーブルハンガ部材604は、第1ケーブルハンガ部材群602に含まれるケーブルハンガ部材600より、光ファイバケーブル108を保持する部分の幅が狭い。これにより、光ファイバケーブル108の布設に要する領域を小さくすることができ、複数のテストボード612が並んで配置されるような狭い環境においても、多数の光ファイバケーブル108を適切に布設することができる。また、第1ケーブルハンガ部材群602に含まれるケーブルハンガ部材600の幅は、テストボード612の幅より狭いことが好ましい。これにより、両隣のテストボード612の挿抜に対しても影響を与えることがなくなる。
【0035】
本実施形態に係る試験装置100によれば、上述した光ファイバケーブルユニット106及びケーブルガイドユニット112によって、フラット型ケーブル200及び光ファイバケーブル108の曲率制限を満足させることができ、ケーブルのひびや折れ等の破損を防止し、また伝送信号レベルの損失を低減することができる。また、周長差吸収装置110において複数のフラット型ケーブル200間の周長差を吸収することによってケーブル収納チェーン204内で複数のフラット型ケーブル200を自由に摺動させることができるので、フラット型ケーブル200での応力集中を防ぐことができる。なお、周長差吸収装置110及びケーブル収納チェーン204は、限られた自由空間の中でケーブルの自由度を制限してケーブルを保護することができ、またケーブルガイドユニット112は狭いスペースで屈曲率を満足させてケーブルを整えられるので、光ファイバケーブル以外のケーブルの布設にも有効的に活用することができる。
【0036】
図5は、本実施形態に係る光ファイバケーブルユニット106の構成の変形例を示す。なお、以下に説明する部分を除き、本変形例に係る光ファイバユニット106は、図2に示した光ファイバユニット106と同一の構成及び機能を有するので、説明を一部省略する。
【0037】
本変形例に係る光ファイバケーブルユニット106は、配列方向Cに並んで配列された複数の光ファイバ心線を含む光ファイバケーブル700が、重ね合わせ方向に複数積層されたケーブル群706と、積層された複数の光ファイバケーブル700を互いに摺動可能に保持し、重ね合わせ方向Bに向けて湾曲可能なケーブル収納チェーン204と、積層された複数の光ファイバケーブル700の間に設けられ、複数の光ファイバケーブル700を互いに摺動可能に保持する摺動シート704を有する。
【0038】
ケーブル群706は、配列方向Cに並んで配列された複数の光ファイバケーブル700を含む複数のケーブル層702を含む。複数のケーブル層702は、重ね合わせ方向Bに沿って積層される。摺動シート704は、複数のケーブル層702の間に設けられ、ケーブル収納チェーン204とともに複数のケーブル層702を互いに摺動可能に保持する。なお、摺動シート704の表面の摩擦係数は、光ファイバケーブル700の表面の摩擦係数より小さいことが望ましい。また、摺動シート704の最小曲げ半径は、光ファイバケーブル700の許容曲げ半径より大きいこと、即ち、摺動シート704は、光ファイバケーブル700より可撓性があることが好ましい。
【0039】
即ち、図2に示した光ファイバケーブルユニット106は、光ファイバケーブルが配列方向Cに複数繋ぎ合わされたフラット型ケーブル200を、重ね合わせ方向Bに積層して構成されたが、図5に示す光ファイバケーブルユニット106は、複数の光ファイバケーブル700を繋ぎ合わせることなく配列方向Cに配列させ、さらに摺動シート704を挟んで重ね合わせ方向Bに積層させる。このように、重ね合わせ方向Bにおいて複数の光ファイバケーブル700の間に摺動シート704を設けることによって、フラット型ケーブル200でない複数の光ファイバケーブル700をケーブル収納チェーン204に挿入した場合であっても、複数の光ファイバケーブル700の配列を崩すことなく維持しつつ、複数の光ファイバケーブル700を摺動可能に保持することができる。
【0040】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイスを試験する試験装置であって、
前記被試験デバイスにテストパターンを印加するテストヘッドと、
前記テストヘッドのテストシーケンスを制御するメインフレームと、
前記メインフレームと前記テストヘッドとを光接続する光ファイバケーブルユニットと
を備え、
前記光ファイバケーブルユニットは、
配列方向に並んで配列された複数の光ファイバ心線を含む光ファイバケーブルが、重ね合わせ方向に複数積層されたケーブル群と、
積層された複数の前記光ファイバケーブルを互いに摺動可能に保持し、前記重ね合わせ方向に向けて湾曲可能なケーブル収納チェーンと
を有する試験装置。
【請求項2】
前記光ファイバケーブルユニットは、積層された前記複数の光ファイバケーブルの間に設けられ、前記複数の光ファイバケーブルを互いに摺動可能に保持する摺動シートをさらに有する請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記ケーブル群は、
前記配列方向に並んで配列された複数の前記光ファイバケーブルを含む第1ケーブル層と、
前記配列方向に並んで配列された複数の前記光ファイバケーブルを含み、前記重ね合わせ方向に沿って前記第1ケーブル層に積層された第2ケーブル層と
を有し、
前記摺動シートは、前記第1ケーブル層と前記第2ケーブル層との間に設けられる請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記ケーブル収納チェーンの最小曲げ半径は、前記光ファイバケーブルの許容曲げ半径より大きい請求項1に記載の試験装置。
【請求項5】
前記複数の光ファイバケーブルの前記ケーブル収納チェーンに収容されていない部分の一部において前記複数の光ファイバケーブル間の周長差を調整し、前記複数の光ファイバケーブルの周長差を吸収する周長差吸収装置をさらに備える請求項1に記載の試験装置。
【請求項6】
前記周長差吸収装置は、前記ケーブル収納チェーンを固定し、前記複数の光ファイバケーブルの前記ケーブル収納チェーンに収容されていない部分の一部において前記複数の光ファイバケーブルをそれぞれたわませて保持し、前記複数の光ファイバケーブルのたわみ部分において、前記複数の光ファイバケーブル間に隙間を形成しておくことにより、前記複数の光ファイバケーブルの周長差を吸収する請求項5に記載の試験装置。
【請求項7】
光ファイバケーブル接続ボードが有する配列方向に並んで配列された複数の接続コネクタにそれぞれ接続された複数の光ファイバケーブルを湾曲させて保持するケーブルガイドユニットであって、
最小曲率半径が前記光ファイバケーブルの許容曲げ半径より大きく、前記複数の光ファイバケーブルをそれぞれ湾曲させて保持する複数のケーブルハンガ部材を備えるケーブルガイドユニット。
【請求項8】
前記ケーブルハンガ部材は、前記光ファイバケーブルの許容曲げ半径より大きい半径の略1/4円弧の形状であり、前記光ファイバケーブルを、前記接続コネクタから前記光ファイバケーブルへの接続方向から前記配列方向へ湾曲させて保持する請求項7に記載のケーブルガイドユニット。
【請求項9】
前記複数のケーブルハンガ部材は、前記配列方向において、前記複数の接続コネクタと略同一の配列間隔で設けられる請求項7に記載のケーブルガイドユニット。
【請求項10】
前記複数のケーブルハンガ部材は、前記接続方向において、前記配列方向における前記配列間隔よりも狭い間隔ずれた位置に配列される請求項9に記載のケーブルガイドユニット。
【請求項11】
前記複数のケーブルハンガ部材を含む第1ケーブルハンガ部材群と、
前記複数のケーブルハンガ部材を含む第2ケーブルハンガ部材群と
をさらに備え、
前記第1ケーブルハンガ部材群は、前記第2ケーブルハンガ部材群より、前記配列方向に沿って高い位置に設けられ、
前記第1ケーブルハンガ部材群によって湾曲された前記複数の光ファイバケーブルは、前記第2ケーブルハンガ部材群の横を通って、当該ケーブルガイドユニットの外部に導かれる請求項7に記載のケーブルガイドユニット。
【請求項12】
前記第2ケーブルハンガ部材群に含まれる前記ケーブルハンガ部材は、前記第1ケーブルハンガ部材群に含まれる前記ケーブルハンガ部材より幅が狭く、
前記第1ケーブルハンガ部材群によって湾曲された前記複数の光ファイバケーブルは、前記第2ケーブルハンガ部材群の横を通って、当該ケーブルガイドユニットの外部に導かれる請求項11に記載のケーブルガイドユニット。
【請求項13】
前記第1ケーブルハンガ部材群によって湾曲された前記複数の光ファイバケーブル、及び前記第2ケーブルハンガ部材群によって湾曲された前記複数の光ファイバケーブルを束ねて当該ケーブルガイドユニットの外部に導くクランプ部材をさらに備える請求項11に記載のケーブルガイドユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【国際公開番号】WO2005/045452
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515269(P2005−515269)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015949
【国際出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】