説明

詰め替え用容器

【課題】詰め替え作業を容易かつ確実に行うことができ、香りや風味が損なわおそれの少ない詰め替え用容器を提供する。
【解決手段】少なくとも筒状の容器本体2、密封シール4、詰め替え補助部材5からなる詰め替え用容器1であって、前記密封シール4は引き抜き開封用の摘み部42を一体に備えていて、前記容器本体2の開口部2Aを密封し、前記詰め替え補助部材5はインスタントコーヒーPの移し替え容器9の口部に嵌合可能で、前記詰め替え補助部材5が容器本体2の開口部2Aに嵌着され、前記密封シール4を開封した後、この詰め替え補助部材5によってインスタントコーヒーPを移し替え容器9へその口部から直接的に注ぎ込めるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体や粒体などの詰め替え用容器、より詳しくは、インスタントコーヒーの詰め替えに好適な詰め替え用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
インスタントコーヒーなどの詰め替えに用いられる詰め替え用容器としては、合成樹脂製フィルムからなる包装袋が多く使用されている。例えば、上方に再封用ジッパー部を設けた自立性を有するガゼット袋である。
【特許文献1】特開2007−290373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の詰め替え用容器は、内容物であるインスタントコーヒーなどを詰め替える際、詰め替え用容器をあらかじめ開封しておく必要があると共に、容器への詰め替えの際に内容物がこぼれてしまう場合があることから、詰め替え作業が非常に面倒で、煩雑であるという問題が生じていた。更には、詰め替える際、内容物であるインスタントコーヒーなどが外気に触れてしまうために、内容物の持つ香りや風味が損なわれてしまう問題も生じていた。
【0004】
本発明は、このような問題を解決すべくなされたもので、詰め替え作業を容易かつ確実に行うことができ、香りや風味が損なわれるおそれの少ない詰め替え用容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の技術的な課題を解決するために、本発明の請求項1記載の詰め替え用容器は、少なくとも筒状の容器本体、密封シール、詰め替え補助部材からなる詰め替え用容器であって、前記密封シールは引き抜き開封用の摘み部を一体に備えて前記容器本体の開口部を密封し、前記詰め替え補助部材は内容物の移し替え容器の口部に嵌合可能で、前記詰め替え補助部材が容器本体の開口部に嵌着され、前記密封シールを開封した後、この詰め替え補助部材によって内容物を移し替え容器へその口部から直接注ぎ込めるようにしたものである。
【0006】
この詰め替え用容器では、容器本体を逆さにし、先ず詰め替え容器の開口部に前記詰め替え補助部材を嵌合しておく。この状態から、前記密封シールの摘み部を指先で摘んでこれを手前に引くと、密封シールは容器本体の開口部から順次剥離して、開口部の密封を開放する。開放された容器本体からは内容物が詰め替え補助部材によって、詰め替え容器内へ直接に案内流下される。
【発明の効果】
【0007】
したがって、この発明は以下の効果を奏する。
以上説明したように、本発明の詰め替え用容器は、従来のスタンディングパウチ等と全く違って、密封シールを引き抜くことで、簡単に容器本体と詰め替え容器とを直に連通させるものであるから、詰め替え作業を大変簡単な操作で、容易かつ確実に行うことができ、内容物を外気に触れさせるおそれも少なく、香りや風味も損なわれることも少ない。
【0008】
本発明は、請求項2に記載するように、筒状の容器本体、密封シール、詰め替え補助部材、蓋からなる詰め替え用容器であって、前記容器本体の開口部の内側に、中央に向かって傾斜した漏斗を備えたキャップを備え、前記密封シールは引き抜き開封用の摘み部を一体に備えて前記キャップの天面を密封し、前記詰め替え補助部材は内容物の移し替え容器の口部に嵌合可能で前記キャップに嵌着されると共に、この詰め替え補助部材は前記密封シールを引き抜き開封する際の引き抜き用の切欠き部を備えてなり、前記密封シールを開封した後、前記キャップの漏斗で内容物を中央部に集めながら、この詰め替え補助部材によって内容物を移し替え容器へその口部から直接注ぎ込めるようにすることもできる。
【0009】
したがって、この請求項2に記載の発明では、請求項1の発明と同様に、従来のスタンディングパウチ等と全く違って、密封シールを引き抜くことで、簡単に容器本体と詰め替え容器とを直に連通させるものであるから、詰め替え作業を大変簡単な操作で、容易かつ確実に行うことができ、内容物を外気に触れさせるおそれも少なく、香りや風味が損なわれることも少ない。併せて、漏斗を備えたキャップの存在によって、容器本体内の内容物をセンターに集めながらこれを詰め替え容器内へ案内流下でき、内容物が不用意にこぼれるおそれを未然に防止でき、一層確実に詰め替えが行える。
【0010】
また、請求項3に記載するように、筒状の容器本体、密封シール、詰め替え補助部材からなる詰め替え用容器であって、前記密封シールは引き抜き開封用の摘み部を一体に備えて前記容器本体の開口部を密封し、前記詰め替え補助部材は内容物の移し替え容器の口部に嵌合可能で容器本体の開口部に嵌着されると共に、この詰め替え補助部材は前記密封シールを引き抜き開封する際の引き抜き用の切欠き部を備えてなり、記密封シールを開封した後、この詰め替え補助部材によって内容物を移し替え容器へその口部から直接注ぎ込めるようにすることもできる。
【0011】
したがって、この請求項3に記載の発明では、請求項1、2の発明と同様に、従来のスタンディングパウチ等と全く違って、密封シールを引き抜くことで、簡単に容器本体と詰め替え容器とを直に連通させるものであるから、詰め替え作業を大変簡単な操作で、容易かつ確実に行うことができ、内容物を外気に触れさせるおそれも少なく、香りや風味が損なわれることも少ない。併せて、使用部品点数が少なく、しかも構造が簡単であるから、組み立て加工も容易で、大変廉価に提供できる。
【0012】
以上の発明において、請求項4に記載するように、密封シールは一軸延伸合成樹脂製であったり、また、請求項5に記載するように、二重の積層シールからなり、下側シールは上側シールに周縁部で易剥離性の接着剤で貼着されるとともに、この易剥離性の粘着材の内縁に沿ってミシン目が設けられたりして、少なくとも容器本体の開口部の一部分を開放可能に構成されるのが望ましい。
密封シールの開封、またその作業が大変スムースで的確に行えるからである。
【0013】
更に請求項6に記載するように、詰め替え補助部材は前記密封シールを引き抜き開封する際の引き抜きを容易にするために前記キャップ或いは容器本体の天面との間に隙間を備えているのが望ましい。
密封シールの開封性を一層高めてくれるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の詰め替え用容器を、インスタントコーヒーの詰め替え用容器1に適用した場合の実施の形態について、図面に従って詳細に説明する。
【0015】
尚、本発明は、基本的には、立ち上がり壁を備えた漏斗を持つキャップそして/又は詰め替え用補助部材を備え、内容物の移し替えや内容物への添加材や具材を収容するためなどの便に供する態様のもの全般に適用できる。したがって、以下の実施例に記載の例に限定されるものでないことは改めて言うまでもない。
【0016】
先ず、詰め替え用容器1は、図1、2に示すように、筒状の容器本体2、キャップ3、バリア性を有するシート状の蓋材4、詰め替え補助部材5、更にこの詰め替え補助部材5の開口5D(後述)を閉塞する、蓋6からなる。
【0017】
容器本体2は有底の円筒形で、基材には矩形の紙片が用いられる。この紙製の円筒は、その外側から順に、紙、アルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレート、更に低密度ポリエチレンが積層されて、高いガスバリア性(酸素、水蒸気、内容物由来揮発成分)を備えた複合材が採用される。積層手段は公知の技術が採用される。例えば、ラミネートや塗着などの一般的な手法である。容器本体2を作製するには、前記のような高いガスバリア性を備えた矩形の紙片を筒状に丸め、左右両サイドを重合させ、この重合部を糊代として適宜に接合される。接合手段は、接着剤を使用したり、熱融着させたり、適宜公知の手段が採用される。そして、上端は、図1、2に示すように、外方に向かって環状に巻込んでカール部2Bが一体に形成されている。
【0018】
この容器本体2の開口部2A内には、図1に示すように、キャップ3が嵌合されている。このキャップ3は前記容器本体2と同じ素材或いは厚みを0.8mmに設定された高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンなど適宜の樹脂素材で形成されている。このキャップ3は周囲に立ち上がり壁3Aを備え、この立ち上がり壁3Aが容器本体2の開口に内嵌合される。また、この立ち上がり壁3Aの下端縁から一体に、上方かつ中央に向かって順次傾斜した漏斗3Bが備わっている。そしてこの漏斗3Bのテーパ角は、少なくとも20°、更に好ましくは40〜45°に設定される。容器本体2内のインスタントコーヒーP(図5参照)をこの漏斗3Bによって、センターへ集めるように働く。更に、立ち上がり壁3Aの上端には容器本体2の上端、つまりカール部2Bの上端面2B1上に載置される鍔部3Cが備わっている。
【0019】
密封シール4の基材はプラスチック、紙、アルミからなる単層或いは積層構成で、内容物にバリア性が必要な場合には、バリア性を持たせるのが望ましい。一例として、一軸延伸ポリエチレンが用いられ、ポリエチレン、アルミニウム箔、ポリエチレンが順に積層されて表面処理が施されたものを採用している。処理の手段は公知の技術が採用され、ラミネートや塗着などの一般的な手法である。なお、容器本体2の前記カール部2Bの上端面2B1上に貼着されるこの密封シール4の内面、つまり最下層は、易開封できる強度で接着する厚み15〜100μmのイージーピール材が用いられる。全体形状は、図示するように、前記キャップ3とほぼ同径の円形を呈し、その周縁部4Aが丁度このキャップ3の鍔部3Cに、つまりキャップ3の天面に適宜に貼着される。一般的には熱融着される。
【0020】
以上の密封シール4の全体形状は、図3、4示すように、前記容器本体2の開口部2Aとほぼ同径、具体的には約90mmφの円形を呈し、その周縁部4Aが容器本体2の開口部2Aの上端、つまりカール部2Bの上端面2B1に適宜に貼着される。一般的には熱融着される。但し、前記キャップ3の立ち上がり壁3Aの上端面に貼着されても良いが、このキャップ3の前記漏斗3Bの上端縁、つまりは開口3B1の上縁に対しては、単に接触するのみの構成としてある。
【0021】
この密封シール4の周縁一箇所から、丁度前記キャップ3の漏斗3Bの開口3B1の開口径と略同じ横幅寸法の細幅短冊形の引き抜き開封片41が、その一端41Aを一体に連ねて、ほぼこの密封シール4の直径の倍から1.5倍強の長さに長く延長され、延長端は摘み部42が一体に設けられている。このように形成された引き抜き開封片41は前記周縁一箇所の連結点部分で折り返えされてこの密封シール4の上面に重合されて一端41Aと反対の側まで至り、更に摘み部42が容器本体2の外壁に垂れ下がるように形成されている。
【0022】
また、図1に示すように、この引き抜き開封片41の密封シール4との連結点、つまりは引き抜き開封片41の基端41Aと密封シール4の周縁との会合部に、この引き抜き開封片41の引き抜き方向に沿った切り込み43が設けられている。引き抜き開封片41を密封シール4からより的確に引き裂くことができ、開封性の確度を高めるためである。つまり、この切り込み43の働きによって、この引き抜き開封片41は、丁度前記漏斗3Bの開口3B1の開口径と略同じ横幅寸法の細幅で短冊状(帯状)に切り裂かれる。この 切り込み43は必要に応じて設けられれば良い。また、密封シール4が紙を主体とする場合には、引き裂きを一層効率よく行うために、この引き抜き開封片41の連結点の左右からこの引き抜き開封片41の幅と同じ幅で、直線的に密封シール4を横断するカット線ミシン目を設けることもできる。
【0023】
詰め替え補助部材5は、キャップ状の形態を備えて、ポリエチレンで形成されている。周囲に容器本体2の開口部2Aに外嵌合する周壁5Aが備わり、その上端に連なる天面5Bの中央には上方へ突出する、やや小径(前記キャップ3の漏斗3Aの開口3B1の径よりは大き目)の筒壁5Cが一体に設けられて、開口5Dが形成される。この筒壁5Cによって得られる開口5Dは、後述の詰め替え容器9の開口に内嵌合するので、詰め替え時にインスタントコーヒーPが外気に直接触れるのを上手く防止したり、インスタントコーヒーPが不用意に零れ落ちたりするのを未然に防止できる。
【0024】
蓋6は、ポリプロピレン製で、前記詰め替え補助部材5の開口5Dを封止する。前記周壁5Aに外嵌合し、内部を衛生的に保つ。
【0025】
前記詰め替え補助部材5は、図3に示すように、前記キャップ3の天面との間に隙間7を備えている。前記密封シール4の前記引き抜き開封片41を引き抜き開封する際の引き抜きを容易にするためである。この隙間7を得るための構造は次の通りである。
【0026】
即ち、この詰め替え補助部材5の周壁5Aの肉厚を厚くする。具体的には、容器本体2の周壁2Bの肉厚とキャップ3の立ち上がり壁3Aの肉厚を合算したものよりも大きな寸法に設定される。そして、この肉厚の周壁5Aの下端内面側に、下端縁5Eから上方に所定寸法分、具体的には周壁5Aの上下高さの略半分ほどを凹入させて段部5Fを形成する。これによって、この詰め替え補助部材5を容器本体2の開口部2Aに被せたときに、容器本体2の開口部2Aの上端をこの段部5Fに当接させて、この詰め替え補助部材5の天面5Bの下面と容器本体2の開口部2Aとの間に隙間7を得る。この隙間7は周壁5Aを部分的に切り欠くか若しくは横に細長く穿設してスリット状に形成された引き抜き開口5Gに連なり、もって前記引き抜き開封片41の引き抜きが行えるようになっている。
【0027】
尚、段部5Fの天井面によって前記密封シール4の周縁部分が押圧されることになるが、引き抜き開封用片41を引き抜くのに抵抗になる押圧力ではないので、この引き抜き開封用片41の引き抜きはスムースに行える。
また、この隙間7は必ずしも必要としない。必要に応じて採用されれば良い。
【0028】
また、図4に示す構造は、容器本体2の底2Cに設けられた点検窓8で、底2Cの中央に孔8Aを設け、その開口に透明なシート或いは樹脂製の平板8Bを気密的に貼着することによって、インスタントコーヒーの詰め替え状況など、内部の様子を点検できるように構成されている。この点検窓8も必要に応じて設けられる。
【0029】
次に、このように構成された実施例1の詰め替え用容器1の作用について説明する。
図5(A)に示すように、先ず、蓋6を取り外し、次いで図5、6の各(B)に示すように、容器本体2を逆さにし〔図6(A)に示すように、容器本体2を逆さにしてから蓋6をはずしても良い〕、詰め替え補助部材5の周壁5Aを詰め替え容器の一例であるジャー9の口部に内嵌合させる。次いで、図6の(B)に示すように、密封シール4の摘み部42を指先で摘んで、これを水平横方向へ引っ張る。すると、図6(C)に示すように、前記引き抜き開封片41が密封シール4との会合部に設けた前記切り込み43の働きで(図2参照)、この引き抜き開封片41だけが密封シール4から、その引き抜き方向に沿って切り裂かれる。その結果、図5、図6の各(C)に示すように、容器本体2の開口部の一部分としての前記キャップ3の漏斗3Bの開口3B1が開放され、容器本体2内の内容物の一例であるインスタントコーヒーPは、キャップ3の漏斗3Bによって、センターへと案内されつつ、一挙にジャー9内へ案内流下される。したがって、ジャー9の口部に内嵌合された詰め替え補助部材5の周壁5Aとこの漏斗3Bとによって、インスタントコーヒーPは、詰め替え容器9の外部へ零れ落ちるおそれも無く、また、外気に必要以上触れるおそれもなく、香りや風味を損なうおそれを可及的に少なくできるようになった。
【0030】
以上に説明した実施の形態にあって、以下に説明するような、部分的に異なる構成にした構造も採用できる。
【0031】
具体的には、図7〜12の記載を参照しながら、以下説明する。
この別の構造は、上記の実施の形態と同等の効果を得ることができる上に、用いる部品点数を少なくして、廉価に提供できるようにしたものである。
【0032】
この構造では、詰め替え用容器1は、基本的には、図7に示す容器本体2、密封シール10、そして図9に示す詰め替え補助部材11で構成される。
【0033】
先ず、密封シール10は、図8に示すように、基本的には紙を主体とした上層とプラスチックフイルムを主体とした下層とが剥離層を介して積層体構造で形成され、この密封シール10が容器本体2の開口部2Aの周壁上端縁に下層のシール層10Bを介して貼着される。更に具体的には、上層は紙を主体として、プラスチックフイルム、アルミ箔などを積層して形成され、下層はプラスチックフィルム、紙、アルミの単層又はこれらの少なくとも二つ或いはそれ以上を積層して、15〜100μm厚さに形成されている。
【0034】
下層のシール10Bは周縁部を易剥離性の接着剤、ワックス系の剥離ニスで上層のシール10Aと接着されているが、この周縁部を残して中央部分においては、開封口を形成するために、円形状に上層のシール10Aと一体不可分に密着接合されている。そして、紙を主体とした密封シールであるために、図10(A)、(B)に示すように、両者の境目にはハーフカット或いはミシン目10C(図例ではミシン目)が設けられている。言うまでもなく、これらのハーフカット或いはミシン目10Cは、下層から上層まで至るが、上層ではこれを完全に貫くことなく、中途部位まで設けられる。
【0035】
また、この密封シール10の周縁一箇所から、所定幅の細幅短冊形の引き抜き開封片101が、その一端101Aを一体に連ねて設けられ、他端は摘み部102を備えて、この密封シール10の上面に重合されて一端101Aと反対の側まで重合して延設され、摘み部102は、容器本体2の外壁に一部が垂れ下がるほどの寸法に設定される。また、図10(A)、(B)に示すように、この引き抜き開封片101の基端、つまり密封シール10の周縁に連なる部位にもその境にハーフカット若しくはミシン目10D(図例ではミシン目)が設けられていて、密封シール10の上層と下層とを前記剥離層で分離するように働く。したがって、その設けられる位置は、密封シール10と容器本体2の前記カール部2Bとが接着されている部位よりもやや外方へ偏倚した位置であるのが望ましい。
【0036】
したがって、この引き抜き開封片101を引き剥がすと、図10(B)に示すように、容器本体2の開口部2Aの周壁上端に下層のシール10Bの周縁部をドーナツ状に残して、中央部分が上層のシール10Aと共に引き剥がされて、容器本体2が開封される。
【0037】
詰め替え補助部材11は、図9に示すように、上下開放の円形筒状を呈していて、ポリエチレン製である。
この詰め替え補助部材11の周壁11Aの肉厚を厚くする。具体的には、容器本体2の周壁2Bの2倍程の肉厚にするのが望ましい。そして、この肉厚の周壁11Aの下端内面側に、下端縁11Eから上方に所定寸法分、具体的には周壁11Aの上下高さの略半分ほどを凹入させて段部11Fを形成し、これによって、この詰め替え補助部材11を容器本体2の開口部2Aに被せたときに、容器本体2の開口部2Aの上端がこの段部11Fに当接されるように構成される。また、前記段部11Fの天井面と同じ高さレベルで、周壁11Aの略半周部分にわたって、内外に通じるスリット11Gが設けられ、更にそのスリットの長さ方向の中央部分他に対応する周壁11Aを部分的に切り欠いて引き抜き開口11Hが形成されていて、前記引き抜き開封片101と上側シール10Bの引き抜きが行えるようになっている。
【0038】
尚、段部11Fの天井面によって前記密封シール10の周縁部分が押圧されることになるが、引き抜き開封用片101を引き抜くのに抵抗になる押圧力ではないので、この引き抜き開封片101の引き抜きはスムーズに行える。
【0039】
このように構成された上記実施の形態の作用について説明する。
図7に示すように、容器本体2の開口部2Aは密封シール10で気密的に封緘されている。この状態で店頭陳列、販売される。また、詰め替え補助部材11はセットで販売される。
【0040】
詰め替えを行うには、先ず、詰め替え補助部材11をその周壁11Aの前記引き抜き開口11Hを設けた側の周壁が下位となるようにして、これを容器本体2の開口部2Aに外嵌合する。次いで図11に示すように、容器本体2を逆さにし、詰め替え補助部材11の周壁11Aを詰め替え容器の一例であるジャー9の口部に外嵌合させる。次いで、密封シール10の摘み部102を指先で摘んで、これを水平横方向へ引っ張る。すると、図10に示すように、容器本体2の開口部2Aの周壁上端に下側シール10Bの周縁部をドーナツ状に残して、中央部分が上側シール10Aと共に引き剥がされて、前記スリット11Gから引き抜かれ、容器本体2の開口部2Aが開封される。この開封によって、容器本体2内の内容物の一例であるインスタントコーヒーPは、一挙にジャー9内へ案内流下される。
【0041】
したがって、この実施の形態においても、簡単に詰め替え作業を行えると共に、詰め替え補助部材11の周壁11Aによって、インスタントコーヒーPは、ジャー9の外部へ零れ落ちるおそれも無く、また、外気に必要以上触れるおそれもなく、香りや風味を損なうおそれを可及的に少なくできるようになった。
【0042】
しかも、用いられる部品としては密封シール10、詰め替え補助部材11だけの格段に少ない部品点数であるから、構造が簡単であることは言うまでも無く、製造、加工も大変簡単で、結果として大変廉価に提供できる。
【0043】
尚、図12に示すように、前記引き抜き開封用片101の他端は容器本体2の周壁2Bに粘着テープなどのシール材13によって貼着されるのが望ましい。
【0044】
また、更に別の構成として、図13に示すような構造も採用できる。
この更に別の実施の形態は、図3で示される実施の形態で採用された隙間7を設けない構造を示す。したがって、詰め替え補助部材5に設けられる段部5Fを備えない構造となっている。
【0045】
具体的には、図13に示すように、詰め替え補助部材5の周壁5Aは天面5Bや筒壁5Cと同じ肉厚に形成される。そして、容器本体2に被せたときには、この天面5Bの下面で直接に密封シート4を、筒壁5Cよりも外方全周域で押圧するように構成する。
その押圧力は引き抜き開封用片41を引き抜くのに抵抗になる押圧力ではないので、この引き抜き開封片41の引き抜きはスムーズに行える。
また、引き抜き開口5Gの上縁は天面5Bの下面と同じ高さレベルに形成される。
【0046】
尚、図1〜6の実施の形態に示される密封シール4と図7〜12の実施の形態に示される密封シール10とは相互に互換採用できるものであり、いずれかに固定する必要性はない。
【0047】
また、以上の各実施の形態では内容物としてインスタンの粉コーヒーを対象としているが、その他にも食品、非食品の他の分流体に適用できる。例えば、水溶性のミルク(粉ミルク)、ココア、茶、又はこれらを適宜に組み合わせた粉など。更には、乾燥マッシュポテトや他の乾燥食品、ソースまたはグレービー粉、スープ粉などの他に複写機のトナーなどである。
【0048】
また、ジャー9に替わるものとして、コーヒー作成装置のコーヒー粉タンク、更には複写機のトナー補充容器などにも適用できる。
【0049】
(実施例1)
まず、ラミネート加工法によって、容器本体用として、〔容器外側〕紙層(坪量300g/m2 )/接着剤層/アルミニウム箔層(7.0μm)/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/接着剤層/低密度ポリエチレン層(50μm)〔容器内側〕構成の積層材料を作製した。また、ボトム部材として、〔容器外側〕低密度ポリエチレン層(20μm)/紙層(坪量230g/m2 )/低密度ポリエチレン層(20μm)/アルミニウム箔層(7.0μm)/接着剤層/ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/接着剤層/低密度ポリエチレン層(50μm)〔容器内側〕構成の積層材料を作製した。これらの積層材料を用い、PMC社製カップ成形機で、胴部上端の外周にカール部をもつカップ状容器本体を作製した。次に、高密度ポリエチレン(三井化学 2100K)を用いて射出成形により、立ち上がり壁3A、漏斗3B、そして鍔部3Cを備えたキャップ3を作製した。立ち上がり壁3A、漏斗3B並びに鍔部3Cは共にほぼ0.8mm厚となるよう成形した。更に、〔上側〕金属を蒸着して成る透明蒸着ポリエチレンテレフタレート層(12μm)/ドライラミネート用のエステル−ウレタン系2液硬化型から成る接着剤層/ポリエチレンテレフタレート層(15μm)/ドライラミネート用のエステル−ウレタン系2液硬化型から成る接着剤層/シーラント層としての低密度ポリエチレン層(50μm)〔下側〕からなる積層材料を作製し、この積層材料を用いて密封シールを作製した。この密封シールの形状は、直径90mmとし、その一端から延設される引き抜き開封片の全長を210mm、幅を30mmとして作製した。
尚、この実施例1では、この引き抜き開封片の密封シールの辺縁4Aに連なる基端には切り込みを設けていない。
【0050】
次に、上述のカップ状容器本体をアンビルに挿着して、胴部上端のカール部を下側から支えると共に胴部を固定し、胴部上端内側の開口部に、キャップ3を挿入して挿着し、溶着機を用い、開口部の内面に立ち上がり壁3Aの外面を接合した。
【0051】
次いで、前記パーツの漏斗の開口を介してインスタントコーヒーPを容器本体に充填した。最後に、前記カール部の上面に、ヒートシール法で前述の密封シールを熱融着して容器上端側を密封し、更にこの蓋材の上から詰め替え補助部材5を嵌着することで詰め替え用容器を作製した。
【0052】
(実施例2)
また、前記引き抜き開封片41の基端、つまり密封シール4の辺縁との境部分に切り込み43を設けた密封シール4を上記の手法、手段で作製した。
【0053】
(実施例3)
更に、図7、8、10に示した密封シール10を以下の手法、手段で作製した。
〔上側〕紙層(坪量104.7g/m2 の片アート紙)/剥離ニス層(ワックス系)/ポリエチレン層(15μm)/アルミニウム箔層(9μm)/シーラント層としての低密度ポリエチレン層(50μm)〔下側〕からなる積層材料を作製し、この積層材料から、直径90mm、その一端から延設される引き抜き開封片の全長を210mm、幅を30mmとした密封シールを作製した。また、図10(A)(B)に示すように、密封ーシール10の中央部分には開封口を形成するための円形のハーフカット10Cを漏斗3Bの開口径よりもやや大きめの直径40mmに設定し、下層のシーラント層から上側の紙層の下から約3分の1寸法分入れ込ませて設けた。更に、引き抜き開封片101の基端と密封シール10との境にも、下層のシーラント層から上側の紙層の下から約3分の1寸法分入れ込ませてハーフカット10Dを設けた。言うまでもなく、開封口を形成するための密封シールの10中央部部分に設けられた円形のハーフカット部分の内側には剥離ニス層は塗着されていないので、前記引き抜き開封片101を引っ張るとこのハーフカットで囲まれた円形部分の最下層のシーラント層から最上層の紙層までがこの引き抜き開封片101と共に他の部位から分離切断され、開封口が形成される。
【0054】
併せて、図7〜12に示される容器本体並びに詰め替え補助部材11を上記実施例1に倣って、同様の手法、手段で作製した。
【0055】
更に、図13に示される隙間7のない詰め替え補助部材5を上記の手法、手段で作製した。
【0056】
更に、リング3Aの上端にフランジ3Bを備えないタイプのホッパ3を上記の手法、手段で作製した。
【0057】
得られた製品は何れも、従来のスタンディングパウチ等と全く違って、詰め替え作業を大変簡単な操作で、容易かつ確実に行うことができ、インスタントコーヒーPを外気に触れさせるおそれも少なく、香りや風味が保たれていることが判明した。更に、密封シールの開封性を表すピール強度についても、実施例1では約200N、実施例2では約180N、実施例3では100Nで、いずれの場合もピール感は問題がなく、スムーズな剥離が行えた。尚、スプレードライ製法によるインスタントコーヒーは外気に長時間触れるとケーキングの発生を見るが、試験の結果、何れの実施例でもケーキングは生じず問題はなかった。
【0058】
また、図7〜12に示される構造にあっても、用いられる部品としては密封シール10、詰め替え補助部材11だけの格段に少ない部品点数であるから、構造が簡単であることは言うまでも無く、製造、加工も大変簡単で、結果として大変廉価に提供できることが分かった。
【0059】
更に、図13に示される構造にあっても引き抜き開封片41の引き抜きはスムーズに行えることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の詰め替え用容器の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】図1の詰め替え用容器の分解斜視図である。
【図3】図1の詰め替え用容器の開口部の構造を、一部を取り出して拡大表示した部分拡大図を含む断面図で、(A)は引き抜き開封片の長さ方向に直交する方向からみた断面図、(B)は(A)図中のA−A断面図である。
【図4】図1の詰め替え用容器の底を示す部分斜視図である。
【図5】図1の詰め替え用容器の作用の説明図である。
【図6】図1の詰め替え用容器の作用の説明図で、引き抜き開封片の動きの説明図である。
【図7】別の実施の形態を示す全体斜視図である。
【図8】図7に示す密封シールの分解説明図である。
【図9】図7に示す詰め替え補助部材の斜視図である。
【図10】(A)は図7に示す密封シールの一部切欠き裏面図、(B)は作用の説明図である。
【図11】図7に示す別の実施の形態の作用の説明図である。
【図12】図7に示す別の実施の形態に採用される変形例の部分斜視図である。
【図13】更に別の実施の形態を示す要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1…詰め替え用容器
2…容器本体
2A…開口部
2B…周壁
2C…底
3…キャップ
3B…漏斗
3B1…漏斗の開口部
4…密封シール
41…引き抜き開封片
42…摘み
43…切り込み
5…詰め替え補助部材
5C…筒壁
5D…開口
5F…段部
5G…引き抜き開口
6…蓋
7…隙間
9…ジャー
10…密封シール
10A…上側シール
10B…下側シール
101…引き抜き開封片
102…摘み
11…詰め替え補助部材
11G…スリット
11H…引き抜き開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも筒状の容器本体、密封シール、詰め替え補助部材からなる詰め替え用容器であって、前記密封シールは引き抜き開封用の摘み部を一体に備えて前記容器本体の開口部を密封し、前記詰め替え補助部材は内容物の移し替え容器の口部に嵌合可能で、前記詰め替え補助部材が容器本体の開口部に嵌着され、前記密封シールを開封した後、この詰め替え補助部材によって内容物を移し替え容器へその口部から直接注ぎ込めるようにしたことを特徴とする詰め替え用容器。
【請求項2】
筒状の容器本体、密封シール、詰め替え補助部材、蓋からなる詰め替え用容器であって、前記容器本体の開口部の内側に、中央に向かって傾斜した漏斗を備えたキャップを備え、前記密封シールは引き抜き開封用の摘み部を一体に備えて前記キャップの天面を密封し、前記詰め替え補助部材は内容物の移し替え容器の口部に嵌合可能で前記キャップに嵌着されると共に、この詰め替え補助部材は前記密封シールを引き抜き開封する際の引き抜き用の切欠き部を備えてなり、前記密封シールを開封した後、前記キャップの漏斗で内容物を中央部に集めながら、この詰め替え補助部材によって内容物を移し替え容器へその口部から直接注ぎ込めるようにしたことを特徴とする詰め替え用容器。
【請求項3】
筒状の容器本体、密封シール、詰め替え補助部材からなる詰め替え用容器であって、前記密封シールは引き抜き開封用の摘み部を一体に備えて前記容器本体の開口部を密封し、前記詰め替え補助部材は内容物の移し替え容器の口部に嵌合可能で容器本体の開口部に嵌着されると共に、この詰め替え補助部材は前記密封シールを引き抜き開封する際の引き抜き用の切欠き部を備えてなり、記密封シールを開封した後、この詰め替え補助部材によって内容物を移し替え容器へその口部から直接注ぎ込めるようにしたことを特徴とする詰め替え用容器。
【請求項4】
密封シールは一軸延伸合成樹脂製で、少なくとも容器本体の開口部の一部分を開放可能に構成されている請求項1〜3のいずれかに記載の詰め替え用容器。
【請求項5】
密封シールは二重の積層シールからなり、下側シールは上側シールに周縁部で易剥離性の接着剤で貼着されるとともに、この易剥離性の粘着材の内縁に沿ってミシン目が設けられ、少なくとも容器本体の開口部の一部分を開放可能に構成されている請求項1〜3のいずれかに記載の詰め替え用容器。
【請求項6】
詰め替え補助部材は前記密封シールを引き抜き開封する際の引き抜きを容易にするために前記キャップ或いは容器本体の天面との間に隙間を備えている前記1〜5のいずれかに記載の詰め替え用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−58832(P2010−58832A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228777(P2008−228777)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】