説明

詰替容器、ガセット袋開封口拡開具及び詰替容器セット

【課題】詰替え用ガセット袋の詰め替え作業を簡易かつ衛生的に行う。
【解決手段】内容物が入れられた袋1と、袋が挿入される容器本体と、容器本体の開口部に嵌め込まれる際に袋の開封口を拡開する拡開部材3と、容器本体開口部の開閉蓋とを具備する詰替容器である。袋は開封によって多角形の開封口が形成されるガセット袋であり、拡開部材は、容器本体開口部に装着される際、容器本体内に収納されたガセット袋の開封口の外向きノッチ部1c内に侵入しつつ外向きノッチ部を拡開する第一のガイド部15と、内向きノッチ部1dの通過を許容する逃げ部16と、この拡開部材の容器本体開口部への装着が完了する際に開封口の内周縁を案内して開封口を整った形状に拡開する第二のガイド部17とを具備する。開封口を簡易かつ迅速に容器本体開口部内で整った形状に拡げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉ミルク等の内容物を入れたガセット袋を開封して袋ごと詰め替えることができる詰替容器、及び開封したガセット袋を詰替容器の容器本体内に収納する際にガセット袋の開封口を円滑かつ正確に拡開して容器本体内にセットすることができる拡開具並びに詰替容器セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉ミルク等の内容物は缶に充填され密封された包装体として流通市場に供給されている。缶には開閉蓋付き蓋体が付属しており、缶を開封した後にこの開閉蓋付き蓋体を缶に被せ、開閉蓋を開閉すれば、缶内の内容物を小出しに取り出すことが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ふりかけ等を収納する容器には、ふりかけ等を収納した袋を開封した後に袋ごと容器本体内に収納し、容器本体の開口部を開閉蓋付き蓋体で覆うようにしたものがある。この容器は、開閉蓋付き蓋体と容器本体との嵌合部に袋の開封口の縁を挟み込むことで、容器から中身を振り出す際に、容器本体内への中味の落下を防止するようになっている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4219205号公報
【特許文献2】実用新案登録第2554822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術のうち前者は使い捨ての包装体であるから、中味を消費した後の缶の処分が面倒であるという問題がある。
【0006】
後者の包装体は金属以外のプラスチック、紙等で作ることができるので、中味を消費した後の容器本体、袋等の処分は容易である。また、空の袋を中味の入った新しいものと交換することで容器本体、開閉蓋付き蓋体は再使用することができる。
【0007】
しかし、後者の包装体は、柔らかい袋の開封口の全周縁を指で拡げてその拡げた状態を保持しながら、容器本体側の開口縁を袋の開封口の全周縁と共に開閉蓋付き蓋体側の環状溝内に押し込まなければならず、そのため袋を容器本体内に装着したり、袋を新しいものと交換したりする際の操作が極めて面倒である。また、袋を容器本体内に装着する際に、袋開封口の周縁の一部が容器本体の内側に取り残されたりすることがあり、その場合は取り残された箇所から中味が袋と容器本体との間に入り込むという不具合が生じる。さらに、袋を容器本体内に装着する際に、指で袋の開封口を支える必要があり、その指が袋内に侵入して内容物に接触するので不衛生であるという問題がある。
【0008】
したがって、本発明は、上記問題点を解決することができる詰替容器、ガセット袋開封口拡開具及び詰替容器セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0010】
なお、本発明の理解を容易にするため図面の参照符号を付するが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0011】
すなわち、請求項1に係る発明は、内容物(a)が入れられた袋(1)と、この袋(1)が挿入される容器本体(2)と、上記容器本体(2)の開口部に嵌め込まれる際に上記袋(1)の開封口(1e)を拡開する拡開部材(3)と、上記容器本体(2)の開口部を開閉する開閉蓋(4)とを具備する詰替容器において、上記袋(1)は開封によって多角形の開封口(1e)が形成されるガセット袋であり、上記拡開部材(3)は、上記容器本体(2)の開口部に装着される際に、上記容器本体(2)内に収納されたガセット袋(1)の開封口(1e)における外向きノッチ部(1c)内に侵入しつつ各外向きノッチ部(1c)を拡開する第一のガイド部(15)と、この拡開部材(3)の上記容器本体(2)の開口部への装着が完了する際に上記開封口(1e)の内周縁を案内して上記開封口(1e)を整った形状に拡開する第二のガイド部(17)とを具備した詰替容器を採用する。
【0012】
上記外向きノッチ部とは、ガセット袋を構成するシートの折り目が開封口(1e)の外側にV字形に突出した部分をいう。
【0013】
なお、上記内容物(A)は乳製品とすることができる。乳製品には、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令):昭和26年12月27日厚生省令第52号」における「乳」、「乳製品」及び「乳又は乳製品を主原料とする食品」が含まれ、具体的には、乳、加工乳、乳飲料、はっ酵乳、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、チーズ、調製粉乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、練乳等が挙げられ、この詰替容器はいずれの乳製品も包装可能である。
【0014】
ただし、本発明は、容器が開封された後に長期にわたり喫食される乳製品に好適であり、かかる乳製品としては粉末形状の乳製品、即ち粉乳が好ましく、本発明の効果を最大限に享受することができる。
【0015】
なお、粉乳とは、調製粉乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等の他、粉末クリーム、インスタントクリーミーパウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳等も含まれる。
【0016】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の詰替容器において、上記第一のガイド部(15)による開封口(1e)の拡開時に開封口(1e)の内向きノッチ部(1d)の通過を許容する逃げ部(16)が拡開部材(3)に設けられたものとすることができる。
【0017】
上記内向きノッチ部とは、ガセット袋を構成するシートの折り目が開封口(1e)の内側にV字形に突出した部分をいう。
【0018】
請求項3に記載されるように、請求項2に記載の詰替容器において、逃げ部の奥に内向きノッチ部に接する庇状ガイド部(16a)が設けられたものとすることができる。
【0019】
請求項4に記載されるように、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の詰替容器において、上記拡開部材(3)の第二のガイド部(17)は、上記容器本体(2)の開口部の全内周に沿って壁状に延びているものとすることができる。
【0020】
請求項5に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の詰替容器において、上記拡開部材(3)は上記容器本体(2)の開口部と嵌合する嵌合部(8)を有し、上記開閉蓋(4)は上記拡開部材(3)の嵌合部(8)の上から上記容器本体(2)の開口部に嵌合する嵌合部(9)を有するものとすることができる。
【0021】
請求項6に記載されるように、請求項5に記載の詰替容器において、上記拡開部材(3)における嵌合部(8)の内周側に、計量具(18)を載置可能な環状の水平壁(14)が設けられたものとすることができる。
【0022】
請求項7に記載されるように、請求項5、又は請求項6に記載の詰替容器において、上記拡開部材(3)における嵌合部(8)に、計量具(18)で掬った内容物(a)を擦り切る摺り切り(19)が架け渡されたものとすることができる。
【0023】
また、請求項8に係る発明は、ガセット袋(1)の開封口(1e)における外向きノッチ部(1c)内に侵入しつつ各外向きノッチ部(1c)を拡開する第一のガイド部(15)と、上記第一のガイド部(15)が上記ガセット袋(1)の開封口(1e)内に入り切る際に上記開封口(1e)の全内周を案内して上記開封口(1e)を整った形状に拡開する第二のガイド部(17)とを具備したガセット袋開封口拡開具を採用する。
【0024】
請求項9に記載されるように、請求項7に記載のガセット袋開封口拡開具において、上記第一のガイド部(15)による開封口(1e)の拡開時に開封口(1e)の内向きノッチ部(1d)の通過を許容する逃げ部(16)が設けられたものとすることができる。
【0025】
請求項10に係る発明は、内容物が入れられた袋と、この袋が挿入される容器本体と、上記容器本体の開口部に嵌め込まれる際に上記袋の開封口を拡開する拡開部材と、上記容器本体の開口部を開閉する開閉蓋とが組み合わされた詰替容器セットにおいて、上記袋は開封によって多角形の開封口が形成されるガセット袋であり、上記拡開部材は、上記容器本体の開口部に装着される際に、上記容器本体内に収納されたガセット袋の開封口における外向きノッチ部内に侵入しつつ各外向きノッチ部を拡開する第一のガイド部と、この拡開部材の上記容器本体の開口部への装着が完了する際に上記開封口の内周縁を案内して上記開封口を整った形状に拡開する第二のガイド部とを具備した詰替容器セットを採用する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、内容物(a)が入れられた袋(1)と、この袋(1)が挿入される容器本体(2)と、上記容器本体(2)の開口部に嵌め込まれる際に上記袋(1)の開封口(1e)を拡開する拡開部材(3)と、上記容器本体(3)の開口部を開閉する開閉蓋(4)とを具備する詰替容器において、上記袋(1)は開封によって多角形の開封口(1e)が形成されるガセット袋であり、上記拡開部材(3)は、上記容器本体(2)の開口部に装着される際に、上記容器本体(2)内に収納されたガセット袋(1)の開封口(1e)における外向きノッチ部(1c)内に侵入しつつ各外向きノッチ部(1c)を拡開する第一のガイド部(15)と、この拡開部材(3)の上記容器本体(2)の開口部への装着が完了する際に上記開封口(1e)の内周縁を案内して上記開封口(1e)を整った形状に拡開する第二のガイド部(17)とを具備した詰替容器であるから、詰替え用の開封されたガセット袋(1)が容器本体(2)内に収納されると、ガセット袋(1)の開封口(1e)が容器本体(2)の開口部内で多角形の半開き状態となる。そこで、拡開部材(3)を容器本体(2)の開口部内のガセット袋(1)の開封口(1e)にあてがうと、まず、その第一のガイド部(15)が開封口(1e)の各外向きノッチ部(1c)内に侵入して外向きノッチ部(1c)を拡開し、続いて第二のガイド部(17)が開封口(1e)の内周縁を案内して上記開封口(1e)を整った形状に拡開し保持することになる。従って、ガセット袋(1)の開封口(1e)はその全周縁が簡易かつ迅速に容器本体(2)の開口部内で整った形状に拡開することとなり、新しい詰替え用のガセット袋(1)を開封して容器本体(2)内に装着したり、内容物(a)が消費されたガセット袋(1)を新しいものと交換したりする際の操作を極めて簡易に行うことができる。
【0027】
また、詰替時に、ガセット袋(1)の開封口(1e)を指等で拡げる必要がないので、指等がガセット袋(1)内に入らないようにすることができ、従って、すこぶる衛生的に詰替え用のガセット袋(1)を容器本体(2)内に装填することができる。
【0028】
また、第一のガイド部(15)による開封口(1e)の拡開時に開封口(1e)の内向きノッチ部(1d)の通過を許容する逃げ部(16)が拡開部材(3)に設けられた場合は、ガセット袋の開封口(1e)をより円滑に広げることができる。すなわち、第一のガイド部(15)が開封口(1e)の各外向きノッチ部(1c)内に侵入して外向きノッチ部(1c)が拡開すると同時に内向きノッチ部が拡開し始めるのであるが、その際逃げ部(16)が内向きノッチ部の動きを妨げることがないので、開封口(1e)の拡開がスムーズに進む。
【0029】
また、上記拡開部材の第二のガイド部(17)が、上記容器本体(2)の開口部の全内周に沿うように壁状に伸びたものである場合は、ガセット袋(1)の開封口(1e)をその全周縁にわたって容器本体(2)の開口部との間に入れることができるので、ガセット袋(1)内の粉ミルク等の内容物(a)が容器本体(2)とガセット袋(1)との間に漏れ出るという不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る詰替容器の平面図である。
【図2】図1中、II−II線矢視断面図である。
【図3】図1中、III−III線矢視断面図である。
【図4】詰替容器のヒンジ部の部分切欠図である。
【図5】容器本体の平面図である。
【図6】図5中、VI−VI線矢視断面図である。
【図7】図5中、VII−VII線矢視断面図である。
【図8】開閉蓋の平面図である。
【図9】図8中、IX−IX線矢視断面図である。
【図10】図8中、X−X線矢視断面図である。
【図11】拡開部材を斜め上から見た斜視図である。
【図12】拡開部材を斜め下から見た斜視図である。
【図13】拡開部材の平面図である。
【図14】図13中、XIV−XIV線矢視断面図である。
【図15】図13中、XV−XV線矢視断面図である。
【図16】(A)(B)(C)は、拡開部材によるガセット袋の開封口の拡開作用を斜め上から見た状態で示す斜視図である。
【図17】(A)(B)(C)は、拡開部材によるガセット袋の開封口の拡開作用を斜め下から見た状態で示す斜視図である。
【図18】詰替え用のガセット袋を示し、(A)は未開封状態で示す斜視図、(B)は開封状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の望ましい形態について図面に基づいて説明する。
【0032】
図1乃至図4に示すように、この詰替容器は、内容物aが入れられた詰替え用ガセット袋1と、このガセット袋1が挿入される容器本体2と、容器本体2の開口部に嵌め込まれる際にガセット袋1の開封口1eを拡開する拡開部材3と、容器本体2の開口部を開閉する開閉蓋4とを具備する。
【0033】
上記詰替え用のガセット袋1は、詰替前は内容物aを収納したうえで、図18(A)に示すように密封されている。図18(A)中、符号1aはヒートシール等による封緘部を示し、符号1bは切り取り予定線を示す。内容物は、例えば乳製品である粉ミルク等である。
【0034】
このガセット袋1は、詰替に際して切り取り予定線1b上で封緘部1aが切除されることにより開封される。図18(B)に示すように、ガセット袋1には開封によって多角形の開封口1eが形成される。この開封口1eには当初四隅に各々外向きノッチ部1cが生じ、二対の外向きノッチ部1cの各対間に内向きノッチ部1dが各々生じる。
【0035】
この開封されたガセット袋1は、図18(B)に示す開封状態で容器本体2内に収納される。
【0036】
容器本体2は、図5乃至図7に示すように、前後壁2a,2bと左右壁2c,2dと底壁2eとを具備した全体として略直方体の箱に形成される。図2及び図3に示すように、この箱の開口部から上記開封されたガセット袋1又は未開封のガセット袋1が収納可能である。
【0037】
容器本体2の開口部の外周には、上から下へと嵌合突起5、上リブ6、下リブ7が順に設けられる。図2及び図3に示すように、嵌合突起5は、拡開部材3の嵌合部8が容器本体2の開口部に被さったときに、この嵌合部8の嵌合突起8aと嵌合可能である。図2に示すように、上リブ6には拡開部材3の嵌合部8の下縁が当接可能であり、下リブ7には開閉蓋4の嵌合部9の下縁が当接可能である。
【0038】
また、容器本体2の後壁2bには、一対のヒンジを構成するためのブラケット10が設けられる。図1及び図3に示すように、このブラケット10に開閉蓋4のヒンジ軸11が連結可能である。このブラケット10とヒンジ軸11からなるヒンジは例えば薄肉部で連結して、容器本体2及び開閉蓋4と一体的に形成することも可能である。また、ヒンジは拡開部材3と開閉蓋4との間に設けることも可能である。
【0039】
開閉蓋4は、図8乃至図10に示すように、天板12と、天板12の周りから垂下する内外二重の周壁9a,9bよりなる嵌合部9とを具備する。
【0040】
図1乃至図3に示すように、この開閉蓋4の嵌合部9が、拡開部材3の嵌合部8の上から容器本体2の開口部に嵌合する。すなわち、開閉蓋4で容器本体2の開口部を閉じたとき、容器本体2の開口部に嵌合した拡開部材3の嵌合部8が内外二重の周壁9a,9b間に侵入し、これにより容器本体2と拡開部材3と開閉蓋4の三者が合体する。
【0041】
また、図9及び図10に示すように、天板12と内周壁9aとの間に、凹部4aが形成される。ガセット袋1の詰替等にあたり、図4のごとく開閉蓋4を開けた際に、この凹部4a内に拡開部材3を入れ、拡開部材3の嵌合部8を開閉蓋4の嵌合部9に挿入することで、ガセット袋1を開封操作等する際に、拡開部材3を仮置きすることが可能である。
【0042】
拡開部材3は、図11乃至図15に示すように、容器本体2と開閉蓋4とは別体のガセット袋開封口拡開具として形成される。
【0043】
拡開部材3は、容器本体2の開口部に合致しうる大きさの枠型に形成される。そして、この枠の外周側に、図1乃至図3に示すように、容器本体2の開口部に被さり、また、開閉蓋4の嵌合部9に被せられることで、この拡開部材3を容器本体2と開閉蓋4と一体化させる嵌合部8が設けられる。
【0044】
拡開部材3における嵌合部8の内周側からは、斜壁13が下がり、この斜壁13の下端からは環状の水平壁14が内方に突出し、この水平壁14の内周にガセット袋1の開封口1eへの挿入体が概ね漏斗状に設けられる。
【0045】
この挿入体は、その中央の略長方形の開口3aにおける四隅に、ガセット袋1の開封口1eの四隅における外向きノッチ部1cに各々対応する第一のガイド部15を有し、第一のガイド部15と上記水平壁14との間に、ガセット袋1の完全に拡開した開封口1eの内周縁に対応する第二のガイド部17を有する。
【0046】
また、上記開口の二短辺の各中央には、第一のガイド部15による開封口1eの拡開時に開封口1eの内向きノッチ部1dの通過を許容する逃げ部16が必要に応じて設けられる。
【0047】
なお、この逃げ部16の下面を、拡開中の内向きノッチ部1dが接触しつつ移動するガイド部とすることも可能である。
【0048】
第一のガイド部15が開封口1eの各外向きノッチ部1c内に侵入して外向きノッチ部1cが拡開すると同時に内向きノッチ部1dが拡開し始めるが、その際逃げ部16が内向きノッチ部1dの動きを妨げないので、開封口1eが円滑に拡開することとなる。
【0049】
挿入体の中央の開口3aは容器本体2の開口部の開口よりやや小さく、この開口を通して内容物aの取り出しが行われる。
【0050】
開封されたガセット袋1が収納された容器本体2の開口部に、拡開部材3が装着される際、図16(A)及び図17(A)に示すように、まず、その挿入体の第一のガイド部15がガセット袋1の開封口1eにおける外向きノッチ部1c内に侵入しつつ各外向きノッチ部1cを同時に拡開する。図16(B)及び図17(B)に示すように、同時に各内向きノッチ部1dも拡開しようとするが、逃げ部16がこの内向きノッチ部1dの移動に伴う衝突を回避する。続いて、図16(C)及び図17(C)に示すように、第二のガイド部17が開封口1eの内周縁を案内して開封口1eを整った形状に拡開し保形する。同時に、拡開部材3の嵌合部8が図2及び図3のごとく容器本体2の開口部と嵌合し、拡開部材3が容器本体2と一体化される。かくて、この拡開部材3の容器本体2の開口部への装着が完了する。
【0051】
なお、第二のガイド部17間は、水平壁14から垂下する垂下壁17aに連なり、その結果、第二のガイド部17は容器本体2の開口部の全内周に沿って壁状に延びることになる。これにより、ガセット袋1の開封口1eの全内周縁は、図2及び図3に示すように、拡開部材3の開口3aの縁で遮蔽されるので、ガセット袋1から内容物aを取り出す際に内容物aが容器本体2とガセット袋1との間に落下するという不具合が防止される。
【0052】
また、図1及び図2に示すように、嵌合部8の内周側に斜壁13が設けられることで斜壁13の内側には凹部が形成され、斜壁13に連なるように環状の水平壁14が設けられる。図1及び図2に示すように、この水平壁14上にスプーン等計量具18が置かれる。
【0053】
また、拡開部材3には、図11乃至図15に示すように、その中央の開口3aを横断するように摺り切り19が架け渡される。上記計量具18で掬った内容物aをこの摺り切り19により摺り切ることが可能である。
【0054】
また、拡開部材3の周縁すなわち嵌合部には、外方向に突出する摘み片20が設けられる。操作者は摘み片20を持って拡開部材3を容器本体2等に対し簡易に着脱することできる。
【0055】
次に、上記構成の詰替容器及び拡開部材の作用について説明する。
【0056】
(1)粉ミルク等の内容物aが収納されたガセット袋1は、当初図18(A)に示すような開封口1eが封緘部1aで密封された状態にある。
【0057】
このガセット袋1の封緘部1aが、切り取り予定線1b上で切除されることにより、図18(B)に示すように開封される。この開封されたガセット袋1が容器本体2内に挿入される。あるいは、未開封のガセット袋1が容器本体2内に収納された後、その封緘部1aが切除されることにより開封される。
【0058】
(2)ガセット袋1の開封口1eは、当初多角形の半開状態にあり、四つの外向きノッチ部1cと二つの内向きノッチ部1dとが生じている。
【0059】
容器本体2内のガセット袋1の開封口1e内に、操作者によって拡開部材3の挿入部が挿入される。
【0060】
(3)図16(A)及び図17(A)に示すように、まず、拡開部材3における挿入体の第一のガイド部15がガセット袋1の開封口1eにおける外向きノッチ部1c内に侵入しつつ各外向きノッチ部1cを同時に拡開する。
【0061】
(4)続いて、図16(B)及び図17(B)に示すように、逃げ部16が開封口1eにおける内向きノッチ部1dの通過を許容し、また、この逃げ部16の奥に設けられた庇状ガイド部16aが内向きノッチ部1dに当接しながら各内向きノッチ部1dを拡開状態へと案内する。
【0062】
(5)さらに、図16(C)及び図17(C)に示すように、第二のガイド部17が開封口1eの内周縁を案内して開封口1eを整った形状に拡開し保持する。
【0063】
(6)ガセット袋1の開封口1eが第二のガイド部17によって略長方形に開き切ると同時に、拡開部材3の嵌合部8が図2及び図3のごとく容器本体2の開口部と嵌合し、拡開部材3が容器本体2と一体化される。
【0064】
かくて、操作者の指等がガセット袋1の内部に触れることなく、ガセット袋1の開封口1eが完全に開かれた状態で速やかに詰替容器の開口部に装着されることとなる。
【0065】
(7)ガセット袋1の内容物aを取り出すには、スプーン等の計量具18を拡開部材3の開口3aからガセット袋1内に挿入して内容物aを掬い、摺り切り19で余剰の内容物aを除去し、容器本体2外へと取り出す。
【0066】
(8)第二のガイド部17及び垂下壁17aが容器本体2の開口部の全内周に沿って伸びるので、ガセット袋1の開封口1eの全内周は、図2及び図3に示すように、拡開部材3の開口縁から遮蔽される。これにより、ガセット袋1から内容物aを取り出す際に内容物aが容器本体2とガセット袋1との間に落下するという不具合が防止される。
【0067】
(9)内容物aの取り出し後、開閉蓋4を容器本体2の開口部側に倒して開閉蓋4の嵌合部9を拡開部材3の嵌合部8に嵌合させることで、開閉蓋4によって再びガセット袋1内を密閉状態に保つことができる。
【0068】
(10)ガセット袋1内の内容物aが消費されると、開閉蓋4を開け、拡開部材3を容器本体2から取り外し、空のガセット袋1を容器本体2から抜き取り、新しいガセット袋1を開封して上述したと同様な手順で容器本体2内に装着し、拡開部材3でガセット袋1の開封口1eを拡開することで中味の内容物aを取り出すことができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変更可能である。例えば、実施の形態では内容物は粉ミルクであるが、そのような粉末状のほか、顆粒状、粒状、ブロック状、ペースト状等各種の形態の食品とすることができる。その他、内容物は、錠剤であってもよいし、個々のピースが個包装されたピース状のものであってもよい。また、内容物が入れられた袋と、この袋が挿入される容器本体と、容器本体の開口部に嵌め込まれる際に袋の開封口を拡開する拡開部材と、容器本体の開口部を開閉する開閉蓋とが組み合わされた詰替容器セットとして構成することも本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0070】
1…ガセット袋
1e…開封口
1c…外向きノッチ部
1d…内向きノッチ部
2…容器本体
3…拡開部材
4…開閉蓋
4a…凹部
8,9…嵌合部
15…第一のガイド部
16…逃げ部
16a…庇状ガイド部
17…第二のガイド部
18…計量具
19…摺り切り
a…内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が入れられた袋と、この袋が挿入される容器本体と、上記容器本体の開口部に嵌め込まれる際に上記袋の開封口を拡開する拡開部材と、上記容器本体の開口部を開閉する開閉蓋とを具備する詰替容器において、上記袋は開封によって多角形の開封口が形成されるガセット袋であり、上記拡開部材は、上記容器本体の開口部に装着される際に、上記容器本体内に収納されたガセット袋の開封口における外向きノッチ部内に侵入しつつ各外向きノッチ部を拡開する第一のガイド部と、この拡開部材の上記容器本体の開口部への装着が完了する際に上記開封口の内周縁を案内して上記開封口を整った形状に拡開する第二のガイド部とを具備したことを特徴とする詰替容器。
【請求項2】
請求項1に記載の詰替容器において、上記第一のガイド部による開封口の拡開時に開封口の内向きノッチ部の通過を許容する逃げ部が拡開部材に設けられたことを特徴とする詰替容器。
【請求項3】
請求項2に記載の詰替容器において、逃げ部の奥に内向きノッチ部に接する庇状ガイド部が設けられたことを特徴とする詰替容器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の詰替容器において、上記拡開部材の第二のガイド部は、上記容器本体の開口部の全内周に沿うように壁状に延びていることを特徴とする詰替容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の詰替容器において、上記拡開部材は上記容器本体の開口部と嵌合する嵌合部を有し、上記開閉蓋は上記拡開部の嵌合部の上から上記本体の開口部に嵌合する嵌合部を有することを特徴とする詰替容器。
【請求項6】
請求項5に記載の詰替容器において、上記拡開部材における嵌合部の内周側に、計量具を載置可能な環状の水平壁が設けられたことを特徴とする詰替容器。
【請求項7】
請求項5、又は請求項6に記載の詰替容器において、上記拡開部材における嵌合部に、計量具で掬った内容物を擦り切る摺り切りが架け渡されたことを特徴とする詰替容器。
【請求項8】
ガセット袋の開封口における外向きノッチ部内に侵入しつつ各外向きノッチ部を拡開する第一のガイド部と、上記第一のガイド部が上記ガセット袋の開封口内に入り切る際に上記開封口の内周縁を案内して上記開封口を整った形状に拡開する第二のガイド部とを具備したことを特徴とするガセット袋開封口拡開具。
【請求項9】
請求項8に記載のガセット袋開封口拡開具において、上記第一のガイド部による開封口の拡開時に開封口の内向きノッチ部の通過を許容する逃げ部が設けられたことを特徴とするガセット袋開封口拡開具。
【請求項10】
内容物が入れられた袋と、この袋が挿入される容器本体と、上記容器本体の開口部に嵌め込まれる際に上記袋の開封口を拡開する拡開部材と、上記容器本体の開口部を開閉する開閉蓋とが組み合わされた詰替容器セットにおいて、上記袋は開封によって多角形の開封口が形成されるガセット袋であり、上記拡開部材は、上記容器本体の開口部に装着される際に、上記容器本体内に収納されたガセット袋の開封口における外向きノッチ部内に侵入しつつ各外向きノッチ部を拡開する第一のガイド部と、この拡開部材の上記容器本体の開口部への装着が完了する際に上記開封口の内周縁を案内して上記開封口を整った形状に拡開する第二のガイド部とを具備したことを特徴とする詰替容器セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−197105(P2012−197105A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63224(P2011−63224)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000006127)森永乳業株式会社 (269)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】