説明

話題推薦装置、話題推薦装方法およびプログラム

【課題】現在の会話の中心となっている観点を特定し、その観点に関して近く、他の観点では遠いような話題を提供することができる話題推薦装置、話題推薦装方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】話題推薦装置100は、話題を表す情報と、複数の話題に共通する異なる2以上の観点の話題の内容を表すキーワードとを、関連づけて記憶する記憶部1の話題データベース11と、ユーザの会話から抽出した語句にもとづいて、観点ごとの重みを算出する観点判定部2と、直近にユーザに提示した話題と話題データベースの話題とについて、キーワードにもとづいて所定の類似度を算出する類似度算出部3と、話題データベースの中から、重みの大きい観点における類似度に所定の正数を乗じた値と重みの小さい観点における類似度に所定の負数を乗じた値、の和が最も大きい話題を検索する話題検索部4と、その話題をユーザに提示する提示部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は話題推薦装置、話題推薦装方法およびプログラムに関する。特に、二人以上で会話を行っているユーザに、話題を提供する話題推薦装置、話題推薦装方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ間の会話情報を入力して現在の会話に適した話題情報を提供する技術としては、特許文献1の情報の検索を支援する装置及び方法や、特許文献2の関連用語提示装置が挙げられる。
【0003】
特許文献1は、情報の検索を支援する装置が記載されている。その装置は、現在の会話を音声認識し、その結果得られた文字列内から重要なトピックとなっている第一のトピック語を抽出し、その単語と共起しやすい語と共にユーザに提示し、ユーザに選択させることで第二のトピック語を選択し、2つのトピック語を含む文書を検索する。
【0004】
特許文献2は、検索エンジンなどの文書検索装置に会話文から連想される話題を提供することができる関連用語提示装置について記載されている。その方法は、ある会話文を入力とし、会話文中からトピック語を抽出した後、トピック語の定義文情報と他の語の定義文情報とを参照し、トピック語の定義文中の単語と、他の語の定義文中の単語が類似する語を関連語として、ユーザに提示する技術を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−70180号公報
【特許文献2】特開2003−323445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実際の会話における話の流れは、似たり寄ったりな内容があり、似て非なりな内容があり、また、全く異なる内容があり、と様々である。しかしながら、関連する技術では、類似した話題を提供するのみであり、話題が偏りやすく、話題性に乏しくなるという問題があった。また、異なる話題を提供すると、興味がない場合も多く考えられ、結果として会話を促すことにならないおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、現在の会話の中心となっている観点を特定し、その観点に関して近く、他の観点では遠いような話題を提供することができる話題推薦装置、話題推薦装方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る話題推薦装置は、
話題を表す情報と、複数の話題に共通する異なる2以上の観点の前記話題の内容を表すキーワードとを、関連づけて記憶する話題データベースと、
ユーザの会話を入力し、該会話から抽出した語句にもとづいて、前記2以上の観点ごとの重みを算出する観点判定手段と、
直近にユーザに提示した話題と、前記話題データベースに記憶された話題とについて、前記2以上の観点ごとに前記キーワードにもとづいて所定の類似度を算出する類似度算出手段と、
前記話題データベースに記憶された話題の中から、前記観点判定手段で重みを算出した2以上の観点のうち、前記重みの大きい観点における類似度に所定の正数を乗じた値と、前記重みの小さい観点における類似度に所定の負数を乗じた値、の和が最も大きい話題を検索する話題検索手段と、
前記話題検索手段で検索した話題をユーザに提示する話題提示手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現在の会話の中心となっている観点を特定し、その観点に関して近く、他の観点では遠いような話題を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る話題推薦装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】観点の例を示す図である。
【図3】提供する話題データベースの例を示す図である。
【図4】5W1H観点データベースの例を示す図である。
【図5】特徴別の話題データベースの、人の観点の例を示す図である。
【図6】特徴別の話題データベースの、人の観点の例を示す図である。
【図7】特徴別の話題データベースの、場所の観点の例を示す図である。
【図8】特徴別の話題データベースの、時の観点の例を示す図である。
【図9】実施の形態に係る話題推薦装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る話題推薦装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0012】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る話題推薦装置の構成例を示すブロック図である。話題推薦装置100は、記憶部1と、観点判定部2と、類似度算出部3と、話題検索部4と、提示部5と、入力部6と、出力部7を備える。図中では、端末8は話題推薦装置100とネットワークNを介して接続しているが、直接、話題推薦装置100と接続してもよい。
【0013】
記憶部1は、話題データベース(以下、話題DB)11を含む。話題DB11は、話題を表す情報と、その話題の内容を表すキーワードとを関連付けて記憶する。記憶部1は、話題DB11の他に、話題推薦装置100を制御するためのプログラムや、類似度算出部3で算出する類似度など、話題推薦装置100に関する様々な情報を記憶する。
【0014】
観点判定部2は、話題推薦装置100を利用するユーザの会話から抽出した語句に基づいて、2以上の観点ごとの重みを算出する。このとき、ユーザの会話は、端末8から音声もしくはテキストの形で入力部6を介して話題推薦装置100へ入力したものを用いる。2以上の観点に用いられる観点について、図2に示す。観点の種類は、人の(Who)観点、行為・動作の(What)観点、時の(When)観点、場所の(Where)観点、目的・理由の(Why)観点、態様の(How)観点があり、5W1Hの分類で表すことができる。
【0015】
図3は、提供する話題データベースの例を示す図であり、記憶部1の話題DB11に格納する情報の例である。話題文は、ユーザへ提供するための情報を示す。話題文は、ユーザもしくは他のユーザが端末8から入力したり、日々発信されるウェブサイトの情報を入力部6を介して話題推薦装置100に取り込んだり、他の装置や記憶媒体などからダウンロードを行ってもよい。Who観点、What観点、When観点、Where観点、Why観点、How観点の5W1H観点の項目は、話題文の自立語を抽出し、それぞれの観点の区分に分別したものである。
【0016】
図4は、5W1H観点データベースの例を示す図である。話題DB11の話題を表す情報について、ユーザの発話を元に、ユーザがどの観点にどの程度注目しているかを判断する際の、観点の重みの判断材料となる単語の一覧である。例えば、ユーザの発話した内容に関東と含まれている場合、関東という単語はWhere観点に該当することが分かる。
【0017】
観点判定部2は、例えば図3に示す5W1H観点の項目に沿って観点の種類の分別をし、各観点毎に含まれる語句の数を数える。使用頻度の高い場合に観点の重みを1とし、反対に使用頻度が低い場合に観点の重みを-1とする、など所定の方法に沿って、観点の重みを判定していく。所定の方法は、予め人による取り決めでルール化してもよいし、統計の結果などを反映させて更新するような仕組みであってもよい。
【0018】
類似度算出部3は、直近にユーザに対して提示した話題と、話題DB11に記憶された話題とについて、2以上の観点ごとに、キーワードに基づいて所定の類似度を算出する。所定の類似度とは、図2に示す、人の観点、行為・動作の観点、時の観点、場所の観点、目的・理由の観点、態様の観点の、いずれかの組合せからなる観点を用いて、内容が共通である度合いや類似である度合いなど、それぞれの観点に対応する所定の方法で算出した値をいう。例えば、人の観点の場合、共通もしくは類似した所属であるかをもとに判断したり、時や場所の場合、時間的または地理的な距離で判断することができる。
【0019】
話題検索部4は、話題DB11に記憶された話題の中から、観点判定部2で重みを算出した2以上の観点のうち、重みの大きい観点における類似度には正の数、小さい観点における類似度には負の数を乗じて、さらにその和が最も大きい話題を検索する。
【0020】
提示部5は、話題検索部4で検索した話題を提示データの形にして、出力部7へ送信する。そして出力部7を介して、端末8で提示データを提示する。
【0021】
図5および図6は、特徴別の話題データベースの、人の観点の例を示す図である。図5の特徴テーブルは、人の観点(Who観点)を基に、特徴を抽出してデータ整理を行ったものであり、図6のつながりテーブルは、人の観点(Who観点)を基に、人と人との関係を抽出してデータ整理を行ったものである。図5の特徴の1つ、ここでは名字が田中であるという特徴、を抽出して、図6のつながりテーブルを作成することができる。図6の人と人との関係について、何が共通してつながりを有するかは任意に設定でき、会社や学校の所属や、友達の仲良しのレベル(仲の良い親友か、名前を知ってる程度の知り合いか)などで区切ることができる。
【0022】
次に、本発明による話題推薦装置100の動作を図1ないし図5を用いて説明する。例えば、話題推薦装置100は、ユーザに対して、話題DB11から話題文「2009年4月4日、女優の田中花子がグアムで結婚。」の情報を出力部7を介して端末8へ提示する。ユーザに直近に提示した話題文「2009年4月4日、女優の田中花子がグアムで結婚。」をnowとおく。また、話題DB11に含まれる他の話題文「田中花子はお受験戦争というタイトルのドラマに出演していた」をw1、「野球選手の佐藤一郎はかわいい犬を飼っている」をw2、「2009年3月3日、プロレスラーの山田一郎がサイパンで結婚した」をw3とし、他の話題文(w1、w2、w3、・・・、wn)を以下wとおく。
【0023】
ユーザは、端末8の情報を見て、話題文に関する何らかの会話を行う。話題推薦装置100が田中花子についての話題文を提示した後に、田中花子のニックネームである「花ちゃん」や、「あの子」もしくは「彼女」など、「田中花子」を指し示す言葉を含む会話がしばらく続いており、その後、ユーザの1人が「彼女、かわいいよね」と発したとする。記憶部1は、入力部6を介してこれらの会話を話題推薦装置100に入力し、記憶する。
【0024】
観点判定部2は、会話から、「彼女」、「かわいい」の語句を抽出する。Who観点に該当する語句は「彼女」であり、How観点に該当する語句は「かわいい」である。実際には、観点判定部2は、話題文を提供した後に記憶部1に記憶した会話について、「彼女、かわいいよね」の会話を含む複数の会話について語句の抽出を行うため、who観点に該当する語句を多く抽出する。
【0025】
次に類似度算出部3は、所定の方法に沿ったやり方で、ユーザに対して提供した話題文と話題DB11の他の話題について類似度を算出する。所定の方法とは、例えば、抽出した語句が5W1H観点のそれぞれの観点に出現する回数をもとに、観点の重みを変化させる方法がある。ここでは5W1H観点の中で出現回数が多く重みがある観点であるWho観点を重視し、かつ、出現回数が少なく重みがないHow観点については軽視し、その他観点については特に考慮しないものとして類似度を算出する。算出の際に、重視する観点については、正の数の係数の重みを付け、軽視する観点については、負の数の係数の重みを付ける。
【0026】
具体的には、nowとwの2つの話題に対するwho観点類似度Swho(now,w)は次の式によって算出される。who観点は、人の特徴から見た観点(feature(now.who,w.who)で示す)と、人と人とのつながりから見た観点(link(now.who,w.who)で示す)の両方の要素から類似度を算出する。
Swho(now,w)=max{feature(now.who,w.who),link(now.who,w.who)}
なお、maxは変数の変域における最大値を表す。w.whoは話題wのwho観点データのキーワードリスト、now.whoは話題nowのwho観点データのキーワードリスト、を意味する。feature(now.who,w.who)は、図5の特徴テーブルを参照して計算される類似度であり、link(now.who,w.who)は図6のつながりテーブルを参照して計算される類似度である。
【0027】
feature(now.who,w.who)は、次の式により算出される。
feature(now.who,w.who)=max{featureSim(k1,k2)| k1⊂now.who,k2⊂w.who}
ここで、語句kを元に特徴テーブルを参照して得られる特徴語句の集合をk.fで表すと、featureSim(k1,k2)は次の式により計算される。
featureSim(k1,k2)=(|k1.f ∩ k2.f|)/(|k1.f ∪ k2.f|)
【0028】
link(now.who,w.who)は、次のように算出される。
link(now.who,w.who)=max{linkSim(k1,k2)| k1⊂now.who,k2⊂w.who}
linkSim(k1,k2)は、2つの語句k1とk2がつながりテーブル内で関係を持つ際に1を、関係を持たない際に0を返す関数である。
【0029】
以下、図7を参照して、類似度算出部3での類似度の算出方法が、場所の観点(Where観点)の場合について説明する。図7は、特徴別の話題データベースの、場所の観点の例を示す図で、経緯度テーブルを表す。
【0030】
具体的には、nowとwの2つの話題に対するwhere観点類似度Swhere(now,w)は次の式によって算出される。
Swhere(now,w)=max{1/distance(k1,k2)| k1⊂now.where,k2⊂w.where}
なお、w.whereは話題wのwhere観点データのキーワードリスト、now.whereは話題nowのwhere観点データのキーワードリスト、を意味する。distance(k1,k2)は地名k1と地名k2の地理的距離を表す。ここでは地理的距離は、緯度と経度から求める地表面上の水平距離とする。
【0031】
以下、図8を参照して、類似度算出部3での類似度の算出方法が、時の観点(When観点)の場合について説明する。図8は、特徴別の話題データベースの、時の観点の例を示す図で、日付テーブルを表す。
【0032】
具体的には、nowとwの2つの話題に対するwhen観点類似度Swhen(now,w)は次の式によって算出される。
Swhen(now,w)=max{1/timedistance(k1,k2)| k1⊂now.when,k2⊂w.when}
なお、w.whenは話題wのwhen観点データのキーワードリスト、now.whenは話題nowのwhen観点データのキーワードリスト、を意味する。timedistance(k1,k2)は、2つの時間k1、k2の間の時間差を表す。時間差が小さいほど、類似度が高い。類似度を算出する2つの話題について、一方は日まで記載されており、一方は月までしか記載されていない場合は、大きい方の単位、ここでは月の単位で時間差を求めてもよい。
【0033】
また、図6で説明したwho観点、図7で説明したwhere観点、図8で説明したwhen観点以外のその他の観点の観点類似度について、同様な式によって算出できる。一般に、nowとwの2つの話題に関するある観点topicの類似度Stopic(now,w)は次の式によって算出される。
Stopic(now,w)=max{1/cdistance(k1,k2)| k1⊂now.topic,k2⊂w.topic}
なお、w.topicは話題wのある5W1Hのいずれかの観点topicの語句集合(キーワードリスト)、now.topicは話題nowの同じ観点topicの語句集合(キーワードリスト)、を意味する。cdistance(k1,k2)は2つの語句の概念的距離を意味する。
【0034】
次に、話題検索部4は、類似度算出部3で類似度を算出し終えると、最も重視した観点のWho観点は一致するが、その他の観点であるHow観点は類似しない話題文を、話題DB11の他の話題wから検索する。例えば、話題検索部4は、w1の話題文「田中花子はお受験戦争というタイトルのドラマに出演していた」などの、Who観点が一致する話題を検索する。また、w2の話題文「野球選手の佐藤一郎はかわいい犬を飼っている」などの、How観点のみが一致する話題は話題DB11に格納されているが、話題検索部4は話題の対象として決定しない。
【0035】
別の例として、話題推薦装置100が話題文を提示した後の会話が「彼女、かわいいよね」ではなく、例えば、「最近グアムでの結婚が多いよね」と続いた場合、観点判定部2は、会話から、「最近」、「グアム」、「結婚」の語句を抽出する。このとき、観点判定部2は、when観点、where観点、What観点を重視し、who観点を軽視して判定を行う。類似度算出部3は観点判定部2の判定結果をもとに、そして話題検索部4は類似度算出部3で算出した類似度をもとに、話題DB11から話題を決定する。その結果、話題検索部4は、w3の話題文「2009年3月3日、プロレスラーの山田一郎がサイパンで結婚した」を選択する。
【0036】
具体的には、話題検索部4が行う話題の検索は、話題DB11に格納される他の話題wそれぞれについて評価値を算出し、その評価値の結果から話題文を決定する。評価値E(now,w)の数式を以下に記載する。係数atopicは、その観点における重みを意味する。
【0037】
評価値:
【数1】

【0038】
E(now,w)の最大値を求めるために、変数Emaxを導入する。wを変化させてE(now,w)を計算し、E(now,w)がその時点までに計算した評価値の最大値Emaxより大きければ、その話題wの評価値をEmaxに代入し、その話題wを出力候補maxWとして保持する。すべての話題に対して評価値を算出し、評価値E(now,w)が最大となる出力すべき話題maxWを決定する。
【0039】
そして、提示部5は、話題検索部4で決定した文を提示できる情報の形にし、出力部7を介して、端末8に提示する。
【0040】
図9は、実施の形態に係る話題推薦装置の動作の一例を示すフローチャートである。話題推薦装置100は、ユーザに対して、過去に何らかの話題文である情報を提供したことがあり、過去に提供した情報について、記憶部1の話題DB11へ保存されているものとする。
【0041】
話題推薦装置100の記憶部1は、ユーザに直近に提示した情報を話題DB11から呼び出す(ステップS11)。入力部6は、端末8で取得したユーザの会話を話題推薦装置100へ入力し、記憶部1へ記憶する(ステップS12)。観点判定部2は、まず、入力された会話の、語句の抽出を行い(ステップS13)、その語句を5W1Hの観点の種類に分別する(ステップS14)。そして、観点判定部2は、それぞれの観点毎に、重みを算出する(ステップS15)。類似度算出部3は、それぞれの観点に対応する所定の方法で、ステップS11で呼び出した情報と話題DB11に格納されている情報の、それら情報の類似度を算出する(ステップS16)。話題検索部4は、ステップS15で算出した観点毎の重みと、ステップS16で算出した類似度をもとに、話題DB11から話題を検索する(ステップS17)。そして、提示部5は、その検索した話題を提示データの形に作成し(ステップS18)、出力部7は提示データを出力し、端末8はその提示データを提示する(ステップS19)。そして、話題推薦の処理動作を終える。
【0042】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、話題推薦装置100は、現在の会話の中心となっている観点を特定し、その観点に関して近く、他の観点では遠いような話題を提供することができる。その結果、会話しているユーザにとって自然で面白みのある話題を提供できる可能性が高く、会話を活性化することが期待できる。
【0043】
また、最初に話題に挙げられる話題文に含まれる特定語は、会話中では指示語で繰り返されることが多いが、話題推薦装置100を用いることで、5W1Hのどの観点について話題が行われているかを判定し、指示語の元となる特定語が何かを判別することができる。そのため、ユーザの会話が通常行われる形式の会話、すなわち指示語を用いた会話であっても、話題の観点を捉えて、次の話題を推薦することができる。
【0044】
上述した話題推薦装置100は、話題を推薦するタイミングを、ユーザからの会話を入力しなかった時間が所定時間を経過したときに設定可能である。音声データもしくはテキストデータの入力がなくなった時間をゼロとして、所定時間を計測する。また、一定時間経過毎に、話題を提供するように設定してもよい。また、話題の途中であっても、話題推薦を求める処理をユーザが行った場合に、話題を推薦する処理を行うようにプログラムしてもよい。
【0045】
上述した例では、場所について経緯度より距離を算出し、時について出来事の発生した時刻より算出しており、各々、物理的な距離で判断を行う場合を挙げて説明しているが、時や場所について、時間的または地理的な距離で判断してもよい。例えば、昭和10年の出来事と昭和15年の出来事について、実際には5年もの時間が離れているが、共に戦前の出来事というくくりで考えると、距離はゼロに等しくなる。また、名古屋市と福岡市、および、名古屋市と常滑市、を比較した場合、実際の距離で考えると常滑市の方が名古屋市に近いが、県庁所在地の考えを用いると、福岡市の方が近くなる。このように、必ずしも、物理的な距離で判断するとは限らず、距離の判断は任意に設定可能である。
【0046】
観点の種類は、上述した例に限らず、観点の重みの付け方についても任意に設定可能である。また、観点の分別方法や、観点毎の語句リストなどについても一例である。さらに、情報の話題文は、例えば、インターネットなどで取り上げられたニュースなどであり、話題データベースに自動に構築されるようにしてもよい。また、新聞や雑誌などを見たユーザが手動で入力したり、コンピュータにソフトをインストールして情報を蓄積してもよい。
【0047】
話題推薦装置100を用いて話題を推薦する方法は、表示装置にテキストを表示する他、絵や図表を表示してもよい。また、音声による提示でもよい。音声による提示の際に、音声機能を備えた人形型ロボットなどを用いることで、よりコミュニケーションを促進することが期待できる。
【0048】
図10は、図1に示す話題推薦装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。話題推薦装置100は、図10に示すように、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35、入出力部36および送受信部37を備える。主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35、入出力部36および送受信部37はいずれも内部バス30を介して制御部31に接続されている。
【0049】
制御部31はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム40に従って、話題推薦装置100の記憶部1と、観点判定部2と、類似度算出部3と、話題検索部4と、提示部5と、入力部6と、出力部7と、端末8などの各処理を実行する。
【0050】
主記憶部32はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム40をロードし、制御部31の作業領域として用いられる。
【0051】
外部記憶部33は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD-RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD-RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、話題推薦装置100の処理を制御部31に行わせるためのプログラムを予め記憶し、また、制御部31の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部31に供給し、制御部31から供給されたデータを記憶する。
【0052】
話題推薦装置100の話題DB11を含む記憶部1は、外部記憶部33に構成される。また、話題DB11が外部記憶部33に構成される場合もある。
【0053】
操作部34はキーボードおよびマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス30に接続するインターフェース装置から構成されている。
【0054】
表示部35は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、推薦する話題の情報などを表示する。
【0055】
入出力部36は、シリアルインタフェースまたはパラレルインタフェースから構成されている。入出力部36は、端末8が附属する装置の場合は、それと接続する。
【0056】
送受信部37は、ネットワークNに接続する網終端装置または無線通信装置、およびそれらと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。送受信部37は、ネットワークNを介して、操作履歴などの情報を受信する。端末8が、話題推薦装置100とは別の端末装置の場合は、例えば、送受信部37を介して、ネットワークNを経由して、端末8に接続する。
【0057】
図1に示す話題推薦装置100の記憶部1と、観点判定部2と、類似度算出部3と、話題検索部4と、提示部5と、入力部6と、出力部7と、端末8などの処理は、制御プログラム40が、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35、入出力部36および送受信部37などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0058】
制御プログラム40は、コンピュータを、話題を表す情報と、複数の話題に共通する異なる2以上の観点の話題の内容を表すキーワードとを、関連づけて記憶する話題データベースと、ユーザの会話を入力し、会話から抽出した語句にもとづいて、2以上の観点ごとの重みを算出する観点判定手段と、直近にユーザに提示した話題と、話題データベースに記憶された話題とについて、2以上の観点ごとにキーワードにもとづいて所定の類似度を算出する類似度算出手段と、話題データベースに記憶された話題の中から、観点判定手段で重みを算出した2以上の観点のうち、重みの大きい観点における類似度に所定の正数を乗じた値と、重みの小さい観点における類似度に所定の負数を乗じた値、の和が最も大きい話題を検索する話題検索手段と、話題検索手段で検索した話題をユーザに提示する話題提示手段、として機能させる。
【0059】
その他、本発明の好適な変形として、以下の構成が含まれる。
【0060】
本発明の第1の観点に係る話題推薦装置について、好ましくは、前記2以上の観点は、話題に含まれる人の名称に関する人の観点、前記話題の述語を構成する行為もしくは動作に関する行為・動作の観点、前記話題に含まれる時を表す語に関する時の観点、前記話題に含まれる場所を表す語に関する場所の観点、前記話題に含まれる目的もしくは理由を表す語に関する目的・理由の観点、または、前記話題に含まれる態様を表す語に関する態様の観点、の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0061】
好ましくは、前記類似度算出手段は、前記人の観点、前記行為・動作の観点、前記時の観点、前記場所の観点、前記目的・理由の観点、または、前記態様の観点ごとに類似度を算出することを特徴とする。
【0062】
好ましくは、人と人とのつながりの大きさを表す情報である人物関係情報を記憶する手段を備え、前記類似度算出手段は、前記人の観点に関する類似度を算出する際に、2つの話題にそれぞれ含まれる人名キーワードを元に、前記人物関係情報を参照して2つの話題間につながりのある人名が含まれる場合に、その人と人とのつながりの大きさに応じた類似度を算出する、ことを特徴とする。
【0063】
好ましくは、地名とその物理的位置を表す地理情報を記憶する手段を備え、前記類似度算出手段は、前記場所の観点に関する類似度を算出する際に、2つの話題にそれぞれ含まれる場所の観点の地名キーワードを元に、前記地理情報を参照して、その物理的距離に応じた類似度を算出する、ことを特徴とする。
【0064】
好ましくは、前記類似度算出手段は、前記時の観点に関する類似度を算出する際に、2つの話題にそれぞれ含まれる時の観点の時間キーワードを元に、2つの話題の時間の差に応じた類似度を算出することを特徴とする。
【0065】
その他、前記のハードウエア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0066】
記憶部1と、観点判定部2と、類似度算出部3と、話題検索部4と、提示部5と、入力部6と、出力部7と、端末8などから構成される文書クラスタリング処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する話題推薦装置100を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで話題推薦装置100を構成してもよい。
【0067】
また、話題推薦装置100を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合等には、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0068】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、論文の分類整理システムや、文書検索システムにおける検索結果の分類表示といった用途にも適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 記憶部
2 観点判定部
3 類似度算出部
4 話題検索部
5 提示部
6 入力部
7 出力部
8 端末
11 話題データベース(話題DB)
31 制御部
32 主記憶部
33 外部記憶部
34 操作部
35 表示部
36 入出力部
37 送受信部
40 制御プログラム
100 話題推薦装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
話題を表す情報と、複数の話題に共通する異なる2以上の観点の前記話題の内容を表すキーワードとを、関連づけて記憶する話題データベースと、
ユーザの会話を入力し、該会話から抽出した語句にもとづいて、前記2以上の観点ごとの重みを算出する観点判定手段と、
直近にユーザに提示した話題と、前記話題データベースに記憶された話題とについて、前記2以上の観点ごとに前記キーワードにもとづいて所定の類似度を算出する類似度算出手段と、
前記話題データベースに記憶された話題の中から、前記観点判定手段で重みを算出した2以上の観点のうち、前記重みの大きい観点における類似度に所定の正数を乗じた値と、前記重みの小さい観点における類似度に所定の負数を乗じた値、の和が最も大きい話題を検索する話題検索手段と、
前記話題検索手段で検索した話題をユーザに提示する話題提示手段と、
を備えることを特徴とする話題推薦装置。
【請求項2】
前記2以上の観点は、話題に含まれる人の名称に関する人の観点、前記話題の述語を構成する行為もしくは動作に関する行為・動作の観点、前記話題に含まれる時を表す語に関する時の観点、前記話題に含まれる場所を表す語に関する場所の観点、前記話題に含まれる目的もしくは理由を表す語に関する目的・理由の観点、または、前記話題に含まれる態様を表す語に関する態様の観点、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の話題推薦装置。
【請求項3】
前記類似度算出手段は、前記人の観点、前記行為・動作の観点、前記時の観点、前記場所の観点、前記目的・理由の観点、または、前記態様の観点ごとに類似度を算出することを特徴とする請求項2に記載の話題推薦装置。
【請求項4】
人と人とのつながりの大きさを表す情報である人物関係情報を記憶する手段を備え、
前記類似度算出手段は、前記人の観点に関する類似度を算出する際に、2つの話題にそれぞれ含まれる人名キーワードを元に、前記人物関係情報を参照して2つの話題間につながりのある人名が含まれる場合に、その人と人とのつながりの大きさに応じた類似度を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の話題推薦装置。
【請求項5】
地名とその物理的位置を表す地理情報を記憶する手段を備え、
前記類似度算出手段は、前記場所の観点に関する類似度を算出する際に、2つの話題にそれぞれ含まれる場所の観点の地名キーワードを元に、前記地理情報を参照して、その物理的距離に応じた類似度を算出する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の話題推薦装置。
【請求項6】
前記類似度算出手段は、前記時の観点に関する類似度を算出する際に、2つの話題にそれぞれ含まれる時の観点の時間キーワードを元に、2つの話題の時間の差に応じた類似度を算出することを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の話題推薦装置。
【請求項7】
ユーザに話題を提示する装置が行う話題推薦方法であって、
ユーザの会話を入力し、該会話から抽出した語句にもとづいて、前記2以上の観点ごとの重みを算出する観点判定ステップと、
話題を表す情報と、複数の話題に共通する異なる2以上の観点の前記話題の内容を表すキーワードとを、関連づけて記憶する話題データベースに記憶された話題と、直近にユーザに提示した話題とについて、前記2以上の観点ごとに前記キーワードにもとづいて所定の類似度を算出する類似度算出ステップと、
前記話題データベースに記憶された話題の中から、前記観点判定ステップで重みを算出した2以上の観点のうち、前記重みの大きい観点における類似度に所定の正数を乗じた値と、前記重みの小さい観点における類似度に所定の負数を乗じた値、の和が最も大きい話題を検索する話題検索ステップと、
前記話題検索ステップで検索した話題をユーザに提示する話題提示ステップと、
を備えることを特徴とする話題推薦方法。
【請求項8】
コンピュータを、
話題を表す情報と、複数の話題に共通する異なる2以上の観点の前記話題の内容を表すキーワードとを、関連づけて記憶する話題データベースと、
ユーザの会話を入力し、該会話から抽出した語句にもとづいて、前記2以上の観点ごとの重みを算出する観点判定手段と、
直近にユーザに提示した話題と、前記話題データベースに記憶された話題とについて、前記2以上の観点ごとに前記キーワードにもとづいて所定の類似度を算出する類似度算出手段と、
前記話題データベースに記憶された話題の中から、前記観点判定手段で重みを算出した2以上の観点のうち、前記重みの大きい観点における類似度に所定の正数を乗じた値と、前記重みの小さい観点における類似度に所定の負数を乗じた値、の和が最も大きい話題を検索する話題検索手段と、
前記話題検索手段で検索した話題をユーザに提示する話題提示手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−123530(P2011−123530A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278240(P2009−278240)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、「高齢者・障害者のためのユビキタスネットワークロボット技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】