誂えの装具、ギブス及びデバイスと設計及び製作方法
誂えデバイス及び該誂えデバイスを作る方法は身体に基準点及び/又は他の標識でマーク付けする過程を有する。次いで多数の角度からの該身体の多数の画像が得られる。該画像は該身体の輪郭を決めるため使われ、他のマーキングは該誂えデバイスを設計するため配置され、使われる。該誂えデバイスは単一ピース構造体として、又は該誂えデバイスを完成するよう組み立てられる多数ピースで、作られてもよい。
【発明の詳細な説明】
【関連特許出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は2008年11月9日出願の名称“装具及びギブス”の米国特許仮出願第61/112,751号、2009年4月9日出願の名称“整形外科装具”の米国特許仮出願第61/168,183号、及び2009年6月10日出願の名称“誂え骨折装具”の米国特許仮出願第61/185,781号より先んずる優先権を請求するものであり、上記3出願は引用によりここに組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
回復時、身体の部分を保護するため使われる種々の種類の装具及びギブスがある。装具は関節の動きを限定するため使われ、そして損傷を防止するか、又は該損傷と相関する動きを防止することにより関節を治癒させるのに有用である。伸張材料製の普通の装具は弾性を有し、又幾つかの硬い部品を有する普通の装具はヒンジ付けされる。弾性的装具は、優れた呼吸可能性と装着快適性を提供する綿、リクラ(Lycra)ナイロン又は他の混合物の様な織物材料製であることが多い。これらの装具は肘、手根、脚及び膝に適合し、運動の自然な自由度を提供する。装具は典型的に在庫品物であり紐で患者の身体に固定される。装具は患者の体ともっと堅い装具構造体との間に置かれるパッド又は他のクッション物を有してもよい。柔軟な在庫装具は、運動の制限と目標身体部分の追加的支持とのために低廉な様式(modalities)とを提供する。しかしながら、柔軟材料の使用と一般的寸法取りは該在庫装具が提供出来る制御量を限定する。与えられた個人にとって、該“在庫”装具は限られた適合性しか提供しない。回転軸は生来の関節軸に対して精密に配置されず、位置、適合性、そして運動制御でもっと高い精度を要求する臨床的範囲の運動補強状況に余り有用でない。
【0003】
通常、ヒンジ付き装具は弾性的装具又はネオプレン装具よりも大きな支持と安定性を提供する。ヒンジ付き装具は運動装具範囲の部分集合である。膝及び肘の様な多くの可動結合関節のリハビリ又は治療用には、良い臨床的、機能的結果を達成するために、損傷、手術又は治療後、早期の運動を要する。運動装具は、健康管理提供者により確立された運動拘束を伴う適当な平面内の管理された運動を許容しながら、損傷関節への支持を提供する。早期の運動が無ければ、長期の運動の低下を伴う硬直となり、次善の臨床結果となる。ヒンジ付き膝装具は、損傷に続く、又は手術後の、膝関節の強めた支持を提供するよう動くダイナミック装具の例である。ヒンジ付き膝装具は膝内の靱帯損傷の治療用に又は手術時ベースで使用される。それらは膝内の前十字靱帯損傷及び内部側副枝靱帯損傷の治療用に最も頻繁に使われる。又これらの装具は損傷後の選手により保護ベースで、そして保護用にルーチンベースで該装具を着用するフットボールラインマンの様に予防ベースで使われる。リハビリ用取り外し可能な膝装具は運動装具の範囲としても利用可能である。これらの装具は、屈曲及び伸張の両面の運動程度を指定し、限定することが出来る装具に組み入れられるヒンジを有する。これらは又“ドロップロック(drop lock)”機構を用いて完全伸張状態にロックされ得る。これらの範囲の運動装具は、運動範囲が制御された設定で進められねばならない外傷設定又は再生設定で使われることが多い。他のダイナミックな添え木は、関節拘縮の設定で運動増加を達成するために関節に印加される追加応力を提供する。これらの装具は運動終端での追加力を印加し、関節を延ばすのに役立つ。
【0004】
装具又は添え木と対照的に、ギブスは、四肢又は身体部分を不動化し、保護するために使われる環状デバイスであるのが典型的である。成形外科的ギブスは石膏又はガラスファイバーで作られることが多い環状シェルで、治癒を可能にするために、壊れた骨又は複数骨を位置的に保持するよう、四肢、或る場合は、体の大きな部分を囲む。上肢ギブスは上
腕、手根及び/又は手を囲むギブスである。長腕ギブスは手から腋窩下約5.08cm(2インチ)まで該上腕を囲み、指及び拇指を自由に残す。対照的に短腕ギブスは肘下だけを止める。両種は、損傷と医者の決定に左右されて、1本以上の指又は該拇指を含んでもよく、その場合該ギブスは指スパイカ(spica)ギブス又は拇指スパイカギブスと呼ばれる。下肢ギブスは同様に分類され、足と、脚から大腿までとの両者を囲むギブスは長脚ギブスと呼ばれ、一方足と膝下の長脚とのみをカバーするギブスは短脚ギブスと呼ばれる。回復期中に不動四肢上で歩くことを期待される患者には、歩行踵が適用されか、又はカンバス、革又はゴムのギブス靴が提供される(重さ支持していると呼ばれる)。患者が損傷四肢上で歩くべきでない場合、松葉杖又は車椅子が提供されてもよい。又脚ギブスの足底は、もし靴底鋲(toeplate)を提供するなら、足指の先端まで延ばされてもよい。この追加は、中足骨への支持を提供し、中足骨を安定させ、そして足指を追加の外傷から保護するよう行われる。これは損傷した足用の普通の治療である。或る場合、ギブスは上腕及び下腕と肘とを含むが、手根及び手を自由に残すか、又は上脚及び下脚と膝とを含むが、足と足根関節を自由に残してもよい。この様なギブスは円柱ギブスと呼ばれるか又は単に長腕又は長脚ギブスと呼ばれる。
【0005】
整形外科用ギブスは典型的に一回使用の、非取り外しデバイスであり、該ギブスは環状に患者に付けられ、患者により取り外されるよう意図されてない。ギブスの何等かの取り外しは、下にある綿層の適合性を破り、該デバイスの取り換えに到るのが典型的である。中で、構造部品が環状でない不動デバイスは添え木と呼ばれる。これらは身体部分に堅さを付けるが、他の平面内の運動、拡張又は調整を可能にするのが典型的である。
【0006】
ギブスは医者又はギブス技術者により層状に付けられるのが典型的である。ギブスを受ける身体部分は、薄い織られた綿の層又はストッキネット(stockinette)で最初カバーされる。該部分は次いで積層式に付けられるウエブリル(Webril)の様な薄い緩い綿捲きで重ね捲きされる。該綿を出来るだけ均一に付ける試みがなされるが、それは何等かの重なり又は不完全さは一旦堅い外側シェルが付けられると将来の皮膚破れの源になるからである。より大量の綿パッド層がギブスの端部領域上に付けられるのが典型的である。骨の隆起も追加のパッドを受ける。一旦パッドが付けられると、身体部分は石膏か又はファイバーグラスで捲かれる。これらの材料は自己硬化性であり、該身体部分の周りに捲く前に水に浸すことで賦活される。ギブスは環状デバイスであり、該石膏/グラスファイバーは身体部分の周りへの捲き付けとして付けられる。医者は次いで、該ギブスに重要面内で該身体部分へ適合し、該部分を支えさせる意図で該ギブスに型を適用する。例えば、骨折の治療では、変位を避けるために、骨折のありそうな崩壊又は変形の平面内で3点型(3 point mold)が適用される。ギブスは環状であるから、フープ応力は該型に直交する平面内でギブス寸法を拡げる傾向がある。ギブス成形の制御は開業医の熟練、付けられるパッドの量、材料上の引っ張り量そして硬化過程時のギブスの適当な成形作業に左右される。一旦該ギブスが硬化されると、該ギブスはトリミングされ、シャープなエッジに取り組むために必要なら追加のパッドが該エッジに付けられてもよい。
【0007】
該ギブスの不完全な取り付けは、皮膚破れ、不快感、救急処置室搬送、仕切り症候群、固定又は骨折整復の消失、骨折の不良結合、手術介入の必要性、神経損傷、脈管外傷を含む多数の混乱を招く。取り除きを伴うギブスの改訂と新ギブスの取り付けは屡々発生し、コストと患者の病状に著しく関係する。
【0008】
体の体幹を、或る場合は頭までの又は頭を含む頸部を又は1本以上の四肢をカバーする身体ギブスは今日成人用には稀にしか使われないが、小児科条件の治療用に普通使われ続けている。身体ギブスは患者の体幹を囲み、肩上に延びるセクションを有してもよい。身体ギブスは通常身体被覆と呼ばれる。体の体幹と1本以上の四肢を含むギブスと、上腕の“幹(trunk)”と1本以上の指又は拇指を含むギブスはスパイカギブスと呼ばれる。例えば肩スパイカギブスは身体の体幹と、通常手根又は手までの1本の上腕を含む。肩スパイカギブスは今日使われる頻度は減り、治癒後の関節硬直を避けるために損傷の早期の可動性を可能にする特殊な添え木とスリング(sling)で置き換えられた。股関節スパイカギブスは体幹及び1本以上の脚を含む。1本の脚から足根関節又は足までのみをカバーする股関節スパイカギブス単一股関節スパイカと呼ばれ、一方両脚をカバーするものは二重股関節スパイカと呼ばれる。一つ半股関節スパイカギブス(one−and−a−half hip spica cast)は、1本の脚から足根関節まで又は足までと、もう1本の脚から膝の上までと、を囲む。股関節スパイカが体幹をカバーする長さは損傷及び手術に大いに左右される。例えば、スパイカギブスは臍までしか延びず、脊椎の可動性と松葉杖の助けを借りた歩行の可能性とを許容するか又は該ギブスは胸郭までか、又は或る稀な場合は腋窩までも延びてもよい。股関節スパイカギブスは以前は大腿骨骨折の整復用に普通であったが、今日は小児股関節条件の治療用に普通用いられる。或る場合は、股関節スパイカギブスは1本以上の脚から下方へ膝上まで延びるのみである。パンタローンギブスと呼ばれるこの様なギブスは損傷腰椎又は骨盤を不動化するため使われ、その場合ギブスの体幹部分は通常腋窩まで延びる。
【0009】
身体ギブスは特殊フレームを使用し、多数の技術者又は医者を煩わして付けられるのが典型的である。患者はもし成人であれば、鎮静剤を要する。小児患者に付けられる身体ギブス又は股関節スパイカギブスは通常は一般的麻酔を要し、該ギブスは手術室で付けられる。身体及び股関節スパイカギブスは6から12週間の長期間着用されるのが典型的である。該デバイスを取り換えるニーヅには過剰なコストと病気状態が付きまとう。装具の汚れは屡々発生するので小児スパイカギブスについては消毒は難しい問題である。ギブスを取り換えるために一般的麻酔を要することは医学的理由の他の理由でのギブス取り換えへの強い妨げとなっている。
【0010】
損傷脊椎の保護用、又は側弯症の様な脊椎変形の治療の1部、として使用される他の身体ギブスにはミネルバギブス(Minerva cast)又はリッサーギブス(Risser cast)がある。ミネルバギブスは患者の頭のみならず体幹を含み(時には胸郭程の遠さしか延びない)、患者の顔、耳そして通常頭の頂部と髪用に開口部が提供される。該リッサーギブスは同様であり、患者の股関節から頸部まで延び、時には頭の一部を含む。
【0011】
ギブスは石膏製であることが多く、四肢及び/又は身体を囲む。石膏包帯は、濡らされた後硬化する焼石膏を含浸された綿包帯から成る。代わりに、合成材料製の包帯がギブスに使われることが多い。例えば、ギブスはポリウレタンで含浸された編まれたガラスファイバー包帯製であったり、時には熱可塑性の包帯であることが多い。これらの合成材料ギブスは石膏ギブスよりも軽く、遙かに速く乾燥する。
【0012】
ギブスは患者の体に直接付けられるので、それらは誂え填めを有する。対照的に、普通の医学的損傷又は条件用の大抵の装具は在庫品目であり、患者への適合用に調整される。より厳しい損傷用、慢性的条件又は手術時の不動化、用には、より高い装具制御性及び適合性が必要である。これらの患者は、補てつ外科医及び矯正器外科医の様な専門家により屡々作られる誂え装具の使用を要する。これらの専門家は彼等がそれから患者の正のモデルを作る患者の型を取るのが典型的である。この正の型の周りに、該補てつ外科医は材料を捲き、誂えデバイスを作る。パッド及び強化物の量は該矯正外科医の臨床経験と装具製造の“技術”に基づく。誂えの補てつ、装具及び矯正器が設計されると、開業医は患者の柔らかい組織と骨構造を感じる彼等の手に依ることが多い。該開業医は彼等が組織の下で感じる骨の隆起を識別し、これらの位置をランドマーク基準点としてマーク付けするが、該点を彼等は該身体用誂えデバイスを創るために使用することが出来る。開業医は該患者
と共に繰り返しベースで作業するが、患者に適合する装具を創る患者のモデルはその臨床的使用に際して適当なパッド及び支持部を有することがなお必要である。
【0013】
装具製作の従来の方法には多くの限界がある。過程全体は非常に労働集約的で非効率である。寸法取り及び製造の方法の制限は最終製品を限定して来た。製造の制約は設計の選択と最終製品の機能を限定して来た。誂えのデバイスは労働集約的でそれらは幾何学的複雑さで限定される。誂えデバイスは又非常に不正確であり、何故ならばそれらは手作りであり、単に患者の体を漠然と表すに過ぎないからである。手作り過程は又柔らかいスポット、発疹、あざ、ほくろ、乳首、縫合痕、打撲傷、特別の隙間又は回避を要する皮膚上の他の範囲、用の隙間又は誂え窓を含む誂えデバイスへの特別の調整を許容しない。必要なものは患者へより精密に適合され、より薄く、より強く、より快適で、そして選択的に柔軟な装具を設計する改良されたシステムと方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許仮出願公開第61/112,751号明細書、Brace And Cast、2008年11月9日出願
【特許文献2】米国特許仮出願公開第61/168,183号明細書、ORTHOPEDIC BRACES、2009年4月9日出願
【特許文献3】米国特許仮出願公開第61/185,781号明細書、BESPOKE FRACTURE BRACE、2009年6月10日出願
【発明の概要】
【0015】
本発明は患者からの走査データに基づき誂えの装具、ギブス又はデバイスを作る過程に向けられている。好ましい実施例では、患者についての表面データが患者の複数の写真から得られる写真測定過程が使われる。患者の表面を精密に測定するために、種々の異なる方法で患者の皮膚に基準点が付けられる。該表面は、各写真で見られる少なくとも12の良く分布した基準点と、対象の全表面について少なくとも20の基準点を有すべきである。より多くの基準点は対象のより精密な測定に帰着する。マークは患者の上に、又は患者が着るストッキネット(stockinette)の様なフォームフィッティングカバー(form fitting cover)上に、直接置かれたインク、ステッカー又は他のマーキングにより形成されたドットであってもよい。実施例では、該フォームフィッティングカバーの布は該ドット、模様パッド又は交叉線の格子でプリントされるので、患者は該カバーが患者により着られるや否や基準点のセットを有することになる。なおもう1つの実施例では、患者上に光のパターンを投射するため光プロジェクターが使われてもよい。該光のパターンはスポット点の配列、交叉線の格子、又は患者上の点の画像が検出されることを可能にするどんな他のパターンでもよい。患者上の該光は、該マーキングがプロジェクターで患者上に投射される白又はカラー付き光マーカーであるので役立つ。患者の全ての必要な面上に該光を投射するために多数のプロジェクター又は鏡が必要である。
【0016】
患者の身体表面の表面輪郭を得るための基準点に加えて、医者又は開業医は又装具の他の特徴の位置を示すために患者の身体の範囲をマーク付けしてもよい。例えば、マーキングは、装具の終端エッジ(複数を含む)、パッド範囲、骨の隆起、皮膚の敏感な範囲、孔、窓、病理学的サイト(骨折又は手術サイト配置)、該装具が患者の輪郭に対し精密には作られるべきでない下にある解剖構造(棘突起及び脊柱の整合を外す)凹部範囲、及び該装具内に形成されるべき他の特徴を示してもよい。該マーキングは患者上又は患者が着るフォームフィッティングカバーの上に直接作られるべきである。基準点の様に、該追加のマーキングははっきりした可視的コントラストを提供せねばならない。該マーキングは該マーキングに於いて形成されるべき特徴の種類を示すためにカラーに依るか又は他の仕方
でコード化されてもよい。識別された領域での変形の程度又は量、窓の種類又は他の装具の特徴を示すために種々のコード化が使われてもよい。マーキングは追加的情報を提供する3次元的な物(複数を含む)であってもよい。例えば、ロッド、矢印又は他の物体マーカーが関節の回転軸又は他の特徴を示してもよい。
【0017】
患者がマーク付けされた後、ギブス又は装具を要する患者の身体の部分は1つ以上の静止又はビデオカメラの前に置かれる。該カメラは患者の身体の1つ以上の側に面し、既知の距離だけ相互に隔てられる。或る実施例では、周囲内で身体の静止画像又は写真の完全なセットが取られるよう、患者の周りに1セットのカメラが配置されてもよい。このましい実施例では、該カメラは2つのカメラのグループで配置される。該2つのカメラは相互から離れるようカメラを隔てるブラケット上に設置される。該2つのカメラは患者又は患者の四肢の方へ略同じ方向で狙いを付けられるが、或る角度だけオフセットされる。好ましい実施例では、該カメラのレンズは第1平面では相互に平行であり、第2面では相互の方へ角度付けられる。その隔たりと角度は該2つのカメラが患者の身体の同じ部分を含む映像を、僅かに異なる角度から取る。該身体上の基準点は表面輪郭を得るために該映像から3角法で測定される。もし患者全体を巡る写真が必要なら、カメラの3つ又は4つのグループが患者の周りに配置され、患者に向けられる。該カメラはカメラの全部を同時に駆動する1つのスイッチに接続される。該カメラは又フラッシュ機構に接続されてもよい。1つのカメラ用のフラッシュは駆動される1つのカメラのシャッターでトリガーされてもよい。患者を狙った他のカメラは光センサーを有し、それらのシャッターをフラッシュの光に応答して駆動させてもよい。かくして第1カメラの駆動は直ちに全ての他のカメラを駆動する。全映像が1秒の数分の1で取られるので、身体はカメラの前又は間に置かれ、普通は長時間患者を不動化する又は身体又は四肢を静止して保持する必要は無い。
【0018】
この速い画像取り込みの特徴は小児スパイカギブス又は獣医用装具の様な小児科又は獣医学医療デバイス用には特に重要である。他の種類の走査過程用に乳児又は動物を静止して保つことは非常に難しい。大抵の子供及び動物にとっては、ギブス作り及び装具作りは著しい痛み及び病気状態と組み合わされるトラウマ的経験である。ギブス及び装具の取り付け及び取り外しの両者は不快感を伴う。多くの取り付けでは、子供及び動物はギブスの取り付け用に鎮静剤又は麻酔を要する。例えば、股関節スパイカギブスは大抵は手術室内で誘導された睡眠中に患者に取り付けられることが多い。
【0019】
子供の解剖構造の3次元画像の取込は子供が走査持続中不動に保持されることを要する。さもなければ、子供は沈静剤を要する。大抵の小児科応用では、写真測定のみが瞬間に近い3次元画像取り込みを提供する。マーキングと写真測定を組み合わせて、子供は装具用の仮想適合を受け、一方沈静剤や麻酔剤の必要を最小化し、トラウマの経験を減じる。多くの乳児は実質的量の乳児脂肪を有するので、乳児のマーク付けは下にある解剖構造の位置の識別用の最も効率的手段である。この技術の共通の応用は小児用スパイカギブス、ペーブリック(Pavlik)装具、内反足ギブス、メタ細動脈内転ギブス、ブラウント病(Blounts disease)ギブス/装具、短下肢装具、小児足根関節ギブス、小児歩行ギブス、脊椎−テーエルエスオー装具(spine−TLSO braces)、ハロー身体ギブス、頸部カラー、斜頸装具及び他の医療デバイス、を含むが、それらに限定されない。画像からデータを得ることにより、長時間乳児又は動物を静止して保つ必要はない。
【0020】
もう1つの実施例では、単一の3次元カメラが1つのカメラを介して多数の軸外れ画像(off axis images)を同時に取り込んでもよい。該単一カメラはフィルムの1フレーム上に多数画像を取り込む。該多数画像は該3次元画像を取り込むために使われる。もし患者が非常に静止して留まれば、異なる角度で多数画像を取り込むために患者の周りを動かされる1つのカメラで患者の多数画像を取ることも可能である。又1つの
カメラは、適当な角度と位置から患者の画像を取り込むレンズシステムに結合されてもよい。
【0021】
精確な表面位置を得るために、身体上の基準点の各々は2つ以上の写真又は画像で視認可能でなければならない。該画像はコンピュータ表面再生プログラムにより解析される。該プログラムは身体の表面形状を決定するデジタル画像相関として知られる写真測定を通して基準点を3角法で測定する。基準点に加えて、患者上にマーク付けされた該デバイスの追加の特徴も又画像に示され、CADプログラムオペレーターに視認可能である。該特徴は装具又はデバイスのエッジ、孔、パッド、窓、ヒンジ、種々の材料、及び他の特徴を含んでもよい。システムオペレータ又はCADソフトウエアは該特徴を識別し、装具又はデバイス上のマーク付けされた場所に該特徴を付加する。装具又はギブスが必要な時、患者は何等かの内部の損傷を負傷しており、MRI又はX線の様な追加情報が利用可能なことが多い。実施例では、写真測定は、アクセス可能である必要がある場所又は領域、又はすり傷に敏感な骨の位置、を識別するためにMRI又はX線データと組み合わされてもよい。該MRI及び/又はX線データを一体化することにより、該デバイスはもっと精密になり得る。他の様式からのデータの使用は、運動装具のより精密な範囲を与えるために、関節の回転軸を全平面内で精密に識別するのに特に有用である。
【0022】
写真の中にマーク付けされた特徴に加えて、設計者は換気孔、柔軟なパッド、クッション用凹部、柔軟性スロット、他を含む追加的特徴を付加するために該システムを使うことが出来る。設計者は又該装具又はデバイスの材料と厚さを指定することが出来る。或る応用では、設計者は装具内で使われる複数の材料を指定してもよい。構造的強度を要する範囲では強く、堅い材料が指定出来る一方、柔軟性及び/又はクッション作用を要する範囲に亘っては柔軟な材料が指定されてもよい。装具設計は、写真測定過程により決定された身体輪郭と追加の特徴とにマッチした内面を有する該デバイスの物理的寸法を含むデータファイルとなる。
【0023】
或る状況では、装具又はデバイスは走査された表面データにマッチしなくてもよい。例えば、患者は側弯症を有し、矯正用背部装具を要する。該装具は変形を減じるために背部の湾曲を修正するため使われる。背部の写真が該表面データを得るため撮られる。しかしながら、見出された脊椎位置を使う背部装具を設計するより寧ろ、該背部データは該背部を真っ直ぐにするのを助けるよう修正されてもよい。この実施例では、ソフトウエアは、測定された背部よりも真っ直ぐな背部装具を設計するため使われる。該システムは全体長さ及び脊柱の湾曲について測定値を得て、オペレーターは装具設計をより真っ直ぐであるよう調整する。背部装具の寸法取りするための1実施例では、医者は側弯症患者の棘突起をマーク付けしてもよい。背部の湾曲と棘突起の位置は次いで写真測定で取り込まれる。提供者は矯正用に成形された装具を提供するためにカーブ基準点を調整するよう装具外形計測を修正してもよい。装具と正常背部位置の間の現実の差(複数を含む)が患者の医者により指定されてもよい。
【0024】
走査された表面データとデバイスの特徴に加えて、CADシステムは又該デバイス内へ柔軟性及び換気孔を設計してもよい。設計者は該デバイス用に1つ以上の材料を選択し、CADシステムはこれらの材料の機械的特性を知る。オペレーターは柔軟特性を入力するが、該特性は1つの回転又は曲げの方向の柔軟性と、第2の回転又は曲げの方向のより高い剛性と、を含んでもよい。該CADシステムは計算された柔軟性を該デバイスに提供する孔をデバイス内に設計するため使われてもよい。該柔軟性に影響する要因は材料特性、材料厚さ、孔サイズ、形状及び配向を含む。柔軟性を提供するのに加えて、該孔は又快適性を増す換気を患者に提供する。
【0025】
該デバイスの追加的特徴はモジュール構造を含む。これは前腕の様な四肢の損傷した骨
用に使われる時有用である。本発明のモジュール型ギブスは、患者が治癒するにつれシーケンシャルに除去され得る幾つかのモジュールセクションを有してもよい患者用に設計される。医者は種々のモジュールセクションを示すよう患者にマーク付けし、該モジュールセクションマーキングは写真測定により検出され、該装具はマーク付けされたモジュールセクションを有するよう設計される。該装具は次いで製作され、種々のモジュールは、患者が治癒するにつれ、種々のセクションが個別に取り除かれるよう、関節機構又は何等かの他のタイプの取り外し可能なファスナーで相互に固定される。もし患者が上腕を損傷するなら、上腕全体は最初に、指から肩まで延びるモジュール型装具内で不動化される。約2、3週間の第1期間後、上腕モジュールが取り除かれる。約2、3週間の第2期間後に、肘及び/又は拇指モジュールが取り除かれ得る。骨が治癒するまで、下腕(短い腕ギブス)モジュールは該上腕を支持するため着用される。該モジュールは簡単に取り除かれるので、ギブスは破壊されず、新ギブスを要しない。遙かに少ない時間と資源しか要しないので、これは患者及び医者への実質的利点となる。同様なモジュール型装具は損傷した手、脚又は足用に用いられてもよい。患者が治癒するにつれ、快適性、動き及び換気を許容するよう装具の各部分が取り除かれる。
【0026】
多数の材料設計を使うモジュール型設計又は設計は成長する子供により着用される装具用に用いられてもよい。背部装具は数ヶ月又は遙かに長く、子供患者に適合する。しかしながら、快適であるよう、装具は子供の成長に適合出来なければならない。股関節付近の骨は子供が発育するにつれ成長する傾向があり、柔軟な又はモジュール型の設計が無ければ、子供は周期的に全体が新しい装具を要する。この成長は、該装具が取り換えられる度に、患者への再適合を要する。取り換えを避ける、又は最小にするために、該装具は柔軟なセクション及び/又はモジュール部品で設計されてもよい。例えば、背部装具は、股関節周りは、成長を許容する柔軟な又は弾性のあるモジュール型部分付きで設計されてもよい。該股関節モジュールが患者に最早適応出来ない時、このモジュール型股関節セクションは患者に適切に適合するもう1つの股関節モジュールと取り換えられてもよい。その時該モジュール型股関節セクションは残りの装具に取り付けられ、子供の成長がもう1つの取り換えモジュールを要するまで使われる。
【0027】
モジュール性は又患者の最終適合で重要である。背部装具の特定の領域は患者に適合するのが難しいことが多い。装具をプリントするか又は作ることはコスト高で、時間を消費する。もし装具が特定領域でうまく適合しないなら、モジュール型パネルの使用は、装具の適合の悪いセクションが構造全体を取り換える必要性無しに特定的に取り換えられることを可能にする。
【0028】
なおもう1つの実施例では、装具及びギブスは複数のアクセス可能な領域を有するよう設計されてもよい。各領域は該装具の部分が患者へアクセスすることを可能にするヒンジ又は他の解除可能なファスナーに取り付けられてもよい。これは、関心のある特定範囲、例えば、清掃される、又は周期的にチェックされ、次いで再び保護される必要のある創傷範囲上で設計されてもよい。多数のこれらのアクセス可能な領域を相互に隣接して置くことにより、身体は、該身体の残りが該デバイス内に保持されながら、各領域を個別に開くことにより清掃される。本発明の装具は、改良された快適性と衛生状態を可能にする一方、治癒過程中患者をなお保護する。例えば、医療手順は患者内にピン又は他の物を置くことを要する。これらの範囲に接することを避け、該範囲の検査を可能にすることは必要である。これらの範囲上のアクセス領域を使うことにより、医者は該範囲を検査し、患者が適切に治癒しつつあることを保証することが出来る。該アクセス可能な領域の特徴は又規則的に清掃される必要のある乳児用に特に有用である。本発明の装具は子供が清掃されることを可能にする下部体幹領域へのアクセスを有するよう設計される。該領域は清掃用に開かれ、次いで清掃が完了した後閉じられる。この設計は清掃用に子供へアクセスするため部分的切断されねばならないギブスに優る著しい改良である。
【0029】
装具又はデバイスが設計された後、該装具設計データは該装具を作る製作機械に送信される。1実施例では、製作法は迅速プロトタイプ化、迅速製造、積層製造、3次元プリント作業、レーザーシンタリング、そして電子ビーム溶融{イービーエム(EBM)}、溶融材料堆積{エフデーエム(FDM)}、CNC、他である。製作機械は3次元の1ピース又は多数ピース構造体を作るが、該構造体はプラスチック、金属又は種々の材料の混合物であってもよい。説明したデバイスを効率的に作るために、出来るだけ多くの部品を同時に作るのが望ましい。多くの製作機械は予め決められた時間内に特定容積内に適合する部品を作ることが出来る。例えば、装具は患者の体幹の周りに適合し、中央に大きな空間を有する。この装具は作られ得るが、1つのデバイスしか作られない。効率を改善するために、該装具は後で熔け合わされる多数ピースとして設計されてもよい。大きな開いた中央範囲を有する1つの装具を作るより寧ろ、説明した製作方法は同じ特定容積を占める2つ以上の装具用の部品を同時に作るよう使われてもよい。付加的材料機械による製作用に効率的生産の仕方で、部品をレイアウトすることにより、製作コストは著しく減じられる。該部品は次いで組み立てられ、該装具を形成するため熔け合わされてもよい。装具シェルが作られた後、パッド及び他の部品が該装具に付加されてもよい。
【0030】
写真過程の使用は他の表面走査技術を上回る多くの利点を有する。特徴部の位置を患者から装具又はデバイスへ移す過程は、医者が位置マークを直接患者に或いはフォームフィッティングカバー上に付けるので、簡単化される。かくして、特徴部の位置が最終製品上に精密に置かれることは遙かに確実になる。又機器コストが減じられるのはデジタルカメラ、コンピュータそして電子的メモリーが低廉だからである。光学機器は又携帯可能であるので、該機器は患者の位置へ容易に移される。デジタルデータは次いでギルドに配置された製作機械へ電子式に伝送されてもよい。代わりに、デジタルデバイスデータはディスクに記録され、製作機械に送られてもよい。
【0031】
本発明の誂え設計過程は独特であり、それは該過程が現実のデバイス製作の前に装具の患者への仮想の適合動作を提供するからである。他のどんな既知システムも仮想的仕方で装具の様な誂え製品を設計する能力を提供しない。特に、本発明の過程は身体上に置かれたマーキングを検出し、この情報を該マークの位置に基づき製品を設計するため利用する。
【0032】
該デバイスは人間用の装具又はギブスの様な医療用デバイスとして説明されたが、他の実施例で、該発明過程を、誂えの椅子、シート、サドル、運動機器、靴、パッド、ヘルメット、モーターサイクル及び自転車のシート、ハンドルバーそしてハンドグリップ、他を含む人間により使われる他の製品用に使うことは可能である。又説明された装置と方法が動物用装具及びギブスそして馬及び騎手の誂えサドル用に使われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】背部装具製作用に医者によりマーク付けされた患者を図解する。
【図2】撮影されるマーク付き患者を図解する。
【図3】複数のカメラにより撮影される患者の平面図を図解する。
【図4】患者の部分のデジタル表現を表示するコンピュータを図解する。
【図5】背部装具用の設計過程を表示するコンピュータを図解する。
【図6】デジタル表現から設計された基本的背部装具を図解する。
【図7】孔を背部装具内へ設計する過程を図解する。
【図8】換気及び/又は柔軟性用に孔を有して設計される背部装具を図解する。
【図9】柔軟な換気孔を有する背部装具を図解する。
【図10】柔軟なパネルを有する背部装具を図解する。
【図11】柔軟性用に水平に整合された細長いスロットを有する背部装具設計を図解する。
【図12】スロットを付加する前の背部装具を図解する。
【図13】細長いスロットを有する仮想ブロック材料を図解する。
【図14】背部装具設計と組み合わされたスロットを有する仮想ブロック材料を図解する。
【図15】装具と回転軸線を図解する。
【図16−18】装具の多数の図面を図解する。
【図19−21】装具用パッドの断面図を図解する。
【図22−24】種々の曲げ角度で取り込まれた脚の画像を図解する。
【図25−27】脚装具の図面を図解する。
【図28−29】換気孔を有する脚装具の図面を図解する。
【図30−31】アクセス可能な領域を有する装具を図解する。
【図32−36】モジュール型装具を図解する。
【図37】上腕を安定化させるために使われる装具のセクションを図解する。
【実施例1】
【0034】
本発明は体に密接に対応した表面を有する誂え設計されたギブス、装具又は他のデバイスである。該ギブス又は装具は患者の体に密接に対応する内面を有し、又一体化された構造を有する。本発明のギブス又は装具は損傷した背部、脚及び前腕又は他の身体部分に向けられている。該ギブス又は装具はコンピュータ支援設計(CAD)コンピュータプログラムを使って工業設計者により設計されるのが好ましい。患者用の機械的データは患者の体の写真から得られてもよい。この身体データは次いでデジタル化され、CADプログラムに入力され、そして該ギブス又は装具を設計するために参照される。適当なCADプログラムの例はパラメトリックテクノロジー社(Parametric technology Corporation)によるプロ/エンジニヤ(Pro/Engineer)である。他のCADソフトウエアは:デソールトシステム、エスエイの子会社のソリッドワーク社(SolidWorks Corporation a subsidiary
of Dassault Systems,S.A.)によるソリッドワーク(SolidWorks)を含む。簡単のため、本発明の誂え装具、ギブス又はデバイスは背部装
具として説明されるが、しかしながら、同じ過程が前腕又は脚の装具又は何等かの他の身体の装具、ギブス又はデバイスを形成するため使われてもよい。該装具は体又は四肢の損傷部分を囲み、支持するよう設計された硬く、強い構造体であってもよい。
【0035】
例えば、脚装具はCADシステムを使い患者用に創られる。該脚装具は上脚、膝、下脚及び足を含み、患者の脚の機械的寸法及び表面輪郭にマッチする内面を有する。患者の脚にマッチする内面を精密に創るために、ユーザーの脚の相手表面が測定される。脚の外面の測定は幾つかの異なる仕方で得られてもよい。好ましい実施例では、写真測定又は画像相関技術が外面測定値を得るため使われるが、該測定値は患者の脚又は何等かの他の身体部分の外面を規定する3次元座標のセットであってもよい。
【0036】
写真測定はその広い意味で写真過程を逆転させるが、それは対象の平面的2次元画像を真の3次元対象面に戻るよう変換することに依る。3次元対象を再生するには2つ以上の異なる写真が要る。完全な写真測定過程では、2つの写真が該3次元対象を完全に再生するために充分な情報を提供する。不運ながら、写真と測定過程とは一般に完全ではなく、それで2つの写真に基づく3次元対象の再生も又欠点を有する。写真測定の対象測定過程は多くの写真を取り、精度を改良する特別の情報を使うことにより改良される。写真測定過程は該多数写真から得られた測定値から対象の表面を表す3次元座標のセットを作る。
【0037】
写真測量は3角法での測定の原理を使うが、そこでは空間内の交叉する線が全ての3つのXYZ寸法での点の位置を計算するため使われる。実施例では、脚又は身体部分を同時に撮影するため多数のカメラが使われる。1セットの点を3角法で測定するために、該セットの全ての映像についてカメラ位置と、“配向(orientation)”とも呼ばれる狙い角(aiming angles)と、を知らねばならない。リセクション(resection)と呼ばれる過程が各カメラ用のカメラ位置と狙い角計算を行う。該カメラは又校正されるので、該カメラの誤差は規定され、取り除かれる。
【0038】
3角法での測定は、3次元点測定値を作るため写真測定で使われる原理である。空間内の収斂する線を数学的に交叉させることにより、点の精確な位置が決定され得る。写真測定は、同時に3角法で測定される点への仮想的な限定は無いので、多数点を同時測定出来る。少なくとも2つ以上の異なる位置から映像を取り、各映像内の同じターゲットを測定する、ことにより各カメラ位置からターゲットまでの“視線(line of sight)”が展開される。カメラ位置と狙い方向は既知なので、該線は各ターゲット点のXYZ座標を作るために数学的に交叉させられる。
【0039】
リセクションは、カメラ位置と、カメラの配向としても知られる狙い方向と、に基づき、写真データから対象の座標を決定するため使われる手順である。見えて、画像内のXYZ座標で知られる全ての点はこの配向を決定するため使われるのが典型的である。精確なリセクション用に、各写真内に12以上の良く分布した点を有するのがよい。もし対象上の点のXYZ座標が既知であれば、該カメラの配向は計算される。カメラの位置と狙い角の両者がリセクション用に必要であることを実感することは重要である。カメラの位置を知るだけでは充分でなく、何故ならばカメラが同じ位置に配置されても、どんな方向でも狙い得るからである。結果として、3座標で規定されるカメラの位置と、3つの角度座標で規定されるカメラが何処を狙っているかと、が知られねばならない。かくして、3つの値はターゲット点のX、Y及びZ座標を規定するため必要だが、6つの値、すなわち位置用のXYZ座標、及び狙う方向用のXYZ角度、が映像上の点を規定するため必要である。
【0040】
又撮影される面は、各写真上に現れる、精密な面測定用の最小数の良く分布された基準点を有すべきである。該基準点は、写真上で明らかに示される視認可能なコントラストを
提供する、対象上に置かれた可視マークであってもよい。各写真上には少なくとも12の良く分布した基準点と対象の面全体について少なくとも20の点が存在すべきである。該基準点は対象上にそして写真を通して等しく分布されるべきである。基準点の数が多い程、対象の面はより精密に測定され得る。
【0041】
患者の皮膚をインクマーカーでマーク付けすることは可能であるが、好ましい実施例では、患者は弾性的綿チューブ、ストッキネット、レオタード、ボデイスーツの様なフォームフィッティング材料でカバーされる。他の実施例では、体はフォームフィッティング材料で捲かれてもよい。もう1つの実施例では、身体表面は、該身体に適合し、マーク付けされ、画像取り込み後は容易に除去される、柔軟なプラスチック又はゴム材料の様な除去可能な材料でスプレイされる又はペイントされてもよい。図1を参照すると、患者101は該患者の体、上腕及び脚をカバーするボデイスーツ103を着て図解されている。
【0042】
実施例では、コンピュータプログラムが全測定点の最終XYZ座標を作るために写真測定値を処理する。これを行うために、該プログラムはターゲット点を3角法で測定し、映像をリセクトする。該プログラムは又カメラを校正する。3次元測定の典型的精度は理想的動作条件下では非常に高い。例えば、該測定値は50−100ミクロン(0.002インチから0.004インチ)まで精確である。しかしながら、写真測量測定値の精度は著しく変わり、それは精度が幾つかの相互に関係する要因に依るからである。重要な精度要因にはカメラの分解能及び品質、測定される対象の寸法、取られる写真数、対象及び相互に対する映像の幾何学的レイアウトが含まれる。
【0043】
写真測定の測定値は無次元である。写真測定の測定値をスケール合わせするため、少なくとも1つの既知距離が必要である。該既知距離は対象上にマーク付けされた距離でもよい。例えば、或る目標点の現実の座標が既知であれば、これらの点間の距離は決定され、該点は測定値をスケール合わせするため使われる。もう1つの可能性はその上にターゲットを有する固定具を使い、対象と共に該固定具を測定することである。該固定具上のターゲット間の距離は既知であるから、該距離は対象上の基準点間の他の測定値をスケール合わせするため使われ得る。この様な固定具は普通スケールバーと呼ばれる。
【0044】
実施例では、本発明の方法は損傷肢用のギブス又は装具を作るために使われる。該損傷肢の一連の写真が取られる。もし骨が損傷していれば該写真が取られる前に骨折は整復されるべきである。次いで上記で説明した写真測定処理法が損傷肢の表面座標を得るため使われる。肢上の共通表面点を規定するために、該肢上に基準点が置かれてもよい。該基準点は単に何等かの際だったカラー点、パターン、形、物、表象、又は容易に見える他の光学的標識であってもよい。該基準点は黒又はカラーインクのマーク、スチッカー又は物又は何等かの他の可視基準点であってもよい。好ましい実施例では、該基準点は肢全体又は装具が作られる身体の部分の周りに置かれ、等しく分布する。
【0045】
基準点に加えて、患者は又装具のエッジ又は他の特徴を規定するためマーク付けされる。図1を参照すると、医者は該装具のエッジの位置を規定するためボデイスーツ103をペン105でマーク付けする。該エッジマーキングは体又は肢の周りに延びる1本以上の連続線107であってもよい。他の実施例では、該エッジは装具のエッジを規定し、装具設計時に接続される1連のマークにより規定されてもよい。該装具内に開口部を創るために患者上に追加の線109がマーク付けされてもよい。例えば、患者は縫い目で閉じられ、堅い装具と接触されるべきでない手術で損傷した範囲を有する。該装具内に開口部を提供することにより、該患者の縫い目は該装具構造体に対し押し付けられないであろう。図1では、医者は患者の体のこの部分付近に円を画いたので、該装具はこの範囲用のカットアウトを有するよう設計される。医者は又ボデイスーツ103上に注意書きをしてもよい。該医者はL6ディスクの位置を示すために“L6”を書いた。医者は又大腿の大転子(
greater trochanter)に十字111を、肩甲骨に破線113をマーク付けした。これらの解剖構造の位置は装具の設計に重要であり、従ってボデイスーツ103上にマーク付けされる。写真測定は写真を使うので、デジタル映像はその線又は他のマーキングを全部記録する。
【0046】
図2を参照すると、複数のデジタルカメラ121で患者の写真が取られる。この例で、カメラ121はブラケット123上に設置され、既知間隔だけ水平方向に隔てられる。該カメラ121は同じ水平位置を有し、レンズは同じ平面内にあり、相互の方へ内側に角度付けされている。レンズの角度は約5から45度の間にある。患者101とカメラ121の間の距離も既知である。2つのカメラ121は同時に駆動されるので、2枚以上の写真が同じ位置の患者101を表す。身体輪郭の情報を得るために、マーク付きボデイスーツ103を着た患者101の映像が周囲全体内で種々の角度から取られるので、装具によりカバーされる身体の全体面が見られる。各写真は少なくとも12の基準点を有すべきである。該写真を処理し、写真内の該基準点と他の線とマーキングを3角法で測定することにより、身体表面を表す座標が得られる。
【0047】
図3を参照すると、患者101とボデイスーツ103を撮影するため使われるカメラ121システムの平面図が図解される。実施例では、ブラケット123上に設置され、開いた空間内に位置付けられた複数のカメラ121を含む装置が患者101を撮影するため使われる。カメラ121は患者101の方へ向けられ2つのカメラ121のグループで配置される。カメラ121はカメラを保持するブラケット123上に設置されているので、該カメラは略同じ方向に向けられているが相互の方へ僅かに角度付けられている。カメラ121は水平方向に整合されるが垂直軸線の周りに僅かに回されたレンズを有して位置付けられるので、カメラ121のレンズは平行ではない。この角度はカメラ121が該面の差を解析することを可能にするので、人間のステレオ視認に於ける程多く3次元表現が生じる。
【0048】
この例では、カメラ121の4つのグループが患者101の周りに設置され、各グループは2つのカメラ121を有する。かくして、各々が異なる角度からの8枚の患者101の写真が取られる。カメラ121により取られた映像は一緒になって体幹全体をカバーする。カメラ121の位置は関心のある範囲に依り動かされてもよい。図解では、カメラ121は背部装具用のデータを集めるよう構成されている。しかしながら、もし脚装具が作られるなら、カメラ121は脚付近の位置に下げられてもよい。
【0049】
アクチュエーターがカメラ121の各々に接続され、全部のカメラに肢を同時に撮影させるため使われてもよい。代わりに、カメラ121の対は対象の画像を同時取り込むために全てが同時に映像を取るよう同期化されてもよい。シャッター速度は僅か数分の1秒であるのが典型的であるから、長時間患者101を絶対的に静止するよう保つ必要はない。他の実施例では、1つのカメラが患者の多数画像を取り込むよう使われてもよい。この実施例では、該カメラは多数画像を同時に又は短時間内で取り込んでもよい。該カメラは各々が異なる画像を取り込む多数レンズを有してもよい。代わりに患者はカメラに対し移動してもよい。患者を回し又は患者の周りでカメラを回し、そして多数の写真を取ることにより、1つのカメラが表面の特徴と他のマーカーデータを得るため使われる多数画像を取り込むことが出来る。
【0050】
上記で論じた様に、写真が処理され、3次元データを発生するため使われるが、該データは患者101の外面を精密に記述する。該3次元データは次いで装具又はギブスを設計し、作るために使われる。該表面データは非常に精密なので、装具又はギブスは全ての検出された表面輪郭を見越した誂えの適合性を有する。該誂え適合の内面に加えて、エッジ又は装具特徴もエッジ又は特徴マーキングにより明らかに規定され、装具又はギブスの設
計に役立つよう使われる。
【0051】
或る場合には、患者の身体的条件により、写真測定画像が精密な装具に帰着しないことがある。例えば、もし患者が肢を損傷していれば、損傷の範囲は腫れている。かくして、肢のどんな写真も腫れてない肢より遙かに大きい走査データに帰着する。実施例では、もし該患者が損傷した肢と同様な損なわれてない肢を有するなら、該損なわれない肢が撮影され、該損なわれない肢から得られた表面データが、該損傷肢の装具用に必要なデータを創るために、ミラーの仕方で逆にされてもよい。該装具は、腫れが減じた時装具が患者用に用意されるよう設計され、作られる。
【0052】
写真測定は光学的及びレーザーによる走査を含む他種表面走査法を上回る種々の利点を有し、何故ならば該写真測定は医者により患者上に置かれたマーキングを検出するため使われ、該マーキングは身体又は装具の特別の部分を示すために使われるからである。例えば、医者は何等かの数の記号を区別するために患者上に画き、該記号を医者は後で誂えデバイス過程で参照する。これらのマーキングは、誂えの補テツ器/矯正器の境界、骨隆起範囲、脂肪組織のひだ、特殊基準椎骨、避けるべき身体上の敏感範囲(発疹、臍、黒子他)、高い換気を要する範囲、邪魔のない運動を可能にする関節周りの空き範囲、セットアップ記号、装具内に後で追加圧力を付加する‘シム’用の基準境界そして種々の他の情報、を示してもよい。該身体マーキングは患者上の種々の種類の基準点を識別するため使われるカラーの点、線又は表象、模様付きマーカー又は他のコードであってもよい。例えば、患者は装具又はギブスの望ましい境界を示すため第1カラーでマーク付けされる。該患者は骨隆起又は敏感範囲を示すため第2カラー又は模様付きマーカーでマーク付けされる。骨隆起又は下にある骨の解剖構造は皮膚破れの傾向のある範囲であるから、装具はこれらの範囲への擦過傷又は損傷を避けるためにこれらの範囲上で特別の特徴を有してもよい。例えば、設計過程時、オペレーターは骨の解剖構造としてマーク付けされた患者の身体の範囲上で装具を減じてもよい。肩胛骨の領域上に装具を置く例を取る。肩胛骨とその境界が手で触診するが、表面形態に基づき決定するには難しい。装具は適当に機能するために肩胛骨に適合せねばならない。本技術では、肩胛骨のエッジ又は本体の場所は患者上でマーク付けされ、装具の本体は装具の輪郭内の誂えパッド又は逃げで骨のエッジに適合する。
【0053】
装具は患者に快適である様なパッドを要する。パッドの位置は上記説明の様に患者上にマーク付けされる。例えば、パッドの位置及び形はパッドの形の中のコード化されたマーキングで示されてもよい。CADシステムは該パッドマーキングを検出し、指定された形にマッチするパッドを作ることが出来る。製作過程時、パッドは厚さ及び硬さの範囲内の柔らかい弾性のある材料で作られる。例えば、CADデータはパッド材料の在庫シートからパッドをカットするよう使われてもよい。該CADシステムは又該パッドに適合するよう装具を設計する。例えば、装具はコード化され、マーク付けされた範囲に形成される凹部、又は他の取り付け機構を有するよう設計され、製作される。患者表面データが装具とパッドの両者を形成するため使われるので、それらは非常に精密に相適合する。もしパッド位置上で装具内に設計される換気孔があれば、該パッドは又装具内の換気孔と整合された換気孔付きで設計される。
【0054】
装具が患者に適合すると、医者は複数のパッドを有し、患者用の最良パッド厚さを選択出来る。装具は強く、耐久性ある材料で作られるので、パッドは装具の使用と共に着用され、周期的に取り換えられる必要がある。医者は装具データから作られた追加のパッドを有してもよい。追加のパッドは又、該パッドが装具に適合する外面と、腸骨稜の様な骨の隆起の様な複雑な面形状を有する範囲で患者の解剖構造に適合する内面と、を有するよう付加的製造過程を使って作られてもよい。
【0055】
他の実施例では、該コード化されたマーキングはパターン、表象、模様付きパッド、バーコード、3次元物体又は他の標識であってもよい。これらのカメラはそれらのデータ入力用に写真の画像を使うので、患者上のコード化されたマーキング又は特徴は装具/ギブス設計ソフトウエアにより識別される。本発明の過程は種々のパッド模様のみならず種々のカラーコーディングも区別することが出来る。該模様は溝、エッチされたパターン、凸又は凹面、他を有してもよい。各模様はマーカー位置の装具の種々の特徴を表す。検出システムソフトウエアはコード化されたカラー又は模様を自動的に検出し、識別する。該ソフトウエアは患者上に位置付けられたコード化されたカラー又は模様に付随する装具の請求される特徴を自動的に設計する。追加のマーキングは患者のデジタル表現に転送され、装具又はギブスの設計を助けるために使われる。
【0056】
走査された身体データが装具を設計するため使われる過程が図4−8で図解される。図4はCADスクリーン221上の人間体幹201の走査された画像を図解する。体幹201の輪郭は精確に測られ、患者上に置かれた追加のマーキングも走査データ上に図解される。この例で、医者は患者の大腿骨の大転子の十字211を画くので該装具は脚の動き用にこの範囲内に特別の空間を有するよう設計される。線のマーキング207は装具の望ましい境界を示し、線209は装具の側内の孔を示す。表示“L6”は又写真測定走査データから視認出来る。
【0057】
図5を参照すると、装具のエッジを表す線207はハイライトにされる。装具内に形成されるべき孔を表す線209は装具設計者によりハイライトにされる。この実施例では、線をハイライトにするためにマウスに制御されるカーソル215が使われる。他の実施例では、設計者は線全体をハイライトにするために該線上のクリックを選択してもよい。この例では、暗い線は装具から除かれるべき線の部分を表す。しかしながら、何等かの他の視認可能なマーキングが除去されるべき線の部分を識別するために使われてもよい。
【0058】
或る状況では、装具又はデバイスは患者の走査表面データに完全にはマッチしない。例えば、設計者は又大腿骨の大転子の位置を表すマークされた十字211を見越してもよい。該マーキングは写真測定時取り込まれた画像上に示され、十字は大転子の位置を示す指定された表象であってもよい。ソフトウエアは次いで装具のこの部分を膨張させることにより大転子の上の装具の設計を調整する。
【0059】
もう1つの例では、患者は側弯症を有し、患者の普通の姿勢を変える矯正背部装具を必要とする。該装具は湾曲奇形を整復するために背部の湾曲を矯正するため使われる。背部の写真が上記説明の表面データを得るため取られてもよい。しかしながら、表面が表面特徴として背骨を示さないなら、現実の脊椎位置は検出されない。背部の棘突起を明らかに示すために、医者は各々の位置をマークする必要がある。該マーキングは特定の骨を識別するか、又は損傷した骨を示すために、コード化されてもよい。該マーキングは該骨を囲み、十字マークであるか、又は骨の位置を明らかに識別する何等かの他のマークであってもよい。写真測定画像が処理される時、棘突起の位置は明らかに示される。背面と棘突起位置は次いで背部装具を設計するため使われる。
【0060】
検出された脊椎の位置を使う背部装具を設計するよりも、背部データは患者の背部を真っ直ぐにする装具を創るために修正されてもよい。設計者は、脊柱の全長及び湾曲の測定値と、装具の望ましい湾曲変更と、を得る。装具と正常背部位置の間の差は患者の医師により指定されてもよい。設計者は、装具により規定される望ましい内部容積を保持しながら、より真っ直ぐな背部装具を設計するために記録された背部湾曲を調整する。1実施例では、設計プログラムは、装具の1つの部分の調整が該装具のもう1つの部分に持ち越されることを許容する装具設計の調整用システムを有する。例えば、もし背部データが撮影された脊柱湾曲を示すなら、設計者は該湾曲を整復するよう尖りを手扱いすることも出来
る。尖り部分のみを調整するより、該プログラムは装具の周囲部分への同様な調整を行うので、矯正装具は患者に適当に適合する。例えば、装具は、各々が異なる棘突起に対応する多くの異なる薄い水平セクションに分けられてもよい。1つのセクションが動かされると、他のセクションはより少ない程度に動くので、側弯湾曲は整復される。CAD設計上で装具の他のセクションの動きを縮尺するアルゴリズムが使われてもよい。1つのセクションが動かされる時、装具の種々のセクションを自動的に調整することにより、装具設計は簡単化され、精密になる。
【0061】
他の実施例では、設計された装具又はギブスは患者から取られた写真測定の測定値から変わってもよい。例えば、患者は外傷又は炎症で腫れていてもよい。装具設計システムは該腫れを見越し、設計者が、腫れが引いた後患者に適合するもっと小さい装具を創ることを可能にする。実施例では、該システムは完全な侭の肢の写真を使い、腫れた肢の装具用のガイドとしてそのミラー画像面データを使う。該完全な侭の肢は損傷した肢に完全にはマッチしないが、多くの場合、適当な装具又はギブスを形成するには充分に精確である。
【0062】
図6では、孔線209内部の範囲と、エッジ207の外側の体幹範囲と、が除かれた体幹が図解される。示されてないが、該CADソフトウエアを操作する設計者は装具210のどんな図面でも示すよう該図解された体幹を回転することが出来る。基本的装具設計品を創生するために内部体幹面に材料厚さが付加されてもよい。写真測定システムによりマーキングが精密に検出されるので、マーク付けされたエッジと孔位置の全部がデジタル表現に転送され、必要な装具境界と特徴部は患者を再検査又は再測定することなく精密に識別される。該過程は装具20の基本設計を完了する。
【0063】
患者上にマーク付けされた患者の特徴に加えて、装具に追加の特徴を付加することは可能である。例えば、換気と装具の柔軟部分を提供するために、装具210内に複数の孔が作られてもよい。図7を参照すると、装具210の1部分を通過する円柱225のセットを有する装具210が図解される。この例では、円柱225は断面が円形で、複数の円形孔を規定する。図8を参照すると、設計者は次いで、複数の孔227を有する装具を作るために、装具210から該円柱225と交叉する材料を除去する。
【0064】
装具を作るため使われる構造材料は圧縮及び引っ張りに強い。装具内に孔を形成することにより、該装具に選択された柔軟性のみならず換気も付加される。構造材料に開口部を設計することにより、該構造材料は圧縮される又は引き延ばされるよりも寧ろ曲がり、該曲がりは該装具に曲げ運動を有させる。装具設計者は患者の特定のニーヅに依り柔軟性を制御するよう装具を設計する。該装具は柔軟性の方向(複数を含む)、動く範囲、動きの弾性、他を制御するよう設計される。詳細部と誂えの孔を創り、装具内で領域的にこれらの孔を変える能力は、種々の平面内で独立に、そして各レベルで独立に、曲げ及び捻りの運動の制御を可能にする。装具内に組み入れられた関節接合も各レベルで独立に制御された運動を許容する。
【0065】
図9を参照すると、細長い孔322、324のパターンを有する背部装具318が図解される。該孔322、324は該背部装具318に柔軟性のみならず換気を付加する。該孔322、324は孔322、324の幅に亘る柔軟性を付加する傾向にある。かくして、この例では、水平に配向された孔322を有する該装具318の上部部分は垂直の柔軟性を許容する傾向にある。対照的に、該装具318の下部部分周りに垂直に配向された孔324は該装具318の周りの半径方向のより高い柔軟性を許容する。下部装具318は患者の股関節上に位置付けられる。患者が動き、成長する時、此の範囲は膨張の柔軟性を要する。
【0066】
図10を参照すると、3つの部品製の背部装具418が図解される。装具を1ピース構
造体として作るよりも寧ろ、後で組み立てられる3つの別々の部品で該装具を作ることはより効率的である。1つのパネルを異なる材料で作ることも可能である。例えば、中央パネル424は側部より柔軟な材料であってもよい。背部装具428の側部パネル422は可成り堅い材料で作られる必要があるが、中央パネル424は同じ強度を要せず、もっと柔軟な材料製であってもよい。中央パネル424は次いで適当なファスナーで装具418の残りに固定されてもよい。
【0067】
例えば、図11を参照すると、複数の細長い水平スロット325を有する背部装具310が図解される。該スロット325は該装具が垂直方向には柔軟になるが、軸方向回転には堅くなることを可能にする。装具310に曲げ運動が印加された時、垂直要素はスロット325の中央を圧縮する傾向にある。しかしながら、回転トルクが中心軸の周りで該装具に印加されると、装具310はより堅いであろう。図解された背部装具310では、該装具の前及び後ろの孔はオフセットされた行及び列で配置された細長いスロット325である。各水平行のスロット325は隣接する垂直行のスロット325に対しオフセットされている。スロット325間の材料は大体水平に配向された細長いストリップを形成する。各スロット325の中央部分と交叉する短い垂直のストリップ326がある。論じた様に、該材料は圧縮及び引っ張りに強い。従って、この設計構成は患者の背部の捻り及び軸方向回転に抵抗する。しかしながら、材料の水平ストリップは垂直に整合されておらず、装具310は前後に曲がり、該曲がりは患者の背部が曲がることを可能にする。患者が前方へ曲がると、装具の前部は圧縮され、その材料が曲がるので、装具の前部のスロット325は高さが短くなり小さくなる。逆に、装具の背部は長く延ばされ、材料は曲がるので、装具の背部のスロット325はより高くなる。この例で、スロット325が幅広く、短いので、それらは水平力に対し堅くなり、一方垂直力には柔軟である。対照的に、背高で狭いスロットは垂直力に対し堅い一方、水平力には柔軟である。かくして、装具310の柔軟性はスロット325開口部の寸法と配置を変えることにより制御される。
【0068】
図12を参照すると、該スロットを付加する前に、背部装具310設計は堅い充実形であり、CADソフトウエアディスプレー上に表示される様に、ユーザーに何等の換気も提供しない。図7を参照して上記で説明した様に、装具設計にスロットを手動で付加することによりスロット325又は他の換気孔が形成されてもよい。代わりに、スロットを付加される装具310は、より自動化した、時間効率的仕方で背部装具を組み合わせることにより付加されてもよい。図13を参照すると、予め形成されたスロット325を有する材料のブロック327が図解される。設計者は装具310の寸法を入力し、スロット325を要する装具310の中央範囲を規定する。
【0069】
図14を参照すると、装具310と材料ブロック327はCADプログラムにより仮想的に組み合わされ、コンピュータスクリーン上に表示される。装具310の上部及び下部部分はスロット無しで図解され、一方スロットを要する装具の中央部分はブロック327と交叉する。設計者は装具310のエッジの外側にあるブロック327の部分を取り除く。図11に図解するスロット325を有する中央部分を備えた最終装具310が設計される。
【0070】
実施例では、望まれる柔軟性は、孔寸法、形、配向、材料厚さを変えること、そして該装具を各々が異なる機械的特性を有する2つ以上の異なる材料で作ること、により該装具に設計的に織り込まれる。これらの計算はCADソフトウエアに集積化されるので、柔軟性要求を入力することにより、該ソフトウエアは構造的要求に適合する装具設計の詳細を計算する。その形を通して装具の機械的特性を修正することにより、該装具は曲がり、回転し、圧縮され、膨張し、又は望まれる或る回転方向に沿って堅く留まる傾向となる。
【0071】
実施例では、装具は適合面と、水平及び垂直‘ビーム’として示される構造部品と、そ
して該装具を囲む‘境界線’とを具備し、望まれる所の構造的特性を高める。水平ビームは、この例では、圧縮を拘束する垂直ビームが無いので、前方へ圧縮されてもよい。これは前方への屈曲を可能にする。しかしながら、横屈曲は装具の側部上の垂直ビームにより拘束される。後方屈曲は装具の背に沿い上方へ延びる輪郭を成す垂直の縁により拘束される。
【0072】
多く孔を開けられた薄い層が構造部品間に置かれてもよい。これは構造的な影響をもたらさないが、患者の組織を含めるよう意図されて、皮膚がスロット内に入ること、そしてスロット収縮時挟まれることを防止する。換気孔は小さく{約0.95cm(3/8インチ)より小さい}、それにより‘間隙浮腫(window edema)’問題の機会を減らす。この層は、構造的要求に影響しないで、身体を含める種類の‘網作用(netting)’として振る舞う。該孔は面が容易に膨らむ又は圧縮される様に設計されてもよい。これは水平軸線に沿い細長い孔を有し、オフセットされた格子パターン(45度回転されたチェッカーボードの様な)を有するので、該格子内には垂直ビームは創られず、それにより該面の構造的特性を減じる。
【0073】
以前の装具技術と異なり、本発明は曲げ及び回転特性を含む機械的特性が健康管理専門職により指定される方法を説明する。換気パターンも指定される。次いでコンピュータは、身体表面の適合形状にマッチし、装具の全体的形状の制限を充たしながら、機械的及び換気の仕様を充たす装具を創る。装具の形、機械的特性は選ばれ、パーフォレーションの種類又は設計が健康管理専門職により選ばれる。構造要素の厚さ及び幅が装具の機械的及び設計的考慮を充たすよう変えられる装具が創られる。該装具は次いで付加的製造又は何等かの他の製作法で作られる。
【0074】
多くの装具応用では、装具の内面は皮膚破断を起こさずに圧力を印加せねばならない。圧覚点は避けられねばならない。高度に適合する装具は接触圧力を最小化しかくして皮膚の破断を最小化する。しかしながら、接触点上では柔らかい材料が必要である。内側の小さなパーフォレーションで間隙浮腫(window edema)を最小化するのに加えて、内面は、付加的製造技術を用いることにより、内層又は複数内層をより適合性にすることを可能にするよう、外側の外骨格と連続して作られる積層構造製であってもよい。薄い曲げ可能な適合層が内壁上にプリントされてもよい。他の実施例では、完全に異なる材料が該装具に付加されてもよい。例えば、或る他の実施例では、装具の設計と製作は、内壁上のプリントされたメッシュ、又はフォームの様な多孔性材料のプリント作業を有するが、該メッシュ又は材料は圧縮及び換気を可能にしている。内層又は複数内層は付加的製造法で作られ、全ての層は連続して作られる。
【0075】
かくして、装具は均質材料として又は積層材料層の複合構造として設計されてもよい。外側層は身体又は四肢用の必要強度を提供する外骨格として機能する非常に強い構造体である。一方、装具の内層は患者の治癒を促進するよう設計された堅い及び柔らかい材料の組み合わせであってもよい。骨に隣接した範囲上には柔らかい適応性の材料が使われる。骨の位置は患者が動く時変わってもよい。かくして装具の此の範囲が快適であることが重要である。対照的に、身体の柔らかい脂肪及び筋肉組織に対しては堅い材料が使われてもよい。これらの柔らかい内面は損傷されるか、又は堅い材料より早く摩耗するので、それらは装具にスナップ式に填る又は外れる取り換え用パネル又は部品として設計されてもよい。
【0076】
装具の呼吸能力は本発明の装具を快適にするもう1つの特徴である。装具は該装具を通って延びる換気通路付きで設計される。装具はCADシステム上で設計されるので、換気孔の位置は既知であり、該装具内に置かれる何等かの付加的パッド又はパネル内に入るよう自動的に設計される。或る場合は、該パッドは呼吸可能な材料製であり、装具の堅い固
体部分内の換気孔は柔らかい多孔性パッドの遙かに大きい内面への換気を提供する。
【0077】
又装具設計はビームの垂直及び水平配向の両者を組み合わせることにより柔軟性を制御出来て、装具は、換気と妥協することなしに、1つの部分からもう1つへと異なる柔軟範囲を特徴として持つことが出来る。実施例では、材料のビームはカーブしている。例えば、装具の1部分は第1の側に水平に配向されたビームを、そして第2の側に垂直に配向されたビームを有してもよい。この仕方で、第1の側は圧力下で圧縮され、拡がり、一方第2の側ではそれが起こらない。第2の側は、対照的に、曲がりそうであり、ピボットとして作用する。もし、例えば、身体の前部が水平に配向されたビームを帯び、側部が垂直に配向されたビームを帯びていれば、装具は何等の横方向屈曲も否定するが、前方向の屈曲を可能にする。同時に、しかしながら、換気は該装具中で等しく均一である。この図解された構成は背部装具に適用出来て、前方への曲げを可能とするが、側部から側部の曲げを防止する。左側は装具の前部を表し、右側は装具の右側を表す。前部でのビームの水平整合と側部でのビームの垂直整合とは前方への回転を可能にするが、側方から側方への回転を防止する。
【0078】
本発明の装具の基本的原理は装具の非対称な柔軟性である。図15を参照すると、装具410がXYZ座標システムの項で示され、該装具の前部はX軸に面し、左側はY軸に面しそして頂部はZ軸に面する。この例では、装具410は背部装具であり、患者及び装具410の下部部分は静止している。もし患者が左に傾けば、装具410はX軸の周りに時計回りに曲がり、もし患者が右に傾けば装具410はX軸の周りに反時計回りに曲がる。もし患者が前に曲がれば、装具410はY軸の周りに反時計回りに曲がり、後ろへの曲がりは装具410をY軸の回りに時計回りで回らせる。もし患者が右にツイストすれば、装具410の頂部はZ軸の回りに時計回りで回り、左へのツイストは装具410の頂部をZ軸の回りで反時計回りに回らせる。どの方向に患者の動きを不動化するかを知ることにより、装具410は曲げを非対称にすることが出来る。
【0079】
図16−18を参照すると、背部装具510の異なる図が図解される。図16は装具510の前面図を図解し、図17は側面図を図解し、そして図18は背面図を図解する。装具510は前部セクション上の水平ビーム505と左及び右側の前部部分を有して構成される。脊柱は圧縮されるべきでないので、装具510の背部は垂直ビーム507を有する一方、水平ビームを有しない。背部は前部より堅固なので、背部は曲がるが圧縮されない傾向がある。対照的に、前部は背部の曲げに応答して圧縮されるか又は膨らむ。垂直ビーム507は装具510の幅に亘り設置されるので、該垂直ビームは装具510が側から側へ曲がるのを防止する。装具510は垂直及び水平に整合されたビームを有するが、これらはビームの一般的な整合を表すのみである。現実の装具のビームは相互に交叉し、必要な方向性の強度と柔軟性を提供するよう角度付けられ、曲げられるだろう。
【0080】
図19−21を参照すると、装具内へ設計されるもう1つの特徴は、個別に吊られた接触パッド611の密な格子であり、該格子は中空で、該パッドにトロイドの形を与える各パッド611を有する。これは接触‘リング’615が皮膚に接触することを可能にし、各接触パッド611は中央に換気孔619を有する。該換気孔619は皮膚への改良された空気流を与える。そのドーナッツ形状は間隙浮腫を起こり難くするが、それは血液流れを混乱させるよう皮膚に対し押す堅いエッジが無いからである。そして比較的大きい接触パッド611の面積は皮膚に対する快適性を高めそうである。又空気が接触パッド611の各々の周りに流れ、外壁を通るパーフォレーションパターンを通して空にされる。これはユーザーへの快適性を高め、表面皮膚温度を冷却する。
【0081】
接触パッド611の各々が個別の巻かれた‘セル’として創られるので、該パッドは該パッドの‘切り株’の各々の付近に‘井戸’が存在するよう創られる。該セルの厚い部分
が隣接セルと交叉するので、該‘井戸’を超えて、壁厚さは成長する。これは、(各パッドの切り株の周りで)望ましければ柔軟で、それでも(各切り株間で)望ましければ強い様な、比較的強い構造体を創らせる。強度と適合性の両者が1つの面内で充たされる。このレバー手段(stalk approach)への接触点は皮膚接触を多くの個別点上に分布させる。これらの点接触は接触点間の皮膚への血流を許すことにより低循環範囲を最小化する。圧縮範囲はかくして拡散過程により血液供給を受けることが出来る。この戦略は大きな虚血帯又は皮膚破れ範囲のポテンシャルを最小化する。加えて、接触点を支えるレバーの機械的特性を変えることにより、皮膚での剪断応力量は最小化される。もし該レバーが充分柔軟なら、装具内の皮膚の動きに伴って、動きは、接触点と装具の間では起こらず、代わりにレバーのレベルで、接触パッドと装具の外骨格外層の間で起こる。剪断と虚血を最小化することにより、この様なパッド構造体は皮膚破断のポテンシャルを最小化出来る。
【0082】
ダイナミックな装具用では、これらの接触パッド611構造は被取り付け構造体の密着容積として作られ、或いはもっとダイナミックな装具用では、該接触パッド611は、外側の外骨格及び換気パターンと連続した個別要素としてプリントされるが、そこでは接触パッド611と、外骨格を除く支持構造体と、は接触しない。この様な構造は接触パッドによる機械的特性への何等の影響も無しに該装具の選択領域での異なる動きを許容する。
【0083】
図19−21で図解されるパッド611は装具の内面の1部である。各パッド611は、水平運動のみならず圧縮でも、柔軟で運動可能である。実施例では、パッド611の各々は接触部分615と、フレームに結合されたステム621とを有する。該パッド611が患者の体の部分に対し圧縮された時、例えば、該装具を患者が着用した時、接触部分615は、フレーム629に対し圧縮されるステム621に対し圧縮される。ステム621は接触部分より遙かに狭く、曲げ可能である。パッド611の接触部分615が水平に動くと、ステム621はパッド611の動きに応答して曲がる。該ステム621は又、ステム621がフレーム629の平面に対し直角方向に動くような仕方でフレーム629に結合されている。かくして、パッド611は装具のフレームに対するパッド611のどんな直角圧縮にも応答して動く。実施例では、装具の部分又は全内面は説明したパッド611を有してもよい。装具に使われたパッド611は全て同一でもよく、或いは各々が異なる設計特性を有してもよい。例えば、皮膚の下の骨の様な堅い面上に置かれたパッド611は、骨及び/又は関節の快適な動きを可能にする柔軟なパッド611を持ってもよい。対照的に、身体の柔らかい範囲上に置かれたパッド611は、柔らかい範囲が同じ多くのパッド作用を要しないので、硬さを有してもよい。図19は1つのパッド611要素の例の断面図を図解する。図20は直接圧縮されたパッド611を図解し、図21は対角線圧縮されたパッド611を図解する。該圧縮された図解では、ステム621はパッド611に印加された圧力に応答して曲がる。
【0084】
他の実施例では、非円形面、種々のばねステムそして種々の換気機構を有する種々の柔軟なパッド設計が使われてもよい。パッドの堅さ又は柔らかさはフレームに対するステムのばね比と、パッドの接触面積と、で定量化される。大きい接触面積と低いばね比を有するパッドは非常に柔らかである。対照的に、小さい接触面積と高いばね比を有するパッドは堅いパッドである。パッドの堅さ又は柔らかさを定量化する式は(パッド表面面積)*(ステムばね比)=Xである。例えば、もしパッド面積が約6.45cm2(1平方インチ)でばね比が1cm当たり約1.49kg(10ポンドパーインチ)ならば、該パッドがフレーム内へ約0.63cm(1/4インチ)圧縮された時、力は平方センチメートル当たり約0.176kg(平方インチ当たり2.5ポンド)である。もしパッドがフレーム内へ約1.27cm(1/2インチ)圧縮されたなら、力は平方センチメートル当たり約0.352kg(平方インチ当たり5ポンド)である。パッドの各々のダイナミックな堅さ/柔らかさ特性は個別に装具内へ設計される。パッド面積は約1.61cm2(約1
/4インチ平方)から約32.25cm2(約5インチ平方)に及び、ステムのばね比は約0.00179kg/cm(約.01ポンド/インチ)から約17.9kg/cm(約100ポンド/インチ)以上に及ぶ。
【0085】
装具設計に付加されてもよい他の特徴は、装具が関節で動く、又は身体に容易に取り付けられ、身体から取り除かれるよう、開かれることを可能にするヒンジを有することである。ヒンジは、装具を膝又は肘関節で動かさせるためにユーザーの膝又は肘の様な関節に配置される。ヒンジの適当な配向を決めるために、種々の関節角度で肢の1連の写真が取られる。例えば、図22を参照すると、膝が曲げられた脚791の第1セットの写真が1つ以上のカメラ121で取られる。図23を参照すると、膝793が僅かに曲げられた第2セットの写真が取られ、図24を参照すると、膝793が真っ直ぐな第3セットの写真が取られる。累積データを使うことにより、設計者は各脚791の位置とヒンジの最も精確な配置との面座標を決定出来る。肘又は膝は固定軸の周りの完全な回転では動かないが、しかしながら設計者は装具用に最も近く適合する回転軸を決定出来る。一旦最良の回転軸が決定されると、設計者はヒンジを装具設計に一体化する。
【0086】
図25−27を参照すると、ヒンジ830は装具801の上部部分822と下部部分824を結合する円形構造体である。実施例では上部部分822と下部部分824は装具801の反対側に設置され回転軸を規定する2つのヒンジ830により連結される。該ヒンジ830は、ヒンジ830の回転摩擦を最小化し、上部部分822と下部部分824のスムーズな動きを可能にするベアリング構造を有する。該ベアリング830はインナーレースとアウターレースを有する。該インナーレースは外径付近に延びるベアリング面を有し、アウターレースは該レースの外径付近に延びるベアリング面を有する。ボールベアリング、ローラーベアリング、他の様なベアリングは該レース間に設置される。該ベアリング材料は金属、セラミック、プラスチック、他でもよい。面座標を用いて、設計者は該ベアリング構造を装具の設計に一体化する。
【0087】
肢を挿入し、取り除くために、装具801はユーザーガ該肢を容易に挿入及び取り除くことを可能にする開き機構(複数を含む)を有してもよい。例えば、装具801は長さに沿い分かれ、一緒に結合される2つ以上の部分に分けられてもよい。該肢を挿入するために、装具全体は開き、そして肢挿入後、装具部分822、824は肢の周りで固定されてもよい。実施例では、装具801は1つの側にヒンジ826を、反対側にラッチ機構828を有してもよい。ラッチ828は解除されるので装具801は開かれる。開きヒンジ(複数を含む)が適当に機能するよう、該ヒンジは装具801の長さに沿って整合されねばならない。特に、装具801が肘又は膝用のヒンジ826を有する場合、上部セクション822及び下部セクション824に結合されたヒンジ826は該装具が開かれるよう整合されねばならない。実施例では、開きヒンジ826は、装具801の上部セクション822と下部セクション824が整合された時、整合される。かくして、該装具801は上部セクション822と下部セクション824が整合された時のみ開いている。
【0088】
外面座標が得られた時、装具の内面は肢の外面とマッチするよう設計されてもよい。これは損傷した肢に完全にマッチする装具又はギブスを提供する。マッチする面は該装具又はギブスがより精確で快適な嵌合を有することを可能にする。設計者は又該肢を支持し保護するのに充分な装具の厚さを決定する。設計者は、装具が開かれ、患者が肢を挿入出来る又は肢を外すことが出来るよう、装具を長さに沿った2つのピースに分けてもよい。
【0089】
図25−27を参照すると、システムは又装具801の長さに沿って延びるヒンジ826用の最良位置を決定する。外面が真っ直ぐでないので、ヒンジ826は直線に沿う装具801の最外部分にのみ設置される。実施例ではコンピュータ設計ソフトウエアは、脚の背部にある真っ直ぐな線の短い距離内にある最長線に沿い延びる好ましいヒンジ826位
置を位置決めする。この構成はラッチが脚の前に設置されることを可能にするが、該ラッチは装具又はギブスが容易に取り除かれる又は取り付けられることを可能にする。例えば、脚装具の背部の最長の直線は該脚のふくらはぎ範囲の背部にある。設計システムはヒンジを、ふくらはぎ範囲の背部に沿って延びる線に沿うよう、そして該線から約1.27から約2.54cm(1/2から1インチ)の様な予め決められた距離内にあるよう集積化する。該設計システムは該ヒンジと装具の湾曲との間のギャップ内をフィラー材料で充たす。ラッチ、クランプ、ラチェット又は他の閉じ機構でもよい閉じ機構が該装具の反対側に結合される。該閉じ機構は装具の内部容積が可変であるように調整可能であってもよい。該閉じ機構は堅くクランプされるので、もし肢が萎縮で小さくなっても、該装具も又適当な嵌合を保持するために小さくされ得る。該装具は、もし該肢が筋肉寸法の増大又は腫れのために大きくなっても拡大され得る。
【0090】
実施例では、上腕又は脚装具は膝ヒンジ又はベアリングの周りで相互に対し動く上下部分を有する。この実施例では、開き機構は装具801の上下部分に各々が結合された上、下ヒンジを有する。設計者は図25に示す様に、装具801の上部部分822と下部部分824を直線818と整合させ、次いで図26に示す様に、直線ヒンジ826を装具801と直線818の交点に挿入する。この例では、ヒンジ826は軸方向に整合された2つのセクションを有する。かくして上部部分822と下部部分824は装具801を開くよう整合されねばならない。装具801の反対側に沿って、該設計システムは図27に示す様に、該装具を一緒に保持する1つ以上の結合機構828を挿入してもよい。
【0091】
現在のギブスに於けるもう1つの問題は該ギブスが空気を肢に対し循環させないことである。これは、肢が容易に清掃されず、死んだ皮膚が除去されないので不快である。肢に対し或る空気循環を可能にするために、装具又はギブスは該装具の表面上に分布され得る換気孔を有するよう設計されてもよい。図28に示す様に、多くの小さい孔903がギブス又は装具901全体上に分布し、内外面間に延びる。これは装具又はギブス901が構造的に非常に強いことを可能にした上だが、それでも空気が皮膚に対し循環することを可能にする。内面は又空気を皮膚に対し流れさせるチャンネル又は溝を該面内に有してもよい。
【0092】
他の実施例では、図29に示す様に、大きな孔914が装具又はギブス912内に形成されてもよい。これらの大きな孔914の下のこれらの範囲は支持又は保護を提供しないので、装具の重要性の低い範囲に大きな孔が位置付けられる。例えば、脚装具が膝を保護するために使われてもよい。かくして、該換気孔は装具が保護するよう意図している範囲には配置されるべきでない。機能的目的に加えて、孔又は何等かの他の装飾的、識別用又は他の特徴部が装具又はギブス設計に組み入れられてもよい。
【0093】
図30を参照すると、実施例では、装具901は複数のアクセス可能な領域902、904、906を有する。該アクセス領域902、904、906は損傷及び患者に依って大きいか又は小さい。該種々の領域902、904、906は写真測定の前に患者上にマーク付けされてもよい。各アクセス領域902、904、906は、装具901によりカバーされる患者の個別部分がアクセスされることを可能にするヒンジ912又は他の解除可能なファスナーへ取り付けられてもよい。該アクセス領域902、904、906は関心のある特定範囲、例えば清掃される又は周期的にチェックされる必要がある創傷範囲、の上に戦略的に置かれてもよい。他の実施例では、アクセス領域902、904、906は又装具901の全長に沿って延びる。装具901でカバーされた肢又は身体範囲全体は、肢又は身体の残りが装具901により保護され、不動化されながら、個別に各領域902、904、906を開くことにより、清掃、検査、縫合跡951の除去又は他の理由でアクセスされることが可能である。図31を参照すると、もう1つの実施例で、装具920は個別アクセス領域922を有し、該装具の上部部分924の残りは一緒に結合されて
いてもよい。
【0094】
図32−37を参照すると、或る実施例では、装具930は、装具911から完全に除去されるモジュールセクションを有するモジュール型構造を備えるモジュール型設計である。この設計は前腕の様な損傷した肢の骨用に有用である。ギブスは医療技術で良く知られている。骨が損傷すると、骨は骨折サイズを整復するようセットされ、手、下腕及び上腕の周りにギブスが置かれる。上腕が治癒すると、該ギブスは除去され、より小さいギブスと取り換えられる。患者は損傷の種類により幾つかのギブス取り換えを経る。これは各ギブスが鋸切断されねばならず、新しい短いギブスが上腕又は脚の上に作られねばならないので、非常に時間が掛かる。又論じられた様に、ギブス鋸を用いたギブスの着用と除去はこれらの手順時鎮静させられる必要がある子供には非常に衝撃的である。
【0095】
実施例では、上腕940、カフ942、肘938、下部前腕932、上部前腕934そして拇指スパイカ936を有する幾つかのモジュールセクションを備えるモジュール型装具930が患者用に設計されてもよい。該セクションは患者が治癒するにつれシーケンシャルに除去されてもよい。患者は種々のモジュールセクション間の接合部にマーク付けされてもよい。該マーキングは写真測定過程で検出され、種々のモジュールセクションが装具930内へ設計される。普通損傷した骨のx線が取られるので、このx線データが写真測定画像で見られ、装具930は身体の損傷範囲で腕を保護するために必要な構造的完全性を以て設計される。該装具930は説明した様に設計され、モジュール型セクションはねじ915、又は装具内に形成された、又は該モジュールセクションに取り付けられた何等かの他の種類のカップリングの様な取り除き可能なファスナーにより各隣接セクションに固定されてもよい。
【0096】
図32を参照すると、もし患者が上腕を損傷すると、最初に腕全体が指から肩まで延びる装具930により不動化される。図33を参照すると、第1期間後、カフ942は上腕モジュール940から除去される。これは肘が隔離期間後、曲げることを可能にする。もしカフ942が上腕モジュール940にヒンジ付けされると、カップリングが開かれる。代わりに、カフ942は、ベルクロ(Velcro)で上腕モジュール940に結合されてもよく、該カフ942を除去するためにアンベルクロされて(un−velcro−ed)もよい。図34を参照すると、第2期間後、上腕モジュール940全体は、肘屈曲を可能にする治療用に好適な時、除去されてもよい。肘を囲み、屈曲を許すが回転を許さない肘モジュール938はなお存在する。
【0097】
図35を参照すると、肘モジュール938が除去され、残りの治療用に‘短腕’ギブスを残す。この上部前腕934はヒンジ912で下部前腕932に結合され、該上部前腕は、治療時腕を静止して保つために閉じるが、皮膚の清掃及び検査用に1時的に開かれてもよい。図36を参照すると、‘拇指スパイカ’936は治療時何時でも除去されてもよく、拇指用の運動を可能にする。最後に、図37を参照すると、装具930の下部前腕モジュール932は、追加の安静と安全用に治療後必要ならベルクロストラップにより位置的に保持される‘添え木’として残ってもよい。
【0098】
他の実施例では、同様な装具が損傷した手、足又は脚用に作られてもよい。例えば、患者が手を損傷した時、最初に手全体は、手根、掌、指及び拇指用の種々のモジュールを有するモジュール型装具内に置かれる必要がある。該装具は又アクセス部分を有してもよい。医者は損傷した範囲のみならずモジュール継ぎ目及びアクセス位置の各々用の望ましい位置をマーク付けしてもよい。該装具は次いで設計され、作られる。装具は次いで全てのモジュールと何等かの必要なパッドと共に組み立てられる。手が治癒するにつれ、個別モジュールは装具から除去され、患者は手の使用を得直す。結果として、患者が完全に回復するまで損傷した指のみが装具内に残る必要がある。手は多くの小さな部品を有するので
、従来の手ギブスを作り、除去するのは難しい。1つの装具のみが必要で、モジュールは患者の治癒につれて簡単に除去されるので、本発明のプロセスは回復過程を大いに簡単化する。
【0099】
指定された時間にモジュールを除去することは治癒過程に非常に重要である。延長時間の間不動の侭に残される関節は非常硬くなる。かくして、出来るだけ早く関節を活発にすることは重要である。下腕モジュール925は、損傷骨が完全に治癒するまで、患者の腕を支持するため着用され続けるのがよい。本発明の装具は従来の場合に優る多くの利点を有する。モジュールが除去されるので、新装具は必要ない。装具モジュールが除去可能なので、医者は肢を検査出来て、患者は必要なら肢を清掃出来る。患者は損傷した肢がマーク付けされ撮影された後、病院に留まる必要はない。ギブスを周期的に取り外して、取り換えねばならないのに比較して、各セクションが取り外される時、実質的に時間が節約される。もし肢が萎縮のため収縮するなら、追加のパッドが装具内に挿入されても良い。最後に、もし患者が該肢を再度損傷した場合、該肢が著しく変わってなければ、誂えたモジュール型装具が再使用されてもよい。適当な寸法であるのに加えて、装具又はギブスは必要な使用法には充分強くなければならない。ランニング又はジャンプ時、足根関節装具又は歩行用ギブスはユーザーの重さと衝撃を支える必要があり、上腕装具又はギブスも普通の使用力に対抗出来ねばならない。実施例では、装具又はギブスの強度は、装具又はギブス部品の形状と該部品を作るため使われる材料で決定される。適当な材料は高強度ポリアミドの様な高強度プラスチック、金属、合金及びエポキシバインダー内の炭素繊維の様な複合材料を含む。
【0100】
もう1つの実施例では、皮膚上のマーキングが骨の輪郭のパッド用範囲、或いは輪郭を保持するため長時間追加のパッドを付加する範囲を決める。このシステムを使って、適合用パッドは、ギブスの内壁内の“被適合領域”の限界内に適合するよう、同じ過程によりプリントされてもよい。漸進的厚さの適合用面パッドの配列が作られ、初期ギブスと共に健康管理提供者に提供されてもよい。該内側適合用パッドは付加的製造技術により作られる柔らかく柔軟な材料で作られてもよい。
【0101】
該内側パッドは換気改善用に外側の外骨格の換気孔にマッチする多孔性を有してもよい。該内側パッドは、該パッドが正しい配向で正しい位置にスナップ式に入るよう該パッド内に製造されたロック用デバイスを有してもよい。代わりに、該パッドを装具に取り付けるために接着剤が使われてもよい。パッドと装具が共に誂えで作られるので、それらは、何処に、そしてことによると如何に、パッドと装具が相互に取り付けられるべきかを示すテキスト、カラーコード又は表象であってもよい位置標識でマーク付けされてもよい。例えば、パッド上の該テキストは“パッド内の孔Aにコネクターを取り付けることにより装具の上部背部セクションにこのパッドを取り付ける”と述べてもよい。
【0102】
身体が治癒するにつれ、運動不足は萎縮をもたらし、該萎縮は体を収縮させる。かくして、第1セットのパッドは薄い。元の薄いパッド付きの装具又はギブスは最早適当に適合しなくなったら、該薄いパッドは除去され、厚いパッドと取り換えられる。適合するパッドの配列は必要になると期待される種々の厚さを有する。パッド用のデジタル設計が記憶されるので、追加のパッドは記憶されたパッド設計から作られる。
【0103】
CADシステムは装具又はギブスの負荷支持部材を設計するため使われてもよい。一般に、ギブス又は装具はユーザーが必要とするより遙かに強い。代わりの実施例では、設計者はユーザーの重さと活動レベルをCADシステムに入力し、期待される負荷に基づき必要な強度を計算してもよい。該CADシステムは次いで該負荷要求をサポート出来る負荷支持構造体を設計する。
【0104】
本医療デバイスは、迅速プロトタイプ化過程により同時に作られるよう設計された単一又は多数ピース構造体として設計される。代わりに、本医療デバイスは使用前に組み立てられる多数ピース構造体として設計されてもよい。この多数ピース構造は製作期間の意味でより効率的である。空間効率的でない単一ピースとして装具を形成するより寧ろ、装具は後で組み立てられる複数の平坦セクションから作られてもよい。装具が大きな開いた中央容積を有するよう設計される時、製作機械は該装具を作るが、中央容積は空である。該中央容積が空でも、或いは他の構造体で充たされていても、製作機械は同じ速度とコストで動作する。かくして、装具を複数の平坦セクションとして設計することにより、1つ以上の装具用部品がより効率的な仕方で同時に作られる。該部品が作られた後、該部品は例えば図10で図解される様に、装具を形成するよう組み立てられる。
【0105】
一旦設計が終了すると、CADシステムにより作られた設計データは該装具又はギブスを作るために使われる。装具又はギブス用の情報はデジタルフォーマットであるから、装具又はギブスは何処で作られてもよい。好ましい実施例では、製作はローカルで行われるので、患者は出来るだけ速く装具又はギブスを受け取ることが出来る。代わりに、患者は遠隔位置に居て、装具又はギブス設計情報が工業地域に位置する製作者へ電子式に送信されることも容易に出来る。該装具又はギブスはその設計データを使って作られ、遠隔の田舎の位置に位置する患者へ出荷されることも出来る。
【0106】
好ましい実施例では、装具又はギブスは、液体又は粉体材料の槽へ向けられたエネルギービームを使う迅速プロトタイプ化過程により作られる。同様な製作過程は、付加的製造、迅速製造、積層式製造、3次元プリント、選択レーザーシンタリング{エスエルエス(SLS)}、溶融堆積モデリング{エフデーエム(FDM)}、ステレオリトグラフィー{エスエルエイ(SLA)}、電子ビーム溶融{イービーエム(EBM)}及び他の方法として知られる。これらの製作過程は材料を横切るよう屈折され、露光材料を硬化させるエネルギービームを使う。もう1つの可能な製造過程は溶融材料堆積である{エフデーエム(FDM)}。
【0107】
断面設計データは、シーケンシャルなシリーズの層で主な又は全体の装具又はギブス組立体を作る製作機械により使われる。材料の各層が硬化されると、誂えのギブス、装具又はデバイス部品の完成部分は槽内へ垂直に移され、次の断面層が形成され、隣接する形成済み層へ溶融される。全層が形成されると、誂えギブス、装具又はデバイス部品は完成する。該構造体は該デバイスを完成するに必要な単一ペース又は多数ピースの組立体であってもよい。該製作過程は摺動する面を創るよう精密に制御されるので、例えヒンジ付けされる部分でも該装具又はギブスの他の部分と同時に作られてよい。
【0108】
1実施例では、該装具又はギブスは1つの集積化された構造体として作られるので、仕上がり製品は完全である。上記で論じた様に、本発明の装具又はギブスの運動部品は、膝又は肘又は回転部品を有する開き用ヒンジに結合される。例えば、該開き用ヒンジは孔内で回転するロッドを要するベアリング部品を有してもよい。迅速プロトタイプ化法はロッドと対応する孔とを同時に作る。
【0109】
他の実施例では、該部品が同じ材料に対しスライドしないよう、付加的部品がギブス又は装具に付加される。 実施例では、ブッシング又はベアリングが回転点で装具又はギブスに付加される。該ブッシングはステンレス鋼、セラミック、デルリン(Delrin)又はテフロン(Teflon)の様な潤滑性材料製である。他の実施例では、ベアリングが使われる。該ベアリングはローラー、ニードル、ボールベアリング又は何等かの他の種類のベアリングを有するシールされたユニットであってもよい。該ベアリング材料はセラミック、金属又はプラスチックであってもよい。スライドする面間に該ブッシング及び/又はベアリングを保持するために既知の機構が使われてもよい。
【0110】
もう1つの実施例では、身体又は損傷肢の表面データがもう1つの走査過程を通して得られ、CADシステムに入力されてもよい。例えば、身体又は肢は3次元光学的スキャナーで走査されてもよい。該身体又は肢は、完全な3次元デジタル画像を得るために多数の側から走査されねばならない。該スキャナーは身体又は肢の表面上の多数点用の幾何学的測定値のデータセットを創る。該3次元デジタル画像の精度と詳細は該身体又は肢のより多くの測定値を取ることで改善される。適当な手持ち式レーザースキャナーはポルヘマス(Polhemus)によるファストスキャン(FastSCAN)システム及びハンディスキャン(Handyscan)によるハンディスキャン3次元デーシステム(Handyscan 3D system)を含む。光学的スキャナーの欠点は身体の表面を検出するのみではないが、患者上に置かれたマーキングを検出しないことである。又走査は、光学的ビームが患者の体全体上を動かされる必要があるので、実質的な量の時間を取ることである。患者は該走査過程中非常に静止して留まらねばならない。論じた様に、この静止要求は乳児又は動物の鎮静処置無しには極端に難しい。これらの欠点のために、患者用に表面及びマーキングデータを得るためには写真測定が好ましい方法である。
【0111】
走査データはCADプログラムにより読まれ得る使用可能な表面フアイルに変換される。特に、身体又は肢の走査からの表面データは、再生過程を通して該身体又は肢の形状を外挿するために参照される。該再生過程は、多角形モデルを形成する多くの小さな多角形形状から連続面を作るために、該走査された身体又は肢のデータからの線に隣接点を接続する、ポイントクラウド(point cloud)として知られるアルゴリズムを使う。該再生過程により作られたデータは、身体又は肢の表面に密接してマッチする連続3次元デジタル表現である。スキャナーデータ再生過程を行うため使われるソフトウエアの例はジオマジック(GeoMagic)によるジオマジックスタジオ(Geomagic Studio)と、パラメトリックテクノロジー社(Parametric Technology Corporation)によるプロ/エンジニヤ用(Pro/Engineer)のプラグインモジュールであるプロスキャンツール(Pro Scan Tools)である。該身体又は肢用の再生表面フアイルはギブス又は装具設計用のCADプログラムへ入力される。
【0112】
1実施例では、部品又は関節形成する装具は迅速プロトタイプ化機械を使い同時に作られる。部品は容易に同時に作られるが、装具の反対側に設置される膝関節の様な部品を創るのは難しい。実施例では、膝関節は一体化された又はモジュール化された機構として設置されるボールベアリング構造を有する。レースとボールベアリングを同時に作るより寧ろ、該関節はベアリングレースだけで作られてもよい。製作後、該ベアリングは該レース部品間に挿入される。該ベアリングはスムーズなスライド機構を提供し、又該スライド部品間の嵌合をきつくする。もし該ベアリングが摩耗したなら、それらは取り換えられるので脚装具は修理される。代わりに、該ベアリングは、摩耗した時除去され、取り換えられるモジュール設計であってもよい。なおもう1つの実施例では、関節は、摩耗した時取り換えられるスライドするモジュール型ブッシングであってもよい。
【0113】
論じた様に、写真測定は患者に関する追加情報を装具設計者及びCADソフトウエアに示すため使われる他のマーカーを検出出来る。膝の回転軸は該膝の画像を得る前に決定され、示される。例えば、軸を示す細長いロッド又は何等かの他のマーカーが回転軸を示すために膝のどちらかの側に置かれてもよい。該ロッド又はマーカーは検出され、CADソフトウエアはこのマーカーが回転軸を示すと解釈する。代わりに、図22−24を参照して上記で図解した様に、多数曲げ角度で取られた膝の多数画像に基づき回転軸を得ることも可能である。同様なマーカーは、誂えの装具又はデバイスで必要な何等かの他の関節の回転軸を示すために使われてもよい。
【0114】
運動の範囲が関節により制御されるので、脚装具の膝関節内の停止部を使うことにより運動範囲を限定することが出来る。1実施例では、該停止部は、患者が治癒するにつれて変更可能であり、調整可能である。最初に、運動範囲は狭い運動に限定される。患者が治癒するにつれて、患者が肢及び/又は身体用の完全な運動範囲を取り戻すまで拡げられてもよい。実施例では、弾性抵抗機構が該運動範囲の端部に付けられてもよい。かくして、直ぐ前の予め決められた角運動が増加する弾性ばね力により対抗される。停止部と同様に、弾性領域は可変であり、患者が治癒するにつれ、普通拡大される。
【0115】
1実施例では、CADシステムはグラフィカルユーザーインタフエース{ジーユーアイ(GUI)}を有し、該インターフエースは設計者が装具又はギブスの外観を容易に変えることを可能にする。該ジーユーアイは特別の、誂えの、所有者のアップリケーションであっても良く、或いは単にプロ/エンジニヤ(Pro/E)内部に組み込まれたCADモデルであってもよい。該ジーユーアイは、ユーザーの皮膚のカラーにマッチするのが好ましいが、又どんな他のカラーであってもよい特定のカラーで装具又はギブスが見られることを可能にする制御部を有するのがよい。
【0116】
設計者が該装具又はギブスの設計を完了すると、該CADソフトウエアで作られた該設計データはユニークな、誂えで作られる装具又はギブスを創るために使われる。迅速プロトタイプ化は、金属及びプラスチックを含む種々の材料から部品を作るためにデジタル設計データとソフトウエアを使うシステムの総合カテゴリーである。これらの機械は液体又は粉体材料の槽を横切って屈折させられるエネルギービームを使うことが多い。該エネルギービームへの露光は材料を一緒に溶融、硬化させる。これらの製作機械は全ての誂えのギブス又は装具部品を創ることが出来る。
【0117】
該迅速なプロトタイプ化機械でギブス又は装具部品を作るために、CAD設計データは修正される必要があるかも知れない。部品用の普通のCAD設計データは多くの平行断面のベクトルデータに変換されるが、該ベクトルは該部品の長さに沿って延びている。該CADソフトウエアと製作機械との間で送信されるデータは部品断面の形を多くの接続された3角形の子面により近似する。小さな子面はより高い品質の面を作るが、より多くの計算時間を要し、非常に大きい製造データセットを創る。CAD設計プログラムの出力は、JPGエクスポートと同様なエクスポートオプションである標準エステーエル(STL)フアイル、又は何等かの他のフアイルフォーマットであってもよい。
【0118】
部品断面用のベクトルデータは迅速プロトタイプ化用スキャナー制御器により読まれるが、該制御器は該ベクトルデータを運動情報に変換し、該情報はエネルギービーム走査ヘッドへ送られる。レーザービームによる実施例では、該迅速プロトタイプ化機械は液体又は粉体材料槽上で該レーザービームをX及びY座標で屈折させる2つのミラーを有する走査ヘッドを備える。次いで該製作情報は、各部品断面を連続して創るために、プリントヘッド断面を制御するよう使われる。該走査ヘッド制御器は該製作データを読み、プリントヘッドに液体、粉体又はシート材料の連続層をレーザー光の精密パターンへ露光させる。一旦該層が完全に形成されると、該部品は該槽内へ移されるので、材料の薄槽が前に形成された層をカバーする。該過程は多数回繰り返され、新しい層は形成され、前に形成された層へと溶融される。電子ビームによる実施例では、電子ビームは材料槽上で磁場を用いてX及びY座標で屈折される。部品断面は、部品製作が完了するまでシーケンシャルに形成される。
【0119】
付加式製作迅速プロトタイプ化の主要な利点は、非常に複雑な形状と幾何学的特徴部を創る能力である。軽量で強いギブス又は装具が、迅速プロトタイプ化機械で、光重合体の様なプラスチック材料から作られる。迅速プロトタイプ化の追加の利点は複雑で、相互リンクしたそして組み立てられた部品を1回のランで創る能力である。対照的に、従来技術
で使われる従来の手段は個別製造の多くの部品と、それに続く該部品の組立を要した。かくして、例え個別部品はそれら自身は作るのに非常に僅かなコストしか掛からなくても、組立は著しいコスト追加を要した。
【0120】
該迅速プロトタイプ化過程は熱可塑剤、光重合体、金属粉、共晶金属、チタン合金、及び他の材料を含む種々の材料に適用される。本発明のギブス及び装具は低廉であるよう意図されているので、好ましい材料は熱可塑性材料である。幾つかの適当な迅速プロトタイプ化機械の例はエーオーエス社(EOS GmbH)によるレーザーシンタリング機械、アーカムエイビー(Arcam AB)による電子ビームシンタリング機械、そして3次元システム社(3D Systems Corp.)によるレーザーステレオリトグラフィー機械(laser stereo lithography machine)及び選択レーザーシンタリング機械(selective laser sintering
machines)を含む。同様の製作過程は、付加的製造、迅速製造、積層製造、3次元プリンティング(3D printing)、レーザーシンタリング、電子ビーム溶融{イービーエム}、他の名前により既知である。全てのこれらの製作過程は、部品全体が完成するまで、各層を形成するために精密パターンの材料を固体化するよう、材料の槽上でエネルギー付与したビームを走査する同じ動作原理を使う。
【0121】
もう1つの可能な製作過程は溶融材料堆積{エフデーエム(FDM)}である。エフデーエムは材料を層として置くことによる“付加的”原理で作動する。プラスチック繊維又は金属ワイヤがコイルから解かれ、流れを回したり止めたりする押し出しノズルへ材料を供給される。ノズルは材料を溶融するよう加熱され、CADソフトウエアにより直接制御される数値制御機械により水平及び垂直の両方向に動かされる。ステレオリゾグラフィーと同様な仕方で、該プラスチックがノズルからの押し出し後直ちに硬化する時、モデルは層から形成される。
【0122】
本発明の装具又はギブスはシーケンシャルな過程で作られる。実施例では、患者の肢又は体の部分は基準点でマーク付けられ、撮影される。該写真は処理され、基準点は肢用3次元表面データを創るよう3角法で測定される。該写真は種々の位置の肢のデータを有し、該写真は動く膝又は肘の位置を決めるために使われる。設計者は開きヒンジ、閉じ機構、装飾的特徴部、膝又は肘回転機構の様な付加的特徴部を該装具又はギブスに追加してもよく、そして最終設計は次いで電子データフアイルに変換される。該装具又はギブスデータフアイルは迅速プロトタイプ化機械に送信され、該機械は光重合体材料から、ことによるとの単一製作過程で、該装具又はギブスを創る。ブッシング、ベアリング、又は足裏インサートの様な何等かの付加的部品が必要とされ、製作設備に備えられてもよい。完成した装具又はギブスは次いで末端ユーザーへ配送される。デジタルデータは、メール経由で、携帯電話又は衛星経由で電子的に、デジタルメディヤ上に送信されてもよいので、本発明の過程は装具又はギブスの設計、製作及び配布を大幅に改善する。
【0123】
本発明のシステムが特定の実施例を参照して説明されたが、しかしながら本発明のシステムの範囲から離れることなくこれらの実施例に追加、削除及び変更が行われ得ることは理解される。例えば、身体又は肢の装具を設計、製作するため説明された同じ過程は肩スパイカ、股関節スパイカ、スパイカギブス、パブリク装具(Pavlik brace)、内反足ギブス、メタ細動脈内転ギブス、ブラウント(Blount)病ギブス/装具、足根関節足矯正器、小児足根関節ギブス、小児歩行ギブス、脊柱テーエルエスオー装具(spine−TLSO braces)、ハロ身体ギブス(halo body cast)、頸部カラー、斜頸装具及び他の医療デバイスの設計及び製作に適用されてもよい。他の実施例では、誂えの椅子、シート、サドル、運動機器、靴、パッド、ヘルメット、モーターサイクル及び自転車用シート、ハンドルバー及びハンドグリップ、他を含む人間により使われる他の製品用に本発明の過程を使うことは可能である。説明された装置及び方
法は又、動物用装具及びギブスそして馬及び騎手用誂えサドル用に使われてもよい。説明される装置と方法は又、自動車ボデイ修理及び表面輪郭の再生を要する他の物体の修理又は再生、を含む他の応用に使われてもよい。実施例では、本発明の過程は宝石の様な彫刻的及び特にデザインされた品物の修理又は取り換えに使われてもよい。これらの品物は芸術家により作られ、次いで撮影され、デジタル表現が記憶されてもよい。該品物がもし損傷され、粉失され、破壊されたならば、該デジタルデータが該品物を再生又は修理するよう型を作るため使われてもよい。説明された誂えのギブス、装具及びデバイスは種々の部品を有するが、これらの部品と説明された構成は種々の他の構成に変型され、再配置されてもよいことは良く理解される。
【関連特許出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は2008年11月9日出願の名称“装具及びギブス”の米国特許仮出願第61/112,751号、2009年4月9日出願の名称“整形外科装具”の米国特許仮出願第61/168,183号、及び2009年6月10日出願の名称“誂え骨折装具”の米国特許仮出願第61/185,781号より先んずる優先権を請求するものであり、上記3出願は引用によりここに組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
回復時、身体の部分を保護するため使われる種々の種類の装具及びギブスがある。装具は関節の動きを限定するため使われ、そして損傷を防止するか、又は該損傷と相関する動きを防止することにより関節を治癒させるのに有用である。伸張材料製の普通の装具は弾性を有し、又幾つかの硬い部品を有する普通の装具はヒンジ付けされる。弾性的装具は、優れた呼吸可能性と装着快適性を提供する綿、リクラ(Lycra)ナイロン又は他の混合物の様な織物材料製であることが多い。これらの装具は肘、手根、脚及び膝に適合し、運動の自然な自由度を提供する。装具は典型的に在庫品物であり紐で患者の身体に固定される。装具は患者の体ともっと堅い装具構造体との間に置かれるパッド又は他のクッション物を有してもよい。柔軟な在庫装具は、運動の制限と目標身体部分の追加的支持とのために低廉な様式(modalities)とを提供する。しかしながら、柔軟材料の使用と一般的寸法取りは該在庫装具が提供出来る制御量を限定する。与えられた個人にとって、該“在庫”装具は限られた適合性しか提供しない。回転軸は生来の関節軸に対して精密に配置されず、位置、適合性、そして運動制御でもっと高い精度を要求する臨床的範囲の運動補強状況に余り有用でない。
【0003】
通常、ヒンジ付き装具は弾性的装具又はネオプレン装具よりも大きな支持と安定性を提供する。ヒンジ付き装具は運動装具範囲の部分集合である。膝及び肘の様な多くの可動結合関節のリハビリ又は治療用には、良い臨床的、機能的結果を達成するために、損傷、手術又は治療後、早期の運動を要する。運動装具は、健康管理提供者により確立された運動拘束を伴う適当な平面内の管理された運動を許容しながら、損傷関節への支持を提供する。早期の運動が無ければ、長期の運動の低下を伴う硬直となり、次善の臨床結果となる。ヒンジ付き膝装具は、損傷に続く、又は手術後の、膝関節の強めた支持を提供するよう動くダイナミック装具の例である。ヒンジ付き膝装具は膝内の靱帯損傷の治療用に又は手術時ベースで使用される。それらは膝内の前十字靱帯損傷及び内部側副枝靱帯損傷の治療用に最も頻繁に使われる。又これらの装具は損傷後の選手により保護ベースで、そして保護用にルーチンベースで該装具を着用するフットボールラインマンの様に予防ベースで使われる。リハビリ用取り外し可能な膝装具は運動装具の範囲としても利用可能である。これらの装具は、屈曲及び伸張の両面の運動程度を指定し、限定することが出来る装具に組み入れられるヒンジを有する。これらは又“ドロップロック(drop lock)”機構を用いて完全伸張状態にロックされ得る。これらの範囲の運動装具は、運動範囲が制御された設定で進められねばならない外傷設定又は再生設定で使われることが多い。他のダイナミックな添え木は、関節拘縮の設定で運動増加を達成するために関節に印加される追加応力を提供する。これらの装具は運動終端での追加力を印加し、関節を延ばすのに役立つ。
【0004】
装具又は添え木と対照的に、ギブスは、四肢又は身体部分を不動化し、保護するために使われる環状デバイスであるのが典型的である。成形外科的ギブスは石膏又はガラスファイバーで作られることが多い環状シェルで、治癒を可能にするために、壊れた骨又は複数骨を位置的に保持するよう、四肢、或る場合は、体の大きな部分を囲む。上肢ギブスは上
腕、手根及び/又は手を囲むギブスである。長腕ギブスは手から腋窩下約5.08cm(2インチ)まで該上腕を囲み、指及び拇指を自由に残す。対照的に短腕ギブスは肘下だけを止める。両種は、損傷と医者の決定に左右されて、1本以上の指又は該拇指を含んでもよく、その場合該ギブスは指スパイカ(spica)ギブス又は拇指スパイカギブスと呼ばれる。下肢ギブスは同様に分類され、足と、脚から大腿までとの両者を囲むギブスは長脚ギブスと呼ばれ、一方足と膝下の長脚とのみをカバーするギブスは短脚ギブスと呼ばれる。回復期中に不動四肢上で歩くことを期待される患者には、歩行踵が適用されか、又はカンバス、革又はゴムのギブス靴が提供される(重さ支持していると呼ばれる)。患者が損傷四肢上で歩くべきでない場合、松葉杖又は車椅子が提供されてもよい。又脚ギブスの足底は、もし靴底鋲(toeplate)を提供するなら、足指の先端まで延ばされてもよい。この追加は、中足骨への支持を提供し、中足骨を安定させ、そして足指を追加の外傷から保護するよう行われる。これは損傷した足用の普通の治療である。或る場合、ギブスは上腕及び下腕と肘とを含むが、手根及び手を自由に残すか、又は上脚及び下脚と膝とを含むが、足と足根関節を自由に残してもよい。この様なギブスは円柱ギブスと呼ばれるか又は単に長腕又は長脚ギブスと呼ばれる。
【0005】
整形外科用ギブスは典型的に一回使用の、非取り外しデバイスであり、該ギブスは環状に患者に付けられ、患者により取り外されるよう意図されてない。ギブスの何等かの取り外しは、下にある綿層の適合性を破り、該デバイスの取り換えに到るのが典型的である。中で、構造部品が環状でない不動デバイスは添え木と呼ばれる。これらは身体部分に堅さを付けるが、他の平面内の運動、拡張又は調整を可能にするのが典型的である。
【0006】
ギブスは医者又はギブス技術者により層状に付けられるのが典型的である。ギブスを受ける身体部分は、薄い織られた綿の層又はストッキネット(stockinette)で最初カバーされる。該部分は次いで積層式に付けられるウエブリル(Webril)の様な薄い緩い綿捲きで重ね捲きされる。該綿を出来るだけ均一に付ける試みがなされるが、それは何等かの重なり又は不完全さは一旦堅い外側シェルが付けられると将来の皮膚破れの源になるからである。より大量の綿パッド層がギブスの端部領域上に付けられるのが典型的である。骨の隆起も追加のパッドを受ける。一旦パッドが付けられると、身体部分は石膏か又はファイバーグラスで捲かれる。これらの材料は自己硬化性であり、該身体部分の周りに捲く前に水に浸すことで賦活される。ギブスは環状デバイスであり、該石膏/グラスファイバーは身体部分の周りへの捲き付けとして付けられる。医者は次いで、該ギブスに重要面内で該身体部分へ適合し、該部分を支えさせる意図で該ギブスに型を適用する。例えば、骨折の治療では、変位を避けるために、骨折のありそうな崩壊又は変形の平面内で3点型(3 point mold)が適用される。ギブスは環状であるから、フープ応力は該型に直交する平面内でギブス寸法を拡げる傾向がある。ギブス成形の制御は開業医の熟練、付けられるパッドの量、材料上の引っ張り量そして硬化過程時のギブスの適当な成形作業に左右される。一旦該ギブスが硬化されると、該ギブスはトリミングされ、シャープなエッジに取り組むために必要なら追加のパッドが該エッジに付けられてもよい。
【0007】
該ギブスの不完全な取り付けは、皮膚破れ、不快感、救急処置室搬送、仕切り症候群、固定又は骨折整復の消失、骨折の不良結合、手術介入の必要性、神経損傷、脈管外傷を含む多数の混乱を招く。取り除きを伴うギブスの改訂と新ギブスの取り付けは屡々発生し、コストと患者の病状に著しく関係する。
【0008】
体の体幹を、或る場合は頭までの又は頭を含む頸部を又は1本以上の四肢をカバーする身体ギブスは今日成人用には稀にしか使われないが、小児科条件の治療用に普通使われ続けている。身体ギブスは患者の体幹を囲み、肩上に延びるセクションを有してもよい。身体ギブスは通常身体被覆と呼ばれる。体の体幹と1本以上の四肢を含むギブスと、上腕の“幹(trunk)”と1本以上の指又は拇指を含むギブスはスパイカギブスと呼ばれる。例えば肩スパイカギブスは身体の体幹と、通常手根又は手までの1本の上腕を含む。肩スパイカギブスは今日使われる頻度は減り、治癒後の関節硬直を避けるために損傷の早期の可動性を可能にする特殊な添え木とスリング(sling)で置き換えられた。股関節スパイカギブスは体幹及び1本以上の脚を含む。1本の脚から足根関節又は足までのみをカバーする股関節スパイカギブス単一股関節スパイカと呼ばれ、一方両脚をカバーするものは二重股関節スパイカと呼ばれる。一つ半股関節スパイカギブス(one−and−a−half hip spica cast)は、1本の脚から足根関節まで又は足までと、もう1本の脚から膝の上までと、を囲む。股関節スパイカが体幹をカバーする長さは損傷及び手術に大いに左右される。例えば、スパイカギブスは臍までしか延びず、脊椎の可動性と松葉杖の助けを借りた歩行の可能性とを許容するか又は該ギブスは胸郭までか、又は或る稀な場合は腋窩までも延びてもよい。股関節スパイカギブスは以前は大腿骨骨折の整復用に普通であったが、今日は小児股関節条件の治療用に普通用いられる。或る場合は、股関節スパイカギブスは1本以上の脚から下方へ膝上まで延びるのみである。パンタローンギブスと呼ばれるこの様なギブスは損傷腰椎又は骨盤を不動化するため使われ、その場合ギブスの体幹部分は通常腋窩まで延びる。
【0009】
身体ギブスは特殊フレームを使用し、多数の技術者又は医者を煩わして付けられるのが典型的である。患者はもし成人であれば、鎮静剤を要する。小児患者に付けられる身体ギブス又は股関節スパイカギブスは通常は一般的麻酔を要し、該ギブスは手術室で付けられる。身体及び股関節スパイカギブスは6から12週間の長期間着用されるのが典型的である。該デバイスを取り換えるニーヅには過剰なコストと病気状態が付きまとう。装具の汚れは屡々発生するので小児スパイカギブスについては消毒は難しい問題である。ギブスを取り換えるために一般的麻酔を要することは医学的理由の他の理由でのギブス取り換えへの強い妨げとなっている。
【0010】
損傷脊椎の保護用、又は側弯症の様な脊椎変形の治療の1部、として使用される他の身体ギブスにはミネルバギブス(Minerva cast)又はリッサーギブス(Risser cast)がある。ミネルバギブスは患者の頭のみならず体幹を含み(時には胸郭程の遠さしか延びない)、患者の顔、耳そして通常頭の頂部と髪用に開口部が提供される。該リッサーギブスは同様であり、患者の股関節から頸部まで延び、時には頭の一部を含む。
【0011】
ギブスは石膏製であることが多く、四肢及び/又は身体を囲む。石膏包帯は、濡らされた後硬化する焼石膏を含浸された綿包帯から成る。代わりに、合成材料製の包帯がギブスに使われることが多い。例えば、ギブスはポリウレタンで含浸された編まれたガラスファイバー包帯製であったり、時には熱可塑性の包帯であることが多い。これらの合成材料ギブスは石膏ギブスよりも軽く、遙かに速く乾燥する。
【0012】
ギブスは患者の体に直接付けられるので、それらは誂え填めを有する。対照的に、普通の医学的損傷又は条件用の大抵の装具は在庫品目であり、患者への適合用に調整される。より厳しい損傷用、慢性的条件又は手術時の不動化、用には、より高い装具制御性及び適合性が必要である。これらの患者は、補てつ外科医及び矯正器外科医の様な専門家により屡々作られる誂え装具の使用を要する。これらの専門家は彼等がそれから患者の正のモデルを作る患者の型を取るのが典型的である。この正の型の周りに、該補てつ外科医は材料を捲き、誂えデバイスを作る。パッド及び強化物の量は該矯正外科医の臨床経験と装具製造の“技術”に基づく。誂えの補てつ、装具及び矯正器が設計されると、開業医は患者の柔らかい組織と骨構造を感じる彼等の手に依ることが多い。該開業医は彼等が組織の下で感じる骨の隆起を識別し、これらの位置をランドマーク基準点としてマーク付けするが、該点を彼等は該身体用誂えデバイスを創るために使用することが出来る。開業医は該患者
と共に繰り返しベースで作業するが、患者に適合する装具を創る患者のモデルはその臨床的使用に際して適当なパッド及び支持部を有することがなお必要である。
【0013】
装具製作の従来の方法には多くの限界がある。過程全体は非常に労働集約的で非効率である。寸法取り及び製造の方法の制限は最終製品を限定して来た。製造の制約は設計の選択と最終製品の機能を限定して来た。誂えのデバイスは労働集約的でそれらは幾何学的複雑さで限定される。誂えデバイスは又非常に不正確であり、何故ならばそれらは手作りであり、単に患者の体を漠然と表すに過ぎないからである。手作り過程は又柔らかいスポット、発疹、あざ、ほくろ、乳首、縫合痕、打撲傷、特別の隙間又は回避を要する皮膚上の他の範囲、用の隙間又は誂え窓を含む誂えデバイスへの特別の調整を許容しない。必要なものは患者へより精密に適合され、より薄く、より強く、より快適で、そして選択的に柔軟な装具を設計する改良されたシステムと方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許仮出願公開第61/112,751号明細書、Brace And Cast、2008年11月9日出願
【特許文献2】米国特許仮出願公開第61/168,183号明細書、ORTHOPEDIC BRACES、2009年4月9日出願
【特許文献3】米国特許仮出願公開第61/185,781号明細書、BESPOKE FRACTURE BRACE、2009年6月10日出願
【発明の概要】
【0015】
本発明は患者からの走査データに基づき誂えの装具、ギブス又はデバイスを作る過程に向けられている。好ましい実施例では、患者についての表面データが患者の複数の写真から得られる写真測定過程が使われる。患者の表面を精密に測定するために、種々の異なる方法で患者の皮膚に基準点が付けられる。該表面は、各写真で見られる少なくとも12の良く分布した基準点と、対象の全表面について少なくとも20の基準点を有すべきである。より多くの基準点は対象のより精密な測定に帰着する。マークは患者の上に、又は患者が着るストッキネット(stockinette)の様なフォームフィッティングカバー(form fitting cover)上に、直接置かれたインク、ステッカー又は他のマーキングにより形成されたドットであってもよい。実施例では、該フォームフィッティングカバーの布は該ドット、模様パッド又は交叉線の格子でプリントされるので、患者は該カバーが患者により着られるや否や基準点のセットを有することになる。なおもう1つの実施例では、患者上に光のパターンを投射するため光プロジェクターが使われてもよい。該光のパターンはスポット点の配列、交叉線の格子、又は患者上の点の画像が検出されることを可能にするどんな他のパターンでもよい。患者上の該光は、該マーキングがプロジェクターで患者上に投射される白又はカラー付き光マーカーであるので役立つ。患者の全ての必要な面上に該光を投射するために多数のプロジェクター又は鏡が必要である。
【0016】
患者の身体表面の表面輪郭を得るための基準点に加えて、医者又は開業医は又装具の他の特徴の位置を示すために患者の身体の範囲をマーク付けしてもよい。例えば、マーキングは、装具の終端エッジ(複数を含む)、パッド範囲、骨の隆起、皮膚の敏感な範囲、孔、窓、病理学的サイト(骨折又は手術サイト配置)、該装具が患者の輪郭に対し精密には作られるべきでない下にある解剖構造(棘突起及び脊柱の整合を外す)凹部範囲、及び該装具内に形成されるべき他の特徴を示してもよい。該マーキングは患者上又は患者が着るフォームフィッティングカバーの上に直接作られるべきである。基準点の様に、該追加のマーキングははっきりした可視的コントラストを提供せねばならない。該マーキングは該マーキングに於いて形成されるべき特徴の種類を示すためにカラーに依るか又は他の仕方
でコード化されてもよい。識別された領域での変形の程度又は量、窓の種類又は他の装具の特徴を示すために種々のコード化が使われてもよい。マーキングは追加的情報を提供する3次元的な物(複数を含む)であってもよい。例えば、ロッド、矢印又は他の物体マーカーが関節の回転軸又は他の特徴を示してもよい。
【0017】
患者がマーク付けされた後、ギブス又は装具を要する患者の身体の部分は1つ以上の静止又はビデオカメラの前に置かれる。該カメラは患者の身体の1つ以上の側に面し、既知の距離だけ相互に隔てられる。或る実施例では、周囲内で身体の静止画像又は写真の完全なセットが取られるよう、患者の周りに1セットのカメラが配置されてもよい。このましい実施例では、該カメラは2つのカメラのグループで配置される。該2つのカメラは相互から離れるようカメラを隔てるブラケット上に設置される。該2つのカメラは患者又は患者の四肢の方へ略同じ方向で狙いを付けられるが、或る角度だけオフセットされる。好ましい実施例では、該カメラのレンズは第1平面では相互に平行であり、第2面では相互の方へ角度付けられる。その隔たりと角度は該2つのカメラが患者の身体の同じ部分を含む映像を、僅かに異なる角度から取る。該身体上の基準点は表面輪郭を得るために該映像から3角法で測定される。もし患者全体を巡る写真が必要なら、カメラの3つ又は4つのグループが患者の周りに配置され、患者に向けられる。該カメラはカメラの全部を同時に駆動する1つのスイッチに接続される。該カメラは又フラッシュ機構に接続されてもよい。1つのカメラ用のフラッシュは駆動される1つのカメラのシャッターでトリガーされてもよい。患者を狙った他のカメラは光センサーを有し、それらのシャッターをフラッシュの光に応答して駆動させてもよい。かくして第1カメラの駆動は直ちに全ての他のカメラを駆動する。全映像が1秒の数分の1で取られるので、身体はカメラの前又は間に置かれ、普通は長時間患者を不動化する又は身体又は四肢を静止して保持する必要は無い。
【0018】
この速い画像取り込みの特徴は小児スパイカギブス又は獣医用装具の様な小児科又は獣医学医療デバイス用には特に重要である。他の種類の走査過程用に乳児又は動物を静止して保つことは非常に難しい。大抵の子供及び動物にとっては、ギブス作り及び装具作りは著しい痛み及び病気状態と組み合わされるトラウマ的経験である。ギブス及び装具の取り付け及び取り外しの両者は不快感を伴う。多くの取り付けでは、子供及び動物はギブスの取り付け用に鎮静剤又は麻酔を要する。例えば、股関節スパイカギブスは大抵は手術室内で誘導された睡眠中に患者に取り付けられることが多い。
【0019】
子供の解剖構造の3次元画像の取込は子供が走査持続中不動に保持されることを要する。さもなければ、子供は沈静剤を要する。大抵の小児科応用では、写真測定のみが瞬間に近い3次元画像取り込みを提供する。マーキングと写真測定を組み合わせて、子供は装具用の仮想適合を受け、一方沈静剤や麻酔剤の必要を最小化し、トラウマの経験を減じる。多くの乳児は実質的量の乳児脂肪を有するので、乳児のマーク付けは下にある解剖構造の位置の識別用の最も効率的手段である。この技術の共通の応用は小児用スパイカギブス、ペーブリック(Pavlik)装具、内反足ギブス、メタ細動脈内転ギブス、ブラウント病(Blounts disease)ギブス/装具、短下肢装具、小児足根関節ギブス、小児歩行ギブス、脊椎−テーエルエスオー装具(spine−TLSO braces)、ハロー身体ギブス、頸部カラー、斜頸装具及び他の医療デバイス、を含むが、それらに限定されない。画像からデータを得ることにより、長時間乳児又は動物を静止して保つ必要はない。
【0020】
もう1つの実施例では、単一の3次元カメラが1つのカメラを介して多数の軸外れ画像(off axis images)を同時に取り込んでもよい。該単一カメラはフィルムの1フレーム上に多数画像を取り込む。該多数画像は該3次元画像を取り込むために使われる。もし患者が非常に静止して留まれば、異なる角度で多数画像を取り込むために患者の周りを動かされる1つのカメラで患者の多数画像を取ることも可能である。又1つの
カメラは、適当な角度と位置から患者の画像を取り込むレンズシステムに結合されてもよい。
【0021】
精確な表面位置を得るために、身体上の基準点の各々は2つ以上の写真又は画像で視認可能でなければならない。該画像はコンピュータ表面再生プログラムにより解析される。該プログラムは身体の表面形状を決定するデジタル画像相関として知られる写真測定を通して基準点を3角法で測定する。基準点に加えて、患者上にマーク付けされた該デバイスの追加の特徴も又画像に示され、CADプログラムオペレーターに視認可能である。該特徴は装具又はデバイスのエッジ、孔、パッド、窓、ヒンジ、種々の材料、及び他の特徴を含んでもよい。システムオペレータ又はCADソフトウエアは該特徴を識別し、装具又はデバイス上のマーク付けされた場所に該特徴を付加する。装具又はギブスが必要な時、患者は何等かの内部の損傷を負傷しており、MRI又はX線の様な追加情報が利用可能なことが多い。実施例では、写真測定は、アクセス可能である必要がある場所又は領域、又はすり傷に敏感な骨の位置、を識別するためにMRI又はX線データと組み合わされてもよい。該MRI及び/又はX線データを一体化することにより、該デバイスはもっと精密になり得る。他の様式からのデータの使用は、運動装具のより精密な範囲を与えるために、関節の回転軸を全平面内で精密に識別するのに特に有用である。
【0022】
写真の中にマーク付けされた特徴に加えて、設計者は換気孔、柔軟なパッド、クッション用凹部、柔軟性スロット、他を含む追加的特徴を付加するために該システムを使うことが出来る。設計者は又該装具又はデバイスの材料と厚さを指定することが出来る。或る応用では、設計者は装具内で使われる複数の材料を指定してもよい。構造的強度を要する範囲では強く、堅い材料が指定出来る一方、柔軟性及び/又はクッション作用を要する範囲に亘っては柔軟な材料が指定されてもよい。装具設計は、写真測定過程により決定された身体輪郭と追加の特徴とにマッチした内面を有する該デバイスの物理的寸法を含むデータファイルとなる。
【0023】
或る状況では、装具又はデバイスは走査された表面データにマッチしなくてもよい。例えば、患者は側弯症を有し、矯正用背部装具を要する。該装具は変形を減じるために背部の湾曲を修正するため使われる。背部の写真が該表面データを得るため撮られる。しかしながら、見出された脊椎位置を使う背部装具を設計するより寧ろ、該背部データは該背部を真っ直ぐにするのを助けるよう修正されてもよい。この実施例では、ソフトウエアは、測定された背部よりも真っ直ぐな背部装具を設計するため使われる。該システムは全体長さ及び脊柱の湾曲について測定値を得て、オペレーターは装具設計をより真っ直ぐであるよう調整する。背部装具の寸法取りするための1実施例では、医者は側弯症患者の棘突起をマーク付けしてもよい。背部の湾曲と棘突起の位置は次いで写真測定で取り込まれる。提供者は矯正用に成形された装具を提供するためにカーブ基準点を調整するよう装具外形計測を修正してもよい。装具と正常背部位置の間の現実の差(複数を含む)が患者の医者により指定されてもよい。
【0024】
走査された表面データとデバイスの特徴に加えて、CADシステムは又該デバイス内へ柔軟性及び換気孔を設計してもよい。設計者は該デバイス用に1つ以上の材料を選択し、CADシステムはこれらの材料の機械的特性を知る。オペレーターは柔軟特性を入力するが、該特性は1つの回転又は曲げの方向の柔軟性と、第2の回転又は曲げの方向のより高い剛性と、を含んでもよい。該CADシステムは計算された柔軟性を該デバイスに提供する孔をデバイス内に設計するため使われてもよい。該柔軟性に影響する要因は材料特性、材料厚さ、孔サイズ、形状及び配向を含む。柔軟性を提供するのに加えて、該孔は又快適性を増す換気を患者に提供する。
【0025】
該デバイスの追加的特徴はモジュール構造を含む。これは前腕の様な四肢の損傷した骨
用に使われる時有用である。本発明のモジュール型ギブスは、患者が治癒するにつれシーケンシャルに除去され得る幾つかのモジュールセクションを有してもよい患者用に設計される。医者は種々のモジュールセクションを示すよう患者にマーク付けし、該モジュールセクションマーキングは写真測定により検出され、該装具はマーク付けされたモジュールセクションを有するよう設計される。該装具は次いで製作され、種々のモジュールは、患者が治癒するにつれ、種々のセクションが個別に取り除かれるよう、関節機構又は何等かの他のタイプの取り外し可能なファスナーで相互に固定される。もし患者が上腕を損傷するなら、上腕全体は最初に、指から肩まで延びるモジュール型装具内で不動化される。約2、3週間の第1期間後、上腕モジュールが取り除かれる。約2、3週間の第2期間後に、肘及び/又は拇指モジュールが取り除かれ得る。骨が治癒するまで、下腕(短い腕ギブス)モジュールは該上腕を支持するため着用される。該モジュールは簡単に取り除かれるので、ギブスは破壊されず、新ギブスを要しない。遙かに少ない時間と資源しか要しないので、これは患者及び医者への実質的利点となる。同様なモジュール型装具は損傷した手、脚又は足用に用いられてもよい。患者が治癒するにつれ、快適性、動き及び換気を許容するよう装具の各部分が取り除かれる。
【0026】
多数の材料設計を使うモジュール型設計又は設計は成長する子供により着用される装具用に用いられてもよい。背部装具は数ヶ月又は遙かに長く、子供患者に適合する。しかしながら、快適であるよう、装具は子供の成長に適合出来なければならない。股関節付近の骨は子供が発育するにつれ成長する傾向があり、柔軟な又はモジュール型の設計が無ければ、子供は周期的に全体が新しい装具を要する。この成長は、該装具が取り換えられる度に、患者への再適合を要する。取り換えを避ける、又は最小にするために、該装具は柔軟なセクション及び/又はモジュール部品で設計されてもよい。例えば、背部装具は、股関節周りは、成長を許容する柔軟な又は弾性のあるモジュール型部分付きで設計されてもよい。該股関節モジュールが患者に最早適応出来ない時、このモジュール型股関節セクションは患者に適切に適合するもう1つの股関節モジュールと取り換えられてもよい。その時該モジュール型股関節セクションは残りの装具に取り付けられ、子供の成長がもう1つの取り換えモジュールを要するまで使われる。
【0027】
モジュール性は又患者の最終適合で重要である。背部装具の特定の領域は患者に適合するのが難しいことが多い。装具をプリントするか又は作ることはコスト高で、時間を消費する。もし装具が特定領域でうまく適合しないなら、モジュール型パネルの使用は、装具の適合の悪いセクションが構造全体を取り換える必要性無しに特定的に取り換えられることを可能にする。
【0028】
なおもう1つの実施例では、装具及びギブスは複数のアクセス可能な領域を有するよう設計されてもよい。各領域は該装具の部分が患者へアクセスすることを可能にするヒンジ又は他の解除可能なファスナーに取り付けられてもよい。これは、関心のある特定範囲、例えば、清掃される、又は周期的にチェックされ、次いで再び保護される必要のある創傷範囲上で設計されてもよい。多数のこれらのアクセス可能な領域を相互に隣接して置くことにより、身体は、該身体の残りが該デバイス内に保持されながら、各領域を個別に開くことにより清掃される。本発明の装具は、改良された快適性と衛生状態を可能にする一方、治癒過程中患者をなお保護する。例えば、医療手順は患者内にピン又は他の物を置くことを要する。これらの範囲に接することを避け、該範囲の検査を可能にすることは必要である。これらの範囲上のアクセス領域を使うことにより、医者は該範囲を検査し、患者が適切に治癒しつつあることを保証することが出来る。該アクセス可能な領域の特徴は又規則的に清掃される必要のある乳児用に特に有用である。本発明の装具は子供が清掃されることを可能にする下部体幹領域へのアクセスを有するよう設計される。該領域は清掃用に開かれ、次いで清掃が完了した後閉じられる。この設計は清掃用に子供へアクセスするため部分的切断されねばならないギブスに優る著しい改良である。
【0029】
装具又はデバイスが設計された後、該装具設計データは該装具を作る製作機械に送信される。1実施例では、製作法は迅速プロトタイプ化、迅速製造、積層製造、3次元プリント作業、レーザーシンタリング、そして電子ビーム溶融{イービーエム(EBM)}、溶融材料堆積{エフデーエム(FDM)}、CNC、他である。製作機械は3次元の1ピース又は多数ピース構造体を作るが、該構造体はプラスチック、金属又は種々の材料の混合物であってもよい。説明したデバイスを効率的に作るために、出来るだけ多くの部品を同時に作るのが望ましい。多くの製作機械は予め決められた時間内に特定容積内に適合する部品を作ることが出来る。例えば、装具は患者の体幹の周りに適合し、中央に大きな空間を有する。この装具は作られ得るが、1つのデバイスしか作られない。効率を改善するために、該装具は後で熔け合わされる多数ピースとして設計されてもよい。大きな開いた中央範囲を有する1つの装具を作るより寧ろ、説明した製作方法は同じ特定容積を占める2つ以上の装具用の部品を同時に作るよう使われてもよい。付加的材料機械による製作用に効率的生産の仕方で、部品をレイアウトすることにより、製作コストは著しく減じられる。該部品は次いで組み立てられ、該装具を形成するため熔け合わされてもよい。装具シェルが作られた後、パッド及び他の部品が該装具に付加されてもよい。
【0030】
写真過程の使用は他の表面走査技術を上回る多くの利点を有する。特徴部の位置を患者から装具又はデバイスへ移す過程は、医者が位置マークを直接患者に或いはフォームフィッティングカバー上に付けるので、簡単化される。かくして、特徴部の位置が最終製品上に精密に置かれることは遙かに確実になる。又機器コストが減じられるのはデジタルカメラ、コンピュータそして電子的メモリーが低廉だからである。光学機器は又携帯可能であるので、該機器は患者の位置へ容易に移される。デジタルデータは次いでギルドに配置された製作機械へ電子式に伝送されてもよい。代わりに、デジタルデバイスデータはディスクに記録され、製作機械に送られてもよい。
【0031】
本発明の誂え設計過程は独特であり、それは該過程が現実のデバイス製作の前に装具の患者への仮想の適合動作を提供するからである。他のどんな既知システムも仮想的仕方で装具の様な誂え製品を設計する能力を提供しない。特に、本発明の過程は身体上に置かれたマーキングを検出し、この情報を該マークの位置に基づき製品を設計するため利用する。
【0032】
該デバイスは人間用の装具又はギブスの様な医療用デバイスとして説明されたが、他の実施例で、該発明過程を、誂えの椅子、シート、サドル、運動機器、靴、パッド、ヘルメット、モーターサイクル及び自転車のシート、ハンドルバーそしてハンドグリップ、他を含む人間により使われる他の製品用に使うことは可能である。又説明された装置と方法が動物用装具及びギブスそして馬及び騎手の誂えサドル用に使われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】背部装具製作用に医者によりマーク付けされた患者を図解する。
【図2】撮影されるマーク付き患者を図解する。
【図3】複数のカメラにより撮影される患者の平面図を図解する。
【図4】患者の部分のデジタル表現を表示するコンピュータを図解する。
【図5】背部装具用の設計過程を表示するコンピュータを図解する。
【図6】デジタル表現から設計された基本的背部装具を図解する。
【図7】孔を背部装具内へ設計する過程を図解する。
【図8】換気及び/又は柔軟性用に孔を有して設計される背部装具を図解する。
【図9】柔軟な換気孔を有する背部装具を図解する。
【図10】柔軟なパネルを有する背部装具を図解する。
【図11】柔軟性用に水平に整合された細長いスロットを有する背部装具設計を図解する。
【図12】スロットを付加する前の背部装具を図解する。
【図13】細長いスロットを有する仮想ブロック材料を図解する。
【図14】背部装具設計と組み合わされたスロットを有する仮想ブロック材料を図解する。
【図15】装具と回転軸線を図解する。
【図16−18】装具の多数の図面を図解する。
【図19−21】装具用パッドの断面図を図解する。
【図22−24】種々の曲げ角度で取り込まれた脚の画像を図解する。
【図25−27】脚装具の図面を図解する。
【図28−29】換気孔を有する脚装具の図面を図解する。
【図30−31】アクセス可能な領域を有する装具を図解する。
【図32−36】モジュール型装具を図解する。
【図37】上腕を安定化させるために使われる装具のセクションを図解する。
【実施例1】
【0034】
本発明は体に密接に対応した表面を有する誂え設計されたギブス、装具又は他のデバイスである。該ギブス又は装具は患者の体に密接に対応する内面を有し、又一体化された構造を有する。本発明のギブス又は装具は損傷した背部、脚及び前腕又は他の身体部分に向けられている。該ギブス又は装具はコンピュータ支援設計(CAD)コンピュータプログラムを使って工業設計者により設計されるのが好ましい。患者用の機械的データは患者の体の写真から得られてもよい。この身体データは次いでデジタル化され、CADプログラムに入力され、そして該ギブス又は装具を設計するために参照される。適当なCADプログラムの例はパラメトリックテクノロジー社(Parametric technology Corporation)によるプロ/エンジニヤ(Pro/Engineer)である。他のCADソフトウエアは:デソールトシステム、エスエイの子会社のソリッドワーク社(SolidWorks Corporation a subsidiary
of Dassault Systems,S.A.)によるソリッドワーク(SolidWorks)を含む。簡単のため、本発明の誂え装具、ギブス又はデバイスは背部装
具として説明されるが、しかしながら、同じ過程が前腕又は脚の装具又は何等かの他の身体の装具、ギブス又はデバイスを形成するため使われてもよい。該装具は体又は四肢の損傷部分を囲み、支持するよう設計された硬く、強い構造体であってもよい。
【0035】
例えば、脚装具はCADシステムを使い患者用に創られる。該脚装具は上脚、膝、下脚及び足を含み、患者の脚の機械的寸法及び表面輪郭にマッチする内面を有する。患者の脚にマッチする内面を精密に創るために、ユーザーの脚の相手表面が測定される。脚の外面の測定は幾つかの異なる仕方で得られてもよい。好ましい実施例では、写真測定又は画像相関技術が外面測定値を得るため使われるが、該測定値は患者の脚又は何等かの他の身体部分の外面を規定する3次元座標のセットであってもよい。
【0036】
写真測定はその広い意味で写真過程を逆転させるが、それは対象の平面的2次元画像を真の3次元対象面に戻るよう変換することに依る。3次元対象を再生するには2つ以上の異なる写真が要る。完全な写真測定過程では、2つの写真が該3次元対象を完全に再生するために充分な情報を提供する。不運ながら、写真と測定過程とは一般に完全ではなく、それで2つの写真に基づく3次元対象の再生も又欠点を有する。写真測定の対象測定過程は多くの写真を取り、精度を改良する特別の情報を使うことにより改良される。写真測定過程は該多数写真から得られた測定値から対象の表面を表す3次元座標のセットを作る。
【0037】
写真測量は3角法での測定の原理を使うが、そこでは空間内の交叉する線が全ての3つのXYZ寸法での点の位置を計算するため使われる。実施例では、脚又は身体部分を同時に撮影するため多数のカメラが使われる。1セットの点を3角法で測定するために、該セットの全ての映像についてカメラ位置と、“配向(orientation)”とも呼ばれる狙い角(aiming angles)と、を知らねばならない。リセクション(resection)と呼ばれる過程が各カメラ用のカメラ位置と狙い角計算を行う。該カメラは又校正されるので、該カメラの誤差は規定され、取り除かれる。
【0038】
3角法での測定は、3次元点測定値を作るため写真測定で使われる原理である。空間内の収斂する線を数学的に交叉させることにより、点の精確な位置が決定され得る。写真測定は、同時に3角法で測定される点への仮想的な限定は無いので、多数点を同時測定出来る。少なくとも2つ以上の異なる位置から映像を取り、各映像内の同じターゲットを測定する、ことにより各カメラ位置からターゲットまでの“視線(line of sight)”が展開される。カメラ位置と狙い方向は既知なので、該線は各ターゲット点のXYZ座標を作るために数学的に交叉させられる。
【0039】
リセクションは、カメラ位置と、カメラの配向としても知られる狙い方向と、に基づき、写真データから対象の座標を決定するため使われる手順である。見えて、画像内のXYZ座標で知られる全ての点はこの配向を決定するため使われるのが典型的である。精確なリセクション用に、各写真内に12以上の良く分布した点を有するのがよい。もし対象上の点のXYZ座標が既知であれば、該カメラの配向は計算される。カメラの位置と狙い角の両者がリセクション用に必要であることを実感することは重要である。カメラの位置を知るだけでは充分でなく、何故ならばカメラが同じ位置に配置されても、どんな方向でも狙い得るからである。結果として、3座標で規定されるカメラの位置と、3つの角度座標で規定されるカメラが何処を狙っているかと、が知られねばならない。かくして、3つの値はターゲット点のX、Y及びZ座標を規定するため必要だが、6つの値、すなわち位置用のXYZ座標、及び狙う方向用のXYZ角度、が映像上の点を規定するため必要である。
【0040】
又撮影される面は、各写真上に現れる、精密な面測定用の最小数の良く分布された基準点を有すべきである。該基準点は、写真上で明らかに示される視認可能なコントラストを
提供する、対象上に置かれた可視マークであってもよい。各写真上には少なくとも12の良く分布した基準点と対象の面全体について少なくとも20の点が存在すべきである。該基準点は対象上にそして写真を通して等しく分布されるべきである。基準点の数が多い程、対象の面はより精密に測定され得る。
【0041】
患者の皮膚をインクマーカーでマーク付けすることは可能であるが、好ましい実施例では、患者は弾性的綿チューブ、ストッキネット、レオタード、ボデイスーツの様なフォームフィッティング材料でカバーされる。他の実施例では、体はフォームフィッティング材料で捲かれてもよい。もう1つの実施例では、身体表面は、該身体に適合し、マーク付けされ、画像取り込み後は容易に除去される、柔軟なプラスチック又はゴム材料の様な除去可能な材料でスプレイされる又はペイントされてもよい。図1を参照すると、患者101は該患者の体、上腕及び脚をカバーするボデイスーツ103を着て図解されている。
【0042】
実施例では、コンピュータプログラムが全測定点の最終XYZ座標を作るために写真測定値を処理する。これを行うために、該プログラムはターゲット点を3角法で測定し、映像をリセクトする。該プログラムは又カメラを校正する。3次元測定の典型的精度は理想的動作条件下では非常に高い。例えば、該測定値は50−100ミクロン(0.002インチから0.004インチ)まで精確である。しかしながら、写真測量測定値の精度は著しく変わり、それは精度が幾つかの相互に関係する要因に依るからである。重要な精度要因にはカメラの分解能及び品質、測定される対象の寸法、取られる写真数、対象及び相互に対する映像の幾何学的レイアウトが含まれる。
【0043】
写真測定の測定値は無次元である。写真測定の測定値をスケール合わせするため、少なくとも1つの既知距離が必要である。該既知距離は対象上にマーク付けされた距離でもよい。例えば、或る目標点の現実の座標が既知であれば、これらの点間の距離は決定され、該点は測定値をスケール合わせするため使われる。もう1つの可能性はその上にターゲットを有する固定具を使い、対象と共に該固定具を測定することである。該固定具上のターゲット間の距離は既知であるから、該距離は対象上の基準点間の他の測定値をスケール合わせするため使われ得る。この様な固定具は普通スケールバーと呼ばれる。
【0044】
実施例では、本発明の方法は損傷肢用のギブス又は装具を作るために使われる。該損傷肢の一連の写真が取られる。もし骨が損傷していれば該写真が取られる前に骨折は整復されるべきである。次いで上記で説明した写真測定処理法が損傷肢の表面座標を得るため使われる。肢上の共通表面点を規定するために、該肢上に基準点が置かれてもよい。該基準点は単に何等かの際だったカラー点、パターン、形、物、表象、又は容易に見える他の光学的標識であってもよい。該基準点は黒又はカラーインクのマーク、スチッカー又は物又は何等かの他の可視基準点であってもよい。好ましい実施例では、該基準点は肢全体又は装具が作られる身体の部分の周りに置かれ、等しく分布する。
【0045】
基準点に加えて、患者は又装具のエッジ又は他の特徴を規定するためマーク付けされる。図1を参照すると、医者は該装具のエッジの位置を規定するためボデイスーツ103をペン105でマーク付けする。該エッジマーキングは体又は肢の周りに延びる1本以上の連続線107であってもよい。他の実施例では、該エッジは装具のエッジを規定し、装具設計時に接続される1連のマークにより規定されてもよい。該装具内に開口部を創るために患者上に追加の線109がマーク付けされてもよい。例えば、患者は縫い目で閉じられ、堅い装具と接触されるべきでない手術で損傷した範囲を有する。該装具内に開口部を提供することにより、該患者の縫い目は該装具構造体に対し押し付けられないであろう。図1では、医者は患者の体のこの部分付近に円を画いたので、該装具はこの範囲用のカットアウトを有するよう設計される。医者は又ボデイスーツ103上に注意書きをしてもよい。該医者はL6ディスクの位置を示すために“L6”を書いた。医者は又大腿の大転子(
greater trochanter)に十字111を、肩甲骨に破線113をマーク付けした。これらの解剖構造の位置は装具の設計に重要であり、従ってボデイスーツ103上にマーク付けされる。写真測定は写真を使うので、デジタル映像はその線又は他のマーキングを全部記録する。
【0046】
図2を参照すると、複数のデジタルカメラ121で患者の写真が取られる。この例で、カメラ121はブラケット123上に設置され、既知間隔だけ水平方向に隔てられる。該カメラ121は同じ水平位置を有し、レンズは同じ平面内にあり、相互の方へ内側に角度付けされている。レンズの角度は約5から45度の間にある。患者101とカメラ121の間の距離も既知である。2つのカメラ121は同時に駆動されるので、2枚以上の写真が同じ位置の患者101を表す。身体輪郭の情報を得るために、マーク付きボデイスーツ103を着た患者101の映像が周囲全体内で種々の角度から取られるので、装具によりカバーされる身体の全体面が見られる。各写真は少なくとも12の基準点を有すべきである。該写真を処理し、写真内の該基準点と他の線とマーキングを3角法で測定することにより、身体表面を表す座標が得られる。
【0047】
図3を参照すると、患者101とボデイスーツ103を撮影するため使われるカメラ121システムの平面図が図解される。実施例では、ブラケット123上に設置され、開いた空間内に位置付けられた複数のカメラ121を含む装置が患者101を撮影するため使われる。カメラ121は患者101の方へ向けられ2つのカメラ121のグループで配置される。カメラ121はカメラを保持するブラケット123上に設置されているので、該カメラは略同じ方向に向けられているが相互の方へ僅かに角度付けられている。カメラ121は水平方向に整合されるが垂直軸線の周りに僅かに回されたレンズを有して位置付けられるので、カメラ121のレンズは平行ではない。この角度はカメラ121が該面の差を解析することを可能にするので、人間のステレオ視認に於ける程多く3次元表現が生じる。
【0048】
この例では、カメラ121の4つのグループが患者101の周りに設置され、各グループは2つのカメラ121を有する。かくして、各々が異なる角度からの8枚の患者101の写真が取られる。カメラ121により取られた映像は一緒になって体幹全体をカバーする。カメラ121の位置は関心のある範囲に依り動かされてもよい。図解では、カメラ121は背部装具用のデータを集めるよう構成されている。しかしながら、もし脚装具が作られるなら、カメラ121は脚付近の位置に下げられてもよい。
【0049】
アクチュエーターがカメラ121の各々に接続され、全部のカメラに肢を同時に撮影させるため使われてもよい。代わりに、カメラ121の対は対象の画像を同時取り込むために全てが同時に映像を取るよう同期化されてもよい。シャッター速度は僅か数分の1秒であるのが典型的であるから、長時間患者101を絶対的に静止するよう保つ必要はない。他の実施例では、1つのカメラが患者の多数画像を取り込むよう使われてもよい。この実施例では、該カメラは多数画像を同時に又は短時間内で取り込んでもよい。該カメラは各々が異なる画像を取り込む多数レンズを有してもよい。代わりに患者はカメラに対し移動してもよい。患者を回し又は患者の周りでカメラを回し、そして多数の写真を取ることにより、1つのカメラが表面の特徴と他のマーカーデータを得るため使われる多数画像を取り込むことが出来る。
【0050】
上記で論じた様に、写真が処理され、3次元データを発生するため使われるが、該データは患者101の外面を精密に記述する。該3次元データは次いで装具又はギブスを設計し、作るために使われる。該表面データは非常に精密なので、装具又はギブスは全ての検出された表面輪郭を見越した誂えの適合性を有する。該誂え適合の内面に加えて、エッジ又は装具特徴もエッジ又は特徴マーキングにより明らかに規定され、装具又はギブスの設
計に役立つよう使われる。
【0051】
或る場合には、患者の身体的条件により、写真測定画像が精密な装具に帰着しないことがある。例えば、もし患者が肢を損傷していれば、損傷の範囲は腫れている。かくして、肢のどんな写真も腫れてない肢より遙かに大きい走査データに帰着する。実施例では、もし該患者が損傷した肢と同様な損なわれてない肢を有するなら、該損なわれない肢が撮影され、該損なわれない肢から得られた表面データが、該損傷肢の装具用に必要なデータを創るために、ミラーの仕方で逆にされてもよい。該装具は、腫れが減じた時装具が患者用に用意されるよう設計され、作られる。
【0052】
写真測定は光学的及びレーザーによる走査を含む他種表面走査法を上回る種々の利点を有し、何故ならば該写真測定は医者により患者上に置かれたマーキングを検出するため使われ、該マーキングは身体又は装具の特別の部分を示すために使われるからである。例えば、医者は何等かの数の記号を区別するために患者上に画き、該記号を医者は後で誂えデバイス過程で参照する。これらのマーキングは、誂えの補テツ器/矯正器の境界、骨隆起範囲、脂肪組織のひだ、特殊基準椎骨、避けるべき身体上の敏感範囲(発疹、臍、黒子他)、高い換気を要する範囲、邪魔のない運動を可能にする関節周りの空き範囲、セットアップ記号、装具内に後で追加圧力を付加する‘シム’用の基準境界そして種々の他の情報、を示してもよい。該身体マーキングは患者上の種々の種類の基準点を識別するため使われるカラーの点、線又は表象、模様付きマーカー又は他のコードであってもよい。例えば、患者は装具又はギブスの望ましい境界を示すため第1カラーでマーク付けされる。該患者は骨隆起又は敏感範囲を示すため第2カラー又は模様付きマーカーでマーク付けされる。骨隆起又は下にある骨の解剖構造は皮膚破れの傾向のある範囲であるから、装具はこれらの範囲への擦過傷又は損傷を避けるためにこれらの範囲上で特別の特徴を有してもよい。例えば、設計過程時、オペレーターは骨の解剖構造としてマーク付けされた患者の身体の範囲上で装具を減じてもよい。肩胛骨の領域上に装具を置く例を取る。肩胛骨とその境界が手で触診するが、表面形態に基づき決定するには難しい。装具は適当に機能するために肩胛骨に適合せねばならない。本技術では、肩胛骨のエッジ又は本体の場所は患者上でマーク付けされ、装具の本体は装具の輪郭内の誂えパッド又は逃げで骨のエッジに適合する。
【0053】
装具は患者に快適である様なパッドを要する。パッドの位置は上記説明の様に患者上にマーク付けされる。例えば、パッドの位置及び形はパッドの形の中のコード化されたマーキングで示されてもよい。CADシステムは該パッドマーキングを検出し、指定された形にマッチするパッドを作ることが出来る。製作過程時、パッドは厚さ及び硬さの範囲内の柔らかい弾性のある材料で作られる。例えば、CADデータはパッド材料の在庫シートからパッドをカットするよう使われてもよい。該CADシステムは又該パッドに適合するよう装具を設計する。例えば、装具はコード化され、マーク付けされた範囲に形成される凹部、又は他の取り付け機構を有するよう設計され、製作される。患者表面データが装具とパッドの両者を形成するため使われるので、それらは非常に精密に相適合する。もしパッド位置上で装具内に設計される換気孔があれば、該パッドは又装具内の換気孔と整合された換気孔付きで設計される。
【0054】
装具が患者に適合すると、医者は複数のパッドを有し、患者用の最良パッド厚さを選択出来る。装具は強く、耐久性ある材料で作られるので、パッドは装具の使用と共に着用され、周期的に取り換えられる必要がある。医者は装具データから作られた追加のパッドを有してもよい。追加のパッドは又、該パッドが装具に適合する外面と、腸骨稜の様な骨の隆起の様な複雑な面形状を有する範囲で患者の解剖構造に適合する内面と、を有するよう付加的製造過程を使って作られてもよい。
【0055】
他の実施例では、該コード化されたマーキングはパターン、表象、模様付きパッド、バーコード、3次元物体又は他の標識であってもよい。これらのカメラはそれらのデータ入力用に写真の画像を使うので、患者上のコード化されたマーキング又は特徴は装具/ギブス設計ソフトウエアにより識別される。本発明の過程は種々のパッド模様のみならず種々のカラーコーディングも区別することが出来る。該模様は溝、エッチされたパターン、凸又は凹面、他を有してもよい。各模様はマーカー位置の装具の種々の特徴を表す。検出システムソフトウエアはコード化されたカラー又は模様を自動的に検出し、識別する。該ソフトウエアは患者上に位置付けられたコード化されたカラー又は模様に付随する装具の請求される特徴を自動的に設計する。追加のマーキングは患者のデジタル表現に転送され、装具又はギブスの設計を助けるために使われる。
【0056】
走査された身体データが装具を設計するため使われる過程が図4−8で図解される。図4はCADスクリーン221上の人間体幹201の走査された画像を図解する。体幹201の輪郭は精確に測られ、患者上に置かれた追加のマーキングも走査データ上に図解される。この例で、医者は患者の大腿骨の大転子の十字211を画くので該装具は脚の動き用にこの範囲内に特別の空間を有するよう設計される。線のマーキング207は装具の望ましい境界を示し、線209は装具の側内の孔を示す。表示“L6”は又写真測定走査データから視認出来る。
【0057】
図5を参照すると、装具のエッジを表す線207はハイライトにされる。装具内に形成されるべき孔を表す線209は装具設計者によりハイライトにされる。この実施例では、線をハイライトにするためにマウスに制御されるカーソル215が使われる。他の実施例では、設計者は線全体をハイライトにするために該線上のクリックを選択してもよい。この例では、暗い線は装具から除かれるべき線の部分を表す。しかしながら、何等かの他の視認可能なマーキングが除去されるべき線の部分を識別するために使われてもよい。
【0058】
或る状況では、装具又はデバイスは患者の走査表面データに完全にはマッチしない。例えば、設計者は又大腿骨の大転子の位置を表すマークされた十字211を見越してもよい。該マーキングは写真測定時取り込まれた画像上に示され、十字は大転子の位置を示す指定された表象であってもよい。ソフトウエアは次いで装具のこの部分を膨張させることにより大転子の上の装具の設計を調整する。
【0059】
もう1つの例では、患者は側弯症を有し、患者の普通の姿勢を変える矯正背部装具を必要とする。該装具は湾曲奇形を整復するために背部の湾曲を矯正するため使われる。背部の写真が上記説明の表面データを得るため取られてもよい。しかしながら、表面が表面特徴として背骨を示さないなら、現実の脊椎位置は検出されない。背部の棘突起を明らかに示すために、医者は各々の位置をマークする必要がある。該マーキングは特定の骨を識別するか、又は損傷した骨を示すために、コード化されてもよい。該マーキングは該骨を囲み、十字マークであるか、又は骨の位置を明らかに識別する何等かの他のマークであってもよい。写真測定画像が処理される時、棘突起の位置は明らかに示される。背面と棘突起位置は次いで背部装具を設計するため使われる。
【0060】
検出された脊椎の位置を使う背部装具を設計するよりも、背部データは患者の背部を真っ直ぐにする装具を創るために修正されてもよい。設計者は、脊柱の全長及び湾曲の測定値と、装具の望ましい湾曲変更と、を得る。装具と正常背部位置の間の差は患者の医師により指定されてもよい。設計者は、装具により規定される望ましい内部容積を保持しながら、より真っ直ぐな背部装具を設計するために記録された背部湾曲を調整する。1実施例では、設計プログラムは、装具の1つの部分の調整が該装具のもう1つの部分に持ち越されることを許容する装具設計の調整用システムを有する。例えば、もし背部データが撮影された脊柱湾曲を示すなら、設計者は該湾曲を整復するよう尖りを手扱いすることも出来
る。尖り部分のみを調整するより、該プログラムは装具の周囲部分への同様な調整を行うので、矯正装具は患者に適当に適合する。例えば、装具は、各々が異なる棘突起に対応する多くの異なる薄い水平セクションに分けられてもよい。1つのセクションが動かされると、他のセクションはより少ない程度に動くので、側弯湾曲は整復される。CAD設計上で装具の他のセクションの動きを縮尺するアルゴリズムが使われてもよい。1つのセクションが動かされる時、装具の種々のセクションを自動的に調整することにより、装具設計は簡単化され、精密になる。
【0061】
他の実施例では、設計された装具又はギブスは患者から取られた写真測定の測定値から変わってもよい。例えば、患者は外傷又は炎症で腫れていてもよい。装具設計システムは該腫れを見越し、設計者が、腫れが引いた後患者に適合するもっと小さい装具を創ることを可能にする。実施例では、該システムは完全な侭の肢の写真を使い、腫れた肢の装具用のガイドとしてそのミラー画像面データを使う。該完全な侭の肢は損傷した肢に完全にはマッチしないが、多くの場合、適当な装具又はギブスを形成するには充分に精確である。
【0062】
図6では、孔線209内部の範囲と、エッジ207の外側の体幹範囲と、が除かれた体幹が図解される。示されてないが、該CADソフトウエアを操作する設計者は装具210のどんな図面でも示すよう該図解された体幹を回転することが出来る。基本的装具設計品を創生するために内部体幹面に材料厚さが付加されてもよい。写真測定システムによりマーキングが精密に検出されるので、マーク付けされたエッジと孔位置の全部がデジタル表現に転送され、必要な装具境界と特徴部は患者を再検査又は再測定することなく精密に識別される。該過程は装具20の基本設計を完了する。
【0063】
患者上にマーク付けされた患者の特徴に加えて、装具に追加の特徴を付加することは可能である。例えば、換気と装具の柔軟部分を提供するために、装具210内に複数の孔が作られてもよい。図7を参照すると、装具210の1部分を通過する円柱225のセットを有する装具210が図解される。この例では、円柱225は断面が円形で、複数の円形孔を規定する。図8を参照すると、設計者は次いで、複数の孔227を有する装具を作るために、装具210から該円柱225と交叉する材料を除去する。
【0064】
装具を作るため使われる構造材料は圧縮及び引っ張りに強い。装具内に孔を形成することにより、該装具に選択された柔軟性のみならず換気も付加される。構造材料に開口部を設計することにより、該構造材料は圧縮される又は引き延ばされるよりも寧ろ曲がり、該曲がりは該装具に曲げ運動を有させる。装具設計者は患者の特定のニーヅに依り柔軟性を制御するよう装具を設計する。該装具は柔軟性の方向(複数を含む)、動く範囲、動きの弾性、他を制御するよう設計される。詳細部と誂えの孔を創り、装具内で領域的にこれらの孔を変える能力は、種々の平面内で独立に、そして各レベルで独立に、曲げ及び捻りの運動の制御を可能にする。装具内に組み入れられた関節接合も各レベルで独立に制御された運動を許容する。
【0065】
図9を参照すると、細長い孔322、324のパターンを有する背部装具318が図解される。該孔322、324は該背部装具318に柔軟性のみならず換気を付加する。該孔322、324は孔322、324の幅に亘る柔軟性を付加する傾向にある。かくして、この例では、水平に配向された孔322を有する該装具318の上部部分は垂直の柔軟性を許容する傾向にある。対照的に、該装具318の下部部分周りに垂直に配向された孔324は該装具318の周りの半径方向のより高い柔軟性を許容する。下部装具318は患者の股関節上に位置付けられる。患者が動き、成長する時、此の範囲は膨張の柔軟性を要する。
【0066】
図10を参照すると、3つの部品製の背部装具418が図解される。装具を1ピース構
造体として作るよりも寧ろ、後で組み立てられる3つの別々の部品で該装具を作ることはより効率的である。1つのパネルを異なる材料で作ることも可能である。例えば、中央パネル424は側部より柔軟な材料であってもよい。背部装具428の側部パネル422は可成り堅い材料で作られる必要があるが、中央パネル424は同じ強度を要せず、もっと柔軟な材料製であってもよい。中央パネル424は次いで適当なファスナーで装具418の残りに固定されてもよい。
【0067】
例えば、図11を参照すると、複数の細長い水平スロット325を有する背部装具310が図解される。該スロット325は該装具が垂直方向には柔軟になるが、軸方向回転には堅くなることを可能にする。装具310に曲げ運動が印加された時、垂直要素はスロット325の中央を圧縮する傾向にある。しかしながら、回転トルクが中心軸の周りで該装具に印加されると、装具310はより堅いであろう。図解された背部装具310では、該装具の前及び後ろの孔はオフセットされた行及び列で配置された細長いスロット325である。各水平行のスロット325は隣接する垂直行のスロット325に対しオフセットされている。スロット325間の材料は大体水平に配向された細長いストリップを形成する。各スロット325の中央部分と交叉する短い垂直のストリップ326がある。論じた様に、該材料は圧縮及び引っ張りに強い。従って、この設計構成は患者の背部の捻り及び軸方向回転に抵抗する。しかしながら、材料の水平ストリップは垂直に整合されておらず、装具310は前後に曲がり、該曲がりは患者の背部が曲がることを可能にする。患者が前方へ曲がると、装具の前部は圧縮され、その材料が曲がるので、装具の前部のスロット325は高さが短くなり小さくなる。逆に、装具の背部は長く延ばされ、材料は曲がるので、装具の背部のスロット325はより高くなる。この例で、スロット325が幅広く、短いので、それらは水平力に対し堅くなり、一方垂直力には柔軟である。対照的に、背高で狭いスロットは垂直力に対し堅い一方、水平力には柔軟である。かくして、装具310の柔軟性はスロット325開口部の寸法と配置を変えることにより制御される。
【0068】
図12を参照すると、該スロットを付加する前に、背部装具310設計は堅い充実形であり、CADソフトウエアディスプレー上に表示される様に、ユーザーに何等の換気も提供しない。図7を参照して上記で説明した様に、装具設計にスロットを手動で付加することによりスロット325又は他の換気孔が形成されてもよい。代わりに、スロットを付加される装具310は、より自動化した、時間効率的仕方で背部装具を組み合わせることにより付加されてもよい。図13を参照すると、予め形成されたスロット325を有する材料のブロック327が図解される。設計者は装具310の寸法を入力し、スロット325を要する装具310の中央範囲を規定する。
【0069】
図14を参照すると、装具310と材料ブロック327はCADプログラムにより仮想的に組み合わされ、コンピュータスクリーン上に表示される。装具310の上部及び下部部分はスロット無しで図解され、一方スロットを要する装具の中央部分はブロック327と交叉する。設計者は装具310のエッジの外側にあるブロック327の部分を取り除く。図11に図解するスロット325を有する中央部分を備えた最終装具310が設計される。
【0070】
実施例では、望まれる柔軟性は、孔寸法、形、配向、材料厚さを変えること、そして該装具を各々が異なる機械的特性を有する2つ以上の異なる材料で作ること、により該装具に設計的に織り込まれる。これらの計算はCADソフトウエアに集積化されるので、柔軟性要求を入力することにより、該ソフトウエアは構造的要求に適合する装具設計の詳細を計算する。その形を通して装具の機械的特性を修正することにより、該装具は曲がり、回転し、圧縮され、膨張し、又は望まれる或る回転方向に沿って堅く留まる傾向となる。
【0071】
実施例では、装具は適合面と、水平及び垂直‘ビーム’として示される構造部品と、そ
して該装具を囲む‘境界線’とを具備し、望まれる所の構造的特性を高める。水平ビームは、この例では、圧縮を拘束する垂直ビームが無いので、前方へ圧縮されてもよい。これは前方への屈曲を可能にする。しかしながら、横屈曲は装具の側部上の垂直ビームにより拘束される。後方屈曲は装具の背に沿い上方へ延びる輪郭を成す垂直の縁により拘束される。
【0072】
多く孔を開けられた薄い層が構造部品間に置かれてもよい。これは構造的な影響をもたらさないが、患者の組織を含めるよう意図されて、皮膚がスロット内に入ること、そしてスロット収縮時挟まれることを防止する。換気孔は小さく{約0.95cm(3/8インチ)より小さい}、それにより‘間隙浮腫(window edema)’問題の機会を減らす。この層は、構造的要求に影響しないで、身体を含める種類の‘網作用(netting)’として振る舞う。該孔は面が容易に膨らむ又は圧縮される様に設計されてもよい。これは水平軸線に沿い細長い孔を有し、オフセットされた格子パターン(45度回転されたチェッカーボードの様な)を有するので、該格子内には垂直ビームは創られず、それにより該面の構造的特性を減じる。
【0073】
以前の装具技術と異なり、本発明は曲げ及び回転特性を含む機械的特性が健康管理専門職により指定される方法を説明する。換気パターンも指定される。次いでコンピュータは、身体表面の適合形状にマッチし、装具の全体的形状の制限を充たしながら、機械的及び換気の仕様を充たす装具を創る。装具の形、機械的特性は選ばれ、パーフォレーションの種類又は設計が健康管理専門職により選ばれる。構造要素の厚さ及び幅が装具の機械的及び設計的考慮を充たすよう変えられる装具が創られる。該装具は次いで付加的製造又は何等かの他の製作法で作られる。
【0074】
多くの装具応用では、装具の内面は皮膚破断を起こさずに圧力を印加せねばならない。圧覚点は避けられねばならない。高度に適合する装具は接触圧力を最小化しかくして皮膚の破断を最小化する。しかしながら、接触点上では柔らかい材料が必要である。内側の小さなパーフォレーションで間隙浮腫(window edema)を最小化するのに加えて、内面は、付加的製造技術を用いることにより、内層又は複数内層をより適合性にすることを可能にするよう、外側の外骨格と連続して作られる積層構造製であってもよい。薄い曲げ可能な適合層が内壁上にプリントされてもよい。他の実施例では、完全に異なる材料が該装具に付加されてもよい。例えば、或る他の実施例では、装具の設計と製作は、内壁上のプリントされたメッシュ、又はフォームの様な多孔性材料のプリント作業を有するが、該メッシュ又は材料は圧縮及び換気を可能にしている。内層又は複数内層は付加的製造法で作られ、全ての層は連続して作られる。
【0075】
かくして、装具は均質材料として又は積層材料層の複合構造として設計されてもよい。外側層は身体又は四肢用の必要強度を提供する外骨格として機能する非常に強い構造体である。一方、装具の内層は患者の治癒を促進するよう設計された堅い及び柔らかい材料の組み合わせであってもよい。骨に隣接した範囲上には柔らかい適応性の材料が使われる。骨の位置は患者が動く時変わってもよい。かくして装具の此の範囲が快適であることが重要である。対照的に、身体の柔らかい脂肪及び筋肉組織に対しては堅い材料が使われてもよい。これらの柔らかい内面は損傷されるか、又は堅い材料より早く摩耗するので、それらは装具にスナップ式に填る又は外れる取り換え用パネル又は部品として設計されてもよい。
【0076】
装具の呼吸能力は本発明の装具を快適にするもう1つの特徴である。装具は該装具を通って延びる換気通路付きで設計される。装具はCADシステム上で設計されるので、換気孔の位置は既知であり、該装具内に置かれる何等かの付加的パッド又はパネル内に入るよう自動的に設計される。或る場合は、該パッドは呼吸可能な材料製であり、装具の堅い固
体部分内の換気孔は柔らかい多孔性パッドの遙かに大きい内面への換気を提供する。
【0077】
又装具設計はビームの垂直及び水平配向の両者を組み合わせることにより柔軟性を制御出来て、装具は、換気と妥協することなしに、1つの部分からもう1つへと異なる柔軟範囲を特徴として持つことが出来る。実施例では、材料のビームはカーブしている。例えば、装具の1部分は第1の側に水平に配向されたビームを、そして第2の側に垂直に配向されたビームを有してもよい。この仕方で、第1の側は圧力下で圧縮され、拡がり、一方第2の側ではそれが起こらない。第2の側は、対照的に、曲がりそうであり、ピボットとして作用する。もし、例えば、身体の前部が水平に配向されたビームを帯び、側部が垂直に配向されたビームを帯びていれば、装具は何等の横方向屈曲も否定するが、前方向の屈曲を可能にする。同時に、しかしながら、換気は該装具中で等しく均一である。この図解された構成は背部装具に適用出来て、前方への曲げを可能とするが、側部から側部の曲げを防止する。左側は装具の前部を表し、右側は装具の右側を表す。前部でのビームの水平整合と側部でのビームの垂直整合とは前方への回転を可能にするが、側方から側方への回転を防止する。
【0078】
本発明の装具の基本的原理は装具の非対称な柔軟性である。図15を参照すると、装具410がXYZ座標システムの項で示され、該装具の前部はX軸に面し、左側はY軸に面しそして頂部はZ軸に面する。この例では、装具410は背部装具であり、患者及び装具410の下部部分は静止している。もし患者が左に傾けば、装具410はX軸の周りに時計回りに曲がり、もし患者が右に傾けば装具410はX軸の周りに反時計回りに曲がる。もし患者が前に曲がれば、装具410はY軸の周りに反時計回りに曲がり、後ろへの曲がりは装具410をY軸の回りに時計回りで回らせる。もし患者が右にツイストすれば、装具410の頂部はZ軸の回りに時計回りで回り、左へのツイストは装具410の頂部をZ軸の回りで反時計回りに回らせる。どの方向に患者の動きを不動化するかを知ることにより、装具410は曲げを非対称にすることが出来る。
【0079】
図16−18を参照すると、背部装具510の異なる図が図解される。図16は装具510の前面図を図解し、図17は側面図を図解し、そして図18は背面図を図解する。装具510は前部セクション上の水平ビーム505と左及び右側の前部部分を有して構成される。脊柱は圧縮されるべきでないので、装具510の背部は垂直ビーム507を有する一方、水平ビームを有しない。背部は前部より堅固なので、背部は曲がるが圧縮されない傾向がある。対照的に、前部は背部の曲げに応答して圧縮されるか又は膨らむ。垂直ビーム507は装具510の幅に亘り設置されるので、該垂直ビームは装具510が側から側へ曲がるのを防止する。装具510は垂直及び水平に整合されたビームを有するが、これらはビームの一般的な整合を表すのみである。現実の装具のビームは相互に交叉し、必要な方向性の強度と柔軟性を提供するよう角度付けられ、曲げられるだろう。
【0080】
図19−21を参照すると、装具内へ設計されるもう1つの特徴は、個別に吊られた接触パッド611の密な格子であり、該格子は中空で、該パッドにトロイドの形を与える各パッド611を有する。これは接触‘リング’615が皮膚に接触することを可能にし、各接触パッド611は中央に換気孔619を有する。該換気孔619は皮膚への改良された空気流を与える。そのドーナッツ形状は間隙浮腫を起こり難くするが、それは血液流れを混乱させるよう皮膚に対し押す堅いエッジが無いからである。そして比較的大きい接触パッド611の面積は皮膚に対する快適性を高めそうである。又空気が接触パッド611の各々の周りに流れ、外壁を通るパーフォレーションパターンを通して空にされる。これはユーザーへの快適性を高め、表面皮膚温度を冷却する。
【0081】
接触パッド611の各々が個別の巻かれた‘セル’として創られるので、該パッドは該パッドの‘切り株’の各々の付近に‘井戸’が存在するよう創られる。該セルの厚い部分
が隣接セルと交叉するので、該‘井戸’を超えて、壁厚さは成長する。これは、(各パッドの切り株の周りで)望ましければ柔軟で、それでも(各切り株間で)望ましければ強い様な、比較的強い構造体を創らせる。強度と適合性の両者が1つの面内で充たされる。このレバー手段(stalk approach)への接触点は皮膚接触を多くの個別点上に分布させる。これらの点接触は接触点間の皮膚への血流を許すことにより低循環範囲を最小化する。圧縮範囲はかくして拡散過程により血液供給を受けることが出来る。この戦略は大きな虚血帯又は皮膚破れ範囲のポテンシャルを最小化する。加えて、接触点を支えるレバーの機械的特性を変えることにより、皮膚での剪断応力量は最小化される。もし該レバーが充分柔軟なら、装具内の皮膚の動きに伴って、動きは、接触点と装具の間では起こらず、代わりにレバーのレベルで、接触パッドと装具の外骨格外層の間で起こる。剪断と虚血を最小化することにより、この様なパッド構造体は皮膚破断のポテンシャルを最小化出来る。
【0082】
ダイナミックな装具用では、これらの接触パッド611構造は被取り付け構造体の密着容積として作られ、或いはもっとダイナミックな装具用では、該接触パッド611は、外側の外骨格及び換気パターンと連続した個別要素としてプリントされるが、そこでは接触パッド611と、外骨格を除く支持構造体と、は接触しない。この様な構造は接触パッドによる機械的特性への何等の影響も無しに該装具の選択領域での異なる動きを許容する。
【0083】
図19−21で図解されるパッド611は装具の内面の1部である。各パッド611は、水平運動のみならず圧縮でも、柔軟で運動可能である。実施例では、パッド611の各々は接触部分615と、フレームに結合されたステム621とを有する。該パッド611が患者の体の部分に対し圧縮された時、例えば、該装具を患者が着用した時、接触部分615は、フレーム629に対し圧縮されるステム621に対し圧縮される。ステム621は接触部分より遙かに狭く、曲げ可能である。パッド611の接触部分615が水平に動くと、ステム621はパッド611の動きに応答して曲がる。該ステム621は又、ステム621がフレーム629の平面に対し直角方向に動くような仕方でフレーム629に結合されている。かくして、パッド611は装具のフレームに対するパッド611のどんな直角圧縮にも応答して動く。実施例では、装具の部分又は全内面は説明したパッド611を有してもよい。装具に使われたパッド611は全て同一でもよく、或いは各々が異なる設計特性を有してもよい。例えば、皮膚の下の骨の様な堅い面上に置かれたパッド611は、骨及び/又は関節の快適な動きを可能にする柔軟なパッド611を持ってもよい。対照的に、身体の柔らかい範囲上に置かれたパッド611は、柔らかい範囲が同じ多くのパッド作用を要しないので、硬さを有してもよい。図19は1つのパッド611要素の例の断面図を図解する。図20は直接圧縮されたパッド611を図解し、図21は対角線圧縮されたパッド611を図解する。該圧縮された図解では、ステム621はパッド611に印加された圧力に応答して曲がる。
【0084】
他の実施例では、非円形面、種々のばねステムそして種々の換気機構を有する種々の柔軟なパッド設計が使われてもよい。パッドの堅さ又は柔らかさはフレームに対するステムのばね比と、パッドの接触面積と、で定量化される。大きい接触面積と低いばね比を有するパッドは非常に柔らかである。対照的に、小さい接触面積と高いばね比を有するパッドは堅いパッドである。パッドの堅さ又は柔らかさを定量化する式は(パッド表面面積)*(ステムばね比)=Xである。例えば、もしパッド面積が約6.45cm2(1平方インチ)でばね比が1cm当たり約1.49kg(10ポンドパーインチ)ならば、該パッドがフレーム内へ約0.63cm(1/4インチ)圧縮された時、力は平方センチメートル当たり約0.176kg(平方インチ当たり2.5ポンド)である。もしパッドがフレーム内へ約1.27cm(1/2インチ)圧縮されたなら、力は平方センチメートル当たり約0.352kg(平方インチ当たり5ポンド)である。パッドの各々のダイナミックな堅さ/柔らかさ特性は個別に装具内へ設計される。パッド面積は約1.61cm2(約1
/4インチ平方)から約32.25cm2(約5インチ平方)に及び、ステムのばね比は約0.00179kg/cm(約.01ポンド/インチ)から約17.9kg/cm(約100ポンド/インチ)以上に及ぶ。
【0085】
装具設計に付加されてもよい他の特徴は、装具が関節で動く、又は身体に容易に取り付けられ、身体から取り除かれるよう、開かれることを可能にするヒンジを有することである。ヒンジは、装具を膝又は肘関節で動かさせるためにユーザーの膝又は肘の様な関節に配置される。ヒンジの適当な配向を決めるために、種々の関節角度で肢の1連の写真が取られる。例えば、図22を参照すると、膝が曲げられた脚791の第1セットの写真が1つ以上のカメラ121で取られる。図23を参照すると、膝793が僅かに曲げられた第2セットの写真が取られ、図24を参照すると、膝793が真っ直ぐな第3セットの写真が取られる。累積データを使うことにより、設計者は各脚791の位置とヒンジの最も精確な配置との面座標を決定出来る。肘又は膝は固定軸の周りの完全な回転では動かないが、しかしながら設計者は装具用に最も近く適合する回転軸を決定出来る。一旦最良の回転軸が決定されると、設計者はヒンジを装具設計に一体化する。
【0086】
図25−27を参照すると、ヒンジ830は装具801の上部部分822と下部部分824を結合する円形構造体である。実施例では上部部分822と下部部分824は装具801の反対側に設置され回転軸を規定する2つのヒンジ830により連結される。該ヒンジ830は、ヒンジ830の回転摩擦を最小化し、上部部分822と下部部分824のスムーズな動きを可能にするベアリング構造を有する。該ベアリング830はインナーレースとアウターレースを有する。該インナーレースは外径付近に延びるベアリング面を有し、アウターレースは該レースの外径付近に延びるベアリング面を有する。ボールベアリング、ローラーベアリング、他の様なベアリングは該レース間に設置される。該ベアリング材料は金属、セラミック、プラスチック、他でもよい。面座標を用いて、設計者は該ベアリング構造を装具の設計に一体化する。
【0087】
肢を挿入し、取り除くために、装具801はユーザーガ該肢を容易に挿入及び取り除くことを可能にする開き機構(複数を含む)を有してもよい。例えば、装具801は長さに沿い分かれ、一緒に結合される2つ以上の部分に分けられてもよい。該肢を挿入するために、装具全体は開き、そして肢挿入後、装具部分822、824は肢の周りで固定されてもよい。実施例では、装具801は1つの側にヒンジ826を、反対側にラッチ機構828を有してもよい。ラッチ828は解除されるので装具801は開かれる。開きヒンジ(複数を含む)が適当に機能するよう、該ヒンジは装具801の長さに沿って整合されねばならない。特に、装具801が肘又は膝用のヒンジ826を有する場合、上部セクション822及び下部セクション824に結合されたヒンジ826は該装具が開かれるよう整合されねばならない。実施例では、開きヒンジ826は、装具801の上部セクション822と下部セクション824が整合された時、整合される。かくして、該装具801は上部セクション822と下部セクション824が整合された時のみ開いている。
【0088】
外面座標が得られた時、装具の内面は肢の外面とマッチするよう設計されてもよい。これは損傷した肢に完全にマッチする装具又はギブスを提供する。マッチする面は該装具又はギブスがより精確で快適な嵌合を有することを可能にする。設計者は又該肢を支持し保護するのに充分な装具の厚さを決定する。設計者は、装具が開かれ、患者が肢を挿入出来る又は肢を外すことが出来るよう、装具を長さに沿った2つのピースに分けてもよい。
【0089】
図25−27を参照すると、システムは又装具801の長さに沿って延びるヒンジ826用の最良位置を決定する。外面が真っ直ぐでないので、ヒンジ826は直線に沿う装具801の最外部分にのみ設置される。実施例ではコンピュータ設計ソフトウエアは、脚の背部にある真っ直ぐな線の短い距離内にある最長線に沿い延びる好ましいヒンジ826位
置を位置決めする。この構成はラッチが脚の前に設置されることを可能にするが、該ラッチは装具又はギブスが容易に取り除かれる又は取り付けられることを可能にする。例えば、脚装具の背部の最長の直線は該脚のふくらはぎ範囲の背部にある。設計システムはヒンジを、ふくらはぎ範囲の背部に沿って延びる線に沿うよう、そして該線から約1.27から約2.54cm(1/2から1インチ)の様な予め決められた距離内にあるよう集積化する。該設計システムは該ヒンジと装具の湾曲との間のギャップ内をフィラー材料で充たす。ラッチ、クランプ、ラチェット又は他の閉じ機構でもよい閉じ機構が該装具の反対側に結合される。該閉じ機構は装具の内部容積が可変であるように調整可能であってもよい。該閉じ機構は堅くクランプされるので、もし肢が萎縮で小さくなっても、該装具も又適当な嵌合を保持するために小さくされ得る。該装具は、もし該肢が筋肉寸法の増大又は腫れのために大きくなっても拡大され得る。
【0090】
実施例では、上腕又は脚装具は膝ヒンジ又はベアリングの周りで相互に対し動く上下部分を有する。この実施例では、開き機構は装具801の上下部分に各々が結合された上、下ヒンジを有する。設計者は図25に示す様に、装具801の上部部分822と下部部分824を直線818と整合させ、次いで図26に示す様に、直線ヒンジ826を装具801と直線818の交点に挿入する。この例では、ヒンジ826は軸方向に整合された2つのセクションを有する。かくして上部部分822と下部部分824は装具801を開くよう整合されねばならない。装具801の反対側に沿って、該設計システムは図27に示す様に、該装具を一緒に保持する1つ以上の結合機構828を挿入してもよい。
【0091】
現在のギブスに於けるもう1つの問題は該ギブスが空気を肢に対し循環させないことである。これは、肢が容易に清掃されず、死んだ皮膚が除去されないので不快である。肢に対し或る空気循環を可能にするために、装具又はギブスは該装具の表面上に分布され得る換気孔を有するよう設計されてもよい。図28に示す様に、多くの小さい孔903がギブス又は装具901全体上に分布し、内外面間に延びる。これは装具又はギブス901が構造的に非常に強いことを可能にした上だが、それでも空気が皮膚に対し循環することを可能にする。内面は又空気を皮膚に対し流れさせるチャンネル又は溝を該面内に有してもよい。
【0092】
他の実施例では、図29に示す様に、大きな孔914が装具又はギブス912内に形成されてもよい。これらの大きな孔914の下のこれらの範囲は支持又は保護を提供しないので、装具の重要性の低い範囲に大きな孔が位置付けられる。例えば、脚装具が膝を保護するために使われてもよい。かくして、該換気孔は装具が保護するよう意図している範囲には配置されるべきでない。機能的目的に加えて、孔又は何等かの他の装飾的、識別用又は他の特徴部が装具又はギブス設計に組み入れられてもよい。
【0093】
図30を参照すると、実施例では、装具901は複数のアクセス可能な領域902、904、906を有する。該アクセス領域902、904、906は損傷及び患者に依って大きいか又は小さい。該種々の領域902、904、906は写真測定の前に患者上にマーク付けされてもよい。各アクセス領域902、904、906は、装具901によりカバーされる患者の個別部分がアクセスされることを可能にするヒンジ912又は他の解除可能なファスナーへ取り付けられてもよい。該アクセス領域902、904、906は関心のある特定範囲、例えば清掃される又は周期的にチェックされる必要がある創傷範囲、の上に戦略的に置かれてもよい。他の実施例では、アクセス領域902、904、906は又装具901の全長に沿って延びる。装具901でカバーされた肢又は身体範囲全体は、肢又は身体の残りが装具901により保護され、不動化されながら、個別に各領域902、904、906を開くことにより、清掃、検査、縫合跡951の除去又は他の理由でアクセスされることが可能である。図31を参照すると、もう1つの実施例で、装具920は個別アクセス領域922を有し、該装具の上部部分924の残りは一緒に結合されて
いてもよい。
【0094】
図32−37を参照すると、或る実施例では、装具930は、装具911から完全に除去されるモジュールセクションを有するモジュール型構造を備えるモジュール型設計である。この設計は前腕の様な損傷した肢の骨用に有用である。ギブスは医療技術で良く知られている。骨が損傷すると、骨は骨折サイズを整復するようセットされ、手、下腕及び上腕の周りにギブスが置かれる。上腕が治癒すると、該ギブスは除去され、より小さいギブスと取り換えられる。患者は損傷の種類により幾つかのギブス取り換えを経る。これは各ギブスが鋸切断されねばならず、新しい短いギブスが上腕又は脚の上に作られねばならないので、非常に時間が掛かる。又論じられた様に、ギブス鋸を用いたギブスの着用と除去はこれらの手順時鎮静させられる必要がある子供には非常に衝撃的である。
【0095】
実施例では、上腕940、カフ942、肘938、下部前腕932、上部前腕934そして拇指スパイカ936を有する幾つかのモジュールセクションを備えるモジュール型装具930が患者用に設計されてもよい。該セクションは患者が治癒するにつれシーケンシャルに除去されてもよい。患者は種々のモジュールセクション間の接合部にマーク付けされてもよい。該マーキングは写真測定過程で検出され、種々のモジュールセクションが装具930内へ設計される。普通損傷した骨のx線が取られるので、このx線データが写真測定画像で見られ、装具930は身体の損傷範囲で腕を保護するために必要な構造的完全性を以て設計される。該装具930は説明した様に設計され、モジュール型セクションはねじ915、又は装具内に形成された、又は該モジュールセクションに取り付けられた何等かの他の種類のカップリングの様な取り除き可能なファスナーにより各隣接セクションに固定されてもよい。
【0096】
図32を参照すると、もし患者が上腕を損傷すると、最初に腕全体が指から肩まで延びる装具930により不動化される。図33を参照すると、第1期間後、カフ942は上腕モジュール940から除去される。これは肘が隔離期間後、曲げることを可能にする。もしカフ942が上腕モジュール940にヒンジ付けされると、カップリングが開かれる。代わりに、カフ942は、ベルクロ(Velcro)で上腕モジュール940に結合されてもよく、該カフ942を除去するためにアンベルクロされて(un−velcro−ed)もよい。図34を参照すると、第2期間後、上腕モジュール940全体は、肘屈曲を可能にする治療用に好適な時、除去されてもよい。肘を囲み、屈曲を許すが回転を許さない肘モジュール938はなお存在する。
【0097】
図35を参照すると、肘モジュール938が除去され、残りの治療用に‘短腕’ギブスを残す。この上部前腕934はヒンジ912で下部前腕932に結合され、該上部前腕は、治療時腕を静止して保つために閉じるが、皮膚の清掃及び検査用に1時的に開かれてもよい。図36を参照すると、‘拇指スパイカ’936は治療時何時でも除去されてもよく、拇指用の運動を可能にする。最後に、図37を参照すると、装具930の下部前腕モジュール932は、追加の安静と安全用に治療後必要ならベルクロストラップにより位置的に保持される‘添え木’として残ってもよい。
【0098】
他の実施例では、同様な装具が損傷した手、足又は脚用に作られてもよい。例えば、患者が手を損傷した時、最初に手全体は、手根、掌、指及び拇指用の種々のモジュールを有するモジュール型装具内に置かれる必要がある。該装具は又アクセス部分を有してもよい。医者は損傷した範囲のみならずモジュール継ぎ目及びアクセス位置の各々用の望ましい位置をマーク付けしてもよい。該装具は次いで設計され、作られる。装具は次いで全てのモジュールと何等かの必要なパッドと共に組み立てられる。手が治癒するにつれ、個別モジュールは装具から除去され、患者は手の使用を得直す。結果として、患者が完全に回復するまで損傷した指のみが装具内に残る必要がある。手は多くの小さな部品を有するので
、従来の手ギブスを作り、除去するのは難しい。1つの装具のみが必要で、モジュールは患者の治癒につれて簡単に除去されるので、本発明のプロセスは回復過程を大いに簡単化する。
【0099】
指定された時間にモジュールを除去することは治癒過程に非常に重要である。延長時間の間不動の侭に残される関節は非常硬くなる。かくして、出来るだけ早く関節を活発にすることは重要である。下腕モジュール925は、損傷骨が完全に治癒するまで、患者の腕を支持するため着用され続けるのがよい。本発明の装具は従来の場合に優る多くの利点を有する。モジュールが除去されるので、新装具は必要ない。装具モジュールが除去可能なので、医者は肢を検査出来て、患者は必要なら肢を清掃出来る。患者は損傷した肢がマーク付けされ撮影された後、病院に留まる必要はない。ギブスを周期的に取り外して、取り換えねばならないのに比較して、各セクションが取り外される時、実質的に時間が節約される。もし肢が萎縮のため収縮するなら、追加のパッドが装具内に挿入されても良い。最後に、もし患者が該肢を再度損傷した場合、該肢が著しく変わってなければ、誂えたモジュール型装具が再使用されてもよい。適当な寸法であるのに加えて、装具又はギブスは必要な使用法には充分強くなければならない。ランニング又はジャンプ時、足根関節装具又は歩行用ギブスはユーザーの重さと衝撃を支える必要があり、上腕装具又はギブスも普通の使用力に対抗出来ねばならない。実施例では、装具又はギブスの強度は、装具又はギブス部品の形状と該部品を作るため使われる材料で決定される。適当な材料は高強度ポリアミドの様な高強度プラスチック、金属、合金及びエポキシバインダー内の炭素繊維の様な複合材料を含む。
【0100】
もう1つの実施例では、皮膚上のマーキングが骨の輪郭のパッド用範囲、或いは輪郭を保持するため長時間追加のパッドを付加する範囲を決める。このシステムを使って、適合用パッドは、ギブスの内壁内の“被適合領域”の限界内に適合するよう、同じ過程によりプリントされてもよい。漸進的厚さの適合用面パッドの配列が作られ、初期ギブスと共に健康管理提供者に提供されてもよい。該内側適合用パッドは付加的製造技術により作られる柔らかく柔軟な材料で作られてもよい。
【0101】
該内側パッドは換気改善用に外側の外骨格の換気孔にマッチする多孔性を有してもよい。該内側パッドは、該パッドが正しい配向で正しい位置にスナップ式に入るよう該パッド内に製造されたロック用デバイスを有してもよい。代わりに、該パッドを装具に取り付けるために接着剤が使われてもよい。パッドと装具が共に誂えで作られるので、それらは、何処に、そしてことによると如何に、パッドと装具が相互に取り付けられるべきかを示すテキスト、カラーコード又は表象であってもよい位置標識でマーク付けされてもよい。例えば、パッド上の該テキストは“パッド内の孔Aにコネクターを取り付けることにより装具の上部背部セクションにこのパッドを取り付ける”と述べてもよい。
【0102】
身体が治癒するにつれ、運動不足は萎縮をもたらし、該萎縮は体を収縮させる。かくして、第1セットのパッドは薄い。元の薄いパッド付きの装具又はギブスは最早適当に適合しなくなったら、該薄いパッドは除去され、厚いパッドと取り換えられる。適合するパッドの配列は必要になると期待される種々の厚さを有する。パッド用のデジタル設計が記憶されるので、追加のパッドは記憶されたパッド設計から作られる。
【0103】
CADシステムは装具又はギブスの負荷支持部材を設計するため使われてもよい。一般に、ギブス又は装具はユーザーが必要とするより遙かに強い。代わりの実施例では、設計者はユーザーの重さと活動レベルをCADシステムに入力し、期待される負荷に基づき必要な強度を計算してもよい。該CADシステムは次いで該負荷要求をサポート出来る負荷支持構造体を設計する。
【0104】
本医療デバイスは、迅速プロトタイプ化過程により同時に作られるよう設計された単一又は多数ピース構造体として設計される。代わりに、本医療デバイスは使用前に組み立てられる多数ピース構造体として設計されてもよい。この多数ピース構造は製作期間の意味でより効率的である。空間効率的でない単一ピースとして装具を形成するより寧ろ、装具は後で組み立てられる複数の平坦セクションから作られてもよい。装具が大きな開いた中央容積を有するよう設計される時、製作機械は該装具を作るが、中央容積は空である。該中央容積が空でも、或いは他の構造体で充たされていても、製作機械は同じ速度とコストで動作する。かくして、装具を複数の平坦セクションとして設計することにより、1つ以上の装具用部品がより効率的な仕方で同時に作られる。該部品が作られた後、該部品は例えば図10で図解される様に、装具を形成するよう組み立てられる。
【0105】
一旦設計が終了すると、CADシステムにより作られた設計データは該装具又はギブスを作るために使われる。装具又はギブス用の情報はデジタルフォーマットであるから、装具又はギブスは何処で作られてもよい。好ましい実施例では、製作はローカルで行われるので、患者は出来るだけ速く装具又はギブスを受け取ることが出来る。代わりに、患者は遠隔位置に居て、装具又はギブス設計情報が工業地域に位置する製作者へ電子式に送信されることも容易に出来る。該装具又はギブスはその設計データを使って作られ、遠隔の田舎の位置に位置する患者へ出荷されることも出来る。
【0106】
好ましい実施例では、装具又はギブスは、液体又は粉体材料の槽へ向けられたエネルギービームを使う迅速プロトタイプ化過程により作られる。同様な製作過程は、付加的製造、迅速製造、積層式製造、3次元プリント、選択レーザーシンタリング{エスエルエス(SLS)}、溶融堆積モデリング{エフデーエム(FDM)}、ステレオリトグラフィー{エスエルエイ(SLA)}、電子ビーム溶融{イービーエム(EBM)}及び他の方法として知られる。これらの製作過程は材料を横切るよう屈折され、露光材料を硬化させるエネルギービームを使う。もう1つの可能な製造過程は溶融材料堆積である{エフデーエム(FDM)}。
【0107】
断面設計データは、シーケンシャルなシリーズの層で主な又は全体の装具又はギブス組立体を作る製作機械により使われる。材料の各層が硬化されると、誂えのギブス、装具又はデバイス部品の完成部分は槽内へ垂直に移され、次の断面層が形成され、隣接する形成済み層へ溶融される。全層が形成されると、誂えギブス、装具又はデバイス部品は完成する。該構造体は該デバイスを完成するに必要な単一ペース又は多数ピースの組立体であってもよい。該製作過程は摺動する面を創るよう精密に制御されるので、例えヒンジ付けされる部分でも該装具又はギブスの他の部分と同時に作られてよい。
【0108】
1実施例では、該装具又はギブスは1つの集積化された構造体として作られるので、仕上がり製品は完全である。上記で論じた様に、本発明の装具又はギブスの運動部品は、膝又は肘又は回転部品を有する開き用ヒンジに結合される。例えば、該開き用ヒンジは孔内で回転するロッドを要するベアリング部品を有してもよい。迅速プロトタイプ化法はロッドと対応する孔とを同時に作る。
【0109】
他の実施例では、該部品が同じ材料に対しスライドしないよう、付加的部品がギブス又は装具に付加される。 実施例では、ブッシング又はベアリングが回転点で装具又はギブスに付加される。該ブッシングはステンレス鋼、セラミック、デルリン(Delrin)又はテフロン(Teflon)の様な潤滑性材料製である。他の実施例では、ベアリングが使われる。該ベアリングはローラー、ニードル、ボールベアリング又は何等かの他の種類のベアリングを有するシールされたユニットであってもよい。該ベアリング材料はセラミック、金属又はプラスチックであってもよい。スライドする面間に該ブッシング及び/又はベアリングを保持するために既知の機構が使われてもよい。
【0110】
もう1つの実施例では、身体又は損傷肢の表面データがもう1つの走査過程を通して得られ、CADシステムに入力されてもよい。例えば、身体又は肢は3次元光学的スキャナーで走査されてもよい。該身体又は肢は、完全な3次元デジタル画像を得るために多数の側から走査されねばならない。該スキャナーは身体又は肢の表面上の多数点用の幾何学的測定値のデータセットを創る。該3次元デジタル画像の精度と詳細は該身体又は肢のより多くの測定値を取ることで改善される。適当な手持ち式レーザースキャナーはポルヘマス(Polhemus)によるファストスキャン(FastSCAN)システム及びハンディスキャン(Handyscan)によるハンディスキャン3次元デーシステム(Handyscan 3D system)を含む。光学的スキャナーの欠点は身体の表面を検出するのみではないが、患者上に置かれたマーキングを検出しないことである。又走査は、光学的ビームが患者の体全体上を動かされる必要があるので、実質的な量の時間を取ることである。患者は該走査過程中非常に静止して留まらねばならない。論じた様に、この静止要求は乳児又は動物の鎮静処置無しには極端に難しい。これらの欠点のために、患者用に表面及びマーキングデータを得るためには写真測定が好ましい方法である。
【0111】
走査データはCADプログラムにより読まれ得る使用可能な表面フアイルに変換される。特に、身体又は肢の走査からの表面データは、再生過程を通して該身体又は肢の形状を外挿するために参照される。該再生過程は、多角形モデルを形成する多くの小さな多角形形状から連続面を作るために、該走査された身体又は肢のデータからの線に隣接点を接続する、ポイントクラウド(point cloud)として知られるアルゴリズムを使う。該再生過程により作られたデータは、身体又は肢の表面に密接してマッチする連続3次元デジタル表現である。スキャナーデータ再生過程を行うため使われるソフトウエアの例はジオマジック(GeoMagic)によるジオマジックスタジオ(Geomagic Studio)と、パラメトリックテクノロジー社(Parametric Technology Corporation)によるプロ/エンジニヤ用(Pro/Engineer)のプラグインモジュールであるプロスキャンツール(Pro Scan Tools)である。該身体又は肢用の再生表面フアイルはギブス又は装具設計用のCADプログラムへ入力される。
【0112】
1実施例では、部品又は関節形成する装具は迅速プロトタイプ化機械を使い同時に作られる。部品は容易に同時に作られるが、装具の反対側に設置される膝関節の様な部品を創るのは難しい。実施例では、膝関節は一体化された又はモジュール化された機構として設置されるボールベアリング構造を有する。レースとボールベアリングを同時に作るより寧ろ、該関節はベアリングレースだけで作られてもよい。製作後、該ベアリングは該レース部品間に挿入される。該ベアリングはスムーズなスライド機構を提供し、又該スライド部品間の嵌合をきつくする。もし該ベアリングが摩耗したなら、それらは取り換えられるので脚装具は修理される。代わりに、該ベアリングは、摩耗した時除去され、取り換えられるモジュール設計であってもよい。なおもう1つの実施例では、関節は、摩耗した時取り換えられるスライドするモジュール型ブッシングであってもよい。
【0113】
論じた様に、写真測定は患者に関する追加情報を装具設計者及びCADソフトウエアに示すため使われる他のマーカーを検出出来る。膝の回転軸は該膝の画像を得る前に決定され、示される。例えば、軸を示す細長いロッド又は何等かの他のマーカーが回転軸を示すために膝のどちらかの側に置かれてもよい。該ロッド又はマーカーは検出され、CADソフトウエアはこのマーカーが回転軸を示すと解釈する。代わりに、図22−24を参照して上記で図解した様に、多数曲げ角度で取られた膝の多数画像に基づき回転軸を得ることも可能である。同様なマーカーは、誂えの装具又はデバイスで必要な何等かの他の関節の回転軸を示すために使われてもよい。
【0114】
運動の範囲が関節により制御されるので、脚装具の膝関節内の停止部を使うことにより運動範囲を限定することが出来る。1実施例では、該停止部は、患者が治癒するにつれて変更可能であり、調整可能である。最初に、運動範囲は狭い運動に限定される。患者が治癒するにつれて、患者が肢及び/又は身体用の完全な運動範囲を取り戻すまで拡げられてもよい。実施例では、弾性抵抗機構が該運動範囲の端部に付けられてもよい。かくして、直ぐ前の予め決められた角運動が増加する弾性ばね力により対抗される。停止部と同様に、弾性領域は可変であり、患者が治癒するにつれ、普通拡大される。
【0115】
1実施例では、CADシステムはグラフィカルユーザーインタフエース{ジーユーアイ(GUI)}を有し、該インターフエースは設計者が装具又はギブスの外観を容易に変えることを可能にする。該ジーユーアイは特別の、誂えの、所有者のアップリケーションであっても良く、或いは単にプロ/エンジニヤ(Pro/E)内部に組み込まれたCADモデルであってもよい。該ジーユーアイは、ユーザーの皮膚のカラーにマッチするのが好ましいが、又どんな他のカラーであってもよい特定のカラーで装具又はギブスが見られることを可能にする制御部を有するのがよい。
【0116】
設計者が該装具又はギブスの設計を完了すると、該CADソフトウエアで作られた該設計データはユニークな、誂えで作られる装具又はギブスを創るために使われる。迅速プロトタイプ化は、金属及びプラスチックを含む種々の材料から部品を作るためにデジタル設計データとソフトウエアを使うシステムの総合カテゴリーである。これらの機械は液体又は粉体材料の槽を横切って屈折させられるエネルギービームを使うことが多い。該エネルギービームへの露光は材料を一緒に溶融、硬化させる。これらの製作機械は全ての誂えのギブス又は装具部品を創ることが出来る。
【0117】
該迅速なプロトタイプ化機械でギブス又は装具部品を作るために、CAD設計データは修正される必要があるかも知れない。部品用の普通のCAD設計データは多くの平行断面のベクトルデータに変換されるが、該ベクトルは該部品の長さに沿って延びている。該CADソフトウエアと製作機械との間で送信されるデータは部品断面の形を多くの接続された3角形の子面により近似する。小さな子面はより高い品質の面を作るが、より多くの計算時間を要し、非常に大きい製造データセットを創る。CAD設計プログラムの出力は、JPGエクスポートと同様なエクスポートオプションである標準エステーエル(STL)フアイル、又は何等かの他のフアイルフォーマットであってもよい。
【0118】
部品断面用のベクトルデータは迅速プロトタイプ化用スキャナー制御器により読まれるが、該制御器は該ベクトルデータを運動情報に変換し、該情報はエネルギービーム走査ヘッドへ送られる。レーザービームによる実施例では、該迅速プロトタイプ化機械は液体又は粉体材料槽上で該レーザービームをX及びY座標で屈折させる2つのミラーを有する走査ヘッドを備える。次いで該製作情報は、各部品断面を連続して創るために、プリントヘッド断面を制御するよう使われる。該走査ヘッド制御器は該製作データを読み、プリントヘッドに液体、粉体又はシート材料の連続層をレーザー光の精密パターンへ露光させる。一旦該層が完全に形成されると、該部品は該槽内へ移されるので、材料の薄槽が前に形成された層をカバーする。該過程は多数回繰り返され、新しい層は形成され、前に形成された層へと溶融される。電子ビームによる実施例では、電子ビームは材料槽上で磁場を用いてX及びY座標で屈折される。部品断面は、部品製作が完了するまでシーケンシャルに形成される。
【0119】
付加式製作迅速プロトタイプ化の主要な利点は、非常に複雑な形状と幾何学的特徴部を創る能力である。軽量で強いギブス又は装具が、迅速プロトタイプ化機械で、光重合体の様なプラスチック材料から作られる。迅速プロトタイプ化の追加の利点は複雑で、相互リンクしたそして組み立てられた部品を1回のランで創る能力である。対照的に、従来技術
で使われる従来の手段は個別製造の多くの部品と、それに続く該部品の組立を要した。かくして、例え個別部品はそれら自身は作るのに非常に僅かなコストしか掛からなくても、組立は著しいコスト追加を要した。
【0120】
該迅速プロトタイプ化過程は熱可塑剤、光重合体、金属粉、共晶金属、チタン合金、及び他の材料を含む種々の材料に適用される。本発明のギブス及び装具は低廉であるよう意図されているので、好ましい材料は熱可塑性材料である。幾つかの適当な迅速プロトタイプ化機械の例はエーオーエス社(EOS GmbH)によるレーザーシンタリング機械、アーカムエイビー(Arcam AB)による電子ビームシンタリング機械、そして3次元システム社(3D Systems Corp.)によるレーザーステレオリトグラフィー機械(laser stereo lithography machine)及び選択レーザーシンタリング機械(selective laser sintering
machines)を含む。同様の製作過程は、付加的製造、迅速製造、積層製造、3次元プリンティング(3D printing)、レーザーシンタリング、電子ビーム溶融{イービーエム}、他の名前により既知である。全てのこれらの製作過程は、部品全体が完成するまで、各層を形成するために精密パターンの材料を固体化するよう、材料の槽上でエネルギー付与したビームを走査する同じ動作原理を使う。
【0121】
もう1つの可能な製作過程は溶融材料堆積{エフデーエム(FDM)}である。エフデーエムは材料を層として置くことによる“付加的”原理で作動する。プラスチック繊維又は金属ワイヤがコイルから解かれ、流れを回したり止めたりする押し出しノズルへ材料を供給される。ノズルは材料を溶融するよう加熱され、CADソフトウエアにより直接制御される数値制御機械により水平及び垂直の両方向に動かされる。ステレオリゾグラフィーと同様な仕方で、該プラスチックがノズルからの押し出し後直ちに硬化する時、モデルは層から形成される。
【0122】
本発明の装具又はギブスはシーケンシャルな過程で作られる。実施例では、患者の肢又は体の部分は基準点でマーク付けられ、撮影される。該写真は処理され、基準点は肢用3次元表面データを創るよう3角法で測定される。該写真は種々の位置の肢のデータを有し、該写真は動く膝又は肘の位置を決めるために使われる。設計者は開きヒンジ、閉じ機構、装飾的特徴部、膝又は肘回転機構の様な付加的特徴部を該装具又はギブスに追加してもよく、そして最終設計は次いで電子データフアイルに変換される。該装具又はギブスデータフアイルは迅速プロトタイプ化機械に送信され、該機械は光重合体材料から、ことによるとの単一製作過程で、該装具又はギブスを創る。ブッシング、ベアリング、又は足裏インサートの様な何等かの付加的部品が必要とされ、製作設備に備えられてもよい。完成した装具又はギブスは次いで末端ユーザーへ配送される。デジタルデータは、メール経由で、携帯電話又は衛星経由で電子的に、デジタルメディヤ上に送信されてもよいので、本発明の過程は装具又はギブスの設計、製作及び配布を大幅に改善する。
【0123】
本発明のシステムが特定の実施例を参照して説明されたが、しかしながら本発明のシステムの範囲から離れることなくこれらの実施例に追加、削除及び変更が行われ得ることは理解される。例えば、身体又は肢の装具を設計、製作するため説明された同じ過程は肩スパイカ、股関節スパイカ、スパイカギブス、パブリク装具(Pavlik brace)、内反足ギブス、メタ細動脈内転ギブス、ブラウント(Blount)病ギブス/装具、足根関節足矯正器、小児足根関節ギブス、小児歩行ギブス、脊柱テーエルエスオー装具(spine−TLSO braces)、ハロ身体ギブス(halo body cast)、頸部カラー、斜頸装具及び他の医療デバイスの設計及び製作に適用されてもよい。他の実施例では、誂えの椅子、シート、サドル、運動機器、靴、パッド、ヘルメット、モーターサイクル及び自転車用シート、ハンドルバー及びハンドグリップ、他を含む人間により使われる他の製品用に本発明の過程を使うことは可能である。説明された装置及び方
法は又、動物用装具及びギブスそして馬及び騎手用誂えサドル用に使われてもよい。説明される装置と方法は又、自動車ボデイ修理及び表面輪郭の再生を要する他の物体の修理又は再生、を含む他の応用に使われてもよい。実施例では、本発明の過程は宝石の様な彫刻的及び特にデザインされた品物の修理又は取り換えに使われてもよい。これらの品物は芸術家により作られ、次いで撮影され、デジタル表現が記憶されてもよい。該品物がもし損傷され、粉失され、破壊されたならば、該デジタルデータが該品物を再生又は修理するよう型を作るため使われてもよい。説明された誂えのギブス、装具及びデバイスは種々の部品を有するが、これらの部品と説明された構成は種々の他の構成に変型され、再配置されてもよいことは良く理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装具を設計する方法であって、
該装具のエッジの位置を示すマーキングを身体上に置く過程と、
該身体及び該マーキングの複数のデジタル画像を得る過程と、
該身体の表面と該装具のエッジの該位置とのデジタル表現を得るために該デジタル画像を処理する過程と、
該身体の表面と該装具のエッジの該デジタル表現をコンピュータメモリー内に記憶する過程と、そして
外面と、該身体の表面に対応する内面と、そして該マーキングに対応する該装具の該エッジと、を有する該装具用の設計をコンピュータ上で創る過程と、を具備する方法。
【請求項2】
該身体上にマーキングを置く過程の前に該身体を適合する材料でカバーする過程を更に具備する請求項1記載の方法。
【請求項3】
該身体上に該装具の第1モジュールと第2モジュールの間の継ぎ目をマーク付けする過程と、そして
該身体上にマーク付けされた該装具の該継ぎ目を組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備する請求項1記載の方法。
【請求項4】
該装具用の孔の輪郭を該身体上にマーク付けする過程と、そして
該身体上にマーク付けされた該孔の輪郭を組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備しており、
デジタル写真が該身体上にマーク付けされた該装具用の該孔の輪郭を有する請求項1記載の方法。
【請求項5】
該身体の敏感範囲にマーク付けする過程と、そして
該身体の該敏感範囲上に凹部範囲を組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備しており、
該デジタル写真が該身体上にマーク付けされた該身体の該敏感範囲を含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
該装具の柔軟特性を入力する過程と、そして
該装具の該柔軟特性を組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備する請求項1記載の方法。
【請求項7】
該身体上に関節の位置をマーク付けする過程と、
該関節用の回転軸を決定する過程と、そして
該関節に隣接し、該関節の該回転軸と整合されたヒンジを組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備する請求項1記載の方法。
【請求項8】
誂えデバイスを設計する方法であって、
身体上に該デバイスのエッジの位置を示すマーキングを置く過程と、
該身体及び該マーキングの複数のデジタル画像を取り込む過程と、
該身体の表面と該デバイスのエッジの該位置とのデジタル表現を得るよう該デジタル画像を処理する過程と、
コンピュータメモリー内に該身体の表面と該デバイスのエッジとの該デジタル表現を記憶する過程と、そして
外面と、該身体の表面と対応する内面と、そして該マーキングと対応する該デバイスのエッジと、を有する該デバイスの設計を創る過程と、を具備する方法。
【請求項9】
該身体上にマーキングを置く過程の前に該身体を適合する材料でカバーする過程を更に具備する請求項8記載の方法。
【請求項10】
該身体上に該誂えデバイスの特徴部をマーク付けする過程と、そして
該身体上にマーク付けされた該装具の該特徴部を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備しており、
デジタル写真が該身体上にマーク付けされた該誂えデバイスの該特徴部を有する請求項8記載の方法。
【請求項11】
該身体上に該誂えデバイス用の孔の輪郭をマーク付けする過程と、そして
該身体上にマーク付けされた該孔の輪郭を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備しており、
デジタル写真が該身体上にマーク付けされた該誂えデバイス用の該孔の輪郭を含む請求項8記載の方法。
【請求項12】
該身体の敏感範囲をマーク付けする過程と、そして
該身体の該敏感範囲上で凹部範囲を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備しており、
デジタル写真が該身体上のマーク付けされた該身体の敏感範囲を含む請求項8記載の方法。
【請求項13】
該誂えデバイスの柔軟特性を入力する過程と、そして
該誂えデバイスの該柔軟特性を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備する請求項8記載の方法。
【請求項14】
該身体上に関節の位置をマーク付けする過程と、
該関節の回転軸を決める過程と、そして
該関節に隣接し、該関節の回転軸に整合されたヒンジを組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備する請求項8記載の方法。
【請求項15】
身体上に身体構造体の位置を示すマーキングを置く過程と、
該身体及び該マーキングの複数のデジタル画像を得る過程と、
該身体の表面と該身体構造体の該位置とのデジタル表現を得るよう該デジタル画像を処理する過程と、
該身体の該表面と該身体構造体の該位置とのデジタル表現をコンピュータメモリー内に記憶する過程と、そして
外面と、該身体の該表面に対応する内面と、そして該身体構造体の該位置に対応する該デバイスの特徴部と、を有する該デバイス用設計を創る過程と、を具備する誂えデバイスを設計する方法。
【請求項16】
該身体上にマーキングを置く過程の前に適合する材料で該身体をカバーする過程を更に具備する請求項15記載の方法。
【請求項17】
該身体上に該誂えデバイス用の孔の輪郭をマーク付けする過程と、そして
該身体上のマーク付けされた該孔の輪郭を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備しており、
デジタル写真が該身体上にマーク付けされた該誂えデバイス用孔の輪郭を含む請求項15記載の方法。
【請求項18】
該身体の敏感範囲にマーク付けする過程と、そして
該身体の該敏感範囲上で凹部範囲を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備しており
デジタル写真が該身体上のマーク付けされた該身体の該敏感範囲を含む請求項15記載の方法。
【請求項19】
該誂えデバイスの柔軟特性を入力する過程と、そして
該誂えデバイスの該柔軟特性を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備する請求項15記載の方法。
【請求項20】
該身体にコード化されたマーキングでマーク付けする過程と、そして
該コード化されたマーキングを識別する過程と、を更に具備する請求項15記載の方法。
【請求項21】
該コード化されたマーキングの一致に対応する該誂えデバイスの設計の特徴部を提供する過程を更に具備する請求項21記載の方法。
【請求項22】
コード化されたマーキングの位置に対応する該誂えデバイスの設計の特徴部を提供する過程を更に具備する請求項21記載の方法。
【請求項1】
装具を設計する方法であって、
該装具のエッジの位置を示すマーキングを身体上に置く過程と、
該身体及び該マーキングの複数のデジタル画像を得る過程と、
該身体の表面と該装具のエッジの該位置とのデジタル表現を得るために該デジタル画像を処理する過程と、
該身体の表面と該装具のエッジの該デジタル表現をコンピュータメモリー内に記憶する過程と、そして
外面と、該身体の表面に対応する内面と、そして該マーキングに対応する該装具の該エッジと、を有する該装具用の設計をコンピュータ上で創る過程と、を具備する方法。
【請求項2】
該身体上にマーキングを置く過程の前に該身体を適合する材料でカバーする過程を更に具備する請求項1記載の方法。
【請求項3】
該身体上に該装具の第1モジュールと第2モジュールの間の継ぎ目をマーク付けする過程と、そして
該身体上にマーク付けされた該装具の該継ぎ目を組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備する請求項1記載の方法。
【請求項4】
該装具用の孔の輪郭を該身体上にマーク付けする過程と、そして
該身体上にマーク付けされた該孔の輪郭を組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備しており、
デジタル写真が該身体上にマーク付けされた該装具用の該孔の輪郭を有する請求項1記載の方法。
【請求項5】
該身体の敏感範囲にマーク付けする過程と、そして
該身体の該敏感範囲上に凹部範囲を組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備しており、
該デジタル写真が該身体上にマーク付けされた該身体の該敏感範囲を含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
該装具の柔軟特性を入力する過程と、そして
該装具の該柔軟特性を組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備する請求項1記載の方法。
【請求項7】
該身体上に関節の位置をマーク付けする過程と、
該関節用の回転軸を決定する過程と、そして
該関節に隣接し、該関節の該回転軸と整合されたヒンジを組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備する請求項1記載の方法。
【請求項8】
誂えデバイスを設計する方法であって、
身体上に該デバイスのエッジの位置を示すマーキングを置く過程と、
該身体及び該マーキングの複数のデジタル画像を取り込む過程と、
該身体の表面と該デバイスのエッジの該位置とのデジタル表現を得るよう該デジタル画像を処理する過程と、
コンピュータメモリー内に該身体の表面と該デバイスのエッジとの該デジタル表現を記憶する過程と、そして
外面と、該身体の表面と対応する内面と、そして該マーキングと対応する該デバイスのエッジと、を有する該デバイスの設計を創る過程と、を具備する方法。
【請求項9】
該身体上にマーキングを置く過程の前に該身体を適合する材料でカバーする過程を更に具備する請求項8記載の方法。
【請求項10】
該身体上に該誂えデバイスの特徴部をマーク付けする過程と、そして
該身体上にマーク付けされた該装具の該特徴部を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備しており、
デジタル写真が該身体上にマーク付けされた該誂えデバイスの該特徴部を有する請求項8記載の方法。
【請求項11】
該身体上に該誂えデバイス用の孔の輪郭をマーク付けする過程と、そして
該身体上にマーク付けされた該孔の輪郭を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備しており、
デジタル写真が該身体上にマーク付けされた該誂えデバイス用の該孔の輪郭を含む請求項8記載の方法。
【請求項12】
該身体の敏感範囲をマーク付けする過程と、そして
該身体の該敏感範囲上で凹部範囲を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備しており、
デジタル写真が該身体上のマーク付けされた該身体の敏感範囲を含む請求項8記載の方法。
【請求項13】
該誂えデバイスの柔軟特性を入力する過程と、そして
該誂えデバイスの該柔軟特性を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備する請求項8記載の方法。
【請求項14】
該身体上に関節の位置をマーク付けする過程と、
該関節の回転軸を決める過程と、そして
該関節に隣接し、該関節の回転軸に整合されたヒンジを組み入れるよう該装具の設計を調整する過程と、を更に具備する請求項8記載の方法。
【請求項15】
身体上に身体構造体の位置を示すマーキングを置く過程と、
該身体及び該マーキングの複数のデジタル画像を得る過程と、
該身体の表面と該身体構造体の該位置とのデジタル表現を得るよう該デジタル画像を処理する過程と、
該身体の該表面と該身体構造体の該位置とのデジタル表現をコンピュータメモリー内に記憶する過程と、そして
外面と、該身体の該表面に対応する内面と、そして該身体構造体の該位置に対応する該デバイスの特徴部と、を有する該デバイス用設計を創る過程と、を具備する誂えデバイスを設計する方法。
【請求項16】
該身体上にマーキングを置く過程の前に適合する材料で該身体をカバーする過程を更に具備する請求項15記載の方法。
【請求項17】
該身体上に該誂えデバイス用の孔の輪郭をマーク付けする過程と、そして
該身体上のマーク付けされた該孔の輪郭を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備しており、
デジタル写真が該身体上にマーク付けされた該誂えデバイス用孔の輪郭を含む請求項15記載の方法。
【請求項18】
該身体の敏感範囲にマーク付けする過程と、そして
該身体の該敏感範囲上で凹部範囲を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備しており
デジタル写真が該身体上のマーク付けされた該身体の該敏感範囲を含む請求項15記載の方法。
【請求項19】
該誂えデバイスの柔軟特性を入力する過程と、そして
該誂えデバイスの該柔軟特性を組み入れるよう該誂えデバイスの設計を調整する過程と、を更に具備する請求項15記載の方法。
【請求項20】
該身体にコード化されたマーキングでマーク付けする過程と、そして
該コード化されたマーキングを識別する過程と、を更に具備する請求項15記載の方法。
【請求項21】
該コード化されたマーキングの一致に対応する該誂えデバイスの設計の特徴部を提供する過程を更に具備する請求項21記載の方法。
【請求項22】
コード化されたマーキングの位置に対応する該誂えデバイスの設計の特徴部を提供する過程を更に具備する請求項21記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公表番号】特表2012−508075(P2012−508075A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535733(P2011−535733)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/063766
【国際公開番号】WO2010/054341
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
2.テフロン
3.TEFLON
【出願人】(511112559)ビスポーク・イノベーシヨンズ・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/063766
【国際公開番号】WO2010/054341
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
2.テフロン
3.TEFLON
【出願人】(511112559)ビスポーク・イノベーシヨンズ・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]