説明

認知症患者用会話システム

【課題】 本発明は、認知症患者の笑顔を検出し、それに応じて適切な会話を提供できる認知症患者用会話システムを提供する。
【解決手段】 本発明の認知症患者用会話システムは、サーバと端末とを含み、サーバが、の会話開始データ及び会話継続データを複数含む会話データ群を複数有する会話データベースと、会話開始データを端末に送信する会話開始手段と、認知症患者からの返答内容を認識する認識手段と、返答内容に対応した会話継続データを端末に送信する会話継続手段と、使用者の顔画像データから笑顔を検出し、その数を記録する笑顔検出手段と、笑顔検出顔画像データの数に基づいて、1つの会話データ群当たりの笑顔の出現頻度を算出する笑顔算出手段と、を有し、笑顔算出手段が、2つ以上の会話データ群の笑顔の出現頻度を会話データ群ごとに関連付けて記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバと端末を用いて、認知症患者の笑顔を検出して認知症患者に適切な会話を提供できる認知症患者用会話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
認知症患者の治療には、投薬のほか、昔の映像を認知症患者に見せることによって脳を活性化する回想法も行われている。
また、認知症患者が会話することによっても、症状の進行を抑制できると思われる。
しかしながら、認知症患者が興味を示さない会話ばかりしていると、脳が活性化せず、症状の進行を抑制する効果が期待できない。さらに、認知症患者は笑っている時間が多いほど認知症の進行が抑制され、更に認知症の改善が期待できることが、経験的に分かっている。
従って、介護者が個々の認知症患者ごとに適した会話を長時間行っていけば、認知症の症状の進行を抑制し、更にその改善も期待できる。
しかしながら、介護者の数が絶対的に不足している現状においては、介護者が個々の認知症患者に長時間会話をすることは実際には不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、認知症患者の笑顔を検出し、それに応じて適切な会話を提供できる認知症患者用会話システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の認知症患者用会話システムは、サーバと、前記サーバにネットワークを介して繋がった認知症患者用の端末と、を含み、前記端末が、画像表示装置と、カメラ装置と、音声入力装置と、音声出力装置と、前記カメラ装置及び音声入力装置から得られた認知症患者の顔画像データ及び音声データを前記サーバに送信する送受信手段と、を有し、前記サーバが、認知症患者に対して会話を開始するための会話開始データ及び認知症患者に対して会話を継続するための会話継続データを複数含み且つ話題の内容ごとにグループ分けされた会話データ群を複数有する会話データベースと、前記会話データ群の中の会話開始データを選択し、それを前記端末に送信する会話開始手段と、前記端末からの音声データを解析して認知症患者からの返答内容を認識する認識手段と、前記認識された返答内容に対応した会話継続データを前記会話データ群の中から選び、その会話継続データを前記端末に送信する会話継続手段と、前記端末から順次送信された顔画像データに基づいて笑顔を検出し、笑顔が検出された顔画像データの数を記録する笑顔検出手段と、1つの会話データ群を送信している間における笑顔検出顔画像データの数に基づいて、1つの会話データ群当たりの笑顔の出現頻度を算出する笑顔算出手段と、を有し、前記笑顔算出手段が、2つ以上の会話データ群の笑顔の出現頻度をそれぞれ算出すると共に、その笑顔の出現頻度を会話データ群ごとに関連付けて記録する。
【0005】
本発明の好ましい認知症患者用会話システムは、前記サーバが、前記会話データ群ごとの笑顔の出現頻度に基づいて、所定の会話データ群を端末に送信し続ける時間を決定する会話時間調整手段をさらに有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る認知症患者用会話システムは、会話している間の認知症患者の笑顔を検出し、その笑顔の出現頻度に応じて、その会話時間を調整し、或いは、その会話内容を変更できる。従って、本発明の認知症患者用会話システムによれば、認知症患者が興味を示す会話を重点的に認知症患者に提供できる。また、本発明の認知症患者用会話システムによれば、複数の認知症患者に対して、前記会話を同時に提供することも可能である。
本発明の認知症患者用会話システムを利用すれば、認知症の症状の進行を抑制し、更にその改善も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】認知症患者用会話システムの全体構成図。
【図2】会話データベースの構成図。
【図3】認知症患者用会話システムの1つの実施形態を示すフローチャート。
【図4】同フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について、具体的に説明する。
認知症患者用会話システムは、主として認知症患者(以下、使用者という場合がある)が使用するシステムである。認知症患者用会話システムは、図1に示すように、インターネットなどのネットワーク3を介して繋がった、サーバ1と、認知症患者用の端末2,…と、を有する。
端末は、コンピュータ部と、ハードディスクやRAMのような記録装置と、画像を表示する画像表示装置(ディスプレイ)と、使用者を撮影するカメラ装置と、音声を入力する音声入力装置(マイクロフォン)と、音声を出力する音声出力装置(スピーカー)と、ネットワークを介してサーバとの間で各種データを送受信する送受信装置(送受信手段)と、を有する。端末は、必要に応じて、キーボードやマウスなどの情報入力機器を有していてもよい。
【0009】
コンピュータ部は、プログラムに従って所定の処理を実行する、一般的な情報処理装置である。通常、プログラムや各種データは、記録装置に記録されている。コンピュータ部は、記録装置にアクセスして、各種データを処理する(データの読み込み、新たなデータの記録、及び、データの更新など)。
なお、データとは、コンピュータ部及びサーバが取込み且つ処理できる電子情報をいう。
【0010】
カメラ装置は、端末に直接設けられていてもよいし、或いは、端末の近傍に設置されていてもよい。例えば、カメラ装置は、画像表示装置の上方部に取り付けられる。カメラ装置は、画像表示装置(端末)の前の使用者を撮影するために設けられている。
カメラ装置は、使用者の全体を撮影できるものでもよいし、或いは、使用者の上半身又は顔だけを撮影できるものでもよい。カメラ装置は、撮影した使用者の写真を画像データに変換する。
【0011】
コンピュータ部は、使用者の少なくとも顔部分の画像データを、送受信装置を介してサーバに送信する。前記少なくとも顔部分の画像データ(以下、顔画像データという)とは、使用者の画像データの全部又は使用者の画像データのうちの顔部分を含む画像データをいう。
カメラ装置は、使用者を連続的に撮影してもよいし、或いは、所定時間毎(例えば5秒毎)に撮影してもよい。カメラ装置が使用者を連続的に撮影する場合、コンピュータ部は、その複数の顔画像データを、サーバに順次連続的に送信してもよいし、或いは、所定時間毎に順次送信してもよい。
【0012】
音声入力装置は、使用者の発した音声を取り込む装置である。音声入力装置は、コンピュータ部の指示に従い、取り込んだ音声を、音声認識機能によって音声データ及び文字データに変換する。音声認識機能は、公知のプログラムを利用すればよい。
この音声データ(必要に応じて音声データと文字データの双方)は、コンピュータ部の指示に従い、送受信装置を介してサーバに送信される。
【0013】
音声出力装置は、サーバから送られてくるデータを、コンピュータ部の指示に従い、音声に変換し且つ再生する装置である。
【0014】
画像表示装置は、コンピュータ部の指示に従い、所定の画像を画面に表示する。例えば、画像表示装置は、前記音声入力装置によって変換された文字データを、文字画像として画面に表示する。これにより、使用者は、自分の言った言葉を画像表示装置を通じて視認できる。
また、画像表示装置は、サーバから送信される文字データ(会話開始データ及び会話継続データの対応する各文字データ)を、文字画像として画面に表示する。
【0015】
サーバは、コンピュータ部と、ハードディスクのような記録装置と、複数の会話データ群を有する会話データベースと、会話データ群の中の会話開始データを選択し、それを端末に送信する会話開始手段と、前記端末からの音声データを解析して使用者からの返答内容を認識する認識手段と、前記認識された返答内容に対応した会話継続データを端末に送信する会話継続手段と、端末から送信された顔画像データに基づいて笑顔を検出する笑顔検出手段と、1つの会話データ群当たりの笑顔の出現頻度を算出する笑顔算出手段と、会話データ群ごとの笑顔の出現頻度に基づいて、所定の会話データ群を端末に送信し続ける時間を決定する会話時間調整手段と、前記会話時間調整手段の時間決定に基づいて、所定の会話データ群を端末に送信するリピート手段と、を有する。
【0016】
サーバのコンピュータ部及び記録装置としては、従来公知のサーバと同様なものが用いられる。
会話データベースは、前記記録装置内に記録されている。サーバのコンピュータ部は、記録装置内の会話データベースにアクセスして、その中のデータを端末に送信する。
会話データベースDBは、図2に示すように、複数の会話データ群D1,D2,D3を有する。
1つの会話データ群は、使用者との間で会話を開始し且つ会話を続けていくための複数の会話データの集合である。1つの会話データ群D1は、会話を開始するための会話開始データDS1a,DS1bと、その会話を継続するための会話継続データDC1a,DC1bと、をそれぞれ複数含んでいる。他の会話データ群D2,D3も同様に、複数の会話開始データDS2a,DS2b,DS3a,DS3bと複数の会話継続データDC2a,DC2b,DC3a,DC3bとそれぞれを含んでいる。
【0017】
また、各会話データ群D1,…中の複数の会話開始データDS1a,…と複数の会話継続データDC1a,…は、それぞれ予め決められた複数のキーワード11,21,…と関連付けられている。これらに関連付けされた複数のキーワード11,21,…は、各々、その内容に応じてポイント付け(順位付け)されている。例えば、第1のキーワード11は100ポイント、第2のキーワード12は80ポイントなどのように順位付けされている。
【0018】
なお、上記各会話開始データ及び会話継続データの内容を、端末の画像表示装置に文字画像として表示できるようにするため、会話データベースは、各会話開始データ及び会話継続データの内容に対応した各文字データを有していてもよい。これらの文字データは、対応する会話開始データ及び会話継続データと共に端末に送信される。この場合、使用者は、サーバから送られてくる会話の内容を、端末の音声出力装置だけでなく、画像表示装置から視認することができる。
【0019】
会話データ群は、話題の内容ごとにグループ分けされた会話データの集まりである。すなわち、1つの会話データ群は、ある特定の話題に関する複数の会話データが集められている。
各会話データ群の話題は、特に限定されず、任意に設定できる。
例えば、図2の会話データ群D1は、歌謡曲に関する話題を中心とする会話データの集まり、会話データ群D2は、食事に関する話題を中心とする会話データの集まり、会話データ群D3は、映画に関する話題を中心とする会話データの集まりというように、予め設定されている。
もちろん、各会話データ群の話題は、これらの例示に限られず、使用者が興味を示すような様々なジャンルに対応した話題が適宜設定される。
【0020】
1つの会話データ群は、ある特定の話題に関する会話を使用者との間で開始し、その会話を続けていくための複数の会話データの集まりである。
1つの会話データ群は、会話を開始するための内容を含む会話開始データと、その会話を継続するための会話継続データと、を有する。1つの会話データ群には、前記会話開始データと前記会話継続データとがそれぞれ複数含まれている。
【0021】
例えば、歌謡曲に関する話題を中心とする会話データ群中には、次のような音声(及び文字画像)を端末から出力できる会話開始データ及び会話継続データが含まれている。
会話開始データの一例:ある歌手のヒット曲に関する問いかけ。例えば「XXXを聞いたことがありますか?」など。
会話継続データの一例:前記問いかけに対する使用者からの返答に対するサーバからの回答。例えば、「XXXを歌ってください」、「XXXは良いですね」など。
会話継続データの一例:前記回答に対する使用者からの返答に対するサーバーからの更なる回答又は更なる問いかけ。例えば「上手に歌えましたね」、「YYYを知っていますか?」など。
【0022】
[ステップS101]
図3に示すように、本システムを利用して会話を開始するときには、最初に、サーバの会話開始手段が、前記会話データベースの中から任意の会話データ群を選択する。この選択される会話データ群は、予め決まっていてもよいし、或いは、任意にサーバが決めてもよい。選択が決まっている場合としては、例えば、システムの利用開始前に使用者が話題を選択してそれをサーバに送信する場合;使用者の個人情報がサーバの記録装置に記録されており、その個人情報に基づいてサーバが会話データ群を選択する場合;などが挙げられる。
以下、本明細書において、複数の会話データ群を区別するため、会話データ群の後に(1),(2),(3),…という括弧付き番号を付す場合がある。
【0023】
[ステップS102]
さらに、会話開始手段は、前記選択した会話データ群(1)の中の複数の会話開始データの中から任意の会話開始データを選択する。この会話開始データは、端末に送信される。必要に応じて、会話開始手段は、会話開始データに対応した文字データを、会話開始データと共に端末に送信してもよい。
【0024】
[ステップC101]
端末の音声出力装置は、コンピュータ部の指示に従い、受信した会話開始データを音声に変換する。
変換された音声は音声出力装置から出される。その音声が使用者に聞こえることによって、使用者は、サーバの会話開始データの内容を認識できる。
なお、サーバから会話開始データに対応した文字データも送信される場合には、端末は、画像表示装置にその文字データを文字画像として表示する。
【0025】
[ステップC102]
この音声を聞いた使用者は、その内容に応じて返答(音声による返答)を行う。その返答は、端末の音声入力装置に入力され、音声データ及び文字データに変換される。変換された音声データは、送受信装置を介してサーバに送られる。一方、文字データは、端末の画像表示装置に文字画像として表示される。従って、使用者は、自分の話した内容を画像表示装置を通じて視認できる。
【0026】
[ステップS103]
前記使用者の音声データ(返答)を受信したサーバは、認識手段によってその音声データを解析する。
前記認識手段による音声データの解析は、例えば、形態素解析によって単語(品詞)に分割して行われる。なお、形態素解析のプログラムは従来公知であるので、その詳細な説明は省略する。
音声データの解析によって、サーバが使用者の返答内容を認識する。
【0027】
[ステップS104]
サーバの会話継続手段は、現在会話している会話データ群(例えば、会話データ(1))の中の複数の会話継続データの中から、前記認識手段によって認識された使用者からの返答内容に対応する会話継続データを複数抽出する。すなわち、会話継続手段は、使用者からの返答内容に対して、使用者との間で会話が成立するような意味内容を有する会話継続データを複数抽出する。このような会話が成立し得る会話継続データの抽出は、公知の人工知能を有するロボットなどに採用されている会話プログラムを用いて行うことができる。
会話継続手段は、前記抽出した複数の会話継続データの中から、次の基準に従って又は任意に1つの会話継続データを選択し、それを端末に送信する。
ただし、前記抽出した会話継続データが1つしかなかった場合には、会話継続手段は、それを端末に送信する。
【0028】
抽出した複数の会話継続データの中から1つの会話継続データを選択することは、キーワードを基準に行うことができる。
具体的には、会話継続手段は、前記認識手段によって認識された返答内容の中からキーワードを1つ又は複数抽出する。次に、会話継続手段は、返答内容のキーワードと、上記抽出された複数の会話継続データに関連付けられたそれぞれのキーワードと、を照合する。
会話継続手段は、この照合によって、前記抽出した複数の会話継続データの中から、前記返答内容のキーワードに最も近いキーワードを有する会話継続データを決定する。会話継続手段は、前記決定した会話継続データを、端末に送信する。
【0029】
なお、前記決定の方法としては、例えば、各会話継続データに関連付けされたキーワードの中から返答内容のキーワードに実質的に合致するキーワードを全て選び出し且つその選び出したキーワードのポイント(キーワードが複数の場合には、トータルポイント)が高いものを、返答内容のキーワードと最も近いと決定する方式が挙げられる。
例えば、第1の会話継続データに、第1−1のキーワード(100ポイント)と第1−2のキーワード(50ポイント)が会話データベース内で関連付けられ、第2の会話継続データに、第2−1のキーワード(100ポイント)と第2−2のキーワード(80ポイント)と第2−3のキーワード(60ポイント)が会話データベース内で関連付けられている場合を例に採る。そして、返答内容のキーワードが前記第1−1、第2−2及び第2−3のキーワードにそれぞれ合致している場合には、第1の会話継続データのトータルポイントは、100ポイントとなり、第2の会話継続データのトータルポイントは、130ポイントとなる。この例の場合には、端末に送信する会話継続データは、第2の会話継続データと決定される。
【0030】
[ステップC103]
端末の音声出力装置は、コンピュータ部の指示に従い、会話継続データを音声に変換する。変換された音声は音声出力装置から出される。
その音声が使用者に聞こえることによって、使用者は、サーバの会話継続データの内容を認識できる。
なお、サーバから会話継続データに対応した文字データも送信される場合には、端末は、画像表示装置にその文字データを文字画像として表示する。
【0031】
[ステップC104]
会話継続データの音声を聞いた使用者は、その内容に応じて返答(音声による返答)を行う。その返答は、端末の音声入力装置に入力され、音声データ及び文字データに変換される。変換された音声データは、送受信装置を介してサーバに送信される。一方、文字データは、端末の画像表示装置に文字画像として表示される。従って、使用者は、自分の話した内容を画像表示装置を通じて視認できる。
【0032】
[ステップC201]
端末のカメラ装置は、ステップC101〜C104とは独立して、サーバからの会話継続データの音声に対して返答しているときの使用者を順次撮影している。端末は、カメラ装置で撮影された使用者の顔画像データの複数を、送受信装置を介してサーバに連続的又は所定時間毎に送信する。後述するように、この顔画像データに基づいて、サーバの笑顔検出手段及び笑顔算出手段が、笑顔を検出し且つ笑顔の出現頻度を算出する。
【0033】
[ステップS105]
使用者とサーバ間の会話がある程度進行した後、サーバは、会話内容を変更する。
サーバには、会話切替手段が設けられている。会話切替手段は、上記ステップS101〜S104に従って行われた既出の会話データ群の会話を、他の会話データ群の会話へと移行するために設けられている。
具体的には、上述のようにステップS101〜S104に従って1つの会話データ群(例えば、会話データ群(1))に含まれる会話が使用者とサーバの間で行われている。会話切替手段は、この会話データ群(1)の会話が、所定の基準を満たすかどうかを判断する。所定の基準としては、特に限定されず、例えば、会話データ群(1)の会話時間(例えば10分間)を基準とする場合などが挙げられる。
上記所定の基準を満たしていることによって1つの会話データ群の会話を終了させるべきと会話切替手段が判断したときには、次のステップS106に移る。
【0034】
会話切替手段が所定の基準を満たしていないと判断したときには、上記ステップS103に戻り、ステップS103,S104,C103,C104(認識手段及び会話継続手段)が繰り返され、使用者とサーバ間の会話が進行する。
ただし、この繰り返し時におけるステップS103において、認識手段は、会話継続データの音声に対する使用者からの返答を認識する。さらに、繰り返し時におけるステップS104では、会話継続手段は、その返答に応じて更に使用者との会話が継続するように、適切な会話継続データを選択し、これを端末に送信する。
【0035】
[ステップS106]
上記ステップS105において、所定の基準を満たしていると判断したとき(例えば、1つの会話データ群の会話が所定時間行われたと判断したとき)、会話切替手段は、予め設定された全ての会話データ群の会話を終了したかどうか判断する。
すなわち、会話切替手段による会話の切り替え回数は、予め設定されている。会話切替手段は、サーバに予め設定された会話データ群の会話を全て終了したと判断したときには、後述する会話時間調整手段が優先される(ステップS107に移る)。
【0036】
例えば、サーバが、使用者に対し3つの会話データ群(1),(2),(3)の会話を提供するように設定されている場合を例に採る。この場合、会話切替手段は、会話データ群(1),(2),(3)の会話を使用者に提供したと判断した場合には、ステップS107に移る。
【0037】
一方、会話切替手段が、サーバに予め設定された会話データ群の会話を全て終了していないと判断したときには、会話切替手段は、会話継続手段に働きかけて会話データ群(1)(既出の会話データ群)の会話継続データの送信を停止させ、且つ会話開始手段に働きかけて既出の会話データ群(1)以外の会話データ群を選択させる。
【0038】
会話切替手段の指示に従い、会話開始手段は、未出の会話データ群(例えば、会話データ群(2))を選択する(ステップS101に戻る)。
未出の会話データ群(2)を選択した後、会話開始手段は、ステップS102に従い、その会話データ群(2)の中から任意の会話開始データを選択してこの会話開始データ(必要に応じて文字データ)を端末に送信する。以後、この会話データ群(2)に基づいて、上記認識手段及び会話継続手段によって、ステップS103,S104,C103,C104,S105が繰り返され、使用者とサーバ間の会話が進行する。
【0039】
さらに、ステップS105において、前記会話データ群(2)について所定の基準を満たすと判断したとき、会話切替手段は、会話開始手段に働きかけて、会話データ群(1)及び(2)(既出の会話データ群)以外の会話データ群(3)を選択させる。会話開始手段は、未出の会話データ群(3)を選択した後、ステップS102に従い、その会話データ群(3)の中から任意の会話開始データを選択してこれを端末に送信する。以後、この会話データ群(3)に基づいて、上記認識手段及び会話継続手段によって、ステップS103,S104,C103,C104,S105が繰り返される。
そして、会話データ群(1),(2),(3)の会話が終了した後、ステップS107に移る。
【0040】
[ステップS201]
他方、サーバでは、別途のルーチンによって、会話を行っている間の使用者の笑顔が検出されている。
すなわち、サーバの笑顔検出手段が、端末から送信された顔画像データに基づいて使用者の笑顔を検出している。
上記会話継続手段によって、使用者とサーバが会話を行っている間(全ての会話データ群(1),(2),(3)に基づく会話を行っている間)、端末のカメラ装置から使用者の顔画像データが順次サーバに送られている(ステップC201参照)。
【0041】
笑顔検出手段は、この顔画像データが、一定の基準を満たしている場合には、その顔画像データは笑顔の状態と判定し、その基準を満たしていない場合には、笑顔でないと判定する。
この判定は、顔画像データの中の口や目の変化を中心にして行われる。顔画像データの笑顔の判定は、市販のデジタルカメラ(例えば、ソニー株式会社製、商品名「CYBER−SHOTのスマイルシャッター」など)に搭載されている笑顔検出プログラムが公知であり、その詳細な説明は省略する。
【0042】
笑顔検出手段は、端末から順次送られてくる顔画像データの全て対して前記笑顔かどうかの判定を行ってもよいし、或いは、所定時間毎(例えば5秒ごとのような短い時間ごと)の顔画像データに対して前記笑顔の判定を行ってもよい。笑顔検出手段は、各会話データ群を送信している間のそれぞれの顔画像データに対してその笑顔を検出している。
笑顔検出手段は、下記の第1〜第3の各数をサーバの記録装置に記録する。
第1の数は、1つの会話データ群(例えば、会話データ群(1))に基づいて会話を行っている間に端末から送信される顔画像データのうち、笑顔の判定を行った顔画像データ(以下、判定対象顔画像データという)の総数である。
第2の数は、前記笑顔の判定を行った顔画像データのうち、笑顔と判定された顔画像データ(以下、笑顔検出顔画像データという)の総数である。
第3の数は、前記判定を行った顔画像データのうち、笑顔と判定されなかった顔画像データの総数である。
【0043】
[ステップS202]
サーバの笑顔算出手段は、1つの会話データ群(例えば、会話データ群(1))を端末に送信している間における笑顔の出現頻度を算出する。笑顔算出手段は、同様に、他の会話データ群(会話データ群(2),(3))を端末に送信している間における笑顔の出現頻度もそれぞれ算出する。
笑顔の出現頻度は、1つの会話データ群毎に、上記判定対象顔画像データの総数と笑顔検出顔画像データの総数に基づいて算出される(下記式参照)。各会話データ群について算出された笑顔の出現頻度は、会話データ群毎に関連付けてサーバの記録装置にそれぞれ記録される。
式:1つの会話データ群当たりの笑顔の出現頻度=笑顔検出顔画像データの総数/判定対象顔画像データの総数。
【0044】
例えば、会話データ群(1)を端末に送信している間において、その判定対象顔画像データの総数が100枚で、そのうち笑顔と判定された笑顔検出顔画像データの総数が75枚であった場合には、会話データ群(1)当たりの笑顔の出現頻度は、0.75となる。
また、会話データ群(2)を端末に送信している間において、その判定対象顔画像データの総数が100枚で、そのうち笑顔と判定された笑顔検出顔画像データの総数が50枚であった場合には、会話データ群(2)当たりの笑顔の出現頻度は、0.5となる。
【0045】
笑顔出現算出手段によって算出された笑顔の出現頻度を考慮することによって、どの会話データ群と会話しているときに使用者が笑顔となっているかが分かるようになる。
すなわち、笑顔の出現頻度が高い会話データ群ほど、その使用者にとって興味がある会話と判断できる。
【0046】
[ステップS107]
ステップS106に従い、会話切替手段によって予め設定された複数の会話データ群に基づく会話が全て終了したと判断された後、更に続けて会話が行われる。
続けて会話を行うとき、その会話時間が会話時間調整手段によって調整される。
【0047】
サーバの会話時間調整手段は、上記会話データ群ごとの笑顔の出現頻度に基づいて、所定の会話データ群を端末に送信し続ける時間(会話時間)を決定する。
上述のように、ステップS202に従い、各会話データ群ごとの笑顔の出現頻度が算出され、これが記録装置に記録されている。この笑顔の出現頻度に応じて、各会話データ群を、順位付けすることができる。
具体的には、会話時間調整手段は、記録装置から各会話データ群の笑顔の出現頻度をそれぞれ読み出し、笑顔の出現頻度の高い順に、各会話データ群を順位付けする。会話時間調整手段は、この順位付けに従って、各会話データ群の会話内容を端末に送信し続ける時間(会話時間)を決定する。この時間の決定は、任意であり、例えば、笑顔の出現頻度に一定の時間定数を掛けて算出する方式などが挙げられる。
【0048】
例えば、笑顔算出手段によって、会話データ群(1)の笑顔の出現頻度が0.75で、会話データ群(2)の笑顔の出現頻度が0.5で、会話データ群(3)の笑顔の出現頻度が0.6と算出されている場合を例に採る。この場合、笑顔の算出頻度の高い順に並べると、会話データ群(1)、会話データ群(3)、会話データ群(2)の順となる。
会話時間調整手段は、この順位付けに従って、例えば、会話データ群(1)の会話を送信する時間を10分、会話データ群(3)の会話を送信する時間を7分、会話データ群(2)の会話を送信する時間を5分のように決定する。
【0049】
[ステップS301]
上記会話時間調整手段の時間決定に基づいて、会話が継続される。
図4に示すように、リピート手段は、会話時間調整手段の時間決定に基づいて、例えば、会話時間が最も長く決定された会話データ群を選択する。
【0050】
[ステップS302]
次に、リピート会話開始手段は、その選択した会話データ群の中の複数の会話開始データの中から任意の会話開始データを選択し、端末に送信する。この場合、リピート会話開始手段は、ステップS102によって既に使用者に送信した会話開始データ以外の会話開始データ(未出の会話開始データ)を選択することが好ましい。必要に応じて、ステップS102と同様に、前記会話開始データに対応した文字データを、会話開始データと共に端末に送信してもよい。
【0051】
[ステップC301]
端末は、ステップS302に従って端末に送信された会話開始データを、ステップC101と同様に、音声に変換する。
なお、サーバから会話開始データに対応した文字データも送信される場合には、端末は、画像表示装置にその文字データを文字画像として表示する。
【0052】
[ステップC302]
使用者は、サーバの内容に応じて返答(音声による返答)を行う。その返答は、端末によって音声データ及び文字データに変換される。変換された音声データは、送受信装置を介してサーバに送られる。一方、文字データは、端末の画像表示装置に表示される。
【0053】
[ステップS303]
サーバのリピート認識手段は、前記使用者の音声データ(返答)を解析する。この解析は、上記ステップS103と同様にして行われる。
【0054】
[ステップS304]
サーバのリピート会話継続手段は、リピート手段によって選択された会話データ群の中の複数の会話継続データの中から、前記リピート認識手段によって認識された使用者からの返答内容に対応する会話継続データを1つ又は複数抽出する。好ましくは、リピート会話継続手段は、ステップS104によって既に使用者に送信した会話継続データ以外の会話継続データ(未出の会話継続データ)の中から1つ又は複数抽出する。
前記会話継続データが1つ抽出された場合には、リピート会話継続手段は、それを端末に送信する。
前記会話継続データが複数抽出された場合には、リピート会話継続手段は、上記ステップS104と同様の基準に基づいて、1つの会話継続データを決定し、それを端末に送信する。
【0055】
[ステップC303]
端末は、ステップS304に従って端末に送信された会話継続データを、ステップS103と同様に、音声に変換する。変換された音声は、音声出力装置から出される。
サーバから会話継続データに対応した文字データも送信される場合には、端末は、画像表示装置にその文字データを文字画像として表示する。
【0056】
[ステップC304]
会話継続データの音声を聞いた使用者は、その内容に応じて返答(音声による返答)を行う。その返答は、端末の音声入力装置に入力され、音声データ及び文字データに変換される。変換された音声データは、送受信装置を介してサーバに送信される。一方、文字データは、端末の画像表示装置に文字画像として表示される。
【0057】
[ステップC401]
端末のカメラ装置は、ステップC301〜C304とは独立して、サーバからの会話継続データに対して返答しているときの使用者を順次撮影している。端末は、上記ステップC201と同様に、カメラ装置で撮影された使用者の顔画像データの複数を、送受信装置を介してサーバに連続的又は所定時間毎に送信する。
【0058】
[ステップS401,S402]
ステップC401に従い、上記ステップS303,S304,C303,C304を行っている間、端末は、カメラ装置で撮影された使用者の顔画像データの複数を送信している。
サーバは、上記ステップS201と同様にして、前記顔画像データに基づいて使用者の笑顔を検出し(ステップS401)、上記ステップS202と同様にして、各会話データ群毎の笑顔の出現頻度を算出する(ステップS402)。
ステップS402で算出された各会話データ群毎の笑顔の出現頻度は、ステップS202で算出された笑顔の出願頻度とは別データとして、記録装置に記録される。
【0059】
[ステップS305]
リピート会話切替手段は、上記ステップS101〜S104に従って行われる会話データ群の会話が上記会話時間調整手段によって決定された会話時間を経過したと判断したときに、次の会話データ群の会話へと移行する。
具体的には、リピート会話切替手段は、上記ステップS301によって選択された会話データ群の会話が会話時間調整手段によって決定された会話時間を経過したかどうかを判断する。
リピート会話切替手段が、前記時間を経過していると判断したときには、次のステップS306に移る。
【0060】
リピート会話切替手段が、前記時間を経過していないと判断したときには、上記ステップS303に戻り、ステップS303,S304,C303,C304が繰り返され、使用者とサーバ間の会話が進行する。
ただし、この繰り返し時におけるステップS303においては、認識手段は、会話継続データの音声に対する使用者からの返答を認識する。さらに、繰り返し時におけるステップS304では、会話継続手段は、その返答に応じて更に使用者との会話が継続するように、適切な会話継続データを選択し、これを端末に送信する。
【0061】
[ステップS306]
上記ステップS305において、1つの会話データ群の会話が会話時間調整手段によって決定された会話時間を経過している場合、リピート会話切替手段は、会話時間調整手段によって会話時間の決定がなされた全ての会話データ群の会話を終了したかどうか判断する。
リピート会話切替手段が、ステップS107に従って会話時間の決定がなされた全ての会話データ群(上記ステップS107の例では、会話データ群(1),(3),(2)の順で、これらの全てのデータ群)に基づく会話が終了したと判断したときには、次のステップS307に移る。
【0062】
一方、リピート会話切替手段が、前記全ての会話データ群に基づく会話が終了していないと判断したときには、リピート会話開始手段に働きかけて、次に順位付けされた会話データ群を選択させる。
リピート会話切替手段の指示に従い、リピート会話開始手段は、次に順位付けされた会話データ群(例えば、会話データ群(3))を選択する(ステップS301に戻る)。
会話データ群(3)を選択した後、リピート会話開始手段は、ステップS302に従い、その会話データ群(3)の中から任意の会話開始データを選択してこの会話開始データ(必要に応じて文字データ)を端末に送信する。以後、この会話データ群(2)に基づいて、上記認識手段及び会話継続手段によって、ステップS303,S304,C303,C304,S305が繰り返され、使用者とサーバ間の会話が進行する。
【0063】
また、リピート会話切替手段は、この会話データ群(3)の会話時間が経過したと判断したときに、次の会話データ群(2)の会話へと移行する。以後同様に、会話データ群(2)に基づいて会話が行われる。
【0064】
[ステップS307]
ステップS306に従い、リピート会話切替手段によって全ての会話データ群に基づく会話が終了したと判断された後、サーバは、更に続けて会話を行うかどうかを決定する。
続けて会話を行う場合には、ステップS107に戻り、続けて会話を行わない場合には、システムを終了する。
【0065】
なお、ステップS307において、会話を継続するかどうかの決定は予めサーバに設定されていてもよいし、使用者が選択するようにしてもよい。
例えば、サーバが使用者の端末に対して更に会話を継続するかどうかを問い合わせ、且つ、使用者が会話の継続を希望する場合には、ステップS107に戻る。また、サーバに会話時間調整手段による各会話データ群の時間調整を2度以上又は無制限に行うことが予め設定されている場合には、ステップS107に戻り、他方、前記時間調整を1度だけ行うことが予め設定されている場合には、この時点でシステムを終了する。
【0066】
ステップS301〜S307を経由してステップS107に戻った後、上述のように、各会話データ群ごとの笑顔の出現頻度に基づいて、所定の会話データ群を端末に送信し続ける時間が決定される。
このステップS107に戻った後における各会話データ群ごとの笑顔の出現頻度は、ステップS402に従って算出された笑顔の出現頻度が用いられる。
このため、会話時間調整手段によって既に決定された各会話データ群ごとの会話時間と、ステップS301〜S307を経由した後に会話時間調整手段によって決定される各会話データ群ごとの会話時間とは、異なる場合がある。
このようにステップS301〜S307を経由した後、使用者の興味も変化し得るため、ステップS402に従って算出された笑顔の出現頻度が用いられることが好ましい。
【0067】
上記認知症患者用会話システムは、会話している間、使用者の笑顔を検出し、その笑顔の出現頻度に応じて、その会話時間を調整し、或いは、その会話内容を変更できる。従って、上記認知症患者用会話システムによれば、使用者が興味を示す会話を重点的に使用者に提供できる。
また、本発明の認知症患者用会話システムによれば、複数の使用者に対して、前記会話を同時に提供することも可能である。従って、介護者の数が絶対的に不足している現状においても、複数の使用者が会話を長時間行うことも可能となる。
上記認知症患者用会話システムを認知症患者が利用すれば、認知症の症状の進行を抑制し、更にその改善も期待できる。
【0068】
本発明の認知症患者用会話システムは、上記実施形態に限られず、適宜変更、付加などすることができる。
例えば、サーバは、新規な会話データ群を挿入する挿入手段を有していてもよい。
上述のように、会話時間調整手段によって、各会話データ群の会話時間が決定され、各会話データ群の会話データが端末に送信される。この会話時間調整手段を有することによって、サーバは、使用者が興味のある話題を使用者に長い間提供できるようになるが、これを繰り返していると、決まった会話データ群の話題しか使用者に提供できない。
上記の例では、会話データ群(1)〜(3)の3種類についてその会話時間が変化するが、会話データ群自体(話題自体)は変わらない。
これを繰り返していると使用者も飽きるため、途中で新規な話題を挿入することが好ましい。
【0069】
挿入手段は、ステップS306の後に(つまり、会話時間調整手段によって会話時間の決定がなされた全ての会話データ群の会話を終了した判断した後に)、新規な会話データ群(例えば、会話データ群(4))の会話データを端末に送信する。
なお、新規な会話データ群(4)の中の会話開始データ及び会話継続データの端末への送信は、ステップS302〜304に従って行われる。
また、この新規な会話データ群(4)の会話時間(会話データを送信し続ける時間)は、適宜決定される。例えば、予め決まった時間(例えば、5分間)でもよいし、会話時間調整手段で決定された各会話データ群の会話時間の平均値などでもよい。
【0070】
挿入手段によって新規な会話データ群が挿入された場合、事後、当該新規な会話データ群を含めた送信対象の全ての会話データ群(上記の例では、会話データ群(1)〜(4))について、上記笑顔検出手段、笑顔算出手段を実行し、これによって得られた笑顔の出現頻度に基づいて、再度、会話時間調整手段によって会話時間の決定を行い、この再決定の会話時間に基づいて、各会話データ群(会話データ群(1)〜(4))の会話データを端末に送信するようにしてもよい。
【0071】
また、サーバは、特定の会話データ群を送信対象から除外する除外手段を有していてもよい。
上述のように、挿入手段が設けられている場合、挿入手段を実行するに従って端末に送信する会話データ群の数が増加していく。このため、挿入手段を実行した後、既に送信した複数の会話データ群の中から特定の会話データ群を送信対象から除外することが好ましい。
上述のように、挿入手段によって挿入された新たな会話データ群を含めた送信対象の全ての会話データ群(上記の例では、会話データ群(1)〜(4))について、笑顔算出手段によって笑顔の出現頻度が算出される。挿入手段は、そのうちの1つの会話データ群を除くことを会話時間調整手段などに働きかける。
この除外される特定の会話データ群は、笑顔の出現頻度に応じて決定されることが好ましく、例えば、笑顔の出現頻度が最も低い会話データ群を除外対象とすることがより好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の認知症患者用会話システムは、認知症患者の症状の進行抑制、引いては症状の改善に利用できる。
【符号の説明】
【0073】
1…サーバ、2…端末、3…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、前記サーバにネットワークを介して繋がった認知症患者用の端末と、を含み、
前記端末が、
画像表示装置と、カメラ装置と、音声入力装置と、音声出力装置と、前記カメラ装置及び音声入力装置から得られた認知症患者の顔画像データ及び音声データを前記サーバに送信する送受信手段と、を有し、
前記サーバが、
認知症患者に対して会話を開始するための会話開始データ及び認知症患者に対して会話を継続するための会話継続データを複数含み且つ話題の内容ごとにグループ分けされた会話データ群を複数有する会話データベースと、
前記会話データ群の中の会話開始データを選択し、それを前記端末に送信する会話開始手段と、
前記端末からの音声データを解析して認知症患者からの返答内容を認識する認識手段と、
前記認識された返答内容に対応した会話継続データを前記会話データ群の中から選び、その会話継続データを前記端末に送信する会話継続手段と、
前記端末から順次送信された顔画像データに基づいて笑顔を検出し、笑顔が検出された顔画像データの数を記録する笑顔検出手段と、
1つの会話データ群を送信している間における笑顔検出顔画像データの数に基づいて、1つの会話データ群当たりの笑顔の出現頻度を算出する笑顔算出手段と、を有し、
前記笑顔算出手段が、2つ以上の会話データ群の笑顔の出現頻度をそれぞれ算出すると共に、その笑顔の出現頻度を会話データ群ごとに関連付けて記録する、認知症患者用会話システム。
【請求項2】
前記サーバが、前記会話データ群ごとの笑顔の出現頻度に基づいて、所定の会話データ群を端末に送信し続ける時間を決定する会話時間調整手段をさらに有する、請求項1に記載の認知症患者用会話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−223369(P2011−223369A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91074(P2010−91074)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(591203325)
【Fターム(参考)】