説明

認証方法、認証装置、認証プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体

【課題】毛穴に関する情報を用いて高精度な人物認証を行う。
【解決手段】毛穴に関する情報を用いて人物認証を行うための認証方法において、ユーザにより認証を行う毛穴の領域を設定する認証領域設定ステップと、前記認証位置設定ステップにより設定された認証領域を含む画像を撮影する毛穴撮影ステップと、前記毛穴撮影ステップにより撮影された毛穴画像から毛穴に関する情報を抽出する毛穴抽出ステップと、前記毛穴抽出ステップにより抽出された毛穴の配列情報及び/又は特徴情報と、予め登録された複数の人物に対する毛穴の配列情報及び/又は特徴情報とに基づいて認証を行う認証ステップとを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証方法、認証装置、認証プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体に係り、特に毛穴に関する情報を用いて高精度な人物認証を行うための認証方法、認証装置、認証プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セキュリティを重視する施設への入退室や、情報システムへのログイン等の目的で人物の顔画像や指紋、手相、静脈、声、虹彩の身体的な特徴に基づいて人物を特定する技術が存在する(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
ここで、特許文献1には、画像を撮影し、撮影した画像情報等から人の顔を検出し、検出した顔の注視点の位置から特徴量を抽出し、その特徴量に基づいて撮影された人物の人種を推定することが示されている。また、特許文献2は、指紋が人か否かを見分けるために汗腺/毛穴データが用いられている。
【特許文献1】特開2005−266981号公報
【特許文献2】特開2003−126067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の人物認証については、上述したように顔画像や虹彩、指紋等を用いた認証があるが、認証に用いられる部位は顔や目、指等、予め特定されてしまうことが多い。
【0005】
また、従来の認証部位は、時間が経過しても変化がないことが条件となる。つまり、従来の認証部位は変化することがないため、パスワード等の文字情報とは異なり定期的に変更することができず、仮に指紋等が盗まれた場合には、認証システム自体を変更する必要が生じてしまう。また、顔や虹彩認証等の場合には、眼鏡を掛けている場合には、認証の都度眼鏡を外して認証処理を行うため、煩わしさがある。
【0006】
そこで、上述した課題を解決するため、ある程度の変化を伴う部位を認証に適用することで、安全性を向上させた認証を実現することが好ましく、人体の中で変化を伴う部位としては、例えば毛穴がある。ここで、特許文献2には、汗腺/毛穴データを用いているが、ここで用いられている毛穴データは指紋が人か否かを見分けるため、即ちなりすまし防止に用いられているだけであり、人物を特定するために用いられておらず、そのための具体的な開示もされていない。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、毛穴に関する情報を用いて高精度な人物認証を行うための認証方法、認証装置、認証プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0009】
請求項1に記載された発明は、毛穴に関する情報を用いて人物認証を行うための認証方法において、ユーザにより認証を行う毛穴の領域を設定する認証領域設定ステップと、前記認証位置設定ステップにより設定された認証領域を含む画像を撮影する毛穴撮影ステップと、前記毛穴撮影ステップにより撮影された毛穴画像から毛穴に関する情報を抽出する毛穴抽出ステップと、前記毛穴抽出ステップにより抽出された毛穴の配列情報及び/又は特徴情報と、予め登録された複数の人物に対する毛穴の配列情報及び/又は特徴情報とに基づいて認証を行う認証ステップとを有することを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、毛穴に関する情報を用いて高精度な人物認証を行うことができる。また、ユーザ(認証を行う者)自らが認証に用いる部位を選択することで、他の認証技術と異なり、認証に用いる部位を他人にわからせずに認証を行うことができる。
【0011】
請求項2に記載された発明は、毛穴に関する情報を用いて人物認証を行うための認証方法において、ユーザの毛穴を有する部位の画像を撮影する毛穴撮影ステップと、前記毛穴撮影ステップにより撮影された画像から認証に用いられる領域を特定する領域特定ステップと、前記領域特定ステップにより特定された領域に含まれる毛穴に関する情報を抽出する毛穴抽出ステップと、前記毛穴抽出ステップにより抽出された毛穴の配列情報及び/又は特徴情報と、予め登録された複数の人物に対する毛穴の配列情報及び/又は特徴情報とに基づいて認証を行う認証ステップとを有することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、毛穴に関する情報を用いて高精度な人物認証を行うことができる。また、どの部位で認証が行われているかをユーザにわからせずに認証を行うことができる。
【0013】
請求項3に記載された発明は、前記毛穴抽出ステップは、所定の毛穴を基準として、その他の毛穴までの毛穴間距離、方向を前記配列情報として抽出することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、毛穴の配置情報を用いることで、高精度な認証を行うことができる。
【0015】
請求項4に記載された発明は、前記毛穴抽出ステップは、前記毛穴の中心、重心、及び前記毛穴から生える産毛の毛根位置のうち少なくとも1つからなる代表位置情報を前記特徴情報として抽出することを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、代表位置情報を用いることで、高精度な認証を行うことができる。
【0017】
請求項5に記載された発明は、前記毛穴抽出ステップは、前記代表位置情報と、前記代表位置情報に対する産毛の長さ、産毛の色、毛穴の色、毛穴の大きさ、及び毛穴の形状のうち少なくとも1つからなる付加情報とを前記特徴情報として抽出することを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、毛穴に関する複数の情報を用いて多角的な認証を高精度に行うことができる。これにより、安全性を向上させることができる。
【0019】
請求項6に記載された発明は、前記領域特定ステップは、前記毛穴撮影ステップにより撮影された画像から得られる少なくとも1つの特徴点を通る1又は複数の特徴線、又は前記特徴線を平行移動して得られる特徴線に基づいて領域を特定することを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、複数の特徴点を基準にして抽出される特徴線を用いて領域を特定し、その領域から毛穴に関する情報を取得することができるため、より高精度な認証を行うことができる。また、迅速且つ効率的に認証範囲を設定することができる。また、認証毎における認証範囲の誤差をなくして高精度な認証を実現することができる。
【0021】
請求項7に記載された発明は、毛穴に関する情報を用いて人物認証を行う認証装置において、ユーザにより設定された認証を行う毛穴の領域を含む画像から毛穴に関する情報を抽出する毛穴抽出手段と、前記毛穴抽出手段により抽出された毛穴の配列情報及び/又は特徴情報と、予め登録された複数の人物に対する毛穴の配列情報及び/又は特徴情報とに基づいて認証を行う認証手段とを有することを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、毛穴に関する情報を用いて高精度な人物認証を行うことができる。また、ユーザ(認証を行う者)自らが認証に用いる部位を選択することで、他の認証技術と異なり、認証に用いる部位を他人にわからせずに認証を行うことができる。
【0023】
請求項8に記載された発明は、毛穴に関する情報を用いて人物認証を行う認証装置において、ユーザの毛穴を有する部位の画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された画像から認証に用いられる領域を特定する領域特定手段と、前記領域特定手段により特定された領域に含まれる毛穴に関する情報を抽出する毛穴抽出手段と、前記毛穴抽出手段により抽出された毛穴の配列情報及び/又は特徴情報と、予め登録された複数の人物に対する毛穴の配列情報及び/又は特徴情報とに基づいて認証を行う認証手段とを有することを特徴とする。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、毛穴に関する情報を用いて高精度な人物認証を行うことができる。また、どの部位で認証が行われているかをユーザにわからせずに認証を行うことができる。
【0025】
請求項9に記載された発明は、前記毛穴抽出手段は、所定の毛穴を基準として、その他の毛穴までの毛穴間距離、方向を前記配列情報として抽出することを特徴とする。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、毛穴の配置情報を用いることで、高精度な認証を行うことができる。
【0027】
請求項10に記載された発明は、前記毛穴抽出手段は、前記毛穴の中心、重心、及び前記毛穴から生える産毛の毛根位置のうち少なくとも1つからなる代表位置情報を前記特徴情報として抽出することを特徴とする。
【0028】
請求項10記載の発明によれば、代表位置情報を用いることで、高精度な認証を行うことができる。
【0029】
請求項11に記載された発明は、前記毛穴抽出手段は、前記代表位置情報と、前記代表位置情報に対する産毛の長さ、産毛の色、毛穴の色、毛穴の大きさ、及び毛穴の形状のうち少なくとも1つからなる付加情報とを前記特徴情報として抽出することを特徴とする。
【0030】
請求項11記載の発明によれば、毛穴に関する複数の情報を用いて多角的な認証を高精度に行うことができる。これにより、安全性を向上させることができる。
【0031】
請求項12に記載された発明は、前記領域特定手段は、前記撮影手段により撮影された画像から得られる少なくとも1つの特徴点を通る1又は複数の特徴線、又は前記特徴線を平行移動して得られる特徴線に基づいて領域を特定することを特徴とする。
【0032】
請求項12記載の発明によれば、複数の特徴点を基準にして抽出される特徴線を用いて領域を特定し、その領域から毛穴に関する情報を取得することができるため、より高精度な認証を行うことができる。また、迅速且つ効率的に認証範囲を設定することができる。また、認証毎における認証範囲の誤差をなくして高精度な認証を実現することができる。
【0033】
請求項13に記載された発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の認証方法を実行させるようにコンピュータを動作させることを特徴とする。
【0034】
請求項13記載の発明によれば、毛穴に関する情報を用いて高精度な人物認証を行うことができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における認証を容易に実現することができる。
【0035】
請求項14に記載された発明は、請求項13に記載の認証プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0036】
請求項14記載の発明によれば、記録媒体により他の複数のコンピュータに容易に認証プログラムをインストールすることができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における毛穴に関する情報を用いた認証を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、毛穴に関する情報を用いて高精度な人物認証を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本発明における認証方法、認証装置、認証プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体を好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。
【0039】
<システム構成>
図1は、本発明における認証システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示す認証システム10は、毛穴測定装置11と、認証装置12とを有するよう構成されており、毛穴測定装置11及び認証装置12は、インターネットやLAN(Local Area Network)等に代表される通信ネットワーク13によりデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0040】
毛穴測定装置11は、人物の所定部位の毛穴を撮影する。ここで、所定部位とは、例えば顔の鼻や頬、指の背、手の甲、足の甲、腕等、皮膚部分のうち、予め設定された少なくとも1つの位置又は領域を示す。
【0041】
ここで、毛穴測定装置11は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等を用いて所定の照明条件に基づいてユーザ(認証者)の全顔や手の甲等をカメラ位置に対して、少なくとも1つの角度から撮影し、撮影したデジタル画像を取得する。
【0042】
なお、顔や手の甲等の人物の毛穴を有する所定部位を撮影するための手法としては、例えば高解像のデジタルカメラを搭載した画像計測システムや、ビデオマイクロスコープ(VMS:Video Micro Scope)と呼ばれる顕微鏡等により撮影する肌観察システム等を用いることができる。また、上述のシステムの一例としては、例えば本出願人により出願された特願2005−133275や特願2005−324118に示されている撮影装置等を用いることもできるが、本発明においてはこれに限定されず、例えば高画質カメラ等により撮影された画像であってもよい。
【0043】
また、毛穴測定装置11は、撮影した画像等の測定結果の各情報を、通信ネットワーク13を介して認証装置12に送信する。
【0044】
認証装置12は、毛穴測定装置11から送信された画像データ等に基づいて、所定領域に含まれる毛穴に関する情報を抽出し、その毛穴に関する情報や撮影された画像と、それらの情報に対応する予め登録された複数の人物の毛穴に関する情報や画像とに基づいて認証を行う。特に、認証装置12は、後述する毛穴の配列情報及び/又は特徴情報に基づいて認証を行う。なお、認証装置12は、認証の際、予め蓄積されている、ユーザ毎の経時変化等を分析し、その分析結果に基づいて認証を行うことができる。
【0045】
ここで、上述したように毛穴は体表のいたるところに存在する。したがって、本発明では、毛穴測定装置11において、ユーザ自らが認証に用いる毛穴部位(頬、手の甲等)の領域を設定する。これにより、他の認証技術と異なり、認証に用いる部位を他人にわからせずに認証することができる。したがって、安全性を向上させ、より厳しい認証システムを提供することができる。
【0046】
また、逆に認証装置12において毛穴測定装置11により得られる画像から認証に用いる部位の領域を任意に特定することで、どの部位で認証が行われているかをユーザにわからせずに認証を行うことができる。したがって、より厳しい認証システムを提供することができる。
【0047】
なお、上述した毛穴測定装置11における領域の設定及び認証装置12における領域の特定は、何れかの装置が有していればよい。また、各装置において領域を設定又は特定する構成を有していてもよい。その場合、例えばユーザが毛穴測定装置11における部位の選択で顔を設定した場合でも、認証装置12において顔を所定の領域で分割し、分割した複数の領域から少なくとも1つの領域を特定することができる。
【0048】
つまり、本発明は、従来の顔全体から特徴データを抽出するような認証手法と異なり、認証に用いる領域を設定することで、例えばユーザが眼鏡やマスクにより、顔の一部が隠れている場合でも認証を行うことができる。
【0049】
なお、図1に示すシステム構成は、概略的に毛穴測定装置11及び認証装置12をそれぞれ1台有する構成となっているが、本発明においてはこれに限定されず、例えば毛穴測定装置11及び/又は認証装置12が複数台有するよう構成されていてもよい。また、毛穴測定装置11におけるユーザの毛穴画像を撮像するための各構成を認証装置12内に設けてもよい。
【0050】
<毛穴測定装置11>
次に、毛穴測定装置11の機能構成例について図を用いて説明する。図2は、毛穴測定装置の機能構成の一例を示す図である。図2に示す毛穴測定装置11は、入力手段21と、出力手段22と、ユーザ管理手段23と、認証領域設定手段24と、撮影手段25と、蓄積手段26と、送受信手段27と、制御手段28とを有するよう構成されている。
【0051】
入力手段21は、認証システム10を使用するユーザの登録や、測定実施日時の登録等を行う際の各種データの入力を受け付ける。また、入力手段21は、ユーザからの撮影(測定)実施指示や認証装置12へのデータの送信指示等を受け付ける。なお、入力手段21は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイスやマイク等の音声インターフェース等からなる。
【0052】
また、出力手段22は、入力手段21により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容を表示、音声等により出力する。なお、出力手段22は、ディスプレイやスピーカ等からなる。
【0053】
また、ユーザ管理手段23は、上述した認証システム10を使用するユーザの個人情報及び測定回数等を管理する。具体的には、ユーザ管理手段23は、ユーザの登録を行ったり、既に登録され蓄積手段26に蓄積されているユーザを呼び出し、参照、修正、削除等を行うことができる。
【0054】
なお、ユーザ情報として登録される内容としては、例えば、各ユーザを識別するための「ユーザID」や「パスワード」、「氏名」、「生年月日」、「性別」、「撮影日時」、「撮影部位」、「撮影した画像の有効期限」、「メモ(備考)」等がある。また、登録されるユーザ情報は、本発明においては特に制限されることはない。
【0055】
また、ユーザ管理手段23は、ユーザ登録時には、撮像手段25を用いて認証に用いる画像を撮影する。なお、ユーザ登録時に撮影される画像は、認証に用いられる毛穴部位と同様の部位である必要がある。また、画像領域の大きさも認証に用いる部位より登録データのほうを大きくする。
【0056】
例えば、認証に用いる部位が「左手の中指のみ」である場合には、登録時に「両手の指の背の全部」を撮影しておく、また、認証に用いる部位が「右頬の一部」である場合には、「両頬」や「全顔」の画像を取得する。これにより、認証のために他の部位が選択されたとしても登録画像に含まれているため、容易に対応することができる。なお、ユーザ管理手段23は、ユーザ登録時は、認証に用いられる全ての画像を取得してもよく、また登録時に画像の種類を選択してもよい。
【0057】
また、認証領域設定手段24は、認証に用いられる毛穴の領域を設定する。なお、測定位置は、毛穴の存在する体表の各部位から少なくとも1つを設定する。また、設定の際には、ユーザ管理手段23にてユーザが予め登録した画像に含まれる毛穴部位から選択される。この場合、出力手段22により認証位置の候補が表示され、入力手段21により選択することで、容易に設定することができる。
これにより、ユーザ自らが認証に用いる毛穴部位を選択することで、認証に用いる部位を他人にわからせずに認証を行うことができる。したがって、安全性を向上させ、より厳しい認証システムを提供することができる。
【0058】
撮影手段25は、CCDカメラ等よりデジタル画像を取得することができ、ユーザの全顔を複数の角度(例えば、正面、右顔、あるいは左顔等)から撮影したり、手の甲等を撮影する。また、撮影手段25は、毛穴部位を撮影する場合には、毛穴の詳細な部分までを画像に収めるためフラッシュ撮影により所定部位の画像を取得することが好ましい。
【0059】
また、認証に用いられる位置にズレにより認証の結果がエラーになることがないように撮影される全顔画像に差ができないようにする必要がある。したがって、撮影手段25は、撮影時にカメラ等の撮像装置に対してユーザの顔の位置を出力手段22のディスプレイ等により表示(プレビュー)し、そのプレビュー画面によりユーザを誘導させて所定の位置に顔をセットさせることができる。
【0060】
また、蓄積手段26は、上述したユーザ管理手段23により得られるユーザ情報や、認証領域設定手段24により得られる認証領域情報、撮影手段25により得られる各画像データ等を撮影日時情報やユーザ情報と関連付けて蓄積する。
【0061】
また、送受信手段27は、毛穴測定装置11と認証装置12との間で通信ネットワーク13を介してデータの送受信を行うための通信インターフェースである。したがって、毛穴測定装置11は、送受信手段27が認証装置12からのユーザ情報や撮影内容等の各種データの取得要求を受信したり、入力手段21により認証装置12に各種データの送信指示を受け付けたりした場合に、通信ネットワーク13を介して認証装置12に各種データを送信する。また、送受信手段27は、認証装置12による認証結果を受信して、その内容を出力手段22等によりユーザや管理者等に通知する。
【0062】
また、制御手段28は、毛穴測定装置11の各構成部全体の制御を行う。具体的には、例えば認証領域設定手段24により認証に使用される毛穴の領域を設定させたり、撮影手段により毛穴画像を撮影させ、撮影させた画像をユーザ情報と共に蓄積手段26に蓄積させたり、ユーザ登録や認証のために撮影された画像や認証領域設定手段24により設定された認証領域情報を送受信手段27から認証装置12に送信させる等の制御を行う。
【0063】
<認証装置12>
次に、認証装置12の機能構成例について図を用いて説明する。図3は、認証装置の機能構成の一例を示す図である。図3に示す認証装置12は、入力手段31と、出力手段32と、ユーザ管理手段33と、領域特定手段34と、毛穴抽出手段35と、認証手段36と、蓄積手段37と、送受信手段38と、制御手段39とを有するよう構成されている。
【0064】
入力手段31は、毛穴測定装置11から得られた各種データから認証を行うための指示を行ったり、認証結果を出力手段32により表示させるための指示等を行う際の各種データの入力を受け付ける。なお、入力手段31は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイスやマイク等の音声インターフェース等からなる。
【0065】
また、出力手段32は、入力手段31により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容を表示、音声等により出力する。なお、出力手段32は、ディスプレイやスピーカ等からなる。
【0066】
ユーザ管理手段33は、蓄積手段37に蓄積されているユーザ情報及び認証するために用いた領域特定情報、認証結果等を管理する。具体的には、ユーザ管理手段33は、ユーザの登録を行ったり、既に登録され蓄積手段37に蓄積されているユーザを呼び出し、参照、修正、削除等を行うことができる。
【0067】
領域特定手段34は、毛穴測定装置11から得られた各種画像データから、認証に用いられる少なくとも1つの領域(部位)を特定する。なお、領域特定手段34は、認証に用いられる領域を管理者等により任意に設定させてもよく、複数の領域候補のうち、予め設定された順序又はランダムに領域を特定してもよい。
【0068】
また、領域特定手段34は、例えば前回又はそれ以前の領域特定時に使用した部位に関する情報(画像、文字等)や、実際に特定された領域の情報を出力手段32に表示させる。
つまり、領域特定手段34は、前回又はそれ以前においてどの特定領域を設定したかの履歴を表示させる。これにより、同一の領域を長期にわたり設定することがないため、安全性を向上させることができる。また、認証に用いる領域を特定することで、どの部位で認証されているかをユーザにわからせずに認証を行うことができる。したがって、より厳しい認証システムを提供することができる。
【0069】
毛穴抽出手段35は、領域特定手段34により特定された認証に用いられる領域に対して毛穴の抽出を行う。なお、画像処理からの毛穴の抽出手法については、例えば本出願人により出願された特願2005−133275に示されている毛穴画像抽出手法を適用することができるが、本発明においてはこれに限定されない。
【0070】
本実施形態における毛穴抽出手段35は、毛穴に関する情報として、毛穴の配列情報や特徴情報を抽出する。ここで、毛穴抽出手段35は、毛穴の配列情報として、例えばある所定範囲に含まれる複数の毛穴のうち、所定の毛穴を基準として、その他の毛穴(例えば、隣接する毛穴等)までの毛穴間距離、方向の情報を抽出する。また、毛穴抽出手段35は、毛穴の特徴情報として、毛穴の中心、重心、及び前記毛穴から生える産毛の毛根位置のうち少なくとも1つからなる代表位置情報を抽出する。これらの配列情報や代表位置情報を用いて認証を高精度に行うことができる。
【0071】
また、毛穴抽出手段35は、特徴情報として上述の代表位置情報の他に代表位置情報に対する産毛の長さ、産毛の色、毛穴の色、毛穴の大きさ、及び毛穴の形状のうち、少なくとも1つからなる付加情報も抽出してもよい。なお、産毛の長さであれば実寸、色ならRGB値のうちR値、RG比等や複数の産毛の色の平均値等で表現してもよく、また予め設定された条件に基づいてスコア化して数段階にランク付けを行ってもよい。これにより、毛穴に関する複数の情報を用いて多角的な認証を高精度に行うことができる。したがって、安全性を向上させることができる。
【0072】
なお、毛穴抽出手段35は、キメがはっきりしている手の甲や指の背等については、キメの分岐点が毛穴になるので、キメの端点や分岐点の属性とそれらの相対的な位置関係を毛穴に関する情報として抽出してもよく、また毛穴の輪郭部分を毛穴に関する情報として抽出してもよい。
【0073】
なお、毛穴抽出手段35は、ユーザ登録時に撮影された画像に対して上述した毛穴の配列情報や特徴情報等の毛穴に関する情報を抽出し、抽出した各種情報や撮影された画像等をユーザ情報と関連付けて蓄積手段37に蓄積しておく。
【0074】
認証手段36は、毛穴測定装置11から得られた画像データ及び毛穴に関する各種情報に基づいて人物認証を行う。また、認証手段36は、認証結果を送受信手段38から通信ネットワーク13を介して毛穴測定装置11に送信することで、認証の結果を毛穴測定装置11側で取得することができる。
【0075】
更に、認証手段36は、認証結果や認証に用いた画像データ、認証領域に関する各種データを蓄積手段37により蓄積する。これにより、経時的な個々の毛穴の特徴情報により、更に高精度な認証処理を実現することができる。なお、認証手段36における具体的な認証手法については後述する。
【0076】
また、蓄積手段37は、毛穴測定装置11から得られたユーザ情報や各種画像データ、認証手段36により得られる認証結果等を蓄積する。なお、蓄積手段37は、画像データや認証時に設定した特定領域、認証結果等を撮影日時やユーザ情報等に関連づけて蓄積する。これにより、上述したユーザ毎の履歴情報を蓄積することができ、必要に応じて各種データを取得することができる。
【0077】
送受信手段38は、認証装置12と毛穴測定装置11との間で通信ネットワーク13を介してデータの送受信を行うための通信インターフェースである。したがって、認証装置12は、毛穴測定装置11にて得られた各種データを通信ネットワーク13を介して取得する。また、毛穴測定装置11に各種データの取得要求を行い、まだ送信されていない情報があれば、その情報を取得する。更に、送受信手段38は、認証結果を毛穴測定装置11に送信することもできる。
【0078】
更に、制御手段39は、認証装置12の各構成部全体の制御を行う。具体的には、認証装置12からの測定結果を送受信手段38で受信させたり、領域特定手段34により認証に用いられる領域を特定させたり、毛穴抽出手段35により特定した領域に含まれる毛穴に関する情報を抽出させたり、認証手段36により認証させる等の制御を行う。
【0079】
<認証に用いられる画像領域の設定手法>
ここで、上述した認証領域設定手段24及び領域特定手段34における認証に用いられる画像領域の設定(特定)手法について説明する。
【0080】
図4は、画像領域の設定方法の一例を示す図である。認証を行う場合には、顔や手の甲(指の背)等、上述した毛穴を有する複数の部位から少なくとも1つを選択する。例えば、顔を選択する場合には、図4(a)に示すように顔41のうち所定の領域を認証用毛穴領域42として設定することができる。なお、認証用毛穴領域42のうち、更に詳細な領域からなる詳細領域43(図4における斜線部)を設けてもよい。ここで、詳細領域43における大きさや形状(円形、三角形、台形等)については特に限定されない。
【0081】
また、図4(b)に示す手の甲44においても同様に認証用毛穴領域42及び詳細領域43を設定することができる。なお、この場合には、それぞれの部位を撮影できる撮影手段が必要になる。また、認証領域の特定は、認証を行う毎、又は認証回数あるいは認証時間等の所定のタイミングで行う。なお、これらの認証領域の指定は、画像の撮影前に行ってもよく、また画像の撮影後に行ってもよい。
【0082】
<領域特定方法>
次に、領域特定手段34において取得した画像から認証に用いられる領域を特定する方法の一例について説明する。図5は、本実施形態における認証領域を特定するための一例を示す図である。
【0083】
図5に示すように、例えば毛穴測定装置11における撮像手段25により撮影された顔画像から認証に用いられる特定位置を特定する場合には、従来の顔の特徴データを抽出する技術(例えば、特許文献1等)を用いて、目尻、目頭、鼻の横、鼻の中央、鼻の下、眉頭、眉尻、唇の端、唇の上、唇の下等の位置(特徴点)を特定する。また、領域特定手段34は、特定された特徴点の中から少なくとも1つの特徴点を通る特徴線を抽出する。更に、各特徴線を基準として平行移動することにより得られる特徴線を抽出する。
【0084】
例えば、図5には、特徴線A〜G(縦線)、a〜f(横線)、aa,bb(斜線)を有している。ここで、縦線の特徴線Aは目尻を通る線であり、特徴線Bは目頭を通る線であり、特徴線Cは鼻の横を通る線であり、特徴線Dは鼻の中央を通る線であり、特徴線Eは眉頭を通る線であり、特徴線Fは唇の端を通る線であり、特徴線Gは眉尻を通る線である。
【0085】
また、横線の特徴線aは目頭を通る線であり、特徴線bは鼻の下を通る線であり、特徴線cは唇の上を通る線であり、特徴線dは唇の下を通る線であり、特徴線eは特徴線a及びcを1対3に内分する線であり、特徴線fは唇の両端を通る線である。更に斜線の特徴線aaは唇の端及び目尻を通る線であり、特徴線bbは鼻の横及び目頭を通る線である。このように、図5に示す特徴線を少なくとも1つ用いて領域の特定を行う。
【0086】
ここで、図6は、特徴線を用いた領域の特定方法の一例を示す図である。領域を特定する場合には、図6(a)、(b)に示すように、複数の特徴線を用いてそれらの特徴線で囲まれる領域を特定領域51,52とする。また、図6(c)に示すように、2つの特徴線の交点を基準に一定の面積又は縦横の長さを有する領域を特定領域53としてもよく、図6(d)に示すように、2つの特徴線の交点を中心に所定の半径を有する円形領域を特定領域54とすることができる。なお、特定領域の大きさや形状等は特に限定されない。また、認証に用いられる特定領域は、1つでもよく、複数であってもよい。
【0087】
上述の例では、顔画像を用いているが、例えば手の甲等の場合は、指の付け根や関節部分を基準にして特徴データを抽出し、抽出した特徴データから認証に用いられる領域を特定することができる。また、他の部位においても同様に予め設定された特徴データを基準に領域を特定することができる。
【0088】
このように、特徴線により得られる特徴的な部分を含む領域の毛穴に関する情報を取得することができるため、より高精度な認証を行うことができる。また、迅速且つ効率的に認証範囲を設定することができる。また、認証毎における認証範囲の誤差をなくして高精度な認証を実現することができる。
【0089】
<認証手法>
次に、上述した認証手段36における認証手法について説明する。認証手段36は、領域特定手段34により特定された領域に基づいて毛穴抽出手段35により上述した毛穴に関する情報を抽出し、抽出された情報及び撮影された画像により認証処理を行う。
【0090】
具体的には、認証手段36は、上述した撮影した画像から毛穴抽出手段35により取得された毛穴間の配列情報や毛穴の特徴情報に基づいて認証を行う。なお、認証は、配列情報又は特徴情報を用いて行ってもよく、また配列情報及び特徴情報を組み合わせて行ってもよい。配列情報及び特徴情報を認証に用いることにより、毛穴に関する複数の情報を用いて多角的な認証を高精度に行うことができ、認証の安全性を向上させることができる。
【0091】
また、認証は、毛穴抽出手段35により抽出された毛穴に関する情報(毛穴の配列情報や特徴情報等)と、その情報に対応する予め登録された複数の人物に対する毛穴に関する情報(毛穴の配列情報や特徴情報等)とに基づいて、特徴点抽出照合法(マニーシャ法)やパターンマッチング法等により照合し認証を行う。
【0092】
ここで、図7は、毛穴を用いた認証内容の一例を示す図である。図7に示すように、領域特定手段34により特定された測定データの領域60には、1又は複数の毛穴61を有している。そこで、その毛穴61から毛穴抽出手段35によりそれぞれの毛穴の中心等を代表位置(特徴点)62として抽出し、また配列情報等を抽出する。また、登録データとして予め複数の人数に対して上述の測定データの領域60に対応した領域63に含まれる毛穴64の代表位置(特徴点)65や配列情報が登録されているため、これらのデータから各毛穴に対する代表位置同士や配列情報等を照合して認証を行う。
【0093】
また、図8は、パターンマッチングに基づく認証内容を説明するための一例の図である。認証手段36は、図8に示すように、上述した測定データの領域60に含まれる毛穴61と、領域60に対応する登録データの領域63に含まれる毛穴64とを、例えば毛穴の輪郭情報等に基づいてパターンマッチングすることにより、照合して認証を行うことができる。
【0094】
また、図9は、毛穴の配列情報に基づく認証内容を説明するための一例の図である。認証手段36は、ある領域内に含まれる複数の毛穴(図9においては、毛穴61−1〜61−4、64−1〜64−4)のうち、任意に特定した毛穴(例えば、毛穴61−1,64−1)を基準とした毛穴間の配列情報に基づいて認証を行う。
【0095】
具体的には、配列情報として、図9において測定データの毛穴61−1を基準として、その他の毛穴61−2〜61−4の毛穴間距離66−1〜66−3やその方向がそれぞれ抽出されている。また、登録データについても、毛穴64−1を基準として、その他の毛穴64−2〜64−4の毛穴間距離67−1〜67−3やその方向がそれぞれ抽出されているため、これらの情報に基づいて認証を行う。なお、この場合、画像データの大きさを調整しておく必要があるが、その場合には、例えばある毛穴61−1の大きさを基準に一方の画像を拡大・縮小することにより同一にし、同一となった登録データ及び測定データの画像を用いて比較を行う。
【0096】
したがって、図9によれば、登録データが図9(a)に示すような配列である場合には、撮影された毛穴の測定データが図9(b)に示すように配列されていれば、認証の結果同一であると判断することができる。また、撮影された毛穴の測定データが図9(c)に示すように配列されていれば、認証の結果、異なる人物であると判断することができる。
【0097】
また、認証手段36は、例えば測定データと登録データの双方の特徴量である特徴ベクトルや特徴の行列の距離を算出し、特徴ベクトルと最も近い位置にある特徴ベクトルに対応する登録データを抽出することで認証を行うこともできる。
【0098】
また、認証手段36は、上述した特徴情報を用いて測定データと登録データが一致するか否かにより認証を行う。このとき、認証特定した認証領域中における産毛の色の平均値や、上述したランク付けを行っている場合には、それらの情報を特徴情報として、各ランクの個数、更には毛穴の代表点における毛穴に関する情報に基づいて認証を行う。
【0099】
ここで、毛穴は時間と共に色や形、大きさが変化するが、毛穴自身が消滅、増加することはない。したがって、認証手段36は、季節や時間による毛穴の変化に対してある程度の許容範囲を設けておく。なお、この許容範囲は、通常なら毛穴から生えている産毛がどのくらいの時間でどの程度伸びるか等の平均的なデータや、季節や時間、年齢、性別等により毛穴がどのように変化するかの平均的なデータに基づいて許容範囲が設定される。更に、本発明では、蓄積手段37等により蓄積された今までの認証に用いられた各ユーザの経時的な毛穴に関する情報の変化に基づいて、ユーザ毎に許容範囲を設定することができる。
【0100】
したがって、許容範囲は、例えば年齢等を基準にすれば、時間と共に上限及び下限の両方が変化するため、必然的に認証条件が変更されることになる。更に、毛穴には、大きさ、楕円の長短計比、色が毛穴により違うため、各毛穴毎に特徴等の情報を付加することができる。また、これらの情報に複数の毛穴の相互位置を付加した配列情報をも認証条件に加えることができるため、高精度な認証を行うことができる。
【0101】
なお、認証手段36は、登録されたデータが認証に用いられる期限を設けてもよく、例えば登録されてからの認証期限を1日としたり、1週間、1ヶ月等にしておき、その期限を越えている場合には、認証エラーとする等の処理を行うことができる。
【0102】
このように、本実施形態による認証により、毛穴に関する情報を用いて情報を用いて高精度な人物認証を実現することができる。なお、認証手段36は、複数の毛穴を用いて認証を行う場合には、認証前に毛穴毎に優先度を設けておき、その優先度順に認証を行ってもよい。これにより、優先順位を組み合わせて詳細な認証設定を実現することができる。
【0103】
更に、認証手段36は、上述した認証手法を複数組み合わせて処理することができ、また人物の指紋や手相、静脈、顔画像、声、虹彩の身体的な特徴情報を用いた認証を行うことができる。したがって、より高精度な認証を実現することができる。
【0104】
ここで、上述した認証装置12は、上述した機能を有する専用の装置構成により制御を行うこともできるが、各機能をコンピュータに実行させることができる実行プログラムを生成し、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、サーバ等にその実行プログラムをインストールすることにより、本発明における認証処理を実現することができる。
【0105】
<ハードウェア構成>
ここで、本発明における認証処理が実現可能なコンピュータのハードウェア構成例について図を用いて説明する。図10は、本発明における認証処理が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0106】
図10におけるコンピュータ本体には、入力装置71と、出力装置72と、ドライブ装置73と、補助記憶装置74と、メモリ装置75と、各種制御を行うCPU(Central Processing Unit)76と、ネットワーク接続装置77とを有するよう構成されており、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
【0107】
入力装置71は、ユーザが操作するキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを有しており、ユーザからのプログラムの実行等、各種操作信号を入力する。出力装置72は、本発明における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するモニタを有し、CPU76が有する制御プログラムによりプログラムの実行経過や結果等を表示することができる。
【0108】
ここで、本発明において、コンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えば、CD−ROM等の記録媒体78等により提供される。プログラムを記録した記録媒体78は、ドライブ装置73にセット可能であり、記録媒体78に含まれる実行プログラムが、記録媒体78からドライブ装置73を介して補助記憶装置74にインストールされる。
【0109】
補助記憶装置74は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本発明における実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム等を蓄積し、必要に応じて入出力を行うことができる。
【0110】
CPU76は、OS(Operating System)等の制御プログラム、及びメモリ装置75により読み出され格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して、認証処理等における各処理を実現することができる。プログラムの実行中に必要な予め登録された毛穴に関する情報や認証時に利用する画像領域の特定情報等の各種データ等は、補助記憶装置74から取得することができ、また実行結果等を格納することもできる。
【0111】
ネットワーク接続装置77は、通信ネットワーク等と接続することにより、実行プログラムを通信ネットワーク13に接続されている他の端末等から取得したり、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本発明における実行プログラム自体を他の端末等に提供することができる。上述したようなハードウェア構成により、本発明における認証処理を実行することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における認証を容易に実現することができる。
【0112】
<認証処理手順>
次に、本発明における認証システムにおける認証処理手順についてフローチャートを用いて説明する。図11は、本発明における認証処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図11に示すフローチャートは、上述した毛穴測定装置11及び認証装置12における認証システムについての処理手順である。
【0113】
図11に示すフローチャートでは、まず認証システムを使用するにあたり、ユーザ登録されているか否かを判断する(S01)。ここで、ユーザ登録されていない場合(S01において、NO)、ユーザの登録を行う(S02)。なお、登録されるユーザ情報としては、上述したように各測定内容を識別するための「ユーザID」や「パスワード」、「氏名」、「生年月日」、「性別」、「撮影日時」、「撮影部位」、「撮影した画像の有効期限」、「メモ(備考)」等がある。また、登録時には、認証に用いられる顔(全顔)や手の甲、腕等、毛穴を有する部位の画像を撮影する。
【0114】
なお、S01の処理において、ユーザが登録されているか否かを判断する場合は、蓄積手段に蓄積されている情報から「ユーザID」や「パスワード」、「氏名」等を用いて検索することで、ユーザの登録の有無を確認することができる。
【0115】
次に、S01において、既にユーザ登録済みである場合(S01において、YES)、又はS02において、ユーザ登録が完了した場合、ユーザにより認証に用いられる領域を設定する(S03)。これにより、ユーザ自らが認証に用いる毛穴部位を選択することで、他の認証技術と異なり、認証に用いる部位を他人にわからせずに認証を行うことができる。これにより、安全性を向上させ、より厳しい認証システムを提供することができる。
【0116】
次に、設定した領域の毛穴を撮影し(S04)、撮影した毛穴の画像からユーザによる認証領域の設定情報に基づいて、認証領域を特定する(S05)。これにより、どの部位で認証が行われているかをユーザにわからせずに認証を行うことができる。したがって、より厳しい認証システムを提供することができる。
【0117】
次に、特定領域に基づいて上述した配列情報や毛穴の代表位置情報等の特徴情報等を抽出し(S06)、抽出された配列情報や特徴情報、又はそれらの情報の組み合わせ等に基づいて認証を行い(S07)、認証結果を認証装置又は毛穴測定装置に出力する(S08)。更に、認証装置に認証結果の蓄積を行う(S09)。なお、S09の処理においては、認証結果や認証に用いた画像データ、認証領域に関する各種データも蓄積する。これにより、S07における認証処理において経時的な個々の毛穴の特徴情報により、更に高精度な認証処理を実現することができる。
【0118】
上述したように本発明における認証処理により、高精度な認証を実現することができる。なお、上述したS03及びS05の処理は、両方行ってもよく、何れか一方であってもよい。このとき、例えばS05の処理が省略される場合には、S03の処理にて設定された認証領域に基づいてS06における毛穴抽出処理を行う。また、S03の処理が省略される場合には、S05の処理にてS04の処理にて撮影された画像からS06の処理にて毛穴を抽出する領域を特定する。
【0119】
また、S03及びS05における領域の設定又は特定時に、前回又はそれ以前に設定又は特定された領域と同一の領域が所定回数以上連続する場合には、その旨を示すメッセージ等を毛穴測定装置におけるユーザ又は認証装置における管理者に提示して、設定を変更させるように指示してもよい。これにより、認証パラメータの安全性を向上させることができる。
【0120】
上述したように本発明によれば、毛穴に関する情報を用いて高精度な人物認証を行うことができる。また、本発明では、毛穴に関する情報の他にも画像情報から得られるしわやしみ、肌色等の解析結果等を組み合わせることで、より高精度な認証を実現することができる。
【0121】
本発明は、セキュリティを重視する施設への入退室や、情報システムへのログイン等の目的に使用することができる。また、犯罪者データベース等と照合することで、サングラスやマスク等により変装している場合に犯人と特定する等の技術に適用することができる。
【0122】
また、本発明における毛穴に関する情報を、例えば顔等の画像データと予め登録された画像データとのマッチング(照合)を行うような画像処理技術にも適用することができる。具体的には、画像データのマッチングを行う場合に、顔の目や鼻、口等の通常の特徴点ばかりではなく、本発明における毛穴に関する情報を用いることで、顔の位置や角度の位置合わせといった処理をより高精度に行うことができる。
【0123】
以上本発明の好ましい実施例について上述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明における認証システムの概略構成の一例を示す図である。
【図2】毛穴測定装置の機能構成の一例を示す図である。
【図3】認証装置の機能構成の一例を示す図である。
【図4】画像領域の設定方法の一例を示す図である。
【図5】本実施形態における認証領域を特定するための一例を示す図である。
【図6】特徴線を用いた領域の特定方法の一例を示す図である。
【図7】毛穴を用いた認証内容の一例を示す図である。
【図8】パターンマッチングに基づく認証内容を説明するための一例の図である。
【図9】毛穴の配列情報に基づく認証内容を説明するための一例の図である。
【図10】本発明における認証処理が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【図11】本発明における認証処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0125】
10 認証システム
11 毛穴測定装置
12 認証装置
13 通信ネットワーク
21,31 入力手段
22,32 出力手段
23,33 ユーザ管理手段
24 認証領域設定手段
25 撮影手段
26,37 蓄積手段
27,38 送受信手段
28,39 制御手段
34 領域特定手段
35 毛穴抽出手段
36 認証手段
41 顔
42 認証用毛穴領域
43 詳細領域
44 手の甲
51,52,53,54 特定領域
60,63 領域
61,64 毛穴
62,65 代表位置
66,67 毛穴間距離
71 入力装置
72 出力装置
73 ドライブ装置
74 補助記憶装置
75 メモリ装置
76 CPU
77 ネットワーク接続装置
78 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛穴に関する情報を用いて人物認証を行うための認証方法において、
ユーザにより認証を行う毛穴の領域を設定する認証領域設定ステップと、
前記認証位置設定ステップにより設定された認証領域を含む画像を撮影する毛穴撮影ステップと、
前記毛穴撮影ステップにより撮影された毛穴画像から毛穴に関する情報を抽出する毛穴抽出ステップと、
前記毛穴抽出ステップにより抽出された毛穴の配列情報及び/又は特徴情報と、予め登録された複数の人物に対する毛穴の配列情報及び/又は特徴情報とに基づいて認証を行う認証ステップとを有することを特徴とする認証方法。
【請求項2】
毛穴に関する情報を用いて人物認証を行うための認証方法において、
ユーザの毛穴を有する部位の画像を撮影する毛穴撮影ステップと、
前記毛穴撮影ステップにより撮影された画像から認証に用いられる領域を特定する領域特定ステップと、
前記領域特定ステップにより特定された領域に含まれる毛穴に関する情報を抽出する毛穴抽出ステップと、
前記毛穴抽出ステップにより抽出された毛穴の配列情報及び/又は特徴情報と、予め登録された複数の人物に対する毛穴の配列情報及び/又は特徴情報とに基づいて認証を行う認証ステップとを有することを特徴とする認証方法。
【請求項3】
前記毛穴抽出ステップは、
所定の毛穴を基準として、その他の毛穴までの毛穴間距離、方向を前記配列情報として抽出することを特徴とする請求項1又は2に記載の認証方法。
【請求項4】
前記毛穴抽出ステップは、
前記毛穴の中心、重心、及び前記毛穴から生える産毛の毛根位置のうち少なくとも1つからなる代表位置情報を前記特徴情報として抽出することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の認証方法。
【請求項5】
前記毛穴抽出ステップは、
前記代表位置情報と、前記代表位置情報に対する産毛の長さ、産毛の色、毛穴の色、毛穴の大きさ、及び毛穴の形状のうち少なくとも1つからなる付加情報とを前記特徴情報として抽出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の認証方法。
【請求項6】
前記領域特定ステップは、
前記毛穴撮影ステップにより撮影された画像から得られる少なくとも1つの特徴点を通る1又は複数の特徴線、又は前記特徴線を平行移動して得られる特徴線に基づいて領域を特定することを特徴とする請求項2に記載の認証方法。
【請求項7】
毛穴に関する情報を用いて人物認証を行う認証装置において、
ユーザにより設定された認証を行う毛穴の領域を含む画像から毛穴に関する情報を抽出する毛穴抽出手段と、
前記毛穴抽出手段により抽出された毛穴の配列情報及び/又は特徴情報と、予め登録された複数の人物に対する毛穴の配列情報及び/又は特徴情報とに基づいて認証を行う認証手段とを有することを特徴とする認証装置。
【請求項8】
毛穴に関する情報を用いて人物認証を行う認証装置において、
ユーザの毛穴を有する部位の画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された画像から認証に用いられる領域を特定する領域特定手段と、
前記領域特定手段により特定された領域に含まれる毛穴に関する情報を抽出する毛穴抽出手段と、
前記毛穴抽出手段により抽出された毛穴の配列情報及び/又は特徴情報と、予め登録された複数の人物に対する毛穴の配列情報及び/又は特徴情報とに基づいて認証を行う認証手段とを有することを特徴とする認証装置。
【請求項9】
前記毛穴抽出手段は、
所定の毛穴を基準として、その他の毛穴までの毛穴間距離、方向を前記配列情報として抽出することを特徴とする請求項7又は8に記載の認証装置。
【請求項10】
前記毛穴抽出手段は、
前記毛穴の中心、重心、及び前記毛穴から生える産毛の毛根位置のうち少なくとも1つからなる代表位置情報を前記特徴情報として抽出することを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に又は8に記載の認証装置。
【請求項11】
前記毛穴抽出手段は、
前記代表位置情報と、前記代表位置情報に対する産毛の長さ、産毛の色、毛穴の色、毛穴の大きさ、及び毛穴の形状のうち少なくとも1つからなる付加情報とを前記特徴情報として抽出することを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の認証装置。
【請求項12】
前記領域特定手段は、
前記撮影手段により撮影された画像から得られる少なくとも1つの特徴点を通る1又は複数の特徴線、又は前記特徴線を平行移動して得られる特徴線に基づいて領域を特定することを特徴とする請求項8に記載の認証装置。
【請求項13】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の認証方法を実行させるようにコンピュータを動作させることを特徴とする認証プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の認証プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−310676(P2007−310676A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139380(P2006−139380)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】