説明

誘導可能な局所接着キナーゼ細胞アッセイ

本発明の細胞に基づくアッセイは、FAKの生物学とあわせて誘導可能な遺伝子発現システムを活かして、FAK発現および位置397でのチロシン残基(Y397)におけるFAKリン酸化を外因的に制御する。本発明の細胞に基づくアッセイは、柔軟性があり、そしてY397におけるFAKリン酸化、全
FAKリン酸化の測定が可能であり、変異FAKタンパク質の同定が可能であり、そしてタンパク質およびホスホチロシンの組み合わせを測定することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
本発明は、増殖因子応答および細胞遊走に関わるシグナルタンパク質をコードし、そしてまた疾患に関係する、局所接着キナーゼ(FAK)遺伝子の発現を誘導するための方法および組成物に関する。本発明はFAK阻害剤の同定にも向けられる。
【0002】
FAKは、細胞質性の、非受容体チロシンキナーゼである。FAKは、種々の刺激の群(例えば、インテグリン、サイトカイン、ケモカイン、および増殖因子)からのシグナリングを伝達して、細胞増殖、遊走、形態、および細胞生存を含む様々な細胞の経路および過程を制御する。ほとんどの種類の組織において発現することに加えて、FAKはほとんどのヒトの癌、特に高度に浸潤性の転移、において高いレベルで見られる。優性阻害のFAK関連非キナーゼ(FRNK)のヒト癌細胞における発現は、細胞の丸い形態、局所プラークの不可逆的喪失、およびそれに続く細胞死という結果となることが示されている。さらに、FRNKの制御された発現は、FAKの減少したチロシンリン酸化を生じ、これはFAKリン酸化の阻害はヒトの癌の治療のための療法的指標を生じるかもしれないことを示唆している。
【0003】
FAK活性化に導く正確な機構はよく分かっていないが、Y397(位置397におけるチロシン残基)におけるリン酸化を生ずるFAK酵素活性は、インテグリンシグナル伝達において重要なステップであると信じられている(Guan,JL,Int.J.Biochem.Cell.Biol. 29: 1085−96,1997)。膜貫通インテグリン受容体は、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質を細胞のアクチン細胞骨格と連結し、そして核が細胞形態、組織構築、および付着誘導遺伝子発現を調節するのに重要である。インテグリン受容体とFAKの局所接着の部位への共局在は、残基Y397でのFAKリン酸化を導き、Src−ファミリーチロシンキナーゼのためのSH2ドッキング部位を作り出すと信じられている。ホスホチロシンFAKY397へのSrc結合は、Y576、Y577、Y861、およびY925を含む種々の下流チロシン残基でのFAKの優先的なリン酸化へと導く。FAKチロシン残基(Y576/Y577)のリン酸化は、増加したFAKキナーゼ活性ならびに細胞骨格の再構築、細胞増殖、細胞生存、および細胞遊走を調節するシグナル伝達へと導く。
【0004】
インテグリンシグナリングカスケードにかかわるキナーゼおよび基質の多様性のために、特定のキナーゼについて特異的なアッセイを設計することが好ましい。本発明の目的は、FAKの生化学的機構を追跡するFAK薬剤発見経路を設計しそして開発することにある。いくらかの外因性刺激がFAKリン酸化を導くことができる、例えば(1)ECMリガンドに結合しているインテグリン(例えば、フィブロネクチンへのインテグリンβ1);(2)サイトカインまたはケモカイン刺激(例えば、エンドセリン1/2、ボンベシン、またはPMA);(3)チロシンキナーゼ受容体の増殖因子刺激(例えば、PDGFBB);そして(4)インテグリン抗体架橋(例えば、抗−β1)。反対に、FAK不活性化を導く最も実行可能な外因性対照は、細胞−細胞間および細胞−ECM間の接触の剥離である(例えば、細胞懸濁液)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のまとめ
本発明は、局所接着キナーゼ(FAK)の細胞活性(cell-active)阻害剤を同定する方法であって:
(a)FAKをコードする遺伝子の発現を誘導するために誘導剤を哺乳動物細胞に加え、ここで当該哺乳動物細胞は当該遺伝子で安定にトランスフェクトされ、そして当該遺伝子は当該誘導剤の存在下で発現する;
(b)試験化合物を加え;
(c)FAK捕捉剤を用いて発現したFAKを捕捉し;そして、
(d)当該FAKのリン酸化を検出する;
ことを含んでなる、前記方法に関する。
【0006】
本発明の一態様は、試験化合物の細胞毒性を測定する方法であって、哺乳動物細胞をFAKをコードする遺伝子で安定にトランスフェクトし、ここで当該遺伝子は誘導剤の存在下で発現する;誘導剤を加えてFAKをコードする当該遺伝子の発現を誘導し;試験化合物を加え;当該細胞に細胞毒性指示薬を加え;そして、当該試験化合物の細胞毒性を検出する、ことを含んでなる前記方法を提供する。特定の態様において、試験化合物の細胞毒性は細胞毒性指示薬の比色の転換によって測定され、ここで転換した細胞毒性指示薬の量は生細胞の数に比例する。
【0007】
本発明の一態様は、組換え核酸分子で安定にトランスフェクトされた哺乳動物細胞を提供し、ここで当該組換え核酸分子は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、および配列番号8からなる群から選択され、そしてここで、当該配列の発現は誘導剤の存在を必要とする。
【0008】
本発明の一態様は、配列番号1、2、3および4からなる群から選択される配列を含んでなるタンパク質をコードする組換え核酸分子で安定にトランスフェクトされた哺乳動物細胞を提供し、ここで当該タンパク質の発現は誘導剤の存在を必要とする。
【0009】
詳細な説明
本発明は、FAKについての誘導可能な細胞に基づくアッセイを対象とする。細胞に基づくアッセイはFAKの生物学、そしてFAK発現および位置397のチロシン残基(Y397)におけるFAKリン酸化を外因的に制御するための誘導可能な遺伝子発現システム、を活用する。通常のホスホチロシン系よりもむしろ、FAKY397リン酸化特異的な細胞に基づくアッセイを用いることにより、擬陽性阻害剤の同定を防ぐ。本発明の細胞に基づくアッセイは、柔軟性があり、そしてY397におけるFAKリン酸化、FAKリン酸化全体の測定、変異FAKタンパク質の同定、およびタンパク質とホスホチロシンの組み合わせの測定、をすることができる。
【0010】
本発明の細胞に基づく誘導可能なFAKアッセイは、異所性の基底レベルFAK発現についての厳格な制御、および外因性の刺激剤を介したFAK遺伝子発現の迅速な抑制解除を提供する点において有利である。細胞に基づくアッセイは、最終的な読み出しが、ホスホチロシンFAKY397、FAKホスホチロシン全体のプロファイル、FAKまたは変異タンパク質、またはタンパク質とホスホチロシンのいくつかの組み合わせ、について測定されたFAK生物学と機構的に等価であるように柔軟性がある。さらに、本発明はいくらかのFAK阻害剤を同定するのに首尾よく用いられた。本明細書に置いて、用語「厳格な制御」は、外因性の刺激剤の存在下で起こる、FAK遺伝子の制御された発現を意味する。言い換えると、本発明は、適切な誘導剤の存在下でFAKの発現が誘導される、FAKについての誘導可能な遺伝子発現システムを提供する。本発明はFAKの誘導可能な発現のための方法、ここでFAK遺伝子の調節された発現は細胞生存度に不利に影響しない、を提供する。
【0011】
本発明の一態様は、FAK阻害剤のスクリーニングのための細胞に基づくアッセイに向けられる。細胞に基づくアッセイはFAKの生物学、そしてFAK発現および位置397のチロシン残基(Y397)におけるFAKリン酸化を外因的に制御するための誘導可能な遺伝子発現システムを活用する。細胞に基づくアッセイは、FAK生物学と機構的に等価であり、そしてFAKリン酸化における変化を測定する。通常のホスホチロシン系よりもむしろ、FAKY397リン酸化特異的な細胞に基づくアッセイを用いることにより、擬陽性阻害剤の同定を防ぐ。本発明の細胞に基づくアッセイは、柔軟性があり、そしてFAKリン酸化、FAKリン酸化の全体の測定、変異FAKタンパク質の同定、およびタンパク質とホスホチロシンの組み合わせの測定、をすることができる。
【0012】
本発明の一態様は、FAKの細胞活性阻害剤を同定する方法であって、FAKをコードする遺伝子で哺乳動物細胞を安定にトランスフェクトし、ここで当該遺伝子は誘導剤の存在下で発現する;誘導剤を加えてFAKをコードする当該遺伝子の発現を誘導し;試験化合物を加え;FAK捕捉剤を用いて発現したFAKを捕捉し;捕捉したFAKを抗ホスホチロシン抗体に曝露し;そして、当該FAKのリン酸化を検出する;ことを含んでなる、前記方法を提供する。いくつかの態様において、FAKのリン酸化の度合いを、捕捉されたFAKへの抗ホスホチロシン抗体の結合により決定する、ここで捕捉されたFAKへ抗ホスホチロシン抗体が結合した量は、当該FAKのリン酸化の量に比例する。
【0013】
本発明の特定の態様において、FAKの細胞活性阻害剤を同定するための方法は、哺乳動物細胞を第一の固相上に被覆する、所望による工程を含んでなる。第一の固相は、好ましくは第一のマイクロタイタープレートのウェルである。本発明の他の態様において、第一の固相上に被覆された細胞は、発現したFAKの捕捉の前に、溶解バッファーで溶解する。溶解バッファーは所望により可溶化界面活性剤を含んでなる。特定の態様において、FAK捕捉剤は第二の固相、好ましくは第二のマイクロタイタープレートのウェル、上に被覆する。
【0014】
特定の態様において、試験化合物はY397におけるFAKのリン酸化を阻害する。
本発明の一態様は、試験化合物の細胞毒性を測定するための方法であって、FAKをコードする遺伝子で哺乳動物細胞を安定にトランスフェクトし、ここで当該遺伝子は誘導剤の存在下で発現する;誘導剤を加えてFAKをコードする当該遺伝子の発現を誘導し;試験化合物を加え;当該細胞に細胞毒性指示薬を加え;そして該試験化合物の細胞毒性を検出する;ことを含んでなる、前記方法を提供する。特定の態様において、試験化合物の細胞毒性は細胞毒性指示薬の比色の転換によって測定され、ここで転換した細胞毒性指示薬の量は生細胞の数に比例する。
【0015】
本発明の特定の態様において、試験化合物の細胞毒性を測定する方法は、哺乳動物細胞を固相上に被覆する所望による工程を含んでなる。固相は、好ましくは第一のマイクロタイタープレートのウェルである。
【0016】
本発明の一態様は、局所接着キナーゼ(FAK)の細胞活性阻害剤を同定する方法であって、細胞が第一の固相に接着するように哺乳動物細胞の均一な集団を第一の固相に被覆し、ここで当該細胞はFAKをコードする遺伝子で安定にトランスフェクトされ、そしてここで当該遺伝子は誘導剤の存在下で発現する;誘導剤を加えてFAKをコードする当該遺伝子の発現を誘導し;試験化合物を加え;接着細胞を可溶化して細胞溶解物を遊離させ;FAK捕捉剤が第二の固相に接着するように、FAK捕捉剤で第二の固相を被覆し;FAK捕捉剤がFAKを捕捉するように、細胞溶解物を接着したFAK捕捉剤に曝露し;捕捉したFAKを抗ホスホチロシン抗体に曝露し;捕捉したFAKへの抗ホスホチロシン抗体の結合を測定する、ここで捕捉したFAKへの抗ホスホチロシン抗体の結合量は、当該FAKのリン酸化の量に比例する;ことを含んでなる、前記方法を提供する。
【0017】
本発明の別の態様は、組換え核酸分子で安定にトランスフェクトとされた哺乳動物細胞であって、ここで、当該組換え核酸分子は配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群より選択され、そしてここで、当該配列の発現は誘導剤の存在を必要とする、前記哺乳動物細胞を提供する。
【0018】
本発明の一態様は、配列番号1、2、3および4からなる群より選択される配列を含んでなるタンパク質をコードする組換え核酸分子で安定にトランスフェクトされた哺乳動物細胞、そしてここで当該タンパク質の発現は誘導剤の存在を必要とする、を提供する。
【0019】
FAKは、タンパク質−チロシンキナーゼ2、PTK2、としても知られている。いずれの活性なFAK変異体をも上記アッセイに使用することができる。不活性型の変異体もまた、種々の対照の目的のためのアッセイに用いることができる。上記に記載のアッセイに使用できる追加のFAKの変異体は、1052アミノ酸のI53012の野生型(WT)ヒトFAK(配列番号1);Andre,E.およびBecker−Andre,M.,Expression of an N−terminally truncated form of human focal adhesion kinase in brain. Biochem.Biophys.Res.Commun. 190:140−147,1993(AAA35819の879アミノ酸変異体、PC1226の554アミノ酸変異体、およびPC1227の431アミノ酸変異体を記載)に記載されるようなFAKのスプライスバリアント;XP 050337のFAKの570触媒ドメイン;ヒトFAKに対して1023/1052アミノ酸同一性(97%)のNP 032008.1のマウスFAK;ヒトFAKのアミノ酸1−903に対して878/904アミノ酸同一性(97%)のマウスFAKカルボキシル切断バリアント;ヒトFAKに対して1020/1055アミノ酸同一性(96%)のNP 037213.1のラットFAK;ヒトFAKに対して1017/1055アミノ酸同一性(96%)のJC5494のFAK変異体;ヒトFAKに対して988/1054アミノ酸同一性(93%)のQ00944のトリFAK;ヒトFAKに対して965/1029アミノ酸同一性(93%)のA45388のトリFAK変異体;FAK Y397F(配列番号2)、K454R(配列番号3)、FRNK(イニシエーターMETに先行されるFAK残基694−1052を有するアミノ末端切断体)(配列番号4)を含む合成FAK変異体、およびFAK Y397D、Y397E、Y577D、Y577E、Y861D、Y861E、Y925D、Y925Eを含む種々のリン酸化模倣体、ならびにそれらの組み合わせ;Chan Pら、J Biol.Chem.(1994);269(32):20567−74に記載されるCD2−FAK融合体(構成的な、CD2との活性FAK融合体)、を含む。
【0020】
本明細書において、用語「誘導剤」は、少なくとも6倍のシグナル対ノイズ比を生じる、剤、化合物、または化学物質である。誘導剤の例は、非限定的に、ミフェプリストン(Mifepristone)(Ru486)ならびに、Org31806およびOrg31376のようなその他のアンチプロゲスチン類を含む。O’Malleyら、Cell,69,703−713(1992)を参照されたい。本明細書において、捕捉剤は、ヒスチジン残基、ストレプトアビジンまたはその他の同等のアフィニティータグ、でタグ付けされたFAKを含む、いずれかの型の局所接着キナーゼを捕捉可能な、剤、化合物または化学物質である。捕捉剤は、非限定的に、ホスホチロシンFAKY397特異的抗体、一般のホスホチロシン抗体、抗FAK抗体、抗ヒスチジンタグ抗体、およびストレプトアビジン修飾FAKの捕捉を容易にするビオチンを含有する分子、が含まれる。本発明の特定の態様において、捕捉剤は、ヤギ抗ウサギ抗体およびホスホチロシンFAKY397特異的抗体の組み合わせを非限定的に含む、1またはそれより多くの抗体の組合せを含む。
【0021】
本明細書において、用語「抗ホスホチロシン抗体」は、非限定的に、ホスホチロシンFAKY397特異的抗体ならびに一般のホスホチロシン抗体を含み、後者は、非限定的にFAKの位置397のチロシン残基を含む、いずれのリン酸化チロシン残基をも認識することが可能である。
【0022】
本明細書において、細胞毒性指示薬は、細胞生存度を評価するのに用いる剤、化学物質または化合物である。細胞毒性指示薬の例は、非限定的に、この種の解析に特に有用なテトラゾリウム塩(例えば、MTT、XTT、WST−1)を含む。
【0023】
MTTは、黄色のテトラゾリウム塩であり、代謝活性のある細胞によって紫色のホルマザン結晶に切断される。可溶化されたホルマザン生成物は、ELISAリーダーまたはその他の分光光度的な装置を用いて、分光光度的に定量化される。生存数は、吸光度によりモニターされる、形成した紫色のホルマザン結晶の量に直接関連する。
【0024】
本発明の一態様は、矛盾のない厳格な遺伝子発現調節を提供する能力を有する、誘導可能なFAK遺伝子発現系を用いて行う。本発明の一態様において、導入遺伝子、例えばFAK、の調節された発現のための系を含んでなる、誘導可能なFAK遺伝子発現システムを提供する。FAK発現は、誘導剤の非存在下では「オフ」であり、しかし、その存在下では「オン」になる。当該システムは二つの遺伝子からなる:ひとつは調節タンパク質をコードし、そして他方は誘導可能な目的の導入遺伝子をコードする。調節タンパク質の発現は、構成的プロモーターによって駆動する。誘導可能なFAK導入遺伝子は、調節タンパク質を結合可能な結合部位の多数コピーを連結した最小プロモーターからなるプロモーターを有する。
【0025】
本発明の一態様において、調節タンパク質は、酵母GAL4 DNA結合ドメイン、切断されたヒトプロゲステロン受容体リガンド結合ドメイン、およびNF−κBからのヒトp65活性化ドメイン、からなる転写因子であり、導入遺伝子の基底発現について厳格な調節を容易にする。調節タンパク質をコードするプラスミドは、正のフィードバックループを確立してリガンド処理の際の迅速な応答を容易にする、GAL4プロモーターを含有する。調節タンパク質の外因性の制御は、小分子リガンドを用いて行う。調節タンパク質の導入遺伝子のプロモーターへの種特異的結合により、そして、調節タンパク質のリガンド依存性高次構造的活性化を通して、厳格な調節を行う。
【0026】
よって、特定の態様において、本発明は以下の利点がある:
・生存細胞クローンを生じる、誘導されていないときの遺伝子発現の厳格な抑制を可能にする、誘導可能な系を用いた細胞におけるFAKの誘導。
・リン酸化FAKの検出をFAKキナーゼ活性の阻害剤を同定するのに用いてもよい。リン酸化FAKを検出するいくつかの方法は、FAK阻害剤の同定のための、ポリアクリルアミドゲル電気泳動に基づくアッセイ、およびELISAに基づくアッセイを含む。他の適切な検出システムもまた、用いてよい。
・アッセイはFAKタンパク質全体、リン酸化FAKタンパク質の全体、または定められたチロシン(例えばチロシン397)でリン酸化されたFAKタンパク質、の検出を可能にする。
・トランスフェクトした細胞が腫瘍原性であり、そしてミフェプリストンを動物に与えることによりFAKをin vivoで誘導することができるので、細胞に基づくアッセイをFAK阻害剤のin vivoスクリーニングに用いてもよい。当該系のin vivoでの有用性は証明されている。
【0027】
比較例
比較例1
アッセイシグナルおよびノイズを改善することを期待して、種々の細胞背景において安定に異所的に発現したFAKまたはFAK変異体を生じる試みを行った。しかしながら、これらの成果は、ほとんどの細胞がFAKタンパク質レベルの変化に感受性を示し、そして細胞に基づくアッセイを開発するための生存クローンを形成しなかったため、不成功に終わることが証明された。NIH3T3マウス線維芽細胞またはA2058ヒト転移性黒色腫細胞のような、低度から中程度のレベルの内因性のFAKを発現する細胞は、FAKの発現を内因性レベルについて2倍を超えては許容しなかった。結果的に、これらのクローンは、上述の理由と同様の理由により、アッセイに開発に不十分であることが証明された:刺激および再現性の悪さ、高いバックグラウンドノイズ、そして薬剤の発見に貢献しない。したがって、天然のFAKを含有する細胞における非誘導性のFAKの発現は、FAK発現の誘導を研究するのに適していないことがわかった。
【0028】
比較例2
中程度のおよび高スループットスクリーニング(ELISA系)、そしてFAKの生化学的機構を追跡することの両方に貢献する、FAKの細胞に基づくアッセイを開発するために、FAK生物学を活用するためのいくつかのアプローチをとった。例えば、フィブロネクチン、もしくはコラーゲン、またはマトリゲルのようなその他のECM、のような細胞外マトリックス(ECM)タンパク質上に細胞をプレーティングすることにより、FAKの接着細胞刺激を模倣することを試みたが、このアプローチは、FAKの悪い刺激という結果になり不十分であることが証明され、そして完全に細胞の型に依存した。さらに、ECMマトリゲルに誘導される細胞の付着は、pY54HRP(セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)−複合化ホスホチロシン抗体)により測定したところFAKリン酸化の刺激がないという結果になり、そして二次抗マウスHRP(2HRP)単独で用いた対照の検出は、マトリゲル上で刺激された細胞に由来する溶解物でインキュベートしたウェルにおいて非特異的なアッセイシグナルの増加という結果になった。pY54HRPおよび2HRPの組み合わせを用いた場合のシグナルとノイズの比(S/N)は、1.0から1.7の範囲であり、一方でpY54(非複合化ホスホチロシン抗体)および2HRPの組み合わせでは、1.0から2.4のS/N比を生じた。このことは、アッセイシグナルの非特異的増加は、細胞溶解物中のいくつかのマトリゲル混入物に対する交差反応性(cross-reactivity)によるものであることが示唆され、そして確認された。よって、適切なFAKの細胞に基づくアッセイの開発についての上記のアプローチは実行可能ではない。
【0029】
結果はまた、ECMマトリゲルまたはフィブロネクチンのいずれかへの細胞付着における、中程度のそして次善の2から3倍のシグナル対ノイズのFAKリン酸化の刺激を示した。細胞数、細胞−ECM付着時間、検出抗体および捕捉抗体の種類、ならびにエンドセリン−1およびホルボール 12−ミリステート 13−アセテート(PMA)を用いたコンビナトリアル刺激を変えることによる、これらのアッセイ条件のさらなる至適化は、これらの誘導可能ではないFAK刺激方法は、アッセイの開発について不十分であり、再現性がなく、そして実現可能ではないことを示した。
【0030】
比較例3
インテグリンクラスタリングがFAKリン酸化を導くので、β1インテグリンに特異的な抗体を用いてインテグリン受容体を架橋する抗体の実現可能性について試験した。しかしながら、これらの成果はまた、FAK刺激の間接的方法は高い変動性と再現性のなさを導くため、失敗であることがわかった。例えば、インテグリンβ1架橋は、最適な刺激には、時間がかかりそして管理するのが困難な温度感受性の工程が必要であったため、中程度のスループットスクリーニングにおいても煩雑すぎることがわかった。さらに、ポリスチレンプレート上の細胞をより低いバックグラウンドノイズに維持することは、悪いECM接触のために細胞生存度が低下するという結果になり、それによってこれらの誘導可能ではない発現系はアッセイの開発ついて実行可能ではなかった。
【0031】
比較例4
FAKの細胞に基づくアッセイの開発を進めるために、種々の細胞背景において、野生型または変異FAKタンパク質を発現する安定なクローンを産生する試みを行った。構成的に活性なタンパク質(CD2・FAK)、膜結合性のチロシンをつぶした(tyrosine-dead)タンパク質(CD2・FAKY397F)、鍵となる下流チロシン残基を欠く細胞質性FAK変異体(例えば、FAKY861F、FAKY925F、およびFAKY861F/Y925F)のいずれかをコードするFAK cDNA転写物を宿したクローンを産生した。これらの生物学的ツールは、上述した点を扱うため、そして薬剤の発見に貢献する丈夫で再現性のある細胞に基づくアッセイの開発を必要とするために、FAK生物学の知識に基づいて戦略的に設計した。
【0032】
ベクター構築物またはLacZタンパク質のいずれかを発現する生存対照細胞は得られたものの、FAKWTを過剰発現する安定なクローンを産生する試みは失敗であった。FAK変異体構築物のトランスフェクションは、Y397におけるFAKリン酸化およびキナーゼ活性を保存してFAKの下流リン酸化を遮断する(FAKY861F、FAKY925F、およびFAKY861F/Y925F)、またはインテグリンレセプターの要求性を回避する(CD2・FAKWTおよびCD2・FAKY397F)ことのいずれかのように設計されたが、これらもまた失敗であることがわかった。ヒト転移性黒色腫A2058のような、内因性FAKを低度から中程度のレベルで発現する細胞において、生存クローンが同定された。しかし、A2058・FAKWTクローンは、約2倍のFAKレベルの増加のみを示し、これはFAKの細胞に基づくアッセイの開発には不十分であった。
【0033】
外因性刺激、基底FAKリン酸化についての対照、および異所的に発現するFAKクローンの試みについての研究に加えて、FAKWTおよびチロシンをつぶしたFAKY397F cDNAに、Tet−On/Tet−Off誘導可能な系を用いてテトラサイクリン制御を受けさせた。しかしながら、FAKWTまたはFAKY397F形質転換体は検出されなかった。生存クローンが同定できなかったので、FAKWTまたはFAKY397F Tet−形質転換体における「漏出度(leakiness)」、すなわち基底発現の不十分な調節、のレベルは決定できなかった。Tet−OnTM/Tet−OffTM系は、標的タンパク質発現について変化する対照を示し、そしてそれによってFAKのような致死遺伝子の調節には適していないことを示した。
【実施例】
【0034】
実施例
野生型FAKWT(配列番号5)、チロシンをつぶした(tyrosine-dead)FAKY397F(配列番号6)、キナーゼ活性のない(kinase-dead)FAKK454R(配列番号7)および優性阻害のFAK関連非キナーゼ(FRNK)(配列番号8)を、BamHI−ApaIまたはKpnI−ApaI挿入物のいずれかとしてGeneSwitchTM pGeneV5/His A−ベクター骨格にクローニングした。本明細書において、用語「FAKをコードする遺伝子」は非限定的に、配列番号1〜4を含む。これらの構築物は、ヒトFAKについてGenBank寄託番号L13616(Whitney,G.S.ら、DNA Cell Biol. 12(9),823−830(1993)を参照)として公開された配列に基づき、そしてそれぞれの構築物は配列を確認し、そして公開された配列に対して整列した。DNA構築物は、従来技術に対して独特で区別できるように、特異的5’および3’制限部位を含むように操作した。加えて、特定の構築物の3’末端はV5およびヒスチジンタグのようなタグ付けされたエピトープを含むように操作した。
【0035】
NIHスイスマウス線維芽細胞NIH3T3(ATCC寄託番号CCL−92)、ヒト類表皮癌A431(ATCC寄託番号CRL1555)、およびヒトグリア芽細胞腫星細胞腫U87MG(ATCC寄託番号HTB−14)を含む、いくつかの細胞株をトランスフェクションのために選択した。それぞれの細胞株は、それらの適用をFAKの過剰発現について好ましくする独特の特徴を示す。例えば、NIH3T3細胞は種特異的FAK過剰発現およびトランスフェクトの容易性を提供し、A431細胞は中程度のレベルの内因性FAKを発現し、そしてFAKの天然の環境をより代表する腫瘍背景を提供し、そして、U87MG細胞は推定FAK天然受容体PTEN(腫瘍サプレッサーホスファターゼ)を欠損する。ストラタジーンのGeneJammerTM トランスフェクションリガンドを用いて、A431細胞にpSwitch調節ベクターを、pGeneVectorV5His、またはpGeneFAKWTV5His、またはpGeneFAK変異体(pGeneFAKK454RV5His、そしてpGeneFAKY397FV5His)のいずれかとともに同時トランスフェクトした。同様に、NIH3T3およびU87MG細胞を、pSwich調節タンパク質および目的の特定のpGene構築物を同時発現するように形質転換した。ハイグロマイシンおよびゼオシン耐性クローンを選択し、ウエスタンおよびRT−PCR解析によるスクリーニングのために培養して拡張した。A431:FAKWTV5His、A431:FAKY397FV5His、A431:FAKK454RV5His、A431:Vector、NIH3T3:FAKWTV5His、NIH3T3:FAKY397FV5His、NIH3T3:Vector、U87MG:FAKWTV5His、およびU87MG:FAKY397FV5Hisを含むいくつかの誘導可能クローンを首尾よく単離し、選択し、確認しそして確証した。
【0036】
本発明のこの態様のFAK誘導可能アッセイは、Y397でのFAKリン酸化を測定した。A431:FAKWTV5His(約1.0x10から1.0x10細胞)をU底96ウェルプレート上に播種し、そして37℃、5%COで、4から6時間付着させた後、0.1nM ミフェプリストンの存在下で一晩培養した。続いて、A431:FAKWTV5His誘導細胞を、処理しないままにするかまたは阻害化合物で37℃、5%COで30分間処理し、そしてRIPA溶解バッファー(50mM Tris−HCl、pH7.4、1% NP−40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM NaVO、1mM NaF、および50ml溶液あたりCompleteTM EDTA不含プロテアーゼ阻害剤1つ)中で溶解した。およそ45μgの全タンパク質(100μl)を、リン酸化FAKタンパク質の捕捉およびそれに続く検出のために、0.35μg/ウェルの抗FAKリン特異的Y397抗体で被覆したヤギ抗ウサギプレートへ移した(図3参照)。
【0037】
NIH3T3:FAKWTV5HisクローンおよびNIH3T3:FAKY397FV5Hisクローンを、T25フラスコに播種しておよそ80%集密度になるようにし、そして処理しないままにするかまたは0.1nM ミフェプリストンで37℃、5%COで16時間刺激した。細胞溶解物を調製し、全FAKタンパク質を抗FAK(UBITM、レイクプラシッド、ニューヨーク)モノクローナル抗体を用いて免疫枯渇(immunodepleted)した。次いで、FAK免疫複合体をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、抗FAK(A17)ポリクローナル抗体で免疫ブロッティングした。表1は、オートラジオグラフィーのフィルムの自由裁量による「バンド光(band light)」ユニットにより測定したデンシトメトリーによる定量および、刺激していない細胞と比較したFAKタンパク質レベルの変化の倍数を示す。
【0038】
【表1】

【0039】
FAKWT誘導可能クローンは、ミフェプリストン刺激に対して非常によく応答したことを観察した。
上記の条件は容易に96ウェルELISA形式に移すことができたた。表2は、FAKWTまたはFAKY397Fタンパク質を発現するように誘導したNIH3T3クローンを示す。FAKWTまたはFAKY397Fタンパク質は、ミフェプリストンにより誘導された全FAKタンパク質またはホスホチロシンFAKY397のいずれかを測定するために捕捉した。
【0040】
【表2】

【0041】
NIH3T3クローンが丈夫なホスホチロシンFAKY397およびFAKタンパク質を、それぞれ、〜7および〜6のシグナル対ノイズ比で生じたことを観察した。NIH3T3チロシンをつぶしたクローンおよびベクターNIH3T3形質転換体の両方についてホスホFAKY397についてのアッセイ特異性を確認した。
【0042】
表3は、至適条件下でアッセイされたA431:FAKクローンを示す。
【0043】
【表3】

【0044】
至適条件下で、A431:FAKクローンは丈夫なホスホチロシンFAKY397およびFAKタンパク質を、それぞれ〜17および〜11のシグナル対ノイズ比で生じた。A431チロシンをつぶしたクローンおよびベクターA431形質転換体の両方についてホスホFAKY397についてのアッセイ特異性を確認した。ホスホチロシンY397およびFAKタンパク質の誘導は、例えば、ミフェプリストンのインキュベーション時間、ミフェプリストン濃度、細胞密度、および抗体濃度といった、アッセイ条件を変えることにより制御可能であった。
【0045】
A431およびその他の細胞背景についてのFAK活性化の機構を研究した。A431:FAKWT細胞は処理しないままにおくか、またはミフェプリストンで刺激した。第一に、FAKタンパク質およびホスホチロシンY397レベルについての時間依存的減少を示すために、流出(washout)実験を行った(すなわち、ミフェプリストンで一晩(16時間)刺激した細胞を、続いて、ミフェプリストンの不在下で時間を追って新鮮な増殖培地中で培養した)。第二に、ミフェプリストンで刺激したA431:FAKWT細胞を剥がし、そして新鮮な増殖培地に15分間懸濁し、その後、細胞培養処理ペトリ皿上で4、24、48および72時間、再プレーティングした。表4、実験Aは、オートラジオグラフィーのフィルムの自由裁量による「バンド光」ユニットにより測定したデンシトメトリーによる定量および、刺激していない対照と比較したFAKリン酸化の変化の倍数を示す。
【0046】
【表4】

【0047】
実験Bにおいては、処理していない細胞に対して中程度の4倍の誘導が観察された。しかしながら、刺激した細胞を15分間、新鮮な増殖培地に懸濁し、続いてプラスチックへ4時間付着させると、ホスホFAKY397の減少を導いた。さらに、懸濁したミフェプリストンで誘導した細胞を24時間、再付着させると、ホスホチロシンFAKY397の再活性化という結果になり、これはFAK活性化の機構が損なわれていないことを示唆する。FAKタンパク質レベルの時間依存的な減少と矛盾せず、ホスホチロシンFAKY397は72時間で刺激していない対照レベルに減少した。
【0048】
細胞懸濁液はFAKリン酸化の不活性化へと導く。FAKの再活性化は懸濁した細胞を細胞付着させるために再プレーティングすることによって達成することができる。表4はFAK活性化のメカニズムが上述した調節システムのもとで無傷であることを示している。言い換えると、ミフェプリストンによる外因性刺激は、機構的に等価なFAKの活性化へと導く。
【0049】
本発明のFAK誘導可能な細胞に基づくアッセイは、PP1およびスタウロスポリンを含む、いくつかのFAK阻害剤の同定においてうまく用いられた。加えて、該アッセイはFAKを発現している細胞における特定の化合物の細胞毒性を決定するのに用いた。これらの実験において、試験化合物を、FAK誘導または非誘導対照細胞へと接触するように置いた。表5は、増加していく濃度のFAK阻害剤での処理におけるOD450ユニットでの、FAKリン酸化における変化を示す。表6は、オートラジオグラフィーフィルムの任意の「バンド光」ユニットで測定したデンシトメトリーによる定量、および増加していく濃度のFAK阻害剤の存在下におけるFAKリン酸化の倍変化を示す。よって、本発明のアッセイはFAK薬物探索プログラムにおいて有利に使用することができる。
【0050】
FAK誘導可能な細胞に基づくアッセイは、FAK阻害剤をスクリーニングするのに図3に記載されるように用いた。FAK阻害剤の10μM曲線は、表5に示すように1/2log希釈で実施した。%阻害を決定し、そして50%における阻害濃度(IC50)を計算した。A431:FAKWT細胞をT25フラスコに〜80%集密度で播種し、そして処理しないままにおくか、または0.1nMミフェプリストンで一晩刺激した。続いて、刺激した細胞を表5と同じFAK阻害剤で、同じ10μM曲線の1/2log濃度で、30分間、37℃、5%COで処理した。次いで、細胞溶解物を調製し、そして全タンパク質濃度をプロテインアッセイによって決定した。全タンパク質の等価な量をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、そしてホスホチロシンFAKY937特異的抗体、通常のホスホチロシンpY20抗体、および抗FAK(A17)抗体を用いてウエスタン分析にかけた。
【0051】
【表5】

【0052】
FAK阻害剤についての計算された50%の阻害濃度は〜0.93μMであった。
表6は、オートラジオグラフィーフィルムの自由裁量による「バンド光」ユニットで測定したデンシトメトリーによる定量、および増加していく濃度のFAK阻害剤の存在下におけるFAKリン酸化の倍変化を示す。これらの実験はさらに本発明のアッセイのFAK薬剤探索プログラムにおける有用性を示す。
【0053】
【表6】

【0054】
タンパク質装填(loading)についての対照として、実験AにおけるFAKタンパク質の量が等価であり、そしてFAK阻害剤とのインキュベーションはFAK発現にはいかなる効果をも及ぼさなかった。実験Bにおいて、表5で報告したIC50と矛盾せず、抗FAKpY397ブロットは0.37から1.1μMの範囲の推定IC50値を示し、ここで50%濃度は1.1μMに近かった。実験Cに見られるように、FAK生物学に類似しそして矛盾せず、抗pY20イムノブロットにより測定した全FAKリン酸化は、阻害剤により1.1から3.3μMの推定IC50の範囲で阻害され、ここで50%阻害濃度は3.3μMにより近かった。
【0055】
FAKリン酸化の外因性対照
FAKのECM刺激は、商業的に入手可能なフィブロネクチン(FN)96ウェルプレートまたは社内で調製したFN96ウェルプレート上に2.0x10細胞/ウェルでプレーティングすることにより行った。細胞を、37℃、5%COで、15、30、60または90分間付着させるようにして、インテグリン会合(engagement)および続くFAKリン酸化を誘導した。細胞溶解物をRIPA溶解バッファー(50mM Tris−HCl、pH7.4、1% NP−40、0.25% デオキシコール酸ナトリウム、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM NaVo、1mM NaF、および、50ml溶液につきCompleteTM EDTA不含プロテアーゼ阻害剤ペレットを1つ)中で調製し、そして抗FAKで被覆した96ウェルプレートに移して全FAKタンパク質を捕捉した。ホスホチロシンFAKタンパク質を通常のホスホチロシン抗体Py54を用いて測定した。同様に、細胞を商業的に入手可能なマトリゲル被覆プレートまたは社内で調製したマトリゲルプレート上で刺激した。ウエスタン解析のために、細胞を商業的に入手可能なECM被覆フラスコまたは社内で調製したECM被覆フラスコに、上記に示した時間付着させるようにした。細胞溶解物をRIPA溶解バッファー中で調製し、そして全およびホスホチロシンFAKタンパク質を、破壊する(pull-down)か、または抗FAK抗体または抗ホスホチロシン抗体を用いて免疫検出した。
【0056】
細胞(例えば、A2058ヒト転移性黒色腫)を96ウェルプレートまたはT25/T75フラスコ上、増殖培地(DMEM 10%FBS、Pen/Strep/Glu)中に播種し、そして、37℃、5%COでおよそ5時間、組織培養処理したプラスチックへ接着させるようにした。続いて、それらは0.1% FBS DMEM飢餓性培地中で一晩、37℃、5%COで飢えさせ、続いて(100μMまでの)エンドセリンI、(100nMまでの)ボンベシン、または(800nMまでの)PMAでの処理によって刺激した。サイトカインへの曝露は、37℃、5%COで、10分から60分までの長さで変化させた。全FAKタンパク質はELISAフォーマットで捕捉するか、または抗FAK特異的抗体を用いて免疫沈降した。ホスホチロシンFAKタンパク質は次いで、ELISAまたはウエスタンフォーマットのいずれかにおいて、通常の抗ホスホチロシン抗体で検出した。
【0057】
飢えさせた細胞(例えば、A2058)を、4℃で30分間予備冷却し、そして、変化させた濃度(200μg/mlのストック濃度の1:100、1:330、1:1000、1:3,300、または1:10,000)のβ1−インテグリン抗体とともにインキュベーションした(4℃、30分間)。β1−インテグリンのクラスタリングを、ヤギ抗マウス二次抗体の1:500希釈物で4℃で30分間誘導した。次いで、全細胞溶解物を溶解バッファー(10mM Tris−HCl、5mM NaCl、10mM EDTA、2mM バナジン酸ナトリウム、1% NP40、プロテアーゼ阻害剤)中で調製し、そして全FAKタンパク質を抗FAK抗体を用いて免疫沈降した。ホスホチロシンFAKタンパク質は、抗ホスホチロシン抗体Py54を用いて測定した。
【0058】
FAKWTおよびFAK変異体のクローニング(非誘導性およびTet−OnTM/Tet−OffTMシステム)
完全長FAKWT cDNAは、T細胞cDNAライブラリーから、RT−PCRにおいて、プライマー FAD5’Bam:GGATCCATGGCAGCTGCTTACCTTGAC(配列番号9)およびFAK3’Bam:GGATCCTCACTCACTCAGTGTGGTCTCGTCTGCCCA(配列番号10)を用いてクローニングし、そして寄託番号L13616に対して配列を確認した。FAKWTテンプレートの部位特異的変異誘発は、ストラタジーンQuikChangeTM部位特異的変異誘発キットを用いて行った。クロンテックのあらかじめ作製されたHeLaまたはHEK293 tet−On/tet−Off細胞株へのエレクトロポレーションのためのプラスミドを産生するために、完全長FAKWT、チロシンをつぶした変異体(FAKY397F)、およびキナーゼ活性のない変異体(FAKK454R)のcDNAをpTRE:FLAGベクターのBamHIサイトへとサブクローニングした。以下のコンストラクト: pTRE:FLAGベクター、pTRE:FAKWTFLAG、およびpTRE:FAKY397FFLAGを産生し、そしてHeLa Tet−Off、HeLa Tet−On、または293 Tet−Onへとエレクトロポレーションした。G418耐性クローンを選択し、DMEM+100μg/ml G418増殖培地中で拡張した。
【0059】
FAKWTおよびFAK変異体のクローニング(GeneSwitchTMシステム)
完全長の局所接着キナーゼ(FAKWT)cDNAをT細胞cDNAライブラリーから、RT−PCRにおいて上記のプライマーを用いてクローニングし、そして寄託番号L13616に対して配列を確認した。FAKWTテンプレートの部位特異的変異誘発は、ストラタジーンQuikChangeTM部位特異的変異誘発キットを用いて行った。完全長FAKWT、チロシンをつぶした変異体(FAKY397F)、およびキナーゼ活性のない変異体(FAKK454R)のcDNAをpGeneV5/His−AプラスミドのBamHI−ApaIサイトへとサブクローニングした。優性阻害のFAK関連非キナーゼ(FRNK)cDNAをpGeneV5/His−Aベクターのカセット中にKpnI−ApaI挿入物としてサブクローニングした。これらのプラスミドはDNA配列解析および制限消化解析によって確認した。続いて、これらのコンストラクトを、GeneSwitchTMタンパク質をコードするpSwitchコンストラクトとともに、NIH3T3、A431、またはU87MG細胞へと、ストラタジーンのGeneJammerTMトランスフェクション試薬を用いて同時トランスフェクションした。トランスフェクタントを増殖させ、そしてDMEM増殖倍地(10%FBS、Pen/Strep/Glu)中で選択し、750μg/mlのゼオシンおよび50μg/mlのハイグロマイシン抗生物質でスパイクした。ハイグロマイシンおよびゼオシン耐性クローンを選択し、そして、ウエスタンおよびRT−PCRフォーマットの両方でスクリーニングするために培養中で拡張した。
【0060】
A431・FAKクローンのスクリーニング
A431・FAKWTおよびA431・FAKY397Fクローンを、T25フラスコに、80%集密度近くで播種し、そして、処理しないままにするか、または、0.1nMミフェプリストンリガンドで一晩(〜16時間)処理した。次いで、A431トランスフェクタントは、RIPA溶解バッファー(50mM Tris−HCl、pH 7.4、1% NP−40、0.25% デオキシコール酸ナトリウム、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM NaVO、1mM NaF、および50ml溶液あたりCompleteTM EDTA不含プロテアーゼ阻害剤ペレット1つ)中で溶解し、そして細胞溶解物を総タンパク質濃度についてアッセイした。等価な総タンパク質濃度を、標準のウエスタンブロッティング技術を用いて、FAK、またはFAK変異体、タンパク質およびホスホチロシンFAKY397についてのウエスタン解析免疫ブロッティングにかけた。陽性を示し、そして内因性FAKレベルに対して少なくとも3倍の誘導を示したクローンを、最適化およびFAKの細胞に基づくアッセイの開発のために選択した。
【0061】
クローンは、RT−PCRによってもスクリーニングし、そして検証した。細胞質性mRNA転写物を、ランダムヘキサマーを用いたcDNA合成のために、A431・FAK野生型および変異体クローンから単離し、そして精製した。続いて、ポリメラーゼ連鎖反応を、N末端、内部FAK配列およびFAKのC末端に特異的なプライマーを用いて、A431・FAKトランスフェクタントに由来するcDNAライブラリー上で行った。cDNAライブラリーの質のためであるとともにトランスフェクションの内部対照として、抗生物質転写物のゼオシンまたはハイグロマイシンおよびGAPDHに特異的なプライマーもまた、これらの遺伝子を増幅するのに用いた。
【0062】
FAK誘導可能な細胞に基づくシステムの至適化
A431・pGeneVector、A431・FAKWT、A431・FAKK454R、およびA431・FAKY397FクローンをT25フラスコに80%集密度近くで播種し、そして処理しないままにしておくか、または0.1、10、または100nMのミフェプリストンリガンドで一晩(〜16時間)処理した。ついで、A431トランスフェクタントを、RIPA溶解バッファー(上述)中で溶解し、そして細胞溶解物を総タンパク質濃度についてアッセイした。等価な総タンパク質濃度を、標準のウエスタンブロッティング技術を用いて、FAK、またはFAK変異体、タンパク質およびホスホチロシンFAKY397についてのウエスタン解析免疫ブロッティングにかけた。ウエスタンフォーマットにおけるミフェプリストン濃度の至適化がELISAシステムにも転じる(translate)ことを決定するために、ミフェプリストン濃度およびインキュベーション時間をELISAフォーマットについても至適化した。
【0063】
A431・pGeneVector、A431・FAKWT、およびA431・FAKY397Fクローンを96ウェルU底プレート中に、1.2x10細胞/mlの細胞密度で播種した。細胞を、ミフェプリストンリガンドでのFAK誘導の前に、37℃、5%COで、6から8時間おいた。続いて、A431クローンを処理しないままにおくか、または0.1、10、100または110nMのミフェプリストンで〜0.5、1.0、2.0、4.0または24.0時間、37℃、5%COで処理した。次いで、細胞をRIPA溶解バッファー中で溶解し、そして、100μlの細胞溶解物(総タンパク質45μg)を96ウェルプレートに移した。続いて、FAKまたはFAK変異体タンパク質およびホスホチロシンFAKY397は、それぞれFAK特異的抗体またはホスホチロシンFAKY397抗体で被覆したヤギ抗マウスまたはヤギ抗ウサギプレート上に捕捉した。FAKまたはFAK変異体タンパク質を捕捉するために、例えば、100μlの細胞溶解物(総タンパク質45μg)とともにインキュベーションする前に、ヤギ抗マウスプレートを0.5μg/mlの抗FAK(UBI)モノクローナル抗体で被覆した。次いで、捕捉したFAKまたはFAK変異体タンパク質の検出は、抗FAK(A17)ポリクローナル抗体によって測定した。同様に、ホスホチロシンFAKY397タンパク質の捕捉は、ヤギ抗ウサギプレートを3.5μg/mlの抗FAKp[Y397]ポリクローナル抗体で被覆し、続いて抗FAK(UBI)モノクローナル抗体を用いた検出によって行った。
【0064】
パラメータは、利用する特定の高スループットスクリーニングシステムについて至適化することができ、これには96ウェルプレートの種類(例えば、抗ウサギ、プロテインA、またはプロテインG)、捕捉抗体濃度、検出抗体濃度、二次セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)抗体濃度、細胞密度、ブロッキングバッファー(例えば、SuperBlockブロッキングTBS、3%BSAブロッキング)、および化合物処理時間、を評価することを含む。
【0065】
残基Y397でリン酸化されている精製GST・FAKタンパク質を用いて、捕捉抗体濃度の至適化を、96ウェル抗ウサギプレートを増加していく濃度の抗FAKp[Y397]リン特異的(phosphospecific)抗体で被覆することによって最初に決定した。捕捉されたリン特異的GST・FAKY397 対 抗FAKp[Y397]抗体濃度のプロットを、至適捕捉抗体濃度を決定するために作製した。この予備的抗FAKp[Y397]捕捉濃度を用いて、その他のパラメータ(検出および二次抗体濃度、細胞密度、ブロッキングバッファー)を至適化し、そして高スループットスクリーニング(HTS)を設定した。これらのパラメータのほとんどは、96ウェルマトリクスを確立することにより、またはいくつかの順列間のシグナル対ノイズ比の変化を交差比較(cross-comparing)することにより、同時に至適化されまたは評価される。例えば、3.5μg/mlの抗FAKp[Y397]捕捉抗体で被覆した96ウェル抗ウサギプレート上で、増加していく濃度の検出および二次HRP抗体を、これらの抗体の濃度を至適化するために、96ウェルマトリックスに設置して捕捉されたホスホチロシンFAKY397タンパク質を検出する。この実験は、システムを至適化するために、プロテインAプレート上で繰り返してもよく、および/またはブロッキングバッファーまたはその他のパラメータを変えることによって、順列の数の間のシグナル対ノイズ値を交差比較すしてもよい。
【0066】
FAKの細胞に基づくアッセイの評価
A431・FAKWT細胞をT25フラスコに80%集密度近くで播種し、そして、処理しないままにしておくか、または0.1nMのミフェプリストンリガンドで一晩(〜16時間)処理した。A431・FAKWT非誘導または誘導細胞を10mlのPBSで洗浄し、そして15mlの増殖培地(DMEM 10%FBS、Pen/Strep/Glu、750μg/mlゼオシン、50μg/mlハイグロマイシン)中、37℃、5%COで30、60、90、または120分間、懸濁した。続いて細胞をRIPA溶解バッファー(上述)中で溶解し、そして細胞溶解物を総タンパク質濃度についてアッセイした。等価な総タンパク質濃度を、標準的なウエスタンブロッティング技術を用いてFAKまたはホスホチロシンFAKY397タンパク質についてのウエスタン解析免疫ブロッティングにかけた。
【0067】
A431・FAKWTおよびA431・FAKY397Fクローンを、T25フラスコに80%集密度近くで播種し、そして、処理しないままにしておくか、または0.1nMミフェプリストンリガンドで一晩(〜16時間)処理した。続いて、A431・FAKWT細胞を、増加していく濃度の、FAK誘導可能な細胞に基づくアッセイを用いて同定されたFAK阻害剤(10μM開始濃度の2分の1 log(half-log)希釈)で処理した。次いで、細胞溶解物をRIPA溶解バッファー中で調製し、そして総タンパク質濃度についてアッセイした。等価な総タンパク質濃度を、標準的なウエスタンブロッティング技術を用いて、FAK、通常のホスホチロシンFAK、またはホスホチロシンFAKY397タンパク質についてのウエスタン解析免疫ブロッティングにかけた。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合化ホスホチロシン抗体(pY54HRP)を用いるリン酸化FAKの検出を示す模式図である。
【図2】図2は、非複合化ホスホチロシン抗体(pY54)に続いて二次マウスセイヨウワサビペルオキシダーゼ抗体を用いる、リン酸化FAKの検出を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明のFAK誘導可能な細胞に基づくアッセイを示す模式図である。
【配列表】
























【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所接着キナーゼ(FAK)の細胞活性(cell-active)阻害剤を同定するための方法であって:
(a)FAKをコードする遺伝子の発現を誘導するために誘導剤を哺乳動物細胞に加え、ここで当該哺乳動物細胞は当該遺伝子で安定にトランスフェクトされ、そして当該遺伝子は当該誘導剤の存在下で発現する;
(b)試験化合物を加え;
(c)FAK捕捉剤を用いて発現したFAKを捕捉し;そして、
(d)当該FAKのリン酸化を検出する;
ことを含んでなる、前記方法。
【請求項2】
哺乳動物細胞が第一の固相上に被覆され、そしてFAKのリン酸化が、リン酸化されたFAKを抗ホスホチロシン抗体に曝露しそして当該抗体の存在を検出することにより検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
FAK捕捉剤が一またはそれより多くの種類の抗体を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
一またはそれより多くの種類の抗体が、抗ホスホチロシン抗体を含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
リン酸化が、捕捉されたFAKへの抗ホスホチロシン抗体の結合に比例する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
細胞が第一の固相へ自然に接着し、そして細胞が、発現したFAKを捕捉する前に溶解バッファーで溶解される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
誘導剤が、FAKをコードする遺伝子の発現についてのアゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
試験化合物が、FAKのキナーゼ依存性リン酸化を阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
試験化合物の細胞毒性を測定する方法であって:
(a)哺乳動物細胞をFAKをコードする遺伝子で安定にトランスフェクトし、ここで当該遺伝子は誘導剤の存在下で発現する;
(b)FAKをコードする当該遺伝子の発現を誘導するために誘導剤を加え;
(c)試験化合物を加え;
(d)当該細胞に細胞毒性指示薬を加え;そして、
(e)当該試験化合物の細胞毒性を検出する;
ことを含んでなる、前記方法。
【請求項10】
配列番号1、2、3および4からなる群より選択される配列を含んでなるタンパク質をコードし、そして当該タンパク質の発現には誘導剤の存在を必要とする、組換え核酸分子で安定にトランスフェクトされた哺乳動物細胞。
【請求項11】
FAKタンパク質を誘導的に発現する組換え核酸で安定にトランスフェクトされた哺乳動物細胞。
【請求項12】
核酸が、ヒトFAKスプライス変異体、ヒトFAKの触媒ドメイン、マウスFAK、ラットFAK、およびニワトリFAKからなる群より選択されるタンパク質をコードする、請求項11に記載の哺乳動物細胞。
【請求項13】
配列番号5、6、7および8からなる群より選択されるポリヌクレオチドを含んでなり、そして当該ポリヌクレオチドの発現には誘導剤の存在を必要とする、組換え核酸分子で安定にトランスフェクトされた哺乳動物細胞。
【請求項14】
局所接着キナーゼ(FAK)の細胞活性阻害剤を同定する方法であって、以下の工程:
(a)細胞が第一の固相に接着するように第一の固相を哺乳動物細胞の同質の集団で被覆し、ここで当該細胞はFAKをコードする遺伝子で安定にトランスフェクトされ、そしてここで当該遺伝子は誘導剤の存在下で発現する;
(b)FAKをコードする当該遺伝子の発現を誘導するために誘導剤を添加し;
(c)試験化合物を添加し;
(d)細胞溶解物を遊離させるために接着細胞を可溶化し;
(e)FAK捕捉剤が第二の固相に接着するように、第二の固相をFAK捕捉剤で被覆し;
(f)FAK捕捉剤がFAKを捕捉するように、接着したFAK捕捉剤に細胞溶解物を曝露し;
(g)捕捉されたFAKを抗ホスホチロシン抗体に曝露し;そして、
(h)捕捉されたFAKへの抗ホスホチロシン抗体の結合を測定する、ここで、捕捉されたFAKへ結合した抗ホスホチロシン抗体の量は、当該FAKのリン酸化の量と比例する;
ことを含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−500022(P2006−500022A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537413(P2004−537413)
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【国際出願番号】PCT/IB2003/003968
【国際公開番号】WO2004/027018
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】