説明

誘導方法

【課題】 複雑な誘導経路であっても目的の場所に確実に誘導し得る誘導方法の提供。
【解決手段】 複数のルートが交わる地点から被誘導者を目的の場所に、ルート毎に誘導するための誘導方法であって、前記地点に、被誘導者の目的の場所に向かうルートを色分けした地図板と、該地図板の存在を被誘導者に視認させるために地図板に組合されるようその側方に立設されて色分けされたルートの色と合致するすべての色が着色された視認体とを備えた案内標識を立設して該地点からの誘導のスタートとし、目的の場所に至るルート毎に定められた色を有する着色部が施されたポール状の方向指示標識を、案内標識を立設した地点から分岐する路面上に間隔を置いて立設して該地点から目的に場所に至る途上を案内する誘導方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時等に、例えば帰宅を目的として被災者等を誘導するための誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時等に、被災者等を目的の場所まで誘導するために、例えば特許文献1に示すような誘導方法が提案されている。これは、基点となる場所に設置された案内サイン、案内サインから避難場所(目的の場所)への誘導経路に沿って設置される方向指示サインおよび路面サインを有した誘導設備を用いて、被誘導者を目的の方面・場所に向かって誘導する方法である。
【特許文献1】特開2005−234768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、誘導経路が複雑である場合では、方向指示サインおよび路面サインに何らかの明確な識別性がないと、被災者等は道に迷ってしまったり、目的の場所まで大幅に遠回りしてしまったりすることが考えられる。
【0004】
そこで本発明は、複雑な誘導経路であっても目的の場所に確実に誘導し得る誘導方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数のルートが交わる地点から被誘導者を目的の場所に、ルート毎に誘導するための誘導方法であって、前記地点に、被誘導者の目的の場所に向かうルートを色分けした地図板と、該地図板の存在を被誘導者に視認させるために地図板に組合されるようその側方に立設されて色分けされたルートの色と合致するすべての色が着色された視認体とを備えた案内標識を立設して該地点からの誘導のスタートとし、目的の場所に至るルート毎に定められた色を有する着色部が施されたポール状の方向指示標識を、案内標識を立設した地点から分岐する路面上に間隔を置いて立設して該地点から目的の場所に至る途上を案内することを特徴としている。
【0006】
上記誘導方法によれば、被誘導者は、複数のルートが交差する迷いがちな地点に居たとしても、地図板に施された地図に目的の場所毎に色分けされたルートを視認してスタートし、選択したルート毎の色の着色を施して路面上に設置された方向指示標識を目安・目印にしてそのルートに沿って進行することで、目的の場所に向かうことができる。
【0007】
本発明の誘導方法は、視認体に目的の場所までの距離を表示させていることを特徴としている。
この誘導方法によれば、視認体に表示された距離を視認することで、被誘導者に安心感が与えられる。
【0008】
本発明の誘導方法は、方向指示標識に目的の場所までの距離を表示させていることを特徴としている。
この誘導方法のように、方向指示標識に距離を表示させることにより、その距離を視認することで、被誘導者は目的の場所までの距離を確認しつつ、安心して進行することが可能となる。
【0009】
本発明は、複数のルートが交わる地点から被誘導者を目的の場所に、ルート毎に誘導するための誘導方法であって、前記地点に、被誘導者の目的の場所に向かうルートを色分けした地図板と、該地図板の存在を被誘導者に視認させるために地図板に組合されるようその側方に立設されて色分けされたルートの色と合致するすべての色が着色された視認体とを備えた案内標識を立設して該地点からの誘導のスタートとし、目的の場所に至るルート毎に定められた色の誘導ラインを案内標識を立設した地点から分岐する路面上に施して該地点から目的の場所に至る途上を案内することを特徴としている。
【0010】
上記誘導方法によれば、被誘導者は、複数のルートが交差する迷いがちな地点に居たとしても、地図板に施された地図に目的の場所毎に色分けされたルートを視認してスタートし、選択したルート毎の色の着色を施した誘導ラインを視認してそのルートに沿って進行することで、目的の場所に向かうことができる。
【0011】
本発明の誘導方法は、表面に目的の場所までの距離を表示した平板状の指示標識本体を誘導ラインの途中に間隔を置いて配置することを特徴としている。
上記誘導方法によれば、その指示標識本体に表示された距離を視認することで、被誘導者は目的の場所までの距離を確認しつつ、安心して進行することが可能となる。
【0012】
本発明の誘導方法は、誘導ラインの途中に、表面に存在を発光によって被誘導者に視認させるための蓄光性蛍光物質が配合された蓄光性成形体を設けた発光板を、間隔を置いて配置することを特徴としている。
【0013】
上記誘導方法によれば、発光板からの発光により周辺が暗い夜間等であっても誘導ラインを視認可能となるから、被誘導者は目的の場所に向かって進行することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の誘導方法によれば、複数のルートが交差する迷いがちな地点に居たとしても、地図板に施された地図に目的の場所毎に色分けされたルートを視認し、選択したルート毎の色の着色を施して路面上に設置された方向指示標識を目安・目印にしてそのルートに沿って進行することで、被誘導者は確実に目的の場所に向かうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る誘導方法を、帰宅を支援する(避難用)の誘導方法を例として説明する。
図1は本発明の誘導方法を実施するための誘導標識設備の設置状態を示す斜視図、図2は案内標識の全体構成を示す斜視図、図3は同じく正面図、図4は同じく側面図、図5は同じく背面図である。
【0016】
先ずこれらの図に基づいて、本発明の実施形態に係る誘導方法を実施するための誘導標識設備1の構成を説明する。これらの図に示すように、誘導標識設備1は、案内標識2と、方向指示標識7との組合わせによって構成されている。
案内標識2は、複数の帰宅支援ルート(以下単に「ルート」という)3,4,5が交わる地点6に設置されて被誘導者8を目的の場所に、ルート3,4,5毎に誘導するために案内するものである。
方向指示標識7は、案内標識2が設置された地点6から被誘導者8をルート3,4,5毎に誘導するために、被誘導者8の目的の場所に至るルート3,4,5上に、所定間隔を置いて設置されるものである。
【0017】
案内標識2は、地図板部10、視認体11およびベース板14を備えている。地図板部10は、被誘導者8の目的の場所に向かうルート3,4,5に色分けされた地図板12および地図板12を立て姿勢で支持するフレーム13を有する。視認体11は、地図板部10に組合されるようその側方に立設されて地図板12の存在を被誘導者8に視認させるべく地図板部10よりも所定量Hだけ高さが高く設定された柱状に形成されている。ベース板14は平板状に形成されて、例えば道路における舗道の車道側寄りに、アンカーボルト等の適宜の手段によって固定されている。
【0018】
フレーム13は、上桟15と脚部16とから逆L字形に一体的に形成されている。上桟15の一方端は視認体11の長手方向の側面11aに取付けられている。さらに具体的には、上桟15の一方端は視認体11の長手方向の側面11aに、その中心Pに対して左右方向(図では左側)に位置ずれして固定配置されている。上桟15は不図示の照明装置が取付けられるよう、例えば下方を開放した断面コ字形に形成されている。上桟15の上面には、前記照明装置に電力を供給するために支持脚体17を介してソーラーパネル18が太陽光を受光し易い傾斜角度で固定されている。
【0019】
脚部16の下端部がベース板14の上面に立設するように固定され、平均的な身長の大人が、フレーム13に取付けられる地図板12を見易い高さに設定されている。脚部16は、この実施形態では中抜きの矩形形状断面に形成されている。
【0020】
視認体11は、地図板部10の地図板12に対して直交する面を前記長手方向の側面11aとする平面視矩形の偏平な中抜き断面の柱状に形成されている。視認体11において、フレーム13から上方に所定量Hだけ突出する部分には、地図板12に描かれた地図20において色分けされたルート3,4,5の色と合致(一致)するすべての色が着色されるとともに被誘導者8の目的地方面を示す指示部21が施されている。
【0021】
指示部21は、視認体11の上部外周面に、これを囲むように色別帯状に設けられており、図では4色が施されている。具体的に、上から順に第一着色部22、第二着色部23、第三着色部24、第四着色部25として、このうち第一着色部22、第三着色部24および第四着色部25がルート3,4,5に施した着色に一致する色であり、例えば順に赤、緑、黄緑である。
なお、第二着色部23には案内標識2がそこに存在するということを示すマーク(「iマーク」ともいう)26が、例えば青地に白抜き文字で施されている。
これら第一着色部22、第三着色部24および第四着色部25には、目的地方面を示す地名(図では、Osaka 京都・枚方 奈良・四条畷)28および矢印27が施されている。
【0022】
第一着色部22、第二着色部23、第三着色部24および第四着色部25は着色が施されたシートを貼着することで設けられており、地名28、マーク26および矢印27は前記シートに印刷されている。また、地名28、マーク26および矢印27は、視認体11の長手方向の側面11aに配置されている。
【0023】
地図板12は、フレーム13の脚部16と視認体11の長手方向の側面11aとの間で、且つ上桟15から隙間を置いてその下方に配置されている。換言すれば、上桟15と地図板12の上縁辺30との間に、正面視して横長長方形の隙間31が設けられており、地図板12の向こう側を目視できるようになっている。
地図板12において、地図20が描かれた面の側方(さらに具体的には側方下部)には、ルート3,4,5毎の着色部32と目的地方面を示す地名28を表示した地名表示部33が、これらの情報を印刷したシートを貼着することで設けられている。その上側には、市街地情報や市街地施設情報等、被誘導者8にとって便利な情報を施す情報表示面34が設けられている。
地図20が描かれた反対側の面には、シートに印刷されたルート3,4,5毎の着色および目的地方面を示す地名28、マーク26が、これらを印刷したシートを貼着することで設けられている。
【0024】
図6は方向指示標識7の正面図、図7は同じく平面図、図8は同じく背面図、図9は同じく縦断面図である。これらの図に示すように、方向指示標識7は、路面に設置されるベース50と、ベース50に立設支持されるポール51とを備えて、目的の方面に向かってスタートした被誘導者8を、ルート3,4,5の途上で案内するものである。
ベース50は、被誘導者8の誘導方向が長手方向とされた平面視矩形状あるいは楕円形状にされ、またポール51の下部を挿入して支持するのに充分な高さhを有している。なお、ベース50は例えばアンカーボルト等の固定手段によって路面に設置されるものであるが、前記固定手段として特に限定されるものではない。
【0025】
ポール51は、車両の衝突時等に曲がり変形可能なように、合成樹脂から中抜き円柱状に形成されており、上端面に天壁面52を有する。このポール51は、ベース50の長手方向中心に立設するよう配置されている。ベース50の上面の前後には、太陽電池パネル53が配置されている。ベース50の傾斜した外周部(外側面)の前後に、太陽電池パネル53からのエネルギーで発光する発光ダイオード54が複数個ずつ配置されている。
なお、天壁面52はポール本体57と一体に形成してもよいし、ポール本体57とは別体に形成してキャップ状に設けることで、ポール本体57に嵌合あるいは螺合するよう構成してもよい。
【0026】
ベース50に対するポール51の固定手段55として、ベース50の前後方向中心に形成された雌ねじ部56と、ポール51の下部に、ポール本体57に比べてわずかに大径に形成された雄ねじ部58との螺合による取付け方法が用いられている。雌ねじ部56と雄ねじ部58との螺合のみではポール51をその軸心51a回りに回転させるとポール51がベース50から取り外れるから、雌ねじ部56に対して雄ねじ部58を回転させないよう、ベース50にポール51をビス等の手段によって非回転に固定するための手段を設けることが好ましい。
【0027】
ポール51の少なくとも上部外周面に、目的の方面に至るルート3,4,5毎に定められた色を有する着色部60が設けられている。着色部60の上方にポール51の存在を発光によって被誘導者8に視認させるためのガラスビーズを施した発光部61が配置されている。
【0028】
着色部60の下方に、方面(図では「神戸・西宮方面」と記載)と該方面までの距離(図では「西宮まで 3km」と記載)および現在地(図では「尼崎市武庫川町○丁目○○」と記載)とルート名(図では「国道43号線ルート」と記載)を示す指示部63が、ポール51の外周面に設けられている。
【0029】
着色部60は着色を施したシートをポール51に貼着することでポール51の上部外周面にこれを囲むよう帯状に設けられている。また着色部60には誘導方向を示す矢印62が、印刷によって施されている。
なお、発光部61はシートをポール51に貼着することで、ポール51の上部外周面にこれを囲むよう帯状に設けられている。
【0030】
指示部63は方面、方面までの距離および現在地とルート名を印刷したシートをポール51の外周面に貼着することで設けられており、方面、方面までの距離と現在地、ルート名とは、ポール51の外周面において径方向に対向する側に配置されている。
ポール51の天壁面52に方位指示手段64が設けられている。方位指示手段64は、南・北方向を示す偏平な菱形の印刷を施したシートを天壁面52に貼着することで構成されている。
上記構成の方向指示標識7が、目的の方面に至るルート3,4,5毎に路面に所定間隔(例えば100m毎)に設置される。
【0031】
上記構成の案内標識2および方向指示標識7からなる誘導標識設備1における被誘導者8の誘導方法は、案内標識2によって複数の道路に分岐する地点6において被誘導者8が自身でその誘導方向、すなわち進むべき目的の方面等が決定されるよう案内し、案内標識2によって決定された誘導方向に向けてスタートした後は、複数の方向指示標識7によって引き続いて被誘導者8が進むべき方面に案内するようにするものである。
【0032】
具体的に説明すると、案内標識2は、上記したように複数のルート3,4,5が交わる地点6に設置されるものである。そして、複数のルートが交差するような複雑な地点からであっても、各ルート3,4,5は、方面毎に異なる色に地図上で着色されているから、例えば地点6から〔京都・枚方〕方面に自宅がある被誘導者8では、地点6から黄緑に着色されたルート4に沿うよう進めば目的の方面に向かって、自身が向かうべき方向を容易に把握してスタート(歩行、走行を開始)することができる。
【0033】
また、地点6から〔奈良・四条畷〕方面に自宅がある被誘導者8では、緑色に着色されたルート5に沿うように進めば、目的の方面に向かってスタートすることができる。地点6から〔梅田 Oosaka〕方面に自宅がある被誘導者8では、赤色に着色されたルート3に沿うように進めば、目的の方面に向かってスタートすることができる。
【0034】
案内標識2では、脚部16は平均的な身長の大人が地図板12を見易い高さに設定されおり、視認体11は、地図板部10よりも所定量Hだけ高さが高く設定されているから、案内標識2から離れた場所からでも視認体11を目印として案内標識2、すなわち地図板部10の存在を認め易い。また、視認体11の最も高い位置に赤色のように人目を誘う色を施していることからも、案内標識2の存在をいっそう視認し易い。
【0035】
また、指示部21は視認体11を囲むように設けているから、視認体11の何れの方向からも指示部21が把握し易く、視認体11は長手方向の側面11aを有しているから、被誘導者8が向かってくる方向にこの側面を向けるように地点6に設置することにより、案内標識2の存在を認め易い。
【0036】
夜間や周囲が暗くなった時では、ソーラーパネル18から電力が供給されることにより、上桟15に設けた照明装置が点灯することで案内標識2を構成する地図板12等の視認性が良好になるから、夜間や周囲が暗くなった時でも被誘導者8の誘導がし易い。
【0037】
なお、視認体11はフレーム13の脚部16に対峙してフレーム16の機能を兼用する構成であるから、その分だけ部品点数を減らせ、フレーム13それ自体を門型構成とする必要がなく、したがって案内標識2の全体構成を簡素化することができる。
【0038】
上記のように、案内標識2によって帰宅する方面を確認した被誘導者8は、その方面毎に色分けすることで決められているルート3,4,5を、ルート3,4,5に配置された方向指示標識7を目印としてたどるようにする。そしてそのルート3,4,5には、各ルート3,4,5毎に設置された方向指示標識7には、各ルート3,4,5毎に決められた色に着色された着色部60を有する方向指示標識7が所定間隔置きに配置されているから、被誘導者8は迷うことなく確実に目的の方面に向けて進むことができる。
また、ポール51の周囲方向何れの方向からでも着色部60の色を視認できるから、目的地へのルート3,4,5が明確になり、方面と方面までの距離を明確にした指示部63によって、被誘導者8の誘導に際して安心感を付与することができる。さらに、被誘導者8は方位指示手段64が示す方位を意識することで、安心して誘導方向をたどることが可能となる。
【0039】
さらに、案内標識2にはガラスビーズによる発光部61を設けているから、夜間であってもポール51の視認が確実になる。また、太陽電池パネル53によって蓄電されたエネルギーにより、発光ダイオードが発光するから、複雑な回路構成を要することなく夜間での方向指示標識の存在が明確になり、誘導性が向上する。
【0040】
案内標識2においては、シートをポール51に貼着するという簡単な作業で、着色部60、指示部63および発光部61をポール51に設けることができ、被誘導者8等が進行方向に進む際にポール51に触れて、その方向にポール51を押すような力を加えたとしても、ベース50は、被誘導者8の誘導方向が長手方向とされているから、ベース50に一体化されているポール51が不要に倒れるのを防止することが可能となる。
【0041】
次に、図10ないし図12に基づいて、別の実施形態を示す誘導標識設備1を説明する。この実施形態における誘導標識設備1は、前述の案内標識2(図1〜図5参照)と、前述の方向指示標識とは別の構成の方向指示標識70とを有する。
図10は別の実施形態を示す方向指示標識70の設置状態を示す平面図であり、指示標識本体および誘導ラインの一部を拡大した図を併せて描いている。図11はその断面図、図12は複数の誘導ラインおよび指示標識本体を施工した舗道の斜視図である。
これらの図に示すように、方向指示標識70は被誘導者8を誘導すべく目的の場所に至るルート71,72毎に設けられて、案内標識2の設置点からスタートした被誘導者8を、目的の場所に至るルート71,72の途上で案内するものである。
ここで、場合によってはルート(舗道)が複数のルート71,72を共有する場合もあり得るが、舗道が単数のルート71(72)であっても複数のルート71,72であっても、目的の場所名およびそこまでの距離の表示、ルート71,72毎の色が異なるだけで、方向指示標識70の基本的構成は同一である。
【0042】
すなわち方向指示標識70は、指示標識本体73を有している。指示標識本体73は、路面に施された誘導ライン74,75の途中(場合によっては誘導ライン74,75のスタート地点に設けられる)で路面に取付けられ、表面に目的の場所に至るルート71,72毎に定められた色を有する着色部76が設けられて、全体として平板状に形成されている。
誘導ライン74,75は目的の場所に至るルート71,72毎に定められた色を有するものであり、誘導ライン74と誘導ライン75とでは異なる色に設定・着色されている。この誘導ライン74,75は、通常車道等に施されるラインと同一の施工がなされて路面に表示されている。
但し、誘導ライン74,75は、一般的に車道に施す白線(車線仕切り用の白線)に比べてその幅は小さく設定されている。これは、舗道に施工する場合では車道ほどの幅は不要であるからである。
【0043】
指示標識本体73は平面視矩形(図10では進行方向を長手方向とする長方形の例を示し、図12では進行方向に直交する方向を長手方向とする長方形の例を示している)に形成されている。この指示標識本体73は、誘導ライン74,75の幅方向中心に配置され、図11に示すように、指示標識本体73の底部は路面に埋められるようにして接着剤によって接着されることで、路面に固着されている。
【0044】
指示標識本体73は、表面に目的地方面の地名28(図12では神戸・西宮,宝塚・川西と表示)を表示した地名表示部77、および目的地に至るまでの距離(図では西宮22Km,宝塚11Kmと表示)を表示した距離表示部78を有し、地名表示部77、距離表示部78および前記着色部76を別体とした三つのパーツ(別部材)から成り、これらを組合わせることで構成されている。
【0045】
着色部76は平面視「く」の字形状であり、目的の場所へ向かう進行方向(誘導方向)に突となった矢印形状に形成されている。地名表示部77および距離表示部78はそれぞれ着色部76の進行方向側、反進行方向側に隙間なく組付けられている。
すなわち、地名表示部77はその反進行方向側の辺が着色部76の矢印形状の進行方向側の辺に当接するように、進行方向へ向けて窪む凹形状に形成されている。
距離表示部78はその進行方向側の辺が着色部76の矢印形状の反進行側の辺に当接するように、進行方向へ向けて突となっている。
距離表示部78および地名表示部77の表面には、指示標識本体73の存在を発光によって被誘導者8に視認させるための蓄光性蛍光物質が配合された蓄光性成形体を設けている。
【0046】
図10に示すように、ルート71,72が交差する場所においてはこれまでのルート71(72)に沿う誘導ライン74(75)とこれからのルート71(72)に沿う誘導ライン74(75)の途切れ部を連続するよう、指示標識本体73がその着色部76の矢印形状をこれからのルート71(72)における進行方向として配置されている。
【0047】
さらに、誘導ライン74,75の途中には、発光板80が所定距離毎に配置されている。この発光板80は、その存在を発光によって被誘導者8に視認させるための蓄光性蛍光物質が配合された蓄光性成形体を表面に設けている。
発光板80は誘導ライン74,75の幅にほぼ等しい幅の平面視矩形に形成されており、誘導ライン74,75の幅方向中心に配置されて、底部が路面に埋められるようにして接着剤によって接着されることで路面に固着されている。
【0048】
上記構成の案内標識2および方向指示標識70からなる誘導標識設備1における被誘導者8の誘導方法は、案内標識2によって複数の道路に分岐する地点6において被誘導者8が自身でその誘導方向、すなわち進むべき方面等が決定されるよう案内し、案内標識2によって決定された誘導方向に向けてスタートした後は、複数の方向指示標識70によって引き続いて被誘導者8が進むべき方面に案内するようにするものである。
すなわち、図1、図6〜図9に示す方向指示標識7の代わりに、方向指示標識70によって被誘導者8が目的の場所に向かって誘導案内される。この際、被誘導者8は方面毎に異なる色に地図上で着色されている案内標識2の各ルート71(72)に沿うよう進めば、目的の方面に向かって、自身が向かうべき方向を把握してスタートすることができる。
夜間等の暗所で進行する必要がある場合でも、距離表示部78および地名表示部77の表面には、指示標識本体73の存在を発光によって被誘導者8に視認させるための蓄光性蛍光物質が配合された蓄光性成形体を設けているから、被誘導者8は進むべき方向を迷わない。また、誘導ライン74,75の途中には、発光板80が所定距離毎に配置され、発光板80は、その存在を発光によって被誘導者8に視認させるための蓄光性蛍光物質が配合された蓄光性成形体を表面に設けているから、進むべき方向を遠い場所からも視認することができ、安心感が与えられる。
【0049】
指示標識本体73は、地名表示部77、および距離表示部78を有し、地名表示部77、距離表示部78および着色部76を別体とした三つのパーツから成ってこれらを組合わせることで構成されているから、着色部76を共通の部材として管理し、距離表示部78に表示している距離の印刷のみを変更してこれを着色部76に組合わせることで、指示標識本体73を容易に製造することができる。
したがって、指示標識本体73では、地名表示部77および着色部76を一体とし、距離表示部78のみを別体として距離表示部78の距離の印刷のみを変更してこれを地名表示部77および着色部76の一体ユニットに組付けるようにすることもでき、このようにすることで指示標識本体73の製造管理が容易に行える。
【0050】
次に、図13ないし図15に基づいて別の方向指示標識91の構成を説明する。この実施形態における方向指示標識91は、誘導ライン103と、誘導ライン103の途中に所定間隔置きに設けられる指示標識本体104と、各指示標識本体104の上面に取付けられる発光部105とから構成される。
【0051】
この場合、誘導ライン103として道路に付設されている縁石を用いることが可能である。すなわち、縁石の平面である上面に指示標識本体104を介して発光部105が取付けられる。
【0052】
指示標識本体104は誘導方向を長手方向とする平板状のプレートとされ、このプレートは例えばアルミニウム、ステンレス等から形成されており、その上面に合成樹脂製の無反射シート、高輝度反射シート、蓄光シート、蓄光反射シート等が貼着されている。これらシートに、方面の地名98a、方面までの距離98bおよび現在地98cが印刷によって施された指示部98(着色部)が設けられている(図16では、「高槻・京都」 「高槻15km」 「ここは大阪府吹田市出口町」と印刷されている)。
【0053】
また、方面、方面までの距離の間には誘導方向を示す矢印102が印刷されている。これらを示す印刷は、各ルート3,4,5独自の色に着色されている。
なお、蓄光シート、蓄光反射シートは、蓄光性蛍光物質が配合された蓄光性成形体からなっている。
【0054】
特に、プレートとしてアルミニウムを用いることで、シートとして無反射シートを用いたとしても、発光ダイオード108によって照らされることで、被誘導者8が誘導方向を明確に知ることが可能である。プレートそのものを光反射性の低い材質を用いたとしても、シートを高輝度反射シート、蓄光シート、蓄光反射シートとすることで、夜間の灯火あるいは太陽光の蓄光によって指示部98の印刷を視認することができる。
特に蓄光材料が配合されているシートを用いることで、周囲が暗闇になった場合でも発光ダイオード108からの光と相まって指示部98の視認性を格段に高めることができる。なお、配合する蓄光顔料はブルーグリーン色のものであれば、プルニキエ現象により視認性が高められ、また被誘導者8を心理的に落ち着かせることができるから好ましい。
【0055】
発光部105として、一般に自発光式道路鋲と称されるものが用いられている。発光部105は偏平な箱状であり、底板と上躯体からなる鋲本体106と、上躯体の上面に設けられた太陽電池パネル107と、太陽電池パネル107に電気的に接続された発光ダイオード108から構成されている。
【0056】
発光ダイオード108は上躯体の、指示部98を照射することが可能なように取付けられている。具体的には、上躯体の指示部98側の側面で上躯体の指示部98側を覆う透光板部110に対してその内方に配置されている。また、発光ダイオード108は上躯体の幅方向に対で設けられている。
【0057】
上躯体の長手方向両側、幅方向両側は、外側ほど下傾斜したテーパ面に形成されている。太陽電池パネル107は、テーパ面の間の水平面に配置されている。上躯体の幅方向両側の側面において、その長手方向中央部位に、止めビス111を螺合するための取付け穴112がそれぞれ形成されている。
【0058】
指示標識本体104は、図15に示すように、その四隅に上方から取付けボルト113を挿通することで縁石(誘導ライン103)に取付けられる(固着される)。すなわち、縁石の所定の位置に指示標識本体104をその長手方向が誘導方向に沿うように載置し、指示標識本体104の上面に発光部105を載置し、取付けボルト113を指示標識本体104の四隅に挿通するとともに、発光部105の取付け穴112に止めビス111を上方から指示標識本体104に挿通するようにして取付けボトル113および止めビス111を縁石に螺合する。
【0059】
そうすると、指示標識本体104の裏面が縁石の上面に圧着されて、方向指示標識91が縁石の所定位置に確実に取付けられる。また、さらに確実に指示標識本体104を縁石に固定するために両者の間に接着剤を施すようにしてもよい。
【0060】
なお、取付けボトル113はその頭部114を指示標識本体104に埋め込むことが安全上好ましい。しかしながら、指示標識本体104としてプレートを用いているから頭部114を指示標識本体104に埋め込んでしかも指示標識本体104を縁石に確実に固定することはむずかしい。そこで、できるだけ頭部114の高さが低い取付けボトル113を用いている。
例えば取付けボトル113として低頭のトルクスE型(登録商標)を用いることが好ましい。取付けボトル113はその頭部114の高さが種々のものを選択可能であるが、頭部114の高さは5mmまでであれば、指示標識本体104の表面から上方に突出していたとしても、被誘導者8の歩行に邪魔になることがなく、車椅子が乗り上げるという現象を回避することができるから、安全であり、また快適である。
【0061】
方向指示標識91はプレートと偏平な箱状の発光部105とからなっており、しかも発光部105の上躯体の長手方向両側、幅方向両側は、外側ほど下傾斜したテーパ面に形成されているから、被誘導者8が車椅子に乗っていた場合や、ベビーカーを押していたりして、方向指示標識91に乗り上げたとしてもその誘導をほとんど邪魔することがない。
【0062】
このようにして取付けられた方向指示標識91は、太陽光のエネルギーを太陽電池パネル107によって受けて蓄電され、発光ダイオード108を発光させる。このとき、発光ダイオード108の光は指示部98に向けて発光されているから、指示部98の視認が良好である。発光ダイオード108から発せられる光は点灯(常時点灯)しているか、または光速点滅により点灯に近い状態に視認されるものであれば、指示部98の内容が視認され易くなり、好ましい。
なお、発光ダイオード108の光軸が下向きになるように配置すれば、指示部98を直接的に照らすことになるから、指示部98がいっそう明瞭に視認され易くなる。
【0063】
被誘導者8は、上記構成の誘導標識設備1における案内標識90により自らのルート3,4,5をその色によって確認してそのルート3,4,5を進むと、ルート3,4,5上に付設された方向指示標識91によって、その色によって確実に誘導されることになる。
【0064】
本発明は上記各実施形態に示すものに限定されない。特に誘導標識設備として、案内標識と、方向指示標識とを有していればその組合わせについては上記各実施形態に限定されるものではなく、案内標識による案内をスタートとして、その後は案内標識で被誘導者を誘導する組合わせであれば、相互に異なる組合わせであっても本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の誘導標識設備の設置状態を示す斜視図
【図2】同じく案内標識の全体構成を示す斜視図
【図3】同じく正面図
【図4】同じく側面図
【図5】同じく背面図
【図6】同じく方向指示標識の正面図
【図7】同じく平面図
【図8】同じく背面図
【図9】同じく縦断面図
【図10】別の実施形態を示す方向指示標識の設置状態を示す平面図
【図11】同じく方向指示標識の設置状態を示す断面図
【図12】同じく複数の誘導ラインおよび指示標識本体を施工した舗道の斜視図
【図13】同じく方向指示標識の設置状態を示す平面図
【図14】同じく方向指示標識の斜視図
【図15】同じく方向指示標識の設置方法を示す説明図
【符号の説明】
【0066】
1…誘導標識設備、2…案内標識、3,4,5…ルート、6…地点、7… 方向指示標識、8…被誘導者、10… 地図板部、11…視認体、11a…側面、12…地図板、13… フレーム、14…ベース板、15…上桟、16…脚部、16…フレーム、17…支持脚体、18… ソーラーパネル、20…地図、21…指示部、22…第一着色部、23…第二着色部、24…第三着色部、25…第四着色部、26…マーク、27…矢印、28…地名、30…上縁辺、31…隙間、32… 着色部、33 …地名表示部、34…情報表示面、50…ベース、51…ポール、51a…軸心、52…天壁面、53…太陽電池パネル、54…発光ダイオード、55…固定手段、57…ポール本体、60…着色部、61…発光部、62…矢印、63…指示部、64…方位指示手段、70…方向指示標識、73…指示標識本体、74,75…誘導ライン、77…地名表示部、78…距離表示部、80…発光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のルートが交わる地点から被誘導者を目的の場所に、ルート毎に誘導するための誘導方法であって、前記地点に、被誘導者の目的の場所に向かうルートを色分けした地図板と、該地図板の存在を被誘導者に視認させるために地図板に組合されるようその側方に立設されて色分けされたルートの色と合致するすべての色が着色された視認体とを備えた案内標識を立設して該地点からの誘導のスタートとし、目的の場所に至るルート毎に定められた色を有する着色部が施されたポール状の方向指示標識を、案内標識を立設した地点から分岐する路面上に間隔を置いて立設して該地点から目的の場所に至る途上を案内することを特徴とする誘導方法。
【請求項2】
視認体に目的の場所までの距離を表示させていることを特徴とする請求項1記載の誘導方法。
【請求項3】
方向指示標識に目的の場所までの距離を表示させていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の誘導方法。
【請求項4】
複数のルートが交わる地点から被誘導者を目的の場所に、ルート毎に誘導するための誘導方法であって、前記地点に、被誘導者の目的の場所に向かうルートを色分けした地図板と、該地図板の存在を被誘導者に視認させるために地図板に組合されるようその側方に立設されて色分けされたルートの色と合致するすべての色が着色された視認体とを備えた案内標識を立設して該地点からの誘導のスタートとし、目的の場所に至るルート毎に定められた色の誘導ラインを案内標識を立設した地点から分岐する路面上に施して該地点から目的の場所に至る途上を案内することを特徴とする誘導方法。
【請求項5】
表面に目的の場所までの距離を表示した平板状の指示標識本体を誘導ラインの途中に間隔を置いて配置することを特徴とする請求項4記載の誘導方法。
【請求項6】
誘導ラインの途中に、表面に存在を発光によって被誘導者に視認させるための蓄光性蛍光物質が配合された蓄光性成形体を設けた発光板を、間隔を置いて配置することを特徴とする請求項4または請求項5の何れかに記載の誘導方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−225691(P2008−225691A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60793(P2007−60793)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】