誘引剤ルアーで飛翔昆虫を捕獲するためのシステム
本出願は、飛翔昆虫を捕獲するためのシステム、第一化学ルアー(乳酸、乳酸塩、又はそれらの組合せなど)、及び第二化学ルアー(アンモニア供給源を含む)を開示する。該ルアーは、長期間にわたって有効な放出速度を確保するために特別に設計されたハウジング(50)内に収容できる特定の幾何形状で採用できる。本出願は、更に、昆虫捕獲デバイスに取り付けるための誘引剤システム(12)に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、そのそれぞれをそのすべてにおいて参照により本明細書の記載の一部とする、2004年6月8日出願の米国特許仮出願第10/864,284号及び2004年6月8日出願の米国特許仮出願第10/862,898号に基づく優先権を主張する。
【0002】
(発明の概要)
本発明は、哺乳動物から発散される汗及び呼気の成分に誘引される、カ、ヌカカ、及びその他の昆虫などの飛翔昆虫を捕獲するための誘引剤ルアー、並びにそれに関連するシステムに関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施形態によれば、飛翔昆虫を誘引するためのルアーは、アンモニアガス供給源及び乳酸供給源を含み、アンモニアガス及び乳酸の供給源は、使用に先立って互いから物理的に隔離した状態で収容される。
【0004】
本発明の他の実施形態は、第一化学誘引剤及び第二化学誘引剤を含む飛翔昆虫を誘引するためのルアーであり、第一化学誘引剤は、高分子ゲル、プラスチック、ポリマー、又は多孔性材料(多孔性セラミックロッド又はフリットなど)である担体中に乳酸溶液を含み、第二化学誘引剤は、アンモニア供給源を含み、第一及び第二誘引剤は、ルアーの使用に先立って互いから物理的に隔離される。
【0005】
本発明の他の実施形態は、第一化学誘引剤及び第二化学誘引剤を含む飛翔昆虫を誘引するためのルアーであり、第一化学誘引剤は乳酸溶液を含み、第二化学誘引剤はアンモニア供給源を含み、第一及び第二誘引剤は、ルアーの使用に先立って互いから物理的に隔離され、更に、該ルアーは、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、10週間、又は12週間である長い使用期間の間、連続的又は間欠的に有効量の第一及び第二化学誘引剤を提供する能力を有する。
【0006】
本発明の他の実施形態は、第一化学誘引剤及び第二化学誘引剤を含む飛翔昆虫を誘引するためのルアーであり、第一化学誘引剤は乳酸溶液を含み、第二化学誘引剤はアンモニアの供給源を含み、第一及び第二誘引剤は、ルアーの使用に先立って互いから物理的に隔離され、該ルアーは、第一及び第二化学誘引剤、オクテノール、二酸化炭素、又はその他の誘引剤中の1つを含んでもよいが、2つは含むことのできない類似のルアーよりも昆虫を誘引することに関して少なくとも50%、より有効である。
【0007】
本発明の他の実施形態は、その場でアンモニア、乳酸及びCO2を別々に発生させ、且つそれらを飛翔昆虫にとって魅力的な構成で供給するためのシステムである。
【0008】
本発明の他の実施形態は、乳酸を含む第一ルアー、重炭酸アンモニウムを含む第二ルアーの使用であり、第一及び第二ルアーのそれぞれは、飛翔昆虫を誘引するために液体、半固体又は固体の形態で提供され、第一及び第二ルアーは、使用の直前まで互いから物理的に隔離された状態で維持され、使用中に第一及び第二ルアーを外界温度又は暖かい気体流と接触させると、第二ルアーの重炭酸アンモニウムからアンモニアガスが発生、拡散し、第一ルアーから乳酸が発生、拡散することになり、それによって飛翔昆虫を誘惑するための誘引剤混合物が形成される。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、飛翔昆虫を誘引するためのデバイスは、ガス状CO2をその場で生成させるためのデバイス、ガス状CO2を放出させるための排出ポート、飛翔昆虫を導入するための入口ポート、昆虫を捕獲するための入口ポートと連通し入口ポートから接近可能なチャンバー、及び少なくとも2つの化学ルアーを含み、第一ルアーは乳酸溶液及びUV反応性化合物を含み、第二ルアーはアンモニアガス供給源を含み、第一及び第二ルアーは、使用の直前までそこでの相互の接触を防止して保管される。
【0010】
本発明の他の実施形態は、以下で説明するような昆虫捕獲装置に取り付けるための誘引剤システムである。昆虫捕獲装置は、飛翔昆虫を捕らえるのに適した任意の型でよい。例えば、該装置は、本明細書中で言及するMOSQUITO MAGNET装置のように、燃焼を利用して昆虫を誘引するためのCO2富化流出物を発生させることができ、或いは、CDC光トラップのように、燃焼に頼らない型でもよい。
【0011】
誘引剤システムは、少なくとも第一チャンバー及び第二チャンバーを画定するハウジングを備える。該チャンバーは、任意の配置を有することができ、さらなるチャンバーを準備してもよい。ハウジングは、任意の適切な方式で装置に取り付けられるように構成される。例えば、MOSQUITO MAGNET装置では、ハウジングのチャンバー内に収容された誘引剤が流出流中に拡散できるようにハウジングを流出管に取り付け、それによって流出流の誘引効果を高めることができる。別法として、昆虫捕獲装置の任意の適切な位置に任意の適切な方式でハウジングを取り付けることができる。若干の装置では、誘引ハウジングを流出流以外のいずれかの場所に取り付けることもでき、或いは装置が流出流を全く有さなくてもよい。
【0012】
拡散可能な第一昆虫誘引剤を第一チャンバー内に収容し、第二昆虫誘引剤を第二チャンバー内に収容する。第一及び第二誘引剤は、互いに化学的に反応できる型である。例えば、一方が酸性、他方が塩基性でよく、従って、該誘引剤は、相互混合が可能である場合には、互いに反応することになる。第一及び第二チャンバーは、それぞれ、それを通って昆虫誘引剤を放出することを可能にするための少なくとも1つの開口部を有する。第一及び第二誘引剤は、チャンバーの開口部を閉鎖して昆虫誘引剤の相互混合を本質的に防止する1つ又は複数の除去可能なシールによって、互いから本質的に隔離される。これらのシールは、ハウジングを捕獲装置に取り付けた場合に昆虫を捕獲装置に誘引することできるように、除去してチャンバーの開口部を開放し、昆虫誘引剤がそこから拡散することを可能にする。
【0013】
このようにチャンバーを隔離することによって、誘引剤は、チャンバーの開口部から1つ又は複数のシールを除去するまで、互いに混じり合うことが許されない。誘引剤システムの製造から末端ユーザーがそれを購入して自身の捕獲装置上でそれを使用するまでに恐らくかなりの期間が存在するので、このことは消費者市場にとって都合がよい。誘引剤が、この期間中に互いに連通すると、それらは、拡散し、混じり合い、互いに反応する可能性があり、それによって、誘引剤の量が激減し、誘引剤として有効でない副生物が生まれる可能性がある。
【0014】
本発明の他の実施形態は、挿入によってレセプタクルに取り付ける誘引剤システムである。具体的には、本発明のこの態様に属する誘引剤システムは、昆虫捕獲装置のレセプタクルに取り付けるために存在し、該レセプタクルは、内部空間及び開放末端を有する。該システムは、少なくとも第一チャンバー及び第一チャンバー内に収容される拡散性第一昆虫誘引剤を画定するハウジングを備える。第一チャンバーは、それを通って拡散性第一昆虫誘引剤が拡散することを可能にするための少なくとも1つの開口部を有する。ハウジングは、ハウジングとレセプタクル内にハウジングを取り外し可能な状態で保持するレセプタクルとの間の噛み合いを用いて、その開放端を通してレセプタクルの内部空間内にハウジングを挿入することによって、昆虫捕獲装置に誘引剤システムを取り付けることを可能にするように構成される。噛み合いは、タブ及び開口部などの構造物でもよいし、或いは摩擦的でもよい。
【0015】
本発明のその他の実施形態、特徴及び利点は、本開示の一部であり、且つ、例により本発明の原理を示す付属図面との関連で考慮した場合に、次の詳細な説明から明らかとなろう。
【0016】
(発明の態様の詳細な説明)
本明細書中で使用する場合、用語「化学ルアー」は、ヒト又はその他の哺乳動物の少なくとも1種の滲出液(汗又は創傷液など)の誘引的性質を真似た誘引剤化合物を、所望の昆虫(飛翔昆虫、例えば蚊など)を誘引するのに有効な方法で発散させることのできる、液体、半液体(例えば、ゲル、高分子ゲル、ヒドロゲル又はその他のコロイド)、又は固体の化学製剤を意味すると解釈される。このような化学ルアーは、単離された天然化合物(乳酸のアイソフォームなど)でもよいし、或いはヒト滲出物の成分の誘引的性質を示すように作られた合成化合物でもよい。その他の誘引剤としては、例えば、タンパク質系化合物及び有機酸が挙げられる。本発明の典型的な実施形態において、CO2、乳酸及びアンモニアのそれぞれは、広範な範囲の飛翔昆虫を誘引するための化学ルアーとして混合物の状態で使用される。
【0017】
本発明の典型的な実施形態において、CO2、乳酸及びアンモニアのそれぞれを含む化学ルアー(ここで、CO2ガスは、その場で流動しているガスプルームの形態で発生させ、乳酸及びアンモニアをそのそれぞれの供給源からそのガスプルーム中に拡散させる)は、蚊、及び限定はしないが、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxを含むその他の飛翔昆虫を誘引するように設計されたシステム中で使用される。
【0018】
本発明の他の典型的な実施形態において、乳酸供給源及びアンモニア供給源を含むルアーは、該ルアーがガス担体に対して昆虫を誘引する量の乳酸及びアンモニアを提供できるように準備される。ルアーは、屋内使用又は屋外使用に適した乳酸及びアンモニアの放出速度を提供するように設計できる。
【0019】
本発明のルアーは、乳酸供給源及びアンモニア供給源を、使用に先立って互いから物理的に隔離し、貯蔵中の誘引剤の劣化を低減するように収容できる。好ましくは、シールを除去すると乳酸及びアンモニアをガス担体中に放出できるように、ルアーに除去可能なシールを用意する。
【0020】
本発明のルアーによって乳酸及びアンモニアが供給されるガス担体は、外界空気、暖かい/湿った空気、濃度を高めた二酸化炭素を含むガス流、燃料(炭化水素をベースにした燃料など)の燃焼に由来する排気プルーム(exhaust plume)、又はその他のガスでよい。種々の実施形態における担体ガスは、流動していてもよいし、或いは拡散又は対流などの手段によって受動的に移動できる。流動するガス流は、場合によっては、燃焼源、送風機、又は圧力差を創り出すためのその他の方法によって提供できる。別々のガス担体を使用して乳酸及びアンモニアを受け入れてもよいし、同一のガス担体を使用して両方の化学誘引剤を受け入れてもよい。本発明の特定の実施形態において、ルアーは、濃度を高めた二酸化炭素ガスを含むガス担体に対して乳酸及びアンモニアを供給するように構成できるが、別の実施形態では、ルアーを二酸化炭素ガス供給源と組み合わせるが、乳酸/アンモニアから二酸化炭素ガスを別々に放出させることができる。
【0021】
本発明のルアーは、飛翔昆虫を誘引するのに有効である。本発明の幾つかの実施形態において、有効性は、本発明のルアーを使用して飛翔昆虫種の1種又は複数の種を誘引することによって実証できる。本発明の特定の実施形態において、本発明のルアーは、本発明ルアー中の化学誘引剤の1つを除外した別のルアーと比較して、或いはオクテノール又は二酸化炭素などの既知誘引剤と比較して、飛翔昆虫類又は飛翔昆虫の特定種を誘引することに関して優れた有効性を示す。本発明の特定の実施形態は、このような別の誘引剤と比較して、本発明のルアーが、比較試験において50%増し、100%増し、200%増し、300%増し、400%増し、又は500%増しの飛翔昆虫類又は飛翔昆虫中の特定選択種の飛翔昆虫を誘引できるような有効性の向上を示す。有効性向上の検定は、ケージ試験により、又は好ましくは、比較される誘引剤の位置を交代して比較に与える環境効果の影響を低減した屋外適用で達成できる。例えば、ラテン方格型のサンプリングプロトコールを採用してもよいし、或いはその他の適切なサンプリング技術を利用できる。好ましくは、このような屋外試験は、1日、2日又は数日間の長期間にわたって実施され、試験期間中での昆虫の総捕獲数を比較する。本発明の特定の好ましい実施形態において、本発明のルアーは、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間の長期間、又は同様の期間にわたって有効性を示す。本発明のルアー及びデバイスの長期間にわたる有効性を比較する場合には、本発明のルアー及び対照ルアーを、長期間の過程中の1日、2日又は3日などのより短期間で1回又は複数回サンプリングすることによって長期の全期間について試験できる。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態は、種Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxの飛翔昆虫を誘引するのに有効である。特定の実施形態は、好ましくは、乳酸単独、アンモニア単独、二酸化炭素単独、乳酸+二酸化炭素、アンモニア+二酸化炭素、オクテノール、又はオクテノール+二酸化炭素からなる対照ルアーよりも、1種又は複数のこれら飛翔昆虫種を誘引するのにより有効である。好ましくは、このような実施形態は、このような対照ルアーよりも、検知し得る50%増しで有効である。より好ましくは、それらは、このような対照ルアーよりも、100%増し、200%増し、300%増し、400%増し、500%増し、又はそれ以上で有効である。
【0023】
本明細書中で使用する場合、用語「視覚ルアー」は、CO2プルームにより飛翔昆虫捕獲デバイスの近くに誘引し、飛翔昆虫を視覚的に誘惑して昆虫入口ポートの近辺を飛ぶように配置、構成されたデバイスを意味すると解釈される。視覚ルアーは、飛翔昆虫が宿主哺乳動物を標的にする際に利用する視覚的刺激を真似たように設計された色彩及び幾何的特徴を組み合わせることができる。
【0024】
化学ルアーは、期間中に放出される化合物の量を制御するように工作、構成することができ、それによって、効果的な昆虫捕獲のための分散された誘引剤濃度を確保する。ルアーは、一般に、放出が制御された極めて有効な化学誘引剤を大気中に放出するように形作られ、ここで、放出速度は、環境の温度、湿度、優勢な空気流、その他の局所的微小気候要因、排気/CO2速度、及び誘引剤化合物の揮発性の間の関係によって影響される可能性がある。更に、屋内で使用する場合には、室内空間の容積及び屋外空気との換気速度も、化学ルアーに要求される放出速度に影響を及ぼす。
【0025】
本発明の実施形態において、流動している空気又はCO2ガスの暖かい流れの中への化学ルアー混合物の各成分、例えば、乳酸及びアンモニア(NH3)の放出速度は、流動流が使用中に接触する乳酸供給源及びアンモニア供給源の曝露表面を選択/制御することによって、少なくとも部分的には化学誘引剤のそれぞれの混合物が長期の使用期間にわたって(少なくとも約2又は3週間又はそれ以上など)飛翔昆虫を誘引するのに有効であり続けるように制御される。
【0026】
本発明の実施形態において、化学ルアーは、比較的無毒性であるか、或いは在来の殺虫薬と較べて低下した毒性を示す少なくとも1種の誘引剤化合物を含み、哺乳動物の器官が放出する天然の昆虫誘引剤を真似るように製剤される。この点で、有機酸及びそれらの誘導体は適切な模倣物である。誘引剤のブレンドも使用できる。これらのカイロモン(kairomone)は、天然に見出される天然化合物でもよいし、合成的に作られてもよい。
【0027】
適切な有機酸及びその誘導体の一例が、遊離酸の形態の乳酸、乳酸の塩、及びそれらの組合せである。乳酸アンモニウムは、本発明による誘引剤として使用するのに適した典型的な乳酸塩である。アンモニア、アセトン、尿酸、酪酸、ジメチルジスルフィド、2−フェニルエタノール及びこれらの誘導体も、多くの飛翔昆虫に対して好ましい誘引剤である。カイロモンであることが知られている各種化合物が、Parkらの論文、J.Insect Physiol.45巻、85〜91、1999年に開示されており、その内容をその全体で参照により本明細書に組み込む。ルアーは、所定区域に出没することが知られている飛翔昆虫の特定種を特異的に誘引するように製剤できる。
【0028】
本発明の一実施形態において、誘引剤は、食品級形態の乳酸、又は使用時にルアー近辺の空気品質に対する不純物の影響を低減するために少なくとも99%の純度を有する乳酸である。L(+)−乳酸が、単独で、又はさらなる誘引剤ルアーと組み合わせて採用される。他の実施形態では、L(+)−乳酸を、乳酸カルシウムとの混合物として同時使用できる。他の実施形態では、L(+)−乳酸単独又は乳酸カルシウムと組み合わせたL(+)−乳酸を、水酸化アンモニウム水溶液、粉末重炭酸アンモニウム、又はアンモニウムを発生する能力のあるその他アンモニウム化合物など、外界温度、適度に高められた温度、例えば外界温度より高い温度(例えば、少なくとも85°Fなど)で発生させることのできるようなアンモニアと合わせて使用される。しかし、本発明の化学ルアーは、任意の所望温度範囲でアンモニアを放出するように設計できることを理解されたい。1つ又は複数の化学ルアーが、単一ハウジングに収容され、複数の別々の供給源から、昆虫トラップの内部又は昆虫トラップと結合して採用できる。
【0029】
化学ルアーは、本明細書に記載するデバイスなど昆虫捕獲デバイスと共に使用するために、液体、半固体(ゲルなど)、又は固体として製剤できる。昆虫捕獲デバイスは当技術分野で周知である。例えば、American Biophysics Corporationは、昆虫を誘引するためのCO2添加流出流を発生させるのに燃焼を利用する昆虫捕獲装置をMOSQUITO MAGNETの商標で販売している。このようなトラップの操作詳細については、そのそれぞれの全体を参照により本出願に組み込む、米国特許第6,145,243号、及び米国特許出願第2003/0084604A1号を参照できる。
【0030】
本発明の一実施形態において、固体ルアーは粉末形態で存在する。粉末は、それ自体で、例えば、ガス流の流入及び流出を可能にする多孔性の袋又は包みの中に貯蔵して使用してもよいし、或いは粉末を、レンガ、栓、ペレットなどの各種形状に圧縮又は成型してもよい。固体の昆虫ルアーは、放出速度を制御できる可能性がある。一実施形態において、粉末化L(+)−乳酸は、弾丸又は円柱形状に圧縮される。形状又は物理的形態が何であれ、わずかに高められた温度で空気又はガスの流れに曝露すると、液体、半固体又は固体のルアーから誘引剤が放出される。一実施形態において、昆虫捕獲デバイスからなどの暖かく湿ったCO2含有排気流は、化学誘引剤又は化学誘引剤群の表面の少なくとも一部と接触し、それによって乳酸及びアンモニアなどの化学誘引剤を排気流中に拡散させることになる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、液体ルアーは、化学誘引剤として使用できる。液体ルアーは、それ自体、ガス流の流入及び流出を可能にする1つ又は複数の開口部又は通路を有するが、液体の流入又は流出を許さない適切な容器又は器の中で使用できる。代わりの実施形態では、液体ルアーを、空気又は前述の二酸化炭素含有排気流などのその他の適切なガスに曝露すると誘引化合物を放出する多孔性のロッド又はフリットなどの担体に含浸する。液体の化学誘引剤を放出可能な状態で保持する能力のある任意の適切な担体を採用できる。本発明の幾つかの実施形態では、担体フリット1g当たり約1.5g〜約4.5g(好ましくは、担体フリット1g当たり約3.5g〜約4.5g、又は担体フリット1g当たり約1.9g〜約2.5g)の濃度の液体乳酸が、化学誘引剤として、単独で、或いは1つ又は複数のさらなる誘引剤と組み合わせて使用される。外界空気温度から最大で外界空気温度を約15°F上回る(例えば、外界空気温度を約3°F、約5°F、約8°F、約10°F、約12°F、約15°F上回る)温度のCO2排気流にさらすと、誘引剤から乳酸が拡散する。もちろん、より高温の排気流も使用できる。一方、特に暖かい気候で使用するために設計した場合などに、ルアーの性質及び所望拡散速度に応じて、外界温度又は外界温度をほんのわずかだけ上回る排気ガス流を使用することも本発明の範囲に包含される。任意の特定の環境に適した温度は、当業者の技術範囲の定型的手法によって容易に決定できる。更に、これらの濃度は、所定の環境に対して最適化できる。
【0032】
ばらばらの、又は圧縮した粉末状又は顆粒状重炭酸アンモニウムからのアンモニアの拡散は、好都合には、ルアー表面の少なくとも一部を、ガス、例えば空気又はCO2ガス(又はCO2含有排気)と、約外界温度(又は好ましくは約85°Fから)〜約140°F(又は好ましくは約115°F)の温度で、或いは高分子ゲル中の乳酸溶液などの乳酸ルアーから乳酸を拡散させるのにも有効である他の温度範囲で接触させることによって達成できる。約85°F〜約140°Fの範囲の流出ガス温度が、例えば、本発明の様々な実施形態に関して述べられているような乳酸/ゲル、及び重炭酸アンモニウムを含むこれらの誘引剤供給源のほとんどから乳酸及びアンモニアを発生させるのに一般的に有効である。
【0033】
化学誘引剤をカートリッジ内に充填して、昆虫捕獲デバイスを取り巻く空気中への誘引剤の放出速度をより良好に制御することができる。ルアーからの化学誘引剤の放出速度は、恐らく典型的には温度に比例する。すなわち、周囲の温度を高めて放出速度の増加を達成できる。このような放出速度は、誘引剤を通過するガスの流速、及び化学誘引剤の幾何学的形状及び曝露される表面積にも関連している可能性がある。これらの因子を調節して、所定の化学誘引剤及び所定の環境条件に対して所望の放出特性を提供できる。前に言及したように、CO2含有排気プルーム又はその他の担体ガスの温度を、必要通りに調節して所定の環境条件下における捕獲デバイスからの誘引剤放出を高めることができる。
【0034】
液体、半液体(ゲルを含む)及び固体ルアーからの化学誘引剤の放出を制御して、数日から数週間の期間にわたる有効レベルの昆虫誘引を達成できる。本発明の実施形態によれば、乳酸に関する誘引剤放出速度を、約1mg/hr〜約30mg/hrの範囲内、例えば約2mg/hr、約3mg/hr、約4mg/hr、約6mg/hr、約8mg/hr、約10mg/hr、約12mg/hr、約14mg/hr、約15mg/hr、約16mg/hr、約18mg/hr、約20mg/hrなどに制御することができる。但し、これらの値は単なる代表であること、及び所定単位の「整」数値は必要ないことを理解されたい(文脈が別途示していない限り、数値が与えられる場合はいつでも、本明細書の全体を通して同じことが適用される)。本明細書に記載される本発明の別な実施形態によるこれらの及びその他の放出速度は、1時間、6時間、12時間、24時間、5日間、7日間、10日間、12日間、14日間、15日間、18日間、21日間、又はその他の期間にわたって平均化された平均放出速度を表す。
【0035】
アンモニアガスの放出速度は、特定の供給源及びその構成に応じて、一般には、乳酸の放出速度よりも大きい。従って、本発明の実施形態において、アンモニア供給源及び乳酸供給源は、身体の滲出物を真似るのに有効な、且つ、例えば少なくとも約2週間、又は少なくとも約3週間、或いはより長いような長期間にわたって標的飛翔昆虫を捕獲するのに有効な両方の誘引剤の混合物を提供するように設計される。例えば、アンモニアガス供給源が重炭酸アンモニウムである場合には、アンモニア、二酸化炭素及び水への分解は、一般に、約30℃(86°F)で始まり、約60℃(140°F)又はより高い温度で急速に分解する。ほぼこれらの温度で使用する場合には、放出速度(化学誘引剤の総量を基準にした)は、1、2、3週間又はそれ以上の使用期間にわたって、約16mg/hr〜約130mg/hrの範囲のレベルで得られ、或いは、特定の使用条件設定に応じてより遅くてもより速くてもよい。例えば、好ましくは屋外使用のために本発明の実施形態において、重炭酸アンモニウムの分解から得られる放出速度は、一時的により大きな初期放出速度の後において、1〜2週間にわたって平均で約50〜約70mg/hrの範囲である。屋内使用を対象とした本発明の実施形態において、重炭酸アンモニウムの分解から得られる放出速度は、好ましくは、約1mg/hr〜約60mg/hr、又は、より好ましくは約5mg/hr〜約50mg/hrの範囲である。乳酸及びアンモニア(例えば重炭酸アンモニウムから)に対するここに示した範囲内の放出速度は、ルアーの十分な寿命を、標的の飛翔昆虫を捕獲するのに有効な滲出物(汗など)の効果的擬態を有する通常少なくとも約2週間、例えば少なくとも3週間又はそれ以上を提供する。屋内使用に適した本発明の実施形態において、乳酸及びアンモニアの放出速度は、好ましくは、アンモニア及び乳酸の濃度が人間にとって耐え得るように、より好ましくは、健康、安全、又は美的目的のために設定された基準以内であるように選択される。
【0036】
採用される化学誘引剤の量は、ルアーの大きさ及び形状、選択した製剤、ルアーに関して予想される環境条件に応じて変更できる。
【0037】
放出速度は、特定の化学ルアーを用いて飛翔昆虫の中の特定種を効果的に捕獲するように仕立てることができる。高度に揮発性である幾つかの誘引剤は、化合物の揮発を低減してルアー効力の早すぎる低下を排除するように設計された幾何形状のルアーを使用できる。対照的に、その他の比較的緩慢な化学誘引剤は、空気又はCO2流への拡散を促進するために、加熱又はその他の反応を必要とする場合がある。本質的に揮発性を示さない化合物は、昆虫の効果的な誘引を達成する見地から見て制御することがより困難である。
【0038】
より一般的には、二酸化炭素を含有する流出ガス中への乳酸及びアンモニア(例えば、重炭酸アンモニウムの分解におけるような二酸化炭素及び水蒸気を含むその他の誘引剤ガスも含めてもよい)の放出速度は、流出ガスの連続流の場合、長期間、通常少なくとも約2週間又は少なくとも約3週間又はそれ以上の間にわたり、流出ガス中に滲出物(例えばヒト又はその他の哺乳動物の汗又はその他の体液など)を真似た混合物を形成するように一般に制御される。もちろん、ルアーの寿命及び有効性は、ルアーの個々の成分を流出ガスと間欠的にのみ接触させるなら、いっそう更に延長できる。更に、化学誘引剤の放出は、拡散又は化学誘引剤に関する空気移動であるその他の受動的手段によって達成可能であり、或いは、ガス流を、送風機、排気ガスプルーム又はその他の手段の使用により、化学誘引剤に接触して通過するように導くことができる。
【0039】
従って、一実施形態において、本発明は、場合によってはガス流と組み合わせた乳酸供給源及びアンモニア供給源を含む、飛翔昆虫を誘引するためのルアーを提供する。ガス流は、流速が10L/分〜約250L/分、より好ましくは約40L/分〜約140L/分のほぼ定常流の空気を提供できる。別の流速を選択して、使用する所定の化学誘引剤及び所定の環境条件に対して所望の放出速度特性を達成できることを理解されたい。最適には高濃度の二酸化炭素ガス(例えば約5ml/リットル)を含有する温度約90°Fの空気の定常流(約150ml/分の流速)と接触すると、ルアーは、少なくとも約2週間(例えば、少なくとも約300時間)又は少なくとも約3週間(例えば、少なくとも約500時間)の間、誘引剤から、アンモニア供給源からのアンモニアを含有する約16mg/hr〜約130mg/hrの範囲内の化学誘引剤を放出し、乳酸供給源からの乳酸を含有する約2mg/hr〜約20mg/hrの範囲内の化学誘引剤を放出する。
【0040】
固体又は液体の化学ルアーを保持するために選択されるハウジングは、特定の化学ルアーを空気又はガス流(CO2含有排気流など)に対する最適な曝露と適合させるように選択できる。本明細書中で使用する場合、CO2ガス流、CO2ガス、CO2排気流などは、外界空気と比較して高濃度のCO2を含有するガスを指し、燃焼排気ガス、CO2、及びその中に空気及びその他のガスを含む混合物が挙げられる。このようなハウジングは、調節可能な複数のアパーチャーを有することができ、それによって、誘引剤の拡散速度を比較的微細に制御できる。例えば、ルアーは、特定の化学誘引剤又は誘引剤の混合物を特定の速度又は複数の速度で放出し、飛翔昆虫中の特定種、例えば病気を運搬する、噛み付く、又は刺す昆虫を誘引し、且つルアーの有用寿命を延長するように選択し、構成することができる。本発明の一実施形態によれば、ハウジングは、1つ又は複数の通気孔を有する管状のバスケットに似ているように配置及び構成される。ハウジングバスケットは、末端キャップを有してもよい。本発明の実施形態によるルアーハウジングは、特定の化学誘引剤及び標的昆虫に応じて、所望の速度、例えば、約2mg/hr〜約20mg/hrなど、又はこの範囲内の任意の中間値、或いはより大きな値で、誘引剤を放出することを可能にするように構成される。本発明の一実施形態によれば、放出速度は、化学ルアーがさらされる排気ガス流速/排気ガス温度によって少なくとも一部は制御できる。放出速度はまた、本発明の幾つかの実施形態において、ハウジングの化学誘引剤用又は複数の誘引剤用の開口部(群)の面積によって制御できる。本発明の実施形態において、開口部(群)又は穴(群)は、大きさが変更可能でよい。他の実施形態において、開口部(群)又は穴(群)は、大きさが固定でもよい。開口部又は孔の形状は、特に決定的ではなく、丸、正方形、長方形、又は任意のその他規則的若しくは不規則的幾何形状でよい。
【0041】
本発明の一実施形態では、1つ又は複数の化学誘引ルアーを、適切な生分解性ポリマーを用いて調合し、成型して特定の三次元幾何形状を呈する物品にする。適切な生分解性ポリマーは、とりわけ注型又は押出し成型に対する適合性を目指して選択される。このような生分解性ポリマーは、やがて時ランダムな加水分解によって分解することができる。成型した生分解性ポリマーが壊れるにつれ、成型品から新鮮な化学誘引剤が連続的に放出される。化学ルアーは、完全な分解及び崩壊が、廃棄が容易な環境に望ましい化合物を生じるように選択できる。例えば、ポリ(L(+)−ラクチド)、ポリグリコリド、及びポリ(ラクチド−co−グリコリド)である生分解性ポリマーは、分解して、それぞれL(+)−乳酸、グリコール酸、及びL(+)−乳酸とグリコール酸を形成する。
【0042】
分解速度は、例えば、空気流に曝露されるルアー表面積の総量に応じて少なくとも数週間から数ヶ月又はそれ以上に変更できる。空気流は、化学化合物の性質及び意図したルアーの使用環境に基づいて選択できる。分解速度は、採用するポリマー又はポリマー組成物を変更することによって、及び/又はルアーの幾何形状を調節してCO2又は類似のガス或いは空気流に対する表面積曝露を増減することによって制御することもできる。一般に、非定型(コ)ポリマーは、半結晶性ポリマーよりも迅速に分解する。
【0043】
本発明の他の実施形態では、少なくとも1種の化学誘引剤と適切なポリマーとの同時射出成型によって少なくとも1つの化学ルアーを調製し、誘引剤を染み込ませた成型品を形成する。このようなベイト化した成型品は、期間を通して化学誘引剤の放出を確実にするのに必要な最大表面積を提供するように形作ることができる。本発明の他の実施形態において、射出成型の工程は、ガスを導入することを含み、それによって、成型品の内部に穴からなる網状組織を創造する。これらの穴によって、水蒸気と一緒になったCO2排気流などのガス流が成型品を貫通して流れることが可能になり、それによって、その中に含まれている化学ルアーの放出を高める。このような設計により、作用濃度の誘引剤を長期間にわたって分散させることが可能になるように、比較的弱い昆虫誘引剤を節のない速度でルアーから放出することが可能になる。
【0044】
化学ルアーを射出成型すると、ルアーと、ルアーを収容するハウジングの間の機械的インターフェースを提供する不可欠部分と共にルアーを製造することも可能になる。このような機械的インターフェース、例えば、鉤(hook)、突起(lug)、留め金具(snap fitting)などは、特定のハウジングに合うように仕立てられたルアーを提供する。このようなハウジングは、所定の市場での、又は特定の捕獲装置を用いる使用に向けて設計できる。この方式において、ルアーは、環境条件及び特定の地理学的領域に結び付いた飛翔昆虫種に向けて特定的に設計できる。これらの市場特異的化学ルアーは、末端ユーザーに、購入後に案出した必要に合わせて彼らの昆虫トラップを仕立てるための選択を提供するのに有用である。
【0045】
本発明の他の実施形態において、化学ルアーは、CO2を発生させるための可燃性燃料を含む燃料供給源と共に使用するために構成された昆虫捕獲デバイスに取り付け可能である。本発明の一実施形態において、昆虫捕獲デバイスは、支持フレーム、該支持フレーム上に収容された昆虫捕獲チャンバー、該支持フレーム上に収容された燃焼デバイス、及び昆虫捕獲チャンバーに向かって昆虫を化学的に誘引するように配置及び構成された昆虫ルアーを備えている。燃焼デバイスは、燃料供給源と連結するための入口ポート、排気ポート、入口ポートを排気ポートと連通している燃焼チャンバーを備えている。入口ポートにより、燃料供給源からの燃料が燃焼チャンバーに流れ、その中で連続的に燃焼して燃焼チャンバー内で排気ガスを創り出すことが可能になる。
【0046】
本発明の実施形態において、燃焼デバイスは、燃焼チャンバー内の連続燃焼が起こる箇所の下流に配置された触媒要素を更に備えている。触媒体は、運転中に排気ガス中の一酸化炭素をCO2に変換する触媒的に活性な材料を含む。CO2排気ガスと化学誘引剤の組合せは、飛翔昆虫が宿主を探索する際に検知する、哺乳動物が放出する化合物を真似ている。このような特徴は、同時係属の米国特許出願第10/264,260号に開示されており、その内容をその全体で本明細書に組み込む。
【0047】
排気出口は、フレーム上に収容され、燃焼デバイスの排気ポートと連通している。排気ポートによって、排気ガスは排気出口を通って外に流れ出ることが可能になり、その結果、排気ガス中のCO2に誘引された昆虫は、排気出口に向かって飛行する。昆虫入口も、排気出口に隣接したフレーム上に収容される。昆虫入口は、飛翔昆虫が昆虫入口を通って捕獲チャンバーに進入できるように、昆虫捕獲チャンバーと連通している。昆虫入口と連通した真空デバイスは、排気出口に誘引された昆虫を、昆虫入口を通して昆虫捕獲チャンバー内に吸い込むように構成、配置される。昆虫を昆虫入口に誘引するのを高めるために、少なくとも1つの化学ルアーを含む容器を、昆虫入口又はその近くの昆虫捕獲デバイスに取り付ける。
【0048】
本発明の実施形態は、昆虫を誘引するCO2を生成する触媒体、及び制御された放出速度で誘引剤の連続供給を提供するように配置、構成された化学ルアー又はルアー群を含む。昆虫が、昆虫入口の十分近くを飛行しないで排気出口から発散するCO2のプルームを目標にして、昆虫捕獲チャンバー内に捕獲するための昆虫入口に吸い込まれる可能性は小さいので、このような配列は飛翔昆虫に対してさらなる誘引を提供できる。本発明の実施形態による少なくとも1つの化学ルアーを備えると、そこに誘引された昆虫を捕獲することにおいて、及び前以て予想されないレベルの相乗効果を達成することにおいて、デバイスの有効性が実質的に向上する。
【0049】
本明細書に記載する本発明の実施形態は、化学誘引剤を、単独で又は飛翔昆虫を誘引できる1種又は複数のさらなる材料と組み合わせて利用できる。従って、少なくとも1つの化学ルアー/1つ又は複数の視覚的昆虫ルアーと一緒のCO2など、2つ又はそれ以上の昆虫誘引成分の組合せを採用できる。
【0050】
本発明の実施形態によれば、飛翔昆虫を誘引するための誘引剤システムは、少なくとも1つの第一化学誘引剤、少なくとも1つの第二化学誘引剤を有し、該第一及び第二誘引剤/その拡散物は、互いに化学的に反応性であり、第一及び第二化学誘引剤は、第一及び第二化学誘引剤の間の接触/それらの拡散物間の接触を防止するように貯蔵される。
【0051】
第一化学誘引剤は、任意の前記実施形態でのように乳酸供給源を含む。第二化学誘引剤は、アンモニアガス供給源を含む。ハウジング中に、これらの2つ、及び場合によっては1つ又は複数のさらなる化学ルアー/視覚的ルアーを配置されることができ、これらのルアーは、前述のようにCO2ガス供給源と接触すると活性化して、個々の誘引剤(例えば乳酸及びアンモニア)のCO2ガス流中への拡散を引き起こし、結果として、誘引剤の混合物が混合して、任意の誘引剤の単独よりも飛翔昆虫を誘引する上でより有効である可能性のある組合せ化学誘引剤を形成する。
【0052】
第一及び第二化学誘引剤間の早すぎる分散又は相互作用(化学反応を含む)を防止するために、誘引剤を、分離して包装又はシールし、或いは誘引剤を、例えば、ハウジング全体又はその入口と排気出口のみを密閉シールすることによって互いから物理的に隔離して単一のハウジング中に包装することができる。
【0053】
本明細書中で使用する場合、用語「単一ハウジング」、「単位包装」、又は類似の用語は、末端ユーザーに対してユニットとして販売できる任意の包装を指すと解釈される。本発明の一実施形態において、単位包装は、第一チャンバー及び第二チャンバー、第一チャンバー中に貯蔵されている第一誘引剤、及び第二チャンバー内に貯蔵されている第二誘引剤を有するハウジングの形態である。一実施形態において、第二チャンバーは、第一チャンバーと同じハウジング内に収容される。誘引剤/ハウジング/チャンバーは、実質的に円柱の形状を有することができる。本発明の一実施形態において、ハウジングの壁は、誘引剤の直径と同一又は僅かに大きな直径を有する第一及び第二チャンバーの壁を画定する。
【0054】
他の実施形態において、第一及び第二チャンバーは、ハウジング壁の内部に、壁から間隔をあけて配置される。例えば、ハウジングの内部壁は、ハウジングの内壁との関係で間隔をあけて誘引剤を多少とも確実に保持する空間を画定する2つ以上の向かい合った突起を含む。例えば、突起は、正反対に向かい合って(例えば、約180°あけて)間隔をあけた位置、又は約45°、60°、又は90°で間隔をあけた位置、或いはハウジング内に誘引剤を固定するためのその他任意の好都合な配置のそれぞれ又は幾つかに突起を有するハウジングの全長に沿って長手方向に間隔をあけた幾つかの位置に配置することができる。ハウジング壁と誘引剤の間の空間は、飛翔昆虫を誘引し、続いて捕獲又は殺すために、それぞれの誘引剤を外界環境に流すためのガス流中への拡散を起こさせる能力のある、CO2ガス流又はその他のガス流のための流れ経路を提供できる。ハウジングの壁は、外部を流れるCO2又はその他のガス流による誘引剤に対する接近を更に提供する1つ又は複数の開口部を含むこともできる。1つ又は複数の開口部は、同一又は異なる大きさでよく、大きさは固定でも可変でもよい。
【0055】
第一及び第二化学誘引剤が互いに反応性であり/それらの揮発又は拡散物が互いに反応性である本発明の実施形態によれば、第一及び第二誘引剤間/それらからの蒸気間の接触を可能にする任意の開口部又は通路は、そのような早すぎる反応を防止し、ルアーの有用寿命を延長するように、最初の使用に先立ってシールされる。
【0056】
本発明の更に他の代わりの実施形態において、第一及び第二化学誘引剤は、昆虫捕獲装置に取り付けるための誘引剤システムの一部であり、該誘引剤システムは、少なくとも1つの第一チャンバー、少なくとも1つの第二チャンバーを画定するハウジングを含み、該ハウジングは、昆虫捕獲装置に取り付けられるように構成される。第一化学誘引剤は、第一チャンバー内に収容され、第二化学誘引剤は第二チャンバー内に収容される。第一及び第二チャンバーは、それぞれ、第一及び第二昆虫誘引剤がそれぞれそこを通って拡散することを可能にするための少なくとも1つの開口部を有する。第一及び第二チャンバーは、昆虫誘引剤及びその拡散物(例えばアンモニアガス)間の相互混合又は接触を本質的に防止するために、チャンバーの開口部を閉鎖している除去可能な1つ又は複数のシールを含む構造によって互いから本質的に隔離される。1つ又は複数の除去可能なシールを除去すると、チャンバーの少なくとも1つの開口部が開き、それによって、昆虫捕獲装置にハウジングを取り付けた場合、そこから昆虫誘引剤が拡散し、昆虫を昆虫捕獲装置に誘引することが可能になる。このような誘引剤システムの一実施形態において、第一チャンバーを画定するハウジングは、化学的に反応性のある誘引剤が共通又は単一ハウジング中で互いに直接接触しないように第一及び第二チャンバーを隔離するための構造を更に含む第二チャンバーも画定する。本発明のこの実施形態による誘引剤システムは、2004年6月8日に同時出願の代理人整理番号9554/308673で出願された「ATTRACTANT SYSTEM FOR MOUNTING TO AN INSECT TRAPPING APPARATUS」の名称をつけた、共通に譲渡された同時係属の仮出願中に更に詳細に開示されており、そのすべての開示を参照により本明細書に組み込む。
【0057】
本発明の様々な実施形態のいずれかにおいて、ハウジングは、一般に、CO2ガスなどの暖かいガス流が、第一及び第二誘引剤の曝露表面の少なくとも一部と接触できる少なくとも1つの入口、及びCO2ガスが、流れる暖かいガス流との接触の結果として誘引剤から拡散した第一/第二誘引剤(例えば、乳酸及びアンモニア)と一緒にそれぞれのチャンバー及びハウジングから出ることのできる、各チャンバーと連通した少なくとも1つの出口を含む。もちろん、ガス流のための入口(群)及び出口(群)は、同一でよい。第一及び第二誘引剤を、ハウジング内に装填し/流動ガス流に接触させる順序は、自由裁量であり、任意の順序でよい。
【0058】
本発明の他の実施形態において、第一及び第二誘引剤は、並行関係で、例えば、それらのそれぞれの縦軸を少なくとも実質的に並行にして配置され、最初の使用に先立って、そうでなければ反応するルアー間の早すぎる接触を防止する共通又は単位包装、或いはレセプタクル中に包装できる。
【0059】
本発明の更に他の実施形態において、第一及び第二化学誘引剤は、化学誘引剤をその中に拡散させる予定の流動ガス流が誘引剤のそれぞれと接触できる限り、環状配置で配置することができる。例えば、外側直径d1を有する第一誘引剤を、開口部又はチャネルの直径がd2(ここでd2≧d1)である第二誘引剤の長手方向に伸びている開口部又はチャネル内に嵌め込むことができる。d2=d1の場合には、第一誘引剤は、ガス流を流すための通路を形成しているそれ自身の長手方向に伸びている開口部を含み、一方、第二誘引剤の外側直径と接触した状態のガス流の分流は、第一及び第二化学誘引剤からの各誘引剤を拡散させる。d2>d1の場合には、第二誘引剤の長手方向に伸びている開口部を流れるガス流は、両方の誘引剤の表面と接触状態にあり、場合によっては第二誘引剤の外側表面と接触した状態のさらなるガス流が、両誘引剤を拡散させる。ここでも再び、環状配置における第一及び第二誘引剤の内側又は外側誘引剤としての順序は、自由裁量であり、反対にもできる。この実施形態は、使用前の予想される貯蔵条件下で、化学的に反応しない、又は徐々にのみ、或いは実質上化学的に反応しない化学誘引剤にとって特に重要である場合がある。より反応性のある化学誘引剤の場合には、スペーサー/取り外し可能なラップ、或いはその他のタイプのフィルム又はシーラントを使用して、ルアーを直接接触しない状態に維持できる。
【0060】
第一及び第二化学誘引剤は、上述のような本発明の実施形態により、使用直前まで互いから物理的に隔離された状態で維持される。本明細書中で使用する場合、「物理的隔離」又は「物理的に隔離された」は、直接的に触れないこと、又はそうでなければ、第一及び第二誘引剤が直接反応すること、又はそれらのガス状及び/又は蒸気拡散物(例えば、アンモニア及び乳酸など)が互いに反応することを可能にする条件下で、接触するのを防止されていることを意味する。この目的のために、本発明の実施形態において、第一及び第二誘引剤のどちらか又は両方を、分離して包装、又はシールできる(例えば、収縮ラップ包装におけるような密閉シールなど)。
【0061】
本発明の実施形態において、乳酸を発生する化学誘引剤は、ゲル網状組織及び該ゲル網状組織内にあるがそれと化学的に結合していない乳酸を含む高分子ゲルを含むことができ、プラスチックカートリッジに入れられる。少なくとも1つの穴、又はその側壁に乳酸蒸気の通路用のその他の通気手段を有するプラスチックカートリッジを、それ自体、次いで、開放端を有する適切なレセプタクルに取り付ける。カートリッジ及びレセプタクルの少なくとも1つの穴又は通気手段のどちらか又は両方を、一時的にシールして、その中に入れた乳酸材料の偶発的接触又はそれからの乳酸の放出を防止できる。第二誘引剤としてのアンモニアガス供給源は、それ自身のカートリッジ内に、又は乳酸含有ゲルを収容しているカートリッジの隔離チャンバー内に入れることもできる。アンモニア供給源は、多孔性の袋又は容器内に詰めたばらばらの粉末又は顆粒の形態でよく、例えばプラスチック又は金属箔の包装材料で一時的にシールされる。別法として、粉末又は顆粒は、例えば、一体形態(円柱形など)に注型又は成型することができ、カートリッジ又はレセプタクルの開放端内に収められる。
【0062】
本発明の実施形態において、カートリッジハウジングは、それぞれ第一及び第二チャンバーに入れた第一及び第二誘引剤を分離するために、ハウジングの材料と同一又は異なる材料からなる膜、棚、又はその他のセパレーターによって分離された第一及び第二チャンバーを有する。前述のようなガス流の流入又は流出のための、ハウジングのいずれかの開口部は、広告、成分及び/又は使用説明を書いた封印を有してもよい剥離可能なシーリングテープなどによって、使用直前まで一時的にシールされる。
【0063】
第一及び第二誘引剤を物理的隔離の状態に維持するための、これらのデバイスのいずれか又は全て、或いはその他任意の手段は、本発明の範囲に採用できる。
【0064】
開口部、孔又は通気孔の代替として、ハウジング又は隔離構造を、ガス、特に大気圧のガスの脱出を可能にする多孔性材料で形成できる。例えば、ハウジング、カートリッジ、膜などを、予想される取扱い及び使用条件に対する構造的完全性を有する、焼結金属、連続気泡発泡プラスチック又はその他の多孔性材料で形成できる。ここでもまた、多孔性材料を、除去可能なシーラント、例えば収縮ラッピングテープなどで効果的にシールし、貯蔵中に発生する可能性のあるなんらかの蒸気漏洩を防止できる。
【0065】
第一又は第二誘引剤の一方を、CO2ガス入口に対して隣接した状態で、例えば下流に配置できる。
【0066】
本発明の一実施形態において、アンモニアガスの供給源は、式NH4HCO3を有する重炭酸アンモニウム(炭酸水素アンモニウムとしても知られている)であるか、或いはそれを含有する。
【0067】
重炭酸アンモニウムは、例えば顆粒を形成するための結合剤を始めとする不活性原料と混合できる。次いで、顆粒を、使用を予定したハウジング又は設備に応じて、所望の形状に圧密できる。一実施形態において、重炭酸アンモニウム誘引剤の形状は、乳酸を含む第一誘引剤の形状と実質的に同一でよく、例えば、両方とも、実質的に円柱状でよい。
【0068】
空気又は二酸化炭素ガスの流れが重炭酸アンモニウム上を又は貫通して通過すると、ガス状のアンモニア、二酸化炭素及び水が発生することになり、その生成速度は、空気又はCO2ガス流の流速、ガス流の温度及び曝露表面積で決まる。
【0069】
本発明の一実施形態において、第二化学誘引剤は、重炭酸アンモニウム顆粒、結合剤及び水からなる圧密又は成型混合物を含む。一実施形態において、混合物の総重量を基準にして、重炭酸アンモニウムの量は、約50%〜約90%、例えば、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%であり、結合剤の量は、約5%〜約35%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、又は約35%であり、水の量は、約3%〜約20%、例えば、約3%、約5%、約10%、約15%、約20%である。
【0070】
任意の適切で通常的には不活性な結合剤を使用できる。適切な結合剤の例には、例えば、当業者に周知であるような、デンプン、ワックス(例えば、カルナウバ蝋、蜜蝋)低分子量水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレングリコール))、セルロース及びセルロース誘導体(例えば、マイクロクリスタリンセルロース、修飾セルロース、アルキルセルロースなどのセルロースエーテル)、ゴム(例えば、グアーゴム、トラガカントゴム)、脂肪酸及びエステル(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸アルキル)、リン酸二水素カルシウム、マンニトール、フルクトース、キシリトールなどが含まれる。水も結合機能を提供する。
【0071】
アンモニアガスは、アンモニウム塩と塩基の反応によって発生させることもできる。アンモニウム塩及び塩基は、各反応物の微粉砕固体粒子の均一又は完全混合物として提供できる。例えば、CO2ガス流から、又はその他の外部供給源から提供できる適度の熱を印加すると、反応が始まる。ここで、反応生成物は、アンモニアガス及び副生物である水蒸気を含むであろう。アンモニウム塩は、無機アンモニウム塩又は有機アンモニウム塩でよい。無機塩の例としては、ハロゲン化物、硫酸塩、硫化物、硝酸塩及びリン酸塩が挙げられる。酢酸アンモニウムは、有機アンモニウム塩の代表である。その他のカルボン酸も使用できる。使用できる塩基の代表例には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)の水酸化物のような強塩基、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム)、酸化物(例えば、酸化カルシウム)、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)が含まれる。
【0072】
多くの場合、経済的観点から、アンモニウム塩としては塩化アンモニウムを、塩基としては酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)又は炭酸カルシウム(石灰石)を選択するのが好都合である。炭酸カルシウムを選択した場合には、中間体として炭酸アンモニウムが形成され、それは、一般に、比率がおおよそ2:1の重炭酸アンモニウムと炭酸アンモニウムの混合物として存在することに留意されたい。前に考察したように、重炭酸アンモニウムは、例えば、暖かいCO2ガス流と接触すると分解してアンモニアになる。カルバミン酸塩も、空気又はCO2ガスと接触して、重炭酸塩に転換され、従って、さらなるアンモニアガスを発生できる。
【0073】
分解してアンモニアガスを放出する、任意の液体又は固体の無機又は有機アンモニウム化合物も使用できる。適切なアンモニウム化合物の例には、例えば、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム/炭酸スカンジウム複塩一水和物、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、ペンタシアノ鉄(II)アンミンアンモニウム二ナトリウム水和物、フェロシアン化アンモニウム(II)水和物、ギ酸アンモニウム、水酸化アンモニウム(アンモニア水)、クエン酸水素アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、クエン酸アンモニウム鉄(III)、乳酸アンモニウム、硫酸アンモニウムニッケル(II)六水和物、シュウ酸アンモニウムニオブ、硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウムのマトリックス修飾因子溶液、シュウ酸アンモニウム一水和物、過塩素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫化アンモニウム水溶液、硫化アンモニウム一水和物、及びL−酒石酸アンモニウムが含まれる。
【0074】
アンモニアガスそれ自体、例えば、加圧アンモニアシリンダー又は適切な溶媒に溶かしたアンモニア溶液を使用することも本発明の範囲に包含される。
【0075】
アンモニウム化合物又はアンモニアガスの選択は、ルアーの使用予定場所での入手可能性で左右される。ルアーが、ユーザーの家庭などの囲まれた空間内、或いは煙霧又は蒸気がヒト又はその他の動物と接触すると予想される場所で使用することが期待される、又はそのために特に設計される本発明の実施形態において、化学ルアーは、その分解生成物を含め、無毒且つ非刺激性であり、概して安全であることが特に重要である。本発明の実施形態では、化学誘引剤として食品級乳酸及び食品級重炭酸アンモニウムを使用する。しかし、消費及び/又はヒト及びその他の動物との接触に関して危険がないと一般に認められている任意の類似誘引剤を使用できる。
【0076】
本発明の他の実施形態において、視覚によるルアーを採用して、捕獲デバイスの飛翔昆虫に対する誘引を相乗的に高めることができる。例えば、視覚による昆虫ルアーは、飛翔昆虫の特定種を誘引するように仕立てられた視覚的合図を提供するように選択できる。このような視覚によるルアーは、少なくとも2種の比較的大きく、コントラストをつけた彩色面を提供するように配列される。視覚によるルアーは、1つ又は複数の輝く黒色表面、高光沢反射銀色表面、又は深紅色又は銀色の面を含むことができる。視覚によるルアーは、約50:50〜約70:30の比率の深紅色:銀色の面を含むことができる。深紅色:銀色の比率は、約60:40〜約70:30でよい。
【0077】
視覚によるルアーは、捕獲デバイスに結合される幾何形状に形作ることができる。幾何形状は、特定の飛翔昆虫種を特に誘引するように選択できる。例えば、視覚によるルアーは、湾曲及び平面形の組合せを含むことができる。彩色した球及び円錐は、特定の飛翔昆虫に対して誘引性を示した。しかし、多くの形状を、昆虫に対して彩色誘引物を露出するための表面積を最大化するように設計することができ、それによって、感じやすい飛翔昆虫を捕獲デバイスに誘惑する。
【0078】
視覚によるルアーは、捕獲デバイスの機能的又は構造的特徴の中に統合することもできる。従って、視覚による昆虫ルアーは、スタンド脚、捕獲ユニットのハウジング、排気出口ノズル及び昆虫吸込みノズルなど、1つ又は複数の彩色昆虫トラップ構成部品の少なくとも一部を含むことができる。例えば、捕獲デバイスは、深紅色部分、銀色部分、驚くべきことに優れた昆虫誘引能力を示した配色を有するように成型された昆虫吸込みノズルを含むことができる。このような吸込みノズルは、1つ又は複数の化学ルアー及びCO2排気プルームと組み合わせた状態で、非常に高い昆虫捕獲数の可能な飛翔昆虫捕獲デバイスを提供できる。
【0079】
本発明の実施形態による、水をベースにした乳酸のゲル状形態は、食品級L(+)−乳酸水溶液から調製される。本発明の実施形態において、製品は、Mosquito Magnet(登録商標)(米国、ロードアイランド、American Biophysics Corpの商標)中で少なくとも約3〜4週間の間、比較的高速度でL(+)−乳酸を放出できるように調合される。
【0080】
ゲル製品は、L(+)−乳酸溶液をUV硬化性水溶液と混合することによって形成することができ、そこでは、溶液全体が、紫外線(UV)照射下でゲル化する網状組織(L(+)−乳酸ゲル)を形成する。L(+)−乳酸と形成されたゲル化する網状組織の間に化学的接続は存在しない。換言すれば、L(+)−乳酸とゲル化する網状組織の間に化学結合は存在しない。従って、L(+)−乳酸は、例えば、環境温度、環境に曝露される化学誘引剤の表面積などに応じた所望の速度でL(+)−乳酸ゲルを自由に放出できる。
【0081】
本発明の一実施形態では、L(+)−乳酸ゲルを、カートリッジ内に挿入又はその中で形成できる。
【0082】
本発明の実施形態では、必要な放出速度及び時間を維持するために、L(+)−乳酸ゲルの下に水ゲル層を配置し、L(+)−乳酸ゲルに水を連続的に供給する貯水池を提供する。
【0083】
表1に、本発明の様々な実施形態による乳酸ゲルの製造に使用できる代表的な化学薬品を示す。
【0084】
【表1】
【0085】
上記の乳酸ゲル製剤を含む個々のカートリッジは、プラスチック容器、例えば高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はその他の不活性プラスチック中で、表1からの成分を、次の順序、すなわちSR610、Irgacure651/アセトン溶液、乳酸溶液及び水の順序で撹拌しながら混合することによって調製できる。
【0086】
Irgacure651のアセトン溶液を最初に調製し、得られた溶液は、使用の準備ができるまで、暗くして、例えば琥珀色でシールした容器中で貯蔵すべきである。アセトンに対する光開始剤の重量比は、約5〜約25%、又は約10〜約20%の範囲でよい。
【0087】
本発明の一実施形態では、透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを使用して、真空成型及びヒートシール処理でカートリッジを作製する。該カートリッジは、L(+)乳酸を、カートリッジの頂部表面の穴/穴(複数)を通して特定の速度で放出できる。穴の大きさと数が、カートリッジからのL(+)−乳酸の放出速度を制御する。本発明の一実施形態では、カートリッジの表面に1つの穴が存在し、その穴の大きさは直径が約0.14インチである。カートリッジの放出表面をシールするためには、例えばアルミ箔と熱シールが可能なプラスチックフィルムから構成される複層テープでよい。そのシールを、カートリッジ用のラベルとしても使用できる。
【0088】
一実施形態では、最初にアクリル酸ナトリウム溶液を調製する。アクリル酸ナトリウムはUV硬化性水溶液の例であり、アクリル酸ナトリウム水溶液と乳酸は、熱又はUV照射下で、SR610(これは、官能基を提供する分子中に2つの二重結合を有する二官能性架橋剤の例である)などの二又は三官能性架橋剤と反応すると、ゲル状構造を形成する。アクリル酸ナトリウムは、両方とも広範な製造業者から容易に入手できる水酸化ナトリウム及びアクリル酸を反応させて調製できる。別法として、その場で形成するのに代わって、商業的に生産されたアクリル酸ナトリウムを使用できる。
【0089】
UV硬化システム(例えば、Fusion UV Systems、Inc製のUVランプとコンベヤーを備えたFusion F300S)を使用してUV硬化を達成できる。
【0090】
アクリル酸ナトリウム溶液(蒸留水中35.5重量%)は、表2に示した成分及び比率を使用して調製できる。反応の完了は、反応物の量及び反応溶液のpH値変化を制御することによって決定できる。新たに調製したアクリル酸ナトリウム水溶液(35.5重量%)のpHは、8〜9である(pH試験紙で測定して)。水酸化ナトリウム及びアクリル酸の両方とも強腐食性であり、反応は極めて発熱性なので、反応は、冷水浴中で実施できる。しかし、アクリル酸ナトリウムを製造するためのいかなる方法も本発明の範囲に包含される。更に、市販の供給源からのアクリル酸ナトリウムを使用できることも明らかである。
【0091】
【表2】
【0092】
フレーク状水酸化ナトリウム(40.0g)を、蒸留水(153.0g)に溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製し、撹拌しながらアクリル酸(72.0g)に徐々に添加する。最終溶液のpHはpHメーターで測定できる。最終溶液中に35.5重量%の濃度で、アクリル酸ナトリウム(94.0g)が形成される。
【0093】
本発明の一実施形態において、乳酸ゲルルアーは、L(+)−乳酸ゲル(例えば、カートリッジの上部に)及び水ゲル(例えばカートリッジの底部に)を含む2相構造を有する。L(+)−乳酸ゲル及び水ゲルの適切な組成を表3に示す。L(+)−乳酸ゲル及び水ゲルを調製するために、まず、アクリル酸ナトリウム溶液を容器中で撹拌し、その容器に、水(必要なら)、L(+)−乳酸、SR610、Irgacure651をこの順序で添加する。当業者は、類似のL(+)−乳酸ゲル及び水ゲルを新たに作る場合には、別の量及び手順が可能であることを理解するであろう。
【0094】
【表3】
【0095】
カートリッジ中のL(+)−乳酸ゲル及び水ゲルの量は、最高の放出速度及び有用寿命を提供するように選択できる。一実施形態において、11gのL(+)−乳酸ゲル及び3.5gの水ゲルは、14日間の間10mg/hrを超える放出速度を、さらなる6日間の間4mg/hr〜9mg/hrの放出速度を示した(約90°Fで)。水ゲルの量を増やすと、3週間を超える間10mg/hrを超える放出速度にすることができた。
【0096】
プラスチックカートリッジに材料を直接添加すること、及びUV又は熱の供給源の下に該カートリッジを通すことによって乳酸溶液をゲル化できる(使用するなら水ゲルも)。一実施形態では、UV−A及びUV−V放射用のD−球を備えたUVランプが使用される。他の実施形態では、カートリッジを、コンベヤー上、約10ft/分の速さでUV又は熱の供給源の下を通過させる。乳酸ゲル形成溶液及び水ゲル形成溶液の両方を使用するなら、最初にカートリッジ中で水ゲルを形成し、そして水ゲルの上部にL(+)−乳酸ゲル溶液を分注し、次いで硬化させる。ヒートシールが可能なテープを、カートリッジ表面の開口部のいずれか又は各カートリッジに貼り、顧客に出荷するためにガス不浸透性ラップで包装する。水ゲル溶液を硬化させる前又は硬化中にL(+)−乳酸ゲル溶液を硬化させるのも本発明に包含される。L(+)−乳酸ゲル溶液及び水ゲル溶液を別々に硬化させ、場合によっては、次の段階でそれらを組み立てるのも本発明に包含される。
【0097】
液状のL(+)−乳酸及び水は、ゲル化する網状組織中に捕捉されるが、前に言及したように網状組織に結合はしない。
【0098】
本発明の他の実施形態において、ゲルを形成する硬化反応は、硬化性多不飽和化合物のみを用いて、例えばアクリル酸ナトリウムなどの光硬化性単不飽和化合物なしで実施される。この場合、例えば、多不飽和成分は、閉じ込められた乳酸溶液を含むゲル状構造として現われる三次元網状組織を形成するのに十分なフリーラジカルを提供する。乳酸溶液は、別の水ゲル層を必要としないほど十分な水を含むことができる。本発明の更に他の実施形態において、ルアーは、アンモニア供給源と共に又はアンモニア供給源なしで乳酸供給源で提供され、ここで、乳酸供給源は、アクリレート部分を実質上含まない高分子ゲル中に乳酸水溶液を含み、ここで、アクリレート部分を実質上含まないとは、ゲルの網状組織を調製するのに使用されるポリマーが、アクリレート部分を有さないか、或いは、アクリレート部分が高分子ゲルを形成する上でこのようなポリマーを架橋するのに有用であるようにポリマー末端の若干又は全てにアクリレート部分のみを有することを意味する。アクリレートモノマー又はかなりの量のアクリレート部分を含むポリマーから形成される高分子ゲルと比較したこのような実施形態の利点は、ルアー中でアクリレート部分の量が低減され、それによって、特定のアクリレート部分及びその副生物の忌避効果が低下する。
【0099】
例えば、次表4に示す成分を使用して、本発明の実施形態による乳酸含有ゲルの化学誘引剤ルアーを調製できる。
【0100】
【表4】
【0101】
上記処方からゲルを調製するための手順は、実質的に前述と同様である。例えば、適当な容器、例えばプラスチックカートリッジ(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなど)に、撹拌しながら、SR610、Irgacure651溶液、乳酸溶液、及び水の順序で成分を入れる。得られた混合物を、カートリッジ中でUV硬化に付す。カートリッジを熱シールして、カートリッジの任意の開口部をシールできる。
【0102】
光開始剤の量(上表4に示した処方では約0.2%)は、多不飽和成分中の二重結合の所望する解離レベル、従って所望する架橋及びゲル化のレベルを達成するように選択できる。Irgacureの製造業者は、個々の応用に応じて、約0.5〜約6重量%の範囲の「651」量を推奨している。しかし、本発明のこの実施形態で使用するより低い量(約0.2%)が、やはり、数週間から数ヶ月の貯蔵で漏洩なしに、ゲル中に乳酸溶液を少なくとも実質上安定して保持できる保持能力を有するゲルを生じる架橋度及びゲル化度を誘導することが見出された。ゲルの液体保持能力は、試行錯誤を含む定型的手順で容易に測定できる。
【0103】
使用するなら、L(+)−乳酸ゲル及び水ゲルは、フリーラジカルを形成する硬化光開始剤の援助と共にUV反応性重合分子(アクリレート)を使用して形成されるが、当業者は、その他の手段でゲルを形成できることを理解しているだろう。例えば、ゲルは、付加重合、縮合重合、カルボカチオン重合、フリーラジカル重合、アニオン重合、及び有機金属重合によって形成できる。使用するモノマーも変更可能であり、それには、置換又は非置換アルカン、置換又は非置換アルケン、置換又は非置換アルキン、置換又は非置換ジエン、置換又は非置換糖類、置換又は非置換ヌクレオチド、置換又は非置換脂質、及び置換又は非置換ウレタンが含まれる。多くの標準的な化合物にハロ−、アミノ−、オキソ−、ヒドロキシル−、チオ−、ニトロ−、アルコキシ−、アリールオキシなどの基を付加すると、それらの化合物を重合反応に適したものにすることができる。ゲルポリマーは、天然(例えばゴムラテックス)又は合成(例えば、ナイロン及びポリ塩化ビニルPVC)のポリマーでよい。ゲルは、その他の非重合反応、例えば、酸−塩基反応、沈殿反応、及び置換反応で形成することもできる。
【0104】
UV光に加え、重合反応は、加熱、冷却、フリーラジカル、可視光、赤外(IR)光、β線照射、及びガンマー線照射を含む幾つかの手段によって、開始、制御、且つ停止することができる。
【0105】
本発明により、固体、半固体、又は液体の乳酸であるその他の形態も、使用できる。例えば、乳酸ゲルに代わって、又はそれと一緒に、焼結乳酸を使用できる。ルアーが、焼結形態の他の誘引剤と共にゲル形態の乳酸を、或いはゲル形態の他の誘引剤と共に焼結形態の乳酸を含むことも本発明に包含される。
【0106】
次は、本発明の実施形態による、アンモニアガスを発生させるための化学誘引剤としての重炭酸アンモニウムを調製するための代表例である。
【0107】
次の製剤を調製した。
【表5】
【0108】
上記製剤を調製するために、重炭酸アンモニウム粉末及びデンプン粉末を、任意の順序又は同時に混合機に入れ、そして高速で撹拌しながら水を徐々に添加して、ばらばらの湿潤顆粒を形成した。次いで、その顆粒を成型機のバレルに供給し、例えば円柱形状などの個々の形状に成型する。
【0109】
上述のような乳酸ゲル製品と一緒に使用するのに適した本発明の一実施形態において、個々の成型品は、約12〜約50gの重さであり、約0.5〜約1.5インチの直径、及び約1.5〜約3.5インチの長さを有する。
【0110】
図1は、概括的に10で示される昆虫捕獲装置の例を示し、それと一緒にして概括的に12で示される誘引剤システムを使用できる。図1に示した装置10は、2002年10月4日出願の米国特許出願第2003/0084604A1号に記載されているMOSQUITO MAGNET LIBERTYである。誘引剤システム12は、その他の燃焼ベース型及び非燃焼ベース型(CDC光トラップなど)など、その他任意のタイプの昆虫捕獲装置と共にも使用できる。このような装置を例示しているその他の特許/特許出願に関しては、米国特許第6,286,249号、同第6,145,243号、及び2003年5月27日出願の米国特許出願第10/445,245号、2003年5月27日出願の同第10/445,199号、及び2003年10月17日出願の同第10/686,815号を参照できる。上述の、或いは本出願の他のいかなる場所で言及する特許出願も、それぞれ、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0111】
捕獲装置10は、フレーム14の内側に取り付けられた燃焼デバイス(表示しない)を備えた支持フレーム14を含む。燃焼デバイスは、通常の調整器でプロパンタンク(表示しない)に連結しており、プロパンを触媒的に燃焼させて排気ガスを発生させるように機能する。排気ガスは、高いCO2含有量を有し、触媒反応による水分を含んでいる。この操作に関するさらなる詳細は、前述の特許/特許出願中に見出される。排気ガス流は、下を向いている出口開口部18を画定する出口管16から外側に流れる。これにより、排気ガスのプルームが、出口開口部18から下向きに流れ、次いで、装置10から拡がり出ることが可能になる。CO2に極めて敏感な蚊及びその他の昆虫は、プルームに向かって誘引され、その供給源すなわち出口開口部18に向かってプルームをたどって進む。
【0112】
出口管16は、下に向いた環状開口部22を有する入口管20の内部に同心的に取り付けられる。入口管20及び入口開口部20は、フレーム14の内側に取り付けられた送風機の形態をした空気流発生機(表示しない)と連通している。送風機は、入口開口部22及び入口管20を通して流入流を引き込む。流入流は、流出流に向かって誘引されて入口開口部22及び入口管20の内部の流出流開口部18に向かって飛行している昆虫を引き込むように流出流に近接して且つ逆向きに流れる。典型的には、ほとんどの昆虫は流出流の上縁を飛行する。それゆえ、流入流を、流出流の上縁に対して逆向きに且つ近接して流れるように配置することが、それらの昆虫を捕獲する上で有利である。
【0113】
昆虫捕獲チャンバー(表示しない)も、フレーム14に取り付けられる。昆虫捕獲チャンバーは、送風機の上流又は下流のどちら側に存在してもよいが、どちらの場合も、送風機により、流入流は昆虫捕獲チャンバーに流れ込む。昆虫捕獲チャンバーは、任意の構造でよく、例示した装置10では網袋である。流入流が昆虫捕獲チャンバーに流れ込むので、流入流と共に引き込まれた昆虫は捕獲される。いったん捕獲されると、昆虫は、脱水/飢餓、によって死亡したままにすることが可能であり、或いは昆虫捕獲チャンバーの内部で毒物を使用できる。また、捕獲装置10は、昆虫を殺すために電撃システムを使用できる可能性もある。他の代替法として、昆虫を殺す代わりに、捕獲装置10から昆虫を生かして取り出して、捕獲装置10を科学研究の目的に使用できる。
【0114】
誘引剤システム12は、装置10の出口管16の内側に取り付けられるように設計される。しかし、システム12は、その他任意のタイプの装置の出口管内か任意のタイプの装置のその他の任意の位置に取り付けるように構成できる。一般に、誘引剤システムは、任意の構造又は構成を有することができ、本明細書中に例示するものは、限定することを意図したものではない。
【0115】
システム12の容器を受け入れるために、レセプタクル24を出口管16の内側に取り付ける、便宜上、誘引剤システム12又はレセプタクル24に関する使用法のためにここでなされる参照は、それらが装置10に設置される際の配置に関してなされる。
【0116】
レセプタクル24は、装置10の本来部品として提供してもよいし、或いは改造キットとして販売してもよい。レセプタクル24を図3〜7に示す。レセプタクル24は、一般に、閉じた球形の上端キャップ26、及び下向きの開口部30を画定するその底部端の環状リング28を伴って伸びている。4つの長い部材32は、末端キャップ26とリング28の間にそれらを一緒に連結するように長手方向に伸びているが、任意の数のこのような部材32を使用できる。これらの部材32は、一般に、互いに並行であり、それらの間で長手方向に拡がる一連のアパーチャー(隙間)34を画定する。この構造は、開放末端(すなわち開口部30)を備えた内部空間を画定する。空間は、リング28と末端キャップ26との間のレセプタクル24の全長に沿って本質的に堅牢である横断面の構成を有する(横断面は、レセプタクル24の長手方向に対して本質的に垂直に取られる)。
【0117】
また、レセプタクル24は、部材32から外向きに伸びる一連の翼36有し、部材32の向かい合った対のそれぞれは、それから外向きに伸びる柱(post)38を有する。柱38は内腔40を有し、装置10の出口管16は、開口部42を支える正反対に向かい合った一対の留め具を有する。出口管16の内部にレセプタクル24を取り付けるため、レセプタクル24を、柱38の内腔40が管16の開口部42を支える留め具と一直線になるように、管16の中に挿入する。ネジ44などの留め具は、開口部42を通って内腔40の中に、管16の内部にレセプタクル24を固定するように挿入される。翼(wing)36は、それらが出口管16の内側表面と噛み合ってレセプタクル24を出口管16の内部で安定にするように構成される。翼36は、レセプタクル24の本体と出口管16の内側表面の間に、流出流がレセプタクル24の周囲を流れ通り過ぎる空間も生み出す。しかし、本発明は、この取り付け配置に限定されず、レセプタクル24を取り付けるその他任意の適切な方式を使用できる。
【0118】
示した実施形態において、レセプタクル24は、一続きの部品として一体となって取り付けられる。このことは、コストを節約する理由で好ましい。しかし、レセプタクル24は、任意の適切な方式で作製することができ、任意の構造及び構成を有することができる。示したレセプタクル24は、例示の目的で提供するものであり、限定することを意図していない。
【0119】
リング28は、壁32の外表面と合致する内径を有する。正反対に向かい合った壁32の第一対は、リング28の内表面に沿って僅かに伸びている。リング28は、開口部46を受け入れる正反対に向かい合った1対のタブを有する。これらの開口部46は、軸の方向に、上述の正反対の向かい合った壁32の第一対の末端から離れて存在する。壁32の正反対に向かい合った第二対は、リング28の内表面の全軸長に沿って伸びており、それぞれは、それら末端の一連の隆起48を画定する。これらの構造の配置は、図4〜7から認識できる。
【0120】
誘引剤システム12は、伸びた概略円柱形のハウジング50を有する。ハウジング50は、上端壁52、下部壁54、及び中央壁56を有する。第一チャンバー58は、上端壁52と中央壁56の間に画定され、第二チャンバー60は、中央壁56と底部壁54の間に画定される。第一拡散性昆虫誘引剤62は、第一チャンバー58内に収容され、第二拡散性昆虫誘引剤64は、第二チャンバー内に収容される。
【0121】
昆虫誘引剤62、64は、任意のタイプでよく、一般には、互いに化学的に反応できるタイプである。一実施形態において、第一昆虫誘引剤62として乳酸ゲルを、第二昆虫誘引剤64として粉末重炭酸アンモニウムを使用することが考えられる。乳酸は酸、重炭酸アンモニウムは塩基であり、酸と塩基は反応して塩を形成できるので、これらは、互いに反応する誘引剤の例である。その他任意の拡散可能な液体、固体、又は半固体の昆虫誘引剤を使用することができ、これらの例は、限定するものと考えるべきでない。チャンバー58、60は、互いに軸方向で隣接しているように示されているが、それらはハウジング50の縦全長の間で互いに隣接して伸び、或いはその他任意の方式で配置される可能性もある。例えば、乳酸ゲルに関する詳細については、その全体を参照により本出願に組み込む、米国特許出願第10/431,586号を参照できる。
【0122】
ハウジング50は、その中に、拡散した昆虫誘引剤がチャンバー58、60から流出することを可能にする複数の開口部を有する。開口部の大きさ、数及び配置は、チャンバー58、60内の誘引剤62、64に対して所望される放出速度によって決まる。従って、開口部の大きさ、数及び配置は、変更することができ、示した実施形態の開口部は、限定することを意図するものではない。
【0123】
第一チャンバー58は、チャンバー58の正反対に向かい合う側面上の1対上で軸方向に拡がる1対の比較的大きな矩形の開口部66を有する。また、第一チャンバー58は、チャンバー58の正反対に向かい合う側面上の別の1対上に軸方向で間隔をあけた比較的小さな開口部68も有する。第二チャンバー60は、開口部68から軸方向で間隔をあけた単独の比較的小さな開口部70を有する。
【0124】
ハウジング50の外側の構成は、図4〜6及び8から最も認識できる。一連の隆起(ridge)72、示したような4つは、開口部で中断される場所を除いて、ハウジング50の全長に沿って軸方向に伸びている。これらの隆起72は、隆起間の一連の溝(groove)74を画定し、その溝も、ハウジング50の全長に沿って軸方向に伸びている。ハウジング50の断面(その長手方向に対して実質上垂直に取られる)は、レセプタクル24の内部空間の断面とに厳密に合致する。これによって、レセプタクル24の長い内部空間にハウジング50を長手方向に挿入して、装置10にシステム12を取り付けることが可能になる。
【0125】
装置10に既に取り付けられているレセプタクル24に誘引剤システム12を取り付けるためには、ハウジングの溝74が、レセプタクルの部材32と軸方向で一直線に並び、ハウジングの隆起72が、部材32の間に画定された開口部34と軸方向で一直線に並ぶように、ハウジング50を、レセプタクルのリング28の開口部30と軸方向で一直線に並べる。次いで、使用者は、ハウジング50をレセプタクル24の内部に軸方向で滑らす。ハウジング50を完全に挿入すると、隆起72の上端が、末端キャップ26の底部縁に接触してさらなる軸方向の動きを制限する。
【0126】
また、ハウジング50の底部端は、弾性的に柔軟なアーム78上に支えられた1対の噛み合せタブ76を有する。これらのタブ76は、リング28の開口部46を受け入れるタブに取り外せるように受け入れられる。開口部46内のタブ76の噛み合いにより、ハウジング50が例えば重力によってレセプタクル24から滑り出すのを阻止する。レセプタクル24からハウジング50を外すために、アーム78を内側に弾性で曲げ、開口部46からタブ76を抜き取ることができる。これらのアーム78は、ハウジング50と一続きとして一体的に形成するか、或いは別個に形成してそれに結合する。
【0127】
ハウジング50は、ハウジング50の両端を開けて、ハウジング50自体と中央壁56を一続きとして射出成型することによって製造される。次いで、開口部66、68、70を切り抜く。別法として、開口部66、68、70を、射出成型操作の一部として形成できる。次に、チャンバー58、60に誘引剤62、64を入れ、成型したプラスチック末端壁52、54を、ハウジング50の開放上部端及び下部端にしっかりと取り付け、ハウジングを閉鎖する。
【0128】
チャンバー58、60をシールし、誘引剤システム12を使用する前に、昆虫誘引剤62、64が拡散し互いに混合するのを防止するために、1つ又は複数の除去できるシールを準備して開口部66、68、70を封鎖する。開口部66、68、70を封鎖すると、チャンバー58、60が本質的に互いに隔離され、誘引剤の相互混合を本質的に防止する(その上、壁56が、誘引剤を物理的に分離し、隔離する)。用語「本質的に」は、製造又は設計における重要でない誤り又は不整合は、1つ又は複数のシールを通って漏れ出す微量の誘引剤62、64、中央壁56とハウジング50との間の任意の微小な隙間、及び/又は末端壁52、54とハウジング50との間の任意の微小な隙間を見込んでいるという現実を承認するために使用される。もちろん、誘引剤のこのような漏れのないことが望ましいが、幾らかは微量が漏れる可能性もあると理解される。
【0129】
誘引剤が使用前に共混合するのを防止することによって、使用中のそれらの寿命及び有効性が高められる。具体的には、小売商店の展示において、誘引剤システム12は、最初に製造業者によって作製され、次いで出荷用に包装され、典型的には小売店の配送センターを経由して小売店に配送される。次いで、誘引剤システム12は、購入されるまで棚又は展示ラックに配置され、そして消費者によって使用される。誘引剤システム12の製造から消費者によるその使用までの期間は、数週間或いは1ヶ月を超える可能性がある。誘引剤62、64が互いに混じり合うことを許したら、誘引剤は、使用者がシステム12を使用する期日までに劣化してしまい、それに伴って、誘引剤62、64が高いレベルの有効性を備えて機能するであろう期間が短縮する可能性がある。従って、この相互混合の発生を防止するためには、1つ又は複数のシールを使用して開口部66、68、70を封鎖することが望ましい。また、壁56を利用して使用中に誘引剤62、64を物理的に分離すると、ハウジング50内での誘引剤62と64との間のなんらかの相互混合/反応が最小になる。
【0130】
示した実施形態において、1つ又は複数のシールはプラスチックフィルム80で構成される。プラスチックフィルム80は、ハウジング50を取り囲み、その上にチャンバー58、60の開口部66、68、70を保護するように熱で収縮される。これは、ハウジング50を覆ってフィルム80のチューブを置くことによって行われ、チューブはハウジング50よりも僅かに大きな直径を有する。次いで、熱を印加してチューブを収縮させ、フィルム80でハウジング50をしっかり覆い、開口部66、68、70を封鎖する。この適用に好ましいフィルム80は、化学誘引剤及びそれからのなんらかの拡散物に対して不活性である任意の一般に気体不浸透性の材料でよい。フィルム80は図11で見られる。
【0131】
フィルム78に代わって、その他のタイプのシールも使用することができ、例えば、粘着性剥離テープを使用して開口部66、68、70を覆い、封鎖できる。一般に、任意の適切なタイプのシールを使用して開口部66、68、70を封鎖することができ、このようなシールの大きさ、形状、及び構造は変更できる。同様に、プラスチックフィルムシートをハウジング50の廻りに堅く巻きつけ、場所を固定する。また、幾つかの構成において、変形可能な栓を様々な開口部に押し込み開口部をシールできる可能性がある。本発明は、ここで言及した例に限定されない。
【0132】
装置10の中のシステム12を使用するに先立って、使用者は、フィルム80、又は使用されているその他のどんなシールも取り剥がす。これによって、昆虫誘引剤62、64は、開口部66、68、70を通って外に拡散し、昆虫を装置10に向かって誘引することを促進する。
【実施例】
【0133】
例1〜4
これらの例は、組合せルアーが、第二化学誘引剤としての重炭酸アンモニウム(アンモニア供給源)と組み合わせた第一化学誘引剤としての乳酸含有ゲルを含む本発明の実施形態を例示する。
【0134】
組合せ物の蚊に対する誘引性は、プルーム(二酸化炭素、水蒸気)が誘引剤カートリッジの表面を通過できる頂部開放担体区画(誘引剤を保持するための)を使用したAmerican Biophysics、Corp.により製造されたMosquito Magnet(商標)Liberty及びProfessional(Pro)トラップで評価した。野外試験では、トラップ群を複数の試験箇所の間で交代させ、蚊の分布、地形及びその他の環境因子に関して試験箇所に関連した条件からのあり得る影響を低減又は排除した。
【0135】
誘引剤サンプル
本発明の実施形態による組合せ物は、有効成分として又は多孔性袋中の直接圧縮粉末として、前表4に示した通りの処方を有する食品級L(+)−乳酸、及び前表5に示した通りの処方を有する重炭酸アンモニウム粉末を備えた2成分誘引剤である。L(+)−乳酸及び重炭酸アンモニウムのルアーは、個々に製剤化され、別々の包装中に密封され、次いで、その包装は、1つの大きな包装中で物理的に一緒に組み合わせられる(図11に示したように)。L(+)−乳酸部分は、蒸気形態でのL(+)−乳酸の放出を可能にする複数の穴を備えたプラスチックカートリッジ中で光硬化させた高分子ゲルである。重炭酸アンモニウム部分は、アンモニア、二酸化炭素及び水蒸気を放出するための小さな孔を備えたプラスチックカートリッジ中に密封された円柱形の加圧成型固体、又は直接圧縮され多孔性ポリプロピレンフィルムで作製された袋内に密封された重炭酸アンモニウム粉末である。
【0136】
L(+)−乳酸ゲルを、第一カートリッジチャンバー内の開放空間を有する側に置き、成型した重炭酸アンモニウムの円柱又は多孔性袋中の炭酸アンモニウム粉末を第二チャンバー内の一片の赤テープで覆われた放出穴を備えた密封された側に置く。貯蔵及び応用中における包装内の2つの有効成分間での酸−塩基化学反応を回避するために、2つのチャンバーを隔離する。
【0137】
(例1)
本例は、組合せルアーがAedes albopictusを有効に誘引することを実証する。誘引性は、誘引剤としてゲルL(+)−乳酸単独又は重炭酸アンモニウム単独を使用した場合よりも2〜4倍、CO2のみを使用した場合よりも6〜13倍大きい。
【0138】
試験は、テキサス州、Harris Countyで2003年8月から9月にかけて行った。Aedes albopictusは、その地域で最も活動的な蚊の種である。試験では様々な誘引剤と共に二酸化炭素を放出するProトラップを使用し、各トラップを、24時間毎に6つの地点の間で交代した。各トラップに捕獲された蚊は、24時間毎に収集した。本発明によるサンプルは、乳酸ゲルを含むカートリッジ及び重炭酸アンモニウム粉末を含むシールされた多孔性袋の組合せとした。比較用の誘引剤として、乳酸ゲルカートリッジ及び重炭酸アンモニウム粉末の単独も使用した。
【0139】
表6に、2つの試験期間でのProトラップ中の本発明による組合せ、乳酸ゲル単独、重炭酸アンモニウムのみ、及びCO2のみを用いての、Aedes albopictusの1日当たり平均捕獲数を示す。表7に、組合せルアー、乳酸、重炭酸アンモニウム及びCO2のみの1日当たりの捕獲数の比の比較を示す。
【0140】
表6 Aedes albopictusの1日当たり平均捕獲数
【表6】
表7 Aedes albopictusの1日当たり平均捕獲数間の比較
【表7】
【0141】
上表から明らかなように、Aedes albopictusに対する組合せルアーの誘引性は、重炭酸アンモニウムの2倍、乳酸ゲル単独の約2.5倍、CO2の10.5倍である。
【0142】
Harris CountyにおけるAedes albopictusの個体数は、2003年7月中旬にこの地域を通過したハリケーン後に劇的に降下した。7月初旬(2003年7/5〜7/10)にL(+)−乳酸ゲルタイプの誘引剤を用いて同一地点で実施した試験では、Aedes albopictusの1日当たり捕獲数が、数百〜数千(1日当たり最大7220)であった。そして、誘引剤として本発明の実施形態による乳酸/アンモニア組合せルアーを備えた本発明者らのMosquito Magnet(登録商標)トラップを使用する、高度に活動的な蚊の区域でのAedes albopictusの1日当たり捕獲数は、数千であった可能性があると予想される。
【0143】
(例2)
この例は、本発明による組合せルアーが、Culex quinquefasciatusに対して極めて誘引性であり、その誘引性は、誘引剤として使用した場合、1−オクテン−3−オールより9〜50倍大きいことを実証する。
【0144】
試験は、2003年9月19日から10月12日までブラジルのサンパウロ地区で主要な活動性のある蚊の種としてCulex quinquefasciatusを用いて実施した。組合せルアー及びその他の誘引剤を、各トラップに装填した誘引剤と一緒に二酸化炭素を放出するMosquito Magnet(登録商標)Liberty及びDefenderトラップで試験した。この例でも、例1で使用したと同一のサンプルを使用した。対照として誘引剤1−オクテン−3−オールのカートリッジを試験した。トラップに捕獲された蚊を48〜72時間毎に収集し、蚊を収集した後に、トラップを試験地点の間で交代した。表8に、組合せルアー及び1−オクテン−3−オールを別々の誘引剤として使用した場合のLiberty及びDefenderによる試験結果(1日当たりの捕獲数として)、及び蚊の1日当たり平均捕獲数を2種の誘引剤間で比較した結果も示す。本発明の実施形態による組合せルアーは、Culex quinquefasciatusに対して高度に誘引性であること、及びその誘引性は、同一の試験条件下で誘引剤として使用した場合、1−オクテン−3−オールよりも約9〜51倍大きいことが明らかである。
【0145】
表8 組合せルアー及び1−オクテン−3−オールの間での雌Culex quinquefasciatusの1日当たり捕獲数の比較(サンパウロ、ブラジル、2003)
【表8】
【0146】
(例3)
この例は、本発明の実施形態による組合せルアーがOchlerotatus canadensis、Anopheles punctipennis、及びAedes vexansに対して誘引性であり、これらの種の蚊に対する誘引性が、誘引剤として1−オクテン−3−オールを使用する場合と類似であるか、或いはより大きいことを実証する。
【0147】
試験は、2003年9月5日から9月24日までロードアイランド、ノースキングスタウンのGreat Swamp地域で実施した。Ochlerotatus canadensis、Anopheles punctipennis、及びAedes vexansは、同定された14種の蚊の中で、収集された主要な種である。この試験では、CO2+評価予定誘引剤を放出するProトラップを使用した。組合せサンプルは、再び、乳酸ゲルカートリッジと例1及び2と同様の多孔性袋に封入した重炭酸アンモニウム粉末との組合せである。トラップに捕獲された蚊は、48〜72時間毎に収集し、蚊を収集した後に、トラップを試験地点の間で交代した。表9に、組合せルアー又は1−オクテン−3−オールを別々の誘引剤として使用した場合の試験結果(1日当たり捕獲数として)、及び蚊の1日当たり平均捕獲数を2種の誘引剤間で比較した結果を示す。結果は、乳酸とアンモニア(炭酸アンモニウムとして)の組合せのOchlerotatus canadensis、Anopheles punctipennis、及びAedes vexansに対する誘引性は、誘引剤として1−オクテン−3−オールを使用する場合と類似であるか、或いはより大きいことを示した。
【0148】
表9 組合せ(乳酸/アンモニア)と1−オクテン−3−オールとの間の1日当たり蚊捕獲数の比較(Great Swamp、RI、2003)
【表9】
【0149】
(例4)
この例は、本発明による組合せルアーが、Aedes albopictus及びその他の種の蚊に対して実際的に誘引性であり、そのAedes albopictusに対する誘引性は、誘引剤と使用した場合、1−オクテン−3−オールよりも3倍、乳酸ゲルよりも2.5倍大きいことを実証する。
【0150】
試験は、2003年12月にハワイ州ワイパフで実施した。包装を、実質上図11に示したように構成し、第一チャンバー中の乳酸ゲルと第二チャンバー中の炭酸アンモニウム成型顆粒からなる組合せルアーを含めた。
【0151】
組合せルアーを評価し、試験中CO2を放出するProトラップ中で、蚊に対する誘引性を、1−オクテン−3−オール、乳酸ゲル単独、及びその他の誘引剤と比較した。トラップ中に捕獲された蚊を24時間毎に収集した。Aedes albopictus及び全ての蚊の1日当たり捕獲数を別個に数えた。組合せルアー、乳酸単独、及び1−オクテン−3−オールに対する結果を次表10及び11に示す。組合せルアーは、Aedes albopictus及びその他の種の蚊に対して、誘引剤として1−オクテン−3−オール又は乳酸ゲルを使用するよりもより誘引性であった。
【0152】
表10 組合せルアーと1−オクテン−3−オールとの間での蚊捕捉数の比較
【表10】
表11 組合せルアー(乳酸ゲル+重炭酸アンモニウム)と乳酸ゲルとの間での蚊捕捉数の比較
【表11】
【0153】
結論
これらの研究は、本発明による乳酸とアンモニアの組合せルアーが、Aedes albopictus、Culex quinquefasciatus、Ochlerotatus canadensis、及びその他の種を含む様々な種の蚊に対して実際的に誘引性であることを実証している。それらの種の蚊に対する組合せルアーの誘引性は、1−オクテン−3−オール及び乳酸ゲルの単独の誘引性よりも大きい。
【0154】
本発明は、無毒性であるか或いは現在の市販製品よりも毒性の低い、蚊の抑制手段を提供できる。
【0155】
本発明の実施形態が、完全且つ実際的に説明されたことが認識されるであろう。前記の具体的実施形態は、本発明の構造的及び機能的原理を例示するために提供されており、該実施形態に限定されることを意図したものではない。逆に、本発明は、詳細な説明の中の精神及び範囲の中での全ての修正、変更及び置換を包含すると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の一実施形態により構築される誘引剤システムを取り付けた、典型的な昆虫捕獲装置の前面図である。
【図2】図1の装置の入口管及び出口管の部分横断面図である(横断面はレセプタクル及び誘引剤システムを示す)。
【図3】誘引剤システムをレセプタクル内に長手方向で挿入した、レセプタクル及び誘引剤システムの透視図である。
【図4】誘引剤システムをレセプタクルから抜き取った、レセプタクル及び誘引剤システムの透視図である。
【図5】レセプタクル内に長手方向で挿入された誘引剤システムの底端面図である。
【図6】図3の6−6の線に沿って取り出した断面図である。
【図7】図5の7−7の線に沿って取り出した断面図である。
【図8】誘引剤システムの底端面図である。
【図9】図8の9−9の線に沿って取り出した断面図である。
【図10】図9の10−10の線に沿って取り出した断面図である。
【図11】その開口部をシールするために熱収縮したプラスチックフィルムが付着した誘引剤システムの透視図である。
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、そのそれぞれをそのすべてにおいて参照により本明細書の記載の一部とする、2004年6月8日出願の米国特許仮出願第10/864,284号及び2004年6月8日出願の米国特許仮出願第10/862,898号に基づく優先権を主張する。
【0002】
(発明の概要)
本発明は、哺乳動物から発散される汗及び呼気の成分に誘引される、カ、ヌカカ、及びその他の昆虫などの飛翔昆虫を捕獲するための誘引剤ルアー、並びにそれに関連するシステムに関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施形態によれば、飛翔昆虫を誘引するためのルアーは、アンモニアガス供給源及び乳酸供給源を含み、アンモニアガス及び乳酸の供給源は、使用に先立って互いから物理的に隔離した状態で収容される。
【0004】
本発明の他の実施形態は、第一化学誘引剤及び第二化学誘引剤を含む飛翔昆虫を誘引するためのルアーであり、第一化学誘引剤は、高分子ゲル、プラスチック、ポリマー、又は多孔性材料(多孔性セラミックロッド又はフリットなど)である担体中に乳酸溶液を含み、第二化学誘引剤は、アンモニア供給源を含み、第一及び第二誘引剤は、ルアーの使用に先立って互いから物理的に隔離される。
【0005】
本発明の他の実施形態は、第一化学誘引剤及び第二化学誘引剤を含む飛翔昆虫を誘引するためのルアーであり、第一化学誘引剤は乳酸溶液を含み、第二化学誘引剤はアンモニア供給源を含み、第一及び第二誘引剤は、ルアーの使用に先立って互いから物理的に隔離され、更に、該ルアーは、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、10週間、又は12週間である長い使用期間の間、連続的又は間欠的に有効量の第一及び第二化学誘引剤を提供する能力を有する。
【0006】
本発明の他の実施形態は、第一化学誘引剤及び第二化学誘引剤を含む飛翔昆虫を誘引するためのルアーであり、第一化学誘引剤は乳酸溶液を含み、第二化学誘引剤はアンモニアの供給源を含み、第一及び第二誘引剤は、ルアーの使用に先立って互いから物理的に隔離され、該ルアーは、第一及び第二化学誘引剤、オクテノール、二酸化炭素、又はその他の誘引剤中の1つを含んでもよいが、2つは含むことのできない類似のルアーよりも昆虫を誘引することに関して少なくとも50%、より有効である。
【0007】
本発明の他の実施形態は、その場でアンモニア、乳酸及びCO2を別々に発生させ、且つそれらを飛翔昆虫にとって魅力的な構成で供給するためのシステムである。
【0008】
本発明の他の実施形態は、乳酸を含む第一ルアー、重炭酸アンモニウムを含む第二ルアーの使用であり、第一及び第二ルアーのそれぞれは、飛翔昆虫を誘引するために液体、半固体又は固体の形態で提供され、第一及び第二ルアーは、使用の直前まで互いから物理的に隔離された状態で維持され、使用中に第一及び第二ルアーを外界温度又は暖かい気体流と接触させると、第二ルアーの重炭酸アンモニウムからアンモニアガスが発生、拡散し、第一ルアーから乳酸が発生、拡散することになり、それによって飛翔昆虫を誘惑するための誘引剤混合物が形成される。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、飛翔昆虫を誘引するためのデバイスは、ガス状CO2をその場で生成させるためのデバイス、ガス状CO2を放出させるための排出ポート、飛翔昆虫を導入するための入口ポート、昆虫を捕獲するための入口ポートと連通し入口ポートから接近可能なチャンバー、及び少なくとも2つの化学ルアーを含み、第一ルアーは乳酸溶液及びUV反応性化合物を含み、第二ルアーはアンモニアガス供給源を含み、第一及び第二ルアーは、使用の直前までそこでの相互の接触を防止して保管される。
【0010】
本発明の他の実施形態は、以下で説明するような昆虫捕獲装置に取り付けるための誘引剤システムである。昆虫捕獲装置は、飛翔昆虫を捕らえるのに適した任意の型でよい。例えば、該装置は、本明細書中で言及するMOSQUITO MAGNET装置のように、燃焼を利用して昆虫を誘引するためのCO2富化流出物を発生させることができ、或いは、CDC光トラップのように、燃焼に頼らない型でもよい。
【0011】
誘引剤システムは、少なくとも第一チャンバー及び第二チャンバーを画定するハウジングを備える。該チャンバーは、任意の配置を有することができ、さらなるチャンバーを準備してもよい。ハウジングは、任意の適切な方式で装置に取り付けられるように構成される。例えば、MOSQUITO MAGNET装置では、ハウジングのチャンバー内に収容された誘引剤が流出流中に拡散できるようにハウジングを流出管に取り付け、それによって流出流の誘引効果を高めることができる。別法として、昆虫捕獲装置の任意の適切な位置に任意の適切な方式でハウジングを取り付けることができる。若干の装置では、誘引ハウジングを流出流以外のいずれかの場所に取り付けることもでき、或いは装置が流出流を全く有さなくてもよい。
【0012】
拡散可能な第一昆虫誘引剤を第一チャンバー内に収容し、第二昆虫誘引剤を第二チャンバー内に収容する。第一及び第二誘引剤は、互いに化学的に反応できる型である。例えば、一方が酸性、他方が塩基性でよく、従って、該誘引剤は、相互混合が可能である場合には、互いに反応することになる。第一及び第二チャンバーは、それぞれ、それを通って昆虫誘引剤を放出することを可能にするための少なくとも1つの開口部を有する。第一及び第二誘引剤は、チャンバーの開口部を閉鎖して昆虫誘引剤の相互混合を本質的に防止する1つ又は複数の除去可能なシールによって、互いから本質的に隔離される。これらのシールは、ハウジングを捕獲装置に取り付けた場合に昆虫を捕獲装置に誘引することできるように、除去してチャンバーの開口部を開放し、昆虫誘引剤がそこから拡散することを可能にする。
【0013】
このようにチャンバーを隔離することによって、誘引剤は、チャンバーの開口部から1つ又は複数のシールを除去するまで、互いに混じり合うことが許されない。誘引剤システムの製造から末端ユーザーがそれを購入して自身の捕獲装置上でそれを使用するまでに恐らくかなりの期間が存在するので、このことは消費者市場にとって都合がよい。誘引剤が、この期間中に互いに連通すると、それらは、拡散し、混じり合い、互いに反応する可能性があり、それによって、誘引剤の量が激減し、誘引剤として有効でない副生物が生まれる可能性がある。
【0014】
本発明の他の実施形態は、挿入によってレセプタクルに取り付ける誘引剤システムである。具体的には、本発明のこの態様に属する誘引剤システムは、昆虫捕獲装置のレセプタクルに取り付けるために存在し、該レセプタクルは、内部空間及び開放末端を有する。該システムは、少なくとも第一チャンバー及び第一チャンバー内に収容される拡散性第一昆虫誘引剤を画定するハウジングを備える。第一チャンバーは、それを通って拡散性第一昆虫誘引剤が拡散することを可能にするための少なくとも1つの開口部を有する。ハウジングは、ハウジングとレセプタクル内にハウジングを取り外し可能な状態で保持するレセプタクルとの間の噛み合いを用いて、その開放端を通してレセプタクルの内部空間内にハウジングを挿入することによって、昆虫捕獲装置に誘引剤システムを取り付けることを可能にするように構成される。噛み合いは、タブ及び開口部などの構造物でもよいし、或いは摩擦的でもよい。
【0015】
本発明のその他の実施形態、特徴及び利点は、本開示の一部であり、且つ、例により本発明の原理を示す付属図面との関連で考慮した場合に、次の詳細な説明から明らかとなろう。
【0016】
(発明の態様の詳細な説明)
本明細書中で使用する場合、用語「化学ルアー」は、ヒト又はその他の哺乳動物の少なくとも1種の滲出液(汗又は創傷液など)の誘引的性質を真似た誘引剤化合物を、所望の昆虫(飛翔昆虫、例えば蚊など)を誘引するのに有効な方法で発散させることのできる、液体、半液体(例えば、ゲル、高分子ゲル、ヒドロゲル又はその他のコロイド)、又は固体の化学製剤を意味すると解釈される。このような化学ルアーは、単離された天然化合物(乳酸のアイソフォームなど)でもよいし、或いはヒト滲出物の成分の誘引的性質を示すように作られた合成化合物でもよい。その他の誘引剤としては、例えば、タンパク質系化合物及び有機酸が挙げられる。本発明の典型的な実施形態において、CO2、乳酸及びアンモニアのそれぞれは、広範な範囲の飛翔昆虫を誘引するための化学ルアーとして混合物の状態で使用される。
【0017】
本発明の典型的な実施形態において、CO2、乳酸及びアンモニアのそれぞれを含む化学ルアー(ここで、CO2ガスは、その場で流動しているガスプルームの形態で発生させ、乳酸及びアンモニアをそのそれぞれの供給源からそのガスプルーム中に拡散させる)は、蚊、及び限定はしないが、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxを含むその他の飛翔昆虫を誘引するように設計されたシステム中で使用される。
【0018】
本発明の他の典型的な実施形態において、乳酸供給源及びアンモニア供給源を含むルアーは、該ルアーがガス担体に対して昆虫を誘引する量の乳酸及びアンモニアを提供できるように準備される。ルアーは、屋内使用又は屋外使用に適した乳酸及びアンモニアの放出速度を提供するように設計できる。
【0019】
本発明のルアーは、乳酸供給源及びアンモニア供給源を、使用に先立って互いから物理的に隔離し、貯蔵中の誘引剤の劣化を低減するように収容できる。好ましくは、シールを除去すると乳酸及びアンモニアをガス担体中に放出できるように、ルアーに除去可能なシールを用意する。
【0020】
本発明のルアーによって乳酸及びアンモニアが供給されるガス担体は、外界空気、暖かい/湿った空気、濃度を高めた二酸化炭素を含むガス流、燃料(炭化水素をベースにした燃料など)の燃焼に由来する排気プルーム(exhaust plume)、又はその他のガスでよい。種々の実施形態における担体ガスは、流動していてもよいし、或いは拡散又は対流などの手段によって受動的に移動できる。流動するガス流は、場合によっては、燃焼源、送風機、又は圧力差を創り出すためのその他の方法によって提供できる。別々のガス担体を使用して乳酸及びアンモニアを受け入れてもよいし、同一のガス担体を使用して両方の化学誘引剤を受け入れてもよい。本発明の特定の実施形態において、ルアーは、濃度を高めた二酸化炭素ガスを含むガス担体に対して乳酸及びアンモニアを供給するように構成できるが、別の実施形態では、ルアーを二酸化炭素ガス供給源と組み合わせるが、乳酸/アンモニアから二酸化炭素ガスを別々に放出させることができる。
【0021】
本発明のルアーは、飛翔昆虫を誘引するのに有効である。本発明の幾つかの実施形態において、有効性は、本発明のルアーを使用して飛翔昆虫種の1種又は複数の種を誘引することによって実証できる。本発明の特定の実施形態において、本発明のルアーは、本発明ルアー中の化学誘引剤の1つを除外した別のルアーと比較して、或いはオクテノール又は二酸化炭素などの既知誘引剤と比較して、飛翔昆虫類又は飛翔昆虫の特定種を誘引することに関して優れた有効性を示す。本発明の特定の実施形態は、このような別の誘引剤と比較して、本発明のルアーが、比較試験において50%増し、100%増し、200%増し、300%増し、400%増し、又は500%増しの飛翔昆虫類又は飛翔昆虫中の特定選択種の飛翔昆虫を誘引できるような有効性の向上を示す。有効性向上の検定は、ケージ試験により、又は好ましくは、比較される誘引剤の位置を交代して比較に与える環境効果の影響を低減した屋外適用で達成できる。例えば、ラテン方格型のサンプリングプロトコールを採用してもよいし、或いはその他の適切なサンプリング技術を利用できる。好ましくは、このような屋外試験は、1日、2日又は数日間の長期間にわたって実施され、試験期間中での昆虫の総捕獲数を比較する。本発明の特定の好ましい実施形態において、本発明のルアーは、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間の長期間、又は同様の期間にわたって有効性を示す。本発明のルアー及びデバイスの長期間にわたる有効性を比較する場合には、本発明のルアー及び対照ルアーを、長期間の過程中の1日、2日又は3日などのより短期間で1回又は複数回サンプリングすることによって長期の全期間について試験できる。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態は、種Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxの飛翔昆虫を誘引するのに有効である。特定の実施形態は、好ましくは、乳酸単独、アンモニア単独、二酸化炭素単独、乳酸+二酸化炭素、アンモニア+二酸化炭素、オクテノール、又はオクテノール+二酸化炭素からなる対照ルアーよりも、1種又は複数のこれら飛翔昆虫種を誘引するのにより有効である。好ましくは、このような実施形態は、このような対照ルアーよりも、検知し得る50%増しで有効である。より好ましくは、それらは、このような対照ルアーよりも、100%増し、200%増し、300%増し、400%増し、500%増し、又はそれ以上で有効である。
【0023】
本明細書中で使用する場合、用語「視覚ルアー」は、CO2プルームにより飛翔昆虫捕獲デバイスの近くに誘引し、飛翔昆虫を視覚的に誘惑して昆虫入口ポートの近辺を飛ぶように配置、構成されたデバイスを意味すると解釈される。視覚ルアーは、飛翔昆虫が宿主哺乳動物を標的にする際に利用する視覚的刺激を真似たように設計された色彩及び幾何的特徴を組み合わせることができる。
【0024】
化学ルアーは、期間中に放出される化合物の量を制御するように工作、構成することができ、それによって、効果的な昆虫捕獲のための分散された誘引剤濃度を確保する。ルアーは、一般に、放出が制御された極めて有効な化学誘引剤を大気中に放出するように形作られ、ここで、放出速度は、環境の温度、湿度、優勢な空気流、その他の局所的微小気候要因、排気/CO2速度、及び誘引剤化合物の揮発性の間の関係によって影響される可能性がある。更に、屋内で使用する場合には、室内空間の容積及び屋外空気との換気速度も、化学ルアーに要求される放出速度に影響を及ぼす。
【0025】
本発明の実施形態において、流動している空気又はCO2ガスの暖かい流れの中への化学ルアー混合物の各成分、例えば、乳酸及びアンモニア(NH3)の放出速度は、流動流が使用中に接触する乳酸供給源及びアンモニア供給源の曝露表面を選択/制御することによって、少なくとも部分的には化学誘引剤のそれぞれの混合物が長期の使用期間にわたって(少なくとも約2又は3週間又はそれ以上など)飛翔昆虫を誘引するのに有効であり続けるように制御される。
【0026】
本発明の実施形態において、化学ルアーは、比較的無毒性であるか、或いは在来の殺虫薬と較べて低下した毒性を示す少なくとも1種の誘引剤化合物を含み、哺乳動物の器官が放出する天然の昆虫誘引剤を真似るように製剤される。この点で、有機酸及びそれらの誘導体は適切な模倣物である。誘引剤のブレンドも使用できる。これらのカイロモン(kairomone)は、天然に見出される天然化合物でもよいし、合成的に作られてもよい。
【0027】
適切な有機酸及びその誘導体の一例が、遊離酸の形態の乳酸、乳酸の塩、及びそれらの組合せである。乳酸アンモニウムは、本発明による誘引剤として使用するのに適した典型的な乳酸塩である。アンモニア、アセトン、尿酸、酪酸、ジメチルジスルフィド、2−フェニルエタノール及びこれらの誘導体も、多くの飛翔昆虫に対して好ましい誘引剤である。カイロモンであることが知られている各種化合物が、Parkらの論文、J.Insect Physiol.45巻、85〜91、1999年に開示されており、その内容をその全体で参照により本明細書に組み込む。ルアーは、所定区域に出没することが知られている飛翔昆虫の特定種を特異的に誘引するように製剤できる。
【0028】
本発明の一実施形態において、誘引剤は、食品級形態の乳酸、又は使用時にルアー近辺の空気品質に対する不純物の影響を低減するために少なくとも99%の純度を有する乳酸である。L(+)−乳酸が、単独で、又はさらなる誘引剤ルアーと組み合わせて採用される。他の実施形態では、L(+)−乳酸を、乳酸カルシウムとの混合物として同時使用できる。他の実施形態では、L(+)−乳酸単独又は乳酸カルシウムと組み合わせたL(+)−乳酸を、水酸化アンモニウム水溶液、粉末重炭酸アンモニウム、又はアンモニウムを発生する能力のあるその他アンモニウム化合物など、外界温度、適度に高められた温度、例えば外界温度より高い温度(例えば、少なくとも85°Fなど)で発生させることのできるようなアンモニアと合わせて使用される。しかし、本発明の化学ルアーは、任意の所望温度範囲でアンモニアを放出するように設計できることを理解されたい。1つ又は複数の化学ルアーが、単一ハウジングに収容され、複数の別々の供給源から、昆虫トラップの内部又は昆虫トラップと結合して採用できる。
【0029】
化学ルアーは、本明細書に記載するデバイスなど昆虫捕獲デバイスと共に使用するために、液体、半固体(ゲルなど)、又は固体として製剤できる。昆虫捕獲デバイスは当技術分野で周知である。例えば、American Biophysics Corporationは、昆虫を誘引するためのCO2添加流出流を発生させるのに燃焼を利用する昆虫捕獲装置をMOSQUITO MAGNETの商標で販売している。このようなトラップの操作詳細については、そのそれぞれの全体を参照により本出願に組み込む、米国特許第6,145,243号、及び米国特許出願第2003/0084604A1号を参照できる。
【0030】
本発明の一実施形態において、固体ルアーは粉末形態で存在する。粉末は、それ自体で、例えば、ガス流の流入及び流出を可能にする多孔性の袋又は包みの中に貯蔵して使用してもよいし、或いは粉末を、レンガ、栓、ペレットなどの各種形状に圧縮又は成型してもよい。固体の昆虫ルアーは、放出速度を制御できる可能性がある。一実施形態において、粉末化L(+)−乳酸は、弾丸又は円柱形状に圧縮される。形状又は物理的形態が何であれ、わずかに高められた温度で空気又はガスの流れに曝露すると、液体、半固体又は固体のルアーから誘引剤が放出される。一実施形態において、昆虫捕獲デバイスからなどの暖かく湿ったCO2含有排気流は、化学誘引剤又は化学誘引剤群の表面の少なくとも一部と接触し、それによって乳酸及びアンモニアなどの化学誘引剤を排気流中に拡散させることになる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、液体ルアーは、化学誘引剤として使用できる。液体ルアーは、それ自体、ガス流の流入及び流出を可能にする1つ又は複数の開口部又は通路を有するが、液体の流入又は流出を許さない適切な容器又は器の中で使用できる。代わりの実施形態では、液体ルアーを、空気又は前述の二酸化炭素含有排気流などのその他の適切なガスに曝露すると誘引化合物を放出する多孔性のロッド又はフリットなどの担体に含浸する。液体の化学誘引剤を放出可能な状態で保持する能力のある任意の適切な担体を採用できる。本発明の幾つかの実施形態では、担体フリット1g当たり約1.5g〜約4.5g(好ましくは、担体フリット1g当たり約3.5g〜約4.5g、又は担体フリット1g当たり約1.9g〜約2.5g)の濃度の液体乳酸が、化学誘引剤として、単独で、或いは1つ又は複数のさらなる誘引剤と組み合わせて使用される。外界空気温度から最大で外界空気温度を約15°F上回る(例えば、外界空気温度を約3°F、約5°F、約8°F、約10°F、約12°F、約15°F上回る)温度のCO2排気流にさらすと、誘引剤から乳酸が拡散する。もちろん、より高温の排気流も使用できる。一方、特に暖かい気候で使用するために設計した場合などに、ルアーの性質及び所望拡散速度に応じて、外界温度又は外界温度をほんのわずかだけ上回る排気ガス流を使用することも本発明の範囲に包含される。任意の特定の環境に適した温度は、当業者の技術範囲の定型的手法によって容易に決定できる。更に、これらの濃度は、所定の環境に対して最適化できる。
【0032】
ばらばらの、又は圧縮した粉末状又は顆粒状重炭酸アンモニウムからのアンモニアの拡散は、好都合には、ルアー表面の少なくとも一部を、ガス、例えば空気又はCO2ガス(又はCO2含有排気)と、約外界温度(又は好ましくは約85°Fから)〜約140°F(又は好ましくは約115°F)の温度で、或いは高分子ゲル中の乳酸溶液などの乳酸ルアーから乳酸を拡散させるのにも有効である他の温度範囲で接触させることによって達成できる。約85°F〜約140°Fの範囲の流出ガス温度が、例えば、本発明の様々な実施形態に関して述べられているような乳酸/ゲル、及び重炭酸アンモニウムを含むこれらの誘引剤供給源のほとんどから乳酸及びアンモニアを発生させるのに一般的に有効である。
【0033】
化学誘引剤をカートリッジ内に充填して、昆虫捕獲デバイスを取り巻く空気中への誘引剤の放出速度をより良好に制御することができる。ルアーからの化学誘引剤の放出速度は、恐らく典型的には温度に比例する。すなわち、周囲の温度を高めて放出速度の増加を達成できる。このような放出速度は、誘引剤を通過するガスの流速、及び化学誘引剤の幾何学的形状及び曝露される表面積にも関連している可能性がある。これらの因子を調節して、所定の化学誘引剤及び所定の環境条件に対して所望の放出特性を提供できる。前に言及したように、CO2含有排気プルーム又はその他の担体ガスの温度を、必要通りに調節して所定の環境条件下における捕獲デバイスからの誘引剤放出を高めることができる。
【0034】
液体、半液体(ゲルを含む)及び固体ルアーからの化学誘引剤の放出を制御して、数日から数週間の期間にわたる有効レベルの昆虫誘引を達成できる。本発明の実施形態によれば、乳酸に関する誘引剤放出速度を、約1mg/hr〜約30mg/hrの範囲内、例えば約2mg/hr、約3mg/hr、約4mg/hr、約6mg/hr、約8mg/hr、約10mg/hr、約12mg/hr、約14mg/hr、約15mg/hr、約16mg/hr、約18mg/hr、約20mg/hrなどに制御することができる。但し、これらの値は単なる代表であること、及び所定単位の「整」数値は必要ないことを理解されたい(文脈が別途示していない限り、数値が与えられる場合はいつでも、本明細書の全体を通して同じことが適用される)。本明細書に記載される本発明の別な実施形態によるこれらの及びその他の放出速度は、1時間、6時間、12時間、24時間、5日間、7日間、10日間、12日間、14日間、15日間、18日間、21日間、又はその他の期間にわたって平均化された平均放出速度を表す。
【0035】
アンモニアガスの放出速度は、特定の供給源及びその構成に応じて、一般には、乳酸の放出速度よりも大きい。従って、本発明の実施形態において、アンモニア供給源及び乳酸供給源は、身体の滲出物を真似るのに有効な、且つ、例えば少なくとも約2週間、又は少なくとも約3週間、或いはより長いような長期間にわたって標的飛翔昆虫を捕獲するのに有効な両方の誘引剤の混合物を提供するように設計される。例えば、アンモニアガス供給源が重炭酸アンモニウムである場合には、アンモニア、二酸化炭素及び水への分解は、一般に、約30℃(86°F)で始まり、約60℃(140°F)又はより高い温度で急速に分解する。ほぼこれらの温度で使用する場合には、放出速度(化学誘引剤の総量を基準にした)は、1、2、3週間又はそれ以上の使用期間にわたって、約16mg/hr〜約130mg/hrの範囲のレベルで得られ、或いは、特定の使用条件設定に応じてより遅くてもより速くてもよい。例えば、好ましくは屋外使用のために本発明の実施形態において、重炭酸アンモニウムの分解から得られる放出速度は、一時的により大きな初期放出速度の後において、1〜2週間にわたって平均で約50〜約70mg/hrの範囲である。屋内使用を対象とした本発明の実施形態において、重炭酸アンモニウムの分解から得られる放出速度は、好ましくは、約1mg/hr〜約60mg/hr、又は、より好ましくは約5mg/hr〜約50mg/hrの範囲である。乳酸及びアンモニア(例えば重炭酸アンモニウムから)に対するここに示した範囲内の放出速度は、ルアーの十分な寿命を、標的の飛翔昆虫を捕獲するのに有効な滲出物(汗など)の効果的擬態を有する通常少なくとも約2週間、例えば少なくとも3週間又はそれ以上を提供する。屋内使用に適した本発明の実施形態において、乳酸及びアンモニアの放出速度は、好ましくは、アンモニア及び乳酸の濃度が人間にとって耐え得るように、より好ましくは、健康、安全、又は美的目的のために設定された基準以内であるように選択される。
【0036】
採用される化学誘引剤の量は、ルアーの大きさ及び形状、選択した製剤、ルアーに関して予想される環境条件に応じて変更できる。
【0037】
放出速度は、特定の化学ルアーを用いて飛翔昆虫の中の特定種を効果的に捕獲するように仕立てることができる。高度に揮発性である幾つかの誘引剤は、化合物の揮発を低減してルアー効力の早すぎる低下を排除するように設計された幾何形状のルアーを使用できる。対照的に、その他の比較的緩慢な化学誘引剤は、空気又はCO2流への拡散を促進するために、加熱又はその他の反応を必要とする場合がある。本質的に揮発性を示さない化合物は、昆虫の効果的な誘引を達成する見地から見て制御することがより困難である。
【0038】
より一般的には、二酸化炭素を含有する流出ガス中への乳酸及びアンモニア(例えば、重炭酸アンモニウムの分解におけるような二酸化炭素及び水蒸気を含むその他の誘引剤ガスも含めてもよい)の放出速度は、流出ガスの連続流の場合、長期間、通常少なくとも約2週間又は少なくとも約3週間又はそれ以上の間にわたり、流出ガス中に滲出物(例えばヒト又はその他の哺乳動物の汗又はその他の体液など)を真似た混合物を形成するように一般に制御される。もちろん、ルアーの寿命及び有効性は、ルアーの個々の成分を流出ガスと間欠的にのみ接触させるなら、いっそう更に延長できる。更に、化学誘引剤の放出は、拡散又は化学誘引剤に関する空気移動であるその他の受動的手段によって達成可能であり、或いは、ガス流を、送風機、排気ガスプルーム又はその他の手段の使用により、化学誘引剤に接触して通過するように導くことができる。
【0039】
従って、一実施形態において、本発明は、場合によってはガス流と組み合わせた乳酸供給源及びアンモニア供給源を含む、飛翔昆虫を誘引するためのルアーを提供する。ガス流は、流速が10L/分〜約250L/分、より好ましくは約40L/分〜約140L/分のほぼ定常流の空気を提供できる。別の流速を選択して、使用する所定の化学誘引剤及び所定の環境条件に対して所望の放出速度特性を達成できることを理解されたい。最適には高濃度の二酸化炭素ガス(例えば約5ml/リットル)を含有する温度約90°Fの空気の定常流(約150ml/分の流速)と接触すると、ルアーは、少なくとも約2週間(例えば、少なくとも約300時間)又は少なくとも約3週間(例えば、少なくとも約500時間)の間、誘引剤から、アンモニア供給源からのアンモニアを含有する約16mg/hr〜約130mg/hrの範囲内の化学誘引剤を放出し、乳酸供給源からの乳酸を含有する約2mg/hr〜約20mg/hrの範囲内の化学誘引剤を放出する。
【0040】
固体又は液体の化学ルアーを保持するために選択されるハウジングは、特定の化学ルアーを空気又はガス流(CO2含有排気流など)に対する最適な曝露と適合させるように選択できる。本明細書中で使用する場合、CO2ガス流、CO2ガス、CO2排気流などは、外界空気と比較して高濃度のCO2を含有するガスを指し、燃焼排気ガス、CO2、及びその中に空気及びその他のガスを含む混合物が挙げられる。このようなハウジングは、調節可能な複数のアパーチャーを有することができ、それによって、誘引剤の拡散速度を比較的微細に制御できる。例えば、ルアーは、特定の化学誘引剤又は誘引剤の混合物を特定の速度又は複数の速度で放出し、飛翔昆虫中の特定種、例えば病気を運搬する、噛み付く、又は刺す昆虫を誘引し、且つルアーの有用寿命を延長するように選択し、構成することができる。本発明の一実施形態によれば、ハウジングは、1つ又は複数の通気孔を有する管状のバスケットに似ているように配置及び構成される。ハウジングバスケットは、末端キャップを有してもよい。本発明の実施形態によるルアーハウジングは、特定の化学誘引剤及び標的昆虫に応じて、所望の速度、例えば、約2mg/hr〜約20mg/hrなど、又はこの範囲内の任意の中間値、或いはより大きな値で、誘引剤を放出することを可能にするように構成される。本発明の一実施形態によれば、放出速度は、化学ルアーがさらされる排気ガス流速/排気ガス温度によって少なくとも一部は制御できる。放出速度はまた、本発明の幾つかの実施形態において、ハウジングの化学誘引剤用又は複数の誘引剤用の開口部(群)の面積によって制御できる。本発明の実施形態において、開口部(群)又は穴(群)は、大きさが変更可能でよい。他の実施形態において、開口部(群)又は穴(群)は、大きさが固定でもよい。開口部又は孔の形状は、特に決定的ではなく、丸、正方形、長方形、又は任意のその他規則的若しくは不規則的幾何形状でよい。
【0041】
本発明の一実施形態では、1つ又は複数の化学誘引ルアーを、適切な生分解性ポリマーを用いて調合し、成型して特定の三次元幾何形状を呈する物品にする。適切な生分解性ポリマーは、とりわけ注型又は押出し成型に対する適合性を目指して選択される。このような生分解性ポリマーは、やがて時ランダムな加水分解によって分解することができる。成型した生分解性ポリマーが壊れるにつれ、成型品から新鮮な化学誘引剤が連続的に放出される。化学ルアーは、完全な分解及び崩壊が、廃棄が容易な環境に望ましい化合物を生じるように選択できる。例えば、ポリ(L(+)−ラクチド)、ポリグリコリド、及びポリ(ラクチド−co−グリコリド)である生分解性ポリマーは、分解して、それぞれL(+)−乳酸、グリコール酸、及びL(+)−乳酸とグリコール酸を形成する。
【0042】
分解速度は、例えば、空気流に曝露されるルアー表面積の総量に応じて少なくとも数週間から数ヶ月又はそれ以上に変更できる。空気流は、化学化合物の性質及び意図したルアーの使用環境に基づいて選択できる。分解速度は、採用するポリマー又はポリマー組成物を変更することによって、及び/又はルアーの幾何形状を調節してCO2又は類似のガス或いは空気流に対する表面積曝露を増減することによって制御することもできる。一般に、非定型(コ)ポリマーは、半結晶性ポリマーよりも迅速に分解する。
【0043】
本発明の他の実施形態では、少なくとも1種の化学誘引剤と適切なポリマーとの同時射出成型によって少なくとも1つの化学ルアーを調製し、誘引剤を染み込ませた成型品を形成する。このようなベイト化した成型品は、期間を通して化学誘引剤の放出を確実にするのに必要な最大表面積を提供するように形作ることができる。本発明の他の実施形態において、射出成型の工程は、ガスを導入することを含み、それによって、成型品の内部に穴からなる網状組織を創造する。これらの穴によって、水蒸気と一緒になったCO2排気流などのガス流が成型品を貫通して流れることが可能になり、それによって、その中に含まれている化学ルアーの放出を高める。このような設計により、作用濃度の誘引剤を長期間にわたって分散させることが可能になるように、比較的弱い昆虫誘引剤を節のない速度でルアーから放出することが可能になる。
【0044】
化学ルアーを射出成型すると、ルアーと、ルアーを収容するハウジングの間の機械的インターフェースを提供する不可欠部分と共にルアーを製造することも可能になる。このような機械的インターフェース、例えば、鉤(hook)、突起(lug)、留め金具(snap fitting)などは、特定のハウジングに合うように仕立てられたルアーを提供する。このようなハウジングは、所定の市場での、又は特定の捕獲装置を用いる使用に向けて設計できる。この方式において、ルアーは、環境条件及び特定の地理学的領域に結び付いた飛翔昆虫種に向けて特定的に設計できる。これらの市場特異的化学ルアーは、末端ユーザーに、購入後に案出した必要に合わせて彼らの昆虫トラップを仕立てるための選択を提供するのに有用である。
【0045】
本発明の他の実施形態において、化学ルアーは、CO2を発生させるための可燃性燃料を含む燃料供給源と共に使用するために構成された昆虫捕獲デバイスに取り付け可能である。本発明の一実施形態において、昆虫捕獲デバイスは、支持フレーム、該支持フレーム上に収容された昆虫捕獲チャンバー、該支持フレーム上に収容された燃焼デバイス、及び昆虫捕獲チャンバーに向かって昆虫を化学的に誘引するように配置及び構成された昆虫ルアーを備えている。燃焼デバイスは、燃料供給源と連結するための入口ポート、排気ポート、入口ポートを排気ポートと連通している燃焼チャンバーを備えている。入口ポートにより、燃料供給源からの燃料が燃焼チャンバーに流れ、その中で連続的に燃焼して燃焼チャンバー内で排気ガスを創り出すことが可能になる。
【0046】
本発明の実施形態において、燃焼デバイスは、燃焼チャンバー内の連続燃焼が起こる箇所の下流に配置された触媒要素を更に備えている。触媒体は、運転中に排気ガス中の一酸化炭素をCO2に変換する触媒的に活性な材料を含む。CO2排気ガスと化学誘引剤の組合せは、飛翔昆虫が宿主を探索する際に検知する、哺乳動物が放出する化合物を真似ている。このような特徴は、同時係属の米国特許出願第10/264,260号に開示されており、その内容をその全体で本明細書に組み込む。
【0047】
排気出口は、フレーム上に収容され、燃焼デバイスの排気ポートと連通している。排気ポートによって、排気ガスは排気出口を通って外に流れ出ることが可能になり、その結果、排気ガス中のCO2に誘引された昆虫は、排気出口に向かって飛行する。昆虫入口も、排気出口に隣接したフレーム上に収容される。昆虫入口は、飛翔昆虫が昆虫入口を通って捕獲チャンバーに進入できるように、昆虫捕獲チャンバーと連通している。昆虫入口と連通した真空デバイスは、排気出口に誘引された昆虫を、昆虫入口を通して昆虫捕獲チャンバー内に吸い込むように構成、配置される。昆虫を昆虫入口に誘引するのを高めるために、少なくとも1つの化学ルアーを含む容器を、昆虫入口又はその近くの昆虫捕獲デバイスに取り付ける。
【0048】
本発明の実施形態は、昆虫を誘引するCO2を生成する触媒体、及び制御された放出速度で誘引剤の連続供給を提供するように配置、構成された化学ルアー又はルアー群を含む。昆虫が、昆虫入口の十分近くを飛行しないで排気出口から発散するCO2のプルームを目標にして、昆虫捕獲チャンバー内に捕獲するための昆虫入口に吸い込まれる可能性は小さいので、このような配列は飛翔昆虫に対してさらなる誘引を提供できる。本発明の実施形態による少なくとも1つの化学ルアーを備えると、そこに誘引された昆虫を捕獲することにおいて、及び前以て予想されないレベルの相乗効果を達成することにおいて、デバイスの有効性が実質的に向上する。
【0049】
本明細書に記載する本発明の実施形態は、化学誘引剤を、単独で又は飛翔昆虫を誘引できる1種又は複数のさらなる材料と組み合わせて利用できる。従って、少なくとも1つの化学ルアー/1つ又は複数の視覚的昆虫ルアーと一緒のCO2など、2つ又はそれ以上の昆虫誘引成分の組合せを採用できる。
【0050】
本発明の実施形態によれば、飛翔昆虫を誘引するための誘引剤システムは、少なくとも1つの第一化学誘引剤、少なくとも1つの第二化学誘引剤を有し、該第一及び第二誘引剤/その拡散物は、互いに化学的に反応性であり、第一及び第二化学誘引剤は、第一及び第二化学誘引剤の間の接触/それらの拡散物間の接触を防止するように貯蔵される。
【0051】
第一化学誘引剤は、任意の前記実施形態でのように乳酸供給源を含む。第二化学誘引剤は、アンモニアガス供給源を含む。ハウジング中に、これらの2つ、及び場合によっては1つ又は複数のさらなる化学ルアー/視覚的ルアーを配置されることができ、これらのルアーは、前述のようにCO2ガス供給源と接触すると活性化して、個々の誘引剤(例えば乳酸及びアンモニア)のCO2ガス流中への拡散を引き起こし、結果として、誘引剤の混合物が混合して、任意の誘引剤の単独よりも飛翔昆虫を誘引する上でより有効である可能性のある組合せ化学誘引剤を形成する。
【0052】
第一及び第二化学誘引剤間の早すぎる分散又は相互作用(化学反応を含む)を防止するために、誘引剤を、分離して包装又はシールし、或いは誘引剤を、例えば、ハウジング全体又はその入口と排気出口のみを密閉シールすることによって互いから物理的に隔離して単一のハウジング中に包装することができる。
【0053】
本明細書中で使用する場合、用語「単一ハウジング」、「単位包装」、又は類似の用語は、末端ユーザーに対してユニットとして販売できる任意の包装を指すと解釈される。本発明の一実施形態において、単位包装は、第一チャンバー及び第二チャンバー、第一チャンバー中に貯蔵されている第一誘引剤、及び第二チャンバー内に貯蔵されている第二誘引剤を有するハウジングの形態である。一実施形態において、第二チャンバーは、第一チャンバーと同じハウジング内に収容される。誘引剤/ハウジング/チャンバーは、実質的に円柱の形状を有することができる。本発明の一実施形態において、ハウジングの壁は、誘引剤の直径と同一又は僅かに大きな直径を有する第一及び第二チャンバーの壁を画定する。
【0054】
他の実施形態において、第一及び第二チャンバーは、ハウジング壁の内部に、壁から間隔をあけて配置される。例えば、ハウジングの内部壁は、ハウジングの内壁との関係で間隔をあけて誘引剤を多少とも確実に保持する空間を画定する2つ以上の向かい合った突起を含む。例えば、突起は、正反対に向かい合って(例えば、約180°あけて)間隔をあけた位置、又は約45°、60°、又は90°で間隔をあけた位置、或いはハウジング内に誘引剤を固定するためのその他任意の好都合な配置のそれぞれ又は幾つかに突起を有するハウジングの全長に沿って長手方向に間隔をあけた幾つかの位置に配置することができる。ハウジング壁と誘引剤の間の空間は、飛翔昆虫を誘引し、続いて捕獲又は殺すために、それぞれの誘引剤を外界環境に流すためのガス流中への拡散を起こさせる能力のある、CO2ガス流又はその他のガス流のための流れ経路を提供できる。ハウジングの壁は、外部を流れるCO2又はその他のガス流による誘引剤に対する接近を更に提供する1つ又は複数の開口部を含むこともできる。1つ又は複数の開口部は、同一又は異なる大きさでよく、大きさは固定でも可変でもよい。
【0055】
第一及び第二化学誘引剤が互いに反応性であり/それらの揮発又は拡散物が互いに反応性である本発明の実施形態によれば、第一及び第二誘引剤間/それらからの蒸気間の接触を可能にする任意の開口部又は通路は、そのような早すぎる反応を防止し、ルアーの有用寿命を延長するように、最初の使用に先立ってシールされる。
【0056】
本発明の更に他の代わりの実施形態において、第一及び第二化学誘引剤は、昆虫捕獲装置に取り付けるための誘引剤システムの一部であり、該誘引剤システムは、少なくとも1つの第一チャンバー、少なくとも1つの第二チャンバーを画定するハウジングを含み、該ハウジングは、昆虫捕獲装置に取り付けられるように構成される。第一化学誘引剤は、第一チャンバー内に収容され、第二化学誘引剤は第二チャンバー内に収容される。第一及び第二チャンバーは、それぞれ、第一及び第二昆虫誘引剤がそれぞれそこを通って拡散することを可能にするための少なくとも1つの開口部を有する。第一及び第二チャンバーは、昆虫誘引剤及びその拡散物(例えばアンモニアガス)間の相互混合又は接触を本質的に防止するために、チャンバーの開口部を閉鎖している除去可能な1つ又は複数のシールを含む構造によって互いから本質的に隔離される。1つ又は複数の除去可能なシールを除去すると、チャンバーの少なくとも1つの開口部が開き、それによって、昆虫捕獲装置にハウジングを取り付けた場合、そこから昆虫誘引剤が拡散し、昆虫を昆虫捕獲装置に誘引することが可能になる。このような誘引剤システムの一実施形態において、第一チャンバーを画定するハウジングは、化学的に反応性のある誘引剤が共通又は単一ハウジング中で互いに直接接触しないように第一及び第二チャンバーを隔離するための構造を更に含む第二チャンバーも画定する。本発明のこの実施形態による誘引剤システムは、2004年6月8日に同時出願の代理人整理番号9554/308673で出願された「ATTRACTANT SYSTEM FOR MOUNTING TO AN INSECT TRAPPING APPARATUS」の名称をつけた、共通に譲渡された同時係属の仮出願中に更に詳細に開示されており、そのすべての開示を参照により本明細書に組み込む。
【0057】
本発明の様々な実施形態のいずれかにおいて、ハウジングは、一般に、CO2ガスなどの暖かいガス流が、第一及び第二誘引剤の曝露表面の少なくとも一部と接触できる少なくとも1つの入口、及びCO2ガスが、流れる暖かいガス流との接触の結果として誘引剤から拡散した第一/第二誘引剤(例えば、乳酸及びアンモニア)と一緒にそれぞれのチャンバー及びハウジングから出ることのできる、各チャンバーと連通した少なくとも1つの出口を含む。もちろん、ガス流のための入口(群)及び出口(群)は、同一でよい。第一及び第二誘引剤を、ハウジング内に装填し/流動ガス流に接触させる順序は、自由裁量であり、任意の順序でよい。
【0058】
本発明の他の実施形態において、第一及び第二誘引剤は、並行関係で、例えば、それらのそれぞれの縦軸を少なくとも実質的に並行にして配置され、最初の使用に先立って、そうでなければ反応するルアー間の早すぎる接触を防止する共通又は単位包装、或いはレセプタクル中に包装できる。
【0059】
本発明の更に他の実施形態において、第一及び第二化学誘引剤は、化学誘引剤をその中に拡散させる予定の流動ガス流が誘引剤のそれぞれと接触できる限り、環状配置で配置することができる。例えば、外側直径d1を有する第一誘引剤を、開口部又はチャネルの直径がd2(ここでd2≧d1)である第二誘引剤の長手方向に伸びている開口部又はチャネル内に嵌め込むことができる。d2=d1の場合には、第一誘引剤は、ガス流を流すための通路を形成しているそれ自身の長手方向に伸びている開口部を含み、一方、第二誘引剤の外側直径と接触した状態のガス流の分流は、第一及び第二化学誘引剤からの各誘引剤を拡散させる。d2>d1の場合には、第二誘引剤の長手方向に伸びている開口部を流れるガス流は、両方の誘引剤の表面と接触状態にあり、場合によっては第二誘引剤の外側表面と接触した状態のさらなるガス流が、両誘引剤を拡散させる。ここでも再び、環状配置における第一及び第二誘引剤の内側又は外側誘引剤としての順序は、自由裁量であり、反対にもできる。この実施形態は、使用前の予想される貯蔵条件下で、化学的に反応しない、又は徐々にのみ、或いは実質上化学的に反応しない化学誘引剤にとって特に重要である場合がある。より反応性のある化学誘引剤の場合には、スペーサー/取り外し可能なラップ、或いはその他のタイプのフィルム又はシーラントを使用して、ルアーを直接接触しない状態に維持できる。
【0060】
第一及び第二化学誘引剤は、上述のような本発明の実施形態により、使用直前まで互いから物理的に隔離された状態で維持される。本明細書中で使用する場合、「物理的隔離」又は「物理的に隔離された」は、直接的に触れないこと、又はそうでなければ、第一及び第二誘引剤が直接反応すること、又はそれらのガス状及び/又は蒸気拡散物(例えば、アンモニア及び乳酸など)が互いに反応することを可能にする条件下で、接触するのを防止されていることを意味する。この目的のために、本発明の実施形態において、第一及び第二誘引剤のどちらか又は両方を、分離して包装、又はシールできる(例えば、収縮ラップ包装におけるような密閉シールなど)。
【0061】
本発明の実施形態において、乳酸を発生する化学誘引剤は、ゲル網状組織及び該ゲル網状組織内にあるがそれと化学的に結合していない乳酸を含む高分子ゲルを含むことができ、プラスチックカートリッジに入れられる。少なくとも1つの穴、又はその側壁に乳酸蒸気の通路用のその他の通気手段を有するプラスチックカートリッジを、それ自体、次いで、開放端を有する適切なレセプタクルに取り付ける。カートリッジ及びレセプタクルの少なくとも1つの穴又は通気手段のどちらか又は両方を、一時的にシールして、その中に入れた乳酸材料の偶発的接触又はそれからの乳酸の放出を防止できる。第二誘引剤としてのアンモニアガス供給源は、それ自身のカートリッジ内に、又は乳酸含有ゲルを収容しているカートリッジの隔離チャンバー内に入れることもできる。アンモニア供給源は、多孔性の袋又は容器内に詰めたばらばらの粉末又は顆粒の形態でよく、例えばプラスチック又は金属箔の包装材料で一時的にシールされる。別法として、粉末又は顆粒は、例えば、一体形態(円柱形など)に注型又は成型することができ、カートリッジ又はレセプタクルの開放端内に収められる。
【0062】
本発明の実施形態において、カートリッジハウジングは、それぞれ第一及び第二チャンバーに入れた第一及び第二誘引剤を分離するために、ハウジングの材料と同一又は異なる材料からなる膜、棚、又はその他のセパレーターによって分離された第一及び第二チャンバーを有する。前述のようなガス流の流入又は流出のための、ハウジングのいずれかの開口部は、広告、成分及び/又は使用説明を書いた封印を有してもよい剥離可能なシーリングテープなどによって、使用直前まで一時的にシールされる。
【0063】
第一及び第二誘引剤を物理的隔離の状態に維持するための、これらのデバイスのいずれか又は全て、或いはその他任意の手段は、本発明の範囲に採用できる。
【0064】
開口部、孔又は通気孔の代替として、ハウジング又は隔離構造を、ガス、特に大気圧のガスの脱出を可能にする多孔性材料で形成できる。例えば、ハウジング、カートリッジ、膜などを、予想される取扱い及び使用条件に対する構造的完全性を有する、焼結金属、連続気泡発泡プラスチック又はその他の多孔性材料で形成できる。ここでもまた、多孔性材料を、除去可能なシーラント、例えば収縮ラッピングテープなどで効果的にシールし、貯蔵中に発生する可能性のあるなんらかの蒸気漏洩を防止できる。
【0065】
第一又は第二誘引剤の一方を、CO2ガス入口に対して隣接した状態で、例えば下流に配置できる。
【0066】
本発明の一実施形態において、アンモニアガスの供給源は、式NH4HCO3を有する重炭酸アンモニウム(炭酸水素アンモニウムとしても知られている)であるか、或いはそれを含有する。
【0067】
重炭酸アンモニウムは、例えば顆粒を形成するための結合剤を始めとする不活性原料と混合できる。次いで、顆粒を、使用を予定したハウジング又は設備に応じて、所望の形状に圧密できる。一実施形態において、重炭酸アンモニウム誘引剤の形状は、乳酸を含む第一誘引剤の形状と実質的に同一でよく、例えば、両方とも、実質的に円柱状でよい。
【0068】
空気又は二酸化炭素ガスの流れが重炭酸アンモニウム上を又は貫通して通過すると、ガス状のアンモニア、二酸化炭素及び水が発生することになり、その生成速度は、空気又はCO2ガス流の流速、ガス流の温度及び曝露表面積で決まる。
【0069】
本発明の一実施形態において、第二化学誘引剤は、重炭酸アンモニウム顆粒、結合剤及び水からなる圧密又は成型混合物を含む。一実施形態において、混合物の総重量を基準にして、重炭酸アンモニウムの量は、約50%〜約90%、例えば、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%であり、結合剤の量は、約5%〜約35%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、又は約35%であり、水の量は、約3%〜約20%、例えば、約3%、約5%、約10%、約15%、約20%である。
【0070】
任意の適切で通常的には不活性な結合剤を使用できる。適切な結合剤の例には、例えば、当業者に周知であるような、デンプン、ワックス(例えば、カルナウバ蝋、蜜蝋)低分子量水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレングリコール))、セルロース及びセルロース誘導体(例えば、マイクロクリスタリンセルロース、修飾セルロース、アルキルセルロースなどのセルロースエーテル)、ゴム(例えば、グアーゴム、トラガカントゴム)、脂肪酸及びエステル(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸アルキル)、リン酸二水素カルシウム、マンニトール、フルクトース、キシリトールなどが含まれる。水も結合機能を提供する。
【0071】
アンモニアガスは、アンモニウム塩と塩基の反応によって発生させることもできる。アンモニウム塩及び塩基は、各反応物の微粉砕固体粒子の均一又は完全混合物として提供できる。例えば、CO2ガス流から、又はその他の外部供給源から提供できる適度の熱を印加すると、反応が始まる。ここで、反応生成物は、アンモニアガス及び副生物である水蒸気を含むであろう。アンモニウム塩は、無機アンモニウム塩又は有機アンモニウム塩でよい。無機塩の例としては、ハロゲン化物、硫酸塩、硫化物、硝酸塩及びリン酸塩が挙げられる。酢酸アンモニウムは、有機アンモニウム塩の代表である。その他のカルボン酸も使用できる。使用できる塩基の代表例には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)の水酸化物のような強塩基、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム)、酸化物(例えば、酸化カルシウム)、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)が含まれる。
【0072】
多くの場合、経済的観点から、アンモニウム塩としては塩化アンモニウムを、塩基としては酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)又は炭酸カルシウム(石灰石)を選択するのが好都合である。炭酸カルシウムを選択した場合には、中間体として炭酸アンモニウムが形成され、それは、一般に、比率がおおよそ2:1の重炭酸アンモニウムと炭酸アンモニウムの混合物として存在することに留意されたい。前に考察したように、重炭酸アンモニウムは、例えば、暖かいCO2ガス流と接触すると分解してアンモニアになる。カルバミン酸塩も、空気又はCO2ガスと接触して、重炭酸塩に転換され、従って、さらなるアンモニアガスを発生できる。
【0073】
分解してアンモニアガスを放出する、任意の液体又は固体の無機又は有機アンモニウム化合物も使用できる。適切なアンモニウム化合物の例には、例えば、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム/炭酸スカンジウム複塩一水和物、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、ペンタシアノ鉄(II)アンミンアンモニウム二ナトリウム水和物、フェロシアン化アンモニウム(II)水和物、ギ酸アンモニウム、水酸化アンモニウム(アンモニア水)、クエン酸水素アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、クエン酸アンモニウム鉄(III)、乳酸アンモニウム、硫酸アンモニウムニッケル(II)六水和物、シュウ酸アンモニウムニオブ、硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウムのマトリックス修飾因子溶液、シュウ酸アンモニウム一水和物、過塩素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫化アンモニウム水溶液、硫化アンモニウム一水和物、及びL−酒石酸アンモニウムが含まれる。
【0074】
アンモニアガスそれ自体、例えば、加圧アンモニアシリンダー又は適切な溶媒に溶かしたアンモニア溶液を使用することも本発明の範囲に包含される。
【0075】
アンモニウム化合物又はアンモニアガスの選択は、ルアーの使用予定場所での入手可能性で左右される。ルアーが、ユーザーの家庭などの囲まれた空間内、或いは煙霧又は蒸気がヒト又はその他の動物と接触すると予想される場所で使用することが期待される、又はそのために特に設計される本発明の実施形態において、化学ルアーは、その分解生成物を含め、無毒且つ非刺激性であり、概して安全であることが特に重要である。本発明の実施形態では、化学誘引剤として食品級乳酸及び食品級重炭酸アンモニウムを使用する。しかし、消費及び/又はヒト及びその他の動物との接触に関して危険がないと一般に認められている任意の類似誘引剤を使用できる。
【0076】
本発明の他の実施形態において、視覚によるルアーを採用して、捕獲デバイスの飛翔昆虫に対する誘引を相乗的に高めることができる。例えば、視覚による昆虫ルアーは、飛翔昆虫の特定種を誘引するように仕立てられた視覚的合図を提供するように選択できる。このような視覚によるルアーは、少なくとも2種の比較的大きく、コントラストをつけた彩色面を提供するように配列される。視覚によるルアーは、1つ又は複数の輝く黒色表面、高光沢反射銀色表面、又は深紅色又は銀色の面を含むことができる。視覚によるルアーは、約50:50〜約70:30の比率の深紅色:銀色の面を含むことができる。深紅色:銀色の比率は、約60:40〜約70:30でよい。
【0077】
視覚によるルアーは、捕獲デバイスに結合される幾何形状に形作ることができる。幾何形状は、特定の飛翔昆虫種を特に誘引するように選択できる。例えば、視覚によるルアーは、湾曲及び平面形の組合せを含むことができる。彩色した球及び円錐は、特定の飛翔昆虫に対して誘引性を示した。しかし、多くの形状を、昆虫に対して彩色誘引物を露出するための表面積を最大化するように設計することができ、それによって、感じやすい飛翔昆虫を捕獲デバイスに誘惑する。
【0078】
視覚によるルアーは、捕獲デバイスの機能的又は構造的特徴の中に統合することもできる。従って、視覚による昆虫ルアーは、スタンド脚、捕獲ユニットのハウジング、排気出口ノズル及び昆虫吸込みノズルなど、1つ又は複数の彩色昆虫トラップ構成部品の少なくとも一部を含むことができる。例えば、捕獲デバイスは、深紅色部分、銀色部分、驚くべきことに優れた昆虫誘引能力を示した配色を有するように成型された昆虫吸込みノズルを含むことができる。このような吸込みノズルは、1つ又は複数の化学ルアー及びCO2排気プルームと組み合わせた状態で、非常に高い昆虫捕獲数の可能な飛翔昆虫捕獲デバイスを提供できる。
【0079】
本発明の実施形態による、水をベースにした乳酸のゲル状形態は、食品級L(+)−乳酸水溶液から調製される。本発明の実施形態において、製品は、Mosquito Magnet(登録商標)(米国、ロードアイランド、American Biophysics Corpの商標)中で少なくとも約3〜4週間の間、比較的高速度でL(+)−乳酸を放出できるように調合される。
【0080】
ゲル製品は、L(+)−乳酸溶液をUV硬化性水溶液と混合することによって形成することができ、そこでは、溶液全体が、紫外線(UV)照射下でゲル化する網状組織(L(+)−乳酸ゲル)を形成する。L(+)−乳酸と形成されたゲル化する網状組織の間に化学的接続は存在しない。換言すれば、L(+)−乳酸とゲル化する網状組織の間に化学結合は存在しない。従って、L(+)−乳酸は、例えば、環境温度、環境に曝露される化学誘引剤の表面積などに応じた所望の速度でL(+)−乳酸ゲルを自由に放出できる。
【0081】
本発明の一実施形態では、L(+)−乳酸ゲルを、カートリッジ内に挿入又はその中で形成できる。
【0082】
本発明の実施形態では、必要な放出速度及び時間を維持するために、L(+)−乳酸ゲルの下に水ゲル層を配置し、L(+)−乳酸ゲルに水を連続的に供給する貯水池を提供する。
【0083】
表1に、本発明の様々な実施形態による乳酸ゲルの製造に使用できる代表的な化学薬品を示す。
【0084】
【表1】
【0085】
上記の乳酸ゲル製剤を含む個々のカートリッジは、プラスチック容器、例えば高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はその他の不活性プラスチック中で、表1からの成分を、次の順序、すなわちSR610、Irgacure651/アセトン溶液、乳酸溶液及び水の順序で撹拌しながら混合することによって調製できる。
【0086】
Irgacure651のアセトン溶液を最初に調製し、得られた溶液は、使用の準備ができるまで、暗くして、例えば琥珀色でシールした容器中で貯蔵すべきである。アセトンに対する光開始剤の重量比は、約5〜約25%、又は約10〜約20%の範囲でよい。
【0087】
本発明の一実施形態では、透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを使用して、真空成型及びヒートシール処理でカートリッジを作製する。該カートリッジは、L(+)乳酸を、カートリッジの頂部表面の穴/穴(複数)を通して特定の速度で放出できる。穴の大きさと数が、カートリッジからのL(+)−乳酸の放出速度を制御する。本発明の一実施形態では、カートリッジの表面に1つの穴が存在し、その穴の大きさは直径が約0.14インチである。カートリッジの放出表面をシールするためには、例えばアルミ箔と熱シールが可能なプラスチックフィルムから構成される複層テープでよい。そのシールを、カートリッジ用のラベルとしても使用できる。
【0088】
一実施形態では、最初にアクリル酸ナトリウム溶液を調製する。アクリル酸ナトリウムはUV硬化性水溶液の例であり、アクリル酸ナトリウム水溶液と乳酸は、熱又はUV照射下で、SR610(これは、官能基を提供する分子中に2つの二重結合を有する二官能性架橋剤の例である)などの二又は三官能性架橋剤と反応すると、ゲル状構造を形成する。アクリル酸ナトリウムは、両方とも広範な製造業者から容易に入手できる水酸化ナトリウム及びアクリル酸を反応させて調製できる。別法として、その場で形成するのに代わって、商業的に生産されたアクリル酸ナトリウムを使用できる。
【0089】
UV硬化システム(例えば、Fusion UV Systems、Inc製のUVランプとコンベヤーを備えたFusion F300S)を使用してUV硬化を達成できる。
【0090】
アクリル酸ナトリウム溶液(蒸留水中35.5重量%)は、表2に示した成分及び比率を使用して調製できる。反応の完了は、反応物の量及び反応溶液のpH値変化を制御することによって決定できる。新たに調製したアクリル酸ナトリウム水溶液(35.5重量%)のpHは、8〜9である(pH試験紙で測定して)。水酸化ナトリウム及びアクリル酸の両方とも強腐食性であり、反応は極めて発熱性なので、反応は、冷水浴中で実施できる。しかし、アクリル酸ナトリウムを製造するためのいかなる方法も本発明の範囲に包含される。更に、市販の供給源からのアクリル酸ナトリウムを使用できることも明らかである。
【0091】
【表2】
【0092】
フレーク状水酸化ナトリウム(40.0g)を、蒸留水(153.0g)に溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製し、撹拌しながらアクリル酸(72.0g)に徐々に添加する。最終溶液のpHはpHメーターで測定できる。最終溶液中に35.5重量%の濃度で、アクリル酸ナトリウム(94.0g)が形成される。
【0093】
本発明の一実施形態において、乳酸ゲルルアーは、L(+)−乳酸ゲル(例えば、カートリッジの上部に)及び水ゲル(例えばカートリッジの底部に)を含む2相構造を有する。L(+)−乳酸ゲル及び水ゲルの適切な組成を表3に示す。L(+)−乳酸ゲル及び水ゲルを調製するために、まず、アクリル酸ナトリウム溶液を容器中で撹拌し、その容器に、水(必要なら)、L(+)−乳酸、SR610、Irgacure651をこの順序で添加する。当業者は、類似のL(+)−乳酸ゲル及び水ゲルを新たに作る場合には、別の量及び手順が可能であることを理解するであろう。
【0094】
【表3】
【0095】
カートリッジ中のL(+)−乳酸ゲル及び水ゲルの量は、最高の放出速度及び有用寿命を提供するように選択できる。一実施形態において、11gのL(+)−乳酸ゲル及び3.5gの水ゲルは、14日間の間10mg/hrを超える放出速度を、さらなる6日間の間4mg/hr〜9mg/hrの放出速度を示した(約90°Fで)。水ゲルの量を増やすと、3週間を超える間10mg/hrを超える放出速度にすることができた。
【0096】
プラスチックカートリッジに材料を直接添加すること、及びUV又は熱の供給源の下に該カートリッジを通すことによって乳酸溶液をゲル化できる(使用するなら水ゲルも)。一実施形態では、UV−A及びUV−V放射用のD−球を備えたUVランプが使用される。他の実施形態では、カートリッジを、コンベヤー上、約10ft/分の速さでUV又は熱の供給源の下を通過させる。乳酸ゲル形成溶液及び水ゲル形成溶液の両方を使用するなら、最初にカートリッジ中で水ゲルを形成し、そして水ゲルの上部にL(+)−乳酸ゲル溶液を分注し、次いで硬化させる。ヒートシールが可能なテープを、カートリッジ表面の開口部のいずれか又は各カートリッジに貼り、顧客に出荷するためにガス不浸透性ラップで包装する。水ゲル溶液を硬化させる前又は硬化中にL(+)−乳酸ゲル溶液を硬化させるのも本発明に包含される。L(+)−乳酸ゲル溶液及び水ゲル溶液を別々に硬化させ、場合によっては、次の段階でそれらを組み立てるのも本発明に包含される。
【0097】
液状のL(+)−乳酸及び水は、ゲル化する網状組織中に捕捉されるが、前に言及したように網状組織に結合はしない。
【0098】
本発明の他の実施形態において、ゲルを形成する硬化反応は、硬化性多不飽和化合物のみを用いて、例えばアクリル酸ナトリウムなどの光硬化性単不飽和化合物なしで実施される。この場合、例えば、多不飽和成分は、閉じ込められた乳酸溶液を含むゲル状構造として現われる三次元網状組織を形成するのに十分なフリーラジカルを提供する。乳酸溶液は、別の水ゲル層を必要としないほど十分な水を含むことができる。本発明の更に他の実施形態において、ルアーは、アンモニア供給源と共に又はアンモニア供給源なしで乳酸供給源で提供され、ここで、乳酸供給源は、アクリレート部分を実質上含まない高分子ゲル中に乳酸水溶液を含み、ここで、アクリレート部分を実質上含まないとは、ゲルの網状組織を調製するのに使用されるポリマーが、アクリレート部分を有さないか、或いは、アクリレート部分が高分子ゲルを形成する上でこのようなポリマーを架橋するのに有用であるようにポリマー末端の若干又は全てにアクリレート部分のみを有することを意味する。アクリレートモノマー又はかなりの量のアクリレート部分を含むポリマーから形成される高分子ゲルと比較したこのような実施形態の利点は、ルアー中でアクリレート部分の量が低減され、それによって、特定のアクリレート部分及びその副生物の忌避効果が低下する。
【0099】
例えば、次表4に示す成分を使用して、本発明の実施形態による乳酸含有ゲルの化学誘引剤ルアーを調製できる。
【0100】
【表4】
【0101】
上記処方からゲルを調製するための手順は、実質的に前述と同様である。例えば、適当な容器、例えばプラスチックカートリッジ(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなど)に、撹拌しながら、SR610、Irgacure651溶液、乳酸溶液、及び水の順序で成分を入れる。得られた混合物を、カートリッジ中でUV硬化に付す。カートリッジを熱シールして、カートリッジの任意の開口部をシールできる。
【0102】
光開始剤の量(上表4に示した処方では約0.2%)は、多不飽和成分中の二重結合の所望する解離レベル、従って所望する架橋及びゲル化のレベルを達成するように選択できる。Irgacureの製造業者は、個々の応用に応じて、約0.5〜約6重量%の範囲の「651」量を推奨している。しかし、本発明のこの実施形態で使用するより低い量(約0.2%)が、やはり、数週間から数ヶ月の貯蔵で漏洩なしに、ゲル中に乳酸溶液を少なくとも実質上安定して保持できる保持能力を有するゲルを生じる架橋度及びゲル化度を誘導することが見出された。ゲルの液体保持能力は、試行錯誤を含む定型的手順で容易に測定できる。
【0103】
使用するなら、L(+)−乳酸ゲル及び水ゲルは、フリーラジカルを形成する硬化光開始剤の援助と共にUV反応性重合分子(アクリレート)を使用して形成されるが、当業者は、その他の手段でゲルを形成できることを理解しているだろう。例えば、ゲルは、付加重合、縮合重合、カルボカチオン重合、フリーラジカル重合、アニオン重合、及び有機金属重合によって形成できる。使用するモノマーも変更可能であり、それには、置換又は非置換アルカン、置換又は非置換アルケン、置換又は非置換アルキン、置換又は非置換ジエン、置換又は非置換糖類、置換又は非置換ヌクレオチド、置換又は非置換脂質、及び置換又は非置換ウレタンが含まれる。多くの標準的な化合物にハロ−、アミノ−、オキソ−、ヒドロキシル−、チオ−、ニトロ−、アルコキシ−、アリールオキシなどの基を付加すると、それらの化合物を重合反応に適したものにすることができる。ゲルポリマーは、天然(例えばゴムラテックス)又は合成(例えば、ナイロン及びポリ塩化ビニルPVC)のポリマーでよい。ゲルは、その他の非重合反応、例えば、酸−塩基反応、沈殿反応、及び置換反応で形成することもできる。
【0104】
UV光に加え、重合反応は、加熱、冷却、フリーラジカル、可視光、赤外(IR)光、β線照射、及びガンマー線照射を含む幾つかの手段によって、開始、制御、且つ停止することができる。
【0105】
本発明により、固体、半固体、又は液体の乳酸であるその他の形態も、使用できる。例えば、乳酸ゲルに代わって、又はそれと一緒に、焼結乳酸を使用できる。ルアーが、焼結形態の他の誘引剤と共にゲル形態の乳酸を、或いはゲル形態の他の誘引剤と共に焼結形態の乳酸を含むことも本発明に包含される。
【0106】
次は、本発明の実施形態による、アンモニアガスを発生させるための化学誘引剤としての重炭酸アンモニウムを調製するための代表例である。
【0107】
次の製剤を調製した。
【表5】
【0108】
上記製剤を調製するために、重炭酸アンモニウム粉末及びデンプン粉末を、任意の順序又は同時に混合機に入れ、そして高速で撹拌しながら水を徐々に添加して、ばらばらの湿潤顆粒を形成した。次いで、その顆粒を成型機のバレルに供給し、例えば円柱形状などの個々の形状に成型する。
【0109】
上述のような乳酸ゲル製品と一緒に使用するのに適した本発明の一実施形態において、個々の成型品は、約12〜約50gの重さであり、約0.5〜約1.5インチの直径、及び約1.5〜約3.5インチの長さを有する。
【0110】
図1は、概括的に10で示される昆虫捕獲装置の例を示し、それと一緒にして概括的に12で示される誘引剤システムを使用できる。図1に示した装置10は、2002年10月4日出願の米国特許出願第2003/0084604A1号に記載されているMOSQUITO MAGNET LIBERTYである。誘引剤システム12は、その他の燃焼ベース型及び非燃焼ベース型(CDC光トラップなど)など、その他任意のタイプの昆虫捕獲装置と共にも使用できる。このような装置を例示しているその他の特許/特許出願に関しては、米国特許第6,286,249号、同第6,145,243号、及び2003年5月27日出願の米国特許出願第10/445,245号、2003年5月27日出願の同第10/445,199号、及び2003年10月17日出願の同第10/686,815号を参照できる。上述の、或いは本出願の他のいかなる場所で言及する特許出願も、それぞれ、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0111】
捕獲装置10は、フレーム14の内側に取り付けられた燃焼デバイス(表示しない)を備えた支持フレーム14を含む。燃焼デバイスは、通常の調整器でプロパンタンク(表示しない)に連結しており、プロパンを触媒的に燃焼させて排気ガスを発生させるように機能する。排気ガスは、高いCO2含有量を有し、触媒反応による水分を含んでいる。この操作に関するさらなる詳細は、前述の特許/特許出願中に見出される。排気ガス流は、下を向いている出口開口部18を画定する出口管16から外側に流れる。これにより、排気ガスのプルームが、出口開口部18から下向きに流れ、次いで、装置10から拡がり出ることが可能になる。CO2に極めて敏感な蚊及びその他の昆虫は、プルームに向かって誘引され、その供給源すなわち出口開口部18に向かってプルームをたどって進む。
【0112】
出口管16は、下に向いた環状開口部22を有する入口管20の内部に同心的に取り付けられる。入口管20及び入口開口部20は、フレーム14の内側に取り付けられた送風機の形態をした空気流発生機(表示しない)と連通している。送風機は、入口開口部22及び入口管20を通して流入流を引き込む。流入流は、流出流に向かって誘引されて入口開口部22及び入口管20の内部の流出流開口部18に向かって飛行している昆虫を引き込むように流出流に近接して且つ逆向きに流れる。典型的には、ほとんどの昆虫は流出流の上縁を飛行する。それゆえ、流入流を、流出流の上縁に対して逆向きに且つ近接して流れるように配置することが、それらの昆虫を捕獲する上で有利である。
【0113】
昆虫捕獲チャンバー(表示しない)も、フレーム14に取り付けられる。昆虫捕獲チャンバーは、送風機の上流又は下流のどちら側に存在してもよいが、どちらの場合も、送風機により、流入流は昆虫捕獲チャンバーに流れ込む。昆虫捕獲チャンバーは、任意の構造でよく、例示した装置10では網袋である。流入流が昆虫捕獲チャンバーに流れ込むので、流入流と共に引き込まれた昆虫は捕獲される。いったん捕獲されると、昆虫は、脱水/飢餓、によって死亡したままにすることが可能であり、或いは昆虫捕獲チャンバーの内部で毒物を使用できる。また、捕獲装置10は、昆虫を殺すために電撃システムを使用できる可能性もある。他の代替法として、昆虫を殺す代わりに、捕獲装置10から昆虫を生かして取り出して、捕獲装置10を科学研究の目的に使用できる。
【0114】
誘引剤システム12は、装置10の出口管16の内側に取り付けられるように設計される。しかし、システム12は、その他任意のタイプの装置の出口管内か任意のタイプの装置のその他の任意の位置に取り付けるように構成できる。一般に、誘引剤システムは、任意の構造又は構成を有することができ、本明細書中に例示するものは、限定することを意図したものではない。
【0115】
システム12の容器を受け入れるために、レセプタクル24を出口管16の内側に取り付ける、便宜上、誘引剤システム12又はレセプタクル24に関する使用法のためにここでなされる参照は、それらが装置10に設置される際の配置に関してなされる。
【0116】
レセプタクル24は、装置10の本来部品として提供してもよいし、或いは改造キットとして販売してもよい。レセプタクル24を図3〜7に示す。レセプタクル24は、一般に、閉じた球形の上端キャップ26、及び下向きの開口部30を画定するその底部端の環状リング28を伴って伸びている。4つの長い部材32は、末端キャップ26とリング28の間にそれらを一緒に連結するように長手方向に伸びているが、任意の数のこのような部材32を使用できる。これらの部材32は、一般に、互いに並行であり、それらの間で長手方向に拡がる一連のアパーチャー(隙間)34を画定する。この構造は、開放末端(すなわち開口部30)を備えた内部空間を画定する。空間は、リング28と末端キャップ26との間のレセプタクル24の全長に沿って本質的に堅牢である横断面の構成を有する(横断面は、レセプタクル24の長手方向に対して本質的に垂直に取られる)。
【0117】
また、レセプタクル24は、部材32から外向きに伸びる一連の翼36有し、部材32の向かい合った対のそれぞれは、それから外向きに伸びる柱(post)38を有する。柱38は内腔40を有し、装置10の出口管16は、開口部42を支える正反対に向かい合った一対の留め具を有する。出口管16の内部にレセプタクル24を取り付けるため、レセプタクル24を、柱38の内腔40が管16の開口部42を支える留め具と一直線になるように、管16の中に挿入する。ネジ44などの留め具は、開口部42を通って内腔40の中に、管16の内部にレセプタクル24を固定するように挿入される。翼(wing)36は、それらが出口管16の内側表面と噛み合ってレセプタクル24を出口管16の内部で安定にするように構成される。翼36は、レセプタクル24の本体と出口管16の内側表面の間に、流出流がレセプタクル24の周囲を流れ通り過ぎる空間も生み出す。しかし、本発明は、この取り付け配置に限定されず、レセプタクル24を取り付けるその他任意の適切な方式を使用できる。
【0118】
示した実施形態において、レセプタクル24は、一続きの部品として一体となって取り付けられる。このことは、コストを節約する理由で好ましい。しかし、レセプタクル24は、任意の適切な方式で作製することができ、任意の構造及び構成を有することができる。示したレセプタクル24は、例示の目的で提供するものであり、限定することを意図していない。
【0119】
リング28は、壁32の外表面と合致する内径を有する。正反対に向かい合った壁32の第一対は、リング28の内表面に沿って僅かに伸びている。リング28は、開口部46を受け入れる正反対に向かい合った1対のタブを有する。これらの開口部46は、軸の方向に、上述の正反対の向かい合った壁32の第一対の末端から離れて存在する。壁32の正反対に向かい合った第二対は、リング28の内表面の全軸長に沿って伸びており、それぞれは、それら末端の一連の隆起48を画定する。これらの構造の配置は、図4〜7から認識できる。
【0120】
誘引剤システム12は、伸びた概略円柱形のハウジング50を有する。ハウジング50は、上端壁52、下部壁54、及び中央壁56を有する。第一チャンバー58は、上端壁52と中央壁56の間に画定され、第二チャンバー60は、中央壁56と底部壁54の間に画定される。第一拡散性昆虫誘引剤62は、第一チャンバー58内に収容され、第二拡散性昆虫誘引剤64は、第二チャンバー内に収容される。
【0121】
昆虫誘引剤62、64は、任意のタイプでよく、一般には、互いに化学的に反応できるタイプである。一実施形態において、第一昆虫誘引剤62として乳酸ゲルを、第二昆虫誘引剤64として粉末重炭酸アンモニウムを使用することが考えられる。乳酸は酸、重炭酸アンモニウムは塩基であり、酸と塩基は反応して塩を形成できるので、これらは、互いに反応する誘引剤の例である。その他任意の拡散可能な液体、固体、又は半固体の昆虫誘引剤を使用することができ、これらの例は、限定するものと考えるべきでない。チャンバー58、60は、互いに軸方向で隣接しているように示されているが、それらはハウジング50の縦全長の間で互いに隣接して伸び、或いはその他任意の方式で配置される可能性もある。例えば、乳酸ゲルに関する詳細については、その全体を参照により本出願に組み込む、米国特許出願第10/431,586号を参照できる。
【0122】
ハウジング50は、その中に、拡散した昆虫誘引剤がチャンバー58、60から流出することを可能にする複数の開口部を有する。開口部の大きさ、数及び配置は、チャンバー58、60内の誘引剤62、64に対して所望される放出速度によって決まる。従って、開口部の大きさ、数及び配置は、変更することができ、示した実施形態の開口部は、限定することを意図するものではない。
【0123】
第一チャンバー58は、チャンバー58の正反対に向かい合う側面上の1対上で軸方向に拡がる1対の比較的大きな矩形の開口部66を有する。また、第一チャンバー58は、チャンバー58の正反対に向かい合う側面上の別の1対上に軸方向で間隔をあけた比較的小さな開口部68も有する。第二チャンバー60は、開口部68から軸方向で間隔をあけた単独の比較的小さな開口部70を有する。
【0124】
ハウジング50の外側の構成は、図4〜6及び8から最も認識できる。一連の隆起(ridge)72、示したような4つは、開口部で中断される場所を除いて、ハウジング50の全長に沿って軸方向に伸びている。これらの隆起72は、隆起間の一連の溝(groove)74を画定し、その溝も、ハウジング50の全長に沿って軸方向に伸びている。ハウジング50の断面(その長手方向に対して実質上垂直に取られる)は、レセプタクル24の内部空間の断面とに厳密に合致する。これによって、レセプタクル24の長い内部空間にハウジング50を長手方向に挿入して、装置10にシステム12を取り付けることが可能になる。
【0125】
装置10に既に取り付けられているレセプタクル24に誘引剤システム12を取り付けるためには、ハウジングの溝74が、レセプタクルの部材32と軸方向で一直線に並び、ハウジングの隆起72が、部材32の間に画定された開口部34と軸方向で一直線に並ぶように、ハウジング50を、レセプタクルのリング28の開口部30と軸方向で一直線に並べる。次いで、使用者は、ハウジング50をレセプタクル24の内部に軸方向で滑らす。ハウジング50を完全に挿入すると、隆起72の上端が、末端キャップ26の底部縁に接触してさらなる軸方向の動きを制限する。
【0126】
また、ハウジング50の底部端は、弾性的に柔軟なアーム78上に支えられた1対の噛み合せタブ76を有する。これらのタブ76は、リング28の開口部46を受け入れるタブに取り外せるように受け入れられる。開口部46内のタブ76の噛み合いにより、ハウジング50が例えば重力によってレセプタクル24から滑り出すのを阻止する。レセプタクル24からハウジング50を外すために、アーム78を内側に弾性で曲げ、開口部46からタブ76を抜き取ることができる。これらのアーム78は、ハウジング50と一続きとして一体的に形成するか、或いは別個に形成してそれに結合する。
【0127】
ハウジング50は、ハウジング50の両端を開けて、ハウジング50自体と中央壁56を一続きとして射出成型することによって製造される。次いで、開口部66、68、70を切り抜く。別法として、開口部66、68、70を、射出成型操作の一部として形成できる。次に、チャンバー58、60に誘引剤62、64を入れ、成型したプラスチック末端壁52、54を、ハウジング50の開放上部端及び下部端にしっかりと取り付け、ハウジングを閉鎖する。
【0128】
チャンバー58、60をシールし、誘引剤システム12を使用する前に、昆虫誘引剤62、64が拡散し互いに混合するのを防止するために、1つ又は複数の除去できるシールを準備して開口部66、68、70を封鎖する。開口部66、68、70を封鎖すると、チャンバー58、60が本質的に互いに隔離され、誘引剤の相互混合を本質的に防止する(その上、壁56が、誘引剤を物理的に分離し、隔離する)。用語「本質的に」は、製造又は設計における重要でない誤り又は不整合は、1つ又は複数のシールを通って漏れ出す微量の誘引剤62、64、中央壁56とハウジング50との間の任意の微小な隙間、及び/又は末端壁52、54とハウジング50との間の任意の微小な隙間を見込んでいるという現実を承認するために使用される。もちろん、誘引剤のこのような漏れのないことが望ましいが、幾らかは微量が漏れる可能性もあると理解される。
【0129】
誘引剤が使用前に共混合するのを防止することによって、使用中のそれらの寿命及び有効性が高められる。具体的には、小売商店の展示において、誘引剤システム12は、最初に製造業者によって作製され、次いで出荷用に包装され、典型的には小売店の配送センターを経由して小売店に配送される。次いで、誘引剤システム12は、購入されるまで棚又は展示ラックに配置され、そして消費者によって使用される。誘引剤システム12の製造から消費者によるその使用までの期間は、数週間或いは1ヶ月を超える可能性がある。誘引剤62、64が互いに混じり合うことを許したら、誘引剤は、使用者がシステム12を使用する期日までに劣化してしまい、それに伴って、誘引剤62、64が高いレベルの有効性を備えて機能するであろう期間が短縮する可能性がある。従って、この相互混合の発生を防止するためには、1つ又は複数のシールを使用して開口部66、68、70を封鎖することが望ましい。また、壁56を利用して使用中に誘引剤62、64を物理的に分離すると、ハウジング50内での誘引剤62と64との間のなんらかの相互混合/反応が最小になる。
【0130】
示した実施形態において、1つ又は複数のシールはプラスチックフィルム80で構成される。プラスチックフィルム80は、ハウジング50を取り囲み、その上にチャンバー58、60の開口部66、68、70を保護するように熱で収縮される。これは、ハウジング50を覆ってフィルム80のチューブを置くことによって行われ、チューブはハウジング50よりも僅かに大きな直径を有する。次いで、熱を印加してチューブを収縮させ、フィルム80でハウジング50をしっかり覆い、開口部66、68、70を封鎖する。この適用に好ましいフィルム80は、化学誘引剤及びそれからのなんらかの拡散物に対して不活性である任意の一般に気体不浸透性の材料でよい。フィルム80は図11で見られる。
【0131】
フィルム78に代わって、その他のタイプのシールも使用することができ、例えば、粘着性剥離テープを使用して開口部66、68、70を覆い、封鎖できる。一般に、任意の適切なタイプのシールを使用して開口部66、68、70を封鎖することができ、このようなシールの大きさ、形状、及び構造は変更できる。同様に、プラスチックフィルムシートをハウジング50の廻りに堅く巻きつけ、場所を固定する。また、幾つかの構成において、変形可能な栓を様々な開口部に押し込み開口部をシールできる可能性がある。本発明は、ここで言及した例に限定されない。
【0132】
装置10の中のシステム12を使用するに先立って、使用者は、フィルム80、又は使用されているその他のどんなシールも取り剥がす。これによって、昆虫誘引剤62、64は、開口部66、68、70を通って外に拡散し、昆虫を装置10に向かって誘引することを促進する。
【実施例】
【0133】
例1〜4
これらの例は、組合せルアーが、第二化学誘引剤としての重炭酸アンモニウム(アンモニア供給源)と組み合わせた第一化学誘引剤としての乳酸含有ゲルを含む本発明の実施形態を例示する。
【0134】
組合せ物の蚊に対する誘引性は、プルーム(二酸化炭素、水蒸気)が誘引剤カートリッジの表面を通過できる頂部開放担体区画(誘引剤を保持するための)を使用したAmerican Biophysics、Corp.により製造されたMosquito Magnet(商標)Liberty及びProfessional(Pro)トラップで評価した。野外試験では、トラップ群を複数の試験箇所の間で交代させ、蚊の分布、地形及びその他の環境因子に関して試験箇所に関連した条件からのあり得る影響を低減又は排除した。
【0135】
誘引剤サンプル
本発明の実施形態による組合せ物は、有効成分として又は多孔性袋中の直接圧縮粉末として、前表4に示した通りの処方を有する食品級L(+)−乳酸、及び前表5に示した通りの処方を有する重炭酸アンモニウム粉末を備えた2成分誘引剤である。L(+)−乳酸及び重炭酸アンモニウムのルアーは、個々に製剤化され、別々の包装中に密封され、次いで、その包装は、1つの大きな包装中で物理的に一緒に組み合わせられる(図11に示したように)。L(+)−乳酸部分は、蒸気形態でのL(+)−乳酸の放出を可能にする複数の穴を備えたプラスチックカートリッジ中で光硬化させた高分子ゲルである。重炭酸アンモニウム部分は、アンモニア、二酸化炭素及び水蒸気を放出するための小さな孔を備えたプラスチックカートリッジ中に密封された円柱形の加圧成型固体、又は直接圧縮され多孔性ポリプロピレンフィルムで作製された袋内に密封された重炭酸アンモニウム粉末である。
【0136】
L(+)−乳酸ゲルを、第一カートリッジチャンバー内の開放空間を有する側に置き、成型した重炭酸アンモニウムの円柱又は多孔性袋中の炭酸アンモニウム粉末を第二チャンバー内の一片の赤テープで覆われた放出穴を備えた密封された側に置く。貯蔵及び応用中における包装内の2つの有効成分間での酸−塩基化学反応を回避するために、2つのチャンバーを隔離する。
【0137】
(例1)
本例は、組合せルアーがAedes albopictusを有効に誘引することを実証する。誘引性は、誘引剤としてゲルL(+)−乳酸単独又は重炭酸アンモニウム単独を使用した場合よりも2〜4倍、CO2のみを使用した場合よりも6〜13倍大きい。
【0138】
試験は、テキサス州、Harris Countyで2003年8月から9月にかけて行った。Aedes albopictusは、その地域で最も活動的な蚊の種である。試験では様々な誘引剤と共に二酸化炭素を放出するProトラップを使用し、各トラップを、24時間毎に6つの地点の間で交代した。各トラップに捕獲された蚊は、24時間毎に収集した。本発明によるサンプルは、乳酸ゲルを含むカートリッジ及び重炭酸アンモニウム粉末を含むシールされた多孔性袋の組合せとした。比較用の誘引剤として、乳酸ゲルカートリッジ及び重炭酸アンモニウム粉末の単独も使用した。
【0139】
表6に、2つの試験期間でのProトラップ中の本発明による組合せ、乳酸ゲル単独、重炭酸アンモニウムのみ、及びCO2のみを用いての、Aedes albopictusの1日当たり平均捕獲数を示す。表7に、組合せルアー、乳酸、重炭酸アンモニウム及びCO2のみの1日当たりの捕獲数の比の比較を示す。
【0140】
表6 Aedes albopictusの1日当たり平均捕獲数
【表6】
表7 Aedes albopictusの1日当たり平均捕獲数間の比較
【表7】
【0141】
上表から明らかなように、Aedes albopictusに対する組合せルアーの誘引性は、重炭酸アンモニウムの2倍、乳酸ゲル単独の約2.5倍、CO2の10.5倍である。
【0142】
Harris CountyにおけるAedes albopictusの個体数は、2003年7月中旬にこの地域を通過したハリケーン後に劇的に降下した。7月初旬(2003年7/5〜7/10)にL(+)−乳酸ゲルタイプの誘引剤を用いて同一地点で実施した試験では、Aedes albopictusの1日当たり捕獲数が、数百〜数千(1日当たり最大7220)であった。そして、誘引剤として本発明の実施形態による乳酸/アンモニア組合せルアーを備えた本発明者らのMosquito Magnet(登録商標)トラップを使用する、高度に活動的な蚊の区域でのAedes albopictusの1日当たり捕獲数は、数千であった可能性があると予想される。
【0143】
(例2)
この例は、本発明による組合せルアーが、Culex quinquefasciatusに対して極めて誘引性であり、その誘引性は、誘引剤として使用した場合、1−オクテン−3−オールより9〜50倍大きいことを実証する。
【0144】
試験は、2003年9月19日から10月12日までブラジルのサンパウロ地区で主要な活動性のある蚊の種としてCulex quinquefasciatusを用いて実施した。組合せルアー及びその他の誘引剤を、各トラップに装填した誘引剤と一緒に二酸化炭素を放出するMosquito Magnet(登録商標)Liberty及びDefenderトラップで試験した。この例でも、例1で使用したと同一のサンプルを使用した。対照として誘引剤1−オクテン−3−オールのカートリッジを試験した。トラップに捕獲された蚊を48〜72時間毎に収集し、蚊を収集した後に、トラップを試験地点の間で交代した。表8に、組合せルアー及び1−オクテン−3−オールを別々の誘引剤として使用した場合のLiberty及びDefenderによる試験結果(1日当たりの捕獲数として)、及び蚊の1日当たり平均捕獲数を2種の誘引剤間で比較した結果も示す。本発明の実施形態による組合せルアーは、Culex quinquefasciatusに対して高度に誘引性であること、及びその誘引性は、同一の試験条件下で誘引剤として使用した場合、1−オクテン−3−オールよりも約9〜51倍大きいことが明らかである。
【0145】
表8 組合せルアー及び1−オクテン−3−オールの間での雌Culex quinquefasciatusの1日当たり捕獲数の比較(サンパウロ、ブラジル、2003)
【表8】
【0146】
(例3)
この例は、本発明の実施形態による組合せルアーがOchlerotatus canadensis、Anopheles punctipennis、及びAedes vexansに対して誘引性であり、これらの種の蚊に対する誘引性が、誘引剤として1−オクテン−3−オールを使用する場合と類似であるか、或いはより大きいことを実証する。
【0147】
試験は、2003年9月5日から9月24日までロードアイランド、ノースキングスタウンのGreat Swamp地域で実施した。Ochlerotatus canadensis、Anopheles punctipennis、及びAedes vexansは、同定された14種の蚊の中で、収集された主要な種である。この試験では、CO2+評価予定誘引剤を放出するProトラップを使用した。組合せサンプルは、再び、乳酸ゲルカートリッジと例1及び2と同様の多孔性袋に封入した重炭酸アンモニウム粉末との組合せである。トラップに捕獲された蚊は、48〜72時間毎に収集し、蚊を収集した後に、トラップを試験地点の間で交代した。表9に、組合せルアー又は1−オクテン−3−オールを別々の誘引剤として使用した場合の試験結果(1日当たり捕獲数として)、及び蚊の1日当たり平均捕獲数を2種の誘引剤間で比較した結果を示す。結果は、乳酸とアンモニア(炭酸アンモニウムとして)の組合せのOchlerotatus canadensis、Anopheles punctipennis、及びAedes vexansに対する誘引性は、誘引剤として1−オクテン−3−オールを使用する場合と類似であるか、或いはより大きいことを示した。
【0148】
表9 組合せ(乳酸/アンモニア)と1−オクテン−3−オールとの間の1日当たり蚊捕獲数の比較(Great Swamp、RI、2003)
【表9】
【0149】
(例4)
この例は、本発明による組合せルアーが、Aedes albopictus及びその他の種の蚊に対して実際的に誘引性であり、そのAedes albopictusに対する誘引性は、誘引剤と使用した場合、1−オクテン−3−オールよりも3倍、乳酸ゲルよりも2.5倍大きいことを実証する。
【0150】
試験は、2003年12月にハワイ州ワイパフで実施した。包装を、実質上図11に示したように構成し、第一チャンバー中の乳酸ゲルと第二チャンバー中の炭酸アンモニウム成型顆粒からなる組合せルアーを含めた。
【0151】
組合せルアーを評価し、試験中CO2を放出するProトラップ中で、蚊に対する誘引性を、1−オクテン−3−オール、乳酸ゲル単独、及びその他の誘引剤と比較した。トラップ中に捕獲された蚊を24時間毎に収集した。Aedes albopictus及び全ての蚊の1日当たり捕獲数を別個に数えた。組合せルアー、乳酸単独、及び1−オクテン−3−オールに対する結果を次表10及び11に示す。組合せルアーは、Aedes albopictus及びその他の種の蚊に対して、誘引剤として1−オクテン−3−オール又は乳酸ゲルを使用するよりもより誘引性であった。
【0152】
表10 組合せルアーと1−オクテン−3−オールとの間での蚊捕捉数の比較
【表10】
表11 組合せルアー(乳酸ゲル+重炭酸アンモニウム)と乳酸ゲルとの間での蚊捕捉数の比較
【表11】
【0153】
結論
これらの研究は、本発明による乳酸とアンモニアの組合せルアーが、Aedes albopictus、Culex quinquefasciatus、Ochlerotatus canadensis、及びその他の種を含む様々な種の蚊に対して実際的に誘引性であることを実証している。それらの種の蚊に対する組合せルアーの誘引性は、1−オクテン−3−オール及び乳酸ゲルの単独の誘引性よりも大きい。
【0154】
本発明は、無毒性であるか或いは現在の市販製品よりも毒性の低い、蚊の抑制手段を提供できる。
【0155】
本発明の実施形態が、完全且つ実際的に説明されたことが認識されるであろう。前記の具体的実施形態は、本発明の構造的及び機能的原理を例示するために提供されており、該実施形態に限定されることを意図したものではない。逆に、本発明は、詳細な説明の中の精神及び範囲の中での全ての修正、変更及び置換を包含すると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の一実施形態により構築される誘引剤システムを取り付けた、典型的な昆虫捕獲装置の前面図である。
【図2】図1の装置の入口管及び出口管の部分横断面図である(横断面はレセプタクル及び誘引剤システムを示す)。
【図3】誘引剤システムをレセプタクル内に長手方向で挿入した、レセプタクル及び誘引剤システムの透視図である。
【図4】誘引剤システムをレセプタクルから抜き取った、レセプタクル及び誘引剤システムの透視図である。
【図5】レセプタクル内に長手方向で挿入された誘引剤システムの底端面図である。
【図6】図3の6−6の線に沿って取り出した断面図である。
【図7】図5の7−7の線に沿って取り出した断面図である。
【図8】誘引剤システムの底端面図である。
【図9】図8の9−9の線に沿って取り出した断面図である。
【図10】図9の10−10の線に沿って取り出した断面図である。
【図11】その開口部をシールするために熱収縮したプラスチックフィルムが付着した誘引剤システムの透視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔昆虫を誘引するためのルアーであって、
高分子ゲル及び多孔性材料からなる群より選択される担体中に乳酸溶液を含有する第一化学誘引剤、及び
アンモニア供給源を含む第二化学誘引剤を備え、該第一及び第二誘引剤が、ルアーの使用前に互いから物理的に隔離されているルアー。
【請求項2】
少なくとも第一チャンバー及び第二チャンバーを更に備え、第一誘引剤が該第一チャンバー内に収容され、第二誘引剤が該第二チャンバー内に収容される、請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
第一及び第二チャンバーのそれぞれと接触してガス状担体が通過するための少なくとも1つの開口部を有し、それによって、第一チャンバーからの乳酸及び第二チャンバーからのアンモニアガスを、該チャンバーから前記のガス状担体中に分配できる、請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
第一及び第二チャンバーに別々に接触させるように、別々のガス状担体の通過を可能にするために充分な開口部をチャンバー中に有し、それによって、第一チャンバーからの乳酸及び第二チャンバーからのアンモニアガスを、該チャンバーから前記ガス状担体中に分配できる、請求項2に記載のルアー。
【請求項5】
ガス状担体の少なくとも1つが流動ガス流である、請求項3から4までのいずれか一項に記載のルアー。
【請求項6】
請求項5に記載のルアー及び二酸化炭素供給源を備えたデバイスであって、該二酸化炭素供給源が流動ガス流に二酸化炭素を供給する能力を有するデバイス。
【請求項7】
ガス状担体が、拡散によって流動している外界空気である、請求項3から4までのいずれか一項に記載のルアー。
【請求項8】
飛翔昆虫を誘引するためのルアーであって、
乳酸溶液を含む第一化学誘引剤、及び
アンモニア供給源を含む第二化学誘引剤を備え、
該第一及び第二誘引剤が、ルアーの使用前に互いから物理的に隔離され、且つ、
該ルアーが、有効量の乳酸及びアンモニアを少なくとも長期間連続的に供給する能力を有し、更に、該長期間が1週間であるルアー。
【請求項9】
乳酸溶液が第一担体内に存在し、且つ、該担体が、高分子ゲル及び多孔性材料からなる群より選択される、請求項8に記載のルアー。
【請求項10】
第一担体が高分子ゲルであり、更に、水を含む第二高分子ゲル担体が該第一担体と接触している、請求項9に記載のルアー。
【請求項11】
長期間が、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、10週間及び12週間からなる群より選択される、請求項8に記載のルアー。
【請求項12】
長期間が3週間である、請求項8に記載のルアー。
【請求項13】
乳酸及びアンモニアの有効量が、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxからなる種の群から選択される種の飛翔昆虫を誘引するのに有効である、請求項8に記載のルアー。
【請求項14】
第一及び第二化学誘引剤の一方を有するが第一及び第二化学誘引剤の両方を有さない比較ルアーよりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも50%、より有効である、請求項1に記載のルアー。
【請求項15】
ルアーの有効性が、該ルアー及び比較ルアーの両方が比較二酸化炭素供給源と組み合わせて試験されるようにして、比較ルアーと対照して測定される、請求項14に記載のルアー。
【請求項16】
比較ルアーよりも少なくとも100%、より有効である、請求項14に記載のルアー。
【請求項17】
比較ルアーよりも少なくとも200%、より有効である、請求項14に記載のルアー。
【請求項18】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項14に記載のルアー。
【請求項19】
比較ルアーよりも少なくとも400%、より有効である、請求項14に記載のルアー。
【請求項20】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項14に記載のルアー。
【請求項21】
第一化学誘引剤を有するが第二化学誘引剤を除外した比較ルアーよりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも50%、より有効であり、増加した有効性が、長期間の経過にわたる平均として測定される、請求項8に記載のルアー。
【請求項22】
ルアーの有効性が、該ルアー及び比較ルアーの両方が比較二酸化炭素供給源と組み合わせて試験されるようにして、比較ルアーと対照して測定される、請求項21に記載のルアー。
【請求項23】
比較ルアーよりも少なくとも100%、より有効である、請求項21に記載のルアー。
【請求項24】
比較ルアーよりも少なくとも200%、より有効である、請求項23に記載のルアー。
【請求項25】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項24に記載のルアー。
【請求項26】
比較ルアーよりも少なくとも400%、より有効である、請求項25に記載のルアー。
【請求項27】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項26に記載のルアー。
【請求項28】
誘引することに関してルアーがより効果的である飛翔昆虫が、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxからなる種の群から選択される種の飛翔昆虫である、請求項14から27までのいずれか一項に記載のルアー。
【請求項29】
1−オクテン−3−オールを含むが第一及び第二化学誘引剤を除外した比較ルアーよりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも50%、より有効であり、更に、該比較ルアーからの1−オクテン−3−オールの放出速度と該ルアーの第一化学誘引剤からの乳酸の放出速度との比率が、約0.5〜約5の範囲内にある、請求項1に記載のルアー。
【請求項30】
ルアーの有効性が、該ルアー及び比較ルアーの両方が比較二酸化炭素供給源と組み合わせて試験されるようにして、比較ルアーと対照して測定される、請求項29に記載のルアー。
【請求項31】
比較ルアーよりも少なくとも100%、より有効である、請求項29に記載のルアー。
【請求項32】
比較ルアーよりも少なくとも200%、より有効である、請求項31に記載のルアー。
【請求項33】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項32に記載のルアー。
【請求項34】
比較ルアーよりも少なくとも400%、より有効である、請求項33に記載のルアー。
【請求項35】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項34に記載のルアー。
【請求項36】
1−オクテン−3−オールを含むが第一及び第二化学誘引剤を除外した比較ルアーよりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも50%、より有効であり、増加した有効性が、長期間の経過にわたる平均として測定される、請求項8に記載のルアー。
【請求項37】
ルアーの有効性が、該ルアー及び比較ルアーの両方が比較二酸化炭素供給源と組み合わせて試験されるようにして、比較ルアーと対照して測定される、請求項36に記載のルアー。
【請求項38】
比較ルアーよりも少なくとも100%、より有効である、請求項36に記載のルアー。
【請求項39】
比較ルアーよりも少なくとも200%、より有効である、請求項38に記載のルアー。
【請求項40】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項39に記載のルアー。
【請求項41】
比較ルアーよりも少なくとも400%、より有効である、請求項40に記載のルアー。
【請求項42】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項41に記載のルアー。
【請求項43】
誘引することに関してルアーがより効果的である飛翔昆虫が、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxからなる種の群から選択される種の飛翔昆虫である、請求項29から42までのいずれか一項に記載のルアー。
【請求項44】
二酸化炭素供給源と組み合わせたルアーが、ルアーなしの二酸化炭素供給源よりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも200%、より有効である、請求項1に記載のルアー。
【請求項45】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項44に記載のルアー。
【請求項46】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項45に記載のルアー。
【請求項47】
比較ルアーよりも少なくとも750%、より有効である、請求項46に記載のルアー。
【請求項48】
二酸化炭素供給源と組み合わせたルアーが、ルアーなしの二酸化炭素供給源よりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも200%、より有効であり、増加した有効性が、長期間の経過にわたる平均として測定される、請求項8に記載のルアー。
【請求項49】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項48に記載のルアー。
【請求項50】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項49に記載のルアー。
【請求項51】
比較ルアーよりも少なくとも750%、より有効である、請求項50に記載のルアー。
【請求項52】
誘引することに関してルアーがより効果的である飛翔昆虫が、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxからなる種の群から選択される種の飛翔昆虫である、請求項44から51までのいずれか一項に記載のルアー。
【請求項53】
第一化学誘引剤から放出される乳酸の有効量が少なくとも1mg/hrであり、且つ、第二化学誘引剤から放出されるアンモニアの有効量が少なくとも1mg/hrである、請求項8に記載のルアー。
【請求項54】
屋内使用に適している、請求項53に記載のルアー。
【請求項55】
第一化学誘引剤から放出される乳酸の有効量が少なくとも2mg/hrであり、且つ、第二化学誘引剤から放出されるアンモニアの有効量が少なくとも2mg/hrである、請求項53に記載のルアー。
【請求項56】
乳酸の有効量が少なくとも3mg/hrである。請求項55に記載のルアー。
【請求項57】
アンモニアの有効量が、少なくとも3mg/hrである、請求項55に記載のルアー。
【請求項58】
高濃度の二酸化炭素ガスを含むガス流と約90°Fの温度で接触した場合に、長期間連続的に、アンモニアを約3mg/hrから約30mg/hrの範囲内の速度で放出する能力を有し、乳酸を約1mg/hrから20mg/hrの範囲内の速度で放出する能力を有する、請求項8に記載のルアー。
【請求項59】
長期間が少なくとも2週間である。請求項58に記載のルアー。
【請求項60】
長期間が少なくとも3週間である。請求項59に記載のルアー。
【請求項61】
アンモニア供給源が固体である、請求項1に記載のルアー。
【請求項62】
アンモニア供給源が圧縮アンモニアガスのシリンダーである、請求項1に記載のルアー。
【請求項63】
アンモニア供給源が液体である、請求項1に記載のルアー。
【請求項64】
アンモニアガス供給源が重炭酸アンモニウムを含む、請求項1に記載のルアー。
【請求項65】
アンモニアガス供給源が、アンモニウム塩と強塩基との完全な混合物である、請求項1に記載のルアー。
【請求項66】
アンモニア供給源が、加熱された場合にアンモニアガスを発生する能力のあるアンモニウム化合物である、請求項1に記載のルアー。
【請求項67】
アンモニア供給源が、二酸化炭素ガスの暖かい流れに曝露されるとアンモニアガスを発生する能力のあるアンモニウム化合物である、請求項1に記載のルアー。
【請求項68】
アンモニア供給源が、重炭酸アンモニウムと混合した結合剤を更に含み、更に、アンモニア供給源が、顆粒、粘性液体、ワックス、又はそれらの組合せの形態である、請求項64に記載のルアー。
【請求項69】
アンモニア供給源がある形状に成型される、請求項68に記載のルアー。
【請求項70】
アンモニア供給源が、約50重量%〜約90重量%の重炭酸アンモニウム、約5重量%〜約35重量%の結合剤、及び約3重量%〜約20重量%の水を含む、請求項68に記載のルアー。
【請求項71】
結合剤がデンプンを含む、請求項68に記載のルアー。
【請求項72】
第二誘引剤が、実質的に円柱形である、又は実質的に円柱形の長手部分である形状を有する成型された組成物を含む、請求項64に記載のルアー。
【請求項73】
成型された組成物の重量が、約3〜約50グラムである、請求項72に記載のルアー。
【請求項74】
屋内使用に適しており、且つ、成型された組成物の重量が約3〜約25グラムである、請求項73に記載のルアー。
【請求項75】
屋外使用用に構成され、且つ、成型された組成物の重量が約30〜約50グラムである、請求項73に記載のルアー。
【請求項76】
第二化学誘引剤が、ルアーが有効量のアンモニアを連続的に供給する能力を有する各週に対して約5〜約15グラムの重炭酸アンモニウムを含む、請求項64に記載のルアー。
【請求項77】
実質的円柱形の直径が、約1.0インチ〜約1.5インチの範囲内にある、請求項72に記載のルアー。
【請求項78】
成型された組成物が、約1.5インチ〜約3.5インチの長さを有する、請求項77に記載のルアー。
【請求項79】
実質的円柱形の直径が、約0.8インチ〜約1.3インチの範囲内にあり、更に、ルアーが、屋内使用に適している、請求項62に記載のルアー。
【請求項80】
成型された組成物が、約1.0インチ〜約2.0インチの長さを有する、請求項78に記載のルアー。
【請求項81】
第一化学誘引剤の担体が高分子ゲルであり、且つ、第一化学誘引剤が、実質的に円柱形である、又は実質的に円柱形の長手部分である形状を有する、請求項72に記載のルアー。
【請求項82】
第一化学誘引剤が実質的に円柱形の長手部分である形状を有し、第二化学誘引剤が実質的に円柱形の長手部分である形状を有し、且つ、第一及び第二誘引剤の形状が、実質的に円柱形を画定するように互いに隣接して配置される、請求項81に記載のルアー。
【請求項83】
第一及び第二誘引剤が、実質的に同一の直径及び実質的に同一の長さを有する、請求項81に記載のルアー。
【請求項84】
重炭酸アンモニウムが食品級重炭酸アンモニウムである、請求項64に記載のルアー。
【請求項85】
重炭酸アンモニウムが少なくとも99%の純度を有する、請求項64に記載のルアー。
【請求項86】
乳酸が食品級L(+)−乳酸を含む、請求項1に記載のルアー。
【請求項87】
乳酸が、少なくとも約95%の立体化学的(L−異性体)純度を有する、請求項1に記載のルアー。
【請求項88】
第一化学誘引剤の担体が高分子ゲルであり、且つ、乳酸が、第一化学誘引剤の約1重量%〜約99重量%である、請求項1に記載のルアー。
【請求項89】
乳酸が、第一化学誘引剤の約25重量%〜約90重量%である、請求項88に記載のルアー。
【請求項90】
乳酸が、第一化学誘引剤の約25重量%〜約60重量%である、請求項89に記載のルアー。
【請求項91】
乳酸が、第一化学誘引剤の約30重量%〜約40重量%である、請求項90に記載のルアー。
【請求項92】
乳酸が、第一化学誘引剤の約34重量%〜約37重量%である、請求項91に記載のルアー。
【請求項93】
アンモニア供給源が重炭酸アンモニウムであり、且つ、該重炭酸アンモニウムが、第二化学誘引剤の25重量%〜約99重量%である、請求項88に記載のルアー。
【請求項94】
アンモニア供給源が重炭酸アンモニウムであり、且つ、該重炭酸アンモニウムが、第二化学誘引剤の50重量%〜約90重量%である、請求項90に記載のルアー。
【請求項95】
アンモニア供給源が重炭酸アンモニウムであり、且つ、該重炭酸アンモニウムが、第二化学誘引剤の70重量%〜約80重量%である、請求項91に記載のルアー。
【請求項96】
アンモニア供給源が重炭酸アンモニウムであり、且つ、該重炭酸アンモニウムが、第二化学誘引剤の72重量%〜約78重量%である、請求項92に記載のルアー。
【請求項97】
昆虫収集用捕獲チャンバー、該捕獲チャンバーと連通している入口、及び該入口の近傍の昆虫を捕獲チャンバー内に吸い込むように、該入口を経て捕獲チャンバー内に空気を吸い込むように構成された空気流発生機、及び請求項1に記載のルアーを備えたデバイス。
【請求項98】
乳酸及びアンモニアを制御可能に放出するように、ルアーが、該デバイス内に、工作、構成、又は配置される、請求項97に記載のデバイス。
【請求項99】
約外界温度〜約140°Fの温度で二酸化炭素ガスを発生する能力を有する二酸化炭素ガス発生機を更に備えた、請求項98に記載のデバイス。
【請求項100】
二酸化炭素ガス発生機が、二酸化炭素ガスを含む排気プルームを創り出すように配列され、且つ、ルアーが、排気プルームの少なくとも一部が第一化学誘引剤と接触し、排気プルームの少なくとも一部が第二化学誘引剤と接触するように配置される、請求項99に記載のデバイス。
【請求項101】
約外界温度〜約140°Fの温度で、乳酸及びアンモニアをガスに対して制御可能に放出する、請求項98に記載のデバイス。
【請求項102】
ルアーが、少なくとも第一チャンバー及び第二チャンバーを更に備え、第一誘引剤が該第一チャンバーに収容され、第二誘引剤が該第二チャンバーに収容され、更に、該第一及び第二化学誘引剤が使用前に少なくとも1つの除去可能なシールによって互いから隔離されて保たれる、請求項97に記載のデバイス。
【請求項103】
第一及び第二チャンバーが1つ又は複数の開口部を有し、且つ、1つ又は複数の該開口部が除去可能なシールによってシールされる、請求項102に記載のデバイス。
【請求項104】
第一チャンバーの1つ又は複数の開口部が、約0.3平方インチ〜約2.0平方インチの範囲の総面積を有し、且つ、第二チャンバーの1つ又は複数の開口部が、約0.01平方インチ〜0.2平方インチの総面積を有する、請求項103に記載のデバイス。
【請求項105】
第一チャンバーの1つ又は複数の開口部が、約0.2平方インチ〜約1.2平方インチの範囲の総面積を有し、且つ、第二チャンバーの1つ又は複数の開口部が、約0.005平方インチ〜0.2平方インチの総面積を有する、請求項103に記載のデバイス。
【請求項106】
1つ又は複数の開口部が、ガス状担体が第一及び第二化学誘引剤のそれぞれと接触することを可能にし、それによって第一チャンバーからの乳酸及び第二チャンバーからのアンモニアガスを該チャンバーから該ガス状担体中に分配できる、請求項103に記載のデバイス。
【請求項107】
二酸化炭素含有プルームを発生する能力を有する二酸化炭素ガス発生機を更に備え、且つ、該プルームの少なくとも一部がガス状担体であり得る、請求項106に記載のデバイス。
【請求項108】
1つ又は複数の開口部が、第一及び第二チャンバーに別々に接触するように、別々のガス状担体の通過を可能にし、それによって第一チャンバーからの乳酸及び第二チャンバーからのアンモニアガスを該チャンバーから該別々のガス状担体中に分配できる、請求項103に記載のデバイス。
【請求項109】
二酸化炭素含有プルームを発生する能力を有する二酸化炭素ガス発生機を更に備え、且つ、該プルームの少なくとも一部が別々のガス状担体であり得る、請求項108に記載のデバイス。
【請求項110】
請求項64に記載のルアー、及び外界温度〜約140°Fの温度で高濃度の二酸化炭素を有するガス流を発生する能力を有する二酸化炭素発生機を備えた、飛翔昆虫を誘引するのに有効なデバイス。
【請求項111】
請求項53に記載のルアーを備えた、屋内飛翔昆虫を誘引するのに有効なデバイス。
【請求項112】
そこに誘引された飛翔昆虫を捕獲するためのトラップを更に備えた、請求項111に記載のデバイス。
【請求項113】
トラップが、昆虫を収集するための捕獲チャンバー、該捕獲チャンバーと連通した入口、及び該入口の近傍の昆虫を捕獲チャンバー内に吸い込むように、該入口を経て捕獲チャンバー内に空気を吸い込むように構成された空気流発生機を備えた、請求項112に記載のデバイス。
【請求項114】
少なくとも約外界温度の温度で乳酸供給源及びアンモニア供給源を高濃度の二酸化炭素を含むガス流と接触させ、それによって、飛翔昆虫を該供給源に向かって誘引するのに有効な量の二酸化炭素、乳酸及びアンモニアが該供給源から外部へ長期間流出し、該長期間が少なくとも約1週間であることを含む、飛翔昆虫の誘引方法。
【請求項115】
長期間が、少なくとも約2週間である、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
長期間が、少なくとも約3週間である、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記供給源の近くに到達する飛翔昆虫の少なくとも若干を捕獲することを更に含む、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
前記乳酸及びアンモニアが、前記供給源からアンモニアが約3mg/hr〜約30mg/hr、乳酸が約1mg/hr〜約20mg/hrの速度で外側に流出する、請求項114に記載の方法。
【請求項119】
ガス流によって誘引される飛翔昆虫の少なくとも若干を捕獲することを更に含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
飛翔昆虫を、飛翔昆虫を捕獲するためのデバイスに誘引する方法であって、
デバイスから外部に流出する流動ガス流を発生させること、
飛翔昆虫を誘引するための少なくとも1つの化学誘引剤ルアーと接触させてガス流を流し、該少なくとも1つの化学誘引剤ルアーが乳酸供給源及びアンモニア供給源を含むものであり、それによって少なくとも乳酸及びアンモニアを流動ガス流中に放出すること、及び
少なくとも約1週間の間、流動ガス流の発生を少なくとも間欠的に継続し、それによって乳酸及びアンモニアの濃度を、少なくとも前記の期間そこに飛翔昆虫を誘引するのに有効に保つこと
を含む方法。
【請求項121】
乳酸供給源が、ゲル化している網状組織中に乳酸溶液を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項122】
アンモニア供給源が、重炭酸アンモニウムを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項123】
流出流の温度が、約外界温度〜約140°Fである、請求項69に記載の方法。
【請求項124】
L(+)−乳酸ゲル溶液を含み、更にアンモニア供給源を含む、飛翔昆虫を誘引するためのルアーであって、該L(+)−乳酸ゲル溶液が、
(i)20重量%〜50重量%のアクリル酸ナトリウム、
(ii)50重量%〜75重量%のL(+)−乳酸、
(iii)1重量%〜5重量%のポリエチレングリコール600ジアクリレート、
(iv)1重量%〜3重量%のホスフィンオキシド
を含むルアー。
【請求項125】
アンモニア供給源が重炭酸アンモニウム及びデンプンを含む、請求項124に記載のルアー。
【請求項126】
水ゲル溶液を更に含む、請求項125に記載のルアーであって、該水ゲル溶液が、
(i)30重量%〜70重量%のアクリル酸ナトリウム、
(ii)2重量%〜6重量%のL(+)−乳酸、
(iii)1重量%〜5重量%のポリエチレングリコール600ジアクリレート、
(iv)0.5重量%〜2重量%のホスフィンオキシド、及び
(v)30重量%〜70重量%の蒸留水
を含むルアー。
【請求項127】
L(+)−乳酸ゲル溶液を含み、更にアンモニア供給源を含む、飛翔昆虫を誘引するためのルアーであって、該L(+)−乳酸ゲル溶液が、
(i)10重量%〜50重量%の架橋可能ポリマー、
(ii)30重量%〜75重量%のL(+)−乳酸、
(iii)0.001重量%〜5重量%の光開始剤、
(iv)5重量%〜25重量%の水
を含み、ここで、乳酸ゲル溶液成分の重量パーセンテージが乳酸ゲル溶液全体に対して計算されているルアー。
【請求項128】
乳酸ゲル溶液が30重量%〜40重量%の乳酸を含み、架橋可能ポリマーが10重量%〜20重量%のポリ(エチレングリコール)ジアクリレートを含み、光開始剤が0.1重量%〜2重量%の2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン及び水を含む、請求項127に記載のルアー。
【請求項129】
アンモニア供給源が、重炭酸アンモニウム、結合剤、及び溶媒を含む、請求項127に記載のルアー。
【請求項130】
アンモニア供給源が、65重量%〜85重量%の重炭酸アンモニウム、5重量%〜25重量%のデンプン、及び水を含み、ここで、アンモニア供給源成分の重量パーセンテージがアンモニア供給源全体に対して計算されている、請求項128に記載のルアー。
【請求項131】
昆虫捕獲装置に取り付けるための誘引剤システムであって、該誘引剤システムが、
少なくとも第一チャンバー及び第二チャンバーを画定し、昆虫捕獲装置に取り付けられるように構成されたハウジング、
該第一チャンバー内に収容された第一拡散性昆虫誘引剤、
該第二チャンバー内に収容された第二拡散性昆虫誘引剤を備え、
ここで、第一及び第二拡散性昆虫誘引剤は、互いに化学的に反応することができ、
第一チャンバー及び第二チャンバーは、それぞれ、第一及び第二拡散性昆虫誘引剤がそれを通って放出されることを可能にする少なくとも1つの開口部を有し、
第一及び第二チャンバーは、第一及び第二拡散性昆虫誘引剤の相互混合を本質的に防止するようにチャンバーの開口部を閉鎖する1つ又は複数の除去可能なシールによって互いから本質的に隔離され、
該1つ又は複数の除去可能なシールは、チャンバーの開口部を開放して昆虫誘引剤をそこから放出させ、ハウジングを昆虫捕獲装置に取り付けた場合に昆虫を昆虫捕獲装置に誘引するように除去可能である、誘引剤システム。
【請求項132】
ハウジングが、第一及び第二チャンバーの中間に配置され、それらのチャンバーを隔離している壁を含む、請求項131に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項133】
ハウジングが概ね円柱である、請求項132に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項134】
第一及び第二チャンバーの間に壁が軸方向に配置され、第一チャンバーがハウジングの一方の軸部分に向かって伸び、第二チャンバーがハウジングの他方の軸部分に向かって伸びる、請求項133に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項135】
1つ又は複数の除去可能なシールが、チャンバーの開口部を覆うプラスチックフィルムで構成される、請求項134に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項136】
プラスチックフィルムがハウジングを取り囲む、請求項135に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項137】
プラスチックフィルムが、チャンバーの開口部を覆うようにその上で熱収縮されている、請求項136に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項138】
1つ又は複数の除去可能なシールが、チャンバーの開口部を覆うプラスチックフィルムで構成される、請求項131に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項139】
プラスチックフィルムがハウジングを取り囲む、請求項138に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項140】
プラスチックフィルムが、チャンバーの開口部を覆うようにその上で熱収縮されている、請求項139に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項141】
第一昆虫誘引剤が酸であり、第二昆虫誘引剤が塩基である、請求項131に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項142】
第一昆虫誘引剤が乳酸を含み、第二昆虫誘引剤がアンモニアを含む、請求項141に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項143】
乳酸が、乳酸を放出できるゲルの状態にある、請求項142に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項144】
アンモニアが、アンモニアを放出できる重炭酸アンモニウム中に含まれる、請求項142に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項145】
第一昆虫誘引剤が酸であり、第二昆虫誘引剤が塩基である、請求項135に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項146】
第一昆虫誘引剤が乳酸を含み、第二昆虫誘引剤がアンモニアを含む、請求項145に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項147】
乳酸が、乳酸を放出できるゲルの状態にある、請求項146に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項148】
アンモニアが、アンモニアを放出できる重炭酸アンモニウム中に含まれる、請求項146に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項149】
第一昆虫誘引剤が酸であり、第二昆虫誘引剤が塩基である、請求項138に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項150】
第一昆虫誘引剤が乳酸を含み、第二昆虫誘引剤がアンモニアを含む、請求項149に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項151】
乳酸が、乳酸を放出できるゲルの状態にある、請求項150に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項152】
アンモニアが、アンモニアを放出できる重炭酸アンモニウム中に含まれる、請求項150に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項153】
ハウジングが成型プラスチックから形成される、請求項131に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項154】
ハウジングが成型プラスチックから形成される、請求項135に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項155】
ハウジングが成型プラスチックから形成される、請求項138に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項156】
昆虫捕獲装置に取り付けるための誘引剤システムであって、
該装置が、内部空間及び開放端を備えたレセプタクルを有し、該システムが、
少なくとも第一チャンバーを画定するハウジング、
第一チャンバー内に収容された第一拡散性昆虫誘引剤を備え、
該第一チャンバーが、第一拡散性昆虫誘引剤がそこを通って拡散することを可能にするための少なくとも1つの開口部を有し、
該ハウジングが、ハウジングをレセプタクル中に取り外し可能に保持する、ハウジングとレセプタクルとの連結を用いてハウジングをレセプタクルの内部空間内にその開放端を通して挿入することによって、該誘引剤システムを昆虫捕獲装置に取り付けることを可能にするように構成される、誘引剤システム。
【請求項157】
レセプタクルの内部空間が細長く、且つ、ハウジングが、レセプタクルの細長い内部空間内にその開放端を通して長手方向に挿入できるように細長い、請求項156に記載の誘引剤システム。
【請求項158】
ハウジングが、長手方向に伸びた複数の隆起及び溝を有する、請求項157に記載の誘引剤システム。
【請求項159】
ハウジングが、誘引剤システムをレセプタクル中に取り外し可能に保持するためにレセプタクルの1つ又は複数の対応する開口部に受け入れるための1つ又は複数のタブを有する、請求項158に記載の誘引剤システム。
【請求項160】
昆虫捕獲装置に取り付けるための誘引剤システムであって、該誘引剤システムが、
昆虫捕獲装置に取り付けられるように構成されたハウジング、
第一拡散性昆虫誘引剤、
第二拡散性昆虫誘引剤を備え、
該第一及び第二拡散性昆虫誘引剤が、互いに化学的に反応することができ、
該第一及び第二拡散性昆虫誘引剤が、使用前のそれらの拡散及び相互混合を防止するように、互いから本質的に隔離の状態でハウジング内に収容され、且つ
該ハウジングが、使用中に第一及び第二拡散性昆虫誘引剤が曝露され、それらのハウジングからの拡散を可能にするものである、誘引剤システム。
【請求項1】
飛翔昆虫を誘引するためのルアーであって、
高分子ゲル及び多孔性材料からなる群より選択される担体中に乳酸溶液を含有する第一化学誘引剤、及び
アンモニア供給源を含む第二化学誘引剤を備え、該第一及び第二誘引剤が、ルアーの使用前に互いから物理的に隔離されているルアー。
【請求項2】
少なくとも第一チャンバー及び第二チャンバーを更に備え、第一誘引剤が該第一チャンバー内に収容され、第二誘引剤が該第二チャンバー内に収容される、請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
第一及び第二チャンバーのそれぞれと接触してガス状担体が通過するための少なくとも1つの開口部を有し、それによって、第一チャンバーからの乳酸及び第二チャンバーからのアンモニアガスを、該チャンバーから前記のガス状担体中に分配できる、請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
第一及び第二チャンバーに別々に接触させるように、別々のガス状担体の通過を可能にするために充分な開口部をチャンバー中に有し、それによって、第一チャンバーからの乳酸及び第二チャンバーからのアンモニアガスを、該チャンバーから前記ガス状担体中に分配できる、請求項2に記載のルアー。
【請求項5】
ガス状担体の少なくとも1つが流動ガス流である、請求項3から4までのいずれか一項に記載のルアー。
【請求項6】
請求項5に記載のルアー及び二酸化炭素供給源を備えたデバイスであって、該二酸化炭素供給源が流動ガス流に二酸化炭素を供給する能力を有するデバイス。
【請求項7】
ガス状担体が、拡散によって流動している外界空気である、請求項3から4までのいずれか一項に記載のルアー。
【請求項8】
飛翔昆虫を誘引するためのルアーであって、
乳酸溶液を含む第一化学誘引剤、及び
アンモニア供給源を含む第二化学誘引剤を備え、
該第一及び第二誘引剤が、ルアーの使用前に互いから物理的に隔離され、且つ、
該ルアーが、有効量の乳酸及びアンモニアを少なくとも長期間連続的に供給する能力を有し、更に、該長期間が1週間であるルアー。
【請求項9】
乳酸溶液が第一担体内に存在し、且つ、該担体が、高分子ゲル及び多孔性材料からなる群より選択される、請求項8に記載のルアー。
【請求項10】
第一担体が高分子ゲルであり、更に、水を含む第二高分子ゲル担体が該第一担体と接触している、請求項9に記載のルアー。
【請求項11】
長期間が、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、10週間及び12週間からなる群より選択される、請求項8に記載のルアー。
【請求項12】
長期間が3週間である、請求項8に記載のルアー。
【請求項13】
乳酸及びアンモニアの有効量が、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxからなる種の群から選択される種の飛翔昆虫を誘引するのに有効である、請求項8に記載のルアー。
【請求項14】
第一及び第二化学誘引剤の一方を有するが第一及び第二化学誘引剤の両方を有さない比較ルアーよりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも50%、より有効である、請求項1に記載のルアー。
【請求項15】
ルアーの有効性が、該ルアー及び比較ルアーの両方が比較二酸化炭素供給源と組み合わせて試験されるようにして、比較ルアーと対照して測定される、請求項14に記載のルアー。
【請求項16】
比較ルアーよりも少なくとも100%、より有効である、請求項14に記載のルアー。
【請求項17】
比較ルアーよりも少なくとも200%、より有効である、請求項14に記載のルアー。
【請求項18】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項14に記載のルアー。
【請求項19】
比較ルアーよりも少なくとも400%、より有効である、請求項14に記載のルアー。
【請求項20】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項14に記載のルアー。
【請求項21】
第一化学誘引剤を有するが第二化学誘引剤を除外した比較ルアーよりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも50%、より有効であり、増加した有効性が、長期間の経過にわたる平均として測定される、請求項8に記載のルアー。
【請求項22】
ルアーの有効性が、該ルアー及び比較ルアーの両方が比較二酸化炭素供給源と組み合わせて試験されるようにして、比較ルアーと対照して測定される、請求項21に記載のルアー。
【請求項23】
比較ルアーよりも少なくとも100%、より有効である、請求項21に記載のルアー。
【請求項24】
比較ルアーよりも少なくとも200%、より有効である、請求項23に記載のルアー。
【請求項25】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項24に記載のルアー。
【請求項26】
比較ルアーよりも少なくとも400%、より有効である、請求項25に記載のルアー。
【請求項27】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項26に記載のルアー。
【請求項28】
誘引することに関してルアーがより効果的である飛翔昆虫が、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxからなる種の群から選択される種の飛翔昆虫である、請求項14から27までのいずれか一項に記載のルアー。
【請求項29】
1−オクテン−3−オールを含むが第一及び第二化学誘引剤を除外した比較ルアーよりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも50%、より有効であり、更に、該比較ルアーからの1−オクテン−3−オールの放出速度と該ルアーの第一化学誘引剤からの乳酸の放出速度との比率が、約0.5〜約5の範囲内にある、請求項1に記載のルアー。
【請求項30】
ルアーの有効性が、該ルアー及び比較ルアーの両方が比較二酸化炭素供給源と組み合わせて試験されるようにして、比較ルアーと対照して測定される、請求項29に記載のルアー。
【請求項31】
比較ルアーよりも少なくとも100%、より有効である、請求項29に記載のルアー。
【請求項32】
比較ルアーよりも少なくとも200%、より有効である、請求項31に記載のルアー。
【請求項33】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項32に記載のルアー。
【請求項34】
比較ルアーよりも少なくとも400%、より有効である、請求項33に記載のルアー。
【請求項35】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項34に記載のルアー。
【請求項36】
1−オクテン−3−オールを含むが第一及び第二化学誘引剤を除外した比較ルアーよりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも50%、より有効であり、増加した有効性が、長期間の経過にわたる平均として測定される、請求項8に記載のルアー。
【請求項37】
ルアーの有効性が、該ルアー及び比較ルアーの両方が比較二酸化炭素供給源と組み合わせて試験されるようにして、比較ルアーと対照して測定される、請求項36に記載のルアー。
【請求項38】
比較ルアーよりも少なくとも100%、より有効である、請求項36に記載のルアー。
【請求項39】
比較ルアーよりも少なくとも200%、より有効である、請求項38に記載のルアー。
【請求項40】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項39に記載のルアー。
【請求項41】
比較ルアーよりも少なくとも400%、より有効である、請求項40に記載のルアー。
【請求項42】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項41に記載のルアー。
【請求項43】
誘引することに関してルアーがより効果的である飛翔昆虫が、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxからなる種の群から選択される種の飛翔昆虫である、請求項29から42までのいずれか一項に記載のルアー。
【請求項44】
二酸化炭素供給源と組み合わせたルアーが、ルアーなしの二酸化炭素供給源よりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも200%、より有効である、請求項1に記載のルアー。
【請求項45】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項44に記載のルアー。
【請求項46】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項45に記載のルアー。
【請求項47】
比較ルアーよりも少なくとも750%、より有効である、請求項46に記載のルアー。
【請求項48】
二酸化炭素供給源と組み合わせたルアーが、ルアーなしの二酸化炭素供給源よりも飛翔昆虫を誘引することに関して少なくとも200%、より有効であり、増加した有効性が、長期間の経過にわたる平均として測定される、請求項8に記載のルアー。
【請求項49】
比較ルアーよりも少なくとも300%、より有効である、請求項48に記載のルアー。
【請求項50】
比較ルアーよりも少なくとも500%、より有効である、請求項49に記載のルアー。
【請求項51】
比較ルアーよりも少なくとも750%、より有効である、請求項50に記載のルアー。
【請求項52】
誘引することに関してルアーがより効果的である飛翔昆虫が、Aedes aegypti、Aedes albopictus、Aedes vexans、Anopheles atropos、Anopheles crucians、Anopheles punctipennis、Anopheles walkeri、Culex erraticus、Culex nigripalpus、Culex pipiens、Culex quinquefasciatus、Culex salinarius、Culiseta melanura、Ochlerotatus canadensis、Ochlerotatus fulvus−pallens、Ochlerotatus infirmatus、Ochlerotatus intrudens、Ochlerotatus triseriatus、及びPsorophora feroxからなる種の群から選択される種の飛翔昆虫である、請求項44から51までのいずれか一項に記載のルアー。
【請求項53】
第一化学誘引剤から放出される乳酸の有効量が少なくとも1mg/hrであり、且つ、第二化学誘引剤から放出されるアンモニアの有効量が少なくとも1mg/hrである、請求項8に記載のルアー。
【請求項54】
屋内使用に適している、請求項53に記載のルアー。
【請求項55】
第一化学誘引剤から放出される乳酸の有効量が少なくとも2mg/hrであり、且つ、第二化学誘引剤から放出されるアンモニアの有効量が少なくとも2mg/hrである、請求項53に記載のルアー。
【請求項56】
乳酸の有効量が少なくとも3mg/hrである。請求項55に記載のルアー。
【請求項57】
アンモニアの有効量が、少なくとも3mg/hrである、請求項55に記載のルアー。
【請求項58】
高濃度の二酸化炭素ガスを含むガス流と約90°Fの温度で接触した場合に、長期間連続的に、アンモニアを約3mg/hrから約30mg/hrの範囲内の速度で放出する能力を有し、乳酸を約1mg/hrから20mg/hrの範囲内の速度で放出する能力を有する、請求項8に記載のルアー。
【請求項59】
長期間が少なくとも2週間である。請求項58に記載のルアー。
【請求項60】
長期間が少なくとも3週間である。請求項59に記載のルアー。
【請求項61】
アンモニア供給源が固体である、請求項1に記載のルアー。
【請求項62】
アンモニア供給源が圧縮アンモニアガスのシリンダーである、請求項1に記載のルアー。
【請求項63】
アンモニア供給源が液体である、請求項1に記載のルアー。
【請求項64】
アンモニアガス供給源が重炭酸アンモニウムを含む、請求項1に記載のルアー。
【請求項65】
アンモニアガス供給源が、アンモニウム塩と強塩基との完全な混合物である、請求項1に記載のルアー。
【請求項66】
アンモニア供給源が、加熱された場合にアンモニアガスを発生する能力のあるアンモニウム化合物である、請求項1に記載のルアー。
【請求項67】
アンモニア供給源が、二酸化炭素ガスの暖かい流れに曝露されるとアンモニアガスを発生する能力のあるアンモニウム化合物である、請求項1に記載のルアー。
【請求項68】
アンモニア供給源が、重炭酸アンモニウムと混合した結合剤を更に含み、更に、アンモニア供給源が、顆粒、粘性液体、ワックス、又はそれらの組合せの形態である、請求項64に記載のルアー。
【請求項69】
アンモニア供給源がある形状に成型される、請求項68に記載のルアー。
【請求項70】
アンモニア供給源が、約50重量%〜約90重量%の重炭酸アンモニウム、約5重量%〜約35重量%の結合剤、及び約3重量%〜約20重量%の水を含む、請求項68に記載のルアー。
【請求項71】
結合剤がデンプンを含む、請求項68に記載のルアー。
【請求項72】
第二誘引剤が、実質的に円柱形である、又は実質的に円柱形の長手部分である形状を有する成型された組成物を含む、請求項64に記載のルアー。
【請求項73】
成型された組成物の重量が、約3〜約50グラムである、請求項72に記載のルアー。
【請求項74】
屋内使用に適しており、且つ、成型された組成物の重量が約3〜約25グラムである、請求項73に記載のルアー。
【請求項75】
屋外使用用に構成され、且つ、成型された組成物の重量が約30〜約50グラムである、請求項73に記載のルアー。
【請求項76】
第二化学誘引剤が、ルアーが有効量のアンモニアを連続的に供給する能力を有する各週に対して約5〜約15グラムの重炭酸アンモニウムを含む、請求項64に記載のルアー。
【請求項77】
実質的円柱形の直径が、約1.0インチ〜約1.5インチの範囲内にある、請求項72に記載のルアー。
【請求項78】
成型された組成物が、約1.5インチ〜約3.5インチの長さを有する、請求項77に記載のルアー。
【請求項79】
実質的円柱形の直径が、約0.8インチ〜約1.3インチの範囲内にあり、更に、ルアーが、屋内使用に適している、請求項62に記載のルアー。
【請求項80】
成型された組成物が、約1.0インチ〜約2.0インチの長さを有する、請求項78に記載のルアー。
【請求項81】
第一化学誘引剤の担体が高分子ゲルであり、且つ、第一化学誘引剤が、実質的に円柱形である、又は実質的に円柱形の長手部分である形状を有する、請求項72に記載のルアー。
【請求項82】
第一化学誘引剤が実質的に円柱形の長手部分である形状を有し、第二化学誘引剤が実質的に円柱形の長手部分である形状を有し、且つ、第一及び第二誘引剤の形状が、実質的に円柱形を画定するように互いに隣接して配置される、請求項81に記載のルアー。
【請求項83】
第一及び第二誘引剤が、実質的に同一の直径及び実質的に同一の長さを有する、請求項81に記載のルアー。
【請求項84】
重炭酸アンモニウムが食品級重炭酸アンモニウムである、請求項64に記載のルアー。
【請求項85】
重炭酸アンモニウムが少なくとも99%の純度を有する、請求項64に記載のルアー。
【請求項86】
乳酸が食品級L(+)−乳酸を含む、請求項1に記載のルアー。
【請求項87】
乳酸が、少なくとも約95%の立体化学的(L−異性体)純度を有する、請求項1に記載のルアー。
【請求項88】
第一化学誘引剤の担体が高分子ゲルであり、且つ、乳酸が、第一化学誘引剤の約1重量%〜約99重量%である、請求項1に記載のルアー。
【請求項89】
乳酸が、第一化学誘引剤の約25重量%〜約90重量%である、請求項88に記載のルアー。
【請求項90】
乳酸が、第一化学誘引剤の約25重量%〜約60重量%である、請求項89に記載のルアー。
【請求項91】
乳酸が、第一化学誘引剤の約30重量%〜約40重量%である、請求項90に記載のルアー。
【請求項92】
乳酸が、第一化学誘引剤の約34重量%〜約37重量%である、請求項91に記載のルアー。
【請求項93】
アンモニア供給源が重炭酸アンモニウムであり、且つ、該重炭酸アンモニウムが、第二化学誘引剤の25重量%〜約99重量%である、請求項88に記載のルアー。
【請求項94】
アンモニア供給源が重炭酸アンモニウムであり、且つ、該重炭酸アンモニウムが、第二化学誘引剤の50重量%〜約90重量%である、請求項90に記載のルアー。
【請求項95】
アンモニア供給源が重炭酸アンモニウムであり、且つ、該重炭酸アンモニウムが、第二化学誘引剤の70重量%〜約80重量%である、請求項91に記載のルアー。
【請求項96】
アンモニア供給源が重炭酸アンモニウムであり、且つ、該重炭酸アンモニウムが、第二化学誘引剤の72重量%〜約78重量%である、請求項92に記載のルアー。
【請求項97】
昆虫収集用捕獲チャンバー、該捕獲チャンバーと連通している入口、及び該入口の近傍の昆虫を捕獲チャンバー内に吸い込むように、該入口を経て捕獲チャンバー内に空気を吸い込むように構成された空気流発生機、及び請求項1に記載のルアーを備えたデバイス。
【請求項98】
乳酸及びアンモニアを制御可能に放出するように、ルアーが、該デバイス内に、工作、構成、又は配置される、請求項97に記載のデバイス。
【請求項99】
約外界温度〜約140°Fの温度で二酸化炭素ガスを発生する能力を有する二酸化炭素ガス発生機を更に備えた、請求項98に記載のデバイス。
【請求項100】
二酸化炭素ガス発生機が、二酸化炭素ガスを含む排気プルームを創り出すように配列され、且つ、ルアーが、排気プルームの少なくとも一部が第一化学誘引剤と接触し、排気プルームの少なくとも一部が第二化学誘引剤と接触するように配置される、請求項99に記載のデバイス。
【請求項101】
約外界温度〜約140°Fの温度で、乳酸及びアンモニアをガスに対して制御可能に放出する、請求項98に記載のデバイス。
【請求項102】
ルアーが、少なくとも第一チャンバー及び第二チャンバーを更に備え、第一誘引剤が該第一チャンバーに収容され、第二誘引剤が該第二チャンバーに収容され、更に、該第一及び第二化学誘引剤が使用前に少なくとも1つの除去可能なシールによって互いから隔離されて保たれる、請求項97に記載のデバイス。
【請求項103】
第一及び第二チャンバーが1つ又は複数の開口部を有し、且つ、1つ又は複数の該開口部が除去可能なシールによってシールされる、請求項102に記載のデバイス。
【請求項104】
第一チャンバーの1つ又は複数の開口部が、約0.3平方インチ〜約2.0平方インチの範囲の総面積を有し、且つ、第二チャンバーの1つ又は複数の開口部が、約0.01平方インチ〜0.2平方インチの総面積を有する、請求項103に記載のデバイス。
【請求項105】
第一チャンバーの1つ又は複数の開口部が、約0.2平方インチ〜約1.2平方インチの範囲の総面積を有し、且つ、第二チャンバーの1つ又は複数の開口部が、約0.005平方インチ〜0.2平方インチの総面積を有する、請求項103に記載のデバイス。
【請求項106】
1つ又は複数の開口部が、ガス状担体が第一及び第二化学誘引剤のそれぞれと接触することを可能にし、それによって第一チャンバーからの乳酸及び第二チャンバーからのアンモニアガスを該チャンバーから該ガス状担体中に分配できる、請求項103に記載のデバイス。
【請求項107】
二酸化炭素含有プルームを発生する能力を有する二酸化炭素ガス発生機を更に備え、且つ、該プルームの少なくとも一部がガス状担体であり得る、請求項106に記載のデバイス。
【請求項108】
1つ又は複数の開口部が、第一及び第二チャンバーに別々に接触するように、別々のガス状担体の通過を可能にし、それによって第一チャンバーからの乳酸及び第二チャンバーからのアンモニアガスを該チャンバーから該別々のガス状担体中に分配できる、請求項103に記載のデバイス。
【請求項109】
二酸化炭素含有プルームを発生する能力を有する二酸化炭素ガス発生機を更に備え、且つ、該プルームの少なくとも一部が別々のガス状担体であり得る、請求項108に記載のデバイス。
【請求項110】
請求項64に記載のルアー、及び外界温度〜約140°Fの温度で高濃度の二酸化炭素を有するガス流を発生する能力を有する二酸化炭素発生機を備えた、飛翔昆虫を誘引するのに有効なデバイス。
【請求項111】
請求項53に記載のルアーを備えた、屋内飛翔昆虫を誘引するのに有効なデバイス。
【請求項112】
そこに誘引された飛翔昆虫を捕獲するためのトラップを更に備えた、請求項111に記載のデバイス。
【請求項113】
トラップが、昆虫を収集するための捕獲チャンバー、該捕獲チャンバーと連通した入口、及び該入口の近傍の昆虫を捕獲チャンバー内に吸い込むように、該入口を経て捕獲チャンバー内に空気を吸い込むように構成された空気流発生機を備えた、請求項112に記載のデバイス。
【請求項114】
少なくとも約外界温度の温度で乳酸供給源及びアンモニア供給源を高濃度の二酸化炭素を含むガス流と接触させ、それによって、飛翔昆虫を該供給源に向かって誘引するのに有効な量の二酸化炭素、乳酸及びアンモニアが該供給源から外部へ長期間流出し、該長期間が少なくとも約1週間であることを含む、飛翔昆虫の誘引方法。
【請求項115】
長期間が、少なくとも約2週間である、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
長期間が、少なくとも約3週間である、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記供給源の近くに到達する飛翔昆虫の少なくとも若干を捕獲することを更に含む、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
前記乳酸及びアンモニアが、前記供給源からアンモニアが約3mg/hr〜約30mg/hr、乳酸が約1mg/hr〜約20mg/hrの速度で外側に流出する、請求項114に記載の方法。
【請求項119】
ガス流によって誘引される飛翔昆虫の少なくとも若干を捕獲することを更に含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
飛翔昆虫を、飛翔昆虫を捕獲するためのデバイスに誘引する方法であって、
デバイスから外部に流出する流動ガス流を発生させること、
飛翔昆虫を誘引するための少なくとも1つの化学誘引剤ルアーと接触させてガス流を流し、該少なくとも1つの化学誘引剤ルアーが乳酸供給源及びアンモニア供給源を含むものであり、それによって少なくとも乳酸及びアンモニアを流動ガス流中に放出すること、及び
少なくとも約1週間の間、流動ガス流の発生を少なくとも間欠的に継続し、それによって乳酸及びアンモニアの濃度を、少なくとも前記の期間そこに飛翔昆虫を誘引するのに有効に保つこと
を含む方法。
【請求項121】
乳酸供給源が、ゲル化している網状組織中に乳酸溶液を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項122】
アンモニア供給源が、重炭酸アンモニウムを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項123】
流出流の温度が、約外界温度〜約140°Fである、請求項69に記載の方法。
【請求項124】
L(+)−乳酸ゲル溶液を含み、更にアンモニア供給源を含む、飛翔昆虫を誘引するためのルアーであって、該L(+)−乳酸ゲル溶液が、
(i)20重量%〜50重量%のアクリル酸ナトリウム、
(ii)50重量%〜75重量%のL(+)−乳酸、
(iii)1重量%〜5重量%のポリエチレングリコール600ジアクリレート、
(iv)1重量%〜3重量%のホスフィンオキシド
を含むルアー。
【請求項125】
アンモニア供給源が重炭酸アンモニウム及びデンプンを含む、請求項124に記載のルアー。
【請求項126】
水ゲル溶液を更に含む、請求項125に記載のルアーであって、該水ゲル溶液が、
(i)30重量%〜70重量%のアクリル酸ナトリウム、
(ii)2重量%〜6重量%のL(+)−乳酸、
(iii)1重量%〜5重量%のポリエチレングリコール600ジアクリレート、
(iv)0.5重量%〜2重量%のホスフィンオキシド、及び
(v)30重量%〜70重量%の蒸留水
を含むルアー。
【請求項127】
L(+)−乳酸ゲル溶液を含み、更にアンモニア供給源を含む、飛翔昆虫を誘引するためのルアーであって、該L(+)−乳酸ゲル溶液が、
(i)10重量%〜50重量%の架橋可能ポリマー、
(ii)30重量%〜75重量%のL(+)−乳酸、
(iii)0.001重量%〜5重量%の光開始剤、
(iv)5重量%〜25重量%の水
を含み、ここで、乳酸ゲル溶液成分の重量パーセンテージが乳酸ゲル溶液全体に対して計算されているルアー。
【請求項128】
乳酸ゲル溶液が30重量%〜40重量%の乳酸を含み、架橋可能ポリマーが10重量%〜20重量%のポリ(エチレングリコール)ジアクリレートを含み、光開始剤が0.1重量%〜2重量%の2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン及び水を含む、請求項127に記載のルアー。
【請求項129】
アンモニア供給源が、重炭酸アンモニウム、結合剤、及び溶媒を含む、請求項127に記載のルアー。
【請求項130】
アンモニア供給源が、65重量%〜85重量%の重炭酸アンモニウム、5重量%〜25重量%のデンプン、及び水を含み、ここで、アンモニア供給源成分の重量パーセンテージがアンモニア供給源全体に対して計算されている、請求項128に記載のルアー。
【請求項131】
昆虫捕獲装置に取り付けるための誘引剤システムであって、該誘引剤システムが、
少なくとも第一チャンバー及び第二チャンバーを画定し、昆虫捕獲装置に取り付けられるように構成されたハウジング、
該第一チャンバー内に収容された第一拡散性昆虫誘引剤、
該第二チャンバー内に収容された第二拡散性昆虫誘引剤を備え、
ここで、第一及び第二拡散性昆虫誘引剤は、互いに化学的に反応することができ、
第一チャンバー及び第二チャンバーは、それぞれ、第一及び第二拡散性昆虫誘引剤がそれを通って放出されることを可能にする少なくとも1つの開口部を有し、
第一及び第二チャンバーは、第一及び第二拡散性昆虫誘引剤の相互混合を本質的に防止するようにチャンバーの開口部を閉鎖する1つ又は複数の除去可能なシールによって互いから本質的に隔離され、
該1つ又は複数の除去可能なシールは、チャンバーの開口部を開放して昆虫誘引剤をそこから放出させ、ハウジングを昆虫捕獲装置に取り付けた場合に昆虫を昆虫捕獲装置に誘引するように除去可能である、誘引剤システム。
【請求項132】
ハウジングが、第一及び第二チャンバーの中間に配置され、それらのチャンバーを隔離している壁を含む、請求項131に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項133】
ハウジングが概ね円柱である、請求項132に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項134】
第一及び第二チャンバーの間に壁が軸方向に配置され、第一チャンバーがハウジングの一方の軸部分に向かって伸び、第二チャンバーがハウジングの他方の軸部分に向かって伸びる、請求項133に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項135】
1つ又は複数の除去可能なシールが、チャンバーの開口部を覆うプラスチックフィルムで構成される、請求項134に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項136】
プラスチックフィルムがハウジングを取り囲む、請求項135に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項137】
プラスチックフィルムが、チャンバーの開口部を覆うようにその上で熱収縮されている、請求項136に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項138】
1つ又は複数の除去可能なシールが、チャンバーの開口部を覆うプラスチックフィルムで構成される、請求項131に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項139】
プラスチックフィルムがハウジングを取り囲む、請求項138に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項140】
プラスチックフィルムが、チャンバーの開口部を覆うようにその上で熱収縮されている、請求項139に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項141】
第一昆虫誘引剤が酸であり、第二昆虫誘引剤が塩基である、請求項131に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項142】
第一昆虫誘引剤が乳酸を含み、第二昆虫誘引剤がアンモニアを含む、請求項141に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項143】
乳酸が、乳酸を放出できるゲルの状態にある、請求項142に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項144】
アンモニアが、アンモニアを放出できる重炭酸アンモニウム中に含まれる、請求項142に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項145】
第一昆虫誘引剤が酸であり、第二昆虫誘引剤が塩基である、請求項135に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項146】
第一昆虫誘引剤が乳酸を含み、第二昆虫誘引剤がアンモニアを含む、請求項145に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項147】
乳酸が、乳酸を放出できるゲルの状態にある、請求項146に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項148】
アンモニアが、アンモニアを放出できる重炭酸アンモニウム中に含まれる、請求項146に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項149】
第一昆虫誘引剤が酸であり、第二昆虫誘引剤が塩基である、請求項138に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項150】
第一昆虫誘引剤が乳酸を含み、第二昆虫誘引剤がアンモニアを含む、請求項149に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項151】
乳酸が、乳酸を放出できるゲルの状態にある、請求項150に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項152】
アンモニアが、アンモニアを放出できる重炭酸アンモニウム中に含まれる、請求項150に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項153】
ハウジングが成型プラスチックから形成される、請求項131に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項154】
ハウジングが成型プラスチックから形成される、請求項135に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項155】
ハウジングが成型プラスチックから形成される、請求項138に記載の昆虫誘引剤システム。
【請求項156】
昆虫捕獲装置に取り付けるための誘引剤システムであって、
該装置が、内部空間及び開放端を備えたレセプタクルを有し、該システムが、
少なくとも第一チャンバーを画定するハウジング、
第一チャンバー内に収容された第一拡散性昆虫誘引剤を備え、
該第一チャンバーが、第一拡散性昆虫誘引剤がそこを通って拡散することを可能にするための少なくとも1つの開口部を有し、
該ハウジングが、ハウジングをレセプタクル中に取り外し可能に保持する、ハウジングとレセプタクルとの連結を用いてハウジングをレセプタクルの内部空間内にその開放端を通して挿入することによって、該誘引剤システムを昆虫捕獲装置に取り付けることを可能にするように構成される、誘引剤システム。
【請求項157】
レセプタクルの内部空間が細長く、且つ、ハウジングが、レセプタクルの細長い内部空間内にその開放端を通して長手方向に挿入できるように細長い、請求項156に記載の誘引剤システム。
【請求項158】
ハウジングが、長手方向に伸びた複数の隆起及び溝を有する、請求項157に記載の誘引剤システム。
【請求項159】
ハウジングが、誘引剤システムをレセプタクル中に取り外し可能に保持するためにレセプタクルの1つ又は複数の対応する開口部に受け入れるための1つ又は複数のタブを有する、請求項158に記載の誘引剤システム。
【請求項160】
昆虫捕獲装置に取り付けるための誘引剤システムであって、該誘引剤システムが、
昆虫捕獲装置に取り付けられるように構成されたハウジング、
第一拡散性昆虫誘引剤、
第二拡散性昆虫誘引剤を備え、
該第一及び第二拡散性昆虫誘引剤が、互いに化学的に反応することができ、
該第一及び第二拡散性昆虫誘引剤が、使用前のそれらの拡散及び相互混合を防止するように、互いから本質的に隔離の状態でハウジング内に収容され、且つ
該ハウジングが、使用中に第一及び第二拡散性昆虫誘引剤が曝露され、それらのハウジングからの拡散を可能にするものである、誘引剤システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−501366(P2008−501366A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527740(P2007−527740)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/020366
【国際公開番号】WO2005/120224
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(504133545)アメリカン バイオフィジックス コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/020366
【国際公開番号】WO2005/120224
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(504133545)アメリカン バイオフィジックス コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
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