説明

誘電体フィルタ

【課題】 誘電体フィルタの基本構造である誘電体ブロックの形状に変更を加えることなく、多様な帯域特性の実現を可能とする。
【解決手段】 誘電体フィルタ1の非実装面24には、共振孔3,3の各々と相対する位置に、開放端面21から延出するように形成された帯状の第1絶縁領域7と、共振孔3,3の配列方向に沿って形成された帯状の第2絶縁領域8とによって外導体5から絶縁区画された調整パターン52を設ける。この調整パターン52により、共振孔3,3によって形成される共振器10,10間の容量結合を増大させることができ、その結果、誘電体ブロック2の形状を変更することなく、様々な帯域特性を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の移動通信機器に用いられる誘電体フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、誘電体材料からなるブロック(誘電体ブロック)に複数の貫通孔を設け、誘電体ブロックの外表面や、貫通孔内の表面(内表面)に導電層を形成することによって、貫通孔を共振器として動作させるように構成された、いわゆるモノブロック型の誘電体フィルタが知られている。
【0003】
なお、この種の誘電体フィルタでは、共振器間の結合状態(容量結合または誘電結合)によって帯域特性が変化する。そして、その結合状態については、共振器(貫通孔)間の距離を変化させたり、貫通孔の間に結合調整用の孔を設けたりすることにより調整することができる。また、その他の手法として容量結合については、誘電体ブロックの外表面に形成された導電層の開放端側の一部を、貫通孔の配列方向に沿って帯状に除去したり、枠状に除去して島状電極を形成したり(例えば、特許文献1参照)することにより、誘電結合については誘電体ブロックの外表面に形成された導電層の短絡端側の一部を、貫通孔の配列方向に沿って帯状に除去したり(例えば、特許文献2参照)することにより、調整することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−236562号公報
【特許文献2】特開平8−8607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、共振器間の距離を変化させるには、誘電体ブロックの基本構造から設計を変更する必要があり、大きな労力と時間が必要であるという問題があった。
また、結合調整用の孔の場合、容量結合を減少させる方向にしか調整することができず、この手法だけでは、調整の自由度が小さいという問題があった。
【0006】
なお、容量結合は、共振器同士を近接配置することで増大させることが可能であるが、上述したように、誘電体ブロックの基本構造から設計を変更する必要があるだけでなく、この種の誘電体フィルタは、元々非常に小型であるため、共振器(貫通孔)同士を接近させるにしても、強度上の制約があり、大きな容量結合を実現することが困難であるという問題もあった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するために、誘電体フィルタの基本構造である誘電体ブロックの形状に変更を加えることなく、多様な帯域特性の実現を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明は、直方体形状に形成され、一端面から該一端面に相対する他端面まで貫通する平行かつ一列に形成された複数の共振孔を有する誘電体ブロックと、誘電体ブロックの外周面のうち、共振孔が開口する一端面を開放端面、他端面を短絡端面として、開放端面を除く誘電体ブロックの外周面に形成された外導体と、共振孔の各々の内壁面に形成され、短絡端面にて外導体と導通する内導体とを備え、開放端及び短絡端以外の外周面のうち、共振孔の配列方向に沿った一側面である実装面に、外導体から絶縁区画された入出力パッドを有する誘電体フィルタを前提とする。
【0009】
そして、本発明の誘電体フィルタは、入出力パッドが形成された実装面に相対する非実装面に、共振孔の各々と相対する位置に開放端面から延出するように形成された帯状の第1絶縁領域と、共振孔の配列方向に沿って形成された帯状の第2絶縁領域とによって外導体から絶縁区画された調整パターンを有すること特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明の誘電体フィルタによれば、共振孔によって形成される共振器間の容量結合を、調整パターンによって増大させることができるため、誘電体ブロックの形状を変更することなく、帯域特性についての設計自由度を高めることができる。
【0011】
その結果、誘電体ブロックの製造に用いる成形用金型はもちろん、その他多くの製造設備や治具を、多種多様な帯域特性の誘電体フィルタにて共用できるため、大幅にコストを削減することができる。
【0012】
なお、非実装面に、枠状に形成された絶縁領域によって外導体から絶縁区画された長方形の島状電極が設けられている場合、その枠状の絶縁領域のうち、開放端面側に位置する一辺を形成する領域を、第2絶縁領域として用いてもよい。
【0013】
この場合、調整パターンと島状電極とによって、より多様な帯域特性を実現することができる。
特に、誘電体フィルタが、主として容量結合によって帯域特性が決まる容量結合型である場合には、調整パターンを形成することによって、広帯域な帯域特性を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の誘電体フィルタの全体構成を示す斜視図。
【図2】帯域測定の測定結果を従来例と対比して示した説明図。
【図3】第2実施形態の誘電体フィルタの全体構成を示す斜視図。
【図4】帯域測定の測定結果を従来例と対比して示した説明図。
【図5】第3実施形態の誘電体フィルタの全体構成を示す斜視図。
【図6】帯域測定の測定結果を従来例と対比して示した説明図。
【図7】第1実施形態の誘電体フィルタの等価回路図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
<構成>
図1は、第1実施形態の誘電体フィルタの全体構成を示す斜視図であり、(a)が信号を入出力するための入出力パッドが形成された実装面側から見た図、(b)が実装面に相対する非実装面側から見た図である。
【0016】
図1に示すように、誘電体フィルタ1は、酸化チタン系セラミック誘電体からなる直方体形状をした誘電体ブロック2を備える。この誘電体ブロック2には、一つの端面21から該端面21に相対する他端面22(図では隠れている)に向けて貫通する2本の共振孔3,3が平行して設けられている。以下では、共振孔3,3か開口する誘電体ブロック2の端面21を開放端面、端面22を短絡端面ともいう。
【0017】
また、共振孔3,3の開放端面21側の開口部には、他の部分(開口部付近以外の部分)より孔径の大きい拡径部31,31が形成されている。更に、この拡径部31,31を含む共振孔3,3の内表面には、導電性の内導体4,4が形成されていると共に、誘電体ブロック2の開放端面21を除く外表面には、略全体に渡って導電性の外導体5が形成されている。
【0018】
つまり、内導体4,4と外導体5とは、開放端面21側では電気的に絶縁され、短絡端面22側では電気的に導通するように形成され、共振孔3,3のそれぞれが個別の共振器10,10(図7参照)として動作するように構成されている。
【0019】
なお、共振孔3,3の全長、即ち、誘電体ブロック2の開放端面21から短絡端面22に至る長Lさは、共振孔3,3での共振周波数のλ/4に相当する共振長寸法にほぼ一致させて形成されている。
【0020】
また、共振孔3,3の配置は、主として共振器10,10間の容量結合によって帯域特性が決まる容量結合型の誘電フィルタとなるよう、開放端面21側にて充分に大きな容量結合が生じるような間隔に設定されている。
【0021】
そして、誘電体ブロック2の開放端面21および短絡端面22以外の外周面のうち、共振孔3,3の配列方向に沿った面を有する二つの面のうちの一方を実装面23、他方を非実装面24として、実装面23には、開放端面21寄りに、コ字状の絶縁領域6,6により外導体5の一部を絶縁区画することで形成された入出力パッド51,51が設けられている。
【0022】
この入出力パッド51,51は、それぞれ共振孔3,3の内導体4,4と相対する位置に設けられ、誘電体フィルタ1に対する信号の入出力に用いられる。つまり、誘電体フィルタ1は、この入出力パッド51,51を、プリント基板上の信号パターン等に電気的に接続した状態で使用される。
【0023】
一方、非実装面24には、共振孔3,3の各々と相対する位置に、開放端面21から延出するように形成された帯状の第1絶縁領域7と、共振孔3,3の配列方向に沿って形成された帯状の第2絶縁領域8とによって外導体5から絶縁区画された調整パターン52が設けられている。
【0024】
なお、図中、斜線で示された部分が導体領域であり、白地で示された部分が誘電体ブロック2の表面が露出した絶縁領域である。
<導体領域や絶縁領域の形成方法>
次に、導体領域(内導体4,4、外導体5、入出力パッド51,52、調整パターン52)や絶縁領域6,7,8,21の形成方法について説明する。
【0025】
導体領域は、銀ペースト等を用いたスクリーン印刷、または銅等による無電解メッキによって誘電体ブロック2の外表面や内表面に形成する。
そして、各絶縁領域は、スクリーン印刷や無電解メッキにて導体領域を形成する際に該当する部分をマスクすることで、導体領域と同時に形成してもよいし、誘電体ブロック2の全体に導体領域を形成した後、該当する部分だけ、切削工具やレーザ加工機等を用いて導体領域を除去することで事後的に形成してもよい。
【0026】
<等価回路>
ここで図7は、誘電体フィルタ1の等価回路図である。
図7に示すように、誘電体フィルタ1において、各共振孔3,3は、容量Ca、インダクタンスLaからなる共振器10,10を形成し、共振器10,10の短絡端面22側に位置する内導体4,4(以下「共振器10,10の短絡端」という)はいずれも接地(外導体5に接続)されている。
【0027】
また、共振器10,10の開放端面21側に位置する内導体4,4(以下「共振器10,10の開放端」という)と入出力パッド51,51とは、それぞれが容量結合(容量C1,C1)され、また、共振器10,10の開放端同士も、開放端面21の絶縁領域を介して容量結合(容量C2)される。更に、共振器10,10の各開放端は、それぞれ調整パターン52と容量結合(容量C3,C3)される。
【0028】
つまり、共振器10,10間の容量結合は、調整パターン52が存在することによって、調整パターン52が存在しない場合より増大することがわかる。
<効果>
以上説明したように、誘電体フィルタ1には、非実装面24の開放端面21側に、第1絶縁領域7,7および第2絶縁領域8により外導体5から絶縁区画された調整パターン52が設けられている。
【0029】
このため、誘電体フィルタ1によれば、調整パターン52を介して共振器10,10間の容量結合を増大させることができる。その結果、帯域特性についての設計の自由度を高めることができ、その結果、誘電体ブロック2の形状を変更することなく、様々な帯域特性を実現することができる。
【0030】
また、誘電体フィルタ1によれば、誘電体ブロック2の製造に用いる成形用金型はもちろん、その他多くの製造設備や治具を、多種多様な帯域特性の誘電体フィルタ1にて共用できるため、誘電体フィルタ1の製造コストを大幅に削減することができる。
【0031】
なお、第2絶縁領域8は、短絡端面22寄りに形成すると、誘電結合(磁界結合)を強化する方向に作用するため、できるだけ開放端面21寄りに形成することが望ましい。
<測定結果>
ここで図2は、調整パターン52がない比較例の誘電体フィルタと、本実施形態の誘電体フィルタ1について、伝送特性(減衰特性)および反射特性を測定した結果を示す。
【0032】
(a)が比較例(b)が実施例である。また、図中グラフと共に示す斜視図は、非実装面の構成を示したものである。なお、実装面の構成はいずれも図1(a)に示した構成と同じである。
【0033】
そして、測定方法は、ネットワークアナライザと測定治具をケーブル(入力側1本、出力側1本の計2本)でつなぎ、誘電体フィルタを測定治具にセットした状態で、入力側から一定レベルの信号を周波数掃引しながら入力した時に、出力側から得られる信号のレベルを測定した。
【0034】
なお、比較例、実施例とも、誘電体ブロック2の高さH=6.7mm、幅W=3.8mm、厚さD=2.0mm、共振孔の中心同士の間隔A=約1.8mm、共振孔の孔径R=0.5mm、拡径部の孔径RW=約1.25mmとし、導体領域は銀ペーストをスクリーン印刷することで形成した。
【0035】
また、実施例では、第1絶縁領域7,7や第2絶縁領域8は、調整パターン52の第1絶縁領域7に沿った辺L1=約0.5mm、第2絶縁領域8に沿った辺L2=約1.3mmとなるように、外導体5を削ることで形成した。
【0036】
図2に示すように、誘電体フィルタ1では、比較例と比べて、高周波側に帯域特性が広がっていることがわかる。
[第2実施形態]
次に第2実施形態いついて説明する。
【0037】
<構成>
図3は、第2実施形態の誘電体フィルタ1aの全体構成を示す斜視図であり、(a)が信号を入出力するための入出力パッドが形成された実装面側から見た図、(b)が実装面に相対する非実装面側から見た図である。
【0038】
なお、誘電体フィルタ1aは、第1実施形態の誘電体フィルタ1とは一部の構成が異なるだけであるため、同様の構成については、同一符号を付して説明を省略し、構成の相違する部分を中心に説明する。
【0039】
図3に示すように、誘電体フィルタ1aは、共振孔3が3個設けられ、これらは1列に配列されている。
そして、実装面23上の入出力パッド51,51は、3個の共振孔3,3,3のうち、両端に位置する二つの共振孔3,3と相対する位置に形成されている。
【0040】
一方、非実装面24には、共振孔3,3,3の各々と相対する位置に開放端面21から延出するように形成された帯状の第1絶縁領域7,7,7と、共振孔3,3,3の配列方向に沿って形成された帯状の第2絶縁領域8とによって外導体5から絶縁区画された二つの調整パターン52,52が設けられている。また、本実施形態では、第2絶縁領域8は、両端に位置する第1絶縁領域7の形成位置より、共振孔3,3,3の配列方向に突出した部分を有するように形成されている。
【0041】
<効果>
このように構成された誘電体フィルタ1aによれば、第1実施形態の誘電体フィルタ1と同様の効果を得ることができる。また、また誘電体フィルタ1aによれば、共振孔3(共振器10)の数が誘電体フィルタ1より多い分だけ、より広い周波数帯域を実現することができる。
【0042】
<測定結果>
ここで図4は、調整パターンがない比較例の誘電体フィルタと、本実施形態の誘電体フィルタ1aについて、伝送特性(減衰特性)および反射特性を測定した結果を示す。
【0043】
(a)が比較例(b)が実施例である。また、図中グラフと共に示す斜視図は、非実装面の構成を示したものである。なお、実装面はいずれの場合も図3(a)の構成と同じである。
【0044】
測定方法は、第1実施形態にて説明したものと同じである。
測定対象の寸法は、比較例、実施例とも、高さH=5.5mm、幅W=6.7mm、厚さD=2.4mm、共振孔の中心同士の間隔A=約4.2mm、共振孔の孔径R=0.65mm、拡径部の孔径RW=約1.5mmである。
【0045】
また、実施例では、第1絶縁領域7,7,7や第2絶縁領域8は、調整パターン52の第1絶縁領域7に沿った辺L1=約0.5mm、第2絶縁領域8に沿った辺L2=が約5.6mmとなるように形成した。
【0046】
図4に示すように、誘電体フィルタ1aでは、比較例と比べて、高周波側に帯域特性が広がっていると共に、全体的に周波数が高周波側にシフトしていることがわかる。
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。
【0047】
<構成>
図5は、第3実施形態の誘電体フィルタ1bの全体構成を示す斜視図であり、(a)が信号を入出力するための入出力パッドが形成された実装面側から見た図、(b)が実装面に相対する非実装面側から見た図である。
【0048】
なお、誘電体フィルタ1bは、第2実施形態の誘電体フィルタ1aとは、非実装面24に形成する絶縁領域の形状が異なるだけであるため、この構成の相違する部分を中心に説明する。
【0049】
図5に示すように、誘電体フィルタ1bの非実装面24には、開放端面21寄りの位置に、枠状の絶縁領域9を形成することによって、外導体5とは絶縁区画された長方形の島状電極53が設けられている。この島状電極53は、共振孔3,3,3の配列方向に沿った幅が、全ての共振孔3,3,3と相対する大きさに形成されている。
【0050】
また、非実装面24には、共振孔3,3,3の各々と相対する位置に開放端面21から延出し枠状の絶縁領域9に達する帯状の第1絶縁領域7,7,7が形成されており、これら第1絶縁領域7,7,7と枠状の絶縁領域9とによって外導体5から絶縁区画された二つの調整パターン52,52が設けられている。つまり、枠状の絶縁領域9のうち、開放端面21側の辺を形成する部位が、第2実施形態における第2絶縁領域8に相当する構成を兼ねるように構成されている。
【0051】
<効果>
このように構成された誘電体フィルタ1bによれば、第1及び第2実施形態の誘電体フィルタ1,1aと同様の効果を得ることができる。
【0052】
また誘電体フィルタ1bによれば、調整パターン52,52が設けられているため、隣接する共振器10,10(共振孔3,3)同士の容量結合を増大させることができ、更に、島状電極53が設けられているため、両端に位置する共振器10,10同士の容量結合も増大させることができ、その結果、より多様な帯域特性を実現することができる。
【0053】
<測定結果>
ここで図6は、非実装面に、枠状の絶縁領域によって島状電極のみが形成された比較例の誘電体フィルタと、本実施形態の誘電体フィルタ1bについて、伝送特性(減衰特性)および反射特性を測定した結果を示す。
【0054】
(a)が比較例(b)が実施例である。また、図中グラフと共に示す斜視図は、非実装面の構成を示したものである。なお、実装面はいずれの場合も図5(a)の構成と同じである。
【0055】
測定方法は、第1実施形態にて説明したものと同じである。
測定対象の寸法は、第2実施形態にて説明したものと同じである。
但し、枠状の絶縁領域9は、島状電極53の長辺L3=約4.1mm、短辺L4=約0.5mmとなるように、外導体5を削ることで形成した。
【0056】
図6に示すように、誘電体フィルタ1bでは、比較例と比べて、高周波側に帯域特性が広がっていることがわかる。また、島状電極を有することにより、比較例ともども、低周波数側の遮断特性が急峻になっていることがわかる。
【0057】
[他の実施形態]
以上本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、共振孔3(共振器10)を2または3個有する場合について説明したが、4個以上有するものに適用してもよい。
また、上記実施形態では、非実装面24に第1絶縁領域7や第2絶縁領域8(枠状の絶縁領域9)で絶縁区画された調整パターン52を設けること帯域特性を調整しているが、共振孔3,3の開放端面21側に形成された拡径部31の大きさや形状を調整する手法や、誘電体フィルタの帯域特性の調整に使用される周知の手法と組み合わせて用いてもよい。これにより、より多様な帯域特性を実現することができる。
【符号の説明】
【0059】
1,1a,1b…誘電体フィルタ 2…誘電体ブロック 3…共振孔 4…内導体 5…外導体 6…コ字状の絶縁領域 7…第1絶縁領域 8…第2絶縁領域 9…枠状の絶縁領域 10…共振器 21…開放端面 22…短絡端面 23…実装面 24…非実装面 31…拡径部 51…入出力パッド 52…調整パターン 53…島状電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状に形成され、一端面から該一端面に相対する他端面まで貫通する平行かつ一列に形成された複数の共振孔を有する誘電体ブロックと、
前記誘電体ブロックの外周面のうち、前記共振孔が開口する一端面を開放端面、他端面を短絡端面として、前記開放端面を除く前記誘電体ブロックの外周面に形成された外導体と、
前記共振孔の各々の内壁面に形成され、前記短絡端面にて前記外導体と導通する内導体と、
を備え、前記開放端及び短絡端以外の外周面のうち、前記共振孔の配列方向に沿った一側面である実装面に、前記外導体から絶縁区画された入出力パッドを有する誘電体フィルタにおいて、
前記実装面に相対する他側面である非実装面には、前記共振孔の各々と相対する位置に前記開放端面から延出するように形成された帯状の第1絶縁領域と、前記共振孔の配列方向に沿って形成された帯状の第2絶縁領域とによって前記外導体から絶縁区画された調整パターンを有すること特徴とする誘電体フィルタ。
【請求項2】
前記非実装面には、枠状に形成された絶縁領域によって前記外導体から絶縁区画された長方形の島状電極が設けられ、
前記枠状の絶縁領域のうち、前記開放端面側に位置する一辺を形成する領域を、前記第2絶縁領域とすることを特徴とする請求項1に記載の誘電体フィルタ。
【請求項3】
容量結合型であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘電体フィルタ。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−49986(P2012−49986A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192464(P2010−192464)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】