誘電体装荷アンテナ及び無線通信装置
【解決手段】無線通信装置は、(a)バックファイヤ誘電体装荷アンテナであって、5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなる電気絶縁性誘電体コアと、コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられた少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、コアの中の通路をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通する軸方向に延びる細長い積層基板の形態をとるフィード構造であって、アンテナは、コア近位側表面部分上に又はコア近位側表面部分に隣接して露出接触領域を有する、フィード構造と、を含むアンテナと、(b)無線通信回路手段であって、複数の接触端子サポート領域を伴う機器積層回路基板(40)を有し、複数の接触端子サポート領域の各々には、アンテナの露出接触領域のそれぞれに弾性的に寄り掛かれるように位置決めされたそれぞれのバネ接触(42)が導電的に接合される、無線通信回路手段と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、200MHzを超える周波数における動作用の、固体材料からなる電気絶縁性誘電体コアを有する誘電体装荷アンテナと、該誘電体装荷アンテナを組み込んだ無線通信装置とに関する。
【0002】
携帯電話、衛星電話、ハンドヘルド(手持ち式)測位ユニット、及びモバイル(可動式)測位ユニットなどのポータブル(携帯式)無線通信デバイス用のコンパクトなアンテナに代表されるヘリカルアンテナを、UHF周波数における動作用に誘電的に装荷することが知られている。本発明は、これらの分野、並びにWiFiデバイスすなわちワイヤレスローカルエリアネットワークデバイス、MIMOシステムすなわちマルチ入力・マルチ出力システム、及びその他の送受信ワイヤレスシステムなどの分野において適用可能である。
【0003】
通常、このようなアンテナは、少なくとも5の比誘電率を有する円筒形のセラミックコアを含み、該コアの外表面は、導電性らせん軌道の形態をとるアンテナ素子構造を纏っている。いわゆる「バックファイヤ」アンテナの場合は、コアの近位側横断外表面部分から遠位側横断外表面部分までコアを貫通する穴に、軸方向フィーダが収容され、該フィーダの導体は、コアの遠位側横断表面部分上の導電性表面接続素子を通じてらせん軌道に結合される。このようなアンテナは、英国特許出願公開GB2292638、GB2309592、GB2399948、GB2441566、GB2445478、国際出願WO2006/136809、及び米国出願公開US2008−0174512A1に開示されている。これらの公開公報は、1つ、2つ、3つ、又は4つの対又は群を成すらせんアンテナ素子を有するアンテナを開示している。WO2006/136809、GB2441566、GB2445478、及びUS2008−0174512A1の各々は、コアの遠位側外表面部分に固定されたプリント回路積層基板を含むインピーダンス整合回路網を伴うアンテナを開示しており、該整合回路網は、フィーダとらせんアンテナ素子との間における結合部の一部を構成する。各場合において、フィーダは、同軸伝送線路であり、その外側シールド導体は、積層基板のビアを通って軸に平行に延びる接続タブを有し、その内側導体も、同様に、それぞれのビアを通って延びる。アンテナは、以下のように組み立てられる。先ず、一体的なフィーダ構造を構成するために、同軸フィーダの遠位端部分を積層基板の中のビアに挿入する。次いで、フィーダが通路の近位端から現れるとともに積層基板がコアの末端側外表面部分に当接するように、積層基板を取り付けられた上記フィーダをコアの中の通路に該通路の遠位端から挿入する。次に、フィーダの外側導体と、コアの近位側外表面部分の導電性コーティングとの間に環状のブリッジを形成するために、はんだをコーティングされたワッシャ又はフェルールをフィーダの近位端部分の周囲に配する。このアセンブリは、次いで、オーブンに通され、そこでは、積層基板の近位側及び遠位側の面の所定の場所に事前に施されたはんだペースト、並びに上記のワッシャ又はフェルールに施されたはんだが溶融し、(a)フィーダと、整合回路網との間における接続、(b)整合回路網と、コアの末端側外表面部分上の表面接続素子との間における接続、及び(c)フィーダと、コアの近位側外表面部分上の導電層との間における接続を形成する。コアのフィーダ構造の組み立て及び固定は、したがって、挿入、ワッシャ又はフェルールの配置、及び加熱の3工程からなるプロセスである。本発明の目的は、組み立てがより単純なアンテナを提供することである。
【0004】
本発明の第1の態様にしたがうと、200MHzを超える周波数における動作用の誘電体装荷アンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広
がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、コアの外表面は、コアの固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
軸方向に延びる細長い積層基板の形態をとるフィード構造であって、積層基板は、コアの中の通路をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通するフィード線路として機能する少なくとも1つの伝送線路部位と、該伝送線路部位に一体的に形成された近位側拡張部の形態をとり積層基板の面内におけるその幅が通路の幅よりも大きくされたアンテナ接続部位とを含む、フィード構造と、
アンテナ素子をフィード線路に結合するインピーダンス整合部位と、
を備えるアンテナが提供される。軸方向に延びる細長い積層基板をフィード構造として使用することには、剛性の金属製外側導体を有する同軸フィーダと比べて比較的剛性に欠しいという利点がある。伝送線路部位の近位側拡張部における幅の増加は、本明細書で後ほど説明されるように、各種の接続素子のための追加の面積を提供する。具体的には、もし必要であれば、専用の小型コネクタアセンブリを省くことができる。好ましい積層基板は、少なくとも、第1、第2、及び第3の導電層を有し、第2の層は、第1の層と第3の層との間の中間層である。このようにすれば、フィード線路は、第2の層によって形成される細長い内側導体と、第1及び第3の層によってそれぞれ形成されそれぞれ上方及び下方から内側導体に重なる外側シールド導体とを有するように構築することが可能である。シールド導体は、次いで、内側導体の両側において内側導体に平行な線に沿って位置付けられる相互接続によって、相互に接続することができる。これらの相互接続は、好ましくは、第1の層と第3の層との間の導電性ビアの列によって形成される。これは、内側導体を取り囲む効果を有し、伝送線路部位は、それによって、同軸線路の特性を有する。
【0005】
本発明の一部の実施形態では、軸方向に延びる積層基板は、近位側拡張部上に能動回路素子を搭載している。したがって、例えば表面実装などを使用して、積層基板上に低ノイズ増幅器などのRFフロントエンド回路が実装されてよく、該素子の入力導体は、フィード線路の導体に結合される。或いは、アンテナが伝送用に使用されるときは、基板は、RF電力増幅器を搭載可能であり、或いは、トランシーバの中で使用されるときは、電力増幅器及びスイッチの両方を搭載可能である。また、GPSレシーバチップ若しくはその他のRFレシーバチップ(ひいては低周波数(例えば30MHz未満)若しくはデジタル出力を伴う回路まで)、又はトランシーバチップなどの、更なる能動回路素子を組み込むことも可能である。特にこのような実施形態では、積層基板は、追加の導電層を有することができる。これは、無線周波数信号を扱える専用のコネクタの使用を伴うことなくアンテナがホスト機器に接続されることを可能にする。RF接続によって課される寸法上の制限も、この場合は回避される。積層基板は、このようにして、完成品として提供されるアンテナアセンブリの一部を構成する例えば上述された1つ又は2つ以上の能動回路素子や整合部品などの任意の回路素子のための単体のキャリアとして機能することができる。
【0006】
本発明の一実施形態では、しかしながら、インピーダンス整合部位は、第2の積層基板上に搭載され、その導体は、フィード線路に結合される。この実施形態では、第2の積層基板は、軸方向に延びる積層基板に垂直な向きであり、軸方向に延びる積層基板の遠位端部分を受け入れるための開口をその中に有する。インピーダンス整合部位は、好ましくは、フィード線路の遠位端においてフィード線路の内側導体とシールド導体との間に接続されるシャントコンデンサの形態をとる少なくとも1つの反応性整合素子を含む。フィード線路の導体の1つと、細長いアンテナ素子の少なくとも1本との間には、直列インダクタンスが結合されてよい。キャパシタンスが、好ましくは、表面実装された個別のコンデン
サである一方で、インダクタンスは、コンデンサと、各細長いアンテナ素子対のうちの1本との間における導電性軌道として形成される。
【0007】
好ましいアンテナは、デュアルサービスアンテナとして使用することが可能である。したがって、本発明にしたがったクアドリフィラ(4線巻)ヘリカルアンテナの場合は、アンテナは、円偏光放射用のアンテナ放射パターンを生成するクアドリフィラ共振のみならず、直線偏光信号用の準単極共振も有するのが一般的である。クアドリフィラ共振は、アンテナの軸を中心としたカージオイド(心臓形)形状の放射パターンを生成し、したがって、衛星信号の送信又は受信に適しており、これに対して、準単極共振は、アンテナ軸を挟んで対称的なトロイダル(ドーナツ形)放射パターンを生成し、したがって、地上直線偏光信号の送信及び受信に適している。これらの特性を有する好ましいアンテナの1つは、GNSS信号に関係付けられた第1の周波数帯(例えば、GPS−L1周波数である1575MHz)においてクアドリフィラ共振を有し、Bluetoothシステム及びWiFiシステムによって使用される2.45GHz ISM(工業、科学、医療)において準単極共振を有する。
【0008】
デュアルサービス動作が検討される場合は、インピーダンス整合部位は、フィード線路の第1の導体と、各導電性アンテナ素子対のうちの1本との間における2つのインダクタンスの直列の組み合わせと、第1及び第2のシャントキャパシタンスとを含む、二極性の整合部位であってよい。第1のシャントキャパシタンスは、上述のように、すなわち、フィード線路の第1の導体と、フィード線路の第2の導体との間に接続される。第2のシャントキャパシタンスは、一方を、フィード線路の第2の導体と、もう1本又は複数本の細長い導電性アンテナ素子との間とし、もう一方を、第1のインダクタンスと第2のインダクタンスとの間の分合点とした、リンクの間に接続される。
【0009】
以下で説明されるアンテナでは、フィーダのために細長い積層基板を使用することは、アンテナのデュアルサービス動作が必要とされるときに、準単極共振の周波数を決定する1つ又は2つ以上の導電性ループの一部を外側シールド導体が形成するという格別な利点を有する。具体的には、フィード線路のシールド導体の電気的長さは、その他のパラメータのなかでも特に、シールド導体の幅に依存する。これは、準単極共振周波数が、もし必要であれば、クアドリフィラ共振周波数をもたらすパラメータとは実質的に無関係に選択可能であることを意味する。実際、アンテナは、様々な幅のシールド導体を伴う細長い積層基板が提供される製造プロセスに適応可能であり、該プロセスは、各アンテナについて、そのアンテナの使用意図にしたがった特定の幅のシールド導体を伴う細長い積層基板を選択する工程を含む。同じ選択工程は、異なるロットのセラミック材料から製造された異なるアンテナコア集団間における関連の誘電率のばらつきに起因して発生する共振周波数のばらつきを減らすために使用することができる。
【0010】
細長い積層基板は、アンテナコアを貫通する通路内において対称的に配されることが好ましい。したがって、円形の断面を持つ通路の場合は、積層基板は、直径上に位置決めされることが好ましい。これは、準単極共振モードにおけるシールド導体の対称的な挙動を補助する。好ましいアンテナのコアを貫通する通路は、めっきされていないことを留意されるべきである。また、伝送線路部位の内側導体は、フィード線路内における非対称的な場濃度を回避するために、シールド導体間において中央に位置決めされることが好ましい。また、積層基板及びその上の導体領域が、横方向において対称的である(すなわち、積層基板導電層の面内において対称的である)ことも好ましい。
【0011】
本発明の第2の態様にしたがうと、200MHzを超える周波数における動作用の誘電体装荷アンテナは、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、前記アンテナの軸を横断する方向
に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、該コアの外表面は、コアの前記固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
コアの中をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通する通路内に収容される軸方向に延びる積層基板であって、第1、第2、及び第3の導電層を有し、第2の層は、第1の層と第3の層との間に挟まれ、積層基板は、フィード線路として機能する伝送線路部位と、フィード線路をアンテナ素子に結合する一体的な遠位側インピーダンス整合部位とを含む、積層基板と、
を備え、第2の層は、フィード線路の細長い内側導体を形成し、第1の層及び第3の層は、細長いシールド導体を形成し、これらのシールド導体は、内側導体よりも幅広であり、それらの細長い縁部分に沿って相互に接続される。好ましくは、アンテナは、細長い導電性素子の少なくとも幾本かの近位端を連結させコアの近位側表面部分の領域においてフィード線路に結合されるトラップ素子を含む。準単極共振モードでは、電流は、少なくとも細長いアンテナ素子の1本、トラップ素子、及びフィード線路のシールド導体の1つ又は2つ以上の外表面によってフィード線路の導体の間に形成される第2の導電性ループを流れる。準単極共振モードは、この場合はクアドリフィラ共振の周波数よりも高い共振周波数にある基本周波数である。
【0012】
好ましい細長い積層基板は、実質的に一定幅の伝送線路部位を有する、すなわち、一定幅の条片として形成され、コアを貫通する通路は、条片の縁が通路の壁によって又は通路の中の直径方向に相対する長手方向溝内においてサポートされるように、条片の幅と少なくともおおよそ等しい直径の円形断面を有する。
【0013】
本発明の第3の態様にしたがうと、アンテナと、該アンテナに接続され、200MHzを上回る少なくとも2つの無線周波数帯において動作可能な無線通信回路手段と、を備える無線通信装置であって、
アンテナは、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの中を実質的に遠位側表面部分から近位側表面部分へ貫通し、コアの外表面上に又はコアの外表面に隣接して位置付けられるフィーダ構造と、
コア遠位側表面部分の領域においてフィーダ構造のフィード接続に結合される複数の細長い導電性アンテナ素子と、コア近位側表面部分の領域においてフィーダ構造への接地接続を有する導電性トラップ素子との直列の組み合わせと、
を含み、
無線通信回路手段は、第1及び第2の無線周波数帯においてそれぞれ動作可能である2つの部分を有し、各部分は、アンテナフィーダ構造の共通信号線路と、それぞれの回路手段部分との間を流れる信号を伝えるためのそれぞれの信号線路に関係付けられ、
アンテナは、第1の周波数帯において第1の円偏光共振モードで及び第2の周波数帯において第2の直線偏光共振モードで共振し、第2の周波数帯は、第1の周波数帯よりも上にあり、第1及び第2の共振モードは、基本の共振モードである、装置が提供される。無線通信回路手段は、アンテナの更なる円偏光共振モード及び直線偏光共振モードで動作可能であってもよい。
【0014】
第1及び第2の周波数帯は、それぞれの中心周波数を有し、第2の周波数帯の中心周波
数は、第1の中心周波数よりも高いが第1の中心周波数の2倍よりも低いことが好ましい。
【0015】
本発明の第4の態様にしたがうと、200MHzを超える周波数における動作用のアンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、コアの外表面は、コアの固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
コアの中をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通する通路内に収容される軸方向に延びる積層基板であって、少なくとも第1の層を有し、フィード線路として機能し少なくとも第1及び第2のフィード線路導体を含む伝送線路部位と、フィード線路をアンテナ素子に結合するためのフィード接続素子とを含む、積層基板と、
を備え、積層基板は、更に、フィード線路導体に結合される能動回路素子を一方の面に搭載しフィード線路導体の1つに電気的に接続される接地面をもう一方の面に有する伝送線路部位の近位側拡張部を含む、アンテナが提供される。
【0016】
本発明の第5の態様にしたがうと、500MHzを超える周波数における動作用の誘電体装荷アンテナは、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、コアの外表面は、コアの固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
コアの中の通路をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通するフィード線路として機能する少なくとも1つの伝送線路部位を含む軸方向に延びる細長い積層基板の形態をとるフィード構造と、
アンテナコアの近位側に位置付けられた複数のバネ接触であって、フィード線路に電気的に接続され、機器積層回路基板がアンテナに隣接して事前選択位置に位置付けられるときに機器積層回路基板の1枚又は2枚の導電層として形成された接触領域に弾性的に寄り掛かるように構築及び配置される複数のバネ接触と、
を備える。バネ接触は、好ましくは、アンテナの軸方向に方向付けられた圧縮力に応答して弾性的に変形するように成形された金属板バネである。このような弾性変形は、アンテナ軸に垂直な面を有する機器回路基板に並置される位置にアンテナが持ってこられたときに発生し得る。好ましいアンテナのコアの近位側表面部分におけるベースめっきは、例えばはんだ付けによって、バネ接触のための金属製の固定ベースを提供する。
【0017】
或いは、金属板バネ接触は、例えばアンテナ軸に平行な面を有する機器回路基板に並置される位置にアンテナが持ってこられたときに、アンテナ軸の横断方向に方向付けられた圧縮力に応答して変形するように成形することができる。
【0018】
バネ接触は、細長い積層基板のベース導体にはんだ付けされたときに、フィード線路導体に接続される。このようなバネ接触は、中間の接触をフィード線路の内側導体に接続さ
れるとともに第1及び第3の接触をフィード線路のシールド導体に接続されて、積層基板の近位側拡張部の一表面上に3つを並列に配置されることが好ましい。
【0019】
各バネ接触は、積層基板上の導電性ベースに固定するための固定脚と、アンテナの接続先となる機器回路基板上の接触領域に係合するための接触脚とを有するように成形された折り畳み金属バネ素子の形態をとることが好ましい。バネ素子の材料の弾性は、接触脚を固定脚に向かって促す力の印加に応答してバネ素子の2本の脚が相対的に近づくことによる弾性変形を可能にする。
【0020】
本発明は、また、機器回路基板と、上述のようなアンテナと、回路基板及びアンテナのためのハウジングとを含む無線通信ユニットも提供する。ユニットは、アンテナ及び回路基板がハウジングの中に装着されるときに、機器回路基板の1枚又は2枚以上の導電層として形成された接触領域にバネ接触が弾性的に寄り掛ってアンテナを機器回路基板に接続するように配置される。ハウジングは、好ましくは2パーツ式であり、アンテナを少なくとも軸方向に位置決めするように成形されたアンテナ用の入れ場を有する。
【0021】
本発明の別の態様にしたがうと、上記の無線通信ユニットを組み立てる方法が提供され、上記装置は、更に、アンテナ及び機器回路基板のための2パーツ式のハウジングを含み、ハウジングは、アンテナを受け入れて該アンテナを回路基板に対して事前選択位置に位置付けるように成形された入れ場を有し、その事前選択位置において、バネ接触は、機器回路基板上のそれぞれの接触領域と合わされてそれらの接触領域に寄り掛かり、上記方法は、回路基板をハウジングの中に固定することと、アンテナを入れ場の中に設置することと、ハウジングの2つのパーツを合体させて組み立て状態にすること、を含み、2つのパーツを合体させる行為は、バネ接触を機器回路基板上のそれぞれの接触領域に向かって促し、それによってバネ接触を圧縮して変形させる。ハウジングの2つのパーツは、スナップ式に嵌め合わされることが好ましい。
【0022】
本発明の更に別の実施形態にしたがうと、無線通信装置は、
(a)200MHzを超える周波数における動作用のバックファイヤ誘電体装荷アンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、コアの外表面は、コアの固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
コアの中の通路をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通するフィード線路として機能する少なくとも1つの伝送線路部位を含む軸方向に延びる細長い積層基板の形態をとるフィード構造であって、アンテナは、コア近位側表面部分上に又はコア近位側表面部分に隣接して露出接触領域を有する、フィード構造と、
を含むアンテナと、
(b)無線通信回路手段であって、少なくとも1枚の導電層を伴う機器積層回路基板を有し、該1枚又は2枚以上の導電層は、複数の接触端子サポート領域を有し、該サポート領域の各々には、アンテナの露出接触領域のそれぞれに弾性的に寄り掛かれるように位置決めされたそれぞれのバネ接触が導電的に接合される、無線通信回路手段と、
を備える。1つの実施形態では、アンテナの露出接触領域は、機器積層回路基板の面に平行であり、各バネ接触は、機器回路基板の面に垂直に作用する係合力を及ぼすように成形される。別の実施形態では、アンテナの露出接触領域は、アンテナ軸に対して垂直であ
る。この場合は、バネ接触は、アンテナが機器回路基板に対してタレット(小塔)実装されるにせよ、又はエッジ(縁)実装されるにせよ、アンテナの概ね軸方向に方向付けられた圧縮力に応答して弾性的に変形するように成形することができる。
【0023】
弾性バネ接触を使用して機器回路基板にアンテナを接続するための選択肢の1つは、アンテナコアの近位端表面部分に、孤立した導体の陸、すなわちトラップ又はバランの一部を形成する残りの部分から隔絶された導体の陸が提供されるようにパターン形成された導体層を提供することである。この陸、及び導電層の残りの部分は、それぞれの折り畳み弾性接触を取り付けるための導体ベースとして、又は機器回路基板上のバネ接触に係合する接触領域を形成する導電性板のためのベースとしてそれぞれ使用することができる。バネ接触がアンテナの近位側導電層に固定される場合は、このような接触は、細長い積層基板上の接触領域に対する、なかでも特に伝送線路部位の近位側拡張部の両面の接触領域に対する、はんだ付けによらない弾性接続を追加で提供することができる。これは、アンテナのタレット実装の場合に、又はアンテナの軸方向に作用する接触耐力をバネ接触が及ぼすようなその他の接続構成の場合に、積層基板と機器回路基板との間におけるはんだ付けによる接続の必要性を排除する。
【0024】
バネ接触がアンテナに実装される場合と同様に、このようなバネ接触は、細長いアンテナ積層基板の近位側拡張部の一方の面上の相応して相隔てられた3つの接触領域に係合するために、機器回路基板上に3つを並列に実装されることが好ましい。
【0025】
別の態様にしたがうと、本発明は、200MHzを超える周波数における動作用のバックファイヤ誘電体装荷アンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、コアの外表面は、コアの固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
コアの中の通路をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分まで軸方向に貫通する第1及び第2のフィード導体を含むフィード構造と、
を備え、コア近位側表面部分は、互いから電気的に分離された少なくとも2つの導電性領域を形成するようにパターン形成された導電性コーティングを有し、アンテナは、更に、通路の近位端において、各フィード導体と、コア近位側表面部分上の導電性領域のそれぞれとの間における電気的接続を含み、このような配置は、それによって、アンテナの軸をホスト機器基板に垂直にしてアンテナをホスト機器基板に実装するための少なくとも1対の平面状接触表面をコア近位側表面部分上に提供する、アンテナを提供する。
【0026】
方法の更なる態様にしたがうと、本発明は、先行する任意の請求項に記載の無線通信装置を組み立てる方法を提供する。上記装置は、更に、アンテナ及び機器回路基板のための2パーツ式のハウジングを含み、ハウジングは、アンテナを受け入れて該アンテナを回路基板に対して事前選択位置に位置付けるように成形された入れ場を有し、その事前選択位置において、バネ接触は、アンテナのそれぞれの接触領域と合わされてそれらの接触領域に寄り掛かり、上記方法は、回路基板をハウジングの中に固定することと、アンテナを入れ場の中に設置することと、ハウジングの2つのパーツを合体させて組み立て状態にすることと、を含み、2つのパーツを合体させる行為は、バネ接触をアンテナ上のそれぞれの接触領域に向かって促し、それによってバネ接触を圧縮して変形させる。
【0027】
本発明は、次に、図面を参照にして例を挙げて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】第1のアンテナの組立斜視図である。
【図1B】第1のアンテナの分解斜視図である。
【図1C】図1A及び図1Bのアンテナのための一極整合回路網の回路図である。
【図1D】図1A及び図1Bのアンテナのための二極整合回路網の回路図である。
【図2】図1A及び図1Bのアンテナを含む無線通信ユニットの一部の斜視図である。
【図3A】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図3B】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図3C】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図3D】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図3E】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図3F】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図4A】第2のアンテナの組立斜視図である。
【図4B】第2のアンテナの分解斜視図である。
【図5A】第1のアンテナアセンブリの組立斜視図である。
【図5B】第1のアンテナアセンブリの分解斜視図である。
【図6A】第2のアンテナアセンブリの組立斜視図である。
【図6B】第2のアンテナアセンブリの分解斜視図である。
【図7A】第3のアンテナの組立斜視図である。
【図7B】第3のアンテナの分解斜視図である。
【図8A】第4のアンテナの組立斜視図である。
【図8B】第4のアンテナの分解斜視図である。
【図9A】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図9B】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図9C】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図9D】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図9E】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図9F】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図10A】第6のアンテナの組立斜視図である。
【図10B】第6のアンテナの分解斜視図である。
【図11】第6のアンテナを含む無線通信ユニットの一部の斜視図である。
【図12】第6のアンテナを含む代替の無線通信ユニットの斜視図である。
【図13A】第7のアンテナの組立斜視図である。
【図13B】第7のアンテナの分解斜視図である。
【0029】
図1A及び図1Bを参照すると、本発明の第1の態様にしたがったアンテナは、円筒形セラミックコア12の円筒形外表面上にめっきされた又はその他の方法で金属化された4本の軸方向に同一の広がりを持つらせん軌道10A、10B、10C、10Dを伴うアンテナ素子構造を有する。コアのセラミック材料の比誘電率は、20よりも大きいのが一般的である。80の比誘電率を有するバリウム・サマリウム・チタン酸塩をベースにした材料が、とりわけ適している。
【0030】
コア12は、遠位端表面部分12Dから近位端表面部分12Pまでコアを貫通する穴12Bの形態をとる軸方向通路を有する。これらの表面部分は、ともに、コアの中心軸13を垂直に横断する方向に広がる平坦な面である。これらは、一方が遠位側を向き、もう一方が近位側を向いているという意味で、逆向きである。穴12Bに収容されるのは、伝送線路部位14Aと、整合回路網接続部位14Bと、伝送線路部位の遠位側及び近位側に一
体的に形成された拡張部の形態をとるアンテナ接続部位14Cとを有する細長い積層基板14の形態をとるフィーダ構造である。
【0031】
積層基板14は、3枚の導電層を有し、図1Bで見えているのは、そのうちの1枚のみである。この第1の導電層は、基板14の上表面14Uで露出している。第3の導電層は、同様に、積層基板14の下表面14Lで露出しており、第2の中間導電層は、第1の導電層と第3の導電層との間の中ほどで、積層基板14の絶縁性材料に埋め込まれている。積層基板14の伝送線路部位14Aでは、第2の中間導電層は、伝送線路部位14Aに沿って中央を走る狭い細長い軌道の形態をとって内側フィード導体(不図示)を形成している。内側導体の上層及び下層は、第1及び第3の導電層によってそれぞれ形成された、より幅広の細長い導電性軌道である。より幅広のこれらの軌道は、上方シールド導体16U及び下方シールド導体16Lを構成して内側導体をシールドしている。
【0032】
シールド導体16U、16Lは、内側導体の両側において内側導体に平行な線に沿って位置付けられるめっきビア17によって相互に接続される。これらのビアは、内側導体の長手方向縁から積層基板14の絶縁性材料によって隔てられるように、内側導体のそれらの長手方向縁から離れている。3枚の導電層によって伝送線路部位14Aの中に形成された細長い軌道と、相互接続用のビア17との組み合わせは、内側導体と外側シールドとを有する同軸フィード線路を形成することが理解され、外側シールドは、上方導電性軌道16U及び下方導電性軌道16L、並びにビア17によって構成される。一般に、この同軸フィード線路の特性インピーダンスは、50オームである。
【0033】
積層基板14の遠位側拡張部14Bでは、内側導体(不図示)は、内側導体遠位側ビア18Vによって露出上方導体18Uに結合される。同様に、遠位側拡張部14Bの下表面には、下方シールド導体16Lの拡張部である露出接続導体18L(図1Bでは図示されていない)がある。
【0034】
積層基板14の近位側拡張部14Cでは、内側導体(不図示)は、積層基板14の上表面14Uにある露出中央接触領域18Wに接続される。この接触領域18Wは、近位側ビア18Xによって内側導体に接続される。同じ上方積層基板層14Uには、中央接触領域18Wの両側に配された2つの露出外側接触領域16V、16Wがある。並列したこれら3つの接触領域は、組み立てられたアンテナを例えば後述のように機器のマザーボード上のバネ接触に接続するための接触集合を共同で構成する。
【0035】
積層基板14のアンテナ接続部位14Cは、矩形の形状をしており、この矩形の幅は、組み立て中に積層基板14がアンテナ1のコア12の近位端からコア12に挿入されるときにアンテナ接続部位14Cがアンテナコア12の近位端表面部分12Pに当接してアンテナ接続部位を近位側で露出させるように、平行辺を持つ伝送線路部位14Aよりも大きくなっている。
【0036】
積層基板14の長さは、アンテナ接続部位が近位端表面部分12Pに当接するときに整合回路網接続部位14Bが穴12Bの遠位端において穴12Bから短い距離だけ突き出すような長さである。外側シールド導体16U、16Lがコア12のセラミック材料から離れているように、伝送線路部位の幅は、穴12B(断面が円形である)の直径に概ね対応する。(穴12Bは、めっきされていないことに留意せよ。)したがって、コア12のセラミック材料によるシールド導体16U、16Lの誘電体装荷は、最小限である。積層基板の絶縁性材料の比誘電率は、この実施形態では約4.5である。
【0037】
角度方向における積層基板14の位置付けは、図1Bに示されるように、穴12Bの中の長手方向溝12BGによって補助される。
【0038】
コアの近位端表面部分12Pにめっきされるのは、半径方向軌道10AR、10BR、10CR、10DRとして形成される表面接続素子である。各表面接続素子は、それぞれのらせん軌道10A〜10Dの遠位端から、穴12Bの端に隣接する場所まで延びている。半径方向軌道10AR〜10DRは、4本のらせん軌道10A〜10Dがそれらの遠位端において対を成して相互に接続されるように、弧状の導電性リンクによって相互に接続されることがわかる。
【0039】
アンテナ素子10A〜10Dの近位端は、コア12の近位端部分を取り巻くめっきスリーブ20の形態をとる共通の仮想接地導体に接続される。このスリーブ20は、コアの近位端表面部分12Pの導電性コーティング(不図示)まで延びている。
【0040】
コア12の遠位端表面部分12Dに重なるのは、軸13に対して中央に位置付けられたおおよそ四角形のタイルの形態をとる第2の積層基板30である。その横断面の広がりは、それが半径方向軌道10AR、10BR、10CR、10DRの内側の端及びそれらの対応する弧状の相互接続に重なるような規模である。第2の積層基板30は、その裏側に、すなわちコアの遠位端表面部分12Dに面している側に、1枚の導電層を有する。この導電層は、コア表面部分12Dにある導電性表面接続素子10AR〜10DRを通じて伝送線路部位14Aの導電層16U、16L、18をアンテナ素子10A〜10Dに結合するためのフィード接続及びアンテナ素子接続を提供する。積層基板導電層は、また、その裏側(不図示)にある表面実装コンデンサと共同で、アンテナ素子構造によって示されるインピーダンスを伝送線路部位14Aの特性インピーダンス(50オーム)に整合させるためのインピーダンス整合回路網を構成する。
【0041】
インピーダンス整合回路網の回路図が、図1Cに示されている。図1Cに示されるように、インピーダンス整合回路網は、フィード線路の導体16、18に接続されたシャントキャパシタンスC、及びフィード線路導体の1つ18と、負荷又はソース36によって表されるアンテナの放射状素子10A〜10Dとの間の直列インダクタンスを有し、フィード線路の導体のもう1つ16は、負荷/ソース36のもう一方の側に直接接続される。この点に関して、フィード線路とアンテナ素子10A〜10Bとの相互接続は、参照によって本明細書にその内容を組み込まれるWO2006/136809に開示されたものと電気的に同じである。第2の積層基板30と、コアの近位端表面部分12Dにある導体との間における接続は、やはり参照によって本明細書にその内容を組み込まれる本出願の同時継続出願である英国特許出願第0914440.3号に記載されるように、ボールグリッドアレイ32によって成される。
【0042】
第2の積層基板30は、図1Aに示されるように、細長い積層基板14の突出整合回路網接続部位14Bを受け入れる中央スロット34を有し、積層基板14にある上方導電性領域18U及び第2の積層基板30の裏側にある導電層(不図示)の導体を含む導電性領域の間では、はんだ接続が成される。
【0043】
組み立てられたアンテナでは、積層基板14の近位側拡張部14Cは、コアのめっき近位端表面部分12Pに当接し、アンテナの組み立て中に、第1及び第3の露出接触領域16V、16W(図1Bを参照せよ)は、めっき表面部分12Pに電気的に接続される。
【0044】
上述された部品及びそれらの相互接続は、上記の先行特許公報に開示されているクアドリフィラアンテナと電気的に同様な誘電体装荷クアドリフィラヘリカルアンテナを生み出す。したがって、導電性スリーブ20、及びコア12の近位端表面部分12Pにあるめっき層(不図示)は、シールド導体16U、16Lによって形成されたフィード線路シールドと共同で、装着時におけるアンテナの接続先となる機器からのアンテナ素子構造10A
〜10Dのコモンモードアイソレーションを提供する1/4波長バランを形成する。アンテナ素子10A〜10Dによって形成された金属化導体素子、及びコア上のその他の金属化層は、コアの誘電性材料によってその大部分を占められる前方容積を画定する。
【0045】
アンテナは、この場合は、GPS L1周波数である1575MHzにおいて、円偏光共振モードを有する。
【0046】
この円偏光共振モードでは、アンテナ素子と、スリーブ20のリム20Uと、半径方向軌道10AR〜10DRとが、共振周波数を画定する導電性ループを形成するように、1/4波長バランは、コアの近位端表面部分12Pにおけるアンテナ素子10A〜10Dからシールド導体16U、16Lへの電流の流れを防止するトラップとして機能する。したがって、円偏光共振モードでは、電流は、フィード線路導体の1つから、例えば、第1のらせんアンテナ素子10Aを通り、スリーブ20のリム20Uを回り込んで流れ、反対に位置するらせんアンテナ素子10Cに戻ることを通じて、もう1つのフィード線路導体に戻る。
【0047】
アンテナは、また、直線偏光共振モードも示す。このモードでは、電流は、フィード線路導体を相互に接続する異なる導電性ループを流れる。より具体的には、この場合は、4つの導電性ループがあり、各々順番に、半径方向軌道10AR〜10DRの1つと、それに関係付けられたらせんアンテナ素子10A〜10Dと、スリーブ20(軸13に平行な方向)と、近位端表面部分12P上のめっきと、シールド導体16U、16L及びそれらの相互接続用ビア17によって形成されたフィード線路シールドの外表面とを含む。(伝送線路部位14Aによって形成されたフィード線路を流れる電流は、シールド導体16U、16Lによって形成されたシールドの内側を流れることに留意せよ)。フィード線路の長さ、したがって、シールド導体の長さ、それらの幅、及びコア12のセラミック材料に対するそれらの近さが、この直線偏光共振の周波数を決定する。
【0048】
コア12のセラミック材料によるシールド導体16U、16Lの誘電体装荷は、比較的僅かであるので、この場合の導電性ループの電気的長さは、円偏光共振モードにおいてアクティブになる導電性ループの平均的な電気的長さよりも短い。したがって、直線偏光共振モードは、円偏光共振モードよりも高い周波数を中心とする。直線偏光共振モードは、トロイダル放射パターン、すなわちアンテナの軸13を中心とした放射パターンを関係付けられていた。したがって、これは、アンテナがその軸13を実質的に垂直にした向きにあるときに、地上垂直偏光信号を受信するのに特に適している。
【0049】
直線偏光モードの共振周波数の調整は、シールド導体軌道16U、16Lの幅を変更することによって、円偏光モードの共振周波数とは実質的に無関係に成し遂げることができる。この例では、直線偏光モードの共振周波数は、2.45GHz(すなわち、ISM帯域内)である。
【0050】
二重(デュアル)周波数動作が必要とされるときは、図1Dに示されるように、整合回路網は、二極回路網であることが好ましい。
【0051】
細長い積層基板としてフィーダ構造を構築することは、ホスト機器に対するアンテナの接続をとりわけ経済的にする。図2を参照すると、アンテナ1が機器の回路基板40上の回路素子に接続される場合、アンテナフィード線路と、その面がアンテナ軸に平行な向きである回路基板40との間における直接的な電気的接続は、金属製バネ接触42を、回路基板の縁40Eに隣接して並列に尚且つ細長いアンテナ積層基板14のアンテナ接続部位14Cにおける接触領域16V、18W、16W(図1B)の間隔にしたがって相隔てられて配されるように導電的に実装することによって達成することができる。バネ接触42
は、アンテナが回路基板40に対して所要の位置に実装されるときのアンテナ接続部位14Cの位置にしたがって位置決めされる。
【0052】
各バネ接触は、回路基板40上のそれぞれの導体(不図示)に固定される固定脚42Lと、基板40の面に垂直な力を加えられたときに固定脚42Lに近づくように固定脚42Lから上方へただし固定脚42Lから離されて延びる接触脚42Uとを伴う折り畳み構成を有する金属製板バネを含む。したがって、図に示されるように、接触領域16V、18W、16W(図1B)を接触バネ42と合わされた状態でアンテナ1が回路基板40に並置される位置に持ってこられたときに、バネ接触は、弾性的に変形され、それらのそれぞれの接触領域16V、18W、16Wに寄り掛かり、アンテナ1と、回路基板40の回路素子との間における電気的接続を成すことが理解される。
【0053】
アンテナと、回路基板40の回路構成との間には、別途のコネクタデバイスがないことが留意される。むしろ、各バネ接触42は、表面実装部品と同様なやり方で、回路基板40に個々に且つ別々に取り付けられる。
【0054】
この構成は、図3A〜3Fに示されるように、単純な機器組み立てプロセスに適応可能である。図3A〜3Fを参照すると、代表的な組み立てプロセスは、先ず、回路基板40を第1の機器ハウジングパーツ50Aに入れることを含む(図3A及び図3B)。次に、アンテナ1は、ハウジングパーツ50Aの中の成形されたアンテナ入れ場52に導入され(図3C及び図3C)、図3Dに詳細に示されるように、細長いアンテナ基板のアンテナ接続部位14は、回路基板40上のバネ接触42に寄り掛かる。次に、やはりアンテナ1に係合するように成形された内表面を有する第2のハウジングパーツ50Bが、最初に言及されたハウジングパーツ50Aと合わされる。これは、アンテナ1をハウジングパーツ50Aの中の入れ場52の中へと促し、バネ接触42は、ハウジングを閉じるこの工程で変形される(図3E)。2つのハウジングパーツ50A、50Bは、最終的な閉じる動きがこれら2つのハウジングパーツのスナップ式嵌め合いを伴うように、スナップ特徴を有する。
【0055】
2つのハウジングパーツ50A、50Bによるアンテナ1のサポート及び位置付けが、図3Dの断面に示されている。入れ場52、及びもし必要であれば、ハウジングカバーパーツ50Bの中の逆向きの入れ場は、アンテナ軸を横断する方向のみならず軸方向にもアンテナを位置決めするように成形される。また、アンテナと回路基板との間における相互接続の構成は、単純で且つ安価な組み立てプロセスを提供することはもちろん、バネ接触42によって成される接続を壊すことなくアンテナと回路基板40との間における軸方向の動きを可能にすることが留意される。これは、機器が万が一、(例えば手持ち式の無線通信ユニットが落とられた場合などに)強い衝撃を受けたとしても、アンテナ1と回路基板40との間における剛結合の欠如が、例えば、アンテナの細長い積層基板14と、整合回路網を搭載された第2の積層基板30(図1及び図2)との間におけるはんだ接合や、横断方向に実装された積層基板30と、アンテナコアの遠位端表面部分12Dにあるめっき導体との間におけるはんだ接合などの、はんだ接合に及ぼされる歪みを回避する、という利点を有する。
【0056】
次に、図4A及び図4Bを参照すると、本発明にしたがった第2のアンテナは、細長い積層基板14の近位側に突き出したアンテナ接続部位14Cに実装されたバネ接触42を有する。図2を参照にして上述されたシステムと同様に、バネ接触は、各々が固定脚と接触脚とを伴う金属製の板バネである。この場合は、固定脚は、アンテナ接続部位14Cのそれぞれの接触領域16V、18W、16Wに個々に且つ別々にはんだ付けされる。機器の回路基板(不図示)は、アンテナ1が回路基板に対してその所要の位置に押し込まれるときにバネ接触42が圧縮されるように、相応して相隔たれた接触領域を提供される。こ
の構成は、図2のユニットに関する上記の概要と同じ利点をもたらす。
【0057】
図5A及び図5Bを参照すると、フィード線路の積層基板の構築は、RFフロントエンド低ノイズ増幅器60などの能動回路素子のための一体的なサポートの可能性も提供する。この場合は、積層基板14は、より大きな近位側拡張部14Cを有し、伝送線路部位14Aのフィード線路導体(不図示)は、低ノイズ増幅器60の入力に直接的に接続される。増幅器の出力は、図2を参照にして上述されたような、バネ接触を使用した機器の回路基板に対する接続のために、図5A及び図5Bに示されるように、露出接触領域62に直接結合することができる。アンテナコア12の穴12B(図5Bを参照せよ)内における積層基板14の位置付けは、積層基板14の両面にあるバネ付勢素子64によって補助される。これらは、穴12Bの壁に寄り掛かって軸13に対する基板14の中心合わせを助ける。この場合、近位端表面部分12P(不図示)上の半径方向軌道に対するフィード線路のフィード線路導体の直接的接続は、積層基板14の遠位側拡張部14B上の遠位側接触領域に当接し尚且つ半径方向軌道にはんだ付けされる平面状の導電性の耳、すなわち接触板66によって実現することができる。
【0058】
図6A及び図6Bに示されるような、積層基板14の更なる拡大は、フィード線路が低ノイズ増幅器60に直接的に供給を行うアンテナアセンブリが、今度は、やはり積層基板14の近位側拡張部14B上に実装されたレシーバチップ68に供給を行うことを可能にする。この経済的なアセンブリは、積層基板14と機器の回路基板との間における接続が、図6A及び図6Bに示されるような個別のコネクタ70、又は可撓性のプリント回路積層体、又は図2を参照にして上述されたバネ接触構成のうちのいずれによって成されるにせよ、そのような接続における高周波数電流を排除する、という潜在的利点を有する。また、この回路構成が全て、積層基板14上の共通の連続接地面上にあることは、機器の回路基板上にあるノイズ放射回路構成から積層基板14上の回路構成へのコモンモードノイズ結合を低減させる。
【0059】
図5Bを参照にして上述された、フィード線路導体をコアの遠位端表面12P上の半径方向軌道に接続する手段としての導電性の耳66に代わるものとして、図7A及び図7Bに示されるように、バネ接触が使用されてよい。これらのバネ接触は、各々、遠位端面12D上の導電層にはんだ付けするための平面状の接続ベースと、細長い積層基板14の両側において穴12Bを貫通して伝送線路部位14Aの遠位側拡張部14B上の遠位側接触領域に接触する下垂湾曲バネ部位とを有する。これは、フィード線路14とアンテナ素子10A〜10Bとの耐衝撃性の相互接続を可能にする。
【0060】
耳66を使用した、遠位側表面部分の導電性軌道に対するフィード線路の遠位側接続が、図8A及び図8Bに示されている。
【0061】
コア12のめっき近位端表面部分12Pと、フィード線路シールド導体16U、16Lの近位端部分との間における接続は、図9A、図9B、図9C、及び図9Dに示されるように、はんだをコーティングされたワッシャ76によって達成可能であり、該接続は、リング76のはんだが溶融し、近位側表面のめっきの上へ及び細長い積層基板14の外側導電層の上へ流れるように、アンテナがオーブンに通されたときに成される。
【0062】
はんだをコーティングされたワッシャ76の内側縁との間における密接な接触は、図9Eに示されるように、スロット付きの開口を提供することによって実現される。この場合は、積層基板14の遠位側拡張部14Bは、図9Bに示されるように、整合用の部品をより容易に細長い積層基板14上に収容可能であるように、伝送線路部位14Aよりも幅広である。
【0063】
次に、図9A〜9Dに示されたアンテナの積層基板14の構築が、図9Fを参照にして、より詳細に説明される。基板は、上方導電層14−1、中間導電層14−2、及び下方の外側導電層(図9Fでは極細線で示されている)14−3の、3枚の導電層を有する。内側の層は、狭くて細長いフィード線路導体18を形成する。外側の層は、本明細書で前述されたように、シールド導体16U、16Lを形成する。本明細書で前述されたように、シールド導体16Uと16Lの間には、内側導体18を取り囲むシールドをシールド導体16U、16Lと共同で形成する2列のめっきビア17がある。伝送線路部位14Aの近位側拡張部14Cは、図1Bを参照にして上述されたように、フィード線路導体に接続される接触領域16V、18W、16Wを有する。
【0064】
この例では、拡大された遠位側拡張部14Bは、図1A及び図1Bを参照にして上述された第1のアンテナの第2の積層基板30に代わる整合部位を構築している。整合部位は、個別の表面実装コンデンサ80によって提供されるシャントキャパシタンスを有し、このコンデンサ80は、外側導体層14−1の中に形成されてビア18Vを通じて内側導体18に及びフィード線路シールド導体16Uの拡張部81にそれぞれ接続されるパッド上に実装される。中間層14−2の中には、横断する素子及びそれに関係付けられたビアによって、直列インダクタンスが形成される。
【0065】
積層基板14の遠位側拡張部14B上における整合回路網の接続は、遠位側拡張部14Bの側方に突き出した部分における外側導電層と、コアの遠位端表面部分にパターン形成された導電層によって提供される導体との間におけるはんだ接合によって成し遂げられる。
【0066】
アンテナフィード線路と、機器回路基板との間における接続は、アンテナ軸に平行な面内に広がる接触領域によって成される必要がある。図10A及び図10Bを参照すると、コア12の近位端表面部分12Pには、アンテナ軸に垂直な向きの接触領域が提供されてよい。この場合、近位端表面部分12Pのめっきは、導電性スリーブ20の延長として形成されるめっき88Bから隔絶された孤立した「陸」88Aを提供するようにパターン形成することができる。コア12における近位側導電層88A、88Bのこのようなパターン形成は、このようにして、内側の端を伝送線路部位14Aの近位側拡張部14Cにおける接触領域(例えば導電性パッド18W)(このような領域は、積層基板14の両面にある)に接続されるように成形された扇形の導電性支持素子90を取り付けるための導電性のベース領域を提供する。支持素子90は、アンテナ軸に垂直な向きの確固たる耐摩耗性の接触領域を形成するために、及び図11に示されるように当接するバネ接触を受けるために、それぞれの導電層部分88A、88Bに接合される。
【0067】
図11を参照すると、機器回路基板40は、この場合、回路基板40の縁に隣接する穴(不図示)の中に固定され尚且つアンテナコア12の近位端表面部分12Pに接合された相隔たれた支持素子90と合わさるように相隔てられた、固定脚42Fを有する、直立した金属製バネ接触42を有する。各バネ接触は、アンテナの軸に平行な方向に支持素子90に弾性的に寄り掛かる接触脚42Uを有する。
【0068】
垂直な向きの同じ支持素子は、図12に示されるように、機器回路基板40の面上にアンテナをいわゆる「タレット」実装するためにも使用することができる。この場合、バネ接触42は、図12に示されるように、基板40上に表面実装される。回路基板40が一部を成す機器にアンテナを組み付ける際、近位端表面部分12Pと、回路基板40における対向表面との間が所定の距離だけ離れた状態で、アンテナ1が回路基板40の上方の位置へ促されるときは、図2を参照にして上述されたのと同様な形で、バネ接触42の接触脚が固定脚の方向に弾性的に近づく動きが発生する。
【0069】
タレット実装構成の形でアンテナを機器回路基板に接続する代替の手段が、図13A及び図13Bに示されている。この場合は、アンテナコア12の近位端表面部分12Pにめっきされた導電層は、図10A及び図10Bを参照にして上述されたようにパターン形成される。この場合は、しかしながら、細長い積層基板14のフィード線路に対する接続は、陸を成す導体領域88A上及びスリーブに接続される導電性領域88B上に直径方向に相対してそれぞれ実装される1対のバネ接触素子42によって成される。各場合において、固定脚42Lは、接触脚42Uがアンテナコアの近位端表面部分12Pに平行に且つアンテナ軸13に垂直に広がる機器回路基板(不図示)上の接触領域に寄り掛かるような向きになるように、それぞれの導電性領域にはんだ付けされ、アンテナは、バネ接触42の所要の圧縮にしたがって設定された所定の距離のところに位置する。更に、これらのバネ接触は、図13A及び図13Bに示されるように、固定脚と接触脚との間における弾性相互接続が積層基板14の伝送線路部位14Aの近位側拡張部14B上の接触領域に寄り掛かれるように各場合に軸に向かって内側を向くとともに軸から距離を置かれるような向きである。
【背景技術】
【0001】
本発明は、200MHzを超える周波数における動作用の、固体材料からなる電気絶縁性誘電体コアを有する誘電体装荷アンテナと、該誘電体装荷アンテナを組み込んだ無線通信装置とに関する。
【0002】
携帯電話、衛星電話、ハンドヘルド(手持ち式)測位ユニット、及びモバイル(可動式)測位ユニットなどのポータブル(携帯式)無線通信デバイス用のコンパクトなアンテナに代表されるヘリカルアンテナを、UHF周波数における動作用に誘電的に装荷することが知られている。本発明は、これらの分野、並びにWiFiデバイスすなわちワイヤレスローカルエリアネットワークデバイス、MIMOシステムすなわちマルチ入力・マルチ出力システム、及びその他の送受信ワイヤレスシステムなどの分野において適用可能である。
【0003】
通常、このようなアンテナは、少なくとも5の比誘電率を有する円筒形のセラミックコアを含み、該コアの外表面は、導電性らせん軌道の形態をとるアンテナ素子構造を纏っている。いわゆる「バックファイヤ」アンテナの場合は、コアの近位側横断外表面部分から遠位側横断外表面部分までコアを貫通する穴に、軸方向フィーダが収容され、該フィーダの導体は、コアの遠位側横断表面部分上の導電性表面接続素子を通じてらせん軌道に結合される。このようなアンテナは、英国特許出願公開GB2292638、GB2309592、GB2399948、GB2441566、GB2445478、国際出願WO2006/136809、及び米国出願公開US2008−0174512A1に開示されている。これらの公開公報は、1つ、2つ、3つ、又は4つの対又は群を成すらせんアンテナ素子を有するアンテナを開示している。WO2006/136809、GB2441566、GB2445478、及びUS2008−0174512A1の各々は、コアの遠位側外表面部分に固定されたプリント回路積層基板を含むインピーダンス整合回路網を伴うアンテナを開示しており、該整合回路網は、フィーダとらせんアンテナ素子との間における結合部の一部を構成する。各場合において、フィーダは、同軸伝送線路であり、その外側シールド導体は、積層基板のビアを通って軸に平行に延びる接続タブを有し、その内側導体も、同様に、それぞれのビアを通って延びる。アンテナは、以下のように組み立てられる。先ず、一体的なフィーダ構造を構成するために、同軸フィーダの遠位端部分を積層基板の中のビアに挿入する。次いで、フィーダが通路の近位端から現れるとともに積層基板がコアの末端側外表面部分に当接するように、積層基板を取り付けられた上記フィーダをコアの中の通路に該通路の遠位端から挿入する。次に、フィーダの外側導体と、コアの近位側外表面部分の導電性コーティングとの間に環状のブリッジを形成するために、はんだをコーティングされたワッシャ又はフェルールをフィーダの近位端部分の周囲に配する。このアセンブリは、次いで、オーブンに通され、そこでは、積層基板の近位側及び遠位側の面の所定の場所に事前に施されたはんだペースト、並びに上記のワッシャ又はフェルールに施されたはんだが溶融し、(a)フィーダと、整合回路網との間における接続、(b)整合回路網と、コアの末端側外表面部分上の表面接続素子との間における接続、及び(c)フィーダと、コアの近位側外表面部分上の導電層との間における接続を形成する。コアのフィーダ構造の組み立て及び固定は、したがって、挿入、ワッシャ又はフェルールの配置、及び加熱の3工程からなるプロセスである。本発明の目的は、組み立てがより単純なアンテナを提供することである。
【0004】
本発明の第1の態様にしたがうと、200MHzを超える周波数における動作用の誘電体装荷アンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広
がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、コアの外表面は、コアの固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
軸方向に延びる細長い積層基板の形態をとるフィード構造であって、積層基板は、コアの中の通路をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通するフィード線路として機能する少なくとも1つの伝送線路部位と、該伝送線路部位に一体的に形成された近位側拡張部の形態をとり積層基板の面内におけるその幅が通路の幅よりも大きくされたアンテナ接続部位とを含む、フィード構造と、
アンテナ素子をフィード線路に結合するインピーダンス整合部位と、
を備えるアンテナが提供される。軸方向に延びる細長い積層基板をフィード構造として使用することには、剛性の金属製外側導体を有する同軸フィーダと比べて比較的剛性に欠しいという利点がある。伝送線路部位の近位側拡張部における幅の増加は、本明細書で後ほど説明されるように、各種の接続素子のための追加の面積を提供する。具体的には、もし必要であれば、専用の小型コネクタアセンブリを省くことができる。好ましい積層基板は、少なくとも、第1、第2、及び第3の導電層を有し、第2の層は、第1の層と第3の層との間の中間層である。このようにすれば、フィード線路は、第2の層によって形成される細長い内側導体と、第1及び第3の層によってそれぞれ形成されそれぞれ上方及び下方から内側導体に重なる外側シールド導体とを有するように構築することが可能である。シールド導体は、次いで、内側導体の両側において内側導体に平行な線に沿って位置付けられる相互接続によって、相互に接続することができる。これらの相互接続は、好ましくは、第1の層と第3の層との間の導電性ビアの列によって形成される。これは、内側導体を取り囲む効果を有し、伝送線路部位は、それによって、同軸線路の特性を有する。
【0005】
本発明の一部の実施形態では、軸方向に延びる積層基板は、近位側拡張部上に能動回路素子を搭載している。したがって、例えば表面実装などを使用して、積層基板上に低ノイズ増幅器などのRFフロントエンド回路が実装されてよく、該素子の入力導体は、フィード線路の導体に結合される。或いは、アンテナが伝送用に使用されるときは、基板は、RF電力増幅器を搭載可能であり、或いは、トランシーバの中で使用されるときは、電力増幅器及びスイッチの両方を搭載可能である。また、GPSレシーバチップ若しくはその他のRFレシーバチップ(ひいては低周波数(例えば30MHz未満)若しくはデジタル出力を伴う回路まで)、又はトランシーバチップなどの、更なる能動回路素子を組み込むことも可能である。特にこのような実施形態では、積層基板は、追加の導電層を有することができる。これは、無線周波数信号を扱える専用のコネクタの使用を伴うことなくアンテナがホスト機器に接続されることを可能にする。RF接続によって課される寸法上の制限も、この場合は回避される。積層基板は、このようにして、完成品として提供されるアンテナアセンブリの一部を構成する例えば上述された1つ又は2つ以上の能動回路素子や整合部品などの任意の回路素子のための単体のキャリアとして機能することができる。
【0006】
本発明の一実施形態では、しかしながら、インピーダンス整合部位は、第2の積層基板上に搭載され、その導体は、フィード線路に結合される。この実施形態では、第2の積層基板は、軸方向に延びる積層基板に垂直な向きであり、軸方向に延びる積層基板の遠位端部分を受け入れるための開口をその中に有する。インピーダンス整合部位は、好ましくは、フィード線路の遠位端においてフィード線路の内側導体とシールド導体との間に接続されるシャントコンデンサの形態をとる少なくとも1つの反応性整合素子を含む。フィード線路の導体の1つと、細長いアンテナ素子の少なくとも1本との間には、直列インダクタンスが結合されてよい。キャパシタンスが、好ましくは、表面実装された個別のコンデン
サである一方で、インダクタンスは、コンデンサと、各細長いアンテナ素子対のうちの1本との間における導電性軌道として形成される。
【0007】
好ましいアンテナは、デュアルサービスアンテナとして使用することが可能である。したがって、本発明にしたがったクアドリフィラ(4線巻)ヘリカルアンテナの場合は、アンテナは、円偏光放射用のアンテナ放射パターンを生成するクアドリフィラ共振のみならず、直線偏光信号用の準単極共振も有するのが一般的である。クアドリフィラ共振は、アンテナの軸を中心としたカージオイド(心臓形)形状の放射パターンを生成し、したがって、衛星信号の送信又は受信に適しており、これに対して、準単極共振は、アンテナ軸を挟んで対称的なトロイダル(ドーナツ形)放射パターンを生成し、したがって、地上直線偏光信号の送信及び受信に適している。これらの特性を有する好ましいアンテナの1つは、GNSS信号に関係付けられた第1の周波数帯(例えば、GPS−L1周波数である1575MHz)においてクアドリフィラ共振を有し、Bluetoothシステム及びWiFiシステムによって使用される2.45GHz ISM(工業、科学、医療)において準単極共振を有する。
【0008】
デュアルサービス動作が検討される場合は、インピーダンス整合部位は、フィード線路の第1の導体と、各導電性アンテナ素子対のうちの1本との間における2つのインダクタンスの直列の組み合わせと、第1及び第2のシャントキャパシタンスとを含む、二極性の整合部位であってよい。第1のシャントキャパシタンスは、上述のように、すなわち、フィード線路の第1の導体と、フィード線路の第2の導体との間に接続される。第2のシャントキャパシタンスは、一方を、フィード線路の第2の導体と、もう1本又は複数本の細長い導電性アンテナ素子との間とし、もう一方を、第1のインダクタンスと第2のインダクタンスとの間の分合点とした、リンクの間に接続される。
【0009】
以下で説明されるアンテナでは、フィーダのために細長い積層基板を使用することは、アンテナのデュアルサービス動作が必要とされるときに、準単極共振の周波数を決定する1つ又は2つ以上の導電性ループの一部を外側シールド導体が形成するという格別な利点を有する。具体的には、フィード線路のシールド導体の電気的長さは、その他のパラメータのなかでも特に、シールド導体の幅に依存する。これは、準単極共振周波数が、もし必要であれば、クアドリフィラ共振周波数をもたらすパラメータとは実質的に無関係に選択可能であることを意味する。実際、アンテナは、様々な幅のシールド導体を伴う細長い積層基板が提供される製造プロセスに適応可能であり、該プロセスは、各アンテナについて、そのアンテナの使用意図にしたがった特定の幅のシールド導体を伴う細長い積層基板を選択する工程を含む。同じ選択工程は、異なるロットのセラミック材料から製造された異なるアンテナコア集団間における関連の誘電率のばらつきに起因して発生する共振周波数のばらつきを減らすために使用することができる。
【0010】
細長い積層基板は、アンテナコアを貫通する通路内において対称的に配されることが好ましい。したがって、円形の断面を持つ通路の場合は、積層基板は、直径上に位置決めされることが好ましい。これは、準単極共振モードにおけるシールド導体の対称的な挙動を補助する。好ましいアンテナのコアを貫通する通路は、めっきされていないことを留意されるべきである。また、伝送線路部位の内側導体は、フィード線路内における非対称的な場濃度を回避するために、シールド導体間において中央に位置決めされることが好ましい。また、積層基板及びその上の導体領域が、横方向において対称的である(すなわち、積層基板導電層の面内において対称的である)ことも好ましい。
【0011】
本発明の第2の態様にしたがうと、200MHzを超える周波数における動作用の誘電体装荷アンテナは、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、前記アンテナの軸を横断する方向
に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、該コアの外表面は、コアの前記固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
コアの中をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通する通路内に収容される軸方向に延びる積層基板であって、第1、第2、及び第3の導電層を有し、第2の層は、第1の層と第3の層との間に挟まれ、積層基板は、フィード線路として機能する伝送線路部位と、フィード線路をアンテナ素子に結合する一体的な遠位側インピーダンス整合部位とを含む、積層基板と、
を備え、第2の層は、フィード線路の細長い内側導体を形成し、第1の層及び第3の層は、細長いシールド導体を形成し、これらのシールド導体は、内側導体よりも幅広であり、それらの細長い縁部分に沿って相互に接続される。好ましくは、アンテナは、細長い導電性素子の少なくとも幾本かの近位端を連結させコアの近位側表面部分の領域においてフィード線路に結合されるトラップ素子を含む。準単極共振モードでは、電流は、少なくとも細長いアンテナ素子の1本、トラップ素子、及びフィード線路のシールド導体の1つ又は2つ以上の外表面によってフィード線路の導体の間に形成される第2の導電性ループを流れる。準単極共振モードは、この場合はクアドリフィラ共振の周波数よりも高い共振周波数にある基本周波数である。
【0012】
好ましい細長い積層基板は、実質的に一定幅の伝送線路部位を有する、すなわち、一定幅の条片として形成され、コアを貫通する通路は、条片の縁が通路の壁によって又は通路の中の直径方向に相対する長手方向溝内においてサポートされるように、条片の幅と少なくともおおよそ等しい直径の円形断面を有する。
【0013】
本発明の第3の態様にしたがうと、アンテナと、該アンテナに接続され、200MHzを上回る少なくとも2つの無線周波数帯において動作可能な無線通信回路手段と、を備える無線通信装置であって、
アンテナは、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの中を実質的に遠位側表面部分から近位側表面部分へ貫通し、コアの外表面上に又はコアの外表面に隣接して位置付けられるフィーダ構造と、
コア遠位側表面部分の領域においてフィーダ構造のフィード接続に結合される複数の細長い導電性アンテナ素子と、コア近位側表面部分の領域においてフィーダ構造への接地接続を有する導電性トラップ素子との直列の組み合わせと、
を含み、
無線通信回路手段は、第1及び第2の無線周波数帯においてそれぞれ動作可能である2つの部分を有し、各部分は、アンテナフィーダ構造の共通信号線路と、それぞれの回路手段部分との間を流れる信号を伝えるためのそれぞれの信号線路に関係付けられ、
アンテナは、第1の周波数帯において第1の円偏光共振モードで及び第2の周波数帯において第2の直線偏光共振モードで共振し、第2の周波数帯は、第1の周波数帯よりも上にあり、第1及び第2の共振モードは、基本の共振モードである、装置が提供される。無線通信回路手段は、アンテナの更なる円偏光共振モード及び直線偏光共振モードで動作可能であってもよい。
【0014】
第1及び第2の周波数帯は、それぞれの中心周波数を有し、第2の周波数帯の中心周波
数は、第1の中心周波数よりも高いが第1の中心周波数の2倍よりも低いことが好ましい。
【0015】
本発明の第4の態様にしたがうと、200MHzを超える周波数における動作用のアンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、コアの外表面は、コアの固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
コアの中をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通する通路内に収容される軸方向に延びる積層基板であって、少なくとも第1の層を有し、フィード線路として機能し少なくとも第1及び第2のフィード線路導体を含む伝送線路部位と、フィード線路をアンテナ素子に結合するためのフィード接続素子とを含む、積層基板と、
を備え、積層基板は、更に、フィード線路導体に結合される能動回路素子を一方の面に搭載しフィード線路導体の1つに電気的に接続される接地面をもう一方の面に有する伝送線路部位の近位側拡張部を含む、アンテナが提供される。
【0016】
本発明の第5の態様にしたがうと、500MHzを超える周波数における動作用の誘電体装荷アンテナは、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、コアの外表面は、コアの固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
コアの中の通路をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通するフィード線路として機能する少なくとも1つの伝送線路部位を含む軸方向に延びる細長い積層基板の形態をとるフィード構造と、
アンテナコアの近位側に位置付けられた複数のバネ接触であって、フィード線路に電気的に接続され、機器積層回路基板がアンテナに隣接して事前選択位置に位置付けられるときに機器積層回路基板の1枚又は2枚の導電層として形成された接触領域に弾性的に寄り掛かるように構築及び配置される複数のバネ接触と、
を備える。バネ接触は、好ましくは、アンテナの軸方向に方向付けられた圧縮力に応答して弾性的に変形するように成形された金属板バネである。このような弾性変形は、アンテナ軸に垂直な面を有する機器回路基板に並置される位置にアンテナが持ってこられたときに発生し得る。好ましいアンテナのコアの近位側表面部分におけるベースめっきは、例えばはんだ付けによって、バネ接触のための金属製の固定ベースを提供する。
【0017】
或いは、金属板バネ接触は、例えばアンテナ軸に平行な面を有する機器回路基板に並置される位置にアンテナが持ってこられたときに、アンテナ軸の横断方向に方向付けられた圧縮力に応答して変形するように成形することができる。
【0018】
バネ接触は、細長い積層基板のベース導体にはんだ付けされたときに、フィード線路導体に接続される。このようなバネ接触は、中間の接触をフィード線路の内側導体に接続さ
れるとともに第1及び第3の接触をフィード線路のシールド導体に接続されて、積層基板の近位側拡張部の一表面上に3つを並列に配置されることが好ましい。
【0019】
各バネ接触は、積層基板上の導電性ベースに固定するための固定脚と、アンテナの接続先となる機器回路基板上の接触領域に係合するための接触脚とを有するように成形された折り畳み金属バネ素子の形態をとることが好ましい。バネ素子の材料の弾性は、接触脚を固定脚に向かって促す力の印加に応答してバネ素子の2本の脚が相対的に近づくことによる弾性変形を可能にする。
【0020】
本発明は、また、機器回路基板と、上述のようなアンテナと、回路基板及びアンテナのためのハウジングとを含む無線通信ユニットも提供する。ユニットは、アンテナ及び回路基板がハウジングの中に装着されるときに、機器回路基板の1枚又は2枚以上の導電層として形成された接触領域にバネ接触が弾性的に寄り掛ってアンテナを機器回路基板に接続するように配置される。ハウジングは、好ましくは2パーツ式であり、アンテナを少なくとも軸方向に位置決めするように成形されたアンテナ用の入れ場を有する。
【0021】
本発明の別の態様にしたがうと、上記の無線通信ユニットを組み立てる方法が提供され、上記装置は、更に、アンテナ及び機器回路基板のための2パーツ式のハウジングを含み、ハウジングは、アンテナを受け入れて該アンテナを回路基板に対して事前選択位置に位置付けるように成形された入れ場を有し、その事前選択位置において、バネ接触は、機器回路基板上のそれぞれの接触領域と合わされてそれらの接触領域に寄り掛かり、上記方法は、回路基板をハウジングの中に固定することと、アンテナを入れ場の中に設置することと、ハウジングの2つのパーツを合体させて組み立て状態にすること、を含み、2つのパーツを合体させる行為は、バネ接触を機器回路基板上のそれぞれの接触領域に向かって促し、それによってバネ接触を圧縮して変形させる。ハウジングの2つのパーツは、スナップ式に嵌め合わされることが好ましい。
【0022】
本発明の更に別の実施形態にしたがうと、無線通信装置は、
(a)200MHzを超える周波数における動作用のバックファイヤ誘電体装荷アンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、コアの外表面は、コアの固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
コアの中の通路をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分へ貫通するフィード線路として機能する少なくとも1つの伝送線路部位を含む軸方向に延びる細長い積層基板の形態をとるフィード構造であって、アンテナは、コア近位側表面部分上に又はコア近位側表面部分に隣接して露出接触領域を有する、フィード構造と、
を含むアンテナと、
(b)無線通信回路手段であって、少なくとも1枚の導電層を伴う機器積層回路基板を有し、該1枚又は2枚以上の導電層は、複数の接触端子サポート領域を有し、該サポート領域の各々には、アンテナの露出接触領域のそれぞれに弾性的に寄り掛かれるように位置決めされたそれぞれのバネ接触が導電的に接合される、無線通信回路手段と、
を備える。1つの実施形態では、アンテナの露出接触領域は、機器積層回路基板の面に平行であり、各バネ接触は、機器回路基板の面に垂直に作用する係合力を及ぼすように成形される。別の実施形態では、アンテナの露出接触領域は、アンテナ軸に対して垂直であ
る。この場合は、バネ接触は、アンテナが機器回路基板に対してタレット(小塔)実装されるにせよ、又はエッジ(縁)実装されるにせよ、アンテナの概ね軸方向に方向付けられた圧縮力に応答して弾性的に変形するように成形することができる。
【0023】
弾性バネ接触を使用して機器回路基板にアンテナを接続するための選択肢の1つは、アンテナコアの近位端表面部分に、孤立した導体の陸、すなわちトラップ又はバランの一部を形成する残りの部分から隔絶された導体の陸が提供されるようにパターン形成された導体層を提供することである。この陸、及び導電層の残りの部分は、それぞれの折り畳み弾性接触を取り付けるための導体ベースとして、又は機器回路基板上のバネ接触に係合する接触領域を形成する導電性板のためのベースとしてそれぞれ使用することができる。バネ接触がアンテナの近位側導電層に固定される場合は、このような接触は、細長い積層基板上の接触領域に対する、なかでも特に伝送線路部位の近位側拡張部の両面の接触領域に対する、はんだ付けによらない弾性接続を追加で提供することができる。これは、アンテナのタレット実装の場合に、又はアンテナの軸方向に作用する接触耐力をバネ接触が及ぼすようなその他の接続構成の場合に、積層基板と機器回路基板との間におけるはんだ付けによる接続の必要性を排除する。
【0024】
バネ接触がアンテナに実装される場合と同様に、このようなバネ接触は、細長いアンテナ積層基板の近位側拡張部の一方の面上の相応して相隔てられた3つの接触領域に係合するために、機器回路基板上に3つを並列に実装されることが好ましい。
【0025】
別の態様にしたがうと、本発明は、200MHzを超える周波数における動作用のバックファイヤ誘電体装荷アンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、これら横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、コアの外表面は、コアの固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
コアの側面部分上に又はコアの側面部分に隣接して設けられコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
コアの中の通路をコア遠位側表面部分からコア近位側表面部分まで軸方向に貫通する第1及び第2のフィード導体を含むフィード構造と、
を備え、コア近位側表面部分は、互いから電気的に分離された少なくとも2つの導電性領域を形成するようにパターン形成された導電性コーティングを有し、アンテナは、更に、通路の近位端において、各フィード導体と、コア近位側表面部分上の導電性領域のそれぞれとの間における電気的接続を含み、このような配置は、それによって、アンテナの軸をホスト機器基板に垂直にしてアンテナをホスト機器基板に実装するための少なくとも1対の平面状接触表面をコア近位側表面部分上に提供する、アンテナを提供する。
【0026】
方法の更なる態様にしたがうと、本発明は、先行する任意の請求項に記載の無線通信装置を組み立てる方法を提供する。上記装置は、更に、アンテナ及び機器回路基板のための2パーツ式のハウジングを含み、ハウジングは、アンテナを受け入れて該アンテナを回路基板に対して事前選択位置に位置付けるように成形された入れ場を有し、その事前選択位置において、バネ接触は、アンテナのそれぞれの接触領域と合わされてそれらの接触領域に寄り掛かり、上記方法は、回路基板をハウジングの中に固定することと、アンテナを入れ場の中に設置することと、ハウジングの2つのパーツを合体させて組み立て状態にすることと、を含み、2つのパーツを合体させる行為は、バネ接触をアンテナ上のそれぞれの接触領域に向かって促し、それによってバネ接触を圧縮して変形させる。
【0027】
本発明は、次に、図面を参照にして例を挙げて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】第1のアンテナの組立斜視図である。
【図1B】第1のアンテナの分解斜視図である。
【図1C】図1A及び図1Bのアンテナのための一極整合回路網の回路図である。
【図1D】図1A及び図1Bのアンテナのための二極整合回路網の回路図である。
【図2】図1A及び図1Bのアンテナを含む無線通信ユニットの一部の斜視図である。
【図3A】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図3B】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図3C】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図3D】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図3E】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図3F】図2の無線通信ユニットの一連の組み立て工程を図解した斜視図である。
【図4A】第2のアンテナの組立斜視図である。
【図4B】第2のアンテナの分解斜視図である。
【図5A】第1のアンテナアセンブリの組立斜視図である。
【図5B】第1のアンテナアセンブリの分解斜視図である。
【図6A】第2のアンテナアセンブリの組立斜視図である。
【図6B】第2のアンテナアセンブリの分解斜視図である。
【図7A】第3のアンテナの組立斜視図である。
【図7B】第3のアンテナの分解斜視図である。
【図8A】第4のアンテナの組立斜視図である。
【図8B】第4のアンテナの分解斜視図である。
【図9A】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図9B】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図9C】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図9D】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図9E】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図9F】第5のアンテナ及びそのパーツを示した各種の図である。
【図10A】第6のアンテナの組立斜視図である。
【図10B】第6のアンテナの分解斜視図である。
【図11】第6のアンテナを含む無線通信ユニットの一部の斜視図である。
【図12】第6のアンテナを含む代替の無線通信ユニットの斜視図である。
【図13A】第7のアンテナの組立斜視図である。
【図13B】第7のアンテナの分解斜視図である。
【0029】
図1A及び図1Bを参照すると、本発明の第1の態様にしたがったアンテナは、円筒形セラミックコア12の円筒形外表面上にめっきされた又はその他の方法で金属化された4本の軸方向に同一の広がりを持つらせん軌道10A、10B、10C、10Dを伴うアンテナ素子構造を有する。コアのセラミック材料の比誘電率は、20よりも大きいのが一般的である。80の比誘電率を有するバリウム・サマリウム・チタン酸塩をベースにした材料が、とりわけ適している。
【0030】
コア12は、遠位端表面部分12Dから近位端表面部分12Pまでコアを貫通する穴12Bの形態をとる軸方向通路を有する。これらの表面部分は、ともに、コアの中心軸13を垂直に横断する方向に広がる平坦な面である。これらは、一方が遠位側を向き、もう一方が近位側を向いているという意味で、逆向きである。穴12Bに収容されるのは、伝送線路部位14Aと、整合回路網接続部位14Bと、伝送線路部位の遠位側及び近位側に一
体的に形成された拡張部の形態をとるアンテナ接続部位14Cとを有する細長い積層基板14の形態をとるフィーダ構造である。
【0031】
積層基板14は、3枚の導電層を有し、図1Bで見えているのは、そのうちの1枚のみである。この第1の導電層は、基板14の上表面14Uで露出している。第3の導電層は、同様に、積層基板14の下表面14Lで露出しており、第2の中間導電層は、第1の導電層と第3の導電層との間の中ほどで、積層基板14の絶縁性材料に埋め込まれている。積層基板14の伝送線路部位14Aでは、第2の中間導電層は、伝送線路部位14Aに沿って中央を走る狭い細長い軌道の形態をとって内側フィード導体(不図示)を形成している。内側導体の上層及び下層は、第1及び第3の導電層によってそれぞれ形成された、より幅広の細長い導電性軌道である。より幅広のこれらの軌道は、上方シールド導体16U及び下方シールド導体16Lを構成して内側導体をシールドしている。
【0032】
シールド導体16U、16Lは、内側導体の両側において内側導体に平行な線に沿って位置付けられるめっきビア17によって相互に接続される。これらのビアは、内側導体の長手方向縁から積層基板14の絶縁性材料によって隔てられるように、内側導体のそれらの長手方向縁から離れている。3枚の導電層によって伝送線路部位14Aの中に形成された細長い軌道と、相互接続用のビア17との組み合わせは、内側導体と外側シールドとを有する同軸フィード線路を形成することが理解され、外側シールドは、上方導電性軌道16U及び下方導電性軌道16L、並びにビア17によって構成される。一般に、この同軸フィード線路の特性インピーダンスは、50オームである。
【0033】
積層基板14の遠位側拡張部14Bでは、内側導体(不図示)は、内側導体遠位側ビア18Vによって露出上方導体18Uに結合される。同様に、遠位側拡張部14Bの下表面には、下方シールド導体16Lの拡張部である露出接続導体18L(図1Bでは図示されていない)がある。
【0034】
積層基板14の近位側拡張部14Cでは、内側導体(不図示)は、積層基板14の上表面14Uにある露出中央接触領域18Wに接続される。この接触領域18Wは、近位側ビア18Xによって内側導体に接続される。同じ上方積層基板層14Uには、中央接触領域18Wの両側に配された2つの露出外側接触領域16V、16Wがある。並列したこれら3つの接触領域は、組み立てられたアンテナを例えば後述のように機器のマザーボード上のバネ接触に接続するための接触集合を共同で構成する。
【0035】
積層基板14のアンテナ接続部位14Cは、矩形の形状をしており、この矩形の幅は、組み立て中に積層基板14がアンテナ1のコア12の近位端からコア12に挿入されるときにアンテナ接続部位14Cがアンテナコア12の近位端表面部分12Pに当接してアンテナ接続部位を近位側で露出させるように、平行辺を持つ伝送線路部位14Aよりも大きくなっている。
【0036】
積層基板14の長さは、アンテナ接続部位が近位端表面部分12Pに当接するときに整合回路網接続部位14Bが穴12Bの遠位端において穴12Bから短い距離だけ突き出すような長さである。外側シールド導体16U、16Lがコア12のセラミック材料から離れているように、伝送線路部位の幅は、穴12B(断面が円形である)の直径に概ね対応する。(穴12Bは、めっきされていないことに留意せよ。)したがって、コア12のセラミック材料によるシールド導体16U、16Lの誘電体装荷は、最小限である。積層基板の絶縁性材料の比誘電率は、この実施形態では約4.5である。
【0037】
角度方向における積層基板14の位置付けは、図1Bに示されるように、穴12Bの中の長手方向溝12BGによって補助される。
【0038】
コアの近位端表面部分12Pにめっきされるのは、半径方向軌道10AR、10BR、10CR、10DRとして形成される表面接続素子である。各表面接続素子は、それぞれのらせん軌道10A〜10Dの遠位端から、穴12Bの端に隣接する場所まで延びている。半径方向軌道10AR〜10DRは、4本のらせん軌道10A〜10Dがそれらの遠位端において対を成して相互に接続されるように、弧状の導電性リンクによって相互に接続されることがわかる。
【0039】
アンテナ素子10A〜10Dの近位端は、コア12の近位端部分を取り巻くめっきスリーブ20の形態をとる共通の仮想接地導体に接続される。このスリーブ20は、コアの近位端表面部分12Pの導電性コーティング(不図示)まで延びている。
【0040】
コア12の遠位端表面部分12Dに重なるのは、軸13に対して中央に位置付けられたおおよそ四角形のタイルの形態をとる第2の積層基板30である。その横断面の広がりは、それが半径方向軌道10AR、10BR、10CR、10DRの内側の端及びそれらの対応する弧状の相互接続に重なるような規模である。第2の積層基板30は、その裏側に、すなわちコアの遠位端表面部分12Dに面している側に、1枚の導電層を有する。この導電層は、コア表面部分12Dにある導電性表面接続素子10AR〜10DRを通じて伝送線路部位14Aの導電層16U、16L、18をアンテナ素子10A〜10Dに結合するためのフィード接続及びアンテナ素子接続を提供する。積層基板導電層は、また、その裏側(不図示)にある表面実装コンデンサと共同で、アンテナ素子構造によって示されるインピーダンスを伝送線路部位14Aの特性インピーダンス(50オーム)に整合させるためのインピーダンス整合回路網を構成する。
【0041】
インピーダンス整合回路網の回路図が、図1Cに示されている。図1Cに示されるように、インピーダンス整合回路網は、フィード線路の導体16、18に接続されたシャントキャパシタンスC、及びフィード線路導体の1つ18と、負荷又はソース36によって表されるアンテナの放射状素子10A〜10Dとの間の直列インダクタンスを有し、フィード線路の導体のもう1つ16は、負荷/ソース36のもう一方の側に直接接続される。この点に関して、フィード線路とアンテナ素子10A〜10Bとの相互接続は、参照によって本明細書にその内容を組み込まれるWO2006/136809に開示されたものと電気的に同じである。第2の積層基板30と、コアの近位端表面部分12Dにある導体との間における接続は、やはり参照によって本明細書にその内容を組み込まれる本出願の同時継続出願である英国特許出願第0914440.3号に記載されるように、ボールグリッドアレイ32によって成される。
【0042】
第2の積層基板30は、図1Aに示されるように、細長い積層基板14の突出整合回路網接続部位14Bを受け入れる中央スロット34を有し、積層基板14にある上方導電性領域18U及び第2の積層基板30の裏側にある導電層(不図示)の導体を含む導電性領域の間では、はんだ接続が成される。
【0043】
組み立てられたアンテナでは、積層基板14の近位側拡張部14Cは、コアのめっき近位端表面部分12Pに当接し、アンテナの組み立て中に、第1及び第3の露出接触領域16V、16W(図1Bを参照せよ)は、めっき表面部分12Pに電気的に接続される。
【0044】
上述された部品及びそれらの相互接続は、上記の先行特許公報に開示されているクアドリフィラアンテナと電気的に同様な誘電体装荷クアドリフィラヘリカルアンテナを生み出す。したがって、導電性スリーブ20、及びコア12の近位端表面部分12Pにあるめっき層(不図示)は、シールド導体16U、16Lによって形成されたフィード線路シールドと共同で、装着時におけるアンテナの接続先となる機器からのアンテナ素子構造10A
〜10Dのコモンモードアイソレーションを提供する1/4波長バランを形成する。アンテナ素子10A〜10Dによって形成された金属化導体素子、及びコア上のその他の金属化層は、コアの誘電性材料によってその大部分を占められる前方容積を画定する。
【0045】
アンテナは、この場合は、GPS L1周波数である1575MHzにおいて、円偏光共振モードを有する。
【0046】
この円偏光共振モードでは、アンテナ素子と、スリーブ20のリム20Uと、半径方向軌道10AR〜10DRとが、共振周波数を画定する導電性ループを形成するように、1/4波長バランは、コアの近位端表面部分12Pにおけるアンテナ素子10A〜10Dからシールド導体16U、16Lへの電流の流れを防止するトラップとして機能する。したがって、円偏光共振モードでは、電流は、フィード線路導体の1つから、例えば、第1のらせんアンテナ素子10Aを通り、スリーブ20のリム20Uを回り込んで流れ、反対に位置するらせんアンテナ素子10Cに戻ることを通じて、もう1つのフィード線路導体に戻る。
【0047】
アンテナは、また、直線偏光共振モードも示す。このモードでは、電流は、フィード線路導体を相互に接続する異なる導電性ループを流れる。より具体的には、この場合は、4つの導電性ループがあり、各々順番に、半径方向軌道10AR〜10DRの1つと、それに関係付けられたらせんアンテナ素子10A〜10Dと、スリーブ20(軸13に平行な方向)と、近位端表面部分12P上のめっきと、シールド導体16U、16L及びそれらの相互接続用ビア17によって形成されたフィード線路シールドの外表面とを含む。(伝送線路部位14Aによって形成されたフィード線路を流れる電流は、シールド導体16U、16Lによって形成されたシールドの内側を流れることに留意せよ)。フィード線路の長さ、したがって、シールド導体の長さ、それらの幅、及びコア12のセラミック材料に対するそれらの近さが、この直線偏光共振の周波数を決定する。
【0048】
コア12のセラミック材料によるシールド導体16U、16Lの誘電体装荷は、比較的僅かであるので、この場合の導電性ループの電気的長さは、円偏光共振モードにおいてアクティブになる導電性ループの平均的な電気的長さよりも短い。したがって、直線偏光共振モードは、円偏光共振モードよりも高い周波数を中心とする。直線偏光共振モードは、トロイダル放射パターン、すなわちアンテナの軸13を中心とした放射パターンを関係付けられていた。したがって、これは、アンテナがその軸13を実質的に垂直にした向きにあるときに、地上垂直偏光信号を受信するのに特に適している。
【0049】
直線偏光モードの共振周波数の調整は、シールド導体軌道16U、16Lの幅を変更することによって、円偏光モードの共振周波数とは実質的に無関係に成し遂げることができる。この例では、直線偏光モードの共振周波数は、2.45GHz(すなわち、ISM帯域内)である。
【0050】
二重(デュアル)周波数動作が必要とされるときは、図1Dに示されるように、整合回路網は、二極回路網であることが好ましい。
【0051】
細長い積層基板としてフィーダ構造を構築することは、ホスト機器に対するアンテナの接続をとりわけ経済的にする。図2を参照すると、アンテナ1が機器の回路基板40上の回路素子に接続される場合、アンテナフィード線路と、その面がアンテナ軸に平行な向きである回路基板40との間における直接的な電気的接続は、金属製バネ接触42を、回路基板の縁40Eに隣接して並列に尚且つ細長いアンテナ積層基板14のアンテナ接続部位14Cにおける接触領域16V、18W、16W(図1B)の間隔にしたがって相隔てられて配されるように導電的に実装することによって達成することができる。バネ接触42
は、アンテナが回路基板40に対して所要の位置に実装されるときのアンテナ接続部位14Cの位置にしたがって位置決めされる。
【0052】
各バネ接触は、回路基板40上のそれぞれの導体(不図示)に固定される固定脚42Lと、基板40の面に垂直な力を加えられたときに固定脚42Lに近づくように固定脚42Lから上方へただし固定脚42Lから離されて延びる接触脚42Uとを伴う折り畳み構成を有する金属製板バネを含む。したがって、図に示されるように、接触領域16V、18W、16W(図1B)を接触バネ42と合わされた状態でアンテナ1が回路基板40に並置される位置に持ってこられたときに、バネ接触は、弾性的に変形され、それらのそれぞれの接触領域16V、18W、16Wに寄り掛かり、アンテナ1と、回路基板40の回路素子との間における電気的接続を成すことが理解される。
【0053】
アンテナと、回路基板40の回路構成との間には、別途のコネクタデバイスがないことが留意される。むしろ、各バネ接触42は、表面実装部品と同様なやり方で、回路基板40に個々に且つ別々に取り付けられる。
【0054】
この構成は、図3A〜3Fに示されるように、単純な機器組み立てプロセスに適応可能である。図3A〜3Fを参照すると、代表的な組み立てプロセスは、先ず、回路基板40を第1の機器ハウジングパーツ50Aに入れることを含む(図3A及び図3B)。次に、アンテナ1は、ハウジングパーツ50Aの中の成形されたアンテナ入れ場52に導入され(図3C及び図3C)、図3Dに詳細に示されるように、細長いアンテナ基板のアンテナ接続部位14は、回路基板40上のバネ接触42に寄り掛かる。次に、やはりアンテナ1に係合するように成形された内表面を有する第2のハウジングパーツ50Bが、最初に言及されたハウジングパーツ50Aと合わされる。これは、アンテナ1をハウジングパーツ50Aの中の入れ場52の中へと促し、バネ接触42は、ハウジングを閉じるこの工程で変形される(図3E)。2つのハウジングパーツ50A、50Bは、最終的な閉じる動きがこれら2つのハウジングパーツのスナップ式嵌め合いを伴うように、スナップ特徴を有する。
【0055】
2つのハウジングパーツ50A、50Bによるアンテナ1のサポート及び位置付けが、図3Dの断面に示されている。入れ場52、及びもし必要であれば、ハウジングカバーパーツ50Bの中の逆向きの入れ場は、アンテナ軸を横断する方向のみならず軸方向にもアンテナを位置決めするように成形される。また、アンテナと回路基板との間における相互接続の構成は、単純で且つ安価な組み立てプロセスを提供することはもちろん、バネ接触42によって成される接続を壊すことなくアンテナと回路基板40との間における軸方向の動きを可能にすることが留意される。これは、機器が万が一、(例えば手持ち式の無線通信ユニットが落とられた場合などに)強い衝撃を受けたとしても、アンテナ1と回路基板40との間における剛結合の欠如が、例えば、アンテナの細長い積層基板14と、整合回路網を搭載された第2の積層基板30(図1及び図2)との間におけるはんだ接合や、横断方向に実装された積層基板30と、アンテナコアの遠位端表面部分12Dにあるめっき導体との間におけるはんだ接合などの、はんだ接合に及ぼされる歪みを回避する、という利点を有する。
【0056】
次に、図4A及び図4Bを参照すると、本発明にしたがった第2のアンテナは、細長い積層基板14の近位側に突き出したアンテナ接続部位14Cに実装されたバネ接触42を有する。図2を参照にして上述されたシステムと同様に、バネ接触は、各々が固定脚と接触脚とを伴う金属製の板バネである。この場合は、固定脚は、アンテナ接続部位14Cのそれぞれの接触領域16V、18W、16Wに個々に且つ別々にはんだ付けされる。機器の回路基板(不図示)は、アンテナ1が回路基板に対してその所要の位置に押し込まれるときにバネ接触42が圧縮されるように、相応して相隔たれた接触領域を提供される。こ
の構成は、図2のユニットに関する上記の概要と同じ利点をもたらす。
【0057】
図5A及び図5Bを参照すると、フィード線路の積層基板の構築は、RFフロントエンド低ノイズ増幅器60などの能動回路素子のための一体的なサポートの可能性も提供する。この場合は、積層基板14は、より大きな近位側拡張部14Cを有し、伝送線路部位14Aのフィード線路導体(不図示)は、低ノイズ増幅器60の入力に直接的に接続される。増幅器の出力は、図2を参照にして上述されたような、バネ接触を使用した機器の回路基板に対する接続のために、図5A及び図5Bに示されるように、露出接触領域62に直接結合することができる。アンテナコア12の穴12B(図5Bを参照せよ)内における積層基板14の位置付けは、積層基板14の両面にあるバネ付勢素子64によって補助される。これらは、穴12Bの壁に寄り掛かって軸13に対する基板14の中心合わせを助ける。この場合、近位端表面部分12P(不図示)上の半径方向軌道に対するフィード線路のフィード線路導体の直接的接続は、積層基板14の遠位側拡張部14B上の遠位側接触領域に当接し尚且つ半径方向軌道にはんだ付けされる平面状の導電性の耳、すなわち接触板66によって実現することができる。
【0058】
図6A及び図6Bに示されるような、積層基板14の更なる拡大は、フィード線路が低ノイズ増幅器60に直接的に供給を行うアンテナアセンブリが、今度は、やはり積層基板14の近位側拡張部14B上に実装されたレシーバチップ68に供給を行うことを可能にする。この経済的なアセンブリは、積層基板14と機器の回路基板との間における接続が、図6A及び図6Bに示されるような個別のコネクタ70、又は可撓性のプリント回路積層体、又は図2を参照にして上述されたバネ接触構成のうちのいずれによって成されるにせよ、そのような接続における高周波数電流を排除する、という潜在的利点を有する。また、この回路構成が全て、積層基板14上の共通の連続接地面上にあることは、機器の回路基板上にあるノイズ放射回路構成から積層基板14上の回路構成へのコモンモードノイズ結合を低減させる。
【0059】
図5Bを参照にして上述された、フィード線路導体をコアの遠位端表面12P上の半径方向軌道に接続する手段としての導電性の耳66に代わるものとして、図7A及び図7Bに示されるように、バネ接触が使用されてよい。これらのバネ接触は、各々、遠位端面12D上の導電層にはんだ付けするための平面状の接続ベースと、細長い積層基板14の両側において穴12Bを貫通して伝送線路部位14Aの遠位側拡張部14B上の遠位側接触領域に接触する下垂湾曲バネ部位とを有する。これは、フィード線路14とアンテナ素子10A〜10Bとの耐衝撃性の相互接続を可能にする。
【0060】
耳66を使用した、遠位側表面部分の導電性軌道に対するフィード線路の遠位側接続が、図8A及び図8Bに示されている。
【0061】
コア12のめっき近位端表面部分12Pと、フィード線路シールド導体16U、16Lの近位端部分との間における接続は、図9A、図9B、図9C、及び図9Dに示されるように、はんだをコーティングされたワッシャ76によって達成可能であり、該接続は、リング76のはんだが溶融し、近位側表面のめっきの上へ及び細長い積層基板14の外側導電層の上へ流れるように、アンテナがオーブンに通されたときに成される。
【0062】
はんだをコーティングされたワッシャ76の内側縁との間における密接な接触は、図9Eに示されるように、スロット付きの開口を提供することによって実現される。この場合は、積層基板14の遠位側拡張部14Bは、図9Bに示されるように、整合用の部品をより容易に細長い積層基板14上に収容可能であるように、伝送線路部位14Aよりも幅広である。
【0063】
次に、図9A〜9Dに示されたアンテナの積層基板14の構築が、図9Fを参照にして、より詳細に説明される。基板は、上方導電層14−1、中間導電層14−2、及び下方の外側導電層(図9Fでは極細線で示されている)14−3の、3枚の導電層を有する。内側の層は、狭くて細長いフィード線路導体18を形成する。外側の層は、本明細書で前述されたように、シールド導体16U、16Lを形成する。本明細書で前述されたように、シールド導体16Uと16Lの間には、内側導体18を取り囲むシールドをシールド導体16U、16Lと共同で形成する2列のめっきビア17がある。伝送線路部位14Aの近位側拡張部14Cは、図1Bを参照にして上述されたように、フィード線路導体に接続される接触領域16V、18W、16Wを有する。
【0064】
この例では、拡大された遠位側拡張部14Bは、図1A及び図1Bを参照にして上述された第1のアンテナの第2の積層基板30に代わる整合部位を構築している。整合部位は、個別の表面実装コンデンサ80によって提供されるシャントキャパシタンスを有し、このコンデンサ80は、外側導体層14−1の中に形成されてビア18Vを通じて内側導体18に及びフィード線路シールド導体16Uの拡張部81にそれぞれ接続されるパッド上に実装される。中間層14−2の中には、横断する素子及びそれに関係付けられたビアによって、直列インダクタンスが形成される。
【0065】
積層基板14の遠位側拡張部14B上における整合回路網の接続は、遠位側拡張部14Bの側方に突き出した部分における外側導電層と、コアの遠位端表面部分にパターン形成された導電層によって提供される導体との間におけるはんだ接合によって成し遂げられる。
【0066】
アンテナフィード線路と、機器回路基板との間における接続は、アンテナ軸に平行な面内に広がる接触領域によって成される必要がある。図10A及び図10Bを参照すると、コア12の近位端表面部分12Pには、アンテナ軸に垂直な向きの接触領域が提供されてよい。この場合、近位端表面部分12Pのめっきは、導電性スリーブ20の延長として形成されるめっき88Bから隔絶された孤立した「陸」88Aを提供するようにパターン形成することができる。コア12における近位側導電層88A、88Bのこのようなパターン形成は、このようにして、内側の端を伝送線路部位14Aの近位側拡張部14Cにおける接触領域(例えば導電性パッド18W)(このような領域は、積層基板14の両面にある)に接続されるように成形された扇形の導電性支持素子90を取り付けるための導電性のベース領域を提供する。支持素子90は、アンテナ軸に垂直な向きの確固たる耐摩耗性の接触領域を形成するために、及び図11に示されるように当接するバネ接触を受けるために、それぞれの導電層部分88A、88Bに接合される。
【0067】
図11を参照すると、機器回路基板40は、この場合、回路基板40の縁に隣接する穴(不図示)の中に固定され尚且つアンテナコア12の近位端表面部分12Pに接合された相隔たれた支持素子90と合わさるように相隔てられた、固定脚42Fを有する、直立した金属製バネ接触42を有する。各バネ接触は、アンテナの軸に平行な方向に支持素子90に弾性的に寄り掛かる接触脚42Uを有する。
【0068】
垂直な向きの同じ支持素子は、図12に示されるように、機器回路基板40の面上にアンテナをいわゆる「タレット」実装するためにも使用することができる。この場合、バネ接触42は、図12に示されるように、基板40上に表面実装される。回路基板40が一部を成す機器にアンテナを組み付ける際、近位端表面部分12Pと、回路基板40における対向表面との間が所定の距離だけ離れた状態で、アンテナ1が回路基板40の上方の位置へ促されるときは、図2を参照にして上述されたのと同様な形で、バネ接触42の接触脚が固定脚の方向に弾性的に近づく動きが発生する。
【0069】
タレット実装構成の形でアンテナを機器回路基板に接続する代替の手段が、図13A及び図13Bに示されている。この場合は、アンテナコア12の近位端表面部分12Pにめっきされた導電層は、図10A及び図10Bを参照にして上述されたようにパターン形成される。この場合は、しかしながら、細長い積層基板14のフィード線路に対する接続は、陸を成す導体領域88A上及びスリーブに接続される導電性領域88B上に直径方向に相対してそれぞれ実装される1対のバネ接触素子42によって成される。各場合において、固定脚42Lは、接触脚42Uがアンテナコアの近位端表面部分12Pに平行に且つアンテナ軸13に垂直に広がる機器回路基板(不図示)上の接触領域に寄り掛かるような向きになるように、それぞれの導電性領域にはんだ付けされ、アンテナは、バネ接触42の所要の圧縮にしたがって設定された所定の距離のところに位置する。更に、これらのバネ接触は、図13A及び図13Bに示されるように、固定脚と接触脚との間における弾性相互接続が積層基板14の伝送線路部位14Aの近位側拡張部14B上の接触領域に寄り掛かれるように各場合に軸に向かって内側を向くとともに軸から距離を置かれるような向きである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置であって、
(a)200MHzを超える周波数における動作用のバックファイヤ誘電体装荷アンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、前記アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、前記横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、前記コアの前記外表面は、前記コアの前記固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
前記コアの前記側面部分上に又は前記コアの前記側面部分に隣接して設けられ前記コア遠位側表面部分から前記コア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
前記コアの中の通路を前記コア遠位側表面部分から前記コア近位側表面部分へ貫通するフィード線路として機能する少なくとも1つの伝送線路部位を含む軸方向に延びる細長い積層基板の形態をとるフィード構造であって、前記アンテナは、前記コア近位側表面部分上に又は前記コア近位側表面部分に隣接して露出接触領域を有する、フィード構造と、
を含むアンテナと、
(b)無線通信回路手段であって、少なくとも1枚の導電層を伴う機器積層回路基板を有し、前記1枚又は2枚以上の導電層は、複数の接触端子サポート領域を有し、前記サポート領域の各々には、前記アンテナの前記露出接触領域のそれぞれに弾性的に寄り掛かれるように位置決めされたそれぞれのバネ接触が導電的に接合される、無線通信回路手段と、
を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記バネ接触の各々は、そのそれぞれの前記接触端子サポート領域に個別に接合される金属製板バネ素子を含む、装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、
前記アンテナの前記露出接触領域は、前記機器積層回路基板の面に平行である、装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置であって、
各バネ接触は、前記機器回路基板の前記面に垂直に作用する係合力を及ぼすように成形される、装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置であって、
前記アンテナの前記露出接触領域は、前記アンテナ軸に対して垂直であり、前記バネ接触は、前記アンテナの概ね軸方向に方向付けられた圧縮力に応答して弾性的に変形するように成形される、装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置であって、
前記アンテナの前記露出接触領域は、前記アンテナ軸に実質的に平行であり、前記バネ接触は、前記アンテナに概ね垂直方向に方向付けられた圧縮力に応答して弾性的に変形するように成形される、装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置であって、
前記露出接触領域は、前記アンテナコアの前記近位側表面部分上に位置付けられる、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記アンテナコアの前記近位側表面部分は、互いから電気的に絶縁された第1及び第2の領域を有する導電層を有し、前記第1の導電性領域は、前記フィード線路の第1の導体に接続され、前記第2の導電性領域は、前記フィード線路の第2の導体に接続され、前記アンテナは、更に、前記導電性領域のそれぞれに接合され前記フィード線路導体と前記領域との間における接続を構成する導電性バネ板部材を含み、前記バネ板部材は、前記露出接触領域を形成する、装置。
【請求項9】
請求項6に記載の装置であって、
前記アンテナの前記軸方向に延びる細長い積層基板は、前記伝送線路部位に一体的に形成された近位側拡張部を有し、前記アンテナの前記露出接触領域は、前記拡張部上に導電性領域を含み、前記導電性領域は、前記フィード線路導体のそれぞれに接続される、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
前記機器回路基板上に、並列に配置された3つのバネ接触を備え、前記アンテナ上の前記露出接触領域は、前記積層基板近位側拡張部の一方の面上に、各々前記3つのバネ接触のそれぞれと合わされて配置される、装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の装置であって、
前記バネ接触の各々は、固定脚及び接触脚を有するように成形されたそれぞれの折り畳み金属バネ素子を含み、前記接触脚は、前記バネが圧縮接触力によって変形されるときに前記固定脚に近づく、装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の無線通信装置を組み立てる方法であって、前記装置は、更に、前記アンテナ及び前記機器回路基板のための2パーツ式のハウジングを含み、前記ハウジングは、前記アンテナを受け入れて前記アンテナを前記回路基板に対して事前選択位置に位置付けるように成形された入れ場を有し、前記事前選択位置において、前記バネ接触は、前記アンテナの前記それぞれの接触領域と合わされてそれらの接触領域に寄り掛かり、前記方法は、
前記回路基板を前記ハウジングの中に固定することと、
前記アンテナを前記入れ場の中に設置することと、
前記ハウジングの前記2つのパーツを合体させて組み立て状態にすること、
を備え、前記2つのパーツを合体させる行為は、前記バネ接触を前記アンテナ上の前記それぞれの接触領域に向かって促し、それによって前記バネ接触を圧縮して変形させる、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記ハウジングの前記2つのパーツは、スナップ式に嵌め合わされる、方法。
【請求項14】
200MHzを超える周波数における動作用のバックファイヤ誘電体装荷アンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、前記アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、前記横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、前記コアの前記外表面は、前記コアの前記固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
前記コアの前記側面部分上に又は前記コアの前記側面部分に隣接して設けられ前記コア遠位側表面部分から前記コア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
前記コアの中の通路を前記コア遠位側表面部分から前記コア近位側表面部分まで軸方向に貫通する第1及び第2のフィード導体を含むフィード構造と、
を備え、前記コア近位側表面部分は、互いから電気的に分離された少なくとも2つの導電性領域を形成するようにパターン形成された導電性コーティングを有し、前記アンテナは、更に、前記通路の前記近位端において、各フィード導体と、前記コア近位側表面部分上の前記導電性領域のそれぞれのとの間における電気的接続を含み、前記配置は、それによって、前記アンテナの軸をホスト機器基板に垂直にして前記アンテナを前記ホスト機器基板に実装するための少なくとも1対の平面状接触表面を前記コア近位側表面部分上に提供する、アンテナ。
【請求項15】
請求項14に記載のアンテナであって、
前記フィード構造は、前記コアの中の前記通路を貫通するフィード線路として機能する少なくとも1本の伝送線路部位を含む軸方向に延びる細長い積層基板である、アンテナ。
【請求項16】
請求項15に記載のアンテナであって、
前記積層基板は、前記コア近位側表面部分と合わさる近位端部分を有し、該近位端部分は、前記基板の両面に少なくとも2つの導電性パッドを搭載し、その1つは、前記伝送線路部位の第1のフィード線路導体に接続され、前記アンテナは、更に、前記導電性領域を前記コア近位側表面部分コーティングの前記導電性領域に連結する導電性ブリッジ素子を備えるアンテナ。
【請求項17】
請求項16に記載のアンテナであって、
前記積層基板は、第1、第2、及び第3の導電層を有し、前記第2の層は、前記第1の層と前記第3の層との間の中間層であり、前記フィード線路は、前記第2の層によって形成される細長い内側導体と、前記第1の層及び前記第3の層によってそれぞれ形成されそれぞれ上方及び下方から前記内側導体に重なる外側シールド導体とを含み、前記シールド導体の1つは、前記積層基板近位端部分の手前で終結し、前記内側フィード導体は、前記1つのシールド導体と前記基板の同じ面上において前記1つのシールド導体から離れて前記積層基板近位端部分上の導電性パッドに接続される、アンテナ。
【請求項18】
請求項1に記載の無線通信装置であって、本明細書で説明され図面に示されたように実質的に構築及び配置された無線通信装置。
【請求項19】
請求項12に記載の無線通信装置を組み立てる方法であって、実質的に、図面を参照にして本明細書で説明されたようなものである方法。
【請求項1】
無線通信装置であって、
(a)200MHzを超える周波数における動作用のバックファイヤ誘電体装荷アンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、前記アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、前記横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、前記コアの前記外表面は、前記コアの前記固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
前記コアの前記側面部分上に又は前記コアの前記側面部分に隣接して設けられ前記コア遠位側表面部分から前記コア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
前記コアの中の通路を前記コア遠位側表面部分から前記コア近位側表面部分へ貫通するフィード線路として機能する少なくとも1つの伝送線路部位を含む軸方向に延びる細長い積層基板の形態をとるフィード構造であって、前記アンテナは、前記コア近位側表面部分上に又は前記コア近位側表面部分に隣接して露出接触領域を有する、フィード構造と、
を含むアンテナと、
(b)無線通信回路手段であって、少なくとも1枚の導電層を伴う機器積層回路基板を有し、前記1枚又は2枚以上の導電層は、複数の接触端子サポート領域を有し、前記サポート領域の各々には、前記アンテナの前記露出接触領域のそれぞれに弾性的に寄り掛かれるように位置決めされたそれぞれのバネ接触が導電的に接合される、無線通信回路手段と、
を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記バネ接触の各々は、そのそれぞれの前記接触端子サポート領域に個別に接合される金属製板バネ素子を含む、装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、
前記アンテナの前記露出接触領域は、前記機器積層回路基板の面に平行である、装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置であって、
各バネ接触は、前記機器回路基板の前記面に垂直に作用する係合力を及ぼすように成形される、装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置であって、
前記アンテナの前記露出接触領域は、前記アンテナ軸に対して垂直であり、前記バネ接触は、前記アンテナの概ね軸方向に方向付けられた圧縮力に応答して弾性的に変形するように成形される、装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置であって、
前記アンテナの前記露出接触領域は、前記アンテナ軸に実質的に平行であり、前記バネ接触は、前記アンテナに概ね垂直方向に方向付けられた圧縮力に応答して弾性的に変形するように成形される、装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置であって、
前記露出接触領域は、前記アンテナコアの前記近位側表面部分上に位置付けられる、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記アンテナコアの前記近位側表面部分は、互いから電気的に絶縁された第1及び第2の領域を有する導電層を有し、前記第1の導電性領域は、前記フィード線路の第1の導体に接続され、前記第2の導電性領域は、前記フィード線路の第2の導体に接続され、前記アンテナは、更に、前記導電性領域のそれぞれに接合され前記フィード線路導体と前記領域との間における接続を構成する導電性バネ板部材を含み、前記バネ板部材は、前記露出接触領域を形成する、装置。
【請求項9】
請求項6に記載の装置であって、
前記アンテナの前記軸方向に延びる細長い積層基板は、前記伝送線路部位に一体的に形成された近位側拡張部を有し、前記アンテナの前記露出接触領域は、前記拡張部上に導電性領域を含み、前記導電性領域は、前記フィード線路導体のそれぞれに接続される、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
前記機器回路基板上に、並列に配置された3つのバネ接触を備え、前記アンテナ上の前記露出接触領域は、前記積層基板近位側拡張部の一方の面上に、各々前記3つのバネ接触のそれぞれと合わされて配置される、装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の装置であって、
前記バネ接触の各々は、固定脚及び接触脚を有するように成形されたそれぞれの折り畳み金属バネ素子を含み、前記接触脚は、前記バネが圧縮接触力によって変形されるときに前記固定脚に近づく、装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の無線通信装置を組み立てる方法であって、前記装置は、更に、前記アンテナ及び前記機器回路基板のための2パーツ式のハウジングを含み、前記ハウジングは、前記アンテナを受け入れて前記アンテナを前記回路基板に対して事前選択位置に位置付けるように成形された入れ場を有し、前記事前選択位置において、前記バネ接触は、前記アンテナの前記それぞれの接触領域と合わされてそれらの接触領域に寄り掛かり、前記方法は、
前記回路基板を前記ハウジングの中に固定することと、
前記アンテナを前記入れ場の中に設置することと、
前記ハウジングの前記2つのパーツを合体させて組み立て状態にすること、
を備え、前記2つのパーツを合体させる行為は、前記バネ接触を前記アンテナ上の前記それぞれの接触領域に向かって促し、それによって前記バネ接触を圧縮して変形させる、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記ハウジングの前記2つのパーツは、スナップ式に嵌め合わされる、方法。
【請求項14】
200MHzを超える周波数における動作用のバックファイヤ誘電体装荷アンテナであって、
5よりも大きい比誘電率を有する固体材料からなり、前記アンテナの軸を横断する方向に広がる逆向きの遠位側表面部分及び近位側表面部分と、前記横断する方向に広がる表面部分の間に広がる側面部分とを含む外表面を有する、電気絶縁性誘電体コアであって、前記コアの前記外表面は、前記コアの前記固体材料によって大部分を占められる内部容積を画定する、電気絶縁性誘電体コアと、
前記コアの前記側面部分上に又は前記コアの前記側面部分に隣接して設けられ前記コア遠位側表面部分から前記コア近位側表面部分に向かって延びる少なくとも1対の細長い導電性アンテナ素子を含む三次元アンテナ素子構造と、
前記コアの中の通路を前記コア遠位側表面部分から前記コア近位側表面部分まで軸方向に貫通する第1及び第2のフィード導体を含むフィード構造と、
を備え、前記コア近位側表面部分は、互いから電気的に分離された少なくとも2つの導電性領域を形成するようにパターン形成された導電性コーティングを有し、前記アンテナは、更に、前記通路の前記近位端において、各フィード導体と、前記コア近位側表面部分上の前記導電性領域のそれぞれのとの間における電気的接続を含み、前記配置は、それによって、前記アンテナの軸をホスト機器基板に垂直にして前記アンテナを前記ホスト機器基板に実装するための少なくとも1対の平面状接触表面を前記コア近位側表面部分上に提供する、アンテナ。
【請求項15】
請求項14に記載のアンテナであって、
前記フィード構造は、前記コアの中の前記通路を貫通するフィード線路として機能する少なくとも1本の伝送線路部位を含む軸方向に延びる細長い積層基板である、アンテナ。
【請求項16】
請求項15に記載のアンテナであって、
前記積層基板は、前記コア近位側表面部分と合わさる近位端部分を有し、該近位端部分は、前記基板の両面に少なくとも2つの導電性パッドを搭載し、その1つは、前記伝送線路部位の第1のフィード線路導体に接続され、前記アンテナは、更に、前記導電性領域を前記コア近位側表面部分コーティングの前記導電性領域に連結する導電性ブリッジ素子を備えるアンテナ。
【請求項17】
請求項16に記載のアンテナであって、
前記積層基板は、第1、第2、及び第3の導電層を有し、前記第2の層は、前記第1の層と前記第3の層との間の中間層であり、前記フィード線路は、前記第2の層によって形成される細長い内側導体と、前記第1の層及び前記第3の層によってそれぞれ形成されそれぞれ上方及び下方から前記内側導体に重なる外側シールド導体とを含み、前記シールド導体の1つは、前記積層基板近位端部分の手前で終結し、前記内側フィード導体は、前記1つのシールド導体と前記基板の同じ面上において前記1つのシールド導体から離れて前記積層基板近位端部分上の導電性パッドに接続される、アンテナ。
【請求項18】
請求項1に記載の無線通信装置であって、本明細書で説明され図面に示されたように実質的に構築及び配置された無線通信装置。
【請求項19】
請求項12に記載の無線通信装置を組み立てる方法であって、実質的に、図面を参照にして本明細書で説明されたようなものである方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【公表番号】特表2013−518499(P2013−518499A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550517(P2012−550517)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050130
【国際公開番号】WO2011/092499
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(500577426)サランテル リミテッド (18)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050130
【国際公開番号】WO2011/092499
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(500577426)サランテル リミテッド (18)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]