説明

誤回答検知システム

【課題】問合せ例や回答例をオペレータの使用する端末に表示させることで、オペレータの応対品質を向上させてもオペレータが回答例を見落としたり間違った解釈をしてしまったりした場合など、どうしても誤回答が発生してしまう。
【解決手段】エンドユーザからの問合せ内容とオペレータによる回答内容をそれぞれ音声認識システムでテキスト化し、検索システムによりエンドユーザからの問合せ内容と一致するものが案件管理DBの中に存在するか否かを検索する。一致するデータが存在した場合はオペレータの回答内容と予め案件管理DB内に格納された正しい回答とを照合し、回答内容が一致していなかった場合は通知フラグを立てる。監視システムは、案件管理DBを常時監視しており、通知フラグが立っているデータを検知すると同一ネットワーク内に存在する管理端末にアラートを挙げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤回答検知システムに係り、特にコンタクトセンタ業務における誤回答検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、音声認識技術とテキストマイニング技術を連携させることにより、回答に必要なナレッジを探し当てる時間を大幅に短縮化させる。その結果、オペレータの負荷軽減、応対品質の向上を実現させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−186977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、問合せ例および回答例をオペレータの使用する端末に表示させることで、オペレータの応対品質を向上させる技術を開示する。しかし、それでもオペレータが回答例を見落とした場合、間違った解釈をしてしまった場合など、どうしても誤回答が発生してしまう。特許文献1は、こうした誤りが発生した場合の対処については記載がない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
誤回答検知システムは、エンドユーザからの問合せ内容とオペレータによる回答内容をそれぞれ音声認識システムでテキスト化し、検索システムによりエンドユーザからの問合せ内容と一致するものが案件管理DBの中に存在するか否かを検索する。
【0006】
一致するデータが存在した場合、誤回答検知システムは、オペレータの回答内容と予め案件管理DB内に格納された正しい回答とを照合する。回答内容が一致していなかった場合、誤回答検知システムは、案件管理DBに通知フラグを立てる。誤回答検知システムは、通知フラグが立っているデータを検知すると、マネージャまたはSV(Supervisor)が使用する端末に対してアラートを挙げる。
【0007】
上述した課題は、電話によるエンドユーザからの問合せ音声データとオペレータの回答音声データとをテキストデータへ変換する音声認識システムと、問合せ内容を案件管理データベースから検索し、更に回答内容と案件管理データベースに定義された回答とを照合して、回答内容の正誤判定を行なう検索システムと、回答内容に誤りがあったとき、管理端末へアラートを通知する監視システムとからなる誤回答検知システムにより、達成できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、オペレータの回答誤りが発生した際、誤回答の内容が即座に通知され、マネージャまたはSVが使用する端末にアラートとして表示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】誤回答認識システムのブロック図である。
【図2】音声認識システムのブロック図である。
【図3】案件管理DBの内容を説明する図である。
【図4】アラーム情報を説明する図である。
【図5】オペレータ回答内容の正誤チェック判定処理のフローチャートである。
【図6】オペレータ回答誤りを通知するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0011】
図1を参照して、誤回答検知システム100の構成を説明する。図1において、誤回答検知システム100は、音声認識システム200、メイン制御部300、管理端末400とから構成される。また、メイン制御部300は、検索システム360、監視システム370、案件管理データベース(以下DBと記載)380を備える。誤回答検知システム100は、エンドユーザによる電話での問合せを集中して受け付けるコンタクトセンタに設置され、電話での問合せに回答するオペレータの誤回答を早期に検知し、マネージャまたはスーパーバイザ(以下SVと記載)にアラートを挙げる装置である。
【0012】
音声認識システム200は、エンドユーザとオペレータと通話の音声データをテキストデータに変換する。検索システム360は、テキストデータに記載された問合せ内容に基いて、案件管理DB380を検索する。検索システム360は、オペレータの回答を案件管理DB380に記録する。検索システム360は、さらにオペレータの回答を照合し、誤りと判定したとき、案件管理DB380の後述する通知フラグ359を立てる。
【0013】
監視システム370は、案件管理DB380の通知フラグ359を監視する。監視システム370は、通知フラグ359が立っている内容に基づいて、通話対象データを生成して、管理端末400に送信する(アラート通知)。監視システム370は、管理端末400にアラート通知を送信すると、当該通知フラグ359等を解除する。
【0014】
図2を参照して、音声認識システム200の構成を説明する。図2において、音声認識システム200は、音響分析部210、認識デコーダ220、音響モデル230、言語モデル240でこうされる。
【0015】
音響分析部210は、波形データである音声データについて、認識デコーダ220が認識可能な中間フォーマットに変換する。認識デコーダ220は、音響モデル230および言語モデル240に蓄積されたデータに基づいて、最終的なテキストデータへと変換する。
【0016】
図3を参照して、メイン制御部300における処理内容を説明する。図3において、案件管理DB380は、予め想定された問合せ内容と回答内容が登録されている。案件管理DB380は、それらを案件管理表350の形で保持している。案件管理表350は、ID351、問合せ内容352、回答内容353、オペレータ回答内容354、応対開始355、応対終了356、オペレータID357、オペレータ氏名358、通知フラグ359から構成されている。
【0017】
検索システム360は、エンドユーザからの問合せ内容について、案件管理DB380の問合せ内容352を検索して、登録されている案件かどうかを判断する。既に登録されていた場合、検索システム360は、オペレータの回答302と回答内容353と照合し、オペレータの回答内容の正誤判定を行なう。正誤判定の結果誤りと判定された場合、検索システム360は、オペレータの回答等をオペレータ回答内容354等に記録して、案件管理表350の通知フラグ359にフラグを立てる。
【0018】
監視システム370は、検索システム360とは独立に案件管理DB380の通知フラグ359を監視する。監視システム370は、通知フラグ359の立ったIDを検知すると、ID351、問合せ内容352、回答内容353、オペレータ回答内容354、応対開始355、応対終了356、オペレータID357、オペレータ氏名358に基づいて、アラート303を作成し、管理端末400に送信する。監視システム370は、最後に案件管理DBのオペレータ回答内容354、応対開始355、応対終了356、オペレータID357、オペレータ氏名358、通知フラグ359をクリアする。
【0019】
具体的には、「キャンペーンの締め切りはいつ?」というエンドユーザからの問合せ301に対して検索をかけると、案件管理表350のID003に同一内容のものが存在する。この問合せに対するオペレータの回答302が「締め切りが7月31日です。」であった場合、案件管理表350に登録された正しい回答内容「2010年7月15日」という内容と異なるため回答誤りと判定され通知フラグを立てる処理が行なわれる。
【0020】
図4を参照して、アラート303に含まれるアラート情報410を説明する。図4において、アラート情報410は、ID411、問合せ内容412、オペレータ回答内容413、応答開始414、応答終了415、オペレータID416、オペレータ氏名417、訂正案内418から構成される。アラート情報410は、オペレータの回答誤りがアラートとして通知された際、マネージャまたはSVが使用する端末400に表示する情報である。アラート情報410のID411、問合せ内容412、オペレータ回答内容413、応答開始414、応答終了415、オペレータID416、オペレータ氏名417は、案件管理表350をコピーする。訂正案内418は、エンドユーザへの訂正案内が終了した時点でマネージャまたはSVがフラグを立てる欄である。なお、エンドユーザの電話番号、氏名等の個人情報は、マネージャおよびSVがアクセス可能な別ファイルにアクセスする。
【0021】
図5を参照して、誤回答検知システム100のオペレータ回答内容の正誤チェック処理フローを説明する。図5において、誤回答検知システム100は、まず、エンドユーザからの問合せ内容およびオペレータの回答内容をテキスト化する(S501)。誤回答検知システム100は、案件管理DB380に格納された問合せデータの中に、エンドユーザからの問合せ内容と一致するものを検索する(S502)。誤回答検知システム100は、一致するデータは存在するか判定する(S503)。一致するとき、誤回答検知システム100は、対照データについて、オペレータの回答内容と案件管理DB380内の該当する回答内容とを比較する(S504)。誤回答検知システム100は、回答内容に差異があるか判定する(S505)。差異があるとき、誤回答検知システム100は、案件管理DB380内にオペレータの回答内容、オペレータ情報、開始・終了時刻等の情報を登録する(S506)。誤回答検知システム100は、案件管理DB380内の対象データに対して通知フラグ359を立てて(S507)、終了する。ステップ503で存在しないとき、およびステップ505で差異が無いとき、誤回答検知システム100は、そのまま終了する。
【0022】
図6を参照して、誤回答検知システム100のオペレータ回答誤りの通知処理フローを説明する。図6において、誤回答検知システム100は、案件管理DB380内の通知フラグ359の有無をチェックする(S601)。誤回答検知システム100は、通知フラグ359があるか判定する(S602)。通知フラブ359が立っているデータがあるとき、誤回答検知システム100は、通知対象のデータに関するアラート情報をマネージャ・SVの管理端末400へ通知する(S603)。誤回答検知システム100は、通知された案件について、通知フラグ、オペレータ回答内容、オペレータ情報などを削除して(S604)、ステップ601に遷移する。ステップ602でないとき、誤回答検知システム100は、そのままステップ601に遷移する。
【0023】
本実施例に拠れば、オペレータの回答誤りが発生した際、誤回答の内容が即座に通知され、マネージャまたはSVが使用する端末にアラートとして表示される。これにより、マネージャまたはSVがオペレータの回答誤りの内容を即座に知ることができる。このため、間隔をあけずにエンドユーザへの訂正案内およびお詫びの連絡フォローを行なうことが可能となる。この結果、エンドユーザからのクレーム発生を最小限に抑えることができる。
【符号の説明】
【0024】
100…オペレータ誤回答検知システム、200…音声認識システム、300…メイン制御部、360…検索システム、370…監視システム、380…案件管理DB、410…アラート情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話によるエンドユーザからの問合せ音声データとオペレータの回答音声データとをテキストデータへ変換する音声認識システムと、問合せ内容を案件管理データベースから検索し、更に回答内容と前記案件管理データベースに定義された回答とを照合して、前記回答内容の正誤判定を行なう検索システムと、前記回答内容に誤りがあったとき、管理端末へアラートを通知する監視システムとからなることを特徴とする誤回答検知システム。
【請求項2】
前記音声認識システムは、前記問合せ音声データと前記回答音声データとをインプットとして、音響分析部および認識デコーダにより、テキストデータへ変換することを特徴とする請求項1に記載の誤回答検知システム。
【請求項3】
前記案件管理データベースは、想定される問合せ内容と回答内容を予め登録されていることを特徴とする請求項1に記載の誤回答検知システム。
【請求項4】
前記監視システムは、予め定めた間隔で前記案件管理データベースをチェックし、アラート通知対象のデータが存在していたとき、前記管理端末へアラームを通知することを特徴とする請求項1に記載の誤回答検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−232859(P2011−232859A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100861(P2010−100861)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】