説明

誤飲防止箱

【課題】医薬品等の被包装物を包装し、包装された医薬品等の誤飲を防止することのできる誤飲防止箱に関し、錠剤やカプセル剤以外の剤型の薬剤をも包装することができ、しかもPTP包装等に比べて、構造上においても誤飲防止を確実に図ることのできる誤飲防止箱を提供することを課題とする。
【解決手段】開封される開封面の両側の縦方向にミシン目が形成されているとともに、該縦方向のミシン目と交差する横方向に複数のミシン目が形成された外箱と、該外箱内に収納可能で内部に複数の区画室が形成された内箱と、前記横方向の複数のミシン目を覆うように前記外箱の開封面に貼着された貼着シートとからなり、前記縦方向のミシン目は、前記横方向の複数のミシン目よりも裂断され易いように形成され、且つ前記横方向の複数のミシン目間に形成されて順次開封される複数の開封ユニット片は、前記内箱の区画室に対応する位置に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤飲防止箱、さらに詳しくは、医薬品等の被包装物を包装し、包装された医薬品等の誤飲を防止することのできる誤飲防止箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医薬品の包装体としては種々のものが用いられており、たとえば各種錠剤やカプセル剤等の固形製剤の包装体としてPTP包装が多用されている。そして、そのようなPTP包装の包装体に関する発明として、たとえば下記特許文献1乃至特許文献3のような特許出願がなされている。
【0003】
特許文献1に係る発明は、当該特許文献1の明細書の段落〔0005〕に記載されているように、調剤後、患者に与えられたPTP包装製剤が、収容ポケットから取り出されずに、1製剤単位に分割された状態で誤飲されてしまう事故が多数報告されており、この場合PTP包装シートが消化管の内壁を傷つけたり、消化管内に滞留して外科的な処置が必要となる場合もあった点に鑑み、このような誤飲防止を目的として、PTP包装の複数の分割部を、2個組分割部と3個組分割部としたものである。
【0004】
また特許文献2に係る発明は、当該特許文献2の明細書の段落〔0005〕〜〔0006〕に記載されているように、錠剤等の飲み忘れや誤飲を防止するために、病院や薬局では一般に紙製の薬袋の表面に服用量や服用時間等の情報を記入し、これらの情報が印刷された貼着シートを貼り付け、または薬剤についての説明書を同封したりすることで対処しているが、十分に誤飲等を防止できなかったために、これを解決しようとするものである。そして、この特許文献2に係る発明は、薬剤が包装されている箇所または当該箇所を特定できる箇所に7曜のいずれか1つの曜日が表示され、かつこれらの曜日が順に表示されている薬剤包装体を提供するもので、包装体の表示の観点から誤飲を防止しようとするものである。
【0005】
さらに、特許文献3に係る特許出願は、明細書の段落〔0005〕〜〔0007〕に記載されているように、「従来の包装体においては、薬剤を押圧するだけで容易にこれを取り出すことができるため、手が届くところに置いてあると子供等が薬剤を誤飲する危険性が高い」という別の観点からの誤飲防止を目的としたもので、二片間にPTPシートを収納すべく一片にPTPシートの薬剤が収容される収容孔が設けられると共に、該収納孔に対向させて他片に前記薬剤を取り出すための取り出し孔が設けられるPTPシート用包装体であって、該取り出し孔を開閉させるべく規制片が前記PTPシートと他片間にスライド可能に介装され、且つ前記一片及び他片には規制片が表出する長孔が対向して設けられてなることを特徴とするPTPシート用包装体を提供するものである。
【0006】
上述のように、上記特許文献1乃至3は、少しずつ異なる観点から医薬品の誤飲を防止しようとするものであるが、いずれもPTP包装の包装体を対象とするものであるので、誤飲防止を図るにも、包装体としての構造上の限界がある。また、PTP包装であるため、包装の対象となる医薬品の剤型も、錠剤やカプセル剤等の固形製剤に制限されることとなる。
【0007】
【特許文献1】特開平10−273162号公報
【特許文献2】特開2005−342162号公報
【特許文献3】特開2004−299728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたもので、錠剤やカプセル剤以外の剤型の薬剤をも包装することができ、しかもPTP包装等に比べて、構造上においても誤飲防止を確実に図ることのできる誤飲防止箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、開封される開封面の両側の縦方向にミシン目が形成されているとともに、該縦方向のミシン目と交差する横方向に複数のミシン目が形成された外箱と、該外箱内に収納可能で内部に複数の区画室が形成された内箱と、前記横方向の複数のミシン目を覆うように前記外箱の開封面に貼着された貼着シートとからなり、前記縦方向のミシン目は、前記横方向の複数のミシン目よりも裂断され易いように形成され、且つ前記横方向の複数のミシン目間に形成されて順次開封される複数の開封ユニット片は、前記内箱の区画室に対応する位置に形成されていることを特徴とする誤飲防止箱を提供するものである。
【0010】
縦方向のミシン目を、横方向のミシン目よりも裂断され易いように形成する手段としては、たとえば縦方向のミシン目のスリットが横方向のミシン目のスリットよりも長くなるように形成するとともに、該縦方向のミシン目のスリット間の連設部が、前記横方向のミシン目のスリット間の連設部よりも短くなるように形成する手段を採用することができる。
【0011】
貼着シートの表面であって、外箱の複数の開封ユニット片に対応する位置に、開封順を表示する数字情報を表示することも可能である。また、開封面と隣接する外箱の隣接面に、最初に開封する開封ユニット片の開封起点となる開封起点部を形成することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の誤飲防止箱においては、縦方向のミシン目が横方向の複数のミシン目よりも裂断され易いように形成され、該横方向の複数のミシン目間に形成されて順次開封される複数の開封ユニット片が、内箱の区画室に対応する位置に形成されているものであるため、縦方向のミシン目は容易に裂断されて開封ユニット片を捲り上げることができるが、横方向のミシン目は不用意に裂断されることがなく、その一方で、横方向のミシン目によって、各開封ユニット片は横方向のミシン目を介して折れ易い状態となっており、1つの開封ユニット片を捲り上げる際に作用する力が、隣接する開封ユニット片にそのまま作用して縦方向のミシン目が連続的に裂断されるようなことがなく、横方向の複数のミシン目がいわゆるストッパーとして機能し、縦方向のミシン目が連続的に裂断されるのを阻止することとなる。
【0013】
また、横方向の複数のミシン目を覆うように、外箱の上面に貼着シートが貼着されているため、この貼着シートの存在によって、縦方向のミシン目がより裂断されにくい状態となり、この貼着シートが同様にストッパーとして機能して横方向のミシン目と相乗的作用を発揮することとなる。
【0014】
従って、このような横方向のミシン目と貼着シートとのストッパーとしての相乗作用により、縦方向のミシン目が連続的な裂断がより確実に阻止され、1つの開封ユニット片に隣接する開封ユニット片が不用意に捲り上げられるのが確実に阻止されることとなるので、縦方向のミシン目のみが裂断されて複数の開封ユニット片が1つずつ順に開封され、それに伴って、内箱の複数の区画室を、順次1室ずつ開口させることができる。
【0015】
この結果、たとえば医薬品のような被包装物を収納した場合、内箱の各区画室内の医薬品を、1つずつ取り出して使用することができるので、投与される医薬品が誤飲されるようなことが好適に防止されることとなる。
【0016】
以上のように、本発明においては、裂断され易い縦方向のミシン目と、ストッパーとして機能する複数の横方向のミシン目とを形成した外箱と、該複数の横方向のミシン目間に形成された開封ユニット片に対応して形成された複数の区画室を有する内箱と、前記複数の横方向のミシン目を覆うように、外箱の開封面に貼着された貼着シートとで誤飲防止箱を構成したので、従来の誤飲防止を目的としたPTP包装の包装体に比べると、誤飲防止を一層確実に図ることのできる包装体としての誤飲防止箱を提供することができるという効果を得た。
【0017】
また、誤飲防止箱として形成したものであるので、従来のPTP包装の包装体のように、医薬品が被包装物である場合に錠剤やカプセル剤等の剤型に限定されるようなこともなく、たとえば液剤等のものに適用することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、一実施形態の誤飲防止箱について図面に従って説明する。一実施形態の包装体は、図1乃至図4に示すように、外箱1と、該外箱1内に収容可能な内箱2と、前記外箱1の開封面である上面に貼着される貼着シート3とからなる。
【0019】
外箱1は、上面1a、底面1b、長手方向の側面1c、1d、短手方向の側面1e、1fの6面からなる直方体形に形成されたもので、一般的な箱の形態をなすものである。一方の短手方向の側面1eは開閉できないように、底面1bから起立するように折り返された折り返し片4に接着されているが、他方の短手方向の側面1fは、先端の差し込み片5を底面1b側に差し込んで開閉自在とする一般的な箱の形態とされている。
【0020】
外箱1の上面1aの両側の縦方向には、図1に示すようにミシン目6が形成されている。この2条のミシン目6、6は、同図のように上面1aにおける短手方向の一方の側面1e側から他方の側面1f側にかけてほぼ全域にわたって形成されている。
【0021】
また、前記縦方向のミシン目6、6と交差する横方向に、複数のミシン目7が形成されている。本実施形態では、図1に示すように、計5条のミシン目7a、7b、7c、7d、7eが形成されている。そして前記縦方向のミシン目6、6は、前記横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eよりも裂断され易いように形成されている。より具体的には、
縦方向のミシン目6、6のスリット18が、横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eのスリット20よりも長くなるように形成されているとともに、該縦方向のミシン目6、6のスリット18間の連設部19が、前記横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eのスリット20間の連設部21よりも短くなるように形成されている。
【0022】
このように縦方向のミシン目6、6が横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eよりも裂断され易いように形成されている結果、該横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eが裂断されないように、前記縦方向のミシン目6、6のみを裂断して外箱1の上面1aを開封することが可能となる。
【0023】
横方向の複数のミシン目7a、7b、7c、7d、7eの間は、順次開封される複数の開封ユニット片8a、8b、8c、8d、8e、8fとして形成されている。この開封ユニット片8a、8b、8c、8d、8e、8fは、前記縦方向のミシン目6、6を裂断して外箱1の上面1aを開封する際に、横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eが開封のストッパーとして機能して1つの開封ユニット片毎に開封できるように構成されている。
【0024】
外箱1の開封面である上面1aと隣接する1つの隣接面である短手方向の一方の側面1eには、最初に開封する開封ユニット片8aの開封起点となる開封起点部9が形成されている。この開封起点部9は、図2に示すように、円弧状のミシン目10に包囲されて、前記外箱1の短手方向の一方の側面1eから切り取ることができるように形成されている。また、該開封起点部9の先端側には、さらにこの開封起点部9の開封起点となる開封起点孔11が穿設されている。
【0025】
内箱2は、図5及び図6に示すように、底面2b、長手方向の側面2c、2d、短手方向の側面2e、2fを有する上面開口型の浅箱状に形成された形態からなる。そして、内箱2の内部には、仕切用シート12が設けられている。この仕切用シート12は、図6に示すように、1枚の紙製シートを短冊状に折り畳んで内箱2の内部に設置され、このような仕切用シート12を設置することで、同図のように内箱2の内部に計6個の区画室13a、13b、13c、13d、13e、13fが形成されている。そして、この 6個の区画室13a、13b、13c、13d、13e、13f内に、医薬品等の被包装物が収納されることとなる。
【0026】
これらの区画室13a、13b、13c、13d、13e、13fは、前記外箱1の上面1aの横方向に複数形成されたミシン目7a、7b、7c、7d、7e間の複数の開封ユニット片8a、8b、8c、8d、8e、8fに対応する位置に形成されている。すなわち、外箱1の開封ユニット片8a、8b、8c、8d、8e、8fの直下に、内箱2の区画室13a、13b、13c、13d、13e、13fが設けられることとなり、これによって、開封ユニット片8a、8b、8c、8d、8e、8fを1個ずつ開封させていくことで、各区画室13a、13b、13c、13d、13e、13fが順に1つずつ開口されていくこととなる。
【0027】
また、内箱2の上面側は、その全面が開口しているのではなく、図5及び図7に示すように両側に所定幅の補強片14、14が形成され、その補強片14、14によって前記仕切用シート12が固定され、また内箱2が補強される構造とされている。
【0028】
この補強片14は、図7に示すように、内箱2の長手方向の側面2c、2dから内向きに突設された補強片上部14aと、該補強片上部14aから下向きに立ち下がり形成された補強片側壁部14bとで構成されている。補強片側壁部14bには孔15が穿設され、また該孔15に差し込み可能な突起16が前記仕切用シート12の側縁側にわずかに突出して形成されている。そして、該仕切用シート12の突起16が補強片側壁部14bに差し込まれることによって、仕切用シート12が補強片14に固定されている。
【0029】
貼着シート3は、透明な合成樹脂製のシート状のもので、図1に示すように、横方向の複数のミシン目7a、7b、7c、7d、7eを覆うように前記外箱1の上面1aに貼着されている。この貼着シート3の表面には、同図に示すように、「1回目」、「2回目」、「3回目」、「4回目」、「5回目」、「6回目」のそれぞれの投薬情報の表示が印刷されている。この投薬情報の表示は、図1に示すように、外箱1の上面1aの開封ユニット片8a、8b、8c、8d、8e、8fの位置に対応して表示されている。
【0030】
また、前記貼着シート3には、前記外箱1の横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eと同じ位置にミシン目が形成されている。すなわち、この貼着シート3のミシン目は、前記外箱1の横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eの形成時に同時に形成されているものである。
【0031】
さらに、貼着シート3の投薬情報の表示が印刷された部分の側方には、摘み表示部17が設けられている。この摘み表示部17を把持して貼着シート3を捲り上げることによって、ミシン目の部分を介して「1回目」、「2回目」、「3回目」、「4回目」、「5回目」、「6回目」の表示部分毎に切り取ることが可能に構成されている。
【0032】
そして、このような構成からなる誤飲防止箱は、内箱2の計6個の区画室13a、13b、13c、13d、13e、13fに、それぞれ被包装物を収納することによって使用される。この場合、被包装物としては、たとえば医薬品が用いられる。この場合、同種の医薬品が、計6個の区画室13a、13b、13c、13d、13e、13f内にそれぞれ収納され、6回投与されることとなる。
【0033】
その手順について説明すると、先ず1回目の投与時には、上記外箱1の短手方向の一方の側面1eに形成された開封起点孔11に指をかけ、円弧状のミシン目10を切り取って、
開封起点部9を外箱1の側面1eから捲り取る。
【0034】
さらに、開封起点部9を把持して、該開封起点部9を捲り上げると、その力が外箱1の
上面1aに形成された縦方向のミシン目6、6に作用し、該縦方向のミシン目6、6が裂断されて、図8に示すように開封ユニット片8aが捲り上げられることとなる。この結果、該開封ユニット片8aの直下に位置する内箱2内の第1の区画室13aの上面側が開口されることとなる。これによって、第1の区画室13a内に収納されていた被包装物である医薬品を、該第1の区画室13aから取り出すことができることとなる。
【0035】
この場合において、縦方向のミシン目6、6のスリット18は、横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eのスリット20よりも長くなるように形成されているとともに、該縦方向のミシン目6、6のスリット18間の連設部19が、前記横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eのスリット20間の連設部21よりも短くなるように形成されることによって、縦方向のミシン目6、6が、横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eよりも裂断され易い状態とされているため、上記のように開封起点部9を把持して、該開封起点部9を捲り上げると、縦方向のミシン目6、6は容易に裂断されて開封ユニット片8aを捲り上げることができるが、横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eは不用意に裂断されることがない。
【0036】
その一方で、横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eが形成されていることによって、各開封ユニット片8a、8b、8c、8d、8e、8fは、そのミシン目7a、7b、7c、7d、7eを介して折れ易い状態となっている。従って、上記のように縦方向のミシン目6、6を裂断して最初の開封ユニット片8aを捲り上げたとき、その開封ユニット片8aは、図8に示すように、隣接する開封ユニット片8bに対して1条目のミシン目7aを介して容易に折れ曲がることとなる。
【0037】
この結果、最初の開封ユニット片8aを捲り上げる際に作用する力が、隣接する開封ユニット片8bにそのまま作用して、縦方向のミシン目6、6が連続的に裂断されるようなこともなく、横方向の1条目のミシン目7aが、いわゆるストッパーとして機能し、縦方向のミシン目6、6が連続的に裂断されるのを阻止することとなる。
【0038】
さらに、この横方向の複数のミシン目7a、7b、7c、7d、7eを覆うように、外箱1の上面1aには貼着シート3が貼着されているため、この貼着シート3の存在によって、縦方向のミシン目6、6がより裂断されにくい状態となり、この貼着シート3も横方向のミシン目7aと同様にストッパーとして機能することとなる。
【0039】
この結果、ミシン目7aと貼着シート3とのストッパーとしての相乗作用により、縦方向のミシン目6、6が連続的な裂断がより確実に阻止され、開封ユニット片8aに隣接する開封ユニット片8bが不用意に捲り上げられるのが確実に阻止されることとなる。
【0040】
このため、最初の開封ユニット片8aのみを捲り上げて第1の区画室13aのみを開口させることができ、第2の区画室13bが不用意に開口されることもない。従って、第1の区画室13aから被包装物である1つの医薬品のみを取り出して使用することができる。すなわち、医師等の医療従事者が上記第1の区画室13aから1つの医薬品のみを取り出して投与することができるので、投与される患者も1つの医薬品のみを服用することができる。
【0041】
このように第1の区画室13aから1つの医薬品のみを取り出した後は、貼着シート3の1番目の摘み表示部17を把持して貼着シート3を捲り上げることによって、ミシン目の部分を介して貼着シート3における「1回目」の表示部分を切り取ることができる。これによって、「1回目」の表示部分が外箱1の上面1aから除去され、「2回目」、「3回目」、「4回目」、「5回目」、「6回目」の表示部分が外箱1の上面1aに残存しているので、使用者は、「1回目」に投薬すべき医薬品を内箱2から取り出したことを確実に確認することができるのである。
【0042】
第1の区画室13a内に収納されていた医薬品を使用した後、第2の区画室13b内に収納されている医薬品を使用する場合には、すでに捲り上げられた第1の開封ユニット片8aを把持し、図9に示すように上向きに捲り上げると、さらに縦方向のミシン目6、6が裂断され、同図のように第2の開封ユニット片8bが捲り上げられることとなる。
【0043】
この結果、第2の開封ユニット片8aの直下に位置する内箱2内の第2の区画室13bの上面側が開口されることとなる。これによって、第2の区画室13b内に収納されていた医薬品を、該第2の区画室13bから取り出すことができることとなる。
【0044】
この場合においても、第1の開封ユニット片8aを開封した際と同様に、縦方向のミシン目6、6が、横方向のミシン目7bよりも裂断され易い状態とされていることで、縦方向のミシン目6、6を容易に裂断して開封ユニット片8bを捲り上げることができるが、横方向のミシン目7bは不用意に裂断されることがない。また、横方向のミシン目7bによって、開封ユニット片8bは、ミシン目7bを介して折れ易い状態となっているので、図9に示すように、隣接する開封ユニット片8cに対して2条目のミシン目7bを介して容易に折れ曲がることとなる。そして、横方向の2条目のミシン目7aが、いわゆるストッパーとして機能し、縦方向のミシン目6、6が連続的に裂断されるのを阻止することとなる。
【0045】
さらに、この2条目のミシン目7bをも覆うように、上記貼着シート3が外箱1の上面1aに貼着されているので、縦方向のミシン目6、6がより裂断されにくい状態となり、この貼着シート3が横方向のミシン目7bと同様にストッパーとして機能する。従って、ミシン目7bと貼着シート3とのストッパーとしての相乗作用により、縦方向のミシン目6、6が連続的な裂断がより確実に阻止され、開封ユニット片8bに隣接する開封ユニット片8cが不用意に捲り上げられるのが確実に阻止されることとなる。
【0046】
その結果、第2の開封ユニット片8bのみを捲り上げて前記第1の区画室13aに続いて第2の区画室13bを開口させることができ、第3の区画室13cが不用意に開口されることがない。従って、第2の区画室13bから1つの医薬品のみを取り出して使用することができる。
【0047】
第2の区画室13bから1つの医薬品を取り出した後は、貼着シート3の2番目の摘み表示部17を把持して貼着シート3を捲り上げることによって、ミシン目の部分を介して貼着シート3における「2回目」の表示部分を切り取ることができる。これによって、「2回目」の表示部分が外箱1の上面1aから除去され、「3回目」、「4回目」、「5回目」、「6回目」の表示部分が外箱1の上面1aに残存しているので、使用者は、「2回目」に投薬すべき医薬品を内箱2から取り出したことを確実に確認することができる。
【0048】
上述のような作業を、続く開封ユニット片8c、8d、8e、8fについても同様に行うことによって、3条目〜5条目の横方向のミシン目7c、7d、7eを裂断させることなく、縦方向のミシン目6、6のみを裂断させることができ、開封ユニット片8c、8d、8e、8fを順次1つずつ捲り上げることができ、それに伴って、対応する区画室13c、13d、13e、13fを順次1室ずつ開口させることができる。
【0049】
これらの場合も、ミシン目7c、7d、7eがストッパーとして機能するとともに、該ミシン目7c、7d、7eを覆うように外箱1の上面1aに貼着された貼着シート3もストッパーとして機能するので、上記開封ユニット片8a、8bを捲り上げる場合と同様に、開封ユニット片8c、8d、8e、8fが1つずつ順に捲り上げられることとなり、区画室13c、13d、13e、13fが1室ずつ順に開口されることとなる。
【0050】
また、区画室13c、13d、13e、13fが1室ずつ順に開口されることに伴って、ミシン目の部分を介して貼着シート3における「3回目」、「4回目」、「5回目」、「6回目」の表示部分を順に1枚ずつ捲っていくことができる。この結果、使用者は、計6回の投薬を、区画室13a、13b、13c、13d、13e、13fを1室ずつ順に開口させ、貼着シート3の「1回目」〜「6回目」の表示部分を順に1枚ずつ捲って外箱1の上面1aから順に剥がしていくことで、「1回目」〜「6回目」の投薬を、間違えることなく行うことができ、医薬品の誤飲が確実に防止されることとなる。
【0051】
尚、上記実施形態では、外箱1の横方向に形成されるミシン目7a、7b、7c、7d、7eを計5条形成したが、横方向に形成されるミシン目の条数は該実施形態に限定されるものではなく、要は複数条のミシン目が形成されていればよい。
【0052】
また、上記実施形態では、縦方向のミシン目6、6のスリット18を、横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eのスリット20よりも長くなるように形成するとともに、該縦方向のミシン目6、6のスリット18間の連設部19を、前記横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eのスリット20間の連設部21よりも短くなるように形成することで、縦方向のミシン目6、6を、横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7eよりも裂断され易いような状態としたが、縦方向のミシン目を横方向のミシン目よりも裂断され易いような状態とする手段も上記実施形態に限定されるものではない。
【0053】
ただし、縦方向のミシン目のスリット18を横方向のミシン目スリット20よりも長くなるように形成し、縦方向のミシンのスリット18間の連設部19を横方向のミシン目のスリット20間の連設部21よりも短くなるように形成する手段は、縦方向のミシン目と横方向のミシン目との裂断され易さに差異を設ける上で最も簡易な手段であり、裂断され易さに確実に差異を設けるための好ましい手段ということができる。
【0054】
さらに、上記実施形態では、計6個の開封ユニット片8a、8b、8c、8d、8e、8fを設け、これに対応して計6室の区画室13a、13b、13c、13d、13e、13fを設けたが、開封ユニット片の個数及び区画室の室数も上記実施形態に限定されるものではなく、要は複数の開封ユニット片が外箱の開封面に設けられ、複数の区画室が内箱内に設けられていればよいのである。
【0055】
さらに、上記実施形態では、1枚の紙製シートからなる仕切用シート12を短冊状に折り畳むことによって内箱2内に複数の区画室を形成したが、区画室を形成する手段もこのような1枚の仕切用シート12を短冊状に折り畳んで形成する手段に限定されるものではなく、たとえば複数の仕切用シートによって複数の区画室を形成することも可能である。ただし、上記実施形態のように1枚の仕切用シート12を短冊状に折り畳んで区画室を形成すれば、複数の仕切用シートによって複数の区画室を形成する場合に比べて、区画室を形成する作業を容易且つ短時間に行うことができるという利点がある。
【0056】
さらに、上記実施形態では、貼着シート3に表示される情報として、投薬回数を表示する「1回目」、「2回目」、…「6回目」のような情報を表示したが、情報表示の態様も該実施形態に限定されるものではなく、たとえば単に数字のみを表示するような態様のものであってもよい。
【0057】
さらに、上記実施形態では、投薬回数等の情報が、貼着シート3に表示されていたが、貼着シート3に表示せずに外箱1に表示することも可能である。外箱1に表示する場合であっても、複数の開封ユニット片を順次開封し、複数の区画室を順次開口させることで、被包装物を使用したことを容易に確認することができるので、誤飲防止に特に支障を生じさせることもないのである。ただし、上記実施形態のように情報を貼着シート3に表示し、投薬回数等の複数の情報に応じて、その部分を上記実施形態のように順次捲るようにすることで、各情報が順次外箱から除去されていくので、誤飲防止を一層確実に図ることができるという効果がある。また、上記のようなストッパーとして機能する貼着シート3を、
情報表示用のラベルとして兼用することができるという利点がある。
【0058】
また、表示される表示の種類も上記実施形態のような投薬回数の数字情報に限定されるものではなく、被包装物の種類や箱の用途に応じて任意に変更可能である。
【0059】
さらに、上記実施形態では、外箱1の開封面と隣接する1つの隣接面である短手方向の一方の側面1eに、最初に開封する開封ユニット片8aの開封起点となる開封起点部9を形成したため、この開封起点部9によって、最初の開封ユニット片8aの開封を容易に行うことができるという好ましい効果が得られたが、このような開封起点部9を形成することは本発明に必須の条件ではない。
【0060】
さらに、上記実施形態では、外箱の上面1aに縦方向のミシン目6、6、横方向のミシン目7a、7b、7c、7d、7e、及び開封ユニット片8a、8b、8c、8d、8e、8fをそれぞれ形成したが、このような縦方向のミシン目、横方向のミシン目、開封ユニット片は、上面1a以外の面、たとえば側面に形成することも可能である。ただし、一般には外箱1の上面1aにおいて開封ユニット片の開封等の作業を行うのが最も作業が容易となるので、上面1aに形成されることが望ましい。
【0061】
さらに、外箱1や内箱2の形状も上記実施形態に限定されるものではなく、またその材質も該実施形態の紙に限定されるものではない。また、貼着シート3の材質も該実施形態の合成樹脂に限定されるものではない。
【0062】
さらに、上記実施形態では、被包装物として医薬品を用いる場合について説明したが、被包装物の種類も該実施形態の医薬品に限定されるものではなく、たとえば食品等の用途に本発明を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】一実施形態としての誤飲防止箱の平面図。
【図2】同短手方向の側面図。
【図3】同長手方向の側面図。
【図4】図1のA−A線断面図。
【図5】内箱の平面図。
【図6】図5のB−B線断面図。
【図7】図5のC−C線断面図。
【図8】1つ目の開封ユニット片を開封する状態を示す断面図。
【図9】2つ目の開封ユニット片を開封する状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0064】
1 外箱
2 内箱
3 貼着シート
6 ミシン目
7a、7b、7c、7d、7e ミシン目
8a、8b、8c、8d、8e、8f 開封ユニット片
9 開封起点部
13a、13b、13c、13d、13e、13f 区画室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開封される開封面の両側の縦方向にミシン目(6)が形成されているとともに、該縦方向のミシン目(6)と交差する横方向に複数のミシン目が形成された外箱(1)と、該外箱(1)内に収納可能で内部に複数の区画室が形成された内箱(2)と、前記横方向の複数のミシン目を覆うように前記外箱(1)の開封面に貼着された貼着シート(3)とからなり、前記縦方向のミシン目(6)は、前記横方向の複数のミシン目よりも裂断され易いように形成され、且つ前記横方向の複数のミシン目間に形成されて順次開封される複数の開封ユニット片は、前記内箱(2)の区画室に対応する位置に形成されていることを特徴とする誤飲防止箱。
【請求項2】
縦方向のミシン目(6)を、横方向のミシン目よりも裂断され易いように形成する手段が、該縦方向のミシン目(6)のスリット(18)が前記横方向のミシン目のスリット(20)よりも長くなるように形成するとともに、該縦方向のミシン目(6)のスリット(18)間の連設部(19)が、前記横方向のミシン目のスリット(20)間の連設部(21)よりも短くなるように形成する手段である請求項1記載の誤飲防止箱。
【請求項3】
貼着シート(3)の表面であって、外箱(1)の複数の開封ユニット片に対応する位置に、開封順を表示する数字情報が表示されている請求項1又は2記載の誤飲防止箱。
【請求項4】
開封面と隣接する外箱(1)の隣接面に、最初に開封する開封ユニット片の開封起点となる開封起点部(9)が形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の誤飲防止箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−208831(P2009−208831A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55986(P2008−55986)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
【出願人】(000207827)大鵬薬品工業株式会社 (52)
【Fターム(参考)】