説明

読取装置、画像形成装置、制御方法及びプログラム

【課題】原稿の種類に関わらず、原稿の表面画像及び裏面画像の地肌を合わせることが可能な読取装置を提供する。
【解決手段】本実施形態の読取装置は、原稿を搬送する搬送手段(ADF30)と、搬送手段(30)によって搬送された原稿の表面を読み取る表面読取手段(スキャナ部10)と、原稿の裏面を読み取る裏面読取手段(CIS22)と、を有し、表面読取手段(10)で読み取って得られた原稿の表面画像と、裏面読取手段(22)で読み取って得られた原稿の裏面画像と、の地肌レベルを検出し、その表面画像の地肌レベルと、裏面画像の地肌レベルと、を同じレベルに合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に好適な読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、原稿の表面及び裏面をそれぞれ個別に読み取ることが可能な読取機構を搭載し、一度の原稿搬送で原稿の表面及び裏面を読み取ることが可能な読取装置がある。
【0003】
しかし、この種の読取装置は、原稿の表面を読み取った際に得られる読取値と、原稿の裏面を読み取った際に得られる読取値と、が各々異なってしまう問題がある。原因としては、読取センサの感度差、光学系の光学差などが挙げられる。
【0004】
特許文献1(特開2003−32504号公報)には、表面の読取値と裏面の読取値との差を補正する技術について開示されている。しかし、特許文献1の技術では、原稿の紙質や紙厚が異なる場合は、表面の読取値と裏面の読取値との差を補正することができない。
【0005】
実際、原稿は、紙質や紙厚が異なるものが各種あるため、原稿の紙質や紙厚に関わらず、原稿の表面画像及び裏面画像の地肌を合わせることが可能な仕組みの開発が必要視されることになる。
【0006】
なお、特許文献2(特許第2941295号公報)、特許文献3(特許第4127603号公報)には、原稿の地肌除去に関する技術について開示されているが、原稿の紙質や紙厚に関わらず、原稿の表面画像及び裏面画像の地肌を合わせる点については何ら記載も示唆もされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、原稿の種類に関わらず、原稿の表面画像及び裏面画像の地肌を合わせることが可能な読取装置、画像形成装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0009】
<読取装置>
本発明にかかる読取装置は、
原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された原稿の表面を読み取る表面読取手段と、前記原稿の裏面を読み取る裏面読取手段と、を有する読取装置であって、
前記表面読取手段で読み取って得られた前記原稿の表面画像と、前記裏面読取手段で読み取って得られた前記原稿の裏面画像と、の地肌レベルを検出する検出手段と、
前記表面画像の地肌レベルと、前記裏面画像の地肌レベルと、を同じレベルに合わせる制御手段と、
を有することを特徴とする。
<画像形成装置>
本発明にかかる画像形成装置は、
上記記載の読取装置を有することを特徴とする。
【0010】
<制御方法>
本発明にかかる制御方法は、
原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された原稿の表面を読み取る表面読取手段と、前記原稿の裏面を読み取る裏面読取手段と、を有する読取装置で行う制御方法であって、
前記表面読取手段で読み取って得られた前記原稿の表面画像と、前記裏面読取手段で読み取って得られた前記原稿の裏面画像と、の地肌レベルを検出する検出工程と、
前記表面画像の地肌レベルと、前記裏面画像の地肌レベルと、を同じレベルに合わせる制御工程と、
を有することを特徴とする。
【0011】
<プログラム>
本発明にかかるプログラムは、
原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された原稿の表面を読み取る表面読取手段と、前記原稿の裏面を読み取る裏面読取手段と、を有する読取装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記表面読取手段で読み取って得られた前記原稿の表面画像と、前記裏面読取手段で読み取って得られた前記原稿の裏面画像と、の地肌レベルを検出する検出処理と、
前記表面画像の地肌レベルと、前記裏面画像の地肌レベルと、を同じレベルに合わせる制御処理と、
を、前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原稿の種類に関わらず、原稿の表面画像及び裏面画像の地肌を合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の読取装置の概略構成例を示す図である。
【図2】両面同時読取装置の一般的な回路構成例を示す図である。
【図3】本実施形態の読取装置の回路構成例を示す図である。
【図4】本実施形態の読取装置の処理動作例を示す図である。
【図5】本実施形態の読取装置で行う地肌除去を説明するための第1の図である。
【図6】本実施形態の読取装置で行う地肌除去を説明するための第2の図である。
【図7】第2の実施形態の読取装置の処理動作例を示す図である。
【図8】第2の実施形態の読取装置で行う地肌除去を説明するための図である。
【図9】本実施形態の読取装置を搭載した画像形成装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本実施形態の読取装置の概要>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の読取装置の概要について説明する。
【0015】
本実施形態の読取装置は、原稿を搬送する搬送手段(ADF30に相当)と、搬送手段30によって搬送された原稿の表面を読み取る表面読取手段(スキャナ部10に相当)と、原稿の裏面を読み取る裏面読取手段(CIS22に相当)と、を有する読取装置である。
【0016】
本実施形態の読取装置は、表面読取手段10で読み取って得られた原稿の表面画像と、裏面読取手段22で読み取って得られた原稿の裏面画像と、の地肌レベルを検出し、その表面画像の地肌レベルと、裏面画像の地肌レベルと、を同じレベルに合わせる。これにより、原稿の種類に関わらず、原稿の表面画像及び裏面画像の地肌を合わせることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の読取装置について詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
<読取装置の構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の読取装置の構成例について説明する。図1は、両面同時読取装置の一例を示し、表面読取用の装置として、カラーCCD(Charge Coupled Device)を用いており、裏面読取用の装置として、カラーCIS(Contact Image Sensor)を用いた場合について説明する。なお、図1に示す読取装置の構成は、一例であり、この構成に限定するものではない。
【0018】
表面読取装置は、下側のスキャナ部10に、光源ランプ11、第1キャリッジ12、第2キャリッジ13、レンズ14などの光学系を有し、第1キャリッジ12、第2キャリッジ13を図1の右方向に移動させ、コンタクトガラス上に設置された原稿を読み取る(キャリッジ読取)。第1キャリッジ12、第2キャリッジ13は、駆動部(図示せず)により移動する。
【0019】
原稿の表面を読み取る方法としては、コンタクトガラス上にADF30を有し、第1、第2のキャリッジ12,13を読取窓15上の所定の位置に固定させ、光源ランプ11を点灯させ、原稿を搬送することで原稿を読み取る方法がある(シートスルー読取)。
【0020】
ADF30で原稿を読み取る場合は、通常、数枚〜数十枚程度の原稿を連続して読み取る場合が多い。このため、ADF30が使用できないようなブック原稿や厚紙原稿などの場合は、上述したキャリッジ読取を行うことになる。
【0021】
一方、裏面読取装置は、ADF30の内部に光源ランプと光学系と読取センサとが一体となったCIS22を有している。
【0022】
原稿の両面を同時に読み取る際は、1回の原稿搬送で原稿の表面をシートスルー読取で読み取り、原稿の裏面をCIS22で読み取る。図1には、原稿が搬送される時に通紙される経路(通紙経路)を実線20で示している。
【0023】
原稿の表面を読み取る表面読取位置は、スキャナ部10の読取窓15の位置であり、そこでは白対抗板21が背景に存在する。
【0024】
一方、原稿の裏面を読み取る裏面読取位置は、CIS22が配置されている位置であり、そこでは白ローラ23が背景に存在する。
【0025】
原稿の表面及び裏面を読み取る際の白背景は、大体において「白色」であるが、白対抗板21と白ローラ23との材質が各々異なるため、厳密には濃度も色合いも一致しない。原稿の表面及び裏面を読み取る際は、白背景越しに読み取るため、原稿の紙厚が十分厚ければ問題にならないが、原稿の紙厚が薄い場合は、その影響を少なからず受けることになり、原稿の表面画像及び裏面画像の地肌が合わないことになる。これは、原稿の紙厚が薄い場合は、次のページの文字や画像が透けて見えるのと同じである。このため、原稿の表面画像及び裏面画像の地肌を合わせるようにしたいのが現状である。
【0026】
<読取装置の内部構成例>
次に、図2、図3を参照しながら、本実施形態の読取装置の内部構成例について説明する。図2は、両面同時読取装置の一般的な回路構成例を示す。図3は、本実施形態の読取装置の回路構成例を示す。
【0027】
表面のスキャナ部10では、RGBの3ラインCCDからの各信号に対し、AFE(アナログフロントエンド)で画像信号処理とアナログ・デジタル変換処理を行う。
【0028】
ライン間補正部は、各ライン間の副走査方向の位置的なずれを補正する。
【0029】
シェーディング補正回路は、CCDの感度ムラ、光源の照度分布ムラなどを補正する。なお、図1に示すCIS22には、裏面のセンサ部とAFEとシェーディング補正回路に相当するものが内蔵されており、原稿の表面をスキャナ部10で読み取るのと同時並行にセンサ部で原稿の裏面を読み取り、上述したAFEとシェーディング補正回路と同じ処理を行う。
【0030】
原稿の表面画像データ及び原稿の裏面画像データは、表面/裏面データソートブロックに入力される。表面/裏面データソートブロックは、従来の両面同時読取装置にも搭載されており、同時並行に入力されてくる表裏の画像データを面順次で交互に出力する。表面/裏面データソートブロックは、表裏の画像データ蓄積用のメモリと表裏データ切り替え用のゲートを有して構成し、表裏の画像データを面順次で交互に出力することになる。
【0031】
本実施形態の読取装置は、図3に示すように、上述した図2に示す構成に対して地肌検出&画像データの演算回路を有して構成している。地肌検出&画像データの演算回路は、表面画像及び裏面画像の地肌検出や、地肌除去演算などを行う。
【0032】
<本実施形態の読取装置の処理動作例>
次に、図4を参照しながら、本実施形態の読取装置の処理動作例について説明する。以下の処理は、図3に示す地肌検出&画像データの演算回路で行い、表面裏面、且つ、R,G,Bとも個別に行う。
【0033】
まず、地肌レベルの下限値=Low_lm、Aeレベル=Aeを設定する(ステップS1)。Aeレベルは、地肌除去演算を実施する際に使用する出力値である。出力値の単位は、digitである。なお、Aeレベルの設定は、原稿の種類によらず一意の固定値、または、原稿の種類に応じた変動値を設定する。また、ユーザまたはオペレータが任意に設定した値を設定することもできる。
【0034】
次に、原稿の読み取りを開始した場合は、原稿の地肌レベル(Ji)を下限値=Low_lmに設定する(Ji=Low_lm)(ステップS2)。地肌レベル(Ji)は、原稿の読み取りを開始してから現在の読取画素までのピーク値であり、原稿の読み取り中は地肌レベル(Ji)を更新していく。
【0035】
次に、地肌レベル(Ji)が現在の読取画素の読取値X以下か否かを判定する(Ji≦X?)(ステップS3)。
【0036】
地肌レベル(Ji)が現在の読取画素の読取値X以下である場合は(ステップS3/Yes)、ピークホールドを実施し、地肌レベル(Ji)を読取値Xに置き換える(Ji=X)(ステップS4)。ピークホールドは公知の処理である。また、地肌レベル(Ji)が現在の読取画素の読取値X以下でない場合は(ステップS3/No)、ピークホールドを実施せず、地肌レベル(Ji)をそのままの値にする。
【0037】
次に、以下の式を用いて、地肌除去演算を行い、地肌除去後の地肌レベル(D(x))を取得する(ステップS5)。
【0038】
D(x)=X×Ae/Ji
【0039】
次に、原稿の読み取りが終了したか否かを判定し(ステップS6)、原稿の読み取りが終了するまで、ステップS3〜ステップS5の処理を繰り返し、原稿の読み取りが終了した場合に(ステップS6/Yes)、処理を終了する(End)。
【0040】
上記処理を、表面裏面、且つ、R,G,Bとも個別に行う。これにより、原稿の表面の地肌レベルと、裏面の地肌レベルと、を同じレベルに合わせることができる。その結果、原稿の表面画像及び裏面画像の地肌を合わせることができる。
【0041】
例えば、ステップS1においてAeレベルとして、R,G,Bとも固定値の240digit(フルスケールは255)を設定したとする。この場合は、ステップS5において全体の画像データに対して逐次以下の地肌除去演算を実施する。
【0042】
D(x)=X×240/Ji
【0043】
この場合、あるエリアでピークホールドを実施し、そのエリアの読取画素の読取値Xを取得し、その読取値Xを基準とした地肌レベルJiを使用する。なお、ピークホールドは、逐次最大値を更新していくが、瞬間的に高いレベルになるときは反応しないようになっている。
【0044】
これにより、表面裏面、且つ、R,G,Bとも、地肌レベルの出力値を240digitに合わせることができる。その結果、原稿が再生紙で原稿の色が灰色であったり黄ばんでいたりする場合でも、あるいは、原稿が薄紙で白背景が透過のために色付いている場合でも、それらをすべて補正し、表面裏面、且つ、R,G,Bとも、地肌レベルの出力値を一定値にすることができる(図5参照)。
【0045】
また、原稿の紙質のレベルを確保しつつ、原稿が薄紙で白背景の影響による色付きだけを補正したい場合もある。このときは、ステップS1においてAeレベルとして、原稿の紙質に応じた変動値をR,G,B毎に別途設定しておけばよい。その結果、原稿の表面及び裏面とも共に原稿の材質に合わせることができる(図6参照)。
【0046】
<本実施形態の読取装置の作用・効力>
このように、本実施形態の読取装置は、原稿が薄紙、厚紙かに関わらず、原稿の表面及び裏面の地肌レベルJiを検出し、その地肌レベルJiをある設定値にあわせる(D(x)=X×Ae/Ji)。なお、地肌レベルの検出は、地肌除去のピークホールド方式をPwind全面として、設定値は、式中のAeを与えることで実現する。これにより、地肌除去をカラーのRGBにも適用させるだけの単純な方式で、原稿の表面及び裏面の地肌レベルをあわせることができる。なお、上述した表裏地肌あわせモード、または、通常モードを行うか否かを操作パネルなどで設定することが好ましい。これにより、表裏地肌あわせモード、または、通常モードを行うか否かを操作パネルで設定することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0048】
第2の実施形態では、注目面(現在読み取っている方の面)に他方面からの裏写りがあるか否かを判定し、他方面からの裏写りがある場合は、その他方面からの裏写りがある部分の地肌除去を行う。これにより、他方面からの裏写りの画像を除去することができる。
【0049】
地肌除去の方法としては、例えば、放電の時定数を小さくしたり、ピークホール値をいったん初期値(地肌レベルの下限値)に戻したりするなどの方法が挙げられる。
【0050】
また、他方面からの裏写りがあるか否かの判定は、他方面の同一位置に注目面よりも出力値の小さい画像があるか否かを判定する(但し、主走査位置でお互いに反対になる)。なお、上記出力値は、任意に設定することが可能である。以下、図7を参照しながら、本実施形態の処理動作例について詳細に説明する。
【0051】
まず、地肌レベルの下限値=Low_lm、Aeレベル=Ae、スレッシュ値=Shを設定する(ステップA1)。Aeレベルは、地肌除去演算を実施する際に使用する出力値である。出力値の単位は、digitである。なお、Aeレベルの設定は、原稿の種類によらず一意の固定値、または、原稿の種類に応じた変動値を設定する。また、ユーザまたはオペレータが任意に設定した値を設定することもできる。また、スレッシュ値は、裏写りがあるか否かを判定する値であり、任意に設定することができる。
【0052】
次に、原稿の読み取りを開始した場合は、原稿の地肌レベル(Ji)を下限値=Low_lmに設定する(Ji=Low_lm)(ステップA2)。地肌レベル(Ji)は、原稿の読み取りを開始してから現在の読取画素までのピーク値であり、原稿の読み取り中は地肌レベル(Ji)を更新していく。
【0053】
次に、地肌レベル(Ji)が現在の読取画素の読取値X以下か否かを判定する(Ji≦X?)(ステップA3)。
【0054】
地肌レベル(Ji)が現在の読取画素の読取値X以下である場合は(ステップA3/Yes)、ピークホールドを実施し、地肌レベル(Ji)を読取値Xに置き換える(Ji=X)(ステップA4)。ピークホールドは公知の処理である。
【0055】
また、地肌レベル(Ji)が現在の読取画素の読取値X以下でない場合は(ステップA3/No)、他方面画素の読取値Yと注目面画素の読取値Xとの比率(Y/X)がスレッシュ値=Shより小さいか否かを判定し(Y/X<Sh?)(ステップA5)、比率(Y/X)がスレッシュ値=Shより小さい場合は(ステップA5/Yes)、他方面の同じ位置に読取値の低い(黒い)画像があるため、他方面からの裏写りがあると判定し、地肌レベル(Ji)を地肌レベルの下限値(Low_lm)に設定する(Ji=Low_lm)(ステップA6)。また、比率(Y/X)がスレッシュ値=Sh以上の場合は(ステップA5/No)、注目面に読取値の低い(黒い)画像があるため、地肌レベル(Ji)を変更せず、そのままの値にする。
【0056】
次に、以下の式を用いて、地肌除去演算を行い、地肌除去後の地肌レベル(D(x))を取得する(ステップA7)。
【0057】
D(x)=X×Ae/Ji
【0058】
次に、原稿の読み取りが終了したか否かを判定し(ステップA8)、原稿の読み取りが終了するまで、ステップA3〜ステップA7の処理を繰り返し、原稿の読み取りが終了した場合に(ステップA8/Yes)、処理を終了する(End)。
【0059】
本実施形態では、他方面からの裏写りがあるか否か判定し、他方面からの裏写りがある場合は、その他方面からの裏写りがある部分の地肌除去を行うことにしている(図8参照)。図8では、裏面側に他方面(表面)からの裏写りがあると判定し、他方面(表面)からの裏写りを除去している。これにより、他方面からの裏写りの画像を除去することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0061】
本実施形態は、上述した第1、第2の実施形態の読取装置を搭載した画像形成装置について説明する。図9は、本実施形態の画像形成装置の概略構成例を示す図である。
【0062】
本実施形態の画像形成装置100の上面には、コンタクトガラス28が設けられている。また、画像形成装置100の上部には、自動原稿送り装置(以下、単にADFという)201が設けられており、このADF201は、コンタクトガラス28を開閉するように画像形成装置100にヒンジ(図示せず)等を介して連結している。
【0063】
ADF201は、複数の原稿からなる原稿束を載置可能な原稿載置台としての原稿トレイ202と、原稿トレイ202に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離してコンタクトガラス28に向かって搬送する分離・搬送手段と、を有し、分離・搬送手段によってコンタクトガラス28に向かって搬送された原稿をコンタクトガラス28上の読取位置に搬送・停止させると共に、コンタクトガラス28の下方に配設された読取装置40で読み取りが終了した原稿をコンタクトガラス28から搬出する。読取装置40は、露光ランプ29、ミラー30、31、32、レンズ35、CCD36等で構成する。
【0064】
給紙モータ(図示せず)は、コントローラ(図示せず)からの出力信号により駆動し、コントローラは、画像形成装置100から給紙スタート信号が入力されると、給紙モータを正・逆転駆動する。給紙モータが正転駆動すると、給送ローラ203が時計方向に回転し、原稿束から最上位に位置する原稿が給紙され、コンタクトガラス28に向かって搬送される。この原稿の先端が原稿セット検知センサ207により検知され、コントローラは、原稿セット検知センサ207からの出力信号に基づいて給紙モータを逆転駆動する。これにより、後続の原稿が給紙ローラ203から進入するのを防止し、後続の原稿を分離しないようにしている。
【0065】
また、コントローラは、原稿セット検知センサ207が原稿の後端を検知した検知時点からの給送ベルトモータの回転パルスを計数し、その計数した回転パルスが所定値に達した場合に給送ベルト204を停止し、原稿をコンタクトガラス28の読取位置に停止させるようにしている。また、コントローラは、原稿セット検知センサ207により原稿の後端が検知された時点で、給紙モータを再び駆動し、後続の原稿を上述したように分離してコンタクトガラス28に向かって搬送し、この原稿が原稿セット検知センサ207により検知された時点からの給紙モータのパルスが所定パルスに到達した場合に給紙モータを停止して次原稿を先出して待機させるようにしている。そして、原稿がコンタクトガラス28の読取位置に停止した時に、画像形成装置100によって原稿の読み取り及び露光を行うようにしている。この原稿の読み取り及び露光が終了すると、コントローラに画像形成装置100から信号が入力され、コントローラは、この信号を受け付けた場合に、給送ベルトモータを正転駆動し、給送ベルト204によって原稿をコンタクトガラス28から排送ローラ205に搬出する。
【0066】
上記のように、ADF201にある原稿トレイ202に原稿の画像面を上にして置かれた原稿束は、操作部上のプリントキーが押下されると、一番上の原稿からコンタクトガラス28上の所定の位置に給送される。給送された原稿は、読取ユニットによってコンタクトガラス28上の原稿の画像データを読み取り、給送ベルト204および反転駆動コロによって排出口A(原稿反転排出時の排出口)に排出される。さらに、原稿トレイ202に次の原稿が有ることを検知した場合は、上記の原稿と同様にコンタクトガラス28上に給送する。
【0067】
第1トレイ208、第2トレイ209、第3トレイ210に積載された転写紙は、各々第1給紙ユニット211、第2給紙ユニット212、第3給紙ユニット213によって給紙され、縦搬送ユニット214によって感光体215に当接する位置まで搬送される。読取ユニットにて読み込まれた画像データは、書込ユニット257からのレーザによって感光体215に書き込まれ、現像ユニット227を通過することにより感光体215上にトナー像が形成される。
【0068】
転写紙は、感光体215の回転と等速で搬送ベルト216により搬送されながら、感光体215上のトナー像が転写される。その後、定着ユニット217にて画像を定着させ、排紙ユニット218に搬送される。排紙ユニット218に搬送された転写紙は、ステープルモードを行わない場合は、排紙トレイ219に排紙される。
【0069】
本実施形態の画像形成装置100は、上述した第1、第2の読取装置40を搭載し、読取装置40で読み取った原稿の画像データを基に、感光体215上にトナー像を形成し、そのトナー像を転写紙上に転写して転写紙上に画像を形成することができる。
【0070】
このように、本実施形態の読取装置は、表面画像と裏面画像とのそれぞれの地肌レベルを原稿読み取りの最中に逐次検出し、その検出した表面と裏面との地肌レベルを合わせることにしている。これにより、本実施形態の読取装置は、原稿の紙質や紙厚によらず、原稿の表面と裏面との画像を合わせることができる。
【0071】
また、本実施形態の読取装置は、地肌レベルの出力値をユーザまたはオペレータが設定可能にすることで、原稿の表面及び裏面の画像を合わせることができる上に、画像の出力値を自在に調整することができる。
【0072】
また、本実施形態の読取装置は、R,G,B各色の表面、裏面の画像を合わせることができる。また、画像の出力値(即ち、画像の濃淡と色合い)を自在に調整することができる。
【0073】
また、本実施形態の読取装置は、他方面(表面なら裏面、裏面なら表面)からの裏写りの画像を除去することができる。
【0074】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0075】
例えば、上述した本実施形態の読取装置や画像形成装置を構成する各部の制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0076】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0077】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0078】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0079】
また、本実施形態における読取装置や画像形成装置は、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する部の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 スキャナ部
11 光源ランプ
12 第1キャリッジ
13 第2キャリッジ
14 レンズ
15 読取窓
21 白対抗板
22 CIS
23 白ローラ
30 ADF
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2003−32504号公報
【特許文献2】特許第2941295号公報
【特許文献3】特許第4127603号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された原稿の表面を読み取る表面読取手段と、前記原稿の裏面を読み取る裏面読取手段と、を有する読取装置であって、
前記表面読取手段で読み取って得られた前記原稿の表面画像と、前記裏面読取手段で読み取って得られた前記原稿の裏面画像と、の地肌レベルを検出する検出手段と、
前記表面画像の地肌レベルと、前記裏面画像の地肌レベルと、を同じレベルに合わせる制御手段と、
を有することを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記レベルを設定する設定手段を有することを特徴とする請求項1記載の読取装置。
【請求項3】
前記設定手段は、R,G,B毎に前記レベルを設定することを特徴とする請求項2記載の読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記地肌レベルを基に、他方面からの裏写りがある場合は、その他方面からの裏写りがある部分の地肌除去を行うことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の読取装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された原稿の表面を読み取る表面読取手段と、前記原稿の裏面を読み取る裏面読取手段と、を有する読取装置で行う制御方法であって、
前記表面読取手段で読み取って得られた前記原稿の表面画像と、前記裏面読取手段で読み取って得られた前記原稿の裏面画像と、の地肌レベルを検出する検出工程と、
前記表面画像の地肌レベルと、前記裏面画像の地肌レベルと、を同じレベルに合わせる制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された原稿の表面を読み取る表面読取手段と、前記原稿の裏面を読み取る裏面読取手段と、を有する読取装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記表面読取手段で読み取って得られた前記原稿の表面画像と、前記裏面読取手段で読み取って得られた前記原稿の裏面画像と、の地肌レベルを検出する検出処理と、
前記表面画像の地肌レベルと、前記裏面画像の地肌レベルと、を同じレベルに合わせる制御処理と、
を、前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−104925(P2012−104925A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249837(P2010−249837)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】