説明

読取装置

【課題】原稿の読み取りが可能な読取装置を接続することによって原稿の両面の読み取りが可能となる読取装置を提供する。
【解決手段】ピックアップローラ21によってスキャナ1の内部に取り込まれた原稿は搬送経路Sに沿ってプラテンガラス30まで搬送され、原稿読取部によって下面画像が読み取られる。排出ローラ25a,25bによってスキャナ1の外部へ排出された原稿は第2の読取装置5の内部に取り込まれ、搬送ローラ52a,52bによってプラテンガラス60まで搬送され、上面読取部によって上面画像が読み取られる。制御部は、原稿読取部が取得した画像データ又は上面読取部が取得した画像データをページメモリに蓄積する際にページメモリの残容量を検出し、所定量以上無い場合、原稿読取部による原稿の読み取り又は下面読取部による原稿の読み取りを一時停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の片面の読み取りが可能な読取装置を接続することによって原稿の両面の読み取りが可能となる読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ装置等の装置は、例えば光電変換素子を主走査方向(原稿の搬送方向に直交する方向)に多数並べたCCD(Charge Coupled Device )ラインセンサ等を有する光学系により構成された画像読取装置を備えている。また、ADF(Auto Document Feeder)機構を備え、所定の載置台にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ分離して装置本体へ取り込み、取り込んだ原稿を順次読み取って画像データを取得するように構成された原稿読取装置が普及している。
【0003】
ADF機構を備えた原稿読取装置には、複数枚の原稿から分離されて搬送されてくる原稿の片面のみを読み取る片面読取方式の装置と、両面を読み取る両面読取方式の装置とがある。また、両面読取方式の装置には、CCDラインセンサ等で構成される読取部を2組備え、1回の搬送動作においてそれぞれの読取部によって原稿の両面を読み取る装置と、1組の読取部及び原稿の表裏を反転させる表裏反転機構を備え、1組の読取部によって原稿の一面を読み取った後、表裏反転機構によって表裏を反転させて他面を読み取ることによって原稿の両面を読み取る装置とがある。
【0004】
また、特許文献1には、片面読取方式の読取装置によって複数の原稿を一面側から1枚ずつ読み取った画像データを管理する電子ファイル装置が開示されている。特許文献1の電子ファイル装置によれば、原稿を読み取る際に原稿のセット方向が表面であるか裏面であるかを設定し、読取装置によって複数の原稿を一面側から読み取った後、前記原稿を他面側から読み取る。そして、設定されたセット方向に基づいて、各原稿から読み取った画像データのページ番号が元の原稿のページ順となるようなページ管理情報を生成し、このページ管理情報に基づいて各画像データを管理する。これにより、片面読取方式の読取装置を用いた場合であっても、原稿の両面から読み取った画像データの管理が可能となる。
【特許文献1】特開平2−140877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1の装置では、片面読取方式の読取装置によって原稿の両面からそれぞれ読み取った画像データの管理が可能となるが、各原稿の各面から読み取った画像データを元の原稿のページ順に再配列する際には、各原稿の読取順序も考慮する必要があり、制御処理が煩雑となるという問題がある。また、2組の読取部を備えた読取装置では、読取部を1組のみ備えた読取装置と比較して部品コストが増大すると共に、2組の読取部によって読み取られた画像データを適切に処理する必要があるので制御処理が煩雑となるという問題がある。更に、表裏反転機構を備えた読取装置は、表裏反転機構を構成する部品が必要であり、部品コストが増大すると共に、表裏反転機構の制御が煩雑となるという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、原稿の読み取りが可能な読取装置を接続することによって原稿の両面の読み取りを可能にする読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る読取装置は、原稿を搬送する第1の搬送部と、該第1の搬送部によって搬送される原稿を読み取って画像データを取得する第1の読取部とを備える第1の読取装置において、前記第1の読取部によって読み取られた原稿を搬送する第2の搬送部、及び該第2の搬送部によって搬送される原稿を読み取って画像データを取得する第2の読取部を有する第2の読取装置を接続することが可能な接続部と、該接続部を介して接続された第2の読取装置から画像データを取得する取得部と、前記第1の読取部が取得した画像データ及び前記第2の読取装置から取得した画像データを順次記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された画像データを読み出して符号化を行なう符号化部と、前記記憶部の残容量を検出する検出部と、該検出部が検出した残容量に基づいて、前記第1の読取部又は前記第2の読取部による原稿の読取処理を一時停止させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、原稿を読み取る第1の読取部を有する第1の読取装置が、第2の読取部を有する第2の読取装置の接続が可能に構成されており、第1の読取部が取得した画像データ及び第2の読取部が取得した画像データを記憶する記憶部を備え、記憶部の残容量に基づいて、第1の読取部又は第2の読取部による原稿の読取処理を一時停止させる。
【0009】
本発明に係る読取装置は、前記第1の読取部は、原稿の第1面を読み取って画像データを取得するように構成されており、前記第2の読取装置が前記接続部に着脱可能に接続された場合、前記第2の読取部は、前記第1の読取部による原稿の読取位置から前記第1の搬送部及び前記第2の搬送部による搬送距離が所定距離以上離隔した位置で前記原稿の第2面を読み取るように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、原稿の第1面(例えば表面)を読み取る第1の読取部を有する原稿読取装置に、第1の読取部に読み取られた原稿の第2面(例えば裏面)を読み取る第2の読取部が着脱可能に接続された場合、第2の読取部は、第1の読取部による原稿の読取位置から搬送距離が所定距離以上離隔した位置で原稿の第2面を読み取る。
【0011】
本発明に係る読取装置は、原稿を読み取って画像データを取得する第1の読取部を有する第1の読取装置に接続することが可能な接続部と、該接続部を介して接続された第1の読取装置によって読み取られた原稿を搬送する搬送部と、該搬送部によって搬送される原稿を読み取って画像データを取得する第2の読取部と、該第2の読取部が取得した画像データを前記第1の読取装置へ送出する送出部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、原稿を読み取る第1の読取装置との接続が可能に構成された第2の読取装置が、接続された第1の読取装置によって読み取られた原稿を読み取り、取得した画像データを第1の読取装置へ送出する。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、原稿の片面のみの読み取りが可能な安価な第1の読取装置であっても、原稿の片面の読み取りが可能な第2の読取装置を接続することによって原稿の両面の読み取りが可能となる。また、第2の読取装置が有する第2の読取部による原稿の読取位置を、第1の読取装置が有する第1の読取部による原稿の読取位置よりも搬送距離が所定距離以上離隔した位置とすることにより、第1の読取装置による原稿の読取処理が完了してからある程度の時間が経過した後に第2の読取装置による原稿の読取処理を開始することができる。
【0014】
本発明では、第1の読取装置が有する第1の読取部及び第2の読取装置が有する第2の読取部がそれぞれ取得した画像データは第1の読取装置の記憶部に記憶される。第1の読取装置は、記憶部の残容量に基づいて、第1の読取部又は第2の読取部による原稿の読取処理を一時停止させるので、記憶部の記憶容量が少ない安価な第1の読取装置であっても、第1の読取部及び第2の読取部によって原稿の両面からそれぞれ読み取られた画像データを効率よく記憶部に記憶させることができる。また、第2の読取部が取得した画像データは第1の読取装置によって符号化されるので、第2の読取装置は原稿を搬送して読み取る処理のみを行なえばよい。更に、第1の読取部によって取得された画像データは、記憶部に記憶されてから第2の読取部による読取処理が開始されるまでの間に順次符号化されるので、記憶部の残容量をある程度確保することができ、第1の読取部及び第2の読取部によって原稿の両面それぞれから読み取られた画像データを効率よく記憶部に記憶させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明に係る読取装置を、イメージスキャナ(以下、スキャナという)に適用した実施形態に基づいて詳述する。図1は本実施形態に係るスキャナの外観を示す模式図である。
【0016】
本実施形態のスキャナ(第1の読取装置)1は、装置本体の上面に、複数枚の原稿をフェイスアップの状態で積層する原稿トレイ20と、原稿トレイ20上に積層された原稿を1枚ずつ分離して装置内部へ搬送するADF機構の原稿搬送部2と、操作パネル4とを備えている。原稿トレイ20の上面には、積層された原稿の幅方向の位置を規制する原稿規制板20a,20aが原稿の搬送方向に直交する方向に移動可能に取り付けられている。なお、原稿規制板20a,20aは、原稿トレイ20の中央に原稿が積層されるように原稿の位置を規制する。
【0017】
原稿トレイ20上に積層された原稿は、原稿搬送部2によって装置内部へ取り込まれた場合、スキャナ1によって処理された後、原稿トレイ20の下部に排出される。ここで、本実施形態のスキャナ1は、原稿搬送部2によって原稿が排出される装置本体の上面と、原稿トレイ20との間に、第2の読取装置5の着脱が可能に構成されている。第2の読取装置5は、図1中の矢符Aで示す方向にスキャナ1への装着が可能に構成されている。第2の読取装置5がスキャナ1に装着された場合、原稿搬送部2によって排出された原稿を取り込むための給送口50が第2の読取装置5の一側面に開口されている。また、第2の読取装置5には、給送口50が設けられた側面の反対側の側面に、第2の読取装置5によって処理された原稿が排出される排出口及び排出トレイ51(図2参照)が設けられている。
【0018】
スキャナ1及び第2の読取装置5は、適切に装着された場合に装着された状態を維持するための固定部(図示せず)を有すると共に、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルのようなケーブルを介して電気的にも接続される。スキャナ1は、ケーブルを介して第2の読取装置5が接続された場合、ケーブルを介して第2の読取装置5の動作を制御する。従って、第2の読取装置5は、ケーブルを介してスキャナ1に接続された場合、スキャナ1からの制御に従って動作する。
【0019】
図2はスキャナ1及び第2の読取装置5の内部構成例を示す縦断面図である。なお、図2は、スキャナ1に第2の読取装置5を装着した状態で、図1中の矢符Bで示す方向からスキャナ1及び第2の読取装置5を見た断面を示している。スキャナ1の内部の所定位置にはプラテンガラス30が配置されている。スキャナ1の内部には、原稿トレイ20上に積層された原稿を最上層から1枚ずつ取り込むためのピックアップローラ21、ピックアップローラ21によって複数枚の原稿から1枚ずつ取り込まれた原稿を装置内部へ搬送するためのセパレートローラ22及びリタードローラ23がそれぞれ適宜箇所に設けられている。
【0020】
セパレートローラ22及びリタードローラ23はそれぞれ、制御部10(図3参照)からの指示に従って動作する駆動回路によって回転駆動される。ピックアップローラ21とセパレートローラ22との間にはベルト22aが張架されており、駆動回路によって制御されるセパレートローラ22の回転がベルト22aを介してピックアップローラ21に伝達され、ピックアップローラ21を最上層の原稿に押圧させると共に、ピックアップローラ21を回転させてセパレートローラ22に向けて最上層の原稿を給紙させる。また、ピックアップローラ21及びセパレートローラ22は原稿を搬送経路Sに沿って搬送させる方向に回転するように制御されるが、リタードローラ23は逆方向に回転するように制御される。これにより、重送状態の原稿をセパレートローラ22及びリタードローラ23の回転によって1枚ずつ分離して搬送することができる。
【0021】
スキャナ1の内部には、更に、セパレートローラ22及びリタードローラ23によって装置内部へ取り込まれた原稿を搬送経路Sに沿ってプラテンガラス30の上面まで搬送するための搬送ローラ24a,24b,24c、プラテンガラス30の上面まで搬送された原稿を搬送経路Sに沿って外部へ排出するための排出ローラ25a,25bがそれぞれ適宜箇所に設けられている。従って、原稿搬送部2は、ピックアップローラ21、セパレートローラ22、リタードローラ23、搬送ローラ24a,24b,24c、排出ローラ25a,25b等によって構成される。
【0022】
プラテンガラス30の下部には、白色蛍光灯又は冷陰極管等からなり、プラテンガラス30まで搬送されてきた原稿の下面に光を照射する光源ランプ31と、プラテンガラス30まで搬送されてきた原稿の下面からの反射光を結像レンズ33へ導くためのミラー32とをそれぞれ所定箇所に、長手方向を原稿の搬送方向に直交させて配置してある。プラテンガラス30の下部には、更に、ミラー32によって光路が変更された原稿の下面からの反射光を集光する結像レンズ33と、結像レンズ33を通して入射される反射光を取得するCCDラインセンサ等からなるイメージセンサ34とを備えている。
【0023】
このような構成により、1枚ずつ分離されて搬送されてくる原稿が、プラテンガラス30上で下方から光源ランプ31によって光が照射され、この光の原稿からの反射光を1ラインずつイメージセンサ34が取り込む。1枚の原稿がプラテンガラス30を通過するまでの間、イメージセンサ34は、原稿からの反射光の取得を継続することにより、1枚分の原稿の下面画像の読み取りを行なう。なお、光源ランプ31、ミラー32、結像レンズ33及びイメージセンサ34は、搬送されてくる原稿の下面(第1面)画像を読み取る原稿読取部(以下、下面読取部ともいう)3(図3参照)を構成する。
【0024】
原稿の搬送経路S上の所定箇所には原稿の通過を検知するセンサ26が設けられている。原稿読取部3は、原稿の先端が通過したことがセンサ26によって検知された場合、制御部10からの指示に従って原稿の下面画像の読取処理を開始する。また、原稿の後端が通過したことがセンサ26によって検知された場合、原稿読取部3は、制御部10からの指示に従って原稿の下面画像の読取処理を終了する。なお、プラテンガラス30の上部にバックプレートを配置し、プラテンガラス30まで搬送されてきた原稿を読み取る際にバックプレートによって原稿をプラテンガラス30の上面に押し付けるように構成してもよく、この場合、原稿を精度よく読み取ることができる。
【0025】
なお、原稿トレイ20の所定箇所には、原稿トレイ20上に原稿が有るか否かを検知するセンサ(図示せず)が設けられている。原稿トレイ20上に積層された原稿を原稿搬送部2が順次スキャナ1の内部へ搬送している間に、このセンサによって原稿トレイ20上に原稿が無いことが検知された場合、原稿搬送部2は、制御部10からの指示に従って原稿の搬送処理を終了し、原稿読取部3は、制御部10からの指示に従って原稿の読取処理を終了する。
【0026】
第2の読取装置5の内部には、所定位置にプラテンガラス60が配置されている。第2の読取装置5の内部には、スキャナ1の排出ローラ25a,25bによってスキャナ1から排出された原稿をプラテンガラス60の上面まで搬送するための搬送ローラ52a,52b、プラテンガラス30の上面まで搬送された原稿を外部へ排出するための排出ローラ52c,52dがそれぞれ適宜箇所に設けられている。なお、搬送ローラ52a,52b及び排出ローラ52c,52dは、スキャナ1の原稿読取部3によって下面画像を読み取られた原稿を第2の読取装置5の内部において搬送する搬送部(第2の搬送部)52(図3参照)を構成する。
【0027】
プラテンガラス60の上部には、白色蛍光灯又は冷陰極管等からなり、プラテンガラス60まで搬送されてきた原稿の上面に光を照射する光源ランプ61と、プラテンガラス60まで搬送されてきた原稿の上面からの反射光を結像レンズ63へ導くためのミラー62とをそれぞれ所定箇所に、長手方向を原稿の搬送方向に直交させて配置してある。プラテンガラス60の上部には、更に、ミラー62によって光路が変更された原稿の上面からの反射光を集光する結像レンズ63と、結像レンズ63を通して入射される反射光を取得するCCDラインセンサ等からなるイメージセンサ64とを備えている。
【0028】
このような構成により、スキャナ1から排出されて第2の読取装置5の内部に取り込まれた原稿が、プラテンガラス60上で上方から光源ランプ61によって光が照射され、この光の原稿からの反射光を1ラインずつイメージセンサ64が取り込む。1枚の原稿がプラテンガラス60を通過するまでの間、イメージセンサ64は、原稿からの反射光の取得を継続することにより、1枚分の原稿の上面画像の読み取りを行なう。なお、光源ランプ61、ミラー62、結像レンズ63及びイメージセンサ64は、スキャナ1の原稿読取部3によって下面画像を読み取られた原稿の上面(第2面)画像を読み取る上面読取部(第2の読取部)6(図3参照)を構成する。
【0029】
第2の読取装置5内部の原稿の搬送経路上の所定箇所にも原稿の通過を検知するセンサ52eが設けられている。上面読取部6は、原稿の先端が通過したことがセンサ52eによって検知された場合、制御部10からの指示に従って原稿の上面画像の読取処理を開始する。また、原稿の後端が通過したことがセンサ52eによって検知された場合、上面読取部6は、制御部10からの指示に従って原稿の上面画像の読取処理を終了する。なお、第2の読取装置5のセンサ52eによって原稿の後端が第2の読取装置5内部の所定箇所を通過したことが検知された場合に、スキャナ1の原稿搬送部2は、制御部10からの指示に従って、セパレートローラ22を回転駆動させる駆動回路を動作させ、次の原稿の搬送を開始する。
【0030】
図3はスキャナ1及び第2の読取装置5の制御系の構成例を示すブロック図である。スキャナ1は、制御部10、ROM11、RAM12、原稿搬送部2、原稿読取部3、ページメモリ13、画像処理部14、CODEC15、画像メモリ16、操作部40、表示部41、通信部17、接続部18等を備えており、夫々はバス1aを介して相互に接続されている。
【0031】
制御部10は、具体的にはCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)等で構成されており、バス1aを介して接続される上述したようなハードウェア各部を制御すると共に、ROM11に格納された制御プログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実現する。ROM11は、スキャナ1を本発明の第1の読取装置として動作させるために必要な種々の制御プログラムを予め記憶している。RAM12は、SRAM又はフラッシュメモリ等で構成され、制御部10による制御プログラムの実行時に発生するデータを一時的に記憶する。
【0032】
原稿搬送部(第1の搬送部)2は、上述した構成により、原稿トレイ20上に積層された複数枚の原稿を1枚ずつ分離して原稿読取部3による読取位置まで搬送すると共に、原稿読取部3によって読み取られた原稿をスキャナ1の外部へ排出する。原稿読取部(第1の読取部)3は、上述した構成により、原稿搬送部2によって搬送されてくる原稿の下面画像を読み取って画像データ(以下、下面画像データという)を取得する。原稿読取部3は、原稿の下面から読み取った下面画像データをページメモリ13へ出力する。
【0033】
ページメモリ13は、原稿読取部3が原稿の下面から読み取った下面画像データを一時的に記憶するためのメモリである。ページメモリ13に記憶された下面画像データは、制御部10からの指示によって画像処理部14へ出力される。画像処理部14は、ページメモリ13から出力された下面画像データに、原稿読取部3に含まれる照明系、結像系及び撮像系で生じた各種の歪みを取り除くシェーディング補正、各種の色調整等を行ない、処理した下面画像データをCODEC15へ出力する。
【0034】
CODEC15は、画像処理部14から出力された下面画像データに、例えばJPEG等の所定の符号化処理を行ない、得られた下面画像データを画像メモリ16に記憶させる。画像メモリ16は、DRAM又はフラッシュメモリ等により構成されており、原稿読取部3により原稿の下面から読み取られて画像処理部14及びCODEC15により所定の処理が施された下面画像データを記憶する。
【0035】
操作部40は、ユーザがスキャナ1を操作するために必要な各種のキーを備えている。ユーザにより各キーが操作された場合、操作部40は操作されたキーに対応した制御信号を制御部10へ送出する。制御部10は操作部40から取得した制御信号に対応した処理を実行する。表示部41は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)で構成されており、スキャナ1の動作状況、ユーザに通知すべき情報、操作部40から入力された情報等を表示する。尚、表示部41をタッチパネル方式のものとすることにより、操作部40の各種のキーのうちの一部又は全部を代用することも可能である。本実施形態では、操作部40及び表示部41によって操作パネル4が構成される。
【0036】
通信部17は、例えばLANのようなネットワーク(図示せず)に接続するためのインタフェースであり、画像メモリ16に記憶してある画像データを、ネットワークに接続されている外部の装置へ送信する。これにより、スキャナ1は、原稿から読み取った画像データをネットワークを介して外部の装置へ送信するネットワークスキャナとして機能する。接続部18は、例えばUSBケーブルのようなケーブルCを接続するためのインタフェースであり、ケーブルCを介して第2の読取装置5と接続される。
【0037】
第2の読取装置5は、搬送部52、上面読取部6、接続部53等を備えており、夫々はバス5aを介して相互に接続されている。搬送部52は、上述した構成により、スキャナ1から排出された原稿を上面読取部6による読取位置まで搬送すると共に、上面読取部6によって読み取られた原稿を排出トレイ51まで搬送する。上面読取部6は、上述した構成により、搬送部52によって搬送されてくる原稿の上面画像を読み取って画像データ(以下、上面画像データという)を取得する。
【0038】
上述した構成のスキャナ1は、ケーブルCを介して第2の読取装置5が接続された場合、制御部10が、ケーブルCを介して第2の読取装置5の動作を制御する。具体的には、例えばユーザが操作部40を介して原稿の両面の読取処理を指示した場合、制御部10は、原稿搬送部2及び下面読取部3を動作させて原稿の下面画像を読み取って下面画像データを取得した後、第2の読取装置5の搬送部52及び上面読取部6を動作させて原稿の上面画像を読み取って上面画像データを取得する。第2の読取装置5は、上面読取部6が取得した上面画像データを接続部(送出部)53を介して順次スキャナ1へ送出し、スキャナ1の制御部10は、接続部(取得部)18を介して第2の読取装置5から取得した上面画像データをページメモリ(記憶部)13に記憶させる。
【0039】
ここで、画像処理部14及びCODEC(符号化部)15は、下面読取部3によって原稿の下面から読み取られた下面画像データのページメモリ13への蓄積が開始されると共に、ページメモリ13に記憶された下面画像データに対する所定の処理を開始する。
【0040】
第2の読取装置5は、スキャナ1に装着された場合、スキャナ1の下面読取部3による原稿の読取位置から所定距離以上、例えば、スキャナ1がA4サイズの原稿の読み取りが可能に構成されている場合にはA4サイズの原稿の長辺の長さ以上の距離を隔てた位置が、上面読取部6による原稿の読取位置となるように構成されている。従って、スキャナ1の下面読取部3によって下面画像が読み取られた原稿が第2の読取装置5の上面読取部6まで搬送されてくる間に、下面読取部3によって読み取られてページメモリ13に記憶された画像データの画像処理部14及びCODEC15による所定の処理が開始されることになる。よって、下面読取部3によって取得された画像データが記憶されているページメモリ13は、上面読取部6による原稿の上面画像の読み取りが開始されるまでに、ある程度の空き領域が生じる。
【0041】
本実施形態では、制御部(検出部)10は、下面読取部3によって原稿の下面から読み取った下面画像データをページメモリ13に蓄積する際、又は、第2の読取装置5の上面読取部6によって原稿の上面から読み取った上面画像データをページメモリ13に蓄積する際に、ページメモリ13の残容量を検出するように構成されている。検出したページメモリ13の残容量が所定量以上無い場合、例えば、A4サイズの原稿1枚を2400dpiの解像度でカラー画像として読み取った場合のデータ量以上無い場合、制御部10は、原稿搬送部2による原稿の搬送又は第2の読取装置5の搬送部52による原稿の搬送を一時停止させると共に、下面読取部3による原稿の読み取り又は上面読取部6による原稿の読み取りを一時停止させる。
【0042】
その後、画像処理部14及びCODEC15による処理の実行に伴ってページメモリ13の残容量が所定量以上となった場合、制御部10は、原稿搬送部2による原稿の搬送又は第2の読取装置5の搬送部52による原稿の搬送を再開させると共に、下面読取部3による原稿の読み取り又は上面読取部6による原稿の読み取りを再開させることにより、下面読取部3によって取得された下面画像データ又は上面読取部6によって取得された上面画像データのページメモリ13への蓄積を再開する。
【0043】
以下に、上述した構成のスキャナ1及び第2の読取装置5による原稿画像の読取処理について説明する。図4及び図5はスキャナ1による原稿画像の読取処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、ROM11に格納されている制御プログラムに従って制御部10により実行される。
【0044】
制御部10は、例えばユーザが操作部40を介して原稿画像の両面の読取処理を指示した場合、原稿搬送部2を動作させて原稿の搬送を開始する(S1)。制御部10は、センサ26が原稿の先端を検知したか否かを判断し(S2)、先端を検知していない場合(S2:NO)、センサ26が原稿の先端を検知するまで待機する。センサ26が原稿の先端を検知した場合(S2:YES)、制御部10は、ページメモリ13の残容量を検出し(S3)、所定量以上、例えば原稿1枚分以上の残容量が有るか否かを判断する(S4)。
【0045】
残容量が無いと判断した場合(S4:NO)、制御部10は、原稿搬送部2による原稿の搬送を一時停止し(S5)、所定の時間間隔でページメモリ13の残容量を再度検出する(S3)。ページメモリ13の残容量が所定量以上有ると判断した場合(S4:YES)、制御部10は、原稿搬送部2による原稿の搬送を一時停止しているか否かを判断する(S6)。原稿の搬送を一時停止している場合には(S6:YES)、制御部10は、原稿搬送部2による原稿の搬送を再開させ(S7)、搬送されてくる原稿の下面画像の下面読取部3による読み取りを開始し、下面読取部3が読み取った下面画像データのページメモリ13への蓄積を開始する(S8)。
【0046】
原稿搬送部2による原稿の搬送を一時停止していない場合(S6:NO)、制御部10は、ステップS7の処理をスキップし、搬送されてくる原稿の下面画像の下面読取部3による読取処理を開始する。制御部10は、下面読取部3による原稿の読取処理の開始後、ページメモリ13に蓄積された下面画像データに対して、画像処理部14による画像処理と共に、所定の画像処理が実行された下面画像データに対してCODEC15による符号化を開始する(S9)。
【0047】
制御部10は、センサ26が原稿の後端を検知したか否かを判断し(S10)、後端を検知していない場合(S10:NO)、センサ26が原稿の後端を検知するまで、ステップS8で開始した下面画像データのページメモリ13への蓄積と、ステップS9で開始した下面画像データの符号化とを継続する。センサ26が原稿の後端を検知した場合(S10:YES)、制御部10は、ステップS8で開始した下面画像データのページメモリ13への蓄積を終了する(S11)。これにより、スキャナ1は原稿の下面からの画像データの読取処理を完了する。
【0048】
次に制御部10は、ケーブルCを介して接続された第2の読取装置5のセンサ52eが原稿の先端を検知したか否かを判断し(S12)、先端を検知していない場合(S12:NO)、センサ52eが原稿の先端を検知するまで待機する。センサ52eが原稿の先端を検知した場合(S12:YES)、制御部10は、ページメモリ13の残容量を検出し(S13)、所定量以上、例えば原稿1枚分以上の残容量が有るか否かを判断する(S14)。
【0049】
残容量が無いと判断した場合(S14:NO)、制御部10は、ケーブルCを介して第2の読取装置5の搬送部52による原稿の搬送を一時停止し(S15)、所定の時間間隔でページメモリ13の残容量を再度検出する(S13)。ページメモリ13の残容量が所定量以上有ると判断した場合(S14:YES)、制御部10は、第2の読取装置5の搬送部52による原稿の搬送を一時停止しているか否かを判断する(S16)。原稿の搬送を一時停止している場合には(S16:YES)、制御部10は、搬送部52による原稿の搬送を再開させ(S17)、搬送されてくる原稿の上面画像の上面読取部6による読み取りを開始し、上面読取部6が読み取った上面画像データのページメモリ13への蓄積を開始する(S18)。
【0050】
搬送部52による原稿の搬送を一時停止していない場合(S16:NO)、制御部10は、ステップS17の処理をスキップし、搬送されてくる原稿の上面画像の上面読取部6による読取処理を開始する。制御部10は、ステップS9で開始したCODEC15による下面画像データの符号化を終了したか否かを判断し(S19)、終了していない場合(S19:NO)、下面画像データの符号化を終了するまで、ステップS18で開始した上面画像データのページメモリ13への蓄積を継続する。
【0051】
CODEC15による下面画像データの符号化を終了した場合(S19:YES)、制御部10は、ページメモリ13に既に蓄積された上面画像データに対して、画像処理部14による画像処理と共に、CODEC15による符号化を開始する(S20)。制御部10は、第2の読取装置5のセンサ52eが原稿の後端を検知したか否かを判断し(S21)、後端を検知していない場合(S21:NO)、センサ52eが原稿の後端を検知するまで、ステップS18で開始した上面画像データのページメモリ13への蓄積と、ステップS20で開始した上面画像データの符号化とを継続する。
【0052】
センサ52eが原稿の後端を検知した場合(S21:YES)、制御部10は、ステップS18で開始した上面画像データのページメモリ13への蓄積を終了する(S22)。これにより、スキャナ1は原稿の上面からの画像データの読取処理を完了する。制御部10は、原稿トレイ20上に原稿が有るか否かを判断し(S23)、原稿が有ると判断した場合(S23:YES)、ステップS1に処理を戻し、原稿搬送部2を動作させて次の原稿の搬送を開始する(S1)。
【0053】
原稿が無いと判断した場合(S23:NO)、制御部10は、ステップS20で開始したCODEC15による上面画像データの符号化を終了したか否かを判断し(S24)、終了していない場合(S24:NO)、上面画像データの符号化を継続し、上面画像データの符号化を終了した場合(S24:YES)、上述した処理を終了する。
【0054】
上述したように、原稿の表裏反転機構を有しないADF機構を備えたスキャナ1に、第2の読取装置5を装着することによって原稿の両面の読み取りが可能となる。第2の読取装置5の上面読取部6によって原稿の上面から読み取られた画像データは、スキャナ1のページメモリ13に蓄積されると共に、画像処理部14及びCODEC15によって各処理が実行されるため、第2の読取装置5は、原稿を搬送する搬送部52及び原稿の上面画像を読み取る上面読取部6のみを備えればよく、安価に構成することができる。
【0055】
また、スキャナ1の原稿読取部3による原稿の読取位置と、第2の読取装置5の上面読取部6による原稿の読取位置とが所定距離以上を隔てるように構成されることにより、スキャナ1の原稿読取部3によって下面画像が読み取られた原稿が第2の読取装置5の上面読取部6まで搬送されてくる間に、原稿読取部3によって読み取られてページメモリ13に記憶された画像データの画像処理部14及びCODEC15による所定の処理がある程度実行されることになるので、ページメモリ13にはある程度の空き領域が発生する。従って、ページメモリ13の記憶容量が少ない場合であっても、原稿の両面から読み取った画像データを効率よくページメモリ13に蓄積することができるので、原稿の両面読取を効率よく行なうことができる。
【0056】
上述した実施形態では、本発明の読取装置をスキャナ1に適用した例について説明したが、原稿から画像を読み取る読取装置を備えるものであればスキャナに限られない。例えば、複写機、ファクシミリ装置、複合機等においても本発明の読取装置を利用することができる。
【0057】
また、上述した実施形態では、スキャナ1の原稿読取部3を光源ランプ31、ミラー32、結像レンズ33及びCCDラインセンサ等のイメージセンサ34によって構成し、第2の読取装置5の上面読取部6を光源ランプ61、ミラー62、結像レンズ63及びCCDラインセンサ等のイメージセンサ64によって構成した例について説明した。しかし、イメージセンサ34,64はCCDラインセンサに限られず、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )センサを用いて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態に係るスキャナの外観を示す模式図である。
【図2】スキャナ及び第2の読取装置の内部構成例を示す縦断面図である。
【図3】スキャナ及び第2の読取装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図4】スキャナによる原稿画像の読取処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】スキャナによる原稿画像の読取処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 スキャナ(第1の読取装置)
10 制御部(検出部)
13 ページメモリ(記憶部)
18 接続部
2 原稿搬送部(第1の搬送部)
3 原稿読取部(第1の読取部)
5 第2の読取装置
52 搬送部(第2の搬送部)
53 接続部
6 上面読取部(第2の読取部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する第1の搬送部と、該第1の搬送部によって搬送される原稿を読み取って画像データを取得する第1の読取部とを備える第1の読取装置において、
前記第1の読取部によって読み取られた原稿を搬送する第2の搬送部、及び該第2の搬送部によって搬送される原稿を読み取って画像データを取得する第2の読取部を有する第2の読取装置を接続することが可能な接続部と、
該接続部を介して接続された第2の読取装置から画像データを取得する取得部と、
前記第1の読取部が取得した画像データ及び前記第2の読取装置から取得した画像データを順次記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶された画像データを読み出して符号化を行なう符号化部と、
前記記憶部の残容量を検出する検出部と、
該検出部が検出した残容量に基づいて、前記第1の読取部又は前記第2の読取部による原稿の読取処理を一時停止させる制御部と
を備えることを特徴とする第1の読取装置。
【請求項2】
前記第1の読取部は、原稿の第1面を読み取って画像データを取得するように構成されており、
前記第2の読取装置が前記接続部に着脱可能に接続された場合、前記第2の読取部は、前記第1の読取部による原稿の読取位置から前記第1の搬送部及び前記第2の搬送部による搬送距離が所定距離以上離隔した位置で前記原稿の第2面を読み取るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の第1の読取装置。
【請求項3】
原稿を読み取って画像データを取得する第1の読取部を有する第1の読取装置に接続することが可能な接続部と、
該接続部を介して接続された第1の読取装置によって読み取られた原稿を搬送する搬送部と、
該搬送部によって搬送される原稿を読み取って画像データを取得する第2の読取部と、
該第2の読取部が取得した画像データを前記第1の読取装置へ送出する送出部と
を備えることを特徴とする第2の読取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−294664(P2008−294664A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136978(P2007−136978)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】