説明

読影支援システム

【課題】医用画像を利用して、その医用画像における読影情報に対する評価を、その読影情報を作成した作成者が受け取れる読影支援システムを提供する。
【解決手段】医用画像を保存する医用画像保管手段003と、医用画像に対する読影情報、及び該読影情報の作成者名を医用画像に埋め込む医用画像観察用端末005と、医用画像保管手段003から医用画像を取得し表示する参照端末006と、参照端末006に取得された医用画像に読影情報が埋め込まれている場合に、参照端末006に医用画像の評価入力画面を入力可能に表示させ、参照端末006から入力を受けて該評価を医用画像保管手段003に保存されている医用画像に埋め込むとともに、該医用画像に埋め込まれた作成者名に対応する評価送信先に該評価を送信する評価管理手段004とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像の読影レポートに対する評価を行い、決められた宛先にその評価を送信する読影支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検体内部の情報を収集し、この収集した情報に基づいて被検体内部を画像化して医用画像を作成する医用診断装置が使用されている。この医用診断装置としては、超音波診断装置、X線装置、MRI装置(核磁気共鳴画像診断装置)、PET装置(核医学診断装置)等が知られている。
【0003】
そして、これら医用診断装置により作成された医用画像を格納する画像サーバや、読影医が、その画像サーバから医用画像を呼び出して、医用画像の表示や、医用画像の計測・解析といった読影を行い、読影レポートを作成し対応する医用画像と関連付けて記憶するレポートサーバなどからなる読影支援システムがある。ここで医用画像とは、例えばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に準拠するもので、患者情報などの付帯情報と画像情報から構成されるものである。
【0004】
そして、読影医に読影を依頼した医師「以下、「依頼医師」という。」は、読影医によって作成された特定の患者における読影レポート及び対応する医用画像を参照し、問診結果などのその他の該患者の情報も利用して医用画像を総合的に判断し、該患者の診断を行う。
【0005】
そして、従来の読影システムとして読影レポートの評価を読影センタに送信し、読影医の状態情報や質的評価を考慮して、検査内容に応じた適切な読影医を選択するシステム(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−268075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の医用画像読影支援システムでは、読影レポートのシステムが導入されている場合には読影レポートを、読影レポートのシステムが導入されていない場合には医用画像に添付されたコメントや矢印などの符号(アノテーション)を参照することで、依頼医師は効率的に診断を行うことはできる。しかし、このような読影レポートシステムが備わったシステムであっても、その利用された医用画像に対する読影がどのくらい役に立ったかなどの評価を依頼医師が読影医などに返すことは行われていない。そこで、読影医は自らが行った医用画像に対する読影の質を確認して将来作成する読影の質の向上に役立てようとする場合、依頼医師等に自らが作成した医用画像に対する読影の評価を聞いて周るなどするしかなかった。このように、従来は医用画像単体では読影医が自らの行った医用画像に対する読影の評価を取得することは困難であった。
【0008】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、医用画像を利用して、その医用画像におけるコメントや符号などの読影情報に対する評価を、その読影情報を作成した作成者が受け取れる読影支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の読影支援システムは、医用画像及び該医用画像に対するコメント又は符号などの読影情報を保存する医用画像保存手段と、外部からの前記読影情報に対する評価、又は外部からの前記医用画像に対応する読影レポートに対する評価の入力を受けて、前記医用画像に該評価を埋め込む評価管理手段とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載の読影支援システムは、医用画像及び該医用画像に関する情報を保存する医用画像保存手段と、前記医用画像に対する読影結果である読影レポートを保存する読影レポート保存手段と、外部からの前記読影レポートに対する評価の入力を受けて、前記医用画像に該評価を埋め込む評価管理手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の読影支援システムは、医用画像撮影装置で撮影された医用画像の保存、及び前記医用画像に対応した患者情報などのデータを管理するデータベースを有する医用画像保管手段と、前記医用画像に、該医用画像に対するコメント又は符号などの読影情報、及び該読影情報の作成者名を埋め込む医用画像観察用端末と、操作者からの指示に基づき前記医用画像保管手段から前記医用画像を取得し表示する参照端末と、前記参照端末に取得された前記医用画像に前記読影情報が埋め込まれている場合、前記参照端末に該医用画像の評価入力画面を入力可能に表示させ、前記参照端末から入力を受けて該評価又は該評価の保存先を前記医用画像保管手段に保存されている前記医用画像に埋め込むとともに、該医用画像に埋め込まれた前記作成者名に対応する評価送信先に該評価を送信する評価管理手段とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1又は請求項4に記載の読影支援システムによると、医用画像にその読影に対する評価が埋め込まれる。これにより、医用画像を参照するだけでその医用画像の読影に対する評価を把握することが可能となる。
【0013】
請求項6に記載の読影支援システムによると、医用画像に読影情報に対する評価が埋め込まれるともに、医用画像に埋め込まれた作成者名に対応した評価送信先に読影情報に対する評価又は評価に関する情報が送信される。したがって、医用画像の読影情報の作成者である読影医は容易にその読影に対する評価を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔第1の実施形態〕
以下、この発明の第1の実施形態に係る読影支援システムについて説明する。図1は本実施形態に係る読影支援システムのブロック図である。図1に示すように医用画像撮影装置001、医用画像管理装置002、医用画像観察用端末005、及び参照端末006はそれぞれネットワークを介して接続されており、互いに情報のやり取りが可能である。また、以下の説明における医用画像とは、例えばDICOM規格に準拠するもので、患者情報などの付帯情報と画像情報から構成されるものである。また、以下の説明において、医用画像への情報の埋め込みとは、具体的には、医用画像の付帯情報として該情報が追加されることをいう。
【0015】
医用画像撮影装置001は、例えば、X線装置、CT装置、MRI、又は超音波診断装置などのモダリティである。医用画像撮影装置001で撮影された被検体の医用画像は、医用画像撮影装置001からDICOMフォーマットで医用画像管理装置002へ送信される。
【0016】
医用画像管理装置002は、医用画像保管手段003及び評価管理手段004を備える。そして、医用画像保管手段003は、画像保管領域007及びデータベース008を有する。ここで、本実施形態では、医用画像保管手段003及び評価管理手段004を1つの装置に含めているが、これは別々の装置に配置することも可能である。
【0017】
医用画像保管手段003は、医用画像撮像装置001から医用画像を受けて画像保管領域007に保存するとともに、データベース008に患者ID等の患者情報及び画像UID(Unique ID)などの医用画像に付帯している情報を登録する。
【0018】
医用画像保管手段003は、医用画像観察端末005からの要求を受けて、要求に対応した医用画像を医用画像観察端末005に送る。
【0019】
医用画像保管手段003は、保存している医用画像に対するコメント及び矢印などの符号(以下、「アノテーション」という。)といった読影情報、並びに該読影情報を作成した作成者名が埋め込まれた医用画像を医用画像観察用端末005から受けて、医用画像保管領域007に保存している対応する医用画像を更新し、さらに、該医用画像に埋め込まれているコメント及びコメントのUID、アノテーション及びアノテーションのUID(以下では、コメントのUID及びアノテーションのUIDをまとめて「読影情報のUID」という。)、並びにそれらの読影情報を作成した作成者名をデータベース008に登録する。
【0020】
医用画像保管手段003は、参照端末006からの依頼医師からの指示に基づく医用画像の要求を受けて、該要求に対応する医用画像を参照端末006に送信し、同時に、データベース008の読影情報のUIDを検索し、その有無により送信した医用画像に読影情報が埋め込まれているかを判断し、読影情報が埋め込まれている場合には、参照端末006に送信した医用画像に読影情報が埋め込まれているという情報を評価管理手段004に通知する。
【0021】
評価管理手段004は、CPU及び記憶領域を有し、予め図2に示すような読影情報の作成者名と評価送信先(例えば、作成者のメールアドレス)の対応を表わすテーブルを記憶している。図2は作成者名と評価送信先の対応を表わすテーブルの図である。
【0022】
評価管理手段004は、読影情報が埋め込まれているという情報及び医用画像の送信先の参照端末006の情報を受けて、参照端末006に、例えば図3に示すような医用画像保管手段003から送信された医用画像に対する評価の入力画面を表示させる。図3は読影情報に対する評価を入力するための画面の一例の図である。ここで、本実施形態では、依頼医の評価を細かく知るために、図3に示すように評価画面に評価のレベルを入力するラジオボタン301及びコメント欄302を備えているが、この評価の入力には特に限定はなく、例えば、単に評価のレベルだけ取得したければボタン301だけでもよい。また、本実施形態では1つの医用画像に対し一つの評価入力を行っているが、これは、コメント毎など読影情報毎に評価を記入できるようにしてもよい。
【0023】
ここで、本実施形態では評価管理手段004は参照端末006から読影情報が埋め込まれているという情報を受け取っているが、これは、評価管理手段004が参照端末006から送られた医用画像を分析し、その中に読影情報が存在していることを確認することで、該医用画像に読影情報が埋め込まれていると判断することも可能である。
【0024】
評価管理手段004は、医用画像に対する評価の入力を参照端末006から受けて、該評価を医用画像保管手段003に保管されている対応する医用画像に埋め込む。
【0025】
ここで、本実施形態では評価管理手段004は医用画像に評価自体を埋め込んでいるが、これ以外にも、直接評価自体を埋め込むのではなく、評価管理手段004は入力された評価のファイル(ここでは、1.2.128.xxx.hyouka.infといったファイルとする。)を作成し、そのファイルを決められた保存場所(例えば、医用画像と同じサーバなど。ただし、別のサーバに保存されても保存先の情報がそのサーバを指定していればよい。)に保存し、そのファイル保存先の情報(例えば、\\192.168.0.1\share\1.2.128.xxx.hyouka.infなど)を医用画像に埋め込む構成でもよい。これにより、医用画像を参照したユーザがその医用画像に埋め込まれている評価のファイルの保存先の情報を基に該医用画像の評価を取得することができる。ここで、評価管理手段004は読影レポート端末や参照端末006上に配置することも可能であり、その場合、上述の評価のファイルの作成及び保存先の医用画像への埋め込みは、具体的には、例えば、読影レポート端末上に存在するレポートクライアント又は画像ビューワや、参照端末006上に存在するHISクライアントがこれを行う。
【0026】
また、本実施形態では、評価管理手段004は医用画像に評価のみを埋め込んでいるが、評価と一緒に、その評価を行なったユーザを特定する情報(例えば、メイルアドレスなど。)を埋め込んでもよい。これにより、後に評価を行なった者とその評価をされた者との情報交換が容易になる。これらも、具体的には、医用画像管理手段004が読影レポート端末や参照画像端末006上に配置されている場合には、それらの読影レポート端末におけるレポートクライアント又は画像ビューワや、参照画像端末006におけるHISクライアントにより行われる。
【0027】
さらに、評価管理手段004は、医用画像保管手段003のデータベース008を検索し評価された読影情報の作成者を抽出する。そして、評価管理手段004は、自己が有する作成者名と評価送信先の対応を表わすテーブルを参照し、検索した作成者に対応する評価送信先を抽出する。
【0028】
評価管理手段004は、抽出した評価送信先に参照端末006から受信した読影情報に対する評価又は該評価の保存先などのその評価に関する情報を送信する。ここで、評価の保存先などのその評価に関する情報を受信した場合、操作者(例えば、読影医)はその情報に基づきその評価を参照することで、自らが作成した読影情報に対する評価を取得することができる。
【0029】
例えば、参照端末006でDr.Aが読影した読影情報に対する評価が行われた場合を説明する。評価管理手段004は、データベース008を検索し評価された読影情報の作成者であるDr.Aを抽出する。そして、評価管理手段004は、図2に示すテーブルを参照し、Dr.Aに対応する評価送付先であるDr.A@hospital.comを抽出する。そこで、評価管理手段004は、Dr.A@hospital.comに対し、参照端末006から受けた評価を送信する。
【0030】
また、上述のように評価入力画面で読影情報毎に評価を記入できるようにした場合、評価送付先は読影情報毎に抽出され、その読影情報毎に抽出された評価送付先に読影情報に対する評価を送ることが可能となる。
【0031】
また、本実施形態では評価送信先の暗号化を可能としている。例えば、図2に示すDr.Bの評価送信先は暗号化されている。すなわち、図2に示すように評価送信先201として病院のメールサーバ(図2の「ALLDR@hospitalB.com」)等が指定されており、さらに暗号化情報202がテーブルに記載されている。これは、前述のように評価管理手段004が参照端末006から送られた評価に対応する読影情報の作成者がDr.Bだと判断した場合、評価管理手段004は読影情報に対応する評価を評価送信先201である病院のメールサーバに送信する。さらに、暗号化情報202も評価送信先201に送信する。これを受けて、メールサーバは暗号化情報を解析し実際のDr.Bに対する評価送信先を求めて、その実際のDr.Bに対する評価送信先に読影情報に対する評価を転送する。このようにすることで、当該医療施設外で医用画像が利用された場合など、作成者を相手に認識させたくない場合に、その作成者を依頼医に知らせることなく、読影情報に対する評価をその読影情報の作成者に送信することが可能となる。
【0032】
また、本実施形態では、評価管理手段004は、作成者名と対応する評価送信先のテーブルを有し、画像に埋め込まれた作成者名を基に、テーブルを参照して評価送信先を抽出しているが、医用画像観察用端末005により作成者名を医用画像に埋め込むときに作成者名に対応する評価送信先も埋め込み、評価管理手段004は、医用画像に埋め込まれている評価送信先に対し評価を送信するようにしてもよい。このようにすることで、評価を受ける読影医によって評価の送信先を変更することが可能となる。
【0033】
さらに、本実施形態ではネットワークの負荷などを考慮し、読影情報に対応する評価だけを送信しているが、どの医用画像のどの読影情報に対する評価かを認識し易くするために、評価送信先に送信する評価のとして評価を埋め込んだ医用画像を送信してもよい。
【0034】
医用画像観察用端末005はCPUで構成される情報端末であり、例えばPC(パーソナルコンピュータ)などである。この医用画像観察用端末005は請求項3においては「送付先管理手段」にあたる。
【0035】
医用画像観察用端末005は、読影医に指示された医用画像を医用画像管理装置002に要求し、医用画像管理装置002から受信した医用画像を表示する。
【0036】
医用画像観察用端末005は、読影医からの入力に基づき表示した医用画像に読影情報及び該読影情報の作成者名を埋め込む。さらに、医用画像観察用端末005は、情報を埋め込んだ医用画像を医用画像管理装置002に送信する。
【0037】
参照端末006はCPUで構成される情報端末であり、例えばPC(パーソナルコンピュータ)などである。
【0038】
参照端末006は、依頼医から指示された医用画像を医用画像管理装置002に要求し、医用画像管理装置002から受信した要求に対応する医用画像を表示する。
【0039】
さらに、参照端末006は、評価管理手段004から送られてきた図3に示すような評価入力画面を表示する。
【0040】
参照端末006は、依頼医からの入力に基づき、図3に示すようなボタン301による評価のレベルの情報、及びコメント欄302のコメントを、評価管理手段004に送信する。
【0041】
次に、図4を参照して本実施形態に係る読影支援システムにおける医用画像への読影情報及び作成者名の埋め込みの流れを説明する。図4は本実施形態に係る読影支援システムにおける医用画像への読影情報の埋め込みのフローチャートの図である。
【0042】
ステップS001:医用画像管理装置002は、医用画像撮影装置001はで作成した医用画像を医用画像保管手段003における画像保管領域007に保存し、さらに、患者情報などを医用画像保管手段003におけるデータベース008に登録する。
【0043】
ステップS002:医用画像観察用端末005からの読影医の指示に基づく医用画像の取得要求を受けて、医用画像管理装置002は、医用画像を医用画像観察用端末005に送信する。医用画像監察用端末005は受信した医用画像を表示する。
【0044】
ステップS003:医用画像観察用端末005は、読影医からの入力を受けて、コメントなどの読影情報及び作成者名を、表示している医用画像に埋め込む。
【0045】
ステップS004:医用画像観察用端末005は、読影情報及び作成者名を埋め込んだ医用画像を医用画像保管手段003に送り、対応する画像保存領域007に保存されている医用画像を更新する。
【0046】
ステップS005:医用画像観察用端末005は、読影情報のUIDや作成者名を医用画像保管手段003に送信し、データベース008に登録する。
【0047】
次に、図5を参照して本実施形態に係る読影システムにおける評価の送信の流れを説明する。図5は本実施形態に係る読影支援システムにおける評価の送信のフローチャートの図である。
【0048】
ステップS101:参照端末006からの依頼医師の指示に基づく医用画像の取得要求を受けて、医用画像保管手段003は、画像保管領域007に保存している医用画像を参照端末006に送信する。参照端末006は受信した医用画像を表示する。
【0049】
ステップS102:医用画像保管手段003は、データベース008を検索し、参照端末006に表示した医用画像に読影情報が埋め込まれているかを確認する。読影情報が埋め込まれている場合にはステップS103に進み、読影情報が埋め込まれていない場合には読影情報の評価の動作を終了する。
ステップS103:医用画像保管手段003は参照端末006に表示した医用画像に読影情報が埋め込まれているという情報を評価管理手段004に通知する。
【0050】
ステップS104:評価管理手段004は、医用画像保管手段003からの通知を受けて参照端末006に評価入力画面を入力可能に表示させる。
【0051】
ステップS105:参照端末006からの読影情報に対する評価の入力を受けて、評価管理手段004は、対応する画像保管手段007に保存されている医用画像に該評価を埋め込む。
【0052】
ステップS106:評価管理手段004は、データベース008から評価された読影情報の作成者名を検索する。
【0053】
ステップS107:評価管理手段004は、検索した作成者名を基に、自己が有する作成者名とそれに対応する評価送信先のテーブルを参照し、評価送信先を抽出する。
【0054】
ステップS108:評価管理手段004は、評価送信先に参照端末006から入力された読影情報に対する評価又は評価に関する情報を、抽出したその読影情報の作成者の評価送信先に送信する。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る読影支援システムでは、医用画像の読影情報に対する評価を医用画像自体に埋め込むとともに、その評価を読影情報の作成者の評価送信先に送ることができる。したがって、医用画像を参照することでその医用画像に対する読影への評価を確認することができるとともに、読影情報の作成者はその読影情報に対する評価を容易に取得することが可能となる。これにより、本実施形態に係る読影支援システムは読影医などの読影技術の向上に貢献できる。
【0056】
また、本実施形態ではアクセス速度の向上のため、読影情報、評価の情報、及び作者名などをデータベースに登録しているが、これは、高速なアクセスがそれほど求められない場合には、医用画像の付帯情報から前述の各情報を取得する構成でもよい。
【0057】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態に係る読影支援システムにおいて、読影レポートのシステムを導入したシステムである。図6は本実施形態に係る読影支援システムのブロック図である。図6において図1と同じ符号を有するものは同じ機能を有するものとである。
【0058】
動作の前提として、医用画像保管手段003には、意表画像撮像装置001から医用画像を受けて画像保管領域007に保存されているとともに、データベース008に患者ID等の患者情報及び画像UIDなどの医用画像に付帯している情報が登録されている。
【0059】
読影レポート端末010はCPUで構成される情報端末であり、例えばPC(パーソナルコンピュータ)などである。
【0060】
読影レポート端末010は、読影医からの指示に基づき、特定の医用画像を医用画像観察端末005へ送る要求を医用画像保管手段003に送信する。
【0061】
読影レポート端末010は、読影医が医用画像観察用端末005に表示された医用画像を参照して作成した読影レポートを読影レポートサーバ009に送る。
【0062】
医用画像観察用端末005はCPUで構成される情報端末であり、例えばPC(パーソナルコンピュータ)などである。
【0063】
医用画像観察用端末005は、読影レポート端末010からの命令により医用画像管理装置002が送信してきた医用画像を受信して、該医用画像を表示する。
【0064】
医用画像観察用端末005は、読影医からの入力に基づき表示した医用画像に読影情報及を埋め込む。さらに、医用画像観察用端末005は、情報を埋め込んだ医用画像を医用画像管理装置002に送信する。
【0065】
読影レポートサーバ009は、CPU及び記憶領域を有し、読影レポート端末010から送られてきた読影レポートを自己の記憶領域に保存する。さらに、読影レポートサーバ009は、保存した読影レポートのレポートUIDを医用画像保管手段003に送り、該レポートUID及びそれに対応する画像UIDをデータベース008に登録する。
【0066】
読影レポートサーバ009は、参照端末006からの依頼医師からの指示に基づく読影レポートの送信要求を受けて、参照端末006に読影レポートを送信する。さらに、読影レポートサーバ009は、レポートUID及び画像UIDを医用画像管理装置002に送り、そのレポートUID及び画像UIDに対応した医用画像の送信命令を医用画像管理装置002に送る。
【0067】
医用画像管理装置002は、読影レポート端末010からレポートUID及び画像UID、並びにそれらに基づく医用画像送信要求を受信する。
【0068】
医用画像保管手段003は、受信した画像UIDに対応する医用画像を医用画像観察端末005へ送信する。
【0069】
評価管理手段004は、CPU及び記憶領域を有し、予め作成者名と評価送信先の対応を表わすテーブルを記憶している。
【0070】
評価管理手段004は、読影レポートサーバ009からのレポートUID及び画像UIDを受けて、参照端末006に、読影レポートサーバ009から送られた読影レポート及びそれに対応する医用画像保管手段003から送信された医用画像への評価の入力する画面を表示させる。
【0071】
評価管理手段004は、医用画像に対する評価の入力を参照端末006から受けて、該評価を医用画像保管手段003に保管されている対応する医用画像に埋め込む。
【0072】
ここで、本実施形態では評価管理手段004は医用画像に評価自体を埋め込んでいるが、これ以外にも、直接評価自体を埋め込むのではなく、評価管理手段004は入力された評価のファイルを作成し、そのファイルを決められた保存場所に保存し、そのファイル保存先の情報を医用画像に埋め込む構成でもよい。
【0073】
さらに、評価管理手段004は読影レポート端末010や参照端末006上に配置することも可能であり、その場合、上述の評価のファイルの作成及び保存先の医用画像への埋め込みは、具体的には、例えば、読影レポート端末010上に存在するレポートクライアント又は画像ビューワや、参照端末006上に存在するHISクライアントがこれを行う。
【0074】
さらに、評価管理手段004は、読影レポートUID及び画像UIDを基に、医用画像保管手段003のデータベース008から評価された読影レポートの作成者名を検索する。そして、評価管理手段004は、自己が有する作成者名と評価送信先の対応を表わすテーブルを参照し、検索した作成者名に対応する評価送信先を抽出する。
【0075】
評価管理手段004は、抽出した評価送信先に参照端末006から受信した特定の医用画像に対応した読影レポートに対する評価又は該評価の保存先などの評価に関する情報を送信する。ここで、評価の保存先などの評価に関する情報などを送信した場合、操作者(例えば、読影医)はその情報に基づきその評価を参照することで、自らが作成した読影レポートに対する評価を取得することができる。
【0076】
参照端末006はCPUで構成される情報端末であり、例えばPC(パーソナルコンピュータ)などである。
【0077】
参照端末006は、依頼医から指示された医用画像を医用画像管理装置002に要求し、医用画像管理装置002から受信した医用画像を表示する。
【0078】
さらに、参照端末006は、評価管理手段004から送られてきた評価入力画面を表示する。
【0079】
参照端末006は、依頼医からの入力に基づき、読影レポートに対する評価を評価管理手段004に送信する。
【0080】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態又は第2の実施形態に係る読影支援システムにおいて、一定の期間が過ぎても読影情報の評価又は評価に関する情報が送られてこない場合に警告を通知するようにしたシステムである。以下では、本実施形態における警告の通知について説明する。
【0081】
評価管理手段004は、予め閾値として1ヶ月という期間を記憶している。
【0082】
評価管理手段004は、参照端末006に評価画面を表示させてから時間のカウントを始める。そして、評価管理手段004は、参照端末006から表示させた医用画像の読影情報に対する評価又は評価に関する情報が送られてくるとカウントを停止する。
【0083】
評価管理手段004は、時間のカウントが1ヶ月を過ぎても、参照端末006から表示させた医用画像の読影情報に対する評価又は評価に関する情報が送られてこない場合に、参照端末006に対し評価が行なわれていないという警告を送信し、参照端末006に警告を表示させる。
【0084】
ここで、本実施形態では、依頼医の時間的余裕及び読影医における読影に対する評価の緊急性を考慮して閾値を1ヶ月としたが、この期間には特に制限はなく、読影支援システムの運用にあわせて閾値を変更することが好ましい。
【0085】
また、本実施形態では警告を参照端末006に表示させているが、読影医に対し評価が行われていないことを伝えるため、この警告を医用画像観察端末005に表示させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1の実施形態に係る読影支援システムのブロック図
【図2】作成者名とそれに対応する評価送信先の他テーブルの一例の図
【図3】評価入力画面の一例の図
【図4】第1の実施形態に係る読影支援システムにおける医用画像への読影情報及び作成者名の埋め込みのフローチャートの図
【図5】第1の実施形態に係る読影支援システムにおける読影支援システムにおける評価の送信のフローチャートの図
【図6】第2の実施形態に係る読影支援システムのブロック図
【符号の説明】
【0087】
001 医用画像撮影装置
002 医用画像管理装置
003 医用画像保管手段
004 評価管理手段
005 医用画像観察用端末
006 参照端末
007 画像保管領域
008 データベース
009 読影レポートサーバ
010 読影レポート端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像及び該医用画像に対するコメント又は符号などの読影情報を保存する医用画像保存手段と、
外部からの前記読影情報に対する評価の入力を受けて、前記医用画像に該評価を埋め込む評価管理手段と
を備えることを特徴とする読影支援システム。
【請求項2】
前記医用画像保存手段は、前記コメント又は前記符号などの前記読影情報を特定する情報を用いてそれぞれを管理することを特徴とする請求項1に記載の読影支援システム。
【請求項3】
前記コメント又は前記符号などの前記読影情報毎に対応する評価結果の送付先を特定する情報を前記医療画像に埋め込む送付先管理手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の読影支援システム。
【請求項4】
医用画像及び該医用画像に関する情報を保存する医用画像保存手段と、
前記医用画像に対する読影結果である読影レポートを保存する読影レポート保存手段と、
外部からの前記読影レポートに対する評価の入力を受けて、前記医用画像に該評価を埋め込む評価管理手段と
を備えることを特徴とする読影支援システム。
【請求項5】
前記読影レポート毎に対応する評価結果の送付先を特定する情報を前記医療画像に埋め込む送付先管理手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の読影支援システム。
【請求項6】
医用画像撮影装置で撮影された医用画像保存する医用画像保管手段と、
前記医用画像に、該医用画像に対するコメント又は符号などの読影情報、及び該読影情報の作成者名を埋め込む医用画像観察用端末と、
操作者からの指示に基づき前記医用画像保管手段から前記医用画像を取得し表示する参照端末と、
前記参照端末に取得された前記医用画像に前記読影情報が埋め込まれている場合に、前記参照端末に該医用画像の評価入力画面を入力可能に表示させ、前記参照端末から入力を受けて該評価又は該評価の保存先を前記医用画像保管手段に保存されている前記医用画像に埋め込むとともに、該医用画像に埋め込まれた前記作成者名に対応する評価送信先に該評価に関する通知を送信する評価管理手段と
を備えることを特徴とする読影支援システム。
【請求項7】
前記評価管理手段は、前記参照端末に取得された前記医用画像に前記読影情報が埋め込まれているという情報を、前記医用画像保管手段から受けることで、前記読影情報が埋め込まれていると判断することを特徴とする請求項6に記載の読影支援システム。
【請求項8】
前記評価管理手段は、前記参照端末に取得された前記医用画像を分析して、前記読影情報が存在する場合に、該医用画像に前記読影情報が埋め込まれていると判断することを特徴とする請求項6に記載の読影支援システム。
【請求項9】
前記医用画像観察用端末は、
前記作成者名に対応する評価送信先の入力を受けて、保存されている前記医用画像にさらに埋め込み
前記評価管理手段は、
前記医用画像に埋め込まれた前記評価送信先に対し前記評価に関する通知を送信する
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一つに記載の読影支援システム。
【請求項10】
前記評価管理手段は、
予め記憶している前記作成者名と対応する前記評価送信先とのテーブルを参照し、前記医用画像情報に埋め込まれている前記作成者名を基に前記評価送信先を抽出し、該評価送信先に対し前記評価に関する通知を送信する
ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一つに記載の読影支援システム。
【請求項11】
前記評価管理手段は、
前記参照端末に前記評価入力画面を表示させてから前記評価の入力を受けるまでに予め記憶している所定の期間が過ぎたときに、前記参照端末に警告を表示させることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか一つに記載の読影支援システム。
【請求項12】
前記評価管理手段は、
前記参照端末に前記評価入力画面を表示させてから前記評価の入力を受けるまでに予め記憶している所定の期間が過ぎたときに、前記評価結果送信先に前記評価の入力を受けずに前記期間が経過したという情報を送信することを特徴とする請求項6乃至11のいずれか一つに記載の読影支援システム。
【請求項13】
前記評価送信先が暗号化されていることを特徴とする請求項6乃至12のいずれか一つに記載の読影支援システム。
【請求項14】
前記評価管理手段は、前記評価又は前記評価の保存先とともに該評価を行なった者を特定する情報を、前記医用画像に埋め込むことを特徴とする請求項6乃至13のいずれか一つに記載の読影支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−253437(P2008−253437A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97123(P2007−97123)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】