説明

課金レートが異なる広域通信網に接続するための端末システム、通信端末及びプログラム

【課題】通信環境に応じて課金レートが異なる場合であっても、不特定多数の利用者が、通信環境の変化を意識することなく、予め支払われた通信料金に応じて通信をすることができる端末システム、通信端末及びプログラムを提供する。
【解決手段】複数の通信端末局に接続される経路制御装置と、経路制御装置とユーザ端末との間に接続される通信中継装置とを有する。通信中継装置は、通信端末局の端末局識別子毎に、課金レートを記憶する課金レート記憶手段と、ユーザ識別子毎に、課金額を取得する投入金額取得手段と、経路制御装置から接続中の端末局識別子を取得する端末局識別子取得手段と、取得された端末局識別子に対応する課金レートを検索し、ユーザ識別子毎の課金額から転送可能通信量を算出する通信量算出手段と、転送可能通信量に応じて、ユーザ端末と経路制御装置との間の通信量を制御する通信量制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金レートが異なる広域通信網に接続するための端末システム、通信端末及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不特定多数のユーザに対して、公衆端末を用いて広域通信網に接続させるサービスがある。例えばインターネットカフェでは、ユーザは、現金、クレジットカード又はプリペイドカードを用いて利用料金を支払うことにより、予め設置された端末からインターネットに接続することができる。一般に、単位時間当たりの従量制の料金体系が採用されている。
【0003】
また、通信装置が、利用料金の支払いの確認後に、音声通話の通信環境を提供する技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、通信装置は、入力された相手側電話番号に対応づけられたIP(Internet Protocol)アドレスを用いて、アクセスネットワークを介して、音声信号を含むパケットを送受信する。これによって、不特定多数のユーザに対して、インターネットを介した音声通話を提供することができる。
【0004】
更に、通信中の移動端末の位置に応じて、課金額を変動させる技術がある(例えば特許文献2参照)。この技術によれば、例えば、移動端末が、病院や劇場といったネットワークの使用制限エリア内に位置する場合、課金額を高額にすることができる。これによって、利用者の自主的な使用規制を促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−037614号公報
【特許文献2】特開2007−267154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術によれば、公衆端末として、固定設置された端末が想定されており、通信環境が異なる場合はない。また、特許文献2及び3に記載された技術によれば、移動端末の位置するエリアに応じて課金額を変動させることができるが、通信環境は同一である。
【0007】
しかしながら、特に海外をグローバルに移動する移動端末の場合、存在する位置に応じて、通信環境が異なる場合がある。例えば、海上を航行する船舶内に位置する移動端末の場合、その船舶の位置によっては、通信環境(例えば衛星回線と陸上無線回線)が切り替わる。このとき、その通信環境における課金レートも異なることとなる。しかしながら、課金レートが異なる場合、通信環境毎に課金徴収システムを備える必要がある。また、ユーザ端末も、通信環境に応じて、接続すべき通信端末を切り替える必要もある。ましてや、利用者から予め徴収した通信料金を、通信環境に応じて、その差額を返還又は請求することは利便性に欠ける。
【0008】
そこで、本発明は、位置に応じて異なる通信環境に接続される端末システムであって、その通信環境に応じて課金レートが異なる場合であっても、不特定多数の利用者が、通信環境の変化を意識することなく、予め支払われた通信料金に応じて通信をすることができる端末システム、通信端末及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ユーザ端末を、異なる広域通信網に接続するための複数の通信端末局を有する端末システムであって、
複数の通信端末局に接続され、いずれか1つの通信端末局に接続するべく切り替える経路制御装置と、
経路制御装置とユーザ端末との間に接続される通信中継装置と
を更に有し、
通信中継装置は、
通信端末局の端末局識別子毎に、課金額に対する転送可能通信量を表す課金レートを記憶する課金レート記憶手段と、
ユーザ端末のユーザ識別子毎に、課金額を取得する投入金額取得手段と、
経路制御装置から、現時点で接続可能な通信端末局の端末局識別子を取得する端末局識別子取得手段と、
課金レート記憶手段を用いて、取得された端末局識別子に対応する課金レートを検索し、課金レートに応じてユーザ識別子毎の課金額から転送可能通信量を算出する通信量算出手段と、
転送可能通信量に応じて、ユーザ端末と経路制御装置との間の通信量を制御する通信量制御手段と
を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の端末システムにおける他の実施形態によれば、
第1の広域通信網は携帯電話網であって、第1の通信端末局は携帯電話用であり、
第2の広域通信網は衛星通信網であって、第2の通信端末局は衛星用であることも好ましい。
【0011】
本発明の端末システムにおける他の実施形態によれば、経路制御装置は、当該端末システムの位置に応じて、又は、広域通信網の無線品質に応じて、利用可能な通信端末局を選択することも好ましい。
【0012】
本発明の端末システムにおける他の実施形態によれば、
通信中継装置へ、ユーザ識別子に対応する投入金額を送信する課金装置を更に有し、
課金装置は、利用者の操作によってユーザ識別子に対応する投入金額を更新することも好ましい。
【0013】
本発明の端末システムにおける他の実施形態によれば、課金装置は、利用者によって投入された金額、IC(Integrated Circuit)カード又はプリペイドカードによってユーザ端末に対応する課金額を更新することも好ましい。
【0014】
本発明によれば、ユーザ端末に接続されるユーザ側通信インタフェースと、異なる広域通信網に接続するための複数の通信端末モジュールとを有する通信端末であって、
複数の通信端末モジュールに接続され、いずれか1つの通信モジュールに接続するべく切り替える経路制御手段と、
経路制御手段とユーザ側通信インタフェースとの間に接続される通信中継手段と
を更に有し、
通信中継手段は、
通信モジュールの端末局識別子毎に、課金額に対する転送可能通信量を表す課金レートを記憶する課金レート記憶手段と、
ユーザ端末のユーザ識別子毎に、課金額を取得する投入金額取得手段と、
経路制御装置から、現時点で接続可能な通信端末局の端末局識別子を取得する端末局識別子取得手段と、
課金レート記憶手段を用いて、取得された端末局識別子に対応する課金レートを検索し、課金レートに応じてユーザ識別子毎の課金額から転送可能通信量を算出する通信量算出手段と、
転送可能通信量に応じて、ユーザ端末と経路制御装置との間の通信量を制御する通信量制御手段と
を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の通信端末における他の実施形態によれば、
第1の広域通信網は携帯電話網であって、第1の通信端末局は携帯電話用であり、
第2の広域通信網は衛星通信網であって、第2の通信端末局は衛星用であることも好ましい。
【0016】
本発明の通信端末における他の実施形態によれば、経路制御装置は、当該端末システムの位置に応じて、又は、広域通信網の無線品質に応じて、利用可能な通信端末局を選択することも好ましい。
【0017】
本発明によれば、
前述された通信端末と、
通信端末へ、ユーザ識別子に対応する投入金額を送信する課金装置と
を有する端末システムであって、
課金装置は、利用者の操作によってユーザ識別子に対応する課金額を更新することも好ましい。
【0018】
本発明の端末システムにおける他の実施形態によれば、課金装置は、利用者によって投入された金額、ICカード又はプリペイドカードによってユーザ端末に対応する課金額を更新することも好ましい。
【0019】
本発明によれば、ユーザ端末に接続されるユーザ側通信インタフェースと、異なる広域通信網に接続するための複数の通信端末モジュールとを有する通信端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
複数の通信端末モジュールに接続され、いずれか1つの通信モジュールに接続するべく切り替える経路制御手段と、
経路制御手段とユーザ側通信インタフェースとの間に接続される通信中継手段としてコンピュータを機能させ、
通信中継手段は、
通信モジュールの端末局識別子毎に、課金額に対する転送可能通信量を表す課金レートを記憶する課金レート記憶手段と、
ユーザ端末のユーザ識別子毎に、課金額を取得する投入金額取得手段と、
経路制御装置から、現時点で接続可能な通信端末局の端末局識別子を取得する端末局識別子取得手段と、
課金レート記憶手段を用いて、取得された端末局識別子に対応する課金レートを検索し、課金レートに応じてユーザ識別子毎の課金額から転送可能通信量を算出する通信量算出手段と、
転送可能通信量に応じて、ユーザ端末と経路制御装置との間の通信量を制御する通信量制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の端末システム、通信端末及びプログラムによれば、位置に応じて異なる通信環境に接続される端末システムであって、その通信環境に応じて課金レートが異なる場合であっても、不特定多数の利用者が、通信環境の変化を意識することなく、予め支払われた通信料金に応じて通信をすることができる。ICカード又はプリペイドカードによって予め通信料金を徴収することによって、不特定多数の利用者が所持するユーザ端末の使用を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明におけるシステム構成図である。
【図2】本発明におけるシステムの機能構成図である。
【図3】本発明における通信中継装置の機能構成図である。
【図4】本発明における通信端末の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0024】
図1によれば、例えば海上を航行する船舶のような、人や物を輸送する乗り物に、端末システム1が搭載されている。端末システム1は、無線の広域通信網に接続することができる。図1によれば、端末システム1は、例えば衛星通信網及び陸上無線回線に接続される。
【0025】
図1によれば、端末システム1は、衛星回線を介して通信する通信機能と、陸上無線回線を介して通信する通信機能とを有する。衛星回線としては、例えばインマルサット衛星網(又はイリジウム衛星網)があり、陸上無線回線としては、例えば携帯電話網、PHS(Personal Handyphone System)又はWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)がある(以下では「携帯電話網」として説明する)。
【0026】
インマルサット衛星は、地上36,000kmの静止衛星であって、海上向けのFB(Fleet Broadband)と、陸上向けのBGAN(Broadband Global Area Network)とのサービスを提供する。FBの場合、最大伝送速度432kbpsのデータ通信と、4kbpsの音声通話とを提供する。
【0027】
また、携帯電話網としては、第3世代の移動体通信方式のデータ通信用のEV−DO(Evolution-Data Only)がある。EV−DOは、変調方式や符号化率を切り替える適応変調符号化を採用することにより、上りで最大3.1Mbps、下りで最大1.8Mbpsのデータ通信を提供する。
【0028】
端末システム1は、衛星40を介して、陸上に設置された衛星地球局41と通信することができる。衛星地球局41は、ゲートウェイ42を介してインターネット6に接続される。一方で、端末システム1は、陸上に設置された無線基地局51と通信することができる。無線基地局51は、ゲートウェイ52を介してインターネット6に接続される。これによって、船舶内の利用者は、ユーザ端末を端末システム1に接続することによって、衛星回線又は携帯電話回線を介してインターネット6に接続することができる。
【0029】
尚、携帯電話網5の無線基地局51は、所定半径の範囲に位置する端末としか通信をすることができない。従って、海上の船舶に搭載された端末システム1が、海上で無線基地局51と通信するためには、その船舶が、無線基地局51からの電波到達距離内に位置している必要がある。即ち、無線基地局51からの電波到達距離を越えて位置する場合、端末システム1は、衛星回線を介した通信しか確立することができない。
【0030】
ここで、衛星回線を用いた通信サービスと、携帯電話回線を用いた通信サービスとは、一般的に、課金レートは異なる。「課金レート」とは、課金額に対する転送可能通信量を表す。例えば、定額制、データ量従量制(例えば1,024Byte/10円)、又は、時間従量制(例えば1,000円/1時間)がある。従って、端末システム1は、利用される通信サービスに応じて、利用者に対して課金レートを変更する必要がある。
【0031】
図2は、本発明におけるシステムの機能構成図である。
【0032】
図2のシステムによれば、端末システム1と、課金装置2と、ユーザ端末3とを有する。端末システム1は、例えば船舶のような移動体に搭載され、衛星回線又は携帯電話回線に接続する。ユーザ端末3は、端末システム1に接続することによって、その端末システム1を介して衛星回線又は携帯電話回線に接続することができる。ユーザ端末3は、携帯電話機又は携帯端末であってもよいし、パーソナルコンピュータであってもよい。
【0033】
課金装置2は、端末システム1に接続し、ユーザ端末3を使用するユーザから、通信料金を予め徴収する装置である。ユーザは、課金装置2へ、通信料金を予め投入する。この通信料金は、現金、ICカード又はプリペイドカードによって投入される。ICカードとは、情報の記録及び演算のための集積回路(IC)を組み込んだカードをいう。また、プリペイドカードとは、料金支払い用に、一定金額の価値(度数)を保持したカード型の有価証券をいう。
【0034】
課金装置2は、利用者毎のユーザ識別子と、投入金額(例えば度数表記であってもよい)とを対応付ける。ユーザ識別子は、ICカード又はプリペイドカードに予め記憶されていてもよいし、利用者自らの操作によってユーザ識別子を課金装置2へ入力するものであってもよい。ユーザ識別子と、ユーザ端末3に割り当てられたアドレスとは、一意に対応付けられる。課金装置2は、ユーザ識別子に対応する投入金額を、端末システム1へ出力する。
【0035】
端末システム1は、衛星用通信端末局101と、携帯電話用通信端末局102と、経路制御装置11と、通信中継装置12とを有する。
【0036】
衛星用通信端末局101は、端末システム1(例えば端末システム1が搭載される船舶)が携帯電話回線の無線基地局51からの電波到達距離を越えて位置する場合、広域通信網である衛星通信網に接続する。また、衛星用通信端末局101は、端末システム1内で経路制御装置11に接続される。
【0037】
携帯電話用通信端末局102は、端末システム1が携帯電話回線の無線基地局51からの電波到達距離内に位置する場合、広域通信網である携帯電話網に接続する。また、携帯電話用通信端末局102は、端末システム1内で経路制御装置11に接続する。
【0038】
経路制御装置11は、衛星用通信端末局101及び携帯電話用通信端末局102と通信中継装置12との間に接続される。そして、経路制御装置11は、通信中継装置12と衛星通信端末局101とを接続する第1の経路か、又は、通信中継装置12と携帯電話用通信端末局102とを接続する第2の経路かを、切り替える。経路制御装置11は、携帯電話用通信端末局102における無線基地局51からの電波受信強度に応じて、経路を切り替えるものであってもよい。
【0039】
通信中継装置12は、経路制御装置11とユーザ端末3との間に接続され、ユーザ毎のパケットの転送可否を制御する。また、通信中継装置12は、課金装置2にも接続され、ユーザ毎のパケットの転送可否は、課金装置2から受信した投入金額に応じて制御される。
【0040】
通信中継装置12は、以下の関係を満たす間、そのユーザ識別子に対応するユーザ端末3のパケット通信を確立する。
投入金額−課金額≧0
課金額=通信量×課金レート
【0041】
投入金額は、課金装置2に投入された金額であって、そのユーザ識別子に対して増額される。また、課金額は、そのユーザ端末3と衛星回線又は携帯電話回線との間でパケットが通信される毎に、その通信量に応じて増額される。ここで、本発明によれば、衛星回線を利用した場合の課金レートと、携帯電話回線を利用した場合の課金レートとは、異なる。そのために、通信中継装置12は、使用中の回線に応じた課金レートと、通信量とに応じて、課金額を決定する。即ち、同じ投入金額であっても、衛星回線を利用することができる通信量又は時間と、携帯電話回線を利用することができる通信量又は時間とは、異なる。通信中継装置12は、通信中における経路制御装置11の経路切替に対応して、課金レートを切り替える。
【0042】
尚、投入金額が度数表記であって、カード毎の「金額/度数」のレートが異なる場合、通信中継装置12は、予め記録している「金額/度数」のマッピング情報に基づいて、投入金額を算出する。また、追加の料金が課金装置2に投入された場合、課金装置2は、更に追加された投入金額を、端末システム1の通信中継装置12へ送信する。
【0043】
図3は、本発明における通信中継装置の機能構成図である。
【0044】
図3によれば、通信中継装置12は、通信量制御部120と、課金レート記憶部121と、端末局識別子取得部122と、投入金額取得部123と、通信量算出部124と、網側インタフェース125と、ユーザ側インタフェース126とを有する。網側インタフェース125は、経路制御装置11に接続されるインタフェースである。また、ユーザ側インタフェース126は、ユーザ端末3に接続されるインタフェースである。網側インタフェース125及びユーザ側インタフェース126以外のこれら機能構成部は、通信中継装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現できる。
【0045】
端末局識別子取得部122は、経路制御装置11から、網側インタフェース125を介して、現在通信中の通信端末局の端末局識別子を取得する。端末局識別子は、通信端末局毎に割り当てられている。取得された端末局識別子は、通信量算出部124へ出力される。
【0046】
投入金額取得部123は、課金装置2から、ユーザ端末3のユーザ識別子毎の投入金額額を取得する。取得されたユーザ識別子毎の投入金額は、通信量算出部124へ出力される。
【0047】
課金レート記憶部121は、端末局識別子毎に、単位金額に対する転送可能通信量を表す課金レートを記憶する。記憶された課金レートは、通信量算出部124から参照される。
【0048】
通信量算出部124は、課金レート記憶部121から、端末局識別子に対応する課金レートを検索する。次に、ユーザ識別子毎の投入金額に基づき、課金レートに応じたユーザ識別子毎の転送可能通信量又は転送可能通信時間を算出する。ユーザ識別子に対応する転送可能通信量は、通信量制御部120へ出力される。
【0049】
例えば、課金レートが以下のように設定されているとする。
・衛星用通信端末局を介した衛星通信網:データ量従量制
(10円あたり1,024byte)
・携帯電話用通信端末局を介した携帯電話用通信網:時間従量制
(1時間あたり1,000円)
【0050】
ここで、利用者が、3,000円を課金装置2へ投入したとする。この場合、ユーザ端末3は、以下の通信量が転送可能となる。
(例1)衛星通信網に接続している場合:3時間の通信が可能
(例2)携帯電話網に接続している場合:
3,000円/10円×1,024byte=307.2kbyte
(例3)衛星通信網に1時間(1,000円分)だけ接続した後、無線基地局からの電波到達距離内に移動して携帯電話網に接続した場合:
2,000円/10円×1,024byte=204.8kbyte
【0051】
通信量制御部120は、網側インタフェース部125とユーザ側インタフェース部126との間に接続される。また、通信量制御部120は、通信量算出部124から、ユーザ識別子に対応する転送可能通信量を入力する。
【0052】
通信量制御部120は、ユーザ識別子に対応するアドレスをヘッダに付与するパケットの転送可否を、転送可能通信量に応じて制御する。
(例1)の場合:3時間後、そのユーザ識別子に対応するパケットの転送は拒否される。
(例2)の場合:そのユーザ識別子に対応するパケットが307.2kbyte転送された後、それらパケットの転送は拒否される。
(例3)の場合:1時間後に、そのユーザ識別子に対応するパケットが204.8kbyte転送された後、それらパケットの転送は拒否される。
【0053】
図4は、本発明における通信端末の機能構成図である。
【0054】
図4の通信端末は、図3と比較して、端末システム1を構成する各装置の機能を、一体化して構成している。そのために、以下のように各装置が、機能構成部に置換される。
衛星用通信端末局101 ->衛星用通信モジュール101
携帯電話用通信端末局102->携帯電話用通信モジュール102
経路制御装置11 ->経路制御部11
通信中継装置12 ->通信中継部12
また、図4の通信端末は、ユーザ端末3に接続するためのユーザ側インタフェース13を更に有する。通信モジュール101及び102とユーザ側インタフェース13以外の他の機能構成部は、通信端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現できる。
【0055】
勿論、課金装置2の機能を更に一体化して構成するものであってもよい。
【0056】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、位置に応じて異なる通信環境に接続される端末システムであって、その通信環境に応じて課金レートが異なる場合であっても、不特定多数の利用者が、通信環境の変化を意識することなく、予め支払われた通信料金に応じて通信をすることができる。ICカード又はプリペイドカードによって予め通信料金を徴収することによって、不特定多数の利用者が所持するユーザ端末の使用を可能にする。
【0057】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0058】
1 端末システム
101 衛星用通信端末局
102 携帯電話用通信端末局
11 経路制御装置
11 経路制御部
12 通信中継装置
12 通信中継部
120 通信量制御部
121 課金レート記憶部
122 端末局識別子取得部
123 投入金額取得部
124 通信量算出部
125 網側インタフェース
126 ユーザ側インタフェース
13 ユーザ側インタフェース
2 課金装置
3 ユーザ端末
4 衛星通信網
40 衛星
41 衛星地球局
42 衛星回線側ゲートウェイ
5 携帯電話網
51 無線基地局
52 無線網側ゲートウェイ
6 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末を、異なる広域通信網に接続するための複数の通信端末局を有する端末システムであって、
複数の前記通信端末局に接続され、いずれか1つの前記通信端末局に接続するべく切り替える経路制御装置と、
前記経路制御装置と前記ユーザ端末との間に接続される通信中継装置と
を更に有し、
前記通信中継装置は、
前記通信端末局の端末局識別子毎に、課金額に対する転送可能通信量を表す課金レートを記憶する課金レート記憶手段と、
前記ユーザ端末のユーザ識別子毎に、前記課金額を取得する投入金額取得手段と、
前記経路制御装置から、現時点で接続可能な前記通信端末局の端末局識別子を取得する端末局識別子取得手段と、
前記課金レート記憶手段を用いて、取得された前記端末局識別子に対応する前記課金レートを検索し、前記課金レートに応じて前記ユーザ識別子毎の前記課金額から前記転送可能通信量を算出する通信量算出手段と、
前記転送可能通信量に応じて、前記ユーザ端末と前記経路制御装置との間の通信量を制御する通信量制御手段と
を有することを特徴とする端末システム。
【請求項2】
第1の広域通信網は携帯電話網であって、第1の通信端末局は携帯電話用であり、
第2の広域通信網は衛星通信網であって、第2の通信端末局は衛星用である
ことを特徴とする請求項1に記載の端末システム。
【請求項3】
前記経路制御装置は、当該端末システムの位置に応じて、又は、前記広域通信網の無線品質に応じて、利用可能な前記通信端末局を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末システム。
【請求項4】
前記通信中継装置へ、前記ユーザ識別子に対応する前記投入金額を送信する課金装置を更に有し、
前記課金装置は、前記利用者の操作によって前記ユーザ識別子に対応する前記課金額を更新することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の端末システム。
【請求項5】
前記課金装置は、利用者によって投入された金額、IC(Integrated Circuit)カード又はプリペイドカードによって前記ユーザ端末に対応する前記課金額を更新することを特徴とする請求項4に記載の端末システム。
【請求項6】
前記ユーザ端末に接続されるユーザ側通信インタフェースと、異なる広域通信網に接続するための複数の通信端末モジュールとを有する通信端末であって、
複数の前記通信端末モジュールに接続され、いずれか1つの前記通信モジュールに接続するべく切り替える経路制御手段と、
前記経路制御手段と前記ユーザ側通信インタフェースとの間に接続される通信中継手段と
を更に有し、
前記通信中継手段は、
前記通信モジュールの端末局識別子毎に、課金額に対する転送可能通信量を表す課金レートを記憶する課金レート記憶手段と、
前記ユーザ端末のユーザ識別子毎に、前記課金額を取得する投入金額取得手段と、
前記経路制御装置から、現時点で接続可能な前記通信端末の端末局識別子を取得する端末局識別子取得手段と、
前記課金レート記憶手段を用いて、取得された前記端末局識別子に対応する前記課金レートを検索し、前記課金レートに応じて前記ユーザ識別子毎の前記課金額から前記転送可能通信量を算出する通信量算出手段と、
前記転送可能通信量に応じて、前記ユーザ端末と前記経路制御装置との間の通信量を制御する通信量制御手段と
を有することを特徴とする通信端末。
【請求項7】
第1の広域通信網は携帯電話網であって、第1の通信端末局は携帯電話用であり、
第2の広域通信網は衛星通信網であって、第2の通信端末局は衛星用である
ことを特徴とする請求項6に記載の通信端末。
【請求項8】
前記経路制御装置は、当該端末システムの位置に応じて、又は、前記広域通信網の無線品質に応じて、利用可能な前記通信端末局を選択することを特徴とする請求項6又は7に記載の通信端末。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1項に記載された通信端末と、
前記通信端末へ、前記ユーザ識別子に対応する前記投入金額を送信する課金装置と
を有する端末システムであって、
前記課金装置は、前記利用者の操作によって前記ユーザ識別子に対応する前記課金額を更新することを特徴とする端末システム。
【請求項10】
前記課金装置は、利用者によって投入された金額、ICカード又はプリペイドカードによって前記ユーザ端末に対応する前記課金額を更新することを特徴とする請求項9に記載の端末システム。
【請求項11】
前記ユーザ端末に接続されるユーザ側通信インタフェースと、異なる広域通信網に接続するための複数の通信端末モジュールとを有する通信端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
複数の前記通信端末モジュールに接続され、いずれか1つの前記通信モジュールに接続するべく切り替える経路制御手段と、
前記経路制御手段と前記ユーザ側通信インタフェースとの間に接続される通信中継手段としてコンピュータを機能させ、
前記通信中継手段は、
前記通信モジュールの端末局識別子毎に、課金額に対する転送可能通信量を表す課金レートを記憶する課金レート記憶手段と、
前記ユーザ端末のユーザ識別子毎に、前記課金額を取得する投入金額取得手段と、
前記経路制御装置から、現時点で接続可能な前記通信端末局の端末局識別子を取得する端末局識別子取得手段と、
前記課金レート記憶手段を用いて、取得された前記端末局識別子に対応する前記課金レートを検索し、前記課金レートに応じて前記ユーザ識別子毎の前記課金額から前記転送可能通信量を算出する通信量算出手段と、
前記転送可能通信量に応じて、前記ユーザ端末と前記経路制御装置との間の通信量を制御する通信量制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする通信端末用のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−10203(P2011−10203A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153885(P2009−153885)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】