説明

調整可能バルブの設定値を機械的に位置づけかつ読み取るためのデバイス

【課題】調整可能バルブの設定を地球の磁場影響を受けずに精度よく読み取るためのディバイスを提供する。
【解決手段】磁気コンパス10と、前記磁気コンパス10を流体が流れる方向に対して位置合わせするためのアラインメントマークとを備えるデバイスであり、前記磁気コンパス10は、基準面Prと、バルブ磁場の影響下で空間の三次元全てにおいて旋回できるように取り付けられる磁気インジケータとを備える。前記磁気インジケータは、磁場を受入れることができてN−S方向を有する少なくとも1つの磁石16aを装備し、前記少なくとも1つの磁石16aは、前記磁気インジケータが前記基準面Prに対して実質上垂直に位置合わせされると、このN−S方向が前記基準面Prに対して実質上垂直になるようにして配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調整可能バルブの設定値を位置づけかつ指示するためのデバイスと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバルブは、医療分野において、例えば水頭症の治療に使用される。
【0003】
この疾患は、脳脊髄液(CSF)の分泌過多、吸収不足または通路の機械的閉塞によって特徴づけられ、よって、患者において神経障害および/または運動障害を引き起こす。
【0004】
この種のバルブは、このようなバルブの実施形態の例として具体的に特許EP0060369およびEP0688575を参照することのできる当業者には周知である。
【0005】
このバルブが解決することのできる技術的課題の1つは、バルブ設定値の非侵襲的調整というものである。実際に、バルブおよびカテーテルを含む排液装置を所定の位置に埋め込むためには患者を手術することが必要であるが、脳室から、またはくも膜腔(くも膜下腔)からより多い、またはより少ないCSFを排出するためには、術後、疾患の好ましい、または好ましくない変化に応じて設定値を調整できることが重要である。
【0006】
この課題を解決するために、バルブの設定値は、磁気エレメントを装備したロータを回転させることによって調整されることが可能である。同じく磁気エレメントを装備した設定値調整装置を使用すれば、バルブロータの磁気エレメントと設定値調整装置の磁気エレメントとの間の磁気結合を使用して患者の皮膚を介してバルブを回転させることが可能である。
【0007】
この先行技術による第1のシステムは、設定値を位置づけるための器具と、設定値を指示するための器具と、患者の体内に埋め込まれたバルブの設定値を調整するための器具とを備える。これらの器具は、順番に使用される。位置づけ器具は、このバルブが患者の皮膚を触診することによって発見されるとバルブ上へ位置合わせされる。次に、位置づけ器具は、バルブが位置づけ器具の開口内に嵌るように、バルブを覆う皮膚の上に位置合わせされる。最後に、バルブの設定値を指示するための器具が、こうして同定されたバルブの中心の上に位置合わせされる。この第2の器具は、平面内で旋回することのできる磁化針を備える。したがって、この針はバルブの磁気エレメントの方向性に従い、よって設定値を指示する。次に、設定値を調整するための器具である第3の器具がバルブの上へ位置合わせされ、より多い、またはより少ない量のCSFが流れることを許容するようにして操作される。
【0008】
このデバイスは、位置づけ器具が誤りをフラグすることなくバルブと皮下埋込み式リザーバまたは骨増生とが混同され、針は他に磁場がないために地球の磁場に沿って自らの方向性を示す可能性があることからあまり実際的でない。さらにこれは、位置づけ器具内の開口が、不可避的に、患者の皮膚を、それが傷つく危険性が生じるまで伸ばさなくてもよい大きなサイズでなければならないことに起因してあまり正確でない。したがって、バルブの中心はおおよそでしか同定されず、これは、設定値の読み取りに誤りが生じる場合があることを意味する。最後に、バルブの中心は、位置づけ器具の開口にバルブを挿入することによって同定されるだけであることから、アクセスできないバルブまたはより深く挿入されているバルブの設定値を位置づけ、次いで調整することは不可能である。
【0009】
この以前のソリューションによる欠点を是正するために、出願人である企業は、PCT/IB2007/003488において、磁気コンパスと、前記磁気コンパスの位置を流体がバルブを介して流れる方向に対して合わせるためのアラインメントマークを装備したセレクタとを備える、調整可能な磁気バルブの設定値を機械的に位置づけかつ読み取るためのデバイスを提案している。
【0010】
前記磁気コンパスは、基準面と、バルブ磁場の影響下で空間の三次元全てにおいて旋回できるように取り付けられる磁気インジケータとを備える。バルブの設定値は、磁気インジケータが基準面に対して垂直に位置合わせされ、よって磁気コンパスの中心がバルブの磁気中心に合わされると、基準面において、磁気インジケータとアラインメントマークとの間に形成される角度によって表される。
【0011】
したがって、このデバイスは、1つの工程で、基準面に対して垂直である磁気インジケータの位置により決定されるバルブの磁気中心を精確に位置づけ、かつアラインメントマークにより指示される方向に対する磁気インジケータの角度位置によって決定されるバルブの設定値を同定することを可能にする。
【0012】
このデバイスの磁気コンパスは、環状磁石または2つの立方体磁石を装備している。前記出願には、N極およびS極の配置方法は明記されていない。
【0013】
しかしながら、このデバイスがバルブの磁場とは異なる外部の地球の磁場に感応する場合のあることは明記されている。これは、バルブの磁石がコンパスの下側に存在すると、コンパスは、これらの磁石の磁場の影響が地球の磁場の影響より大きいためにこれらの磁石に位置を合わせるからである。しかしながら、地球の磁場と前記磁石の磁場との相互作用によって少なからぬ偏差が存在する。
【0014】
この問題点を解決するために、PCT/IB2007/003448は、前記デバイスに磁気スクリーニングを装着することを提案している。このスクリーニングは、デバイスの移動インジケータを取り囲む磁気材料製の円環である。
【0015】
しかしながら、このようなスクリーニングは複雑であり、かつ高価である。その上、可能な限り効果的であるために、移動インジケータは、磁気材料が可能な限りこのインジケータに近づくようにかなりの量の磁気材料で包囲される必要がある。そうすることで、また、移動インジケータがバルブにより発せられる磁場を感知できる感度が制限される。
【0016】
別のソリューションは、地球の磁場が無視できるものとなるように、磁気コンパスの磁力およびバルブの磁力を高めることである場合もある。
【0017】
しかしながら、強力過ぎる磁石を装備したバルブは画像を歪める点でMRIには容認し難いアーチファクトを生成することから、このソリューションは考えられない。
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、地球の磁場にさほど感応しないが、設計が単純かつ経済的であり、かつ1つの工程でバルブの磁気中心を位置づけかつバルブの設定値を決定することを可能にする、調整可能な磁気バルブの設定値を機械的に位置づけかつ読み取るためのデバイスを提案することにある。
【0019】
これらの目的に沿って、本発明の主題である、流体の流れを予め決められた方向に制御するための調整可能な磁気バルブの設定値を機械的に位置づけかつ読み取るためのデバイスは、磁気コンパスと、前記磁気コンパスを流体がバルブを介して流れる方向に対して位置合わせするためのアラインメントマークとを備え、本デバイスにおいて、前記磁気コンパスは、基準面と、バルブ磁場の影響下で空間の三次元全てにおいて旋回できるように取り付けられる磁気インジケータとを備え、前記バルブの設定値は、前記磁気インジケータが前記基準面に対して実質上垂直に位置合わせされ、よって前記磁気コンパスの中心がバルブの磁気中心に合わされると、基準面において、前記磁気インジケータと前記アラインメントマークとの間に形成される角度によって表され、本デバイスにおいて、前記磁気インジケータは磁場を受入れることができてN−S方向を有する少なくとも1つの磁石を装備し、前記少なくとも1つの磁石は、前記磁気インジケータが前記基準面に対して実質上垂直に位置合わせされると、このN−S方向が実質的に前記基準面に対して垂直になるようにして配置される。
【0020】
他の実施形態によれば、
・本デバイスは、反対極性で配置される2つの磁石を備えてもよく、前記コンパスの中心がバルブの磁気中心に合わされると、その一方は前記基準面に対してN−S方向性を有し、かつ他方は前記基準面に対してS−N方向性を有し、
・前記磁気コンパスは、前記磁気インジケータの軸が前記基準面に対して垂直であるかどうかを決定するように設計される検出手段を有してもよく、
・前記制御手段はセンタリングサイトであってもよく、
・前記磁気インジケータは、ピボット上に搭載されてバルブの磁場の影響下で空間の三次元全てにおいて回転できるように設計されてもよく、
・前記磁気インジケータは、ピンに対して実質上垂直に延びる設定値指示エレメントが上に取り付けられるピンと、前記ピボット上に搭載されるための部分と、磁石を取り付けるための部分とを有してもよく、
・前記取付け部分は、前記設定値指示エレメントへの搭載部分とは反対側に配置されてもよく、
・前記磁気インジケータは旋回角度制限器を備えてもよく、
・前記旋回角度制限器は、半球、半卵形または円錐切頭形の旋回ケージの形態であってもよく、
・ピボットの搭載部分には補強手段が位置合わせされてもよく、
・前記補強手段は、ルビー、コランダムおよびセラミックから選ばれる材料で製造されてもよく、
・釣合いリングが、磁石を取り付けるための部分の周りに、前記ピンと同軸で、かつピボット上に搭載される部分の前記設定値指示エレメントとは反対側に位置合わせされてもよく、
・本デバイスは、前記アラインメントマークを装備したセレクタを備えてもよく、前記セレクタおよび前記磁気コンパスは分離不可能であり、かつ/または、
・本デバイスは、前記バルブの設定値を読み取るための読取りインタフェースを備えてもよい。
【0021】
また本発明は、先に述べたデバイスをバルブの設定値を変えるに足る強力な磁場を放出することのできるプログラマと共に備える、磁気バルブの設定値を機械的に位置づけかつ読み取るためのアセンブリにも関する。
【0022】
本発明は、流体の流れを制御するように意図される調整可能な磁気バルブが流体の流れる既知の方向で、但し直接的にはアクセスできないようにして、例えば取外しが困難であるパネルの下に、または患者の体内に据え付けられている、または埋め込まれている任意の産業的または医学的アプリケーションに使用されることが可能である。以下、本発明の後者の医学的アプリケーションについてのみ説明するが、これは、決して出願人である企業が産業的アプリケーションに関連してその権利を放棄することを意味しない。
【0023】
本発明の他の特徴は、添付の図面を参照して行う以下の詳細な説明において採り挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による、圧力調整可能磁気バルブの設定値を位置づけかつ指示するためのデバイスを示す概略斜視図である。
【図2】図1のデバイスの磁気コンパスを示す分解斜視図である。
【図3】図2の磁気コンパスの磁気インジケータを示す分解斜視図である。
【図4】使用に際しての図1の磁気コンパスを示す概略断面図である。
【図5】使用に際しての図1の磁気コンパスを示す概略断面図である。
【図6】本発明による磁気インジケータの別の実施形態を示す分解斜視図である。
【図7】図6の磁気インジケータを組み込んだ磁気コンパスを示す分解斜視図である。
【図8】図7の磁気コンパスを示す概略断面図である。
【図9】本発明による磁気インジケータの別の実施形態を示す分解斜視図である。
【図10】図9の磁気インジケータを装備した磁気コンパスを示す概略断面図である。
【0025】
本明細書本文を通じて、バルブの中心は、バルブの幾何学的中心ではなく、その磁気中心であるものとして理解されるべきである。
【0026】
「N−S方向」という表現は、磁石のN磁極とS磁極とを通過する直線DNSの方向を意味するものとして理解されるべきである。図面において、N極は斜線入りであり、S極は空白である。この方向で、磁石は基準面に対してN−SまたはS−Nの何れかに配向されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照すると、本発明による位置づけおよび設定値指示デバイス100は、磁気コンパス10と、読取りインタフェース22および磁気コンパス10を流体がバルブを介して流れる方向Dに対して位置合わせするためのアラインメントマーク21を装備するセレクタ20とを備える。この方向Dは既知であり、バルブ(図示せず)を患者の体内に埋め込む時点で予め決められている。以下に明記するように、磁気コンパスおよびセレクタは、磁気中心が同定されればバルブのプログラマを磁気コンパスの代わりにセレクタ上へ取り付け、よって、プログラマが精確にバルブ中心の上に位置づけられることによりバルブ設定値の調整に使用できるように、互いに分離可能であることが好適である。
【0028】
より具体的には、磁気コンパス10は、好適には基準面Pr(図4参照)に平行に位置合わせされるプレート11と、磁場の影響下で空間の三次元全てにおいて旋回できるようにして取り付けられる磁気インジケータ12とを備える。
【0029】
このような磁気コンパスの第1の実施形態では、図2における分解図が示すように、磁気コンパスが半球形の透明ドーム13と、合わせて平らな下部ベース14aを形成するように意図されるベースプレート14とを備える。付着されるプレート11は、基準面Pr内で、または基準面Prに対して平行にベースプレート14へ取り付けられることが意図される。磁気インジケータ12は、針12aと、針12aに対して垂直に取り付けられることが意図されるピン12bとから成る設定値指示エレメントを備える。
【0030】
さらに、ベースプレート14は、自由端がピン12bを搭載できるポイントを構成するピボット15を装備し、よって、ピン12bは磁場の影響下で空間の三次元全てにおいて旋回することができる。
【0031】
図3aは、磁気インジケータ12の構造を詳細に示す。この実施形態では、磁気インジケータ12は分解されることが可能であって幾つかのコンポーネントで構成され、よってこれは、組立ての時点でプレート11内の開口11aに挿入されることが可能である。
【0032】
したがって、ピン12bは、針がピン12b上へ搭載されてピン12bに対してほぼ垂直に延びるように、針12aへのアタッチメントである手段12cを備える。
【0033】
磁気インジケータ12は、ピボット15上へ搭載されるための部分12dも備え、この部分は、ピン12bへ取り付けられるように意図されるコンポーネント12e上へ位置を定められる。
【0034】
この搭載部分12dは円錐切頭形の旋回ケージの形態であり、ピン12bがピボット15から引き離された状態になることなく空間内で旋回することを許容する。またこの形状は、磁気インジケータの三次元的回転をその円錐角に依存する程度まで制限することもできる。
【0035】
さらに、磁気インジケータ12は、2つの磁石16aおよび16bを取り付けるための部分12fを装備し、このアタッチメントもコンポーネント12e上へ位置を定められる。アタッチメント部分12fは、搭載のための部分12dに対して針12aの反対側に配置され、言い替えれば、針に対する旋回点の反対側に存在する。
【0036】
本発明によれば、磁石16aおよび16bは北極Nおよび南極Sを有する類のものであり、これらの極は、図3aにおいて直線DNSにより略示されているN−S方向が磁気インジケータの軸X−X’に平行であるように配置される。言い替えれば、コンパスの中心がバルブの磁気中心に合わされると、磁気インジケータの軸X−X’は基準面Prに対して実質上垂直になり、かつN−S方向も基準面Prに対して実質上垂直になる。
【0037】
2つの磁石16aおよび16bは、好適には反対極性で配置され、即ち、磁気インジケータの軸X−X’が基準面Prに対して実質上垂直であるとき、磁石16aのN極は基準面Prに対してS極上にあり、かつ磁石16bのS極は基準面Prに対してN極上にある。言い替えれば、コンパスの中心がバルブの磁気中心に合わされると、2つの磁石のうちの一方(本例では磁石16a)は基準面Prに対してN−S方向性を有し、同時にもう一方の磁石(本例では磁石16b)は基準面Prに対してS−N方向性を有する。
【0038】
本明細書では、以後、磁気インジケータの軸X−X’が基準面Prに対して実質上垂直であるときにN極およびS極が基準面に対して重畳される磁石の配置を「垂直配置」と称する。
【0039】
意外にも、両磁石のこの垂直配置は、本機械的位置決め/読取りデバイスを地球の磁場に対して事実上不感受性にする。したがって、磁気インジケータ12は明確にバルブの磁場を拾うが、地球の磁場を拾わない。さらに、2つの磁石16aおよび16bは、その相対的配置のおかげで、両者の極性が反転されるという事実による水平磁場の効果を補償する。
【0040】
これに対して、水平のN−S方向を有する磁石の場合、言い替えれば、コンパスの中心がバルブの磁気中心に合わされると、そのN極およびS極がデバイスの基準面に対して平行に配置される磁石の場合、磁気インジケータは、数度分は不正確である不安定な位置を有し、よってスクリーニングを必要とする。
【0041】
図3bに示す磁気インジケータ12の代替実施形態は、2つの磁石16aおよび16bの代わりに環状磁石16を提供する。この実施形態では、磁気インジケータが基準面Prに対して実質上垂直であるとき、磁石16のN極は基準面Prに対してS極の上にある。S極が基準面Prに対してN極の上にあるアセンブリを考えることは、明らかに可能である。
【0042】
最後に、図3aおよび3bの両実施形態では、好適には、搭載部分12dの底部においてピン12bとピボット15との間に補強手段17が位置合わせされる。
【0043】
この補強手段の目的は、旋回点を補強し、よって高精度の旋回を達成することにある。これは、搭載部分12dの底部に位置合わせされる、ルビー、コランダム、セラミック等からなるコンポーネントで製造されてもよい。
【0044】
組立てに際しては、ピン12bがプレート11内の開口11aを介して通され、次にピン12bへ針12aがアタッチメント手段12cを介して取り付けられる。次に、磁気インジケータがピボット15上へ置かれ、プレート11がベースプレート14上へ位置合わせされる。最後に、透明ドーム13がベースプレートへ取り付けられる。
【0045】
したがって、磁気インジケータ12はピボット15上へ搭載され、磁場の影響下で三次元全ての空間内で旋回できるようになる。この時点で唯一必要なことは、予め決められた最大角度旋回を許容するに足る広さであると同時に、プレート11が磁気インジケータによるピボット15からの落下を防止するガードレールとして作用するようにコンポーネント12dより狭い開口11aを選ぶことである。図4および5は、この位置決めデバイスの動作方法を示す。
【0046】
磁気中心の検出をより容易にするために、磁気コンパスのドームは、好適には、磁気インジケータの軸X−X’が基準面Prに対して垂直であるかどうかを決定するように設計される検出手段を有する。図示されている実施形態において、この手段は、磁気コンパスがバルブ上へ重畳されて磁気インジケータが精確にバルブの中心上へ位置を定められると、磁気インジケータの軸X−X’が基準面Prに対して垂直である磁気コンパスの軸Y−Y’に一致するようにして位置合わせされるセンタリングサイト19である。
【0047】
次に、図4および図5を参照して、調整可能な磁気バルブVの設定値を機械的に位置づけかつ読み取るための本発明によるデバイスの使用について説明する。図示されている実施形態は図3aの実施形態であり、言い替えれば、磁気インジケータが反対極性で配置される2つの磁石16aおよび16bを有する実施形態である。
【0048】
ユーザは、本発明によるデバイス100のセレクタ20を、アラインメントマーク21と流体がバルブVを介して流れる方向Dとが一直線に並ぶようにして方向づける。方向Dはバルブの埋込み時に決定され、患者の一生を通じて一定のままである。
【0049】
またユーザは、基準面Prがバルブの両磁石により形成される平面Paに対して平行になるようにしてデバイスを保持する。平面Paは既知であり、概して平面Paが皮膚表面に対して実質上平行に延びるようにして埋め込まれるバルブの埋込みの間に、例えばプラスマイナス5゜を表す場合のある数度の許容可能なトリムエラーを有して予め決定される。したがって、本デバイスは平面Paに対して位置合わせを行う手段を装備することが望ましい。例えば、ハウジング14の下側14aは、ユーザが下側14aを患者の皮膚に押しつけるようにしてデバイスを位置合わせするだけでよいように、平面Prに対して平行に配置されてもよい。
【0050】
次に、ユーザはバルブ上で磁気コンパス/セレクタアセンブリを、一方で流体がバルブを介して流れる方向(D)に対するデバイスのアラインメントを維持し、他方で基準面Prを平面Paに対して平行に保ちながら動かす。
【0051】
次に、ユーザは、磁気インジケータ12が基準面Prに対して実質上垂直に位置合わせされると、言い替えれば、磁気インジケータ12の軸がサイト19内に位置合わせされたことにユーザが気づく時点で磁気コンパス/セレクタアセンブリを不動にする。
【0052】
磁気インジケータ12が下側14aを通って延びる基準面Prに対して垂直に位置合わせされると、これは、磁気インジケータ12がバルブVの磁気軸上に重畳されていることを意味し、延いては、バルブVの磁気中心の位置が皮膚Pを介して精確に知られることを意味する。
【0053】
本発明によれば、磁石16aおよび16bは、コンパスの中心がバルブの磁気中心に合わされると(図5)、図4および図5において直線DNSにより略示されるN−S方向が基準面Prに対して実質上垂直になるようにして配置される北極Nおよび南極Sを有する。
【0054】
したがって、磁気インジケータ12の磁石16aおよび16bはバルブVの磁石A〜Aにより発生される磁場に位置を合わせ、よって旋回点を中心にして磁気インジケータを回転させる。したがって、磁気インジケータ12は、バルブVの磁気中心に精確に重畳されない間中、基準面Prに対して垂直プラスαの角度を成す。
【0055】
より具体的には、磁石16aのS極はバルブVの磁石AのN極上へ位置を合わせる。同様に、磁石16bのN極はバルブVの磁石AのS極上へ位置を合わせる。
【0056】
図4および図5は概略図であり、原寸通りではない。実際には、磁石16aおよび16bは、その磁気的相互作用を最適化するために、バルブVの磁石A〜Aの分離に類似する分離を有するようにして配置される。
【0057】
両磁石のこの垂直配置により、本発明によるデバイスの磁気インジケータはバルブの磁石の磁場を明確に拾うが、地球の磁場を拾わない。局部的に水平であることが想定される地球の磁場の方向性に関わらず、磁気インジケータの磁石には何も影響がない。したがって、バルブVの磁気中心の位置は、デバイスをスクリーニングする必要なしに皮膚Pを介して精確に知られる。
【0058】
磁気コンパス自体は従うべき方向を指示することから、その磁気中心を位置づけることができるように触診により予めバルブを位置づけておく必要はない。その結果、深く埋め込まれたバルブであっても、本発明によるデバイスを使用して同定することができる。しかしながら、状況がそのようなアプローチに適していれば、即ち、バルブが皮下にある場合、かつ時間を節約するために、ユーザは、まず触診によってバルブVが位置づけられるおおよその領域にバルブVを位置づけ、その後、セレクタと流れの方向Dとの位置を合わせてもよい。
【0059】
ユーザは、基準面において磁気インジケータ12とアラインメントマークにより指示される方向Dとの間に形成される角βを同定する(図1)。よって、バルブ設定値はこの角βによって表現され、言い替えれば、基準面Pr上への針12aの直交突起と方向Dとの間の角度によって表現される。したがって、図1に示すように、バルブは圧力が110mmHO(即ち、約1078.73Pa)以上のときに流体が流れることを許容するように設定されていることを、インタフェース22上で読み取ることが可能である。
【0060】
本デバイスは、プログラマとして知られる、バルブの設定値を変更するに足る強さの磁場を発することのできる磁場エミッタも装備してアセンブリに包含されることが可能である。このような場合、バルブの磁気中心およびバルブ設定値を精確に位置づけた上で、ユーザは、バルブの設定値を変更するに足る強さの磁場を発する命令を出す。これを行なうために、セレクタおよび磁気コンパスが分離可能であるこの好適な実施形態において、ユーザは、セレクタ20をバルブの磁気中心が位置づけられている精確な位置に保持し、セレクタ20から磁気コンパス10を取り除きかつこれをセレクタ20内部に嵌めることのできるプログラマに代える。ユーザは次に、設定値を所望されるバルブの圧力設定値に従って適宜変更することができる。
【0061】
図6から図8は、本発明による磁気バルブの設定値を位置づけかつ指示するためのデバイスの磁気コンパス40の別の実施形態を示す。
【0062】
この実施形態において、磁気インジケータは、設定値を指示する針を形成する部分42aを有する単一のコンポーネント42(図6)と、ピンを形成する部分42bと、搭載用の部分42d(図8)と、2つの磁石16aおよび16bを取り付けるための部分42f〜42fとから成る。またピボット15と部分42dとの間のインタフェースには、旋回補強用ルビー17が位置合わせされてもよい。
【0063】
この磁気コンパスを組み立てるためには(図7)、ピン42bを開口11aへ挿入できるようにするカットアウト11bを有するプレート11を選ぶことが必要である。
【0064】
組立てにおける他の工程は、図2に示す実施形態と同じである。
【0065】
図9は、先に述べた2つの実施形態を組み合わせた別の実施形態、即ち、針52aと、ピン52bと、アタッチメントコンポーネント52e上へ位置づけられる搭載部分52dと、磁石16a、16bを取り付けるための部分52f〜52fとを備える一体式磁気インジケータ52を示す。
【0066】
部分52eの目的は、磁気インジケータの最大旋回角度を限定し、同時にルビーの使用量をピン/ピボット接点に限定することにある。
【0067】
さらに、磁気インジケータは、アタッチメント部分52fと52fの重量をこれらのアタッチメント部分間で平衡させることによって磁気インジケータ52のバランスを向上させる釣合いリング60を備える。
【0068】
この釣合いリング60は、磁石を取り付けるための部分52f〜52fの周りに、ピン52bと同軸に、かつピボット15上へ搭載されるための部分52dの設定値指示エレメント52aとは反対側に位置合わせされる。
【0069】
多くの変形例および代替例は、それによって本発明を逸脱することなく採用されてもよく、具体的には、
コンパスは、先に述べた圧力調整可能バルブ、またはバルブが開放されていた時間および設定されるスループットの関数として計算される決定された流体量がバルブを通過するとバルブが閉じる流れ調整可能磁気バルブ等の任意の種類の調整可能な磁気バルブの設定値を決定するために使用されることが可能である。
【0070】
回転ピボット上へ搭載されて取り付けられる代わりに、磁気インジケータは、インジケータが空間内の三次元全てに位置を合わせることができるように、スイベル上または各々が垂直である3つの旋回ピン上へ取り付けられてもよい。
【0071】
基準面は、取り付けられるプレート11ではなくベースプレート14のベースから成ってもよい。
【0072】
検出手段は、磁気インジケータの軸が基準面に対して垂直であると可聴信号を放つセンサであってもよい。
【0073】
旋回角度制限器は、半球または半卵形の旋回ケージの形態を有してもよい。
【0074】
磁石は環状であってもよく、または2つの磁石から成ってもよい。
【0075】
プレートは、バルブ設定値の読取りをより容易にするために目盛りを付けられてもよい。
【0076】
読取りインタフェース22は、バルブが有する設定値位置と同数の設定値指示マーク22aを有する。よって、図1において、読取りインタフェースは5つまでの設定値位置を有するバルブ用に設計されている。例えば24個の設定値位置を有するバルブの場合、このインタフェースは少なくとも24個のマーク22aを有する。
【0077】
磁気インジケータは、バルブ設定値位置に対応するマーク22aを指示する視覚的手段23を備えてもよい。このマークは、矢印、着色された印または線等の単純な記号であってもよいが、特定形状の磁気インジケータによって等しく具現されてもよい。この視覚的手段は、2つの対向するマーク22aからそのバルブ設定値位置に対応するのはどちらかを非曖昧に決定することを可能にすることに起因して、マーク22aが正反対の読取りインタフェース22上にある場合に特に有益である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れを予め決められた方向(D)に制御するために圧力調整可能磁気バルブ(V)の設定値を機械的に位置づけかつ読み取るためのデバイスであって、
磁気コンパス(10)と、
前記磁気コンパス(10)を前記流体が前記バルブ(V)を介して流れる前記方向(D)に対して位置合わせするためのアラインメントマーク(21)とを備え、
前記磁気コンパス(10)は、
基準面(Pr)と、
前記バルブ磁場の影響下で空間の三次元全てにおいて旋回できるように取り付けられる磁気インジケータ(12、42、52)とを備え、
前記バルブの設定値は、前記磁気インジケータ(12、42、52)が前記基準面(Pr)に対して実質上垂直に位置合わせされ、よって前記磁気コンパスの中心が前記バルブの磁気中心に合わされると、前記基準面において、前記前記磁気インジケータ(12、42、52)と前記アラインメントマーク(21)との間に形成される角(β)によって表されることと、前記磁気インジケータ(12、42、52)は磁場を受入れることができてN−S方向を有する少なくとも1つの磁石を装備し、前記少なくとも1つの磁石は、前記磁気インジケータ(12)が前記基準面(Pr)に対して実質上垂直に位置合わせされると、前記N−S方向が前記基準面(Pr)に対して実質上垂直になるようにして配置されることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
反対極性で配置される2つの磁石(16a−16b)を備え、前記コンパスの中心が前記バルブの磁気中心に合わされると、その一方(16a)は前記基準面(Pr)に対してN−S方向性を有し、かつ他方(16b)は前記基準面(Pr)に対してS−N方向性を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記磁気コンパスは、前記磁気インジケータの軸(X−X’)が前記基準面(Pr)に対して垂直であるかどうかを決定するように設計される検出手段を有する、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記制御手段は、センタリングサイト(19)である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記磁気インジケータ(12、42、52)は、ピボット(15)上に搭載されて前記バルブの磁場の影響下で空間の三次元全てにおいて回転できるように設計される、請求項1〜4のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
前記磁気インジケータ(12、42、52)は、
ピン(12b、42b、52b)に対して略垂直に延びる設定値指示エレメント(12a、42a、52a)が上に取り付けられるピン(12b、42b、52b)と、
前記ピボット上に搭載されるための部分(12d、42d、52d)と、
前記磁石(16、16a、16b)を取り付けるための部分(12f、42f1−42f2、52f)と
を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記取付け部分(12f、42f1−42f2、52f)は、前記設定値指示エレメント(12a、42a、52a)への前記搭載部分(12d、42d、52d)とは反対側に配置される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記磁気インジケータ(12、42、52)は、旋回角度制限器(12e、52e)を備える、請求項1〜7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
前記旋回角度制限器は、半球、半卵形または円錐切頭形の旋回ケージの形態である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
補強手段(17)が、前記ピボット(15)の前記搭載部分(12d、42d、52d)に位置合わせされる、請求項1〜9のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
前記補強手段(17)が、ルビー、コランダムおよびセラミックから選ばれる材料で製造される、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
釣合いリング(60)が、前記磁石(16、16a、16b)を取り付けるための前記部分(12f、42f1−42f2、52f)の周りに、前記ピン(12b、42b、52b)と同軸で、かつ前記ピボット(15)上に搭載される前記部分(12d、42d、52d)の前記設定値指示エレメント(12a、42a、52a)とは反対側に位置合わせされる、請求項1〜11のいずれかに記載のデバイス。
【請求項13】
前記アラインメントマーク(21)を装備したセレクタ(20)を備え、前記セレクタ(20)および前記磁気コンパス(10)は分離可能である、請求項1〜12のいずれかに記載の請求項記載のデバイス。
【請求項14】
前記バルブ(V)の前記設定値を読み取るための読取りインタフェース(22)を備える、請求項1〜13のいずれかに記載のデバイス。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載のデバイスを、前記バルブの前記設定値を変えるに足る強力な磁場を放出することのできるプログラマと共に備える、磁気バルブ(V)の設定値を機械的に位置づけかつ読み取るためのアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−185529(P2010−185529A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−30517(P2009−30517)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(509041968)
【氏名又は名称原語表記】SOPHYSA
【住所又は居所原語表記】22, Rue Jean Rostand, Parc−Club Orsay Universite, 91893 Orsay Cedex, FRANCE
【Fターム(参考)】