説明

調湿パネル

【課題】高い調湿性能を有するとともに、内装建材に適用可能な強度及び寸法安定性を備えた調湿パネルを提供する。
【解決手段】調湿パネル1は、植物長繊維2の集合体に、バインダーとなる樹脂材を分散させて、該植物長繊維間を熱圧接着して形成されるとともに、該植物長繊維間に形成される空隙に水分の吸放湿性を有する高分子吸放湿材3を捕捉させており、密度が500kg/m以上、1200kg/m以下とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿パネルに関し、詳しくは、住居の内装建材などに使用される調湿パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の住宅においては、高断熱、高気密化の傾向が進み住宅内の湿度調節が困難となっている。それに起因する結露やカビ、ダニの発生が問題となり、住宅内の湿度調節が重要な課題となっている。
そこで、従来から住宅の内装建材などに使用される調湿機能を有した建築材料が提案されている。
一般的には、主材となる人造鉱物繊維や木材繊維に、珪藻土、炭、シリカゲル、ゼオライト等の調湿材と、無機系あるいは樹脂系のバインダーとを混合して熱圧成形等によって板状に形成された調湿建材が汎用されている。
【0003】
また、下記特許文献1では、上記のような調湿材を利用することなく、天然のイグサの端材等を主原料として利用した吸湿性を有する繊維板が提案されている。
この繊維板は、主原料として切断または粉砕されたイグサを使用し、結合剤として水溶性高分子または高分子エマルジョンを使用して、加熱加圧によって板状に形成されており、その密度は、0.2g/cm〜0.7g/cmとされている。
このものでは、結合剤として水溶性高分子または高分子エマルジョンを使用することで、イグサ表面を強固に覆ってしまうことはなく、よって、イグサ特有の吸湿性を損なうことなく維持できる、とされている。また、この繊維板では、その密度を0.2g/cm〜0.7g/cmとすることで、繊維板としての必要な強度と吸湿性を維持することができる、とされている。
【特許文献1】特許3559215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の繊維板では、繊維板としての必要な強度を有している、とされているが、その実施例を検討する限り、繊維板の中でも軟質のインシュレーションボードに対応するものである。例えば、内装用の表面建材として使用される場合には、切断・穴あけ加工や釘打ち等がなされるため、表面硬度や耐欠け性、ボード自体の強度が要求されるが、上記特許文献1に記載の繊維板では、インシュレーションボード程度の曲げ強度しか有しておらず、そのような箇所への施工は困難であった。
また、その吸湿性能も十分ではなく、積極的に調湿がなされる調湿パネルが望まれていた。
【0005】
ところで、近年では上記したような調湿材よりも更に調湿性能の高い高分子吸放湿材が提案されている。この高分子吸放湿材は、もともと衛生製品等に使用されていた高分子吸水材に放湿機能を付与したものである。
このような高分子吸放湿材は、その物性から吸放湿の前後において体積変化を生じるものである。すなわち吸湿による膨潤で膨張するため、現在の利用方法としては、この膨張を吸収すべく、不織布等の通気性及び柔軟性のあるシートでパック化し、調湿シートとしての使用はなされている。
しかしながらこのような不織布等の柔軟性のあるシートでパック化して利用する態様では、上述のように強度や寸法安定性が求められる建材としての利用は困難であった。
【0006】
本発明は、前記問題を解決するために提案されたもので、その目的は、高い調湿性能を有するとともに、内装建材に適用可能な強度及び寸法安定性を備えた調湿パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る調湿パネルは、植物長繊維の集合体に、バインダーとなる樹脂材を分散させて、該植物長繊維間を熱圧接着して形成されるとともに、該植物長繊維間に形成される空隙に水分の吸放湿性を有する高分子吸放湿材を捕捉させており、密度が500kg/m以上、1200kg/m以下とされていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の前記調湿パネルにおいては、異なる密度の層を厚さ方向に積層形成した複層構造とされたものとしてもよい。
また、本発明の前記調湿パネルにおいては、前記高分子吸放湿材を、その粒径が50μm以上、2mm以下とされた粒子からなるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る前記調湿パネルは、バインダーとなる樹脂材を分散させて植物長繊維間を熱圧接着して形成されているので、透湿性の高い多孔質の調湿パネルとなるとともに、その植物長繊維間に形成される空隙に、従来のような珪藻土やシリカゲル等と比べて吸放湿性能に優れた高分子吸放湿材を捕捉させることで、調湿パネル自体の調湿性能を飛躍的に高めることができる。
特に、前記調湿パネルは、その密度を、500kg/m以上、1200kg/m以下としているので、調湿性能を阻害することなく、内装用の表面建材として使用される場合に要求される表面硬度や耐欠け性を確保できるとともに、寸法安定性にも優れたものとなる。すなわち、密度が500kg/m未満であると、調湿パネル自体の表面硬度が低下する恐れがあるとともに、釘や木ネジ等の保持力が低下する恐れがあり、また、密度が1200kg/m超であると、調湿パネル自体の調湿性能が低くなる恐れがある。
また、上記密度範囲とすることで、植物長繊維間に形成される空隙に捕捉される高分子吸放湿材の吸放湿前後での体積変化を吸収するための空隙を調湿パネルの強度及び透湿性を損なうことなく確保できる。
【0010】
本発明の前記調湿パネルにおいて、異なる密度の層を厚さ方向に積層形成した複層構造とされたものとすれば、例えば、室内空間側あるいは収納空間側に露出する表層側を裏層側よりも低密度のものとすることで、表層側の透湿性が高くなる。よって、このような場合では吸湿速度が早められるとともに、吸湿後の放湿性能が高められる。あるいは、表層側を裏層側よりも高密度のものとすることで、表面硬度及び表面平滑性に優れた調湿パネルとすることもでき、施工箇所に合わせて各層の密度を設定することもできる。また、前記高分子吸放湿材の混合量を各層で異なる混合量とすることもでき、施工箇所等に合わせて調湿性能を調整し得る調湿パネルとなる。
【0011】
また、本発明の前記調湿パネルにおいて、前記高分子吸放湿材を、その粒径が50μm以上、2mm以下とされた粒子からなるものとすれば、調湿性能を阻害することなく、十分な強度を有した調湿パネルとなる。すなわち、通常、3mm〜12mm程度の板厚とされている内装用の表面建材に、本発明に係る調湿パネルを適用すると、高分子吸放湿材が粒子状である場合に、その粒径が2mm超の場合は、植物長繊維間に形成される空隙内での体積膨張の吸収がうまくなされずに調湿性能が阻害される場合があるが、上記のような微粒子状の高分子吸放湿材とすることで、そのようなことを低減できる。
また、高分子吸放湿材の粒径が2mm超の場合は、パネル自体に局部的な密度差が生じる恐れもあるが、高分子吸放湿材の粒径を2mm以下とすることで、そのようなことを低減でき、均質な調湿パネルとなる。
【0012】
さらに、前記調湿パネルに含有される高分子吸放湿材は、その表面積が大きいほど調湿性能が高くなり、よって、粒径を大きくすると表面積が小さくなるため、調湿性能が低減するが、高分子吸放湿材の粒径を2mm以下とすることで、優れた調湿性を発揮できる調湿パネルとなる。
また、高分子吸放湿材の粒径が50μm未満の場合は、植物長繊維間に形成される空隙に捕捉させる際に、高分子吸放湿材の含有量が、パネル平面域や厚さ方向において偏りが生じやすくなったり、高分子吸放湿材が植物長繊維間に形成される空隙に捕捉保持されにくくなり、保持されずに抜け落ちたりする恐れがあるが、高分子吸放湿材の粒径を50μm以上とすることで、そのようなことを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る調湿パネルを模式的に示す概略縦断面図である。
尚、以下では、調湿パネルの表面とは、室内空間側あるいは収納空間側の面を指すものとする。
【0014】
図例の調湿パネル1は、植物長繊維2の集合体に、バインダーとなる樹脂材を分散させて、植物長繊維2間を熱圧接着して形成されるとともに、植物長繊維2間に形成される空隙に水分の吸放湿性を有する高分子吸放湿材3を捕捉させたものである。
尚、この調湿パネル1は、住宅の内壁の留め付け仕上げ用の表面建材、打上天井材等の内装建材として適用され、押入れやクローゼット内の内壁や天井などへの施工も可能である。
また、調湿パネル1の表面に、表面仕上げのための通気性・透湿性を有する化粧シートや壁紙を更に貼着するようにしてもよい。
さらに、調湿パネル1の裏面に石膏ボードや木質ボード、樹脂ボードなどを貼着して施工する態様としてもよい。
【0015】
本実施形態に係る調湿パネル1に採用される植物長繊維2としては、植物の靭皮から採取される靭皮繊維材(例えば、ケナフ、亜麻、ラミー、大麻、ジュート等の麻類植物の靭皮から採取される繊維)や、マニラ麻、サイザル麻等の麻類植物の茎又は端の筋から採取される繊維、油ヤシやココヤシ等のヤシ科植物から採取される繊維、パルプなどの木材繊維が挙げられる。
特に、近年、枯渇化が叫ばれている木材資源ではなく、非木材資源である麻類植物やヤシ科植物から得られる麻類植物繊維材やヤシ科植物繊維材を植物長繊維2として使用すれば、環境資源にも配慮した調湿パネル1となる。また、そのような麻類植物やヤシ科植物から採取される繊維は、従来の繊維板に使用されている針葉樹や広葉樹から採取される繊維よりも引張強度が2倍〜14倍程度高く、麻類植物やヤシ科植物から採取される繊維を調湿パネル1に使用することで、調湿パネル1自体の強度をより効果的に高めることができる。
尚、上記各種の繊維は、一種あるいは二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
本実施形態に係る調湿パネル1に採用されるバインダー(接着成分)となる樹脂材を含有する接着剤としては、特に限定されず、ユリア樹脂や、メラミン樹脂、ユリア・メラミン共縮合樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を含有する接着剤、あるいは、酢酸ビニル樹脂や、合成ゴム、ポリ乳酸、澱粉、アクリル樹脂等を含有する水性接着剤あるいはエマルジョン接着剤などが挙げられる。
【0017】
また、本実施形態に係る調湿パネル1にバインダーとして含有される上記樹脂材の含有量は、成形後の調湿パネル1に対して、その固形分が5重量%以上、50重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは10重量%以上、30重量%以下である。これにより、調湿性能を阻害することなく、上記植物長繊維2同士の接着性を高められる。すなわち、樹脂材の含有量が5重量%未満であれば、上記植物長繊維2間を熱圧接着する際に、十分な接着がなされず、植物長繊維がばらけたり、表面硬度が低くなり、剥離が生じたりする恐れがある。また、樹脂材の含有量が50重量%超であれば、植物長繊維2同士の接着性は高められるが、パネル自体の透湿性、通気性が阻害される恐れがあるとともに、後記する高分子吸放湿材3を捕捉するための空隙も十分に確保されにくくなる。
尚、本実施形態においては、後記するように、成形された調湿パネル1が多孔質状態で透湿性・通気性を有し、高分子吸放湿材3を捕捉するための空隙を有するように、植物長繊維2間を接着し得るバインダーとなる樹脂材であれば、上記以外の樹脂材を使用してもよい。また、上記各種の樹脂材は、一種あるいは二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
本実施形態に係る調湿パネル1に採用される高分子吸放湿材3としては、微粒子状のものとしてもよく、その粒径が50μm以上、2mm以下とされたものとしてもよい。
このような微粒子状の高分子吸放湿材(高分子吸放湿微粒子)3は、可逆的な吸湿機能、放湿機能を有するもので、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などを主成分として重合した重合体、アクリロニトリルを主成分とした重合体のニトリル基を加水分解させたものなどで架橋構造を有するアクリル系樹脂が挙げられる。
【0019】
より具体的には、上記高分子吸放湿微粒子3は、塩型カルボキシル基を有し、かつ架橋構造を有する有機微粒子であり、アクリロニトリルを含むアクリル系樹脂にヒドラジン処理により架橋構造を導入し、加水分解により、残存しているニトリル基の一部を塩型カルボキシル基に化学変換せしめたアクリル系金属変性粒子などの高分子吸放湿微粒子3としてもよい。あるいは、ニトリル基を有するビニルモノマーを多く含有する高ニトリル系重合体の含有するニトリル基と、ジビニルベンゼンあるいはトリアリルシアヌレートとの架橋剤由来の架橋構造を有し、ニトリル基の一部を塩型カルボキシル基に化学変換せしめたアクリル系金属変性粒子などの高分子吸放湿微粒子3としてもよい。
【0020】
上記のような高分子吸放湿材3は、吸放湿により若干の体積変化があるものの、従来から公知の調湿材であるシリカゲル等の2倍以上の吸湿能力があるとともに、その放湿能力も高いものである。
尚、高分子吸放湿材としては、上記した例に限られず、従来から公知の調湿材であるシリカゲル等とは異なるもので、吸放湿性能が高く、吸放湿の前後において体積変化のある高分子を主体とする吸放湿材としてもよい。また、粒子状の高分子吸放湿材に限らず、例えば、繊維状に解繊された高分子吸放湿繊維体としてもよい。
【0021】
上記のように高分子吸放湿微粒子3の粒径を、50μm以上、2mm以下とすることで、調湿性能を阻害することなく、十分な強度を有した調湿パネル1となる。すなわち、通常、3mm〜12mm程度の板厚とされている内装用の表面建材に、本実施形態に係る調湿パネル1を適用すると、高分子吸放湿微粒子3の粒径が2mm超の場合は、植物長繊維2間に形成される空隙内での体積膨張の吸収がうまくなされずに調湿性能が阻害される場合があるが、上記のように微粒子状の高分子吸放湿微粒子3とすることで、そのようなことを低減できる。
また、高分子吸放湿微粒子3の粒径が2mm超の場合は、パネル自体に局部的な密度差が生じる恐れもあるが、高分子吸放湿微粒子3の粒径を2mm以下とすることで、そのようなことを低減でき、均質な調湿パネル1となる。
【0022】
さらに、調湿パネル1に含有される高分子吸放湿微粒子3は、その表面積が大きいほど調湿性能が高くなり、よって、粒径を大きくすると表面積が小さくなるため、調湿性能が低減するが、高分子吸放湿微粒子3の粒径を2mm以下とすることで、優れた調湿性を発揮できる調湿パネル1となる。
また、高分子吸放湿微粒子3の粒径が50μm未満の場合は、植物長繊維2間に形成される空隙に捕捉させる際に、高分子吸放湿微粒子3の含有量がパネル平面域や厚さ方向において偏りが生じやすくなったり、高分子吸放湿微粒子3が植物長繊維2間に形成される空隙に捕捉保持されにくくなり、保持されずに抜け落ちたりする恐れがあるが、高分子吸放湿微粒子3の粒径を50μm以上とすることで、そのようなことを低減できる。
【0023】
尚、後記する調湿パネル1を成形する際に、高分子吸放湿微粒子3に加えて、従来から公知の調湿材を混合するようにしてもよい。このような調湿材としては、木炭、竹炭などの炭類、タルク、ゼオライト、珪藻土、シリカゲル、モンモリロナイト、セピオライトなどの粘土鉱物、アルミナ、シリカなどの無機物等が挙げられる。また、調湿材の粒径は、高分子吸放湿微粒子3と同様、50μm以上、2mm以下とすることが好ましい。
また、上記各種の調湿材は、一種あるいは二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、上記以外の調湿材を使用してもよい。
【0024】
次に、本実施形態に係る調湿パネル1の製造方法の一例を説明する。
尚、以下では、植物長繊維として、ケナフを解繊して得たケナフ長繊維を使用し、樹脂材として、フェノール樹脂を含有するフェノール樹脂系接着剤を使用した場合について説明するが、植物長繊維、樹脂材としては、上記した各種から適宜、選択可能である。
【0025】
アオイ科の一年生草本類であるケナフを、例えば、水中に浸漬することによって、芯部と外皮部分である靭皮部とに分離し、この靭皮部から得たケナフ繊維束をオープナーなどの解繊装置に供給して、平均繊維径が20μm〜500μm、好ましくは、50μm〜100μm程度となるように解繊するとともに、所定の長さ、例えば、6mm以上の長さに切断して、ケナフ長繊維とする。このケナフ長繊維の長さは、6mm以上であれば良いが例えば、6mm〜2000mm程度、好ましくは、10mm〜200mm程度、より好ましくは、20mm〜100mm程度である。
【0026】
ケナフ長繊維の平均繊維径が、上記の範囲より小径であると、接着面積が増加するためパネル自体の強度は高くなるが、ケナフ長繊維間の空隙が小さくなり、透湿性を阻害する恐れがあり、また、ケナフ長繊維の平均繊維径が上記の範囲より大径であると、透湿性は高くなるが、ケナフ長繊維同士の接着箇所が少なくなってパネル自体の強度が低下する恐れがある。
また、ケナフ長繊維の繊維長が、上記の範囲より短いと、ケナフ長繊維同士の絡み合いが不足してパネル自体の強度や透湿性が低下する恐れがあり、また、ケナフ長繊維の繊維長が、上記の範囲より長いと、後記するようにケナフ長繊維の集合体を形成する際に所定の形状にすることが困難となるとともに、樹脂材及び高分子吸放湿材を均一に分散させることが困難となる恐れがある。
【0027】
従来の針葉樹や広葉樹から採取される繊維を使用したMDF等の繊維板では、6mm未満、一般的には2mm以下の短繊維に樹脂系接着剤を混合して成形されているが、本実施形態では、上記のように繊維長が6mm以上とされたケナフ長繊維を使用することで、それら長繊維が絡み合いパネル自体の強度を高められるとともに、長繊維が絡み合うことによって微小な空隙が形成された多孔質のパネルとなり、透湿性に優れたものとなる。特に、そのケナフ長繊維の繊維長を、上記のように10mm〜200mm程度とすることで、パネル自体の透湿性を阻害することなく、長繊維の絡み合いによる強度をより効果的に高めることができる。
【0028】
上記ケナフ長繊維を堆積、積層して所定の厚さの長繊維マット体(ケナフ長繊維の集合体)とする。この際、ケナフ長繊維のそれぞれが、ほぼ一方向に配向するようにしたり、ほぼ直交する二方向に配向するようにしたりしてもよい。また、上記長繊維マット体に多数のニードルによってパンチング処理を施し、長繊維同士をより絡み合わせるようにしてもよい。尚、上記したように、高分子吸放湿材が繊維状とされた高分子吸放湿繊維体である場合には、この長繊維マット体の形成時にケナフ長繊維と混合して絡み合わせるようにしても良い。
【0029】
次に、上記のように形成された長繊維マット体を、液状フェノール樹脂の含浸槽に浸漬させ、ローラー等の絞り機で絞って所定の混合量となるようにして、フェノール樹脂を長繊維マット体に均一に分散させ、その後、乾燥機によって揮発分を蒸発させ、フェノール樹脂含浸長繊維マット体とする。このフェノール樹脂は、成形後の調湿パネル1に対して、その含有量が固形分で、好ましくは、5重量%〜50重量%、より好ましくは、10重量%〜30重量%であり、これにより、ケナフ長繊維間の接着強度、及び成形後の調湿パネル1の調湿性能を阻害することがない。
尚、フェノール樹脂を長繊維マット体に均一に分散させる態様としては、例えば、粉末のフェノール樹脂を所定の混合量で上記ケナフ長繊維に混合して、その後に、長繊維マット体とするようにしてもよい。あるいは、ケナフ長繊維に、液状フェノール樹脂をスプレー噴霧しながら長繊維マット体を形成するようにしてもよい。
【0030】
上記のようにフェノール樹脂が均一に分散された状態の長繊維マット体に、所定量の高分子吸放湿微粒子3を添加する。
この長繊維マット体への高分子吸放湿微粒子3の添加は、例えば、コンベア等を搬送される長繊維マット体に対して、高分子吸放湿微粒子3を散布したり、あるいは、長繊維マット体を二層構造として、それらの層間に挟み込むようにしたりしてもよい。尚、上記のように長繊維マット体に対して、高分子吸放湿微粒子3を散布する際には、長繊維マット体を振動させることで、長繊維マット体の厚さ方向に沿って均一に高分離吸放湿微粒子3を分散させて混合させることができる。
【0031】
次いで、上記のように高分子吸放湿微粒子3が分散、混合された長繊維マット体を、熱プレス機に導入し、熱プレス(加熱加圧)を行う。この際、成形後の調湿パネル1の密度が、500kg/m以上、1200kg/m以下となるように熱プレスがなされる。この熱プレス時の条件、すなわち、プレス圧、プレス時間、及び型面温度は、成形後の調湿パネル1の密度や板厚、樹脂材の含有量等により適宜、選択可能であるが、例えば、120℃〜200℃程度の型面温度、1.0〜4.0MPa程度のプレス圧、1分〜3分程度のプレス時間としてもよい。
【0032】
上記のように熱プレスがなされ、脱型してケナフ長繊維2を主材とするケナフ調湿パネル1が得られる。このように成形されたケナフ調湿パネル1は、ケナフ長繊維2の絡み合いによって透湿性、通気性のある多孔質状態となり、ケナフ長繊維2のそれぞれは、絡み合うようにして、そのケナフ長繊維2同士が樹脂材で部分的に接着連結されるとともに、それらケナフ長繊維2間に形成される微小な空隙に高分子吸放湿微粒子3が捕捉された構成となる。
尚、上記した調湿パネル1の製造方法は、一例に過ぎず、上記以外の製造方法によって製造し得ることは当然である。
【0033】
前記構成とされた本実施形態に係る調湿パネル1は、バインダーとなる樹脂材(フェノール樹脂)を分散させてケナフ長繊維2間を熱圧接着して形成されているので、透湿性の高い多孔質の調湿パネル1となるとともに、その繊維間に形成される空隙に、従来のような珪藻土やシリカゲル等と比べて吸放湿性能に優れた高分子吸放湿微粒子3を捕捉させることで、調湿パネル1自体の調湿性能を飛躍的に高めることができる。
また、調湿パネル1は、その密度を、500kg/m以上、1200kg/m以下としているので、ケナフ長繊維2間に形成される空隙に捕捉される高分子吸放湿微粒子3の吸放湿前後での体積変化を吸収するための空隙を調湿パネル1の強度及び透湿性を損なうことなく確保できる。
【0034】
特に、上記密度範囲とすることで、調湿性能を阻害することなく、内装用の表面建材として使用される場合に要求される表面硬度や耐欠け性を確保できるとともに、寸法安定性にも優れた調湿パネル1となる。すなわち、密度が500kg/m未満であると、調湿パネル1自体の表面硬度が低下する恐れがあるとともに、釘や木ネジ等の保持力が低下する恐れがあり、また、密度が1200kg/m超であると、調湿パネル1自体の調湿性能が低くなる恐れがある。
また、本実施形態では、上記したように、フェノール樹脂を分散させたケナフ長繊維マット体に対して、高分子吸放湿微粒子3を添加するようにしているので、例えば、高分子吸放湿微粒子3を混合してケナフ長繊維マット体とした後に、液状樹脂系接着剤に浸漬する場合は、高分子吸放湿微粒子3の表面が、硬化後の樹脂により被覆される恐れがあるが、そのようなことがなく、その調湿性能を阻害することがない。
【0035】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図2は、第2実施形態に係る調湿パネルを模式的に示す概略縦断面図である。
尚、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については、同一符合を付して説明を省略する。
【0036】
本実施形態に係る調湿パネル1Aは、異なる密度の層を厚さ方向に積層形成した複層構造とされた調湿パネルであって、具体的には、表層となる第1層パネル4と、裏層となる第2層パネル5との二層構造からなり、これら第1層パネル4と第2層パネル5とは、透湿性を有する水性接着剤6にて接着されている。
第1層パネル4は、上記同様のケナフ長繊維2に樹脂材を分散させ、高分子吸放湿微粒子3を添加して形成されたケナフ長繊維マット体を熱プレスして成形されており、その密度を第2層パネル5よりも低密度、例えば、500kg/m以上、800kg/m未満としている。
第2層パネル5は、上記同様のケナフ長繊維2に樹脂材を分散させ、高分子吸放湿微粒子3を添加して形成されたケナフ長繊維マット体を熱プレスして成形されており、その密度を第1層パネル4よりも高密度、例えば、800kg/m以上、1200kg/m以下としている。
【0037】
これら第1層パネル4と第2層パネル5とを、乾燥固化した状態で透湿性を有する澱粉系接着剤や酢酸ビニル系接着剤などの水性接着剤6で接着して調湿パネル1Aが積層形成される。
前記構成とされた調湿パネル1Aは、前記第1実施形態の調湿パネル1と同様、バインダーとなる樹脂材を分散させてケナフ長繊維2間を熱圧接着してそれぞれ形成されているので、それぞれ透湿性の高い多孔質のパネルとなるとともに、そのケナフ長繊維2間に形成される空隙に、従来のような珪藻土やシリカゲル等と比べて吸放湿性能に優れた高分子吸放湿微粒子3を捕捉させることで、調湿パネル1A自体の調湿性能を飛躍的に高めることができる。
また、本実施形態では、第1層パネル4と第2層パネル5とは、透湿性を有する水性接着剤6によって接着されているので、各層間での透湿性の確保がなされ、調湿パネル1A全体としての調湿性能を阻害することがない。
【0038】
さらに、前記各層4,5の密度をそれぞれ、500kg/m以上、1200kg/m以下の範囲内としているので、ケナフ長繊維2間に形成される空隙に捕捉される高分子吸放湿微粒子3の吸放湿前後での体積変化を吸収するための空隙を調湿パネル1の強度及び透湿性を損なうことなく確保できる。
特に、上記密度範囲とすることで、前記第1実施形態に係る調湿パネル1と同様、内装用の表面建材として使用される場合に要求される表面硬度や耐欠け性を確保できるとともに、寸歩安定性にも優れたものとなる。
さらにまた、表層側となる第1層パネル4の密度を、裏層側となる第2層パネル5の密度よりも低密度としているので、室内空間側あるいは収納空間側に位置する第1層パネル4の透湿性が高いことから吸放湿の応答性が高くなる。
【0039】
尚、本実施形態では、これら第1層パネル4と第2層パネル5との層厚は、それぞれ略同厚としているが、異なる層厚としてもよい。
また、各層の密度範囲も上記した例に限られず、それぞれの層の密度が異なるものとすればよく、形成された調湿パネル全体として、500kg/m以上、1200kg/m以下の範囲内となるよう設定すればよい。
さらに、本実施形態では、上記第1層パネル4と第2層パネル5とに添加された高分子吸放湿微粒子3の添加量は、略同量としているが、各層で異なる添加量としてもよい。
さらにまた、本実施形態では、表層側の第1層パネル4の密度を、裏層側の第2層パネル5よりも低密度とした調湿パネル1Aを例示したが、表層側の第1層パネル4の密度を、裏層側の第2層パネル5よりも高密度とした調湿パネルとしてもよい。この場合は、表面硬度及び表面平滑性に優れた調湿パネルとでき、このように厚さ方向に、異なる密度の層を積層形成して、各層の密度を適宜、設定して複層構造とすることで、施工箇所に応じた調湿パネルとなる。
【0040】
また、本実施形態では、二層構造からなる調湿パネル1Aを例示しているが、これに限られず、三層以上の積層構成としてもよい。例えば、高密度の第2層パネル5を芯材として、その表裏に低密度の第1層パネル4を積層するようにしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、第1層パネル4と第2層パネル5とをそれぞれ成形後に、水性接着剤6にて接着して積層形成した複層構造の例を示したが、例えば、各層の繊維径や剛性を異ならせて、複層の長繊維マット体とし、該長繊維マット体を熱プレスして一体成形するようにしてもよい。
【0041】
次に、本発明に係る調湿パネルの実施例の一例と比較例とを図3の表に基づいて説明する。
尚、実施例1〜4では、ケナフ長繊維2として、ケナフの靭皮部を解繊して得た平均径82μm、長さが20mm〜100mmのケナフ長繊維(比較例1,2も同様)を用い、樹脂材として、液状のフェノール樹脂系接着剤(群栄化学工業(株)PL−3725)を用い(比較例1,2も同様)、高分子吸放湿材として、平均粒径が50μmとされたアクリル系の吸放湿性微粒子である高分子吸放湿微粒子3(東洋紡績(株)タフチック(登録商標)HUシリーズ720P)を用いた(比較例1,2も同様)。
【0042】
(実施例1〜3)
上記のケナフ長繊維2を上記したように長繊維マット体とし、液状フェノール樹脂系接着剤に浸漬させて、フェノール樹脂を均一に分散させ、絞り機によってフェノール樹脂の含有量を調整した後、乾燥機によって揮発分を蒸発させ、フェノール樹脂含浸長繊維マット体を形成した。
上記フェノール樹脂の含有量は、その固形分が成形後の調湿パネルに対して15重量%となるように設定している。
上記のようにフェノール樹脂を分散させたケナフ長繊維マット体に、高分子吸放湿微粒子3を、1平方メートル当たり300g(300g/m)含まれるように散布して、ケナフ長繊維マット体に高分子吸放湿微粒子3を均一に分散、混合させた。
【0043】
その後、プレス型間(スペーサー厚)が4.0mmとされた熱プレス機で熱プレスを行い、板厚が4.0mm、大きさが600mm×600mmの調湿パネルを成形した。
尚、実施例1では、調湿パネルの密度を500kg/mとし、実施例2では、調湿パネルの密度を800kg/mとし、実施例3では、調湿パネルの密度を1200kg/mとしている。
【0044】
(実施例4)
実施例4では、上記した第2実施形態と同様の表層側パネルと裏層側パネルとの二層構造の調湿パネルであって、表層側パネルは、その板厚を2.0mm、その密度を600kg/mとし、裏層側パネルは、その板厚を2.0mm、その密度を1000kg/mとし、それら表層側パネルと裏層側パネルとを澱粉系接着剤(矢沢化学工業(株)ウォールボンド100)で接着して板厚が4.0mm、複層構造の総密度が800kg/mとされた調湿パネルとした。尚、他の条件は、上記実施例1〜3と同様である。
【0045】
(比較例1及び2)
比較例1及び2のパネルは、上記実施例1〜3の各調湿パネルとは、成形後の密度のみをそれぞれ異ならせたものである。すなわち、比較例1では、その密度を400kg/mとし、比較例2では、その密度を1300kg/mとしている。
(比較例3乃至5)
比較例3は、調湿性基準として、板厚が9.0mmの市販のインシュレーションボードを用いた。尚、一般的なインシュレーションボードの密度は、350kg/m以下とされている。
比較例4は、曲げ強度基準として、板厚が9.0mmの市販のパーティクルボードを用いた。尚、一般的なパーティクルボードの密度は、400kg/m〜900kg/mとされている。
比較例5は、寸法安定性基準として、板厚が9.0mmの市販のMDF(木質中密度繊維板)を用いた。尚、一般的なMDFの密度は、350kg/m以上とされている。
【0046】
上記各実施例1〜4、比較例1〜5のパネルに対して、以下の評価試験を行った(尚、比較例3〜5では、各基準となる評価試験のみを行った)。
【0047】
(評価試験)1)調湿性能試験
各実施例1〜4、比較例1〜3から得られた各試験体を、温度25℃、湿度50%の恒温恒湿雰囲気中に放置して恒量に達するまで養生した。
その後、各試験体を、温度25℃、湿度90%の恒温恒湿雰囲気中に24時間放置した後、各試験体の重量を測定して、吸湿後の重量を得た。
その後、さらに、各試験体を、温度25℃、湿度50%の恒温恒湿雰囲気中に24時間放置した後、各試験体の重量を測定して、放湿後の重量を得た。
上記吸湿後の重量と上記放湿後の重量との差から得た吸放湿量(各試験体1平方メートル当りの重量変化)を調湿性能として比較した。
調湿性能の比較は、インシュレーションボード(比較例3)の吸放湿量を調湿性基準として、当該インシュレーションボードの吸放湿量よりも15%以上良い場合(吸放湿量が149.5g/m以上)を○と判定した。
結果は、図3の表の通りであり、実施例1〜4及び比較例1では、調湿性能の結果は、概ね良好であった。また、実施例4では、その複層構造とされた総密度が、800kg/mと同じである実施例2と比較すると、その吸放湿量においては、大差はないものの、吸湿量が130g/mに到達するまでに要する時間が、実施例2に比して2/3であり、吸湿速度の立ち上がりが実施例4では早くなる結果となった。
比較例2では、試験体の密度が高密度であるため、調湿性能を十分に発揮できない結果となった。
【0048】
(評価試験)2)曲げ強さ試験
各実施例1〜4、比較例1,2,4から得られた各試験体に対して、JIS A5905(繊維板)に規定された方法に従って曲げ強さ試験を行い、曲げ強度を得た。曲げ強度の判定は、パーティクルボード(比較例4)の曲げ強度を曲げ強度基準として、当該パーティクルボードの曲げ強度(30MPa)以上を○と判定した。
結果は、図3の表の通りであり、実施例1〜4及び比較例2では、十分な曲げ強度を有するものであった。一方、比較例1では、試験体の密度が低密度であるため、十分な曲げ強度を有するものとはならなかった。
【0049】
(評価試験)3)寸法安定性試験(長さ変化率)
各実施例1〜4、比較例1,2,5から得られた各試験体を、温度25℃、湿度50%の恒温恒湿雰囲気中に放置して恒量に達するまで養生した。
その後、温度40℃、湿度90%の恒温恒湿雰囲気中に一週間放置し、その前後における長さ寸法の変化率を測定した。長さ寸法変化の判定は、MDF(比較例5)の長さ寸法変化率を基準として、当該MDFの長さ寸法変化率(0.6%)以下を○と判定した。
結果は、図3の表の通りであり、実施例1〜4、比較例1,2においても概ね良好であった。
【0050】
(評価試験)4)寸法安定性試験(表面平滑性)
各実施例1〜4、比較例1,2,5から得られた各試験体を上記した調湿性能試験の測定環境下において、その前後での各試験体表面の変化を目視観察した。
結果は、図3の表の通りであり、実施例1〜4、比較例5は、各試験体の表面は、平滑であり、概ね良好であった。一方、比較例1では、試験体の密度が低密度であるため、面密度が粗く、表面側に空隙が目立つ結果となった。また、比較例2では、試験体の密度が高密度であるため、平面域及び厚さ方向での僅かな密度の偏りを吸放湿の前後において吸収できず、その表面に凹凸が目立つ結果となった。
以上の結果から実施例1乃至4の各調湿パネルは、調湿性能及び曲げ強度、寸法安定性ともに良好な結果となり、住宅の内装建材、特に表面建材としても十分に適用可能なことが示された。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る調湿パネルの一実施形態を模式的に示す概略縦断面図である。
【図2】本発明に係る調湿パネルの他の実施形態を模式的に示す概略縦断面図である。
【図3】本発明に係る調湿パネルの実施例の一例と比較例とを評価試験の結果とともに示す表である。
【符号の説明】
【0052】
1,1A 調湿パネル
2 ケナフ長繊維(植物長繊維)
3 高分子吸放湿微粒子(高分子吸放湿材)
4 第1層パネル
5 第2層パネル
6 水性接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物長繊維の集合体に、バインダーとなる樹脂材を分散させて、該植物長繊維間を熱圧接着して形成されるとともに、該植物長繊維間に形成される空隙に水分の吸放湿性を有する高分子吸放湿材を捕捉させており、
密度が500kg/m以上、1200kg/m以下とされていることを特徴とする調湿パネル。
【請求項2】
請求項1において、
異なる密度の層を厚さ方向に積層形成した複層構造とされていることを特徴とする調湿パネル。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記高分子吸放湿材は、その粒径が50μm以上、2mm以下とされた粒子からなることを特徴とする調湿パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−143160(P2009−143160A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324182(P2007−324182)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】