説明

調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法

【課題】
調湿性能を阻害することなくホルムアルデヒドの十分な吸着機能を調湿建材に付加させるとともに、ホルムアルデヒドを吸着する化合物の塗布後であっても、表面に色ムラが発生しない無色透明の仕上がりとする調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法を提供する。
【解決手段】
比表面積が50〜250m2/g、かつ、平均細孔直径が1.5〜30nmである調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法において、溶媒100重量%に対してヒドラジド化合物、アゾール化合物またはアジン化合物から選択される吸着剤化合物が外割で1〜15重量%添加された吸着剤溶液を、調湿建材の表面に20〜300g/m2塗布する吸着剤溶液の塗布方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装用の調湿建材の表面に吸着剤溶液を塗布して吸着機能を付加させる調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホルムアルデヒドと反応して分解または吸着する化合物を、吹き付けやハケ塗りにより多孔質無機建材の表面に塗布する方法として、特許文献1に記載された方法が知られている。
具体的には、比表面積0.5m2/g以上の石膏板、珪酸カルシウム板、軽量気泡コンクリート、モルタル板等の多孔質材料の表面に、前記ホルムアルデヒドと反応して分解または吸着する化合物を塗布し、好ましくはその塗布量を2〜10g/m2とすることが開示されている。
また、ホルムアルデヒドを化学吸着する化合物と顔料とを含有した塗膜が、石膏板やセメント板等の多孔質無機建材の表面に形成されたホルムアルデヒド吸着内装材に関する技術が特許文献2に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−97012号公報
【特許文献2】特開2000−356022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、調湿機能を有する多孔質無機建材の表面にホルムアルデヒドを吸着する化合物を実際に塗布してみると、その多孔質無機建材の性状や塗布する溶液の濃度、塗布量などにより、多孔質無機建材の表面に化合物が析出したり色ムラが発生していた。
さらに、塗布後の乾燥に時間がかかったり、析出した化合物が本来の調湿性能を阻害したりする問題点があった。
そこで、本発明の目的は、調湿性能を阻害することなくホルムアルデヒドの十分な吸着機能を調湿建材に付加させるとともに、ホルムアルデヒドを吸着する化合物(以下、吸着剤化合物という。)の塗布後であっても、表面に析出や色ムラが発生することがなく、無色透明の仕上がりとする調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために、
比表面積が50〜250m2/g、かつ、平均細孔直径が1.5〜30nmである調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法において、前記吸着剤溶液は溶媒100重量%に対してヒドラジド化合物、アゾール化合物またはアジン化合物から選択される1種又は2種以上を含む吸着剤化合物が外割で1〜15重量%添加され、さらに、その吸着剤溶液が前記調湿建材の表面に20〜300g/m2塗布される調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法を採用した。
また、次の各項目をより好ましい条件とした。
1.溶媒は、水と溶媒全重量の50重量%以下のエタノールおよび/またはグリセリンとの混合溶媒である。
2.エタノールおよび/またはグリセリンが、溶媒全重量の10〜30重量%である。
3.調湿建材は、炭酸化反応によって製造されて主成分が炭酸カルシウムと非晶質シリカである。
なお、本発明において、溶液とは溶媒と溶質とから構成されており、その溶媒は水のみ、または、水とエタノールおよび/またはグリセリンとの混合からなる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、吸着剤化合物を多孔質無機建材の表面に塗布しても、調湿建材の調湿性能を阻害することがないとともに、その表面に化合物が析出したり色ムラが発生したりすることがなく、さらに、塗布後の乾燥時間を短縮することができる。
また、室内壁面に既に貼着された調湿建材であっても、塗布施工後の調湿建材表面に色ムラ等が発生しないため、内装の色合い・意匠性等が損なわれることがなく吸着性能のみを付加することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明における実施形態を説明する。
多孔質無機系の調湿建材における調湿作用は、材料内部にある細孔の内壁に水蒸気が吸着・離脱することにより行われる。
比表面積が大きな材料の調湿建材ほど水蒸気の吸着量が多くなって好ましい。
一方、細孔が微細であるほど比表面積が増大するが、細孔直径が極端に小さくなると、吸着された水蒸気の離脱が困難となり吸湿しても放湿し難い状態となる。
このため、平均細孔直径は1.5nm以上の細孔であって、かつ所定の比表面積が得られていることが好ましく、窒素ガス吸着法により測定した比表面積が50〜250m2 /g、平均細孔直径が1.5〜30.0nmである調湿建材が最も優れた調湿性能を発揮する調湿建材となっている。
本発明は、吸着剤化合物を含む吸着剤溶液を上記調湿建材の表面に塗布する方法である。
【0008】
本発明における吸着剤溶液は、溶媒100重量%に対してヒドラジド化合物、アゾール化合物またはアジン化合物から選択される1種又は2種以上を含む吸着剤化合物が外割で1〜15重量%添加される。
そして、この吸着剤溶液が調湿建材の表面に20〜300g/m2塗布される。
【0009】
この塗布方法により、吸着剤化合物の調湿建材内部への浸透性が良くなり、吸着性能の発揮に必要とする最低量の吸着剤により、十分な吸着性能が得られるようになる。
すなわち、比表面積が50m2/gと比較的小さな調湿建材であっても、その内部への吸着剤化合物の浸透性が十分に確保されるとともに、調湿建材表面に吸着剤化合物が残存して析出したり色ムラが生じることがなくなり、塗布・乾燥後も無色透明の仕上がりとすることができる。
吸着剤化合物が外割で15重量%を超えて添加されたり、吸着剤溶液が300g/m2を超えて塗布されたりすると、調湿建材の表面に吸着剤化合物が残存して析出したり色ムラが生じ易くなる。
さらに、直径が1.5nm程度の小さな細孔であっても、この吸着剤溶液により、吸着剤化合物の成分がその細孔付近に付着して調湿性能に悪影響を与えることはない。
【0010】
そして、この吸着剤溶液における溶媒を、水と溶媒全重量の50重量%以下のエタノールおよび/またはグリセリンとの混合溶媒とすることにより、吸着剤溶液の浸透性を維持しながら乾燥時間が短縮させることが可能となる。
すなわち、水以外に溶媒全重量の50重量%以下のエタノールおよび/またはグリセリンが溶媒に混合されていると、吸着剤溶液を調湿建材表面に塗布した後の揮発性が高くなり乾燥時間が短縮されるようになる。
エタノールおよび/またはグリセリンの混合を50重量%以下とすることにより、調湿建材内部へ吸着剤溶液が十分に浸透する時間と乾燥に要する時間とがほぼ同程度となる。これにより、乾燥が早すぎて吸着剤化合物の成分が調湿建材表面に残存して析出したり色ムラが生じたりすることが無くなる。
さらに、エタノールおよび/またはグリセリンが、溶媒全重量の10〜30重量%とすると、吸着剤溶液の十分な浸透性が確保されるとともに乾燥時間が最も短縮されて望ましい。
【0011】
また、炭酸化反応によって製造されて主成分が炭酸カルシウムと非晶質シリカである調湿建材は、珪酸カルシウム水和物を炭酸化することにより得られる。
このようにして得られた調湿建材は、内部のカルシウムイオンが溶出されて多数の空隙を有するシリカスケルトン構造となっているため、十分な調湿性能が得られるとともに、本発明における吸着剤溶液の浸透性に優れており最適である。
さらに、この調湿建材は吸着剤化合物との反応性が極めて低く、吸着剤を劣化させないため、吸着剤溶液を表面に一度塗布すれば、長期間にわたり安定したホルムアルデヒドの吸着性能を維持することができる。
本発明においては、吸着剤化合物の成分重量(1〜15重量%)および吸着剤溶液の塗布量(20〜300g/m2)をそれぞれの範囲内において変化させることにより、所望の吸着性能およびその持続期間を調湿建材に容易に付加できるようになる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例および比較例を説明する。
なお、実施例および比較例の調湿建材として、珪酸カルシウム水和物を炭酸化反応させることにより得られるクリオン社製ハーモナイトシーズ(比表面積が110m2/g、平均細孔直径が10nm)を用いた。
なお、本実施例および比較例では、製品完成時に吸着性能を備えていない、すなわち、吸着剤化合物を含有していない調湿建材を用いた。
【0013】
[実施例1]
縦200mm、横200mm、厚さ8mmの調湿建材(クリオン社製ハーモナイトシーズ)の片側表面(縦200mm、横200mm)に、水100重量%に対して外割で15重量%のヒドラジド化合物を溶かした吸着剤溶液を、その塗布量が20g/m2となるようにスプレーで塗布した。
吸着剤溶液の塗布後、温度20℃、相対湿度50%で自然乾燥させて、表面が完全に乾燥するまでの時間を計測した。
そして、吸着剤溶液が塗布された調湿建材の表面におけるヒドラジド化合物の析出や色ムラの状況について評価した。
析出については、目視により表面状態を観察して白粉体の残存が見られるか否かで判定した。
また、色ムラの状況については、吸着剤溶液が塗布される前の調湿建材の四隅部および中央部の計5点のLab表色系における(L、a、b)値をそれぞれ計測して求めたそれらの平均値(L0,a0,b0)と、吸着剤溶液が塗布された調湿建材における同平均値(L1,a1,b1)との色差ΔE値を次式により求めて、その色差ΔE値が1.0未満であった場合は色ムラなしと判定した。
ΔE =((L1−L02+(a1−a02+(b1−b02( 1/2 )
【0014】
次に、この調湿建材の他面からホルムアルデヒドが吸着されないようにアルミ箔で残る5つの面を被覆して、吸着性能を評価する試験体Aを作成した。
この試験体Aをステンレス製の小型チャンバー(内容積0.1m3)内に配置して、次に示す手順によりホルムアルデヒドの吸着性能試験を実施した。
1)試験体Aを小型チャンバー内に配置して、内部の空気を撹拌させながら、その温度を20℃、相対湿度を50%に保持する。
2)チャンバー内にホルムアルデヒドガスを送り込み、ホルムアルデヒド濃度が1.0mg/m3となった時点でガスを停止する。
3)この状態で2時間経過させた後に、チャンバー内のホルムアルデヒド濃度をガス検知管により計測する。(計測値1)
4)継続してチャンバー内の温度を40℃まで上昇させて、さらに2時間経過後におけるチャンバー内のホルムアルデヒド濃度をガス検知管により計測する。(計測値2)
以上の吸着性能試験によるホルムアルデヒド濃度の計測値1および計測値2が、ともに0.10mg/m3以下であった場合に吸着性能有りと評価した。
【0015】
さらに、前記吸着性能試験において調湿建材に塗布したものと同じ吸着剤溶液を、縦100mm、横100mm、厚さ8mmの調湿建材の片側表面に同じ塗布量(20g/m2)となるようにスプレーで塗布し乾燥させた後に、他面からホルムアルデヒドが吸着されないようにアルミ箔で残る5つの面を被覆して試験体Bを作成した。
この試験体Bを用いて、ホルムアルデヒド吸着性能の持続期間を予測する試験を次の手順により実施した。
1)試験体Bを小型チャンバー内に配置して、内部の空気を撹拌させながら、その温度を20℃、相対湿度を50%に保持する。
2)チャンバー内にホルムアルデヒドガスを送り込み、ホルムアルデヒド濃度が500mg/m3となった時点でガスを停止する。
3)このチャンバー内の状態を保持し、チャンバー内のホルムアルデヒド濃度の減少率が24時間で5%以下となった時点(約10日程度後)のホルムアルデヒド濃度をガス検知管により計測する。(計測値3:以下、Xとする。)
4)そして、500mg/m3からX(計測値3)を減じた値、すなわち、ホルムアルデヒド濃度の減少値から、この調湿建材によるホルムアルデヒド吸着性能の持続期間を算出する。
具体的には、6畳居室(長さ4m×幅3mの床面積12m2、高さ2.5m)にホルムアルデヒドを発散する家具が設置された条件で、ホルムアルデヒド吸着性能の持続期間Tを算出した。
【0016】
( 吸着性能の持続期間の算出方法 )
5)容積が0.1m3のチャンバー内において表面積0.01m2の試験体Bから得たホルムアルデヒド濃度の減少値を用いて、表面積1m2当たりの調湿建材が吸着するホルムアルデヒドの吸着許容量Wを算出する。
Wmg/m2 =(500−X)mg/m3 × 0.1m3 / 0.01m2
6)国土交通省による「建築物のシックハウス対策マニアル(第1版)」に記載の建築基準法関係シックハウス対策技術基準の作成根拠では、ホルムアルデヒドの発散源となる家具は、JIS・JASによるホルムアルデヒドの発散量による区分がF☆☆☆である木質材料が使用されており、その家具の表面積は居室の床面積1m2当たり3m2であると想定されている。
そして、F☆☆☆である木質材料が使用された家具は、そのホルムアルデヒドの発散量が最大0.02mg/m2 hとされている。
従って、居室の床面積が12m2場合、家具の表面積は36m2と想定され、1時間当たりのホルムアルデヒドの発散量は次の式により計算される。
0.02mg/m2 h × 36m2 = 0.72mg/h
7)一方、試験体Bと同等の吸着剤溶液が塗布されて同じ吸着許容量Wを有する50枚の調湿建材(縦300mm×横300mm×厚さ8mm)が、6畳居室の長尺な一壁面にその4.5m2の面積(壁面の約半分)を占めて貼着されている状況とする。
8)そして、この6畳居室内で家具から1時間当たり0.72mgのホルムアルデヒドが発散し続けて、前記吸着許容量Wに達する間での時間を次式により求めて、それをホルムアルデヒド吸着性能の持続期間Tとして算出した 。
T時間 =( Wmg/m2 × 4.5m2 )/ 0.72mg/h
【0017】
[実施例2]
実施例1と同寸法の調湿建材に、水100重量%に対して外割で10重量%のヒドラジド化合物を溶かした吸着剤溶液を、その塗布量が150g/m2となるようにスプレーで塗布し、そのヒドラジド化合物の析出や色ムラおよび吸着性能を評価した。
[実施例3]
実施例1と同寸法の調湿建材に、水100重量%に対して外割で5重量%のヒドラジド化合物を溶かした吸着剤溶液を、その塗布量が300g/m2となるようにスプレーで塗布して、同前の評価をした。
[実施例4]
実施例1と同寸法の調湿建材に、水100重量%に対して外割で1重量%のヒドラジド化合物を溶かした吸着剤溶液を、その塗布量が300g/m2となるようにスプレーで塗布して、同前の評価をした。
【0018】
[比較例1]
実施例1と同寸法の調湿建材に、水100重量%に対して外割で20重量%のヒドラジド化合物を溶かした吸着剤溶液を、その塗布量が75g/m2となるようにスプレーで塗布して、同前の評価をした。
[比較例2]
実施例1と同寸法の調湿建材に、水100重量%に対して外割で3重量%のヒドラジド化合物を溶かした吸着剤溶液を、その塗布量が500g/m2となるようにスプレーで塗布して、同前の評価をした。
実施例1〜4および比較例1、2の評価結果を表1に示す。
【0019】
【表1】

【0020】
実施例1〜4では、調湿建材表面のヒドラジド化合物による析出や色ムラは発生していなかったとともに、ホルムアルデヒドの吸着性能も十分に得ることができた。また、乾燥時間は塗布量に応じて長くなる傾向はあるが、最大125分で全て乾燥している。
さらに、ヒドラジド化合物の添加量およびその吸着材溶液の塗布量によって、吸着性能の持続期間の算出値を、実施例1、4においては約0.6年に、また、実施例2、3においては約3年となるように、吸着性能の持続期間を容易に設定することができた。
比較例1または比較例2に示すように、ヒドラジド化合物が15重量%を超えたり、塗布量が300g/m2を超えたりすると、乾燥後の調湿建材表面にヒドラジド化合物の析出や色ムラが発生した。また、比較例2では乾燥時間も160分と非常に長くなった。
【0021】
次に、水とエタノールとの混合溶媒による吸着剤溶液を建材表面にスプレーで塗布して、そのヒドラジド化合物の析出や色ムラの状況および吸着性能を評価した。その結果を表2に示す。
[実施例5]
実施例1と同寸法の調湿建材の片側表面に、溶媒全重量の10重量%のエタノールと90重量%の水との混合溶媒に、その溶媒全重量に対して外割で10重量%のヒドラジド化合物を溶かした吸着剤溶液を、その塗布量が150g/m2となるようにスプレーで塗布した。
[実施例6]
実施例1と同寸法の調湿建材の片側表面に、溶媒全重量の30重量%のエタノールと70重量%の水との混合溶媒を用いた以外は、実施例5と同じ条件とした。
[実施例7]
実施例1と同寸法の調湿建材の片側表面に、溶媒全重量の50重量%のエタノールと50重量%の水との混合溶媒を用いた以外は、実施例5と同じ条件とした。
【0022】
[比較例3]
実施例1と同寸法の調湿建材の片側表面に、溶媒全重量の70重量%のエタノールと30重量%の水との混合溶媒を用いた以外は、実施例5と同じ条件とした。
[比較例4]
実施例1と同寸法の調湿建材の片側表面に、エタノールのみ(100重量%)からなる溶媒を用いた以外は、実施例5と同じ条件とした。
【0023】
【表2】

【0024】
実施例5〜7の結果に示すように、水と溶媒全重量の50重量%以下のエタノールとの混合溶媒を用いると、調湿建材表面のヒドラジド化合物による析出や色ムラは発生していなかったとともに、ホルムアルデヒドの吸着性能も十分に得ることができた。
さらに、水のみを溶媒とした実施例2に比べて、エタノールの重量%を増加させることにより、乾燥時間が短縮される効果が発揮された。また、実施例5、6においては、エタノールを添加することにより水のみの溶媒に比べて、塗布後の色差が非常に小さくなった。
一方、比較例3または比較例4に示すように、エタノールのみまたは溶媒全重量の50重量%以上のエタノール混合溶媒を用いると、乾燥時間は極端に短くなったが、調湿建材表面にヒドラジド化合物の析出や色ムラが多数発生していた。
すなわち、調湿建材内部にヒドラジド化合物が浸透する前に、それらが表面で乾燥して析出していた。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明してきたが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、表面に色ムラ等を発生させることなく、調湿性能に優れた調湿建材にホルムアルデヒド吸着機能を付加させたり、あるいは、吸着性能を予め備えていた調湿建材がホルムアルデヒド吸着によりその機能が飽和したときに、吸着性能を再びその調湿建材に付加させたりすることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
比表面積が50〜250m2/g、かつ、平均細孔直径が1.5〜30nmである調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法において、前記吸着剤溶液は溶媒100重量%に対してヒドラジド化合物、アゾール化合物またはアジン化合物から選択される1種又は2種以上を含む吸着剤化合物が外割で1〜15重量%添加され、さらに、その吸着剤溶液が前記調湿建材の表面に20〜300g/m2塗布されることを特徴とする調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法。
【請求項2】
溶媒は、水と溶媒全重量の50重量%以下のエタノールおよび/またはグリセリンとの混合溶媒である請求項1記載の調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法。
【請求項3】
エタノールおよび/またはグリセリンが、溶媒全重量の10〜30重量%である請求項2記載の調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法。
【請求項4】
調湿建材は、炭酸化反応によって製造されて主成分が炭酸カルシウムと非晶質シリカである請求項1、2または3記載の調湿建材表面への吸着剤溶液の塗布方法。


【公開番号】特開2006−161381(P2006−161381A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353502(P2004−353502)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000185949)クリオン株式会社 (105)
【Fターム(参考)】