説明

調理における食肉中の液体保有のためのトレハロースの使用

本発明は、食肉を調製及び調理するためにトレハロースを用いる改良方法を提供する。より詳細には、未調理食肉へのトレハロースの添加を提供し、調理中の収縮の減少を獲得する。更にトレハロースの添加を提供し、調理中の食肉の液体保有を増加させる。特別な利益は、調理中の食肉の水保有、及び脂肪保有を増加させる能力を含む。本発明は一定レベルのトレハロース濃度を提供する。またトレハロース、塩及びリン酸ナトリウムの一定の組合せを提供する。更に、デンプンの添加なしでのトレハロースの利用法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は牛肉を調製及び調理するためのトレハロースの使用方法に関する。より詳細には、本発明は調理した牛肉の収率を増加させる、牛肉を調製及び調理するためのトレハロースの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生肉は、多くの量の液体を含む。例えば、生肉は調理中に液体になる他の成分(例えば脂肪)に加えて、約75%の水を含む。食肉はかかる大量の液体を含み、液体の損失は、食肉業界で継続している問題である。典型的に、冷蔵・冷凍(refrigeration)の間、総重量の1%から3%を失い得る。かかる損失は、通常ウィープと呼ばれる。従って、冷凍肉は、解凍時に滴り、3%から7%の重量を失い得る。更により注目すべきは、調理した食肉は、調理過程の間の縮小で30%から40%の重量を失い得る。
【0003】
当該食肉産業は、調理中の液体の損失を減少させるために、例えば塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、乳酸塩、植物性タンパク質、及びデンプン等の一定の添加物に重度に依存する。かかる添加物が使用される場合の製品カテゴリーの例は:牛肉パティー、再構築した食肉、注入された全筋肉(injected whole muscle meat)、及び塩漬肉を含む。しかしながら、かかる添加物にもかかわらず、調理中の液体の損失は、問題を残す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、食肉産業において、調理中のかかる水及び脂肪等の液体の保有のための改良方法の必要性が存在する。食肉産業において、調理中の収縮の減少のための改良方法の必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、調理した牛肉の収率を増加させるトレハロースを使用する牛肉を調製するための方法に関する。本発明は、更にトレハロース含有牛肉製品に関し、当該牛肉製品はトレハロースなしの同様の牛肉製品と比較して、増加した調理収率を示す。理論に束縛されないならば、未調理牛肉へのトレハロースの添加は、調理中の収縮の減少をもたらし得ると信じられている。未調理牛肉へのトレハロースの添加は、調理中の牛肉の液体保有を増加させることができることも信じられている。更に、未調理牛肉へのトレハロースの添加は、調理中の牛肉の水分保有を増加させることができると信じられている。また更に、未調理牛肉へのトレハロースの添加は、調理中の牛肉の脂肪保有を増加させることができると信じられている。
【0006】
従って、本発明の一つの観点は、調理した牛肉の収率を増加させる方法に関する。当該方法は:(1)実質的に未調理の牛肉へトレハロースを添加し;ここでのトレハロースは実質的に牛肉全体に分布し;そしてここでのトレハロースの重量は、当該牛肉の約5重量%未満であり;そして(2)当該牛肉を調理することを含んで成る。本発明の他の観点では、更にリン酸ナトリウムも、実質的に未調理の牛肉へ添加し;ここでの当該トレハロース及びリン酸ナトリウムは、実質的に当該食肉全体に分布する。本発明の他の態様では、当該牛肉は、実質的にデンプンを含まない。本発明の他の観点では、添加するトレハロースの量は、トレハロースを添加しない牛肉と比較して、調理中の牛肉の収縮を減少させるために十分である。本発明の他の観点では、トレハロースは、トレハロースを添加しない牛肉と比較して、調理条件下で牛肉の水保有能を増加させるために十分な量を添加される。本発明の他の観点では、トレハロースは、トレハロースを添加しない牛肉と比較して、調理条件下で牛肉の脂肪保有能を増加させるために十分な量を添加される。本発明の他の観点では、トレハロースは、トレハロースを添加しない牛肉と比較して、調理条件下で牛肉の液体保有能を増加させるために十分な量を添加される。
【0007】
本発明の他の観点では、細かく砕いた牛肉、再構築した牛肉、及び牛肉の筋肉全体に対する本明細書の多様な方法の適用に関する。本発明の更なる観点では、本明細書において発表する多様な方法により調製した、トレハロースなしの牛肉と比較して調理中の収縮を減少させる牛肉に関する。本発明の更なる観点では、本明細書において発表する多様な方法により調製した、トレハロースなしの牛肉と比較して調理条件下での水保有能を増加させる牛肉に関する。本発明のより更なる観点では、本明細書において発表する多様な方法により調製した、トレハロースなしの牛肉と比較して調理条件下での脂肪保有能を増加させる牛肉に関する。本発明の更なる観点では、本明細において発表する多様な方法により調製した、トレハロースなしの牛肉と比較して調理条件下での液体保有能を増加させる牛肉に関する。
【0008】
ある態様では、本発明は、トレハロースなしの牛肉と比較して、調理した牛肉製品の収率を増加させるために十分な量のトレハロースを牛肉へ添加することを含む牛肉の調製方法を提供する。いくつかの態様では、調理収率が増加するか否かは、標準化されたトレハロースを含む第一の牛肉製品の調理重量を、第二の牛肉製品がトレハロースの代わりにデキストロースを含むことを除き実質的に第一の牛肉製品と同一である第二の牛肉製品の調理重量と比較することにより決定することができる(或いは別途、第一の牛肉製品の調理重量を、標準化された第二の牛肉製品の調理重量と比較することができる)。
【0009】
以下の定義は、本明細書中で応用されると理解すべきである。"コントロール"牛肉製品とは、トレハロースを含まない牛肉製品であり、且つトレハロースを含む牛肉製品の比較物として使用される。例えば、上記発表された第二の牛肉製品は、コントロール牛肉製品である。”調理重量”とは、当該牛肉製品が人が消費する際に安全である、所望される内部温度(又は"調理温度")へ達した時の、牛肉製品の重量を意味すると理解される。"実質的に同一"とは、2つの牛肉製品が同一の組成を有することを意味すると理解されるべきである。即ち、当該2つの牛肉製品は、第一の牛肉製品がトレハロースを含み、一方、第二の牛肉製品が当該トレハロースの代わりにデキストロース又は追加の牛肉を含むことを除き、同一の構成要素を同一の比率で含む。"実質的に同一"とは、トレハロース含有牛肉製品とデキストロール含有牛肉製品の間で発生し得る成分の個々の重量におけるいくつかの差異を考慮に入れることも意図され、最終的にトレハロース含有牛肉製品の標準化された調理収率を、デキストロース含有牛肉製品の調理収率と比較する。後述の詳細な説明中の実施例9は、"実質的に同一"及び"標準化された調理収率"の概念を説明する。
【0010】
いくつかの態様では、当該方法は、第二の牛肉製品と比較して、より高い調理収率を有する第一の牛肉製品を得るためのトレハロースの量を牛肉中に導入することを含んで成り、ここでの第一の牛肉製品及び第二の牛肉製品は、第二の牛肉製品がトレハロースの代わりに追加の牛肉を含むことを除き、同様の調理前重量を有し、且つそれぞれ同様の組成を有す。"同様の調理前重量"との表現は、牛肉製品を作る過程に関連する制限のためにもたらされ得る差異を説明するために意図される。例えば、当該差異は、当該測定方法の中で内在する不正確性、又は正確な複製物を作製する困難性を生み出す人的エラーが原因と成り得る。"同様の組成"とは、"実質的に同一"と同じ意味を有し、デキストロース、又は発表した詳細な態様の通り、第二の牛肉製品が、第一の牛肉製品中のトレハロースの量とほぼ同じ量の追加の牛肉を有すことを除き、2つの製品がほぼ同一の比率で、同一の構成要素を有すことを示す。用語"約"とは、使用される測定方法中に内在する不正確性を説明することを意図し、且つ特に断わりのない限り、本明細書において提供される全ての測定が改変されることが理解されるべきである。本発明によるいくつかの態様では、トレハロースは牛肉へ、トレハロースと水の混合物を添加することにより当該牛肉中へ導入される。本発明によるいくつかの態様では、トレハロースは前記牛肉へ、トレハロース、塩、及びリン酸ナトリウムの水性溶液を添加することにより当該牛肉中へ導入される。
【0011】
いくつかの態様では、牛肉、及びトレハロースなしのコントロール牛肉製品に対し、牛肉製品の調理収率を十分に増加させる量のトレハロースを含む牛肉製品を提供する。いくつかの態様では、調理収率が増加したか否かは、トレハロース含有牛肉製品の調理重量をコントロール牛肉製品の調理重量と比較することにより決定される。当該コントロール牛肉製品は、コンとロール牛肉製品がトレハロースの代わりにデキストロース又は追加の牛肉を含むことを除き、トレハロース含有牛肉製品と同様の調理前重量を有し、且つ同様の組成を有する。
【0012】
いくつかの態様では、牛肉の標準化された調理収率を増加させるための方法を提供する。当該方法は、牛肉に対するトレハロースの有効量を添加することを含み、且つ標準化された調理収率を得るために、任意に有効量の塩及び/又はリン酸ナトリウムを添加することを含む。ここで、当該牛肉が、人が消費する際に安全である、所望される温度へ加熱された場合、標準化された調理収率は、トレハロースなしの実質的に同様の牛肉を加熱することによりもたらされる調理収率よりも高い。"トレハロースの有効量"とは、標準化された調理収率を有する牛肉製品を得るために十分なトレハロースの量である旨が本明細書から理解されるべきである。ここで、当該牛肉が、人が消費する際に安全である、所望される温度へ加熱された場合、当該標準化された調理収率は、トレハロースなしの実質的に同様の牛肉を同一の所望される温度へ加熱することによりもたらされる調理収率よりも高い。"塩及び/又はリン酸ナトリウムの有効量"とは、標準化された調理収率を得るために十分なトレハロースを含む牛肉製品へ添加される塩及び/又はリン酸ナトリウムの量である旨が本明細書から意味するものと理解されるべきである。ここでの当該牛肉が、人が消費する際に安全である、所望される温度へ加熱される場合、当該標準化された調理収率は、トレハロースが存在しない実質的に同様の牛肉を同一の所望される温度へ加熱することによりもたらされる調理収率より高く、トレハロースを単独で添加した場合、かかる標準化された調理収率は得られない。
【0013】
上記提示した観点及び他の観点の一つ、いくつか、又は全てを方向づけることができる、本発明の特異的な態様は、本発明の開示から当業者に明白であるだろう。更に、多数の態様が開示されており、本発明の更なる他の態様は、本発明の実例となる態様を示し、且つ発表する、以下の詳細な説明から当業者に明白になるだろう。本明細書の発表から明らかなように、本発明は本発明の精神及び範囲から離れない全ての多様な観点における修飾を可能にする。従って、図及び詳細な説明は、現実に説明的であり、且つ非制限的であるとみなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、トレハロースが存在しない牛肉製品と比較して、牛肉製品の調理収率を増加させるトレハロースを使用する方法を提供する。更に本発明は、トレハロースを含む牛肉製品を提供し、当該牛肉製品はトレハロースが存在しない同様の牛肉製品と比較して、調理収率の増加を示す。
【0015】
トレハロース(α-D-グルコピラノシル-α-D-グリコピラノシド)は、2サッカライドである。それはGRAS(一般的に安全とみなされている:Generally Regarded As Safe)食物材料であり、典型的にマッシュルーム、はちみつ、ロブスター、エビ、及びパン酵母中に見出される。本発明者等は牛肉へのトレハロースの添加は、調理した牛肉収率を増加させることができることを発見した。
【0016】
理論に拘束されず、本発明者等は、調理収率における増加は、液体保有中における増加と部分的に一致すると信じている。牛の挽肉パティー、再構築した牛肉ロースト、及び全筋牛肉ローストを含む幅広い牛肉製品カテゴリーについて、調理収率へのトレハロースの影響を評価した。それぞれのカテゴリーにおける調理中の液体の損失、及び関連した収縮について評価した。液体の損失は、集合的に汁を作る水及び液体脂肪の損失に影響する。調理中の汁の損失は、ジュースクックアウト(juice cookout)と呼ばれる。調理中の収縮は液体の損失に影響し、そして食肉の重量損失によって測定することができる。個々の製品カテゴリーにおけるトレハロースは、ジュースクックアウトを減少させ、且つ約1%から約2%収率を増加させた。収率は、調理前重量に対する調理重量の平均比率と理解される。これは低い含有レベルでのトレハロースの使用を実証した(約0.5%から約2%)。含有物(例えば、トレハロース又は他の添加物)のパーセントは、未調理牛肉の重量を基礎とした重量パーセントであると理解されるべきである。言い換えるならば、0.5%トレハロース含有レベルとは、未調理牛肉の0.5重量%に相当する添加されたトレハロースの量を意味する。更に牛肉へのトレハロースの添加は、調理製品の外観、風味、汁の多さ、又は質感の実質的な変化を有さずに実行することができることを発見した。かかるトレハロースの機能性は、例えば:1)トレハロース、又は水を有す牛肉の代用のための定型化コストを削減し、;及び、2)より高い収率のために調理工程へ投入される原材料を減少させるような、食肉処理装置への経済的意味合いを有すことができる。
【0017】
トレハロースが検査され、約0.3%から約2.0%のレベル(約0.5%、1.6%及び1.8%のレベルを含む)の含有で有効性が見出されたが、本発明者等は同様な利益がより低いレベルで得ることができることを信じている。同様に本発明者等は、同様の利益がより高いレベル、例えば3%、5%、及び更に高いレベルで得ることができると信じている。
【0018】
調理した食肉の収率を増加させる能力があるトレハロースを、牛挽肉パティー、再構築した牛肉ロースト、及び全筋牛肉ロースト中で評価した。トレハロース(2.0%)を含む全ての食肉パティーは、コントロールパティーよりも揚げた後1.8%重かった。2.0%未満の食肉を含むパティーでさえも、当該増加は起こり、汁を保有する。汁排出のマスバランス分析では、当該トレハロースパティーが、コントロールパティー(37.8g/lOOgの潜在する汁)よりも過度に低い汁の損失(35.8g/lOOgの潜在する汁)を有すことを示す。食品提供準備をシミュレートするために、20分間、175度Fで保持した調理済パティーは、パティーが供されるまで段階的な重量獲得を続けた。トレハロースは二糖類であり、当該調理済パティーは、甘みの兆しのみを示すが、全体的に調理した香味が所望される。
【0019】
トレハロースにより保有される汁を、デンプン(パンの中身)による汁保有と比較した。全ての食肉パティーに渡り優れた汁保有を示すデンプン&食肉パティー、並びにトレハロース&食肉パティーは、パティー収率としてそれぞれ6.4%及び4.6%増加させた。しかしながら、組合せたトレハロースとデンプンは、デンプン単独と比較して、2.8%収率を減少させた。更なる研究では、収率に影響を及ぼし得る材料の添加の要求を示し、そして当該要求が覆された場合、デンプンのみを有すパティーの収率は、デンプン及びトレハロースを有すパティーと同じであった。トレハロースの添加は、デンプン&食肉パティーの汁保有を増加させなかったが、上記パラグラフに発表したように、トレハロースのみを添加することは、全食肉パティーの液体保有を増加させた。
【0020】
調理収率を改良するトレハロースの能力を、更に再構築した牛肉ローストにおいて評価した。トレハロース(2.0%)を塩及びリン酸ナトリウムを含む商業的な処方(formula)へ添加した時、調理製品の重量は、0.9%増加した。知覚パネルはトレハロースを含む商業的なローストの外見、風味、汁の多さ、及び質感を区別することができなかった。従って、トレハロースは再構築したローストの収率を増加させ、且つ許容され得る知覚特質を持続させる潜在能力を有する。
【0021】
更に溶液中で使用されるトレハロースを全筋牛肉ロースト中へ注入した。トレハロースを単独で使用する場合、調理ローストの重量を増加させなかったが、商業的処方の中で塩及びリン酸ナトリウムと組合せた場合、トレハロース(1.6%−1.8%)は、2.1%まで調理収率を増加させた(P<0.05)。更に投与量調節作業では、許容され得る知覚特質が持続している間、トレハロースレベルを1%以下へ減少させ、且つ同程度の収率の獲得を生み出し得ることを示唆した。理論に拘束されず、本発明者等は、塩及びリン酸ナトリウムは、ローストのトレハロース保有能を増強させると信じている。言い換えれば、ローストへのトレハロース単独の添加は、調理収率の増加を示さなかった。なぜならトレハロースが、ロースト中へ導入されなかったからである。しかしながら、塩及びリン酸ナトリウムと共にトレハロースを添加することは、ロースト中へのトレハロースの導入を可能にし、そして結果として調理収率の増加を可能にする。
【0022】
塩は、本明細書中に含まれた実施例中で、約0.7%から約1.5%の範囲のレベルで使用される。しかしながら、本発明者等は、塩の特異的な量は重要ではなく、そして同様の利益は、塩のより低いレベル、及びより高いレベルで得ることができると信じている。
【0023】
同様に、リン酸ナトリウムは、本明細書中に含まれた実施例中で、約0.24%から約0.48%の範囲のレベルで使用される。しかしながら、本発明者等は、リン酸ナトリウムの特異的な量は重要ではなく、そして同様の利益は、リン酸ナトリウムのより低いレベル、及び高いレベルで得ることができると信じている。
【0024】
食肉中のトレハロース含有により提供され得る改良の概要は、本発明による多様な態様中に存在し得る1つ以上の改良は、以下を含む:
・調理中の食肉の収縮は、一貫してトレハロースの添加により減少する。
・調理中の食肉の収縮は、一貫してトレハロース、塩、及びリン酸ナトリウムの添加により減少する。
・調理中の塩及びリン酸ナトリウムを有する食肉の収縮は、一貫してトレハロースの添加により減少する。
・トレハロースの存在中で起こる食肉収縮の減少は、デンプンの添加を要求しない。
・調理中の食肉の液体保有は、一貫してトレハロースの添加により増加する。
・調理中の食肉の液体保有は、一貫してトレハロース、塩、及びリン酸ナトリウムの添加により増加する。
・調理中の塩及びリン酸ナトリウムを有する食肉の液体保有は、一貫してトレハロースの添加により増加する。
・トレハロースの存在中で起こる増加した食肉の液体保有は、デンプンの添加を要求しない。
【0025】
本明細書中で使用される、"一貫して"とは、一定の条件下で十分な頻度で起こることを意味し、かかる条件下での意味のある結果を表す。
【0026】
上記改良の概要は、以下の実施例から通常の当業者に明白になるであろう。実施例は発明の精神及び本発明の一定の態様を説明するために意図されたものであり、本発明を制限するものではない。通常の当業者は、本発明の現開示を読んだ後、追加の態様を想像できるであろう。本発明に含まれる全てのかかる態様が本発明者等の意図である。
【0027】
実施例1は、トレハロース含有挽肉パティーの限定的でない実施例を提供し、そして増加した調理収率を、かかるパティーにより示した。実施例2は、トレハロースとパンの中身との組合せによる牛肉パティーの調理収率への影響の限定的でない実施例を提供する。実施例3はトレハロース含有再構築したデリ牛肉ローストの限定的でない実施例を提供し、そして当該増加した調理収率を、かかるローストにより示した。実施例4は、特定の牛肉製品へのトレハロースの導入を補助するために、リン酸ナトリウム及び塩のような材料を添加することの望ましさを説明する。かくして当該牛肉は、増加した調理収率を得るトレハロースの十分な量を保持する。実施例5はトレハロース含有牛内もも肉の限定的でない実施例を提供し、そして増加した調理収率を、かかる内もも肉により示す。実施例6は、牛全筋ロースト中のトレハロースの含有レベルを変化させるための調理収率増加を説明する。実施例7は、牛内もも肉中のトレハロースの含有レベルの可変性から得られる質量組成中の変化の限定的でない実施例を提供する。実施例8は、様々な調理時間でのトレハロース含有牛挽肉の質量組成中の変化の限定的でない実施例を提供する。実施例9は、トレハロースを含む牛内もも肉により示される増加した収率の限定的でない他の実施例を提供する。
【0028】
実施例のための材料
塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びデキストロースをCargill,Inc.食肉プラントから得た。脱水トレハロースは、Hayashibara International(日本)から得た。トレハロースは、トレハロースが存在しない溶液を形成する水中に置かれた時に脱水する。
【0029】
実施例のための統計解析
以下の実施例中で解析される調理収率データは、標準化統計t検定、paired t検定、及び分散解析(ANOVA)を含む標準統計学的方法論を用いて実行した。
【実施例1】
【0030】
全ての食肉牛挽肉パティー
牛挽肉パティーは、Cargill,Inc.の食肉プラントで調製された。一品(Course)の牛挽肉(約3/8インチ粉砕サイズ)は、90%の赤身牛肉を粉砕することにより、約25%の脂肪含有率を獲得した50%の赤身牛肉に定型化された。トレハロース(2.0%)を水(2.75%)と混合し、その後、冷蔵(約30度F)した挽肉を、約1分間混合した。その後当該食肉を、パティー形成前の約1/8インチの粉砕サイズへ再度挽いた。コントロールとして、トレハロースを差し引いた水(2.75%)を、パティーを形成する前の牛挽肉と混合した。従ってトレハロースを含有するパティーは、コントロールパティーよりも2.0%少ない食肉を有した。
【0031】
本実施例は、挽肉を説明し、ここでの挽肉は、硬直前又は硬直後の動物筋組織であり、その構造は、細かい断片又は粒子へ物理的に再アレンジされた。
【0032】
パティーの形成
パティーはFormax 6パイロットスケールパティーメーカーを用いて形成した。家庭用鋳型は、0.5インチの厚さで、且つ重量約4.75オンスのパティーを形成するために用いた。当該鋳型を、150から200ポンドの間で処理する柔らかい形態充填量を用いて充填した。パティーの両サイドは、調理工程を加速させるために、且つ表面の凝り固まりを減少させるために、ナイフ又はワッフル目打ちを用いて穴をあけた。パティーをIQF(個別迅速冷凍:Individually Quick Frozen)フリーザートンネルを経て運搬することにより、迅速に冷凍した。冷凍パティーを箱の中にパックし、そして調理されるまで冷凍保存した。実施例1の全100ポンドのパティー、及び実施例2の全100ポンドのパティーを生産した。それぞれのセットの一部は、コントロールパティーである。
【0033】
パティーの調理収率
冷凍パティー(約4度Fで)を、調理用の個々のバッチから無作為に選定した。当該パティーを、最終内部温度が約160度Fになるように、商業的スタイルのフラットグリル(約350度Fで)上で調理した。所望される温度に到達させるために、パティーを片面6.5分間調理し、その後、裏返して更に他方の面を2.5分間調理した。任意の表面の汁を移動させるために、パティーを再度裏返し、そして約5秒調理した。実施例2のデンプンパティーを、160度Fに到達するために必要であった面ごとの追加の0.5分を除き、同様に調理した。その後、調理収率を冷凍及び調理パティーの間の重量の差異に基づき決定した。従って、収率は、調理重量を冷凍重量で割り、そして100を乗じることにより計算した。
【0034】
フードサービスホットボックス内部に存在する条件をシミュレートするために、パティーを小さいケーキ焼き皿の中に設置し、そしてアルミ箔で覆った。その後当該パティーを対流オーブン中に20分間設置し(175度Fで)、取り出し、そして再計量した。その後、保持収率は、保持重量を冷凍重量で割り、そして100を乗じることにより計算した。
【0035】
結果及び検討
トレハロースを、調理及び保持収率へのその影響を研究するために全食肉牛肉パティー中で評価した(図1)。トレハロースは平均1.8%(70.3%対68.5%)の調理収率を増加させた。汁保持の増加は、2.0%未満の食肉を含むパティーでさえ起こった。トレハロースを有するパティーは、甘みの兆しのみを示すので、最終的に全体的に調理した香味が所望される。
【0036】
トレハロースパティーは、調理前により少ない水分及び脂肪(潜在的な汁)を含んだ。しかしながら、排出した汁の量は、コントロール(37.3g/lOOgの潜在的な汁)よりもトレハロースパティー(35.8g/lOOgの潜在的な汁)由来のほうが、過度に低い。
【0037】
フードサービスホットボックスをシミュレートするために、更に20分間、175度Fで当該パティーを保持することは、同重量でパティーを減少させた(4.3%)。従ってトレハロースは保持の間の相対的な汁保有を変化させず、そして調理中の段階的な重量増獲得を当該パティーが供されるまで持続させた。
【実施例2】
【0038】
デンプンを含む牛肉パティー
トレハロースを、デンプンを含む牛挽肉パティーに添加した。一品の牛挽肉を、以下の改変を除き、上記の通り調製した。乾燥したパンの中身(0.75%)を最初に食肉へ添加し、そして約30秒混合した。その後、トレハロース(2.0%)を、引き続き調味料(1.0%)及びより多くのパンの中身(0.75%)を添加した水(2.75%)と混合した。この混合物に食肉を添加し、1分間混合し、その後、パティーを形成する前に約1/8インチの細かいサイズに再度挽いた。デンプンパティーコントロールを作製するために、トレハロースを欠如させ、そして牛挽肉量を2.0%増加させた。
【0039】
パティーを形成し、そして実施例1で説明した手順を用いて調理収率を決定した。実施例1と同様に、本実施例も細粉した食肉を説明する。
【0040】
結果及び検討
上記説明の通り、一般的にパンの中身からのデンプンは水及び脂肪保有を改善することにより汁の多さを改善させると信じられている。従って、デンプンを含む牛挽肉パティーは、デンプンの機能性とトレハロースの機能性を比較するための例として選定された。
【0041】
図2はデンプンパティーの調理収率をプロットし、そして実施例1の全食肉パティーの調理収率と比較する。当該図は、収率を(68.5%から74.9%へ)増加させるデンプンを示し、及び当該デンプンがトレハロースよりもよい汁保有(74.9%から70.3へ)を提供することも示す。更に、当該図は、トレハロースとデンプンを一緒にするよりも、デンプン単独の方がよりよい汁保有を提供することを示す(74.9%から72.1%へ)。
【0042】
トレハロースとパンの中身を組合せることは、図1に示すように、パンの中身を有するパティーと比較して、パティー収率にネガティブな影響を有するが、トレハロースはデンプンを使用せずにパティー収率を増加させる。
【実施例3】
【0043】
再構築した牛肉ロースト
再構築したデリ牛肉ローストは、Cargill,Inc.食肉プラントで製造された。当該ローストは、1 1/4インチ皿を用いて、大きい塊中へXXX等級の新鮮な牛肉を細粉して冷蔵(40-45度F)することにより調製した。水性ブライン溶液は、水にリン酸ナトリウムを溶解させることにより調製し、引き続き、塩化ナトリウム(塩)によって調製した。トレハロースは、塩の後に添加し、その後、使用する前に当該ブラインを冷たいままに(40-45度F)に保持した。更に、水性溶液は、トレハロース単独と同様に調製した。更に、実質的に水のみを有するコントロール水性バスを同様に調製した。本明細書で使用される用語"ブライン"とは、本パラグラフで説明した水性バスと多様な水性溶液を集合的に表現する。
【0044】
牛肉の大きい塊と多様なブライン溶液を約20分間混合し、食肉に様々な溶液を浸透させ、そして再構築したローストの結合を促進する表面タンパク質を抽出した。その後当該食肉及びブライン混合物を透明プラスチックバッグ(10.0ポンドの重量)へ移動させ、過剰な空気をパージし、その後熱を封鎖した。その後、当該ローストを一晩冷たく保ち、調理前に、追加のタンパク質抽出を促進した。個々のロースト処方の合計3つの複製を調製した。
【0045】
本手順を使用して、以下のカテゴリー中でローストを調製した:
・コントロールローストにウォーターバスを混合した。
・ローストにトレハロース単独溶液を混合した。かくして得られたローストは、2.0%トレハロースを含んだ。
・ローストに塩とリン酸ナトリウムの溶液を混合した。かくして得られたローストは、1.5%の塩と0.48%のリン酸ナトリウムを含んだ。
・ローストにトレハロース、塩及びリン酸ナトリウムの溶液を混合した。かくして得られたローストは、2.0%トレハロース、0.75%塩、及び0.24%リン酸ナトリウムを含んだ。
・ローストにトレハロース、塩、及びリン酸ナトリウムの溶液を混合した。かくして得られたローストは、2.0%トレハロース、1.5%塩、及び0.48%リン酸ナトリウムを含んだ。
【0046】
当該ローストは、175度F、且つ90%相対湿度で中核温度が155度Fになるように設定し、燻製場で調理した。その後、調理したローストを約40度Fで冷蔵し、4日間貯蔵し、その後、バッグと浸出物を捨てた。その後当該ローストを計量し、調理重量を未調理重量で割って、そして100を乗じることによって調理収率を決定した。
【0047】
収率測定によれば、それぞれの処理からの一つのローストは、半分に切断され、そして8人のメンバーの知覚パネルにより評価された。当該パネルは、食肉製品の品質を評価する豊富な経験を有す食肉科学者から成った。当該ローストは、外観、風味、汁の多さ、質感、及びヘドニックスケール1(極度に所望されない)から8(極度に所望される)の範囲の8ポイントを用いた全ての容認性に基づきスコア化した。個々のローストの同一性は、評価が終了するまでパネリストに知らせなかった。
【0048】
本実施例は、再構築した食肉を説明し、ここでの再構築した食肉とは、全筋肉製品に似ているために組み合わされる筋肉片、筋肉トリミング(trimmings)、又は細かく砕いた筋肉粒子を含む。再構築した食肉は筋肉、脂肪、及び正常に筋肉と関連する他の材料の一部を含む。
【0049】
結果及び検討
再構築したローストは、低い数値の牛肉トリミングを含み、完全な全筋肉と似るように改善される。それらは堅い質感(firm textures)を有し、サンドイッチ用の薄いスライス、アントレーの材料、及びデリトレイ(deli tray)を許容する。それらの集合は、調理時に互いの断片を結合させるタンパク質を抽出するための塩及びリン酸ナトリウムへ重度に依存する。本発明は、トレハロースの潜在的な液体保有機能性に集中した再構築したロースト、及びトレハロースが調理収率を増加させるために塩とリン酸ナトリウムと共に使用できるか否かに関する。
【0050】
生の材料を混合及び袋詰めする間、水とトレハロースの吸収を補助するための塩及びリン酸ナトリウムが発現されることを習得した。これは塩及びリン酸ナトリウムの不存在において、又はそれらのレベルが半減した時に、水滲出性を有す食肉に最も明白であった。反対に、十分なレベルの塩とリン酸ナトリウムとを混合した食肉は、水滲出性を有さず、且つクリーム状の質感を示した。
【0051】
再構築したローストの収率の結果を、図3にプロットする。塩とリン酸ナトリウムのレベルの除去又は半減は、実質的に収率を低下させる。塩又はリン酸ナトリウムが存在しないローストは、最も低下した収率を与えた(コントロール64.0%及びトレハロース65.1%)。塩及びリン酸ナトリウムを添加することは、半分及び全部の塩及びリン酸ナトリウムレベルのために、73.7%及び92.1%へと収率を増加させた。トレハロースを塩とリン酸ナトリウムと組合せた場合、その収率は約1%(91.2%から92.1%へ)上昇した。
【0052】
知覚パネルは、4日間冷蔵した後のそれぞれのローストの品質を評価した(表1)。品質は、1(極度に所望されないレスポンス)からの8(極度に所望されるレスポンス)の範囲の8-ポイントヘドニックスケールを用いてスコア化した。従ってより高いスコアは、より高い品質を表示した。全体的に塩及びリン酸ナトリウムを含むローストは、水又はトレハロース単独を全体に有すローストが好ましいものであった。しかしながら、トレハロースを塩及びリン酸ナトリウムと組合せた場合、当該ローストの外観、風味、汁の多さ、及び質感は、実質的に区別できない。従って、トレハロースは、知覚品質を変化させずに、調理収率、又は再構築したローストを約1%増加させる能力を有する。
【表1】

【実施例4】
【0053】
全筋牛肉ロースト
注入された全筋牛肉ローストはCargill,Inc.食肉プラントで製造された。当該ローストは、新鮮なUTEキャップオフ内もも肉を用いて調製した。ブライン溶液は、リン酸ナトリウムと水を混合し、引き続き、デキストロース、塩、調味料、及びトレハロースを混合することにより調製した。その上、トレハロース単独の水性溶液を調製した。更に、実質的に水のみを有するコントロール水性バスを調製した。この場合もやはり、本明細書において使用される用語"ブライン"は、本パラグラフにおいて発表された水性バス又は多様な水性溶液を集合的に述べる。
【0054】
当該ローストに、それらの重量を30%増加させる(成形体重量(green weight)を30%超える)ために多様なブライン溶液を注入した。それぞれ溶液を注入した後、注入されたローストを通して実質的に分散させた。その後当該注入されたローストを5rpm、60分間、40度F、真空下(約マイナス0.9bar)で裏返し、筋肉中にむらなくブラインを分散させた。その後、裏返したローストを、真空密閉した透明なプラスチックバック中で計量し、そして調理前に一晩冷蔵した。それぞれのローストの計4つの複製を調製した。
【0055】
本手順を用いてローストを以下のカテゴリーにおいて調製した:
・コントロールローストにウォーターバスを注入した。
・ローストにトレハロース単独の溶液を注入した。かくして結果物であるローストは、1.1%から1.6%のトレハロースを含んだ。
・ローストに塩及びリン酸ナトリウムの溶液を注入した。かくして結果物であるローストは、0.7%の塩及び0.35%のリン酸ナトリウムを含んだ。
・ローストにトレハロース、塩、及びリン酸ナトリウムの溶液を注入し、かくして結果物であるローストは、1.1%から1.6%のトレハロース、0.7%の塩、及び0.35%のリン酸ナトリウムを含んだ。
【0056】
当該ローストを、温水(160度F)中で冠水させ、そして内部温度145度Fで調理した。調理したローストを約40度Fで、4日間冷蔵し、その後、袋と滲出物捨てた。当該ローストを計量し、調理重量を未調理重量で割り、100をかけて調理収率を決定した。
【0057】
計量後、それぞれの群由来の1つのローストは半分にスライスされ、そして食肉科学の8人のメンバーパネルによって評価された。パネリストは、外観、風味、汁の多さ、質感、及び1(極度に所望されない)から8(極度に所望される)の範囲にある8ポイントヘドニックスケールを用いた全ての受容可能性を判断した。個々のローストの同一性は、評価が終了するまでパネリストに知らせなかった。
【0058】
結果及び検討
注入された全筋牛肉ローストは、他のタイプのデリカテッセン食肉である。それらは典型的に、汁及び収率を増加させるために水、塩、及びリン酸ナトリウムを注入する。本製品における現在の関心は、トレハロース注入により生産された収率と、水単独注入により生産された収率、並びに塩及びリン酸ナトリウム注入により生産された収率を比較することであった。
【0059】
一度当該ローストが注入され、袋詰めにされた場合、実際のブライン保有率を決定するためにそれらを計量した。水(コントロール)、又はトレハロースを注入されたローストは、塩及びリン酸ナトリウム、又はトレハロース、塩、及びリン酸ナトリウムを注入したロースト(約22%)よりも、より少ないブラインを保有した(約15%)。従って、塩及びリン酸ナトリウムは、注入段階の間の食肉組織によるトレハロースの取り込みを改善させた。
【0060】
それぞれのローストの調理収率を図4にプロットした。期待されるように、水の添加は、塩及びリン酸ナトリウムを含むロースト(83.4%)よりも有意に低い収率(67.5%)を生み出した。トレハロース単独は、収率(65.3%)を増加させなかったが、塩及びリン酸ナトリウムと組合せた場合、収率を1.6%(83.4%から85.0%)上昇させた。トレハロース単独では当該収率を増加させなかったが、しかし更なる試験方法では、トレハロース単独で、全筋牛肉ローストの収率を増加させることを見出し得ることが信じられている。
【0061】
知覚パネルで、それぞれのローストの品質(外観、風味、汁の多さ、及び質感)を再び評価した。評価の結果を表2に示す。見ることができる通り、当該知覚パネルは、塩及びリン酸ナトリウムを含むローストの外観、風味、及び汁の多さが好適である。しかしながら、トレハロースと塩及びリン酸ナトリウムを一緒に使用した場合、当該ローストの外観、風味、及び汁の多さは、トレハロースなしの塩及びリン酸ナトリウムの結果物から実質的に区別できなかった。しかしながら、トレハロースを有す場合は、当該食肉の質感はより細かく、トレハロースが食肉構造に影響した目に見える証拠を提供する。
【0062】
【表2】

【0063】
調理データの分析では、より大きなローストが、より小さいローストよりも高い収率を有す傾向があることから、ローストの大きさが収率に影響を及ぼし得ることを示した。これは、それぞれのローストのための調理時間が同じであるとする論理にかなったものであると思われる。大きいローストの中心温度は、小さいローストの温度よりも低いから一定の温度(中間サイズにあるローストが145度Fに達した温度)で一度調理を中断した。より高い温度は、小さなローストが大きなローストよりも多くのタンパク質の変性、タンパク質溶解性の損失、及びより少ない液体保有となる原因となるであろう。
【0064】
当該ローストは多数の食肉牛を起源としたので、遺伝的差異はその他の変数(variable)であった。タンパク質溶解性及び液体保有は牛個体間で幅広く変化し得ることがよく認識されている。我々の研究では、一頭の牛は2つのローストを提供したので、8頭の牛では最小でも、コントロール、トレハロース単独、塩+リン酸ナトリウム、及びトレハロース+塩+リン酸ナトリウム処理のために16のローストを提供することが必要とされた。同一群の8頭の牛からのローストを分離させないための試みであるから、牛8頭までの範囲での遺伝的変異が可能である。
【実施例5】
【0065】
全筋牛肉ロースト
動物遺伝子及びローストの大きさにおける変化のためのコントロールに対する他の研究をデザインした。1頭の牛からの対の内もも肉を分離した。かくして、それぞれの対からの1つのローストは、コントロール(塩+リン酸ナトリウムを含む)として提供され、及びそれぞれの対の第二のローストは、処理ロースト(塩+リン酸ナトリウム+トレハロース)として提供された。計6つのロースト対は、結果の統計学的妥当性を高めるために得られた。その後、ローストの対を整え、かくして個々のローストを注入前に0.1ポンド以内に一致させた。熱移動を改善するため、且つ調理温度をより均質化するために、重量を均一化した。
【0066】
当該ローストは、実施例4での発表と同様の方法で注入した。この手順を用いて、ローストを以下のカテゴリーにおいて調製した:
・コントロールローストに塩及びリン酸ナトリウムの溶液を注入した。かくして結果物であるローストは、0.7%の塩及び0.35%のリン酸ナトリウムを含んだ。
・ローストにトレハロース、塩、及びリン酸ナトリウムの溶液を注入した。かくして結果物であるローストは、1.6%から1.8%のトレハロース、0.7%の塩、及び0.35%のリン酸ナトリウムを含んだ。
・ローストにトレハロース、塩、及びリン酸ナトリウムの溶液を注入した。かくして結果物であるローストは、0.9%のトレハロース、0.7%の塩、及び0.35%のリン酸ナトリウムを含んだ。
・ローストにトレハロース、塩、及びリン酸ナトリウムの溶液を注入した。かくして結果物であるローストは0.5%のトレハロース、0.7%の塩、及び0.35%のリン酸ナトリウムを含んだ。
【0067】
結果及び検討
それぞれのロースト対の収率結果を表3に一覧表にする。トレハロースは、6対中5対において、平均2.1%(90.1%対88.0%)収率を増加させた。
【0068】
【表3】

【0069】
最初に、当該作業は、単一投与量(1.6-1.8%)でのトレハロースの研究に焦点が当てられていた。その後当該研究は、より低い濃度でのレスポンスを評価するために、より低い濃度で継続した。また、より低いレベルが堅い質感を緩和するか否かを見るための誘引であった。当該戦略は、一頭の牛からの2つのローストに0.5%のトレハロースを注入し、及び第二の牛からの2つ超のローストに0.9%のトレハロースを注入することであった。我々は表3からのローストと一緒に当該ローストを調理し、そしてそれらの収率を比較した。
【0070】
0.5%と0.9%のトレハロースを含むローストは、1.6%−1.8%のトレハロース(それぞれ89.8%、89.7%、及び89.9%)を含むローストと同じ収率を有した。これはコントロールに対して1.5%の平均収率の増加と解釈された。より低いトレハロースレベルは、堅い質感を減少させ、そして全ての知覚品質を改善させる傾向にもあった(表4)。知覚パネルは、トレハロースレベルが1%未満に減少した時、当該ロースト間で識別することができなかった。
【0071】
【表4】

【実施例6】
【0072】
実施例5において詳説した調理収率実験では、牛肉全筋ロースト中のトレハロース含有レベルの変更を繰り返した。当該収率の増加をトレハロース含有レベルに対してプロットし、そしてその結果を以下の表5に提供した。
【0073】
【表5】

【実施例7】
【0074】
1%、2%及び3%のトレハロース含有レベルを有する手順により調理した内もも肉、及びそれらの調理した内もも肉のそれぞれの質量組成を、コントロール(トレハロースなしで調理した内もも肉)と比較した。
【0075】
材料
材料の大部分は、Emmpak Food's Milwaukee,WIの材料一覧表から得た。それらは実用的な内もも肉の内部の牛肉等級、塩化ナトリウム(塩)、及びリン酸ナトリウム(STP)を含んだ。トレハロースはHayashibara(日本)から購入した。全食肉サンプルは、同一の動物から由来し、全ての処理に渡り、遺伝的、及び死後熟成条件を等しくした。
【0076】
食肉調製
最初に、水中にSTP、塩、及びトレハロースを溶解させることによりブライン溶液を調製した。内もも肉は、約1ポンドサンプルに切断し、その後、ニードルスタイルのテンダーライザーを使用して機械的に柔らかくした。当該サンプルにシリンジタイプの食肉インジェクターを使用してブラインを注入し、30重量%増加(成形体重量を30%超える)させた。これに、原料食肉に対して約0.8重量%の塩、0.35重量%のSTP、及び3.0重量%までのトレハロースを添加した。その後当該サンプルを5rpmで、30分間、40°F、真空下(25inHg)で裏返し、ブラインを分散させることを助けた。その後裏返したサンプルをポリエチレン袋中で、真空密閉し、そして調理前に一晩冷蔵し計量した。複製サンプルは、それぞれのトレハロース処理レベルで調製した。
【0077】
調理手順及び収率決定
当該サンプルを温水(145°F)中で、100分間、内部中心温度が約145°Fに到達するまで、沈めた。調理サンプルは、約40°Fで、1日冷蔵し、その後調理収率を決定するために当該袋から取り除いた。調理収率は調理重量を未調理重量で割って、100をかけて計算した。その後、マスバランス分析を容易にするために、汁を水分、脂肪、タンパク質、及びトレハロースについて分析した。
【0078】
調理した食肉の質量組成における変化
水、脂肪、タンパク質、及びトレハロースの質量における変化をマスバランス分析により決定した。調理した食肉の質量組成は、未調理食肉の質量組成から、汁の質量組成を差し引くことにより決定した。当該未調理食肉の質量組成は、サンプルを調製するために使用した材料の量から計算した。汁の質量組成を、汁の量及びその分析から決定した。当該試験の結果を図5及び図6に提供する。
【実施例8】
【0079】
実施例1に概説した手順により、約1.8%のトレハロースを有する牛挽肉パティー、及びトレハロースを有さない牛挽肉パティーを調製した。当該パティーを160度Fで調理し、そして1.8%トレハロース含有パティーとコントロールパティーの質量組成における差異は、0から30分の範囲で、5分間隔で測定した。当該試験の結果を図7に提供する。
【実施例9】
【0080】
技術的概要:
ロースト牛内もも肉の収率を増加させるトレハロースの能力を、商業的工程の中で評価した。それぞれ約1800ポンドの2つの連続的な製品処理を4日間で完了させた。当該製品を、装置を用いて、商業的環境が許容する不変性を維持した条件で注入し、裏返し、袋詰めにし、調理し、冷却し、そして最終的にパッケージした。最初の処理では、デキストロース(0.9重量%)を有す現在の商業製品を生産し、そしてコントロールとして提供した。第二の処理では、デキストロースに代えて、トレハロース(1.0重量%)を検査に提供した。調理収率は、1つの処理ごとに犠牲にする30ローストにより定量し、調理及び冷却後の個々の収率を測定した。これは測定されるロースト間のばらつきを許容し、結果の統計学的妥当性を強化した。デキストロースの代わりにトレハロースを用いることは、調理収率を3.3%増加させ、且つその差異は有意に高かった(P=0.01)。当該増加は、パッケージされた製品データ(3.6%の収率獲得)により確認され、そしてパッケージングを通して当該製品がより重い状態にあることを意味した。調理工程のマスバランス分析を完了させ、そしてそれは〜76重量%獲得を計上する水分含有を示した。追加の2ヶ月間の調理製品パージ(汁の放出)の継続したモニタリングでは、製品の品質保持期限を通して余分な汁が最も保有されたことを確認した。最終的に、トレハロースからの収率の利益は、製品の知覚許容可能性に不利な影響を与えないことを理解した。
【0081】
原材料及び方法:
材料
材料の大部分はEmmpak's Milwaukee,WIの材料一覧表から得た。それらは実用的な内もも肉の内部の等級、塩化ナトリウム(塩)、リン酸ナトリウム(STP)、デキストロース、トレハロース、加水分解した植物性タンパク質(HVF-53)、牛肉香味料、ラブ調味料(seasoning rub)、及び乳酸ナトリウムを含んだ。トレハロースはHayashibara(日本)から購入した。
【0082】
調理前の牛内もも肉の比較
注入及び裏返しによる両処理からの内もも肉の組成を表6に対比する。当該材料のレベルは平均値であって、プラントの記録から得られた。両処理では、同様に注入されるため(デキストロース:成形体重量の132%、即ち、100 lbsの食肉、32 lbs のブライン;トレハロース:成形体重量の131%、即ち100 lbsの食肉、31 lbsのブライン;)、同程度の塩、STP、香味料、及び防腐剤投与を受容した。トレハロースのレベルはデキストロースレベルよりも軽度に高いため(0.99%対0.86%)、当該トレハロースブラインは、水の含有が少ないため、余分な糖質を蓄積する。しかしながら、これは表7に示す通り、水分、脂肪、又はタンパク質の含有量を有意に変化させなかった。
【0083】
【表6】

【表7】

【0084】
プラント製造ステップ
内もも肉を、商業的設備及び手順を使用して、注入し、裏返し、袋詰めにし、調理し、当該袋から出し、再度袋詰めにし、後殺菌し、冷蔵し、そしてパッケージした。合計2つの製品の処理が完了し;第一の処理では、現行の商業的処方(0.9%デキストロース)を含み、そして第二の処理では、デキストロースをトレハロース(1.0%)に置き換えた。およそ1800ポンドの調理製品(約145片)を生産した。製造ステップの概要、及びそれらに対応する条件を表8に示した。
【0085】
【表8】

【0086】
調理収率決定
調理収率を決定するために、それぞれの処理からの30のローストを無作為に選定し、個々に計量し、そして調理前にラベルした。その後、ラベル化ローストを調理し、そしてラベル化されていないローストとともに冷却した。従って、当該ラベル化及び非ラベル化群は、同じ調理及び冷却処理を受けた。冷却後、30のラベル化ローストを設置し、調理袋から取り出し、そして個々に再計量した。その後、調理重量をその未調理重量で割り、100をかけることにより、個々のローストの収率を算出した。
【0087】
調理中の牛内もも肉の質量組成の変化
調理による水、脂肪、タンパク質、デキストロース、及びトレハロースの質量変化を、マスバランス分析により決定した。調理した食肉の質量組成は、未調理食肉の質量組成から、汁の質量組成を差し引くことにより決定した。未調理食肉組成は、表1及び2、並びに調理前の重量を用いて計算した。当該汁組成は、調理袋中で蓄積した汁を計量しそしてその組成を分析することによって決定した。
【0088】
調理製品の知覚分析
トライアングル差異検定(A triangle difference test)をEmmpakの従業員で構成される30人のパネルを用いて実施した。デキストロース処理からの単一ロースト、及びトレハロース処理からの一つを2-3mmの薄さにスライスし、そして冷蔵保存した。当該パネリストに3つのサンプル(2つは同一のものであり、そして1つは異なるものであった)を提供し、異なるサンプルを見極めるように依頼した。その後、相違が検出されたならば、彼等に好ましいサンプル及びその理由を見極めるように依頼した。
【0089】
結果及び検討:
調理収率
試験をデザインするために、我々は、商業製品で存在するローストごとの収率変化性を知る必要があった。しかしながら、この数は、プラントが個々のローストを基礎とした収率をモニターしていないために一般的に知られていない。従って我々は、我々のパイロットプラント試験からのデータを適用し、そして処理ごとの30ローストが1.1%以上の統計学的に十分な収率獲得を検出するために十分であることを見積もった(P<0.05)。従ってこのアプローチは、有意な収率獲得と工程に関連したノイズの間の識別を可能にした。
【0090】
個々の処理からの30ローストの調理収率を図8にプロットする。個々のシンボルは、単一のローストを表すため、処理を比較するためにそれらを平均化した。トレハロースは、3.3%(85.6%対82.3%)平均収率を増加させ、そして当該獲得は有意に高かった(P=0.01)。当該プラントは、彼等が非ラベル化ロースト(それぞれの処理から〜l15)を計量した時、3.6%(トレハロース82.3%、デキストロース78.7%)の同様の収率獲得を報告した。当該プラント値は、当該ローストのパッケージ時に計量されたから、より低くなったのかもしれない。しかしながら、当該プラントデータは、当該収率獲得がパッケージングを通して維持された調理により観察されたことを確認した。
【0091】
個々の処理のマスバランス分析は表9のデータを用いて実施した。調理した食肉中の水分、脂肪、タンパク質、デキストロース、及びトレハロースの質量を未調理の食肉の質量組成から、食肉汁の質量組成を差し引くことによって決定した。デキストロースを有するローストは、調理前に重くなるから(15.3 lbs対.14.0 lbs)、トレハロースローストからのデータを正常化し(未調理重量を基礎として同等に調整した)、直接比較することを可能にした。
【0092】
本方法を用いて、我々は約95%の調理中の質量の変化を説明し、そして本質的に個々の商業的処理の前後のマスバランスを接近させた。平均では、トレハロースを有するローストは、デキストロースを有するローストよりも約0.5ポンド重くなった(13.1 lbs対12.6lbs)。重量獲得の大部分(76%)は、平均0.38 lbs超の水としての、水分保有のためであった。重量獲得のバランス(24%)は、トレハロースとタンパク質保有(0.12l bs)のためであった。従って、トレハロースは、調理した内もも肉中の水分保有を促進させ、より重い製品をもたらした。
【0093】
【表9】

【0094】
貯蔵中の調理製品パージ
製品貯蔵の間の汁の損失を、当該ローストを定期的に再計量することにより評価した(表10)。本試験は、製品の品質保持期限に影響を及ぼす2ヶ月間実施した。トレハロースを含むローストは、デキストロースローストよりも軽度なパージ(約0.4%超)を有する傾向があるが、その差異はぎりぎり有意であるか(1ヶ月)、又は有意でなかった(2ヶ月)。従って、トレハロースを含むローストは、貯蔵及び流通の間、デキストロースを含むローストと類似したパージを示すことが予想される。
【0095】
【表10】

【0096】
知覚分析試験
トライアングル差異検定(A triangle difference test)を30人の Emmpak従業員を用いて実施し、トレハロースを有すスライスした牛肉が、デキストロースを含むスライスした牛肉から区別されるか否かを決定した。パネリスト等に3つのサンプル(2つは同一であって、そして1つは異なった)を提供し、そして異なるサンプルを見極めるように依頼した。パネリストの半数以上が(30人のうちの16人)が正確に片方のサンプルを見極め、それは2つのロースト間を区別することができた(P<0.05)ことを意味する。またパネリストに好むサンプルを選択するように依頼し、そして大多数(57%)がトレハロースを有するローストを好んだ。残りのパネリストは、デキストロースローストを好むか(10%)、又は好みを持たなかった(33%)。
【0097】
多くの態様と実施例において説明し、発表した本発明の原理は、当業者にとって明らかなものであり、当該発明はかかる原理から離れずにアレンジ及び細部における修飾を可能にするだろう。我々は、特許請求の範囲に従う精神及び範囲内において全ての修飾を要求する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】160度Fで調理し、且つその後20分間、175度Fで保持した冷凍全牛挽肉パティーの収率へのトレハロースの影響(2.0%)。それぞれの数値は、個々の5つのパティーの平均値である。標準化エラーは、エラーバーにより示す。
【図2】160度Fで調理し、且つその後20分間、175度Fで保持した冷凍全牛挽肉パティー及びデンプンを含む挽肉牛肉パティーの収率へのトレハロースの影響(2.0%)。それぞれの数値は、5つのパティーの平均値である。標準化エラーは、エラーバーにより示す。
【図3】155度Fへ調理した後の再構築したローストの収率へのトレハロースの影響。数値は3つのローストの平均値である。エラーバーは標準化エラーを示す。トレハロース(T)=2.0%、リン酸ナトリウム(STP)=0.48%、塩=1.5%、1/2(STP+塩)=0.24%STP+0.75%塩。
【図4】全筋ローストへ注入したトレハロースの、145度Fへ調理した後の収率への影響。数値は4つのローストの平均値である。エラーバーは標準化エラーを示す。トレハロース(T)=1.1-1.6%、リン酸ナトリウム(STP)=0.35%、塩=0.7%。
【図5】変化するトレハロースの量を含まない、565gの未調理重量をそれぞれ有する4つの調理した内もも肉の質量組成における変化。
【図6】変化するトレハロースの量を含まない、589gの未調理重量をそれぞれ有する4つの調理した内もも肉の質量組成における変化。
【図7】トレハロース含有調理牛挽肉の質量組成における変化。7つのパティーをそれぞれ一つずつ0、5、10、15、20、25、及び30分間分析した。
【図8】デキストロース又はトレハロースを含む個々の牛内もも肉の商業的調理収率の比較。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉を調製するための方法であって:十分な量のトレハロースを牛肉に添加し、第二の牛肉製品よりも高い標準化された調理収率を有す第一の牛肉製品を得ること含んで成り、ここでの当該第二の牛肉製品は、当該第二の牛肉製品が当該トレハロースの代わりにデキストロースを含むことを除き、実質的に当該第一の牛肉製品と同じである方法。
【請求項2】
前記第一の牛肉製品が更にデキストロースを含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に少なくとも1つの食品材料を前記牛肉に添加することを含んで成り、ここでの少なくとも1つの食品材料は前記トレハロースの添加前、添加と同時、又は添加後に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の牛肉製品が、牛の挽肉パティー、再構築した牛肉ロースト、及び注入された全筋牛肉ローストから選定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
更に第一の牛肉製品を調理することを含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記トレハロースが牛肉全体に分布する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一の牛肉製品が、更に塩とリン酸ナトリウムを含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの食品材料が、少なくともリン酸ナトリウムである、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記第一の牛肉製品が実質的にデンプンを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記牛肉が、筋肉、細かく砕いた食肉、及び再構築した食肉から選定される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記牛肉が成形体重量(green weight)を有し、且つトレハロースの量が当該牛肉の成形体重量の約3%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記トレハロースの量が、前記牛肉の成形体重量の約2%以下である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記トレハロースの量が、前記牛肉の成形体重量の約0.3%から約3%の範囲にある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記トレハロースの量が、前記牛肉の成形体重量の約0.5%から約2%の範囲にある、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
牛肉中に第二の牛肉製品と比較して調理収率を改良させた第一の牛肉製品を得るためのトレハロースの量を導入することを含んで成る、トレハロースの使用方法であって、ここでの第一の牛肉製品及び第二の牛肉製品は、当該第二の牛肉製品がトレハロースの代わりに追加の牛肉を含むことを除き、同様の調理前重量を有し、且つそれぞれ同様の組成を有す方法。
【請求項16】
前記トレハロースが前記牛肉中に、前記牛肉へのトレハロースと水の混合物を添加することにより導入される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記トレハロースが、トレハロース、塩、及びリン酸ナトリウムの水性溶液を前記牛肉へ添加することにより前記牛肉中へ導入される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の牛肉製品がデンプンを含んで成る、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
牛肉及びトレハロースを含んで成る牛肉製品であって、ここでの牛肉製品は調理前重量を有し、且つコントロール牛肉製品と比較して牛肉製品の調理収率を増加させるために十分な量のトレハロースを含む牛肉製品であって、ここでのコントロール牛肉製品は、当該コントロール牛肉製品がトレハロースの代わりにデキストロース又は追加の牛肉を含むことを除き、当該牛肉製品と実質的に同一の調理前重量を有し、且つ当該牛肉製品と同様の組成を有す。
【請求項20】
前記牛肉が成形体重量を有し、且つトレハロースの量が当該牛肉の成形体重量の約0.3%から約3.0%の範囲にある、請求項19に記載の牛肉製品。
【請求項21】
前記トレハロースの量が、前記牛肉の成形体重量の約0.5%から約2.0%の範囲にある、請求項19に記載の牛肉製品。
【請求項22】
前記牛肉製品が、挽肉パティー、再構築したロースト、及び全筋内もも肉から選定される、請求項21に記載の牛肉製品。
【請求項23】
前記牛肉製品が、再構築したロースト、及び全筋内もも肉から選定され、且つ更に当該牛肉製品が塩及びリン酸ナトリウムを含んで成る、請求項22に記載の牛肉製品。
【請求項24】
牛肉の標準化された調理収率を増加させる方法であって:牛肉へ有効量のトレハロースを添加し、そして任意に有効量の1つ以上の塩、及びリン酸ナトリウムを添加し、標準化された調理収率を得ることを含んで成る方法であって、ここで当該牛肉が、人が消費する際に安全である、所望される温度へ加熱される場合、標準化された調理収率は、トレハロースが存在しない実質的に同様の牛肉を、同一の所望される温度へ加熱することによりもたらされる調理収率よりも高い方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2006−525024(P2006−525024A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514169(P2006−514169)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/013399
【国際公開番号】WO2004/098321
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505040062)カーギル,インコーポレイティド (23)
【Fターム(参考)】