調理器用トッププレート
【課題】調理台のトップ部分にトッププレートを組み付けた際に、不当な隙間を通じて当該トッププレートの下面部まで液体が流れ込むことによる耐久性の低下を阻止する。
【解決手段】加熱ゾーン7と非加熱ゾーン8とが単一の矩形のガラス板1に形成されてなり、ガラス板1の少なくとも対向する二つの辺a、c(b、d)にそれぞれ沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部2が形成され、ガラス板1の段落ちにより形成される段差5と薄肉部2とからなる段付き部を、調理台6のトップ部分6aの被組み込み部に組み付けるためのものとし、且つ、ガラス板1の上面4(3)を、組み付け後に少なくとも上記の二つの辺a、c(b、d)に直交する方向に対して調理台6のトップ面6xと面一に隣接するものとする。
【解決手段】加熱ゾーン7と非加熱ゾーン8とが単一の矩形のガラス板1に形成されてなり、ガラス板1の少なくとも対向する二つの辺a、c(b、d)にそれぞれ沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部2が形成され、ガラス板1の段落ちにより形成される段差5と薄肉部2とからなる段付き部を、調理台6のトップ部分6aの被組み込み部に組み付けるためのものとし、且つ、ガラス板1の上面4(3)を、組み付け後に少なくとも上記の二つの辺a、c(b、d)に直交する方向に対して調理台6のトップ面6xと面一に隣接するものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器用トッププレート及びその製造方法に係り、詳しくは、当該調理器用トッププレートの調理台との関連を加味した構造の改良及び当該調理器用トッププレートの製造方法における主として成形工程の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電磁調理器用、赤外線調理器用、ガス調理器用或いはこれらを併用して使用可能な調理器用のトッププレートは、調理器の上部に位置し且つ調理台のトップ部分に組み付けられるものであって、ガラス板からなるのが通例である。この種のトッププレートとしては、加熱ゾーンが独立して形成されるものと、一または複数の加熱ゾーンとその周囲を取り囲む非加熱ゾーンとが一体となって形成されるものとが公知となっている。
【0003】
この種のトッププレートを調理台に組み付ける手法としては、特許文献1に開示されているように、調理台のトップ部分に固定具を用いて当該トッププレートを固定することが一般的とされている。詳述すると、同文献に開示の固定具は、枠状に折曲形成された板材の上端部がトッププレートの上面の周縁部を上方から覆うように構成したものであって、基本的には、この固定具によりトッププレートを調理台のトップ面上に挟持した状態で固定したものである。
【0004】
しかしながら、このような固定具を使用してトッププレートが組み付けられていたのでは、固定具の枠状部の高さに相当する段差が調理器本体のトップ面との間に形成され、或いは固定具を構成する板材の板厚分がトッププレートの上面から突出することになる。そのため、調理作業中に鍋等の容器をトッププレートに対して移動させる際には、上述の段差或いは突出部が邪魔になって、当該容器が傾いたり若しくは引っ掛かる等の不具合を招くと共に、清掃作業が極めて面倒且つ煩雑になり困難化を余儀なくされる。
【0005】
このような問題に対処するものとして、特許文献2には、調理台のトップ面(天板の上面)とトッププレートの上面とを同一高さとし、且つその両者間にシール部材を同一高さとなるように介設することにより、その両者の上面が面一となるようした構成が開示されている。しかしながら、このような構成によれば、トッププレートの端面(辺に沿う端面)が単に垂直な平面であるため、シール部材との接触部分に熱膨張差や経年変化に起因する隙間が生じた場合には、水等の液体がその隙間を通じてトッププレートの下面部に容易に流れ込み、トッププレートが保持枠から剥離するなどして耐久性の低下を招くという難点がある。
【0006】
一方、特許文献3には、加熱ゾーンを形成するプレートの周端部に、下面側を段落ちさせてなる薄肉部を形成し、その段落ちによる段差と薄肉部とからなる段付き部を利用して、調理器の上面部分に当該プレートを組み付けた構成が開示されている。このような構成によれば、当該プレートの周端面が段付き面であるため、その周端面が上述のように単に垂直面である場合と比較して、当該プレートの外周側に隙間が生じても液体がプレートの下面部まで流れ込むことが阻止され、耐久性が改善され得ることが期待できる。
【特許文献1】特開2006−310118号公報
【特許文献2】特開平10−185211号公報
【特許文献3】特開平8−327074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献3に開示のプレートは、円形の加熱ゾーンのみを有するものであって、非加熱ゾーンを形成する矩形の周辺プレートとは別体として構成されたものである。そして、周辺プレートは、加熱ゾーン近辺において極めて大きな熱膨脹と熱収縮とを繰り返し受けることになり且つ振動や衝撃の影響も受けるため、加熱ゾーンのプレートの周端部をいかに段付き部に形成していても、非加熱ゾーンを形成する周辺プレートとの間には不当な大きさの隙間が生じ得ることになる。したがって、液体がその隙間を通じてプレートの下面部に流れ込むことによる耐久性の低下を阻止することは実質的に困難となる。加えて、プレートと周辺プレートとの間に介在している接着剤層やシール部材が、極めて高温状態となるプレートの熱の影響を受け且つ振動や衝撃の影響をも受けて劣化もしくは破損し、両プレート間に許容しがたい隙間が生じ得るため、これによっても液体のプレート下面部への流れ込みに起因する耐久性の低下を阻止することは極めて困難となる。以上の事項を勘案すれば、両プレート間に不当に大きな或いは許容しがたい隙間が形成されるのであれば、液体の流れ込みによる耐久性低下に着目した場合に、プレートの周端部を段付き部としたことに意味がないことになる。
【0008】
しかも、上記のプレートと周辺プレートとの間、及び周辺プレートとこれに隣接する調理台のトップ面との間には、僅かながら接着剤層或いは目地等が存在しているため、この目地等に対して面倒且つ煩雑な清掃作業が必要となる。その場合に、加熱ゾーンから非加熱ゾーンを介して調理台のトップ面に至るまでの領域に対して清掃作業を行うには、目地等が存在している少なくとも2箇所で面倒且つ煩雑な作業を強いられることになり、その労苦が不当に多大になるという問題をも招来する。
【0009】
また、上記のプレートを製造するに際しては、周端部の段付き部を形成するために、切削加工によりその基本形状を形成した後、研磨加工等により仕上げを行うのが通例とされているが、切削加工により周端部の基本形状を形成する工程の存在は、作業能率の面で極めて劣るという結果を招き、量産を図る上で大きな妨げとなる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、調理台のトップ部分に組み付けられるトッププレートとして、不当な隙間を通じて当該トッププレートの下面部まで液体が流れ込むこと及びシール部材の熱による劣化や破損による組み付け部の耐久性の低下を阻止でき、且つ目地等の存在する箇所が多数であることによる清掃作業の煩雑化を回避できるようにすることを第1の課題とする。また、本発明の第2の課題は、調理台のトップ部分に最適な状態で組み付け得る端部形状を備えたトッププレートの製造を、効率よく行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記第1の課題を解決するために創案された本発明は、調理器本体の上部に位置して調理台のトップ部分に組み付けられ且つ一または複数の加熱ゾーンの周囲を取り囲むように非加熱ゾーンが形成されたガラス板からなる調理器用トッププレートにおいて、前記加熱ゾーンと非加熱ゾーンとが単一の矩形のガラス板に形成されてなり、該ガラス板の少なくとも対向する二つの辺にそれぞれ沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成されると共に、前記ガラス板の該段落ちにより形成される段差と前記薄肉部とからなる段付き部が、前記調理台のトップ部分の被組み込み部に組み付けるためのものであり、且つ、前記ガラス板の上面が、組み付け後に少なくとも前記二つの辺に直交する方向に対して前記調理台のトップ面と面一に隣接するものであることに特徴づけられる。ここで、上記の「調理台のトップ部分」とは、調理台の調理面を構成するための各種部材からなる部分を意味する。また、上記の「調理台のトップ面」とは、調理台の調理面としての役割を果たす面のみならず、トッププレートが固定部材を用いて組み付けられる場合には、固定部材の上面を意味し、要するに、この場合の「調理台のトップ面」とは、調理台のトッププレートが組み付けられる部位におけるトッププレートに隣接している最も上の面を意味する。更に、上記の「加熱ゾーン」には、加熱ゾーンが複数存在する場合であって且つ電磁加熱または赤外線加熱とガス加熱が併用される場合には、ガス加熱を行うための貫通孔からなる加熱ゾーンが含まれる。
【0012】
このような構成の調理器用トッププレート(以下、単にトッププレートともいう)によれば、加熱ゾーンと非加熱ゾーンとが単一の矩形のガラス板に形成されているので、加熱ゾーンに大きな温度変化が生じても、非加熱ゾーンとの間に隙間が生じることは有り得ず、したがって両ゾーン間の隙間に起因する耐久性低下の問題も生じ得ない。しかも、このガラス板の対向する二つの辺にそれぞれ沿う端部に形成された段落ちによる段差と薄肉部とからなる段付き部は、調理台のトップ部分の被組み込み部に組み付けるためのものであるため、当該端部が単なる垂直な平面で形成される場合と比較して、ガラス板の端部の側方に隙間が生じても液体がガラス板の下面部まで容易に流れ込むことはなく、これにより耐久性の向上が図られる。加えて、このガラス板からなるトッププレートによれば、加熱ゾーンの周囲を取り囲むように非加熱ゾーンが形成されているので、ガラス板の端部は必ず非加熱ゾーンの形成領域となり、したがって加熱ゾーンが高温に加熱された状態にあっても、ガラス板の端部は常に低温に維持される。これにより、このガラス板の端部に接している接着剤やシール部材は、多少の振動や衝撃を受けても加熱ゾーンの熱により劣化もしくは破損することが回避され、ガラス板の端部を上記の如き段付き形状にした事と相俟って、ガラス板の端部の側方に不当な隙間が生じる事態を可及的に抑止することが可能となる。更に、このガラス板の上面は、調理台のトップ面と面一に隣接するものであるため、ガラス板の上面とこれに隣接する調理台のトップ面との間には、段差や凸部が存在しなくなり、上記の如くガラス板の端部の側方に隙間が生じ難くなった事及び加熱ゾーンと非加熱ゾーンとの間に目地等が存在しなくなった事と相俟って、清掃作業の大幅な簡略化が図られる。しかも、このような構造であれば、調理作業中に鍋等の容器が傾いたり或いは引っ掛かる等の不具合が回避される。
【0013】
この場合、前記薄肉部の先端における辺と直角な断面形状は、凸状に湾曲していることが好ましい。
【0014】
このようにすれば、トッププレート単体での搬送時や取り扱い時に最も欠けや割れが発生し易い薄肉部の先端に、角張った部位が存在しなくなるため、当該欠けや割れの発生確率が大幅に低下すると共に、調理台への組み付け後に振動や衝撃がその薄肉部の先端に作用した場合においても欠けや割れの発生を抑止することが可能となる。
【0015】
また、前記薄肉部の先端面は、実質的にロール成形により得られた成形面であることが好ましい。ここで、「実質的に」とは、薄肉部の先端面に多少の研磨処理等が施されることによりその面性状が変化していても、先端面の形状自体はロール成形により得られたままであることを意味する。
【0016】
このようにすれば、薄肉部の先端面の加工が容易化されるばかりでなく、その先端面に角張った部位が存在しない形態とすることができるため、角張った部位が存在しないことによる既述の場合と同様の利点を享受することが可能となる。
【0017】
更に、前記ガラス板は、低膨張の結晶化ガラスからなることが好ましい。ここで、「低膨張」とは、例えば、30〜500℃の温度範囲における線膨張係数が−10〜+30×10-7/℃であることを意味する。
【0018】
このようにすれば、トッププレートの加熱ゾーンが頻繁に加熱及び非加熱状態となっても、長期使用に耐え得ることが可能となる。
【0019】
一方、上記第2の課題を解決するために創案された本発明は、帯状の軟質ガラスリボンを長手方向に送りながら第1ローラの成形領域と第2ローラの成形領域との間で挟持圧接して成形を行う成形工程と、その成形後のガラスリボンを長手方向と直交する方向に切断する切断工程とを有する調理器用トッププレートの製造方法であって、前記第1ローラの成形領域の径を軸方向の全長に亘って同一にし、且つ前記第2ローラの成形領域の少なくとも軸方向一端部にその他の部分よりも大径の大径部を形成しておき、前記成形工程では、前記軟質ガラスリボンの両端面を自由表面とした状態で前記第1ローラの成形領域と前記第2ローラの成形領域との間で前記ガラスリボンの表裏面を挟持圧接することに特徴づけられる。
【0020】
このような製造方法によれば、溶融ガラスをロール成形する過程において、上記の成形工程が実行されることにより、帯状の軟質ガラスリボン、つまり第1、第2ローラによる繰り出し方向に長尺な軟質ガラスの板状体を対象として成形が行われる。そして、第1ローラにより圧接される軟質ガラスリボンの裏面は平面であって、第2ローラにより圧接される軟質ガラスリボンの表面は、大径部の作用によってその幅方向の少なくとも一端部が段落ちし、これにより、軟質ガラスリボンの幅方向の少なくとも一端部に、表面側のみが段落ちしてなる薄肉部が形成される。しかも、第1ローラと第2ローラとが軟質ガラスリボンを挟持圧接する際には、軟質ガラスリボンの両端部は自由表面(第1、第2ローラに接触しない表面)とされるので、上記のガラスリボンにおける薄肉部の端面は、角張った状態にはならず、その薄肉部の先端の繰り出し方向と直角な断面形状は、凸状に湾曲した形態となる。そして、この成形工程が所定時間実行された後に、切断工程が実行されることにより、上記の薄肉部が形成されてなる固化後のガラスリボンが繰り出し方向の所定長さ位置で切断され、これにより矩形のガラス板の少なくとも一つの辺に沿う端部に上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成されたトッププレート(元トッププレート)が得られる。この切断工程では、固化後のガラスリボンの裏面をスクライブして割断することが好ましく、また成形工程を連続して行いつつ、ガラスリボンの所定長さ分(例えば3個のトッププレートに対応する長さ分)だけ成形工程が実行された時点で、切断工程を実行するようにしてもよい。
【0021】
この場合、前記成形工程では、前記第2ローラの成形領域に、前記大径部に連なり且つ軸方向に沿ってその全長に亘って延びる凸条部を形成しておき、前記切断工程では、該成形工程での成形後のガラスリボンにおける前記凸条部による成形部を切断することが好ましい。なお、「凸条部」の軸と直角な断面における径方向外面の輪郭線は、軸を中心とする円であることが好ましく、その径は上述の大径部と同一であることが好ましい。
【0022】
このようにすれば、成形工程を実行することにより、軟質ガラスリボンの幅方向の端部のみならず、該ガラスリボンの繰り出し方向(長手方向)の所定長さ毎に、凸条部の成形作用によって、繰り出し方向と直交する方向の全長に亘って段落ちしてなる薄肉部が形成される。そして、切断工程では、固化後のガラスリボンの薄肉部の繰り出し方向中央部またはその一端部が切断される。これにより、矩形のガラス板の既述の辺とは直交する辺に沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成されたトッププレート(元トッププレート)が得られる。
【0023】
また、前記成形工程では、前記第2ローラの成形領域に、前記大径部を軸方向両端部に形成しておくことが好ましい。
【0024】
このようにすれば、ガラスリボンの幅方向の両端部に、上記と同様に段落ちしてなる薄肉部が形成され、上述のように第2ローラに凸条部を形成したことを加味した場合には、矩形のガラス板の三つの辺または四つの辺にそれぞれ沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成されたトッププレート(元トッププレート)を得ることができる。
【0025】
そして、この製造方法においても、既述の場合と同様の理由で、前記ガラスリボンが、低膨張のガラスからなることが好ましい。なお、「低膨張」については、既に述べた事項と同一である。
【発明の効果】
【0026】
以上のように第1の課題に対応する本発明によれば、調理台のトップ部分に組み付けられるトッププレートとして、不当な隙間を通じて当該トッププレートの下面部まで液体が流れ込むこと及びシール部材の熱による劣化や破損による組み付け部の耐久性の低下を阻止でき、且つ目地等の存在する箇所が多数であることによる清掃作業の煩雑化を回避することが可能となる。
【0027】
また、第2の課題に対応する本発明によれば、適切な形状の端部を有するトッププレートを、簡単且つ迅速に製造することができ、量産化を図る上で極めて有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係るトッププレート及びその製造方法を図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係るトッププレート1を示す斜視図である。同図に示すように、トッププレート1は、矩形のガラス板であって、四つの辺a、b、c、dにそれぞれ沿う端部に、上面側のみを段落ちさせてなる薄肉部2を有している。詳述すると、図2(いずれかの辺と直角な断面図)に示すように、このトッププレート1の下面3は全域が平面であって、その上面側の頂面4も平面であり、段落ちにより頂面4の周縁から直角に垂下する段差5が形成され、段差5の下端に薄肉部2の上面(段落ち面)2aの基端が直角に連なっている。更に、薄肉部2の先端2bは凸状に湾曲しており、詳しくは、薄肉部2の上面2aと下面3とに滑らかに連なる円弧状の湾曲形状とされている。なお、このトッププレート1は、低膨張の結晶化ガラスからなるものである。
【0030】
図3は、調理器本体の上部に位置させたトッププレート1を調理台6のトップ部分6aに組み付けた状態を示している。トッププレート1には、複数(図例では三つ)の加熱ゾーン7と、これら複数の加熱ゾーン7の周囲を取り囲む非加熱ゾーン8とが形成されている。そして、トッププレート1の上面(頂面)4と、これに隣接する調理台6のトップ面6xとは面一とされている。
【0031】
図4は、トッププレート1を調理台6のトップ部分6aにおける被組み込み部に組み付けた状態を示している。トッププレート1は、その端部における段差5と薄肉部2とからなる段付き部が、被組み込み部への組み付け部とされており、詳しくは、段差5が、トッププレート1の上面4に沿う方向(同図では左右方向)への移動を規制する規制面とされ、且つ、薄肉部2の上面2a及び下面3が、トッププレート1の上下方向への移動を規制する規制面とされている。
【0032】
同図に示すトッププレートの組み付け構造を説明すると、調理台6のトップ部分6aの基部材9には開口部10が形成され、その開口部10の上端周縁に形成された嵌め込み用凹部11に、トッププレート1の薄肉部2が嵌め込まれた状態で、その上方の固定部材12により薄肉部2が挟持されている。この場合、嵌め込み用凹部11の底面とトッププレート1(薄肉部2)の下面3との間には、平板状の緩衝材13が介設されると共に、薄肉部2の上面2aと固定部材12の下面との間にも、平板状の緩衝材14が介設され、且つ、トッププレート1の段差5と固定部材12の内周面との間にはシール部材(コーキング材またはパッキン)15が介設されている。そして、トッププレート1の上面(頂面)4と、これに隣接する固定部材12の上面6xとは実質的に面一とされている。
【0033】
図5は、トッププレート1の他の組み付け構造を示すものである。この構造においては、トッププレート1を上述の場合とは上下を逆にして、嵌め込み用凹部11に薄肉部2を嵌め込むと共に、開口部10に段差5を嵌め込み、嵌め込み用凹部11の底面と薄肉部2の上面(同図では下面)2aとの間に平板状の緩衝材16を介設し、且つ、薄肉部2の先端2bと嵌め込み用凹部11の内周面との間にシール部材17を介設したものである。そして、この場合にも、トッププレート1の下面(同図では上面)3と、これに隣接する調理台6のトップ面6xとは実質的に面一とされている。
【0034】
なお、トッププレート1の端部の詳細形状は、上記例示の形状に限定されるわけではなく、図6に示すように、薄肉部2の上面(段落ち面)2aを、外方側に移行するに連れて漸次低くなるように、換言すれば、外方側に移行するに連れて厚みが漸次薄くなるように、傾斜させてもよい。また、図7に示すように、薄肉部2の上面(段落ち面)2aと段差5とを、凹状の湾曲面2c(好ましくは円筒面)を介して滑らかに連ならせるようにしてもよい。
【0035】
以上のような構成を備えたトッププレート1によれば、その端部の段差5と薄肉部2とからなる段付き部が、調理台6の被組み込み部に組み付けるためのものであるため、その端部が単なる垂直な平面で形成される場合と比較して、トッププレート1の端部と調理台6の基部材9(または固定部材12)との間に隙間が生じまたはシール部材15(17)が損傷等しても、水等の液体がトッププレート1の下面部まで容易に侵入することが抑止されて、耐久性の向上が図られる。更に、このトッププレート1によれば、加熱ゾーン7の周囲を取り囲むように非加熱ゾーン8が形成されているので、トッププレート1の端部は必ず非加熱ゾーン8の形成領域となり、したがって加熱ゾーン7が高温に加熱された状態にあっても、トッププレート1の端部は常に低温に維持される。これにより、このトッププレート1の端部に接しているシール部材15(17)は、加熱ゾーン7の熱により劣化または破損することが抑止される。しかも、このトッププレート1の上面4(3)は、調理台6のトップ面6xと面一に隣接しているため、トッププレート1の上面4(3)とこれに隣接する調理台6のトップ面6xとの間には、段差や凸部が存在しなくなり、清掃作業の大幅な簡略化が図られると共に、調理作業中に鍋等の容器が傾いたり或いは引っ掛かる等の不具合が回避される。
【0036】
次に、上記構成からなるトッププレート1の製造方法を説明する。
【0037】
図8は、溶融ガラスから得られた適度な粘度の帯状の軟質ガラスリボン20を下方の第1ローラ21と上方の第2ローラ22とにより挟持圧接して成形を行う成形工程の実施状況を示している。第1ローラ21及び第2ローラ22は、何れも軸方向全長に亘る領域が成形領域とされており、第1ローラ21の径は軸方向全長に亘って同径とされているのに対して、第2ローラ22は、図9にも示すように、軸方向両端部にその中央部側よりも大径の大径部22aが形成されている。更に、第2ローラ22には、両大径部22aに連なり且つ軸方向に直線状に延びると共に両大径部22aと同径とされた単一の凸条部22bが形成されている。この場合、第1ローラ21の外周面と、第2ローラ22の大径部22aの外周面との間には、所定の隙間が設けられている。
【0038】
そして、上記の第1ローラ21と第2ローラ22とで軟質ガラスリボン20を挟持圧接して繰り出していくことにより、図10に示すように、第1ローラ21により圧接される軟質ガラスリボン20の裏面は平面になり、第2ローラ22により圧接される軟質ガラスリボン20の表面は、大径部22aの作用によってその幅方向の両端部が段落ちする。これにより、軟質ガラスリボン20の幅方向の両端部に、表面側のみが段落ちしてなる薄肉部23が形成される。しかも、凸条部22bの作用によって、軟質ガラスリボン20の繰り出し方向(長手方向)の所定長さ毎に、繰り出し方向と直交する方向の全長に亘って段落ちしてなる薄肉部24が形成される。また、第1ローラ21と第2ローラ22とが軟質ガラスリボン20を挟持圧接する際には、軟質ガラスリボン20の両端面20aが自由表面とされるので、その薄肉部23の端面20aは、角張った状態にはならず、凸状に湾曲した形態となる。
【0039】
そして、この成形工程が、軟質ガラスリボン20の所定長さ分(例えば3箇所に凸条部22bによる薄肉部24が形成される長さ分)だけ実行された時点で、同図に符号L1で示す直線に沿って切断を行う切断工程が実行される。この切断工程は、固化後のガラスリボン20の裏面をスクライブして割断することにより行われる。この結果、既述の図1に示すように、四つの辺a、b、c、dにそれぞれ対応して段落ちしてなる薄肉部2が形成されたトッププレート1を得ることができる。なお、上記の切断工程で、図10に符号L2で示す点線の直線に沿って切断をすれば、図11に示すように、三つの辺a、b、cにそれぞれ対応して段落ちしてなる薄肉部2が形成されたトッププレート1を得ることができる。
【0040】
また、上記の成形工程で、第2ローラ22が凸条部22bを有しない構成とすれば、そのような第2ローラ22と第1ローラ21とで軟質ガラスリボン20を挟持圧接して繰り出していくことにより、図12に示すように、両大径部22aの作用によってその幅方向の両端部のみが段落ちしてなる薄肉部25が形成される。そして、切断工程で、固化後のガラスリボン20に対して同図に符号L3で示す直線に沿って切断をすれば、対向する二つの辺にそれぞれ対応して段落ちしてなる薄肉部が形成されたトッププレートを得ることができる。
【0041】
なお、以上の実施形態では、第2ローラ22の周方向の一箇所のみに凸条部22bを形成したが、第2ローラ22の径に応じて、この凸条部22bを周方向の複数箇所に形成するようにしてもよい。
【0042】
また、第2ローラ22には、軸方向の両端部にそれぞれ大径部22aを形成したが、軸方向の一端部にのみ大径部22aを形成するようにしてもよい。
【0043】
更に、以上の実施形態では、トッププレートの全ての段落ちによる薄肉部をロール成形により成形したが、一部の段落ちによる薄肉部については切削加工等により形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートを示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートの要部を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートが組み付けられた調理台を示す斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートの一の組み付け状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートの他の組み付け状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係るトッププレートの要部を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態に係るトッププレートの要部を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートの製造方法における成形工程の実施状況を示す正面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る製造方法における成形工程で使用する第2ローラを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る製造方法における成形工程で得られたガラスリボンを示す斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係る他の製造方法における成形工程及び切断工程で得られたトッププレートを示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係る他の製造方法における成形工程で得られたガラスリボンを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 トッププレート
2 薄肉部
2b 薄肉部の先端
3 ガラス板の下面(またはガラス板の上面)
4 ガラス板の上面(頂面またはガラス板の下面)
5 段差
6 調理台
6a 調理台のトップ部分
6x 調理台のトップ面
7 加熱ゾーン
8 非加熱ゾーン
20 軟質ガラスリボン(または固化したガラスリボン)
21 第1ローラ
22 第2ローラ
22a 大径部
22b 凸条部
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器用トッププレート及びその製造方法に係り、詳しくは、当該調理器用トッププレートの調理台との関連を加味した構造の改良及び当該調理器用トッププレートの製造方法における主として成形工程の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電磁調理器用、赤外線調理器用、ガス調理器用或いはこれらを併用して使用可能な調理器用のトッププレートは、調理器の上部に位置し且つ調理台のトップ部分に組み付けられるものであって、ガラス板からなるのが通例である。この種のトッププレートとしては、加熱ゾーンが独立して形成されるものと、一または複数の加熱ゾーンとその周囲を取り囲む非加熱ゾーンとが一体となって形成されるものとが公知となっている。
【0003】
この種のトッププレートを調理台に組み付ける手法としては、特許文献1に開示されているように、調理台のトップ部分に固定具を用いて当該トッププレートを固定することが一般的とされている。詳述すると、同文献に開示の固定具は、枠状に折曲形成された板材の上端部がトッププレートの上面の周縁部を上方から覆うように構成したものであって、基本的には、この固定具によりトッププレートを調理台のトップ面上に挟持した状態で固定したものである。
【0004】
しかしながら、このような固定具を使用してトッププレートが組み付けられていたのでは、固定具の枠状部の高さに相当する段差が調理器本体のトップ面との間に形成され、或いは固定具を構成する板材の板厚分がトッププレートの上面から突出することになる。そのため、調理作業中に鍋等の容器をトッププレートに対して移動させる際には、上述の段差或いは突出部が邪魔になって、当該容器が傾いたり若しくは引っ掛かる等の不具合を招くと共に、清掃作業が極めて面倒且つ煩雑になり困難化を余儀なくされる。
【0005】
このような問題に対処するものとして、特許文献2には、調理台のトップ面(天板の上面)とトッププレートの上面とを同一高さとし、且つその両者間にシール部材を同一高さとなるように介設することにより、その両者の上面が面一となるようした構成が開示されている。しかしながら、このような構成によれば、トッププレートの端面(辺に沿う端面)が単に垂直な平面であるため、シール部材との接触部分に熱膨張差や経年変化に起因する隙間が生じた場合には、水等の液体がその隙間を通じてトッププレートの下面部に容易に流れ込み、トッププレートが保持枠から剥離するなどして耐久性の低下を招くという難点がある。
【0006】
一方、特許文献3には、加熱ゾーンを形成するプレートの周端部に、下面側を段落ちさせてなる薄肉部を形成し、その段落ちによる段差と薄肉部とからなる段付き部を利用して、調理器の上面部分に当該プレートを組み付けた構成が開示されている。このような構成によれば、当該プレートの周端面が段付き面であるため、その周端面が上述のように単に垂直面である場合と比較して、当該プレートの外周側に隙間が生じても液体がプレートの下面部まで流れ込むことが阻止され、耐久性が改善され得ることが期待できる。
【特許文献1】特開2006−310118号公報
【特許文献2】特開平10−185211号公報
【特許文献3】特開平8−327074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献3に開示のプレートは、円形の加熱ゾーンのみを有するものであって、非加熱ゾーンを形成する矩形の周辺プレートとは別体として構成されたものである。そして、周辺プレートは、加熱ゾーン近辺において極めて大きな熱膨脹と熱収縮とを繰り返し受けることになり且つ振動や衝撃の影響も受けるため、加熱ゾーンのプレートの周端部をいかに段付き部に形成していても、非加熱ゾーンを形成する周辺プレートとの間には不当な大きさの隙間が生じ得ることになる。したがって、液体がその隙間を通じてプレートの下面部に流れ込むことによる耐久性の低下を阻止することは実質的に困難となる。加えて、プレートと周辺プレートとの間に介在している接着剤層やシール部材が、極めて高温状態となるプレートの熱の影響を受け且つ振動や衝撃の影響をも受けて劣化もしくは破損し、両プレート間に許容しがたい隙間が生じ得るため、これによっても液体のプレート下面部への流れ込みに起因する耐久性の低下を阻止することは極めて困難となる。以上の事項を勘案すれば、両プレート間に不当に大きな或いは許容しがたい隙間が形成されるのであれば、液体の流れ込みによる耐久性低下に着目した場合に、プレートの周端部を段付き部としたことに意味がないことになる。
【0008】
しかも、上記のプレートと周辺プレートとの間、及び周辺プレートとこれに隣接する調理台のトップ面との間には、僅かながら接着剤層或いは目地等が存在しているため、この目地等に対して面倒且つ煩雑な清掃作業が必要となる。その場合に、加熱ゾーンから非加熱ゾーンを介して調理台のトップ面に至るまでの領域に対して清掃作業を行うには、目地等が存在している少なくとも2箇所で面倒且つ煩雑な作業を強いられることになり、その労苦が不当に多大になるという問題をも招来する。
【0009】
また、上記のプレートを製造するに際しては、周端部の段付き部を形成するために、切削加工によりその基本形状を形成した後、研磨加工等により仕上げを行うのが通例とされているが、切削加工により周端部の基本形状を形成する工程の存在は、作業能率の面で極めて劣るという結果を招き、量産を図る上で大きな妨げとなる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、調理台のトップ部分に組み付けられるトッププレートとして、不当な隙間を通じて当該トッププレートの下面部まで液体が流れ込むこと及びシール部材の熱による劣化や破損による組み付け部の耐久性の低下を阻止でき、且つ目地等の存在する箇所が多数であることによる清掃作業の煩雑化を回避できるようにすることを第1の課題とする。また、本発明の第2の課題は、調理台のトップ部分に最適な状態で組み付け得る端部形状を備えたトッププレートの製造を、効率よく行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記第1の課題を解決するために創案された本発明は、調理器本体の上部に位置して調理台のトップ部分に組み付けられ且つ一または複数の加熱ゾーンの周囲を取り囲むように非加熱ゾーンが形成されたガラス板からなる調理器用トッププレートにおいて、前記加熱ゾーンと非加熱ゾーンとが単一の矩形のガラス板に形成されてなり、該ガラス板の少なくとも対向する二つの辺にそれぞれ沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成されると共に、前記ガラス板の該段落ちにより形成される段差と前記薄肉部とからなる段付き部が、前記調理台のトップ部分の被組み込み部に組み付けるためのものであり、且つ、前記ガラス板の上面が、組み付け後に少なくとも前記二つの辺に直交する方向に対して前記調理台のトップ面と面一に隣接するものであることに特徴づけられる。ここで、上記の「調理台のトップ部分」とは、調理台の調理面を構成するための各種部材からなる部分を意味する。また、上記の「調理台のトップ面」とは、調理台の調理面としての役割を果たす面のみならず、トッププレートが固定部材を用いて組み付けられる場合には、固定部材の上面を意味し、要するに、この場合の「調理台のトップ面」とは、調理台のトッププレートが組み付けられる部位におけるトッププレートに隣接している最も上の面を意味する。更に、上記の「加熱ゾーン」には、加熱ゾーンが複数存在する場合であって且つ電磁加熱または赤外線加熱とガス加熱が併用される場合には、ガス加熱を行うための貫通孔からなる加熱ゾーンが含まれる。
【0012】
このような構成の調理器用トッププレート(以下、単にトッププレートともいう)によれば、加熱ゾーンと非加熱ゾーンとが単一の矩形のガラス板に形成されているので、加熱ゾーンに大きな温度変化が生じても、非加熱ゾーンとの間に隙間が生じることは有り得ず、したがって両ゾーン間の隙間に起因する耐久性低下の問題も生じ得ない。しかも、このガラス板の対向する二つの辺にそれぞれ沿う端部に形成された段落ちによる段差と薄肉部とからなる段付き部は、調理台のトップ部分の被組み込み部に組み付けるためのものであるため、当該端部が単なる垂直な平面で形成される場合と比較して、ガラス板の端部の側方に隙間が生じても液体がガラス板の下面部まで容易に流れ込むことはなく、これにより耐久性の向上が図られる。加えて、このガラス板からなるトッププレートによれば、加熱ゾーンの周囲を取り囲むように非加熱ゾーンが形成されているので、ガラス板の端部は必ず非加熱ゾーンの形成領域となり、したがって加熱ゾーンが高温に加熱された状態にあっても、ガラス板の端部は常に低温に維持される。これにより、このガラス板の端部に接している接着剤やシール部材は、多少の振動や衝撃を受けても加熱ゾーンの熱により劣化もしくは破損することが回避され、ガラス板の端部を上記の如き段付き形状にした事と相俟って、ガラス板の端部の側方に不当な隙間が生じる事態を可及的に抑止することが可能となる。更に、このガラス板の上面は、調理台のトップ面と面一に隣接するものであるため、ガラス板の上面とこれに隣接する調理台のトップ面との間には、段差や凸部が存在しなくなり、上記の如くガラス板の端部の側方に隙間が生じ難くなった事及び加熱ゾーンと非加熱ゾーンとの間に目地等が存在しなくなった事と相俟って、清掃作業の大幅な簡略化が図られる。しかも、このような構造であれば、調理作業中に鍋等の容器が傾いたり或いは引っ掛かる等の不具合が回避される。
【0013】
この場合、前記薄肉部の先端における辺と直角な断面形状は、凸状に湾曲していることが好ましい。
【0014】
このようにすれば、トッププレート単体での搬送時や取り扱い時に最も欠けや割れが発生し易い薄肉部の先端に、角張った部位が存在しなくなるため、当該欠けや割れの発生確率が大幅に低下すると共に、調理台への組み付け後に振動や衝撃がその薄肉部の先端に作用した場合においても欠けや割れの発生を抑止することが可能となる。
【0015】
また、前記薄肉部の先端面は、実質的にロール成形により得られた成形面であることが好ましい。ここで、「実質的に」とは、薄肉部の先端面に多少の研磨処理等が施されることによりその面性状が変化していても、先端面の形状自体はロール成形により得られたままであることを意味する。
【0016】
このようにすれば、薄肉部の先端面の加工が容易化されるばかりでなく、その先端面に角張った部位が存在しない形態とすることができるため、角張った部位が存在しないことによる既述の場合と同様の利点を享受することが可能となる。
【0017】
更に、前記ガラス板は、低膨張の結晶化ガラスからなることが好ましい。ここで、「低膨張」とは、例えば、30〜500℃の温度範囲における線膨張係数が−10〜+30×10-7/℃であることを意味する。
【0018】
このようにすれば、トッププレートの加熱ゾーンが頻繁に加熱及び非加熱状態となっても、長期使用に耐え得ることが可能となる。
【0019】
一方、上記第2の課題を解決するために創案された本発明は、帯状の軟質ガラスリボンを長手方向に送りながら第1ローラの成形領域と第2ローラの成形領域との間で挟持圧接して成形を行う成形工程と、その成形後のガラスリボンを長手方向と直交する方向に切断する切断工程とを有する調理器用トッププレートの製造方法であって、前記第1ローラの成形領域の径を軸方向の全長に亘って同一にし、且つ前記第2ローラの成形領域の少なくとも軸方向一端部にその他の部分よりも大径の大径部を形成しておき、前記成形工程では、前記軟質ガラスリボンの両端面を自由表面とした状態で前記第1ローラの成形領域と前記第2ローラの成形領域との間で前記ガラスリボンの表裏面を挟持圧接することに特徴づけられる。
【0020】
このような製造方法によれば、溶融ガラスをロール成形する過程において、上記の成形工程が実行されることにより、帯状の軟質ガラスリボン、つまり第1、第2ローラによる繰り出し方向に長尺な軟質ガラスの板状体を対象として成形が行われる。そして、第1ローラにより圧接される軟質ガラスリボンの裏面は平面であって、第2ローラにより圧接される軟質ガラスリボンの表面は、大径部の作用によってその幅方向の少なくとも一端部が段落ちし、これにより、軟質ガラスリボンの幅方向の少なくとも一端部に、表面側のみが段落ちしてなる薄肉部が形成される。しかも、第1ローラと第2ローラとが軟質ガラスリボンを挟持圧接する際には、軟質ガラスリボンの両端部は自由表面(第1、第2ローラに接触しない表面)とされるので、上記のガラスリボンにおける薄肉部の端面は、角張った状態にはならず、その薄肉部の先端の繰り出し方向と直角な断面形状は、凸状に湾曲した形態となる。そして、この成形工程が所定時間実行された後に、切断工程が実行されることにより、上記の薄肉部が形成されてなる固化後のガラスリボンが繰り出し方向の所定長さ位置で切断され、これにより矩形のガラス板の少なくとも一つの辺に沿う端部に上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成されたトッププレート(元トッププレート)が得られる。この切断工程では、固化後のガラスリボンの裏面をスクライブして割断することが好ましく、また成形工程を連続して行いつつ、ガラスリボンの所定長さ分(例えば3個のトッププレートに対応する長さ分)だけ成形工程が実行された時点で、切断工程を実行するようにしてもよい。
【0021】
この場合、前記成形工程では、前記第2ローラの成形領域に、前記大径部に連なり且つ軸方向に沿ってその全長に亘って延びる凸条部を形成しておき、前記切断工程では、該成形工程での成形後のガラスリボンにおける前記凸条部による成形部を切断することが好ましい。なお、「凸条部」の軸と直角な断面における径方向外面の輪郭線は、軸を中心とする円であることが好ましく、その径は上述の大径部と同一であることが好ましい。
【0022】
このようにすれば、成形工程を実行することにより、軟質ガラスリボンの幅方向の端部のみならず、該ガラスリボンの繰り出し方向(長手方向)の所定長さ毎に、凸条部の成形作用によって、繰り出し方向と直交する方向の全長に亘って段落ちしてなる薄肉部が形成される。そして、切断工程では、固化後のガラスリボンの薄肉部の繰り出し方向中央部またはその一端部が切断される。これにより、矩形のガラス板の既述の辺とは直交する辺に沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成されたトッププレート(元トッププレート)が得られる。
【0023】
また、前記成形工程では、前記第2ローラの成形領域に、前記大径部を軸方向両端部に形成しておくことが好ましい。
【0024】
このようにすれば、ガラスリボンの幅方向の両端部に、上記と同様に段落ちしてなる薄肉部が形成され、上述のように第2ローラに凸条部を形成したことを加味した場合には、矩形のガラス板の三つの辺または四つの辺にそれぞれ沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成されたトッププレート(元トッププレート)を得ることができる。
【0025】
そして、この製造方法においても、既述の場合と同様の理由で、前記ガラスリボンが、低膨張のガラスからなることが好ましい。なお、「低膨張」については、既に述べた事項と同一である。
【発明の効果】
【0026】
以上のように第1の課題に対応する本発明によれば、調理台のトップ部分に組み付けられるトッププレートとして、不当な隙間を通じて当該トッププレートの下面部まで液体が流れ込むこと及びシール部材の熱による劣化や破損による組み付け部の耐久性の低下を阻止でき、且つ目地等の存在する箇所が多数であることによる清掃作業の煩雑化を回避することが可能となる。
【0027】
また、第2の課題に対応する本発明によれば、適切な形状の端部を有するトッププレートを、簡単且つ迅速に製造することができ、量産化を図る上で極めて有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係るトッププレート及びその製造方法を図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係るトッププレート1を示す斜視図である。同図に示すように、トッププレート1は、矩形のガラス板であって、四つの辺a、b、c、dにそれぞれ沿う端部に、上面側のみを段落ちさせてなる薄肉部2を有している。詳述すると、図2(いずれかの辺と直角な断面図)に示すように、このトッププレート1の下面3は全域が平面であって、その上面側の頂面4も平面であり、段落ちにより頂面4の周縁から直角に垂下する段差5が形成され、段差5の下端に薄肉部2の上面(段落ち面)2aの基端が直角に連なっている。更に、薄肉部2の先端2bは凸状に湾曲しており、詳しくは、薄肉部2の上面2aと下面3とに滑らかに連なる円弧状の湾曲形状とされている。なお、このトッププレート1は、低膨張の結晶化ガラスからなるものである。
【0030】
図3は、調理器本体の上部に位置させたトッププレート1を調理台6のトップ部分6aに組み付けた状態を示している。トッププレート1には、複数(図例では三つ)の加熱ゾーン7と、これら複数の加熱ゾーン7の周囲を取り囲む非加熱ゾーン8とが形成されている。そして、トッププレート1の上面(頂面)4と、これに隣接する調理台6のトップ面6xとは面一とされている。
【0031】
図4は、トッププレート1を調理台6のトップ部分6aにおける被組み込み部に組み付けた状態を示している。トッププレート1は、その端部における段差5と薄肉部2とからなる段付き部が、被組み込み部への組み付け部とされており、詳しくは、段差5が、トッププレート1の上面4に沿う方向(同図では左右方向)への移動を規制する規制面とされ、且つ、薄肉部2の上面2a及び下面3が、トッププレート1の上下方向への移動を規制する規制面とされている。
【0032】
同図に示すトッププレートの組み付け構造を説明すると、調理台6のトップ部分6aの基部材9には開口部10が形成され、その開口部10の上端周縁に形成された嵌め込み用凹部11に、トッププレート1の薄肉部2が嵌め込まれた状態で、その上方の固定部材12により薄肉部2が挟持されている。この場合、嵌め込み用凹部11の底面とトッププレート1(薄肉部2)の下面3との間には、平板状の緩衝材13が介設されると共に、薄肉部2の上面2aと固定部材12の下面との間にも、平板状の緩衝材14が介設され、且つ、トッププレート1の段差5と固定部材12の内周面との間にはシール部材(コーキング材またはパッキン)15が介設されている。そして、トッププレート1の上面(頂面)4と、これに隣接する固定部材12の上面6xとは実質的に面一とされている。
【0033】
図5は、トッププレート1の他の組み付け構造を示すものである。この構造においては、トッププレート1を上述の場合とは上下を逆にして、嵌め込み用凹部11に薄肉部2を嵌め込むと共に、開口部10に段差5を嵌め込み、嵌め込み用凹部11の底面と薄肉部2の上面(同図では下面)2aとの間に平板状の緩衝材16を介設し、且つ、薄肉部2の先端2bと嵌め込み用凹部11の内周面との間にシール部材17を介設したものである。そして、この場合にも、トッププレート1の下面(同図では上面)3と、これに隣接する調理台6のトップ面6xとは実質的に面一とされている。
【0034】
なお、トッププレート1の端部の詳細形状は、上記例示の形状に限定されるわけではなく、図6に示すように、薄肉部2の上面(段落ち面)2aを、外方側に移行するに連れて漸次低くなるように、換言すれば、外方側に移行するに連れて厚みが漸次薄くなるように、傾斜させてもよい。また、図7に示すように、薄肉部2の上面(段落ち面)2aと段差5とを、凹状の湾曲面2c(好ましくは円筒面)を介して滑らかに連ならせるようにしてもよい。
【0035】
以上のような構成を備えたトッププレート1によれば、その端部の段差5と薄肉部2とからなる段付き部が、調理台6の被組み込み部に組み付けるためのものであるため、その端部が単なる垂直な平面で形成される場合と比較して、トッププレート1の端部と調理台6の基部材9(または固定部材12)との間に隙間が生じまたはシール部材15(17)が損傷等しても、水等の液体がトッププレート1の下面部まで容易に侵入することが抑止されて、耐久性の向上が図られる。更に、このトッププレート1によれば、加熱ゾーン7の周囲を取り囲むように非加熱ゾーン8が形成されているので、トッププレート1の端部は必ず非加熱ゾーン8の形成領域となり、したがって加熱ゾーン7が高温に加熱された状態にあっても、トッププレート1の端部は常に低温に維持される。これにより、このトッププレート1の端部に接しているシール部材15(17)は、加熱ゾーン7の熱により劣化または破損することが抑止される。しかも、このトッププレート1の上面4(3)は、調理台6のトップ面6xと面一に隣接しているため、トッププレート1の上面4(3)とこれに隣接する調理台6のトップ面6xとの間には、段差や凸部が存在しなくなり、清掃作業の大幅な簡略化が図られると共に、調理作業中に鍋等の容器が傾いたり或いは引っ掛かる等の不具合が回避される。
【0036】
次に、上記構成からなるトッププレート1の製造方法を説明する。
【0037】
図8は、溶融ガラスから得られた適度な粘度の帯状の軟質ガラスリボン20を下方の第1ローラ21と上方の第2ローラ22とにより挟持圧接して成形を行う成形工程の実施状況を示している。第1ローラ21及び第2ローラ22は、何れも軸方向全長に亘る領域が成形領域とされており、第1ローラ21の径は軸方向全長に亘って同径とされているのに対して、第2ローラ22は、図9にも示すように、軸方向両端部にその中央部側よりも大径の大径部22aが形成されている。更に、第2ローラ22には、両大径部22aに連なり且つ軸方向に直線状に延びると共に両大径部22aと同径とされた単一の凸条部22bが形成されている。この場合、第1ローラ21の外周面と、第2ローラ22の大径部22aの外周面との間には、所定の隙間が設けられている。
【0038】
そして、上記の第1ローラ21と第2ローラ22とで軟質ガラスリボン20を挟持圧接して繰り出していくことにより、図10に示すように、第1ローラ21により圧接される軟質ガラスリボン20の裏面は平面になり、第2ローラ22により圧接される軟質ガラスリボン20の表面は、大径部22aの作用によってその幅方向の両端部が段落ちする。これにより、軟質ガラスリボン20の幅方向の両端部に、表面側のみが段落ちしてなる薄肉部23が形成される。しかも、凸条部22bの作用によって、軟質ガラスリボン20の繰り出し方向(長手方向)の所定長さ毎に、繰り出し方向と直交する方向の全長に亘って段落ちしてなる薄肉部24が形成される。また、第1ローラ21と第2ローラ22とが軟質ガラスリボン20を挟持圧接する際には、軟質ガラスリボン20の両端面20aが自由表面とされるので、その薄肉部23の端面20aは、角張った状態にはならず、凸状に湾曲した形態となる。
【0039】
そして、この成形工程が、軟質ガラスリボン20の所定長さ分(例えば3箇所に凸条部22bによる薄肉部24が形成される長さ分)だけ実行された時点で、同図に符号L1で示す直線に沿って切断を行う切断工程が実行される。この切断工程は、固化後のガラスリボン20の裏面をスクライブして割断することにより行われる。この結果、既述の図1に示すように、四つの辺a、b、c、dにそれぞれ対応して段落ちしてなる薄肉部2が形成されたトッププレート1を得ることができる。なお、上記の切断工程で、図10に符号L2で示す点線の直線に沿って切断をすれば、図11に示すように、三つの辺a、b、cにそれぞれ対応して段落ちしてなる薄肉部2が形成されたトッププレート1を得ることができる。
【0040】
また、上記の成形工程で、第2ローラ22が凸条部22bを有しない構成とすれば、そのような第2ローラ22と第1ローラ21とで軟質ガラスリボン20を挟持圧接して繰り出していくことにより、図12に示すように、両大径部22aの作用によってその幅方向の両端部のみが段落ちしてなる薄肉部25が形成される。そして、切断工程で、固化後のガラスリボン20に対して同図に符号L3で示す直線に沿って切断をすれば、対向する二つの辺にそれぞれ対応して段落ちしてなる薄肉部が形成されたトッププレートを得ることができる。
【0041】
なお、以上の実施形態では、第2ローラ22の周方向の一箇所のみに凸条部22bを形成したが、第2ローラ22の径に応じて、この凸条部22bを周方向の複数箇所に形成するようにしてもよい。
【0042】
また、第2ローラ22には、軸方向の両端部にそれぞれ大径部22aを形成したが、軸方向の一端部にのみ大径部22aを形成するようにしてもよい。
【0043】
更に、以上の実施形態では、トッププレートの全ての段落ちによる薄肉部をロール成形により成形したが、一部の段落ちによる薄肉部については切削加工等により形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートを示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートの要部を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートが組み付けられた調理台を示す斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートの一の組み付け状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートの他の組み付け状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係るトッププレートの要部を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態に係るトッププレートの要部を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第一の実施形態に係るトッププレートの製造方法における成形工程の実施状況を示す正面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る製造方法における成形工程で使用する第2ローラを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る製造方法における成形工程で得られたガラスリボンを示す斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係る他の製造方法における成形工程及び切断工程で得られたトッププレートを示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係る他の製造方法における成形工程で得られたガラスリボンを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 トッププレート
2 薄肉部
2b 薄肉部の先端
3 ガラス板の下面(またはガラス板の上面)
4 ガラス板の上面(頂面またはガラス板の下面)
5 段差
6 調理台
6a 調理台のトップ部分
6x 調理台のトップ面
7 加熱ゾーン
8 非加熱ゾーン
20 軟質ガラスリボン(または固化したガラスリボン)
21 第1ローラ
22 第2ローラ
22a 大径部
22b 凸条部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器本体の上部に位置して調理台のトップ部分に組み付けられ且つ一または複数の加熱ゾーンの周囲を取り囲むように非加熱ゾーンが形成されたガラス板からなる調理器用トッププレートにおいて、
前記加熱ゾーンと非加熱ゾーンとが単一の矩形のガラス板に形成されてなり、該ガラス板の少なくとも対向する二つの辺にそれぞれ沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成されると共に、前記ガラス板の該段落ちにより形成される段差と前記薄肉部とからなる段付き部が、前記調理台のトップ部分の被組み込み部に組み付けるためのものであり、且つ、前記ガラス板の上面が、組み付け後に少なくとも前記二つの辺に直交する方向に対して前記調理台のトップ面と面一に隣接するものであることを特徴とする調理器用トッププレート。
【請求項2】
前記薄肉部の先端における辺と直角な断面形状が、凸状に湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の調理器用トッププレート。
【請求項3】
前記薄肉部の先端面が、実質的にロール成形により得られた成形面であることを特徴とする請求項1または2に記載の調理器用トッププレート。
【請求項4】
前記ガラス板が、低膨張の結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の調理器用トッププレート。
【請求項5】
帯状の軟質ガラスリボンを長手方向に送りながら第1ローラの成形領域と第2ローラの成形領域との間で挟持圧接して成形を行う成形工程と、その成形後のガラスリボンを長手方向と直交する方向に切断する切断工程とを有する調理器用トッププレートの製造方法であって、
前記第1ローラの成形領域の径を軸方向の全長に亘って同一にし、且つ前記第2ローラの成形領域の少なくとも軸方向一端部にその他の部分よりも大径の大径部を形成しておき、前記成形工程では、前記軟質ガラスリボンの両端面を自由表面とした状態で前記第1ローラの成形領域と前記第2ローラの成形領域との間で前記ガラスリボンの表裏面を挟持圧接することを特徴とする調理器用トッププレートの製造方法。
【請求項6】
前記成形工程では、前記第2ローラの成形領域に、前記大径部に連なり且つ軸方向に沿ってその全長に亘って延びる凸条部を形成しておき、前記切断工程では、該成形工程での成形後のガラスリボンにおける前記凸条部による成形部を切断することを特徴とする請求項5に記載の調理器用トッププレートの製造方法。
【請求項7】
前記成形工程では、前記第2ローラの成形領域に、前記大径部を軸方向両端部に形成しておくことを特徴とする請求項5または6に記載の調理器用トッププレートの製造方法。
【請求項8】
前記成形工程と前記切断工程とを実行することにより、矩形のガラス板の少なくとも対向する二つの辺にそれぞれ沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成された元トッププレートを得ることを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の調理器用トッププレートの製造方法。
【請求項9】
前記ガラスリボンが、低膨張の結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項5〜8の何れかに記載の調理器用トッププレートの製造方法。
【請求項1】
調理器本体の上部に位置して調理台のトップ部分に組み付けられ且つ一または複数の加熱ゾーンの周囲を取り囲むように非加熱ゾーンが形成されたガラス板からなる調理器用トッププレートにおいて、
前記加熱ゾーンと非加熱ゾーンとが単一の矩形のガラス板に形成されてなり、該ガラス板の少なくとも対向する二つの辺にそれぞれ沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成されると共に、前記ガラス板の該段落ちにより形成される段差と前記薄肉部とからなる段付き部が、前記調理台のトップ部分の被組み込み部に組み付けるためのものであり、且つ、前記ガラス板の上面が、組み付け後に少なくとも前記二つの辺に直交する方向に対して前記調理台のトップ面と面一に隣接するものであることを特徴とする調理器用トッププレート。
【請求項2】
前記薄肉部の先端における辺と直角な断面形状が、凸状に湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の調理器用トッププレート。
【請求項3】
前記薄肉部の先端面が、実質的にロール成形により得られた成形面であることを特徴とする請求項1または2に記載の調理器用トッププレート。
【請求項4】
前記ガラス板が、低膨張の結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の調理器用トッププレート。
【請求項5】
帯状の軟質ガラスリボンを長手方向に送りながら第1ローラの成形領域と第2ローラの成形領域との間で挟持圧接して成形を行う成形工程と、その成形後のガラスリボンを長手方向と直交する方向に切断する切断工程とを有する調理器用トッププレートの製造方法であって、
前記第1ローラの成形領域の径を軸方向の全長に亘って同一にし、且つ前記第2ローラの成形領域の少なくとも軸方向一端部にその他の部分よりも大径の大径部を形成しておき、前記成形工程では、前記軟質ガラスリボンの両端面を自由表面とした状態で前記第1ローラの成形領域と前記第2ローラの成形領域との間で前記ガラスリボンの表裏面を挟持圧接することを特徴とする調理器用トッププレートの製造方法。
【請求項6】
前記成形工程では、前記第2ローラの成形領域に、前記大径部に連なり且つ軸方向に沿ってその全長に亘って延びる凸条部を形成しておき、前記切断工程では、該成形工程での成形後のガラスリボンにおける前記凸条部による成形部を切断することを特徴とする請求項5に記載の調理器用トッププレートの製造方法。
【請求項7】
前記成形工程では、前記第2ローラの成形領域に、前記大径部を軸方向両端部に形成しておくことを特徴とする請求項5または6に記載の調理器用トッププレートの製造方法。
【請求項8】
前記成形工程と前記切断工程とを実行することにより、矩形のガラス板の少なくとも対向する二つの辺にそれぞれ沿う端部に、上面側と下面側とのいずれか一方のみが段落ちしてなる薄肉部が形成された元トッププレートを得ることを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の調理器用トッププレートの製造方法。
【請求項9】
前記ガラスリボンが、低膨張の結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項5〜8の何れかに記載の調理器用トッププレートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−150604(P2009−150604A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329132(P2007−329132)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]