説明

調理用受け具の成形型および調理用受け具の製造方法。

【課題】調理用受け具に複数設けた山折、谷折できる折り目を鋭角に折り曲げる事ができ、より多くの焼き汁を収容できる容量の深さを備えることができ、様々な材質や厚みのものでも成形可能で、製造工程で摩擦や圧力により調理用受け具に穴空きの無い、調理用受け具の成形型および調理用受け具の製造方法を提供する。
【解決手段】上型は、山折できる上型山折部と、谷折できる上型谷折部とを交互に折り曲げ方向に連続して備えてストッパーを構成し、下型は、山折できる下型山折部と谷折できる下型谷折部とを交互に折り曲げ方向に連続して有した底部と、前記下型山折部の延長線上にある側壁山折部と、前記下型谷折部の延長線上にある側壁谷折部とを有した下型側壁部とを備えて、複数の、抜き穴と側壁つなぎ部と側壁圧着部とを構成し、アルミ箔等の薄板を重ねて、前記上型と前記下型の折り曲げに沿って前記薄板を折り曲げてプレスして、調理用受け具を成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリルやオーブン内に配置し、肉や魚を焼いた時に出る焼き汁を収容でき、従来備わっている焼き網や受け皿、壁面を汚さずに調理できるように図った、焼き網と受け皿一体型の調理用受け具の成形型と調理用受け具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、アルミ箔を、凸部と凹部を設けた棒状のローラーを回転異動させながら成形するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、紙やアルミ箔などに接着樹脂シートを介装して重ね合わせ、複数の積層されたシート材からなるものをプレス成形するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−286948号公報(段落0006〜0009、図1)
【特許文献2】特開平09−290817号広報(段落0009〜00013、図10〜12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に示す従来技術は、一枚のアルミ箔の上を、凸部と凹部を設けたローラーを回転移動させながらプレス成形する為、凸部と凹部によって成形されるアルミ箔の折曲げの角度は、鋭角にプレスできない。
よって、成形してできるアルミ箔の成形品の上に食品を載せた時、食品を支える成形品の強度が低い。
また、プレス時の凸部や凹部の摩擦や圧力によって、アルミ箔に穴が空きやすい為、焼き汁を収容できる凹部を深くできず、また、厚いアルミ箔でないと作れない。
【0005】
次に特許文献2に示す従来技術は、プレス成形してできる成形品の深さが深いものや、折れ曲がりの角度がより鋭角になるほど、プレスした際の摩擦や圧力で、容器に穴が空きやすいという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点を解決しようとするもので、本発明によって成形される調理用受け具は、複数設けている山折、谷折できる折り目を鋭角に折り曲げる事ができ、従来品と比べてより多くの焼き汁を収容できる容量の深さを備えることができ、また様々な材質や厚みのものでも成形する事ができ、また製造工程における摩擦や圧力によって調理用受け具に穴空きの無い、調理用受け具の成形型および調理用受け具の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上から成形する上型と、下から成形する下型を有した成形型において、
前記上型は、山折できる上型山折部と、谷折できる上型谷折部とを交互に折り曲げ方向に連続して備えており、
前記下型は、底部と、前記底部の両端に配置される下型側壁部とを備えており、
前記底部は、山折できる下型山折部と、谷折できる下型谷折部とを交互に折り曲げ方向に連続して有し、
前記下型側壁部は、前記下型山折部の延長線上にある側壁山折部と、前記下型谷折部の延長線上にある側壁谷折部とを有する調理用受け具の成形型を提供する事により、上記課題を解決したものである。
【0008】
また、前記下型は、前記底部と前記下型側壁部の間に形成される複数の抜き穴と、前記複数の抜き穴の間に配置されて、前記底部と前記下型側壁部とをつなぐ側壁つなぎ部とを有する構成をしたものである。
【0009】
また、前記下型の前記下型側壁部は、前記側壁山折部の延長線上であって、前記底部側に形成される谷折できる圧着部用谷折部と、
前記側壁山折部と前記圧着部用谷折部の境界から分岐して形成される一対の山折できる圧着部用山折部とを有し、
前記圧着部用谷折部及び前記圧着部用山折部からなる側壁圧着部を構成したものである。
【0010】
また、前記上型は、前記上型山折部又は前記上型谷折部の折り目に沿った方向の両端付近に、前記下型の前記下型側壁部を受け止めるストッパーを形成する構成をしたものである。
【0011】
また、前記上型谷折部の長さは、前記下型山折部の長さより短い構成をしたものである。
【0012】
また、その製造方法は、
上から成形する前記上型と、下から成形する前記下型を有し、
前記上型は、山折できる前記上型山折部と、谷折できる前記上型谷折部とを交互に折り曲げ方向に連続して備えており、前記下型は、前記底部と、前記底部の両端に配置される前記下型側壁部とを備えており、前記底部は、山折できる前記下型山折部と、谷折できる前記下型谷折部とを交互に折り曲げ方向に連続して有し、前記下型側壁部は、前記下型山折部の延長線上にある前記側壁山折部と、前記下型谷折部の延長線上にある前記側壁谷折部とを有する前記調理用受け具の成形型において、
前記下型と前記上型の間に一枚のアルミ箔等の薄板を重ねて、前記上型山折部が前記薄板を押さえる工程と、前記下型谷折部で前記薄板を受け、前記上型と前記下型の折り曲げに沿って前記薄板を折り曲げてプレスする工程と、前記薄板の薄板側壁部を形成する工程からなる事を特徴とする。
【0013】
また、前記側壁圧着部を、前記下型山折部の上の一部にかかるように折重ねて圧着する工程からなる事を特徴とする製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の成形型と、折り曲げてプレスする製造方法により、アルミ箔等の薄板をプレスしても、前記薄板を成形してできる調理用受け具は、複数設けたそれぞれの折り曲げ部を、鋭角に折り曲げることができるようになった。
よって、前記調理用受け具の底部に食品を載せた時の食品を支える強度は、複数設けたそれぞれの折り曲げ部を鋭角に折曲げない場合と比べて、より高いものを製造できるようになった。
【0015】
また、前記薄板が、摩擦や圧力を受け安い部分の下型に、前記薄板にかかる摩擦や圧力を逃がす為の抜き穴を設けた事から、製造工程における前記薄板に摩擦や圧力による穴が空きにくくなった。よって、より多くの焼き汁を収容できる容量の深さの前記調理用受け具にも対応できるようになった。さらには、薄い板でも成形できる為、成形できる前記薄板の厚みや材質の種類が広がった。
【0016】
また、側壁つなぎ部は、前記側壁つなぎ部上に設けた谷折できる側壁立上げ部を折り曲げる際に、前記側壁立上げ部の折り曲げに連動してゆるやかに折れ曲がって柔軟に動く事から、側壁圧着部は、上型と前記下型を重ねた時の上型谷折部の長さが下型山折部の長さよりも短い部分の前記下型山折部上付近に重ねてプレスできるように設計している。
よって、前記側壁圧着部に重なる前記薄板と前記下型山折部の一部に重なる前記薄板とが、二重に折り重なってプレスされることから、前記側壁立上げ部の折り曲げ角度が固定され、下型側壁部の型に沿って成形される前記薄板の薄板側壁部は、前記調理用受け具の外側へ容易に倒れない。さらには、前記薄板側壁部の折り曲げにしわが入りにくく、型に沿って仕上がる。
【0017】
次に、前記上型の、前記上型山折部又は前記上型谷折部の折り目に沿った方向の両端付近に設けた、前記下型側壁部を受け止めるストッパーは、前記側壁立上げ部の折り曲げ角度を規制する。
また、前記ストッパーは、前記下型側壁部により成形する前記薄板側壁部が、前記上型山折部や前記上型谷折部へ食い込む事を阻止する役割を果たす為、製造工程において、成形した前記調理用受け具から前記上型を容易に取り外す事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態である、上型と下型に調理用受け具が重なっている状態を示す斜視図。
【図2】本発明の下型の展開図。
【図3】本発明の上型の斜視図。
【図4】本発明の上型のストッパーを示す側面図。
【図5】図3のD−Dの断面図。
【図6】上型、薄板、下型の重ねる前の斜視図。
【図7】図12の(1)の、(1)E−Eの断面図と、(2)F−Fの断面図。
【図8】図1の(1)A−Aの断面図と、(2)B−Bの断面図。
【図9】図1のC−Cの断面図。
【図10】調理用受け具に食材を載せた時の斜視図。
【図11】上型、薄板、下型の重ねる前の斜視図。
【図12】本発明の製造方法を示す上型、薄板、下型の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明の、上から成形する上型11と下から成形する下型13の間に、図6に示す薄板12を成形した調理用受け具14が重なっている状態を示している。
上型11は、図3に示す山折した上型山折部15と、谷折した上型谷折部16とを交互に折り曲げ方向に連続して備えている。山折、谷折できる折り目は、展開したり折りたたんだりと、折曲げ角度を自在に変更する事ができる。
【0021】
図1の下型13は、図2に示す、底部33と、底部33の両端に配置される下型側壁部21とを備えており、底部33は、図2に示す、下型山折部7を山折し、下型谷折部6を谷折し、これを交互に折曲げ方向に連続して有している。底部33の引出線は、下型山折部7と下型谷折部6の一部を指示している。
【0022】
図1に示す下型側壁部21は、図2に示す、下型山折部7又は下型谷折部6の折り目に沿った方向の、底部33の両端に配置されて、下型山折部7の延長線上にある側壁山折部1を山折し、下型谷折部6の延長線上にある側壁谷折部2を谷折したものを有している。
また、下型山折部7又は下型谷折部6の折り曲げ方向における下型13の両端に下型前壁部22と下型後壁部23とを備えている。山折、谷折できる折り目は、展開したり折りたたんだりと、折曲げ角度を自在に変更する事ができる。
【0023】
図1に示す下型側壁部21は、図2に示す、側壁山折部1と、側壁谷折部2と、圧着部用山折部1aと、圧着部用谷折部2aと、圧着部用山折部1aと圧着部用谷折部2aからなる側壁圧着部17と、薄板押上げ部10とで構成される。
【0024】
図2は本発明の下型13の展開図である。
【0025】
図2に示す抜き穴4は、下型側壁部21と底部33の間、かつ、隣り合う2つの側壁つなぎ部3の間に、同じ位置関係に複数設けている。
【0026】
図2に示す、複数の抜き穴4の間に配置された、底部33と下型側壁部21とをつなぐつなぎ部3は、下型谷折部6と側壁谷折部2の接する位置を含み、抜き穴4に接した所定の一帯で、同じ位置関係に複数設けている。
側壁立上げ部32を谷折する際、側壁つなぎ部3は、側壁立上げ部32の折り曲げに連動して柔軟に動き、ゆるやかに折れ曲がる。
【0027】
図2に示す、谷折できる側壁立上げ部32は、側壁つなぎ部3上の下型谷折部6と側壁谷折部2の境界に交差し、この側壁つなぎ部3の接している抜き穴4に接して、同じ位置関係に複数設けている。
【0028】
図2に示す側壁圧着部17は、側壁山折部1の延長線上の底部33側に形成される谷折できる圧着部用谷折部2aと、側壁山折部1と圧着部用谷折部2aの境界から分岐して形成される一対の山折できる圧着部用山折部1aからなり、抜き穴4に接して位置する三角状の面であり、同じ位置関係に複数設けている。
【0029】
図2に示す薄板押上げ部10は、側壁山折部1と圧着部用谷折部2aの境界に位置して、同じ位置関係に複数設けている。
【0030】
図2に示すように、下型谷折部6と下型山折部7の折り曲げ方向における、下型13の最も両端から最も近い下型谷折部6と側壁谷折部2までを、下型前壁部22と下型後壁部23とする。
【0031】
次に図2に示す下型13を立体化する。下型13となる樹脂や金属、木等でできた板状のものを使用して、谷折できる複数設けた、下型谷折部6と側壁谷折部2と圧着部用谷折部2aを谷折する。次に山折できる複数設けた、下型山折部7と側壁山折部1と圧着部用山折部1aを山折する。
【0032】
図2に示すように、下型前壁部22と下型後壁部23に接する側壁立上げ部32付近より放射状に延びる、下型前壁部22と下型後壁部23上に設けた、山折できる隅山折部8を山折し、谷折できる隅谷折部9を谷折する。このように成形したものが、図6に示す下型13の形状になる。
【0033】
次に、図2に示すように、下型側壁部21を構成する部分である、側壁山折部1と圧着部用山折部1aと側壁谷折部2と圧着部用谷折部2aを、垂直方向に持ち上げながら、薄板押上げ部10を、この薄板押上げ部10と接している側壁山折部1の延長線上にある下型山折部7の上方向へ移動させると、側壁圧着部17は、下型山折部7の上の一部に重なり、そのまま圧着すると、図1に示す、下型側壁部21を成形し立体化した下型13の形状になる。山折、谷折できる折り目は、展開したり折りたたんだりと、折曲げ角度を自在に変更する事ができる。
【0034】
図3は本発明の、上型11を示す斜視図である。図3、図4に示すように、上型11となる樹脂や金属、木等でできた板状のものを使用して、山折できる上型山折部15を山折し、谷折できる上型谷折部16を谷折し、これを交互に折り曲げ方向に連続して行い立体化したものである。山折、谷折できる折り目は、展開したり折りたたんだりと、折曲げ角度を自在に変更する事ができる。
【0035】
図3に示すように、上型山折部15と上型谷折部16の折り曲げ方向における上型11の最も両端から最も近い上型山折部15までを上型前壁部24と上型後壁部25とする。
【0036】
図3、図4、図5に示すようにストッパー5は、各々の上型山折部15と上型谷折部16の折り目に沿った方向の両端の一部を隆起させたものである。
ストッパー5は、図2に示す、下型13を立体化する時の下型側壁部21を受け止めて、側壁立上げ部32の折り曲げ角度を規制する。また、ストッパー5は、図8に示す、下型側壁部21によって成形される薄板12の薄板側壁部20が、上型山折部15や上型谷折部16へ食い込む事を阻止する役割を果たす。
【0037】
図9に示すように、各々の上型山折部15は各々の下型谷折部6と、また、各々の上型谷折部16は各々の下型山折部7に重なる形状をしている。図7の(2)と図8の(2)に示すように、各々の上型谷折部16の長さは、下型13の各々の下型山折部7の長さより短い。
【0038】
図6は本発明の、上型11と下型13の間に薄板12を重ねる前の斜視図である。下型13は、図2に示す、側壁山折部1、圧着部用山折部1a、側壁谷折部2、圧着部用谷折部2a、下型谷折部6、下型山折部7、隅山折部8、隅谷折部9を、角度をゆるやかに折り曲げた時の形状を示している。
【0039】
図7は、図12の(1)に示す、下型13と上型11の間に、薄板12を重ねてプレスした時のE−Eの断面図(1)とF−Fの断面図(2)であり、上型山折部15が薄板12を押さえて下型谷折部6で薄板12を受け、また上型谷折部16が薄板12を押さえて下型山折部7で薄板12を受ける形状を示している。
【0040】
図7の下型13は、図2に示す、下型谷折部6と側壁谷折部2と圧着部用谷折部2aを谷折し、下型山折部7と側壁山折部1と圧着部用山折部1aを山折したものを示している。
図7に示すとおり、下型13と上型11によってプレスされた薄板12は、下型山折部7と下型谷折部6に沿って折れ曲がり、上型11から外に出て下型13に重なっている薄板12は、下型13の側壁谷折部2と側壁山折部1に沿って折れ曲がる。
【0041】
図8は、図1に示す、下型13と上型11の間に、薄板12(調理用受け具14)が重なっている状態のA−Aの断面図(1)とB−Bの断面図(2)である。図8の(1)、(2)に示す下型13は、図7に示した下型13の折り曲げからさらに、図2に示す、側壁立上げ部32を谷折して、側壁山折部1と圧着部用山折部1aと側壁谷折部2と圧着部用谷折部2aを、薄板12と共に垂直方向に持ち上げながら、薄板押上げ部10を、この薄板押上げ部10と接している側壁山折部1の延長線上にある下型山折部7の上に重なるストッパー5まで移動させると、側壁圧着部17は下型山折部7の上の一部に重なる。そのまま側壁圧着部17を下型山折部7に圧着して、下型側壁部21を成形したものである。
【0042】
図8の(1)、(2)の薄板12は、下型13に沿って薄板12も折れ曲がり、薄板側壁部20を成形したものを示している。薄板側壁部20を成形する際は、抜き穴4上付近に重なる薄板12にかかる圧力や摩擦を、抜き穴4から逃がして、薄板12に穴空きの無いように成形する。図8の(2)に示すように、側壁圧着部17に重なる薄板12は、上型谷折部16の長さよりも、下型山折部7の長さが長い部分の下型山折部7付近に重なっている薄板12の上に二重に重なって圧着される。
【0043】
下型山折部7と上型谷折部16は同じ長さでも成形できるが、
下型山折部7よりも上型谷折部16の長さが短かいほうが、側壁圧着部17上の薄板12を下型山折部7の上付近の薄板12に重ねて圧着する事ができる為、側壁立上げ部32の折り曲げ角度が固定され、成形された薄板側壁部20は、図1に示す調理用受け具14の外側へ容易に倒れない。さらには、薄板側壁部20の折り曲げにしわが入りにくく、型に沿って仕上がる。
【0044】
図9は、図1のC−Cの断面図であり、下から下型13、薄板12、上型11の順で重なっているものを示している。
【0045】
図10は、薄板12を本発明によってプレス成型した、調理用受け具14を示している。
【0046】
図11に示す上型26は、図3に示す上型11に、図1、図2、図8に示す下型側壁部21を構成する部分と抜き穴4と側壁つなぎ部3と側壁立上げ部32を付け加えたものであり、下型13とほぼ同様の形状をしている。図3に示す上型11でも成形できるが、図11に示す上型26でも同様に調理用受け具14を成形できる。上型26を使って成形するほうが、薄板側壁部20は、より、しわにならず型に沿って成形する事ができる。
【0047】
図12は本発明の、下型13と上型11の間に薄板12を重ねて成形する時の製造方法を示す斜視図である。図12の(1)に示す通り、図6に示す下型13の折り曲げをしたものの上に、一枚のアルミ箔等の薄板12を重ね、その上に図3に示す上型11を重ねてプレスしたものである。図7に示す通り、薄板12は、下型山折部7と下型谷折部6に沿って折れ曲がり、上型11から外に出て下型13に重なっている薄板12は、下型13の側壁谷折部2と側壁山折部1に沿って折れ曲がる。
【0048】
次に、図12の(1)に示す、矢印27の方向へ力を加えると、複数山折、谷折したそれぞれの折り目がさらに折れ曲がり、次に、図2に示す、側壁立上げ部32を谷折して、図12の(1)と(2)に示す矢印28の方向へ、下型側壁部21を構成する部分に力を加えて、図8の(2)に示すように薄板押上げ部10をストッパー5まで移動させる。
次に、図12の(2)に示す矢印29の方向へ、下型側壁部21を構成する部分に力を加えると、図8の(2)に示すように、側壁圧着部17に重なる薄板12と、下型山折部7の一部に重なる薄板12とが二重に重なって圧着され、下型側壁部21と薄板側壁部20を成形すると、図12の(2)に示す形状になる。
【0049】
次に、図12の(2)に示す、矢印30の方向に力を加えると、複数山折、谷折したそれぞれの折り目がさらに折れ曲がり、図12の(3)に示す通り、下型13と上型11と薄板12の全体が収縮してプレスされる。
【0050】
次に、図12の(3)に示す、矢印31の方向に力を加えて、複数山折、谷折したそれぞれの折り目を広げ、再び図12の(2)の形状に戻して、成形された薄板12(調理用受け具14)から、上型11と下型13を取り外し安い状態にする。この成形された薄板12から上型11と下型13を外すと、図10に示す調理用受け具14の形状になる。
【0051】
図12の(1)において、山折、谷折をしていない平な状態の上型11と下型13の間に、薄板12を挟んでから、上記のように折曲げてプレス成形しても、同様に調理用受け具14を成形することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
上述の発明は、アルミ箔や不燃紙等の薄板を、折り紙のように折曲げて成形できる容器などの受け具の成形に利用可能である。一例として、成形した調理用受け具は、グリルやオーブン内に配置し、図10に示すように、下型山折部7で成形された薄板の山折の折り目部分に、肉や魚等の食材55を載せて使用すると、肉や魚を焼いた時に出る焼き汁を収容でき、従来備わっている焼き網や受け具、壁面を汚さずに調理できるように図った、焼き網と受け皿一体型の調理用受け具として利用可能である。また、本発明によって成形した調理用受け具は、側壁谷折部から熱や蒸気を逃がしたり取り込んだり出来る為、揚げ物の油切りとして使用すれば、軽くおいしく仕上がるし、蒸し器としても使用できる。オーブンでチキン等を焼く時に使用すれば、余分な油分や水分を谷折部に収容する為、こんがりとヘルシーに仕上がる。また、焼き網と受け皿一体型の、液体を収容可能な形状であることから、調理用以外でも、石鹸置き等の、個体を乾燥させたり、個体から出る液体を収容する必要があるもの等に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 側壁山折部
2 側壁谷折部
1a 圧着部用山折部
2a 圧着部用谷折部
3 側壁つなぎ部
4 抜き穴
5 ストッパー
6 下型谷折部
7 下型山折部
8 隅山折部
9 隅谷折部
10 薄板押上げ部
11 上型
12 薄板
13 下型
14 調理用受け具
15 上型山折部
16 上型谷折部
17 側壁圧着部
20 薄板側壁部
21 下型側壁部
22 下型前壁部
23 下型後壁部
24 上型前壁部
25 上型後壁部
26 上型
27 矢印
28 矢印
29 矢印
30 矢印
31 矢印
32 側壁立上げ部
33 底部
55 食材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上から成形する上型と、下から成形する下型を有し、
前記上型は、山折できる上型山折部と、谷折できる上型谷折部とを交互に折り曲げ方向に連続して備えており、
前記下型は、底部と、前記底部の両端に配置される下型側壁部とを備えており、
前記底部は、山折できる下型山折部と、谷折できる下型谷折部とを交互に折り曲げ方向に連続して有し、
前記下型側壁部は、前記下型山折部の延長線上にある側壁山折部と、前記下型谷折部の延長線上にある側壁谷折部とを有することを特徴とする調理用受け具の成形型。
【請求項2】
前記下型は、前記底部と前記下型側壁部の間に形成される複数の抜き穴と、前記複数の抜き穴の間に配置されて、前記底部と前記下型側壁部とをつなぐ側壁つなぎ部とを有することを特徴とする請求項1に記載の調理用受け具の成形型。
【請求項3】
前記下型の前記下型側壁部は、前記側壁山折部の延長線上であって、前記底部側に形成される谷折できる圧着部用谷折部と、
前記側壁山折部と前記圧着部用谷折部の境界から分岐して形成される一対の山折できる圧着部用山折部とを有し、
前記圧着部用谷折部及び前記圧着部用山折部からなる側壁圧着部を構成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の調理用受け具の成形型。
【請求項4】
前記上型は、前記上型山折部又は前記上型谷折部の折り目に沿った方向の両端付近に、前記下型の前記下型側壁部を受け止めるストッパーを形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調理用受け具の成形型。
【請求項5】
前記上型谷折部の長さは、前記下型山折部の長さより短いことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調理用受け具の成形型。
【請求項6】
上から成形する前記上型と、下から成形する前記下型を有し、
前記上型は、山折できる前記上型山折部と、谷折できる前記上型谷折部とを交互に折り曲げ方向に連続して備えており、
前記下型は、前記底部と、前記底部の両端に配置される前記下型側壁部とを備えており、
前記底部は、山折できる前記下型山折部と、谷折できる前記下型谷折部とを交互に折り曲げ方向に連続して有し、
前記下型側壁部は、前記下型山折部の延長線上にある前記側壁山折部と、前記下型谷折部の延長線上にある前記側壁谷折部とを有する前記調理用受け具の成形型において、
前記下型と前記上型の間に薄板を重ねて、前記上型山折部が前記薄板を押さえる工程と、前記下型谷折部で前記薄板を受け、前記上型と前記下型の折り曲げに沿って前記薄板を折り曲げてプレスする工程と、前記薄板の薄板側壁部を形成する工程からなる事を特徴とする調理用受け具の製造方法。
【請求項7】
前記側壁圧着部を、前記下型山折部の上の一部にかかるように折重ねて圧着する工程を特徴とする請求項6に記載の調理用受け具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−43188(P2013−43188A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181378(P2011−181378)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【特許番号】特許第4933675号(P4933675)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(506303638)
【Fターム(参考)】