説明

警報器および警報システム

【課題】防犯警報器以外の警報器を利用して防犯警報機能を低コストで付加できる警報器および警報システムを提供すること。
【解決手段】電源投入時に判別手段17で、外部出力端子16a,16bにしきい値を超える検出電圧が現れていると判別された場合は警報音選択手段22が第2の警報音信号(火災連動警報音)を選択し、外部出力端子にしきい値以下の検出電圧が現れていると判別された場合は第3の警報音信号(防犯警報音)を選択するように初期設定する自動設定手段18を備え、その後の通常監視時に判別手段17で、警報事象検出用センサ14の検出信号ありと判別された場合は、音声出力手段25から第1の警報音信号(火災警報音)を出力し、外部出力端子にしきい値以下の検出電圧が現れていると判別された場合は、自動設定手段18で初期設定された第2または第3の警報音信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器および警報システムに関し、特に、防犯警報器以外の警報器に防犯警報機能を付加した警報器および該警報器を使用する警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防犯警報器には、たとえば窓にセンサ(マグネットスイッチ、振動センサ等)を取り付け、窓の開閉、振動等を検知し、送信機等を経由してホームコントローラに情報が上がり、ブザーが鳴ったり警備会社へ自動通報が行われたりするタイプのものがある。
【0003】
また、防犯センサにアラームが内蔵されていて、窓の開閉、振動等により警報音が発せられるタイプのものもある。
【0004】
また、防犯警報器以外の警報器として、火災警報器同士を有線連動し、別の部屋での火災警報を検知できる連動回路を備えた警報器もある。
【0005】
図11は、このような連動タイプの火災警報器を用いた警報システムを示す概略構成図である。ある家宅におけるA室およびB室に相互連動出力タイプの火災警報器1がそれぞれ配置され、それぞれの外部出力端子が連動線路3で接続されている。A室の火災時は、A室の火災警報器1が火災を検出して自らが火災警報音を報知すると共に、その外部出力端子からA室の火災を示す検出電圧を連動線路3に供給し、連動先のB室の火災警報器は、その検出電圧により、A室で火災が起きたことを表す火災連動警報音を報知する。逆に、B室の火災時は、B室の火災警報器1は自らが火災警報音を発すると共に、その外部出力端子からB室の火災を示す検出電圧を連動線路3に供給し、連動先のA室の火災警報器は、その検出電圧により、B室で火災が起きたことを表す火災連動警報音を発する。
【0006】
図12は、上述の連動タイプの警報システムの具体的構成例を示す回路図である。同図において、火災警報器1は、処理部11と、電源+Vcおよび抵抗12aを含む電圧供給部12と、連動検出部13と、火災センサ14と、ダイオード15aおよびトランジスタ15bを含む出力部15と、外部出力端子16aおよび16bと、アンプ24aおよびスピーカ24bを含む音声出力部24とを備えている。処理部11には、連動検出部13、火災センサ14、出力部15および音声出力部25が接続されている。
【0007】
火災がない場合、出力部15bのトランジスタ15bはオフになっており、外部出力端子16aおよび16b間には、電源+Vc、抵抗12aおよびダイオード15aを介してしきい値を超える検出電圧が現れている。A室の火災警報器1の火災センサ14が火災を検出すると、処理部11は、火災警報音信号を音声出力部25に出力し、アンプ25aを介してスピーカ25bから火災警報音を発する。それと同時に、処理部11は、出力部15のトランジスタ15bにハイレベルの制御信号を出力し、トランジスタ15bをオンになるように制御する。それにより、外部出力端子16aおよび16b間が短絡され、検出電圧はしきい値以下の電圧、すなわち0Vになる。このしきい値以下の検出電圧をB室の火災警報器1の連動出力部13が検出すると、B室の火災警報器1の処理部11は、火災連動警報音信号を音声出力部25に出力し、アンプ25aを介してスピーカ25bから火災連動警報音を発する。
【0008】
このように、連動タイプのものでは、複数の火災警報器の外部出力端子同士を接続することにより、自らが監視している場所の火災を検出した場合に火災警報音を報知すると共に、別の場所で火災が検出されたことを火災連動警報音によって報知することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の防犯警報器においては、前者のタイプは、設備が高価になるという難点があり、後者のタイプは、センサに対してアラームがセットになっており、前者のタイプほどではないが、窓の数だけ取り付けるとなると、結局高価なものになるという問題がある。また、上述の火災警報システムは、防犯警報機能を有していない。
【0010】
そこで本発明は、上述した課題に鑑み、防犯警報器以外の警報器を利用して防犯警報機能を低コストで付加できる警報器および警報システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、警報事象を監視し、該警報事象の発生を警報事象検出用センサで検出して警報音を報知する警報器であって、2個の端子からなり、前記2個の端子間に警報事象の監視時にしきい値を超える検出電圧が現れかつ警報事象の検出時に前記しきい値以下の検出電圧が現れる外部出力端子と、前記外部出力端子に現れる前記検出電圧を検出する検出手段と、前記警報事象検出用センサの検出信号および前記検出手段で検出された前記検出電圧を判別する判別手段と、前記警報事象の検出を報知する前記第1の警報音信号を生成する第1の警報音生成手段と、前記外部出力端子に他の警報器が接続された場合に前記他の警報器における警報事象の検出を報知する第2の警報音信号を生成する第2の警報音生成手段と、防犯センサの作動を報知する第3の警報音信号を生成する第3の警報音生成手段と、前記判別手段の判別結果に応じて、前記第1、第2または第3の警報音信号を選択する警報音選択手段と、前記警報音選択手段で選択された前記第1、第2または第3の警報音信号を音声出力する音声出力手段と、電源投入時に前記判別手段で、前記外部出力端子に前記しきい値を超える検出電圧が現れていると判別された場合は前記警報音選択手段が前記第2の警報音信号を選択し、前記外部出力端子に前記しきい値以下の検出電圧が現れていると判別された場合は前記警報音選択手段が前記第3の警報音信号を選択するように初期設定する自動設定手段とを備え、その後の通常監視時に前記判別手段で、前記警報事象検出用センサの検出信号ありと判別された場合は、前記音声出力手段から前記第1の警報音信号を出力し、前記外部出力端子に前記しきい値以下の検出電圧が現れていると判別された場合は、前記自動設定手段で初期設定された前記第2または第3の警報音信号を出力することを特徴とする。
【0012】
請求項1記載の発明においては、警報事象を監視し、該警報事象の発生を警報事象検出用センサで検出して警報音を報知する警報器は、外部出力端子と、検出手段と、判別手段と、第1の警報音生成手段と、第2の警報音生成手段と、第3の警報音生成手段と、警報音選択手段と、音声出力手段と、自動設定手段とを備えている。外部出力端子は、2個の端子からなり、2個の端子間に警報事象の監視時にしきい値を超える検出電圧が現れかつ警報事象の検出時にしきい値以下の検出電圧が現れる。検出手段は、外部出力端子に現れる検出電圧を検出する。判別手段は、警報事象検出用センサの検出信号および検出手段で検出された検出電圧を判別する。第1の警報音生成手段は、警報事象の検出を報知する第1の警報音信号を生成する。第2の警報音生成手段は、外部出力端子に他の警報器が接続された場合に他の警報器における警報事象の検出を報知する第2の警報音信号を生成する。第3の警報音生成手段は、防犯センサの作動を報知する第3の警報音信号を生成する。警報音選択手段は、判別手段の判別結果に応じて、第1、第2または第3の警報音信号を選択する。音声出力手段は、警報音選択手段で選択された第1、第2または第3の警報音信号を音声出力する。自動設定手段は、電源投入時に判別手段で、外部出力端子にしきい値を超える検出電圧が現れていると判別された場合は警報音選択手段が第2の警報音信号を選択し、外部出力端子にしきい値以下の検出電圧が現れていると判別された場合は警報音選択手段が第3の警報音信号を選択するように初期設定する。警報器は、その後の通常監視時に判別手段で、警報事象検出用センサの検出信号ありと判別された場合は、音声出力手段から第1の警報音信号を出力し、外部出力端子にしきい値以下の検出電圧が現れていると判別された場合は、自動設定手段で初期設定された第2または第3の警報音信号を出力する。それにより、警報器自体の警報機能に防犯警報機能を付加した警報器を実現することができる。
【0013】
前記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明の警報システムは、前記自動設定手段により前記第3の警報音信号が初期設定されている請求項1記載の警報器と、前記警報器の前記外部出力端子に接続され、作動時に前記外部出力端子の2個の端子間を短絡する少なくとも1個の防犯センサとを備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明においては、警報システムは、自動設定手段により第3の警報音信号が初期設定されている請求項1記載の警報器と、警報器の外部出力端子に接続され、作動時に外部出力端子の2個の端子間を短絡する少なくとも1個の防犯センサとを備えている。それにより、警報器自体の警報機能に防犯警報機能を付加した警報器の外部出力端子に防犯センサを接続して、警報器自体の警報と防犯センサの作動時の防犯警報とを報知する警報システムを実現することができる。
【0015】
前記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明の警報システムは、前記自動設定手段により前記第3の警報音信号が初期設定されると共に前記外部出力端子が互いに接続された複数個の請求項1記載の警報器と、複数個の警報器の各々の前記外部出力端子に接続され、作動時に前記外部出力端子の2個の端子間を短絡する少なくとも1個の防犯センサとを備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明においては、警報システムは、自動設定手段により第3の警報音信号が初期設定されると共に外部出力端子が互いに接続された複数個の請求項1記載の警報器と、複数個の警報器の各々の外部出力端子に接続され、作動時に外部出力端子の2個の端子間を短絡する少なくとも1個の防犯センサとを備えている。それにより、警報器自体の警報機能に防犯警報機能を付加した複数の警報器の各外部出力端子に防犯センサを接続して、警報器自体の警報と防犯センサの作動時の防犯警報とを報知する警報システムを実現することができる。
【0017】
前記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の警報システムにおいて、前記少なくとも1個の防犯センサの前記外部出力端子への接続、不接続を切り替える在宅スイッチをさらに備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明においては、警報システムは、少なくとも1個の防犯センサの外部出力端子への接続、不接続を切り替える在宅スイッチをさらに備えている。それにより、外出時や就寝時等の必要時のみに防犯機能が付加されるようにすることができる。
【0019】
前記課題を解決するためになされた請求項5記載の発明は、請求項4記載の警報システムにおいて、前記在宅スイッチは、前記警報器に予め備え付けられている引き紐スイッチまたは押ボタンスイッチを利用することを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の発明においては、在宅スイッチは、警報器に予め備え付けられている引き紐スイッチまたは押ボタンスイッチを利用する。それにより、低コストで防犯機能を付加できる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明によれば、警報器自体の警報機能に防犯警報機能を付加した警報器を実現することができる。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、警報器自体の警報機能に防犯警報機能を付加した警報器の外部出力端子に防犯センサを接続して、警報器自体の警報と防犯センサの作動時の防犯警報とを報知する警報システムを実現することができる。そのため、警報器自体の警報機能を失わずに、警報器を防犯警報器として利用するので、防犯センサのみを窓等に取り付けるだけで良く、低コストで防犯機能を付加した警報システムを構築することができる。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、警報器自体の警報機能に防犯警報機能を付加した複数の警報器の外部出力端子同士を連動接続し、各外部出力端子に防犯センサを接続して、警報器自体の警報と防犯センサの作動時の防犯警報とを報知する警報システムを実現することができる。そのため、警報器自体の警報機能を失わずに、警報器を防犯警報器として利用するので、防犯センサのみを窓等に取り付けるだけで良く、低コストで防犯機能を付加した警報システムを構築することができる。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、在宅スイッチをオンにして外出時や就寝時等の必要時のみに防犯機能が付加されるようにすることができる。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、在宅スイッチは、警報器に予め備え付けられているスイッチを利用するので、低コストで防犯機能を付加した警報システムを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
(警報器の第1の実施形態)まず、本発明の警報器の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る警報器の構成を示すブロック図である。ここでは、警報器として、火災という警報事象を監視し、火災発生(警報事象発生)を検出して警報音を報知する火災警報器の場合について説明する。火災警報器1は、電圧供給部12、連動検出部13、火災センサ14、出力部15、外部出力端子16aおよび16b、検出電圧判別部17、自動設定部18、火災警報音生成部19、火災連動警報音生成部20、防犯警報音生成部21、警報音選択部22、音声出力部23、出力パターン生成部24および音声出力部25から構成されている。外部出力端子16aおよび16bには、火災警報器1と同一構成の他の火災警報器または防犯センサが接続される。図1では、外部出力端子16aおよび16bに防犯センサ4(および在宅スイッチ5)が接続された場合を示している。防犯センサ4は、たとえば、窓の開閉を検出してオン/オフする接点出力タイプのマグネットスイッチである。
【0028】
連動検出部13は、請求項における検出手段に相当し、火災センサ14は、請求項における警報事象検出用センサに相当し、自動設定手段18は、請求項における自動設定手段に相当し、火災警報音生成部19は、請求項における第1の警報音生成手段に相当し、火災連動警報音生成部20は、請求項における第2の警報音生成手段に相当し、防犯警報音生成部21は、請求項における第3の警報音生成手段に相当し、警報音選択部21は、請求項における警報音選択手段に相当し、音声出力部25は、請求項における音声出力手段に相当する。
【0029】
図2は、火災警報器1の具体的構成例を示す回路図である。図2において、火災警報器1は、電源+Vcおよび抵抗12aを含む電圧供給部12と、火災センサ14と、ダイオード15aおよびトランジスタ15bを含む出力部15と、外部出力端子16aおよび16bと、アンプ25aおよびスピーカ25bを含む音声出力部25と、マイクロコンピュータ(以下、CPUという)30とを備えている。
【0030】
CPU30は、図1における連動検出部13、検出電圧判別部17、自動設定部18、火災警報音生成部19、火災警報音生成部19、火災連動警報音生成部20、防犯警報音生成部21、警報音選択部22、警報音出力部23および出力パターン生成部24を構成する。CPU30の入力ポートP1には火災センサ14が接続され、入力ポートP2には、電圧供給部12および出力部15が接続され、出力ポートP3には出力部15のトランジスタ15bのベースが接続され、出力ポートP4には音声出力部22のアンプ22aが接続されている。CPU30の入力ポートP2は、連動検出部13の入力端子に相当し、出力ポートP3は、出力パターン生成部24の出力端子に相当する。
【0031】
電圧供給部12は、+Vc電源からの直流電圧を抵抗12aを介して予め設定されたしきい値以上の適切な電圧レベルの監視電圧Eとして、CPU30の入力ポートP2から連動検出部13に供給する。CPU30は、火災センサ14が火災を検出した時は、出力ポートP3からハイレベルの制御信号を出力し、トランジスタ15bをオンになるように制御する。それにより、外部出力端子16aおよび16b間に、しきい値以下、すなわち0Vの検出電圧が現れ、CPU30の入力ポートP2に供給される。
【0032】
図3は、外部出力端子16aおよび16b間に現れる検出電圧を示す図である。火災警報器1の電源オン後、時間t1で監視電圧Eが立ち上がり、検出電圧として検出部13から出力される。この監視電圧Eは、火災検出のしきい値を超えており、監視時(火災がない時)維持される。時間t2で火災が発生したことが火災センサ14で検出されると、検出電圧はしきい値以下の0Vに下がる。
【0033】
次に、上述の構成を有する火災警報器1においてCPU30の制御の下に行われる電源投入時の動作を図4のフローチャートを参照しながら説明する。まず、電源を投入すると(ステップS1)、火災警報器1は設定モードになり、外部出力端子16aおよび16b間に現れる検出電圧(外部出力)を連動検出部13で監視する(ステップS2)。次に、連動検出部13で検出した検出電圧が、しきい値以下になっているか否かを検出電圧判別部17で判別する(ステップS3)。
【0034】
検出電圧がしきい値以下になっていないと判別した場合(すなわち、検出電圧が監視電圧Eになっている場合)、次いで、自動設定部18は、外部出力端子16aおよび16bに火災警報器1と同タイプの他の火災警報器が接続されていると認識する(ステップS4)。次に、自動設定部18は、この認識に基づき、火災連動警報音生成部20からの火災連動警報音信号を選択するように警報音選択部22を制御し(ステップS5)、次いでステップS8に進む。
【0035】
一方、検出電圧がしきい値以下になっていると判別した場合(すなわち、検出電圧が0Vになっている場合)、次いで、自動設定部18は、外部出力端子16aおよび16bに防犯センサ4が接続されていると認識する(ステップS6)。次に、自動設定部18は、この認識に基づき、防犯警報音生成部21からの防犯警報音信号を選択するように警報音選択部22を制御し(ステップS7)、次いでステップS8に進む。
【0036】
ステップS8では、電源投入から所定時間(たとえば、数秒)経過したか否かを判定し、経過していなければステップS2に戻り、経過していればステップS9に進む。次に、設定モードを解除し(ステップS9)、次いで通常監視状態になる(ステップS10)。
【0037】
このように、火災警報器1は、電源投入から所定時間の間設定モードになるので、この設定モード中に外部出力端子16aおよび16bに火災警報器が接続されているかそれとも防犯センサ4が接続されているかを確認して、接続されている連動機器に対応する警報音を初期設定することができる。なお、防犯センサ4を接続する場合は、電源投入前に予め防犯センサ4(および在宅スイッチ5)を作動状態にして外部出力端子16aおよび16b間を短絡しておき、その後電源投入をすることにより、防犯警報音が選択される。
【0038】
次に、上述のように初期設定される火災警報器1の通常監視時の動作を図5および6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0039】
(連動先:火災警報器と初期設定された場合の通常監視動作)外部出力端子16aおよび16bに火災警報器が接続されていると初期設定された場合は、上述の従来の火災警報システムと同じ動作になる。すなわち、図5に示すように、通常監視時、まず火災センサ14からの検出信号の有無を常時または定期的に監視し(ステップS21)、次に火災センサ14からの検出信号があるか否かを検出電圧判別部17で判別する(ステップS22)。
【0040】
火災センサ14からの検出信号ありと判別された場合は、火災警報を鳴動させる(ステップS23)。すなわち、検出電圧判別部17は、火災警報音生成部19を選択するように警報音選択部22を制御し、警報音選択部22を介して火災警報音生成部19からの火災警報音信号を警報音出力部23より、音声出力部25に出力する。それにより、音声出力部のスピーカ25bから火災警報音が音声出力される。この火災警報音は、たとえば、「火事です、火事です」等の音声メッセージである。
【0041】
一方、火災センサの監視と共に、外部出力端子16aおよび16b間に現れる検出電圧を常時または定期的に監視し(ステップS24)、次に検出電圧がしきい値以下になったか否かを検出電圧判別部17で判別する(ステップS25)。
【0042】
検出電圧判別部17で、検出電圧がしきい値以下になったと判別された場合は、火災連動警報を鳴動させる(ステップS23)。すなわち、自動設定部18で初期設定された火災連動警報音生成部20からの火災連動警報音信号を警報音選択部22および警報音出力部23を介して音声出力部25に出力する。それにより、音声出力部のスピーカ25bから火災連動警報音が音声出力される。この火災連動警報音は、たとえば、「別の火災警報器が作動しました」等の音声メッセージである。
【0043】
なお、検出電圧判別部17は、火災センサ14からの検出信号と、外部出力端子からのしきい値以下の検出電圧の両方が同時に発生している場合は、火災センサ14からの検出信号を優先して判別する。したがって、火災センサ14の監視による火災警報音は、外部出力監視による火災連動警報音に優先して報知される。
【0044】
(連動先:防犯センサと初期設定された場合の通常監視動作)外部出力端子16aおよび16bに防犯センサが接続されていると初期設定された場合は、図6に示す動作になる。すなわち、通常監視時、まず火災センサ14からの検出信号の有無を常時または定期的に監視し(ステップS31)、次に火災センサ14からの検出信号があるか否かを検出電圧判別部17で判別する(ステップS32)。
【0045】
火災センサ14からの検出信号ありと判別された場合は、火災警報を鳴動させる(ステップS33)。すなわち、検出電圧判別部17は、火災警報音生成部19を選択するように警報音選択部22を制御し、警報音選択部22を介して火災警報音生成部19からの火災警報音信号を警報音出力部23より、音声出力部25に出力する。それにより、音声出力部のスピーカ25bから火災警報音が音声出力される。この火災警報音は、たとえば、「火事です、火事です」等の音声メッセージである。
【0046】
一方、火災センサの監視と共に、外部出力端子16aおよび16b間に現れる検出電圧を常時または定期的に監視し(ステップS34)、次に検出電圧がしきい値以下になったか否かを検出電圧判別部17で判別する(ステップS35)。
【0047】
検出電圧判別部17で、検出電圧がしきい値以下になったと判別された場合は、防犯警報を鳴動させる(ステップS36)。すなわち、自動設定部18で初期設定された防犯報音生成部21からの防犯警報音信号を警報音選択部22および警報音出力部23を介して音声出力部25に出力する。それにより、音声出力部のスピーカ25bから防犯警報音が音声出力される。この防犯連動警報音は、たとえば、「ドロボー、ドロボー」等の音声メッセージである。
【0048】
なお、検出電圧判別部17は、火災センサ14からの検出信号と、外部出力端子からのしきい値以下の検出電圧の両方が同時に発生している場合は、火災センサ14からの検出信号を優先して判別する。したがって、火災センサ14監視による火災警報音は、外部出力監視による防犯警報音に優先して報知される。
【0049】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態の警報器によれば、警報器自体の警報機能に防犯警報機能を付加した警報器を実現することができる。
【0050】
(警報システムの第1の実施形態)次に、上述のように連動先:防犯センサと初期設定された火災警報器1を用いた本発明の警報システムの第1の実施形態について説明する。
【0051】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る警報システムを示す概略構成図である。ある家宅におけるA室に、連動先:防犯センサと初期設定された火災警報器1が配置されている。また、火災警報器1には、部屋の窓W1およびW2にそれぞれ取り付けられた2個の防犯センサ4からのセンサ出力が在宅スイッチ5を介して外部出力端子に接続されている。在宅スイッチ5のオン時に、防犯センサ4のマグネットスイッチがオンすると、外部出力端子16aおよび16b間が短絡されるように構成されている。在宅スイッチ5は、使用者が家宅内に居る時はオフにされ、外出時や就寝時等には使用者によりオンされる。
【0052】
同様に、B室にも、連動先:防犯センサと初期設定された火災警報器1が配置されている。B室の火災警報器1は、A室の火災警報器1と連動するように接続されておらず、それぞれ独立して警報動作する構成となっている。また、B室の火災警報器1には、部屋の窓W3およびW4にそれぞれ取り付けられた2個の防犯センサ4からのセンサ出力が在宅スイッチ5を介して外部出力端子に接続されている。
【0053】
上述の構成の警報システムにおいて、A室の火災時は、A室の火災警報器1が火災警報音を鳴動するが、B室の火災警報器1は鳴動しない。また、A室の火災警報器1の在宅スイッチ5がオンされている時に、A室の窓W1およびW2のいずれかの開閉や振動等により防犯センサ4が作動した場合、外部出力端子の検出電圧はしきい値以下となり、A室の火災警報器1は、防犯警報音を鳴動するが、B室の火災警報器1は鳴動しない。
【0054】
一方、B室の火災時は、B室の火災警報器1が火災警報音を鳴動するが、A室の火災警報器1は鳴動しない。また、B室の火災警報器1の在宅スイッチ5がオンされている時に、B室の窓W3およびW4のいずれかの開閉や振動等により防犯センサ4が作動した場合、外部出力端子の検出電圧はしきい値以下となり、Bの火災警報器1は、防犯警報音を鳴動するが、A室の火災警報器1は鳴動しない。
【0055】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態の警報システムによれば、警報器自体の警報機能に防犯警報機能を付加した警報器の外部出力端子に防犯センサを接続して、警報器自体の警報と防犯センサの作動時の防犯警報とを報知する警報システムを実現することができる。そのため、警報器自体の警報機能を失わずに、警報器を防犯警報器として利用するので、防犯センサのみを窓等に取り付けるだけで良く、低コストで防犯機能を付加した警報システムを構築することができる。
【0056】
(警報システムの第2の実施形態)次に、上述のように連動先:防犯センサと初期設定された火災警報器1を用いた本発明の警報システムの第2の実施形態について説明する。
【0057】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る警報システムを示す概略構成図である。図8の警報システムは、図7の警報システムと同一の構成に加えて、A室の火災警報器1とB室の火災警報器1の外部出力端子同士を連動するように連動線路3で接続した構成となっている。なお、この警報システムは、さらに3個以上の多数の火災警報器1の外部出力端子同士を連動するように接続した構成とすることができる。
【0058】
上述の構成の警報システムにおいては、A室の火災時は、A室の火災警報器1が火災警報音を鳴動すると共に、連動先のB室の火災警報器は、A室の火災警報器1の外部出力端子がしきい値以下となったため、それを検出し、防犯警報音を鳴動する。逆に、B室の火災時は、B室の火災警報器1が火災警報音を鳴動すると共に、連動先のA室の火災警報器は、B室の火災警報器1の外部出力端子がしきい値以下となったため、それを検出し、防犯警報音を鳴動する。
【0059】
また、A室およびB室の火災警報器1の在宅スイッチ5がオンされている時に、A室の窓W1およびW2のいずれかの開閉や振動等により防犯センサ4が作動した場合、外部出力端子の検出電圧はしきい値以下となり、A室の火災警報器1は、防犯警報音が鳴動すると共に、連動先のB室の火災警報器は、A室の火災警報器1の外部出力端子がしきい値以下となったため、それを検出し、防犯警報音を鳴動する。
【0060】
また、B室の窓W3およびW4のいずれかの開閉や振動等により防犯センサ4が作動した場合、外部出力端子の検出電圧はしきい値以下となり、B室の火災警報器1は、防犯警報音が鳴動すると共に、連動先のA室の火災警報器は、B室の火災警報器1の外部出力端子がしきい値以下となったため、それを検出し、防犯警報音を鳴動する。
【0061】
このように、複数の火災警報器1が連動するように接続されているため、ある室(ここではA室)の火災発生時には、当該室(A室)の火災警報器1が火災警報音を鳴動すると共に、他の室(ここではB室)の火災警報器1が防犯警報音を鳴動するので、A室に居る人に自室において火災が発生していることを報知することができ、また他の室(ここではB室)に居る人に、A室で火災または防犯上の異常が発生していることを報知することができる。また、ある室(ここはA室)の防犯事象の発生時には、当該室(A室)の火災警報器1が防犯警報音を鳴動すると共に、他の室(ここではB室)の火災警報器1が防犯警報音を鳴動するので、A室に居る人に自室において防犯事象が発生していることを報知することができ、また他の室(ここではB室)に居る人に、A室で火災または防犯上の異常が発生していることを報知することができる。
【0062】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態の警報システムによれば、警報器自体の警報機能に防犯警報機能を付加した複数の警報器の外部出力端子同士を連動接続し、各外部出力端子に防犯センサを接続して、警報器自体の警報と防犯センサの作動時の防犯警報とを報知する警報システムを実現することができる。そのため、警報器自体の警報機能を失わずに、警報器を防犯警報器として利用するので、防犯センサのみを窓等に取り付けるだけで良く、低コストで防犯機能を付加した警報システムを構築することができる。
【0063】
以上の通り、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
【0064】
たとえば、上述の実施形態において、在宅スイッチ5は、火災警報器1に予め備え付けられている点検用スイッチ(引き紐スイッチや押ボタンスイッチ)を兼用しても良い。
【0065】
また、警報器の実施形態において、外部出力端子16aおよび16b間に現れる検出電圧は、図9に示すように、監視時(火災がない時)に所定振幅および所定周波数のパルス電圧を出力し、火災発生時および防犯センサ4の作動時に0Vとなる形態としても良い。
【0066】
図10は、図9に示す検出電圧を生成することができる火災警報器1の具体的構成例を示す回路図である。図10においては、図2に示す構成に加えて、電圧供給部12の+Vc電源と抵抗12aの間にpnp型のトランジスタ12bを接続すると共に、トランジスタ12bのベースにCPU30の出力ポートP5を接続している。
【0067】
電圧供給部12は、+Vc電源からの直流電圧を予め設定されたしきい値以上の適切な監視電圧EとしてCPU30の入力ポートP2から連動検出部13に供給する。CPU30は、監視時には出力ポートP5からローレベルの信号を出力してトランジスタ12bをオンにすると共に、出力ポートP3から上記所定周波数でレベルがローレベルとハイレベルで交互する信号を出力してトランジスタ15bをオン、オフ制御する。それにより、監視時には、外部出力端子16aおよび16b間に、図9に示す所定振幅および所定周波数のパルス電圧が現れる。
【0068】
また、火災センサ14が火災を検出した時は、出力ポートP5からハイレベルの信号を出力し、トランジスタ12bをオフになるように制御する。それにより、外部出力端子16aおよび16b間に、しきい値以下、すなわち0Vの検出電圧が現れる。
【0069】
この場合、図4のフローチャートのステップS3において、検出電圧判別部17で、外部出力端子16aおよび16b間に所定振幅および所定周波数のパルス電圧が現れていると判別された場合、ステップS4に進み、外部出力端子16aおよび16b間に0Vが現れている場合は、ステップS6に進むように変更する。
【0070】
また、上述の実施形態において、警報器として火災警報器を使用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ガス警報器等の他の警報器でも応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る警報器の構成を示すブロック図である。(警報器の第1の実施形態)
【図2】図1の警報器の具体的構成例を示す回路図である。(警報器の第1の実施形態)
【図3】外部出力端子に現れる検出電圧を示す図である。(警報器の第1の実施形態)
【図4】警報器の電源投入時の動作を説明するフローチャートである。(警報器の第1の実施形態)
【図5】警報器の通常監視時の動作を説明するフローチャートである。(警報器の第1の実施形態)
【図6】警報器の通常監視時の動作を説明するフローチャートである。(警報器の第1の実施形態)
【図7】本発明の第1の実施形態に係る警報システムを示す概略構成図である。(警報システムの第1の実施形態)
【図8】本発明の第2の実施形態に係る警報システムを示す概略構成図である。(警報システムの第2の実施形態)
【図9】外部出力端子に現れる検出電圧の他の例を示す図である。
【図10】図9に示す検出電圧を生成することができる警報器の具体的構成例を示す回路図である。
【図11】従来の連動タイプの警報器を用いた警報システムを示す概略構成図である。
【図12】図11の警報システムにおける警報器の具体的構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0072】
1 火災警報器(警報器)
3 連動線路
4 防犯センサ
5 在宅スイッチ
13 連動検出部(検出手段)
14 火災センサ(警報事象検出用センサ)
16a,16b 外部出力端子
17 検出電圧判別部(判別手段)
18 自動設定部(自動設定手段)
19 火災警報音生成部(第1の警報音生成手段)
20 火災連動警報音生成部(第2の警報音生成手段)
21 防犯警報音生成部(第3の警報音生成手段)
22 警報音選択部(警報音選択手段)
25 音声出力部(音声出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報事象を監視し、該警報事象の発生を警報事象検出用センサで検出して警報音を報知する警報器であって、
2個の端子からなり、前記2個の端子間に警報事象の監視時にしきい値を超える検出電圧が現れかつ警報事象の検出時に前記しきい値以下の検出電圧が現れる外部出力端子と、
前記外部出力端子に現れる前記検出電圧を検出する検出手段と、
前記警報事象検出用センサの検出信号および前記検出手段で検出された前記検出電圧を判別する判別手段と、
前記警報事象の検出を報知する前記第1の警報音信号を生成する第1の警報音生成手段と、
前記外部出力端子に他の警報器が接続された場合に前記他の警報器における警報事象の検出を報知する第2の警報音信号を生成する第2の警報音生成手段と、
防犯センサの作動を報知する第3の警報音信号を生成する第3の警報音生成手段と、
前記判別手段の判別結果に応じて、前記第1、第2または第3の警報音信号を選択する警報音選択手段と、
前記警報音選択手段で選択された前記第1、第2または第3の警報音信号を音声出力する音声出力手段と、
電源投入時に前記判別手段で、前記外部出力端子に前記しきい値を超える検出電圧が現れていると判別された場合は前記警報音選択手段が前記第2の警報音信号を選択し、前記外部出力端子に前記しきい値以下の検出電圧が現れていると判別された場合は前記警報音選択手段が前記第3の警報音信号を選択するように初期設定する自動設定手段とを備え、
その後の通常監視時に前記判別手段で、前記警報事象検出用センサの検出信号ありと判別された場合は、前記音声出力手段から前記第1の警報音信号を出力し、前記外部出力端子に前記しきい値以下の検出電圧が現れていると判別された場合は、前記自動設定手段で初期設定された前記第2または第3の警報音信号を出力することを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記自動設定手段により前記第3の警報音信号が初期設定されている請求項1記載の警報器と、
前記警報器の前記外部出力端子に接続され、作動時に前記外部出力端子の2個の端子間を短絡する少なくとも1個の防犯センサとを備えていることを特徴とする警報システム。
【請求項3】
前記自動設定手段により前記第3の警報音信号が初期設定されると共に前記外部出力端子が互いに接続された複数個の請求項1記載の警報器と、
複数個の警報器の各々の前記外部出力端子に接続され、作動時に前記外部出力端子の2個の端子間を短絡する前記少なくとも1個の防犯センサとを備えていることを特徴とする警報システム。
【請求項4】
請求項2または3記載の警報システムにおいて、
前記少なくとも1個の防犯センサの前記外部出力端子への接続、不接続を切り替える在宅スイッチをさらに備えていることを特徴とする警報システム。
【請求項5】
請求項4記載の警報システムにおいて、
前記在宅スイッチは、前記警報器に予め備え付けられている引き紐スイッチまたは押ボタンスイッチを利用することを特徴とする警報システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−328409(P2007−328409A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157266(P2006−157266)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】