説明

警報器及び警報器の点検方法

【課題】既存の点検要求を用いて迅速に警報原因を通知する。
【解決手段】監視領域における異常発生を検出する異常発生検出手段10と、前記異常発生検出手段10が検出した異常発生を警報する警報手段30と、を有する警報器1において、前記警報手段30が警報した原因を示す警報原因情報を記憶する警報原因情報記憶手段24aと、外部からの点検要求を検出する点検要求検出手段21aと、前記点検要求検出手段21aによる点検要求の検出に応じて、前記警報原因情報記憶手段24aが記憶している警報原因情報を通知する警報原因情報通知手段21bと、前記警報原因情報通知手段21bが警報原因情報を通知した後に、前記異常発生検出手段10及び前記警報手段30の少なくとも一方の点検を行う点検手段21cと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域における異常発生を検出して警報する警報器及び該警報器の点検方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
警報器は、監視領域に設置されると、その監視領域における例えば、ガス、二酸化炭素、一酸化炭素等の漏れ発生や火災の発生などの各種異常発生を検出して警報を行うものである。そして、自動復帰機能を有する警報器は、所定復帰条件を満たすと警報を解除して復帰してしまうため、ユーザからの通報により作業員が現場に到着しても警報が解除されている場合があり、本当に警報していたのか、どの警報が行われていたのか等を作業員が把握できずに適切な処置を行えないという問題があった。特に、火災警報、都市ガス警報、COガス警報等の複数種類の警報を行う複合型の警報器では、何の警報を行っていたかを特定できないと、警報の原因調査を行うことが困難であった。
【0003】
そこで、特許文献1に示す警報器は、その記憶部に動作履歴情報及び警報停止履歴情報を記憶しておき、点検処理を行った後に動作履歴情報及び警報停止履歴情報を表示するようにしてきた。
【特許文献1】特開2005−292969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した警報器は、点検動作が終了してから警報履歴を表示してきたため、作業者は点検動作を終了するまで待つ必要があり、緊急性を有しているにも関わらず、時間の無駄が生じてしまうという問題があった。例えば、点検動作が30秒、警報履歴表示が5秒の警報器の場合、5秒の警報履歴を確認するために、点検動作による30秒の間は待たなければならなかった。そこで、履歴表示を要求するための操作スイッチを設けて警報履歴を迅速に表示することも考えられるが、警報器のコストアップに繋がるため、既存の点検スイッチを流用したいとの要望が強い。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、既存の点検要求を用いて迅速に警報原因を通知することができる警報器及びその点検方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の警報器は、図1の基本構成図に示すように、監視領域における異常発生を検出する異常発生検出手段10と、前記異常発生検出手段10が検出した異常発生を警報する警報手段30と、を有する警報器1において、前記警報手段30が警報した原因を示す警報原因情報を記憶する警報原因情報記憶手段24aと、外部からの点検要求を検出する点検要求検出手段21aと、前記点検要求検出手段21aによる点検要求の検出に応じて、前記警報原因情報記憶手段24aが記憶している警報原因情報を通知する警報原因情報通知手段21bと、前記警報原因情報通知手段21bが警報原因情報を通知した後に、前記異常発生検出手段10及び前記警報手段30の少なくとも一方の点検を行う点検手段21cと、を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の警報器において、前記警報原因情報通知手段21bが警報原因情報を通知してから所定監視時間の間に発生する点検中止要求を検出する点検中止要求検出手段21dを有し、前記点検手段21cが、前記点検中止要求検出手段21dによる点検中止要求の検出に応じて前記点検を中止し、且つ、前記所定監視時間の間に前記点検中止要求検出手段21dによって点検中止要求が検出されなかったときに前記点検を行う手段であることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項3記載の警報器の点検方法は、監視領域における異常発生を検出する異常発生検出手段と、前記異常発生検出手段が検出した異常発生を警報する警報手段と、前記警報手段が警報した原因を示す警報原因情報を記憶する警報原因情報記憶手段と、を有する警報器の点検方法であって、外部からの点検要求を検出する点検要求検出過程と、前記点検要求の検出に応じて、前記警報原因情報記憶手段が記憶している警報原因情報を通知する警報原因情報通知過程と、前記警報原因情報を通知した後に、前記異常発生検出手段及び前記警報手段の少なくとも一方の点検を行う点検過程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように請求項1,3に記載した本発明によれば、外部からの点検要求の検出に応じて警報原因情報を通知し、該通知が終了した後に異常発生検出手段及び警報手段の少なくとも一方を点検するようにしたことから、点検動作を開始する前に警報原因情報を作業者が迅速に確認することができるため、時間の無駄を省くことができる。従って、新たな構成を追加することなく、既存の点検要求を用いて迅速に警報原因を確認することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、警報原因情報を通知してから所定監視時間が経過するまでは点検中止要求を発生を監視し、該点検中止要求を検出したときは、点検を中止するようにしたことから、警報音、警報音声等を出力したくない時間でもの点検要求によって警報原因情報を確認することができるため、作業効率を向上させることができる。また、所定監視時間内に点検中止要求の発生を検出しなかったときは継続して点検を行うため、点検の開始までに所定監視時間が介在することになり、作業者は点検開始タイミングを把握し易くなるため、点検作業のミスを防止して作業効率の向上に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る警報器及びその点検方法をガス警報器に適用した一実施の形態を、図1〜図6の図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図2及び図3において、火災検知機能を有するガス警報器1は、略矩形状に形成されており、監視領域の壁や天井等に設置される。なお、監視領域とは、ガス警報器1の監視が可能な設置場所である部屋、範囲等を示している。
【0013】
ガス警報器1は、センサ部10と、マイクロプロセッサユニット(MPU)20と、警報部30と、点検スイッチ40と、電源ランプ50と、を有している。そして、ガス警報器1は、内蔵する電池又は商用電源等から供給される電力によって動作している。
【0014】
センサ部10は、MPU20と電気的に接続されている。センサ部10は、例えば、一酸化炭素(以下、COともいう)の酸化反応により、CO濃度に応じた電流が流れる電気化学式のセンサ、熱センサ、煙センサ等の火災の発生を検出するための火災センサ等を有しており、異常発生を検出するためのセンサ信号をMPU20に出力している。
【0015】
このようにセンサ部10は、検出対象となる異常発生(状態変化等)の検出が可能なセンサが用いられる。そして、MPU20のCPU21は、入力されたセンサ信号に基づいて、監視領域におけるCO濃度、温度等を検出し、それによりCOガス漏れ、火災の発生等の異常状態の発生を検出している。このように本実施例では、センサ部10とCPU21で請求項中の異常発生検出手段を実現する場合について説明するが、例えば、センサ部10で異常発生を検出したときに、異常発生検出信号をMPU20に出力することで、センサ部のみで前記異常発生検出手段を実現する構成とすることもできる。
【0016】
MPU20は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)21、CPU21のためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM22、各種のデータを格納するとともにCPU21の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM23等を有して構成している。そして、ROM22には、上述した図1に示す請求項中の点検要求検出手段21a、警報原因情報通知手段21b、点検手段21c、点検中止要求検出手段21d等の各種手段としてCPU21を機能させるための警報原因通知・点検処理プログラムを記憶している。
【0017】
MPU20には、装置本体がオフ状態の間も記憶内容の保持が可能な電気的消去/書き換え可能な読み出し専用のメモリ部24が接続されている。メモリ部24には、EEPROM等が用いられ、警報原因情報24a等の各種情報を記憶している。該警報原因情報24aは、CPU21によって警報部30で警報を行う度に、その警報原因が追加更新される。
【0018】
警報原因情報24aは、点検モードに移行前に発生した警報の原因を通知するためのデータを有している。なお、本実施例における警報の原因としては、火災、CO、都市ガス等を原因とし、その識別が可能な識別データ等を警報原因情報24aに設定している。そして、警報原因情報24aは、点検モード移行直前の警報原因としたり、点検モード移行前の複数回数分の警報原因とするなど警報器1の仕様等に応じて任意に設定することができる。なお、警報原因情報24aの構成は、警報原因を識別するデータ以外に、警報発生日時等の各種データを追加するなど任意に設定することができる。
【0019】
警報部30は、MPU20と電気的に接続され、且つ、警報表示部31と、警報音出力部32と、を有している。警報表示部31は、図2に示すように、赤色等の火災警報ランプ31aと、黄色等のCOガス警報ランプ31bと、赤色等の都市ガス警報ランプ31cと、を有している。火災警報ランプ31aは、火災発生(異常発生)の検出に応じてCPU21によって点灯される。COガス警報ランプ31bは、COガス漏れ発生(異常発生)の検出に応じてCPU21によって点灯される。都市ガス警報ランプ31cは、都市ガス漏れ発生(異常発生)の検出に応じてCPU21によって点灯される。
【0020】
警報音出力部32は、MPU20と電気的に接続され、且つ、図示しない警報音声出力回路とスピーカとを有している。前記警報音声出力回路は、CPU21によって制御され、CPU21によって要求された警報音声、警報音等に対応した警報信号を前記スピーカに出力する。前記スピーカは、前記警報音声出力から入力された警報信号等を外部に出力する。
【0021】
このように本実施例では、警報表示部31と警報音出力部32とを有する警報部30によって請求項中の警報手段を実現する場合について説明するが、警報表示部31と警報音出力部32との何れか一方からなる警報部30で実現するなど種々異なる実施例とすることができる。
【0022】
点検スイッチ40は、MPU20と電気的に接続され、且つ、図2に示すように、警報器1の外部に引き出された引き紐41が接続され、作業者等によって点検時に引き紐41を介して押下される操作スイッチ等が用いられる。この点検スイッチ40は、引き紐41が押下されたことを示す操作信号をその押下操作に応じてMPU20に出力する。そして、CPU21は、点検スイッチ40からの操作信号の入力を検出することで、ガス警報器1の外部からの点検要求の発生を検出して請求項中の点検要求検出手段として機能することになる。
【0023】
電源ランプ50は、MPU20と電気的に接続され、且つ、CPU21によって点灯/消灯が制御される緑色のLED等が用いられる。電源ランプ50は、ガス警報器1が電力の供給を受けて動作している通常モードのときは点灯状態となり、通常モードから切り換えられて点検モード中は点滅状態となる。
【0024】
次に、上述したCPU21が実行する本発明に係る警報原因通知・点検処理の一例を、図4に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0025】
CPU21によって警報原因通知・点検処理プログラムが実行されると、ステップS11(点検要求検出手段、点検要求検出過程)において、点検スイッチ40からの操作信号の入力の有無に基づいて、点検スイッチ40が押下されたか否かが判定される。点検スイッチ40が押下されていない、つまり点検要求を検出していないと判定された場合(S11でN)、ステップS15に進む。一方、点検スイッチ40が押下された、つまり点検要求を検出したと判定された場合(S11でY)、ステップS12に進む。
【0026】
ステップS12において、メモリ部24から表示対象となる警報原因情報が取得され、ステップS13(警報原因情報通知手段、警報原因情報通知過程)において、該警報原因情報24aが示す警報原因が特定され、その警報原因に対応したランプの表示が警報表示部31に要求されることで、例えば、警報原因情報に”火災”が設定されている場合、火災警報ランプ31aが所定通知時間(例えば、5秒等)にわたって点滅され、その後ステップS14に進む。
【0027】
これにより、作業者等は警報原因が火災警報であったことを確認することができる。なお、警報原因情報24aが複数種類の警報原因を示している場合は、該当する複数のランプを同時点滅、交互に点灯など種々異なる通知形態とすることができる。
【0028】
ステップS14(点検手段、点検過程)において、点検処理が実行されることで、公知であるように、警報音出力部32から予め定められた各種警報音声、警報音等を出力させると共に、警報表示部31の火災警報ランプ31a、COガス警報ランプ31b、都市ガス警報ランプ31c等の各々をフラッシュ点灯させることで、作業者に警報部30の動作を点検(確認)させ、その後、ステップS15に進む。なお、点検処理については、センサ部10に点検ガスを吹きかける等によって点検を行うなど点検内容は任意に定めることができる。
【0029】
ステップS15において、終了要求を受けたか否かが判定される。終了要求を受けていないと判定された場合(S15でN)、ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、終了要求を受けたと判定された場合(S15でY)、処理を終了する。
【0030】
次に、上述した構成による実施例1に係る警報器1の動作(作用)の一例を、図5のタイミングチャートを参照して以下に説明する。
【0031】
時間t1において、ガス警報器1は、点検スイッチ40の操作確定時間T1にわたる操作の検出により点検操作を確定すると、警報音出力部32から「ピッ」という確定音を出力する。そして、点検スイッチ40の操作が解除されると、時間t2において、メモリ部24の警報原因情報24aが示すCOガス警報ランプ31bを点滅させることで、点検モード前に発生した警報原因情報の通知を開始する。そして、時間t3において、所定通知時間T2が経過すると、点検モードを開始する。
【0032】
点検モードのガス警報器1は、電源ランプ50を点灯状態から点滅状態に切り替えるとともに、警報表示部32を点検時間T3(例えば7.5秒)毎に予め定められた表示パターンで各ランプを点灯(フラッシュ)させる。例えば、最初の点検時間T3では、火災警報ランプ31aとCOガス警報ランプ31bを点灯させ、次の点灯時間T3では、火災警報ランプ31aのみを点灯させ、次の点灯時間T3では、都市ガス警報ランプ31cのみを点灯させ、最後の点灯時間T3では、COガス警報ランプ31bのみを点灯させる。
【0033】
また、警報音出力部32は、点検時間T3(例えば7.5秒)毎に、「ピィーポォー ピィーポォー 火事です 火事です」、「ピィーポォー ピィーポォー 火災警報器が作動しました確認して下さい」、「ピッポッピッポッ ガスが漏れていませんか」、「ピッポッピッポッ 空気が汚れて危険です・・・」等の警報音を切り換えて出力する。そして、時間t4において、ガス警報器1は点検処理が終了すると、警報音出力部32から「ピー」という点検モード終了音を出力して、通常モードに復帰する。
【0034】
以上説明した実施例1に係る本発明のガス警報器1によれば、外部からの点検要求の検出に応じて警報原因情報を通知し、該通知が終了した後に警報部30を点検するようにしたことから、点検動作を開始する前に警報原因情報を作業者が迅速に確認することができるため、時間の無駄を省くことができる。従って、新たな構成を追加することなく、既存の点検要求を用いて迅速に警報原因を確認することができる。
【実施例2】
【0035】
上述した実施例1では、警報原因情報を通知すると直ぐに点検モードを開始するガス警報器1について説明したが、このガス警報器1では点検動作によって警報音、警報音声等を外部に出力するため、従来の警報器と同様に、深夜等の音を出力したくないときに点検モードを動作させにくいという問題が生じる。
【0036】
そこで、実施例2では、このような問題を発生させることなく、点検要求によって警報原因情報を通知することができるガス警報器1の一例を以下に説明する。なお、ガス警報器1における構成は同一であるため、説明を簡単化するために、異なる部分のみを説明する。
【0037】
図2及び図3において、ガス警報器1は、センサ部10と、マイクロプロセッサユニット(MPU)20と、警報部30と、点検スイッチ40と、電源ランプ50と、を有している。
【0038】
メモリ部24には、上述した警報原因情報24aの他に、請求項中の所定監視時間を示す所定監視時間情報(図示せず)を記憶している。所定監視時間情報は、警報原因情報24aの通知が完了してから点検中止要求を監視する予め定められた監視時間を示し、該監視時間は作業者、ガス警報器1の製造元等によって任意に設定することができる。
【0039】
次に、上述したCPU21が実行する本発明に係る警報原因通知・点検処理の一例を、図6に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0040】
CPU21によって警報原因通知・点検処理プログラムが実行されると、ステップS31(点検要求検出手段、点検要求検出過程)において、点検スイッチ40からの操作信号の入力の有無に基づいて、点検スイッチ40が押下されたか否かが判定される。点検スイッチ40が押下されていないと判定された場合(S31でN)、ステップS38に進む。一方、点検スイッチ40が押下されたと判定された場合(S31でY)、ステップS32に進む。
【0041】
ステップS32において、メモリ部24から表示対象となる警報原因情報が取得され、ステップS33(警報原因情報通知手段、警報原因情報通知過程)において、該警報原因情報24aが示す警報原因が特定され、その警報原因に対応したランプの表示が警報表示部31に要求されることで、例えば、警報原因情報に”火災”が設定されている場合、火災警報ランプ31aが所定通知時間(例えば、5秒等)にわたって点滅され、その後ステップS34に進む。
【0042】
ステップS34において、メモリ部13に予め記憶された所定監視時間情報が示す所定監視時間が経過するとタイムアウトする監視タイマがスタートされ、ステップS35において、上述したステップS31と同様に、点検スイッチ40が押下されたか否かが判定される。点検スイッチ40が押下されたと判定された場合(S35でY)、点検中止要求が発生していると見なされ、ステップS38に進む。一方、点検スイッチ40が押下されていないと判定された場合(S35でN)、ステップS36に進む。
【0043】
ステップS36において、監視タイマがタイムアウトしたか否かが判定される。タイムアウトしていない、つまり、所定監視時間が経過していないと判定された場合(S36でN)、ステップS35に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、タイムアウトしている、つまり、所定監視時間が経過したと判定された場合(S36でY)、ステップS37に進む。
【0044】
ステップS37(点検手段、点検過程)において、点検処理が実行されることで、公知であるように、警報音出力部32から予め定められた各種警報音声、警報音等を出力させると共に、警報表示部31の火災警報ランプ31a、COガス警報ランプ31b、都市ガス警報ランプ31c等の各々をフラッシュ点灯させることで、作業者に警報部30の動作を点検(確認)させ、その後、ステップS38に進む。
【0045】
ステップS38において、終了要求を受けたか否かが判定される。終了要求を受けていないと判定された場合(S38でN)、ステップS31に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、終了要求を受けたと判定された場合(S38でY)、処理を終了する。
【0046】
次に、上述した構成による実施例2に係る警報器1の動作(作用)の一例を、以下に説明する。
【0047】
ガス警報器1は、作業者等による点検スイッチ40の操作の検出すると、警報音出力部32から「ピッ」という確定音を出力する。そして、メモリ部24の警報原因情報24aが示すCOガス警報ランプ31bを点滅させることで、点検モード前に発生した警報原因情報の通知を開始し、前記所定通知時間T2が経過すると、その通知を終了する。
【0048】
そして、ここから所定監視時間にわたって点検スイッチ40の作業者等による操作の有無を監視する。所定監視時間中に点検スイッチ40が操作されたことを検出すると、点検中止要求が発生したと判定し、点検を行わずに通常モードに復帰する。
【0049】
一方、所定監視時間中に点検スイッチ40の操作を検出しなかった場合、実施例1で説明したように、電源ランプ50を点灯状態から点滅状態に切り替えるとともに、警報表示部32を点検時間T3(例えば7.5秒)毎に予め定められた表示パターンで各ランプを点灯(フラッシュ)させる。また、警報音出力部32は、点検時間T3(例えば7.5秒)毎に、「ピィーポォー ピィーポォー 火事です 火事です」、「ピィーポォー ピィーポォー 火災警報器が作動しました確認して下さい」、「ピッポッピッポッ ガスが漏れていませんか」、「ピッポッピッポッ 空気が汚れて危険です・・・」等の警報音を切り換えて出力する。そして、ガス警報器1は点検処理が終了すると、警報音出力部32から「ピー」という点検モード終了音を出力して、通常モードに復帰する。
【0050】
以上説明した実施例2に係る本発明のガス警報器1によれば、外部からの点検要求の検出に応じて警報原因情報を通知し、該通知が終了した後に警報部30を点検するようにしたことから、点検動作を開始する前に警報原因情報を作業者が迅速に確認することができるため、時間の無駄を省くことができる。従って、新たな構成を追加することなく、既存の点検要求を用いて迅速に警報原因を確認することができる。
【0051】
また、警報原因情報24aを通知してから所定監視時間が経過するまでは点検中止要求を発生を監視し、該点検中止要求を検出したときは、点検を中止するようにしたことから、警報音、警報音声等を出力したくない時間でもの点検要求によって警報原因情報24aを確認することができるため、作業効率を向上させることができる。また、所定監視時間内に点検中止要求の発生を検出しなかったときは継続して点検を行うため、点検の開始までに所定監視時間が介在することになり、作業者は点検開始タイミングを把握し易くなるため、点検作業のミスを防止して作業効率の向上に貢献することができる。
【0052】
なお、上述した実施例2では、所定監視時間内に点検スイッチ40の操作を検出したときにそれを点検中止要求として検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、所定監視時間内に点検スイッチ40が操作されなかったときに点検中止が要求されたと判定する実施例とすることもできる。
【0053】
このように上述した実施例1,2に係る実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0054】
また、上述した実施例1,2では、本発明の警報器をガス警報器1に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、火災警報器、ガス漏れ警報器などの点検モードを有する各種警報器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の警報器の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明のガス警報器の外観を示す正面図である。
【図3】本発明のガス警報器の概略構成の一例を示す構成図である。
【図4】図3のCPUが実行する実施例1に係る警報原因通知・点検処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】実施例1に係るガス警報器の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】図3のCPUが実行する実施例2に係る警報原因通知・点検処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 警報器(ガス警報器)
10 異常発生検出部(センサ部)
21a 点検要求検出手段(CPU)
21b 警報原因情報通知手段(CPU)
21c 点検手段(CPU)
21d 点検中止要求検出手段(CPU)
24a 警報原因情報記憶手段(メモリ部)
30 警報手段(警報部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域における異常発生を検出する異常発生検出手段と、前記異常発生検出手段が検出した異常発生を警報する警報手段と、を有する警報器において、
前記警報手段が警報した原因を示す警報原因情報を記憶する警報原因情報記憶手段と、
外部からの点検要求を検出する点検要求検出手段と、
前記点検要求検出手段による点検要求の検出に応じて、前記警報原因情報記憶手段が記憶している警報原因情報を通知する警報原因情報通知手段と、
前記警報原因情報通知手段が警報原因情報を通知した後に、前記異常発生検出手段及び前記警報手段の少なくとも一方の点検を行う点検手段と、
を有することを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記警報原因情報通知手段が警報原因情報を通知してから所定監視時間の間に発生する点検中止要求を検出する点検中止要求検出手段を有し、
前記点検手段が、前記点検中止要求検出手段による点検中止要求の検出に応じて前記点検を中止し、且つ、前記所定監視時間の間に前記点検中止要求検出手段によって点検中止要求が検出されなかったときに前記点検を行う手段であることを特徴とする請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
監視領域における異常発生を検出する異常発生検出手段と、前記異常発生検出手段が検出した異常発生を警報する警報手段と、前記警報手段が警報した原因を示す警報原因情報を記憶する警報原因情報記憶手段と、を有する警報器の点検方法であって、
外部からの点検要求を検出する点検要求検出過程と、
前記点検要求の検出に応じて、前記警報原因情報記憶手段が記憶している警報原因情報を通知する警報原因情報通知過程と、
前記警報原因情報を通知した後に、前記異常発生検出手段及び前記警報手段の少なくとも一方の点検を行う点検過程と、
を有することを特徴とする警報器の点検方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−37428(P2009−37428A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201257(P2007−201257)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】