説明

警報器

【課題】フェールセーフ性が高く、より安全性の高い警報器を提供する。
【解決手段】警報器において、増幅手段31に入力する第1検査信号を発生する第1検査信号発生手段11bと、増幅手段31が増幅した検査信号が予め定められた判定条件を満たしているときに増幅手段31が正常であると診断する第1診断手段33aと、警報信号出力手段32に入力する第2検査信号を発生する第2検査信号発生手段11cと、第2検査信号発生手段11cにて発生した第2検査信号が警報信号出力手段32に入力されるときに警報信号出力手段32が正常であると診断する第2診断手段33bと、第1診断手段33a及び第2診断手段33bの各診断結果に基づいて、増幅手段31及び前記警報信号出力手段32の故障箇所を特定する故障箇所特定手段11dと、故障箇所特定手段11dが特定した故障箇所を報知する報知手段40と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器に関し、より詳細には、異常事態の発生に応じて警報信号を増幅手段で増幅して警報信号出力手段から外部に出力する警報器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般住宅、ビル等には、ガス漏れや一酸化炭素ガスを検出して警報を発するガス漏れ警報器、火災の発生を検知して警報を発する火災警報器等の警報器が設置されており、該警報器の警報によって異常事態の発生を迅速に利用者等に認識させることで、各種異常事態による事故発生の未然防止が図られてきた。このような警報器は、異常事態の発生を検出すると、ブザー音、電子音、音声等の警報信号を発生し、該音声信号を増幅回路で増幅してスピーカーを介して外部に出力することで、利用者等に対して警報を行っている。
【0003】
このような警報器において、警報信号の出力に関するスピーカー、アンプ等の警報部品が故障していると、警報音を発することができないという警報器としては致命的な問題が生じるため、近年では、特許文献1に示すように、警報部品に警報検査信号を出力し、その検査信号を検出できた場合に警報部品が正常であると判定する機能を有するものが知られている。
【特許文献1】特開2005−202624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した警報器では、警報信号の出力系統に故障が発生していることは分かっても、どの警報部品が故障しているかをメンテナンス作業者、利用者等が速やかに検出することができなかったため、メンテナンス作業者が故障の原因、全ての警報機器を検査して故障箇所を解明する、若しくは、出力系統の警報部品を全て交換して対応する等の作業が必要があり、警報器のメンテナンス性を低下させる原因となっていた。そのため、警報器の安全を保障するための機構(フェールセーフ)が弱くなり、安全性を高めることが困難であった。
【0005】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、フェールセーフ性が高く、より安全性の高い警報器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の警報器は、図1の基本構成図に示すように、異常事態の発生を検出する異常状態検出手段20と、前記異常状態検出手段20による異常事態の発生の検出に応じて警報信号を発生する警報信号発生手段11aと、前記警報信号発生手段11aが発生した警報信号を増幅する増幅手段31と、前記増幅手段31が増幅した警報信号を外部に出力する警報信号出力手段32と、を有する警報器において、前記増幅手段31に入力する第1検査信号を発生する第1検査信号発生手段11bと、前記増幅手段31が増幅した第1検査信号が予め定められた判定条件を満たしているときに前記増幅手段31が正常であると診断する第1診断手段33aと、前記警報信号出力手段32に入力する第2検査信号を発生する第2検査信号発生手段11cと、前記第2検査信号発生手段11cにて発生した第2検査信号が前記警報信号出力手段32に入力されるときに、前記警報信号出力手段32が正常であると診断する第2診断手段33bと、前記第1診断手段33a及び前記第2診断手段33bの各診断結果に基づいて、前記増幅手段31及び前記警報信号出力手段32の故障箇所を特定する故障箇所特定手段11dと、前記故障箇所特定手段11dが特定した故障箇所を報知する報知手段40と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記請求項1に記載した本発明の警報器によれば、工場出荷時、設置後等に第1検査信号発生手段11bにて発生した第1検査信号が増幅手段31に入力されると、第1診断手段33aは該検査信号が判定条件を満たしているときに正常と診断し、また、判定条件を満たしていないときに異常と判定する。そして、第2診断手段33bは第2検査信号発生手段11cが発生した第2検査信号が警報信号出力手段32に入力されるときに正常と診断し、また、警報信号出力手段32に入力されないときに異常と診断する。故障箇所特定手段11dは、第1診断手段33a及び第2診断手段33bの各診断結果に基づいて、増幅手段31及び警報信号出力手段32の故障箇所を特定すると、報知手段40は、故障箇所特定手段11dが特定した故障箇所を報知する。
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の警報器において、前記第1検査信号発生手段11b及び前記第2検査信号発生手段11cが、予め定められた所定間隔で前記第1検査信号及び前記第2検査信号を発生し、かつ、少なくとも一方の前記第1診断手段33a及び前記第2診断手段33bによる異常との診断に対応した前記第1検査信号発生手段11b又は前記第2検査信号発生手段11cが前記所定間隔よりも短い時間で再検査信号を発生するとともに、前記故障箇所特定手段11dが、前記第1診断手段33a及び前記第2診断手段33bの前記再検査信号に対する各診断結果に基づいて、前記増幅手段31及び前記警報信号出力手段32の故障箇所を特定するようにしたことを特徴とする。
【0009】
上記請求項2に記載した本発明の警報器によれば、第1検査信号発生手段11b及び第2検査信号発生手段11cは、予め定められた所定間隔で第1検査信号及び第2検査信号を発生するとともに、第1診断手段33a及び第2診断手段33bのうちの少なくとも一方が異常と診断されると、少なくとも該診断に対応する第1検査信号発生手段11b又は第2検査信号発生手段11cが所定間隔よりも短い時間で再検査信号を発生する。そして、故障箇所特定手段11cは該再検査信号に対する第1診断手段33a及び第2診断手段33bの各診断結果に基づいて増幅手段31及び警報信号出力手段32の故障箇所を特定する。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の警報器によれば、第1診断手段と第2診断手段で増幅手段及び警報信号出力手段の異常を診断し、各診断結果に基づいて増幅手段及び警報信号出力手段の故障箇所を特定して、該故障箇所を報知するようにしたことから、警報信号の出力ができないこととその故障箇所をメンテナンス作業者等に認識させることができるため、速やかに故障箇所を修理することができ且つメンテナンス作業の効率を向上させることができる。従って、警報器のフェールセーフ性を高めて、安全性をより高めることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、第1診断手段と第2診断手段の何れかで異常と診断すると、次の定期的な点検信号が発生する前に再検査信号を発生し、該再検査信号に対応する診断結果に基づいて増幅手段及び警報信号出力手段の故障箇所を特定するようにしたことから、特定する故障箇所の信頼性を向上することができるため、誤報知を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る警報器をガス漏れ警報器として適用する場合の一実施の形態を、図2〜図4の図面を参照して説明する。
【0013】
図2乃至図3において、警報器1は、合成樹脂等で略箱状に形成されており、周知であるように、その感知性能に応じた設置場所に設置される。警報器1は、マイクロプロセッサ(MPU)10と、ガスセンサ20と、警報部30と、電源ランプ40と、外部出力部50と、を有している。MPU10には、ガス検出部20、警報部30、電源ランプ40、外部出力部50等が電気的に接続されている。警報器1は、電源部5によって商用電源、電池等から各部の動作に必要な電力が生成されて動作する。
【0014】
MPU10は、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)11、CPU11のためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM12、各種のデータを格納するとともにCPU11の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM13等を有して構成している。
【0015】
ガス検出部20は、例えば、半導体ガスセンサ、接触燃焼式ガスセンサ等の各種ガスセンサが用いられ、筐体に形成した複数のスリット等から流入するガスの濃度等を検出し、その濃度等に応じた検出信号をMPU10に出力する。
【0016】
警報部30は、図3に示すように、増幅手段であるフィルタ増幅部31と、警報信号出力手段であるスピーカー32と、故障診断部33と、を有している。
【0017】
フィルタ増幅部31は、その入力とMPU10のポート10aとをカップリングコンデンサC1を介して接続しており、MPU10から警報信号、第1検査信号等の各種信号が入力される構成となっている。入力される信号が音声信号である場合は、カップリングコンデンサC1によって直流成分がカットされる。
【0018】
フィルタ増幅部31は、オーディオアンプ31aと3つの抵抗R1〜R3と2つのコンデンサC2,3を有しており、周知である低域通過アクティブフィルタを有する増幅回路を形成している。オーディオアンプ31aは、その入力端子から入力された信号を増幅し、増幅信号(アナログ信号)として出力端子から出力する。
【0019】
フィルタ増幅部31は、その出力がカップリングコンデンサC4を介してスピーカー32に接続されており、オーディオアンプ31aから出力された増幅信号をスピーカー32に出力すると、カップリングコンデンサC4によって直流成分がカットされた増幅信号がスピーカー32に入力される。
【0020】
なお、本最良の形態では、増幅手段をフィルタを有するフィルタ増幅部31で実現する場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、増幅回路のみ構成したり。増幅回路、フィルタ回路、音声ICを有するように構成するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0021】
カップリングコンデンサC4は、MPU10のポート10aより出力される第1検査信号が数十Hzと低い周波数を使用する必要があるため、カップリングコンデンサC4のインピーダンスがスピーカー32のインピーダンスよりも大きくなる関係に設定されている。つまり、スピーカー32に入力される低周波信号がオーディオアンプ31aから出力された信号に比べて大幅に減衰するようにしている。よって、第1検査信号の振幅レベルを下げることで、スピーカー32に印加される電圧を低く抑え、スピーカー32の第1検査信号の発音を防ぐことができる。なお、第1検査信号が可聴域であっても、第1検査信号の振幅レベルを下げることで、スピーカー32からの発音を防ぐことができる。
【0022】
スピーカー32は、周知であるスピーカーが用いられ、接地されている。スピーカー32は、フィルタ増幅部31から入力された増幅信号を音に変換して警報器1の外部に出力する。
【0023】
故障診断部33は、請求項中の第1故障診断手段及び第2故障診断手段である。なお、本実施形態における故障診断部33は一例であり、その構成は任意に形成することができる。
【0024】
トランジスタQ1は、エミッタが基準の電源部5に接続され、コレクタが抵抗R6を介してカップリングコンデンサC4とスピーカー32との間に接続されかつダイオードD1のアノードに接続され、ベースがMPU10のポート10bに抵抗R5を介して接続されている。診断切替部34は、トランジスタQ1のベースがCPU11によってON/OFF制御によって切り替えられる。
【0025】
トランジスタQ2は、ベースが抵抗R7を介してダイオードD1のカソード及びコンデンサーC5に接続され、コレクタが抵抗R9を介して電源部5に接続されかつMPU10のポート10cに接続され、エミッタが接地されている。
【0026】
ダイオードD1は、アノードがカップリングコンデンサC4とスピーカー32との間に接続されかつ抵抗R6を介してトランジスタQ1のコレクタに接続されており、電流の逆流を防止している。
【0027】
コンデンサーC5は、MPU10のポート10aより出力される数十Hzの第1検査信号に対して、コンデンサーC5のインピーダンスが抵抗R7,R8よりも小さくなるように設定されており、オーディオアンプ31aから出力された検査信号等が減衰することなく図3中のポイントP1に到達するようになっている。このようにオーディオアンプ31aから出力された第1検査信号は、カップリングコンデンサC4の経路を通過するとともに、コンデンサーC5が設けられた経路も通過する。
【0028】
ただし、前述したように、カップリングコンデンサC4の経路は、カップリングコンデンサC4のインピーダンスがスピーカー32のインピーダンスよりも大きい関係により、スピーカー32に入力される信号は大幅に減衰する。
【0029】
ここで、上述した構成の故障診断部33の動作の一例を説明する。
【0030】
まず、フィルタ増幅部31の故障診断方法について説明する。フィルタ増幅部31が異常の場合、MPU10のポート10aによって出力されたた第1検査信号(数十Hz)は、オーディオアンプ31aから出力されず、トランジスタQ2はON/OFFしないため、MPU10のポート10cは変化しない。よって、検査信号を発生しているときに、ポート10cが変化しない場合、MPU10ではフィルタ増幅部31が異常であると診断することができる。
【0031】
フィルタ増幅部31が正常の場合、MPU10のポート10aによって出力された第1検査信号は、フィルタ増幅部31を通って増幅され、カップリングコンデンサC4の経路を減衰しながら通過するとともに、コンデンサC5の経路を減衰なく通過する。そして、トランジスタQ2は、検査信号の周波数(例えば、20Hzなど)と同様の周期でON/OFFすることになる。この変化をMPU10のポート10cにより検出することで、フィルタ増幅部31が正常であると診断することができる。
【0032】
次に、警報信号出力手段であるスピーカー32の故障診断方法について説明する。スピーカー32の故障診断を行う場合、MPU10のポート10bよりLow信号である第2診断信号が出力されてトランジスタQ1がONする。スピーカー32が正常の場合、図3中のポイントP2の電圧は零に近くなる(抵抗R6のインピーダンスがスピーカー32のインピーダンスよりも十分大きいため)ことから、トランジスタQ2はOFFのままとなるため、該電圧によってトランジスタQ2をONに切り替えることはなく、OFFのままとなる。これをMPU10のポート10cの電圧値より検出することで、MPU10はスピーカー32が正常であると診断することができる。
【0033】
さらに、スピーカー32が異常断線の場合、ポイントP2の電圧はトランジスタQ2が十分ONできる電圧値となるため(抵抗R6のインピーダンスが抵抗R7と抵抗R8との合成インピーダンスに対して十分小さいため)、トランジスタQ2はONとなる。よって、MPU10のポート10cの電圧は零に近くなることから、スピーカー32が異常であるとMPU10が診断できる。
【0034】
以上説明したように本実施形態では、フィルタ増幅部31が増幅した検査信号が、検査信号の周波数と同様の周期で出力された、若しくは、単に出力された(予め定められた判定条件)ことをトランジスタQ2のON/OFF若しくはON状態と捉えることで、フィルタ増幅部31が正常であると診断するように第1診断手段を構成している。また、トランジスタQ1がONしたときに抵抗R6を介してスピーカー32に電流が流れたことをトランジスタQ2のOFFとして捉えることで、スピーカー32が正常であると診断するように第2診断手段を構成している。
【0035】
よって、上述した警報器1の構成から、コンデンサーC5を削除すれば、第2診断手段のみを有する警報器1とすることができる。つまり、第2診断手段を有する警報器1であれば、コンデンサーC5を1個追加するだけで、第1診断手段を実現できることになる。
【0036】
なお、上述した第1診断手段の予め定められた判定条件としては、フィルタ増幅部31が増幅した検査信号が、検査信号の周波数と同様の周期で出力されたことのみを判定条件とするなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0037】
電源ランプ40は、図示しないがランプと駆動部を有しており、電源部5からの電力供給されている間は、ランプは点灯した状態となっている。そして、駆動部はCPU11からの要求に応じて点滅制御が可能な構成となっている。外部出力部50は、外部機器と接続して、MPU10と外部機器との間で各種データの送受信を可能としている。
【0038】
ROM12は、請求項中の警報信号発生手段、第1検査信号発生手段、第2検査信号発生手段、及び、故障箇所特定手段や周知であるガス警報器としての機能を実現するため手段等の各種手段としてCPU(コンピュータ)11を機能させるための各種プログラム、テーブル等のデータを予め記憶している。CPU11は、プログラムを実行することで、ガス検出部20からの検出信号に基づいてガス漏れ(異常事態)の発生を検出すると、フィルタ増幅部31に対してポート10aを介して警報信号を出力する(警報信号発生手段)。その結果、警報信号はフィルタ増幅部31で増幅されてスピーカー32から警報器1の外部に出力される。
【0039】
次に、警報器1のCPU11が実行する本発明に係る自己診断処理の一例を、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
なお、自己診断処理は、例えば1日に1回、つまり24時間毎(所定間隔)に上位モジュールから起動されることを前提とした場合について説明するが、所定間隔は任意に設定することができる。また、警報器1の工場出荷時等に診断する場合に、所定の操作で自己診断処理を実行させるようにすることもできる。
【0041】
ステップS11(第1検査信号発生手段)において、ポート10aの切り換えを制御することで、検査信号が警報部30のフィルタ増幅部31に出力され、その後ステップS12に進む。なお、検査信号の周波数は、警報器1の周囲等の利用者に聞こえないように、可聴範囲外の周波数が望ましいが、可聴範囲内であっても、第1検査信号のレベルを小さくすることで、スピーカー32に入力される電圧レベルを小さくできるため、発音を防止できる。
【0042】
なお、本実施形態においては、フィルタ増幅部31が低域通過アクティブフィルタを有していることから、第1検査信号を高周波信号とすれば、低域通過アクティブフィルタを通過することで信号が減衰するため、検査信号は必然的に低周波数信号となる。
【0043】
ステップS12において、ポート10cからトランジスタQ2のON/OFF状態がサンプリングされてON/OFF状態データとしてRAM13に時系列的に記憶され、その後ステップS13に進む。この処理によってRAM13には、所定時間に亘るトランジスタQ2のON/OFF状態データが記憶されることになる。
【0044】
ステップS13において、RAM13のON/OFF状態に基づいて、トランジスタQ2のON−OFFが正常であるか否かが判定される。正常である、つまり、第1検査信号がフィルタ増幅部31から正常に出力されたか否かが判定されたと判定された場合は(S13でY)、フィルタ増幅部31は正常と判定され、ステップS14に進む。
【0045】
ステップS14(第2検査信号発生手段)において、警報部30のトランジスタQ1をONさせるために、ポート10bよりLow信号である第2検査信号が出力され、ステップS15に進む。
【0046】
ステップS15において、ポート10cからトランジスタQ2の状態がRAM13に記憶され、該状態に基づいてトランジスタQ2がOFF状態であるか否かが判定される。トランジスタQ2がOFF状態と判定された場合は(S15でY)、スピーカー32は正常と判定され、自己診断処理は終了する。一方、トランジスタQ2がOFF状態ではないと判定された場合は(S15でN)、ステップS16において、スピーカー32の異常を示す異常データがRAM13に記憶され、その後ステップS18に進む。
【0047】
また、ステップS13でトランジスタQ2のON−OFFが正常ではない、つまり、第1検査信号がフィルタ増幅部31から正常に出力されていないと判定された場合は(S13でN)、フィルタ増幅部31は異常と判定され、ステップS17において、フィルタ増幅部31の異常示す異常データがRAM13に記憶され、その後ステップS18に進む。
【0048】
ステップS18において、RAM13の再診断フラグがONであるか否かが判定される。フラグがONではないと判定された場合は(S18でN)、ステップS19において、所定時間(例えば、1時間など)が経過するとタイムアウトするタイマがスタートされ、その後ステップS20に進む。
【0049】
ステップS20において、タイマがタイムアウトしたか否かが判定される。タイムアウトしていないと判定された場合は(S20でN)、この判定処理を繰り返すことで、タイムアウトを待つ。一方、タイムアウトしたと判定された場合は(S20でY)、ステップS21において、RAM13の再診断フラグにONが設定され、その後ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される、つまり、再度診断が行われることになる。
【0050】
また、ステップS18で再診断フラグがONであると判定された場合は(S20でY)、ステップS22(故障箇所特定手段)において、RAM13の異常データに基づいて故障箇所が特定され、その故障箇所を示す故障箇所データがRAM13に記憶され、その後ステップS23に進む。なお、故障箇所の特定方法の一例としては、今回の異常データに基づいて特定する、今回と前回の異常データに基づいて特定するなど種々異なる方法とすることができる。
【0051】
ステップS23において、RAM13の故障箇所データが示す故障箇所に対応して予め定められた点滅パターンで点灯制御を要求する要求情報が電源ランプ40に出力され、その後処理を終了する。この処理に応じて電源ランプ40は、要求された点滅パターンとなるように点灯/消灯する。例えば、点滅パターンの区別がつくように、フィルタ増幅部31を長めの点滅、スピーカー32を短めの点滅としている。
【0052】
次に、上述した本発明の警報器1の自己診断処理を実行した場合の動作(作用)の一例を以下に説明する。
【0053】
まず、フィルタ増幅部31が異常かつスピーカー32が正常若しくは異常の場合、警報器1は、第1検査信号をフィルタ増幅部31に入力しても、トランジスタQ2はOFF状態のままであることを検出することになる。そして、所定時間が経過した後に、再検査信号をフィルタ増幅部31入力するが、トランジスタQ2はOFF状態のままであることから、故障箇所をフィルタ増幅部31として特定し、該フィルタ増幅部31の異常を示す点滅パターンで電源ランプ40が点滅する。
【0054】
また、フィルタ増幅部31が正常かつスピーカー32が異常の場合、警報器1は、トランジスタQ1をONさせてスピーカー32に電流が流れるように動作させると、トランジスタQ2はON状態のままであることを検出することになる。そして、所定時間が経過した後に、再検査信号をスピーカー32に入力するが、トランジスタQ2はON状態のままであることから、故障箇所をスピーカー32として特定し、該スピーカー32の異常を示す点滅パターンで電源ランプ40が点滅する。
【0055】
以上説明した本発明の警報器1によれば、故障診断部33(第1診断手段、第2診断手段)でフィルタ増幅部31及びスピーカー32の異常を診断し、各診断結果に基づいてフィルタ増幅部31及びスピーカー32の故障箇所を特定して、該故障箇所を電源ランプ40の点滅パターンで報知するようにしたことから、警報信号の出力ができないこととその故障箇所をメンテナンス作業者等に認識させることができるため、速やかに故障箇所を修理することができ且つメンテナンス作業の効率を向上させることができる。従って、警報器1のフェールセーフ性を高めて、安全性をより高めることができる。
【0056】
また、故障診断部33で異常と診断すると、次の定期的な点検信号が発生する前に再検査信号を発生し、該再検査信号に対応する診断結果に基づいてフィルタ増幅部31及びスピーカー32の故障箇所を特定するようにしたことから、特定する故障箇所の信頼性を向上することができるため、誤報知を低減することができる。
【0057】
なお、上述した本最良の形態では、第1検査信号及び第2検査信号に対応した各再検査信号を1度のみ出力する場合について説明したが、複数回出力して故障箇所を特定したり、初回に異常を検出したフィルタ増幅部31若しくはスピーカー32に対応した再検査信号を出力して故障箇所を特定するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0058】
なお、上述した本最良の形態では、フィルタ増幅部31及びスピーカー32を故障箇所として特定する場合について説明したが、本発明はこれに限定すれるものではなく、フィルタ増幅部31を構成する部品レベルで異常箇所を特定するようにしてもよい。
【0059】
また、上述した本最良の形態では、本発明の警報器1をガス漏れ警報器に適用した場合について説明したが、本発明は火災警報器、複合型警報器等の各種警報器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の警報器の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る警報器の概略構成の一例を示す構成図である。
【図3】図2中の警報部の一例を説明するための図である。
【図4】図2中のCPUが実行する本発明に係る自己診断処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 警報器
11a 警報信号発生手段(CPU)
11b 第1検査信号発生手段(CPU)
11c 第2検査信号発生手段(CPU)
11d 故障箇所特定手段(CPU)
20 異常状態検出手段(ガス検出部)
31 増幅手段(フィルタ増幅部)
32 警報信号出力手段(スピーカー)
33a 第1診断手段(故障診断部)
33b 第2診断手段(故障診断部)
40 報知手段(電源ランプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常事態の発生を検出する異常状態検出手段と、前記異常状態検出手段による異常事態の発生の検出に応じて警報信号を発生する警報信号発生手段と、前記警報信号発生手段が発生した警報信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段が増幅した警報信号を外部に出力する警報信号出力手段と、を有する警報器において、
前記増幅手段に入力する第1検査信号を発生する第1検査信号発生手段と、
前記増幅手段が増幅した第1検査信号が予め定められた判定条件を満たしているときに前記増幅手段が正常であると診断する第1診断手段と、
前記警報信号出力手段に入力する第2検査信号を発生する第2検査信号発生手段と、
前記第2検査信号発生手段にて発生した第2検査信号が前記警報信号出力手段に入力されるときに、前記警報信号出力手段が正常であると診断する第2診断手段と、
前記第1診断手段及び前記第2診断手段の各診断結果に基づいて、前記増幅手段及び前記警報信号出力手段の故障箇所を特定する故障箇所特定手段と、
前記故障箇所特定手段が特定した故障箇所を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記第1検査信号発生手段及び前記第2検査信号発生手段が、予め定められた所定間隔で前記第1検査信号及び前記第2検査信号を発生し、かつ、少なくとも一方の前記第1診断手段及び前記第2診断手段による異常との診断に対応した前記第1検査信号発生手段又は前記第2検査信号発生手段が前記所定間隔よりも短い時間で再検査信号を発生するとともに、
前記故障箇所特定手段が、前記第1診断手段及び前記第2診断手段の前記再検査信号に対する各診断結果に基づいて、前記増幅手段及び前記警報信号出力手段の故障箇所を特定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−226697(P2007−226697A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49640(P2006−49640)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】