説明

貨幣入出金機

【課題】入金した紙幣または硬貨を出金のための紙幣または硬貨として使用する紙幣または硬貨の入出金機であって、汚損レベルが高いにもかかわらず、汚損されていないと判別された紙幣または硬貨が出金されることを確実に防止する。
【解決手段】第一の判別部5によって、投入された紙幣または硬貨の磁気特性および光学特性が検出されて生成された紙幣または硬貨の磁気データを、第一のしきい値と対比して、投入された紙幣または硬貨が受け入れ可能か否かを判別するコントロールユニットを備え、第一の判別部5が生成した紙幣または硬貨の磁気データに基づいて、コントロールユニットが受け入れ可能と判別し、入金した紙幣または硬貨を出金用の紙幣または硬貨として用いるときに、コントロールユニットが第二の判別部15が生成した紙幣または硬貨の磁気データを、第二のしきい値と対比して、出金に適する紙幣または硬貨のみを出金するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入金された紙幣または硬貨(本明細書においては、これらを総称して、「貨幣」ということがある。)が受け入れ可能か否かを判別し、受け入れ可能な紙幣または硬貨を入金し、入金した紙幣または硬貨を出金のための紙幣または硬貨として使用する貨幣入出金機で、汚損レベルが高いにもかかわらず、汚損された紙幣または硬貨ではないと判別された紙幣または硬貨が出金されることを確実に防止することができる貨幣入出金機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投入された紙幣が受け入れ可能か否かを判別し、受け入れ可能な紙幣を入金し、入金した紙幣を出金のための紙幣として使用する紙幣入出金機は知られており、投入された硬貨が受け入れ可能か否かを判別し、受け入れ可能な硬貨を入金し、入金した硬貨を出金のための硬貨として使用する硬貨入出金機もまた知られている。
【0003】
かかる紙幣入出金機においては、紙幣の光学的データおよび/または磁気データに基づいて、入金された紙幣が真正な紙幣か否かが判別され、偽造紙幣や外国紙幣(本明細書においては、総称して、「偽造紙幣」ということがある。)と判別された紙幣は、ユーザーに返却され、真正な紙幣と判別された紙幣は、収納部内に一括して収納され、一方、入金された紙幣を出金用の紙幣として使用する場合には、収納部から、紙幣が1枚ずつ紙幣出金通路に繰り出され、改めて、紙幣が真正な紙幣か否か、真正な紙幣であるときはその紙幣の金種および紙幣の汚損レベルが判別され、偽造紙幣は紙幣回収部に、真正で汚損レベルが低い紙幣は、金種に応じて、金種別の紙幣収納部に、真正な紙幣であるが汚損レベルが高い紙幣は、汚損紙幣収納部に、それぞれ収納され、金種別の紙幣収納部から紙幣が紙幣出金通路に繰り出されて、出金されるように構成されている。
【0004】
硬貨入出金機においても同様である。
【0005】
かかる紙幣入出金機または硬貨入出金機においては、入金された紙幣または硬貨を判別する際の判別基準と、入金された紙幣または硬貨を出金用の紙幣または硬貨を判別する際の判別基準が、通常、同じに設定するように構成されている。
【0006】
一方、特公平1−27476号公報(特許文献1)には、入金された紙幣が受け入れ可能か否かを判別し、受け入れ可能な紙幣を入金し、入金した紙幣を出金のための紙幣として使用する紙幣入出金機が開示され、特許文献1に記載された紙幣入出金機においては、透過光を利用した紙幣の光学パターンデータ、反射光を利用した紙幣の光学パターンデータおよび磁気ヘッドによって検出された磁気パターンデータに基づいて、紙幣入出金機に入金された紙幣が受け入れ可能か否かが判別されるが、入金された紙幣を出金紙幣として用いる場合には、反射光を利用した紙幣の光学パターンデータのみに基づいて、出金すべき紙幣か否かが判別されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平1−27476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された紙幣入出金機は、入金された紙幣は、入金時に、光学パターンデータおよび磁気パターンデータに基づいて、受け入れ可能な紙幣と判別された紙幣であるから、その紙幣を出金紙幣として使用するにあたって、磁気パターンデータに基づく判別は行わず、光学パターンデータのみに基づいて、その紙幣が出金すべき紙幣か否かを判別すれば十分という考えに基づくものであり、入金された紙幣が出金すべき紙幣か否かを判別する際に用いるファクターの種類を、紙幣入出金機に入金された紙幣が受け入れ可能な紙幣か否かを判別する際に用いるファクターの種類よりも少なくして、紙幣入出金機の効率化を図ったものである。
【0009】
したがって、出金すべき紙幣の判別精度は、入金された紙幣の判別精度よりも低いため、入金時に、真正な紙幣であると判別された紙幣であっても、汚損レベルが所定レベルを越え、出金に適さない汚損紙幣と、汚損レベルが所定レベル以下で、出金に適している汚損されていない紙幣との区別ができず、その結果、出金に適さない汚損紙幣を出金してしまうという問題があった。
【0010】
これに対して、入金された紙幣を判別するために用いるファクターと出金すべき紙幣を判別するために用いるファクターが同じ場合でも、入金時に、汚損レベルは高いが、所定の汚損レベルよりもわずかに低いため、偽造紙幣や外国紙幣などの受け入れ不能な紙幣とは判別されずに、真正の紙幣と判別された紙幣が、出金紙幣として適していないにもかかわらず、出金時の搬送状態によっては、真正で、汚損されていない紙幣と判別されて、出金されるおそれがあった。
【0011】
硬貨入出金機においても、全く同様な問題があった。
【0012】
したがって、本発明は、投入された貨幣が受け入れ可能か否かを判別し、受け入れ可能な貨幣を入金し、入金した貨幣を出金のための貨幣として使用する貨幣入出金機であって、汚損レベルが高いにもかかわらず、汚損された貨幣ではないと判別された貨幣が出金されることを確実に防止することができる貨幣入出金機を提供することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のかかる目的は、投入された貨幣の磁気的特性を検出して、前記貨幣の磁気データを生成する第一の磁気センサと、前記貨幣に光を照射して、前記貨幣によって反射された光を検出して、前記貨幣の光学データを生成する第一の光学センサとを備えた第一の貨幣判別部と、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、真正な貨幣と判別された貨幣を貯留する貨幣貯留手段と、第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、真正な貨幣と判別され、前記貨幣貯留手段に貯留されていた貨幣の磁気的特性を検出して、貨幣の磁気データを生成する第二の磁気センサと、前記貨幣貯留手段に貯留されていた貨幣に光を照射して、貨幣によって反射された光を検出して、貨幣の光学データを生成する第二の光学センサとを備えた第二の貨幣判別部と、貨幣の金種ごとの基準データを記憶する基準データ記憶手段と、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準磁気データとを対比するとともに、前記第一の貨幣判別部によって生成された光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準光学データとを対比して、投入された貨幣の少なくとも真偽および金種を判別するとともに、金種ごとの貨幣枚数を計数し、前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準磁気データとを対比するとともに、前記第二の貨幣判別部によって生成された光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準光学データとを対比して、前記貨幣貯留手段から繰り出された貨幣の少なくとも真偽、金種および汚損レベルを判別し、金種ごとの貨幣枚数を計数する制御手段と、出金すべき貨幣を金種別に収納する複数の貨幣収納手段を備えた貨幣入出金機であって、
前記制御手段が、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準磁気データとを対比して、前記貨幣の前記磁気データとの一致度が第一のしきい値以上の基準磁気データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かおよび前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準光学データとを対比して、前記貨幣の前記光学データとの一致度が第二のしきい値以上の基準光学データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定して、少なくとも貨幣の真偽および金種を判別するとともに、金種ごとの貨幣枚数を計数し、前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準磁気データとを対比して、前記貨幣の前記磁気データとの一致度が前記第一のしきい値よりも大きい値に設定された第三のしきい値以上の基準磁気データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かおよび前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準光学データとを対比して、前記貨幣の前記光学データとの一致度が前記第二のしきい値よりも大きな値に設定された第四のしきい値以上の基準光学データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定して、少なくとも貨幣の真偽、金種および汚損レベルを判別するように構成されたことを特徴とする貨幣入出金機によって達成される。
【0014】
本明細書において、貨幣の真偽を判別するとは、貨幣が真正な貨幣か、偽造貨幣あるいは外国貨幣などの受け入れ不能な貨幣かを判別することをいい、紙幣の真偽を判別するとは、紙幣が真正な紙幣か、偽造紙幣あるいは外国紙幣などの受け入れ不能な紙幣かを、硬貨の真偽を判別するとは、硬貨の真正な硬貨か、偽造硬貨かあるいは外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨かを判別することをいう。
【0015】
本発明によれば、貨幣入出金機は、貨幣取引部に投入された貨幣の磁気データおよび光学データを生成する第一の貨幣判別部と、第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと基準データ記憶手段に記憶された金種別の基準磁気データとを対比し、貨幣の磁気データとの一致度が第一のしきい値以上の基準磁気データが基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定し、第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の光学データと基準データ記憶手段に記憶された金種別の基準光学データとを対比し、貨幣の光学データとの一致度が第二のしきい値以上の基準光学データが基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定して、少なくとも貨幣の真偽および金種を判別する制御手段と、第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、制御手段が真正な貨幣と判定した貨幣を収納する貨幣貯留手段と、貨幣貯留手段内に貯留された貨幣の磁気的特性を検出して、貨幣の磁気データを生成するとともに、貨幣の光学的特性を光学的に検出して、貨幣の光学データを生成する第二の貨幣判別部を備え、制御手段が、第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと基準データ記憶手段に記憶された金種別の基準磁気データとを対比し、貨幣の磁気データとの一致度が第一のしきい値よりも大きい値に設定された第三のしきい値以上の基準磁気データが基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定し、第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の光学データと基準データ記憶手段に記憶された金種別の基準光学データとを対比し、貨幣の光学データとの一致度が第二のしきい値よりも大きい値に設定された第四のしきい値以上の基準光学データが基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定して、少なくとも貨幣の真偽、金種および汚損レベルを判別するように構成され、第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づく判別では、第一のしきい値よりも大きい値に設定された第三のしきい値および第二のしきい値よりも大きい値に設定された第四のしきい値が用いられているから、汚損レベルは高いが、所定の汚損レベルよりもわずかに低いため、第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づく判別では、真正な貨幣と判別されたが、汚損レベルが高く、出金されるべきでない貨幣が出金されることを確実に防止することが可能になる。
【0016】
本発明の前記目的はまた、投入された貨幣の磁気的特性を検出して、貨幣の磁気データを生成する第一の磁気センサと、前記貨幣に光を照射して、貨幣によって反射された光を検出して、貨幣の光学データを生成する第一の光学センサとを備えた第一の貨幣判別部と、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、真正な貨幣と判別された貨幣を貯留する貨幣貯留手段と、第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、真正な貨幣と判別され、前記貨幣貯留手段に貯留されていた貨幣の磁気的特性を検出して、貨幣の磁気データを生成する第二の磁気センサと、貨幣に光を照射して、貨幣によって反射された光を検出して、貨幣の光学データを生成する第二の光学センサとを備えた第二の貨幣判別部と、貨幣の金種ごとの基準データを記憶する基準データ記憶手段と、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準磁気データとを対比するとともに、前記第一の貨幣判別部によって生成された光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準光学データとを対比して、投入された貨幣の少なくとも真偽および金種を判別するとともに、金種ごとの貨幣枚数を計数し、前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準磁気データとを対比するとともに、前記第二の貨幣判別部によって生成された光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準光学データとを対比して、前記貨幣貯留手段から繰り出された貨幣の少なくとも真偽、金種および汚損レベルを判別するとともに、金種ごとの貨幣枚数を計数する制御手段と、出金すべき貨幣を金種別に収納する複数の貨幣収納手段を備えた貨幣入出金機であって、
前記制御手段が、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準磁気データとを対比して、前記貨幣の前記磁気データとの一致度が第一のしきい値以上の基準磁気データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かおよび前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準光学データとを対比して、前記貨幣の前記光学データとの一致度が第二のしきい値以上の基準光学データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定して、少なくとも貨幣の真偽および金種を判別するとともに、金種ごとの貨幣枚数を計数し、前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準磁気データとを対比して、前記貨幣の前記磁気データとの一致度が前記第一のしきい値よりも大きい値に設定された第三のしきい値以上の基準磁気データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かおよび前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準光学データとを対比して、前記貨幣の前記光学データとの一致度が前記第二のしきい値よりも大きな値に設定された第四のしきい値以上の基準光学データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定して、少なくとも貨幣の真偽、金種および汚損レベルを判別するように構成され、前記第一の貨幣判別部と前記第二の貨幣判別部が同じ貨幣判別部によって構成されたことを特徴とする貨幣入出金機によって達成される。
【0017】
本発明によれば、さらに、単一の貨幣判別部によって、貨幣入出金機に投入された貨幣の少なくとも真偽および金種の判別と、真正な貨幣と判別され、前記貨幣貯留手段に貯留された貨幣の少なくとも真偽、金種および汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判別することができるから、貨幣入出金機の構造を簡易化することが可能になる。
【0018】
本発明に好ましい実施態様においては、貨幣は紙幣である。
【0019】
本発明の別の好ましい実施態様においては、貨幣は硬貨である。
【0020】
本発明の好ましい実施態様においては、前記基準データ記憶手段が貨幣の金種別の基準光学パターンデータを記憶し、前記第一の貨幣判別部の第一の光学センサおよび/または前記第二の貨幣判別部の第二の光学センサが、貨幣の表面パターンを光学的に検出して、光学パターンデータを生成し、前記制御手段が、貨幣の光学パターンデータと貨幣の金種別の基準光学パターンデータを対比して、少なくとも貨幣の真偽および金種を判別するように構成されている。
【0021】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第一の貨幣判別部の第一の光学センサおよび/または前記第二の貨幣判別部の第二の光学センサが、貨幣によって反射された反射光レベルを検出して、反射光データを生成するように構成されている。
【0022】
本発明の別の好ましい実施態様においては、前記基準データ記憶手段が貨幣の金種別の基準磁気パターンデータを記憶し、前記第一の貨幣判別部の第一の磁気センサおよび/または前記第二の貨幣判別部の第二の磁気センサが、貨幣の磁気パターンデータを生成し、前記制御手段が、貨幣の磁気パターンデータと貨幣の金種別の基準磁気パターンデータを対比して、少なくとも貨幣の真偽および金種を判別するように構成されている。
【0023】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第二の貨幣判別手段によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、前記制御手段が、真正で、汚損レベルが所定の汚損レベル以下の貨幣であると判別した貨幣を、金種別に、前記複数の貨幣収納手段に収納するように構成されている。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、貨幣入出金機は、さらに、オペレータ、テラーまたは顧客によって種々の指示信号が入力可能な入力手段と、メッセージや入金額などの情報を表示するディスプレイとを備え、前記制御手段が、前記第一の貨幣判別部が計数した金種ごとの貨幣枚数に基づいて、貨幣入出金機に投入され、前記貨幣貯留手段内に貯留された真正な貨幣の入金額を前記ディスプレイに表示し、前記入力手段に入金を中止すべき旨の指示信号が入力されたときは、貨幣入出金機に投入された貨幣をオペレータ、テラーまたは顧客に返却し、前記入力手段に確定的に入金をすべき旨の指示信号が入力されたときは、前記貨幣貯留手段内に貯留している貨幣を出金貨幣として使用するように構成されている。
【0025】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、貨幣入出金機は、さらに、前記貨幣貯留手段に貯留された貨幣を収容可能な貨幣収容手段を備え、前記第二の貨幣判別部が、前記貨幣収容手段から1枚ずつ、繰り出された貨幣の磁気データおよび光学データを生成するように構成されている。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記制御手段が、前記貨幣収容手段から1枚ずつ、繰り出された貨幣で、前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、真正で、汚損レベルが所定の汚損レベル以下であると判別した貨幣を、金種ごとに、金種別の前記複数の貨幣収納手段内に収納するように構成されている。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、貨幣入出金機は、さらに、金種別の前記複数の貨幣収納手段から一枚ずつ、繰り出された貨幣の磁気的特性を検出して、貨幣の磁気データを生成する第三の磁気センサと、前記貨幣に光を照射して、前記貨幣によって反射された光を検出して、前記貨幣の光学データを生成する第三の光学センサとを備えた第三の貨幣判別部を備え、前記制御手段が、前記第三の貨幣判別部が生成した磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の基準磁気データとを対比するとともに、前記第三の貨幣判別部が生成した光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の基準光学データとを対比して、少なくとも貨幣の真偽、金種および汚損レベルが前記所定の汚損レベル以下か否かを判定し、真正な貨幣で、汚損レベルが前記所定の汚損レベル以下の貨幣を出金するように構成されている。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、投入された貨幣が受け入れ可能か否かを判別し、受け入れ可能な貨幣を入金し、入金した貨幣を出金のための貨幣として使用する貨幣入出金機であって、汚損レベルが高いにもかかわらず、汚損された貨幣ではないと判別された貨幣が出金されることを確実に防止することができる貨幣入出金機を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機の略縦断面を示すダイアグラムである。
【図2】図2は、図1に示された本発明の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機の検出系、駆動系、入力系、表示系および制御系を示すブロックダイアグラムである。
【図3】図3は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機の略縦断面を示すダイアグラムである。
【図4】図4は、図3に示された本発明の別の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機の検出系、駆動系、入力系、表示系および制御系を示すブロックダイアグラムである。
【図5】図5は、本発明の他の好ましい実施態様にかかる硬貨入出金機の内部構造を示す略斜視図である。
【図6】図6は、図5に示された本発明の他の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機の略縦断面図である。
【図7】図7は、図5に示された本発明の他の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機に設けられた回転円板および硬貨通路の略部分拡大図である。
【図8】図8は、図5に示された本発明の他の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機に設けられた硬貨選別デバイスの略断面図である。
【図9】図9は、図5に示された本発明の好ましい実施態様にかかる硬貨入出金機の検出系、駆動系、入力系、表示系および制御系を示すブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機の略側面図である。
【0031】
図1に示されるように、本発明の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機1は、テラーや顧客が紙幣を投入する紙幣入金口2、紙幣を出金する紙幣出金口3および紙幣入金口2に投入された紙幣で、受け入れ不能と判別された紙幣を返却する紙幣返却口4を備え、さらに、紙幣入金口2に投入され、周知の繰り出し手段によって、紙幣入金口2から、1枚ずつ、紙幣入金通路7に繰り出され、紙幣入金通路7に繰り出された紙幣が受け入れ可能か否かを判別する第一の紙幣判別部5を備えている。
【0032】
第一の紙幣判別部5は、紙幣の磁気的特性を検出し、紙幣の磁気パターンデータMDを後述するコントロールユニットに出力する磁気センサ5aと、紙幣に光を照射する光源(図示せず)と紙幣によって反射された光を受光するセンサ(図示せず)を備え、紙幣の表面パターンを光学的に検出し、紙幣の光学パターンデータODをコントロールユニットに出力する光学センサ5bを備えている。
【0033】
コントロールユニットは、第一の紙幣判別部5の磁気センサから入力された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学センサから入力された紙幣の光学パターンデータODに基づいて、紙幣が真正な紙幣で、受け入れ可能な紙幣であるか否かを判別するとともに、2枚以上の紙幣の全部あるいは一部が重なり合って、送られているなど、紙幣が所望のように搬送されていないということはないかどうかを判別し、紙幣が所望のように搬送されている真正な紙幣で、受け入れ可能な紙幣であると判別したときは、その金種を判別するとともに、真正な紙幣で、受け入れ可能と判別をした紙幣の枚数の計数をするように構成されている。
【0034】
第一の紙幣判別部5から入力された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、コントロールユニットによって、受け入れ可能ではないと判別された紙幣および所望のように搬送されていない紙幣は、紙幣返却通路8を介して、紙幣返却口4に送られ、テラーや顧客に返却される。
【0035】
紙幣入出金機1には、さらに、紙幣入金口2に投入された紙幣で、第一の紙幣判別部5によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて受け入れ可能と判定された紙幣を一時的に貯留する紙幣一時貯留ボックス10が設けられ、テラーや顧客が入金を指示したときに、紙幣一時貯留ボックス10に収納されていた紙幣を貯留する紙幣貯留ボックス11が設けられている。
【0036】
第一の紙幣判別部5と紙幣一時貯留ボックス10および紙幣一時貯留ボックス10と紙幣貯留ボックス11は、紙幣入金通路7によって接続されている。
【0037】
図1に図示はされてはいないが、紙幣一時貯留ボックス10は、一時的に貯留していた紙幣を繰り出す紙幣繰り出し機構を備え、紙幣一時貯留ボックス10から繰り出された紙幣の搬送路には、繰り出された紙幣を紙幣返却口4または紙幣貯留ボックス11のいずれか一方へ選択的に向けて振り分けるゲート部材10bが設けられている。
【0038】
同様に、図1に図示はされてはいないが、紙幣貯留ボックス11は、貯留している紙幣を、第二の紙幣判別部15に向けて、繰り出す紙幣収納繰り出し機構を備えている。
【0039】
第二の紙幣判別部15は、第一の紙幣判別部5と同様に、紙幣の磁気的特性を検出し、紙幣の磁気パターンデータMDをコントロールユニットに出力する磁気センサ5aと、紙幣に光を照射する光源(図示せず)と紙幣によって反射された光を受光するセンサ(図示せず)を備え、紙幣の表面パターンを光学的に検出し、紙幣の光学パターンデータODをコントロールユニットに出力する光学センサ5bを備えている。
【0040】
コントロールユニットは、第二の紙幣判別部15の磁気センサから入力された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学センサから入力された紙幣の光学パターンデータODに基づいて、紙幣が出金可能か否かを判別するとともに、紙幣が所望のように搬送されているか否かを判別し、紙幣が出金可能であると判別したときは、その金種を判別するとともに、出金可能と判別をした紙幣の金種別枚数の計数をするように構成されている。
【0041】
第二の紙幣判別部15には、紙幣選別通路16が接続されており、紙幣選別通路16には、第一の金種の紙幣を収納する第一の紙幣収納ボックス21、第二の金種の紙幣を収納する第二の紙幣収納ボックス22、第三の金種の紙幣を収納する第三の紙幣収納ボックス23ならびに第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22および第三の紙幣収納ボックス23に収納できなかった汚損レベルが低い真正な紙幣および第二の紙幣判別部15によって、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えたと判定された汚損紙幣を収納する第一の紙幣回収ボックス24が接続されている。ここに、第一の紙幣回収ボックス24は紙幣入金出金機1に着脱可能に取り付けられている。
【0042】
第一の紙幣収納ボックス21は、ゲート部材21aによって、選択可能な搬送路21b、21cを介して、紙幣選別通路16に接続されている。ここに、ゲート部材21aによって、紙幣を紙幣選別通路16から第一の紙幣収納ボックス21に導くときは、紙幣は搬送路21cに送られ、第一の紙幣収納ボックス21から紙幣を紙幣選別通路16に導くときは、紙幣は搬送路21bを介して、紙幣は紙幣選別通路16に送られるように構成されている。
【0043】
第二の紙幣収納ボックス22は、ゲート部材22aによって、選択可能な搬送路22b、22cを介して、紙幣選別通路16に接続されている。ここに、ゲート部材22aによって、紙幣を紙幣選別通路16から第二の紙幣収納ボックス22に導くときは、紙幣は搬送路22cに送られ、第二の紙幣収納ボックス22から紙幣を紙幣選別通路16に導くときは、紙幣は搬送路22bを介して、紙幣は紙幣選別通路16に送られるように構成されている。
【0044】
また、第三の紙幣収納ボックス23は、ゲート部材23aによって、選択可能な搬送路23b、23cを介して、紙幣選別通路16に接続されている。ここに、ゲート部材23aによって、紙幣を紙幣選別通路16から第三の紙幣収納ボックス23に導くときは、紙幣は搬送路23cに送られ、第三の紙幣収納ボックス23から紙幣を紙幣選別通路16に導くときは、紙幣は搬送路23bを介して、紙幣は紙幣選別通路16に送られるように構成されている。
【0045】
さらに、第一の紙幣回収ボックス24は、ゲート部材24aが作動されたときに、紙幣選別通路16と連通するように、搬送路24bを介して、紙幣選別通路16に接続されている。
【0046】
第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22、第三の紙幣収納ボックス23および第一の紙幣回収ボックス24は、それぞれ、その内部に、昇降可能な紙幣載置板21d、22d、23d、24dを備えており、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22、第三の紙幣収納ボックス23および第一の紙幣回収ボックス24内に送り込まれた紙幣は、紙幣載置板21d、22d、23d、24dの上面に載置されるように構成されている。
【0047】
さらに、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22および第三の紙幣収納ボックス23は、それぞれ、紙幣を内部に収納し、収納された紙幣を繰り出す収納紙幣繰り出し機構21e、22e、23eを備えている。
【0048】
紙幣選別通路16の下流側には紙幣出金通路30が接続され、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23から、対応する収納紙幣繰り出し機構21e、22e、23eによって、紙幣出金通路30に繰り出された紙幣は、第三の紙幣判別部25に送られる。
【0049】
第三の紙幣判別部25は、第一の紙幣判別部5と同様に、紙幣の磁気的な性質を検出し、紙幣の磁気パターンデータMDをコントロールユニットに出力する磁気センサ(図1には図示せず)と、紙幣に光を照射する光源(図示せず)と紙幣によって反射された光を受光するセンサ(図示せず)を備え、紙幣の表面パターンを光学的に検出し、紙幣の光学パターンデータODをコントロールユニットに出力する光学センサ(図1には図示せず)を備えている。
【0050】
コントロールユニットは、第三の紙幣判別部25の磁気センサから入力された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学センサから入力された紙幣の光学パターンデータODに基づいて、紙幣が真正な紙幣で、出金可能か否かおよび紙幣が所望のように搬送されているか否かを判別し、紙幣が所望のように搬送されている真正な紙幣で、出金可能であると判別したときは、その金種を判別するとともに、出金可能と判別をした紙幣の金種別枚数を計数し、これに対して、紙幣が出金すべき紙幣ではないと判定したときは、紙幣を、紙幣回収通路27内に送り、第二の紙幣回収ボックス31に収納するように構成されている。
【0051】
図2は、図1に示された本発明の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機1の検出系、駆動系、入力系、表示系および制御系を示すブロックダイアグラムである。
【0052】
図2に示されるように、紙幣入出金機1の検出系は、第一の紙幣判別部5に設けられた紙幣の磁気パターンを検出し、磁気パターンデータMDを出力する磁気センサ5aおよび紙幣に光を照射する光源(図示せず)と紙幣によって反射された光を受光するセンサ(図示せず)を備え、紙幣の表面パターンを光学的に検出し、光学パターンデータODを出力する光学センサ5bと、第二の紙幣判別部15に設けられた紙幣の磁気パターンを検出し、磁気パターンデータMDを出力する磁気センサ15aおよび紙幣に光を照射する光源(図示せず)と紙幣によって反射された光を受光するセンサ(図示せず)を備え、紙幣の表面パターンを光学的に検出し、光学パターンデータODを出力する光学センサ15bと、第三の紙幣判別部25に設けられた紙幣の磁気パターンを検出し、磁気パターンデータMDを出力する磁気センサ25aおよび紙幣に光を照射する光源(図示せず)と紙幣によって反射された光を受光するセンサ(図示せず)を備え、紙幣の表面パターンを光学的に検出し、光学パターンデータODを出力する光学センサ25bと、第一の紙幣収納ボックス21内に収納されている紙幣が所定枚数以上になったか否かを検出し、紙幣が所定枚数以上になったときに、紙幣検出信号を出力する紙幣枚数センサ21fと、第二の紙幣収納ボックス22内に収納されている紙幣が所定枚数以上になったか否かを検出し、紙幣が所定枚数以上になったときに、紙幣検出信号を出力する紙幣枚数センサ22fと、第三の紙幣収納ボックス23内に収納されている紙幣が所定枚数以上になったか否かを検出し、紙幣が所定枚数以上になったときに、紙幣検出信号を出力する紙幣枚数センサ23fと、第一の紙幣回収ボックス24内に収納されている紙幣が所定枚数以上になったか否かを検出し、紙幣が所定枚数以上になったときに、紙幣検出信号を出力する紙幣枚数センサ24fを備えている。
【0053】
紙幣枚数センサ21f、22f、23f、24fは、それぞれ、発光素子(図示せず)と受光素子(図示せず)を備え、紙幣載置板21d、22d、23d、24dの位置を検出することにより、紙幣載置板21d、22d、23d、24d上に集積された紙幣の高さを検出し、収納されている紙幣が所定枚数に達したか否かを検出するように構成されている。
【0054】
紙幣入出金機1の駆動系は、紙幣入金口2に設けられた紙幣を第一の紙幣判別部5に向けて繰り出す紙幣繰り出し機構2aと、搬送路に設けられた複数の搬送ローラ36と、紙幣一時貯留ボックス10に貯留されていた紙幣を繰り出す紙幣繰り出し機構10aと、紙幣繰り出し機構10aによって、紙幣一時貯留ボックス10から繰り出された紙幣を紙幣返却口4および紙幣貯留ボックス11のいずれか一方に向けて、選択的に振り分けるゲート部材10bと、紙幣貯留ボックス11に対応して設けられ、紙幣貯留ボックス11内に貯留されている紙幣を第二の紙幣判別部15に向けて繰り出す紙幣繰り出し機構11aと、第一の紙幣収納ボックス21に対応して設けられたゲート部材21aと、第二の紙幣収納ボックス22に対応して設けられたゲート部材22aと、第三の紙幣収納ボックス23に対応して設けられたゲート部材23aと、第一の紙幣回収ボックス24に対応して設けられたゲート部材24aと、第一の紙幣収納ボックス21に設けられた収納紙幣繰り出し機構21eと、第二の紙幣収納ボックス22に設けられた収納紙幣繰り出し機構22eと、および第三の紙幣収納ボックス23に設けられた収納紙幣繰り出し機構23eとを備えている。
【0055】
また、紙幣入出金機1の入力系は、テラーや顧客によって操作され、種々の指示信号が入力されるキーボード40を備えており、紙幣入出金機1の表示系は、紙幣の計数結果や種々のメッセージなどを表示するディスプレイ45を備えている。
【0056】
さらに、紙幣入出金機1の制御系は、コントロールユニット50、紙幣入出金機1の制御プログラム、紙幣の基準データなどが格納されたROM51および各種データを記憶するRAM52を備えている。コントロールユニット50には、第一の紙幣判別部5、第二の紙幣判別部15および第三の紙幣判別部25からの紙幣判別信号ならびに紙幣枚数センサ21f、22f、23f、24fからの紙幣検出信号が入力され、コントロールユニット50は、これらの入力信号およびキーボード40から入力された指示信号に基づいて、ROM51に格納された制御プログラムにしたがって、紙幣入出金機1を制御するように構成されている。
【0057】
以上のように構成された本実施態様にかかる紙幣入出金機1は、以下のようにして、紙幣を入金し、出金する。
【0058】
業務開始時においては、通常、紙幣一時貯留ボックス10および紙幣貯留ボックス11ならびに第一の紙幣回収ボックス24は空の状態にあるが、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22、第三の紙幣収納ボックス23内には、業務開始に先立って、所定枚数の紙幣が収納されている。
【0059】
したがって、業務開始後、ただちに紙幣の入金が可能であり、テラーあるいは顧客によって、入金信号がキーボード40に入力され、紙幣が紙幣入金口2に投入されると、入金信号がコントロールユニット50に出力され、コントロールユニット50は、紙幣入金口2の紙幣繰り出し機構2aと紙幣を搬送する各搬送路に設けられた複数の搬送ローラ36に駆動信号を出力する。
【0060】
その結果、紙幣入金口2の紙幣繰り出し機構2aと各搬送路に設けられた複数の搬送ローラ36によって、紙幣は、1枚ずつ、紙幣入金口2から、紙幣入出金機1の内部に繰り出され、紙幣入金通路7を介して、第一の紙幣判別部5に送られる。
【0061】
紙幣が第一の紙幣判別部5に送られると、磁気センサ5aにより、紙幣の磁気的特性が検出され、紙幣の磁気パターンデータMDが生成されて、コントロールユニット50に出力されるとともに、光学センサ5bによって、紙幣の表面パターンが光学的に検出され、紙幣の光学パターンデータODが生成されて、コントロールユニット50に出力される。
【0062】
コントロールユニット50は、第一の紙幣判別部5から、紙幣の磁気パターンデータMDを受け取ると、ROM51に記憶された各金種の紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)を読み出す(kは金種を特定するものである。)とともに、しきい値RMTを読み出して、パターンマッチングにより、第一の紙幣判別部5から入力された紙幣の磁気データパターンMDと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が、しきい値RMT以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判定する。
【0063】
その結果、ある金種の紙幣の基準磁気パターンデータRMDが、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度がしきい値RMT以上であると判定したときは、コントロールユニット50は、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の金種はその基準磁気パターンデータRMDの金種と同じであり、その紙幣がその金種の真正な紙幣であると判定して、判定結果をRAM52の入金紙幣用のメモリ領域に、磁気パターンデータMDに基づく判定結果として書き込む。
【0064】
これに対して、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、しきい値RMT未満である判定したときは、その紙幣は偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣か、所望のように搬送されていない紙幣のいずれかであるので、コントロールユニット50は、RAM52の入金紙幣用のメモリ領域に、磁気パターンデータMDに基づく判定結果として書き込む。
【0065】
一方、コントロールユニット50は、第一の紙幣判別部5から、紙幣の光学パターンデータODを受け取ると、ROM51に記憶された各金種の紙幣の基準光学パターンデータROD(k)を読み出すとともに、しきい値ROTを読み出して、パターンマッチングにより、第一の紙幣判別部5から入力された紙幣の光学パターンデータODと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、紙幣の光学パターンデータODとの一致度が、しきい値ROT以上の基準光学パターンデータRODがあるか否かを判定する。
【0066】
その結果、ある金種の紙幣の基準光学パターンデータRODが、紙幣の光学パターンデータODとの一致度がしきい値ROT以上であると判定したときは、コントロールユニット50は、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の金種はその基準光学パターンデータRODの金種と同じであり、その紙幣がその金種の真正な紙幣であると判定して、判定結果をRAM52の入金紙幣用のメモリ領域に、光学パターンデータODに基づく判定結果として書き込む。
【0067】
これに対して、紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、しきい値ROT未満であると判定したときは、その紙幣は偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣か、所望のように搬送されていない紙幣のいずれかと考えられるので、コントロールユニット50は、RAM52の入金紙幣用のメモリ領域に、光学パターンデータODに基づく判定結果として書き込む。
【0068】
次いで、コントロールユニット50は、RAM52にアクセスして、入金紙幣用のメモリ領域に記録されている紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが同一か否かを判定する。
【0069】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致していない場合には、第一の紙幣判別部5によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく紙幣の判別結果の信頼性に疑問があるので、コントロールユニット50は、その紙幣は偽造紙幣であるか、あるいは、所望のように搬送されていない紙幣であると判定し、その紙幣を紙幣返却口4に向かって送り出し、テラーや顧客に返却するとともに、その旨を、最終的な判定結果として、RAM52の入金紙幣用のメモリ領域に書き込む。
【0070】
これに対して、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致し、その紙幣は特定の金種の真正な紙幣であると判定している場合には、コントロールユニット50は、RAM52の金種ごとの検出枚数を書き込む金種別メモリ領域の対応する金種のメモリ領域に記録されたその金種の紙幣の検出枚数を1枚だけ増加させるとともに、紙幣を、紙幣入金通路7を介して、紙幣一時貯留ボックス10に向けて、送り出し、その結果、その紙幣は、紙幣一時貯留ボックス10内に一時的に貯留される。
【0071】
一方、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致しているが、紙幣が偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣か、所望のように搬送されていない紙幣であると判定されていたときは、コントロールユニット50は、その紙幣は偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣か、所望のように搬送されていない紙幣のいずれかであると最終的に判定する。
【0072】
同様にして、紙幣入金口2に投入された紙幣が1枚ずつ、紙幣入金通路7を介して、次々に紙幣入出金機1内に取り込まれ、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、真正な紙幣であると判定された紙幣は、紙幣入金通路7を介して、紙幣一時貯留ボックス10内に収納され、偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣と判定された紙幣あるいは所望のように搬送されていないと判定された紙幣は、紙幣返却通路8を介して、紙幣返却口4に送られて、テラーあるいは顧客に返却される。
【0073】
こうして、紙幣入金口2に投入された紙幣のうち、偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣と判定された紙幣あるいは所望のように搬送されていないと判定された紙幣が紙幣返却口4に送られ、その他の紙幣がすべて紙幣一時貯留ボックス10内に貯留されると、コントロールユニット50は、RAM52の金種別メモリ領域に記録されている各金種の紙幣の検出枚数に基づいて、紙幣入出金機1が受け入れた真正な紙幣の総金額を算出して、ディスプレイ45に表示する。
【0074】
テラーあるいは顧客が、ディスプレイ45に表示された総金額に基づき、入金中止信号をキーボード40に入力したときは、コントロールユニット50は、ゲート部材10bに第一の駆動信号を出力して、紙幣一時貯留ボックス10から繰り出された紙幣の搬送路を紙幣返却口4に向かう紙幣返却通路8に接続させるとともに、紙幣繰り出し機構10aに駆動信号を出力して、紙幣繰り出し機構10aを駆動させて、紙幣一時貯留ボックス10内に貯留されている紙幣を、紙幣返却通路8内に、紙幣返却口4に向けて、1枚ずつ、送り出す。
【0075】
これに対して、テラーあるいは顧客が、ディスプレイ45に表示された総金額を確認して、入金指示信号をキーボード40に入力すると、コントロールユニット50は、ゲート部材10bに第二の駆動信号を出力して、紙幣一時貯留ボックス10から繰り出される紙幣の搬送路を紙幣貯留ボックス11に向かう紙幣入金通路7に接続させるとともに、紙幣繰り出し機構10aに駆動信号を出力して、紙幣繰り出し機構10aを駆動させて、紙幣一時貯留ボックス10内に貯留されている紙幣を、紙幣入金通路7内に、紙幣貯留ボックス11内に向けて、1枚ずつ、送り出す。
【0076】
こうして、紙幣一時貯留ボックス10に貯留されていた紙幣がすべて、紙幣貯留ボックス11に送られると、テラーあるいは顧客によって、紙幣入金口2に投入された紙幣の入金処理が完了する。
【0077】
紙幣入金口2に投入された紙幣の入金処理が完了すると、コントロールユニット50は、紙幣貯留ボックス11内に貯留されている紙幣を、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22、第三の紙幣収納ボックス23および第一の紙幣回収ボックス24に分配する旨の分配処理開始信号をディスプレイ45に出力して、紙幣の分配処理が開始する旨のメッセージをディスプレイ45に表示させ、さらに、コントロールユニット50は、第一の紙幣収納ボックス21に対応して設けられた紙幣枚数センサ21f、第二の紙幣収納ボックス22に対応して設けられた紙幣枚数センサ22fおよび第三の紙幣収納ボックス23に対応して設けられた紙幣枚数センサ23fのいずれかから紙幣検出信号が入力されているか否かを判定する。
【0078】
その結果、紙幣枚数センサ21f、22f、23fのいずれかから紙幣検出信号が入力されていないと判定したときは、紙幣検出信号を出力していない紙幣枚数センサに対応する紙幣収納ボックスには、所定枚数未満に紙幣しか収納されておらず、紙幣を補充する余地があるから、紙幣貯留ボックス11に貯留された紙幣を、収納されている紙幣の枚数が所定枚数未満の紙幣収納ボックスに分配するために、コントロールユニット50は、紙幣貯留ボックス11に設けられた紙幣繰り出し機構11aに駆動信号を出力する。
【0079】
コントロールユニット50から、駆動信号を受けると、紙幣繰り出し機構11aは、紙幣貯留ボックス11内に貯留されている紙幣を、紙幣選別通路16内に、第二の紙幣判別部15に向けて、1枚ずつ、送り出す。
【0080】
紙幣が、紙幣選別通路16を介して、1枚ずつ、第二の紙幣判別部15に送られると、磁気センサ15aによって、紙幣の磁気的特性が検出され、紙幣の磁気パターンデータMDが生成されて、コントロールユニット50に出力されるとともに、光学センサ15bによって、紙幣の表面パターンが光学的に検出され、紙幣の光学パターンデータODが生成されて、コントロールユニット50に出力される。
【0081】
コントロールユニット50は、第二の紙幣判別部15から、紙幣の磁気パターンデータMDを受け取ると、ROM51に記憶された各金種の紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)を読み出して、パターンマッチングにより、第二の紙幣判別部15から入力された紙幣の磁気パターンデータMDと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値DMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判定する。
【0082】
ここに、第一のしきい値DMT1は、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別の際に用いたしきい値RMTよりも小さな値に設定されている。
【0083】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値DMT1未満であると判定したときは、コントロールユニット50は、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣は、偽造紙幣か、所望のように搬送されていない紙幣のいずれかと考えられるから、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22あるいは第三の紙幣収納ボックス23に分配すべき紙幣ではないと判定する。
【0084】
ここに、紙幣貯留ボックス11内に貯留された紙幣は、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDと各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比するとともに、紙幣の光学パターンデータODを各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比して、それぞれの一致度を算出した結果、その紙幣の磁気パターンデータMDとある金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、しきい値RMT以上で、かつ、その紙幣の光学パターンデータODとある金種の紙幣の基準光学パターンデータRODとの一致度が、しきい値ROT以上で、真正な紙幣であると判定されたものであるから、その紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の入金時にその紙幣の金種と判別された金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、しきい値RMTよりも小さな値である第一のしきい値DMT1未満であるということは本来あり得ないことである。
【0085】
それにもかかわらず、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値DMT1未満であると判定されたのは、その紙幣が汚損レベルの高い汚損紙幣であるか、あるいは、何らかの原因で、所望のように搬送されていないために、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22あるいは第三の紙幣収納ボックス23に分配すべき紙幣ではないと判定されたものと推定されるから、コントロールユニット50は、RAM52の分配紙幣用のメモリ領域に、出金紙幣として使用できない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0086】
これに対して、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値DMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあると判定したときは、コントロールユニット50は、さらに、その金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別に用いたしきい値RMTよりも大きな値に設定された第二のしきい値DMT2以上か否かを判定する。
【0087】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値DMT2以上であると判定したときは、コントロールユニット50は、その紙幣は汚損されていない真正な紙幣であると判定し、RAM52の分配紙幣用のメモリ領域に、分配される紙幣は、磁気パターンデータMDとの一致度を求めた基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の汚損されていない真正な紙幣である旨を書き込む。
【0088】
これに対して、紙幣の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値DMT2未満であると判定したときは、コントロールユニット50は、その紙幣は磁気パターンデータMDとの一致度を求めた基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判定し、RAM52の分配紙幣用のメモリ領域に、その旨を書き込む。
【0089】
一方、コントロールユニット50は、第二の紙幣判別部15から、紙幣の光学パターンデータODを受け取ると、ROM51に記憶された各金種の紙幣の基準光学パターンデータROD(k)を読み出して、パターンマッチングにより、第二の紙幣判別部15から入力された紙幣の光学パターンデータODと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、紙幣の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値DOT1以上の基準光学パターンデータRODがあるか否かを判定する。
【0090】
ここに、第一のしきい値DOT1は、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の光学パターンデータODに基づく判別に用いたしきい値ROTよりも小さな値に設定されている。
【0091】
その結果、紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値DOT1未満であると判定したときは、その紙幣が汚損レベルの高い汚損紙幣であるか、あるいは、何らかの原因で、所望のように搬送されていない紙幣であるかのいずれかと判定できるから、コントロールユニット50は、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣は、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22あるいは第三の紙幣収納ボックス23に分配すべき紙幣ではないと判定する。
【0092】
ここに、紙幣貯留ボックス11内に貯留された紙幣は、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の光学パターンデータODと各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比した結果、その紙幣の光学パターンデータODとある金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、しきい値ROT以上で、真正な紙幣であると判定されたものであるから、紙幣の入金時にその紙幣の金種と判別された金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、しきい値ROTよりも小さな値である第一のしきい値DOT1未満であるということは本来あり得ないことである。
【0093】
それにもかかわらず、紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の基準光学パターンデータRODとの一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値DOT1未満であると判定されたのは、その紙幣が汚損レベルの高い汚損紙幣か、あるいは、何らかの原因で、所望のように搬送されていないために、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22あるいは第三の紙幣収納ボックス23に分配すべき紙幣ではないと判定されたものと推定されるから、コントロールユニット50は、RAM52の分配紙幣用のメモリ領域に、出金紙幣として使用できない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0094】
これに対して、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、紙幣の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値DOT1以上の基準光学パターンデータRODがあると判定したときは、コントロールユニット50は、さらに、その金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の光学パターンデータODに基づく判別に用いたしきい値ROTよりも大きな値に設定された第二のしきい値DOT2以上か否かを判定する。
【0095】
その結果、紙幣の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値DOT2以上であると判定したときは、コントロールユニット50は、その紙幣は汚損されていない真正な紙幣であると判定し、RAM52の分配紙幣用のメモリ領域に、分配される紙幣は、光学パターンデータODとの一致度を求めた基準光学パターンデータRODの金種と同じ金種の汚損されていない真正な紙幣である旨を書き込む。
【0096】
これに対して、紙幣の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値DOT2未満であると判定したときは、コントロールユニット50は、その紙幣は光学パターンデータODとの一致度を求めた基準光学パターンデータRODの金種と同じ金種の真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判定し、RAM52の分配紙幣用のメモリ領域に、その旨を書き込む。
【0097】
次いで、コントロールユニット50は、RAM52にアクセスして、分配紙幣用のメモリ領域に記録されている紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致しているか否かを判定する。
【0098】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致していない場合には、第二の紙幣判別部15によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく紙幣の判別結果の信頼性に疑問があるので、その紙幣は偽造紙幣などの受け入れ不能紙幣であるか、あるいは、所望のように搬送されていないために、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22あるいは第三の紙幣収納ボックス23に分配すべき紙幣ではないと判定されたものと推定されるから、コントロールユニット50は、RAM52の分配紙幣用のメモリ領域に、出金紙幣として使用できない紙幣が検出された旨の判別結果を書き込む。
【0099】
これに対して、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致し、その紙幣は特定の金種の真正な紙幣であると判定している場合には、コントロールユニット50は、その紙幣が、磁気パターンデータMDに基づいて判別され、光学パターンデータODに基づいて判別されたとおりの汚損レベルを有する金種の紙幣であると、最終的に判別する。
【0100】
一方、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致しているが、その紙幣は出金紙幣として使用できないと判定されていたときは、コントロールユニット50は、その紙幣は出金紙幣として使用できないと最終的に判定する。
【0101】
第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、紙幣がある金種の真正で、汚損レベルも低い紙幣であると判定したときは、コントロールユニット50は、RAM52の金種ごとのメモリ領域に記録されたその金種の紙幣の検出枚数を1枚だけ増加させるとともに、紙幣収納ボックス21のゲート部材を駆動させて、その紙幣を紙幣選別通路16内に送り出し、対応する金種の紙幣を収納する第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22あるいは第三の紙幣収納ボックス23内に収納させる。
【0102】
一方、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、紙幣がある金種の真正な紙幣であるが、その汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判定したときは、コントロールユニット50は、第一の紙幣収納ボックス21に設けられたゲート部材21a、第二の紙幣収納ボックス22に設けられたゲート部材22a、第三の紙幣収納ボックス23に設けられたゲート部材23aを作動させることなく、ゲート部材24aのみを作動させる。したがって、汚損紙幣は、紙幣選別通路16内をさらに下流側に送られて、第一の紙幣回収ボックス24内に収納される。
【0103】
これに対して、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、その紙幣は出金紙幣として使用できない紙幣であると判定され、その旨が、RAM52の分配紙幣用のメモリ領域に書き込まれている場合には、コントロールユニット50は、第一の紙幣収納ボックス21に設けられたゲート部材21a、第二の紙幣収納ボックス22に設けられたゲート部材22a、第三の紙幣収納ボックス23に設けられたゲート部材23aを作動させることなく、ゲート部材24aのみを作動させる。したがって、出金紙幣として使用できない紙幣は、紙幣選別通路16内をさらに下流側に送られて、第一の紙幣回収ボックス24内に収納される。
【0104】
こうして、紙幣貯留ボックス11内に貯留されていた紙幣がすべて、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22、第三の紙幣収納ボックス23および第一の紙幣回収ボックス24内に収納されると、紙幣の分配処理が完了する。
【0105】
これに対して、紙幣貯留ボックス11内に貯留されていた紙幣がすべて、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22、第三の紙幣収納ボックス23および第一の紙幣回収ボックス24内に収納される前に、第一の紙幣収納ボックス21に設けられた紙幣枚数センサ21f、第二の紙幣収納ボックス22に設けられた紙幣枚数センサ22fあるいは第三の紙幣収納ボックス23に設けられた紙幣枚数センサ23fから、紙幣検出信号が入力された場合には、コントロールユニット50は、紙幣検出信号を出力した紙幣枚数センサに対応する紙幣収納ボックス内に所定枚数の紙幣が収納され、これ以上、その紙幣収納ボックス内に紙幣を収納させることはできないと判定して、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、紙幣検出信号を出力した紙幣枚数センサが設けられた紙幣収納ボックス内に収納されるべき金種の紙幣を検出したときに、対応する紙幣収納ボックスに設けられたゲート部材には駆動信号を出力せず、第一の紙幣回収ボックス24に設けられたゲート部材24aに駆動信号を出力する。
【0106】
その結果、紙幣検出信号を出力した紙幣枚数センサが設けられた紙幣収納ボックス内に収納されるべき金種の紙幣は、紙幣選別通路16を通って、第一の紙幣回収ボックス24内に回収される。
【0107】
こうして、RAM52の金種ごとのメモリ領域に記録された金種別の計数枚数に基づいて、紙幣貯留ボックス11内に貯留されていた紙幣がすべて、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22、第三の紙幣収納ボックス23および第一の紙幣回収ボックス24内に収納されたと判定したときは、コントロールユニット50は、入金された紙幣の金種ごとの分配処理が完了した旨のメッセージをディスプレイ45に表示させる。
【0108】
これに対して、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22、第三の紙幣収納ボックス23および第一の紙幣回収ボックス24への分配処理が続行された結果、第一の紙幣収納ボックス21に設けられた紙幣枚数センサ21f、第二の紙幣収納ボックス22に設けられた紙幣枚数センサ22f、第三の紙幣収納ボックス23に設けられた紙幣枚数センサ23fおよび第一の紙幣回収ボックス24に設けられた紙幣枚数センサ24fのいずれからも、紙幣枚数信号が入力されると、コントロールユニット50は、紙幣の分配処理の続行が不可能になった旨のメッセージをディスプレイ45に表示する。
【0109】
また、紙幣貯留ボックス11内に貯留されていた紙幣がすべて、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22および第三の紙幣収納ボックス23内に収納される前に、第一の紙幣回収ボックス24に設けられた紙幣枚数センサ24fから紙幣検出信号が入力されると、コントロールユニット50は、紙幣の分配処理の続行が不可能になった旨のメッセージをディスプレイ45に表示する。第一の紙幣回収ボックス24は紙幣入金出金機に着脱可能に取り付けられているから、テラーまたは顧客は、第一の紙幣回収ボックス24を取り外して、収納されている紙幣を回収して、第一の紙幣回収ボックス24を紙幣入金出金機1に取り付けることによって、紙幣の分配処理を続行することができる。
【0110】
こうして、紙幣入金口2から紙幣入金出金機1に投入された紙幣は、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22、第三の紙幣収納ボックス23および第一の紙幣回収ボックス24に選択的に収納される。
【0111】
一方、紙幣入金出金機1から、紙幣を出金する場合には、テラーまたは顧客によって、キーボード40に、紙幣を出金すべき旨の出金指示信号と、出金額を指定する出金額指定信号が入力される。
【0112】
キーボード40に入力された紙幣出金信号および出金額指定信号はコントロールユニット50に入力され、出金指示信号および出金額指定信号を受けると、コントロールユニット50は、出金すべき紙幣の総金額を、出金紙幣用のメモリ領域に書き込むとともに、出金する紙幣の枚数が最小になるように、それぞれの金種の紙幣の出金枚数を算出し、さらに、最初に出金する紙幣の金種を決定して、RAM52の出金紙幣用のメモリ領域に書き込む。
【0113】
次いで、コントロールユニット50は、最初に出金する紙幣の金種にしたがって、第一の紙幣収納ボックス21に設けられた収納紙幣繰り出し機構21e、第二の紙幣収納ボックス22に設けられた収納紙幣繰り出し機構22eまたは第三の紙幣収納ボックス23に設けられた収納紙幣繰り出し機構23eに駆動信号を出力し、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23内に収納された紙幣を、第三の紙幣判別部25に向けて、1枚ずつ繰り出す。
【0114】
第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23から繰り出された紙幣は、紙幣出金通路としても機能する紙幣選別通路16内を送られ、第三の紙幣判別部25に設けられた磁気センサ25aによって、その磁気的特性が検出されて、磁気パターンデータMDが生成され、光学センサ25bによって、紙幣の表面パターンが光学的に検出されて、光学パターンデータODが生成される。
【0115】
こうして生成された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODは、コントロールユニット50に出力される。
【0116】
コントロールユニット50は、第三の紙幣判別部25から、紙幣の磁気パターンデータMDを受け取ると、ROM51に記憶された各金種の紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)を読み出して、パターンマッチングにより、第三の紙幣判別部25から入力された紙幣の磁気パターンデータMDと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値PMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判定する。
【0117】
ここに、第一のしきい値PMT1は、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別の際に用いたしきい値RMTよりも小さく、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別の際に用いた第一のしきい値DMT1と同じ値に設定されている。
【0118】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値PMT1未満であると判定したときは、コントロールユニット50は、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣は、出金すべき紙幣ではないと判定し、出金すべきではない紙幣が検出された旨をRAM52の出金紙幣用のメモリ領域に、その旨を書き込む。
【0119】
ここに、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22および第三の紙幣収納ボックス23に収納されている紙幣は、第一の紙幣判別部5によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、真正な紙幣と判定され、第二の紙幣判別部15によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、真正で、かつ、汚損レベルが低い紙幣と判別されたものであるから、その紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の入金時にその紙幣の金種と判別された金種の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、しきい値RMTよりも小さな値である第一のしきい値PMT1未満であるということは本来あり得ないことである。
【0120】
それにもかかわらず、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値PMT1未満であると判定されたのは、その紙幣が汚損レベルの高い汚損紙幣か、あるいは、何らかの原因で、所望のように搬送されていないために、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値PMT1未満になったものと推定されるから、コントロールユニット50は、RAM52の出金紙幣用のメモリ領域に、出金すべきではない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0121】
これに対して、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値PMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあると判定したときは、コントロールユニット50は、さらに、その金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別に用いたしきい値RMTよりも大きく、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく判別の際に用いた第二のしきい値DMT2に等しい値に設定された第二のしきい値PMT2以上か否かを判定する。
【0122】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値PMT2以上であると判定したときは、コントロールユニット50は、その紙幣は汚損されていない真正な紙幣であると判定し、RAM52の出金紙幣用のメモリ領域に、出金される紙幣は、磁気パターンデータMDとの一致度を求めた基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の汚損されていない真正な紙幣である旨を書き込む。
【0123】
これに対して、紙幣の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値PMT2未満であると判定したときは、コントロールユニット50は、その紙幣は磁気パターンデータMDとの一致度を求めた基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判定し、RAM52の出金紙幣用のメモリ領域に、出金すべきでない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0124】
一方、コントロールユニット50は、第三の紙幣判別部25から、紙幣の光学パターンデータODを受け取ると、ROM51に記憶された各金種の紙幣の基準光学パターンデータROD(k)を読み出して、パターンマッチングにより、第三の紙幣判別部25から入力された紙幣の光学パターンデータODと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、紙幣の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値POT1以上の基準光学パターンデータRODがあるか否かを判定する。
【0125】
ここに、第一のしきい値POT1は、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の光学パターンデータODに基づく判別に用いたしきい値ROTよりも小さく、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく判別の際に用いた第一のしきい値DOT1に等しい値に設定されている。
【0126】
その結果、紙幣の光学パターンデータODと、各紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値POT1未満であると判定したときは、コントロールユニット50は、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣は、出金すべき紙幣ではないと判定し、RAM52の出金紙幣用のメモリ領域に、出金すべきでない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0127】
ここに、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22および第三の紙幣収納ボックス23に収納されている紙幣は、第一の紙幣判別部5によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、真正な紙幣と判定され、第二の紙幣判別部15によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、真正で、かつ、汚損レベルが低い紙幣と判別されたものであるから、その紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の入金時にその紙幣の金種と判別された金種の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、しきい値ROTよりも小さな値である第一のしきい値POT1未満であるということは本来あり得ないことである。
【0128】
それにもかかわらず、紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値POT1未満であると判定されたのは、その紙幣が汚損レベルの高い汚損紙幣か、あるいは、何らかの原因で、所望のように搬送されていないために、紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値POT1未満になったものと、推定されるから、コントロールユニット50は、RAM52の出金紙幣用のメモリ領域に、出金すべきでない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0129】
これに対して、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、紙幣の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値POT1以上の基準光学パターンデータROD(k)があると判定したときは、コントロールユニット50は、さらに、その金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の光学パターンデータODに基づく判別に用いたしきい値ROTよりも大きく、第二の紙幣判別部15によって検出された紙幣の光学パターンデータODに基づく判別に用いた第二のしきい値DOT2に等しい値に設定された第二のしきい値POT2以上か否かを判定する。
【0130】
その結果、紙幣の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値POT2以上であると判定したときは、コントロールユニット50は、その紙幣は汚損されていない真正な紙幣であると判定し、RAM52の出金紙幣用のメモリ領域にその旨を書き込む。
【0131】
これに対して、紙幣の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値POT2未満であると判定したときは、コントロールユニット50は、その紙幣は光学パターンデータODとの一致度を求めた基準光学パターンデータRODの金種と同じ金種の真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であって、回収すべき紙幣と判定し、RAM52の出金紙幣用のメモリ領域に、出金すべきではない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0132】
次いで、コントロールユニット50はRAM52にアクセスして、出金紙幣用のメモリ領域に書き込まれた紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果と、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果が一致しているか否かを判定する。
【0133】
その結果、RAM52の出金用紙幣のメモリ領域に書き込まれている紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果と、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果とが一致していないと判定したときは、第三の紙幣判別部25によって検出した磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく判別結果は信頼性が低いと考えられるから、コントロールユニット50は、その紙幣は出金すべき紙幣ではないと判定して、その紙幣を紙幣回収通路27内に送り、第二の紙幣回収ボックス31に送って回収させる。
【0134】
一方、RAM52の出金用紙幣のメモリ領域に書き込まれている紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果と、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果とが一致しており、その紙幣が真正な紙幣と判定されているが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判別されているときは、汚損紙幣は回収すべきで、出金すべきではないから、コントロールユニット50はその紙幣を紙幣回収通路27内に送り、第二の紙幣回収ボックス31に送って回収させる。
【0135】
これに対して、RAM52の出金用紙幣のメモリ領域に書き込まれている紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果と、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果とが一致し、その紙幣が真正で、かつ、汚損レベルが所定の汚損レベル以下の紙幣であると書き込まれていたときは、コントロールユニット50は、RAM52の出金紙幣用のメモリ領域に書き込まれている金種別の出金枚数を1枚だけ減じ、出金すべき紙幣の総金額から、出金をした紙幣の金種に相当する額を減じるとともに、その紙幣を、紙幣出金通路30を介して、紙幣出金口3に送って、出金する。
【0136】
同様にして、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22および/または第三の紙幣収納ボックス23から第三の紙幣判別部25に向けて、紙幣が、1枚ずつ、繰り出されて、紙幣出金通路30を介して、紙幣出金口3、あるいは、紙幣回収通路27を介して、第二の紙幣回収ボックス31に送られ、その結果、RAM52の出金紙幣用のメモリ領域に書き込まれた金種別出金枚数と出金された紙幣の総金額がゼロになると、コントロールユニット50は、紙幣の出金処理を完了させる。
【0137】
本実施態様によれば、紙幣入金口2に投入された紙幣の真偽および金種を判別して、入金するときには、コントロールユニット50は、第一の紙幣判別部5によって生成された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、紙幣の磁気パターンデータMDと各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比し、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度がしきい値RMT以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判別し、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度がしきい値RMT以上の基準磁気パターンデータRMDがあった場合には、その紙幣をその金種の真正な紙幣と判定して、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果として、RAM52の所定のメモリ領域に書き込み、その一方で、紙幣の光学パターンデータODと各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比し、紙幣の光学パターンデータODとの一致度がしきい値ROT以上の基準光学パターンデータRODがあるか否かを判別し、紙幣の光学パターンデータODとの一致度がしきい値ROT以上の基準光学パターンデータRODがあった場合には、その紙幣をその金種の真正な紙幣と判定して、紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果として、RAM52の所定のメモリ領域に書き込み、紙幣の磁気パターンデータMDに基づいた判別結果と、紙幣の光学パターンデータODに基づいた判別結果とが一致し、その紙幣は真正な紙幣であると判定している場合にのみ、その紙幣を真正な紙幣と判別するように構成されている。
【0138】
一方、紙幣貯留ボックス11に貯留された紙幣を、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22および第三の紙幣収納ボックス23に分配するときには、コントロールユニット50は、第二の紙幣判別部15によって生成された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODを用いて、紙幣の磁気パターンデータMDと各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比して、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度を算出し、一致度が、しきい値RMTよりも小さい第一のしきい値DMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判別し、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が第一のしきい値DMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあった場合には、その紙幣をその金種の真正な紙幣と判定して、その旨を、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果としてRAM52に書き込み、さらに、紙幣の磁気パターンデータMDとその基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、しきい値RMTよりも大きい第二のしきい値DMT2以上か否かを判定し、紙幣の磁気パターンデータMDとその基準磁気パターンデータRMDとの一致度が第二のしきい値DMT2以上であると判定したときは、その紙幣を真正で汚損されていない紙幣であると判別し、その旨を、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果としてRAM52に書き込み、紙幣の磁気パターンデータMDとその基準磁気パターンデータRMDとの一致度が第二のしきい値DMT2未満であると判定したときは、その紙幣は真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判別して、その旨を、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果としてRAM52に書き込むように構成され、その一方で、第二の紙幣判別部15によって生成された紙幣の光学パターンデータODを用いて、紙幣の光学パターンデータODと各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比して、紙幣の光学パターンデータODとの一致度を算出し、一致度が、しきい値ROTよりも小さい第一のしきい値DOT1以上の基準光学パターンデータRODがあるか否かを判別し、紙幣の光学パターンデーODとの一致度が第一のしきい値DOT1以上の基準光学パターンデータRODがあった場合には、その紙幣をその金種の真正な紙幣と判定して、その旨を、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果としてRAM52に書き込み、さらに、紙幣の光学パターンデータODとその基準光学パターンデータRODとの一致度が、しきい値ROTよりも大きい第二のしきい値DOT2以上か否かを判定し、紙幣の光学パターンデータODとその基準光学パターンデータRODとの一致度が第二のしきい値DOT2以上であると判定したときは、その紙幣を真正で汚損されていない紙幣であると判別し、その旨を、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果としてRAM52に書き込み、紙幣の光学パターンデータODとその基準光学パターンデータRODとの一致度が第二のしきい値DOT2未満であると判定したときは、その紙幣は真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判別して、その旨を、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果としてRAM52に書き込むように構成され、紙幣の磁気パターンデータMDに基づき、その紙幣が真正な紙幣で、汚損レベルが所定の汚損レベル以下の紙幣であると判別されるとともに、紙幣の光学パターンデータODに基づき、その紙幣が真正な紙幣で、汚損レベルが所定の汚損レベル以下の紙幣であると判別されていた場合に限って、その紙幣は真正な紙幣で、汚損レベルが所定の汚損レベル以下の紙幣であると判別されるように構成されている。
【0139】
加えて、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22および第三の紙幣収納ボックス23に貯留された紙幣を、紙幣出金口3に向けて出金するときには、コントロールユニット50は、第三の紙幣判別部25によって生成された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODを用いて、紙幣の磁気パターンデータMDと各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比して、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度を算出し、一致度が、しきい値RMTよりも小さい第一のしきい値PMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判別し、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が第一のしきい値PMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあった場合には、その紙幣をその金種の真正な紙幣と判定して、その旨を、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果としてRAM52に書き込み、さらに、紙幣の磁気パターンデータMDとその基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、しきい値RMTよりも大きい第二のしきい値PMT2以上か否かを判定し、紙幣の磁気パターンデータMDとその基準磁気パターンデータRMDとの一致度が第二のしきい値PMT2以上であると判定したときは、その紙幣を真正で汚損されていない紙幣であると判別し、その旨を、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果としてRAM52に書き込み、紙幣の磁気パターンデータMDとその基準磁気パターンデータRMDとの一致度が第二のしきい値PMT2未満であると判定したときは、その紙幣は真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判別して、その旨を、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果としてRAM52に書き込むように構成され、その一方で、第三の紙幣判別部25によって生成された紙幣の光学パターンデータODを用いて、紙幣の光学パターンデータODと各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比して、紙幣の光学パターンデータODとの一致度を算出し、一致度が、しきい値ROTよりも小さい第一のしきい値POT1以上の基準光学パターンデータRODがあるか否かを判別し、紙幣の光学パターンデーODとの一致度が第一のしきい値POT1以上の基準光学パターンデータRODがあった場合には、その紙幣をその金種の真正な紙幣と判定して、その旨を、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果としてRAM52に書き込み、さらに、紙幣の光学パターンデータODとその基準光学パターンデータRODとの一致度が、しきい値ROTよりも大きい第二のしきい値POT2以上か否かを判定し、紙幣の光学パターンデータODとその基準光学パターンデータRODとの一致度が第二のしきい値POT2以上であると判定したときは、その紙幣を真正で汚損されていない紙幣であると判別し、その旨を、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果としてRAM52に書き込み、紙幣の光学パターンデータODとその基準光学パターンデータRODとの一致度が第二のしきい値POT2未満であると判定したときは、その紙幣は真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判別して、その旨を、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果としてRAM52に書き込むように構成され、紙幣の磁気パターンデータMDに基づき、その紙幣が真正な紙幣で、汚損レベルが所定の汚損レベル以下の紙幣であると判別されるとともに、紙幣の光学パターンデータODに基づき、その紙幣が真正な紙幣で、汚損レベルが所定の汚損レベル以下の紙幣であると判別されていた場合に限って、その紙幣は真正な紙幣で、汚損レベルが所定の汚損レベル以下の紙幣であると判別されるように構成されている。
【0140】
したがって、紙幣入金口2に投入され、第一の紙幣判別部5の磁気センサ5aが検出した紙幣の磁気パターンデータMDおよび第一の紙幣判別部5の光学センサ5bが検出した紙幣の光学パターンデータODに基づいて、汚損レベルは高いが、真正な紙幣と判別された紙幣が、紙幣貯留ボックス11に貯留されることはあり得るが、本実施態様においては、第二の紙幣判別部15の磁気センサ15aが検出した紙幣の磁気パターンデータMDおよび第二の紙幣判別部15の光学センサ15bが検出した紙幣の光学パターンデータODに基づいて、紙幣が真正な紙幣か否か、その紙幣の金種、その紙幣の汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定する際に、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別の際に用いたしきい値RMTよりも大きな値に設定された第二のしきい値DMT2および第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の光学パターンデータODに基づく判別の際に用いたしきい値ROTよりも大きな値に設定された第二のしきい値DOT2を用いているから、汚損レベルが高く、出金に適さない汚損紙幣が、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス23または第三の紙幣収納ボックス23内に分配されて、出金紙幣として用いられることを、確実に防止することが可能になる。
【0141】
加えて、紙幣貯留ボックス11から繰り出され、第二の紙幣判別部15の磁気センサ15aが検出した紙幣の磁気パターンデータMDおよび第二の紙幣判別部15の光学センサ15bが検出した紙幣の光学パターンデータODに基づいて、汚損レベルは高いが、真正な紙幣と判別された紙幣が、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22および第三の紙幣収納ボックス23に分配されて貯留されることはあり得るが、本実施態様においては、第三の紙幣判別部25の磁気センサ25aが検出した紙幣の磁気パターンデータMDおよび第三の紙幣判別部25の光学センサ25bが検出した紙幣の光学パターンデータODに基づいて、紙幣が真正な紙幣か否か、その紙幣の金種、その紙幣の汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定する際に、第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別の際に用いたしきい値RMTよりも大きな値に設定された第二のしきい値PMT2および第一の紙幣判別部5によって検出された紙幣の光学パターンデータODに基づく判別の際に用いたしきい値ROTよりも大きな値に設定された第二のしきい値POT2を用いているから、汚損レベルが高く、出金に適さない汚損紙幣が、紙幣出金口3に向けて出金されてしまうことを、二重に防止することが可能になる。
【0142】
図3は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機の略縦断面図である。
【0143】
図3に示されるように、本実施態様にかかる紙幣入出金機61は、図1に示された紙幣入出金機と同様に、紙幣を投入する紙幣入金口62と、紙幣を出金する紙幣出金口63と、紙幣入金口62に投入された紙幣で、受け入れ不能と判別された紙幣を返却する紙幣返却口64を備え、さらに、紙幣入金口62に投入され、周知の繰り出し手段によって、紙幣入金口62から、紙幣入金通路67内に、1枚ずつ、繰り出された紙幣が受け入れ可能か否かを判別する紙幣判別部65を備えている。
【0144】
紙幣判別部65は、紙幣の磁気的な性質を検出し、紙幣の磁気パターンデータMDを後述するコントロールユニットに出力する磁気センサ65aと、紙幣の表面パターンを光学的に検出し、紙幣の光学パターンデータODをコントロールユニットに出力する光学センサ65bを備えている。
【0145】
コントロールユニットは、紙幣判別部65の磁気センサ65aから入力された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学センサ65bから入力された紙幣の光学パターンデータODに基づいて、紙幣が真正な紙幣で、受け入れ可能な紙幣であるか否かを判別するとともに、2枚以上の紙幣の全部あるいは一部が重なり合って、送られているなど、紙幣が所望のように搬送されているか否かを判別し、紙幣が真正な紙幣で、所望のように搬送されている紙幣であり、受け入れ可能な紙幣であると判別したときは、その金種を判別するとともに、真正な紙幣で、受け入れ可能と判別をした紙幣の枚数の計数をするように構成されている。
【0146】
紙幣判別部65から入力された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、コントロールユニットによって、偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣と判別された紙幣および所望のように搬送されていないと判別された紙幣は、紙幣返却通路68を介して、紙幣返却口64に送られ、テラーや顧客に返却される。
【0147】
紙幣入出金機61には、さらに、紙幣入金口62に投入された紙幣で、紙幣判別部65によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて受け入れ可能と判定された紙幣を一時的に貯留する紙幣一時貯留ボックス70が設けられ、テラーや顧客が入金を指示したときに、紙幣一時貯留ボックス70に収納されていた紙幣を貯留する紙幣貯留ボックス71が設けられている。
【0148】
図3に図示はされてはいないが、紙幣一時貯留ボックス70は、一時的に貯留していた紙幣を繰り出す紙幣繰り出し機構を備え、紙幣一時貯留ボックス70から繰り出された紙幣の搬送路には、ゲート部材70bが設けられ、紙幣を紙幣返却口64に連なる紙幣返却通路68および紙幣貯留ボックス71に連なる紙幣入金通路67のいずれかに送ることができるように構成されている。
【0149】
同様に、図3に図示はされてはいないが、紙幣貯留ボックス71は、貯留している紙幣を、1枚ずつ、繰り出す紙幣収納繰り出し機構を備えている。
【0150】
紙幣貯留ボックス71から繰り出された紙幣は、紙幣分配通路75を介して、再度、紙幣判別部65に送られて、磁気センサ65aによって、紙幣の磁気パターンデータMDが生成され、光学センサ65bによって、紙幣の光学パターンデータODが生成される。
【0151】
紙幣判別部65によって生成された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODは、コントロールユニットに出力される。
【0152】
紙幣判別部65には、紙幣出金通路としても機能する紙幣選別通路76が接続されており、紙幣選別通路76には、第一の金種の紙幣を収納する第一の紙幣収納ボックス81、第二の金種の紙幣を収納する第二の紙幣収納ボックス82、第三の金種の紙幣を収納する第三の紙幣収納ボックス83ならびに第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82および第三の紙幣収納ボックス83に収納できなかった真正な紙幣で汚損レベルが低い紙幣および紙幣判別部65によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、汚損レベルが所定レベルを越えた汚損紙幣であると判定された紙幣を収納する第一の紙幣回収ボックス84が接続されている。ここに、第一の紙幣回収ボックス84は紙幣入金出金機に着脱可能に取り付けられている。
【0153】
第一の紙幣収納ボックス81は、ゲート部材81aによって、選択可能な搬送路81b、81cを介して、紙幣選別通路16に接続されている。ここに、ゲート部材81aによって、紙幣を紙幣選別通路76から第一の紙幣収納ボックス81に導くときは、紙幣は搬送路81cに送られ、第一の紙幣収納ボックス81から紙幣を紙幣選別通路76に導くときは、紙幣は搬送路81bを介して、紙幣は紙幣選別通路76に送られるように構成されている。
【0154】
また、第二の紙幣収納ボックス82は、ゲート部材82aによって、選択可能な搬送路82b、82cを介して、紙幣選別通路76に接続されている。ここに、ゲート部材82aによって、紙幣を紙幣選別通路76から第二の紙幣収納ボックス82に導くときは、紙幣は搬送路82cに送られ、第二の紙幣収納ボックス82から紙幣を紙幣選別通路76に導くときは、紙幣は搬送路82bを介して、紙幣は紙幣選別通路76に送られるように構成されている。
【0155】
一方、第三の紙幣収納ボックス83は、ゲート部材83aによって、選択可能な搬送路83b、83cを介して、紙幣選別通路76に接続されている。ここに、ゲート部材83aによって、紙幣を紙幣選別通路76から第三の紙幣収納ボックス83に導くときは、紙幣は搬送路83cに送られ、第三の紙幣収納ボックス83から紙幣を紙幣選別通路76に導くときは、紙幣は搬送路83bを介して、紙幣は紙幣選別通路76に送られるように構成されている。
【0156】
また、第一の紙幣回収ボックス84は、ゲート部材84aが作動されたときに、紙幣選別通路76と連通するように、搬送路84bを介して、紙幣選別通路76に接続されている。
【0157】
第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82、第三の紙幣収納ボックス83および第一の紙幣回収ボックス84は、それぞれ、その内部に、昇降可能な紙幣載置板81d、82d、83d、84dを備えており、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82、第三の紙幣収納ボックス83および第一の紙幣回収ボックス84内に送り込まれた紙幣は、紙幣載置板81d、82d、83d、84dの上面に載置されるように構成されている。
【0158】
さらに、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82および第三の紙幣収納ボックス83は、それぞれ、紙幣を内部に収納し、収納された紙幣を紙幣出金通路としても機能する紙幣選別通路76に繰り出す収納紙幣繰り出し機構81e、82e、83eを備えている。
【0159】
紙幣選別通路76の下流端部には、紙幣判別部65が設けられ、紙幣貯留ボックス71から、紙幣選別通路76に繰り出された紙幣は、紙幣判別部65に送られる。
【0160】
紙幣判別部65には、紙幣を紙幣出金口63に導く紙幣出金通路77と、紙幣を紙幣返却口64に導く紙幣返却通路68と、紙幣を第二の紙幣回収ボックス85に導く紙幣回収通路78が接続されている。
【0161】
コントロールユニットは、紙幣判別部65の磁気センサ65aから入力された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学センサ65bから入力された紙幣の光学パターンデータODに基づいて、紙幣が出金可能か否かを判別し、紙幣が出金可能であると判別したときは、その金種を判別するとともに、出金可能と判別をした紙幣の金種別枚数を計数し、これに対して、紙幣が出金すべき紙幣ではないと判定したときは、紙幣を、紙幣回収通路78を介して、第二の紙幣回収ボックス85に収納するように構成されている。
【0162】
図4は、図3に示された本発明の別の好ましい実施態様にかかる紙幣入出金機61の検出系、駆動系、入力系、表示系および制御系を示すブロックダイアグラムである。
【0163】
図4に示されるように、紙幣入出金機61の検出系は、紙幣判別部65に設けられた紙幣の磁気パターンを検出し、磁気パターンデータMDを出力する磁気センサ65aおよび紙幣の表面パターンを光学的に検出し、光学パターンデータODを出力する光学センサ65bと、第一の紙幣収納ボックス81内に収納されている紙幣が所定枚数以上になったか否かを検出し、紙幣が所定枚数以上になったときに、紙幣検出信号を出力する紙幣枚数センサ81fと、第二の紙幣収納ボックス82内に収納されている紙幣が所定枚数以上になったか否かを検出し、紙幣が所定枚数以上になったときに、紙幣検出信号を出力する紙幣枚数センサ82fと、第三の紙幣収納ボックス83内に収納されている紙幣が所定枚数以上になったか否かを検出し、紙幣が所定枚数以上になったときに、紙幣検出信号を出力する紙幣枚数センサ83fと、第一の紙幣回収ボックス84内に収納されている紙幣が所定枚数以上になったか否かを検出し、紙幣が所定枚数以上になったときに、紙幣検出信号を出力する紙幣枚数センサ84fとを備えている。
【0164】
紙幣枚数センサ81f、82f、83f、84fは、それぞれ、紙幣載置板81d、82d、83d、84dの位置を検出することにより、紙幣載置板81d、82d、83d、84d上に集積された紙幣の高さを検出し、収納されている紙幣が所定枚数に達したか否かを検出するように構成されている。
【0165】
図4に示されるように、紙幣入出金機61の駆動系は、紙幣入金口62に設けられた紙幣を紙幣判別部65に向けて繰り出す紙幣繰り出し機構62aと、搬送路に設けられた複数の搬送ローラ86と、紙幣一時貯留ボックス70に貯留された紙幣を繰り出す紙幣繰り出し機構70aと、紙幣一時貯留ボックス70から繰り出された紙幣の搬送路を紙幣返却口64に連なる搬送路および紙幣貯留ボックス71に連なる搬送路の一方に切り換えるゲート部材70bと、紙幣貯留ボックス71に設けられ、紙幣貯留ボックス71内に貯留されている紙幣を紙幣判別部65に向けて繰り出す紙幣繰り出し機構71aと、第一の紙幣収納ボックス81に対応して設けられたゲート部材81aと、第二の紙幣収納ボックス82に対応して設けられたゲート部材82aと、第三の紙幣収納ボックス83に対応して設けられたゲート部材83aと、第一の紙幣回収ボックス84に対応して設けられたゲート部材84aと、第一の紙幣収納ボックス81に設けられた収納紙幣繰り出し機構81e、第二の紙幣収納ボックス82に設けられた収納紙幣繰り出し機構82e、および第三の紙幣収納ボックス83に設けられた収納紙幣繰り出し機構83eを備えている。
【0166】
また、紙幣入出金機61の入力系は、テラーや顧客によって操作され、種々の指示信号が入力されるキーボード90を備えており、紙幣入出金機1の表示系は、紙幣の計数結果などを表示するディスプレイ95を備えている。
【0167】
さらに、紙幣入出金機61の制御系は、コントロールユニット100、紙幣入出金機61の制御プログラム、紙幣の基準データなどが格納されたROM101および各種データを記憶するRAM102を備えている。コントロールユニット100には、紙幣判別部65からの紙幣判別信号ならびに紙幣枚数センサ81f、82f、83f、84fからの紙幣検出信号が入力され、コントロールユニット100は、これらの入力信号およびキーボード90から入力された指示信号に基づいて、ROM101に格納された制御プログラムにしたがって、紙幣入出金機61を制御するように構成されている。
【0168】
以上のように構成された本実施態様にかかる紙幣入出金機61は、図1および図2に示された紙幣入出金機と同様に、以下のようにして、紙幣を入金し、出金する。
【0169】
テラーあるいは顧客によって、入金信号がキーボード90に入力され、紙幣が紙幣入金口62に投入されると、コントロールユニット100は、紙幣入金口62の紙幣繰り出し機構62aと紙幣を搬送する搬送路に設けられた複数の搬送ローラ86に駆動信号を出力する。
【0170】
その結果、紙幣入金口62の紙幣繰り出し機構62aと搬送路に設けられた複数の搬送ローラ86とによって、紙幣は、1枚ずつ、紙幣入金口62から、紙幣入金通路67内に繰り出されて、紙幣判別部65に送られる。
【0171】
紙幣が紙幣判別部65に送られると、磁気センサ65aにより、紙幣の磁気的な性質が検出され、紙幣の磁気パターンデータMDが生成されて、コントロールユニット100に出力されるとともに、光学センサ65bによって、紙幣の表面パターンが光学的に検出され、紙幣の光学パターンデータODが生成されて、コントロールユニット100に出力される。
【0172】
コントロールユニット100は、入金信号は入力されているが、紙幣分配信号を出力していないときに、紙幣判別部65から、紙幣の磁気パターンデータMDを受け取ると、ROM101に記憶された各金種の紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)を読み出す(kは金種を示している。)とともにして、しきい値RMTを読み出し、パターンマッチングにより、紙幣判別部65から入力された紙幣の磁気データパターンMDと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が、しきい値RMT以上の基準磁気パターンデータRMD(k)があるか否かを判定する。
【0173】
その結果、ある金種の紙幣の基準磁気パターンデータRMDが、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度がしきい値RMT以上であると判定したときは、コントロールユニット100は、紙幣判別部65によって検出された紙幣の金種はその基準磁気パターンデータRMDの金種と同じであり、その紙幣がその金種の真正な紙幣であると判定して、判定結果をRAM102の入金紙幣用のメモリ領域に、磁気パターンデータMDに基づく判定結果として書き込む。
【0174】
これに対して、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、しきい値RMT未満である判定したときは、その紙幣は偽造紙幣などの受け入れ不能紙幣か、紙幣が所望のように搬送されていないかのいずれかであるので、コントロールユニット100は、RAM102の入金紙幣用のメモリ領域に、磁気パターンデータMDに基づく判定結果として書き込む。
【0175】
一方、コントロールユニット100は、入金信号は入力されているが、紙幣分配信号を出力していないときに、紙幣判別部65から、紙幣の光学パターンデータODを受け取ると、ROM101に記憶された各金種の紙幣の基準光学パターンデータROD(k)を読み出すとともに、しきい値ROTを読み出して、パターンマッチングにより、紙幣判別部65から入力された紙幣の光学パターンデータODと各金種の紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度を算出し、しきい値ROTと比較する。
【0176】
その結果、紙幣の光学パターンデータODとある金種の紙幣の基準光学パターンデータRODとの一致度がしきい値ROT以上であると判定したときには、コントロールユニット100は、紙幣がその金種の紙幣であると判定し、判定結果をRAM102の入金紙幣用のメモリ領域に、光学パターンデータODに基づく判定結果として書き込む。
【0177】
これに対して、紙幣の光学パターンデータODと、いずれの金種の紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度がしきい値ROT未満であると判定したときは、その紙幣は偽造紙幣などの受け入れ不能紙幣か、紙幣が所望のように搬送されていないかのいずれかと考えられるので、コントロールユニット100は、RAM102の入金紙幣用のメモリ領域に、光学パターンデータODに基づく判定結果として書き込む。
【0178】
次いで、コントロールユニット100は、RAM102にアクセスして、入金紙幣用のメモリ領域に記録されている紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致しているか否かを判定する。
【0179】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致していない場合には、紙幣判別部65によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく紙幣の判別結果の信頼性に疑問があるので、コントロールユニット100は、その紙幣は偽造紙幣などの受け入れ不能紙幣であるか、あるいは、所望のように搬送されていない紙幣であると判定し、その紙幣を紙幣返却口64に向かって送り出し、テラーや顧客に返却するとともに、その旨を、最終的な判定結果として、RAM102の入金紙幣用のメモリ領域に書き込む。
【0180】
これに対して、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致し、その紙幣は特定の金種の真正な紙幣であると判定している場合には、コントロールユニット100は、RAM102の金種ごとの検出枚数を書き込む金種別メモリ領域の対応する金種のメモリ領域に記録されたその金種の紙幣の検出枚数を1枚だけ増加させるとともに、紙幣を、紙幣入金通路67を介して、紙幣一時貯留ボックス70に向けて送り出し、その結果、その紙幣は、紙幣一時貯留ボックス70内に一時的に貯留される。
【0181】
一方、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致しているが、紙幣が偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣か、所望のように搬送されていない紙幣であると判定されていたときは、コントロールユニット100は、その紙幣は偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣か、所望のように搬送されていない紙幣のいずれかであると最終的に判定する。
【0182】
同様にして、紙幣入金口62に投入された紙幣が1枚ずつ、次々に紙幣入出金機61内に取り込まれ、紙幣判別部65によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、真正な紙幣であると判定された紙幣は、紙幣一時貯留ボックス70内に収納され、偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣と判定された紙幣および所望のように搬送されていない紙幣は、紙幣返却通路68を介して、紙幣返却口64に送られて、テラーあるいは顧客に返却される。
【0183】
こうして、紙幣入金口62に投入された紙幣のうち、偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣と判定された紙幣および所望のように搬送されていないと判定された紙幣が紙幣返却口64に送られ、その他の紙幣がすべて紙幣一時貯留ボックス70内に貯留されると、コントロールユニット100は、RAM102の金種別メモリ領域に記録されている各金種の紙幣の検出枚数に基づいて、紙幣入出金機が受け入れた真正な紙幣の総金額を算出して、ディスプレイ95に表示する。
【0184】
テラーあるいは顧客が、ディスプレイ95に表示された総金額に基づき、入金中止信号をキーボード90に入力したときは、コントロールユニット100は、ゲート部材70bに第一の駆動信号を出力して、紙幣一時貯留ボックス70から繰り出される紙幣の搬送路を紙幣返却口64に向かう紙幣返却通路68に接続させるとともに、紙幣繰り出し機構70aに駆動信号を出力して、紙幣繰り出し機構70aを駆動させて、紙幣一時貯留ボックス70内に貯留されている紙幣を、紙幣返却口64に向けて、1枚ずつ、送り出す。
【0185】
これに対して、テラーあるいは顧客が、ディスプレイ95に表示された総金額を確認して、入金指示信号をキーボード90に入力すると、コントロールユニット100は、ゲート部材70bに第二の駆動信号を出力して、紙幣一時貯留ボックス70から繰り出された紙幣の搬送路を紙幣貯留ボックス71に向かう紙幣入金通路67に接続させるとともに、紙幣繰り出し機構70aに駆動信号を出力して、紙幣繰り出し機構70aを駆動し、紙幣一時貯留ボックス70内に貯留されている紙幣を、紙幣貯留ボックス71内に向けて、1枚ずつ、送り出す。
【0186】
こうして、紙幣一時貯留ボックス70に貯留されていた紙幣がすべて、紙幣貯留ボックス71または紙幣返却口64に送られると、テラーあるいは顧客によって、紙幣入金口62に投入された紙幣の入金処理が完了する。
【0187】
紙幣入金口62に投入された紙幣の入金処理が完了すると、コントロールユニット100は、紙幣貯留ボックス71内に貯留されている紙幣を、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82、第三の紙幣収納ボックス83および第一の紙幣回収ボックス84に分配する旨の分配処理開始信号をディスプレイ95に出力して、紙幣の分配処理が開始される旨のメッセージをディスプレイ95に表示させ、さらに、コントロールユニット100は、第一の紙幣収納ボックス81に対応して設けられた紙幣枚数センサ81f、第二の紙幣収納ボックス82に対応して設けられた紙幣枚数センサ82f、第三の紙幣収納ボックス83に対応して設けられた紙幣枚数センサ83fのいずれかから紙幣検出信号が入力されているか否かを判定する。
【0188】
その結果、紙幣枚数センサ81f、82f、83fのいずれかから紙幣検出信号が入力されていないと判定したときは、紙幣検出信号を出力していない紙幣枚数センサに対応する紙幣収納ボックスには、所定枚数未満に紙幣しか収納されておらず、紙幣を補充する余地があるから、紙幣貯留ボックス71に貯留された紙幣を金種ごとに各紙幣収納ボックスに分配するために、コントロールユニット100は、紙幣貯留ボックス71に設けられた紙幣繰り出し機構71aに駆動信号を出力する。
【0189】
コントロールユニット100から、駆動信号を受けると、紙幣繰り出し機構71aは、紙幣貯留ボックス71内に貯留されている紙幣を、紙幣分配通路75を介して、再度、紙幣判別部65に向けて、1枚ずつ、送り出す。
【0190】
紙幣が、1枚ずつ、紙幣判別部65に送られると、磁気センサ65aによって、紙幣の磁気的特性が検出され、紙幣の磁気パターンデータMDが生成されて、コントロールユニット100に出力されるとともに、光学センサ65bによって、紙幣の表面パターンが光学的に検出され、紙幣の光学パターンデータODが生成されて、コントロールユニット100に出力される。
【0191】
コントロールユニット100は、紙幣分配信号を出力した後に、紙幣判別部65から、紙幣の磁気パターンデータMDを受け取ると、ROM101に記憶された各金種の紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)を読み出すとともに、第一のしきい値DMT1を読み出し、パターンマッチングにより、紙幣判別部65から入力された紙幣の磁気パターンデータMDと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値DMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判定する。
【0192】
ここに、前記実施態様と同様に、第一のしきい値DMT1は、入金処理時に用いたしきい値RMTよりも小さな値に設定されている。
【0193】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値DMT1未満であると判定したときは、コントロールユニット100は、紙幣判別部65によって検出された紙幣は、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82あるいは第三の紙幣収納ボックス83に分配すべき紙幣ではないと判定する。
【0194】
ここに、紙幣貯留ボックス71内に貯留された紙幣は、紙幣判別部65によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDと各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比するとともに、紙幣の光学パターンデータODを各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比した結果、その紙幣の磁気パターンデータMDとある金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、しきい値RMT以上で、真正な紙幣であると判定されたものであるから、その紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の入金処理時にその紙幣の金種と判別された金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、しきい値RMTよりも小さな値である第一のしきい値DMT1未満であるということは本来あり得ないことである。
【0195】
それにもかかわらず、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値DMT1未満であると判定されたのは、その紙幣が汚損レベルの高い汚損紙幣であるか、あるいは、何らかの原因で、紙幣が所望のように搬送されていないために、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82あるいは第三の紙幣収納ボックス83に分配すべき紙幣ではないと判定されたものと推定されるから、コントロールユニット100は、RAM102の分配紙幣用のメモリ領域に、出金紙幣として使用できない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0196】
これに対して、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値DMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあると判定したときは、コントロールユニット100は、さらに、ROM101から第二のしきい値DMT2を読み出し、その金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、紙幣判別部65によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別に用いたしきい値RMTよりも大きな値に設定された第二のしきい値DMT2以上か否かを判定する。
【0197】
ここに、第二のしきい値DMT2は、紙幣の入金処理時に用いたしきい値RMTよりも大きな値に設定されている。
【0198】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値DMT2以上であると判定したときは、コントロールユニット100は、その紙幣は汚損されていない真正な紙幣であると判定し、RAM102の分配紙幣用のメモリ領域に、分配される紙幣は、磁気パターンデータMDとの一致度を求めた基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の汚損されていない真正な紙幣である旨を書き込む。
【0199】
これに対して、紙幣の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値DMT2未満であると判定したときは、コントロールユニット100は、その紙幣は磁気パターンデータMDとの一致度を求めた基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判定し、RAM102の分配紙幣用のメモリ領域に、その旨を書き込む。
【0200】
一方、コントロールユニット100は、紙幣分配信号を出力した後に、紙幣判別部65から、紙幣の光学パターンデータODを受け取ると、ROM101に記憶された各金種の紙幣の基準光学パターンデータROD(k)を読み出すとともに、第一のしきい値DOT1を読み出して、パターンマッチングにより、紙幣判別部65から入力された紙幣の光学パターンデータODと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、紙幣の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値DOT1以上の基準光学パターンデータRODがあるか否かを判定する。
【0201】
ここに、第一のしきい値DOT1は、紙幣の入金処理時に用いられたしきい値ROTよりも小さな値に設定されている。
【0202】
その結果、紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値DOT1未満であると判定したときは、コントロールユニット100は、紙幣判別部65によって検出された紙幣は、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82あるいは第三の紙幣収納ボックス83に分配すべき紙幣ではないと判定する。
【0203】
ここに、紙幣貯留ボックス71内に貯留された紙幣は、入金処理時に、紙幣判別部65によって検出された紙幣の光学パターンデータODと各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比した結果、その紙幣の光学パターンデータODとある金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、しきい値ROT以上で、真正な紙幣であると判定されたものであるから、紙幣の入金処理時にその紙幣の金種と判別された金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、しきい値ROTよりも小さな値である第一のしきい値DOT1未満であるということは本来あり得ないことである。
【0204】
それにもかかわらず、紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の基準光学パターンデータRODとの一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値DOT1未満であると判定されたのは、その紙幣が汚損レベルの高い汚損紙幣であるか、あるいは、何らかの原因で、紙幣が所望のように搬送されていないために、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82あるいは第三の紙幣収納ボックス83に分配すべき紙幣ではないと判定されたものと推定されるから、コントロールユニット100は、RAM102の分配紙幣用のメモリ領域に、出金紙幣として使用できない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0205】
これに対して、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、紙幣の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値DOT1以上の基準光学パターンデータRODがあると判定したときは、コントロールユニット100は、さらに、ROM101から第二のしきい値DOT2を読み出し、その金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値DOT2以上か否かを判定する。
【0206】
ここに、第二のしきい値DOT2は入金処理時に用いられたしきい値ROTよりも大きな値に設定されている。
【0207】
その結果、紙幣の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値DOT2以上であると判定したときは、コントロールユニット100は、その紙幣は汚損されていない真正な紙幣であると判定し、RAM102の分配紙幣用のメモリ領域に、分配される紙幣は、光学パターンデータODとの一致度を求めた基準光学パターンデータRODの金種と同じ金種の汚損されていない真正な紙幣である旨を書き込む。
【0208】
これに対して、紙幣の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値DOT2未満であると判定したときは、コントロールユニット100は、その紙幣は光学パターンデータODとの一致度を求めた基準光学パターンデータRODの金種と同じ金種の真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判定し、RAM102の分配紙幣用のメモリ領域に、その旨を書き込む。
【0209】
次いで、コントロールユニット100は、RAM102にアクセスして、分配紙幣用のメモリ領域に記録されている紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致しているか否かを判定する。
【0210】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致していない場合には、紙幣判別部65によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく紙幣の判別結果の信頼性に疑問があるので、コントロールユニット100は、その紙幣は偽造紙幣などの受け入れ不能な紙幣であるか、あるいは、所望のように搬送されていない紙幣であると判定し、RAM102の分配紙幣用のメモリ領域に、出金紙幣として使用できない紙幣が検出された旨の判別結果を書き込む。
【0211】
これに対して、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致し、その紙幣は特定の金種の真正な紙幣であると判定している場合には、コントロールユニット100は、その紙幣が、磁気パターンデータMDに基づいて判別され、光学パターンデータODに基づいて判別されたとおりの汚損レベルを有する金種の紙幣であると、最終的に判別する。
【0212】
一方、紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と紙幣の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致しているが、その紙幣は出金紙幣として使用できないと判定されていたときは、コントロールユニット100は、その紙幣は出金紙幣として使用できないと最終的に判定する。
【0213】
紙幣の分配処理時に、紙幣判別部65によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、紙幣がある金種の真正で、汚損レベルも低い紙幣であると判定したときは、コントロールユニット100は、RAM102の金種ごとのメモリ領域の対応する金種のメモリに記録されたその金種の紙幣の検出枚数を1枚だけ増加させるとともに、対応する金種の紙幣を収納する紙幣収納ボックス21のゲート部材を駆動させて、その紙幣を、対応する金種の紙幣を収納する第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82あるいは第三の紙幣収納ボックス83内に収納させる。
【0214】
一方、紙幣の分配処理時に、紙幣判別部65によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、紙幣がある金種の真正な紙幣であるが、その汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判定したときは、コントロールユニット100は、第一の紙幣収納ボックス81に対応して設けられたゲート部材81a、第二の紙幣収納ボックス82に対応して設けられたゲート部材82aおよび第三の紙幣収納ボックス83に対応して設けられたゲート部材83aを作動させることなく、第一の紙幣回収ボックス84に対応して設けられたゲート部材84aのみを作動させる。その結果、汚損紙幣は、紙幣選別通路76内を送られて、第一の紙幣回収ボックス84内に収納される。
【0215】
これに対して、紙幣の分配処理時に、紙幣判別部65によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて紙幣を判別し、RAM102の分配紙幣用のメモリ領域に、その紙幣は出金紙幣として使用できない紙幣である旨が判別され、書き込まれている場合には、コントロールユニット100は、第一の紙幣収納ボックス81に対応して設けられたゲート部材81a、第二の紙幣収納ボックス82に対応して設けられたゲート部材82a、第三の紙幣収納ボックス83に対応して設けられたゲート部材83aを作動させることなく、第一の紙幣回収ボックス84に対応して設けられたゲート部材84aのみを作動させる。その結果、出金紙幣として使用できないと判定された紙幣は、紙幣選別通路76内を送られて、第一の紙幣回収ボックス84内に収納される。
【0216】
こうして、紙幣貯留ボックス71内に貯留されていた紙幣がすべて、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82、第三の紙幣収納ボックス83および第一の紙幣回収ボックス84内に収納されると、紙幣の分配処理が完了する。
【0217】
これに対して、紙幣貯留ボックス71内に貯留されていた紙幣がすべて、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82、第三の紙幣収納ボックス83および第一の紙幣回収ボックス84内に収納される前に、第一の紙幣収納ボックス81に設けられた紙幣枚数センサ81f、第二の紙幣収納ボックス82に設けられた紙幣枚数センサ82fあるいは第三の紙幣収納ボックス83に設けられた紙幣枚数センサ83fから、紙幣検出信号が入力された場合には、コントロールユニット100は、紙幣検出信号を出力した紙幣枚数センサが設けられた紙幣収納ボックス内に所定枚数の紙幣が収納され、これ以上、その紙幣収納ボックス内に紙幣を収納させることはできないと判定して、紙幣の分配処理時に、紙幣判別部65によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、紙幣検出信号を出力した紙幣枚数センサが設けられた紙幣収納ボックス内に収納されるべき金種の紙幣を検出したときに、対応する紙幣収納ボックスに設けられたゲート部材には駆動信号を出力せず、第一の紙幣回収ボックス84に対応して設けられたゲート部材84aに駆動信号を出力する。
【0218】
その結果、紙幣検出信号を出力した紙幣枚数センサが設けられた紙幣収納ボックス内に収納されるべき金種の紙幣は、紙幣選別通路76を通って、第一の紙幣回収ボックス84内に回収される。
【0219】
こうして、紙幣貯留ボックス71内に貯留されていた紙幣の第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82、第三の紙幣収納ボックス83あるいは第一の紙幣回収ボックス84への分配処理が続行され、その結果、第一の紙幣収納ボックス81に設けられた紙幣枚数センサ81f、第二の紙幣収納ボックス82に設けられた紙幣枚数センサ82f、第三の紙幣収納ボックス83に設けられた紙幣枚数センサ83fおよび第一の紙幣回収ボックス84に設けられた紙幣枚数センサ84fから、紙幣枚数信号が入力されると、コントロールユニット100は、紙幣の分配処理の続行が不可能になった旨のメッセージをディスプレイ95に表示する。
【0220】
また、紙幣貯留ボックス71内に貯留されていた紙幣がすべて、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82および第三の紙幣収納ボックス83内に収納される前に、第一の紙幣回収ボックス84に設けられた紙幣枚数センサ84fから紙幣検出信号が入力されると、コントロールユニット100は、紙幣の分配処理の続行が不可能になった旨のメッセージをディスプレイ95に表示する。第一の紙幣回収ボックス84は紙幣入金出金機に着脱可能に取り付けられているから、テラーまたは顧客は、第一の紙幣回収ボックス84を取り外して、収納されている紙幣を回収して、第一の紙幣回収ボックス84を紙幣入金出金機に取り付けることによって、紙幣の分配処理を続行することができる。
【0221】
こうして、紙幣入金口62から紙幣入金出金機に投入された紙幣は、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82、第三の紙幣収納ボックス83および第一の紙幣回収ボックス84に選択的に収納される。
【0222】
一方、紙幣入金出金機61から、紙幣を出金する場合には、テラーまたは顧客によって、キーボード90に、紙幣を出金すべき旨の出金指示信号と、出金額を指定する出金額指定信号が入力される。
【0223】
キーボード90に入力された紙幣出金信号および出金額指定信号はコントロールユニット100に入力され、紙幣出金信号および出金額指定信号を受けると、コントロールユニット100は、出金すべき紙幣の総金額を、出金紙幣用のメモリ領域に書き込むとともに、出金する紙幣の枚数が最小になるように、それぞれの金種の紙幣の出金枚数を算出し、さらに、最初に出金する紙幣の金種を決定して、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域に書き込む。
【0224】
次いで、コントロールユニット100は、最初に出金する紙幣の金種にしたがって、第一の紙幣収納ボックス81に設けられた収納紙幣繰り出し機構81e、第二の紙幣収納ボックス82に設けられた収納紙幣繰り出し機構82eまたは第三の紙幣収納ボックス83に設けられた収納紙幣繰り出し機構83eに駆動信号を出力し、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83内に収納された紙幣を、再度、紙幣選別通路76内に繰り出し、紙幣選別通路76の下流端部に設けられた紙幣判別部65に向けて、1枚ずつ繰り出す。
【0225】
第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83から繰り出された紙幣は、紙幣判別部65に設けられた磁気センサ65aによって、その磁気的特性が検出されて、磁気パターンデータMDが生成され、光学センサ65bによって、紙幣の表面パターンが光学的に検出されて、光学パターンデータODが生成される。
【0226】
こうして生成された紙幣の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODは、コントロールユニット100に出力される。
【0227】
コントロールユニット100は、紙幣出金信号が入力された後に、紙幣判別部65から、紙幣の磁気パターンデータMDを受け取ると、ROM101に記憶された各金種の紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)を読み出すとともに、第一のしきい値PMT1を読み出して、パターンマッチングにより、紙幣判別部65から入力された紙幣の磁気パターンデータMDと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値PMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判定する。
【0228】
ここに、第一のしきい値PMT1は、紙幣の入金処理時に用いたしきい値RMTよりも小さく、紙幣の分配処理時に用いた第一のしきい値DMT1と同じ値に設定されている。
【0229】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値PMT1未満であると判定したときは、コントロールユニット100は、紙幣判別部65によって検出された紙幣は、出金すべき紙幣ではないと判定し、出金すべきではない紙幣が検出された旨をRAM102の出金紙幣用のメモリ領域に、その旨を書き込む。
【0230】
ここに、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82および第三の紙幣収納ボックス83に収納されている紙幣は、紙幣の入金処理時に、真正な紙幣と判定され、紙幣の分配処理時に、真正で、かつ、汚損レベルが低い紙幣と判別されたものであるから、その紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の入金時にその紙幣の金種と判別された金種の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、しきい値RMTよりも小さな値である第一のしきい値PMT1未満であるということは本来あり得ないことである。
【0231】
それにもかかわらず、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値PMT1未満であると判定されたのは、その紙幣が汚損レベルの高い汚損紙幣で、何らかの原因で、所望のように搬送されていないために、紙幣の磁気パターンデータMDと、紙幣の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値PMT1未満になったものと推定されるから、コントロールユニット100は、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域に、出金すべきではない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0232】
これに対して、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、紙幣の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値PMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあると判定したときは、コントロールユニット100は、さらに、その金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、紙幣判別部65によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別に用いたしきい値RMTよりも大きく、紙幣の分配処理時に用いた第二のしきい値DMT2に等しい値に設定された第二のしきい値PMT2以上か否かを判定する。
【0233】
その結果、紙幣の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値PMT2以上であると判定したときは、コントロールユニット100は、その紙幣は汚損されていない真正な紙幣であると判定し、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域に、出金される紙幣は、磁気パターンデータMDとの一致度を求めた基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の汚損されていない真正な紙幣である旨を書き込む。
【0234】
これに対して、紙幣の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値PMT2未満であると判定したときは、コントロールユニット100は、その紙幣は磁気パターンデータMDとの一致度を求めた基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判定し、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域に、出金すべきでない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0235】
一方、コントロールユニット100は、紙幣出金信号が入力された後に、紙幣判別部65から、紙幣の光学パターンデータODを受け取ると、ROM1011に記憶された各金種の紙幣の基準光学パターンデータROD(k)を読み出すとともに、第一のしきい値POT1を読み出して、パターンマッチングにより、紙幣判別部65から入力された紙幣の光学パターンデータODと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、紙幣の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値POT1以上の基準光学パターンデータRODがあるか否かを判定する。
【0236】
ここに、第一のしきい値POT1は、紙幣の入金処理時に用いたしきい値ROTよりも小さく、紙幣の分配処理時に用いた第一のしきい値DOT1に等しい値に設定されている。
【0237】
その結果、紙幣の光学パターンデータODと、各紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値POT1未満であると判定したときは、コントロールユニット100は、紙幣判別部65によって検出された紙幣は、出金すべき紙幣ではないと判定し、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域に、出金すべきでない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0238】
ここに、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82および第三の紙幣収納ボックス83に収納されている紙幣は、紙幣の入金処理時に、真正な紙幣と判定され、紙幣の分配処理時に、真正で、かつ、汚損レベルが低い紙幣と判別されたものであるから、その紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の入金時にその紙幣の金種と判別された金種の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、しきい値RMTよりも小さな値である第一のしきい値POT1未満であるということは本来あり得ないことである。
【0239】
それにもかかわらず、紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値POT1未満であると判定されたのは、その紙幣が汚損レベルの高い汚損紙幣で、何らかの原因で、所望のように搬送されていないために、紙幣の光学パターンデータODと、紙幣の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の紙幣においても、第一のしきい値POT1未満になったものと、推定されるから、コントロールユニット100は、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域に、出金すべきでない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0240】
これに対して、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、紙幣の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値POT1以上の基準光学パターンデータROD(k)があると判定したときは、コントロールユニット100は、さらに、その金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、紙幣の入金処理時に用いたしきい値ROTよりも大きく、紙幣の分配処理時に用いた第二のしきい値DOT2に等しい値に設定された第二のしきい値POT2以上か否かを判定する。
【0241】
その結果、紙幣の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値POT2以上であると判定したときは、コントロールユニット100は、その紙幣は汚損されていない真正な紙幣であると判定し、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域にその旨を書き込む。
【0242】
これに対して、紙幣の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値POT2未満であると判定したときは、コントロールユニット100は、その紙幣は光学パターンデータODとの一致度を求めた基準光学パターンデータRODの金種と同じ金種の真正な紙幣であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であって、回収すべき紙幣と判定し、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域に、出金すべきではない紙幣が検出された旨を書き込む。
【0243】
次いで、コントロールユニット100はRAM102にアクセスして、出金紙幣用のメモリ領域に書き込まれた紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果と、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果が一致しているか否かを判定する。
【0244】
その結果、RAM102の出金用紙幣のメモリ領域に書き込まれている紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果と、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果とが一致していないと判定したときは、紙幣判別部65によって検出した磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく判別結果は信頼性が低いと考えられるから、コントロールユニット100は、その紙幣は出金すべき紙幣ではないと判定して、その紙幣を、紙幣回収通路78を介して、第二の紙幣回収ボックス85に送って回収させる。
【0245】
一方、RAM102の出金用紙幣のメモリ領域に書き込まれている紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果と、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果とが一致しており、その紙幣が真正な紙幣と判定されているが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損紙幣であると判別されているときは、汚損紙幣は回収すべきで、出金すべきではないから、コントロールユニット100はその紙幣を第二の紙幣回収ボックス85に送って回収させる。
【0246】
これに対して、RAM102の出金用紙幣のメモリ領域に書き込まれている紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別結果と、紙幣の光学パターンデータODに基づく判別結果とが一致し、その紙幣が真正で、かつ、汚損レベルが所定の汚損レベル以下の紙幣であるとRAM102の出金用紙幣のメモリ領域に書き込まれていたときは、コントロールユニット100は、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域に書き込まれている金種別の出金枚数を1枚だけ増大させ、出金した紙幣の総金額を書き込むとともに、その紙幣を、紙幣出金通路77を介して、紙幣出金口63に送って、出金する。
【0247】
同様にして、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82および/または第三の紙幣収納ボックス83から紙幣判別部65に向けて、紙幣選別通路76内に、紙幣が、1枚ずつ、繰り出されて、紙幣出金通路77を介して、紙幣出金口63に、あるいは、紙幣回収通路78を介して、第二の紙幣回収ボックス85に送られ、その結果、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域に書き込まれた金種別出金枚数と出金された紙幣の総金額が、RAM102の出金紙幣用のメモリ領域に書き込まれた出金すべき紙幣の総金額と一致すると、コントロールユニット100は紙幣の出金処理を完了させる。
【0248】
本実施態様によれば、紙幣の入金時には、紙幣判別部65の磁気センサ65aが検出した紙幣の磁気パターンデータMDおよび紙幣判別部65の光学センサ65bが検出した紙幣の光学パターンデータODに基づいて、紙幣が真正な紙幣か否かが判別され、真正な紙幣と判別された紙幣が、紙幣貯留ボックス71内に貯留されるように構成されているから、紙幣貯留ボックス71内に、汚損レベルが高い紙幣が貯留されていることがあり得るが、本実施態様においては、紙幣判別部65の磁気センサ65aが検出した紙幣の磁気パターンデータMDおよび紙幣判別部65の光学センサ65bが検出した紙幣の光学パターンデータODに基づいて、紙幣が真正な紙幣か否か、その紙幣の金種、その紙幣の汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定する際に、入金時に、紙幣判別部65の磁気センサ65aによって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別に用いたしきい値RMTよりも大きな値に設定された第二のしきい値DMT2および入金時に、紙幣判別部65の光学センサ65bによって検出された紙幣の光学パターンデータODに基づく判別の際に用いたしきい値ROTよりも大きな値に設定された第二のしきい値DOT2を用いているので、汚損レベルが高く、出金に適さない汚損紙幣が、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83内に分配されて、出金紙幣として用いられることを、確実に防止することが可能になる。
【0249】
加えて、紙幣貯留ボックス71から繰り出され、紙幣判別部65の磁気センサ65aが検出した紙幣の磁気パターンデータMDおよび紙幣判別部65の光学センサ65bが検出した紙幣の光学パターンデータODに基づいて、汚損レベルは高いが、真正な紙幣と判別された紙幣が、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82および第三の紙幣収納ボックス83に分配されて貯留されることはあり得るが、本実施態様においては、紙幣判別部65の磁気センサ65aが検出した紙幣の磁気パターンデータMDおよび紙幣判別部65の光学センサ65bが検出した紙幣の光学パターンデータODに基づいて、紙幣が真正な紙幣か否か、その紙幣の金種、その紙幣の汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定する際に、紙幣判別部65によって検出された紙幣の磁気パターンデータMDに基づく判別の際に用いたしきい値RMTよりも大きな値に設定された第二のしきい値PMT2および紙幣判別部65によって検出された紙幣の光学パターンデータODに基づく判別の際に用いたしきい値ROTよりも大きな値に設定された第二のしきい値POT2を用いているから、汚損レベルが高く、出金に適さない汚損紙幣が、紙幣出金口63に向けて出金されてしまうことを、二重に防止することが可能になる。
【0250】
さらに、本実施態様によれば、紙幣入金口62に投入された紙幣の磁気的特性を検出して、紙幣の磁気パターンデータMDを生成する磁気センサ65aを用いて、紙幣貯留ボックス71から1枚ずつ、繰り出されるに入金された紙幣の磁気的特性を検出して、紙幣の磁気パターンデータMDを生成し、さらに、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83から、出金のために繰り出された紙幣の磁気的特性を検出して、紙幣の磁気パターンデータMDを生成し、紙幣入金口62に投入された紙幣の光学的特性を検出して、紙幣の光学パターンデータODを生成する光学センサ65bを用いて、紙幣貯留ボックス71から1枚ずつ、繰り出されるに入金された紙幣の光学的特性を検出して、紙幣の光学パターンデータODを生成し、さらに、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83から、出金のために繰り出された紙幣の光学的特性を検出して、紙幣の光学パターンデータODを生成するように構成されているから、紙幣入出金機61を小型化することが可能になる。
【0251】
図5は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる硬貨入出金機の内部構造を示す略斜視図であり、図6はその縦断面図である。
【0252】
図5に示されるように、本実施態様にかかる硬貨入出金機111は、硬貨を硬貨入出金機111内に受け入れ、硬貨入出金機111から出金するための硬貨取引口112を備え、硬貨取引口112には、蓋113が開閉自在に取付けられている。
【0253】
硬貨取引口112に隣接した位置に、入金すべき硬貨あるいは出金すべき硬貨を、一時的に保持する硬貨一時保持部114が配置されている。硬貨一時保持部114は、駆動モータ(図示せず)のモータ軸に連結された駆動軸などの適当な手段(図示せず)によって鉛直面内を回動し、硬貨を落下可能に構成されている。
【0254】
硬貨一時保持部114の下には、硬貨一時保持部114から落下した硬貨を、その上面で受け取ることができる回転可能な回転円板115が配置されている。図7は、回転円板および硬貨通路の略部分拡大図である。
【0255】
図7に示されるように、回転円板115の外周部のすぐ外側には、リング状ガイド116が固定され、リング状ガイド116には、処理すべき硬貨のうち、厚さが最大の硬貨より大きく、厚さが最小の硬貨の2倍未満の間隙を有するスロット117が形成されている。硬貨一時保持部114から回転円板115上に落下した硬貨は、回転円板115の回転によって生成された遠心力により、リング状ガイド116の内面に押しつけられ、リング状ガイド116に沿って、スロット117から1枚ずつ、硬貨通路118へ送り出される。
【0256】
スロット7に接続された硬貨通路118には、硬貨を硬貨通路118の上面に押圧しながら、矢印Aの方向に移動させる搬送ベルト119が備えられており、さらに、硬貨の磁気的特性を検出して、硬貨の磁気パターンデータMDを生成する磁気センサ(図5および図6には図示せず)と、硬貨の表面パターンを光学的に検出し、光学パターンデータODを生成する光学センサ(図5および図6には図示せず)を備えた第一の硬貨判別部120が設けられ、第一の硬貨判別部120が検出した硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODは後述するコントロールユニットに出力される。コントロールユニットは、第一の硬貨判別部120の磁気センサから入力された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学センサから入力された硬貨の光学パターンデータODに基づいて、硬貨が真正な硬貨か、偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨かを判別し、真正な硬貨であるときは、その金種を判別するとともに、その枚数を計数するように構成されている。
【0257】
第一の硬貨判別部120が検出した硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、真正な硬貨と判別された硬貨と、偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨と判別された硬貨とを選別する硬貨選別デバイス121が、第一の硬貨判別部120に隣接した硬貨通路118に設けられている。
【0258】
図8は硬貨選別デバイス121の略断面図である。
【0259】
図8に示されるように、硬貨選別デバイス121は、硬貨通路118の下面に対して、ほぼ垂直に接続され、硬貨が、その内部を落下可能な選別通路122と、軸122Aに枢着された円筒の一部を切り欠いた形状の選別ローラ122Bを備えている。選別ローラ122Bは、硬貨を、選別通路122内に落下させることなく、矢印Aの方向にそのまま通過させるときには、図8において、実線で示す位置に保持され、矢印Bで示すように、選別通路122内に落下させるときには、実線で示す位置から破線で示す位置まで回動されるようになっている。
【0260】
硬貨選別通路122は、硬貨を一時的に貯留する硬貨貯留ボックス123に連通する第一の通路124と、後述する金種別に硬貨を貯留する貯留筒に収納しきれない硬貨を収納し、必要に応じて、貯留筒に補充するための補充用硬貨貯留ボックス125に連通する第二の通路126とに分岐されている。第一の通路124と第二の通路126との分岐部には、硬貨を、硬貨貯留ボックス123および補充用硬貨貯留ボックス125のいずれかに案内するためのゲート部材Gが、回動自在に設けられている。
【0261】
硬貨選別デバイス121の下流側の硬貨通路118の端部には、鉛直方向に延び、硬貨取引口2に投入された硬貨が、偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨であるときに、これを落下させて、顧客に返却する硬貨落下通路127が接続されている。硬貨貯留ボックス123の底部には、開閉可能なシャッタ128が設けられている。
【0262】
補充用硬貨貯留ボックス125の下部には、収納された硬貨を送出するための回転円板129が配置されており、回転円板129に隣接する補充用硬貨貯留ボックス125の壁部には、収納された硬貨を、同時に、比較的多量に放出可能な開閉ゲート130が設けられている。開閉ゲート130に隣接して、搬送ベルト131が配置されており、搬送ベルト131は、実質的に水平に延びる部分131aと、これに、硬貨を受け渡し可能に接続され、これに対して垂直方向に、上方に延びた部分131bを備えている。搬送ベルト131の上方に延びた部分131bは、硬貨を、硬貨入出金機111の上部に配置された回転円板132上に持ち上げる際に、硬貨を係止するための桟(図示せず)を備えている。
【0263】
回転円板132には、回転円板115と同様に、その外周部のすぐ外側に、リング状ガイド133が固定されており、リング状ガイド133には、処理すべき硬貨のうち、厚さが最大の硬貨より大きく、厚さが最小の硬貨の2倍未満の間隙を有するスロット134が設けられている。スロット134に、硬貨通路135が接続されており、硬貨通路135は、スロット134から硬貨一時保持部114へ延び、搬送ベルト119と同様な搬送ベルト136を備えている。
【0264】
回転円板132の近傍の硬貨通路135には、硬貨の磁気的特性を検出し、硬貨の磁気パターンデータMDを生成する磁気センサ(図5および図6には図示せず)および硬貨の表面パターンを光学的に検出し、硬貨の光学パターンデータODを生成する光学センサ(図5および図6には図示せず)を備えた第二の硬貨判別部137が設けられている。第二の硬貨判別部137が検出した硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODは後述するコントロールユニットに出力され、コントロールユニットによって、硬貨が真正な硬貨か、偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨か、硬貨の汚損レベルが判別されるとともに、硬貨が真正な硬貨と判別したときは、その金種が判別され、硬貨の枚数が計数される。
【0265】
第二の硬貨判別部137が検出した硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく判別結果にしたがって駆動される選別デバイス138が、第二の硬貨判別部137の直下流側の硬貨通路135に設けられている。選別デバイス138は、選別デバイス121と同様に構成されており、下方に延びる選別通路139と選別ローラ(図示せず)を備えている。
【0266】
選別デバイス138の下流側の硬貨通路135には、硬貨を、その金種にしたがって、別々に貯留する6つの硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fが配置されており、各硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fの上部には、選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141fが設けられている。選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141fは、選別デバイス121および選別デバイス138と同様に、選別通路142と選別ローラ143とを備えており、各選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141fの選別ローラ143は、第二の硬貨判別部137の判別結果にしたがって、コントロールユニットから出力された信号によって、選択的に回動されて、対応する硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに収納すべき金種の硬貨を、対応する硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに収納させる。また、各硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fの選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141fの直上流側の硬貨通路135には、その硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140F内に収納すべき硬貨を検出する硬貨センサ(図5および図6には図示せず)が設けられている。
【0267】
さらに、各硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fには、その内部に貯留されている硬貨の枚数が、第一の所定枚数未満か否かを検出する第一のフォトセンサ(図5および図6には図示せず)および貯留されている硬貨の枚数が、第二の所定枚数を越えているか否かを検出する第二のフォトセンサ(図5および図6には図示せず)が設けられており、第一のフォトセンサおよび第二のフォトセンサはいずれも、発光器(図示せず)および受光器(図示せず)を備えている。すなわち、第一のフォトセンサは、発光器から発光された光が、受光器によって受光されたときに、硬貨不足信号を、後述するコントロールユニットに出力し、また、第二のフォトセンサは、発光器から発光された光が、受光器によって受光されないときに、硬貨過剰信号を、コントロールユニットに出力するように構成されている。
【0268】
コントロールユニットは、ある硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに付随する第二のフォトセンサから硬貨過剰信号が入力されたときは、その硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fの選別ローラ143を回動させずに、硬貨を通過させ、付随する第二フォトセンサが硬貨過剰信号を出力した硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140F内に、硬貨を収納させないように構成されている。
【0269】
また、各硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fの下部には、貯留された硬貨を、出金時に、搬送ベルト131に、1枚ずつ繰り出す硬貨繰り出し機構(図5および図6には図示せず)が設けられている。
【0270】
下方に延びた選別通路139は、図6に示されるように、2つの分岐通路144、145に分岐され、さらに、分岐通路144は2つの分岐通路146、147に、分岐通路145は、2つの分岐通路148、149に分岐されている。各分岐部には、前述のゲート部材Gと同様なゲート部材(図示せず)が配置されている。分岐された分岐通路146、147、148、149は、それぞれ、硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140F内に貯留された硬貨の枚数が、第一の所定枚数未満になったときに、その硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに補充するための硬貨が、テラーによって、あらかじめ充填された硬貨入出金機111に着脱可能な硬貨補充ボックス150と、出金した硬貨を、顧客が取り忘れ、受領しなかったときに、これらを回収する不受領硬貨貯留ボックス151と、硬貨補充ボックス150に、誤って、テラーにより、偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨が充填されて、補充のために送り出され、第二の硬貨判別部137により検出されたとき、これらを回収する受け入れ不能硬貨回収ボックス152と、硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに、所定の金種以外の硬貨が、誤って、収納され、その硬貨が、出金されたとき、あるいは、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損硬貨が出金されたときに、その硬貨を回収する硬貨回収ボックス153とに連通している。したがって、選別デバイス138は、第二の硬貨判別部137により、出金すべきではない硬貨が検出されたとき、硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fから送り出された硬貨が、所定の金種以外の金種の硬貨であると検出されたとき、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損硬貨が出金されたとき、および、出金した硬貨を、顧客が取り忘れたことが検出されたときにのみ、コントロールユニットから駆動信号が出力されて、駆動される。図5においては、選別通路139、分岐通路144、145、146、147、148、149は、簡略化のため、図示されてはいない。硬貨補充ボックス150は、また、業務の終了時に、選別通路139、分岐通路144、146を経て、硬貨入出金機111内の硬貨を回収可能に構成されている。
【0271】
硬貨補充ボックス150は、その下部に、硬貨を送り出すための回転円板154と、収納している硬貨を、同時に、比較的多量に放出可能な開閉ゲート155を備えている。開閉ゲート155の下流側には、搬送ベルト156が接続され、搬送ベルト156は、硬貨補充ボックス150から送り出された硬貨を、搬送ベルト131に供給可能に構成されている。
【0272】
図9は、図5ないし図8に示された硬貨入出金機111の検出系、駆動系、入力系、表示系および制御系を示すブロックダイアグラムである。
【0273】
図9に示されるように、本実施態様にかかる硬貨入出金機111の検出系は、硬貨通路118に設けられ、硬貨の磁気的特性を検出して、磁気パターンデータMDを生成する磁気センサ120aおよび硬貨の表面パターンを光学的に検出して、光学パターンデータODを生成する光学センサ120bを備えた第一の硬貨判別部120と、硬貨通路135に設けられ、硬貨の磁気的特性を検出して、磁気パターンデータMDを生成する磁気センサ137aおよび硬貨の表面パターンを光学的に検出して、光学パターンデータODを生成する光学センサ137bを備えた第二の硬貨判別部137と、硬貨通路135に設けられ、硬貨を検出するための硬貨センサ165a、165b、165c、165d、165e、165fと、各硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに設けられ、硬貨の過不足を検出する第一のフォトセンサ166および第二のフォトセンサ167とを備えている。図9には、簡略化のため、一つの硬貨貯留筒に設けられた一対の第一のフォトセンサ166および第二のフォトセンサ167のみが図示されている。
【0274】
図9に示されるように、本実施態様にかかる硬貨入出金機111の駆動系は、硬貨一時保持部114の駆動軸を回動させる駆動モータ168と、回転円板115を回転させる駆動手段169と、搬送ベルト119を駆動するベルト駆動手段170と、選別デバイス121と、選別デバイス138と、各硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに付随して設けられた選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141fと、回転円板132を回転させる駆動手段171と、硬貨貯留ボックス123の底部に設けられたシャッタ128を駆動するシャッタ駆動手段172と、第一の通路124と第二の通路126の分岐部に設けられたゲート部材Gと、分岐通路144と分岐通路145との分岐部に設けられたゲート部材G1と、分岐通路146と分岐通路147との分岐部に設けられたゲート部材G2と、分岐通路148と分岐通路149との分岐部に設けられたゲート部材G3と、補充用硬貨貯留ボックス125に設けられた回転円板129を回転させる駆動手段173と、搬送ベルト131を駆動するベルト駆動手段174と、硬貨補充ボックス150に設けられた回転円板154を回転させる駆動手段175と、各硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fの下部に設けられた硬貨繰り出し機構を駆動する繰り出し機構駆動手段176A、176B、176C、176D、176E、176Fと、補充用硬貨貯留ボックス125の開閉ゲート130を開閉する駆動手段179と、硬貨補充ボックス150の開閉ゲート155を開閉する駆動手段180とを備えている。
【0275】
図9に示されるように、本実施態様にかかる硬貨入出金機111の入力系は、テラーあるいは顧客によって、種々の指示信号が入力されるキーボード190を備えており、硬貨入出金機111の表示系は、硬貨の計数結果や種々のメッセージなどを表示するディスプレイ195を備えている。
【0276】
図9に示されるように、本実施態様にかかる硬貨入出金機111の制御系は、コントロールユニット200と、硬貨入出金機111の制御プログラム、硬貨の金種ごとの基準データなどが格納されたROM201および各種データを記憶するRAM202を備えている。コントロールユニット200には、検出系から検出信号が入力され、コントロールユニット200はこれらの入力信号およびキーボード190から入力された指示信号に基づいて、ROM201に格納された制御プログラムにしたがって、硬貨入出金機111を制御するように構成されている。
【0277】
以上のように構成された本実施態様にかかる硬貨入出金機111は、以下のようにして、硬貨を入金し、出金する。
【0278】
まず、業務の開始に先立って、硬貨入金出金機111の準備処理が実行される。すなわち、硬貨入出金機111内に硬貨を供給するため、十分な枚数の硬貨が充填されている硬貨補充ボックス150が硬貨入出金機111に取付けられ、テラーにより、準備処理開始信号がキーボード190に入力されると、準備処理開始信号がコントロールユニット200に出力される。
【0279】
キーボード190から準備処理開始信号を受けると、コントロールユニット200は、回転円板154を駆動する駆動手段175、開閉ゲート155を開閉する駆動手段180、ベルト駆動手段174および回転円板132を駆動する駆動手段171に、駆動信号を出力し、その結果、回転円板154は回転を開始し、開閉ゲート155が開かれて、硬貨補充ボックス150内に収納されている硬貨は、搬送ベルト131上に送られ、実質的に水平の延びた部分131aおよび上方に延びた部分131bを経て、回転円板132に送られる。
【0280】
回転円板132に送られた硬貨は、スロット134を経て、硬貨通路135に送られ、第二の硬貨判別部137の磁気センサ137aによって、硬貨の磁気的特性が検出されて、硬貨の磁気パターンデータMDが生成され、光学センサ137bによって、硬貨の表面パターンが光学的に検出されて、硬貨の光学パターンデータODが生成される。
【0281】
こうして生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODはコントロールユニット200に出力される。
【0282】
準備処理開始信号が入力された後に、第二の硬貨判別部137から硬貨の磁気パターンデータMDを受けると、コントロールユニット200は、ROM201に記憶された各金種の硬貨の基準磁気パターンデータRMD(k)を読み出す(kは金種を示している。)とともにして、第一のしきい値DMT1を読み出し、パターンマッチングにより、第二の硬貨判別部137から入力された硬貨の磁気データパターンMDと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、硬貨の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値DMT1以上の基準磁気パターンデータRMD(k)があるか否かを判定する。
【0283】
その結果、ある金種の硬貨の基準磁気パターンデータRMD(k)が、硬貨の磁気パターンデータMDとの一致度が第一のしきい値DMT1以上であると判定したときは、コントロールユニット200は、第二の硬貨判別部137によって検出された硬貨の金種はその基準磁気パターンデータRMDの金種と同じであり、その硬貨がその金種の真正な硬貨であると判定して、判定結果をRAM202の充填硬貨用のメモリ領域に、磁気パターンデータMDに基づく判定結果として書き込む。
【0284】
これに対して、硬貨の磁気パターンデータMDと、硬貨の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の硬貨においても、第一のしきい値DMT1未満である判定したときは、その硬貨は偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨か、あるいは、硬貨が所望のように搬送されていないかのいずれかであるので、コントロールユニット200は、RAM202の充填硬貨用のメモリ領域に、その旨を、磁気パターンデータMDに基づく判定結果として書き込む。
【0285】
一方、各金種の硬貨の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、硬貨の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値DMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあると判定したときは、コントロールユニット200は、さらに、その金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第一のしきい値DMT1よりも大きな値に設定された第二のしきい値DMT2以上か否かを判定する。
【0286】
その結果、硬貨の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値DMT2以上であると判定したときは、コントロールユニット200は、その硬貨は汚損されていない真正な硬貨であると判定し、RAM202の充填硬貨用のメモリ領域に、充填される硬貨の金種は、磁気パターンデータMDとの一致度が第二のしきい値DMT2以上の基準磁気パターンデータRMDの金種と同一であり、かつ、汚損レベルも所定の汚損レベル以下の真正な硬貨である旨を書き込む。
【0287】
これに対して、硬貨の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値DMT2未満であると判定したときは、コントロールユニット200は、その硬貨は、磁気パターンデータMDとの一致度が第一のしきい値DMT1以上の基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の真正な硬貨であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損硬貨であると判定し、RAM202の分配硬貨用のメモリ領域に、その旨を書き込む。
【0288】
一方、コントロールユニット200は、第二の硬貨判別部137から、硬貨の光学パターンデータODを受け取ると、ROM201に記憶された各金種の硬貨の基準光学パターンデータROD(k)を読み出して、パターンマッチングにより、第二の硬貨判別部137から入力された硬貨の光学パターンデータODと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、硬貨の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値DOT1以上の基準光学パターンデータRODがあるか否かを判定する。
【0289】
その結果、硬貨の光学パターンデータODと、硬貨の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の硬貨においても、第一のしきい値DOT1未満であると判定したときは、その硬貨は偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨か、あるいは、硬貨が所望のように搬送されていないかのいずれかであるから、コントロールユニット200は、第二の硬貨判別部137によって検出された硬貨は、金種別に硬貨を貯留する硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに分配して、収納させるべき硬貨ではないと判定して、RAM202の充填硬貨用のメモリ領域に、その旨を、磁気パターンデータMDに基づく判定結果として書き込む。
【0290】
これに対して、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、硬貨の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値DOT1以上の基準光学パターンデータRODがあると判定したときは、コントロールユニット200は、さらに、その金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第一のしきい値DOT1よりも大きな値に設定された第二のしきい値DOT2以上か否かを判定する。
【0291】
その結果、硬貨の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値DOT2以上であると判定したときは、コントロールユニット200は、その硬貨は汚損されていない真正な硬貨であると判定し、RAM202の分配硬貨用のメモリ領域に、充填される硬貨は、光学パターンデータODとの一致度が第二のしきい値DOT2以上である基準光学パターンデータRODの金種と同じ金種の汚損されていない真正な硬貨である旨を書き込む。
【0292】
これに対して、硬貨の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値DOT2未満であると判定したときは、コントロールユニット200は、その硬貨は光学パターンデータODとの一致度が第二のしきい値DOT2以上である基準光学パターンデータRODの金種と同じ金種の真正な硬貨であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損硬貨であると判定し、RAM202の分配硬貨用のメモリ領域に、その旨を書き込む。
【0293】
次いで、コントロールユニット200は、RAM202にアクセスして、充填硬貨用のメモリ領域に記録されている硬貨の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と硬貨の光学パターンデータODに基づく判定結果とが同一か否かを判定する。
【0294】
その結果、硬貨の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と硬貨の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致していない場合には、第二の硬貨判別部137によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく硬貨の判別結果の信頼性に疑問があるので、その硬貨は偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨であるか、あるいは、所望のように搬送されていないために、硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに充填すべき硬貨ではないと判定されたものと推定して、コントロールユニット200は、RAM202の分配硬貨用のメモリ領域に、出金硬貨として使用できない硬貨が検出された旨の判別結果を書き込むとともに、その硬貨を受け入れ不能硬貨回収ボックス152内に回収する。
【0295】
これに対して、硬貨の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と硬貨の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致し、その硬貨が真正な硬貨と判定されている場合には、コントロールユニット200は、その硬貨が、磁気パターンデータMDに基づいて判別され、光学パターンデータODに基づいて判別されたとおりの汚損レベルを有する金種の硬貨であると、最終的に判別する。
【0296】
一方、硬貨の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と硬貨の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致しているが、その硬貨が偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨であるか、あるいは、所望のように搬送されていないと判定されている場合には、コントロールユニット200は、RAM202の分配硬貨用のメモリ領域に、出金硬貨として使用できない硬貨が検出された旨の判別結果を書き込むとともに、その硬貨を受け入れ不能硬貨回収ボックス152内に回収する。
【0297】
第二の硬貨判別部137によって検出された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、硬貨がある金種の真正で、汚損レベルも所定の汚損レベル以下の硬貨であると判定したときは、コントロールユニット200は、RAM202の金種ごとのメモリ領域に記録されたその金種の硬貨の検出枚数を1枚だけ増加させるとともに、その硬貨を、硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fのうち、対応する金種の硬貨を収納すべき硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140F内に収納させる。
【0298】
こうして、次々に、硬貨が、各硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140F内に収納され、その結果、いずれかの硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに設けられた第二のフォトセンサ167から、硬貨過剰信号が入力されると、コントロールユニット200は、その硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに付随して設けられた選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141fに出力していた駆動信号の出力を停止し、その後は、その硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに収納すべき硬貨は、硬貨一時保持部114、回転円板115を介して、硬貨通路118に送られる。
【0299】
硬貨が、硬貨通路118に設けられた第一の硬貨判別部120に送られると、第一の硬貨判別部120の磁気センサ120aによって、硬貨の磁気的特性が検出されて、硬貨の磁気パターンデータMDが生成され、光学センサ120bによって、硬貨の表面パターンが光学的に検出されて、硬貨の光学パターンデータODが生成される。
【0300】
こうして生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODは、コントロールユニット200に出力される。
【0301】
ここに、第一の硬貨判別部120によって生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODは、第二の硬貨判別部137によって生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODと同一であるから、コントロールユニット200は、第二の硬貨判別部137によって生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODが入力されたときと同様の判別処理を実行する。
【0302】
硬貨はさらに選別デバイス121に送られるが、選別デバイス121に送られた硬貨は、第二の硬貨判別部137によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、真正な硬貨と判別された硬貨であり、第一の硬貨判別部120によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく判別結果も同様であるから、コントロールユニット200から、選別デバイス121に駆動信号が出力され、その結果、硬貨は、選別通路122内に落下する。
【0303】
この状態では、ゲート部材Gは、選別通路122と第二の通路126とが連通するような位置に位置しており、硬貨は、補充用硬貨貯留ボックス125内に収納される。
【0304】
コントロールユニット200は、第一の硬貨判別部120から、磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODを受けるごとに、これらと第二の硬貨判別部137からの磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく判別結果にしたがって、補充用硬貨貯留ボックス125内に収納された硬貨の金種別の枚数を演算して、RAM202の収納硬貨用のメモリ領域に、金種別の硬貨の枚数を書き込む。
【0305】
以上のようにして、すべての硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140F内に、第二の所定枚数に等しい枚数の硬貨が収納されるとともに、補充用硬貨貯留ボックス125内に、所定枚数の硬貨が収納されると、コントロールユニット200は、硬貨入金出金機111の準備処理を完了させる。
【0306】
準備処理が完了し、業務が開始された後に、テラーあるいは顧客によって、入金処理開始信号がキーボード190に入力され、硬貨が硬貨取引口112に投入されると、その硬貨は硬貨一時保持部114に一時的に保持される。
【0307】
入金処理開始信号は、コントロールユニット200に出力され、入金処理開始信号を受けると、コントロールユニット200は、駆動モータ168に駆動信号を出力して、硬貨一時保持部114を回動させ、硬貨を回転円板115上に落下させる。
【0308】
次いで、コントロールユニット200は、駆動手段169に駆動信号を出力して、回転円板115を回転させ、回転円板115の回転により生成された遠心力によって、硬貨を、リング状ガイド116の内面に沿って、移動させ、スロット117を経て、硬貨通路118に、1枚ずつ、送り出す。
【0309】
硬貨通路118に送り出された硬貨は、ベルト駆動手段170により駆動される搬送ベルト119によって、第一の硬貨判別部120に送られ、第一の硬貨判別部120の磁気センサ120aによって、硬貨の磁気的特性が検出されて、硬貨の磁気パターンデータMDが生成され、光学センサ120bによって、硬貨の表面パターンが光学的に検出されて、硬貨の光学パターンデータODが生成される。
【0310】
第一の硬貨判別部120によって生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODはコントロールユニット200に送られ、コントロールユニット200は、入金処理開始信号が入力された後に、第一の硬貨判別部120から、硬貨の磁気パターンデータMDを受けると、ROM201に記憶された各金種の硬貨の基準磁気RMD(k)を読み出す(kは金種を示している。)とともにして、しきい値RMTを読み出し、パターンマッチングにより、第一の硬貨判別部120から入力された硬貨の磁気データパターンMDと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、硬貨の磁気パターンデータMDとの一致度が、しきい値RMT以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判定する。
【0311】
その結果、ある金種の硬貨の基準磁気パターンデータRMDが、硬貨の磁気パターンデータMDとの一致度がしきい値RMT以上であると判定したときは、コントロールユニット200は、第一の硬貨判別部120によって検出された硬貨の金種はその基準磁気パターンデータRMDの金種と同じであり、その硬貨がその金種の真正な硬貨であると判定して、判定結果をRAM202の入金硬貨用のメモリ領域に、磁気パターンデータMDに基づく判定結果として書き込む。
【0312】
これに対して、硬貨の磁気パターンデータMDと、硬貨の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の硬貨においても、しきい値RMT未満である判定したときは、その硬貨は偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨と判定されるので、コントロールユニット200は、RAM202の入金硬貨用のメモリ領域に、磁気パターンデータMDに基づく判定結果として書き込む。
【0313】
一方、コントロールユニット200は、入金処理開始信号が入力された後に、第一の硬貨判別部120から、硬貨の光学パターンデータODを受け取ると、ROM201に記憶された各金種の硬貨の基準光学パターンデータROD(k)を読み出すとともに、しきい値ROTを読み出して、パターンマッチングにより、第一の硬貨判別部120から入力された硬貨の光学パターンデータODと各金種の硬貨の基準光学パターンデータROD(k)との一致度を算出する。
【0314】
その結果、硬貨の光学パターンデータODとある金種の硬貨の基準光学パターンデータRODとの一致度がしきい値ROT以上であると判定したときには、コントロールユニット200は、硬貨がその金種の硬貨であると判定し、判定結果をRAM202の入金硬貨用のメモリ領域に、光学パターンデータODに基づく判定結果として書き込む。
【0315】
これに対して、硬貨の光学パターンデータODと、いずれの金種の硬貨の基準光学パターンデータROD(k)との一致度がしきい値ROT未満であると判定したときは、その硬貨は偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨か、所望のように搬送されていない硬貨と考えられるので、コントロールユニット200は、RAM202の入金硬貨用のメモリ領域に、その旨を光学パターンデータODに基づく判定結果として書き込む。
【0316】
次いで、コントロールユニット200は、RAM202にアクセスして、入金硬貨用のメモリ領域に記録されている硬貨の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と硬貨の光学パターンデータODに基づく判定結果とが同一か否かを判定する。
【0317】
その結果、硬貨の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と硬貨の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致していない場合には、第一の硬貨判別部120によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく硬貨の判別結果の信頼性に疑問があるので、コントロールユニット200は、その硬貨は偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨または所望のように搬送されていない硬貨であると判定し、選別デバイス121に駆動信号を出力せず、その硬貨を、選別通路122内に落下させることなく、硬貨落下通路127内を落下させ、搬送ベルト131上に送る。
【0318】
この時点では、搬送ベルト131がベルト駆動手段174により、回転円板132が駆動手段171により、それぞれ、駆動されているため、搬送ベルト131上に送られた偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨または所望のように搬送されていない硬貨と判定された硬貨は、実質的に水平に延びた部分131aおよび上方に延びた部分131bにより、回転円板132に送られて、さらに、回転円板132からスロット134を経て、硬貨通路135に送られる。
【0319】
ここに、第一の硬貨判別部120によって検出された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨または所望のように搬送されていない硬貨が検出されたときは、コントロールユニット200は、入金された真正な硬貨が硬貨貯留ボックス123内に収納され、偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨または所望のように搬送されていない硬貨と判定した硬貨が、硬貨落下通路127から、搬送ベルト131、回転円板132および硬貨通路135を経て、硬貨一時保持部114に送り返されるまで、選別デバイス138および選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141f、シャッタ駆動手段172などに駆動信号を出力せず、すべての偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨または所望のように搬送されていない硬貨と判定された硬貨が、硬貨一時保持部114に送り返されると、コントロールユニット200は、第一の硬貨判別部120によって検出された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて計数した硬貨の金種別計数結果にしたがって、ディスプレイ195に、入金額を表示する。
【0320】
テラーまたは顧客が、硬貨一時保持部114から偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨を取り去り、キーボード190に確認信号を入力すると、確認信号がコントロールユニット200に入力され、コントロールユニット200は、シャッタ駆動手段172に駆動信号を出力する。
【0321】
その結果、硬貨貯留ボックス123に貯留されていた硬貨は、搬送ベルト131上に送られ、さらに、回転円板132を経て、硬貨通路135に設けられた第二の硬貨判別部137に送られる。
【0322】
第二の硬貨判別部137においては、磁気センサ137aによって、硬貨の磁気的特性が検出されて、硬貨の磁気パターンデータMDが生成され、光学センサ137bによって、硬貨の表面パターンが検出されて、硬貨の光学パターンデータODが生成される。
【0323】
第二の硬貨判別部137で生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODはコントロールユニット200に出力される。
【0324】
入金処理開始信号が入力された後に、第二の硬貨判別部137から硬貨の磁気パターンデータMDを受けると、コントロールユニット200は、ROM201に記憶された各金種の硬貨の基準磁気パターンデータRMD(k)を読み出す(kは金種を示している。)とともにして、しきい値RMTを読み出し、パターンマッチングにより、第二の硬貨判別部137から入力された硬貨の磁気データパターンMDと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、硬貨の磁気パターンデータMDとの一致度が、しきい値RMT以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判定する。
【0325】
ここに、第二の硬貨判別部137の磁気センサ137aによって、硬貨の磁気的特性が検出されて、生成される硬貨の磁気パターンデータMDは、第一の硬貨判別部120の磁気センサ120aによって、硬貨の磁気的な性質が検出されて、生成される硬貨の磁気パターンデータMDと同一であり、また、第二の硬貨判別部137の磁気センサ137aによって生成された硬貨の磁気パターンデータMDと対比するしきい値RMTも、第一の硬貨判別部120の磁気センサ120aによって生成された磁気パターンデータMDに基づき、硬貨の判別をする際に用いたしきい値RMTと同一であるから、第一の硬貨判別部120の磁気センサ120aによって生成された磁気パターンデータMDに基づく硬貨の判別および金種の判別と同様にして、硬貨が真正な硬貨か、偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨か、真正な硬貨のときはその金種が判別されて、判定結果がRAM202の入金硬貨用のメモリ領域に、第二の硬貨判別部137によって検出された磁気パターンデータMDに基づく判定結果として書き込まれる。
【0326】
一方、入金処理開始信号が入力された後に、第二の硬貨判別部137から、硬貨の光学パターンデータODを受け取ると、コントロールユニット100は、ROM201に記憶された各金種の硬貨の基準光学パターンデータROD(k)を読み出すとともに、しきい値ROTを読み出して、パターンマッチングにより、第二の硬貨判別部137から入力された硬貨の光学パターンデータODと各金種の硬貨の基準光学パターンデータROD(k)との一致度を算出して、しきい値ROTと対比する。
【0327】
ここに、第二の硬貨判別部137の光学センサ137bによって、硬貨の鏡面パターンが光学的に検出されて、生成される硬貨の光学パターンデータODは、第一の硬貨判別部120の光学センサ120bによって生成される硬貨の光学パターンデータODと同一であり、また、第二の硬貨判別部137の光学センサ137bによって生成された硬貨の光学パターンデータODと対比されるしきい値ROTも、第一の硬貨判別部120の光学センサ120bによって生成された光学パターンデータODに基づき、硬貨の判別をする際に用いたしきい値ROTと同一であるから、第一の硬貨判別部120の光学センサ120bによって生成された光学パターンデータODに基づく硬貨の判別および金種の判別と同様にして、硬貨が真正な硬貨か、偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨か、真正な硬貨のときはその金種が判別されて、判定結果がRAM202の入金硬貨用のメモリ領域に、第二の硬貨判別部137によって検出された光学パターンデータODに基づく判定結果として書き込まれる。
【0328】
したがって、第二の硬貨判別部137に送られた硬貨はすべて、第一の硬貨判別部120によって生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、真正な硬貨と判別された硬貨であるから、コントロールユニット200は、選別デバイス138には、駆動信号を出力せず、したがって、硬貨は、選別デバイス138上を通過して、硬貨通路135を、さらに、下流側に送られる。
【0329】
コントロールユニット200は、第二の硬貨判別部137によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく判別結果にしたがい、硬貨センサ165a、165b、165c、165d、165e、165fからの硬貨検出信号に基づいて、選択的に、選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141fに駆動信号を出力し、入金された硬貨を、金種にしたがって、硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fのいずれかに収納させる。
【0330】
他方、第二のフォトセンサ167から硬貨過剰信号が入力されているときには、硬貨過剰信号を出力した第二のフォトセンサ167が設けられた硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに、さらに、硬貨を収納させることはできないから、コントロールユニット200は、その硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに付随した選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141fには、駆動信号を出力せず、したがって、その硬貨は、硬貨通路135を通過して、硬貨一時保持部114に送られ、さらに、回転円板115、硬貨通路118、選別通路122および第二の通路126を経て、補充用硬貨貯留ボックス125に送られ、収納される。
【0331】
こうして、テラーまたは顧客によって、硬貨取引口112に投入された硬貨の入金処理が完了する。
【0332】
一方、テラーまたは顧客が、キーボード190に出金処理開始信号および出金額信号を入力すると、出金処理開始信号および出金額信号がコントロールユニット200に出力され、コントロールユニット200は、硬貨の出金処理を開始する。
【0333】
コントロールユニット200は、テラーまたは顧客が指定した出金額に対して、出金する硬貨の枚数が最小になるように、各金種の硬貨の出金枚数を演算し、硬貨を出金すべき硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fの硬貨繰り出し機構を駆動する繰り出し機構駆動手段176A、176B、176C、176D、176E、176Fに駆動信号を出力する。
【0334】
駆動信号は、繰り出し機構駆動手段176A、176B、176C、176D、176E、176Fに対して同時に出力され、硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fから、同時に硬貨の出金がなされるように構成されている。コントロールユニット200から、駆動信号を受けた繰り出し機構駆動手段176A、176B、176C、176D、176E、176Fは、その駆動信号にしたがって、所定の枚数の硬貨を、搬送ベルト131上に送り出す。搬送ベルト131上に送り出された硬貨は、回転円板132に送られ、さらに、第二の硬貨判別部137に送られる。
【0335】
硬貨が第二の硬貨判別部137に送られると、第二の硬貨判別部137の磁気センサ137aによって、硬貨の磁気的特性が検出されて、硬貨の磁気パターンデータMDが生成され、第二の硬貨判別部137の光学センサ137bによって、硬貨の表面パターンが光学的に検出されて、硬貨の光学パターンデータODが生成される。
【0336】
こうして生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODは、コントロールユニット200に送られる。
【0337】
コントロールユニット200は、出金処理開始信号を受けた後に、第二の硬貨判別部137から、硬貨の磁気パターンデータMDを受け取ると、ROM201に記憶された各金種の硬貨の基準磁気パターンデータRMD(k)を読み出すとともに、第一のしきい値PMT1を読み出し、パターンマッチングにより、第二の硬貨判別部137から入力された硬貨の磁気パターンデータMDと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、硬貨の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値PMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあるか否かを判定する。
【0338】
ここに、前記実施態様と同様に、第一のしきい値PMT1は、入金処理時に用いたしきい値RMTよりも小さな値に設定されている。
【0339】
その結果、硬貨の磁気パターンデータMDと、硬貨の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の硬貨においても、第一のしきい値PMT1未満であると判定したときは、コントロールユニット200は、第二の硬貨判別部137によって検出された硬貨は、出金すべき硬貨ではないと判定する。
【0340】
ここに、各硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140F内に貯留された硬貨は、入金処理時に、第一の硬貨判別部120によって検出された硬貨の磁気パターンデータMDと各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比するとともに、硬貨の光学パターンデータODを各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比した結果、その硬貨の磁気パターンデータMDとある金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、しきい値RMT以上で、真正な硬貨であると判定されたものであり、さらに、入金処理時に、第二の硬貨判別部137によって検出された硬貨の磁気パターンデータMDと各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比するとともに、硬貨の光学パターンデータODを各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比した結果、その硬貨の磁気パターンデータMDとある金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、しきい値RMT以上で、真正な硬貨であると判定されたものであるから、その硬貨の磁気パターンデータMDと、硬貨の入金処理時にその硬貨の金種と判別された金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、しきい値RMTよりも小さな値である第一のしきい値PMT1未満であるということは本来あり得ないことである。
【0341】
それにもかかわらず、硬貨の磁気パターンデータMDと、硬貨の基準磁気パターンデータRMD(k)との一致度が、いずれの金種の硬貨においても、第一のしきい値PMT1未満であると判定されたのは、その硬貨が汚損レベルの高い汚損硬貨か、あるいは、何らかの原因で、所望のように搬送されていないために、出金すべき硬貨ではないと判定されたものと推定されるから、コントロールユニット200は、RAM202の出金硬貨用のメモリ領域に、出金硬貨として使用できない硬貨が検出された旨を書き込む。
【0342】
これに対して、各金種の基準磁気パターンデータRMD(k)の中に、硬貨の磁気パターンデータMDとの一致度が、第一のしきい値PMT1以上の基準磁気パターンデータRMDがあると判定したときは、コントロールユニット200は、さらに、ROM201から第二のしきい値PMT2を読み出し、第二の硬貨判別部137によって生成された硬貨の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度を算出し、一致度が第二のしきい値PMT2以上か否かを判定する。
【0343】
ここに、第二のしきい値PMT2は、硬貨の入金処理時に用いたしきい値RMTよりも大きな値に設定されている。
【0344】
その結果、硬貨の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値PMT2以上であると判定したときは、コントロールユニット200は、その硬貨は汚損されていない真正な硬貨であると判定し、RAM202の出金硬貨用のメモリ領域に、出金される硬貨は、磁気パターンデータMDとの一致度を求めた基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の汚損されていない真正な硬貨である旨を書き込む。
【0345】
これに対して、硬貨の磁気パターンデータMDとその金種の基準磁気パターンデータRMDとの一致度が、第二のしきい値PMT2未満であると判定したときは、コントロールユニット200は、その硬貨は磁気パターンデータMDとの一致度を算出した基準磁気パターンデータRMDの金種と同じ金種の真正な硬貨であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損硬貨であると判定し、RAM202の出金硬貨用のメモリ領域に、その旨を書き込む。
【0346】
一方、コントロールユニット200は、出金処理開始信号を受けた後に、第二の硬貨判別部137から、硬貨の光学パターンデータODを受け取ると、ROM201に記憶された各金種の硬貨の基準光学パターンデータROD(k)を読み出すとともに、第一のしきい値POT1を読み出して、パターンマッチングにより、第二の硬貨判別部137から入力された硬貨の光学パターンデータODと対比して、金種ごとに、両者の一致度を算出し、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、硬貨の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値POT1以上の基準光学パターンデータRODがあるか否かを判定する。
【0347】
ここに、第一のしきい値POT1は、硬貨の入金処理時に用いられたしきい値ROTよりも小さな値に設定されている。
【0348】
その結果、硬貨の光学パターンデータODと、硬貨の基準光学パターンデータROD(k)との一致度が、いずれの金種の硬貨においても、第一のしきい値POT1未満であると判定したときは、コントロールユニット200は、第二の硬貨判別部137によって検出された硬貨は出金すべき硬貨ではないと判定する。
【0349】
ここに、各硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140F内に貯留された硬貨は、入金処理時に、第一の硬貨判別部120によって検出された硬貨の光学パターンデータODと各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比した結果、その硬貨の光学パターンデータODとある金種の基準光学パターンデータRODとの一致度がしきい値ROT以上で、真正な硬貨であると判定されるとともに、第二の硬貨判別部137によって検出された硬貨の光学パターンデータODと各金種の基準光学パターンデータROD(k)とを対比した結果、その硬貨の光学パターンデータODとある金種の基準光学パターンデータRODとの一致度がしきい値ROT以上で、真正な硬貨であると判定されたものであるから、硬貨の入金処理時にその硬貨の金種と判別された金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、しきい値ROTよりも小さな値である第一のしきい値POT1未満であるということは本来あり得ないことである。
【0350】
それにもかかわらず、硬貨の光学パターンデータODと、硬貨の基準光学パターンデータRODとの一致度が、いずれの金種の硬貨においても、第一のしきい値POT1未満であると判定されたのは、その硬貨が汚損レベルの高い汚損硬貨か、あるいは、何らかの原因で、所望のように搬送されていない硬貨のために、出金すべき硬貨ではないと判定されたものと推定されるから、コントロールユニット200は、RAM202の出金硬貨用のメモリ領域に、出金硬貨として使用できない硬貨が検出された旨を書き込む。
【0351】
これに対して、各金種の基準光学パターンデータROD(k)の中に、硬貨の光学パターンデータODとの一致度が、第一のしきい値POT1以上の基準光学パターンデータRODがあると判定したときは、コントロールユニット200は、さらに、ROM201から第二のしきい値POT2を読み出し、その金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値POT2以上か否かを判定する。
【0352】
ここに、第二のしきい値POT2は入金処理時に用いられたしきい値ROTよりも大きな値に設定されている。
【0353】
その結果、硬貨の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値POT2以上であると判定したときは、コントロールユニット200は、その硬貨は汚損されていない真正な硬貨であると判定し、RAM202の出金硬貨用のメモリ領域に、出金される硬貨は、光学パターンデータODとの一致度を求めた基準光学パターンデータRODの金種と同じ金種の汚損されていない真正な硬貨である旨を書き込む。
【0354】
これに対して、硬貨の光学パターンデータODとその金種の基準光学パターンデータRODとの一致度が、第二のしきい値POT2未満であると判定したときは、コントロールユニット200は、その硬貨は光学パターンデータODとの一致度を算出した基準光学パターンデータRODの金種と同じ金種の真正な硬貨であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損硬貨であると判定し、RAM202の出金硬貨用のメモリ領域に、その旨を書き込む。
【0355】
次いで、コントロールユニット200は、RAM202にアクセスして、出金硬貨用のメモリ領域に記録されている硬貨の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と硬貨の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致しているかを判定する。
【0356】
その結果、硬貨の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と硬貨の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致していない場合には、第二の硬貨判別部137によって検出された磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく硬貨の判別結果の信頼性に疑問があるので、コントロールユニット200は、その硬貨は偽造硬貨などの受け入れ不能な硬貨であるか、あるいは、所望のように搬送されていない硬貨であると判定し、RAM202の出金硬貨用のメモリ領域に、出金硬貨として使用できない硬貨が検出された旨の判別結果を書き込む。
【0357】
これに対して、硬貨の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と硬貨の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致し、その硬貨が真正な硬貨で、汚損レベルが所定の汚損レベル以下の硬貨であると判別され、あるいは、その硬貨が真正な硬貨であるが、汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損硬貨である判定されている場合には、コントロールユニット200は、その硬貨が、磁気パターンデータMDに基づいて判別され、光学パターンデータODに基づいて判別されたとおりの金種と汚損レベルを有する硬貨であると最終的に判別して、その旨をRAM202の出金硬貨用のメモリ領域に書き込む。
【0358】
一方、第二の硬貨判別部137によって検出された硬貨の磁気パターンデータMDに基づく判定結果と硬貨の光学パターンデータODに基づく判定結果とが一致しているが、その硬貨が汚損レベルが所定の汚損レベルを越えた汚損硬貨か、あるいは、所望のように搬送されていない硬貨であると判定されていたときは、コントロールユニット200は、その硬貨は出金硬貨として使用できない硬貨であると最終的に判別し、その旨をRAM202の出金硬貨用のメモリ領域に書き込み、選別デバイス138、ゲート部材G1およびゲート部材G3に駆動信号を出力して、選別通路139、分岐通路145および分岐通路149を介して、汚損硬貨と判別された硬貨を、硬貨回収ボックス153内に回収する。
【0359】
これに対して、第二の硬貨判別部137によって検出された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、その硬貨は、真正な硬貨でかつ汚損レベルが所定汚損レベル以下の硬貨であると判別したときは、コントロールユニット200は、選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141fに駆動信号を出力せず、その結果、その硬貨は、選別デバイス141a、141b、141c、141d、141e、141f上を通過して、硬貨一時保持部114に送られる。
【0360】
こうして、硬貨一時保持部114に送られた硬貨を、硬貨取引口112を介して、テラーあるいは顧客が受領すると、硬貨の出金処理が完了する。
【0361】
一方、出金処理中に、硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fのいずれかの第一のフォトセンサ166が、貯留されている硬貨の枚数が、第一の所定枚数未満になったことを検出し、硬貨不足信号を、コントロールユニット200に出力すると、コントロールユニット200は、補充用硬貨貯留ボックス125から、硬貨不足信号を出力している第一のフォトセンサ166を備えた硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fへの硬貨の補充を開始する。
【0362】
すなわち、コントロールユニット200は、回転円板129を回転させる駆動手段173および開閉ゲート130を開閉させる駆動手段179に駆動信号を出力して、回転円板129を回転させると同時に、開閉ゲート130を開放し、補充用硬貨貯留ボックス125内の硬貨を、開閉ゲート130を介して、搬送ベルト131に供給する。搬送ベルト131上に供給された硬貨は、回転円板132に送られて、さらに、回転円板132から、スロット134を経て、硬貨通路135に送られる。
【0363】
硬貨が第二の硬貨判別部137に達すると、第二の硬貨判別部137の磁気センサ137aによって、硬貨の磁気的な性質が検出されて、硬貨の磁気パターンデータMDが生成され、第二の硬貨判別部137の光学センサ137bによって、硬貨の表面パターンが光学的に検出されて、硬貨の光学パターンデータODが生成される。こうして生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODは、コントロールユニット200に送られる。
【0364】
第二の硬貨判別部137から、硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODを受けると、コントロールユニット200は、入金処理時と同様にして、硬貨の真偽および金種を判別するとともに、その金種別枚数を計数する。
【0365】
硬貨はさらに、選別デバイス138に送られるが、補充用硬貨貯留ボックス125に収納されている硬貨は、準備処理の際に、第一の硬貨判別部120および第二の硬貨判別部137によって検出された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づいて、真正な硬貨と判別されたものであるから、選別デバイス138に駆動信号は出力されず、したがって、硬貨は、選別デバイス138上を通過して、硬貨通路135を、さらに、下流側に送られる。
【0366】
コントロールユニット200は、硬貨の入金処理と同様にして、第二の硬貨判別部137によって生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく硬貨の判別結果および硬貨の金種別の計数枚数ならびに第二のフォトセンサ167から硬貨過剰信号が入力されたか否かにしたがって、硬貨を、硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140F、または、補充用硬貨貯留ボックス125に収納する。
【0367】
コントロールユニット200は、いずれかの硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに設けられた第二のフォトセンサ167から硬貨過剰信号が入力されたときは、第二の硬貨判別部137によって生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく硬貨の判別結果および硬貨の金種別の計数枚数ならびに第一の硬貨判別部120によって生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく硬貨の判別結果および硬貨の金種別の計数枚数に基づき、他方、いずれかの硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fに設けられた第二のフォトセンサ167からも硬貨過剰信号が入力されていないときは、第二の硬貨判別部137によって生成された硬貨の磁気パターンデータMDおよび光学パターンデータODに基づく硬貨の判別結果および硬貨の金種別の計数枚数に基づき、補充用硬貨貯留ボックス125に貯留されている硬貨の枚数を金種別に演算して、RAM202の補充硬貨用のメモリ領域に記憶させる。
【0368】
硬貨貯留筒140A、140B、140C、140D、140E、140Fへの硬貨の補充処理中に、補充用硬貨貯留ボックス125に貯留されている硬貨の枚数が所定枚数以下になったときには、特許第2986912号明細書に記載されているのと同様に、テラーは、硬貨補充ボックス150を取り外して、硬貨を充填し、硬貨入出金機111に、硬貨補充ボックス150を取り付け、硬貨補充ボックス150から補充用硬貨貯留ボックス125に、硬貨を補充するように構成されている。
【0369】
本実施態様によれば、入金時には、第一の硬貨判別部120の磁気センサ120aが生成した硬貨の磁気パターンデータMDおよび第一の硬貨判別部120の光学120bが生成した硬貨の光学パターンデータODに基づいて、硬貨が真正な硬貨か否かが判別され、真正な硬貨と判別された硬貨が、硬貨貯留ボックス123内に貯留されるように構成されているから、汚損レベルが高く、出金硬貨としては不適当な硬貨が汚損レベルが高い汚損硬貨が硬貨貯留ボックス123内に貯留されていることはあり得るが、硬貨の出金時には、第二の硬貨判別部137の磁気センサ137aが生成した硬貨の磁気パターンデータMDおよび第二の硬貨判別部137の光学センサ137bが生成した硬貨の光学パターンデータODに基づき、硬貨の入金処理時に用いたしきい値RMTよりも大きな値に設定された第二のしきい値PMT2および硬貨の入金処理時に用いたしきい値ROTよりも大きな値に設定された第二のしきい値POT2を用いて、出金すべき硬貨か否かが判別されているから、汚損レベルが高く、出金硬貨としては不適当な硬貨が出金されることを確実に防止することが可能になる。
【0370】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0371】
たとえば、図1および図2に示された実施態様においては、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23から紙幣を出金するときに、紙幣が出金するのに適しているか否かを、紙幣の磁気パターンデータに基づいて判別するために用いる第二のしきい値PMT2を、紙幣貯留ボックス11に貯留された紙幣を、金種別の第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23に分配して収納させるときに、紙幣の磁気パターンデータに基づき、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23に分配して収納するのに適した紙幣であるか否かを判別する際に用いた第二のしきい値DMT2に等しい値に設定しているが、紙幣の出金処理時に、紙幣を判別するのに用いる第二のしきい値PMT2を、紙幣の分配処理時に、紙幣を判別するのに用いる第二のしきい値DMT2に等しい値に設定することは必ずしも必要ではなく、同様に、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23から紙幣を出金するときに、紙幣が出金するのに適しているか否かを、紙幣の光学パターンデータに基づいて判別するために用いる第二のしきい値POT2を、紙幣貯留ボックス11に貯留された紙幣を、金種別の第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23に分配して収納させるときに、紙幣の光学パターンデータに基づき、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23に分配して収納するのに適した紙幣であるか否かを判別する際に用いた第二のしきい値DOT2に等しい値に設定しているが、紙幣の出金処理時に、紙幣を判別するのに用いる第二のしきい値PMT2または第二のしきい値POT2を、紙幣の分配処理時に、紙幣を判別するのに用いる第二のしきい値DMT2または第二のしきい値POT2に等しい値に設定することは必ずしも必要ではない。テラーまたは顧客に提供される紙幣に汚損紙幣が含まれるというようなことは避けなければならず、そのために、紙幣を出金するときに、紙幣が出金に適した紙幣か否かを判別するために用いる第二のしきい値PMT2および第二のしきい値POT2は、紙幣を分配するときに、紙幣が第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23に分配して収納するのに適した紙幣であるか否かを判別するために用いる第二のしきい値DMT2および第二のしきい値DOT2以上の値に設定されていればよい。
【0372】
また、図3および図4に示された実施態様においては、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83から紙幣を出金するときに、紙幣が出金するのに適しているか否かを、紙幣の磁気パターンデータに基づいて判別するために用いる第二のしきい値PMT2を、紙幣貯留ボックス71に貯留された紙幣を、金種別の第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83に分配して収納させるときに、紙幣の磁気パターンデータに基づき、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83に分配して収納するのに適した紙幣であるか否かを判別する際に用いた第二のしきい値DMT2に等しい値に設定しているが、紙幣の出金処理時に、紙幣を判別するのに用いる第二のしきい値PMT2を、紙幣の分配処理時に、紙幣を判別するのに用いる第二のしきい値DMT2に等しい値に設定することは必ずしも必要ではなく、同様に、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83から紙幣を出金するときに、紙幣が出金するのに適しているか否かを、紙幣の光学パターンデータに基づいて判別するために用いる第二のしきい値POT2を、紙幣貯留ボックス71に貯留された紙幣を、金種別の第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83に分配して収納させるときに、紙幣の光学パターンデータに基づき、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83に分配して収納するのに適した紙幣であるか否かを判別する際に用いた第二のしきい値DOT2に等しい値に設定しているが、紙幣の出金処理時に、紙幣を判別するのに用いる第二のしきい値PMT2または第二のしきい値POT2を、紙幣の分配処理時に、紙幣を判別するのに用いる第二のしきい値DMT2または第二のしきい値POT2に等しい値に設定することは必ずしも必要ではない。しかるに、テラーまたは顧客に提供される紙幣に汚損紙幣が含まれるというようなことは避けなければならず、そのために、紙幣を出金するときに、紙幣が出金に適した紙幣か否かを判別するために用いる第二のしきい値PMT2および第二のしきい値POT2は、紙幣を分配するときに、紙幣が第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83に分配して収納するのに適した紙幣であるか否かを判別するために用いる第二のしきい値DMT2および第二のしきい値DOT2以上の値に設定されていればよい。
【0373】
また、図1および図2に示された実施態様においては、紙幣貯留ボックス11に貯留された紙幣を、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23に分配して収納する際に紙幣が受け入れ可能か否かを判別し、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23から紙幣を出金する際に、全く同様にして、紙幣が出金可能か否かを判別するように構成されているが、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23に、紙幣を分配する際と、第一の紙幣収納ボックス21、第二の紙幣収納ボックス22または第三の紙幣収納ボックス23から、紙幣を出金する際に、紙幣を同様にして判別することは必ずしも必要でなく、一方の紙幣判別を省略することもできる。
【0374】
さらに、図3および図4に示された実施態様においては、紙幣貯留ボックス71に貯留された紙幣を、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83に分配して収納する際に紙幣が受け入れ可能か否かを判別し、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83から紙幣を出金する際に、全く同様にして、紙幣が出金可能か否かを判別するように構成されているが、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83に、紙幣を分配する際と、第一の紙幣収納ボックス81、第二の紙幣収納ボックス82または第三の紙幣収納ボックス83から、紙幣を出金する際に、紙幣を同様にして判別することは必ずしも必要でなく、一方の紙幣判別を省略することもできる。
【0375】
また、図1および図2に示された実施態様ならびに図3および図4に示された実施態様においては、紙幣の磁気的特性を検出して、生成した紙幣の磁気パターンデータMDと、ROM51、101に記憶された金種ごとの基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比するとともに、紙幣の表面パターンを光学的に検出して、生成した紙幣の光学パターンデータODと、ROM51、101に記憶された金種ごとの基準光学パターンデータROD(k)とを対比して、紙幣の真偽、金種および汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定しているが、紙幣の光学パターンデータODと、金種ごとの基準光学パターンデータROD(k)とを対比して、紙幣の真偽、金種および汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定することは必ずしも必要でなく、紙幣の光学パターンデータに代えて、あるいは、紙幣の光学パターンデータに加えて、紙幣の長さを示す長さデータや紙幣の幅を示す幅データや紙幣によって反射された光の強度レベルを示す反射光レベルデータを用いて、紙幣の真偽、金種および汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定するようにしてもよい。
【0376】
また、図1および図2に示された実施態様ならびに図3および図4に示された実施態様においては、紙幣の磁気的特性を検出して、生成した紙幣の磁気パターンデータMDと、ROM51、101に記憶された金種ごとの基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比するとともに、紙幣の表面パターンを光学的に検出して、生成した紙幣の光学パターンデータODと、ROM51、101に記憶された金種ごとの基準光学パターンデータROD(k)とを対比して、紙幣の真偽、金種および汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定しているが、紙幣の磁気パターンデータMDと、金種ごとの基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比して、紙幣の真偽、金種および汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定することは必ずしも必要でなく、紙幣の磁気パターンデータに代えて、あるいは、紙幣の磁気パターンデータに加えて、磁気センサ5a、15a、25a、65aが検出した紙幣の磁気信号レベルと、ROM51、101に記憶された金種ごとの基準磁気信号レベルを対比し、その一致度に基づいて、紙幣の真偽、金種および汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定することもできる。
【0377】
さらに、図5ないし図9に示された実施態様においては、磁気センサ120a、137aによって、硬貨の磁気的特性を検出して、硬貨の磁気パターンデータMDを生成し、生成した硬貨の磁気パターンデータMDと、ROM201に記憶された金種ごとの基準磁気パターンデータRMD(k)とを対比するとともに、光学センサ120b、137bによって、硬貨の表面パターンを光学的に検出して、硬貨の光学パターンデータODを生成し、生成した硬貨の光学パターンデータODと、ROM201に記憶された金種ごとの基準光学パターンデータROD(k)とを対比して、硬貨の真偽、金種および汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定しているが、硬貨の汚損レベルを判別する際には、硬貨の磁気的特性によらず、硬貨によって反射された光の強度レベルを示す反射光レベルデータを用いて、硬貨の汚損レベルが所定の汚損レベル以下か否かを判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0378】
1 紙幣入出金機
2 紙幣入金口
3 紙幣出金口
4 紙幣返却口
5 第一の紙幣判別部
5a 磁気センサ
5b 光学センサ
7 紙幣入金通路
8 紙幣返却通路
10 紙幣一時貯留ボックス
11 紙幣貯留ボックス
15 第二の紙幣判別部
15a 磁気センサ
15b 光学センサ
16 紙幣選別通路
21 第一の紙幣収納ボックス
21a ゲート部材
21b 搬送路
21c 搬送路
21d 紙幣載置板
21e 収納紙幣繰り出し機構
21f 紙幣枚数センサ
22 第二の紙幣収納ボックス
22a ゲート部材
22b 搬送路
22c 搬送路
22d 紙幣載置板
22e 収納紙幣繰り出し機構
22f 紙幣枚数センサ
23 第三の紙幣収納ボックス
23a ゲート部材
23b 搬送路
23c 搬送路
23d 紙幣載置板
23e 収納紙幣繰り出し機構
23f 紙幣枚数センサ
24 第一の紙幣回収ボックス
24a ゲート部材
24b 搬送路
24f 紙幣枚数センサ
25 第三の紙幣判別部
25a 磁気センサ
25b 光学センサ
27 紙幣回収通路
30 紙幣出金通路
31 第二の紙幣回収ボックス
36 複数の搬送ローラ
40 キーボード
45 ディスプレイ
50 コントロールユニット
51 ROM
52 RAM
61 紙幣入出金機
62 紙幣入金口
63 紙幣出金口
64 紙幣返却口
65 紙幣判別部
65a 磁気センサ
65b 光学センサ
67 紙幣入金通路
68 紙幣返却通路
70 紙幣一時貯留ボックス
71 紙幣貯留ボックス
75 紙幣分配通路
76 紙幣選別通路
77 紙幣出金通路
78 紙幣回収通路
81 第一の紙幣収納ボックス
81a ゲート部材
81b 搬送路
81c 搬送路
81d 紙幣載置板
81e 収納紙幣繰り出し機構
81f 紙幣枚数センサ
82 第二の紙幣収納ボックス
82a ゲート部材
82b 搬送路
82c 搬送路
82d 紙幣載置板
82e 収納紙幣繰り出し機構
82f 紙幣枚数センサ
83 第三の紙幣収納ボックス
83a ゲート部材
83b 搬送路
83c 搬送路
83d 紙幣載置板
83e 収納紙幣繰り出し機構
83f 紙幣枚数センサ
84 第一の紙幣回収ボックス
84a ゲート部材
84b 搬送路
84f 紙幣枚数センサ
85 第二の紙幣回収ボックス
86 複数の搬送ローラ
90 キーボード
95 ディスプレイ
100 コントロールユニット
101 ROM
102 RAM
111 硬貨入出金機
112 硬貨取引口
113 硬貨取引口の蓋
114 硬貨一時保持部
115 回転円板
116 リング状ガイド
117 スロット
118 硬貨通路
119 搬送ベルト
120 第一の硬貨判別部
120a 磁気センサ
120b 光学センサ
121 硬貨選別デバイス
122 選別通路
122A 軸
122B 選別ローラ
123 硬貨貯留ボックス
124 第一の通路
125 補充用硬貨貯留ボックス
126 第二の通路
127 硬貨落下通路
128 シャッタ
129 回転円板
130 開閉ゲート
131 搬送ベルト
131a 搬送ベルトの水平に延びる部分
132b 搬送ベルトの上方に延びた部分
132 回転円板
133 リング状ガイド
134 スロット
135 硬貨通路
136 搬送ベルト
137 第二の硬貨判別部
137a 磁気センサ
138b 光学センサ
138 選別デバイス
139 選別通路
140A、140B、140C、140D、140E、140F 硬貨貯留筒
141a、141b、141c、141d、141e、141f 選別デバイス
142 選別通路
143 選別ローラ
144 分岐通路
145 分岐通路
146 分岐通路
147 分岐通路
148 分岐通路
149 分岐通路
150 硬貨補充ボックス
151 不受領硬貨貯留ボックス
152 受け入れ不能硬貨回収ボックス
153 硬貨回収ボックス
154 回転円板
155 開閉ゲート
156 搬送ベルト
165a、165b、165c、165d、165e、165f 硬貨センサ
166 第一のフォトセンサ
167 第二のフォトセンサ
168 駆動モータ
169 駆動手段
170 ベルト駆動手段
171 駆動手段
172 シャッタ駆動手段
173 駆動手段
174 ベルト駆動手段
175 駆動手段
176A、176B、176C、176D、176E、176F 繰り出し機構駆動手段
179 駆動手段
180 駆動手段
190 キーボード
195 ディスプレイ
200 コントロールユニット
201 ROM
202 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された貨幣の磁気的特性を検出して、前記貨幣の磁気データを生成する第一の磁気センサと、前記貨幣に光を照射して、前記貨幣によって反射された光を検出して、前記貨幣の光学データを生成する第一の光学センサとを備えた第一の貨幣判別部と、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、真正な貨幣と判別された貨幣を貯留する貨幣貯留手段と、第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、真正な貨幣と判別され、前記貨幣貯留手段に貯留されていた貨幣の磁気的特性を検出して、貨幣の磁気データを生成する第二の磁気センサと、前記貨幣貯留手段に貯留されていた貨幣に光を照射して、貨幣によって反射された光を検出して、貨幣の光学データを生成する第二の光学センサとを備えた第二の貨幣判別部と、貨幣の金種ごとの基準データを記憶する基準データ記憶手段と、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準磁気データとを対比するとともに、前記第一の貨幣判別部によって生成された光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準光学データとを対比して、投入された貨幣の少なくとも真偽および金種を判別するとともに、金種ごとの貨幣枚数を計数し、前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準磁気データとを対比するとともに、前記第二の貨幣判別部によって生成された光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準光学データとを対比して、前記貨幣貯留手段から繰り出された貨幣の少なくとも真偽、金種および汚損レベルを判別し、金種ごとの貨幣枚数を計数する制御手段と、出金すべき貨幣を金種別に収納する複数の貨幣収納手段を備えた貨幣入出金機であって、
前記制御手段が、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準磁気データとを対比して、前記貨幣の前記磁気データとの一致度が第一のしきい値以上の基準磁気データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かおよび前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準光学データとを対比して、前記貨幣の前記光学データとの一致度が第二のしきい値以上の基準光学データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定して、少なくとも貨幣の真偽および金種を判別するとともに、金種ごとの貨幣枚数を計数し、前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準磁気データとを対比して、前記貨幣の前記磁気データとの一致度が前記第一のしきい値よりも大きい値に設定された第三のしきい値以上の基準磁気データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かおよび前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準光学データとを対比して、前記貨幣の前記光学データとの一致度が前記第二のしきい値よりも大きな値に設定された第四のしきい値以上の基準光学データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定して、少なくとも貨幣の真偽、金種および汚損レベルを判別するように構成されたことを特徴とする貨幣入出金機。
【請求項2】
投入された貨幣の磁気的特性を検出して、貨幣の磁気データを生成する第一の磁気センサと、前記貨幣に光を照射して、貨幣によって反射された光を検出して、貨幣の光学データを生成する第一の光学センサとを備えた第一の貨幣判別部と、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、真正な貨幣と判別された貨幣を貯留する貨幣貯留手段と、第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、真正な貨幣と判別され、前記貨幣貯留手段に貯留されていた貨幣の磁気的特性を検出して、貨幣の磁気データを生成する第二の磁気センサと、貨幣に光を照射して、貨幣によって反射された光を検出して、貨幣の光学データを生成する第二の光学センサとを備えた第二の貨幣判別部と、貨幣の金種ごとの基準データを記憶する基準データ記憶手段と、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準磁気データとを対比するとともに、前記第一の貨幣判別部によって生成された光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準光学データとを対比して、投入された貨幣の少なくとも真偽および金種を判別するとともに、金種ごとの貨幣枚数を計数し、前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準磁気データとを対比するとともに、前記第二の貨幣判別部によって生成された光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の金種別の基準光学データとを対比して、前記貨幣貯留手段から繰り出された貨幣の少なくとも真偽、金種および汚損レベルを判別するとともに、金種ごとの貨幣枚数を計数する制御手段と、出金すべき貨幣を金種別に収納する複数の貨幣収納手段を備えた貨幣入出金機であって、
前記制御手段が、前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準磁気データとを対比して、前記貨幣の前記磁気データとの一致度が第一のしきい値以上の基準磁気データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かおよび前記第一の貨幣判別部によって生成された貨幣の光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準光学データとを対比して、前記貨幣の前記光学データとの一致度が第二のしきい値以上の基準光学データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定して、少なくとも貨幣の真偽および金種を判別するとともに、金種ごとの貨幣枚数を計数し、前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準磁気データとを対比して、前記貨幣の前記磁気データとの一致度が前記第一のしきい値よりも大きい値に設定された第三のしきい値以上の基準磁気データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かおよび前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された各金種の貨幣の基準光学データとを対比して、前記貨幣の前記光学データとの一致度が前記第二のしきい値よりも大きな値に設定された第四のしきい値以上の基準光学データが前記基準データ記憶手段に記憶されているか否かを判定して、少なくとも貨幣の真偽、金種および汚損レベルを判別するように構成され、前記第一の貨幣判別部と前記第二の貨幣判別部が同じ貨幣判別部によって構成されたことを特徴とする貨幣入出金機。
【請求項3】
前記貨幣が紙幣であることを特徴とする請求項1または2に記載の貨幣入出金機。
【請求項4】
前記貨幣が硬貨であることを特徴とする請求項1または2に記載の貨幣入出金機。
【請求項5】
前記基準データ記憶手段が貨幣の金種別の基準光学パターンデータを記憶し、前記第一の貨幣判別部の第一の光学センサおよび/または前記第二の貨幣判別部の第二の光学センサが、貨幣の表面パターンを光学的に検出して、光学パターンデータを生成し、前記制御手段が、貨幣の光学パターンデータと貨幣の金種別の基準光学パターンデータを対比して、少なくとも貨幣の真偽および金種を判別するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の貨幣入出金機。
【請求項6】
前記第一の貨幣判別部の第一の光学センサおよび/または前記第二の貨幣判別部の第二の光学センサが、貨幣によって反射された反射光レベルを検出して、反射光データを生成するように構成されたことを特徴とする請求項5に記載の貨幣入出金機。
【請求項7】
前記基準データ記憶手段が貨幣の金種別の基準磁気パターンデータを記憶し、前記第一の貨幣判別部の第一の磁気センサおよび/または前記第二の貨幣判別部の第二の磁気センサが、貨幣の磁気パターンデータを生成し、前記制御手段が、貨幣の磁気パターンデータと貨幣の金種別の基準磁気パターンデータを対比して、少なくとも貨幣の真偽および金種を判別するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の貨幣入出金機。
【請求項8】
前記複数の貨幣収納手段が、前記第二の貨幣判別手段によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、前記制御手段が、真正で、汚損レベルが所定汚損レベル以下の貨幣であると判別した貨幣を、金種別に収納するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の貨幣入出金機。
【請求項9】
さらに、指示信号を入力可能な入力手段と、メッセージおよび/または情報を表示可能なディスプレイとを備え、前記制御手段が、前記第一の貨幣判別部が計数した金種ごとの貨幣枚数に基づいて、貨幣入出金機に投入され、前記貨幣貯留手段内に貯留された真正な貨幣の入金額を前記ディスプレイに表示し、前記入力手段に入金を中止すべき旨の指示信号が入力されたときは、貨幣入出金機に投入された貨幣を返却し、前記入力手段に確定的に入金をすべき旨の指示信号が入力されたときは、前記貨幣貯留手段内に貯留している貨幣を出金貨幣として使用するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の貨幣入出金機。
【請求項10】
前記貨幣貯留手段に貯留された貨幣を収容可能な貨幣収容手段を備え、前記第二の貨幣判別部が、前記貨幣収容手段から1枚ずつ、繰り出された貨幣の磁気データおよび光学データを生成するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の貨幣入出金機。
【請求項11】
前記制御手段が、前記貨幣収容手段から1枚ずつ、繰り出された貨幣で、前記第二の貨幣判別部によって生成された貨幣の磁気データおよび光学データに基づいて、真正で、汚損レベルが所定汚損レベル以下であると判別した貨幣を、金種ごとに、金種別の前記複数の貨幣収納手段内に収納するように構成されたことを特徴とする請求項10に記載の貨幣入出金機。
【請求項12】
さらに、金種別の前記複数の貨幣収納手段から一枚ずつ、繰り出された貨幣の磁気的特性を検出して、貨幣の磁気データを生成する第三の磁気センサと、前記貨幣に光を照射して、貨幣によって反射された光を検出して、前記貨幣の光学データを生成する第三の光学センサとを有する第三の貨幣判別部を備え、前記制御手段が、前記第三の貨幣判別部が生成した貨幣の磁気データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の基準磁気データとを対比するとともに、前記第三の貨幣判別部が生成した貨幣の光学データと前記基準データ記憶手段に記憶された貨幣の基準光学データとを対比して、少なくとも貨幣の真偽、金種および汚損レベルが前記所定の汚損レベル以下か否かを判定し、真正な貨幣で、汚損レベルが前記所定の汚損レベル以下の貨幣を出金するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の貨幣入出金機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−238165(P2012−238165A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106534(P2011−106534)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】