説明

貫入型パイプひずみ計

【課題】 本願発明は、地盤の浅層に発生した地盤のひずみを計測するため、運搬が容易で様々な場所に、短時間、低コストかつ容易に設置出来る貫入型パイプひずみ計の技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数のひずみゲージ27を外周面に取り付けた内パイプ12を外パイプ13に内蔵して一体化したパイプひずみ計本体11の先端部に掘削用スクリュー18を設け、ひずみ計本体11の後端部にひずみ計本体11を回動させる工具の取付部となる回動用工具取付部(スリット13a)を備え、回動用工具(20,21)を用いて地中の浅層に埋設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に埋設して使用され、斜面の土砂崩壊、豪雨における地盤表層の崩壊又は土石流の発生等に伴って生じる地盤のひずみをパイプひずみ計本体に内蔵されているひずみゲージで検出し、その検出値を地上の計測器で読み取るパイプひずみ計に係る技術であって、特に地盤の浅層におけるひずみの変化を測定する貫入型パイプひずみ計に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来のパイプひずみ計には、下記特許文献1に示すものがある。従来のパイプひずみ計は、図10に示すように、危険箇所と想定される地盤に地中深く埋設され、パイプに生じたひずみを内部のひずみゲージで検知して計測することにより、地滑り発生位置の確認等、地滑り現象の評価に用いられてきた。
【0003】
即ち、従来のパイプひずみ計は、以下のようにして設置していた。まず、ボーリングマシンで前記パイプひずみ計の設置孔を20mから30mの深さで予めプレボーリングする。次に、計測管1を構成する多数の鋼管1a,1b,1c・・・の外周面にそれぞれひずみゲージ5を貼付して保護材6で覆う。そして、各鋼管の端部を継手管2により嵌合してリベット3で締めた挿入管1を前記設置孔へ挿入する。最後に前記設置孔にセメントミルクを注入して隙間を塞ぎ、地中へ確実に定着させて検出精度の向上を図るという手順で設置されていた。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2514095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のパイプひずみ計の設置作業は、大掛かりであった。まず、20m超の計測管1は、多数の鋼管から構成されるため、運搬が容易ではなかった。
【0006】
また、設置の際には、ボーリングマシンにより20m超の埋設孔をプレボーリングする作業と、計測管1を埋設する作業を別々に行う必要があった。一方、埋設時に鋼管に貼付したひずみゲージ5が埋設孔とこすれて剥がれないように逐一保護材6で覆う作業が必要であった。更に多数の鋼管から計測管1を組み立てる作業も必要であった。また、検出精度向上のため、ひずみ計埋設後の設置孔にセメントミルクを注入する作業は必須になっていた。これらの作業には、多大な設置時間、労力、高いコスト負担が必要となっていたため、従来のパイプひずみ計は手軽に設置できるものではなかった。
【0007】
尚、従来のパイプひずみ計では、地中深く埋設して地滑り発生位置等を評価しているが、斜面の土砂崩壊等の発生前には、地盤の浅層でも地盤にひずみが発生し始め、土砂崩壊等が近づくにつれて地盤のひずみが増加するという前兆現象が発生する。従って、前記前兆現象たる浅層のひずみを正確に計測し、前記ひずみ増加量の変化を評価することにより、浅層にひずみが発生してから土砂崩壊等に至るまでの時間や崩壊の度合いを判断することが可能と言える。
【0008】
本願発明は、上述した従来の課題に鑑みて、地盤の浅層に発生したひずみを計測するため、人力での運搬が容易で様々な場所に設置できること、設置時間が大幅に短縮されること及び設置にかかる労力及びコスト負担を大幅に軽減できることにより地中への埋設設置が手軽にできる、貫入型パイプひずみ計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の問題を解決するため、請求項1の発明は、ひずみゲージを取り付けたパイプ部材を地中に埋設することにより、地中に生じたひずみを計測するパイプひずみ計において、複数のひずみゲージを外周面に取り付けた内パイプを外パイプに内蔵して一体化した二重円管構造のパイプひずみ計本体と、前記パイプひずみ計本体の先端部に設けた掘削用スクリューと、前記パイプひずみ計本体回動用の工具を連結できる、パイプひずみ計本体の後端部に設けた工具取付部と、を備え、前記パイプひずみ計の全長を大人の肩の高さよりも長さが短い短尺状に形成している。
【0010】
(作用)請求項1に係るパイプひずみ計は、以下の作用を奏する。即ち、(a)パイプひずみ計の全長が、人の肩の高さより長さの短い短尺状であるため、コンパクトかつ軽量に形成される。(b)パイプひずみ計の全長が短いため、大規模なボーリング機器を使うことなく埋設作業が行われる。(c)パイプひずみ計自体が、先端に掘削用スクリューを備え、かつ後端にパイプひずみ計を回動させる工具を連結できるため、工具を用いることでボーリングと埋設作業が同時に行われる。(d)各ひずみゲージは、二重円環の内パイプに取り付けられ、かつ外パイプに覆われているため、逐一保護材で覆わなくても埋設時に地盤と接触して剥がれることが無い。(e)コンパクトであるため、多数の鋼管から組み立てる必要が無い。(f)貫入時においてスクリューが半径方向外側へ排除した土は、スクリューの通過後地盤の圧力によって半径方向内側に押し戻され、パイプひずみ計本体と埋設孔と間の隙間を塞ぐ。また埋設後のスクリューは、地中に堅く定着する。従って、埋設後にセメントミルクを注入しなくてもパイプひずみ計全体が地盤の浅層に堅固に定着する。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の貫入型パイプひずみ計において、前記パイプひずみ計本体の後端部に、周方向等分複数箇所に放射状に延出する板状受圧部を備えた受圧板を取り付けている。
【0012】
(作用)受圧板が、地盤に埋設されることでパイプひずみ計の後端部が、より一層地盤に堅固に定着する。また、定着後の板状の受圧部には、土砂の圧力が作用することにより、土砂の動きが負荷となり適格にパイプひずみ計本体の後端部に作用する。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の貫入型パイプひずみ計について、前記板状受圧部の先端側が、鋭角状に形成されている。
【0014】
(作用)鋭角状に形成された前記板状受圧部の先端側が、地盤を貫きつつ受圧板全体を地中に埋没させる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計について、前記工具を、携帯式電動回動工具としている。
【0016】
(作用)パイプひずみ計に、携帯式の電動回動工具を用いることで、掘削及び埋設作業が、迅速かつ容易に行われる。
【発明の効果】
【0017】
以下に請求項1〜4に記載された発明の効果を説明する。
【0018】
請求項1の発明は以下の効果を奏する。即ち、(a)パイプひずみ計がコンパクトかつ軽量であって運搬が容易となるため、人力で持ち運び様々な場所に設置できる。(b)設置作業が小規模かつ容易であるため、設置時間が短縮されかつ設置労力が軽減される。更に、設置に必要なコストが軽減される。(c)パイプひずみ計が、地盤の浅層に堅く定着するため、前記地盤の浅層におけるひずみが正確に計測できる。
【0019】
請求項2の発明は、受圧板を設けることにより、地盤の浅層におけるひずみが更に正確に検出できる。
【0020】
請求項3の発明は、先端側が鋭角形状に形成されているため、例えば、足で押し込んだり、ハンマーで叩くことにより受圧板全体を地中に容易に埋設出来る。
【0021】
請求項4の発明は、パイプひずみ計後端に取り付ける工具が、携帯式の電動工具であるため、支援電源の供給がされない場所や、足場の悪い斜面等様々な場所においてパイプひずみ計の埋設作業を迅速にすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面1〜9を参照して本願発明の好適な実施形態(実施例)について説明する。
【0023】
図1は、本実施例の貫入型パイプひずみ計の外観を表す分解斜視図、図2は、受圧板を取り付けたパイプひずみ計の一部破断斜視図、図3は、パイプひずみ計本体の内部構造を表す一部軸方向断面図、図4は、周方向におけるひずみゲージの取付状況を表すパイプひずみ計本体のA−A’断面図で、(a)図は、2枚のひずみゲージを貼付した図、(b)図は、4枚のひずみゲージを貼付した図である。また図5は、パイプひずみ計後端の拡大斜視図、図6は、工具取付用治具の軸方向断面図、図7は、電動工具の取付構造を表す分解斜視図、図8は、貫入型パイプひずみ計の設置状況を表す参考図で、(a)図は、設置前の状況を表す図、(b)図は、受圧板を設置する状況を表す図、(c)図は設置後の状況をそれぞれ表す図である。図9は、T字型手動式回動工具21の外観を表す斜視図である。
【0024】
本実施例に係るパイプひずみ計10は、図8(c)図に示すように、地中に埋設して使用され、斜面の土砂崩壊等に伴って生じる地盤のひずみをパイプひずみ計本体11の内部に長手方向等間隔に貼付されたひずみゲージ27によって電気信号として検出出来るように構成されており、ひずみゲージ27が検出した電気信号は、接続ケーブル26を介して地上の計測器24において読み取ることができる。
【0025】
また、図1〜図5によりパイプひずみ計10の具体的構成を説明すると、パイプひずみ計10は、パイプ本体部11と、その先端に設けられた掘削用スクリュー18及びその後端に設けられた工具取付用スリット13bによって主として構成されている。パイプ本体部11は、図3に示すように外周面に長手方向所定間隔で複数(例えば、長手方向に4箇所)のひずみゲージ27が貼付された円環状の内パイプ12が、同心円状の外パイプ13で覆われると共に、内外のパイプ12,13間に充填されたエポキシ樹脂14が固化することにより一体に形成されている。また、工具取付用スリット13bは、外パイプ13後端部の開口部13eの周縁部に対向して形成され、パイプひずみ計10全体を回動させる工具が取り付けられる。
【0026】
また、各ひずみゲージ27から導出するリード線28は、内パイプ12の側壁に穿孔された挿通孔(図示せず)から内パイプ12の内部を通り、内パイプ12の後端部に固定した雌コネクタ15へ接続されている。雌コネクタ15は、内パイプ12の後端開口部を閉塞した状態で、外パイプ13の後端開口部13eから突出している。
【0027】
また、ひずみゲージ27は、図4(a)図に示すように、周方向等間隔に内パイプ12を挟んで対向するように2枚貼付されている。この場合、ひずみゲージ27が周方向のどの位置に貼付されたかが判るように、外パイプ13の後端開口部13eの周縁にマーキング等により印をつけておく。また、マーキング等の印に代えて、ひずみゲージ27と工具取付用スリット13bとの周方向位置を対応させても良い。
【0028】
即ち、パイプひずみ計10は、ひずみゲージ27の周方向位置を確認し、2枚のひずみゲージ27の対向する方向が、土砂崩壊時における地盤の移動方向、即ち斜面の傾斜方向(平地での土石流を想定すれば上流から下流方向)と一致するように設置することで、地盤の変動から測定時に各ひずみゲージ27が受ける負荷は最大となり、地盤のひずみの測定精度が最も高くなる。
【0029】
一方、パイプひずみ計本体部11(外パイプ13)の後端側には、受圧板19が着脱自在に取り付けられる。本実施例において受圧板19には、中央の円筒部19bから半径方向外側に向かって2箇所の板状受圧部19aが対向するように延出されている。円筒部19bの上端には、円孔19dを形成する内フランジ部19cが設けられている。一方、パイプひずみ計本体部11を構成する外パイプ13の後端部13aは、他のエリアより厚肉状に形成され、後端開口部13eから先端方向に向かった外周面には、雄ネジ部13cと円環状の段差部13dがそれぞれ形成されている。
【0030】
受圧板19は、円筒部19bをパイプひずみ計10の後端側から被せるようにして、内フランジ部19cが、外パイプ13側の段差部13dに支持される状態とする。内フランジ部19cは、円孔19dから突出した雄ネジ部13cにねじ込まれる雌ネジ付キャップ17の前縁部17bと、段差部13dとの間に挟圧固定される。埋設時における板状受圧部19aには、土砂の圧力が作用するため、土砂の動きが負荷となり、適格にパイプひずみ計本体11の後端部に作用する。尚、板状受圧部19aに作用する負荷を最大にするため、板状受圧部19aの板面方向が、斜面の上下方向(図4(a)及び図8(b)を参照)に対して垂直になる(ひずみケージ27の配置方向と直交する)ように受圧板19を取り付ける。そして、円孔17aから突出した雌コネクタ15には、一端が計測器24(図8(c)参照)に接続された接続ケーブル26の雄コネクタ25が接続される。
【0031】
尚、受圧板19を取り付けないパイプひずみ計10については、取り付けたときに比べて地盤のひずみの検出精度が若干下がるものの、地盤のひずみの計測には何ら問題が無い
【0032】
次に図6及び図7により、ひずみ計10に回動工具20を連結する構造を説明する。図6は、電動回動工具20をパイプひずみ計10後端部に連結する際に用いる金属製の工具固定治具30の断面図である。治具30は、円筒状の太軸30aと細軸30eとが同軸状に形成され、太軸30aの内側には、パイプひずみ計10の後端部(の雌コネクタ15)をすっぽり覆うことのできる円柱形の円孔(開口部)30bが形成され、太軸30aの前端部には、ひずみ計10後端側のスリット13bに係合できる爪30cと、キャップ17の後端フランジ部17cとひずみ計10側の後端開口部13eの周縁との間に挟持固定される段差部30dが形成されている。一方で細軸30eは、回動工具のチャック20aに把持させる部位である。細軸30eの外周面には、周方向等分3箇所に面取り30fがなされている。
【0033】
そして、パイプひずみ計10の後端側における雌コネクタ15の上から、工具固定治具30を被せて各爪30cと工具取付用スリット13bを係合させる。その状態で細軸30eの上からキャップ17を被せてねじ込み、段差部30dを介して治具30を、ひずみ計10側の後端開口部13eの周縁に挟圧固定する。最後に、円孔17aから露出した細軸30eを電動回動工具20のチャック20aに把持させる。
【0034】
次に、本実施例に係る貫入型パイプひずみ計の地中への設置方法を図8に基づいて説明する。例えば土砂崩壊の危険性がある斜面のひずみを計測する場合には、図8(a)に示すようにまず、後端部に電動回動工具20を取り付けたパイプひずみ計を掘削用スクリュー18を下にして、斜面に対して垂直に立てる。その状態で、工具20を回転させてひずみ計10を地中へねじ込ませ、図8(b)に示すように、厚肉後端部13aの段差部13dが地表面とほぼ面一になるまで地中に埋設し、埋設においては、周方向上の各ひずみゲージ27の配置方向が、斜面の傾斜方向と一致するようにひずみ計10の周方向位置を調整する。
【0035】
その後、パイプひずみ計10の後端部から電動回動工具20を取り外し、キャップ17をゆるめて外し、治具30を取り除く。そして、図8(b)に示すように、受圧板19をひずみ計10後端側の雄ネジ部13cの上から被せて、板状受圧部19aの鋭角状に形成された先端部を地中に押し込んだり叩き込んだり等して埋設する。そして、板状受圧部19aの板面方向が、斜面の傾斜方向(ひずみゲージ27の配置方向)に対して垂直になるように、受圧板19の周方向位置を調整し、キャップ17をねじ込んで固定する。
【0036】
最後に、図8(c)に示すように、埋設したパイプひずみ計10の近くに設置した計測器24から、先端に雄コネクタ25を備えた接続ケーブル26を伸長し、ひずみ計10後端側の雌コネクタ15に接続し、計測器24により地盤のひずみを計測出来るようにする。
【0037】
また、パイプひずみ計10は、例えば、後端部に取り付けた工具20による埋設作業や人力による持ち運びの容易性を考慮してパイプひずみ計の全長L(スクリュー18の先端から雌コネクタ15の後端までの長さ)を大人の肩の高さより短い長さに形成する。従って、全長Lは1m程度に形成することが望ましい。また全長を1m前後とした場合、パイプひずみ計各部の寸法は、例えば、スクリューの長さを10cm程度、パイプひずみ計本体11を構成する外パイプ13の外径(厚肉後端部の外径を除く)を15mm程度に形成する。また、このとき受圧板19の幅(パイプひずみ計の直系方向に沿った幅)は、15cm程度、上下高さ(パイプひずみ計の軸方向に沿った高さ)は10cm程度に形成している。
【0038】
更に、内パイプ12、外パイプ13及び掘削用スクリュー18の素材は、埋設時に電動回動工具20のトルク(例えば12Vの電動ドリル、電動ドライバ等を使用する場合には、140N.m程度)によって塑性変形をしない十分な剛性を備え、更に地中に埋設する点から耐腐食性を備えた素材とすべき点からステンレス等の金属素材を用いることが望ましい。また、軽量化が図れる面から十分な剛性等を備えたプラスチック、適切な高分子等の樹脂系素材を用いる事も考えられる。また、外パイプ13に剛性の高い耐腐食性金属を用い、内パイプ12に適切な樹脂系素材を用い、十分な剛性及び耐腐食性を保持しつつ軽量化を図ることも考えられる。
【0039】
また、厚肉後端部13aは外パイプ13と一体で形成するか、工具取付用スリット13b等を形成した別部材からなる厚肉後端部13aを外パイプ13の後端部に溶接等で接合し一体化することが考えられる。また、掘削用スクリュー18は、中実棒等を用いた別部材で形成し、外パイプ13の前後端の開口周縁部へ溶接等で接合し一体化することが考えられる。尚、接合前に内パイプ12の先端側は、エポキシ樹脂を固化させること等により封をしておく。
【0040】
受圧板19の素材は、押し込んだり叩き込んだり等して埋設する際に破損しない十分な剛性を備え、地中に埋設する点でステンレス等の金属素材が望ましい。また、十分な剛性を備えたプラスチック、適切な高分子等の樹脂系素材を用いる事も考えられる。また、板状受圧部19aは、円筒部19bから半径方向外側に向かって周方向等間隔に4箇所以上延出させることもできる。この場合、パイプひずみ計10後端部の地盤への固定は一層堅固になると共に、板状受圧部19aは、板面の設置方向が、斜面の上下方向に対して垂直とならなくても、地盤の移動による負荷を十分に受けるため、地盤のひずみの計測精度が向上する。
【0041】
尚、実施例では、ひずみゲージ27は、内パイプ12外周の長手方向4箇所(図3では長手方向2箇所、一部省略)に貼付されている。また、ひずみゲージ27は、長手方向1箇所以上に貼付すればよい。
【0042】
また、本実施例ではひずみゲージ27が、内パイプ12の周方向等分2ヶ所(図4(a)参照)に貼付されているが、図4(b)に示すように周方向等分4箇所とすることも考えられる。この場合、斜面の上下方向と各ひずみゲージ27の対向する方向を一致させなくても、内パイプ12を挟んで対向するように貼付された各ひずみゲージ27に関する検出値の差分から地盤のひずみが精度良く検出されるため、埋設時にひずみゲージ27の設置方向に留意しなくて良い点で意義がある。尚、ひずみゲージ27は、周方向等分6箇所、8箇所・・・と増加することも出来、周方向等分3箇所(奇数箇所)とすることも考えられる。
【0043】
尚、埋設には、電動回動工具20を用いる代わりに、治具30’が一体に形成されたT字型手動式回動工具21(図9参照)を用いて手動で埋設してもよい。
【0044】
以上に示すとおり、本願にかかる貫入型パイプひずみ計は、低コストで様々な場所に簡易に設置できるため、土砂崩壊等の発生するおそれがある危険箇所に手軽に短時間で数多く設置することにより、崩壊の前兆から実際の崩壊に至るまでの地盤の変形現象を計測及び評価出来る点で意義のある発明となっている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施例のパイプひずみ計の外観を表す分解斜視図。
【図2】受圧板を取り付けたパイプひずみ計の一部破断斜視図。
【図3】パイプひずみ計本体の内部構造を表す一部軸方向断面図。
【図4】周方向におけるひずみゲージの取付状況を表すパイプひずみ計本 体のA−A’断面図。 (a) 2枚のひずみゲージを貼付した図。 (b) 4枚のひずみゲージを貼付した図。
【図5】パイプひずみ計後端の拡大斜視図。
【図6】工具取付用治具の軸方向断面図。
【図7】電動工具の取付構造を表す分解斜視図。
【図8】貫入型パイプひずみ計の設置状況を表す参考図。 (a) 設置前の状況を表す参考図。 (b) 受圧板の設置状況を表す参考図。 (c) 設置後の状況を表す参考図
【図9】T字型手動式回動工具21の外観を表す斜視図。
【図10】従来技術のパイプひずみ計の埋設状態を表す正面図。
【符号の説明】
【0046】
10 パイプひずみ計
11 パイプひずみ計本体
12 内パイプ
13 外パイプ
13a 厚肉後端部
13b 工具取付用スリット
19 受圧板
19a 受圧部
20 電動回動工具
21 T字型手動式回動工具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひずみゲージを取り付けたパイプ部材を地中に埋設することにより、地盤のひずみを計測するパイプひずみ計において、
複数のひずみゲージを外周面に取り付けた内パイプを外パイプに内蔵して一体化した二重円管構造のパイプひずみ計本体と、
前記パイプひずみ計本体の先端部に設けた掘削用スクリューと、
前記パイプひずみ計本体回動用の工具を連結できる、パイプひずみ計本体の後端部に設けた工具取付部と、
を備え、前記パイプひずみ計の全長を大人の肩の高さよりも長さが短い短尺状に形成したことを特徴とする貫入型パイプひずみ計。
【請求項2】
前記パイプひずみ計本体の後端部には、周方向等分複数箇所に放射状に延出する板状受圧部を備えた受圧板が取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の貫入型パイプひずみ計。
【請求項3】
前記板状受圧部の先端側が、鋭角状に形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の貫入型パイプひずみ計。
【請求項4】
前記工具が、携帯式電動回動工具であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−192626(P2007−192626A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9989(P2006−9989)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(803000056)財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 (341)
【Fターム(参考)】