説明

貫流換気口を有する溶融金属収容構造体

本発明の例示的な実施形態は、外表面を有する溶融金属収容耐火性容器、および金属ケーシングであって、容器とケーシングとの間の空間を形成している距離を置いて容器の外表面を少なくとも部分的に取り囲んでいる内表面を有する、容器のための金属ケーシングを含む溶融金属収容構造体を提供する。空間は、ケーシングの上および下開口により構造体の外に換気されており上方に延在している非閉塞隙間を含む。断熱材料層は、好ましくは、ケーシングの内表面と容器の外表面との間の空間内に配置されており、断熱材料層が、ケーシングの少なくとも上方に延在している側面における空間よりも狭く、従って空間内に前記非閉塞隙間を形成している。容器は、金属搬送トラフ、金属フィルターのためのハウジング、金属脱ガスユニットのためのコンテナまたはルツボ等であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、溶融金属を1つの場所から他の場所に(例えば、金属溶融炉から金属鋳型または鋳造テーブルに)搬送するのに用いる溶融金属収容システムおよび構造体に関する。更にとりわけ、本発明は、例えば、耐火性容器を支持、保護および配置するのに用いる外側の金属ケーシング内に含まれる金属分配トラフ、ルツボ等の耐火性(普通、セラミック)容器を含むこのような構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の金属収容構造体は、耐火性容器が、使用中に溶融金属との接触に起因して極端に熱くなり得る(例えば、溶融アルミニウムまたはアルミニウム合金を搬送する場合に680℃〜750℃)という欠点を被っている。この熱が構造体の外側の金属ケーシングに伝達すると、金属ケーシングに、膨張、撓みもしくは歪みが生じる可能性があり、次いで、亀裂が容器内に形成する可能性がありまたは耐火性容器が部分に作られていると、隙間が部分間に形成する可能性があり、従って溶融金属が容器からケーシング内に漏出する可能性がある。加えて、ケーシングの外表面は、装置の作業者にとって安全でない作業温度を前提とし得る。これらの欠点は、溶融金属を所望の高温に維持するように、付加的な加熱をケーシング内の容器の外側に適用する場合に悪化する。例えば、この種の更なる加熱を使用する場合に、容器の外側において900℃以下の温度に達する可能性がある。断熱材料層が、容器とケーシング内部との間に設けられてよいが、このような層は、金属収容構造体の壁の幅をあまり増加させずに、ケーシングの外表面において許容可能な温度を維持するのに充分ではないかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ケーシング内に空気隙間を形成して、容器からの更なる断熱をもたらすこともまた可能かもしれない。例えば、1994年5月31日に発行されたSkinnerらによる米国特許第5,316,071号公報は、断熱層と外側の金属ケーシングまたはシェルとの間に1以上の空気隙間を有する溶融金属分配ラウンダーを開示している。送風機が、空気を側壁のキャビティに沿って長手方向に移動させて支持構造体を冷却するように用いられている。しかしながら、このような配置の送風機の準備は、複雑かつ高価であり、従って望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、外側のケーシング表面において過度に上昇する温度を回避しながら、金属収容構造体の金属ケーシング内におけるトラフのような耐火性金属収容容器のための支持体を準備する改善された手段への要求がある。
【0005】
本発明の例示的な実施形態は、外表面を有する溶融金属収容耐火性容器と、金属ケーシングであって、容器とケーシングとの間の空間を形成している距離を置いて容器の外表面を少なくとも部分的に取り囲んでいる内表面を有する、容器のための金属ケーシングとを含む溶融金属収容(例えば、保持または分配)構造体を提供する。空間は、ケーシングの上および下開口により構造体の外に換気されており上方に延在している非閉塞隙間を含む。好ましくは、断熱材料層は、ケーシングの内表面と容器の外表面との間の空間内に配置されており、断熱材料層は、ケーシングの少なくとも上方に延在している側面における空間よりも狭く、従って非閉塞隙間を形成している。
【0006】
非閉塞隙間は、好ましくは、前記断熱材料層と金属ケーシングの内表面との間に形成されているが、代替的にまたは追加的に、断熱材料層と耐火性容器の外表面との間に形成されてよい。加えて、第2隙間(換気または非換気)が、非閉塞隙間とは反対側の断熱材料層の面において形成されてよい。
【0007】
非閉塞隙間は、必要に応じて、金属ケーシングの底に沿っておよび上方に延在している側面において延在するように作られてよい。
【0008】
ケーシングは、好ましくは、底壁、側壁および頂を有しており、ケーシング内の前記上および下開口が、ケーシングの頂および底壁に形成されまたは該頂および該底壁に隣接して形成されている。好ましくは、下開口は、底壁に用いるプレートとケーシングの側壁との間に形成されている流路であり、および上開口は、ケーシングの頂壁における孔またはスロットである。
【0009】
最も好ましくは、非閉塞隙間および開口は、隙間を通過する空気の層流をもたらす寸法にされている。
【0010】
容器は、例えば、トラフの1つの長手方向末端から反対側の長手方向末端に延在している細長い流路を有する細長い溶融金属搬送トラフ、溶融金属を搬送するための、金属フィルターに設けられている流路を備えた容器、溶融金属を収容するための内容積部を有しており内容積部内に延在している少なくとも1つの金属脱ガス羽根車を備えた容器、または溶融金属を収容するのに適している内容積部を有するルツボであってよい。
【0011】
好ましい実施形態は、側面および底、ならびに外表面を有するセラミックトラフと、金属ケーシングであって、トラフとケーシングとの間の空間を形成している距離を置いてセラミックトラフの外表面を少なくとも部分的に取り囲んでいる内表面を有する、セラミックトラフのための金属ケーシングとを有する溶融金属分配構造体を提供する。断熱材料層は、セラミックトラフとケーシングとの間の空間内に配置されている。セラミックトラフの側面に隣接した断熱材料層は、これらの場所における空間よりも狭く、セラミックトラフの側面において上方に延在している連続的な非充填隙間(構造体内において)を形成している。隙間は、外気を第2非閉塞隙間に入れおよび上方に流すことを可能にするように配置されているケーシング内の下および上開口と通じている。隙間は、ケーシングの温度を減少させる、ケーシングを通過する空気の層流を形成する。
【0012】
全ての例示的な実施形態の容器は、溶融アルミニウムまたはアルミニウム合金を収容または搬送することが第1に意図されるが、他の溶融金属および合金、とりわけ溶融アルミニウムに類似した融点を有する金属、例えば、マグネシウム、鉛、錫と亜鉛(アルミニウムよりも低い融点を有する)および銅と金(より高い融点を有する))を収容または搬送するのに適用してよい。鉄と鋼は、非常に高い融点を有するが、本発明の構造体は、また、必要に応じてこのような金属のために設計されてもよい。非加熱容器内に保持されている溶融アルミニウムは、典型的には、680℃〜720℃の範囲の温度で維持される。このような条件下において、断熱層の外表面の温度は、普通、概ね250℃〜300℃であり、例示的な実施形態は、外側の金属ケーシングの温度を100℃以下に減少できる。
【0013】
容器は、好ましくは、耐火性材料から作られている。金属収容容器のことを言うのに本明細書で用いる「耐火性材料(refractory material)」という用語は、溶融金属による攻撃に比較的に耐久性があって通常の使用の間に容器に想定される高温(例えば、溶融金属の温度)においてそれらの強度を維持できる全ての材料を包含することが意図される。このような材料は、限定されるものではないが、セラミック材料(無機非金属固体および耐熱ガラス)および非金属を包含する。適切な材料は、限定されるものではないが、例えば、以下を包含する:アルミニウム酸化物(アルミナ)、シリコン(シリカ、とりわけ溶融シリカ)、マグネシウム(マグネシア)、カルシウム(石灰)、ジルコニウム(ジルコニア)、ホウ素(ホウ素酸化物);例えば、シリコン炭化物、窒化物結合シリコン炭化物(SiC/Si)、ホウ素炭化物、ホウ素窒化物のような金属の炭化物、ホウ化物、窒化物、珪化物;例えば、カルシウムアルミニウムケイ酸塩のようなアルミノケイ酸塩;複合材料(例えば、酸化物と非酸化物の複合物);機械加工可能なガラスを包含するガラス;繊維状の鉱物ウールまたはその混合物;カーボンまたはグラファイト;および同様のもの。
【0014】
用語「金属収容容器」は、限定されるものではないが、所定の時間に亘って溶融金属を保持するように意図および構成されている容器ならびに1つの場所から他の場所に連続的または断続的に溶融金属を搬送するように意図および構成されている容器を包含する。
【0015】
本発明の例示的な実施形態は、添付図面を参照することにより以下に記載される:
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の1つの例示的な実施形態に係る溶融金属収容構造体またはラウンダーの斜視図である。
【図2】図2は、図1の構造体の横断面である。
【図3】図3は、図1および2の構造体の一部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜3は、本発明の1つの例示的な実施形態に係る溶融金属分配構造体10(例えば、ラウンダー)を図示する。構造体は、金属収容容器として機能する耐火性トラフ12を有する。2つのトラフ部分12Aおよび12Bから作られているトラフは、トラフを通過して搬送される溶融金属による高温および攻撃に耐性がある任意の適したセラミックス材料から作られてよい。適切な例は、アルミナ、およびシリコンカーバイドのような金属カーバイドを含む。トラフは、構造体の1つの末端からその他の末端に溶融金属を搬送するためのU字流路13を有する。使用時、構造体は、それぞれの末端において例えば、金属溶融炉からのラウンダー、および鋳型または鋳造テーブルに通じているラウンダー等の他の装置に連結されている(図示せず)。トラフは、流路13のそれぞれの側面に沿って連続している長手方向側面14、底15および狭い頂縁端16を有する。
【0018】
トラフ12は、金属ケーシング17内に配置されおよび金属ケーシング17により部分的に取り囲まれており、金属ケーシング17は、トラフを配置し、相互に位置合わせしおよび接触しているトラフ部分を維持しならびにトラフを保護する役割を果たす。ケーシング17は、トラフのU字流路13のそれぞれの側面において延在している側面18、底19(図2を参照されたい)および頂プレート20を有する。ケーシング17は、高温において優れた強度を示す鋼または他の金属から作られてよい。
【0019】
図示するように、この例示的な実施形態のケーシングは、複数の部分から作られている。ケーシングの側面および底は、それぞれ、細長い金属プレート22および23から作られている。これらのプレートは、その長手方向の末端間において構造体に沿って間隔が空けられている多くのU字金属リブ25を用いて一体に保持されている。次いで、リブ25は、リブ間に亘って延在している金属側面固定具27および底固定具28によって保持されており、その外側の縁端と連結している。ケーシングは、また、長手方向に圧縮されているトラフを維持して亀裂を最小限にしている末端圧縮フランジ30を、それぞれの長手方向の末端に有する。
【0020】
トラフ12は、垂直圧縮支持具32および水平圧縮支持具34を用いてケーシング内に強固に支持されている。これらの支持具は、金属ロッド35の形態をしており、例えば、ステンレス鋼から作られており、底15においておよび側面14のより低い末端においてトラフに接触するように、プレート23および22の孔ならびに断熱材料46および47内を通過して底固定具28および側面固定具27内を延在している。トラフへの損傷を回避するように、ロッドによってトラフ12に適用されている荷重を分散する拡大金属接触パッド36が、ロッド35の内側末端に設けられている。垂直圧縮支持具32は、トラフを支持するだけでなく圧縮力を適用しており、このことは、トラフの頂縁端16が、ボルト37により堅固に保持されているケーシングの頂プレート20の下で捕捉されているために可能である。水平圧縮支持具34もまた、トラフの底に隣接して圧縮力を適用しており、支持具は、適用されている力を均等にするように、互いに向かい合って配置されている。従って、圧縮支持具は、トラフの側面および底において、それぞれケーシングからトラフの外表面を分離している空間40および42を残しながら、ケーシング内でトラフを支持している。圧縮支持具は、圧縮支持具32および24内を通過するボルトの頭部45の下に位置している圧縮ワッシャ44によって、熱サイクルにより生じるトラフおよびケーシングのいかなる膨張および収縮にも適応する。
【0021】
断熱材料層46および47は、空間40および42内に配置されている。これらの層は、例えば、アルミナのような耐火性セラミックスから作られている板等の任意の適切な耐熱性断熱体から作られてよい。層46および47は、少なくともトラフの側面において空間40および42よりも狭く、従って、断熱層とケーシングの内表面との間の無充填の連続的な隙間49および50を形成している。断熱層を側面プレート22の内表面から離して保持しているボルト48間に間隔を空けることにより、これらの隙間が維持されている。隙間51および52は、また、断熱層46、47とトラフ12の外表面との間に形成されている。しかしながら、ケーシングの側面における外側の隙間49は、それらが上開口54および下開口55に通じているため、外部の大気と充分に換気されている。下開口55は、事実上、ケーシングの側面プレート22と底プレート23との間に形成されている構造体の長さに亘る開口流路である(これらのプレートが、それらの縁端が接触しないこのような様式で保持されているため)。上開口54は、図1から最も良く判るように、頂プレート20に形成されているスロットである。頂プレート20に沿って長手方向に配置されているそれぞれのトラフ側面における複数のこのようなスロットがある。上および下開口54および55は、図2に示す矢印により示すように、外気が、隙間49に入り、空気の加熱により生じる対流に起因して隙間内を上方に通過しおよび上開口54から隙間およびケーシングの外に出ることを可能にしている。従って、隙間および開口は、ケーシングの内表面に隣接した構造体の内側から熱を除去する受動形態の冷却をもたらし、従って、ケーシング壁の温度を低下するのを支援し、それによって、撓み、歪みおよび損傷する可能性を減少させ、ならびに作業者が火傷する危険性を減少させる。
【0022】
ケーシングの底における隙間50は、また、示されるように、この隙間と側面の隙間49の連絡によって外部に換気されている。従って、ケーシングの底は、また、この換気に起因して温度が低下する。
【0023】
乱流は、隙間を横切る熱の伝達を増加する可能性があるため、好ましくは、比較的緩やかな空気の層流が、乱流を生じずに隙間49を通過するように側面の隙間49の幅および開口54、55の寸法が存在する。隙間の最大幅は、トラフの高さ、断熱層46、47の表面特性、および頂プレート20の構成、ならびに空気の圧力、含水量および温度に依存しており、従って、最大幅は、このようなパラメータに従って変更することができる。しかしながら、0.06インチ(2mm)より少ない隙間は、切断および溶接での誤差に起因して構造体の長さ全体に亘って維持するのが困難である。一方で、隙間がより広くされる場合、頂プレート20の幅は増加する必要があり、およびこのことは、耐火性トラフの垂直圧縮により生じる曲げモーメントに耐えるのに、プレートがより大きな厚みの鋼から作られることまたは支持するリブの設置を必要とする。これらの理由のため、2インチ(5.1cm)またはたとえ1インチ(2.5cm)よりも大きい幅を有する隙間は、問題になる可能性があり、および0.375インチ(1cm)またはたとえ0.25インチ(6mm)よりも広い隙間は、頂プレートのための追加の構造支持具を必要としてよい。概して、開口54および55は、隙間を通過する空気のなだらかな層流を促進するのに、寸法および可能な限り形状が適切にされ、および実際には、上開口54は、空気の流れを制御するのに最重要であり得る。開口寸法と隙間寸法の適切な比率は、試験および実験によりまたはコンピューターモデリング技法により選択されてよい。
【0024】
説明される例示的な実施形態では、断熱層46および47のトラフ側に形成されている隙間51および52は、外に換気されておらず、従って、それらは、非換気断熱体(thermal break)または空気隙間として機能するが、それらは、代替的に、適切な開口(例えば、構造体の更なる換気冷却を生じさせるように隙間49、50との連絡をもたらす断熱層46、47内の小さな上および下開口)の設置によって換気されてよい。しかしながら、このような付加的な換気を設けない場合でさえ、隙間51および52は、ケーシングからのトラフの付加的な断熱をもたらす。
【0025】
図3は、どのようにして末端圧縮フランジ30がトラフ12の末端に作用するように圧縮下で配置され得るのかを図示する。従って、フランジ30は、ケーシングの残りの部分に対して移動可能であり、および隣接したリブ25内を通過するボルト60に付着されている。ボルト頭部61の回転は、フランジ20を軸方向に内側に引き込み、次いで、フランジは、トラフ12の長手方向末端を圧迫している(図2)。ボルト頭部61とリブ25の間に配置されている圧縮ワッシャ62は、熱サイクルにより生じる収縮および膨張に起因したトラフのわずかな動作を可能にしている。
【0026】
上述された例示的な実施形態は好ましいが、様々な改良および代替が、必要に応じて為されてよい。例えば、断熱層46、47は、構造体から全体が欠如してよく、単なる受動的な空気換気のみが、外側の金属ケーシングが高温に曝されるのを保護するのに見込まれる。更に、このような断熱層が存在する場合、換気されている隙間は、示すように断熱層のケーシング側ではなく容器側に設けられてよい(ケーシング側は、多量の熱をトラフから取り出す効果を有することができるけれども)。断熱体のトラフ側における隙間は、断熱体の底層47および頂付近における断熱体の側層46に孔またはスロットを設けることにより受動的に換気されてよい。従って、外気は、下開口55に入りおよび上開口54を通って出ていき、または上開口54を、断熱体のトラフ側における隙間の上の位置に移動できる。
【0027】
図1〜3の構造体は、ケーシング内においてトラフのための加熱手段を含まないが、このような加熱手段の使用は可能である。例えば、電気加熱要素は、トラフ12のそれぞれの側面における隙間51に設けられてよい。加熱手段を有するトラフ構造の他の例は、2005年12月13日に発行されたTingeyらによる米国特許第6,973,955号公報に開示されている(この開示は、この参照によって本明細書に特に組み込まれる)。このような加熱手段を用いる場合、垂直および水平圧縮支持具のロッド35を、金属ではなく、例えば、アルミナ等の耐火性セラミック材料から部分的または充分に作ることが望ましい。なぜなら、加熱手段がケーシング内に設けられる場合に、ロッドに、より高温が付され、およびこのような温度が、金属ロッドを変形させまたは圧縮強さを損失させる可能性があるためである。
【0028】
上述した実施形態では、トラフ12は、1つの場所(例えば、金属溶融炉)から他の場所(例えば、鋳型)に溶融金属を搬送するのに用いる溶融金属分配システムに用いる種類の細長い溶融金属トラフである。しかしながら、他の例示的な実施形態によれば、例えば、溶融金属流れが(例えば、金属溶融炉から鋳造テーブルに)通過する時に粒子を溶融金属流れから除去するのに用いるインラインセラミックフィルター(例えば、発泡セラミックフィルター)として、他の種類の金属収容および分配容器を用いてよい。このような場合では、容器は、溶融金属を搬送するための、流路内に配置されているフィルターを備えた流路を含む。このような容器および溶融金属収容システムの例は、1997年10月7日に発行されたAubreyらによる米国特許第5,673,902号公報、および2006年10月26日に公開された国際公開WO2006/110974A1号公報に開示されている。
【0029】
他の例示的な実施形態では、容器は、例えば、1995年8月10日に公開された国際公開WO95/21273号公報に開示されているように、いわゆる「Alcan compact metal degasser」のような、溶融金属をその内部で脱ガスする容器(container)として機能する。脱ガス操作は、溶融金属流れが炉から鋳造テーブルに移る時に水素および他の不純物を溶融金属流れから除去する。このような容器は、溶融金属の収容のための内容積部を含んでおり、回転可能な脱ガス羽根車は、上から該内容積部内に突出している。容器は、バッチ処理に用いてよく、またはそれは、金属搬送容器に取り付けられた金属分配システムの一部であってよい。概して、容器は、金属ケーシング内に配置されている任意の耐火性金属収容容器であってよい。容器は、また、1つの場所から他への輸送のための、大量の溶融金属を収容するための耐火性セラミックルツボとして構成してもよい。全てのこのような代替的な実施形態は、外側の金属ケーシング内に配置されている耐火性容器を有しており、従って本明細書に開示されている発明の特徴を組み込むように改良してよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属収容構造体であって:
外表面を有する溶融金属収容耐火性容器;および
金属ケーシングであって、容器とケーシングとの間の空間を形成している距離を置いて容器の外表面を少なくとも部分的に取り囲んでいる内表面を有する、容器のための金属ケーシング;
を含み、
空間が、ケーシングの上および下開口により構造体の外に換気されており上方に延在している非閉塞隙間を含む、溶融金属収容構造体。
【請求項2】
断熱材料層が、ケーシングの内表面と容器の外表面との間の空間内に配置されており、前記断熱材料層が、ケーシングの少なくとも上方に延在している側面における空間よりも狭く、従って空間内に前記非閉塞隙間を形成している、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
非閉塞隙間が、前記断熱材料層と金属ケーシングの内表面との間に形成されている、請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
非閉塞隙間が、前記断熱材料層と耐火性容器の外表面との間に形成されている、請求項2に記載の構造体。
【請求項5】
前記非閉塞隙間が、断熱材料層の一方の面に形成されており、第2隙間が、断熱材料層の他方の面に形成されている、請求項2に記載の構造体。
【請求項6】
第2非閉塞隙間が、外気を、第2非閉塞隙間に入れおよび上方に流すことを可能にするように配置されているケーシング内の下および上開口と通じている、請求項5に記載の構造体。
【請求項7】
ケーシングの底に隣接した前記断熱材料層が、空間よりも狭く、従って、前記非閉塞隙間が、ケーシングの前記底に沿っておよびケーシングの前記上方に延在している側面において延在している、請求項2に記載の構造体。
【請求項8】
ケーシングが、底壁、側壁および頂を有しており、ケーシング内の前記上および下開口が、ケーシングの頂および底壁に形成されているまたは該頂および該底壁に隣接して形成されている、請求項1に記載の構造体。
【請求項9】
金属ケーシングが、ケーシングの側面および底を形成している別々の金属プレートを含んでおり、前記プレートが、前記底壁とそれぞれの前記側壁との間にあって前記下開口を形成している流路を形成するように配置されている、請求項8に記載の構造体。
【請求項10】
ケーシングの前記頂が、前記上開口を形成しているスロットをそこに有する、請求項8または9に記載の構造体。
【請求項11】
非閉塞隙間および前記開口が、隙間を通過する空気の層流をもたらす寸法にされている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項12】
容器が、セラミック材料から作られている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項13】
前記耐火性容器が、トラフの一方の長手方向末端から反対側の長手方向末端に延在している細長い流路を有する細長い溶融金属搬送トラフである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項14】
容器が、金属フィルターを含んでおり溶融金属を搬送するための流路を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項15】
容器が、溶融金属を収容するための内容積部を有しており、少なくとも1つの金属脱ガス羽根車が、内容積部内に延在している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項16】
容器が、溶融金属を収容するのに適している内容積部を有するルツボである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−512780(P2013−512780A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542321(P2012−542321)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001936
【国際公開番号】WO2011/069249
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512049948)ノベリス・インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
【Fターム(参考)】