貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函
【課題】 配線・配管材が挿通される貫通孔に隣接するノックが、安易に外れたり取れたりすることのない、貫通孔形成用壁構造を提供する。
【解決手段】 貫通孔形成用壁構造1は、壁部3に、配線・配管材が挿通される貫通孔4が設けられ、その貫通孔4は、互いに隣接する第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとで構成される。ここで、第2貫通孔4bは、除去可能なノック5bで塞がれ、第1貫通孔4aは、除去可能な他のノック5aで塞がれている。そして、ノック5bと、隣接する壁部3との間には、薄肉部またはスリットあるいは切れ目などを有する、脆弱部6が介在する。さらに、ノック5bから、隣接する壁部3に渡って、第1リブ7が設けられ、その第1リブ7は、他のノック5a(第1貫通孔4a)の周縁に沿うようにしてノック5bから立設し、隣接する壁部3に及ぶように延びる。
【解決手段】 貫通孔形成用壁構造1は、壁部3に、配線・配管材が挿通される貫通孔4が設けられ、その貫通孔4は、互いに隣接する第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとで構成される。ここで、第2貫通孔4bは、除去可能なノック5bで塞がれ、第1貫通孔4aは、除去可能な他のノック5aで塞がれている。そして、ノック5bと、隣接する壁部3との間には、薄肉部またはスリットあるいは切れ目などを有する、脆弱部6が介在する。さらに、ノック5bから、隣接する壁部3に渡って、第1リブ7が設けられ、その第1リブ7は、他のノック5a(第1貫通孔4a)の周縁に沿うようにしてノック5bから立設し、隣接する壁部3に及ぶように延びる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、除去することにより配線・配管材が挿通される貫通孔が形成されるノックを備えた、貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば配電函において、ケーブル(配線材)を挿通するにあたって、配電函の壁に不必要に大きな貫通孔を形成することは、雨水や粉塵等の侵入を防止するには不利であった。そこで、貫通孔は、除去可能なノックで塞がれて、必要に応じてノックを除去することで、必要な大きさの貫通孔を形成できるものがあった(例えば、特許文献1参照)。図14に示すように、この配電函21は、大きな貫通孔を複数のノック22、22により塞いでおり、除去するノック22の数によって、必要な大きさの貫通孔を形成できるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−103711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の配電函21にあっては、複数のノック22、22の内の一部のノック22を除去して使用した場合には、ケーブルの挿通作業等により、残されたノック22に負荷がかかり、それによって、ノック22が外れて、不必要に大きな貫通孔が形成されてしまう虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配線・配管材が挿通される貫通孔に隣接するノックが、安易に外れたり取れたりすることのない、貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造は、壁部に、配線・配管材が挿通される貫通孔が設けられ、その貫通孔は、互いに隣接する第1貫通孔と第2貫通孔とを備える。ここで、前記第2貫通孔は、除去可能なノックで塞がれている。そして、前記ノックと、隣接する前記壁部との間には、脆弱部が介在する。さらに、前記ノックから、隣接する前記壁部に渡って、第1リブが設けられ、その第1リブは、前記第1貫通孔の周縁に沿うようにして前記ノックから立設し、隣接する前記壁部に及ぶように延びる。
【0007】
この貫通孔形成用壁構造によると、互いに隣接する第1貫通孔と第2貫通孔において、第2貫通孔は、除去可能なノックで塞がれている。そして、ノックから、隣接する壁部に渡って、第1リブが設けられており、この第1リブによりノックの強度を高めることができる。したがって、第1貫通孔に配線・配管材を挿通した際に、その配線・配管材がノックに当たっても、ノックは、安易に外れたり取れたりすることはない。そして、前もってあいた第1貫通孔に対し、このノックを除去することで、互いに通ずる第1貫通孔と第2貫通孔とからなる大きな貫通孔を形成することができる。この際、ノックと壁部との間に脆弱部が介在することから、第1リブにおけるノック側と壁部側との境界部分にニッパー等の切断工具により切れ目を入れることで、簡単にノックを除去することができる。また、この貫通孔形成用壁構造により、配線・配管材の配線・配管量に応じて、第1貫通孔の使用に加えて、第2貫通孔の使用の有無(つまり、ノックを除去するかどうか)を選択することができ、その配線・配管量に柔軟に対応することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造のように、請求項1に記載の貫通孔形成用壁構造において、前記脆弱部に接する前記壁部には、前記脆弱部に沿って延びて前記第1リブに繋がる第2リブが立設していてもよい。こうして、第1リブに繋がる第2リブを設けることで、ノックの強度を一層高めることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造のように、請求項2に記載の貫通孔形成用壁構造において、前記貫通孔を囲む前記壁部には、前記貫通孔の周縁に沿うようにしてその貫通孔を囲む貫通孔囲みリブが立設し、その貫通孔囲みリブの一部が、前記第1リブの一部と前記第2リブを構成してもよい。こうして、貫通孔囲みリブを設けることで、壁部の強度を保つことができ、また、配線・配管材を、第1貫通孔や第2管通孔に挿通した際に、壁部に対する配線・配管材の当たりを、貫通孔囲みリブで和らげることができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造のように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造において、前記第1貫通孔は、除去可能な他のノックで塞がれていてもよい。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造のように、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造において、前記第2貫通孔を両側から挟むように、前記第1貫通孔が設けられてもよい。これにより、第2貫通孔を塞ぐノックを除去することで、両側の第1貫通孔を連通させることができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造を備えた配電函は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造を備えた、配電函である。この配電函は、開口を有する函本体と、前記開口を開閉する蓋とを備える。ここで、前記函本体は、底壁と、その底壁から立設して前記貫通孔形成用壁構造を有する周壁とを備えて、前記底壁とは反対側が前記開口となるように形成される。そして、前記貫通孔形成用壁構造における貫通孔に配線・配管材として配線材が挿通される。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造を備えた配電函のように、請求項6に記載の配電函において、前記貫通孔形成用壁構造における前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、前記周壁の先端側に開放する位置に設けられ、かつ、前記蓋を閉じた状態において、その蓋よりも前記周壁の基端側に、前記配線材が引き出し可能となる貫通部を有するように設けられるのが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函によれば、第1リブによって、ノックの強度を高めることができ、このため、配線・配管材(配電函にあっては、配線材)が挿通される第1貫通孔に隣接する前記ノックが、安易に外れたり取れたりすることがない。そして、前もってあいた第1貫通孔に対し、ノックを除去することで、互いに通ずる第1貫通孔と第2貫通孔とからなる大きな貫通孔を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施の形態の、配電函の斜視図である。
【図2】同じく、函本体の斜視図である。
【図3】同じく、下部周壁(壁部)の要部拡大底面図である。
【図4】同じく、図3におけるA−A線による断面図である。
【図5】同じく、図3におけるB−B線による断面図である。
【図6】同じく、他のノックを除去した状態の、下部周壁(壁部)の要部拡大底面図である。
【図7】同じく、他のノックに加えてノックを除去した状態の、下部周壁(壁部)の要部拡大底面図である。
【図8】この発明の、第1の変形例を示す要部拡大図である。
【図9】この発明の、第2の変形例を示す要部拡大図である。
【図10】この発明の、第3の変形例を示す要部拡大図である。
【図11】この発明の、第4の変形例を示す要部拡大図である。
【図12】この発明の、第5の変形例を示す要部拡大図である。
【図13】この発明の、第6の変形例を示す要部拡大図である。
【図14】従来の配電函を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係る貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図7は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、貫通孔形成用壁構造を示す。2は、前記貫通孔形成用壁構造1を備えた配電函を示す。この配電函2は、主に屋外に仮設あるいは常設されて、ブレーカーとかコンセントとかの配線器具や、ブースター等、その他の機器を収容する函である。
【0018】
貫通孔形成用壁構造1は、壁部3に、配線・配管材(配線材または配管材)が挿通される貫通孔4が設けられ、その貫通孔4は、互いに隣接する第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとを備える。第2貫通孔4bは、除去可能なノック5bで塞がれており、そのノック5bと、隣接する壁部3との間には、薄肉部またはスリットあるいは切れ目など(図示実施の形態においては、薄肉部)を有する、破断容易な脆弱部6が介在する。そして、ノック5bから、隣接する壁部3に渡って、第1リブ7が設けられ、その第1リブ7は、第1貫通孔4aの周縁に沿うようにしてノック5bから立設し、隣接する壁部3に及ぶように延びる。ここにおいて、ノック5bは、第1リブ7に沿って薄肉部またはスリットあるいは切れ目などの脆弱部が介在することなく、そのまま第1リブ7に繋がっている。
【0019】
また、前記脆弱部6に接する壁部3には、脆弱部6に沿って延びて前記第1リブ7に繋がる第2リブ8が立設している。さらに、前記貫通孔4を囲む壁部3には、貫通孔4の周縁に沿うようにしてその貫通孔4を囲む貫通孔囲みリブ9が立設し、その貫通孔囲みリブ9の一部が、前記第1リブ7の一部と前記第2リブ8を構成するようになっている。
【0020】
また、図示実施の形態においては、第1貫通孔4aは、除去可能な他のノック5aで塞がれている。そして、第2貫通孔4b(ノック5b)を両側から挟むように、第1貫通孔4a、4a(他のノック5a、5a)が設けられる。
【0021】
配電函2においては、この配電函2は、開口2aを有する函本体2bと、開口2aを開閉する蓋2cとを備える。函本体2bは、底壁2dと、その底壁2dから立設して前記貫通孔形成用壁構造1を有する周壁2eとを備えて、内部に機器を収容する空間を有し、底壁2dとは反対側が前記開口2aとなるように形成されている。そして、貫通孔形成用壁構造1における貫通孔4に、配線・配管材として配線材が挿通される。また、蓋2cは、函本体2bにおける周壁2eの先端よりも底壁2dとは反対側に位置する天壁2fと、その天壁2fから周壁2eの先端を越えて底壁2d側、つまり周壁2eの基端側へと延びる延設壁2gとを備える。そして、蓋2cは、函本体2bにおける開口2aを自在に開閉するように、函本体2bに一側で回動可能に連結される。
【0022】
そして、貫通孔形成用壁構造1における第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとは、周壁2e(壁部3)の先端側(端側)に開放する位置に設けられ、かつ、蓋2cを閉じた状態において、その蓋2c(詳しくは、延設壁2g)よりも周壁2eの基端側(つまり、底壁2d側)に、配線材が引き出し可能となる貫通部4cを有するように設けられている(図7において、蓋2cの先端を二点鎖線で示す。)。ここで、このように、第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとが、周壁2e(壁部3)の先端側(端側)に開放する場合には、貫通孔囲みリブ9は、壁部3に設けられることから、当然に、貫通孔4の全周を囲むものではない。
【0023】
具体的には、配電函2は、略直方体形状をしており、底壁2dが鉛直面を形成する向きで配備される。そして、函本体2bにおいては、周壁2eは、方形枠状(詳しくは長方形枠状)となっており、その方形枠を構成するように、上部周壁2hと下部周壁2iと側部周壁2j、2jとからなっている。そして、この周壁2eには、上部周壁2hの上方を覆うとともに前方に庇状に張り出した、屋根2kが一体となって設けられている。そして、周壁2eにおける下部周壁2iに前記貫通孔形成用壁構造1が設けられている。
【0024】
この貫通孔形成用壁構造1において、第1貫通孔4aを塞ぐ他のノック5aと、第2貫通孔4bを塞ぐノック5bとは、底壁2d側に、周壁2e(詳しくは、下部周壁2i)を残すように形成される。そして、他のノック5aは、間隔を隔てて複数(図示実施の形態においては、三枚)設けられ、それら他のノック5a、5aの間を塞ぐようにノック5bが設けられる。詳細には、ノック5b(第2貫通孔4b)と他のノック5a(第1貫通孔4a)は、いずれも略方形形状をし、ノック5b(第2貫通孔4b)は、他のノック5a(第1貫通孔4a)よりも、奥行方向、つまり周壁2eの先端から基端に向かう方向において(詳しくは、奥行方向および幅方向において)小さく形成されている。そして、ノック5bと他のノック5aには、その先端に、それぞれ先端リブ10b、10aが設けられている。また、他のノック5aの除去を容易とするため、他のノック5aと、貫通孔囲みリブ9および第1リブ7との間には、薄肉部またはスリットあるいは切れ目などを有する、破断容易な他の脆弱部11が介在している。
【0025】
また、周壁2eには、その先端に、先端リブ2mが設けられ、さらに、その先端リブ2mと並ぶようにして後方に控えた位置に控えリブ2nが設けられている。そして、これら先端リブ2mおよび控えリブ2nは、前記貫通孔囲みリブ9に繋がるように形成されている。ここにおいて、この周壁2eにおける先端リブ2mと、ノック5bおよび他のノック5aにおける先端リブ10b、10aとは、蓋2cの後述する膨出部2rの内側の段部の座となる。
【0026】
また、周壁2e(詳しくは、下部周壁2i)には、ノック5bおよび他のノック5a以外に、円形形状のノック2p、2pが設けられ、底壁2dにも、ノック2q、2qが設けられる。
【0027】
蓋2cにおいては、前記延設壁2gは、函本体2bにおける周壁2eと重なる部分が、外側に膨出した膨出部2rとなっており、その膨出部2rの内側における段部まで、周壁2eの先端が進入することとなる。
【0028】
そして、函本体2bと蓋2cとは、側部周壁2jと、蓋2cにおける方形枠状の延設壁2gの側部を構成する側部延設壁2tとにおいて、ヒンジ2uで繋がっており、これにより、蓋2cは、函本体2bに一側で回動可能に連結される(図1参照)。
【0029】
次に、以上の構成からなる貫通孔形成用壁構造1を含めた配電函2の作用効果について説明する。この配電函2における貫通孔形成用壁構造1によると、互いに隣接する第1貫通孔4aと第2貫通孔4bにおいて、第2貫通孔4bが、除去可能なノック5bで塞がれている(図3、図5参照)。そして、図示実施の形態においては、第1貫通孔4aもまた、除去可能な他のノック5aで塞がれている(図3、図4参照)。そこで、配線・配管材を挿通するにあたっては、始めに、他のノック5aを除去することで、第1貫通孔4aを形成する(図6参照)。この図6においては、ノック5bを挟む両側の他のノック5a、5aが除去されて、第1貫通孔4a、4aが形成されている。
【0030】
そして、この貫通孔形成用壁構造1においては、ノック5bから、隣接する壁部3に渡って、第1リブ7が設けられており、この第1リブ7によりノック5bの強度を高めることができる。したがって、第1貫通孔4aに配線・配管材を挿通した際に、その配線・配管材がノック5bに当たっても、ノック5bは、安易に外れたり取れたりすることはない。特に、図示実施の形態においては、ノック5bが、第1リブ7に沿って薄肉部またはスリットあるいは切れ目などの脆弱部が介在することなく、そのまま第1リブ7に繋がることで、ノック5bの強度をより高めることができる。その上、壁部3に、第1リブ7に繋がる第2リブ8を設けることで、ノック5bの強度を一層高めることができる。
【0031】
そして、前もってあいた第1貫通孔4aに対し、このノック5bを除去することで、互いに通ずる第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとからなる大きな貫通孔4を形成することができる(図7参照)。図示実施の形態においては、第2貫通孔4b(つまり、ノック5b)を両側から挟むように、第1貫通孔4a、4a(つまり、他のノック5a、5a)が設けられている。このため、ノック5bを両側から挟む他のノック5a、5aを除去して第1貫通孔4a、4aを形成した後に、第2貫通孔4bを塞ぐノック5bを除去することで、両側の第1貫通孔4a、4aを連通させることができ、一層大きな貫通孔4を形成することができる。
【0032】
この際、ノック5bと壁部3との間に脆弱部6が介在することから、第1リブ7におけるノック5b側と壁部3側との境界部分X(図6に破線で示す。後述する図8〜図13においても同様)にニッパー等の切断工具により切れ目を入れることで、簡単にノック5bを除去することができる。また、この貫通孔形成用壁構造1により、配線・配管材の配線・配管量に応じて、第1貫通孔4aの使用に加えて、第2貫通孔4bの使用の有無(つまり、ノック5bを除去するかどうか)を選択することができ、その配線・配管量に柔軟に対応することができる。
【0033】
また、壁部3に、貫通孔囲みリブ9を設けることで、壁部3の強度を保つことができ、また、配線・配管材を、第1貫通孔4aや第2管通孔4bに挿通した際に、壁部3に対する配線・配管材の当たりを、第2リブ8を含めた貫通孔囲みリブ9(図7においては、貫通孔囲みリブ9に加えて第1リブ7)で和らげることができる。特に、第1貫通孔4aのみが形成されている場合には、この貫通孔囲みリブ9や第1リブ7により、壁部3やノック5bに対する配線・配管材の当たりを和らげることができる(図6参照)。
【0034】
また、配電函2においては、第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとは、周壁2eの先端側に開放し、蓋2cを閉じた状態において、その蓋2cよりも周壁2eの基端側に、配線材が引き出し可能となる貫通部4cを有している(図7において、蓋2c(詳しくは、延設壁2g)の先端を二点鎖線で示す。)。このため、互いに通ずる第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとで、周壁2eの先端側への開方の幅が広がり、蓋2cを閉じる際には、それほど注意することなく、配線材を第1貫通孔4aまたは第2貫通孔4bに対応させた状態で、蓋2cを閉じることができる。
【0035】
ところで、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、ノック5b(第2貫通孔4b)は、他のノック5a(第1貫通孔4a)よりも、奥行方向において小さく形成されなくとも、図8に示すように、同じ奥行寸法を有してもよい。なお、この図8においては、第1貫通孔4aは、他のノック5aで塞がれることなく、あいている。
【0036】
また、第1貫通孔4a(他のノック5a)は、第2貫通孔4b(ノック5b)の両側に設けられなくとも、図9に示すように、第1貫通孔4a(他のノック5a)と第2貫通孔4b(ノック5b)とが、対となって設けられてもよい。この図9において、(A)は、ノック5bおよび他のノック5aを除去する前の状態を示し、(B)は、他のノック5aを除去した状態を示し、(C)は、さらにノック5bを除去した状態を示す。なお、(B)において、ノック5bを除去する際には、第1リブ7におけるノック5b側と壁部3側との境界部分Xに、ニッパー等の切断工具で切れ目を入れる他に、先端リブ10bと、第2リブ8あるいは先端リブ2mとの境界部分Y(つまり、ノック5bと壁部3との境界部分)にも切れ目を入れる。ここで、先端リブ10bは、ノック5bを補強する補強リブとしても機能するが、その必要がなければ、設けなくともよく、また、予め境界部分Yに切れ目が入れられていてもよい。また、補強リブとしては、先端リブ10bの他に、例えば、ノック5bの中間位置に、第1リブ7と第2リブ8を繋ぐリブを設ける等、ノック5bから壁部3に渡るリブを設けてもよく、この場合にも、ノック5bを除去する際には、補強リブと第2リブ8との境界部分(つまり、第2リブ8が設けられない場合を含めて、ノック5bと壁部3との境界部分)に切れ目を入れる。
【0037】
また、第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとは、周壁 2e(壁部3)の先端側(端側)に開方するように設けられなくとも、図10〜図13に示すように、第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとで構成される貫通孔4の全周が壁部3で囲まれていてもよい。
【0038】
ここで、図10においては、第1貫通孔4aは、第2貫通孔4b(ノック5b)を両側から挟むように設けられている。なお、この図10においては、第1貫通孔4aは、他のノック5aで塞がれることなく、あいている。
【0039】
そして、図11〜図13においては、第1貫通孔4aと第2貫通孔4b(ノック5b)とが対となるように設けられている。なお、図11においては、第1貫通孔4aは、他のノック5aで塞がれている。そして、この図11において、(A)は、ノック5bおよび他のノック5aを除去する前の状態を示し、(B)は、他のノック5aを除去した状態を示し、(C)は、さらにノック5bを除去した状態を示し、(D)は、除去したノック5bを示す。また、図12および図13においては、第1貫通孔4aは、他のノック5aで塞がれることなく、あいている。
【0040】
また、貫通孔形成用壁構造1において、第1リブ7の他に、第2リブ8とか貫通孔囲みリブ9が設けられているが、これら第2リブ8とか貫通孔囲みリブ9は、なくともよい。
【0041】
また、貫通孔形成用壁構造1は、下部周壁2iに設けられなくとも、側部周壁2jとか底壁2dなどの他の壁に設けられてもよい。
【0042】
また、函本体2bと蓋2cとを連結するヒンジ2uは、周壁2eおよび延設壁2gにおける側部に設けられなくとも、下部とか上部に設けられてもよい。
【0043】
また、函本体2bには、屋根2kが一体となって設けられなくとも、別体の屋根が組み付けられてもよく、また、屋根が設けられなくともよい。
【0044】
この貫通孔形成用壁構造1は、配電函2に適用されなくとも、配線ボックスに適用されてもよく、広く一般の構造物の壁部に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 貫通孔形成用壁構造
2 配電函
2a 開口
2b 函本体
2c 蓋
2d 底壁
2e 周壁
3 壁部
4 貫通孔
4a 第1貫通孔
4b 第2貫通孔
5a 他のノック
5b ノック
6 脆弱部
7 第1リブ
8 第2リブ
9 貫通孔囲みリブ
【技術分野】
【0001】
この発明は、除去することにより配線・配管材が挿通される貫通孔が形成されるノックを備えた、貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば配電函において、ケーブル(配線材)を挿通するにあたって、配電函の壁に不必要に大きな貫通孔を形成することは、雨水や粉塵等の侵入を防止するには不利であった。そこで、貫通孔は、除去可能なノックで塞がれて、必要に応じてノックを除去することで、必要な大きさの貫通孔を形成できるものがあった(例えば、特許文献1参照)。図14に示すように、この配電函21は、大きな貫通孔を複数のノック22、22により塞いでおり、除去するノック22の数によって、必要な大きさの貫通孔を形成できるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−103711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の配電函21にあっては、複数のノック22、22の内の一部のノック22を除去して使用した場合には、ケーブルの挿通作業等により、残されたノック22に負荷がかかり、それによって、ノック22が外れて、不必要に大きな貫通孔が形成されてしまう虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配線・配管材が挿通される貫通孔に隣接するノックが、安易に外れたり取れたりすることのない、貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造は、壁部に、配線・配管材が挿通される貫通孔が設けられ、その貫通孔は、互いに隣接する第1貫通孔と第2貫通孔とを備える。ここで、前記第2貫通孔は、除去可能なノックで塞がれている。そして、前記ノックと、隣接する前記壁部との間には、脆弱部が介在する。さらに、前記ノックから、隣接する前記壁部に渡って、第1リブが設けられ、その第1リブは、前記第1貫通孔の周縁に沿うようにして前記ノックから立設し、隣接する前記壁部に及ぶように延びる。
【0007】
この貫通孔形成用壁構造によると、互いに隣接する第1貫通孔と第2貫通孔において、第2貫通孔は、除去可能なノックで塞がれている。そして、ノックから、隣接する壁部に渡って、第1リブが設けられており、この第1リブによりノックの強度を高めることができる。したがって、第1貫通孔に配線・配管材を挿通した際に、その配線・配管材がノックに当たっても、ノックは、安易に外れたり取れたりすることはない。そして、前もってあいた第1貫通孔に対し、このノックを除去することで、互いに通ずる第1貫通孔と第2貫通孔とからなる大きな貫通孔を形成することができる。この際、ノックと壁部との間に脆弱部が介在することから、第1リブにおけるノック側と壁部側との境界部分にニッパー等の切断工具により切れ目を入れることで、簡単にノックを除去することができる。また、この貫通孔形成用壁構造により、配線・配管材の配線・配管量に応じて、第1貫通孔の使用に加えて、第2貫通孔の使用の有無(つまり、ノックを除去するかどうか)を選択することができ、その配線・配管量に柔軟に対応することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造のように、請求項1に記載の貫通孔形成用壁構造において、前記脆弱部に接する前記壁部には、前記脆弱部に沿って延びて前記第1リブに繋がる第2リブが立設していてもよい。こうして、第1リブに繋がる第2リブを設けることで、ノックの強度を一層高めることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造のように、請求項2に記載の貫通孔形成用壁構造において、前記貫通孔を囲む前記壁部には、前記貫通孔の周縁に沿うようにしてその貫通孔を囲む貫通孔囲みリブが立設し、その貫通孔囲みリブの一部が、前記第1リブの一部と前記第2リブを構成してもよい。こうして、貫通孔囲みリブを設けることで、壁部の強度を保つことができ、また、配線・配管材を、第1貫通孔や第2管通孔に挿通した際に、壁部に対する配線・配管材の当たりを、貫通孔囲みリブで和らげることができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造のように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造において、前記第1貫通孔は、除去可能な他のノックで塞がれていてもよい。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造のように、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造において、前記第2貫通孔を両側から挟むように、前記第1貫通孔が設けられてもよい。これにより、第2貫通孔を塞ぐノックを除去することで、両側の第1貫通孔を連通させることができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造を備えた配電函は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造を備えた、配電函である。この配電函は、開口を有する函本体と、前記開口を開閉する蓋とを備える。ここで、前記函本体は、底壁と、その底壁から立設して前記貫通孔形成用壁構造を有する周壁とを備えて、前記底壁とは反対側が前記開口となるように形成される。そして、前記貫通孔形成用壁構造における貫通孔に配線・配管材として配線材が挿通される。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る貫通孔形成用壁構造を備えた配電函のように、請求項6に記載の配電函において、前記貫通孔形成用壁構造における前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、前記周壁の先端側に開放する位置に設けられ、かつ、前記蓋を閉じた状態において、その蓋よりも前記周壁の基端側に、前記配線材が引き出し可能となる貫通部を有するように設けられるのが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函によれば、第1リブによって、ノックの強度を高めることができ、このため、配線・配管材(配電函にあっては、配線材)が挿通される第1貫通孔に隣接する前記ノックが、安易に外れたり取れたりすることがない。そして、前もってあいた第1貫通孔に対し、ノックを除去することで、互いに通ずる第1貫通孔と第2貫通孔とからなる大きな貫通孔を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施の形態の、配電函の斜視図である。
【図2】同じく、函本体の斜視図である。
【図3】同じく、下部周壁(壁部)の要部拡大底面図である。
【図4】同じく、図3におけるA−A線による断面図である。
【図5】同じく、図3におけるB−B線による断面図である。
【図6】同じく、他のノックを除去した状態の、下部周壁(壁部)の要部拡大底面図である。
【図7】同じく、他のノックに加えてノックを除去した状態の、下部周壁(壁部)の要部拡大底面図である。
【図8】この発明の、第1の変形例を示す要部拡大図である。
【図9】この発明の、第2の変形例を示す要部拡大図である。
【図10】この発明の、第3の変形例を示す要部拡大図である。
【図11】この発明の、第4の変形例を示す要部拡大図である。
【図12】この発明の、第5の変形例を示す要部拡大図である。
【図13】この発明の、第6の変形例を示す要部拡大図である。
【図14】従来の配電函を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係る貫通孔形成用壁構造およびその貫通孔形成用壁構造を備えた配電函を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図7は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、貫通孔形成用壁構造を示す。2は、前記貫通孔形成用壁構造1を備えた配電函を示す。この配電函2は、主に屋外に仮設あるいは常設されて、ブレーカーとかコンセントとかの配線器具や、ブースター等、その他の機器を収容する函である。
【0018】
貫通孔形成用壁構造1は、壁部3に、配線・配管材(配線材または配管材)が挿通される貫通孔4が設けられ、その貫通孔4は、互いに隣接する第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとを備える。第2貫通孔4bは、除去可能なノック5bで塞がれており、そのノック5bと、隣接する壁部3との間には、薄肉部またはスリットあるいは切れ目など(図示実施の形態においては、薄肉部)を有する、破断容易な脆弱部6が介在する。そして、ノック5bから、隣接する壁部3に渡って、第1リブ7が設けられ、その第1リブ7は、第1貫通孔4aの周縁に沿うようにしてノック5bから立設し、隣接する壁部3に及ぶように延びる。ここにおいて、ノック5bは、第1リブ7に沿って薄肉部またはスリットあるいは切れ目などの脆弱部が介在することなく、そのまま第1リブ7に繋がっている。
【0019】
また、前記脆弱部6に接する壁部3には、脆弱部6に沿って延びて前記第1リブ7に繋がる第2リブ8が立設している。さらに、前記貫通孔4を囲む壁部3には、貫通孔4の周縁に沿うようにしてその貫通孔4を囲む貫通孔囲みリブ9が立設し、その貫通孔囲みリブ9の一部が、前記第1リブ7の一部と前記第2リブ8を構成するようになっている。
【0020】
また、図示実施の形態においては、第1貫通孔4aは、除去可能な他のノック5aで塞がれている。そして、第2貫通孔4b(ノック5b)を両側から挟むように、第1貫通孔4a、4a(他のノック5a、5a)が設けられる。
【0021】
配電函2においては、この配電函2は、開口2aを有する函本体2bと、開口2aを開閉する蓋2cとを備える。函本体2bは、底壁2dと、その底壁2dから立設して前記貫通孔形成用壁構造1を有する周壁2eとを備えて、内部に機器を収容する空間を有し、底壁2dとは反対側が前記開口2aとなるように形成されている。そして、貫通孔形成用壁構造1における貫通孔4に、配線・配管材として配線材が挿通される。また、蓋2cは、函本体2bにおける周壁2eの先端よりも底壁2dとは反対側に位置する天壁2fと、その天壁2fから周壁2eの先端を越えて底壁2d側、つまり周壁2eの基端側へと延びる延設壁2gとを備える。そして、蓋2cは、函本体2bにおける開口2aを自在に開閉するように、函本体2bに一側で回動可能に連結される。
【0022】
そして、貫通孔形成用壁構造1における第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとは、周壁2e(壁部3)の先端側(端側)に開放する位置に設けられ、かつ、蓋2cを閉じた状態において、その蓋2c(詳しくは、延設壁2g)よりも周壁2eの基端側(つまり、底壁2d側)に、配線材が引き出し可能となる貫通部4cを有するように設けられている(図7において、蓋2cの先端を二点鎖線で示す。)。ここで、このように、第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとが、周壁2e(壁部3)の先端側(端側)に開放する場合には、貫通孔囲みリブ9は、壁部3に設けられることから、当然に、貫通孔4の全周を囲むものではない。
【0023】
具体的には、配電函2は、略直方体形状をしており、底壁2dが鉛直面を形成する向きで配備される。そして、函本体2bにおいては、周壁2eは、方形枠状(詳しくは長方形枠状)となっており、その方形枠を構成するように、上部周壁2hと下部周壁2iと側部周壁2j、2jとからなっている。そして、この周壁2eには、上部周壁2hの上方を覆うとともに前方に庇状に張り出した、屋根2kが一体となって設けられている。そして、周壁2eにおける下部周壁2iに前記貫通孔形成用壁構造1が設けられている。
【0024】
この貫通孔形成用壁構造1において、第1貫通孔4aを塞ぐ他のノック5aと、第2貫通孔4bを塞ぐノック5bとは、底壁2d側に、周壁2e(詳しくは、下部周壁2i)を残すように形成される。そして、他のノック5aは、間隔を隔てて複数(図示実施の形態においては、三枚)設けられ、それら他のノック5a、5aの間を塞ぐようにノック5bが設けられる。詳細には、ノック5b(第2貫通孔4b)と他のノック5a(第1貫通孔4a)は、いずれも略方形形状をし、ノック5b(第2貫通孔4b)は、他のノック5a(第1貫通孔4a)よりも、奥行方向、つまり周壁2eの先端から基端に向かう方向において(詳しくは、奥行方向および幅方向において)小さく形成されている。そして、ノック5bと他のノック5aには、その先端に、それぞれ先端リブ10b、10aが設けられている。また、他のノック5aの除去を容易とするため、他のノック5aと、貫通孔囲みリブ9および第1リブ7との間には、薄肉部またはスリットあるいは切れ目などを有する、破断容易な他の脆弱部11が介在している。
【0025】
また、周壁2eには、その先端に、先端リブ2mが設けられ、さらに、その先端リブ2mと並ぶようにして後方に控えた位置に控えリブ2nが設けられている。そして、これら先端リブ2mおよび控えリブ2nは、前記貫通孔囲みリブ9に繋がるように形成されている。ここにおいて、この周壁2eにおける先端リブ2mと、ノック5bおよび他のノック5aにおける先端リブ10b、10aとは、蓋2cの後述する膨出部2rの内側の段部の座となる。
【0026】
また、周壁2e(詳しくは、下部周壁2i)には、ノック5bおよび他のノック5a以外に、円形形状のノック2p、2pが設けられ、底壁2dにも、ノック2q、2qが設けられる。
【0027】
蓋2cにおいては、前記延設壁2gは、函本体2bにおける周壁2eと重なる部分が、外側に膨出した膨出部2rとなっており、その膨出部2rの内側における段部まで、周壁2eの先端が進入することとなる。
【0028】
そして、函本体2bと蓋2cとは、側部周壁2jと、蓋2cにおける方形枠状の延設壁2gの側部を構成する側部延設壁2tとにおいて、ヒンジ2uで繋がっており、これにより、蓋2cは、函本体2bに一側で回動可能に連結される(図1参照)。
【0029】
次に、以上の構成からなる貫通孔形成用壁構造1を含めた配電函2の作用効果について説明する。この配電函2における貫通孔形成用壁構造1によると、互いに隣接する第1貫通孔4aと第2貫通孔4bにおいて、第2貫通孔4bが、除去可能なノック5bで塞がれている(図3、図5参照)。そして、図示実施の形態においては、第1貫通孔4aもまた、除去可能な他のノック5aで塞がれている(図3、図4参照)。そこで、配線・配管材を挿通するにあたっては、始めに、他のノック5aを除去することで、第1貫通孔4aを形成する(図6参照)。この図6においては、ノック5bを挟む両側の他のノック5a、5aが除去されて、第1貫通孔4a、4aが形成されている。
【0030】
そして、この貫通孔形成用壁構造1においては、ノック5bから、隣接する壁部3に渡って、第1リブ7が設けられており、この第1リブ7によりノック5bの強度を高めることができる。したがって、第1貫通孔4aに配線・配管材を挿通した際に、その配線・配管材がノック5bに当たっても、ノック5bは、安易に外れたり取れたりすることはない。特に、図示実施の形態においては、ノック5bが、第1リブ7に沿って薄肉部またはスリットあるいは切れ目などの脆弱部が介在することなく、そのまま第1リブ7に繋がることで、ノック5bの強度をより高めることができる。その上、壁部3に、第1リブ7に繋がる第2リブ8を設けることで、ノック5bの強度を一層高めることができる。
【0031】
そして、前もってあいた第1貫通孔4aに対し、このノック5bを除去することで、互いに通ずる第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとからなる大きな貫通孔4を形成することができる(図7参照)。図示実施の形態においては、第2貫通孔4b(つまり、ノック5b)を両側から挟むように、第1貫通孔4a、4a(つまり、他のノック5a、5a)が設けられている。このため、ノック5bを両側から挟む他のノック5a、5aを除去して第1貫通孔4a、4aを形成した後に、第2貫通孔4bを塞ぐノック5bを除去することで、両側の第1貫通孔4a、4aを連通させることができ、一層大きな貫通孔4を形成することができる。
【0032】
この際、ノック5bと壁部3との間に脆弱部6が介在することから、第1リブ7におけるノック5b側と壁部3側との境界部分X(図6に破線で示す。後述する図8〜図13においても同様)にニッパー等の切断工具により切れ目を入れることで、簡単にノック5bを除去することができる。また、この貫通孔形成用壁構造1により、配線・配管材の配線・配管量に応じて、第1貫通孔4aの使用に加えて、第2貫通孔4bの使用の有無(つまり、ノック5bを除去するかどうか)を選択することができ、その配線・配管量に柔軟に対応することができる。
【0033】
また、壁部3に、貫通孔囲みリブ9を設けることで、壁部3の強度を保つことができ、また、配線・配管材を、第1貫通孔4aや第2管通孔4bに挿通した際に、壁部3に対する配線・配管材の当たりを、第2リブ8を含めた貫通孔囲みリブ9(図7においては、貫通孔囲みリブ9に加えて第1リブ7)で和らげることができる。特に、第1貫通孔4aのみが形成されている場合には、この貫通孔囲みリブ9や第1リブ7により、壁部3やノック5bに対する配線・配管材の当たりを和らげることができる(図6参照)。
【0034】
また、配電函2においては、第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとは、周壁2eの先端側に開放し、蓋2cを閉じた状態において、その蓋2cよりも周壁2eの基端側に、配線材が引き出し可能となる貫通部4cを有している(図7において、蓋2c(詳しくは、延設壁2g)の先端を二点鎖線で示す。)。このため、互いに通ずる第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとで、周壁2eの先端側への開方の幅が広がり、蓋2cを閉じる際には、それほど注意することなく、配線材を第1貫通孔4aまたは第2貫通孔4bに対応させた状態で、蓋2cを閉じることができる。
【0035】
ところで、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、ノック5b(第2貫通孔4b)は、他のノック5a(第1貫通孔4a)よりも、奥行方向において小さく形成されなくとも、図8に示すように、同じ奥行寸法を有してもよい。なお、この図8においては、第1貫通孔4aは、他のノック5aで塞がれることなく、あいている。
【0036】
また、第1貫通孔4a(他のノック5a)は、第2貫通孔4b(ノック5b)の両側に設けられなくとも、図9に示すように、第1貫通孔4a(他のノック5a)と第2貫通孔4b(ノック5b)とが、対となって設けられてもよい。この図9において、(A)は、ノック5bおよび他のノック5aを除去する前の状態を示し、(B)は、他のノック5aを除去した状態を示し、(C)は、さらにノック5bを除去した状態を示す。なお、(B)において、ノック5bを除去する際には、第1リブ7におけるノック5b側と壁部3側との境界部分Xに、ニッパー等の切断工具で切れ目を入れる他に、先端リブ10bと、第2リブ8あるいは先端リブ2mとの境界部分Y(つまり、ノック5bと壁部3との境界部分)にも切れ目を入れる。ここで、先端リブ10bは、ノック5bを補強する補強リブとしても機能するが、その必要がなければ、設けなくともよく、また、予め境界部分Yに切れ目が入れられていてもよい。また、補強リブとしては、先端リブ10bの他に、例えば、ノック5bの中間位置に、第1リブ7と第2リブ8を繋ぐリブを設ける等、ノック5bから壁部3に渡るリブを設けてもよく、この場合にも、ノック5bを除去する際には、補強リブと第2リブ8との境界部分(つまり、第2リブ8が設けられない場合を含めて、ノック5bと壁部3との境界部分)に切れ目を入れる。
【0037】
また、第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとは、周壁 2e(壁部3)の先端側(端側)に開方するように設けられなくとも、図10〜図13に示すように、第1貫通孔4aと第2貫通孔4bとで構成される貫通孔4の全周が壁部3で囲まれていてもよい。
【0038】
ここで、図10においては、第1貫通孔4aは、第2貫通孔4b(ノック5b)を両側から挟むように設けられている。なお、この図10においては、第1貫通孔4aは、他のノック5aで塞がれることなく、あいている。
【0039】
そして、図11〜図13においては、第1貫通孔4aと第2貫通孔4b(ノック5b)とが対となるように設けられている。なお、図11においては、第1貫通孔4aは、他のノック5aで塞がれている。そして、この図11において、(A)は、ノック5bおよび他のノック5aを除去する前の状態を示し、(B)は、他のノック5aを除去した状態を示し、(C)は、さらにノック5bを除去した状態を示し、(D)は、除去したノック5bを示す。また、図12および図13においては、第1貫通孔4aは、他のノック5aで塞がれることなく、あいている。
【0040】
また、貫通孔形成用壁構造1において、第1リブ7の他に、第2リブ8とか貫通孔囲みリブ9が設けられているが、これら第2リブ8とか貫通孔囲みリブ9は、なくともよい。
【0041】
また、貫通孔形成用壁構造1は、下部周壁2iに設けられなくとも、側部周壁2jとか底壁2dなどの他の壁に設けられてもよい。
【0042】
また、函本体2bと蓋2cとを連結するヒンジ2uは、周壁2eおよび延設壁2gにおける側部に設けられなくとも、下部とか上部に設けられてもよい。
【0043】
また、函本体2bには、屋根2kが一体となって設けられなくとも、別体の屋根が組み付けられてもよく、また、屋根が設けられなくともよい。
【0044】
この貫通孔形成用壁構造1は、配電函2に適用されなくとも、配線ボックスに適用されてもよく、広く一般の構造物の壁部に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 貫通孔形成用壁構造
2 配電函
2a 開口
2b 函本体
2c 蓋
2d 底壁
2e 周壁
3 壁部
4 貫通孔
4a 第1貫通孔
4b 第2貫通孔
5a 他のノック
5b ノック
6 脆弱部
7 第1リブ
8 第2リブ
9 貫通孔囲みリブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部に、配線・配管材が挿通される貫通孔が設けられ、その貫通孔は、互いに隣接する第1貫通孔と第2貫通孔とを備え、
前記第2貫通孔は、除去可能なノックで塞がれており、
前記ノックと、隣接する前記壁部との間には、脆弱部が介在し、
前記ノックから、隣接する前記壁部に渡って、第1リブが設けられ、その第1リブは、前記第1貫通孔の周縁に沿うようにして前記ノックから立設し、隣接する前記壁部に及ぶように延びる、貫通孔形成用壁構造。
【請求項2】
前記脆弱部に接する前記壁部には、前記脆弱部に沿って延びて前記第1リブに繋がる第2リブが立設している、請求項1に記載の貫通孔形成用壁構造。
【請求項3】
前記貫通孔を囲む前記壁部には、前記貫通孔の周縁に沿うようにしてその貫通孔を囲む貫通孔囲みリブが立設し、その貫通孔囲みリブの一部が、前記第1リブの一部と前記第2リブを構成する、請求項2に記載の貫通孔形成用壁構造。
【請求項4】
前記第1貫通孔は、除去可能な他のノックで塞がれている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造。
【請求項5】
前記第2貫通孔を両側から挟むように、前記第1貫通孔が設けられる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造を備えた、配電函であって、
開口を有する函本体と、前記開口を開閉する蓋とを備え、
前記函本体は、底壁と、その底壁から立設して前記貫通孔形成用壁構造を有する周壁とを備えて、前記底壁とは反対側が前記開口となるように形成され、
前記貫通孔形成用壁構造における貫通孔に配線・配管材として配線材が挿通される、貫通孔形成用壁構造を備えた配電函。
【請求項7】
前記貫通孔形成用壁構造における前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、前記周壁の先端側に開放する位置に設けられ、かつ、前記蓋を閉じた状態において、その蓋よりも前記周壁の基端側に、前記配線材が引き出し可能となる貫通部を有するように設けられる、請求項6に記載の貫通孔形成用壁構造を備えた配電函。
【請求項1】
壁部に、配線・配管材が挿通される貫通孔が設けられ、その貫通孔は、互いに隣接する第1貫通孔と第2貫通孔とを備え、
前記第2貫通孔は、除去可能なノックで塞がれており、
前記ノックと、隣接する前記壁部との間には、脆弱部が介在し、
前記ノックから、隣接する前記壁部に渡って、第1リブが設けられ、その第1リブは、前記第1貫通孔の周縁に沿うようにして前記ノックから立設し、隣接する前記壁部に及ぶように延びる、貫通孔形成用壁構造。
【請求項2】
前記脆弱部に接する前記壁部には、前記脆弱部に沿って延びて前記第1リブに繋がる第2リブが立設している、請求項1に記載の貫通孔形成用壁構造。
【請求項3】
前記貫通孔を囲む前記壁部には、前記貫通孔の周縁に沿うようにしてその貫通孔を囲む貫通孔囲みリブが立設し、その貫通孔囲みリブの一部が、前記第1リブの一部と前記第2リブを構成する、請求項2に記載の貫通孔形成用壁構造。
【請求項4】
前記第1貫通孔は、除去可能な他のノックで塞がれている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造。
【請求項5】
前記第2貫通孔を両側から挟むように、前記第1貫通孔が設けられる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の貫通孔形成用壁構造を備えた、配電函であって、
開口を有する函本体と、前記開口を開閉する蓋とを備え、
前記函本体は、底壁と、その底壁から立設して前記貫通孔形成用壁構造を有する周壁とを備えて、前記底壁とは反対側が前記開口となるように形成され、
前記貫通孔形成用壁構造における貫通孔に配線・配管材として配線材が挿通される、貫通孔形成用壁構造を備えた配電函。
【請求項7】
前記貫通孔形成用壁構造における前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、前記周壁の先端側に開放する位置に設けられ、かつ、前記蓋を閉じた状態において、その蓋よりも前記周壁の基端側に、前記配線材が引き出し可能となる貫通部を有するように設けられる、請求項6に記載の貫通孔形成用壁構造を備えた配電函。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−9530(P2013−9530A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140952(P2011−140952)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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