説明

貫通阻害性材料

少なくとも1つの第1成分と少なくとも1つの第2成分とを有する貫通阻害材料が提供される。第1成分は第1の一組の糸を持つ少なくとも1つの第1層と第2の一組の糸を持つ第2層を有し、第1の一組の糸は第1糸方向に配列され、そして第2の一組の糸は第2糸方向に配列され、第1の糸方向は第2の糸方向と交叉しており、第2成分は少なく1つの第3層と第4層を有し、第3層は第3の一組の糸を持つ糸層でありそして第4層は第4の一組の糸を持つ糸層であり、第3の一組の糸は第3糸方向に配列されそして第4の一組の糸は第4糸方向に配列され、第3糸方向は第1糸方向と第2糸方向とに対し第1角度を形成しそして第4糸方向は第1糸方向と第2糸方向とに対し第2角度を形成し、第3の一組の糸と第4の一組の糸とは少なくとも1つの第1結合手段を用いて互に結合されそして第1結合手段は織布結合手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通阻害性材料に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の材料は知られている。例えば特許文献1の明細書には少なくとも1つの織布の重複層を備えた貫通阻害性材料が記載されている。織られた層は縦糸および横糸方向に異なる種類の繊維を有している。2つの織られた層は同じ種類の繊維が互に交叉するように貫通阻害性材料中に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第02/075238号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、良好な貫通阻害性と共に良好なトラウマ値を与える貫通阻害性材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、少なくとも1つの第1成分と少なくとも1つの第2成分とを含有する貫通阻害材料によって達成される。ここで、該第1成分は第1の一組の糸を備えた少なくとも1つの第1層と第2の一組の糸を備えた第2の層を有し、該第1の一組の糸は第1糸方向に配列しておりそして該第2の一組の糸は第2糸方向に配列しており、該第1糸方向は第2糸方向と交叉しており、さらに該第2成分は少なくとも1つの第3層と第4層を有し、該第3層は第3の一組の糸を有する糸層であり、該第4層は第4の一組の糸層を有する糸層であり、該第3の一組の糸層は第3糸方向に配列しており、該第4の一組の糸は第4糸方向に配列しており、該第3糸方向は該第4糸方向と交叉しており、該第3糸方向は該第1糸方向と該第2糸方向に対し第1角度を形成しており、該第4糸方向は該第1糸方向と該第2糸方向に対し第2角度を形成しており、該第3の一組の糸と該第4の一組の糸は少なくとも1つ第1結合手段を用いて互に結合されており、そして該第1結合手段は織布結合手段である。
貫通阻害材料は発射体抵抗性および/または突き刺し抵抗性材料として理解されるべきである。
他の糸方向と交叉する糸方向は2つの糸方向が70°〜110°の角度、好ましくは互に90°の角度を形成することを意味すると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】貫通阻害材料の第1態様の拡大図を概略的に示す。
【図2】貫通阻害材料の第2態様の拡大図を概略的に示す。
【図3】図1の一部の詳細図を概略的に示す。
【図4】貫通阻害材料における糸の異なる組合せの配列を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
織布結合手段による結合は第3層と第4層とが、例えばラッシェルニッティング、インターウィービング、ニッティングおよび/または少なくとも1本の糸(スティッチング、ソーイング)によって互に結合されていることを意味すると理解されるべきである。
用語“糸”はその長さ寸法がそれと交叉する寸法の幅と厚さよりも非常に大きい長尺体として理解されるべきである。用語“糸”は、それ故同様に1本の糸が複数本の繊維または1本のみの繊維から形成されうる、複数本の繊維からなる。用語“糸”は複数本のモノフィラメント、複数本のマルチフィラメント、複数本のステープルファイバー、複数本のテープまたは細片および細断された、切断されたまたは不連続な繊維の他の形態および規則的なもしくは不規則な断面を持つ同様の形態を包含する。それぞれの場合における用語“繊維”も同様に、複数の上記した対象物またはその組合せを包含する。
【0008】
第1の一組の糸と第3の一組の糸によって、または第2の一組の糸と第3の一組の糸によって形成される第1角度は好ましくは±10°より小さくなく且つ特に好ましくは0°ではない。これは第1の一組の糸は好ましくは第3の一組の糸に平行でないことを意味している。それは、さらに、第2の一組の糸は第3の一組の糸に平行でないことを意味している。
第1の一組の糸と第4の一組の糸によって、または第2の一組の糸と第4の一組の糸によってそれぞれ形成される第2角度は、好ましくは±10°より小さくなく且つ特に好ましくは0°でない。これは第1の一組の糸と第4の一組の糸または第2の一組の糸と第4の一組の糸は、それぞれ、互に平行でないことを意味している。
糸層は例えば互に一方向に配列された複数の糸から造られた層として理解されるべきである。それ故、一つの層内の複数の一方向糸はその層内において本質的に互に平行であることが好ましい。織られた層は本発明の意味するところでは糸層ではない。
【0009】
第3層と第4層または第3の一組の糸と第4の一組の糸とはそれぞれ少なくとも1本の糸によって、特に好ましくは少なくとも1本のニッティング糸によって互に結合されていることが好ましい。
好ましくは、第1の一組の糸と第2の一組の糸、または第1層と第2層は、それぞれ、第2結合手段によって互に結合されている。
【0010】
第2結合手段は少なくとも1本の糸および/または接着性物質であることが好ましい。
第1成分と第2成分は第3結合手段によって互に結合されていることがさらに好ましい。第2層と第3層は第3結合手段によって有利な方法で互に結合されている。
【0011】
第3結合手段は、好ましくは、接着性物質であることができる。この種の接着性物質の可能な態様はフィルム、接着性格子、接着性網または同様の構造物が用いられ得ることからなる。その際接着性物質は全表面を覆っているかまたは複数の不連続点に存在するだけである。接着性格子は、例えば互に接触しており且つ融解性物質で作られている複数本の糸あるいは接着剤で被覆されている複数本の糸からなることができる。他の実施態様では第1成分と第2成分はステッチングやソーイングによって互に結合されていることができる。
好ましくは、第3の一組の糸と第4の一組の糸、すなわち好ましくは第3層と第4層は、第4結合手段によって互に結合されている。第4結合手段はかくして好ましくは接着性物質である。第3層の第4層との結合は結合手段を用いることによって有利に改善される。
熱可塑性、もしくは弾性、または熱硬化性物質が接着性物質として用いられることが好ましい。貫通阻害材料は異なる複数の接着性物質からなることができることも理解される。
【0012】
結合手段としてまたは、織布結合手段として用いられる糸はいわゆるニッティング糸であってもよいことはさらに好ましい。このようなニッティング糸は、例えば低強度の複数の繊維からなる複数本の糸であることができる。ここで、この複数本の糸は低い線密度を持つことができる。好ましくは、線密度140dtexのトレヴィラ(Trevira、登録商標)の如きポリエステル繊維がニッティング糸のために用いられる。
織布結合手段としての第1結合手段は、第3層と第4層とを結合して第2成分を形成する。第3層と第4層は第4結合手段を用いてさらに互に結合されることが好ましい。それ故、第1結合手段と第4結合手段は第3層と第4層でのみ機能する。第1層と第2層は第2結合手段を用いて互に結合して第1成分を形成することが好ましい。第2結合手段は第1層と第2層でのみ機能する。第1成分と第2成分は第3結合手段を用いて互に結合されることが好ましい。第3結合手段はその結果、第1成分と第2成分の間でのみ、すなわち第2層と第3層の間でのみ機能する。
第1層は第1の一組の糸の他に第5の一組の糸を持つのが好ましい。
【0013】
貫通阻害材料の一実施態様において、第5の一組の糸は第1の一組の糸と共に織られている。好ましくは、この種の織られた布は第1の一組の糸を3.5〜20本糸/cmで有する。ここで、第1の一組の糸は織られた層の重量の約65%を占めそして縦糸を形成している。第5の一組の糸は、例えば、織られた布に0.5〜16本糸/cmで存在しそして横糸を形成する。この種の織られた布において、第1の一組の糸は少なくとも200dtexの線密度を持つことができそして第5の一組の糸は少なくとも50dtexの線密度を持つことができる。この種の織られた布の構造に関して、ここに参考文献として引用されるWO02/075238の明細書の記載が参照される。
貫通阻害材料の他の実施態様において、第5の一組の糸も同様に第1の一組の糸とともに織られる。しかしながら、第5の一組の糸と第1の一組の糸とは、ほぼ同じ数の糸数/cmで織られた布中に存在しそして同じ線密度を持つ。この織られた布は、例えば1/1平織、単位面積当りの質量200g/m、縦糸と横糸方向の打込数10.5本糸/cmを持つことができそして930dtexの線密度のヤーンからなる。ここで、第1の一組の糸は縦糸を形成しそして第5の一組の糸は横糸を形成する。この種の織布はテイジンアラミドからトワロン(Twaron、登録商標)CT 709の商品名で販売されている。
【0014】
第2層は第2の一組の糸の他に第6の一組の糸を有することがさらに好ましい。第6の一組の糸は、好ましくは第2の一組の糸とともに織られている。好ましくは、第2の一組の糸と第6の一組の糸から作られた織布中で、第2の一組の糸は横糸を形成することができそして第6の一組の糸は縦糸を形成することができる。好ましくは、この種の織布は第2の一組の糸を3.5〜20本糸/cmで有する。ここで、第2の一組の糸は織られた層の重量の約65%を占める。第6の一組の糸は織布中に、例えば0.5〜16本糸/cmで存在することができる。この種の織布中で、第2の一組の糸は少なくとも200dtexの線密度を持つことができそして第6の一組の糸は少なくとも50dtexの線密度を持つことができる。この種の織布に関して、WO02/075238の明細書の記載が参照される。
【0015】
これとは別に、第2の一組の糸と第6の一組の糸から作られた織布は、トワロン(Twaron、登録商標)CT709の商品名で知られる織布のような構造を持つことができる。
第1の一組の糸、第2の一組の糸、第3の一組の糸および第4の一組の糸は、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維から選ばれることが好ましい。
第5の一組の糸と第6の一組の糸は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド、ポリアミド、ガラスおよびポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾールから製造された繊維から選ばれることがさらに好ましい。
上記した組の糸は、同様に、芳香族ポリエスエル糸から選択され得る。
【0016】
第1の一組の糸、第2の一組の糸、第3の一組の糸および第4の一組の糸は200dtexよりも大きい線密度の糸を持ちそして第5の一組の糸と第6の一組の糸は好ましくは50dtexよりも大きい線密度の糸を持つことが好ましい。第1の一組の糸、第2の一組の糸、第3の一組の糸および第4の一組の糸は210〜6720dtex、より好ましくは420〜3360dtex、さらに好ましくは420〜1680dtexそして最も好ましくは約840〜1100dtexの線密度を持つことが好ましい。第5の一組の糸と第6の一組の糸の線密度については少なくとも約50dtex、より好ましくは50〜280dtexそして最も好ましくは80〜140dtexの値が選択され得る。
【0017】
他の好ましい実施態様において、第1の一組の糸、第2の一組の糸、第3の一組の糸、第4の一組の糸、第5の一組の糸および第6の一組の糸は、200dtexよりも大きい線密度の糸を有している。これらの組の糸についての線密度は210〜6720dtex、より好ましくは420〜3360dtex、さらに好ましくは420〜1680dtex、そして最も好ましくは約840〜1100dtexの間にあることが好ましい。
好ましくは、第5の一組の糸は第5糸方向に配列している。第5糸方向は第2糸方向に平行であることが好ましい。第5糸方向は第1糸方向と交叉していることがさらに好ましい。
第6の一組の糸は第6糸方向に配列していることが好ましい。第6糸方向は、それ故、第1糸方向に平行であることが好ましい。第6糸方向は第2糸方向に交叉していることがさらに好ましい。
【0018】
一実施態様において、第1の一組の糸、第2の一組の糸、第3の一組の糸および第4の一組の糸は、アラミド糸からなりそして第5の一組の糸と第6の一組の糸は好ましくはポリエステル糸からなる。アラミド糸はパラ−アラミド特にポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)からなることが好ましい。
第3の一組の糸の第3糸方向とそれぞれ第1または第2の一組の糸の第1または第2糸方向によって形成される第1角度は±30°〜±60°、特に±45°であることがさらに好ましい。
第4の一組の糸の第4糸方向とそれぞれ第1または第2の一組の糸の第1または第2糸方向によって形成される第2角度は±30°〜±60°、さらに特に好ましくは±45°であることが好ましい。
【0019】
本発明の特に好ましい実施態様において、貫通阻害材料は少なくとも1つの重複層織布を有している。ここで、この重複層は3.5〜20糸本数/cmおよび少なくとも210dtexの線密度の第1の一組の糸、ここで第1の一組の糸はこの織布の重量の少なくとも65%を占める、および0.5〜16本糸/cmと少なくとも50dtexの線密度の第5の一組の糸からなる第1層を有している。第5の一組の糸は、好ましくは第1の一組の糸と交叉しておりそして該第1の一組の糸の糸本数/cmの数対第5の一組の糸の糸本数/cmの数の比は>1である。さらに、貫通阻害材料は、好ましくは0.5〜16糸本数/cmおよび少なくとも50dtexの線密度の第6の一組の糸と、3.5〜20糸本数/cmと少なくとも210dtexの線密度の第2の一組の糸からなる第2層を含んでなる。ここで、第2の一組の糸はこの織られた層の重量の少なくとも65%を占める。第2層の第2の一組の糸は第6の一組の糸に交叉しておりそして第2の一組の糸の糸本数/cmの数対第6の一組の糸の糸本数/cmの数の比は>1である。第1層の第1の一組の糸は第2層の第6の一組の糸に平行でありそして第2層の第2の一組の糸は第1層の第5の一組の糸に平行である。ここで、貫通阻害材料は1つの第3層において、3.5〜20糸本数/cmおよび少なくとも210dtexの線密度の第3の少なくとも一組の糸と、1つの第4層において3.5〜20糸本数/cmおよび少なくとも210dtexの線密度の第4の一組の糸とを有している。第3層の糸は互に平行な一定方向の第3糸方向にありそして第4層の糸は互に平行な一定方向の第4糸方向にある。第3糸方向と第4糸方向は異なっており、第3糸方向は第1層の第1の一組の糸の糸の第1糸方向および第2層の第2の一組の糸の糸の第2糸方向と異なっている。さらに、第4糸方向は第1層の第1の一組の糸の糸の第1糸方向および第2層の第2の一組の糸の糸の第2糸方向と異なっている。
【0020】
この実施態様において、第1層の第1の一組の糸のみならず第2層の第6の一組の糸は縦糸でありそして第1層の第5の一組の糸のみならず第2層の第2の一組の糸は横糸であることが好ましい。
もし貫通阻害材料が第1の一組の糸と第5の一組の糸から造られた織られた層を第1層として、また第2の一組の糸と第5の一組の糸から造られた織られた層を第2層として有する場合には、縦糸方向にトワロン(Twaron、登録商標)を有し、横糸方向にトレビラ(Trevira、登録商標)を有することが好ましい。第2の層が横糸方向にトワロン(Twaron、登録商標)を有し、縦糸方向にトレビラ(Trevira、登録商標)を有することがさらに好ましい。
【0021】
第1成分中に2つの織られた層と、第2成分中に第3層と第4層とを備えた貫通阻害材料は次のようにして製造することができる。
厚み11μmのポリエチレンフィルム(LDPE)から作られた熱可塑性フィルムが、互に平行に配列された一定方向のトワロン(Twaron、登録商標)糸(タイプ2040、930dtex、f1000)から作られた2つの層(糸の層)(第3層と第4層)の間に置かれる。第3層と第4層は、第3層の第3糸方向と第4層の第4糸方向が90°の角度を形成するようにお互い配列される。第3層、第4層およびフィルムはニッティング糸によって互に結合されている。第3の一組の糸と第4の一組の糸、すなわちそれぞれ第3層と第4層は、安定化糸によって安定化されうる。安定化糸は、それによって、未だ存在しない第1糸方向(第1層)に平行であることができる。トワロン(Twaron、登録商標)糸(タイプ2040、930dtex、f1000)は例えば安定化糸として用いられ得る。第3層、第4層、熱可塑性フィルム、ニッティング糸および安定化糸は第2成分を形成する。
【0022】
第1成分は、2つの織られた層が互に頂点で置かれるように形成される。第1の織られた層(第1層)は縦糸方向にトワロン(Twaron、登録商標)(タイプ2040、930dtex、f1000)を有し、横糸方向にトレビラ(Trevira、登録商標)(710、140dtex、ヘキスト)を有している。このトワロン(Twaron、登録商標)糸は第1層の第1の一組の糸を形成しそしてトレビラ(Trevira、登録商標)糸は第5の一組の糸を形成する。第2の織られた層(第2層)は横糸方向にトワロン(Twaron、登録商標)(タイプ2040、930dtex、f1000)を有しそして縦糸方向にトレビラ(Trevira、登録商標)(710、140dtex、ヘキスト)を有している。ここで、トワロン(Twaron、登録商標)糸は第2の一組の糸を形成しそしてトレビラ(Trevira、登録商標)糸は第6の一組の糸を形成する。厚さ11μmのポリエチレンフィルム(LDPE)から作られた熱可塑性フィルムが該2つの織られた層の間に置かれる。第1および第2の織られた層のトワロン(Twaron、登録商標)糸はお互で90°の角度を形成する。第1の織られた層、第2の織られた層およびこれらの織られた層の間の熱可塑性フィルムは第1成分を形成する。
第1成分と第2成分とを一緒にするために、厚さ11μmのポリエチレンフィルム(LDPE)で作られた熱可塑性フィルムが第1成分と第2成分との間、すなわち第2層と第3層の間に置かれる。
【0023】
これに対する別法として、接着性物質で被覆された糸で作られた接着性格子または接着性メッシュが第1成分と第2成分の間に置かれる。ここで、第1成分と第2成分の間の結合は不連続点でのみ存在する。さらに、厚み11μmのポリエチレンフィルム(LDPE)から作られた熱可塑性フィルムが第1層の上且つ第4層の下に置かれる。第3糸方向が第1糸方向に対しほぼ+45°の角度となり且つ第4糸方向が第1糸方向に対しほぼ−45°の角度となるように、第1成分が第2成分の上に設置される。
ポリエチレンフィルム(または接着性格子または接着性メッシュ)を用いて第1と第2成分からこのように形成された複数の組合せが互の頂点で積み重ねられる。その際、それぞれの組合せ(第1と第2成分)は分離紙によって次の組合せから分離される。これは次いで約25バールの静圧、120〜180℃の温度で約25分間加圧される。その後、加圧におけるヒーターのスイッチが切断される。これは熱可塑性フィルム(および潜在的には接着性格子、接着性メッシュ)を融かす。好ましくは、単一加圧操作がフィルムとともに上記少なくとも4層から貫通阻害材料を製造するのに十分である。
【0024】
織られた層を用いずに製造された、貫通阻害材料のために、織られた層を用いる変形にも上記構造が同様に存在する。しかしながら、第1層と第2層は、第1の一組の糸またはそれぞれ第2の一組の糸(トワロン(Twaron、登録商標)、タイプ2000、1100dtex、f1000、単位面積当りの質量45g/m)を有する。これらの糸はそれぞれの層内に平行に且つ一定方向に配列されている。一実施態様において、第1層は第1の一組の糸によって形成されているだけでありそして第2層は第2の一組の糸によって形成されているだけである。しかしながら、第1層が第5の一組の糸(トワロン(Twaron、登録商標)タイプ2000、1100dtex、f1000、単位面積当りの質量45g/m)を、第1の一組の糸と共に有することも考えられる。上記第5の一組の糸は第1の一組の糸の頂点に置かれ、上記第5の一組の糸は第1の一組の糸に交叉して配列される。この場合の第5と第1の一組の糸は第1層を形成する。さらに、第2層は第6の一組の糸(トワロン(Twaron、登録商標)タイプ2000、1100dtex、f1000、単位面積当りの質量45g/m)を、第2の一組の糸と共に有することができる。この第6の一組の糸は第2の一組の糸の頂点に置かれる。第6の一組の糸はそれによって第2の一組の糸に交叉して並びそれらと共に一緒になって層を形成する。両方の場合、第2層は第2糸方向が第1糸方向に対し約90°の角度をなすように、貫通阻害材料内に配列される。相当する組の糸を用いた第1層と第2層は、マトリックス材料を介して互に結合される。この実施態様でこのように形成された第1成分はさらに、外側の層上にフィルムを有する。このようにして製造された第1成分は、例えばテイジンアラミドのトワロン(Twaron、登録商標)LFT GF4から製造される。第3層は第3糸方向が第1糸方向に対し約±45°の角度となるように、貫通阻害材料内に配列される。第4層は第4糸方向が第1方向に対し約−45°の角度となるように貫通阻害材料内に配置される。
【0025】
1つの貫通阻害性パッケージ中に、それぞれの場合、第1と第2成分から作られた本発明の貫通阻害材料の複数のユニットが用いられることが理解される。さらに、付加的層がこの種のパッケージ中に提供されうる。例えば、貫通阻害性パッケージは、例えば第1成分の構造のために用いられうる、複数の織られた層、および複数の第1と第2成分からなることができる。第1と第2成分の配列が交互のパターンで存在すること、すなわち最初は第1成分、第2成分の組合せ、次いで第2成分、第1成分の組合せが互の頂点に配置されることも考えられることである。ここで、組合せの第1と第2成分はそれぞれ互に結合されている。
この貫通阻害材料は例えば防護チョッキ、ヘルメットあるいは貫通阻止板に用いられる。
本発明が図面と実施例によりさらに詳しく以下に記載される。
【0026】
図1は貫通阻害材料の第1態様の拡大図を概略的に示している。この材料は第1態様において第1層1、第2層2、第3層3および第4層4からなる。第1と第2の層1、2は熱可塑性フィルム10と一緒になって、貫通阻害材料の第1成分を形成する。第3と第4の層3、4は熱可塑性フィルム8、第1織布結合手段および安定化糸と一緒になって、貫通阻害材料の第2成分を形成する。図1の実施例1において、第1層1と第2層2は織布からなる。織構造の部分領域Aは図3に拡大して示されている。第3層3と第4層4は、それらの層内で互に一方向に平行に配列された糸または繊維からなる。すなわち、第3層3は糸層でありそして第4層4も糸層である。第3と第4層3、4は第1織布結合手段(図示されていない)によって互に結合されている。この態様においてさらに付加的第4結合手段8が用いられている。この態様における第4結合手段8は熱可塑性フィルム8である。第1と第2層1、2とを結合するために、第2結合手段10が用いられている。この態様における第2結合手段10は熱可塑性フィルム10である。貫通阻害材料における第1成分と第2成分は第3結合手段9によって互に結合される。第3結合手段9は例えば熱可塑性フィルム(例えば全面接触のため)あるいは接着性格子(不連続接触のため)であることができる。さらに、外層7、11は第1層1と第4層4の外側に設けることができる。それぞれの外層7、11は、例えば熱可塑性フィルムである。
【0027】
図2は貫通阻害材料の第2態様の拡大図を概略的に示している。第2態様は、第1と第2層1、2として織布が用いられていない点で、第1態様と相違する。第1層1は第1の一組の糸12(図2には番号が示されていない)によって形成されそして第2層2は第2の一組の糸13(図2には番号が示されていない)によって形成されている。ここで、第1と第2の組の糸12、13は繊維または糸で形成されている。第1と第2層1、2の繊維または糸は各層内で平行にそして互に一方向に走っている。図2の貫通阻害材料について第3層3と第4層4は図1の態様におけると同じに構成されている。同様に、第4、第2および第3結合手段8、10、9として熱可塑性フィルムを使用することは外層11と7も同様に、図2の態様においても可能である。図1の態様におけると同様に図2の態様においても、貫通阻害材料は複数の第1層1、第2層2、第3層3および/または第4層4を有することができる。複数の同じ層が、貫通阻害材料中に互に引き続いて直接配列されることができる。
【0028】
図3は図1からの拡大された部分領域Aを示している。部分領域Aは第1層1を形成する織布の部分領域を示している。織られた層(すなわち第1層1)は第1の一組の糸12と第5の一組の糸からなり、これらは互に織られている。第1の一組の糸12は織布の縦糸を表している。この縦糸は例えば高強度アラミドから作られた糸または繊維から作られている。第5の一組の糸16は織布の横糸を表わしている。例えばトレビラ(Trevira、登録商標)の如きポリエステルが第5の一組の糸16の材料として用いることができる。本発明の好ましい実施態様において、第2層2は同様に織布から構成される、ここで、この織布は、好ましくは第2の一組の糸13(図4に示されている)のような横方向の高強度アラミドで作られた糸または繊維を有している。第2層2は好ましくは縦方向のポリエステル繊維を有している。
【0029】
図4は、複数の異なる層からの複数の糸組の糸方向が互に関連しうることを概略的に示している。第1層1における第1の一組の糸12は垂直第1糸方向(0°)を持つ。第2層2における第2の一組の糸13は、第1糸方向に本質的に直角方向である(90°)べき第2の糸方向を持つ。第3の一組の糸14は第3層を形成し、第3の一組の糸は、第3の糸方向に配列している。この第3の糸方向は第1糸方向と第2糸方向に対し第1角度17にある。この第1角度17は好ましくは45°である。第4層は第4糸方向を備えた第4の一組の糸15を持つ。第4糸方向は、好ましくは、第1糸方向および第2糸方向と共に第2角度18を形成する。第2角度18は好ましくは−45°である。第3糸方向と第4糸方向は、好ましくはお互と共に、第3角度16を形成する。第3角度16は好ましくは90°である。
【0030】
上記角度の前の記号はそれらを区別するのに役立つだけであることが理解されるべきである。第1の一組の糸12と第3の一組の糸14との間に形成される角度と、第2の一組の糸13と第3の一組の糸14との間に形成される角度は、それぞれ、同じ大きさを持つ。それ故、第1角度17の1つのみが検討されている。同様に、第1の一組の糸12と第4の一組の糸15との間に形成される角度と第2の一組の糸13と第4の一組の糸15との間に形成される角度は同じ大きさを持つ。その理由のため、第2角度18の1つのみが検討されている。
【0031】
第2の一組の糸13は、第4の一組の糸15とともにさらなる角度19を含むことも同様に明確であるべきである。同様に、第1の一組の糸12は第4の一組の糸15とともにさらなる角度を含む。ここでは、2つの角度の大きさは同様に同じである。その理由のために、さらなる角度19の1つのみが検討される必要がある。このさらなる角度に関し、第1の一組の糸12と第3の一組の糸14との間のさらなる可能な角度と、第2の一組の糸13と第3の一組の糸14との間のさらなる可能な角度とに対し同様のことが云える。
【実施例】
【0032】
実施例1
実施例1のために、3種の異なるパッケージタイプが、357マグナム(レミントン158gr)弾丸を用いて、各場合10mの距離から射撃された。2つのパッケージが各パッケージタイプについて形成され、そしてそれぞれが8回射撃された。弾丸速度V2.5(2つの光障壁間の推進速度、2つの光障壁の中心が銃口から2.5mであった)は全ての発射について435m/sであった。砲撃テストのために、PEフォーム層が、衝突側から離れて面する、パッケージの側に配置された。PEフォーム層は3mm厚で、単位面積当りの質量が100g/mであった。40cm×40cmのウェイブルプラスチシン(Weible plasticine)ブロックが各パッケージの背後に、フォーム層と一緒に、衝突側から離れて面して配置された。射撃後のプラスチシンブロックのへこみ深さが測定されトラウマを決定する。表1は各パッケージについて8回の射撃のそれぞれの後に生じたへこみ深さの平均値を記載している。
【0033】
パッケージタイプ1
パッケージタイプ1の各パッケージは9個のユニットから形成された。各ユニットは次のように構成されている。
・厚み11μmのポリエチレンフィルム(LDPE)製熱可塑性フィルム
・第1織り層(トワロン(Twaron、登録商標)糸の0°方向)
・熱可塑性フィルム(ポリエチレンフィルム(LDPE)、厚み11μm)
・第2織り層(第1織り層のトワロン(Twaron、登録商標)糸の0°方向に対して90°方向のトワロン(Twaron、登録商標)糸)
・熱可塑性フィルム(ポリエチレンフィルム(LDPE)、厚み11μm)
・第1糸層(第1織り層のトワロン(Twaron、登録商標)糸の0°方向に対して+45°方向のトワロン(Twaron、登録商標)糸)
・熱可塑性フィルム(ポリエチレンフィルム(LDPE)、厚み11μm)
・第2糸層(第1織り層のトワロン(Twaron、登録商標)糸の0°方向に対して−45°方向のトワロン(Twaron、登録商標)糸)
・熱可塑性フィルム(ポリエチレンフィルム(LDPE)、厚み11μm)
それぞれの織り層はトワロン(Twaron、登録商標)糸(タイプ2040、930dtex、f1000)およびトレビラ(Trevira(登録商標))糸(710、140dtex、ヘキスト社)から織成された。これらの織り層は1/1平織であった。第1織り層ではトワロン(Twaron、登録商標)糸は縦方向に並び(9.5本/cm)そしてトレビラ(Trevira、登録商標)糸(2本/cm)が横方向に並んでいる。第2織り層では、トレビラ(Trevira、登録商標)糸(4本/cm)が縦方向に並びそしてトワロン(Twaron、登録商標)糸(9.5本/cm)が横方向に並んでいる。第1と第2の織り層は互に対して配列されており、2つの織り層のトワロン(Twaron、登録商標)糸が互に対し90°の角度を形成している。第1の織り層、第2の織り層およびこれらの2つの織り層間の熱可塑性フィルムは一緒になって第1成分を形成する。
【0034】
2つの糸層のそれぞれは一方向に且つお互に対して平行に配列されたトワロン(Twaron、登録商標)糸(タイプ2040、930dtex、f1000、各層の単位面積当りの質量 96g/m)からなる。2つの糸層は、各糸層のそれぞれのトワロン(Twaron、登録商標)糸が90°の角度を形成するように第1パッケージタイプのパッケージ中に配置されている。2つの糸層とこれらの2つの層間の熱可塑性フィルムは編み糸によって結合された。織られたポリエステル糸(76dtex、f24)が編み糸として用いられた。さらに2つの糸層が安定化糸(0.1本/cm)によって安定化された。安定化糸は第1織り層(0°方向)のトワロン(Twaron、登録商標)糸に平行に走りそしてお互の間の距離が約10cmである。トワロン(Twaron、登録商標)糸(タイプ2040、930dtex、f1000)が安定化糸として用いられた。これらの2つの糸層は2つの糸層のトワロン(Twaron、登録商標)糸がこれらの織り層のトワロン(Twaron、登録商標)糸と共に±45°の角度を形成するようにパッケージタイプ1のパッケージ中に配置された。これらの2つの糸層、これらの糸層の間の熱可塑性フィルム、編み糸および安定化糸は第2成分を形成する。
【0035】
9個のユニットが、お互に頂点で積み重ねられ、各ユニットは分離紙で次のユニットと分離された。9個のユニットが次いで25バールの圧力で120℃で25分間静的プレスで加圧され、そして最後にプレス上のヒーターがスイッチを切断された。分離紙はユニット同士が互に結合されるのを防止する。
加圧されたユニットはお互に頂点で積み重ねられてパッケージタイプ1のパッケージを形成し、その結果第1層のトワロン(Twaron、登録商標)糸は0°方向に並んでいた。パッケージタイプ1の各パッケージについて9個のユニットを結合するため、9個の全てのユニットがかど領域で一緒に縫われた。トワロン(Twaron、登録商標)(タイプ2000、840dtex、f4000、z160)が縫糸として用いられた。
【0036】
パッケージタイプ2(比較例2)
パッケージタイプ2の各パッケージが18個の第2成分と付加的ポリエチレンフィルム(LDPE、厚み11μm)から形成された。ポリエチレンフィルムは用いられるべき各第2成分の頂点と下に置かれ、個々の第2成分(ポリエチレンフィルムと共に)は互いに分離紙で同様に分離された。パッケージのために全ての第2成分は付加的ポリエチレンフィルムと共に25バールの圧力で120℃で25分間静的プレスで加圧され、そして最後にプレス上のヒーターのスイッチが切断された。分離紙は第2成分同士が互に結合されることを防いだ。かくして作られた加圧された材料の18個のパーツは互に頂点で積み重ねられ、パッケージタイプ2の各パッケージを形成し、その結果、隣接層の糸の組がお互に約90°の角度を形成していた。互の頂点で配置された18個の層はかど領域で一緒に縫われた。トワロン(Twaron、登録商標)(タイプ2000、840dtex、f1000、z160)が縫い糸として用いられた。
【0037】
パッケージタイプ3(比較例)
パッケージタイプ3の各パッケージは18個の第1成分から形成された。付加的ポリエチレンフィルム(LDPE、厚み11μm)が第1成分のそれぞれの頂点上と下とに配置された。パッケージタイプ3のパッケージのための全ての第1成分は付加的ポリエチレンフィルム(構造)と共に、お互の頂点で積み重ねられた。ここで、個々の構造は分離紙によって互に分離された。加圧は25バールの圧力で120℃で25分間静的プレスで行われ、最後にプレス上のヒーターのスイッチが切断された。パッケージ3のパッケージのために、18個の構造体が互の頂点で配置され、その結果それぞれの場合第1層のトワロン(Twaron、登録商標)糸は0°方向に配列された。パッケージタイプ3の2つのパッケージを作るために、18個の全ての構造体がかど領域で縫い合わされた。トワロン(Twaron、登録商標)(タイプ2000、840dtex、f1000、z160)が縫い糸として用いられた。
【0038】
【表1】

【0039】
表1からわかるように、本発明の貫通阻害材料製の第1パッケージタイプは比較例2、3のパッケージタイプと比較して著しく低いトラウマ(地変形)を有する。トラウマは、パッケージタイプ2、3のパッケージと比較して第1パッケージタイプのパッケージと同じ数の糸層とほぼ同じパッケージ重量を用いて約30%驚くべきことに減少できる。異なる複数の糸層を備えた2成分の組合せに基づくこの種の改善の達成は驚くべきことであり予測できないことである。パッケージタイプ1の付加的利点はパッケージタイプ1のパッケージの製造中に殆んど無駄がでないことにある。仮に、パッケージタイプ1のパッケージが1成分のみを用いて製造されるなら、第1と第2成分は貫通阻害材料における4つの糸の組合せの同じ糸方向を達成するために約45°だけ回転されねばならず、それによって可成りの生産廃棄物が不必要に生じる。
【0040】
実施例2
実施例2のために、それぞれが1つのパッケージを含む2つのパッケージタイプ(パッケージタイプ4とパッケージタイプ5)がNIJ基準0101.04(クラスIIIA)による、44マグナムJHP弾丸(レミントン 240gr)を用いて5mの距離で各ケースに6回射撃された。3mm厚PEフォーム層が各パッケージの背後に配置された。ロマ(Roma)プラスチシンブロックが地変形(トラウマ)を決定するためにパッケージとフォーム層の背後に(すなわち衝撃側から離れた面側に)配置された。プラスチシンブロックのへこみ深さが測定され、トラウマを決定した。弾丸速度も測定され、表2に記載されている。
【0041】
パッケージタイプ4(比較例)
パッケージタイプ4のパッケージが22個の第1成分から形成された。そこで、ポリエチレンフィルム(LDPE、厚み11μm)が第1成分のそれぞれの頂部と下に置かれた。このようにして作成された22の構造体は互に頂部で積み重ねられた。個々の構造体(2枚の熱可塑性フィルムの間の成分1)は分離紙により互に分離された。この構造体は次いで25バールの圧力で120℃で25分間静的プレスで加圧され、そして最後にプレス上のヒーターのスイッチが切断された。分離紙は22の構造体が互に結合されるのをフィルムによって防止した。加圧後、構造体は、隣接する層のトワロン(Twaron、登録商標)糸が互に約90°の角度を持つように、互に頂部で配置された。最後に、これらの構造体はかど領域で一緒に縫われてパッケージタイプ4のパッケージを形成した。トワロン(Twaron、登録商標)(タイプ2000、840dtex、f1000、z160)が縫い糸として用いられた。第4パッケージタイプの単位面積当りの質量は約4900g/mであった。
【0042】
パッケージタイプ5(比較例)
パッケージタイプ5のパッケージは11個のエレメントから形成された。各エレメントは2つの第1成分を付加的中間にある熱可塑性フィルムとともに有している。11個のエレメントのそれぞれは次のように構成されている。
・厚み11μmのポリエチレンフィルム(LDPE)製の熱可塑性フィルム
・第1織り層(トワロン(Twaron、登録商標)糸の0°方向、トレビラ(Trevira、登録商標)糸は横方向に配列している)
・熱可塑性フィルム(ポリエチレンフィルム(LDPE)、厚み11μm)
・第2織り層(第1織り層のトワロン(Twaron、登録商標)糸の0°方向に対するトワロン(Twaron、登録商標)糸の90°方向)
・熱可塑性フィルム(ポリエチレンフィルム(LDPE)、厚み11μm)
・第1織り層(トワロン(Twaron、登録商標)糸の0°方向)
・熱可塑性フィルム(ポリエチレンフィルム(LDPE)、厚み11μm)
・第2織り層(第1織り層のトワロン(Twaron、登録商標)糸の0°方向に対するトワロン(Twaron、登録商標)糸の90°方向)
・熱可塑性フィルム(ポリエチレンフィルム(LDPE)、厚み11μm)
11個のエレメントは互の頂点で積み重ねられ、各エレメントは隣接するエレメントからなる分離紙により分離された。次いで、これらのエレメントは25バールの圧力で120℃で25分間静的プレスで加圧され、最後にプレス上のヒーターのスイッチが切断された。続いて、加圧されたエレメントは互に頂点で積み重ねられ、かど領域で一緒に縫い合された。隣接する複数のエレメントの複数の層におけるトワロン(Twaron、登録商標)糸が互に90°の角度を有していた。トワロン(Twaron、登録商標)(タイプ2000、840dtex、f1000、z160)が縫い糸として用いられた。このパッケージの単位面積当りの質量は約4700g/mであった。
【0043】
【表2】

【0044】
パッケージタイプ4と5は、パッケージタイプ5では4個の織り層がそしてパッケージタイプ4では2個の織り層のみが熱可塑性フィルムによって全表面に亘って結合されているにもかかわらず、同じ数の織り層でほぼ同じトラウマ値とほぼ同じ単位面積当りの質量を持つことが表2から明らかである。
実施例1と実施例2の結果に基づいて、パッケージタイプ1の良好なトラウマ値は、4層を互に結合した結果ではなく、パッケージタイプ1内での複数層の選択と複数層の方向にその原因があることが明らかである。
【符号の説明】
【0045】
1 第1層
2 第2層
3 第3層
4 第4層
7 外層
8 第4結合手段
9 第3結合手段
10 第2結合手段
11 外層
12 第1の一組の糸
13 第2の一組の糸
14 第3の一組の糸
15 第4の一組の糸
16 第5の一組の糸
17 第1角度
18 第2角度
19 さらなる角度



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1成分と少なくとも1つの第2成分とを有する貫通阻害材料であって、第1成分は第1の一組の糸(12)を持つ少なくとも1つの第1層(1)と第2の一組の糸(13)を持つ第2層(2)を有し、第1の一組の糸(12)は第1糸方向に配列され、そして第2の一組の糸(13)は第2糸方向に配列され、第1の糸方向は第2の糸方向と交叉しており、第2成分は少なく1つの第3層(3)と第4層(4)を有し、第3層(3)は第3の一組の糸(14)を持つ糸層でありそして第4層(4)は第4の一組の糸(15)を持つ糸層であり、第3の一組の糸(14)は第3糸方向に配列されそして第4の一組の糸(15)は第4糸方向に配列され、第3糸方向は第1糸方向と第2糸方向とに対し第1角度(17)を形成しそして第4糸方向は第1糸方向と第2糸方向とに対し第2角度(18)を形成し、第3の一組の糸(14)と第4の一組の糸(15)とは少なくとも1つの第1結合手段を用いて互に結合されそして第1結合手段は織布結合手段である、上記貫通阻害材料。
【請求項2】
第1結合手段が少なくとも1本の糸である請求項1に記載の貫通阻害材料。
【請求項3】
第1の一組の糸(12)と第2の一組の糸(13)が第2結合手段(10)によって互に結合されている請求項1または2に記載の貫通阻害材料。
【請求項4】
第2結合手段(10)が少なくとも1本の糸および/または接着性物質である請求項3に記載の貫通阻害材料。
【請求項5】
第1成分と第2成分が第3結合手段(9)によって互に結合されている先行する請求項の1つまたはそれ以上に記載の貫通阻害材料。
【請求項6】
第3結合手段(9)が接着性物質である請求項5に記載の貫通阻害材料。
【請求項7】
第3の一組の糸(14)と第4の一組の糸(15)とが第4結合手段(8)によって結合されている先行する請求項の1つまたはそれ以上に記載の貫通阻害材料。
【請求項8】
第4結合手段(8)が接着性物質である請求項7に記載の貫通阻害材料。
【請求項9】
接着性物質が熱可塑性、弾性または熱硬化性物質である請求項4、6または8に記載の貫通阻害材料。
【請求項10】
少なくとも1本の糸がニッティング糸である請求項2または4に記載の貫通阻害材料。
【請求項11】
ニッティング糸がポリエステルからなる請求項10に記載の貫通阻害材料。
【請求項12】
第1層(1)が付加的第5の一組の糸(16)を有する先行する請求項の1つまたはそれ以上に記載の貫通阻害材料。
【請求項13】
第5の一組の糸(16)が第1の一組の糸(12)と一緒に織られている請求項12に記載の貫通阻害材料。
【請求項14】
第2層(2)が付加的第6の一組の糸を有する先行する請求項の1つまたはそれ以上に記載の貫通阻害材料。
【請求項15】
第6の一組の糸は第2の一組の糸(13)と一緒に織られている請求項14に記載の貫通阻害材料。
【請求項16】
第5の一組の糸(16)と第6の一組の糸はポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド、ポリアミド、ガラスおよびポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)から製造された繊維から選ばれる請求項12または14に記載の貫通阻害材料。
【請求項17】
第1の一組の糸(12)、第2の一組の糸(13)、第3の一組の糸(14)および第4の一組の糸(15)がアラミド、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)から製造された繊維から選ばれる先行する請求項の1つまたはそれ以上に記載の貫通阻害材料。
【請求項18】
第1の一組の糸(12)、第2の一組の糸(13)、第3の一組の糸(14)および第4の一組の糸(15)が200dtexよりも大きい線密度の糸を有しそして第5の一組の糸(16)と第6の一組の糸が50dtexよりも大きい線密度の糸を有する、先行する請求項の1つまたはそれ以上に記載の貫通阻害材料。
【請求項19】
第1の一組の糸(12)、第2の一組の糸(13)、第3の一組の糸(14)および第4の一組の糸(15)、第5の一組の糸(16)および第6の一組の糸が200dtexよりも大きい線密度の糸を有する、先行する請求項の1つまたはそれ以上に記載の貫通阻害材料。
【請求項20】
第5の一組の糸(16)が第5糸方向に配列している先行する請求項の1つに記載の貫通阻害材料。
【請求項21】
第5糸方向が第2糸方向に平行である請求項20に記載の貫通阻害材料。
【請求項22】
第6の一組の糸が第6糸方向に配列されている先行する請求項の1つに記載の貫通阻害材料。
【請求項23】
第6糸方向が第1糸方向に平行である請求項22に記載の貫通阻害材料。
【請求項24】
第1の一組の糸(12)、第2の一組の糸(13)、第3の一組の糸(14)および第4の一組の糸(15)がアラミド糸からなりそして第5の一組の糸(16)と第6の一組の糸がポリエステル糸からなる、先行する請求項の1つに記載の貫通阻害材料。
【請求項25】
第1角度が±30°〜±60°である、先行する請求項の1つに記載の貫通阻害材料。
【請求項26】
第2角度が±30°〜±60°である、先行する請求項の1つに記載の貫通阻害材料。


【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−508363(P2012−508363A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535087(P2011−535087)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064446
【国際公開番号】WO2010/052185
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(502036011)テイジン・アラミド・ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】