説明

貯湯式温水器

【課題】大容量の水を加熱して貯湯する貯湯式温水器で、浴槽や蛇口に給湯するものに関するもので、圧力が低く出湯量が少ないことにより使用感が悪いという課題に対し、端末からの湯水の圧力を高くして出湯する貯湯式温水器を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の貯湯式温水器は、減圧弁3へ給水する給水配管1途中から減圧弁3を介さずに湯水混合弁11へ接続する混合配管12を配設して、湯水混合弁11で貯湯タンク2に蓄えられた温水と減圧する前の水道水を混合することにより、湯水混合弁11で得られる温水は減圧する前の水道圧が加えられるようになり、端末からの概略構成を示す出湯圧を高くし出湯量を増量して使用感を向上させることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加熱して貯湯する貯湯式温水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯機は貯湯タンク上部に貯えられる湯水と減圧弁により減圧された水とを混合して出湯していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、特許文献1に記載された従来の貯湯式温水器を示すものである。図3に示すように、貯湯タンク21には水道水を供給する給水回路22と貯湯タンク21内の湯を給湯する給湯回路23が接続されている。そして、給水回路22により貯湯タンク21内に供給される水道水は第1減圧弁24または第2減圧弁25により減圧されたものである。また、貯湯式温水器より端末に出湯される湯水は、給湯回路23により貯湯タンク21の上部に貯えられる高温の湯水と第1減圧弁24で減圧された水道水とを混合したものである。
【特許文献1】特開平2−217752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、端末に出湯される湯水は、給湯回路23により貯湯タンク21の上部に貯えられる高温の湯水と第1減圧弁24で減圧された水道水とを混合してあり、減圧された状態で出湯されるため、圧力が低く出湯量が少ないことにより使用感が悪いという課題があった。
【0005】
特に、シャワーなどで使用される場合は、出湯圧が低く出湯量が少ないと、極めて使用感が悪く感じられるため、使用者は、蛇口(端末)側で手動により調節を行う方法、例えば設定温度を高くして貯湯式温水器より端末に出湯する温度を例えば60℃とし、これに減圧前の水道水を手動で調整して加え、使用者の感覚で出湯を行って、出湯圧を高くし出湯量を増量して使用感を向上させる使い方をされる場合もあった。この場合、調節を手動でして使用者の感覚で行うため、手間がかかる上に、毎回設定が変化し端末より出湯される温度が高かったり低くなってしまう場合があり、使用者の感覚通りの出湯感が得られることが難しいという心配もあった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、貯湯式温水器の設定操作により端末からの湯水の圧力を高くして出湯する貯湯式温水器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の混合給水管は減圧弁へ給水する給水管途中から減圧弁を介さずに湯水混合弁へ接続するものであり、これによって、貯湯タンクに蓄えられた温水に減圧する前の水道水を混合し湯水混合弁で得られる所定温度の温水の減圧を改善することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の貯湯式温水器は、減圧弁へ給水する給水管途中から減圧弁を介さずに湯水混合弁へ接続する混合給水管を配設して、湯水混合弁で貯湯タンクに蓄えられた温水と減圧する前の水道水を混合することにより、湯水混合弁で得られる温水は減圧する前の水道圧が加えられるようになり、端末からの出湯圧を高くし出湯量を増量して使用感を向上させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の貯湯式温水器は、加熱手段により加熱昇温された温水を貯める貯湯タンクと、前記貯湯タンクに水道水を供給する給水管と、前記給水管の途中に水道水の圧力を任意に設定可能な減圧弁と、前記給水管を経由して供給される水と前記貯湯タンクの温水とを混合して所定温度の温水を得る湯水混合弁を備え、前記給水管の途中から減圧弁を介さずに前記湯水混合弁へ接続する混合給水管を配設し、前記湯水混合弁は減圧する前の水道水と貯湯タンクの温水とを混合するように構成してある。
【0010】
そして、減圧弁へ給水する給水管途中から減圧弁を介さずに湯水混合弁へ接続する混合給水管を配設してあるので、湯水混合弁で貯湯タンクに蓄えられた温水と減圧する前の水道水を混合することにより、湯水混合弁で得られる温水は減圧する前の水道圧が加えられるようになり、端末からの出湯圧を高くし出湯量を増量して使用感を向上させることができるようになる。
【0011】
第2の発明は、特に第1の発明において、貯湯タンクからの温水を湯水混合弁へ供給する温水経路途中と混合給水管の途中とを連結するバイパス配管を配設したものである。
【0012】
そして、湯水混合弁は混合する温水と水道水の圧力差と流量差が大きすぎるとどうしても所定温度の温水を得るのが難しくなってしまう。例えば、湯水混合弁へ供給する貯湯タンクからの温水の温度を90℃圧力を1.5kg/cm2、湯水混合弁へ供給する減圧弁を介さずに減圧する前の水道水の温度を20℃圧力を4〜5kg/cm2として、湯水混合弁から出湯する温度を40℃とすると、貯湯タンクからの温水の温度差は50℃、水道水の温度差は20℃であるので、湯水混合弁へ供給する貯湯タンクからの温水は、減圧する前の水道水の2.5分の1の量となり、さらに圧力も3分の1であるため、差が大きく、どうしても湯水混合弁で安定した所定温度の温水が得られないという課題がある。しかしながら、減圧する前の水道水をバイパス配管で貯湯タンクからの温水を湯水混合弁へ供給する温水経路途中に連結してあるので、湯水混合弁で安定した所定温度の温水が得られやすくなる。例えば、湯水混合弁へ供給する貯湯タンクからの温水へ予めの減圧する前の水道水を約1/2から1倍の量を混合したとすると、湯水混合弁へ供給する温水の温度は約60℃、圧力も約2.8kg/cm2となり、湯水混合弁へ供給する温水は、減圧する前の水道水と等量でしかも圧力も近くなることとなり、湯水混合弁で安定した所定温度の温水が得られやすくなる。
【0013】
第3の発明は、特に第1の発明において、混合給水管あるいはバイパス配管経路途中のどちらか一方あるいは両方に冷水閉止電磁弁を配設したものである。
【0014】
そして、湯水混合弁に供給される温水と水道水は圧力が大きく異なるため、圧力の高い減圧する前の水道水が圧力の低い温水即ち貯湯タンク側へ流れ込んでしまう心配があるが、混合給水管あるいはバイパス配管経路途中のどちらか一方あるいは両方に冷水閉止電磁弁を配設してあるので、湯水混合弁から出湯しないときは冷水閉止電磁弁を閉止することで、圧力の高い水道水側の流れを停止することができるようになり、貯湯タンク側へ流れ込んでしまう心配がなくなる。
【0015】
第4の発明は、特に第1の発明において、貯湯タンクに蓄えられた温水を湯水混合弁へ接続する配管途中に温水閉止電磁弁を配設したものである。
【0016】
そして、貯湯タンクに蓄えられた温水を湯水混合弁へ接続する配管途中に温水閉止電磁弁を配設してあるので、湯水混合弁から出湯しないときは温水閉止電磁弁を閉止することで、圧力の低い温水側への流れ込みを防止することができるようになり、貯湯タンク側へ流れ込んでしまう心配がなくなる。
【0017】
さらに、何らかの理由で、微小流量が流れて、冷水閉止電磁弁が閉じた状態で放置されると、貯湯タンクに蓄えられた高温の温水が少しずつ流れ、端末の配管途中まで溜まり、つぎに使用した際に、その溜まった配管途中の高温の温水が流れ、火傷等の危険性を生じる心配あるが、温水閉止電磁弁を配設してあり、冷水閉止電磁弁と温水閉止電磁弁とを同時に作動させるようにすることでその心配も解消される。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における貯湯式温水器の概略構成を示す図、図2は制御ブロック図である。
【0020】
図1において、1は給水配管、2は給水配管1を底部に接続した貯湯タンクで、貯湯タンク2内に供給される水道水は、貯湯タンク2の耐圧等の貯湯式温水器の構造的規制のため、減圧弁3により減圧して貯湯タンク2へ給水されるようになっている。
【0021】
また、貯湯タンク2内の水は、タンクポンプ4で貯湯タンク2の下部より汲み上げられ、CO2冷媒等を用いたヒートポンプユニット5の配管回路の一部の加熱通路6と貯湯タンク2内の水が通るタンク伝熱通路7との組み合わせ体からなる水熱交換器8で加熱され、貯湯タンク2の上部へ循環されるようになっている。
【0022】
9は貯湯タンク2の上部に接続した出湯配管で、所定の場所、例えば台所や風呂の給湯口10等へ湯水混合弁11を介してつながっており、この給湯口10に出湯される湯水は、出湯配管9からの温水と減圧弁3へ給水する給水配管1途中から混合配管12で減圧弁3を介さずに供給される水道水とを混合して、所定の温度の温水として、給湯口10から出湯されるようになっている。
【0023】
また、貯湯タンク2からの温水を湯水混合弁11へ供給する出湯配管9の温水経路途中に、混合配管12の途中から減圧弁3を介さずに減圧する前の水道水をバイパス配管13で連結してあり、このバイパス配管13の上流側の接続部より上流に位置する部分の混合配管12には冷水閉止電磁弁14が設けてあり、不使用時に貯湯タンク2からの温水を湯水混合弁11へ供給する温水経路途中に減圧する前の水道水の圧力が加わらないようにしてある。さらに、バイパス配管13の下流側の接続部より上流に位置する部分の出湯配管9には温水閉止電磁弁15が設けてある。そして、当該出湯配管9から出湯するとそれに伴い給水配管11から貯湯タンク2内に水が給水されるようになっている。
【0024】
16は制御部で、操作部で入力された条件で、タンクポンプ4や冷水閉止電磁弁14や温水閉止電磁弁15そしてヒートポンプユニット5等を予め決められたシーケンスでコントロールするようになっている。
【0025】
上記した構成において、通常は、午後11時〜午前5時までの安価な深夜電力を使ってヒートポンプユニット5で大容量の水を加熱して貯湯タンク2に貯湯し、温水として台所や風呂の給湯口10等の給湯に利用するようになっていて、このとき、貯湯タンク2の下部から水をタンクポンプ4で汲み上げヒートポンプユニット5の配管回路の一部の加熱通路6と貯湯タンク2内の水が通るタンク伝熱通路7との組み合わせ体からなる水熱交換器8で加熱で加熱して、貯湯タンク2内では比重差から湯が上部、水が下部に分離した状態で溜まるように積層沸き上げを行うようになっている。
【0026】
この貯湯タンク2に蓄えられた高温水は、貯湯タンク2の上部に接続した出湯配管9に接続された所定の場所、例えば台所や風呂の給湯口10等から高温水として給湯に使用され、またその使用された分だけ給水配管1から貯湯タンク2内に水が給水されるようになっている。
【0027】
そして、減圧弁3へ給水する給水配管1途中から減圧弁3を介さずに湯水混合弁11へ接続する混合配管12を配設するとともに、貯湯タンク2からの温水を湯水混合弁11へ供給する温水経路途中に、減圧弁3へ給水する給水配管1途中から減圧弁3を介さずに減圧する前の水道水を連結するバイパス配管13を配設してあるので、湯水混合弁11で貯湯タンク2に蓄えられた温水と減圧する前の水道水を混合することにより、湯水混合弁11で得られる温水は減圧する前の水道圧が加えられるようになり、端末からの出湯圧を高くし出湯量を増量し、且つ、安定した所定温度の温水が得られて、使用感を向上させることができるようになる。
【0028】
ここで、湯水混合弁11は混合する温水と水道水の圧力差と流量差が大きすぎるとどうしても所定温度の温水を得るのが難しくなってしまう。例えば、湯水混合弁11へ供給する貯湯タンク2からの温水の温度を90℃、圧力を1.5kg/cm2、湯水混合弁11へ供給する減圧弁3を介さずに減圧する前の給水配管1より供給される水道水の温度を20℃、圧力を4〜5kg/cm2として、湯水混合弁11から出湯する温度を40℃とすると、貯湯タンク2からの温水の温度差は50℃、水道水の温度差は20℃であるので、湯水混合弁11へ供給する貯湯タンク2からの温水は、減圧する前の水道水の2.5分の1の量となり、さらに圧力も3分の1であるため、差が大きく、どうしても湯水混合弁11で安定した所定温度の温水が得られないという課題がある。しかしながら、減圧する前の水道水をバイパス配管13で貯湯タンク2からの温水を湯水混合弁11へ供給する温水経路途中に連結してあるので、湯水混合弁11で安定した所定温度の温水が得られやすくなる。例えば、湯水混合弁11へ供給する貯湯タンク2からの温水へ予めの減圧する前の水道水を約1/2から1倍の量を混合したとすると、湯水混合弁11へ供給する温水の温度は約60℃、圧力も約2.8kg/cm2となり、湯水混合弁11へ供給する温水は、減圧する前の水道水と等量でしかも圧力も近くなることとなり、湯水混合弁11で安定した所定温度の温水が得られやすくなる。
【0029】
また、湯水混合弁11に供給される温水と水道水は圧力が大きく異なるため、圧力の高い減圧する前の水道水が圧力の低い温水即ち貯湯タンク2側へ流れ込んでしまう心配があるが、混合配管12に冷水閉止電磁弁14を配設してあるので、湯水混合弁11から出湯しないときは冷水閉止電磁弁14を閉止することで、圧力の高い水道水側の流れを停止することができるようになり、貯湯タンク2側へ流れ込んでしまう心配がなくなる。
【0030】
さらに、貯湯タンク2に蓄えられた温水を湯水混合弁11へ接続する配管途中に温水閉止電磁弁15を配設してあるので、湯水混合弁11から出湯しないときは温水閉止電磁弁15を閉止することで、圧力の低い温水側への流れ込みを防止することができるようになり、貯湯タンク2側へ流れ込んでしまう心配がなくなる。
【0031】
そしてまた、何らかの理由で、微小流量が流れて、冷水閉止電磁弁14が閉じた状態で放置されると、貯湯タンク2に蓄えられた高温の温水が少しずつ流れ、端末の配管途中まで溜まり、つぎに使用した際に、その溜まった配管途中の高温の温水が流れ、火傷等の危険性を生じる心配があるが、温水閉止電磁弁15を配設してあり、冷水閉止電磁弁14と温水閉止電磁弁15とを同時に作動させるようにすることでその心配も解消される。
【0032】
なお、混合給水管を配設した構成とバイパス配管を配設した構成を同時に説明したがこれは個別に構成してもよく、その他各部の構成も本発明の目的を達成する範囲であれば、その構成はどのようなものであってよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明にかかる貯湯式温水器は、端末からの出湯圧を高くし出湯量を増量して使用感を向上させることができることが可能となるので、台所や風呂への給湯等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1における貯湯式温水器の概略構成を示す図
【図2】同貯湯式温水器の制御ブロック図
【図3】従来の実施例における貯湯式温水器の概略構成を示す図
【符号の説明】
【0035】
1 給水配管
2 貯湯タンク
3 減圧弁
11 湯水混合弁
12 混合配管
13 バイパス配管
14 冷水閉止電磁弁
15 温水閉止電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段により加熱昇温された温水を貯める貯湯タンクと、前記貯湯タンクに水道水を供給する給水管と、前記給水管の途中に水道水の圧力を任意に設定可能な減圧弁と、前記給水管を経由して供給される水と前記貯湯タンクの温水とを混合して所定温度の温水を得る湯水混合弁を備え、前記給水管の途中から減圧弁を介さずに前記湯水混合弁へ接続する混合給水管を配設し、前記湯水混合弁は減圧する前の水道水と貯湯タンクの温水とを混合するように構成した貯湯式温水器。
【請求項2】
貯湯タンクからの温水を湯水混合弁へ供給する温水経路の途中と、混合給水管の途中とを連結するバイパス配管を配設した請求項1記載の貯湯式温水器。
【請求項3】
混合給水管あるいはバイパス配管経路途中のどちらか一方あるいは両方に冷水閉止電磁弁を配設した請求項1〜2記載のいずれか1項記載の貯湯式温水器。
【請求項4】
貯湯タンクに蓄えられた温水を湯水混合弁へ接続する配管途中に温水閉止電磁弁を配設した請求項1〜3記載のいずれか1項記載の貯湯式温水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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