説明

貯湯式給湯装置

【課題】夏季に給湯管内の残留水が高温に加熱され、給湯として放出されることを防止する貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】貯湯タンク2底部に接続された給水管8と、貯湯タンク2上部に接続された先端に給湯栓4を備えた給湯管30と、該給湯管30の途中には貯湯タンク2からの高温水と給水管8からの給水とを混合して設定温度の給湯とする給湯混合弁28と、この給湯混合弁28による混合後の給湯温度を検知して該給湯混合弁28を制御する給湯管30に備えられた給湯温度センサ31とを備えたもので、前記給湯温度センサ31が給湯停止時に、給湯管30内の湯温が所定温度以上に上昇していることを検知することで、給湯混合弁28を水側100%開成状態とし、給湯管30の給湯栓4と給湯温度センサ31間に設けられた排水管45の電動弁46を開成することで、高温水が確実に排水され、常に安心して使用出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯タンクに貯湯された高温水を用いて給湯を行う貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、夏季など外気温度が高く且つ日射量も多く、給湯管内の残留湯水の温度が40℃〜50℃と高くなった時には、給湯管途中に設けられたタンクからの湯の割合を減らし、給湯管内の暖かくなった温水を給湯に使用するようにしたものであった。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−287285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、夏季の日射で高温に昇温した給湯管内の残留水を無駄にすることなく有効に利用されるものであるが、そのために加熱ヒータ付きの貯湯タンクを用意するのは、大掛かり過ぎて無駄であり、設備費も高価となる課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を解決するために、特にその構成を、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱して沸き上げる加熱手段と、貯湯タンク底部に接続された給水管と、貯湯タンク上部に接続された先端に給湯栓を備えた給湯管と、該給湯管の途中には貯湯タンクからの高温水と給水管からの給水とを混合して設定温度の給湯とする給湯混合弁と、この給湯混合弁による混合後の給湯温度を検知して該給湯混合弁を制御する給湯管に備えられた給湯温度センサとを備えたものに於いて、前記給湯温度センサが給湯停止時に、給湯管内の湯温が所定温度以上に上昇していることを検知することで、給湯混合弁を水側100%開成状態とし、給湯管の給湯栓と給湯温度センサ間に設けられた排水管の電動弁を開成するものである。
【0006】
又請求項2では、前記給湯混合弁及び電動弁は、該給湯温度センサが所定温度未満を検知することで閉成されるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、屋外に設置された器具本体が、夏季の日射を受けて給湯管内の残留水が高温状態となった場合には、これを運転停止時に給湯温度センサが検知することで、給湯混合弁の水側100%に開口させ、そして排水管の電動弁を開成すれば、給湯管内の高温の残留水は給湯混合弁からの給水に押され排水管から排水されるので、使用者が不用意に給湯しても高温の残留水の放出で火傷する心配はなく、常に安心して使用出来るものであり、又大掛かりな設備も不要で極めて安価に提供されるものである。
【0008】
又請求項2では、前記給湯混合弁及び電動弁は、該給湯温度センサが所定温度未満を検知することで、排水を終了させることにより、確実な高温水の排出が可能となり無駄もなく安心して使用出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態を示す貯湯式給湯装置の概略構成図。
【図2】同排水状態を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク2を備えた貯湯タンクユニットであり、3は貯湯タンク2内に貯湯された湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット、4は台所や洗面所等に設けられた給湯栓、5は前記貯湯式給湯装置を遠隔操作するリモコン、6は浴槽である。
【0011】
前記貯湯タンクユニット1内にある貯湯タンク2は、上端に高温水を出湯する出湯管7と、下端に水道水を給水する給水管8とが接続されている。また、貯湯タンク2下部からヒートポンプユニット3を配管で繋ぐヒーポン往き管9と、ヒートポンプユニット3から貯湯タンク2上部を配管で繋ぐヒーポン戻り管10とが接続されている。
【0012】
前記ヒートポンプユニット3内には、圧縮機11、凝縮器としての冷媒水熱交換器12、電子膨張弁13、強制空冷式の蒸発器14で構成されたヒートポンプサイクル15が設置されており、貯湯タンク2内の湯水を前記ヒーポン往き管9からヒートポンプユニット3へ搬送して、冷媒水熱交換器12で加熱されヒーポン戻り管10から貯湯タンク2へ搬送するヒーポン循環ポンプ16がヒーポン往き管9途中に設置されており、その駆動を制御するヒーポン制御部17が備えられており、外気温センサ18が凍結危険温度の外気温を検知した時には、ヒーポン制御部17は凍結防止運転を行わせるものである。
【0013】
19は前記浴槽6の湯水を加熱するためのステンレス製の蛇管よりなる風呂熱交換器であり、貯湯タンク2内の上部に配置されており、この風呂熱交換器19には風呂往き管20及び浴槽水を搬送するための風呂循環ポンプ21を備えた風呂戻り管22よりなる風呂循環回路23が接続され、浴槽6内の湯水が貯湯タンク2内の高温水によって加熱されて保温あるいは追い焚きが行われる。
【0014】
24は風呂戻り管22から風呂熱交換器19に流入する浴槽水の温度を検出する風呂戻り管温度センサであり、25は風呂熱交換器19から流出して風呂戻り管20から浴槽6へ流れ込む浴槽水の温度を検出する風呂往き管温度センサである。
【0015】
26は風呂戻り管22の風呂戻り管温度センサ24と風呂熱交換器19の間に設置された風呂三方弁であり、27は風呂三方弁26の弁開度を変えることで風呂往き管20の風呂往き温度センサ25と風呂熱交換器19の間の配管に湯水が流入するように接続された風呂循環バイパス管である。
【0016】
28は出湯管7で搬送されてきた高温水と給水管8から分岐した第1給水バイパス管29内の低温水を混合する給湯混合弁であり、その下流に接続された給湯管30に設けられた給湯サーミスタから成る給湯温度センサ31で検出した温度がリモコン5で使用者が設定した給湯設定温度になるよう弁開度を調節するものであり、32は給湯する湯水の流れを検知して給湯の有無を判断させる給湯フローセンサである。
【0017】
33は出湯管7から分岐されて風呂戻り管22に連通された湯張り管で、分岐部分の近傍には貯湯タンク2からの高温水と、第1給水バイパス管29から分岐した第2給水バイパス管34からの低温水とを混合して所定温度の湯張り温水とする風呂混合弁35が備えられ、又この湯張り管33には浴槽6への湯張り開始と停止を行う湯張り弁36と、浴槽6への湯張り量をカウントする風呂流量カウンタ37と、浴槽6内の湯水が出湯管7に逆流するのを防止する逆止弁38とが設けられており、貯湯タンク2内の高温水を浴槽6に直接差し湯して追い焚きを行う際にもこの湯張り管33を介して行われる。
【0018】
39は貯湯タンク2の上下方向に複数個配置された貯湯温度センサであり、貯湯タンク2の上方向から順に39a、39b、39c、39d、39eとし、この貯湯温度センサ39が検出する温度情報によって貯湯タンク2内の残熱量を検知し、そして貯湯タンク2の上下方向の温度分布を検知するものである。
【0019】
前記リモコン5には、給湯設定温度を設定する給湯温度設定スイッチ40と、風呂設定温度を設定する風呂温度設定スイッチ41とがそれぞれ設けられていると共に、浴槽6へ風呂設定温度の湯をリモコン5の湯張り量設定スイッチ(図示せず)で設定された湯張り量だけ湯張りする風呂自動スイッチ42と、浴槽水を追い焚きさせる追い焚きスイッチ43とが設けられている。
【0020】
44は貯湯タンクユニット1内に設置された各センサの入力を受け各アクチュエーターの駆動を制御すると共に、現在時刻を刻む時計機能も有したマイコンから成る制御部を構成する給湯制御部である。この給湯制御部44に前記リモコン5が無線もしくは有線によって接続され、使用者が所望の給湯設定温度及び風呂設定温度を設定可能としている。
【0021】
45は貯湯タンクユニット1内の給湯管30途中で最も給湯栓4寄りに設けられた排水管で、下端に備えられた電動弁46の開閉で給湯管30内の湯水の排水を行うもので、この排水は、給湯制御部44による現在時刻が午前7時〜午後18時の間の日中かを確認後、外気温センサ18が25℃以上を検知し、且つ給湯フローセンサ32が給湯使用を検知せず給湯停止時に、給湯管30が夏季の高温と日射で加熱され、管内の残留水が高温状態の所定温度以上になったことを給湯温度センサ31が検知すると、給湯制御部44を介して前回の混合状態で停止している給湯混合弁28を水側100%開成状態とし、電動弁46を開成状態にすることにより、給湯混合弁28の第1給水バイパス管29からの給水で、高温の残留水が押し出されて排水管45から排水され、そして給湯温度センサ31が給水温度に近い所定温度未満を検知することで、給湯混合弁28を元の開度に戻すと共に、電動弁46を閉成状態として排水を終了させるものである。
【0022】
47は貯湯タンク2内の圧力が所定値を超えた際に作動する過圧逃がし弁であり、出湯管7の先端に備えられ過圧で開弁して、過圧分の高温水を逃がし管48を介して排水して圧力を調整し閉弁するものであり、49は給湯管30の給湯温度センサ31と排水管45の接続部分との間に備えられた逆止弁である。
【0023】
次にこの一実施形態の作動を図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
今現在時刻が午前7:00に達すると給湯管30の残留水チエック運転がスタートし、ステップ50で外気温センサ18の検知温度が25℃以上かを給湯制御部44が判断し、NOではステップ51に進み現在時刻が午後18:00かを判断し、すでに夕方になっているのでは日射の心配がないので、YESとなりチエック運転を終了するものであり、YESではまだ夕方になっていないのでステップ50に戻り、外気温の上昇を検知するものである。
【0024】
そしてステップ50で外気温が25℃以上のなれば、YESでステップ52に進み先ず給湯フローセンサ32がOFF状態で給湯停止されているかを判断し、給湯中ではNOでステップ50に戻るものであり、給湯停止中では次に給湯温度センサ31による検知温度が、所定温度以上であるリモコン5の給湯設定温度+5℃以上かを判断し、NOではステップ50に戻り、YESではステップ53に進み給湯制御部44が給湯混合弁28の弁開度を水側100%開成状態にすると共に、電動弁46を開成させることにより、夏季の気温上昇と日射で給湯管30内の給湯後の残留水が高温に加熱され、給湯設定温度より5℃高くなった高温水を、給湯混合弁28からの給水圧で排水管45から排水して、不用意な高温水の給湯で火傷したり、設定温度の給湯とのオーバーシュートが大きくなって使用勝手が悪いなどの不具合を解消出来るものである。
【0025】
更に高温水の排水後は、ステップ54に進んで再び給湯温度センサ31の検知温度が、所定温度未満である給湯設定温度−3℃未満になるのを検知して、ステップ55に進んで給湯混合弁28を元の開度に戻すと共に、電動弁46を閉成して排水を停止させてから、ステップ50に戻って午後18:00まで次の高温状態の監視を継続するものである。
【0026】
このように、給湯管30内の給湯後の残留水が高温となった時には、給水圧を利用して確実に排水することが出来、火傷や大きなオーバーシュートの不具合を未然に防止するものであり、又所定温度をリモコン5の給湯設定温度を基準にして設定していることで、使用者自身が設定し予測している温度であるから、その使用者の日常使用中での高温と低温が設定され、より安心して使用することが出来るものである。
【符号の説明】
【0027】
1 貯湯タンクユニット
2 貯湯タンク
3 ヒートポンプユニット(加熱手段)
4 給湯栓
8 給水管
28 給湯混合弁
30 給湯管
31 給湯温度センサ
32 給湯フローセンサ
45 排水管
46 電動弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱して沸き上げる加熱手段と、貯湯タンク底部に接続された給水管と、貯湯タンク上部に接続された先端に給湯栓を備えた給湯管と、該給湯管の途中には貯湯タンクからの高温水と給水管からの給水とを混合して設定温度の給湯とする給湯混合弁と、この給湯混合弁による混合後の給湯温度を検知して該給湯混合弁を制御する給湯管に備えられた給湯温度センサとを備えたものに於いて、前記給湯温度センサが給湯停止時に、給湯管内の湯温が所定温度以上に上昇していることを検知することで、給湯混合弁を水側100%開成状態とし、給湯管の給湯栓と給湯温度センサ間に設けられた排水管の電動弁を開成する事を特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記給湯混合弁及び電動弁は、該給湯温度センサが所定温度未満を検知することで閉成される事を特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−144940(P2011−144940A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3538(P2010−3538)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】