説明

貯蔵安定な低温加工された食品組成物およびその調製方法

【課題】低減された酸味を有する、非常に低pHの、貯蔵安定な、低温殺菌されていない食品組成物およびその調製方法の提供。
【解決手段】膜酸性電気透析された組成物(ED)、および/または食用に適する無機酸、および/またはそれらの金属酸塩の添加により食料品を酸性化して、pH3.5以下、具体的にはpH3.2以下のような非常に低いpH値を提供することによって、低温殺菌または他の熱処理を受けることなく調製され、ここで有機酸総含有量は、食品組成物の1000グラム当たり0.22モル以下であって、不愉快な酸味またはその他の点で悪影響を与える感覚刺激的特性を導入することがないにもかかわらず貯蔵安定性を高めるのに有効な、食品組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵安定な食品組成物、およびそれらの調製方法を対象とする。具体的には、食品組成物は、熱処理を受けることなしに、電気透析された組成物および/または食用に適する無機酸またはそれらの酸塩を、向上した貯蔵安定性および口当たりのよい低減された酸味を有する非常に低pHの食品組成物を提供するために有効な量で用いて、調製される。好ましくは、本発明の食品組成物は、有機酸を実質的に含まず、およびそれらは任意選択的に低ナトリウム塩の形式で調製されてもよい。
【背景技術】
【0002】
食品製造業者は、理想的に、感覚刺激的にも快くおよび十分に貯蔵安定的でもある完成食品製品を生産する。一般的に、食品保存は、これまで、例えば、酸味付与、熱処理、化学保存料、流体静力学的な処理、冷蔵およびそれらの組み合わせによって広く取り組まれてきた。多くの場合に直面する課題は、食品の望ましい官能属性、および従って商業価値を低減させることなく、貯蔵寿命を改善させることである。
【0003】
食品製造業者は、概して、細菌、酵母、および菌類のような広範囲の微生物を制御するための相乗的な保存として知られる技術に精通している。相乗的な保存は、配合物成分の相互作用的な抗菌効果に基づく。これらの効果は、配合物のpHおよび水の活量(aw)に加えて、配合物中に使用される酸(類)および塩(類)のタイプおよびパーセントによって決定される。また、例えば、エマルション形式または分散物形式の、多くの注ぐことができるサラダドレッシングは、ソルビン酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、および/またはソルビン酸カリウムのような抗真菌性の保存料を含み、貯蔵寿命を延長させる。加えて、冷蔵は、低温に敏感である微生物に対する、知られている静菌効果を有する。多くの変数に対する注意および多くの変数の協調を必要としない、食品保存のためのより単純な技術が望ましい。
【0004】
食品加工は、多くの場合、所望される製品安定性を得るためにpH調整を必要とする。酢酸または乳酸のような食品酸味料の直接の添加は、必然的に、そのような酸性化された食品の味に著しい(多くの場合に否定的な)変化をもたらす。また、低pH製品は、望ましくない沈殿物をもたらし、これは、食品の感覚刺激的特質を損ないおよびさらなる処理加工をより困難にする可能性がある。例えば、ミルクおよび/またはチーズのような乳製品を含有する食品組成物に関して、貯蔵安定な製品を提供するために有機酸を用いる酸性化の使用は、
(1)粒状の質感、乳化破壊等をもたらすカゼインの等電沈殿、および
(2)最も重要なことには、不愉快な酸っぱさまたは「酸性の刺激」の意味で同様に言及されてもよい不愉快な酸味
を含む可能性がある問題をもたらす。
【0005】
低pH(高酸性度)の食品製品の酸味強度すなわち酸性の刺激は、多量の直接の飲食に関して、食品製品をあまり魅力的でなくする(例えば、レモンジュース)。知覚される酸味強度は、概して、慣用の酸味料(例えば、酢酸、乳酸、クエン酸)で酸性化された酸性食品製品のpHに反比例する。また、いくつかの高酸性食品は、強烈な酸味に対抗するために濃厚に甘味付けされる(例えば、レモネード)。他のものは、高い脂肪含有率および/または高い塩含有率で配合される。いくつかの場合では、それらの酸性化された製品は、冷蔵条件下でのみ安定である。例えば、非常に低pH(例えば<3.5)の、ランチドレッシング、クリーミーキューカンバードレッシングおよびバターミルク風味のドレッシングなどのような、より低刺激性のまたは乳製品に基づくサラダドレッシングにおいて、伝統的な酢酸保存方式によって与えられる酸っぱい風味は、感覚刺激的観点からあまり望ましくない製品を提供する。なぜなら、与えられる酸性の刺激は、多くの消費者にとって不愉快である可能性があるからである。低刺激性または乳製品に基づくサラダドレッシングに対して与えられる酸味は、これらの乳製品に基づく製品の高い緩衝能力に部分的に起因して、低カロリーの配合物において、さらに決定的に重要な意味を持つ。
【0006】
低カロリーのサラダドレッシング、および他の低カロリーの食品製品は、それらの全カロリーの対応物と同様の構成要素を有する可能性がある。しかしながら、典型的には、全カロリー配合物の油の全部または一部の、より高い含水率での置き換えによって、カロリー量を低減させる。この置き換えは、全体的なカロリーを低減させるだけではなく、ドレッシングの味を変化させる、および/または微生物の安定性を含むという所望されない副作用を有する傾向がある。低カロリーの食品製品配合物における高い水分レベルは、微生物学的な活動の潜在性を増大させるため、そのような高水分、低カロリーの配合物において採用される微生物学的な安定化方式に関する要求も、同様に増大している。しかしながら、示されるように、食品配合物の酸含有量を高めてこれらの微生物学的な安定性の要求に応じることは、他の問題を生み出す;例えば、そのような調整は、配合物の酸っぱさおよび風味に、著しい影響を与える。特許文献1は、酸の標準的または高い合計レベルでの、慣用の酸安定化システム(100%酢酸または乳酸のようなもの)の完全な置き換えとして、少なくとも2つの食用に適する酸からなる保存システムを有する、低減された酸っぱさのサラダドレッシングであるといわれるものを開示する(特許文献1参照)。食用に適する酸を、1つまたは複数の食用に適する塩を使用して高いpHへと緩衝して、酸っぱさを低減させる。また、砂糖の使用は酸っぱさの低減を増進させることが説明されている。そのような取り組みは、酸っぱさを低減させるのに役立つ可能性があるが、しかし、多くの場合、高い製品pHおよび砂糖含有量は、それぞれ、酸性化された製品の微生物学的な安定性の低下およびカロリー量の増加に所望されない関係を有する。特許文献2は、デンプン成分および抗菌性の量の部分的にまたは完全に加水分解されたグルコノデルタラクトンを含む、最小限の不愉快な酸性の刺激を有するように表されるマヨネーズまたはドレッシング組成物を説明し、ここで、部分的にまたは完全に加水分解されたグルコノデルタラクトンは、約1重量%に至るまでの濃度で存在し、結果として得られる組成物は、約3.5以下のpHを有する(特許文献2参照)。上述の米国特許に記載されるような特定の食品酸(類)の選択および使用は、低pHの食品製品において軽微な酸味低減を提供することができる。しかしながら、そのような利点は、非常に低pHの食品製品、具体的には、それらは低い脂肪分(すなわち高い含水率)を有するものにおいて重要ではなくなる。加えて、これらの製品の微生物学的な安定性は、高い塩含有率および/または高い脂肪含有率の使用によってのみ維持され得る。高い脂肪含有率または甘味なしに低ナトリウム製品を配合するためには、一般的に、より低いpHが必要とされる。結果としてもたらされる、非常に低い製品pH(例えば<3.2)を実現するための酢酸、乳酸およびグルコノデルタラクトンのような慣用の酸味料の使用レベルの増加は、典型的には、不快な強い酸味をもたらす。より高いpHで、酸味の少ない許容可能な製品を配合してもよいが、これらの製品は、概して、低い塩含有率および周囲温度において微生物学的に安定的でなく、従って費用の掛かる冷蔵流通を使用しなければならない。特許文献3は、3.75未満のpHで周囲安定的でありおよび酸っぱくない、貯蔵安定な、絞ることのできるチーズコンディメントを説明する(特許文献3参照)。チーズコンディメントは、水中油エマルションおよびエマルション形成前に添加されるチーズ成分を含有する。使用される酸味料は、酢酸、塩酸、リンゴ酸、グルコノデルタラクトン、乳酸、リン酸またはそれらの混合物である。脂肪分を低減させるために、特許文献4は、微生物学的に安定的である水/油/水エマルションを説明する。貯蔵安定性は、周囲温度で被覆または密封された状態に保たれるとき、少なくとも約9ヶ月間にわたる「カビ成長なし」および「風味損失なし」によって定義される。現実的な製造および/または使用条件下での微生物学的な安定性を実証または保証するための、(腐敗細菌、酵母およびカビの接種による)チャレンジ試験を行わなかった。
【0007】
また、食品製品は、著しく熱的に加工されて(例えば、低温殺菌されて、またはレトルトのようなより極端な熱処理を受けて)貯蔵安定性を提供している。潜在的に、熱加工は、製造を複雑化し、栄養価を低下させ、および製造費用を増大させる。加えて、熱感受性の食品製品は特に、それらの望ましい官能属性、例えば、味、食感、質感、着色料、においまたはそれらの欠如などを犠牲にすることなしには、食料品を安定化させるために使用される低温殺菌または他の著しい熱処理を許容しない可能性がある。例えば、一部のサラダドレッシング、ディップ、スプレッド、ソースのような乳製品(例えば、ミルク、チーズ、バター、クリーム、乳タンパク質等)を含有する特定の広く使用される甘味付けされていない食品がこの範疇に入る。なぜなら、それらの著しい熱処理によって、望ましくない風味および/または食感あるいは低減された望ましい風味および/または食感等がもたらされるからである。
【0008】
望ましくない酸っぱい異味がなく、貯蔵安定な、酸性化された食品組成物(特に熱感受性のタイプ)の調製のために、低温殺菌処理および/または甘味料、脂肪、ナトリウム塩、または他の保存剤の高い添加比率を必要としない新規かつ単純な方法が所望される。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,927,657号明細書
【特許文献2】米国特許第5,683,737号明細書(Ericksonら)
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0170747A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0101613A1号明細書
【非特許文献1】S. Rantakokko, S. Mustonen, M. Yritys, and T. Vartiainen, "Ion Chromatographic method for the Determination of Selected Inorganic Anions and Organic Acids from Raw and Drinking Waters Using Suppressor Current Switching to Reduce The Background Noise," Journal of Liquid Chromatography and Related Technology (2004); 27, 821-842
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、概して、低温殺菌処理を受けることなしに食品組成物を調製するための方法を対象とし、その中で、食品組成物は、膜酸性電気透析された組成物(ED)および/または食用に適する無機酸または金属塩あるいはそれらの混合物の添加によって、3.5以下の非常に低pHに酸性化され、一方、有機酸総含有量は、食品組成物の1000グラム当たり0.22モル以下であり、不愉快な酸味を導入することまたは食品組成物の他の感覚刺激的特質に悪影響を与えることなしに貯蔵安定性を増進するために有効である。本明細書中の実施形態に従って、酸味のないまたは酸味の少ない食品組成物を、低温加工条件で、完成食品組成物の微生物の安定性または望ましい官能属性を損なうことなしに、より好都合に製造することができる。また、酸味の少ないこれらの貯蔵安定な酸性化された食品組成物は、甘味料/甘味、脂肪、ナトリウムおよび/または保存料の著しく低減されたレベルで得られる。
【0011】
混じりけのない味のする(clean tasting)酸性ED組成物を、食品のpHを3.5以下に低下させるために調製および使用してもよい。食用に適する無機酸またはそれらの金属酸塩の使用は、食品組成物のpHを低下させるための別の代替案である。無機酸およびそれらの対応する金属酸塩は、例えば、塩酸、硫酸、金属酸性硫酸塩などを含む。しかしながら、食品酸味料に対するこれらの代替案の使用は、単独では、得られる低pH(3.5以下)の低温殺菌されない食品において知覚される酸味を必ずしも除去または著しく低減せず、および許容可能な製品を提供しない可能性がある。所与の製品(摂取時)中の合計の有機酸の低いレベルを維持することは、許容可能な製品を提供する上で重要である。完成製品中の有機物含有量を低下させるための有効な原料選択および配合物は、いくつかの配合される食品製品が許容可能な製品を提供するために必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの態様では、低減された酸味を有する、貯蔵安定な、高水分(Aw=0.75以上)の食品組成物は、3.5以下の最終的なpHを有する食品組成物を提供するために有効な量の、膜酸性電気透析された組成物、食用に適する無機酸、食用に適する無機酸の金属塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される食用に適する酸性媒体または酸味料を用いて、低温殺菌処理なしに食料品を調製することによって提供され、および該食品組成物は、食品組成物の1000グラム当たり0.22モル以下の有機酸総含有量を有する。これらの食品組成物を製造する方法は、3.5以下の最終的なpH、および別の態様で、および3.2以下のpHを有する食品組成物を提供するために有効な量で、酸味料を用いて食品組成物を調製することを含む。
【0013】
該方法は、より低い有機酸含有量を維持することによって、熱処理を伴わずに、非常に低pHの食品に通常付随する不愉快な酸味または酸性の刺激を有さない微生物学的に安定的な食品組成物を提供するために有効である。該食品組成物は、食品組成物の1000グラム当たり約0.22モルの以下の有機酸総含有量、好ましくは、1000グラム当たり約0.12モルの有機酸総含有量、および約0.75以上、別の態様では約0.85以上、および別の態様では約0.90以上のAwを有する。調製された食品に関して、原料の選択および/または変更によってこれを得てもよい。より好ましくは、必要とされる風味および/または味を提供するために、有機酸の必要量だけを食品組成物に添加する。
【0014】
この一般的な方法で調製してもよい、酸味の少ない、貯蔵安定な、低温加工された食品組成物は、例えば、サラダドレッシング、スープ、マヨネーズ、ソース、肉汁、スプレッド、ディップ、ドレッシング、フィリング、トッピング、デザートなどを含む。
【0015】
1つの具体的な態様では、低減された酸味を有する、貯蔵安定な、低温加工されたサラダドレッシング、およびそれを調製するための方法を提供する。低温殺菌処理なしにサラダドレッシングを調製する方法は、食用油、水、乳化剤、タンパク質、風味料、スパイス、酸化防止剤、微粒子(例えば、野菜、フルーツ、ハーブ)、着色料、デンプン、ゴム、甘味料、調味料、カビ防止剤、および電気透析された組成物(すなわちED水)、食用に適する無機酸、食用に適する無機酸の金属酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択される酸味料を、3.5以下のpHおよび別の態様では3.2以下のpHを提供するために有効な量でブレンドすることを含み、一方、有機酸総含有量は、低温加工された、貯蔵安定な、酸性化された混合物を提供するために有効な、食品組成物の1000グラム当たり0.22モルである。該サラダドレッシングは、高水分、低カロリー、低脂肪および/または低ナトリウムのサラダドレッシング組成物を含む、スプーンで掬うことができる、または注ぐことができるサラダドレッシング組成物を含んでもよい。
【0016】
別の具体的な態様では、希薄(注ぐことができる)から濃厚(スプーンで掬うことができる、またはカットできる)までの変動する稠度を有し、および半固体の(カットできる)組成物を含む、実質的に低減された酸味を有する、貯蔵安定な、低温加工された、粘性組成物、およびそれを調製するための方法を提供する。該方法は、水、油(任意選択的)、デンプン、ゴム、タンパク質、乳化剤(任意選択的)、および電気透析された組成物(すなわち、ED水)、食用に適する無機酸、食用に適する無機酸の金属塩およびそれらの混合物からなる群から選択される酸味料を、3.5以下のpH、および別の態様では3.2以下のpHを提供するために有効な量で、単純ブレンドすることを含む、低温殺菌処理なしに、風味付けされた粘性組成物または風味付けされない粘性ベースを調製することを含み、一方、有機酸総含有量は、低温加工された、貯蔵安定な、酸性化された混合物を提供するために有効な、食品組成物の1000グラム当たり0.22モル以下である。他の原料(例えば、風味料、着色料、微粒子等)を風味付けされない粘性ベースとブレンドして、さまざまなスープ、ディップ、スプレッド、ソース、肉汁、トッピング、フィリングおよびデザートを得ることができる。別の具体的な態様では、粘性の、貯蔵安定な、低温加工された組成物は、チーズまたはチーズ風味のディップ、スプレッド、およびソースである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
貯蔵安定な、酸っぱい味のない食品組成物は、低温殺菌または他の形態の熱処理を受けることなしに、酸性電気透析された組成物(すなわち、ED水)、食用に適する無機酸、食用に適する無機酸の金属酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される酸味料を、3.5以下のpH、および別の態様ではpH3.2以下のpHを提供するために有効な量で用いて食料品を酸性化することによって調製されてもよく、一方、有機酸総含有量は、不愉快な酸味または酸性の刺激を有さない、低温加工された、貯蔵安定な、酸性化された混合物を提供するために有効な、食品組成物の1000グラム当たり0.22モル以下である。従って、食品組成物を甘味料で補強して酸性の刺激または過度の酸っぱさを相殺する潜在的必要性は、低減または除去される。以下に記載されるように、水溶液をフィード流として使用し、および膜電気透析を使用して処理して、ED組成物を形成する。食品製品の配合および/または調製においてED組成物を使用してもよい。本発明において使用されるED組成物および食用に適する無機酸またはそれらの対応する金属酸塩は、ヒトの飲食に適当である。
【0018】
本明細書で使用される際に、「低温殺菌」は、食品組成物の酸味付与以外の、腐敗微生物および/または発酵微生物を生育不能にさせるのに十分な全ての処理を言う。この用語は、一例として、より一層強い熱処理(例えばレトルト)を含めて上述の定義に合致する熱処理を包含し、および同様に、食料品の酸味付与以外の非熱的な低温殺菌方法を言うことができ、そのような方法は、静水圧処理、ラジオ周波数(RF)エネルギーを使用する(パルス)電界処理、マイクロ波処理、電子ビーム処理、X線処理、およびそれらの組合せなどのような非化学的方法であってもよい。「生育不能」な微生物は、有効に不活性化され(殺菌性)または(成長に関して)抑制される。「酸味料」は、食品組成物のpHを低減させるpH調整剤を言う。「ヒトの飲食に適当」は、有害または未承認の化学物質または汚染物質、病原体、および不愉快な風味または味がないことを意味する。「貯蔵安定な食品製品」は、概して、周囲条件下で貯蔵される保存食品製品は、飲食に安全であることを意味する。貯蔵安定性は、安全性または微生物学的な安定性によって決定される。例えば、酸性化された組成物に、サルモネラ、大腸菌、酵母、ならびに異種発酵性および同種発酵性の乳酸菌の菌株の複合培養物を接種し;接種された試料を、周囲温度(華氏72度)で維持し、およびこれらの菌株のそれぞれに関して、さまざまな時間間隔で分析する。最低16週間にわたる、当初の接種された計数の全体的な低減が、製品が貯蔵安定であるとみなされるために必要とされる。病原体および耐酸性の腐敗細菌の菌株に対するミクロ殺菌力を実証することができない酸性化された組成物は、本発明の目的において「貯蔵安定」であるとはみなされない。「貯蔵寿命」は、周囲貯蔵条件下の貯蔵寿命を意味する。製品貯蔵寿命は、製品の感覚刺激的または摂食的な品質によって決定される。製品安定性は、安全性または微生物学的な安定性によって決定される。もし冷蔵流通および貯蔵方式を使用するならば、「貯蔵寿命」および「製品安定性」を延長することができる。具体的な態様では、周囲安定な製品に関して、少なくとも約6ヶ月または好ましくは9から12ヶ月の貯蔵寿命が得られる。
【0019】
本発明の、貯蔵安定な、低温加工された食品組成物は、微生物学的な安定性、および従って、pH管理のみによって、および著しく低減されたナトリウム含有量(典型的にはそれらの水相中で)とともに、および単に、任意選択的な因子すなわち防腐剤として、低温加工された食品組成物の貯蔵寿命を保証する食品製品の迅速な配合および調製を可能にする食品のための、大幅に単純化されたミクロ安定性モデルを表す。本発明の態様に従って調製される食品のためのこのミクロ安定性モデルは、例えば、サラダドレッシング製造のために使用されるもののような、多変数の表面応答モデルに基づく、現存するまたは多くの一般的に使用されるモデルの著しい単純化を提示する。本明細書中に規定されるものより高い酸性のpHレベルの食品製品は、食品製品の微生物学的な安定性および貯蔵寿命を保証するために、低温殺菌またはより厳しい熱処理、高い塩濃度および/または冷蔵を必要とする可能性がある。また、本発明の態様に従って調製される食品組成物は、食品の静水圧処理において使用されるもののような、代替の非熱的保存方法において使用される費用の掛かる加工設備の必要性を回避する。本発明の態様に従う食品調製技術は、それらの官能特性に望ましくない風味/品質損失または他の悪影響を負わせることなしに熱的に加工することができない、特定の甘味付けをされない熱感受性の製品(例えば、サラダドレッシング)の生産のために特に適当である。
【0020】
1つの具体的な態様では、貯蔵安定な高水分の(Aw>0.75)食品組成物は、製品の平衡pHを約3.5以下(具体的には、約3.2以下、より具体的には、約3.0以下)に制御すること、および食用に適する、酸味の弱いあるいは酸味のない酸味料をpH調整剤として使用することによって、その製造の間に低温殺菌工程を受けることなく保存される。酸味料は、酸性電気透析された組成物、食用に適する無機酸、食用に適する無機酸の金属塩またはそれらの混合物から選択されるが、しかしそれらに限定されない。本発明の組成物は、冷蔵または周囲貯蔵条件下で微生物学的に安定的である。
【0021】
(電気透析された(ED)組成物)
好ましい態様では、低温殺菌されない食品組成物を酸性化するために使用される食品酸味料は、食品のpHを低下させるのに適当な、混じりけのない味のする、酸性電気透析された(ED)組成物である。ED組成物を、電気透析によって産生させてもよい。一般的に、電気透析(ED)は、1つの水溶液から別の水溶液への、溶解塩または他の天然に発生する不純物/イオンの分離に関連して使用される。これらの溶解塩または他の不純物の分離は、カソード(負電位電極)およびアノード(正電位電極)の間に確立される印加電界の影響下で、半透性のイオン選択性膜を通るイオン移動からもたらされる。一価または多価のカチオンおよび/またはアニオンの間で分離が所望されるかどうかに依存して、膜は、一価または多価のイオンに対して選択性であってもよい。分離プロセスは、塩または不純物が濃縮された流れ(濃縮物またはブラインとして知られる)、および塩または不純物が減少した流れ(ディリュエート(diluate)として知られる)をもたらす。濃縮物およびディリュエートの流れは電気透析装置の中の溶液区画の中を流れ、該溶液区画は、アノードおよびカソードの間に配置され、および交互に配置されたカチオン選択性膜およびアニオン選択性膜によって離隔される。アノード電極およびカソード電極に隣接する最外区画は、それを通って流れる再循環する電極洗浄液を有して、カソード電極およびアノード電極を清浄に維持する。
【0022】
(水溶液)
ED法で処理して酸性ED組成物を生産することができる水性フィード溶液は、湧水、井戸水、都市用水、海水のような天然の水源から得ることができる任意の鉱物またはイオン豊富な水溶液および/または汚染および過度の塩素処理(例えば、約2ppm超の遊離塩素)がない人工的にイオン濃縮された水を含む。ED処理のための水性フィード溶液は、約0.1から約200mS/cmの初期伝導率を提供するために有効である約0.0001Nから約1.8Nの総カチオン濃度または総アニオン濃度を有するべきである。本明細書で使用される際に、「総カチオン濃度」または「個々のカチオン濃度」は、水素イオン濃度を除く任意のカチオン(例えば、Na+、K+、Ca++、Mg++)濃度を意味する。「総アニオン濃度」または「個々のアニオン濃度」は、ヒドロキシルイオン濃度を除く任意のアニオン(例えば、Cl-、F-、SO4-2、PO4-3)濃度を意味する。イオン濃度を、例えば、選択されるカチオンに関しては誘導結合プラズマ原子発光分析、および選択されるアニオンに関してはイオンクロマトグラフィーのような、当技術分野において知られる技術を使用して測定してもよい。
【0023】
重要な態様では、EDで処理される水性フィード溶液は、約1.0から約30mS/cmの初期伝導率を提供するために有効である約0.002Nから約1.0Nの総カチオン濃度または総アニオン濃度を有してもよい。例えば、EDで処理される水溶液は、少なくとも以下のうち1つを含んでもよい:
【0024】

【0025】
総イオン濃度は約0.002Nから約1.0Nでなければならないので、全てのイオン濃度はゼロではあり得ない。また、他の非毒性の、食用に適するイオンが含まれてもよい。
【0026】
(膜電気透析)
図1および2において説明されるように、両極性膜およびアニオン性またはカチオン性膜を使用して、膜電気透析を行ってもよい。膜は、カソードおよびアノードの間に配置され、および電界にさらされる。膜は、別個の区画を形成し、およびそれらの区画を通って流れる物質は、別々に収集されてもよい。イオン選択性膜を含有する電気透析装置の例は、EUR6(フランス、Wissous、Eurodia Industrieから入手可能)である。適当な膜は、例えば、Tokuyama(日本)から入手可能である。両極性膜は、一緒に接合されるカチオン性膜およびアニオン性膜を含む。
【0027】
1つの態様に従って、水溶液をイオン選択性膜と接触させる。水溶液をイオン選択性膜の上に流すことによって、水溶液をバッチ様式、半連続様式、または連続様式で処理してもよい。所望のpHおよびイオン濃度を有する電気透析された溶液を提供するために有効な時間にわたって、アノードおよびカソードの全域に、電位を印加する。バッチ様式における処理時間および半連続様式または連続様式における流量は、使用されるイオン選択性膜の数および印加される電位の量の関数である。従って、得られるED溶液を監視し、および所望のpHおよびイオン濃度が達成されるまで、さらに処理することができる。一般的に、約0.1から約10ボルトの電気電位が、それぞれのセルの中のアノード電極およびカソード電極を横断して提供される。
【0028】
図1および2に示されるように、水溶液を、両極性膜の両側にカチオン性膜を含む、少なくとも1つ、好ましくは複数の両極性膜と接触させることによって、水溶液のpHを約0から約7のpH範囲に調整してもよい。両極性膜の左側の区画からの物質を、それに続く使用のために収集する。両極性膜の右側の区画から収集される物質を、約0から約7、好ましくは約1から約5のpHを有する水溶液を提供するために必要とされるだけの回数、膜を通して戻して再循環させてもよく、または第2の膜電気透析に対して循環させてもよい。また、両極性膜の左側の区画からの物質を、膜を通して戻して再循環させてもよい。アノードおよびカソードに隣接する区画からの物質を、膜を通して戻して再循環させてもよい。
【0029】
(電気透析された組成物製品)
膜電気透析での処理後、pHを変更されたED組成物は、約1.0N未満の総カチオン濃度または総アニオン濃度、約0.6N未満の任意の個々のイオンの濃度、および2ppm未満の遊離塩素含有量を有する。好ましい実施形態では、ED組成物は、約0.5N未満の総カチオン濃度または総アニオン濃度、0.3N未満の個々のカチオン濃度またはアニオン濃度、および1ppm未満の遊離塩素含有量を有する。例えば、電気透析された組成物製品は、少なくとも以下のうちの1つを含有しても良い:
【0030】

【0031】
また、主に個々のイオンの味のインパクトによって限定される、他の食用に適するイオンが存在してもよい。
【0032】
膜電気透析での処理後、ED組成物は、約1から約3.5まで変動するpHを有する。処理された溶液は、1ppm未満の遊離塩素含有量を有し、および不愉快な味および/またはにおいを有さない。多種多様の、貯蔵安定な、低温加工される食品製品の調製において、ED組成物を使用してもよい。
【0033】
(食用に適する無機酸およびそれらの塩)
食用に適する無機酸またはそれらの酸性塩の使用は、酸性化される製品に許容できない酸味を導入することなく食品pHを低下させるために使用される食品酸味料としての別の代替案である。無機酸は、塩酸、硫酸などのような食用に適する鉱酸、および金属酸性硫酸塩(例えば、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム)などのようなそれらの食用に適する金属酸塩を含む。しかしながら、食品酸味料に対するこれらの代替案の使用は、単独では、得られる低pH(3.5以下)の食品において知覚される酸味を必ずしも除去または著しく低減せず、および許容可能な製品を提供しない可能性がある。所与の製品(摂取時)中の合計の「有機」酸の低レベルを維持することが、許容可能な製品を提供する上で重要である。完成製品中の有機物含有量を低下させるのに有効な原料の選択および配合は、いくつかの配合される食品製品が許容可能な製品を提供するために必要とされる。
【0034】
(有機酸総含有量)
食品製品中の有機酸総含有量は、知覚される酸味強度に影響を与え得る。保存食品中の「有機酸」は、主に、(1)酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸および酒石酸を含むがそれらに限定されない、添加された、食用に適する、食品酸味料、および(2)食品原料中の天然に存在する有機酸に由来する。食品原料中の有機酸は、通常、有機酸の金属塩(例えばクエン酸カルシウム)の形態で存在し、これは、高pHにおいて酸味を与えないが、しかし、非常に低pH(例えば約3.2未満)において、知覚される酸味に最終的に寄与する。なぜなら、有機酸の金属塩が対応する酸の形態(例えばクエン酸)に変化するからである。従って、以下、実際的には、「有機酸総含有量」を、全ての上述の食品酸味料および全ての天然に存在する有機酸(シュウ酸、コハク酸、アスコルビン酸、クロロゲン酸などのような上述されていないものを含む)の和として定義する。適切な分析的方法を使用して、有機酸のプロフィールを容易に得ることができる(非特許文献1参照)。個々の有機酸の量を測定し、および合計して、「有機酸総含有量」を与えることができ、これは、「完成食品組成物の1000グラム当たりのモル」で好都合に表現される。他の食品認可された無機酸(例えば塩酸、硫酸)のpKaと比較して高いそのpKa(約2.12)のために、技術的にいえば無機の酸であるリン酸を、以下、「有機」酸総含有量にてカウントする。本発明のpH範囲(すなわち2.0から3.5)および状況の中で、リン酸は、酸性化された組成物の酸味に著しく寄与する能力があり、および酸っぱくない酸味料としては一般的に許容されない。
【0035】
本発明の組成物を、最終的な食品製品の1000g当たり約0.22モル未満、具体的には、最終的な食品製品の1000g当たり約0.12モル未満、およびより具体的には、最終的な食品製品の1000g当たり約0.06モル未満の合計の有機酸の低いレベルによって特徴付けてもよい。
【0036】
(任意選択的な添加物)
また、任意選択的に、本発明は、配合融通性を提供して、微生物学的な安定性を損なうことなく大幅なナトリウム低減(例えば、市販用の十分に塩味をつけた製品と比較して、30%以上)を可能にする。なぜなら、塩はもはや主要な保存因子ではないからである。本発明の食品組成物において、塩すなわちナトリウム含有量を、微生物学的な安定性から独立して、専ら味覚的要件に基づいて決定してもよい。1つの態様では、酸性化された、貯蔵安定な、低温加工された食品組成物中のナトリウム含有量は、脂肪分に依存して、酸性化された食品組成物の1000g当たり0.5モル、具体的には1000g当たり0.3モル、およびより具体的には1000g当たり0.1モルを超えない。水相の重量を、組成物の合計の重量マイナス脂肪分として定義する。本発明の食品組成物は、ソルビン酸/ソルベートまたは安息香酸/ベンゾエートのような食用に適するカビ防止剤を、前記食品組成物中約0.05%以上のレベルで、さらに含んでもよい。また、組成物の微生物学的な安定性に無関係な、他の機能性および/または風味付け原料を、それらが完成食品製品に酸性の刺激または他の望ましくない官能特性をもたらさないレベルでおよび程度まで、含んでもよい。これらの任意選択的な原料は、デンプン、ゴム、繊維、タンパク質、天然のまたは人工的な風味料、抽出物、ジュース、天然甘味料または高強度甘味料、乳化剤、酸化防止剤、スパイス、ハーブ、ビタミン類、ミネラル、フルーツ、野菜、肉(例えばベーコン)、魚(例えばアンチョビ)の植物化学的および小さな微粒子などを含んでもよいが、しかしそれらに限定されない。
【0037】
(貯蔵安定な食品組成物の調製)
示されるように、ED組成物、食用に適する無機酸またはそれらの金属酸塩、またはそれらの混合物を含む酸味料は、低温殺菌処理を受けることなしに配合される食品の保存のために有用である。より具体的には、1つの態様では、配合物中に通常存在する水の完全なまたは部分的な置き換えによって、これらの酸味料、例えばED組成物を食品製品中に配合してもよい。本発明の態様に従って調製されるときに、著しく低減される酸味によって特徴付けられる、貯蔵安定な、低温加工された食品組成物は、ドレッシング(例えば、サラダドレッシング)、マヨネーズ、ソース、肉汁、スプレッド、ディップ、ドレッシング、フィリング、トッピング、マリネ、デザート、およびそれらの混合物を含むが、しかしそれらに限定されない。本発明の食品組成物は、注ぐことができる、またはスプーンで掬うことができる粘性相を含み、多成分製品においては、その中に、選択される源、例えば、乳製品、デンプン/シリアル、卵、肉、海産食品、フルーツおよび野菜およびそれらの混合物からの食品成分または原料を含んでもよい。
【0038】
酸性化された食品製品は、貯蔵安定であり、および低温殺菌工程のような著しい熱処理を必要とせずに、そのような安定性を達成する。保存食品製品は、食品酸味料(すなわち、有機酸)の使用に通常付随する不愉快な酸味または異味を有さず、および周囲条件下で、少なくとも6ヶ月間、しかし一般的には9ヶ月から12ヶ月のオーダーで安定的である。
【0039】
一般的には、約0.5から約3.0、および具体的には約1.0から約2.0のpHを有するED組成物を使用して、貯蔵安定な食品組成物を調製する。ED組成物は、食品組成物の調製に直接に組み込まれる。1つの態様では、食品製品の調製の間、食品温度を華氏約165度未満、具体的には華氏約120度未満の値に制御することによって、低温加工条件を維持する。有機酸総含有量が最終的な食品製品の1000グラム当たり0.22モルを超えない限り、好ましくは、最終的な食品製品の1000グラム当たり0.12モルを超えない限り、およびより好ましくは1000グラムの最終的な製品当たり0.06モルを超えない限りにおいて、主に風味および/または味目的のために、少量の慣用の食品酸味料(酢のようなもの)を依然として使用してもよい。通常は酸っぱいと予想される食品組成物(例えば培養された乳製品、フルーツ風味の製品)に関して、完成食品組成物中の有機酸総含有量が完成食品組成物の1000グラム当たり0.22モル未満に保たれ得る限り、ED組成物、無機酸またはそれらの混合物を使用して食品組成物を完全にまたは部分的に酸性化することによって、3.5以下のpHまでさらに酸性化された後のこれらの食品組成物の酸味を著しく低減させることができる。
【0040】
塩すなわちナトリウム含有量は、低pH方式(例えば、3.5以下)のおよび熱的に加工されない(例えば、低温殺菌されない)製品の貯蔵安定性を保証することにおいて、もはや主要な因子ではないので、任意のレベルのナトリウム低減が可能である(例えば、無塩、薄塩)。従って、同様に、本発明の原理を使用して、栄養学的に改善された食品製品を提供することができる。本発明を用いて、甘味料および/または脂肪のような酸味遮蔽原料を削減することによって、付加的な栄養改善が可能である。1つの限定されない態様では、本発明に従って、スクロース甘味当量3%未満、および具体的にはスクロース甘味当量1.5%未満の量の合計の甘味料を含有する、低減された酸味を有する食品組成物を調製することができる。理解されるであろうように、使用される甘味料の量およびタイプは、食品の範疇に依存して変化することができる。一般的に、低減された脂肪の食料品の相対的な含水率は、それらの全脂肪の対応物よりも高いにも関わらず、別の態様では、低減された酸味を有する、貯蔵安定な食品組成物を、本発明に従って低減脂肪または低脂肪の組成物として配合することができる。
【0041】
(サラダドレッシングの調製)
低減された酸味を有する、貯蔵安定な、低温加工されたサラダドレッシングを、低温殺菌工程なしに、食用に適する油、食品グレードの乳化剤、デンプン、ゴム、卵、水、塩、スパイス、タンパク質、天然のまたは人工的な風味料、抽出物、ジュース、天然甘味料または高強度甘味料、繊維、酸化防止剤、スパイス、ハーブ、ビタミン類、鉱物、フルーツ、野菜、肉、魚などの植物化学的および小さな微粒子、およびED組成物(または、塩酸、硫酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム)を、3.5以下のpH、および別の態様では3.2以下のpHを提供するために有効な量で含む全ての原料をブレンドすることによって調製してもよく、一方、有機酸総含有量は、低温加工された、貯蔵安定な、酸性化された混合物を提供するために有効な、食品組成物の1000グラム当たり0.22モル以下である。サラダドレッシングは、注ぐことができるものからスプーンで掬うことができるものまで変動するさまざまな稠度を有するサラダドレッシング組成物を含んでもよい。また、前記サラダドレッシング組成物は、高水分、低カロリー、低脂肪および低ナトリウムの、スプーンで掬うことができる、または注ぐことができるサラダドレッシング組成物を含んでもよい。サラダドレッシングのエマルション形態は、一般的に、水中油エマルションである。乳化されるサラダドレッシング配合物は、ランチドレッシング、クリーミーキューカンバードレッシングおよびバターミルク風味のドレッシング等のような、より低刺激性のまたは乳製品に基づくサラダドレッシングを含む。また、エマルションの代わりに、サラダドレッシングを分散物として形成してもよい。分散物タイプのサラダドレッシングは、例えば、イタリアンドレッシングおよびカタリーナドレッシングを含む。
【0042】
また、サラダドレッシングは、塩、スパイス、乳性風味料、チーズ風味料、甘味料、風味付け有機酸味料、および組成物に対して味特性を与える他の原料のような、さまざまな他の調味料添加物を、任意選択的に含むことができる。同様に、保存料、(卵黄の色を真似ない)着色料、および安定剤を含んでもよい。
【0043】
また、所望される風味成分、質感、食感、またはアロマノートを与えるのに有効なそれぞれの量で、乳製品、例えば、ミルク、バターミルク、ミルク濃縮物(乾燥、液体、またはペースト)、バター、チーズ、チーズ風味料、ホエー粉末/タンパク質の濃縮物/分離物、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0044】
油原料は、任意の食用に適するトリグリセリド油性脂質であることができ、および、具体的には、大豆油、カノーラ油、ベニバナ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ラッカセイ油、オリーブ油、綿実油、およびそれらの混合物のような食用に適する植物油であってもよい。サラダドレッシングタイプの製品において、植物油含有量は、約0.1から約40%、具体的には、約0.5%から約30%である。任意選択的に、硬い脂肪原料、例えばバター脂肪、パーム核油およびカカオバターのような食品グレードの脂肪を、それらが製品中で乳化または分散され得る程度までのより少ない量で含んでもよい。製品を望ましい粘度に維持しながら、植物油の一部をデンプンベースおよび/またはゴムで置き換えてもよい。
【0045】
サラダドレッシングをエマルションとして形成する場合、合成または無卵食品グレードの乳化剤および/または卵製品を、その機能のために使用することができる。卵製品は、卵黄、卵白、およびアルブミンを含む。無卵乳化剤は、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(例えば、ポリソルベート60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(例えば、ポリソルベート80)のような、10〜18の親水性−親油性バランス(HLB)を有してもよいポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであってもよい。無卵食品グレードの乳化剤の量は、当該配合物中に共に存在する卵黄の量に依存して変動してもよいが、しかし一般的には、約0.05%から0.5%まで変動してもよい。
【0046】
総含水率は、製造されているサラダドレッシング製品のタイプに依存して変動してもよい。一般的には、含水率は、例えば、約5%から約85%まで(全ての原料によってもたらされる水を含む)、具体的には約15%から約30%まで変動してもよい。
【0047】
多くの一般に入手可能なまたはその他の点で適当な食品グレードのデンプンのうちの任意の1つを、サラダドレッシング中に採用してもよい。例は、トウモロコシ、ソルガム、タピオカ、コムギ、およびその他に由来するデンプンを含む。これらのデンプンを、酸化、酸触媒による転化、および/または有機または無機化学薬品による架橋などによって改質して、レオロジー特性を改善してもよい。これらは、耐凍結性デンプンである必要はない。具体的な配合物に加えられるデンプンベースの量は、配合物中で使用される植物油の量およびデンプンで置き換えられる植物油の量に依存して変動してもよい。
【0048】
サラダドレッシング製品中に使用される、適当な、食用に適する、風味付け酸味料として、酢の形態のような酢酸、レモンジュースまたはライムジュースの形態のようなクエン酸、またはリンゴ酸、およびその他を、その目的のために有効な少量で、不愉快な酸味強度が与えられずおよび有機酸総含有量が酸性化された組成物の1000グラム当たり0.22モルを超えない程度まで、使用してもよい。
【0049】
使用されてもよい他の風味付けおよびスパイスは、例えば、塩、カラシまたはカラシ油、コショウ、卵風味料、パプリカ、酵母抽出物、風味強化剤、およびそれらの混合物を含んでもよい。風味付けおよびスパイスは、概して、約0.5%から約8%の量で存在する。これらのうち、塩は、約0.5%から約3%の量で存在してもよい。
【0050】
他の任意選択的な添加物として、ゴムを、界面活性剤として含んでもよい。ゴムは、キサンタンガム、アルギナート、ペクチン、トラガカントゴム、イナゴマメゴム、ガーゴム、アラビアゴム、およびそれらの混合物の間から選択されてもよい。加えられるゴムの量は、約0.1%から約2%まで変動してもよい。エチレンジアミン四酢酸またはその塩、安息香酸ナトリウム、およびグルタミン酸一ナトリウムのような保存料、および/またはソルビン酸カリウムのような抗菌剤を、0.05%から約0.12%の量で含んでもよい。また、着色料、例えば二酸化チタンのような増白剤を含んでもよい。他の食品組成物と同様に、例えば、サラダドレッシング製品における味、組織構造上の外観、および食感の一貫性は、消費者満足を維持するために重要であり得る。
【0051】
標準的なブレンド手段および均質化手段を使用して、粘性の、乳化または分散されたサラダドレッシング製品を調製している。
【0052】
また、本発明は、概して、より高い油レベルを有するが、しかしその他の点でサラダドレッシングと比較可能な配合を有する、貯蔵安定な、低温加工された、マヨネーズタイプの製品を包含する。マヨネーズ製品は、スプーンで掬うことができ、注ぐことができない、半固体の物質である。また、食品組成物は、ソースであってもよい。ソースは、約5から約70%の油、バター、および/またはクリームを含有するものを含み、これは、例えば、ソースオランデーズおよびソースカルボナーラを含んでもよい。また、食品組成物は、5から50%までの油および0.1から50%までの砂糖を含有する分散物のような、クリーム状のデザートであってもよい。
【0053】
(チーズ組成物の調製)
低減された酸味を有する、貯蔵安定な、低温加工された、注ぐことができ、塗ることができ、スプーンで掬うことができおよび/またはカットできるチーズ組成物を、低温殺菌工程または処理なしに、チーズ(例えば、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、大豆チーズ、および/またはチーズ類似物)、乳化剤、水、脂肪/油、デンプン、マルトデキストリンゴム、キレート剤、塩、風味料、着色料、調味料、食用に適する粒子およびED組成物(または、塩酸、硫酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム)を、3.5以下のpH、および別の態様では3.2以下のpHを提供するために有効な量でブレンドすることを含んで、調製することができ、一方、有機酸総含有量は、低温加工された、貯蔵安定な、酸性化された混合物を提供するために有効な、食品組成物の1000グラム当たり0.22モル以下である。本発明の目的において、「注ぐことができる」は、テーブルシロップのものと同様の製品の稠度またはレオロジーを言い;「塗ることができる」は、フルーツジャムのものと同様の製品の稠度またはレオロジーを言い;「スプーンで掬うことができる」は、マヨネーズのものと同様の製品の稠度またはレオロジーを言い;および「カットできる」は、ソフトチーズのものと同様の製品の稠度またはレオロジーを言う。注ぐことができるまたはスプーンで掬うことができるチーズ組成物は、チーズスプレッド、チーズディップ、チーズソースなどであってもよい。標準的なブレンド手段、分散手段、および均質化手段を使用して、これらの原料を含有する、粘性の、乳化または分散されたチーズ組成物を調製してもよい。添加の順序を最適化して、全ての原料の適正な分散を援助してもよい。一般的に、高剪断/圧力の均質化工程を必要としない。サルサ、ハラペーニョ、ベーコンビッツのような、粒子を有する原料を最後に加えて、粒子の完全性を保存する。
【0054】
低減された酸味を有する、貯蔵安定な、チーズ風味の、注ぐことができる、スプーンで掬うことができる、またはカットできる組成物を、同様のやり方で、低温殺菌工程または処理なしに、チーズ乳化剤、水、脂肪/油、デンプン、マルトデキストリンゴム、キレート剤、塩、風味料、着色料、調味料、食用に適する粒子(例えば、ハーブ、野菜)およびED組成物(または塩酸、硫酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム)を、3.5以下のpH、および別の態様では3.2以下のpHを提供するために有効な量でブレンドすることを含んで調製することができ、一方、有機酸総含有量は、低温加工された、貯蔵安定な、酸性化された混合物の提供に有効な、食品組成物の1000グラム当たり0.22モル以下である。
【0055】
(貯蔵安定なディップの調製)
低減された酸味を有する、貯蔵安定な、低温加工されたディップを、低温殺菌工程なしに、水、食用油、食品グレードの乳化剤、デンプン、ゴム、卵、水、塩、スパイス、タンパク質、天然のまたは人工的な風味料、抽出物、ジュース、天然甘味料または高強度甘味料、繊維、酸化防止剤、スパイス、ハーブ、ビタミン類、鉱物、野菜、肉、魚などの植物化学的および小さな微粒子、および顆粒状の硫酸水素ナトリウム(オハイオ州、Walbridge、Jones−Hamilton社)、ED組成物、塩酸または他の金属重硫酸塩を含む全ての原料を、3.5以下のpH、および別の態様では3.2以下のpHを提供するために有効な量でブレンドすることによって調製してもよく、一方、有機酸総含有量は、食品組成物の1000グラム当たり0.22モルであり、低温加工された、貯蔵安定な、酸性化された混合物を提供するために有効である。また、貯蔵安定な、低温加工されたディップは、高水分、低カロリー、低脂肪、低ナトリウムおよび/または低減された甘味の配合物を含んでもよい。ディップのエマルション形態は、一般的に、水中油エマルションである。乳化されたディップ配合物は、チェダー、ナチョ、サルサ・コンケソ等のような任意の風味のオプションを含み、および稠度、色等が変化してもよい。
【0056】
また、ディップは、任意選択的に、塩、スパイス、乳性風味料、チーズ風味料、甘味料、および組成物に対して味特性を与える他の原料のような、さまざまな他の調味料添加物を含むことができる。また、保存料、安定剤、および栄養素を含んでもよい。
【0057】
別に示されない限り、本明細書において使用および記載される全てのパーセンテージ、割合、部および量は重量による。続く例は、本発明に従う実施形態をさらに説明することを意図し、および限定しない。
【実施例】
【0058】
(実施例1)ED組成物で酸性化された、薄塩の、貯蔵安定なランチドレッシング
ランチドレッシングのバッチ(調製後、9080グラム、pH3.04)を、低温殺菌処理なしで、パイロット規模の製造設備において調製した。まず、電気透析された(ED)組成物(pH=1.0)、乾燥調製品(バターミルク粉末、砂糖、塩、EDTA、ソルビン酸、デンプン、およびゴム)および卵を、以下に示される比率で、Hobartミキサー(標準的な混合パドル)の中で混合した。混合しながら、植物油をゆっくりと加えて、粗いエマルションを形成した。スパイスおよび酢を、最後に加えた。得られる混合物を、Hydroshearを180psiで使用して均質化させて、サラダドレッシングの調製の間に低温殺菌されていない、均質な製品を形成した。
【0059】

【0060】
製品ドレッシングの官能評価は、それが不愉快な酸味を有さず、および風味、質感およびエマルション安定性に優れていることを明らかにした。酸性化されたサラダドレッシング組成物の微生物学的な安定性を評価するために、およそ25ポンドのその試料を、実質的に同等の部分の4つの滅菌容器に、無菌的に分配した。1つの部分を、陰性の対照として使った。他の3つの試料に、サルモネラ、大腸菌O157:H7、および酵母および異種発酵性ならびに同種発酵性乳酸菌の菌株を含むさまざまな腐敗有機体の複合培養物を接種した。接種材料中に使用されるそれぞれの病原体の菌株に関して、細胞浮遊液を調製した。病原体の菌株を、トリプチケースソイブロス(Trypticase Soy Broth)中で、24時間にわたって、35℃で増殖させた。細胞浮遊液を混合して、およそ同等の数のそれぞれの菌株の細胞を含有する接種材料を調製した。生存細胞の数を、24時間にわたって35℃で培養されるトリプチケースソイ寒天培地(Trypticase Soy Agar)で、平板計数方法によって確認した。接種レベルは、それぞれの菌株に関して、グラム当たりおよそ1,000コロニー形成単位の回復可能なレベルであった。接種された試料および対照を、華氏72度で、少なくとも16週間にわたって保持した。接種された試料を、上記で確認された菌株のそれぞれに関して、さまざまな時間間隔で分析した。対照および3つの接種された部分のそれぞれからの25gの試料を、所定の時期に平板計数法によって分析した。対照の試料を、最初に、好気性の平板計数に関して、平板計数法によって分析した。サルモネラおよび大腸菌O157:H7を接種された試料を、最初に、(0日)、1、2、3、7および14日のときに分析した。サルモネラに関しては、平板計数およびBAM増菌(BAM enrichment)によって、および大腸菌O157:H7に関しては、平板計数および培養増菌(cultural enrichment)によって、接種された試料を分析した。サルモネラを、XLD培地および1日/35℃/好気性の培養時間/温度/雰囲気を使用して分析し、および大腸菌0157:H7を、MSA培地および1日/35℃/好気性の培養時間/温度/雰囲気を使用して分析した。直接平板培養(direct plating)することによって、個体数がグラム当たり<10細胞に減少したならば、増菌のみを利用した。3つの連続した陰性の増菌が起こったとき、平板培養および増菌を中止した。さまざまな腐敗有機体を接種された試料を、最初に、(0日)のとき、および2、4、6、8、12、16週、および9ヶ月のときに分析した。対照試料を、好気性細菌に関して分析し、および接種された試料を、酵母、異種発酵性乳酸菌および同種発酵性乳酸菌に関して分析した。最低16週間にわたる当初の接種された計数の全体的な低減を観察した。微生物学的な結果は、本発明のドレッシングが全ての接種された微生物を有効に不活性化し(殺菌性)、および(成長に関して)抑制したことを示した。
【0061】
(実施例2)EDで酸性化された、薄塩の、貯蔵安定な、無脂肪のイタリアンドレッシング
貯蔵安定な、酸っぱくない、50%減塩された、無脂肪のイタリアンサラダドレッシングを、低温殺菌処理なしで、パイロット規模の製造設備において調製した。サラダドレッシングは、以下に記載される組成を有した。電気透析された(ED)組成物(pH=1.0)、水道水、乾燥調製品(塩31.2%、チーズ/乳性原料31.2%、風味料/スパイス21.6%、キサンタンガム10.7%、保存料5.3%)および湿潤混合品(コーンシロップ76.8%、風味料/スパイス/着色料23.2%)を、Breddoミキサーの中で混合して、全ての乾燥原料を、何らの熱を加えることもスパイス粒子に損傷を与えることもなしに、十分に分散させた(約5分)。予備的な接種試験結果は、ドレッシングは周囲貯蔵条件下で安定であることを示した。低減された酸味および塩味と共に、貯蔵安定なドレッシングは、優れた感覚刺激的特質および栄養学的プロフィールを有した。完成製品のpHは3.5である。
【0062】

【0063】
(実施例3)重硫酸ナトリウムで酸性化された、貯蔵安定なチーズ組成物
2つの貯蔵安定な、酸っぱくないチーズ組成物を、低温殺菌処理なしで、パイロット規模の製造設備において調製した。2つのチーズ組成物は、以下に記載される配合を有した。まず、配合水の一部(約1/3)を、Hobartミキサーの中で卵黄と混合して、スラリーを形成した。次いで、チーズ粉末の3分の1、重硫酸ナトリウム、他の乾燥原料および配合水の残り(約2/3)を加え、および再び混合して、水性混合物を形成した。別途、ポリソルベートを少量の大豆油とともに混合および加熱して、ポリソルベートを油中に溶解させた。油/ポリソルベート混合物にゴムを加え、および混合してゴム粒子の表面を湿潤させ、油性混合物を形成した。油性混合物を、Hobartミキサー中へ加え、および水性混合物および全ての風味料原料と混合した(約3分)。約3分間にわたって混合しながら、大豆油の残りをゆっくりと加えた。チーズ粉末の残りおよび残りの原料を混合物にゆっくりと加えて、および約5分間、または全ての乾燥原料を分散させるのに十分な間にわたって、何ら熱を加えることなしに混合した。製品を適当な容器の中に充填する前に、サルサまたはハラペーニョピューレを、もう1分程かけて加えた。最終製品のpHは3.48であった。
【0064】

【0065】

【0066】
(実施例4)重硫酸ナトリウムで酸性化された、貯蔵安定な、無脂肪野菜ディップ
貯蔵安定な、酸味が低減された、無脂肪野菜ディップを、低温殺菌処理なしで、パイロット規模の製造設備において調製した。ディップは、以下に記載する組成を有した。水、重硫酸ナトリウムおよびコーンシロップを、Hobartミキサーの中で、約5分間にわたって混合した。全ての他の乾燥原料を加え、そして3から8分間にわたってさらに混合した。スパイス、乾燥(赤および緑)ピーマン、着色料および風味料を加え、およびさらなる5分程度にわたって十分に混合した。最終製品のpHは、2.88であった。
【0067】

【0068】
(実施例5)重硫酸ナトリウムで酸性化された、貯蔵安定なフルーツスプレッド
貯蔵安定な、酸味が低減されたフルーツスプレッドまたはデザートを、低温殺菌処理なしで、パイロット規模の製造設備において調製した。スプレッドは、以下に記載される組成を有した。配合水の一部(約1/3)を使用して、Hobartミキサーの中で卵黄スラリーを作った。次いで、重硫酸ナトリウムおよびコーンシロップを加え、および続いてキサンタンガム、ソルビン酸カリウム、クエン酸、マルトデキストリン、MSGおよび塩を加えて、合計約5分間にわたって混合した。別途、ポリソルベートを少量の大豆油とともに混合および加熱して、ポリソルベートを油中に溶解させた。油/ポリソルベート混合物にゴムを加え、および混合してゴム粒子の表面を湿潤させ、油性混合物を形成した。油性混合物をHobartミキサーに加え、および水性混合物および全ての風味料原料と混合した(約3分)。約3分間にわたって混合しながら、大豆油の残りをゆっくりと加えた。次いで、いちごピューレを加え、およびさらなる5分程度にわたって十分に混合した。最終製品のpHは、2.92であった。
【0069】

【0070】
本発明は、特定のプロセスおよび製品の実施形態への詳細な言及により具体的に記載されているが、さまざまな変化、変更および翻案は、本発明の開示に基づく可能性があり、および特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内であることが意図されることは理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】pHを低減させるための膜電気透析システムの1つの例を表す図である。
【図2】pHを低減させるための膜電気透析システムの別の例を表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低減された酸味を有する、非常に低pHの、貯蔵安定な、低温殺菌されていない食品組成物を調製するための方法であって、膜酸性電気透析された(ED)組成物、食用に適する無機酸、食用に適する無機酸の金属酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される酸味料を、3.5以下の最終的なpHを有する食品組成物を提供するために有効な量で用いて、低温殺菌処理なしに該食品組成物を調製する工程を含み、および、該食品組成物は、食品組成物の1000グラム当たり0.22モル以下の有機酸総含有量を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
提供される食品組成物が、3.2以下の最終的なpHを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調製工程を通して、食品組成物を華氏約165度未満の温度範囲に維持することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記調製工程を通して、食品組成物を華氏約120度未満の温度範囲に維持することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
食品組成物が、0.75以上のAwを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
食品組成物が、0.85以上のAwを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
食品組成物が、食品組成物の1000グラム当たり0.12モル以下の有機酸総含有量を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
食品組成物が、食品組成物の1000グラム当たり0.06モル以下の有機酸総含有量を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
食品組成物が、食品組成物の1000グラム当たり0.5モル以下のナトリウム含有量を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
食品組成物が、食品組成物の1000グラム当たり0.3モル以下のナトリウム含有量を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
食品組成物が、食品組成物の1000グラム当たり0.1モル以下のナトリウム含有量を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
食品組成物が、抗真菌性剤を、酵母およびカビの成長を阻害するために有効な量で、さらに含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
食品組成物中に使用される抗真菌性剤が、ソルビン酸および/またはその塩を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
食品組成物が、ソルビン酸および/またはその塩を0.05%以上のレベルで含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
食品組成物が、サラダドレッシング、スープ、マヨネーズ、ソース、肉汁、スプレッド、ディップ、サラダ、フィリング、トッピング、デザート、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
無機酸が、塩酸、硫酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
貯蔵安定な、高水分、低減された酸味の食品組成物であって、膜酸性電気透析された組成物、食用に適する無機酸、食用に適する無機酸の金属塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される酸味料を、3.5以下の最終的なpHを有する食品組成物を提供するために有効な量で用いて、低温殺菌処理なしに食料品を調製することを含む方法によって調製され、および、該食品組成物は、食品組成物の1000グラム当たり0.22モル以下の有機酸総含有量を有することを特徴とする食品組成物。
【請求項18】
食料品組成物が、サラダドレッシングを含むことを特徴とする請求項17に記載の食品組成物。
【請求項19】
サラダドレッシングが、着色剤、風味料、栄養素、酸化防止剤、ハーブ、スパイス、フルーツ、野菜、ナッツおよび/または他の食品添加物をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の食品組成物。
【請求項20】
食品組成物が、サラダドレッシング、スープ、マヨネーズ、ソース、肉汁、スプレッド、ディップ、サラダ、フィリング、トッピング、デザート、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の食品組成物。
【請求項21】
食品組成物が、注ぐことができる、塗ることができる、スプーンで掬うことができる、およびカットできる、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される稠度を有することを特徴とする請求項17に記載の食品組成物。
【請求項22】
食品組成物が、低減脂肪食料品を含むことを特徴とする請求項17に記載の食品組成物。
【請求項23】
食品組成物が、スクロース甘味当量3%未満の量の合計の甘味料を含有することを特徴とする請求項17に記載の食品組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−288396(P2006−288396A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−106696(P2006−106696)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(501360131)クラフト・フーヅ・ホールディングス・インコーポレイテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS HOLDINGS, INC.
【住所又は居所原語表記】Three Lakes Drive, Northfield, Illinois 60093 United States of America
【Fターム(参考)】