説明

貯蔵寿命延長を伴う食品包装法

紙または板紙製の包装容器(30)中で食品を包装し、および、食品の貯蔵寿命延長を目的に熱処理する方法。包装容器(30)に、最初に、全体に、または、少なくとも一部に窒素などの非酸化ガスを含有する気泡を充填し、その後、全体または一部の充填済み包装容器(30)に、当該食品を充填する。この充填後、包装容器(30)は、閉じられ、サーモシーリングによって密封される際に、包装容器(30)中の食品の高さよりも上方のすきまに、全体に気泡を充填することを確実なものにするために、必要に応じて追加気泡を充填する。その後、食品および気泡を充填し、閉じられた包装容器(30)は、その貯蔵寿命の延長を目的に、少なくとも115℃の処理温度で熱処理に供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙または板紙製の包装容器中で食品を包装し、および、食品の貯蔵寿命を延長することを目的とする熱処理する方法であって、前記方法が、前記食品の充填の前および/またはそれと同時に、前記包装容器に非酸化ガスを含有する気泡も充填し、前記包装容器へのかかる充填の後に、サーモシーリングによって前記容器を密封し、包装済み食品に熱処理を加え、貯蔵寿命を延長する工程を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵寿命の延長を目的に閉じた包装容器中で熱処理の対象となる食品の充填を予定する紙または板紙製の包装容器に、一般に、熱処理中に前記食品の均圧膨張を可能にするために、当該食品を一部だけ残して充填する。前記食品が全て、または、少なくとも部分的に液体部分から成り、または、これを含み、当該液体部分が容易に蒸発し、それによって、前記包装容器内部に急速に蒸気または蒸気圧を一定レベルまで生じ、当該レベルで、前記包装容器が、密封接合部で破裂、または、爆発さえ起こす可能性がある場合、かかる膨張の可能性は特に重要である。前記包装容器に一部だけ残して充填する他の理由は、充填機の欠陥の場合に起こり易い食品フローでの容量変動の調節に、前記食品の高さよりも上方のフリースペースが効率的に利用できることである。
【0003】
しかし、食品充填包装容器中の当該食品の高さよりも上方の非充填スペース(いわゆるすきま)は、包装品の深刻なリスクを伴う場合がある。その理由は、適切な充填作業の前および最中に前記食品フローと接触する周囲空気が、前記包装容器への前記食品フローによって容易に取り込まれ、前記食品フローに付随して前記包装容器に入り、そこで、蓄積し、このスペースにトラップされる可能性がある。かかるトラップ容量の空気と包装食品との間の接触は、必ず当該食品への有害な酸化作用を招き、空気中の酸素ガスの酸化によって、当該食品が香りおよび芳香ならびに外観の変化または劣化を生じ、それによって、魅力のないもの、消費に適さないものにさえなり得るという結果になる。かかる酸化的破壊過程は、経時的に起こり、食品のタイプ毎に異なる。ジャガイモ、アスパラガス、塊茎作物、トウモロコシ、果実およびペットフードなどの特に酸素ガスに敏感な食品の場合、かかる破壊過程は、非常に急速に起こるが、他方、他の、それほど酸素ガスに敏感でない食品は、感知できる悪影響もなく、より長期間保持される。
【0004】
包装され、その後の熱処理によって前記包装容器中で貯蔵寿命を延長可能な食品が一方のタイプであるか、あるいは、他方のタイプであるかにかかわらず、前記包装容器の空気のトラップ容量が、できるだけ少量になり、最も好ましくは完全に排除されるような条件下で充填作業を実施するのが望ましい。
【0005】
ある先行技術の方法によれば、食品の充填は、例えば窒素などの非酸化ガスの供給下で実施され、前記包装容器から空気を追い出し、前記食品の高さよりも上方のすきまにこのガスを充満させるために、当該ガスが、食品充填作業の前および/または最中に前記包装容器に1個以上のノズルから注入される。かかる先行技術の方法の一例は、米国特許第3,477,192号明細書に記述されている。非酸化ガスの一斉供給中の充填は、前記包装容器への空気の新たな進入を防ぐために、充填直後に当該包装容器を閉じる必要がある。しかし、実際には、食品充填は、最も一般的には、食品充填済み包装容器のその後の閉鎖とは異なる現場で行われるので、これは、充填後、まだ開いた包装容器が、当該包装容器を閉じる前に、最初に、食品を充填して、周囲空気と接触しながら一定の距離を運搬されなければならないことを意味する。充填から閉じるまでにかかる運搬時間が短縮可能であっても、それでもなお常に、注入される非酸化ガスの少なくとも一部が押出され、空気と入れ替わる時間があり、この短時間の運搬中に前記包装容器に流れ込む時間があるというリスクが生じる。従って、かかる流入空気は、前記包装容器に同時に封入され、開封包装容器中での前記食品をさらに保存する間に、当該包装容器に付随して当該食品と直接接触する。
【0006】
ヨーロッパ特許公開番号EP 0008886 A1に記述されている先行技術の方法によれば、閉じた包装容器中に空気が付随するリスクは、当該包装容器に、食品充填作業の前に、および/または、当該作業と同時に、非酸化ガス、例えば窒素を含有する気泡を充填すると、効果的に防止、または、少なくともかなり減少できる。よって、ヨーロッパ特許公開番号EP 0008886 A1によれば、開封包装容器に、包装容器内に存在する空気を強制排除するために、最初に前記ガス含有気泡を充填し、その後、所望の高さまで食品を充填できる。この充填後、前記食品の高さよりも上方のすきまは、多かれ少なかれ、内部に残留する気泡を全体に充満され、よって、閉じた後も前記包装容器に残る。そのように気泡および食品を充填した包装容器は、その後、貯蔵寿命を延長することを目的に、熱処理(低温殺菌法)、即ち、食品を、短時間、せいぜい約100℃、通常72〜78℃の温度で加熱、維持される熱処理法に供されることが可能である。ヨーロッパ特許公開番号EP 0008886 A1によれば、最初に、開封包装容器に当該食品を所望の高さまで充填し、その後、または、この食品充填と同時に、残留空気を強制的に排除するために、当該食品の高さよりも上方の残りのすきまにガス含有気泡を充填することも可能である。このように気泡および食品を充填した包装容器は、その後、閉じられ、密封され、上記のように、貯蔵寿命延長のために低温殺菌を受けることができる。
【0007】
ヨーロッパ特許公開番号EP 0008886 A1に従った方法で包装および熱処理可能な食品の例は、ビールなどの醸造酒のような液体、および、非発泡飲料などの炭酸無添加飲料である。しかし、ヨーロッパ特許公開番号EP 0008886 A1は、例えば、ジャガイモ、アスパラガス、塊茎作物、トウモロコシ、果実、野菜、肉、ペットフードなどの固形または半固形食品が、前記先行技術の方法で使用可能か否かに関しては触れていない。また、かかる固形または半固形食品が、ソース、クッキングジュース、ストックなどの液体と合わせて包装および熱処理可能か否かも、ヨーロッパ特許公開番号EP 0008886 A1からは明らかでない。
【0008】
しかし、ヨーロッパ特許公開番号EP 0008886 A1に従った先行技術の方法に特有なある欠点は、食品充填の際にトラップされた気泡が、その後の熱処理(低温殺菌法)および前記食品の以後の保存後にさえ、前記包装容器を開封する時間まで、多かれ少なかれそのままで当該包装容器中に残留、付随する傾向を有することである。よって、当該包装容器の開封時に露出した残留気泡は、包装食品に著しく泡だらけの外観を与える可能性があり、これが、当該包装容器での保存期間中に前記食品の不備な保存を原因とする食品の品質の劣化を伴う場合がある。例えば炭酸無添加非発泡飲料などの包装食品が泡で覆われ、または、離れた位置に泡を伴うことが全く期待されない場合に、開封包装容器中の過剰の泡もしくは気泡に特有な問題が、当然、多かれ少なかれ顕在化することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,477,192号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許公開番号EP 0008886 A1
【特許文献3】国際公開番号WO2003/035503
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、紙または板紙製の包装容器中で食品の貯蔵寿命を延長することを目的に、食品充填中に前記包装容器で空気もしくは酸素をトラップするリスクを伴わずに、さらに、前記包装容器の開封時に曝される充填済み食品の外観に生じる悪影響のリスクを伴わずに、食品を包装および熱処理できることが依然として求められている。特に、例えばソース、クッキングジュース、ストックなどの液体食品とともに固形または半固形食品を包装でき、空気もしくは酸素のかかる有害な同封のリスクを伴わず、包装され、当該食品の貯蔵寿命の延長を目的に熱処理される食品へのかかる悪影響のリスクを伴わないことが依然として技術上求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのため、本発明の目的は、上記の、先行技術の欠点および短所を未然に防ぐことである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、酸素ガス感受性食品が、その貯蔵寿命の延長を目的に、紙または板紙製の包装容器に包装および熱処理でき、空気もしくは酸素が前記包装済み食品と接触する前記包装容器中にトラップされるリスクを伴わない手段によって方法を実現することである。
【0013】
本発明のなおもさらなる目的は、固形および半固形の両果実製品が液体食品とともに紙または板紙製の包装容器中で包装および熱処理でき、空気もしくは酸素が前記包装容器中にトラップされるリスクを伴わず、前記食品の貯蔵寿命中終始、前記ガスを含有する泡がそのまま付随するリスクを伴わない手段によって前置きで説明されたタイプの方法を実現することである。
【0014】
これらや他の目的および長所は、本発明に従って、添付の請求項1に記述のとおりの特徴的特性を有する方法によって達成される。
【0015】
本発明に従った方法の目的にかなった実際の実施形態は、添付の従属クレームに記述のとおりの特徴的特性を有する。
【発明の効果】
【0016】
従って、本発明によれば、紙または板紙製の包装容器中で食品を、包装し、その貯蔵寿命の延長を目的に熱処理する方法であって、当該方法が、前記食品の充填の前、および/または、前記食品の充填と関連して、前記包装容器に非酸化ガスを含有する気泡も充填し、この充填後に、サーモシーリングによって前記包装容器を閉じ、包装食品を熱処理に供し、閉じられた包装容器中でその貯蔵寿命を延長する工程を含む方法を実現する。本方法は、熱処理が少なくとも115℃の処理温度で実施されることを特徴とする。
【0017】
驚くべきことに、本発明によれば、少なくとも約115℃の処理温度、即ち、低温殺菌による熱処理が通常実施される温度(せいぜい約100℃、最も一般的には約72〜78℃)よりもかなり高い温度で熱処理が行われる場合に、前記包装容器を閉じ、密封した後、当該包装容器中の残留気泡が、効果的につぶされ、視覚的に消失できることが立証されている。
【0018】
少なくとも約115℃の処理温度で実施される熱処理は、せいぜい約100℃での従来の低温殺菌法に比較して、当該方法が、有害な細菌、いわゆる病原菌だけでなく、胞子などの耐熱性のより高い微生物も確実に根絶するのに十分に広範囲で強力であるという長所を享受する。かかる広範囲で有効な熱処理は、包装済み食品が、低めの温度でのより温和な熱処理よりもかなり長い、確実な貯蔵寿命を付与され、それによって、未開封の包装容器中での包装済み食品の実行可能な貯蔵寿命の間に、長めの時間をかけてトラップされた気泡をつぶし、消失させるという結果も伴う。
【0019】
ある好ましい実施形態によれば、前記包装済み食品の貯蔵寿命を延長する熱処理は、すでに利用可能な処理装置を使って、それ自体が既知の方法で、約120〜140℃の処理温度のレトルト中で実施される。レトルトでの熱処理は、処理対象の各バッチの必要処理時間を最短にするために、通常、回分式法に従って実施され、包装済み食品の一斉攪拌を実施し、当該食品への熱移行を速めることができる。
【0020】
本発明に従った方法を使った包装および熱処理の対象食品が、弾力的に成形可能な果実または野菜のスライスまたはぶつ切り、例えばパイナップル、リンゴ、モモなどのスライスまたはぶつ切りから成る、または、それらを含むような場合、最初に前記包装容器に前記ガス含有気泡を充填し、その後、かかる弾力的に成形可能な果実および野菜のぶつ切りを充填するのが適切である。この充填順序の利用は、特に角部分の前記包装容器の内壁と果実および野菜のぶつ切りの間に形成される空洞またはエアポケットに空気が意図的でないが、やむを得ずトラップされる場合があり、当該ぶつ切りが、その弾力性によって、かかる空気が充満した空洞およびポケットを密封トラップする可能性があるリスクを効果的に排除する。
【0021】
本発明に従った方法を使った包装および熱処理の対象食品が、肉、魚、果実または野菜の固形物であるが、わずかに弾力的に成形可能な物品またはぶつ切りから成る、またはそれらを含む他の場合、前記包装容器は、最初に、所望の充填の高さまでこれらの物品を充填でき、その際、前記ガス含有気泡を充填できる。
【0022】
前記包装容器に最初に気泡、次いで食品を、あるいは、逆に、最初に食品、次いで気泡を充填するか、あるいは、別法として気泡と食品を一斉に充填するかにかかわらず、本発明によれば、このすきまに空気が残るリスクを排除するために、サーモシーリングによって前記包装容器が密封される際に、当該包装容器中の食品の高さよりも上方のすきまに気泡を容器全体に充填することが重要である。
【0023】
本発明に従った方法を使った包装および熱処理対象となる食品が、特に、空気に短時間曝されると極端に急速な影響を受ける、あるいは、空気に短時間曝された後早くも外観を変化させる酸素ガス感受性食品、例えば、スライスした、刻んだ、または、つぶしたパイナップル、トウモロコシ、モモなどから成る、または、それらを含むような場合、前記包装容器への充填前にすでに、これらの食品を気泡コーティングで保護し、次いで、当該包装容器に当該食品をコーティングしたまま入れるのが好ましい。かかる保護気泡カバーは、洗浄、皮むきおよびスライスの直後に変化し易い食品容器全体を覆うことができ、それによって、当該食品は、コンベアベルトなどで、前記包装容器への充填まで全行程を、周囲空気と接触するリスクを伴わずに運搬することができる。
【0024】
気泡または起泡剤それぞれの選択は、本発明には重要ではないが、技術上既知の多数の気泡および起泡剤から選択できる。よって、当業者には、適切な起泡剤の選択は簡単である。しかし、好ましくは、本発明は、当該食品に対して想像し得る影響が最も少ないような気泡または非酸化ガスをそれぞれ選択する必要がある。使用可能な無制約の例は、窒素であるが、アルゴンなどの不活性ガスも、かかる利用可能なガスの別の例であることができる。
【0025】
本発明のさらなる目的、長所および詳細は、添付図面を参照することによって以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に従った方法における包装容器用の先行技術の紙または板紙ラミネートの断面概略図である。
【図2】本発明に従った方法での使用のための先行技術の包装容器の概略斜視図である。
【図3】本発明に従った方法の第一の実施形態の概略図である。
【図4】本発明に従った方法の第二の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、特に添付図面を参照して、以下に説明されるが、当該図面に示され、以下に説明されるこれらの実施形態のみに制限されるものではない。本発明が添付の特許請求の範囲に規定されているように、前記および以下の説明に従うことによって、本発明の概念から逸脱することなく、多数の様々な変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。
【0028】
図1は、本発明で利用可能な包装容器用の、それ自体が既知の包装ラミネートの断面の概略を示す。共通指示番号10で表示される包装ラミネートは、紙または板紙の層11、および、プラスチックの外側液密コーティング12および13を有し、当該プラスチックは、少なくとも120℃の温度での熱処理に耐えるだけの十分な耐熱性があり、同時に、サーモシーリングによる包装容器の製造に役立つ。外側コーティング12および13の両方に好ましいプラスチックは、ポリプロピレン(PP)である。包装ラミネート10は、一方のプラスチックコーティング12と紙または板紙の層11の間に、第一ガスバリア14と第二ガスバリア15を有し、これらは、接着剤層16を介して互いに、また、別の接着剤層17およびラミネート層18、好ましくはポリプロピレン(PP)、を介してそれぞれの隣接層12および11に連結される。かかる先行技術の包装ラミネートは、例えば国際公開番号WO2003/035503に記述されている。
【0029】
図1の包装ラミネート10から、食品が包装され、貯蔵寿命延長の目的で、所定の時間/温度順序に従って、例えば120〜140℃などの115℃よりも高い処理温度下、レトルト中で熱処理できる包装容器が、それ自体既知の方法で製造できる。ある典型的な、かかる包装容器は、図2に概略を図解され、共通参照番号20で示され、前記包装ラミネートの折畳成形およびサーモシーリングによって製造される容器である。この種の市販包装容器は、Tetra Recart(登録商標)の商標で既知である。
【0030】
図3は、本発明に従った方法の第一の実施形態を概略図解されている。図2に示されるタイプの開封包装容器30は、図中の太い矢印の方向に第一工程まで移動コンベアベルトで運搬される。この工程で、垂直下向きの矢印によって示される包装容器30に、非酸化ガスがトラップされた起泡剤のバブルまたはブリスターを含有する気泡を充填する。包装容器30は、図示のとおり、容器全体に充填可能であるが、必ずというわけではなく、特定の場合、包装容器30に一部だけを残して気泡を充填する程度で十分な場合がある。
【0031】
適切な充填の高さは、事例毎に、特に当該食品を考慮して決定できる。例えばパイナップル、リンゴ、モモなどのスライスまたはぶつ切りのような、特に、弾力的に成形可能な果実または野菜のスライスまたはぶつ切りを含むような特定のタイプの食料の場合、すでに言及されたように、気泡を包装容器30容器全体に充填することが必要な場合があるが、他のタイプの食品、例えば、肉、魚、果実または野菜のわずかに弾力的に成形可能な粒子またはぶつ切りの場合、包装容器30の一部に充填するだけで十分な場合がある。
【0032】
気泡および起泡剤それぞれの選択は、本発明にとって重要でないが、技術上既知の多数の気泡および起泡剤から選択できる。よって、当業者にとって、適切な起泡剤の選択は簡単である。しかし、好ましくは、本発明には、当該食品に対して想像し得る影響が最も少ないような泡または非酸化ガスの選択が必要である。ある無制約の、利用可能な非酸化ガスの例は窒素であるが、アルゴンなどの不活性ガスも、かかる利用可能なガスの別の例になり得る。
【0033】
気泡の導入充填後、そのように充填された包装容器30は、移動コンベアベルト31上を、図中の太い矢印の方向に第二工程まで運搬される。この工程で、包装容器30に、当該食品を所望の高さまで充填する。図3に示されるように、また、先の説明のとおり、包装容器30は、相当量の気泡の一斉強制排除中に、容器全体にではなく、当該包装容器の開いた上端よりも下の高さまで充填されるにすぎない。包装容器30中の選択された食品の高さよりも上のスペース、すきま、は、充填済み包装容器中に空気が必ず残らないようにするために、この食品充填後、好ましくは気泡を容器全体に充填する必要がある。
【0034】
食品充填作業後、気泡および食品を充填した包装容器30は、移動コンベアベルト31上を図中の太い矢印の方向に第三工程まで運搬され、そこで、充填済み包装容器30は、サーモシーリングによって閉じられる。包装容器30が第三工程に到達した際に、包装容器30内の食品の高さよりも上方のすきまが、何らかの理由で、気泡で完全に充満されない場合、包装容器30が密封される際にこのスペースに確実に気泡を容器全体に充填するために、包装容器30に追加の気泡を充填するのが適切または必要な場合がある。かかる気泡の補充は、例えば、第二工程で当該容器に充填された気泡が、第三工程への運搬中に内側で破裂し、または、つぶれる時間があったこと、あるいは、コンベアベルト31上で激しく振動する運搬のために、包装容器30の開いた上端から気泡がこぼれ出ることが原因で、必要な場合がある。
【0035】
第三工程でサーモシーリングによって閉じた後、食品および気泡を充填した密封済み包装容器30は、食品の貯蔵寿命を延長するために、少なくとも約115℃の処理温度で包装済み食品の熱処理用のその後の工程(熱処理)へ、図中の太い矢印の方向にさらに運搬される。食品の貯蔵寿命を延長するための熱処理は、好ましくは、約120〜140℃の処理温度のレトルト32中で当業者に周知の方法によって実施される。
【0036】
図4は、本発明に従った方法の第二実施形態を概略図解したものである。図2に示されるタイプの開封包装容器40は、移動コンベアベルト41上を、図示の矢印の方向に第一工程まで運搬される。この工程で、包装容器40に、垂直下向きの矢印によって示されるように、当該食品を所望の高さまで充填する。前述の理由で、包装容器40全体に充填するのは望ましくなく、当該開封包装容器の上端よりも下方の食品高さまで一部だけを残して充填するのが望ましい。
【0037】
食品の導入充填後、一部を残して充填された包装容器40は、図中の太い矢印の方向に第二工程までさらに運搬され(気泡)、当該工程では、食品の高さよりも上方の非充填すきまに、このすきまに存在する空気を一斉に強制排除する最中に気泡を全体に充填する。
【0038】
第一実施形態のように、前記気泡は、非酸化ガスがトラップされたバブル、ブリスターまたは起泡剤を含む。気泡または起泡剤それぞれの選択は、本発明には重要でないが、多数の技術上既知の気泡および起泡剤の中から選択可能である。よって、当業者にとっては、適切な起泡剤の選択は、簡単である。しかし、好ましくは、本発明は、当該商品に対して想像し得る影響が最も少ないような気泡および非酸化ガスの選択を必要とする。非酸化ガスのある好ましい例は、窒素であるが、アルゴンなどの不活性ガスも、本発明に従った方法で利用され得る。
【0039】
包装容器40は、サーモシーリングによる密封のために、第二工程から、図中の太い矢印の方向に第三工程まで移動コンベアベルト41上をさらに運搬される。包装容器40が第三工程に到達した際に、包装容器40中の食品の高さよりも上方のすきまが、何らかの理由で全体に充填されないと、包装容器40が密封される際にこのスペースが容器全体に充填されることを確実なものにするために、追加気泡を包装容器40に充填するのが適切または必要な場合がある。かかる気泡の補充は、例えば、第三工程で当該容器に充填された気泡が、第三工程への運搬中に内側で破裂し、または、つぶれる時間がすでにあったこと、あるいは、コンベアベルト41上で激しく振動する運搬のために包装容器40の開いた上端から気泡がこぼれ出ることが原因で必要となる場合がある。
【0040】
第三工程でサーモシーリングによって閉じた後、食品および気泡を充填した密封包装容器40は、食品の貯蔵寿命の延長を目的に、少なくとも約115℃の処理温度で包装済み食品の熱処理のためのその後の工程(熱処理)へ、図中の太い矢印の方向にさらに運搬される。食品の貯蔵寿命延長のための熱処理は、好ましくは、約120〜140℃の処理温度のレトルト42中で、当業者に周知の方法で実施される。
【0041】
本発明に従った方法での包装および熱処理の対象食品が、空気に短時間曝された後に早くも極めて急速に変色し、外観を変化させるスライス、刻みまたはつぶしパイナップル、トウモロコシ、モモなどの酸素感受性食品から成る、または、当該食品を含むような場合、前記包装容器に充填する前にすでに、周囲空気との接触から感受性食品を保護するのが好ましい。そのため、好ましくは、当該食品は、洗浄、皮むきおよびスライスの直後に感受性食品上に噴霧される気泡のカバーで覆われ、それによって、当該食品は、コンベアベルトなどで全行程を前記包装容器への充填まで、空気と接触するリスクを伴わずに運搬され得る。
【0042】
本発明は、図面で具体的に説明された実施形態を参照することによって詳細に説明されたが、これらの実施形態および詳細な内容のみに制限されるものではない。当業者にとっては、本発明が添付の特許請求の範囲に限定されるように、当該本発明の概念の範囲から逸脱することなく、多数の各種変更および変形が可能であることが明らかになる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に従った方法は、貯蔵寿命の延長を目的に、少なくとも115℃の処理温度下、例えば約120〜140℃でのかかる熱処理に食品が供されるレトルトなどで、熱処理が必要な包装容器中食品の包装において利用可能である。本発明に従った方法は、かかる熱処理およびその後の未開封の包装容器中での食品の貯蔵後に気泡が実質的に完全消失し、前記包装容器が開封された場合、もはや目に見えないという驚くべき長所を提供する。
【符号の説明】
【0044】
10 包装ラミネート
11 紙または板紙層
12 外側液密コーティング
13 外側液密コーティング
14 第一ガスバリア
15 第二ガスバリア
16 接着剤層
17 別の接着剤層
18 ラミネート層
20 包装容器概略図
30 開封包装容器
31 移動コンベアベルト
32 レトルト密封
40 開封包装容器
41 移動コンベアベルト
42 レトルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙または板紙製の包装容器(30;40)中に食品を包装し、および、食品の貯蔵寿命を延長することを目的とする熱処理する方法であって、前記方法が、前記食品の充填前および/または充填と同時に、前記包装容器(30;40)に非酸化ガスを含有する気泡も充填し、前記充填の後に、サーモシーリングによって前記包装容器(30;40)を密封し、密封包装容器(30;40)中の食品の貯蔵寿命を延長することを目的に、包装済み食品に熱処理を加える工程を含み、前記熱処理が少なくとも115℃の処理温度で実施されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記の貯蔵寿命を延長する熱処理が、120〜140℃の処理温度でレトルト(32;42)中で実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記包装容器(30)に、当該食品を充填する前に気泡を充填することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記包装容器(30)に、当該食品を充填する前に前記気泡を全体に充填することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記包装容器(30)に、前記食品よりも上方のすきま全体に気泡を充填するために、当該食品の充填後に必要に応じて追加気泡を充填することを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記包装容器(40)に、最初に所定の高さまで当該食品を充填し、次いで、前記食品の高さよりも上方のすきま全体に気泡を充填するために、前記気泡を充填することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
サーモシーリングによる前記包装容器(30;40)の密封の間、前記包装容器(30;40)中の食品の高さよりも上方の前記すきまが、気泡で完全に充填された状態を維持していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
当該食品、または、少なくともその特に酸素ガスに敏感な部分が、前記包装容器(30;40)への充填前にすでに前記気泡で覆われていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−517876(P2010−517876A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548191(P2009−548191)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000949
【国際公開番号】WO2008/094083
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】