説明

貴金属含有触媒、その製造方法、およびα,β−不飽和カルボン酸の製造方法

【課題】オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を高生産性で製造するための触媒、その触媒の製造方法、およびその触媒を用いるα,β−不飽和カルボン酸の製造方法を提供する。
【解決手段】球状のジルコニアに貴金属が担持されてなる貴金属含有触媒の存在下、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化することで、α,β−不飽和カルボン酸を製造する。上記貴金属含有触媒は、噴霧乾燥により球状のジルコニアをつくる工程と、前記ジルコニアに貴金属を担持させる工程とを含む方法により、好適に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するための貴金属含有触媒、その製造方法、およびα,β−不飽和カルボン酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α,β−不飽和カルボン酸は工業上有用な物質が多い。例えば、アクリル酸やメタクリル酸は合成樹脂原料などの用途に極めて大量に使用されている。
【0003】
α,β−不飽和カルボン酸を製造する方法として、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相中で酸化して製造する方法について研究がされている。オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相中で酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒として、例えば、特許文献1ではパラジウム含有触媒が提案されている。
【特許文献1】特開2004−141863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のパラジウム含有触媒を使用した液相中での酸化では、目的生成物であるα,β−不飽和カルボン酸の生産性が必ずしも十分ではない。生産性の改善は反応温度を上昇させることで可能であるが、特許文献1のパラジウム含有触媒を使用した場合、担体が反応液中に溶出するという問題があった。担体が反応液中に溶出すると、担持金属の脱落等も考えられるため、α,β−不飽和カルボン酸の生産性が十分ではなかった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を高生産性で製造するための触媒、その触媒の製造方法、およびその触媒を用いるα,β−不飽和カルボン酸の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒であって、球状のジルコニアに貴金属が担持されてなる貴金属含有触媒である。
【0007】
また、本発明は、前記触媒の製造方法であって、噴霧乾燥により球状のジルコニアをつくる工程と、前記ジルコニアに貴金属の原料を担持させる工程とを含む方法である。
【0008】
また、本発明は、前記の貴金属含有触媒の存在下、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を高生産性で製造可能な触媒を提供することができる。そして、その触媒を用いることで、α,β−不飽和カルボン酸を高生産性で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の貴金属含有触媒(以後、略して「触媒」ともいう。)は、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する(以後、略して「液相酸化」ともいう。)ための触媒であり、球状のジルコニアに貴金属が担持されてなるものである。
【0011】
本発明の触媒において、貴金属の担体として用いるジルコニアの形状は、球状である。球状のジルコニアであれば、破損、磨耗を起こしにくく、触媒担体として長期・連続的に使用できる。ジルコニアの形状は、SEM写真の観察により判断する。ここで「球状」とは、真球だけでなく、真球が少々歪んだものや、少々の凹凸がある略球状のジルコニアも含む。許容される歪みや凹凸の程度は、ジルコニアの長径/短径の比が1≦(長径/短径)<1.2であるが、1≦(長径/短径)<1.1であることが好ましい。ジルコニアの長径と短径はSEM写真を用いて測定できる。
【0012】
ジルコニアの平均粒径(メディアン径)は、5μm以上100μm未満が好ましく、20〜80μmがより好ましく、20μm以上70μm以下がさらに好ましいい。このような平均粒径を有するジルコニアは、触媒担体としてより優れた分散性を有する。この平均粒径は、水中にジルコニアを分散させ、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
【0013】
担体の比表面積は、100m2/g以上が好ましく、150m2/g以上がより好ましく、200m2/g以上であることがさらに好ましい。このような比表面積を有するジルコニアは、触媒担体としてより優れた分散性を有する。ジルコニアの比表面積は、分散性の観点からは大きくても構わないが、ジルコニアの強度および密度の観点から、400m2/g以下であることが好ましく、350m2/g以下であることがより好ましく、300m2/g以下であることがさらに好ましい。ここで、「比表面積」とは、窒素ガス吸着法を用いたBET式により算出したBET比表面積を意味する。BET式は、Langmuirの単分子層吸着理論を多分子吸着に拡張した理論であり、単位質量あたりの全表面積(全比表面積)を知ることができる。
【0014】
ジルコニアの細孔容積は特に限定されないが、0.1〜2.0cc/gが好ましく、0.2cc/g〜1.5cc/gがより好ましい。この細孔容積は、Micromeritics社製自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar3000(商品名)を用いて、窒素ガス吸着法に基づく定容法により測定した。この方法により測定可能な細孔径はおよそ1〜100nmの範囲であり、本発明で記載されている全ての細孔容積、細孔分布は相対圧(吸着平衡圧/飽和蒸気圧)を上昇させる方向での窒素吸着量の変化(吸着等温線)をもとに算出した。
【0015】
球状のジルコニアは、例えば転動造粒法、流動造粒法、噴霧乾燥法等で製造することができるが、なかでも、噴霧乾燥法がマイクロオーダーのジルコニアの製造方法として適している。噴霧乾燥法では、高温気流中に、原料であるジルコニウム成分を含むジルコニウム含有液(溶液、ペースト、懸濁液)を分散させ、噴霧機を通して噴霧乾燥することで球状のジルコニアが得られる。噴霧機は、ディスク式、ノズル式のどちらを用いてもよい。
【0016】
ジルコニウム含有液としては、特に限定されないが、例えば、硝酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム等のジルコニウム化合物を溶媒に溶解させた溶液、ジルコニア粉末を溶媒に分散させた懸濁液、ジルコニアゾル等を用いることができ、なかでもジルコニアゾルが好ましい。溶媒としては、例えば、水や、ベンゼン、トルエン、t−ブタノール、シクロヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸、プロピオン酸等の有機溶媒が適している。
【0017】
ジルコニアゾル中のジルコニア濃度は、特に限定されないが、ジルコニウム含有液中のジルコニア固形物濃度で5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。ジルコニア濃度が薄すぎると、製造したジルコニアの乾燥状態が低下する場合がある。逆に、ジルコニア濃度が濃すぎると、原液の粘性が増加し微粒化しにくくなる。
【0018】
ジルコニウム含有液の噴霧乾燥を行うにあたっては、適量のバインダーを添加することが好ましい。バインダーの添加により、得られるジルコニアの粒子間の付着が少なく、比表面積の大きいジルコニアを得ることができる。
【0019】
添加するバインダーは、特に限定されないが、例えば、溶媒に共存させることのできる有機高分子化合物、有機低分子化合物または無機化合物が使用できる。有機高分子化合物としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、多糖類などの水酸基含有ポリマーが挙げられる。有機低分子化合物としては、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコールが挙げられる。無機化合物としては、硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなどの金属塩、シリカゾル、アルミナゾルなどのゾルが挙げられる。なかでも、有機高分子化合物が好ましく、有機高分子化合物の中でも、PVA、PEG、多糖類が好ましい。これらのバインダーは、焼成過程で消失するものが良い。バインダーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
バインダーの添加量は、ジルコニウム成分(ジルコニウム化合物又はジルコニア)に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%の範囲がより好ましい。
【0021】
噴霧乾燥を行う際の送液量、熱風量、乾燥温度は、装置の形状や処理能力により適宜設定が可能であり、特に限定はない。一般的に、得られるジルコニアの粒子径は、ノズル式噴霧乾燥機を用いた場合ノズル径に依存し、ディスク式噴霧乾燥機を用いた場合ディスクのアトマイザー回転数に依存する。また、単位時間内の送液量が多いほど、または熱風量が小さいほど、噴霧液滴径が大きくなるため、得られるジルコニアの粒子径が大きくなる。また、単位時間内の送液量が少ないほど、または熱風量が大きいほど、噴霧液滴径が小さくなるため、得られるジルコニアの粒子径は小さくなる。さらに、乾燥温度が高いほど、乾燥粒かさ密度が小さくなり、得られるジルコニアが脆くなる。
【0022】
また、得られるジルコニアの比表面積を制御するためには、一般に、焼成温度、バインダー量、バインダー種を制御する必要がある。焼成温度が高すぎると比表面積は小さくなり、低すぎるとバインダーがジルコニア内に残る。バインダーは焼成により粒子外へ抜けるため、細孔が形成され比表面積が大きくなる。
【0023】
ジルコニウム含有液を噴霧乾燥した後に焼成することで、球状のジルコニアを得ることができる。焼成温度は、用いるバインダーの熱分解温度にもよるが、200〜800℃で行うのが好ましく、300〜600℃で行うのがより好ましい。焼成は、大気中で行うことができる。焼成時間は、0.5〜10時間が好ましく、1〜5時間がより好ましい。焼成に用いる装置は、特に限定されないが、通常のマッフル炉、ロータリーキルンなどで焼成することができる。
【0024】
本発明の触媒において、球状のジルコニアに担持される貴金属としては、例えば、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀、オスミウムを用いることができる。なかでも、パラジウムを用いることが好ましい。貴金属は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。貴金属含有触媒に含まれる貴金属元素の化学状態は特に限定されず、金属状態でも酸化状態でもよいが、高い触媒活性を示すことから貴金属元素は金属状態であることが好ましい。
【0025】
貴金属元素の担持率は、担持前の担体質量に対して1〜40質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、4〜20質量%が特に好ましい。
【0026】
なお、貴金属元素の担持率は、用いたジルコニア担体および貴金属元素の質量から算出することができる。用いたジルコニア担体および貴金属の質量は、以下の方法で測定できる。すなわち、貴金属含有触媒をテフロン(登録商標)製分解管に取り、濃硝酸、濃硫酸、塩酸および弗酸を加えてマイクロ波加熱分解装置で溶解し、蒸留水を加えて均一溶液として、ICPで試料溶液中のZr原子および貴金属原子を定量することで、ジルコニウム元素および貴金属元素の質量を得ることができる。
【0027】
本発明の触媒は、例えば、アンチモン、タリウム、鉛、テルル等の卑金属元素を含有していもよい。なかでも、テルル元素を含有することが好ましい。他の元素は、1種を含有してもよく、2種以上を含有してもよい。高い触媒活性を発現させる観点から、貴金属含有触媒に含まれる金属元素のうち、貴金属元素が50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
【0028】
本発明の触媒がパラジウム元素とテルル元素を含有する場合、パラジウム元素1モルに対するテルル元素のモル数(すなわちテルル元素とパラジウム元素のモル比:Te/Pd)を所定範囲にすることで、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸をより高生産性で製造することが可能な触媒となる。Te/Pdは0.005〜0.35がより好ましく、0.01〜0.3がさらに好ましい。
【0029】
このTe/Pdは、パラジウム担持触媒の製造に使用するパラジウム原料およびテルル原料の配合比等により調整可能である。
【0030】
本発明の触媒を製造するにあたっては、前述のようにして球状のジルコニアをつくった後、そのジルコニアに貴金属の原料を担持させる。
【0031】
貴金属の原料としては、貴金属元素の単体金属、貴金属元素を含む合金および化合物を用いることができる。なかでも、担体上に有用成分が高分散された高活性な触媒を簡便に調製できることから、原料としては貴金属元素を含む化合物が好ましい。
【0032】
パラジウム元素の原料は特に限定されず、パラジウム金属、パラジウム塩、酸化パラジウム等を挙げることができるが、なかでもパラジウム塩が好ましい。パラジウム塩としては、例えば、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物およびビス(アセチルアセトナト)パラジウム等を挙げることができるが、なかでも塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物が好ましく、硝酸パラジウムが特に好ましい。
【0033】
本発明の触媒が卑金属元素を含む場合、貴金属の原料と共にその貴金属の原料をジルコニアに担持させればよい。
【0034】
貴金属元素以外にテルル元素を含有する触媒を製造する場合に用いるテルル原料は特に限定されず、テルル金属、テルル塩、テルル酸およびその塩、亜テルル酸およびその塩、酸化テルル等を挙げることができる。テルル塩としては、例えば、テルル化水素、四塩化テルル、二塩化テルル、六フッ化テルル、四ヨウ化テルル、四臭化テルル、二臭化テルル等を挙げることができる。テルル酸塩としては、例えば、テルル酸ナトリウム、テルル酸カリウム等を挙げることができる。亜テルル酸塩としては、例えば、亜テルル酸ナトリウム、亜テルル酸カリウム等を挙げることができる。なかでもテルル酸およびその塩、亜テルル酸およびその塩、酸化テルルが好ましい。なお、テルル原料に含まれるテルル元素は、酸化状態でも還元状態でも金属状態でもよい。
【0035】
原料を担体に担持させる方法は、特に限定されないが、例えば沈澱法、イオン交換法、含浸法、浸漬法、沈着法等が挙げられる。
【0036】
また、貴金属元素の原料を担体に担持した後に熱処理して、貴金属酸化物が担体に担持された状態にしてもよい。熱処理温度の範囲としては、150℃〜800℃が好ましく、200℃〜700℃がより好ましい。熱処理時間は特に限定されないが、1時間から12時間の範囲が好ましい。
【0037】
そして、酸化状態の貴金属元素が担体に担持された状態で、還元剤で還元して貴金属含有触媒を製造することができる。
【0038】
用いる還元剤は特に限定されないが、例えば、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、水素、蟻酸、蟻酸の塩、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、アリルアルコール、メタリルアルコール、アクロレインおよびメタクロレイン等が挙げられる。還元剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。気相での還元では、還元剤として水素が好ましい。また、液相での反応では還元剤としてヒドラジン、ホルムアルデヒド、蟻酸、蟻酸の塩が好ましい。
【0039】
液相中での還元の際に使用する溶媒としては、水が好ましいが、担持型とする場合の担体の分散性によっては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸、n−吉草酸、イソ吉草酸等の有機酸類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類等の有機溶媒を単独または複数組み合わせて用いることができる。これらと水との混合溶媒を用いることもできる。
【0040】
還元剤が気体の場合、溶液中への溶解度を挙げるためにオートクレーブ等の加圧装置中で行うことが好ましい。その際、加圧装置の内部は還元剤で加圧する。その圧力は0.1MPa(ゲージ圧;以下圧力はゲージ圧表記とする)から1.0MPaの範囲が好ましい。
【0041】
また、還元剤が液体の場合、還元を行う装置に制限はなく、溶液中に還元剤を添加することで行うことができる。この時の還元剤の使用量は特に限定されないが、酸化状態の貴金属元素1モルに対して1〜100モルの範囲が好ましい。
【0042】
還元温度および還元時間は還元剤等により異なるが、還元温度は−5℃〜150℃が好ましく、15℃〜80℃以下がより好ましい。還元時間は0.1時間〜4時間が好ましく、0.25時間〜3時間がより好ましく、0.5時間〜2時間が特に好ましい。
【0043】
還元により調製した貴金属含有触媒は、水、溶媒等で洗浄することが好ましい。水、溶媒等での洗浄により、例えば、塩化物、酢酸根、硝酸根、硫酸根等の原料由来の不純物が除去される。洗浄の方法および回数は特に限定されないが、不純物によってはオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの液相酸化反応を阻害する恐れがあるため、不純物を十分除去できる程度に洗浄することが好ましい。洗浄された触媒は、ろ別または遠心分離などにより回収した後、そのまま反応に用いてもよい。
【0044】
また、回収された触媒を乾燥してもよい。乾燥方法は特に限定されないが、通常は乾燥機を用いて空気中または不活性ガス中で乾燥する。乾燥された触媒は、必要に応じて液相酸化反応に使用する前に活性化することもできる。活性化の方法には特に限定されないが、例えば、水素気流中の還元雰囲気下で熱処理する方法が挙げられる。この方法によれば、貴金属表面の酸化皮膜と洗浄で取り除けなかった不純物を除去することができる。調製した触媒の物性は、BET比表面積測定、XRD測定、COパルス吸着法、TEM測定、XPS測定等により確認できる。
【0045】
次に、本発明の貴金属含有触媒の存在下、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化して、α,β−不飽和カルボン酸を製造する方法について説明する。
【0046】
原料のオレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン等が挙げられるが、なかでもプロピレンおよびイソブチレンが好適である。オレフィンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。原料のオレフィンは、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等を少量含んでいてもよい。
【0047】
オレフィンから製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、オレフィンと同一炭素骨格を有するα,β−不飽和カルボン酸である。具体的には、原料がプロピレンの場合アクリル酸が得られ、原料がイソブチレンの場合メタクリル酸が得られる。また、オレフィンからは通常α,β−不飽和アルデヒドが同時に得られる。このα,β−不飽和アルデヒドは、オレフィンと同一炭素骨格を有するα,β−不飽和アルデヒドである。例えば、原料がプロピレンの場合アクロレインが得られ、原料がイソブチレンの場合メタクロレインが得られる。
【0048】
原料のα,β−不飽和アルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド(β−メチルアクロレイン)、シンナムアルデヒド(β−フェニルアクロレイン)等が挙げられる。なかでもアクロレインおよびメタクロレインが好適である。α,β−不飽和アルデヒドは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。原料のα,β−不飽和アルデヒドは、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等を少量含んでいてもよい。
【0049】
α,β−不飽和アルデヒドから製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、α,β−不飽和アルデヒドのアルデヒド基がカルボキシル基に変化したα,β−不飽和カルボン酸である。具体的には、原料がアクロレインの場合アクリル酸が得られ、原料がメタクロレインの場合メタクリル酸が得られる。
【0050】
液相酸化の原料としては、オレフィンおよびα,β−不飽和アルデヒドのいずれか一方だけを使用してもよく、両者の混合物を使用してもよい。
【0051】
液相酸化は連続式、バッチ式のいずれの形式で行ってもよいが、生産性を考慮すると工業的には連続式が好ましい。
【0052】
液相酸化に用いる分子状酸素の源は、空気が経済的であり好ましいが、純酸素または純酸素と空気の混合ガスを用いることもでき、必要であれば、空気または純酸素を窒素、二酸化炭素、水蒸気等で希釈した混合ガスを用いることもできる。このような分子状酸素を含有するガスは、通常オートクレーブ等の反応容器内に加圧状態で供給することが好ましい。
【0053】
液相酸化に用いる溶媒としては、例えば、t−ブタノール、シクロヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸、酢酸エチルおよびプロピオン酸メチルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機溶媒を用いることが好ましい。なかでも、t−ブタノール、メチルイソブチルケトン、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸およびiso−吉草酸からなる群から選ばれる少なくとも1つの有機溶媒がより好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸をより選択率よく製造するために、これら有機溶媒に水を共存させることが好ましい。共存させる水の量は特に限定されないが、有機溶媒と水の合計質量に対して2質量%〜70質量%が好ましく、5質量%〜50質量%がより好ましい。2種以上の溶媒の混合溶媒の場合、その溶媒は均一な状態であることが望ましいが、不均一な状態であっても差し支えない。
【0054】
液相酸化の原料となるオレフィンおよびα,β−不飽和アルデヒドの合計濃度は、反応器内に存在する溶媒に対して0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.5質量%〜20質量%がより好ましい。
【0055】
分子状酸素の使用量は、液相酸化反応の原料となるオレフィンおよびα,β−不飽和アルデヒドの合計1モルに対して0.1モル〜20モルが好ましく、0.2モル〜15モルがより好ましく、0.3モル〜10モルが特に好ましい。
【0056】
触媒は液相酸化を行う反応液に懸濁させた状態で使用することが好ましいが、固定床で使用してもよい。触媒の使用量は、反応器内に存在する溶液に対して0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.5質量%〜20質量%がより好ましく、1質量%〜15質量%が特に好ましい。
【0057】
液相酸化の反応温度および反応圧力は、用いる溶媒および反応原料によって適宜選択される。反応温度は30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。反応圧力は大気圧(0MPa)〜10MPaが好ましく、2〜7MPaがより好ましい。
【0058】
本発明の貴金属含有触媒を用いると、高生産性でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造できるメカニズムの詳細は不明であるが、以下のように推定している。従来の担体を使用した場合、担体の溶出が観測され、ひいては担持金属の脱落等も考えられるため、α,β−不飽和カルボン酸の生産性が十分ではない。また、その形状が歪状の凝集体であるため、反応中に凝集体がバラバラになり生産性が低下する。本発明のように球状のジルコニア担体を用いると、溶出、凝集体の分解が起こらず、α,β−不飽和カルボン酸の生産性が上昇する。さらに、担体として使用する球状ジルコニアの製造過程においてバインダーを添加することで得られる球状ジルコニアの比表面積が増加し、α,β−不飽和カルボン酸の生産性が上昇する。
【実施例】
【0059】
以下、本発明について実施例、比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。下記の実施例および比較例中の「部」は質量部である。
【0060】
Te/Pdと、担持率の算出に用いるパラジウム元素およびテルル元素の質量は、使用するパラジウム元素の原料におけるパラジウム含有率と配合量、使用するテルル元素の原料におけるテルル含有率と配合量から算出した。
【0061】
(XRD測定)
株式会社リガク製RU−200A(商品名)により測定した。測定条件は、X線:Cu−Kα/40kV/100mA、スキャンスピード:4°/minとした。
【0062】
(α,β−不飽和カルボン酸の製造における原料、生成物および副生物の分析)
生成するα,β−不飽和カルボン酸の生産性は以下のように定義される。
α,β−不飽和カルボン酸の生産性(g/g−Pd/h)=(A/B/C)×100
ここで、Aは生成したα,β−不飽和カルボン酸の質量(g)、Bは反応に使用したパラジウムの質量(g)、Cは反応時間(h)である。
【0063】
[実施例1]
(ジルコニア担体の調製)
ジルコニア濃度が20質量%のジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製、商品名:ZSL−20N)300gを攪拌下でノズル式噴霧乾燥機(本体直径20cm、処理能力1.3L/hr)を用いて噴霧乾燥した後、大気雰囲気下のマッフル炉により400℃で3時間焼成して、ジルコニア担体を得た。噴霧乾燥機の入口温度は190℃、出口温度は90℃、噴霧圧は0.05MPa、熱風量は0.7m3/min、液体ノズル径は711μm、気体ノズル径は1778μm、送液量は20g/minであった。
【0064】
得られたジルコニア担体の形状は球状であり、その平均粒子径は10.1μm、比表面積は42.1m2/g、細孔容積は0.21cc/gであった。
【0065】
(触媒調製)
テルル酸0.2152部に、その10倍の質量の蒸留水を加えて均一溶液とした。この均一溶液に、パラジウム溶液(N.E.ケムキャット製:23.41質量%硝酸パラジウム含有硝酸酸性水溶液)4.2717部を加えて、さらに合計5.00部となるまで蒸留水を加えた。
【0066】
上記の方法で得たジルコニア担体5.00部を上記溶液に浸漬し、エバポレーションを行った後、空気中200℃で3時間焼成を行った。得られた触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液20部に加え、70℃に加熱し、2時間攪拌保持した。吸引ろ過後、温水1000部でろ過洗浄して、ジルコニア担持型貴金属含有触媒を得た。
【0067】
この触媒のTe/Pdは0.10であった。この触媒におけるパラジウム元素の担持率は16.67質量%、テルル元素の担持率は1.75質量%であった。この触媒のXRD測定にて2θ=39.95度にピークが検出され、この触媒がパラジウム元素を含有することが確認された。
【0068】
(反応評価)
オートクレーブに、上記の方法で得た触媒のうち3.06部と、反応溶媒として86質量%t−ブタノール水溶液100部を入れ、オートクレーブを密閉した。次いで、イソブチレンを6.5部導入し、攪拌(回転数1000rpm)を開始し、110℃まで昇温した。昇温完了後、オートクレーブに窒素を内圧2.4MPaまで導入した後、圧縮空気を内圧4.8MPaまで導入した。反応中に内圧が0.20MPa低下した時点(内圧4.60MPa)で、酸素を0.20MPa導入する操作を繰り返し、酸素を合計1.8MPa導入した時点で反応を終了した。
【0069】
反応終了後、氷浴でオートクレーブ内を氷冷した。オートクレーブのガス出口にガス捕集袋を取り付け、ガス出口を開栓して出てくるガスを回収しながら反応器内の圧力を開放した。オートクレーブから触媒入りの反応液を取り出し、メンブランフィルターで触媒を分離して、反応液を回収した。回収した反応液と捕集したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、メタクリル酸の生産性を算出した。
【0070】
[実施例2]
(ジルコニア担体の調製)
ジルコニア濃度が20質量%のジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製、商品名:ZSL−20N)2kgを攪拌下でディスク式噴霧乾燥機(本体直径120cm、処理能力300L/hr)を用いて噴霧乾燥した後、大気雰囲気下の焼成炉により400℃で3時間焼成して、ジルコニア担体を得た。噴霧乾燥機の入口温度は280℃、出口温度は120℃、アトマイザー回転数18000rpm、送液量125ml/minであった。
【0071】
得られたジルコニア担体の形状は球状であり、その平均粒子径は29.6μm、比表面積は145.2m2/g、細孔容積は0.20cc/gであった。
【0072】
(触媒調製)
テルル酸0.2157部とその10倍の質量の蒸留水を加えて均一溶液とした。パラジウム溶液(N.E.ケムキャット製:23.63質量%硝酸パラジウム含有硝酸酸性水溶液)4.2468部を加えて、さらに合計5.00部となるまで蒸留水を加えた。
【0073】
上記の方法で得たジルコニア担体5.00部を上記溶液に浸漬し、エバポレーションを行った後、空気中200℃で3時間焼成を行った。得られた触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液20部に加え、70℃に加熱し、2時間攪拌保持した。吸引ろ過後、温水1000部でろ過洗浄して、ジルコニア担持型貴金属含有触媒を得た。
【0074】
この触媒のTe/Pdは0.10であった。この触媒におけるパラジウム元素の担持率は16.72質量%、テルル元素の担持率は1.75質量%であった。この触媒のXRD測定にて2θ=39.95度にピークが検出され、パラジウム元素を含有することが確認された。
【0075】
(反応評価)
実施例1と同様に実施した。
【0076】
[実施例3]
(ジルコニア担体の調製)
ジルコニア濃度が20質量%のジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製、商品名:ZSL−20N)300gと、予め純水100gにバインダーとしてポリエチレングリコール1.5gを溶解した溶液を、攪拌下で混合した。次に、この混合溶液をノズル式噴霧乾燥機(本体直径20cm、処理能力1.3L/hr)を用いて噴霧乾燥した後、大気雰囲気下のマッフル炉により400℃で3時間焼成して、ジルコニア担体を得た。噴霧乾燥機の入口温度は190℃、出口温度は90℃、噴霧圧は0.05MPa、熱風量は0.7m3/min、液体ノズル径は711μm、気体ノズル径は1778μm、送液量は20g/minであった。
【0077】
得られたジルコニア担体の形状は球状であり、その平均粒子径は10.0μm、比表面積は162.5m2/g、細孔容積は0.22cc/gであった。
【0078】
(触媒調製)
テルル酸0.2174部とその10倍の質量の蒸留水を加えて均一溶液とした。パラジウム溶液(N.E.ケムキャット製:23.97質量%硝酸パラジウム含有硝酸酸性水溶液)4.2077部を加えて、さらに合計5.00部となるまで蒸留水を加えた。
【0079】
上記の方法で得たジルコニア担体5.00部を上記溶液に浸漬し、エバポレーションを行った後、空気中200℃で3時間焼成を行った。得られた触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液20部に加え、70℃に加熱し、2時間攪拌保持した。吸引ろ過後、温水1000部でろ過洗浄して、ジルコニア担持型貴金属含有触媒を得た。
【0080】
この触媒のTe/Pdは0.10であった。この触媒におけるパラジウム元素の担持率は16.79質量%、テルル元素の担持率は1.75質量%であった。この触媒のXRD測定にて2θ=39.95度にピークが検出され、パラジウム元素を含有することが確認された。
【0081】
(反応評価)
実施例1と同様に実施した。
【0082】
[実施例4]
(ジルコニア担体の調製)
バインダーのポリエチレングリコールをプルランに変更した以外は、実施例3と同様に実施した。得られたジルコニア担体の形状は球状であり、その平均粒子径は10.3μm、比表面積は180.8m2/g、細孔容積は0.22cc/gであった。
【0083】
(触媒調製)
テルル酸0.2168部とその10倍の質量の蒸留水を加えて均一溶液とした。パラジウム溶液(N.E.ケムキャット製:23.97質量%硝酸パラジウム含有硝酸酸性水溶液)4.2156部を加えて、さらに合計5.00部となるまで蒸留水を加えた。
【0084】
上記の方法で得たジルコニア担体5.00部を上記溶液に浸漬し、エバポレーションを行った後、空気中200℃で3時間焼成を行った。得られた触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液20部に加え、70℃に加熱し、2時間攪拌保持した。吸引ろ過後、温水1000部でろ過洗浄して、ジルコニア担持型貴金属含有触媒を得た。
【0085】
この触媒のTe/Pdは0.10であった。この触媒におけるパラジウム元素の担持率は16.81質量%、テルル元素の担持率は1.75質量%であった。この触媒のXRD測定にて2θ=39.95度にピークが検出され、パラジウム元素を含有することが確認された。
【0086】
(反応評価)
実施例1と同様に実施した。
【0087】
[比較例1]
(触媒調製)
テルル酸0.1079部とその10倍の質量の蒸留水を加えて均一溶液とした。パラジウム溶液(N.E.ケムキャット製:25.60質量%硝酸パラジウム含有硝酸酸性水溶液)1.9531部を加えて、さらに合計2.50部となるまで蒸留水を加えた。
【0088】
市販のジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製、商品名:Z−1038、形状:歪状(凝集体)、平均粒子径:31.3μm、比表面積:70.9m2/g、細孔容積:0.20cc/g)5.00部を上記溶液に浸漬し、エバポレーションを行った後、空気中200℃で3時間焼成を行った。得られた触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液20部に加え、70℃に加熱し、2時間攪拌保持した。吸引ろ過後、温水1000部でろ過洗浄して、ジルコニア担持型貴金属含有触媒を得た。
【0089】
この触媒のTe/Pdは0.10であった。この触媒におけるパラジウム元素の担持率は16.70質量%、テルル元素の担持率は1.75質量%であった。この触媒のXRD測定にて2θ=39.95度にピークが検出され、パラジウム元素を含有することが確認された。
【0090】
(反応評価)
実施例1と同様に実施した。
【0091】
[比較例2]
(触媒調製)
テルル酸0.1074部とその10倍の質量の蒸留水を加えて均一溶液とした。パラジウム溶液(N.E.ケムキャット製:25.60質量%硝酸パラジウム含有硝酸酸性水溶液)1.9642部を加えて、さらに合計5.00部となるまで蒸留水を加えた。
【0092】
市販のジルコニア担体(第一稀元素化学工業社製、商品名:Z−1112、形状:歪状(凝集体)、平均粒子径:14.1μm、比表面積:99.2m2/g、細孔容積:0.10cc/g)5.00部を上記溶液に浸漬し、エバポレーションを行った後、空気中200℃で3時間焼成を行った。得られた触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液20部に加え、70℃に加熱し、2時間攪拌保持した。吸引ろ過後、温水1000部でろ過洗浄して、ジルコニア担持型貴金属含有触媒を得た。
【0093】
この触媒のTe/Pdは0.10であった。この触媒におけるパラジウム元素の担持率は16.75質量%、テルル元素の担持率は1.75質量%であった。この触媒のXRD測定にて2θ=39.95度にピークが検出され、パラジウム元素を含有することが確認された。
【0094】
(反応評価)
実施例1と同様に実施した。
【0095】
【表1】

【0096】
以上のように、本発明の貴金属含有触媒を用いることで、α,β−不飽和カルボン酸がより高い生産性で製造できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒であって、球状のジルコニアに貴金属が担持されてなる貴金属含有触媒。
【請求項2】
請求項1記載の貴金属含有担持触媒の製造方法であって、噴霧乾燥により球状のジルコニアをつくる工程と、前記ジルコニアに貴金属の原料を担持させる工程とを含む方法。
【請求項3】
請求項1記載の貴金属含有担持触媒の存在下、液相中でオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素で酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。

【公開番号】特開2009−297634(P2009−297634A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153997(P2008−153997)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】