説明

貴金属部品のゲルマニウム含有真空めっき法

【課題】貴金属部品のゲルマニウム含有真空めっき法の提供。
【解決手段】本貴金属部品のゲルマニウム含有真空めっき法は、(一)部品加工、(二)表層処理、(三)ゲルマニウムめっき処理、(四)チタンめっき処理、(五)気化処理、(六)製品組立の工程を少なくとも包含し、これにより大幅に環境汚染を低減し、並びに貴金属にゲルマニウム及びチタン元素の処理効果を具備させると共に、該ゲルマニウム及びチタン元素の物理特性を利用し、使用者の身体健康の向上を促進し、及び貴金属製品の付加価値と適用範囲を増加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の貴金属部品のゲルマニウム含有真空めっき法に係り、環境保護に役立ち、製品の付加価値と適用範囲を増加するゲルマニウム含有真空めっき法であって、貴金属にゲルマニウム及びチタン元素の処理効果を提供し、且つ該ゲルマニウム及びチタン元素の物理特性を利用し、使用者の身体の健康を促進し、及び貴金属の商業価値と適用範囲を増す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲルマニウム元素は、電磁波の遊離及び隔離、中和の物理特性を有し、特に摂氏32度の時にマイナス電子の遊離を発生し、医学上、すでにこの特性を利用して人体内のプラスマイナス電子を平衡させ、これにより人体血液の循環を促進し、さらに周知の事実として、これにより、近年、眼鏡のフレーム、ネックレス、ブレスレット等の貴金属部品の業者は、ゲルマニウム元素を含有するゲルマニウム含有ビーズ13を貴金属部品製品1の部品11に嵌め込み(図1、2の如し)、一方で着用者の装飾効果を達成し、また一方で養生効果を達成している。上述のゲルマニウム含有ビーズ13を嵌め込んだ周知の貴金属部品の製品1は、製品1の部品11には嵌め孔12が設けられ、該嵌め孔12に該ゲルマニウム含有ビーズ13が嵌め込まれるか接着され、その製造方法は、図3に示されるように、以下の工程を包含する。
(一)部品加工(工程21):型を用いて金属線材を裁断し、並びに製品1(例えばネックレス、ブレスレット、眼鏡フレーム)の部品11に成形する。
(二)組立(工程22):各部品11を組み合わせて半製品となす。
(三)ゲルマニウム含有ビーズ取り付け処理(工程23):ゲルマニウム含有ビーズ13を該半製品の部品11の嵌め孔12に嵌め込み、製品1を完成する。
【0003】
上述の周知の製造方法は、製品1がゲルマニウム元素の効果を有するものの、ゲルマニウム元素の価格は十分に高価であり、且つ嵌め込み作業は手作業で行われ、大量生産が容易でない。また、ゲルマニウム含有ビーズの分布が不均一であるため、往々にして使用効果に影響が生じる問題があった。これを鑑み、本発明者は特許文献1記載の発明をなしており、それは、上述の製造方法により製品を製造し、製造コストを低減し且つ大量にスピーディーに生産できる。ただし、この製造方法は、湿式電気めっきの方法であり、大量の水を使用し、その電気めっきの過程でCr、Ni、Zr、Sn及びその合金のような重金属を含む廃水と空気汚染の問題を発生し得て、特に、6価クロム、シアン化物は劇毒であり、効果な廃水処理を行っても残留物が存在し、長期に累積すると大きな害毒を形成する。さらに、湿式電気めっきの製品はその付着度のコントロールが容易でなく、製品のめっき膜分布が不均一となりやすく、高価なゲルマニウム原料を浪費することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、湿式電気めっきには環境汚染の欠点があり、この問題を解決するための既存の技術は、乾式めっき法である真空めっき法、なかでも、スパッタリング或いはイオンプレーティング(IP)である。その動作原理は、真空成膜装置内で、放電作用を利用してプラズマ作用を発生し、これにより金属ターゲットにその金属元素を遊離させてワークの表面に付着させ、金属間化合物膜を形成する。この技術はその他の単一金属めっき処理(たとえばチタン膜)において、広く使用されているが、真空めっき法を利用して、ゲルマニウム膜を基金属製品上に形成するのは、克服できない問題が存在する。すなわち、ゲルマニウムをターゲットとする技術が突破できておらず、また、既存の真空めっき法にはめっき不均一の問題があり、さらに、一次作業フロー中に多層の複合膜を形成できない。このほか、貴金属部品の製品は、各種の高雅な色に製造することが求められる傾向にあり、伝統的な真空めっき法では、有限な基本の色系しか提供できないことも問題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は一種の環境保護に役立ち製品付加価値を高める貴金属部品のゲルマニウム含有真空めっき法を提供する。その方法は、(一)部品加工、(二)表層処理、(三)ゲルマニウムめっき処理、(四)チタンめっき処理、(五)気化処理、(六)製品の組立の工程を少なくとも包含し、これにより大幅に環境汚染を低減し、並びに貴金属にゲルマニウム及びチタン元素の処理効果を具備させると共に、該ゲルマニウム及びチタン元素の物理特性を利用し、使用者の身体健康の向上を促進し、及び貴金属製品の付加価値と適用範囲を増加する。
【0006】
上述の本発明の方法によると、該ゲルマニウムめっき処理とチタンめっき処理の工程では、真空成膜装置の保持部の自転に回転盤の公転を組み合わせることで、該真空スパッタ装置の真空チャンバの四周に囲まれた複数のターゲットを設置し、ワークを全面的に包囲し、均一にめっきする。且つ異なる材料のターゲット(ゲルマニウム、チタン)の配置のした、一回の作業フロー中に、多層の複合膜を形成し、製品の底層ゲルマニウムめっき、表面チタンめっきの目的を達成する。
【0007】
本発明の方法によると、該気化処理の工程において、異なるガスを該真空成膜装置内に進入させることで、該チタン膜表面に各種の異なる表面色のチタン膜を形成し、市場の必要とする色に符合させ、例えば窒素ガスを加えることで、ローズゴールドカラーを形成し、二酸化炭素を加えることで、サファイヤカラーを形成し、アセチレンガスを加えることで灰色を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法は、貴金属部品(ネックレス、ブレスレット、眼鏡フレームなどの部品)に、ゲルマニウム含有、チタン含有めっきを形成でき、また、環境汚染の問題を解決でき、そのゲルマニウム含有の物理特性により、製品に人体体内のプラスイオン、マイナス電子の平衡を達成させ、また、各種の高雅な色の表面を形成でき、製品の付加価値と商業価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】周知の貴金属部品の立体図である。
【図2】周知の貴金属部品の断面図である。
【図3】周知の貴金属部品の製造方法のフローチャートである。
【図4】本発明の真空成膜装置の動作表示図である。
【図5】本発明の真空成膜装置の平面図である。
【図6】本発明のプラズマ作用エリアの動作表示図である。
【図7】本発明の方法のフローチャートである。
【図8】本発明のワークの断面図である。
【図9】本発明の製品の実施例の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の貴金属部品のゲルマニウム含有真空めっき法4は、図4から図7に示されるように、真空成膜装置3を利用して、その各工程を実行する。そのうち、該真空成膜装置3は、そのハウジング30の内部に真空チャンバ300が設けられ、その底部に真空ポンプモータ31が設けられ、該ハウジング30に少なくとも一つの給気管32が接続され、該真空チャンバ300の周囲に複数のターゲットシート37が環状に配設され、各ターゲットシート37は永久磁石に電磁石が結合されてなる磁石373にターゲット371が結合されて構成される(該ターゲット371は形成するめっきの違いにより、各種の異なる金属材料で形成され、例えばゲルマニウムターゲット、チタンターゲットとされ、各異なる材料のターゲット371は該真空チャンバ300の周囲に均等に分布し、これにより、複数のターゲット371が全面的に各ワーク50を包囲する。また、真空チャンバ300の底部に回転盤34が設けられ、該回転盤34に複数の保持手段35が設けられ、該保持手段35に該ワーク50が保持される。且つ該保持手段35はそれ自身が動力制御されて定時に正方向に自転或いは逆方向に自転し、並びに該回転盤34自他員の公転が組み合わされ、これにより、各ワーク50が保持手段35に保持される時、多方向に全面性のめっき処理効果が提供され、均一なめっき層が獲得される。
【0011】
上述の真空成膜装置3により、本発明の方法は、図7に示されるように、少なくとも以下の工程を包含する。
(一)部品加工工程(工程41):型を利用して金属材料を裁断し、並びに加工して半製品のワーク50(ネックレス、ブレスレット、眼鏡フレームなどの部品)を形成する。
(二)表層処理工程(工程42):ワーク50を酸洗、脱脂し、該ワーク50上の不必要な不純物を除去し、さらにワーク50を該真空成膜装置3中に入れる。
(三)ゲルマニウムめっき処理工程(工程43):ワーク50を保持手段35に設置し、電源ユニット33を駆動してゲルマニウムターゲットを具えたターゲットシート37の磁石373に通電し、それに磁場と電子の交互作用を発生させ、真空チャンバ300内でプラズマ作用エリアAを発生させ(図6のとおり)、該プラズマ作用エリアAの作用下でターゲット371(ゲルマニウムターゲットを指す)のターゲット面372よりゲルマニウム元素を蒸発させ、並びにワーク50の表面に付着させて、ゲルマニウム膜501を形成し(図8のとおり)、同時に、該保持手段35の定時の正、逆方向の自転に回転盤34の公転を組合せ、これによりゲルマニウム膜501に均一にワーク50表面を被覆させる。
(四)チタンめっき処理工程(工程44):ゲルマニウムめっき処理後、電源ユニット33を駆動してチタンターゲットを具えたターゲットシート37の磁石373に通電し、それに磁場と電子の交互作用を発生させ、真空チャンバ300内でプラズマ作用エリアAを発生させ(図6のとおり)、該プラズマ作用エリアAの作用下でターゲット(チタンターゲットを指す)のターゲット面372よりチタン元素を蒸発させ、並びにワーク50のゲルマニウム膜501表面に付着させて、チタン膜502を形成する(図8のとおり)。
(五)気化処理工程(工程45):ゲルマニウムめっき処理工程(工程43)中に、少なくとも一つの給気管32よりガス(例えばアルゴンガス)を通入し、該磁石373の通電後のプラズマ作用を誘発させ、チタンめっき処理工程(工程44)では、給気管32でガスを通入することで、該磁石373の通電後のプラズマ作用を誘発させるのみならず、ワーク50の表面に必要な色の違いにより、給気管32で異なるガスを通入することで、該ガスとチタン膜502に反応を発生させ、各種の異なる色のチタン膜502を生成させる(例えば給気管32より窒素ガスを通入するとローズゴールドカラーのチタン膜を生成できる。添加ガスの比率により、異なる色のチタン膜を生成可能である。)。
(六)製品組立工程(工程46):各めっき処理工程を終えたワーク50を組み合せて製品5となす(図9のとおり)。
【0012】
本発明の内容中、提出した具体的実施例は本発明の技術内容を説明するためだけのものであり、本発明は上述の実施例に狭義に制限されるものではなく、本発明の精神と以下の請求範囲を超越しない状況で数々の変化を実施可能であり、それらは本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0013】
1 製品
11 部品 12 嵌め孔
13 ゲルマニウム含有ビーズ
2 製造方法
21、22、23 工程
3 真空成膜装置 A プラズマ作用エリア
30 ハウジング 300 真空チャンバ
31 真空ポンプモータ
32 給気管 33 電源ユニット
34 回転盤 35 保持手段
37 ターゲットシート
371 ターゲット
372 ターゲット面
373 磁石
4 方法
41、42、43、44、45 工程
5 製品 50 ワーク
501 ゲルマニウム膜
502 チタン膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型を利用して金属材料を裁断し、並びに加工して部品半製品であるワークを形成する、部品加工工程と、
該ワークに対して、酸洗、脱脂を行なった後、該ワークを真空成膜装置中に入れる表層処理工程と、
該ワークを該真空成膜装置中の保持手段に設置し、該真空成膜装置の電源ユニットを駆動してゲルマニウムターゲットを具えたターゲットシートの磁石に通電し、プラズマ作用エリアを発生させ、該ゲルマニウムターゲットのターゲット面よりゲルマニウム元素を蒸発させ、並びに該ワークの表面に付着させて、ゲルマニウム膜を形成する、ゲルマニウムめっき処理工程と、
該電源ユニットを駆動してチタンターゲットを具えたターゲットシートの磁石に通電し、プラズマ作用エリアを発生させ、該チタンターゲットのターゲット面よりチタン元素を蒸発させ、並びに該ワークの表面に付着させて、チタン膜を形成する、チタンめっき処理工程と、
該ゲルマニウムめっき処理工程と、該チタンめっき処理工程中に、少なくとも一つの給気管よりガスを通入し、該磁石の通電後のプラズマ作用を誘発させる、気化処理工程と、 各めっき処理工程を終えた該ワークを組み合わせて製品となす、製品組立工程と、
を包含したことを特徴とする貴金属部品のゲルマニウム含有真空めっき法。
【請求項2】
請求項1記載の貴金属部品のゲルマニウム含有真空めっき法において、該気化処理工程中に、異なる種類のガスを該真空成膜装置内に通入することにより、チタン膜に反応を発生させ、各種の異なる表面色のチタン膜を形成することを特徴とする貴金属部品のゲルマニウム含有真空めっき法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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