説明

貸金庫システム

【課題】貸金庫システムの総重量を抑え、これまで困難であった階上店舗への設置を可能とする貸金庫システムを提供する。
【解決手段】保護箱を異なる最大積載重量の仕様に分け、その最大積載重量の情報を設定して記憶する貸金庫メインコントローラ14と、保護箱の重量を測定する重量センサユニット23と、重量センサユニット23で測定した保護箱の重量測定値と該保護箱に対応する貸金庫メインコントローラ14で記憶した最大積載重量の情報とを比較して、該保護箱の積載重量が最大積載重量以内であるか否かを判定するブース搬送コントローラ15と、を備える貸金庫システム1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貸金庫システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
貸金庫システムの一例としては、複数の顧客に対応してそれぞれ設けられ、各顧客の物品を格納するための複数の保護箱と、保護箱を収納するラックが設置された貸金庫室と、取り出し指示信号に基づいて開口し、返却指示信号に基づいて閉口する保護箱利用口と、保護箱を前記ラックと前記保護箱利用口との間で搬送する搬送手段と、各顧客が顧客確認情報を入力する操作部と、顧客確認情報の入力に基づき、搬送手段および保護箱利用口を制御する制御部と、前記保護箱利用口および前記操作部が設置され、顧客が保護箱を利用するブースと、を備えた構成のものが挙げられる(例えば、特許文献1−3参照)。
【0003】
従来から貸金庫システムでは、高さ寸法の異なる複数種別の保護箱が用意されており、契約時に保護箱に預ける顧客の物品に合わせて保護箱の種別が決定される。保護箱の最大積載重量については、前記搬送手段の許容荷重を考慮して保護箱の種別に関係なく一定に設定されており、例えば保護箱利用口などにおいて保護箱が重量オーバーしているか否かがチェックされる。
【特許文献1】特公平2−1956号公報
【特許文献2】特開2006−97434号公報
【特許文献3】特開2007−23668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金融機関の店舗が階上店舗などの場合は、床許容荷重に制限を受けやすいために貸金庫システムの総重量を抑える必要がある。しかしながら、従来の貸金庫システムでは、保護箱の種別に関係なく最大積載重量が一定であり、床荷重は総最大積載重量を負担することになって、階上店舗への設置が困難となりやすい。従来では、前記したように保護箱の最大積載重量は搬送手段の許容荷重のみ考慮したものであり、重量オーバーの判定機構も、単に最大積載重量となったときの保護箱の下方変位で作動するリミットスイッチを設けただけのものであり、重量値そのものを測定して判定するものではなかった。
【0005】
本発明は、貸金庫システムの総重量を抑えるために保護箱の最大積載重量に着目し、保護箱を重量による仕様に分け、この仕様ごとに適正な最大積載重量を設定可能にすることで、貸金庫システムの総重量を抑え、これまで困難であった階上店舗への設置を可能とする貸金庫システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、顧客の物品を格納する保護箱と、ブース内に設けられ、顧客が前記保護箱を利用するための保護箱利用口と、前記保護箱利用口と貸金庫室との間で前記保護箱を搬送するブース内搬送手段と、を備えた貸金庫システムであって、前記保護箱を異なる最大積載重量の仕様に分け、その最大積載重量の情報を設定して記憶する重量設定記憶手段と、保護箱の重量を測定する重量センサユニットと、前記重量センサユニットで測定した保護箱の重量測定値と該保護箱に対応する前記重量設定記憶手段で記憶した最大積載重量の情報とを比較して、該保護箱の積載重量が最大積載重量以内であるか否かを判定する重量比較判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この貸金庫システムによれば、保護箱を異なる最大積載重量の仕様に分け、その仕様ごとに適正な最大積載重量を設定可能とすることで、貸金庫システムの総重量を抑えることができる。したがって、床許容荷重に制限を受けやすい階上店舗など、重量の点で貸金庫システムを設置することが困難であった場所にも設置することが可能となる。
【0008】
また、本発明は、前記保護箱は高さ寸法の異なる複数の種別に分けられ、前記重量設定記憶手段はこの種別ごとに最大積載重量の情報を設定して記憶することを特徴とする。
【0009】
この貸金庫システムによれば、保護箱の高さに応じて最大積載重量を設定できるため、契約時の顧客にとっては保護箱の大きさと預ける予定の物品の大きさ、重量との関係が把握しやすくなって保護箱の種別の選択を容易に行える。
【0010】
また、本発明は、前記重量設定記憶手段を構成し、前記最大積載重量の情報として最大積載重量値と保護箱自体の重量値とを記憶する貸金庫メインコントローラと、前記重量比較判定手段を構成し、前記ブース内搬送手段を制御するブース搬送コントローラと、を備え、保護箱の顧客利用が終了したとき、前記貸金庫メインコントローラが、前記保護箱利用口のシャッタ閉命令と共に、該保護箱に対応する最大積載重量値と保護箱自体の重量値との重量合計値を前記ブース搬送コントローラに送信する第1ステップ、前記貸金庫メインコントローラからの送信を受け、前記ブース搬送コントローラが前記保護箱の重量測定値の送信を重量センサユニットに要求する第2ステップ、前記ブース搬送コントローラからの要求を受け、前記重量センサユニットが前記保護箱の現時点の重量測定値を前記ブース搬送コントローラに送信する第3ステップ、前記ブース搬送コントローラが、前記重量測定値と前記重量合計値とを比較し、前記保護箱の積載重量が最大積載重量以内であるか否かを判定する第4ステップ、前記保護箱の積載重量が、最大積載重量以内であるときには前記保護箱利用口のシャッタを閉めて前記保護箱を貸金庫室に返却し、最大積載重量を超えているときには前記シャッタを開けたままとし、警告を表示する第5ステップ、の各ステップをその順序で行うことを特徴とする。
【0011】
この貸金庫システムによれば、貸金庫システム全体の機器の制御を行う既存の貸金庫メインコントローラとブース内搬送手段の制御を行う既存のブース搬送コントローラとを利用するため、従来既存の貸金庫システムから本発明への改造が容易となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、床許容荷重に制限を受けやすい階上店舗など、重量の点で貸金庫システムを設置することが困難であった場所にも設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明が適用される貸金庫システムの一例を示す外観斜視図、図2はブース機器の構造図であって、(a)、(b)はそれぞれブース機器の外観斜視図、断面図である。先ずこれらの図を参照して貸金庫システム1全体の概略構造について説明する。図1において、符号2は顧客の物品を格納する保護箱を示す。顧客が利用するブース3は仕切り壁5を隔てて貸金庫室4に隣接しており、ブース機器6が仕切り壁5に接面するようにしてブース3内に設置されている。
【0014】
図2において、ブース機器6は、ブース情報装置7と保護箱利用口8とブース内搬送手段9とを備える。ブース情報装置7は、顧客がタッチパネルなどの入力方式で保護箱2の取り出しや返却の指示等を行う装置であって、その表示部7aはブース機器6の筐体6aの上部に設置されている。保護箱利用口8は筐体6aの上部に形成されており、通常時は閉じ、顧客が保護箱2を利用する際に開くスライド式のシャッタ8aが付設されている。顧客は、図2(b)に示すようにシャッタ8aの開いた保護箱利用口8を介し、保護箱2の蓋2aを開けて物品の出し入れを行う。
【0015】
ブース内搬送手段9は、保護箱利用口8と貸金庫室4との間で保護箱2を搬送する機能を担い、筐体6a内に設けられている。このブース内搬送手段9は、例えば貸金庫室4側と保護箱利用口8の直下周りとにわたって延設され、保護箱2を水平方向に搬送するコンベア9aと、このコンベア9aによって保護箱利用口8の直下まで搬送されてきた保護箱2を保護箱利用口8に臨むように昇降自在とするリフタ9bとを備えている。
【0016】
また、顧客がブース3に入室する際の認証装置として、図1に示すようにゲート装置10がブース3の入出ドア10a周りに設けられている。顧客は携帯した認証カードでゲート装置10を操作し、入出ドア10aのロックを解除してブース3に入室する。
【0017】
一方、貸金庫室4側においては、ラック11とスタッカクレーン12と庫内搬送手段13とが設けられる。ラック11は複数の保護箱2を上下方向および左右方向に並べて格納する。後記するように保護箱2は高さ寸法の違いにより複数の種別が存在するので、ラック11における各保護箱2の格納部の高さは保護箱2に合わせて形成されている。
【0018】
スタッカクレーン12は、ラック11の前面に沿って走行する本体12aと、本体12aに昇降自在に取り付けられ、ラック11からの保護箱2の格納や取り出しを行うキャリッジ12bとを有した構成からなる。庫内搬送手段13は、スタッカクレーン12と前記したブース内搬送手段9との間に介設されて両者間の保護箱2の受け渡し機能を担うものであり、具体的には保護箱2を水平方向に回転させて方向転換させたり、保護箱2を通すべく仕切り壁5の貫通口に設けた開閉扉(図示せず)を開閉するなどの機能を有する。これらスタッカクレーン12や庫内搬送手段13は公知構造のものでよいため詳細な説明は省略する。
【0019】
図3は本発明に係る貸金庫システムの一例を示す構成ブロック図である。本発明の貸金庫システム1は、保護箱を異なる最大積載重量の仕様に分け、その最大積載重量の情報を設定して記憶する重量設定記憶手段21と、保護箱の重量を測定する重量センサユニット23と、重量センサユニット23で測定した保護箱の重量測定値とこの保護箱に対応する重量設定記憶手段21で記憶した最大積載重量の情報とを比較して、保護箱の積載重量が最大積載重量以内であるか否かを判定する重量比較判定手段22と、を備える。
【0020】
図3に示した貸金庫システム1は、貸金庫メインコントローラ14、ブース搬送コントローラ15、スタッカクレーン12、庫内搬送手段13、重量センサユニット23、ブース内搬送手段9、ゲート装置10、モニタPC16、ブース情報装置7を備えており、貸金庫メインコントローラ14が重量設定記憶手段21を構成し、ブース搬送コントローラ15が重量比較判定手段22を構成する。
【0021】
「モニタPC16」
モニタPC16は店舗のオペレータが操作する端末装置であって、営業室などに設置される。モニタPC16では、顧客の新規契約や契約内容の変更、解約処理、利用状況、エラー内容の確認などの処理が行われる。本実施形態ではこのモニタPC16を利用して、保護箱の最大積載重量の入力設定を行う。図4にモニタPC16における最大積載重量の入力設定画面の一例を示す。この入力設定画面では、高さ寸法の違いにより保護箱の種別が8種類あることを示しており、各種別の数値は保護箱の高さ寸法を示している。例えば「60H」という種別は高さ寸法が60ミリメートルの保護箱であることを示す。各種別欄の横には最大積載重量を示す重量欄がレイアウトされており、オペレータはそれぞれの重量切替ボタン16aをクリックすることで、種別ごとに設定する最大積載重量を例えば「20Kg」、「15Kg」、「10Kg」のいずれかから選択する。勿論、設定できる最大積載重量は2段階や4段階以上でもよいし、或いは自由な数値を入力できるようにしてもよい。
【0022】
「貸金庫メインコントローラ14」
図3において、貸金庫メインコントローラ14は、貸金庫システム1全体の機器の制御を行うものであり、貸金庫室4(図1)に設置される。貸金庫メインコントローラ14には顧客の登録データや取引履歴データ、各種の設定データなどが保管されている。設定データとしては、例えば顧客がどの種別の保護箱を契約しているかなどのデータである。そして、モニタPC16における保護箱の最大積載重量の入力設定を受けて、重量設定記憶手段21としての貸金庫メインコントローラ14は、保護箱の最大積載重量の情報として最大積載重量値を記憶する。この「最大積載重量値」とはモニタPC16で入力設定した「20Kg」、「15Kg」、「10Kg」などの値そのものである。また、貸金庫メインコントローラ14には保護箱自体の重量値が記憶されている。この「保護箱自体の重量値」とは空の状態の保護箱の重量値であり、当然に高さ寸法の大きい保護箱ほどその重量値は大きい。例えば図4に示した種別「60H」の保護箱自体の重量値は2Kg、種別「140H」は3Kg、種別「200H」は4Kgなどである。
【0023】
「ブース搬送コントローラ15」
ブース搬送コントローラ15は、ブース内搬送手段9および重量センサユニット23の制御やシャッタ8a(図2)の開閉制御を行う。そして、重量比較判定手段22としてのブース搬送コントローラ15は、貸金庫メインコントローラ14に記憶されている「最大積載重量値」と「保護箱自体の重量値」との重量合計値と、重量センサユニット23で測定した保護箱の重量測定値とを比較し、重量測定値が重量合計値以内であるか否か、すなわち、保護箱の積載重量が最大積載重量以内であるか否かを判定する。このブース搬送コントローラ15は例えば図2に示すようにブース機器6に内蔵される。
【0024】
「重量センサユニット23」
図3において、重量センサユニット23としては、保護箱の重量を測定できるセンサを有していればその型式は特に限定されないが、高精度の測定値が得られるなどの理由から静電容量センサユニットが好適である。図5は静電容量センサユニットからなる重量センサユニット23の構成図である。重量センサユニット23は、センサ部23aと制御部23bとから構成される。制御部23bは、センサ部23aからの信号により静電容量を検出する静電容量検出部23b1、静電容量値を重量データ値に変換する重量演算部23b2、演算プログラムを格納したプログラムメモリ23b3、静電容量値を重量データ値に変換するための演算係数を格納する演算係数格納メモリ23b4、通信制御部23b5、電源部23b6などから構成される。前記演算係数は、予め重量が正確に判っている複数の重量物に対しその静電容量を測定することで、両者の相関関係から求める。通信制御部23b5は例えばRS485規格で上位ユニット(本実施形態ではブース搬送コントローラ15)と接続する。以上の重量センサユニット23は図2に示すようにブース機器6に内蔵され、具体的には保護箱2が載置されるリフタ9bの上部周りに取り付けられる。
【0025】
以下、図6を参照して貸金庫システム1の運用フローの一例を説明する。図6は貸金庫システム1の運用フロー図である。なお、以下の各フロー図での説明中、符号付きの構成要素については適宜に図1〜図5を参照されたい。
【0026】
ゲート装置10で顧客認証による受付がなされると、スタッカクレーン12および庫内搬送手段13により保護箱2が搬送される。ブース情報装置7での暗証番号入力などによりブース3での受付がなされると、保護箱2は、ブース内搬送手段9のコンベア9aによって保護箱利用口8の直下まで搬送される。保護箱利用口8の直下に搬送された時点で、重量センサユニット23の重量測定値が0kgにリセットされる。その後、保護箱2はブース内搬送手段9のリフタ9bに載置されて保護箱利用口8に臨むように上昇する。重量センサユニット23は、0Kgリセット後、リフタ9b上に保護箱2を載せた時点から保護箱2の重量を常時測定している。
【0027】
次いで、顧客がブース情報装置7でシャッタ8aを開く旨操作すると、保護箱利用口8のシャッタ8aが開く。保護箱2に新たな物品を入れるなどの利用後、顧客がブース情報装置7でシャッタ8aを閉じる旨操作すると、シャッタ8aを閉じる旨貸金庫メインコントローラ14が受け付け、貸金庫メインコントローラ14からブース搬送コントローラ15に、シャッタ閉命令とともに、その顧客の保護箱2に対応する最大積載重量値と保護箱自体の重量値との重量合計値が送信される。貸金庫メインコントローラ14からの送信を受け、ブース搬送コントローラ15が重量センサユニット23に現時点での重量測定値を送信するように要求する。保護箱利用口8のシャッタ8aが開いたままの状態で、ブース搬送コントローラ15からの送信を受け、重量センサユニット23は、現時点での保護箱2の重量測定値をブース搬送コントローラ15に送信する。ブース搬送コントローラ15は、それぞれ受信した重量測定値と重量合計値とを比較して、保護箱2の積載重量が最大積載重量以内であるか否かを判定する。
【0028】
保護箱2の積載重量が最大積載重量を超えている場合は、ブース情報装置7に例えば「貸金庫の収納物を減らしてください」などのメッセージを表示するとともに音声ガイダンスを流して顧客に注意を促し、シャッタ8aは開いたままとしておく。保護箱2の積載重量が最大積載重量以内である場合は、シャッタ8aが閉じて保護箱2が貸金庫室4に搬送され、フローが終了する。
【0029】
図7は、貸金庫メインコントローラ14とブース搬送コントローラ15と重量センサユニット23の三者間のデータ処理を示すフロー図である。貸金庫メインコントローラ14からブース搬送コントローラ15に保護箱受け取り命令が送信され(S11)、ブース搬送コントローラ15は保護箱受け取り処理を行う(S12)。受け取り処理とは保護箱2をリフタ9b上の重量センサユニット23まで搬送する処理である。保護箱2がコンベア9aによって保護箱利用口8の直下に搬送された時点で、ブース搬送コントローラ15から重量センサユニット23に0Kgリセット命令が送信され(S13)、重量センサユニット23は0Kgリセット処理を行う(S14)。S12の処理後、ブース搬送コントローラ15から貸金庫メインコントローラ14に保護箱受け取り完了の信号が送信され(S15)、貸金庫メインコントローラ14からブース搬送コントローラ15にリフタ9bの上昇命令が送信される(S16)。ブース搬送コントローラ15はリフタ9bの上昇処理を行い(S17)、上昇完了後、貸金庫メインコントローラ14にリフタ9bの上昇完了の信号が送信される(S18)。
【0030】
次いで、顧客の操作によりシャッタ8aを開く旨貸金庫メインコントローラ14が受け付けると(S19)、貸金庫メインコントローラ14からブース搬送コントローラ15にシャッタ開命令が送信される(S20)。ブース搬送コントローラ15はシャッタ開処理を行い(S21)、開処理完了後、貸金庫メインコントローラ14に開処理完了の信号が送信される(S22)。
【0031】
顧客の操作によりシャッタ8aを閉じる旨貸金庫メインコントローラ14が受け付けると(S23)、貸金庫メインコントローラ14からブース搬送コントローラ15に、シャッタ閉命令とともに、その顧客の保護箱に関して記憶した最大積載重量の情報が送信される(S24)。ブース搬送コントローラ15は重量センサユニット23に現時点での重量測定値を送信するように要求し(S25)、重量センサユニット23からブース搬送コントローラ15に重量測定値が送信される(S26)。ブース搬送コントローラ15はS24で受信した最大積載重量の情報とS26で受信した重量測定値とを比較判定する(S27)。
【0032】
S23以降の具体的な重量の比較判定方法について図8のフロー図を参照して説明する。保護箱2の顧客利用が終了したとき、貸金庫メインコントローラ14が、保護箱利用口8のシャッタ8aの閉命令と共に、該保護箱2に対応する最大積載重量値と保護箱自体の重量値との重量合計値をブース搬送コントローラ15に送信する(第1ステップS1)。
【0033】
貸金庫メインコントローラ14からの送信を受け、ブース搬送コントローラ15が保護箱2の重量測定値の送信を重量センサユニット23に要求する(第2ステップS2)。
【0034】
ブース搬送コントローラ15からの要求を受け、重量センサユニット23が保護箱2の現時点の重量測定値をブース搬送コントローラ15に送信する(第3ステップS3)。
【0035】
ブース搬送コントローラ15は、それぞれ受信した重量測定値と重量合計値とを比較して、保護箱2の積載重量が最大積載重量以内であるか否かを判定する(第4ステップS4)。
【0036】
保護箱2の積載重量が、最大積載重量以内であるときには(S4のYES)、保護箱利用口8のシャッタ8aを閉めて保護箱2を貸金庫室4に返却し、フローを終了する(ステップS5a)。最大積載重量を超えているときには(S4のNO)、シャッタ8aを開けたままとし、ブース搬送コントローラ15が最大積載重量を超えているという判定結果を貸金庫メインコントローラ14に送信する。ブース搬送コントローラ15からの送信を受け、貸金庫メインコントローラ14が警告表示命令をブース情報装置7に送信する。貸金庫メインコントローラ14からの送信を受け、ブース情報装置7は例えば「貸金庫の収納物を減らしてください」などのメッセージを表示するとともに音声ガイダンスを流すなどの警告を表示する。顧客は警告に基づき、保護箱2の中の収納物を減らし、シャッタ8aの閉操作を行い、S1に戻る(ステップS5b)。
【0037】
以上のように、保護箱2を異なる最大積載重量の仕様に分け、その最大積載重量の情報を設定して記憶する重量設定記憶手段21と、保護箱2の重量を測定する重量センサユニット23と、重量センサユニット23で測定した保護箱2の重量測定値とこの保護箱2に対応する重量設定記憶手段21で記憶した最大積載重量の情報とを比較して、保護箱2の積載重量が最大積載重量以内であるか否かを判定する重量比較判定手段22と、を備えた貸金庫システム1とすれば、以下のような効果が奏される。既述したように、従来の貸金庫システムでも保護箱の最大積載重量オーバーのチェックはしていたが、それは搬送手段の許容荷重を考慮したものであり、保護箱の高さ寸法の種別に関係なく全ての保護箱の最大積載重量が一定であったため、貸金庫システムの総重量が増大する傾向にあった。これに対して本発明によれば、保護箱2を異なる最大積載重量の仕様に分け、その仕様ごとに適正な最大積載重量を設定可能とすることで、貸金庫システムの総重量を抑えることができる。したがって、床許容荷重に制限を受けやすい階上店舗など、重量の点で貸金庫システムを設置することが困難であった場所にも設置することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態のように、保護箱2が高さ寸法の異なる複数の種別に分けられている場合、重量設定記憶手段21にこの種別ごとに最大積載重量の情報を設定して記憶させるようにすれば、保護箱2の高さに応じて最大積載重量を設定できるため、契約時の顧客にとっては保護箱2の大きさと預ける予定の物品の大きさ、重量との関係が把握しやすくなって保護箱2の種別の選択を容易に行える。
【0039】
ラック11の棚板の取り付け用穴を等ピッチで設け、保護箱の高さ寸法を棚板ピッチ寸法の整数倍から干渉防止の隙間を除いた寸法に設定して、保護箱の種別のマス構成を自由に変更できるようにした場合、本発明によれば、種別ごとに最大積載重量を設定可能なため、保護箱の種別のマス構成変更に伴う、設置後の貸金庫システムの総重量の大幅な増加が抑えられる。
【0040】
また、前記第1ステップS1〜第4ステップS4およびステップS5a、ステップS5bを行う構成とすれば、貸金庫システム1全体の機器の制御を行う既存の貸金庫メインコントローラ14とブース内搬送手段9の制御を行う既存のブース搬送コントローラ15とを利用するため、従来既存の貸金庫システムからの改造が容易となる。
【0041】
以上、本発明の最良の形態について説明した。重量センサユニット23で測定した保護箱2の重量測定値は他の目的に有効に利用することができる。例えば、測定した保護箱2の重量測定値を利用履歴として残し、物品の紛失や物品を取り出したことを忘れたときの証拠として利用することができる。その場合、顧客の秘密を守るという観点から、利用履歴である保護箱2の重量測定値は、ブース情報装置7の表示部7aにより顧客のみが閲覧可能とすることが望ましい。
【0042】
また、説明した形態では、保護箱利用口8のシャッタ8aを閉める時点で重量センサユニット23が測定した保護箱2の重量を利用しているが、保護箱2が保護箱利用口8に到着してシャッタ8aが開いた時点とシャッタ8aを閉める時点の両方での保護箱2の重量を利用履歴として残すようにしてもよい。このように保護箱2の利用前後の重量を測定して履歴として残すことにより、物品の紛失や取り出したことを忘れたときの有効な証拠にできる。
【0043】
さらに、保護箱利用口8のシャッタ8aが開いている間は、常時重量センサユニット23が測定している重量測定値をブース搬送コントローラ15に常時に送信するようにしてもよい。これによれば、設定された最大積載重量を超えた時点でリアルタイムに警告を出すことができるため、保護箱2の蓋2aを閉め、鍵をかける前に積載重量を超過していることが判り、顧客にとって無駄な操作をしなくて済む。
【0044】
また、保護箱2ごとに、保護箱返却時に測定した保護箱2の重量測定値を貸金庫メインコントローラ14に記憶させ、貸金庫全体の総重量を積算し、建物の床許容荷重に近づくと警告を発するようにしたり、床許容荷重に対する現時点での貸金庫の総重量の割合をモニタPC16などに表示するようにしてもよい。
【0045】
また、保護箱返却時に測定した保護箱2の重量測定値と、その保護箱2の種別と、ラック11の積載重量に基づき、ラック11の積載重量の偏りを緩和するように、返却する保護箱2のラック11への収納場所を変更するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明が適用される貸金庫システムの一例を示す外観斜視図である。
【図2】ブース機器の構造図であって、(a)、(b)はそれぞれブース機器の外観斜視図、断面図である。
【図3】本発明に係る貸金庫システムの一例を示す構成ブロック図である。
【図4】モニタPCにおける最大積載重量の入力設定画面の説明図である。
【図5】静電容量センサユニットからなる重量センサユニットの構成図である。
【図6】貸金庫システムの運用フロー図である。
【図7】貸金庫メインコントローラとブース搬送コントローラと重量センサユニットとの間のデータ処理を示すフロー図である。
【図8】保護箱の重量の比較判定方法に関するフロー図である。
【符号の説明】
【0047】
1 貸金庫システム
2 保護箱
3 ブース
4 貸金庫室
6 ブース機器
7 ブース情報装置
8 保護箱利用口
8a シャッタ
9 ブース内搬送手段
11 ラック
12 スタッカクレーン
13 庫内搬送手段
14 貸金庫メインコントローラ
15 ブース搬送コントローラ
21 重量設定記憶手段
22 重量比較判定手段
23 重量センサユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の物品を格納する保護箱と、
ブース内に設けられ、顧客が前記保護箱を利用するための保護箱利用口と、
前記保護箱利用口と貸金庫室との間で前記保護箱を搬送するブース内搬送手段と、
を備えた貸金庫システムであって、
前記保護箱を異なる最大積載重量の仕様に分け、その最大積載重量の情報を設定して記憶する重量設定記憶手段と、
保護箱の重量を測定する重量センサユニットと、
前記重量センサユニットで測定した保護箱の重量測定値と該保護箱に対応する前記重量設定記憶手段で記憶した最大積載重量の情報とを比較して、該保護箱の積載重量が最大積載重量以内であるか否かを判定する重量比較判定手段と、
を備えたことを特徴とする貸金庫システム。
【請求項2】
前記保護箱は高さ寸法の異なる複数の種別に分けられ、前記重量設定記憶手段はこの種別ごとに最大積載重量の情報を設定して記憶することを特徴とする請求項1に記載の貸金庫システム。
【請求項3】
前記重量設定記憶手段を構成し、前記最大積載重量の情報として最大積載重量値と保護箱自体の重量値とを記憶する貸金庫メインコントローラと、
前記重量比較判定手段を構成し、前記ブース内搬送手段を制御するブース搬送コントローラと、
を備え、
保護箱の顧客利用が終了したとき、前記貸金庫メインコントローラが、前記保護箱利用口のシャッタ閉命令と共に、該保護箱に対応する最大積載重量値と保護箱自体の重量値との重量合計値を前記ブース搬送コントローラに送信する第1ステップ、
前記貸金庫メインコントローラからの送信を受け、前記ブース搬送コントローラが前記保護箱の重量測定値の送信を重量センサユニットに要求する第2ステップ、
前記ブース搬送コントローラからの要求を受け、前記重量センサユニットが前記保護箱の現時点の重量測定値を前記ブース搬送コントローラに送信する第3ステップ、
前記ブース搬送コントローラが、前記重量測定値と前記重量合計値とを比較し、前記保護箱の積載重量が最大積載重量以内であるか否かを判定する第4ステップ、
前記保護箱の積載重量が、最大積載重量以内であるときには前記保護箱利用口のシャッタを閉めて前記保護箱を貸金庫室に返却し、最大積載重量を超えているときには前記シャッタを開けたままとし、警告を表示する第5ステップ、
の各ステップをその順序で行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貸金庫システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−90583(P2010−90583A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260619(P2008−260619)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(307011510)株式会社熊平製作所 (12)
【Fターム(参考)】