説明

貼付用のラベルの搬送ラインにおける不良ラベル回収装置及びラベル貼付装置

【課題】貼付用の表示ラベルの搬送ラインにおいて、台紙上の不良ラベルに極力負荷を加えない形で回収することができる低コストで実現可能な不良ラベル回収装置、及びラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】貼付用のラベル4の搬送ラインにおける不良ラベル回収装置であって、不良と判断された保持台紙3上のラベル4Bが付着する近傍部位に、台紙の搬送方向と傾斜交差する向きPに押圧力を付与して一時的に湾曲変形させ、その台紙部位に付着しているラベル4の先端部を剥離させるとともに、その搬送方向に逆行する方向からラベルの剥離部分に向かい、その剥離部分の直前で搬送方向に逆行しない順方向へ鋭角に方向変換する移動軌跡にて案内される回収台紙5に対し、搬送方向へ移動する不良ラベルの剥離部分をその移動に合わせて付着させた後、該不良ラベルの全体を保持台紙から切り離すようにして該回収台紙5に付着させることにより、不良ラベルを回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付用のラベルの搬送ラインにおける不良ラベル回収装置及びラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の剥離可能なラベルが所定間隔で付着した台紙をその長手方向に送り出すことにより、各ラベルを順次搬送していく搬送ラインを有した装置がある。例えば、上記搬送ラインによって台紙上の各ラベルを所定の貼付位置まで順次搬送して、その貼付位置において台紙からラベルを剥離し、別ラインから搬送されてくる所定の対象物に対し、剥離したラベルを順次貼付していくラベル貼付装置等である。こうした装置においては、搬送中のラベル列から不良ラベルを検出し、不良ラベルのみを該台紙から除去することが有効となる。不良ラベルが対象物に貼付される前に台紙から除去することができれば、不良ラベルが対象物に貼付されないため、不良ラベルの貼付された対象物から不良ラベルを剥がして除去する、あるいは不良ラベルの貼付された対象物ごと廃棄するといったような、後の無駄な処理を無くすことができるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−35555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、こうした不良ラベルを除去するだけでなく回収して、不良要因を解析したいという要望がある。この場合、不良ラベルを解析しやすい形で回収する回収機構が必要となるが、ラベル裏面は粘着性の接着面であるから、不良ラベルのみを順次摘出していく場合には、摘出した不良ラベル同士が互いの接着面によって付着し合う等、まともな形で回収できない可能性がある。また、回収機構の構成を極力簡素化して、コストを抑えることも重要であるし、解析精度を増すために、回収時に不良ラベルに加えられる負荷を極力低減することも重要である。
【0005】
特許文献1の場合は、不良ラベルを回収するにあたって、減圧装置を用いた吸着ドラムに一度吸着保持させ、これを所定位置まで回転する形で回収する構成を有する。このように不良ラベルを一度別の駆動装置を経由してから回収を行うような構成では、別の駆動装置(ここでは減圧装置)を設けた分だけコスト高となる。
【0006】
本発明の課題は、貼付用の表示ラベルの搬送ラインにおいて、台紙上の不良ラベルに極力負荷を加えない形で回収することができる低コストで実現可能な不良ラベル回収装置、及びその下流に配されるラベル貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の貼付用の表示ラベルの搬送ラインにおける不良ラベル回収装置は、
複数の貼付用の表示ラベルが剥離可能な帯状の保持台紙に所定の間隔でラベル列として付着して保持され、その帯状の保持台紙をその長手方向へ搬送する搬送ライン上でラベル列から不良のラベルのみを該保持台紙から除去・回収する不良ラベル回収装置であって、
搬送ラインに設けられ、保持台紙上のラベル列の各ラベルに不良があるかどうかを検査する不良検査装置と、
その不良検査装置で不良と判断されたラベルが付着している保持台紙の部位に、該台紙の搬送方向と交差する向きに該台紙を一時的に湾曲変形させる押圧力を付与し、その台紙部位に付着しているラベルの端部を剥離させる不良ラベル剥離装置と、
保持台紙の搬送方向に逆行する方向からラベルの剥離部分に向かい、その剥離部分の直前で搬送方向に逆行しない順方向へ鋭角に方向変換する移動軌跡で案内され、搬送方向へ移動する不良ラベルの剥離部分をその移動に合わせてまず付着させた後に該不良ラベルの全体を保持台紙から切り離すように付着させて回収する帯状の不良ラベル回収台紙と、
不良検査装置により不良ラベルが発見された際に、不良ラベル回収台紙を搬送ラインにおける保持台紙の搬送速度に対応する速度で搬送方向に逆行しない順方向へ駆動し、不良ラベルを保持台紙から該不良ラベル回収台紙へ付着させるように回収した後、不良ラベル回収台紙の駆動を停止して、次の不良ラベルの発見まで待機させる回収台紙駆動装置と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
上記本発明の構成によれば、保持台紙に対し一時的な湾曲変形を生じさせることにより該台紙上に付着している不良ラベルの一部が剥離され、その剥離部分が直接、不良ラベルの回収台紙に付着し、受け渡され、回収される。これにより、不良ラベルは回収用の台紙に付着した形で回収されるから、不良ラベルの解析が容易となる。また、不良ラベルが検出された時のみ回収台紙の搬送ラインが駆動するので、無駄な電力消費を抑制することもできる。
【0009】
さらに本発明の構成によれば、不良ラベルは、保持台紙から回収台紙へと直接的に受け渡される形で回収されるから、中間に受け渡しのための手段を経由しないし、また、不良ラベルを剥離する手段も、保持台紙を押圧する手段だけのシンプルな構成となる。よって、低コストでの実現が可能となる。
【0010】
また、本発明の構成によれば、回収台紙は、保持台紙の搬送方向に対し逆行する方向からラベルの剥離部分に向かい、その直前で鋭角に折り返すような移動軌跡を有する。不良ラベルは、保持台紙から剥離した面が搬送方向に徐々に広がる形で保持台紙の搬送方向側に押し出され、その先端が折り返した直後の回収台紙表面に付着し、保持台紙と回収台紙の駆動に伴い先端から順次付着面が広がっていく。そして、最終的には保持台紙から切り離され、回収台紙上に完全付着する。つまり、本発明の構成によれば、不良ラベルは、保持台紙から直線的に回収台紙に受け渡されるため、受け渡しがスムーズであり、受け渡しの際に不良ラベルに余計な負荷が加わることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の不良ラベル回収装置を備えるラベル利用装置の第一例を示す図。
【図1B】本発明の不良ラベル回収装置を備えるラベル利用装置の第二例を示す図。
【図2】本発明の一実施形態である不良ラベル回収装置の構成を示すブロック図。
【図3】不良ラベル回収部において不良ラベルを回収しないときの状態を簡略的に示す図。
【図4】不良ラベル回収部において不良ラベルを回収するときの状態を簡略的に示す図。
【図5】図4の剥離部分を中心とする拡大図。
【図6】不良ラベル回収部における不良ラベルの回収の流れを説明する図。
【図7】保持台紙の駆動処理の流れを示すフローチャート。
【図8】不良ラベルの回収処理の流れを示すフローチャート。
【図9】図3及び図4とは異なる実施形態の不良ラベル回収部において不良ラベルを回収しないときの状態を簡略的に示す図。
【図10】図9の実施形態の不良ラベル回収部において不良ラベルを回収するときの状態を簡略的に示す図。
【図11】本発明の一実施形態であるラベル貼付装置の構成を示すブロック図。
【図12】ラベル貼付部における良品ラベルの貼付の流れを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の不良ラベル回収装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
図1Aは、本発明の不良ラベル回収装置を有した制御システムの一例である。図1Aに示す制御システム100は、複数の貼付用のラベル4が剥離可能な形で所定間隔のラベル列として付着して保持されている帯状の保持台紙3を、その長手方向へ搬送する搬送ラインN上で、搬送されてくる保持台紙3上の各ラベル4に印字処理を施す印字部20と、印字後のラベル4から不良のラベル4Bのみ除去・回収する不良ラベル回収部30と、残余のラベル4Aを別途搬送されてくる所定対象物(例えば医薬品等の容器:図示なし)に対し順次貼付する貼付部40と、を備えたラベル貼付システムとして構成されている。保持台紙3を搬送する搬送ラインNは、保持台紙3をロール状に巻き取ったロールが装着されて該ロールを順次巻き出すことが可能となるよう回転可能に設けられた巻出軸部50Aと、印字部20内の搬送経路と、不良ラベル回収部30内の搬送経路と、貼付部40内の搬送経路と、これら各搬送経路を通過した保持台紙3を巻き取ってロール状に回収する巻取軸部50Bと、を備える。
【0014】
巻出軸部50Aは回転自在に取り付けられており、巻取軸部50Bによる保持台紙3の巻き取り回転に伴い該台紙3を巻き出す形で回転する。巻取軸部50Bは、制御部10により駆動制御される駆動部(ステッピングモータ)M2により回転駆動する。なお、ここでの巻出軸部50Aには、巻き出された保持台紙3に対し所定の張力を保つために、制御部10により駆動制御される駆動部(トルクモータ)M1によって保持台紙3の巻き出し方向とは逆向きのトルクが付与される。
【0015】
なお、ラベル4は貼付に供されるものであればよく、印字等による表示は無くともよい。例えば、上記のように視覚的に識別可能な表示ラベルの他にも、該表示ラベルにRFID(Radio Frequency Identification)タグが埋め込まれたRFIDタグ付きラベルでもよい。RFIDタグは、アンテナコイルとICチップを絶縁性の基材に設けた形で構成され、所定の情報をICチップに記憶可能で、該情報の書き込み及び読み出しが無線通信により可能な非接触型IDタグである。具体的には、アンテナコイルとICチップ、そして容量素子によって共振回路が形成されており、外部に設置された書込装置(ライタ)から電波(情報)を受信することでICチップにその情報を書き込むことができ、また、外部に設置された読取装置(リーダ)からの電波を受信することでICチップに記憶している情報を外部機器に返信することができる。
【0016】
また、ラベル4は、RFIDタグそのものがラベルとして形成されたRFIDラベルでもよいし、該RFIDラベルを別のラベル上に貼付したRFIDタグ付きラベルであってもよい。
【0017】
また、ラベル4に対しなされる印字等による表示は、文字・記号・図形のみならず、バーコードやQRコード等であってもよい。また、ラベル4は、表示の無いラベルでもよく、そのラベルにRFIDタグを埋め込む、あるいはそのラベルに上記RFIDラベルを貼付したRFIDタグ付きラベルであってもよい。
【0018】
図1Bは、本発明の不良ラベル回収装置を有した制御システムの別実施形態であり、上記したRFIDタグを備える複数のラベル4が剥離可能な形で所定間隔のラベル列として付着保持された帯状の保持台紙3を、その長手方向へ搬送する搬送ラインN’を有する。ここでの制御システム100’における保持台紙3の搬送ラインN’は、図1Aと同様の巻出軸部50Aと、RFIDに情報の書き込みを行う書込装置(ライタ)20’内の搬送経路と、不良ラベル回収部30内の搬送経路と、これら各搬送経路を通過した保持台紙3を巻き取ってロール状に回収する巻取軸部50Bと、を備える。ここでは、正常に情報が書き込まれたRFIDタグを有したラベルが貼付された保持台紙3が巻取軸部50Bにてロール状に回収される。
【0019】
なお、上記した本発明の不良ラベル回収装置を有した制御システムは、上実施形態に限られるものではない。例えば、ラベル4としてRFIDタグ付きの表示ラベルを用いる場合には、印字部20と書込部20’の双方を有して構成してもよいし、この場合に、図1Aのような貼付部40を設けてもよい。
【0020】
以下、図1Aや図1Bにて例示した制御システムに適用可能な本発明の不良ラベル回収装置の一実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、図1Aの制御システム(ラベル貼付システム)100を採用するものとする。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態である不良ラベル回収装置の電気的構成を簡略的に示したブロック図である。図2に示す不良ラベル回収装置300は、上記保持台紙3と、図1Aや図1Bのように保持台紙3を駆動する保持台紙駆動装置31と、図3及び図4に示す搬送ラインLの一部として設けられ、保持台紙3上でラベル列をなす各ラベル4に不良があるかどうかを検査する不良検査装置33と、その不良検査装置33で不良と判断されたラベル4Bが付着している保持台紙3の近傍部位3B(図6参照)に、該保持台紙3の搬送方向Xと交差する向きに該保持台紙3を一時的に湾曲変形させる押圧力を付与し、その台紙部位に付着しているラベル4の搬送方向X1の先端部4B1(図5参照)を剥離させる不良ラベル剥離装置34と、保持台紙3の搬送方向X1に逆行する方向Yからラベルの剥離された部分4B1に向かい、その剥離部分4B1の直前で搬送方向X1に逆行しない順方向Zへ鋭角に方向変換する移動軌跡で案内され、搬送方向X1へ移動する不良ラベル4Bの剥離部分4B1をその移動に合わせてまず付着させた後に該不良ラベル4Bの全体を保持台紙3から切り離すように付着させて回収する帯状の不良ラベル回収台紙(以下、回収台紙と称する)5と、不良検査装置33により不良ラベル4Bが発見された際に、回収台紙5を搬送ラインLにおける保持台紙3の搬送速度に対応する速度で搬送方向X1に逆行しない順方向Zへ駆動し、不良ラベル4Bを保持台紙3から該回収台紙5へ付着させるように回収した後、回収台紙5の駆動を停止して、次の不良ラベル4Bの発見まで待機させる回収台紙駆動装置32と、を含んで構成される。
【0022】
なお、不良と判断されたラベル4Bが付着している保持台紙3の近傍部位3Bとは、その不良ラベル4Bの貼付部分と、該貼付部分から上記搬送方向Xにおけるその不良ラベル4Bの1つ先のラベル位置までのラベル無し部分とを含む部位とする。本実施形態においては、上記近傍部位3Bとして、図6の左上図に示すように、不良と判断されたラベル4Bと、その不良ラベル4Bの1つの先で搬送されたラベル4との間に位置するラベル無し部分を定めている。ただし、不良ラベル4Bの1つ先のラベル位置とは、保持台紙3上に実際に存在しているラベルの位置のみならず、除去されたラベルが除去前に存在していた位置を含むものとする。
【0023】
保持台紙駆動装置31は、制御部10と、これに接続する保持台紙駆動部50(M1,M2)とを有して構成される。保持台紙駆動部50は、上述した駆動部(ステッピングモータ)M2と駆動部(トルクモータ)M1とであり、ここでは保持台紙3が、それに貼付されたラベル単位で間欠的に駆動するよう制御部10によって駆動制御される。
【0024】
回収台紙駆動装置32は、制御部10と、これに接続する回収台紙駆動部60(M4,M5)とを有して構成される。回収台紙駆動装置32において、回収台紙5をその長手方向に搬送する回収ラインRには、ロール状に巻き取られた回収台紙5が装着されて該回収台紙5を順次巻き出すことが可能となるよう回転可能に設けられた巻出軸部60Aと、予め定められた移動軌跡に沿って回収台紙5を移動させるための回転自在に設けられたガイドローラ38A〜38Cと、上記移動軌跡に沿って移動した回収台紙5を巻き取ってロール状に回収する巻取軸部60Bとが設けられる。巻出軸部60Aは回転自在に取り付けられており、巻取軸部60Bによる回収台紙5の巻き取り回転に伴い該台紙5を巻き出す形で回転する。巻取軸部60Bは、制御部10により駆動制御される回収台紙駆動部(ステッピングモータ)M5により回転駆動する。なお、ここでの巻出軸部60Aには、巻き出された回収台紙5に対し所定の張力を保つために、制御部10により駆動制御される別の回収台紙駆動部(トルクモータ)M4によって回収台紙5の巻き出し方向とは逆向きのトルクが付与される。
【0025】
不良検査装置33は、図3及び図4に示す不良ラベル回収装置300の搬送ラインL上に定められた所定の検査領域k内に進入したラベル4に対し予め定められた不良検査を行うものであり、保持台紙3上のラベル4から予め定められた検査情報を取得する検査情報取得部70と、その検査情報に基づいてラベル4の良否判定を行う制御部10とを有して構成される。ここでは検査情報取得部70をなす検査カメラにより検査情報として撮影画像が取得され、該撮影画像に基づいて、保持台紙3上のラベル4が不良であるか否かを判定する画像検査が実施される。
【0026】
不良検査としては、例えば、ラベル4における表示欠陥(印字不良・印刷不良)、外形欠陥(サイズ違いや欠損、破損等)、貼付位置欠陥(保持台紙3上での位置ズレ)等の有無の判定等が行われる。具体的に言えば、検査カメラ70により撮影されたラベル画像を、制御部10が自身の所定の記憶部に格納されている基準画像と比較する形で画像一致率を算出し、これが基準一致率(例えば97%等)を上回るか否かにより印刷不良・外形欠陥・貼付位置欠陥等の不良の有無を判定する。また、検査カメラ70により撮影されたラベル画像内において、制御部10が、文字・記号などが表示される所定表示領域を特定し、特定された領域に対し周知の光学文字認識処理(OCR:Optical Character Recognition)を実施して、認識された文字や記号が、本来表示されるべき文字や記号と一致するか否かを判定する印字不良等の不良検査を行う。特に図1Aのような印字部20を備える場合、印字された日付等の数字や文字に一部でも欠けた部分が存在するだけで誤って別の数字や文字に読み取られる可能性がある。例えば数字の「7」の一部が欠けて「1」に見えたり、数字の「8」の一部が欠けて「5」に見える等である。上記光学文字認識処理によりこれらの印字不良を生じたラベルを不良と判定する。
【0027】
不良ラベル剥離装置34は、不良ラベル回収装置300内の搬送ラインLにおいて直線状に搬送される保持台紙3に対しラベル4とは逆側の裏面側から押圧力を付与する押圧部材81と、該押圧部材81を駆動する押圧駆動部80(ステッピングモータM3)と、該駆動部M3を駆動制御する制御部10とを有して構成される。ここでは、駆動部80をなすモータM3の回転出力を、直線運動に変換する周知の変換機構(図示なし:例えば周知のラック・アンド・ピニオン等のギア機構)によって変換し、押圧部材81を直線的に駆動させる。不良ラベル4Bが発見された際には、押圧部材81を駆動して、その先端部81aが保持台紙3の湾曲変形区間の両端位置に設けられた双方の湾曲変形支持部材36,36の間を通過させ、所定の剥離位置Qまで直線移動させる。これにより、保持台紙3がラベル4とは逆側の裏面側から押圧されて、保持台紙3には山形の湾曲変形が生じ、その頂上部分に向けて移動するラベル4が該頂上部分を越える際にその先端側から順次剥離されていく。
【0028】
ここで、図3及び図4を用いて、本実施形態の不良ラベル回収装置300における保持台紙3の搬送ラインLについて説明する。
【0029】
不良検査装置33において不良ラベル4Bが発見されていない状態における搬送ラインLは、図3に示すように、系外から進入する帯状の保持台紙3をその長手方向へと搬送するラインであり、ここでは直線状をなす。ただし、保持台紙3が多少の波打つ形状であってもよい。この直線状の搬送ラインLを支持する支持部35は少なくとも2以上設けられており、本実施形態においては、保持台紙3の搬送方向Xにおける湾曲変形区間W(図5参照)の手前側と奥側との双方に設けられている。ここでの支持部35,35は、同一平面上に位置する各々の主表面35a,35a上に、保持台紙3のラベル4とは逆側となる裏面が面接触する形で、該保持台紙3が支持されている。これにより、直線状の搬送ラインLが安定する。また、本実施形態においては、保持台紙3の湾曲変形区間Wの両端位置に設けられた双方の湾曲変形支持部材36,36も、保持台紙3のラベル4側となる表面に対し接触しており、上記直線状の搬送ラインLを支持する支持部として機能している。さらに、不良検査装置33において不良ラベルが発見されていない状態においては、上記押圧部材81の先端部81aの押圧先端面も、保持台紙3の裏面に対し接触するようにして、この押圧部材81も、上記直線状の搬送ラインLを支持する支持部として機能させてもよい。
【0030】
他方、不良検査装置33において不良ラベル4Bが発見され、発見された不良ラベル4Bを回収する状態の搬送ラインLは、図4に示すように、湾曲変形区間Wにおいて、保持台紙3が押圧部材81により押圧され、保持台紙3の搬送経路が湾曲変形する。
【0031】
本実施形態においては、保持台紙3の湾曲変形区間Wのうち、搬送方向Xにおける区間両端位置に湾曲変形支持部材36,36の先端部36a,36aがそれぞれ対向する形で位置し、該湾曲変形区間Wの中間位置にて保持台紙3において、押圧部材81が当該区間W内の保持台紙3を押圧する。保持台紙3が押圧された際には、湾曲変形支持部材36,36の先端部36a,36aは、湾曲変形した保持台紙3をその表面側から支持し、当該湾曲変形の起点となる。これにより、湾曲変形区間が搬送ライン上の所定位置に固定的に定められる。また、押圧部材81は、所定の待機位置Tから所定の剥離位置Qまでの間を往復動作するように構成されており、剥離位置Qが固定的に定められていることで、保持台紙3の湾曲形状が一定となっている。これにより、保持台紙3から剥離される直前のラベル4Bの進行方向(回収台紙5に達するまでに進む方向)のばらつきを軽減できる。
【0032】
なお、図5に示すように、湾曲変形区間Wに位置する保持台紙3において、押圧部材81による押圧力により上記した所定の剥離位置Qまで押し込まれた部分の、上記搬送方向Xにおける手前側の部位と奥側の部位とのなす角度θ4が、90度以上120度以下となるように、湾曲変形支持部材36の先端部36a,36aの位置及び押圧部材81の先端部81aの剥離位置Qが決められている。
【0033】
また、湾曲変形区間Wに位置する保持台紙3において、押圧部材81による押圧により上記した所定の剥離位置Qまで押し込まれた部分の、上記搬送方向Xにおける手前側の部位と、これに隣接する当該湾曲変形区間Wから外れた区間の部位とのなす角度θ2が40度以上65度以下となるように、湾曲変形支持部材36の一方の先端部36aと及び押圧部材81の先端部81aの剥離位置Qが決められている。
【0034】
また、湾曲変形区間に位置する保持台紙3において、押圧部材81による押圧により上記所定の剥離位置Qまで押し込まれる部分の、上記搬送方向Xにおける奥側の部位と、これに隣接する当該湾曲変形区間から外れた区間の部位とのなす角度θ3が15度以上25度以下とされている。
【0035】
保持台紙3の湾曲形状が上記したような角度範囲内で形成されることにより、不良ラベル4Bの保持台紙3からの剥離が滑らかに行われ、不良ラベル4Bへの負荷が軽減される。
【0036】
さらに、押圧部材81による保持台紙3の押圧方向Pは、保持台紙3の搬送方向Xに対し逆方向に向かって交差する方向である。具体的には、図5に示すように、押圧方向Pと搬送方向Xのなす角のうち、搬送方向Xの手前側の角度θ1が90度以上120度以下、より望ましくは107度以上113度以下と定められると良い。ここでは110度と定められている。このような角度で保持台紙3が押圧されることにより、保持台紙3に付着するラベル4を剥離した際のラベル4の剥離が安定するとともに、剥離されたラベル4が回収台紙5に達するまでの進行方向のばらつきが軽減されて、回収台紙5に安定して付着される。
【0037】
なお、湾曲変形支持部材36の先端部36aは、剥離位置Qに達した押圧部材81の先端部81aに向けて傾斜する傾斜面をなす形で形成される。保持台紙3の湾曲変形の起点となる先端部36aが、上記のような傾斜形状となっていることで、この先端部36aを摺動する保持台紙3への負荷が軽減される。ここでの湾曲変形支持部材36の先端部36aは円柱状をなし、搬送方向X及び保持台紙3の主表面との双方に対し軸線が直交する形で配置され、保持台紙3との接触面が湾曲した傾斜面となっている。また、ここでの湾曲変形支持部材36,36は、搬送方向Xにおいて互いに対向するそれぞれの円柱状先端部36a,36aから、その対向方向とは逆向きに、かつ搬送方向Xと平行にそれぞれが延びる後端部36b,36bを有する。後端部36b,36bは、円柱状先端部36a,36aの直径よりも薄い板状部材36b,36bであり、先端部36a,36aに対し一体(例えば溶接固定)に形成されている。
【0038】
また、本実施形態における押圧部材81も、板状部材81bと、その先端にて保持台紙を押圧する部位となる円柱状先端部81aとが一体(溶接固定)形成されたものである。板状部材81bは、円柱状先端部81aの直径よりも薄くなっている。
【0039】
次に、図3及び図4を用いて、本実施形態の不良ラベル回収装置300における回収台紙5の搬送ラインRについて説明する。
【0040】
巻出軸部60Aから巻き出された回収台紙5は、ガイドローラ38C、38A,38Bによりガイドされ、これらを順次経由して巻取軸部60Bに巻き取られる。巻取軸部60Bにおいては、不良ラベル4Bが付着した回収台紙5をより密なロール状に回収するために、該回収台紙5は、押付部材39に接近する方向に付勢されて、なおかつ回転自在に設けられた押付部材39により、巻取軸部60Bに押し付けられる形で巻取軸部60Bに巻き取られる。
【0041】
ガイドローラ38Aは、保持台紙3の搬送方向Xに逆行する方向Yからラベル4の剥離部分に向かう回収台紙5を、その剥離部分の直前で搬送方向Xに逆行しない順方向Zへ鋭角に方向変換させる鋭角方向変換部として機能する。本実施形態においては、回収台紙5が鋭角に方向転換する部分の該鋭角角度θ5が30度以上55度以下とされている。なお、ガイドローラAは、必ずしも回転自在なローラでなくともよく、上記角度で回転台紙5を方向変換させる湾曲面を有した非回転部であってもよい。
【0042】
また、ガイドローラ38Aは、上記湾曲変形区間Wにおいて、不良ラベル4Bが発見されていない状態で搬送ラインLを流れる保持台紙3の主表面と対向しており、このガイドローラ38Aにて鋭角に方向添加する回収台紙5の部位もまた同様に保持台紙3の主表面と対向する形で位置している。また、湾曲変形区間Wに位置する保持台紙3において押圧部材81により上記した所定の剥離位置Qまで押し込まれた湾曲部分の、上記搬送方向Xの手前側部位における不良ラベル4Bの搬送方向X1と、回収台紙5において順方向Zへ鋭角に方向変換された直後の部位における不良ラベル4Bの搬送方向Zとが同一方向を向くように設けられる。これにより、不良ラベル4Bの保持台紙3から回収台紙5への受け渡しがスムーズになる。
【0043】
また、本実施形態においては、不良ラベル4Bの先端部分4B1が保持台紙3から回収台紙5に受け渡されて付着する際に、その付着状態がより強固なものとなるよう、回収台紙5において順方向Zへ鋭角に方向変換された直後のラベル付着部位に対し、近接対向する押付部材37が設けられている。押付部材37は、回収台紙5側に付着した不良ラベル4Bの少なくとも一部を押し付け、そのときの接触摩擦により回転可能となるよう所定軸線周りに回転自在に設けられた円柱状の部材である。ここでは、押圧部材81により保持台紙3が押圧される方向Pに、円柱状の押付部材37の外周面が対向して位置する。これにより、保持台紙3から剥離した不良ラベル4Bが回収台紙5側ではなく、押付部材37側に反り返って剥離されてしまった場合でも、押付部材37の外周面に接触することで回収台紙5の所定の付着位置へと促され、問題なく回収台紙5に付着させることができる。
【0044】
次に、図7及び図8に示すフローチャートとを用いて、本実施形態の不良ラベル回収装置300において、不良ラベル4Bを保持台紙3から回収台紙5へ受け渡して回収させる処理について説明する。
【0045】
まず、保持台紙3の駆動処理について、図7を用いて説明する。
【0046】
保持台紙3の駆動処理は、制御部10がオペレータによる駆動終了操作の入力を受け付ける、あるいは所定の緊急停止信号の入力を受け付けることで終了するが(S1:Yes)、それらがない限り継続的に実施される(S1:No)。制御部10は、保持台紙3をそれに貼付されたラベル単位で間欠的に駆動するものであり、駆動部50(M1,M2)を駆動して、停止中の保持台紙3の移動を開始させるとともに(S2)、所定の駆動時間が経過した後に(S3:Yes)、駆動部50(M1,M2)を停止する(S4)。停止中、ラベル4の1つが搬送ラインL上の検査領域k内に位置しているため、この間に制御部10は上記した不良検査を実行する(S5)。そして、所定の待機時間が経過すると(S6:Yes)、制御部10は、上記のような駆動終了の入力がない限り、再び駆動部50(M1,M2)を駆動して保持台紙3の移動を開始する。このようにして保持台紙3は、所定の送り量ずつ間欠的に送り出される。
【0047】
次に、不良ラベルの回収処理について、図8を用いて説明する。
【0048】
制御部10は、上記の不良検査(図7:S5)において不良ラベル4Bを検出する(S11:Yes)と、その後、保持台紙3の駆動回数をカウントし、記憶する。制御部10は、所定の記憶部において、この駆動回数とは別の基準回数として、検査済みのラベル4が上記湾曲変形区間Wを通過する直前の待機位置Sに達するまでの駆動回数を記憶しており、カウントした駆動回数が基準回数に達すると、駆動部80(M3)を駆動して、押圧部材81による保持台紙3の押圧を実施し、保持台紙3に湾曲変形を生じさせる(S13:図6の左上図参照)。ただし、この押圧動作時に保持台紙3は停止している。
【0049】
そして、制御部10は、保持台紙3を湾曲変形させた状態で、図7の処理(S2)に従い駆動部50(M1,M2)の駆動を開始させ、保持台紙3の移動がはじまる。つまり、保持台紙3が湾曲変形した後に、待機位置Sにて待機中の不良ラベル4Bを湾曲変形区間Wに送り出す(図6の左中央図参照)。これにより、湾曲変形区間W内を進む不良ラベル4Bは、山形に湾曲変形した搬送経路上に送り出され、山形の頂上部分(押圧部材81の先端部81a上)を通過する際に、不良ラベル4Bの搬送方向X側の先端部4B1から、このときの搬送方向X1に向けて剥離していく(図5及び図6の左下図参照)。
【0050】
一方、制御部10は、この保持台紙3の移動開始に伴い(S14:Yes)、回収台紙5の駆動部60(M4,M5)の駆動を開始して、回収台紙5の移動を開始させる(S15)。このとき回収台紙5は、保持台紙4の搬送速度に対応する速度(ここでは保持台紙3と一致する速度)で、保持台紙3の搬送方向Xに逆行しない順方向Zへと駆動する。これにより、先端側から順次剥離されていく不良ラベル4Bは、その先端側から直線的に回収台紙5側へと進行し、所定の付着位置にて回収台紙5へ付着されていく。そして、最終的には不良ラベル4B全体が保持台紙3から切り離されて回収台紙5に付着し、回収される。
【0051】
このとき、押圧部材81は、不良ラベル4Bの先端部4B1が回収台紙5に付着し、なおかつ該不良ラベル4Bの後端部が保持台紙3から切り離される前の受渡途中状態において、保持台紙3への押圧力を解除するよう駆動する(S17:図6の右上図参照)。ここでは、制御部10が、上記受渡途中状態にて押圧部材81の押圧力が解除されるよう、保持台紙3の駆動開始から所定の押圧駆動時間が経過した後に(S16:Yes)、駆動部80(M3)を駆動し、押圧部材81を剥離位置Qから待機位置に向けて移動させる(S17)。保持台紙3を湾曲変形させた状態で該保持台紙3を移動させることは、ラベル単位で保持台紙3を間欠的に送り出すときの送り量(移動量)にズレを生じさせる要因となるので、剥離が確認できるタイミングとなった後には、できる限り早く押圧を解除することにより、上記ズレが生じ難くなる。
【0052】
そして、制御部10は、図7の処理(S2)に従い駆動部50(M1,M2)の駆動を停止するとともに(図6の右中央図参照)、それよりも後のタイミングで、回収台紙5を停止させる(S19:図6の右上図参照)。ここでは、制御部10が、上記保持台紙3の駆動停止の後に回収台紙5が駆動を停止するよう、回収台紙5の駆動開始から所定の駆動時間が経過した後に(S18:Yes)、駆動部80(M4、M5)の駆動を停止し、回収台紙5の移動を停止させる(S19)。これにより、回収台紙5上には不良ラベル5が所定間隔で付着するが、その付着間隔d2は、保持台紙3に所定間隔で付着しているラベルの付着間隔d1よりも長くなる。これは、商品として出荷される可能性のある保持台紙3上のラベル4は、処理速度を向上することにより生産量を増すことができるため、できるだけ間隔を密に配列することが重要であるが、回収される不良ラベルについてはそのようなシビアな要求は無いため、少なくとも不良ラベル同士が重ならないよう、ある程度の間隔おきにて回収できればよいからである。
【0053】
最後に、図11及び図12を用いて、本実施形態のラベル貼付装置900について説明する。
【0054】
ラベル貼付装置900は、不良ラベル回収装置300の下流に設けられる。このラベル貼付装置900は、不良ラベル4Aが除去された保持台紙3と、該保持台紙3に残存するラベル4(4A)の貼付対象である貼付対象物6と、不良ラベル回収装置300における保持台紙3の搬送ラインLから続く形で不良ラベル4Aが除去された保持台紙3を所定の剥離位置Gに搬送し、該剥離位置Gに搬送されてくるラベル4を該保持台紙3から順次剥離して、剥離されたラベル4を、該剥離位置Gに近接する所定の貼付位置Jに順次搬送されてくる所定の間隔で並んだ貼付対象物6に対し貼付していく良品ラベル貼付装置99と、不良ラベル4Bが除去される前の保持台紙3上のラベル付着領域3aのうち、除去された不良ラベル4Bが付着していたラベル無し領域3bが剥離位置Gに次に到達するか否かを判定するための到達情報を取得するラベル無し領域到達情報取得部93と、貼付対象物6を保持台紙3の搬送速度に対応する速度で駆動し、貼付位置Jに到達する該貼付対象物6に対し、剥離位置Gにて剥離されるラベル4を順次貼付させる制御部(貼付制御手段)10と、を含んで構成される。
【0055】
良品ラベル貼付装置99は、不良ラベル回収装置300の搬送ラインLから続く形で、保持台紙3を所定の剥離位置Gに搬送し、該剥離位置Gに搬送されてくるラベル4を該保持台紙3から順次剥離する保持台紙搬送経路Hと、該保持台紙搬送経路Hとは別系統で設けられ、該剥離位置Gに近接する所定の貼付位置Jに、所定の間隔で並んだ貼付対象物6を順次搬送する貼付対象搬送経路Iとを有し、保持台紙搬送経路Hの上記剥離位置Gに到達して剥離したラベル4を、貼付対象搬送経路I上の上記貼付位置Jに到達した貼付対象物6の表面6aに貼付する。具体的にいえば、良品ラベル貼付装置99は、保持台紙3を駆動する保持台紙駆動装置31と、不良ラベル4が除去された保持台紙3から残存するラベル4(4A)を剥離する良品ラベル剥離部92と、貼付対象物6を搬送する貼付対象物搬送装置91と、を有して構成される。
【0056】
保持台紙駆動装置31は、不良ラベル回収装置300に含まれるものと共通のものであり、保持台紙3は、共通の駆動部50によって、不良ラベル回収装置300内の搬送ラインから良品ラベル貼付装置900内の搬送ラインへと送り出される形で搬送される(図1A参照)。
【0057】
貼付対象物搬送装置91は、円盤状の回転搬送体9と、該回転搬送体9の回転駆動源である貼付対象物駆動部(ステッピングモータ)90と、制御部10とにより構成される。貼付対象物6は、回転搬送体9の外周面に所定間隔おきに設けられた保持部7に保持されるよう、貼付位置Jよりも上流の所定の受渡位置(図示無し)にて順次受け渡され、該保持部7に保持された貼付対象物6が、駆動部90による回転搬送体9の回転駆動に従い下流へと回転搬送されて、上記貼付位置Jを通過する形で所定位置まで搬送される。
【0058】
良品ラベル剥離部92は、保持台紙搬送経路Hの剥離位置Gに、当該経路Hを鋭角に方向変換する鋭角区間を形成するものである。ここでの保持台紙搬送経路Hの鋭角区間は、図12に示すように、板状の剥離部材8の先端部をガイドとする形で形成され、板状の剥離部材8の主表面側からその先端面外側を回り込んで主裏面側へと折り返す経路を形成している。保持台紙3上のラベル4は、この鋭角区間に向かっていくと(図12の左上図参照)、保持台紙3が剥離部材8の主表面側から主裏面側へと折り返す流れに追従することなく、折り返す地点(剥離位置G)にてその先端側から剥離していき、当該区間に搬送されてきた方向へとその剥離部分が送り出される(図12の左中央図参照)。送り出された剥離部分は、貼付対象搬送経路I上の貼付位置Jに接近し、貼付対象物6が貼付位置Jに達するタイミングで、当該貼付対象物6の外表面6aと接触・付着する。このとき、このラベル4の後端側は未だ保持台紙3上に付着した状態であるが、その先端側が付着した貼付対象物6がさらに貼付対象搬送経路Iの先へと搬送されるに従い切り離されて、ラベル4の全体が貼付対象物6に貼付された状態となる。
【0059】
ただし、保持台紙3上には所定間隔おきにラベル4が付着されているはずであるが、不良ラベル回収装置300にて不良ラベル4Bが回収された場合には、所定間隔おきに存在していた保持台紙3上のラベル付着領域3aのうち該不良ラベル4Bが付着していた領域が、ラベル4の付着していないラベル無し領域3bとなる。このままでは、ラベル無し領域3bが剥離位置Gを通過する時に貼付位置Jに到達する貼付対象物6には、ラベル4が貼付されない。このため、本実施形態のラベル貼付装置900においては、ラベル4が貼付されない貼付対象物6を存在させないために、貼付対象物6を保持台紙3よりも相対的に遅くなるように移動させることで、その間に、保持台紙3のラベル無し領域3bを送り出して次のラベル4を剥離位置Gに到達させ、このラベル4が次に貼付位置Jに到達する貼付対象物6に貼付されるよう、制御部10が、貼付対象物6及び保持台紙3のいずれか又は双方の搬送速度を制御する(図12の左下図及び図12の右上図参照)。
【0060】
即ち、制御部10は、通常時においては、不良ラベル回収装置300において既に述べているようにして保持台紙駆動部50を駆動制御(ここでは間欠駆動)するとともに、貼付対象物6を、その保持台紙3の搬送速度に対応する速度(剥離するラベル4が貼付対象物6に貼付可能となる速度)で搬送させる駆動制御も実施している。つまり、この通常時の駆動制御において、保持台紙3の搬送速度と貼付対象物6の搬送速度は、貼付位置Jに貼付対象物6が到達するタイミングと、剥離位置Gにて剥離されたラベル4が当該貼付対象物6に接触・付着するタイミングに合うように決定される。
【0061】
一方で、制御部10は、該不良ラベル4Bが除去される前の保持台紙3上のラベル付着領域3aのうち、除去された不良ラベル4Bが付着していたラベル無し領域3bが剥離位置Gに次に到達するか否かを、ラベル無し領域到達情報取得部93が取得する到達情報に基づいて判定している(ラベル無し領域到達特定手段)。その判定結果により、ラベル無し領域3bが剥離位置Gに次に到達することが特定された場合、制御部10は、そのラベル無し領域3bの後に搬送されてくる次のラベル4が、貼付位置Jに次に搬送されてくる貼付対象物6に貼付されるよう、該貼付対象物6の搬送速度を該保持台紙3の搬送速度よりも相対的に減じる駆動制御を、駆動部50,90のいずれか又は双方に対し実行する。そして、剥離位置Gにこの次に到達するラベル付着領域3aがラベル無し領域3ではなく、ラベル4が付着していると特定された場合には、上記の通常時の駆動制御に復帰させる(図12の右中央図参照)。
【0062】
ラベル無し領域3bが剥離位置Gに次に到達するか否かの判定は、制御部10が以下のようにして行う。即ち、制御部10は、上記の不良検査(図7:S5)において不良ラベル4Bを検出する(S11:Yes)と、その後、保持台紙3の駆動回数をカウントし、記憶する。一方で、この制御部10は、所定の記憶部において、この駆動回数とは別の基準回数として、検査済みのラベル4が上記剥離位置Gに達するまでの駆動回数を記憶しており、カウントした駆動回数が当該基準回数に達した場合に、ラベル無し領域3bが剥離位置Gに次に到達すると特定する。なお、ここでのラベル無し領域到達情報取得部93は、上記の検査情報取得部70であるといえる。別の方法として、剥離位置Gの直前に保持台紙3上のラベル4の有無情報を取得するラベル有無検出装置(ラベル無し領域到達情報取得部:例えばカメラ)93’を配置し、その取得内容(例えば撮影画像)からラベル4の有無を判定し、その判定結果から、ラベル無し領域3bが剥離位置Gに次に到達するか否かを特定してもよい。
【0063】
なお、本実施形態における、貼付対象物6の搬送速度を保持台紙3の搬送速度よりも相対的に減じる駆動制御は、保持台紙3の搬送速度を貼付対象物6の搬送速度(ここでは回転搬送体9の回転速度)よりも増すようにしてもよいし、貼付対象物6の搬送速度を保持台紙3の搬送速度よりも減じるようにしてもよい。本実施形態においては、処理能力(単位時間当たりのラベル貼付枚数)の向上の観点から、保持台紙3の搬送速度を可能な限り早くすることが有利となるため、保持台紙3の搬送速度をできる限り早い速度に固定設定して、貼付対象物6の搬送速度を減じている。
【0064】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0065】
上記実施形態において、ラベル4がRFIDタグを備えるもの、あるいはRFIDタグ自体である場合、不良検査装置81では、上記実施形態とは異なる検査が実施される。この場合の不良検査装置81は、RFIDタグのICチップに書き込まれた情報を読み出す読取装置(リーダ)であり、記憶データの不良(データが空であったり、誤データが書き込まれている等)、通信不良(アンテナコイルやICチップ等の物理破損、絶縁不良等)を判定する。具体的には、読取装置(リーダ)がRFIDタグからの情報の読み出しを試みて、情報が得られるか否か、得られたとしたらその情報が予め決められている情報に一致するか否かを判定する形で行われる。
【0066】
また、上記実施形態において、ラベル4がバーコードやQRコード等の情報画像を表示するものである場合は、不良検査装置81では、上記実施形態とは異なる検査が実施される。この場合の不良検査装置81は、ラベル4に表示されたバーコードやQRコードの情報画像を読み取る読取装置であり、読み出された情報(誤データが書き込まれている等)の不良を判定する。具体的には、読取装置が情報画像からの情報の読み出しを試みて、情報が得られるか否か、得られたとしたらその情報が予め決められている情報に一致するか否かを判定する形で行われる。
【0067】
また、上記実施形態において、押圧部材81は、静止した保持台紙3を押圧しているが、動作中の保持台紙3を押圧する構成でもよい。また、上記実施形態においては、保持台紙3が間欠駆動する構成となっているが、押圧部材81が、不良と判断されたラベル4Bが付着している保持台紙3の上記近傍部位を押圧して、当該ラベル4を剥離する構成であれば、保持台紙3は連続駆動する構成であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態において、不良ラベル4Bを回収台紙5側に押し付ける機能を有する押付部材37を、回収台紙5の搬送ラインRに組み込むようにしてもよい。即ち、図9及び図10に示すように、回収台紙5の移動軌跡は、保持台紙3の搬送方向Xに逆行する方向Yからラベル4Bの剥離部分4B1に向かい、その剥離部分4B1の直前で搬送方向Xに逆行しない順方向Zへ鋭角に方向変換する移動軌跡と、さらにその順方向Zへ鋭角に方向変換した直後の、押付部材37により該ラベル4Bの少なくとも一部が回収台紙5に押し付けられて貼付される貼付位置から、押付部材37の外周面に沿った円弧軌跡とを有して構成できる。この場合、回転自在に設けられた円柱状の押付部材37は、回収台紙5に対し接触する形で設けられており、剥離された不良ラベル4Bをその先端側から順次回収台紙5に押し付けて付着していく際には、該回収台紙5ないしは不良ラベル4Bの移動による接触摩擦によって回転し、その回転に従い接触している回収台紙5ないしは不良ラベル4Bをそのまま回転搬送する。このとき、不良ラベル4Bは回収台紙5の内周側に位置し、円柱状の押付部材37と回収台紙5とに狭圧保持された形となるため、該押付部材37の回転搬送中に、不良ラベル4Bが回収台紙5に対し強固に付着した状態となる。
【0069】
図9及び図10において、円柱状の押付部材37を通過した後の回収台紙5の移動軌跡は、該押付部材37を離れた後、保持台紙3の搬送方向Xに逆行する方向へと向かった後、回転自在に設けられたガイドローラ38D,38Eによりガイドされ、これらを順次経由して巻取軸部60Bに巻き取られる。なお、ガイドローラ38D,38Eは回収台紙5を狭圧可能な形で近接配置されており、回収台紙5に対しそれに貼付された不良ラベル4Bを再び押し付けるようになっている。
【符号の説明】
【0070】
300 不良ラベル回収装置
900 ラベル貼付装置
10 制御部
3 保持台紙
4 ラベル
4B 不良ラベル
5 不良ラベル回収台紙(回収台紙)
31 保持台紙駆動装置
32 回収台紙駆動装置
33 不良検査装置
34 不良ラベル剥離装置
37 押付部材
50(M1,M2) 保持台紙駆動部
60(M4,M5) 回収台紙駆動部
70 検査情報取得部
80(M3) 押圧駆動部
81 押圧部材
90 貼付対象物駆動部
91 貼付対象物搬送装置
92 良品ラベル剥離部
93 ラベル無し領域到達情報取得部
94 ラベル無し領域到達特定手段
99 良品ラベル貼付装置
L 不良ラベル回収装置における保持台紙の搬送ライン
R 不良ラベル回収装置における回収台紙の搬送ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貼付用のラベルが剥離可能な帯状の保持台紙に所定の間隔でラベル列として付着して保持され、その帯状の保持台紙をその長手方向へ搬送する搬送ライン上で前記ラベル列から不良のラベルのみを該保持台紙から除去・回収する不良ラベル回収装置であって、
前記搬送ラインに設けられ、前記保持台紙上のラベル列の各ラベルに不良があるかどうかを検査する不良検査装置と、
その不良検査装置で不良と判断されたラベルが付着している前記保持台紙の近傍部位に、該台紙の搬送方向と交差する向きに該台紙を一時的に湾曲変形させる押圧力を付与し、その台紙部位に付着しているラベルの前記搬送方向の先端部を剥離させる不良ラベル剥離装置と、
前記保持台紙の搬送方向に逆行する方向から前記ラベルの剥離部分に向かい、その剥離部分の直前で前記搬送方向に逆行しない順方向へ鋭角に方向変換する移動軌跡で案内され、前記搬送方向へ移動する不良ラベルの剥離部分をその移動に合わせてまず付着させた後に該不良ラベルの全体を前記保持台紙から切り離すように付着させて回収する帯状の不良ラベル回収台紙と、
前記不良検査装置により不良ラベルが発見された際に、前記不良ラベル回収台紙を前記搬送ラインにおける前記保持台紙の搬送速度に対応する速度で前記搬送方向に逆行しない順方向へ駆動し、前記不良ラベルを前記保持台紙から該不良ラベル回収台紙へ付着させるように回収した後、前記不良ラベル回収台紙の駆動を停止して、次の不良ラベルの発見まで待機させる回収台紙駆動装置と、
を含むことを特徴とする貼付用のラベルの搬送ラインにおける不良ラベル回収装置。
【請求項2】
前記保持台紙の近傍部位は、不良と判断されたラベルと、その不良ラベルの1つの先で搬送されていたラベルとの間に位置する部位である請求項1に記載の不良ラベル回収装置。
【請求項3】
前記保持台紙の搬送方向と、前記不良ラベル剥離装置による前記押圧力の該保持台紙への押圧方向とのなす角のうち、搬送手前側の角度が90度以上120度以下に定められている請求項1又は請求項2に記載の不良ラベル回収装置。
【請求項4】
前記不良ラベル剥離装置による前記押圧力の前記押圧方向は、前記搬送方向に対し逆方向に向かって交差する方向に定められている請求項1又は請求項2に記載の不良ラベル回収装置。
【請求項5】
前記保持台紙が湾曲変形する湾曲変形区間のうち、前記搬送方向における区間両端位置にはそれぞれ、該湾曲変形区間の中間位置に前記押圧力が付与される際に該保持台紙の湾曲変形の起点となるように、該保持台紙を前記ラベル側となる表面側から支持する湾曲変形支持部材が設けられ、該湾曲変形区間が前記搬送ライン上の所定位置に固定的に定められている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の不良ラベル回収装置。
【請求項6】
前記不良ラベル剥離装置は、前記保持台紙に前記押圧力を付与する押圧部材を備え、該台紙に前記湾曲変形を生じさせる際には、該押圧部材の先端部が、前記湾曲変形区間の両端位置に設けられた双方の前記湾曲変形支持部材の間を通過して所定の剥離位置まで移動し、該剥離位置にて該保持台紙を前記ラベルとは逆側の裏面側から押圧する請求項5記載の不良ラベル回収装置。
【請求項7】
前記不良ラベル剥離装置は、前記押圧力により前記保持台紙に湾曲変形を生じさせた状態とした後、前記不良ラベルを当該湾曲変形部分に送り出し、送り出された不良ラベルを、前記搬送方向における先端側から剥離していくものである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の不良ラベル回収装置。
【請求項8】
前記不良ラベル剥離装置は、前記不良ラベルの前記先端部が前記不良ラベル回収台紙に付着した状態で、なおかつ該不良ラベルが前記保持台紙から切り離される前の状態で、前記保持台紙への前記押圧力を解除する請求項7記載の不良ラベル回収装置。
【請求項9】
前記回収台紙駆動装置は、前記不良ラベルの前記先端部が前記不良ラベル回収台紙に付着した際に、少なくともその付着部分の一部を該不良ラベル回収台紙側に押し付ける押付部材を備える請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の不良ラベル回収装置。
【請求項10】
前記回収台紙駆動装置は、前記不良ラベル回収台紙に所定の間隔で前記不良ラベルを付着するものであり、その所定の間隔は、前記保持台紙に所定の間隔で付着する前記ラベルの間隔よりも長くなるように該不良ラベル回収台紙を駆動するものである請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の不良ラベル回収装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の不良ラベル回収装置の下流に設けられ、該不良ラベル回収装置における前記保持台紙の搬送ラインから続く形で、前記不良ラベルが除去された該保持台紙を所定の剥離位置に搬送し、該剥離位置に搬送されてくるラベルを該保持台紙から順次剥離して、剥離されたラベルを、該剥離位置に近接する所定の貼付位置に順次搬送されてくる所定の間隔で並んだ貼付対象物に対し貼付していく良品ラベル貼付装置と、
前記不良ラベルが除去される前の前記保持台紙上のラベル付着領域のうち、除去された前記不良ラベルが付着していたラベル無し領域が前記剥離位置に次に到達することを特定するラベル無し領域到達特定手段と、
前記貼付対象物を前記保持台紙の搬送速度に対応する速度で駆動し、前記貼付位置に到達する該貼付対象物に対し、前記剥離位置にて剥離される前記ラベルを順次貼付させる一方で、前記ラベル無し領域が前記剥離位置に次に到達することが特定された場合には、そのラベル無し領域の後に搬送されてくる次のラベルが前記貼付位置に次に搬送されてくる前記貼付対象物に貼付されるよう、該貼付対象物の搬送速度を該保持台紙の搬送速度よりも減じる貼付制御手段と、
を備えることを特徴とする貼付用のラベルの搬送ラインにおけるラベル貼付装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の不良ラベル回収装置の下流に設けられ、該不良ラベル回収装置における前記保持台紙の搬送ラインから続く形で、前記不良ラベルが除去された該保持台紙を所定の剥離位置に搬送し、該剥離位置に搬送されてくるラベルを該保持台紙から順次剥離して、剥離されたラベルを、該剥離位置に近接する所定の貼付位置に順次搬送されてくる所定の間隔で並んだ貼付対象物に対し貼付していく良品ラベル貼付装置と、
前記不良ラベルが除去される前の前記保持台紙上のラベル付着領域のうち、除去された前記不良ラベルが付着していたラベル無し領域が前記剥離位置に次に到達することを特定するラベル無し領域到達特定手段と、
前記貼付対象物を前記保持台紙の搬送速度に対応する速度で駆動し、前記貼付位置に到達する該貼付対象物に対し、前記剥離位置にて剥離される前記ラベルを順次貼付させる一方で、前記ラベル無し領域が前記剥離位置に次に到達することが特定された場合には、そのラベル無し領域の後に搬送されてくる次のラベルが前記貼付位置に次に搬送されてくる前記貼付対象物に貼付されるよう、該保持台紙の搬送速度を該貼付対象物の搬送速度よりも増ずる貼付制御手段と、
を備えることを特徴とする貼付用のラベルの搬送ラインにおけるラベル貼付装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−195151(P2011−195151A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61456(P2010−61456)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(591037476)株式会社岩田レーベル (32)
【Fターム(参考)】