説明

走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整方法及び装置

【課題】本発明は走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整方法及び装置に関し、電子レンズの軸調整を高精度で高速に自動で行なうことができる電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整方法及び装置を提供することを目的としている。
【解決手段】電子線2を発生させる電子線源1と、発生された電子線2の電流量を制御するコンデンサレンズ4と、前記電子線2をコンデンサレンズ4の軸に合わせるコンデンサレンズ用軸補正偏向器3と、電子線2を観察試料12上に2次元方向に走査する偏向器7と、電子線2を対物レンズ11の軸に合わせる対物レンズ用軸補正偏向器8と、電子線2を細かく絞って観察試料12に照射する対物レンズ11と、観察試料12から発生した信号或いは観察試料12に吸収される電流を検出して観察試料12の走査信号画像を取得する画像取得手段と、取得した走査信号画像を画像処理する手段とを有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型電子顕微鏡の分解能を左右する重要な要素の中に、電子レンズの軸調整(光軸調整)が挙げられる。電子線が電子レンズの軸から外れて入射されると、コマ収差や非点収差等が発生し、走査信号画像の像質(分解能)が劣化する。
【0003】
従来、コンデンサレンズの軸調整は、コンデンサレンズの強度を周期的に変化させた際に、電子線の走査領域の位置ズレが発生し、その走査信号画像の位置ズレをオペレータが手動でコンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度を変化させ、入射電子線をコンデンサレンズの軸に合わせるため、走査信号画像の走査領域の位置ズレ量が最小となるように調整している。
【0004】
また、対物レンズの軸調整は、対物レンズの強度、又は補助フォーカスレンズの強度を周期的に変化させた際に、電子線の走査領域の位置ズレが発生し、その走査信号画像の位置ズレをオペレータが手動で対物レンズ上部に設置された、対物レンズ用軸補正偏向器の強度を変化させ、入射電子線を対物レンズの軸に合わせるため、走査信号画像の走査領域の位置ズレ量が最小になるように調整している。
【0005】
上記対物レンズの軸調整方法のもう一つの方法として、電子線源における加速電圧を周期的に変化させた際に、電子線の走査領域の位置ズレが発生し、その走査信号画像の位置ズレをオペレータが手動で対物レンズ上部に配置された、対物レンズ用軸補正偏向器の強度を変化させ、入射電子線を対物レンズの軸に合わせるため、走査信号画像の走査領域の位置ズレ量が最小になるように調整している。
【0006】
従来のこの種のシステムとしては、異なる条件で撮影した荷電粒子線像を用い、視差による位置ズレ量を解析して荷電粒子線装置の光学系を自動補正する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、対物レンズの強度を調整して、上記試料面から得られた画像がほぼ焦点合わせされた状態にした時の第1の粒子線画像と、当該状態からわずかに強度を強め、あるいは弱めた状態にした時の第2の粒子線画像とを生成し、生成したこれら粒子線画像の移動量を算出して算出した移動量がほぼ零になるように対物レンズの強度を補正する技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0007】
次に、従来の走査型電子顕微鏡の軸調整方法について、図1を用いて詳細に説明する。図1は走査電子顕微鏡の構成例を示す図である。電子線源1から放出された電子線2は、コンデンサレンズ4と対物絞り5によってビーム強度、即ち電子線2の電流量を調整される。電子線2がコンデンサレンズ4の中心を通るように補正するため、コンデンサレンズ用軸補正偏向器3の強度を調整し、軸合わせを行なう。
【0008】
走査偏向器7は、レンズ制御電源18から発生する水平信号と垂直信号により2次元走査を行なう。対物レンズ11の上部には、電子線を対物レンズ11の中心を通るように補正するため、対物レンズ用軸補正偏向器8が設置されている。
【0009】
走査された電子線2は、非点補正偏向器9により非点補正され、対物レンズ11により収束される。また、補助フォーカスレンズ10を使用してフォーカスの微調整もできる。上記対物レンズ11により収束された電子線2は、観察試料12上に焦点を結ぶ。従って、収束された電子線2は観察試料12上でX,Y方向に2次元走査される。
【0010】
上記システムにおいて、電子線2が収束する際の開き角を開き角制御レンズ6で調整することもできる。観察試料12に電子線2が照射されると、電子線2と観察試料12との相互作用、つまり電子線が試料表面に照射されることにより信号が放出される。この信号は、2次電子信号、2次イオン信号、後方散乱電子信号、X線信号等が含まれる。
【0011】
このようにして観察試料12から発生した信号は、信号に応じた検出特性をもつ検出器13により検出される。この信号は、続くアンプ20により信号増幅された後、ディジタルデータに変換され、垂直走査信号及び水平走査信号との同期をとりながら、画像メモリ14若しくはフィルム等の走査信号画像保存手段に、X,Y2次元走査信号として保存される。この走査信号画像を画像処理装置15に渡し、オペレータにとって見やすいように処理する等して、制御コンピュータ16上に保存し、制御コンピュータ16上のモニタ(図示せず)に表示する。ただし、本構成は一例にすぎず、画像メモリ14及び走査信号画像処理装置15及びコンピュータ16は同一のコンピュータであってもよい。
【0012】
21は観察試料12を所定方向(X,Y,R,T,Z)に移動可能な試料ステージ、22は制御コンピュータ16と接続され、試料ステージ21を駆動するステージ制御部である。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0013】
電子線2が対物レンズ11の中心からズレた場合、図2に示すように、観察試料12の表面において、対物レンズ11の強度、又は補助フォーカスレンズ10の強度によって電子線の走査位置が変化する。図では、電子線の走査位置が観察試料12の前方(オーバーフォーカス)にある場合と、観察試料12の表面(ジャストフォーカス)にある場合と、観察試料12の後方(アンダーフォーカス)にある場合をそれぞれ示している。従って、検出器13で検出される、観察試料12から放出される走査信号は、対物レンズ11の強度、又は補助フォーカスレンズ10の強度に応じて走査信号位置が変化する。
【0014】
図3で示されるように、電子線2が対物レンズ11の中心を通った場合、観察試料12表面において、対物レンズ11の強度に依存せず、電子線走査位置が変化しない。従って、検出器13で検出される、試料から放出される走査信号は、対物レンズ11の強度に関係なく、同一場所の走査信号画像が得られる。
【0015】
図2の状態から図3の状態にするには、電子線源1の加速電圧、対物レンズ11の強度、又は補助フォーカスレンズ10の強度を周期的に変化させ、対物レンズ用軸補正偏向器8を変化させながら、走査信号画像の位置ズレが最小となるように手動で走査信号画像を見ながら調整を行なう。ここで、対物レンズ11の強度、又は補助フォーカスレンズの強度を周期的に変化させるとは、図4に示す、オーバーフォーカスとアンダーフォーカス状態を交互に繰り返すことである。図4において、12は観察試料、2は電子線、11は対物レンズである。
【0016】
また、電子線2がコンデンサレンズ4の中心からズレた場合、観察試料12の表面において、コンデンサレンズ4の強度によって電子線の走査位置が変化する。従って、検出器13で検出される、観察試料12から放出される走査信号像は、コンデンサレンズ4の強度に応じて、走査信号画像位置が変化する。電子線2がコンデンサレンズ4の中心を通った場合、観察試料12の表面において、コンデンサレンズ4の強度に依存せず、電子線走査位置が変化しない。従って、検出器13で検出される、観察試料12から放出される走査信号像は、コンデンサレンズ4の強度に関係なく、図3に示すように同一場所の走査信号画像が得られる。
【特許文献1】特開2002−134048号公報(段落0013〜0017、図1)
【特許文献2】特開2002−216685号公報(段落0020〜0037、図1、図2、図4、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来の対物レンズの軸調整方法は、対物レンズの強度、又は補助フォーカスレンズの強度を周期的に変化させ、或いは加速電圧を周期的に変化させ、その時の走査信号画像の位置ズレを対物レンズ用軸補正偏向器の強度を手動で変化させながら、最小となるように行なっていた。これは、電子線が対物レンズの中心からずれている時、対物レンズの強度(焦点)を変化させると、焦点変化前と変化後で走査信号画像の位置ずれが発生することを利用している。
【0018】
コンデンサレンズの軸調整方法は、コンデンサレンズの強度を周期的に変化させ、その時の走査信号画像の位置ズレをコンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度を手動で変化させながら、最小になるように行なっていた。この手法は、オペレータの技能に依存し、上記調整の熟練度によって、得られる走査信号画像の分解能が変化してしまうという問題がある。
【0019】
オペレータが認識できる走査信号画像の位置ズレ量は、数ピクセル以上のズレがなければオペレータには認識できず、精度よく調整するには限界がある。オペレータが走査信号画像の位置ズレを認識しやすい走査信号画像形状と認識しにくい形状があり、調整走査信号画像視野位置を変化させたり倍率を変化させたりしながら行なうため、多くの調整時間が必要である。
【0020】
走査型電子顕微鏡の高分解能化に伴い、分解能劣化が生じない軸調整精度、即ち対物レンズに入射される電子線の位置精度は焦点距離が短かくなるにつれて厳しくなるため、高精度な軸調整が求められている。走査型電子顕微鏡の軸ズレ低減方法として、各観察条件に応じて軸補正偏向器の設定値を記憶し、観察条件を設定する際に軸補正偏向器の設定値を読み込んでいたが、種々の原因による光軸の経時変化によって、軸ズレが発生するという問題がある。
【0021】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、第1に電子レンズの軸調整を高精度で高速に自動で行なうことができる走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整装置及び電子レンズの自動軸調整方法を提供することを目的としており、第2に走査信号画像の位置ズレ量から、座標変換手法を応用することによって最適な軸補正偏向器の強度を算出できるようにすることを目的としており、第3に焦点が完全に合っていない走査信号画像から電子レンズの軸を調整可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(1)請求項1記載の発明は、電子線を発生させる電子線源と、発生された電子線の電流量を制御するコンデンサレンズと、前記電子線をコンデンサレンズの軸に合わせるコンデンサレンズ用軸補正偏向器と、電子線を試料上に2次元方向に走査する偏向器と、電子線を対物レンズの軸に合わせる対物レンズ用軸補正偏向器と、電子線を細かく絞って試料に照射する対物レンズと、試料から発生した信号或いは試料に吸収される電流を検出して試料の走査信号画像を取得する画像取得手段とを有する走査型電子顕微鏡において、コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度を変化させる手段と、コンデンサレンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する手段と、対物レンズ用軸補正偏向器の強度を変化させる手段と、該対物レンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する手段と、補助フォーカスレンズ或いは対物レンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する手段と、電子線源の加速電圧をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する手段と、前記各走査信号画像1,2から2次元走査信号画像データを記憶手段に記憶させる手段と、前記各走査画像信号1,2を画像処理して画像ズレ量を求める手段と、前記コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度と前記画像ズレ量から最適コンデンサ用軸補正偏向器の強度を求める手段と、前記対物レンズ用軸補正偏向器の強度と前記画像ズレ量から最適対物レンズ用軸補正偏向器の強度を求める手段と、前記最適コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度をコンデンサレンズ用軸補正偏向器にフィードバックする手段と、前記最適対物レンズ用軸補正偏向器の強度を対物レンズ用軸補正偏向器にフィードバックする手段と、を有することを特徴とする。
【0023】
(2)請求項2記載の発明は、前記構成に加えて、電子線の開き角を制御する開き角制御レンズを更に有することを特徴とする。
(3)請求項3記載の発明は、前記構成に加えて走査信号画像1と走査信号画像2のズレ量の算出手段として走査信号画像1と走査信号画像2のパターンマッチングによりそのズレ量を算出する算出手段を更に設けることを特徴とする。
【0024】
(4)請求項4記載の発明は、座標変換の一種であるアフィン変換により最適な軸補正偏向器の強度を求め、軸補正偏向器にフィードバックするフィードバック手段を更に設けることを特徴とする。
【0025】
(5)請求項5記載の発明は、軸補正が精度よくできたかを確認する確認手段を更に設けることを特徴とする。
(6)請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5までの機能を併せ持つ自動軸調整装置において、請求項4の後に再度前記請求項1から請求項4までのシーケンスを実行するようにしたことを特徴とする。
【0026】
(7)請求項7記載の発明は、前記構成に加えて、軸調整が困難になった時には、自動で自動軸調整を中断する手段を更に設けることを特徴とする。
(8)請求項8記載の発明は、電子線を発生させる電子線源と、発生された電子線の電流量を制御するコンデンサレンズと、前記電子線をコンデンサレンズの軸に合わせるコンデンサレンズ用軸補正偏向器と、電子線を試料上に2次元方向に走査する偏向器と、電子線を対物レンズの軸に合わせる対物レンズ用軸補正偏向器と、電子線を細かく絞って試料に照射する対物レンズと、試料から発生した信号或いは試料に吸収される電流を検出して試料の走査信号画像を取得する画像取得手段とを有する走査型電子顕微鏡において、コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度を変化させる工程と、コンデンサレンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する工程と、対物レンズ用軸補正偏向器の強度を変化させる工程と、該対物レンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する工程と、補助フォカスレンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する工程と、電子線源の加速電圧をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する工程と、前記各走査信号画像1,2から2次元走査信号画像データを記憶手段に記憶させる工程と、前記各走査画像信号1,2を画像処理して画像ズレ量を求める工程と、前記コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度と前記画像ズレ量から最適コンデンサ用軸補正偏向器の強度を求める工程と、前記対物レンズ用軸補正偏向器の強度と前記画像ズレ量から最適対物レンズ用軸補正偏向器の強度を求める工程と、前記最適対物レンズ用軸補正偏向器の強度をコンデンサレンズ用軸補正偏向器にフィードバックする工程と、前記最適対物レンズ用軸補正偏向器の強度を対物レンズ用軸補正偏向器にフィードバックする工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
(1)請求項1記載の発明によれば、電子レンズの軸調整を高速で自動的に行なうことができ、また走査信号画像の位置ズレ量から座標変換手段を応用することによって最適な軸補正偏向器の強度を算出することができ、また焦点が完全に合っていない走査信号画像から電子レンズの軸を調整可能とすることができる。
【0028】
(2)請求項2記載の発明によれば、開き角制御レンズを更に設けることにより、電子線の開き角を最適に設定することができ、開き角制御レンズ搭載装置にも本発明を適応することができる。
【0029】
(3)請求項3記載の発明によれば、前記走査信号画像1と走査信号画像2とのパターンマッチングにより双方の走査信号画像からそのズレ量を算出することができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、アフィン変換により最適な軸補正偏向器の強度を求め、軸補正偏向器にフィードバックすることで、軸補正偏向器を最適な値に設定することができる。
【0030】
(5)請求項5記載の発明によれば、軸調整が精度よくできたかどうかを確認することができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、電子レンズの軸補正を更に高精度に行なうことができる。
【0031】
(7)請求項7記載の発明によれば、自動による軸調整が困難になった時に、自動による軸調整を中断し、オペレータに手動による調整を促すことができる。
(8)請求項8記載の発明によれば、電子レンズの軸調整を高速で自動的に行なうことができ、また走査信号画像の位置ズレ量から座標変換手段を応用することによって最適な軸補正偏向器の強度を算出することができ、また焦点が完全に合っていない走査信号画像から電子レンズの軸を調整可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
〔実施の形態例1〕
以下の説明では、図1に示す構成を基本に説明する。電子線2を走査偏向器7によって観察試料12上に2次元走査を行ない、2次電子信号或いは反射電子信号を検出器13によって検出する。検出された信号は、レンズ制御電源18から出力される水平走査信号、及び垂直走査信号と同期して画像メモリ14に2次元走査信号画像データとして記憶される。
【0033】
制御コンピュータ16からの指令により、対物レンズ用軸補正偏向器8の強度をレンズ制御電源18を経由して設定し、対物レンズ11若しくは補助フォーカスレンズ10の強度を、図4のアンダーフォーカス状態とオーバーフォーカス状態になるように変化させ、それぞれの強度毎に画像メモリ14に走査信号画像を記憶し、記憶された走査信号画像を一枚ずつ画像処理装置15に転送する。
【0034】
次に、制御コンピュータ16からの指令により、対物レンズ用軸補正偏向器8を上記と異なる条件に設定し、走査信号画像取得に関しては上記と同様に取得する。更に、対物レンズ用軸補正偏向器8を上記いずれの位置とも異なる位置に移動し、走査信号画像取得を上記と同様にして行なう。
【0035】
上記の動作により、アンダーフォーカス像とオーバーフォーカス像を、それぞれ対物レンズ用軸補正偏向器8の強度を変化させながら3条件、合計6枚の走査信号画像を取得する。各対物レンズ用軸補正偏向器8の強度において、アンダーフォーカス像とオーバーフォーカス像の位置ずれ量から対物レンズ用軸補正偏向器8の設定値を算出することができる。
【0036】
図5を用いて走査信号画像位置ズレの測定点について説明する。図5は軸補正偏向器の強度(u,v)と測定点の説明図である。図の横軸uは、対物レンズ用軸補正偏向器8における、電子線2のx方向補正用強度、縦軸vは対物レンズ用軸補正偏向器8における電子線2のy方向補正用強度である。対物レンズ用軸補正偏向器8の強度u,vを変化させ、図の測定点1〜測定点3において、アンダーフォーカス走査信号画像とオーバーフォーカス走査信号画像をそれぞれ計6枚取得する。
【0037】
対物レンズ用軸補正偏向器8の強度u,vの変化量は、事前にオペレータが自由に設定することができるようになっている。但し、対物レンズ用軸補正偏向器8の強度u,vの変化量は、x方向,y方向同時に変化した条件が最低1通り必要である。また、対物レンズ用軸補正偏向器8の強度u,vの同一方向のみの変化は、1回のみが条件となる。図5において、点Aは初期軸補正偏向器8の強度、点Bは軸補正偏向器8の強度の最適値である。
【0038】
画像処理装置15では、前記の要領で取得したそれぞれのアンダーフォーカス像とオーバーフォーカス像から走査信号画像の位置ずれ量を計算する。走査信号画像の位置ズレ量の算出は、一般的な画像相関(例えばパターンマッチング)などの画像処理方法で高精度に算出することができる。更に、画像位置ズレ量の計測は、サブピクセルオーダで計測が可能である。
【0039】
試料に大きな電流を与えられない場合などにおいて、取得走査信号画像の画質が低下する。その場合、必要に応じて上記走査信号画像位置ズレ量の計算直前に、メディアンフィルタ等のノイズ除去フィルタを使用することもできる。フィルタは、電気回路又は画像処理装置15で行なうことができる。
【0040】
次に、最適な対物レンズ用軸補正偏向器8の強度の算出方法について説明する。
【0041】
【数1】

【0042】
は、画像位置ズレ量から軸補正偏向器の設定値の算出式を示している。この式は座標変換手法の一つであるアフィン変換式である。u,vは走査信号画像取得時の対物レンズ用軸補正偏向器8の強度、Δx,Δyは各対物レンズ用軸補正偏向器8の強度u,vにおける走査信号画像位置ズレ量、a〜fは座標変換パラメータである。ここで、未知数a〜fは、前記説明により6枚の走査信号画像が得られることから、連立方程式により算出することができる。
【0043】
算出したa〜fの値を(1)式のアフィン変換式に代入する。アンダーフォーカス像とオーバーフォーカス像の位置ズレ量が0であればよいので、(1)式のアフィン変換式のΔx,Δyは0となることから、最適な対物レンズ用軸補正偏向器8の強度は(1)式よりそれぞれc,fと定まる。cは対物レンズ用軸補正偏向器8のx方向の最適強度、fは対物レンズ用軸補正偏向器8のy方向の最適強度に対応する。このc,fの値をレンズ制御電源18にフィードバックする。以上の操作により、対物レンズ11の軸補正を自動的に行なうことができる。
【0044】
上記一連の軸調整方法は、初期条件さえ設定しておけば、ボタンを押すだけで全て自動で行なうことができる。本自動軸調整方法は、焦点が完全に合っていない走査信号画像から軸調整を行なうことができる。また、本自動軸調整方法は、設定時刻になると自動で調整を行なうようにすることができる。
【0045】
なお、本発明によれば、開き角制御レンズ6を更に設けることにより、電子線2の開き角を最適に設定することができ、開き角制御レンズ6を搭載した装置にも本自動軸調整方法を適応することができる。
【0046】
以上詳細に説明したように、本実施の形態例によれば、電子レンズの軸調整を高速で自動的に行なうことができ、また走査信号画像の位置ズレ量から座標変換手段を応用することによって最適な軸補正偏向器の軸を調整することが可能になる。また、走査信号画像1(アンダーフォーカス像)と走査信号2(オーバーフォーカス像)とのパターンマッチングにより双方の走査信号画像からそのズレ量を算出することができる。更に、本実施の形態例によれば、アフィン変換により最適な軸補正偏向器の強度を求め、軸補正偏向器にフィードバックすることで、軸補正偏向器を最適な値に設定することができる。また、本実施の形態例によれば、制御コンピュータ16に付属する表示部(図示せず)に、SEM画像を表示することにより、軸調整が精度よくできたかどうかを確認することができる。
〔実施の形態例2〕
この実施の形態例2の基本構成は、図1と同じである。電子線2を走査偏向器7により観察試料12上に2次元走査を行ない、2次電子信号或いは反射電子信号を検出器13によって検出する。検出された信号は、レンズ制御電源18から出力される水平走査信号及び垂直走査信号と同期して画像メモリ14に2次元走査信号画像データとして記憶される。
【0047】
制御コンピュータ16からの指令により、対物レンズ用軸補正偏向器8の強度を、レンズ制御電源18を経由して設定し、加速電圧を僅かに変化させることにより、それぞれの加速電圧毎に画像メモリ14に走査信号画像を記録し、記録された走査信号画像を一枚ずつ画像処理装置15に転送する。次に、制御コンピュータ16からの指令により、対物レンズ用軸補正偏向器8を上記と異なる条件に設定し、走査信号画像取得に関しては上記と同様に取得する。更に、対物レンズ用軸補正偏向器8を上記いずれの位置とも異なる位置に移動し、走査信号画像取得を上記と同様に行なう。
【0048】
上記の動作により、加速電圧をわずかに弱くした場合の画像と、加速電圧をわずかに強くした場合の画像を、それぞれ対物レンズ用軸補正偏向器8の強度を変化させながら3条件、合計6枚の走査信号画像を取得する。各対物レンズ用軸補正偏向器8の強度において、加速電圧をわずかに弱くした場合の画像と加速電圧をわずかに強くした場合の画像の位置ズレ量から対物レンズ用軸補正偏向器8の設定値を算出することができる。
【0049】
図5を用いて走査信号画像位置ズレの測定点について説明する。図の横軸uは、対物レンズ用軸補正偏向器8における、電子線2のx方向補正用強度、縦軸vは対物レンズ用軸補正偏向器8における、電子線2のy方向補正用強度である。対物レンズ用軸補正偏向器8の強度u,vを変化させ、測定点1〜測定点3において、加速電圧をわずかに弱くした場合の走査信号画像と加速電圧をわずかに強くした場合の走査信号画像をそれぞれ計6枚取得する。
【0050】
対物レンズ用軸補正偏向器8の強度u,vの変化量は、事前にオペレータが自由に設定可能である。但し、対物レンズ用軸補正偏向器8の強度u,vの変化量は、x方向,y方向同時に変化させた条件が最低1通り必要である。また、対物レンズ用軸補正偏向器8の強度u,vの同一方向のみの変化は、1回のみが条件となる。
【0051】
画像処理装置15では、前記した要領で取得した、それぞれの加速電圧をわずかに弱くした場合の画像と加速電圧をわずかに強くした場合の画像から走査信号画像の位置ズレ量を計算する。走査信号画像の位置ズレ量の算出は、一般的な画像相関などの画像処理方法で高精度に算出することができる。更に、画像位置ズレ量の計測は、サブピクセルオーダで計測可能である。
【0052】
観察試料12に大きな電流を与えられない場合などにおいて、取得走査信号画像の画質が低下する。その場合、必要に応じて上記走査信号画像位置ズレ量の計算直前に、メディアンフィルタ等のノイズ除去フィルタを使用することもできる。フィルタは、電気回路又は画像処理装置15で行なうことができる。
【0053】
次に、最適な対物レンズ用軸補正偏向器8の強度の算出方法について説明する。(1)式は、画像位置ズレ量から対物レンズ用軸補正偏向器8の設定値の算出式を示す。式の各値については前述したので、説明は省略する。未知数a〜fは連立方程式により算出することができる。算出したa〜fの値を(1)式のアフィン変換式に代入する。アンダーフォーカス像とオーバーフォーカス像の位置ズレ量が0であればよいので、(1)式のアフィン変換式のΔx,Δyは0となることから、最適な対物レンズ用軸補正偏向器8の強度はc,fと定まる。cは対物レンズ用軸補正偏向器8のx方向の最適強度、fは対物レンズ用軸補正偏向器8のy方向の最適強度にそれぞれ対応している。cとfの値は、レンズ制御電源18にフィードバックする。
【0054】
上記一連の軸調整方法は、初期条件さえ設定しておけば、ボタンを押すだけで全て自動で行なうことができる。また、本自動軸調整方法は、焦点が完全に合っていない走査信号画像から軸調整ができる。更に、本自動軸調整方法は、設定時刻になると自動で軸調整を行なうようにすることができる。
【0055】
実施の形態例2の効果も実施の形態例1の場合と同様である。
〔実施の形態例3〕
発明の基本構成は、図1と同じである。制御コンピュータ16からの指令により、コンデンサレンズ用軸補正偏向器3の強度を、レンズ制御電源18を経由して設定し、コンデンサレンズ4の強度を、アンダーフォーカス状態とオーバーフォーカス状態になるように変化させ、それぞの強度毎に画像メモリ14に走査信号画像を記憶し、記憶された走査信号画像を一枚ずつ画像処理装置15に転送する。次に、制御コンピュータ16からの指令によりコンデンサレンズ用軸補正偏向器3を上記と異なる条件に設定し、走査信号画像取得に関しては上記と同様に取得する。更に、コンデンサレンズ用軸補正偏向器3を上記いずれの位置とも異なる位置に移動させ、走査信号画像取得を上記と同様に行なう。
【0056】
上記の動作により、アンダーフォーカス像とオーバーフォーカス像を、それぞれコンデンサレンズ用軸補正偏向器3の強度を変化させながら3条件合計6枚の走査信号画像を取得する。各コンデンサレンズ用軸補正偏向器3の強度において、アンダーフォーカス像とオーバーフォーカス像の位置ズレ量からコンデンサレンズ用軸補正偏向器3の設定値を算出することができる。
【0057】
次に、図5を用いて走査信号画像位置ずれの測定点について説明する。図の横軸uはコンデンサレンズ用軸補正偏向器3における、電子線2のx方向補正用強度、縦軸vはコンデンサレンズ用軸補正偏向器3における電子線2のy方向補正用強度信号画像とオーバーフォーカス走査信号画像をそれぞれ計6枚取得する。コンデンサレンズ用軸補正偏向器3の強度u,vの変化量は、事前にオペレータが自由に設定可能である。
【0058】
但し、コンデンサレンズ用軸補正偏向器3の強度u,vの変化量は、x方向,y方向同時に変化した条件が最低1通り必要である。また、コンデンサレンズ用軸補正偏向器3の強度u,vの同一方向のみの変化は、1回のみが条件となる。
【0059】
画像処理装置15では、前記の要領で取得したそれぞれのアンダーフォーカス像とオーバーフォーカス像から走査信号画像の位置ズレ量を計算する。走査信号画像の位置ズレ量の算出は、一般的な画像相関などの画像処理方法で高精度に算出することができる。更に、走査信号画像位置ズレ量の計測は、サブピクセルオーダで計測可能である。
【0060】
ここで、試料に大きな電流を与えられない場合などにおいて、取得走査信号画像の画質が低下する。その場合、必要に応じて上記走査信号画像位置ズレ量の計算直前に、メディアンフィルタ等のノイズ除去フィルタを使用することもできる。フィルタは、電気回路で構成しても、画像処理装置15でディジタル的に処理してもよい。
【0061】
次に、最適なコンデンサ用軸補正偏向器3の強度の算出方法について述べる。(1)式は各走査信号画像位置ズレ量からコンデンサ用軸補正偏向器3の設定値の算出式を示す。これは座標変換方法の一つであるアフィン返還式である。u,vは走査信号画像取得時のコンデンサレンズ用軸補正偏向器3の強度、Δx,Δyは各コンデンサレンズ用軸補正偏向器3の感度u,vにおける走査信号画像位置ずれ量、a〜fは座標変換パラメータである。未知数a〜fは連立方程式により算出することができる。
【0062】
算出したa〜fの値を(1)式のアフィン変換式に代入する。アンダーフォーカス像とオーバーフォーカス像の位置ずれ量が0であればよいので、(1)式のアフィン変換式のΔx,Δyは0となることから、最適なコンデンサレンズ用軸補正偏向器3のy方向の最適強度に対応するc,fの値は、レンズ制御電源18にフィードバックする。
【0063】
上記一連の軸調整方法は、初期条件さえ設定しておけば、ボタンを押すだけで全て自動的に行なうことができる。また、本自動軸調整方法は、焦点が完全に合っていない走査信号画像から軸調整ができる。また、本自動軸調整方法は、設定時刻になると自動で軸調整を行なうようにすることができる。
【0064】
実施の形態例3の効果も実施の形態例1と同様である。
〔実施の形態例4〕
本実施の形態例を実行するための基本構成は図1と同じである。上記実施の形態例1,2及び3において、高精度モードとして、実施の形態例1又は実施の形態例2又は実施の形態例3実行後に、対物レンズ又は補助フォーカスレンズ又は加速電圧又はコンデンサレンズの強度をわずかに強く或いはわずかに弱くして実施の形態例1,2,3と同様に、位置ズレ量を計測する。一定基準以上の位置ズレが発生した場合には、実施の形態例1〜実施の形態例3をもう一度実行する。
【0065】
本機能は、対物レンズ又はコンデンサレンズの軸が大きくズレている場合に有効であり、1回目の実施の形態例1〜実施の形態例3により対物レンズ用軸補正偏向器8又はコンデンサレンズ用軸補正偏向器3の強度を最適強度に近づけることができ、繰り返し実行することにより精度向上が図れる。本機能の実行回数は、オペレータが任意で設定可能である。また、自動軸調整が困難な場合には、自動的に中断してアラームを出力するようにすることもできる。
【0066】
このように、本発明の実施の形態例によれば、電子レンズの軸補正を更に高精度に行なうことができる。また、自動による軸調整が困難になった時に、自動による軸調整を中断し、オペレータに手動による調整を促すことができる。
【0067】
前述の実施の形態例では、システムとして走査型電子顕微鏡を用いた場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限るものではなく、走査電子顕微鏡を搭載した半導体検査システムにも同様に適用することができる。
【0068】
本発明の効果を列挙すれば、以下の通りである。
1)焦点が完全に合っていない走査信号画像から対物レンズ又はコンデンサレンズの軸調整が可能である。その理由は、アンダーフォーカス走査信号画像とオーバーフォーカス走査信号画像の位置ズレ量を評価することによって軸調整を行なうため、フォーカスが完全に合った走査信号像は使用しなくてもよいためである。
2)対物レンズの軸調整は全て自動で行なうことができる。その理由は、パラメータの変更、走査信号画像取得、最適な軸補正偏向器の強度の計算及び設定は、全て制御コンピュータの指令で行なうことができるためである。
3)オペレータの熟練度に関係なく高精度な軸調整が可能である。その理由は、走査信号画像位置ズレ量は、サブピクセルオーダで計測できるため、人間の目では判別不能な領域まで計測できるためである。
4)従来の自動軸補正調整機能は、焦点が完全に合った走査信号画像が必要であり、事前に焦点合わせを自動若しくは手動で行わなければならなかったが、本発明では多少焦点が合っていない場合でも軸調整ができる。その理由は、アンダーフォーカス走査信号画像とオーバーフォーカス走査信号画像の位置ズレ量を評価することによって軸調整を行なうため、フォーカスが完全に合った走査信号画像は使用しないためである。
5)軸調整時間は、ほぼ走査信号画像取得時間のみであり、調整時間の短縮が可能である。その理由は、コンピュータの性能向上により、走査信号画像位置ズレ量の計算や最適軸補正偏向器の強度の計算は瞬時に行なうことができるためである。
6)対物レンズ又はコンデンサレンズの軸ズレ量が大きい場合でも自動軸調整が可能である。その理由は、実施の形態例1で示したアルゴリズムを繰り返し実行することにより、軸補正偏向器の最適条件に近づけることができるためである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】走査型電子顕微鏡の構成例を示す図である。
【図2】電子線が対物レンズの中心からずれた場合を示す図である。
【図3】電子線が対物レンズの中心を通った場合を示す図である。
【図4】オーバーフォーカスとアンダーフォーカスの説明図である。
【図5】軸補正偏向器の強度(u,v)と測定点の説明図である。
【符号の説明】
【0070】
1 電子線源
2 電子線
3 コンデンサレンズ用軸補正偏向器
4 コンデンサレンズ
5 対物絞り
6 開き角制御レンズ
7 走査偏向器
8 対物レンズ用軸補正偏向器
9 非点補正偏向器
10 補正フォーカスレンズ
11 対物レンズ
12 観察試料
13 検出器
14 画像メモリ
15 画像処理装置
16 制御コンピュータ
20 アンプ
21 試料ステージ
22 ステージ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線を発生させる電子線源と、発生された電子線の電流量を制御するコンデンサレンズと、前記電子線をコンデンサレンズの軸に合わせるコンデンサレンズ用軸補正偏向器と、電子線を観察試料上に2次元方向に走査する偏向器と、電子線を対物レンズの軸に合わせる対物レンズ用軸補正偏向器と、電子線を細かく絞って観察試料に照射する対物レンズと、観察試料から発生した信号或いは観察試料に吸収される電流を検出して観察試料の走査信号画像を取得する画像取得手段とを有する走査型電子顕微鏡において、
コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度を変化させる手段と、
コンデンサレンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する手段と、
対物レンズ用軸補正偏向器の強度を変化させる手段と、
該対物レンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する手段と、
補助フォーカスレンズ或いは対物レンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する手段と、
電子線源の加速電圧をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する手段と、
前記各走査信号画像1,2から2次元走査信号画像データを記憶手段に記憶させる手段と、
前記各走査画像信号1,2を画像処理して画像ズレ量を求める手段と、
前記コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度と前記画像ズレ量から最適コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度を求める手段と、
前記対物レンズ用軸補正偏向器の強度と前記画像ズレ量から最適対物レンズ用軸補正偏向器の強度を求める手段と、
前記最適コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度をコンデンサレンズ用軸補正偏向器にフィードバックする手段と、
前記最適対物レンズ用軸補正偏向器の強度を対物レンズ用軸補正偏向器にフィードバックする手段と、
を有することを特徴とする走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整装置。
【請求項2】
前記構成に加えて、電子線の開き角を制御する開き角制御レンズを更に有することを特徴とする請求項1記載の走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整装置。
【請求項3】
前記構成に加えて走査信号画像1と走査信号画像2のズレ量の算出手段として走査信号画像1と走査信号画像2のパターンマッチングによりそのズレ量を算出する算出手段を更に設けることを特徴とする請求項1記載の走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整装置。
【請求項4】
座標変換の一種であるアフィン変換により最適な軸補正偏向器の強度を求め、軸補正偏向器にフィードバックするフィードバック手段を更に設けることを特徴とする請求項1記載の走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整装置。
【請求項5】
前記軸補正が精度よくできたかを確認する確認手段を更に設けることを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの機能を併せ持つ自動軸調整装置において、請求項4の後に再度前記請求項1から請求項4までのシーケンスを実行するようにしたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整装置。
【請求項7】
前記構成に加えて、軸調整が困難になった時には、自動で自動軸調整を中断する手段を更に設けることを特徴とする請求項6記載の走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整装置。
【請求項8】
電子線を発生させる電子線源と、発生された電子線の電流量を制御するコンデンサレンズと、前記電子線をコンデンサレンズの軸に合わせるコンデンサレンズ用軸補正偏向器と、電子線を試料上に2次元方向に走査する偏向器と、電子線を対物レンズの軸に合わせる対物レンズ用軸補正偏向器と、電子線を細かく絞って試料に照射する対物レンズと、試料から発生した信号或いは試料に吸収される電流を検出して試料の走査信号画像を取得する画像取得手段とを有する走査型電子顕微鏡において、
コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度を変化させる工程と、
コンデンサレンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する工程と、
対物レンズ用軸補正偏向器の強度を変化させる工程と、
該対物レンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する工程と、
補助フォーカスレンズの強度をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する工程と、
電子線源の加速電圧をわずかに強く或いは弱くしてそれぞれの場合において、走査信号画像1と走査信号画像2を取得する工程と、
前記各走査信号画像1,2から2次元走査信号画像データを記憶手段に記憶させる工程と、
前記各走査画像信号1,2を画像処理して画像ズレ量を求める工程と、
前記コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度と前記画像ズレ量から最適コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度を求める工程と、
前記対物レンズ用軸補正偏向器の強度と前記画像ズレ量から最適対物レンズ用軸補正偏向器の強度を求める工程と、
前記最適コンデンサレンズ用軸補正偏向器の強度をコンデンサレンズ用軸補正偏向器にフィードバックする工程と、
前記最適対物レンズ用軸補正偏向器の強度を対物レンズ用軸補正偏向器にフィードバックする工程と、
を有することを特徴とする走査型電子顕微鏡における電子レンズの自動軸調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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