走行支援装置
【課題】 右折車両が右折するまで支援が可能な走行支援装置を提供すること。
【解決手段】 周囲の車両から位置情報及び車速情報を受信する車車間通信装置23と、位置情報から右折レーンを走行する先行車両70を特定し、先行車両70の車速情報を監視する情報処理手段24と、車速情報の推移から先行車両70の右折が検出された時の位置情報を右折ポイントに特定する右折位置特定手段24と、右折ポイントまで、自車両の右折を支援する右折支援手段26と、を有することを特徴とする走行支援装置100を提供する。
【解決手段】 周囲の車両から位置情報及び車速情報を受信する車車間通信装置23と、位置情報から右折レーンを走行する先行車両70を特定し、先行車両70の車速情報を監視する情報処理手段24と、車速情報の推移から先行車両70の右折が検出された時の位置情報を右折ポイントに特定する右折位置特定手段24と、右折ポイントまで、自車両の右折を支援する右折支援手段26と、を有することを特徴とする走行支援装置100を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点を右折中の車両の走行を支援する走行支援装置に関し、特に、支援のサービスエリアを可変にできる走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点を右折中の車両が対向車と接触する事故が発生することがある。このような事故を低減するため、右折する車両に対向車の接近を知らせる走行支援(右折支援)技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、対向車線から交差点に進入する対向直進車を検出し、検出すると右折車両に警報情報を送信する運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−113396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の運転支援装置は、右折レーンに進入した右折車両に一律に警報情報を送信するため、走行支援するタイミングと右折車両が右折するタイミングとが一致しないという問題がある。
【0005】
図1は、右折車両に対する走行支援の課題を説明する図の一例である。図1では、右折車両が中心マーカ11の手前側で右折待ちしている。右折車両に、例えば対向直進車60の接近を知らせるのであれば、図示する右折車両(自車両50)が右折する直前が好ましく、例えば、先行車両70の右折待ちしている段階で警報情報を受信する必要はない。すなわち、特許文献1記載の運転支援装置は、支援するタイミングを考慮していない。
【0006】
ところで、自車両50に対する運転支援装置において、右折を支援する(対向直進車60の接近を報知する)サービスエリアを限定することが考えられる。図1では、右折レーン開始ポイントから中心マーカ11までが、サービスエリアである。
【0007】
しかしながら、交差点内の中心マーカ11まで進行した自車両50が、右折可能かどうかを見極めるため前進して、中心マーカ11を超える場合がある。この場合、自車両50が実際には右折していないのにも関わらず、運転支援装置が右折したと判断して、支援を終了指定してしまうという問題がある。
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、右折車両が右折するまで支援が可能な走行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
周囲の車両から位置情報及び車速情報を受信する車車間通信装置と、位置情報から右折レーンを走行する先行車両を特定し、先行車両の車速情報を監視する情報処理手段と、車速情報の推移から先行車両の右折が検出された時の位置情報を右折ポイントに特定する右折位置特定手段と、右折ポイントまで、自車両の右折を支援する右折支援手段と、を有することを特徴とする走行支援装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
右折車両が右折するまで支援が可能な走行支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】右折車両に対する運転支援の課題を説明する図の一例である。
【図2】走行支援装置のシステム構成図の一例である(実施例1)。
【図3】車車間通信する右折車両と先行車両を模式的に示す図の一例である。
【図4】先行車両の右折位置の特定を説明する図の一例である。
【図5】提供右折ポイントの補正を模式的に説明する図の一例である。
【図6】走行支援装置が右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例である(実施例1)。
【図7】走行支援装置のシステム構成図の一例である(実施例2)。
【図8】右折車両と対向直進車とを模式的に説明する図の一例である。
【図9】対向直進車の位置情報から作成されたリンクの一例を示す図である。
【図10】走行支援装置が右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例である(実施例2)。
【図11】走行支援装置のシステム構成図の一例である(実施例3)。
【図12】交差点の路側システムの概略を説明する図の一例である。
【図13】右折ポイントの解析を説明するための図の一例である。
【図14】走行支援システムが右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例である(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0013】
図2は、本実施例の走行支援装置100のシステム構成図の一例を示す。走行支援装置100は、路車間通信装置21、路車間通信情報処理部22、車車間通信装置23、他車両情報処理部24、右折待ちポイント補正処理部25、GPS受信装置27、自車両情報処理部28及び右直衝突防止支援処理部26、を有する。このうち、路車間通信情報処理部22、他車両情報処理部24、右折待ちポイント補正処理部25、自車両情報処理部28及び右直衝突防止支援処理部26は、所定のECU(Electronic Control Unit)のマイコン(CPU)が、EEPROMやHDD(Hard Disk Drive)に記憶されたプログラムを実行することで実現される。車載されるECUは複数あるが、例えば、ナビゲーション用のECUは、自車両50の位置情報を取得しているので、本実施形態の走行支援装置100と親和性が高い。なお、ECU、路車間通信装置21、車車間通信装置23及びGPS受信装置27は、CAN(Controller Area Network)、FlexRay、LIN(Local Interconnect Network)等の車載LANにより接続されている。
【0014】
路車間通信装置21は、路側の装置と通信する装置である。路車間通信装置21は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)や無線LAN等により、比較的近距離の通信距離で通信する。路側の装置は、例えば信号機や交差点の手前50〜100〔m〕の位置に設置されており、自車両50が路側の装置と所定距離内に接近すると、路車間通信装置21は路側の装置と通信する。本実施例では、路側の装置が、走行支援装置100に右折を支援するための情報を提供している。路側の装置は、例えば、自車両50の進行方向の直近の交差点の道路線形情報及び対向車両情報を提供する。道路線形情報は、例えば路側の装置の位置から交差点を含む道路形状の情報である。道路形状には、自車線と中央マークを結ぶ線、中央マークと右折車線を結ぶ線の角度等、道路形状を特定する情報が含まれる。また、道路形状情報には、路側の装置の位置、右折ポイントの位置、が含まれる。路側の装置の位置は、「緯度・経度・標高」の座標情報で提供されてもよいし、路車間通信装置21が受信する電波の強度が最も高くなった位置を路側の装置の位置としてもよい。また、右折ポイントは、例えば中央マーク、右折待ちレーンの待機マーカ線12、等である。本実施例の走行支援装置100は、この右折ポイントを修正する。以下、路側の装置から提供される右折ポイントを、「提供右折ポイント」という。
【0015】
なお、対向車両情報は、対向車線を走行する対向直進車60の位置情報、対向直進車60の走行速度等である。対向車両情報は、対向車線の路側の装置が対向直進車60から取得する。
【0016】
路車間通信情報処理部22は、道路線形情報と対向車両情報を受信したデータのフォーマットやヘッダーから区別し、提供右折ポイントを右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0017】
車車間通信装置23は、先行車両70、対向直進車60及び後続車等との間で通信を行なう通信装置であり、例えば、半径数10メートルから数100メートルの範囲でのみ通信可能なDSRC方式により、1対1又は1対Nのアドホックネットワークを実現して互いに情報を通信する。
【0018】
図3は、車車間通信する自車両50と先行車両70を模式的に示す図の一例である。自車両50が右折車両に相当し、自車両50に本実施形態の走行支援装置100が搭載されている。本実施例では、車車間通信装置23は先行車両70と通信する。車車間通信装置23は、通信した相手の車両の位置情報(緯度・経度・標高の座標情報)、車速情報を受信して、他車両情報処理部24に送出する。
【0019】
他車両情報処理部24は、先行車両70の特定、先行車両70の右折位置の特定、等を実行する。車車間通信装置23が、複数の車両と通信している場合、他車両情報処理部24は、自車両より前方の同じ走行レーンの車両を先行車両70であると特定する。または、直進性の強い電波を用いて、先行車両70とのみ通信してもよい。
【0020】
また、他車両情報処理部24は、先行車両70から受信した車速情報により先行車両70の右折開始ポイントを特定する。図4は、先行車両70の右折開始ポイントの特定を説明する図の一例である。図4では先行車両70の車速を時間に対し監視している。なお、車速を監視している間も、車車間通信装置23は先行車両70から位置情報を受信している。
【0021】
右折前の先行車両70は、断続的に徐行して提供右折ポイントまで接近し、対向直進車60が接近していないことや歩行者が通行を完了すると、右折を開始する。右折を開始することで、先行車両70の車速が急激に増大する。したがって、図4に示すように、車速が急激に立ち上がった時の先行車両70の位置が、右折開始ポイントである。この右折開始ポイントは、先行車両70が受信した位置情報から既知である。
【0022】
右折開始ポイントは、先行車両70が実際に右折した位置であるので、その交差点の道路形状に適した右折ポイントであると考えられる。他車両情報処理部24は、右折開始ポイントを右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0023】
右折待ちポイント補正処理部25は、提供右折ポイントと右折開始ポイントを比較して、提供右折ポイントを右折開始ポイントに補正する。
図5は、提供右折ポイントの補正を模式的に説明する図の一例である。なお、提供右折ポイントは常に補正する必要はなく、例えば、右折開始ポイントが提供右折ポイントより遠方である場合に、提供右折ポイントを補正する。こうすることで、右折支援のサービスエリアが狭くなることを防止できる。
【0024】
右折待ちポイント補正処理部25は、右折開始ポイントと提供右折ポイントとを比較して、ずれ成分を算出する。ずれ成分は、提供右折ポイントから右折開始ポイントまでの距離の情報及び提供右折ポイントから見た右折開始ポイントの方向の情報を有する。そして、右折待ちポイント補正処理部25は、提供右折ポイントをずれ成分だけ延長した位置をその交差点の右折ポイント(以下、最適右折ポイントという)に補正する。こうすることで、提供右折ポイントを、その交差点の道路形状に最適な位置に補正することができる。
【0025】
図2に戻り、GPS受信装置27は、4以上のGPS衛星から受信した電波を利用して自車両50の位置を検出する。GPS受信装置27は、サイクル時間毎に自車両50の位置情報を自車両情報処理部28に送出する。自車両情報処理部28は、自車両50の位置情報を右直衝突防止支援処理部26に送出する。
【0026】
右直衝突防止支援処理部26は、自車両50の右折を支援する。右直衝突防止支援処理部26には、最適右折ポイント及び自車両50の位置情報が入力されているので、右直衝突防止支援処理部26は、自車両50の位置情報が最適右折ポイントに到達するまで、右折を支援する。支援態様は、例えば、対向直進車60や歩行者の存在について自車両50の運転者に注意を促すものである。右直衝突防止支援処理部26は、対向車両情報が含む対向直進車60の位置情報と車速情報から、TTC(Time To Collition)を算出し、TTCが所定以下になると自車両50の運転者に警報音やメッセージにより対向直進車60の接近を知らせる。また、さらにTTCが短くなると、右直衝突防止支援処理部26は、自車両50のブレーキアクチュエータを制御して車速を低減させる、又は、強制的に停止してもよい。また、その他、TTCとの関係において、シートベルトを巻き上げる、カーテンシールドエアバッグを展開する衝撃の閾値を下げる、等を実行してもよい。また、歩行者の存在に注意を促す場合、特に、夜間であれば、近赤外線を投光して自車両50の前方を撮影し、パターンマッチングなどで歩行者を検出してもよい。右直衝突防止支援処理部26は歩行者を検出すると、自車両50の運転者に警報音やメッセージにより歩行者の存在を知らせる。
【0027】
本実施例の走行支援装置100は、提供右折ポイントを最適右折ポイントに補正するので、このような右折支援を、右折開始前に終了することを防止できる。
【0028】
図6は、本実施例の走行支援装置100が右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例を示す。図6のフローチャート図は、例えば右折レーンに進入したり、ウィンカスイッチを右方向にオンしたり、右折予定の経路が設定された交差点に接近すると、スタートする。図6のうち、路側の装置と通信する手順(図6の左側の手順)と、先行車両70と通信する手順(図6の右側の手順)とは、順不同に実行される。
【0029】
まず、右側の手順から説明する。車車間通信装置23は、先行車両70等の周囲の車両と通信し、右折支援のための情報と共に、受信した各車両の位置情報、車速情報を他車両情報処理部24に送出する(S10)。
【0030】
他車両情報処理部24は、各車両の位置情報に基づき、自車両50よりも前方で、かつ、右折レーンを走行している車両と通信したか否かを判定する(S20)。かかる車両と通信していない場合(S20のNo)、他車両情報処理部24は右折開始ポイントを取得できないので、受信した車両の位置情報及び車速情報を破棄する(S50)。この場合、図6の処理はステップS10から繰り返される。
【0031】
自車両50よりも前方で、かつ、右折レーンを走行している車両と通信している場合(S20のYes)、他車両情報処理部24はその先行車両70から右折開始ポイントを取得できるので、他車両情報処理部24は他車両の車速情報を監視する(S30)。他車両情報処理部24は、図4に示した、先行車両70の車速が急激に増大すると、その時の位置情報を右折開始ポイントに決定する(S40)。他車両情報処理部24は、右折開始ポイントを右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0032】
次に、左側の手順に移行する。路車間通信装置21は、路側の装置から、交差点の道路線形情報及び対向車両情報を受信する(S60)。路車間通信情報処理部22は、道路形状情報から提供右折ポイントを抽出する(S70)。路車間通信情報処理部22は提供右折ポイントを右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0033】
右折待ちポイント補正処理部25は、右折開始ポイントと提供右折ポイントとを比較して、ずれ成分を算出する(S80)。右折待ちポイント補正処理部25は、提供右折ポイントをずれ成分だけ延長した位置をその交差点の最適右折ポイントに補正する(S90)。
【0034】
右直衝突防止支援処理部26は、最適右折ポイントに自車両50が到達するまで自車両50の右折を支援する(S100)。
【0035】
本実施例の走行支援装置100によれば、先行車両70の右折開始ポイントに基づき、提供右折ポイントを最適右折ポイントに補正するので、その交差点に最適な最適な右折ポイントまで右折を支援でき、右折開始前に右折支援が終了することを防止できる。
【実施例2】
【0036】
本実施例では、対向直進車60の位置情報から右折待ちポイントを決定する走行支援装置100について説明する。
【0037】
図7は、本実施例の走行支援装置100のシステム構成図の一例を示す。図7において図2と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。本実施例の他車両情報処理部24は、車車間通信装置23が受信した周囲の車両の情報から、対向直進車60の位置情報を利用する。対向直進車60の位置情報と車速情報は、右直衝突防止支援処理部26が自車両50の右折を支援するために実施例1では路側の装置から取得したが、本実施例では車車間通信装置23が受信する。
【0038】
図8は、自車両50と対向直進車60とを模式的に説明する図の一例である。車車間通信装置23は、自車両50から所定距離内の車両から他車両の位置情報と車速情報を受信している。他車両情報処理部24は、例えば、自車両50が右折レーンに進入すると、位置情報から対向直進車60を特定する。対向車線を走行し、位置が徐々に接近している車両が対向直進車60である。
【0039】
そして、他車両情報処理部24は、対向直進車60の位置情報を時系列に連結して、リンク41を作成する。図9は、対向直進車60の位置情報から作成されたリンク41の一例を示す。黒丸点が対向直進車60の位置情報であり、それらを連結した線がリンク41である。このリンク41は、不特定の対向車線が交差点を通過することで作成できるので、他車両情報処理部24は交差点を通過した対向車両60から一連の位置情報を受信すると、位置情報から作成したリンク41を右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0040】
また、自車両情報処理部28は、GPS受信装置27が検出した自車両50の位置情報(図9の白丸)を時系列に取得すると共に、右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0041】
そうすることで、右折待ちポイント補正処理部25は、自車両50の位置情報とリンク41を利用できる。右折待ちポイント補正処理部25は、図9に示すように、リンク41に対し自車両50の位置情報から垂線42を下ろし、垂線42の長さを算出する。垂線42の長さは、右折するまではほぼ一定であり、右折を開始すると徐々に短くなる。また、垂線42の長さは、対向直進車60が通過する軌跡までの距離なので、垂線42の長さがゼロになった時、自車両50がリンク41上にいるということなる。したがって、垂線42の長さがゼロになる手前が右折待ちポイントになると考えられる。
【0042】
具体的には、右折待ちポイント補正処理部25は、対向車線の幅員を道路形状情報又は地図DB(Data Base)から取得する。そして、次式にしたがい、右折待ちポイントを定義する。
【0043】
右折待ちポイント: 垂線42の長さ < 対向車線の幅員/2
の判定式が満たされた時の、自車両50の位置
垂線42の長さが「対向車線の幅員/2」の時、自車両50は対向車線を一車線分空けた位置にいることになる。
【0044】
右折待ちポイント補正処理部25は、右折待ちポイントまでを右折支援するサービスエリアの終点に決定する。自車両50が路側の装置から提供右折ポイントを受信している場合、提供右折ポイントを右折待ちポイントに補正してもよい。
【0045】
対向直進車60の走行軌跡と対向車線の幅員とを考慮して、右折待ちポイントをサービスエリアの終点に決定するので、右折開始前に右折支援が終了することを防止できる。
【0046】
図10は、本実施例の走行支援装置100が右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例を示す。図10のフローチャート図は、例えば右折レーンに進入したり、ウィンカスイッチを右方向にオンしたり、右折予定の経路が設定された交差点に接近すると、スタートする。図10のうち、路側の装置と通信する手順(図10の左側の手順)と、対向直進車60と通信する手順(図10の右側の手順)とは、順不同に実行される。
【0047】
まず、右側の手順から説明する。車車間通信装置23は、先行車両70等の周囲の車両と通信し、受信した各車両の位置情報、車速情報を他車両情報処理部24に送出する(S210)。
【0048】
他車両情報処理部24は、各車両の位置情報に基づき、対向車線を走行している車両と通信したか否かを判定する(S220)。かかる車両と通信していない場合(S220のNo)、他車両情報処理部24は右折待ちポイントを取得できないので、受信した車両の位置情報を破棄する(S250)。この場合、図10の処理はステップS210から繰り返される。
【0049】
対向車線を走行している車両と通信している場合(S220のYes)、他車両情報処理部24はその先行車両70から走行軌跡であるリンク41を作成できるので、他車両情報処理部24は対向直進車60の位置情報を監視し、それらを連結してリンク41を作成する(S230)。他車両情報処理部24は、作成したリンク41を右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0050】
自車両情報処理部28は、自車両50の位置情報を右折待ちポイント補正処理部25に送出している。右折待ちポイント補正処理部25は、自車両50の位置情報からリンク41に垂線42を下ろし、垂線42の長さを算出する(S240)。
【0051】
そして、右折待ちポイント補正処理部25は、垂線42の長さを算出する毎に、「垂線42の長さ < 対向車線の幅員/2」の関係が成立するか否かを判定する(S250)。かかる判定式が成立しない場合(S250のNo)、自車両50の位置が、まだ、右折待ちポイントに到達していないことになるので、右折待ちポイント補正処理部25はステップS240からの処理を繰り返す(S280)。
【0052】
かかる判定式が成立した場合(S250のYes)、右折待ちポイント補正処理部25は、自車両50が右折待ちポイントを通過したと判定する(S260)。
【0053】
次に、左の手順に移行する。路車間通信装置21は、路側の装置から右折支援のための情報と共に、交差点の道路線形情報を受信する(S310)。路車間通信情報処理部22は、道路形状情報から対向車線の幅員を抽出する(S320)。路車間通信情報処理部22は幅員を右折待ちポイント補正処理部25に送出する。これにより、ステップS250の判定が可能になる。
【0054】
右直衝突防止支援処理部26は、自車両50の位置情報と対向直進車60のTTCに基づき自車両50の右折を支援する(S330)。
【0055】
そして、右直衝突防止支援処理部26は、ステップS260において、自車両50が右折待ちポイントを通過したと判定されまで右折を支援し、自車両50が右折待ちポイントを通過するとしたと判定されると右折の支援を終了する。
【0056】
本実施例の走行支援装置100によれば、対向車線の軌跡と幅員から右折待ちポイントを決定するので、右折開始前に右折支援が終了することを防止できる。
【実施例3】
【0057】
本実施例では、路側に設置された車両検知カメラ32を用いて車種毎の右折ポイントを提供する走行支援システム200について説明する。
【0058】
図11は、本実施例の走行支援システム200のシステム構成図の一例を示す。図11において図2と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。図11のシステム構成図は、路側システム90を有する。路側システム90は、路車間通信装置21、右折待ちポイント補正処理部25、車両検知センサ情報処理部及び車両検知カメラ32を有する。
【0059】
図12は、交差点の路側システム90の概略を説明する図の一例である。図示するように、車両検知カメラ32は、自車両50を撮影する。車両検知カメラ32の光軸は固定、又は、可動可能でも光軸が既知である。これを利用して、車両検知カメラ情報処理部31は、画像データを画像解析して、自車両50を特定し、検出された自車両50の時系列の位置情報を監視する。
【0060】
なお、車両検知カメラ情報処理部31は、自車両50の車種(セダン、バス、トラック、1Box等)も特定する。自車両50の車種は、例えば、各種の車種の分かった車両の標準テンプレートとパターンマッチングすることで特定できる。車両検知カメラ情報処理部31は、車種と位置情報を対応づけて、右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0061】
右折待ちポイント補正処理部25は、どの車種がどの位置で右折するか(特に、右折の開始位置)を決定する。こうすることで、路側システム90は、車種毎の右折ポイントを検出できる。
【0062】
図13は、右折ポイントの解析を説明するための図の一例である。具体的には、時系列の位置情報から車速が急激に増大し始めた位置、又は、交差点に進入した自車両50の進行方向が45度以上回転した位置、等を右折ポイントとして検出する。右折待ちポイント補正処理部25は、車種情報に右折ポイントを対応づけて、路車間通信装置21に送出する。なお、車種毎に右折ポイントを検出するのは、車体の大きさにより右折に必要なハンドル操作が異なり、また、車高や車重により見切り位置が異なるため、右折ポイントは車種毎に異なるからである。
【0063】
路車間通信装置21は、繰り返し、周囲の車両に車種毎の右折ポイントを送信するので、自車両50も路車間通信装置21は、各種の車種の右折ポイントを受信する。路車間通信情報処理部22は、車種毎の右折ポイントから、自車と同じ車種の右折ポイントを抽出し、右直衝突防止支援処理部26に送出する。
【0064】
右直衝突防止支援処理部26は、交差点において右折に最適な位置を右折ポイントに決定でき、自車両50が右折する前に右折の支援が終了することを防止できる。また、車種の違いによる右折ポイントの違いも吸収できる。
【0065】
図14は、本実施例の走行支援システムが右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例を示す。図14の左のフローチャート図は、路側システム90が実行する手順を示し、右側のフローチャート図は車載された走行支援装置100が実行する手順を示す。図14の左のフローチャート図は、自車両50が検出される度に繰り返し実行される。右側のフローチャート図は、自車両50が例えば右折レーンに進入したり、ウィンカスイッチを右方向にオンしたり、右折予定の経路が設定された交差点に接近すると、スタートする。
【0066】
まず、左側の手順から説明する。車両検知カメラ32は、交差点で右折する車両を撮影する(S410)。
【0067】
車両検知カメラ情報処理部31は、自車両50が撮影された画像データを解析して、位置情報を時系列に検出する。また、車両検知カメラ情報処理部31はその自車両50の車種を特定する(S420)。車両検知カメラ情報処理部31は、時系列の位置情報と車種を右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0068】
右折待ちポイント補正処理部25は、車種毎に右折ポイントを決定する(S430)。同じ車種が複数台、同じ交差点を右折すると考えられるので、右折待ちポイント補正処理部25は、例えば、車種毎の平均、又は、平均+2σ(σ:標準偏差)を右折ポイントに決定する。「平均+2σ」とすることで、右折支援が終了する位置を長めに取ることができる。
【0069】
そして、路車間通信装置21は、道路形状情報に加え、車種毎の右折ポイントを周囲の車両に送信する(S440)。
【0070】
このため、自車両50の路車間通信装置21は、車種毎の右折ポイントを受信する(S510)。
【0071】
路車間通信情報処理部22は、自車の車種に最も合致する車種の右折ポイントを抽出する(S520)。そして、路車間通信情報処理部22は抽出した右折ポイントを右直衝突防止支援処理部26に送出する。
【0072】
右直衝突防止支援処理部26は、自車両50の位置が右折ポイントに到達するまで、右折支援を提供する(S530)。
【0073】
本実実施例の走行支援装置100は、交差点において右折に最適な位置を右折ポイントに決定でき、自車両50が右折する前に右折の支援が終了することを防止できる。また、車種の違いによる右折ポイントの違いも吸収できる。
【符号の説明】
【0074】
21 路車間通信装置
23 車車間通信装置
25 右折待ちポイント補正処理部
26 右直衝突防止支援処理部
27 GPS受信装置
50 自車両
60 対向直進車
70 先行車両
100 走行支援装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点を右折中の車両の走行を支援する走行支援装置に関し、特に、支援のサービスエリアを可変にできる走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点を右折中の車両が対向車と接触する事故が発生することがある。このような事故を低減するため、右折する車両に対向車の接近を知らせる走行支援(右折支援)技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、対向車線から交差点に進入する対向直進車を検出し、検出すると右折車両に警報情報を送信する運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−113396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の運転支援装置は、右折レーンに進入した右折車両に一律に警報情報を送信するため、走行支援するタイミングと右折車両が右折するタイミングとが一致しないという問題がある。
【0005】
図1は、右折車両に対する走行支援の課題を説明する図の一例である。図1では、右折車両が中心マーカ11の手前側で右折待ちしている。右折車両に、例えば対向直進車60の接近を知らせるのであれば、図示する右折車両(自車両50)が右折する直前が好ましく、例えば、先行車両70の右折待ちしている段階で警報情報を受信する必要はない。すなわち、特許文献1記載の運転支援装置は、支援するタイミングを考慮していない。
【0006】
ところで、自車両50に対する運転支援装置において、右折を支援する(対向直進車60の接近を報知する)サービスエリアを限定することが考えられる。図1では、右折レーン開始ポイントから中心マーカ11までが、サービスエリアである。
【0007】
しかしながら、交差点内の中心マーカ11まで進行した自車両50が、右折可能かどうかを見極めるため前進して、中心マーカ11を超える場合がある。この場合、自車両50が実際には右折していないのにも関わらず、運転支援装置が右折したと判断して、支援を終了指定してしまうという問題がある。
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、右折車両が右折するまで支援が可能な走行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
周囲の車両から位置情報及び車速情報を受信する車車間通信装置と、位置情報から右折レーンを走行する先行車両を特定し、先行車両の車速情報を監視する情報処理手段と、車速情報の推移から先行車両の右折が検出された時の位置情報を右折ポイントに特定する右折位置特定手段と、右折ポイントまで、自車両の右折を支援する右折支援手段と、を有することを特徴とする走行支援装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
右折車両が右折するまで支援が可能な走行支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】右折車両に対する運転支援の課題を説明する図の一例である。
【図2】走行支援装置のシステム構成図の一例である(実施例1)。
【図3】車車間通信する右折車両と先行車両を模式的に示す図の一例である。
【図4】先行車両の右折位置の特定を説明する図の一例である。
【図5】提供右折ポイントの補正を模式的に説明する図の一例である。
【図6】走行支援装置が右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例である(実施例1)。
【図7】走行支援装置のシステム構成図の一例である(実施例2)。
【図8】右折車両と対向直進車とを模式的に説明する図の一例である。
【図9】対向直進車の位置情報から作成されたリンクの一例を示す図である。
【図10】走行支援装置が右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例である(実施例2)。
【図11】走行支援装置のシステム構成図の一例である(実施例3)。
【図12】交差点の路側システムの概略を説明する図の一例である。
【図13】右折ポイントの解析を説明するための図の一例である。
【図14】走行支援システムが右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例である(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0013】
図2は、本実施例の走行支援装置100のシステム構成図の一例を示す。走行支援装置100は、路車間通信装置21、路車間通信情報処理部22、車車間通信装置23、他車両情報処理部24、右折待ちポイント補正処理部25、GPS受信装置27、自車両情報処理部28及び右直衝突防止支援処理部26、を有する。このうち、路車間通信情報処理部22、他車両情報処理部24、右折待ちポイント補正処理部25、自車両情報処理部28及び右直衝突防止支援処理部26は、所定のECU(Electronic Control Unit)のマイコン(CPU)が、EEPROMやHDD(Hard Disk Drive)に記憶されたプログラムを実行することで実現される。車載されるECUは複数あるが、例えば、ナビゲーション用のECUは、自車両50の位置情報を取得しているので、本実施形態の走行支援装置100と親和性が高い。なお、ECU、路車間通信装置21、車車間通信装置23及びGPS受信装置27は、CAN(Controller Area Network)、FlexRay、LIN(Local Interconnect Network)等の車載LANにより接続されている。
【0014】
路車間通信装置21は、路側の装置と通信する装置である。路車間通信装置21は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)や無線LAN等により、比較的近距離の通信距離で通信する。路側の装置は、例えば信号機や交差点の手前50〜100〔m〕の位置に設置されており、自車両50が路側の装置と所定距離内に接近すると、路車間通信装置21は路側の装置と通信する。本実施例では、路側の装置が、走行支援装置100に右折を支援するための情報を提供している。路側の装置は、例えば、自車両50の進行方向の直近の交差点の道路線形情報及び対向車両情報を提供する。道路線形情報は、例えば路側の装置の位置から交差点を含む道路形状の情報である。道路形状には、自車線と中央マークを結ぶ線、中央マークと右折車線を結ぶ線の角度等、道路形状を特定する情報が含まれる。また、道路形状情報には、路側の装置の位置、右折ポイントの位置、が含まれる。路側の装置の位置は、「緯度・経度・標高」の座標情報で提供されてもよいし、路車間通信装置21が受信する電波の強度が最も高くなった位置を路側の装置の位置としてもよい。また、右折ポイントは、例えば中央マーク、右折待ちレーンの待機マーカ線12、等である。本実施例の走行支援装置100は、この右折ポイントを修正する。以下、路側の装置から提供される右折ポイントを、「提供右折ポイント」という。
【0015】
なお、対向車両情報は、対向車線を走行する対向直進車60の位置情報、対向直進車60の走行速度等である。対向車両情報は、対向車線の路側の装置が対向直進車60から取得する。
【0016】
路車間通信情報処理部22は、道路線形情報と対向車両情報を受信したデータのフォーマットやヘッダーから区別し、提供右折ポイントを右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0017】
車車間通信装置23は、先行車両70、対向直進車60及び後続車等との間で通信を行なう通信装置であり、例えば、半径数10メートルから数100メートルの範囲でのみ通信可能なDSRC方式により、1対1又は1対Nのアドホックネットワークを実現して互いに情報を通信する。
【0018】
図3は、車車間通信する自車両50と先行車両70を模式的に示す図の一例である。自車両50が右折車両に相当し、自車両50に本実施形態の走行支援装置100が搭載されている。本実施例では、車車間通信装置23は先行車両70と通信する。車車間通信装置23は、通信した相手の車両の位置情報(緯度・経度・標高の座標情報)、車速情報を受信して、他車両情報処理部24に送出する。
【0019】
他車両情報処理部24は、先行車両70の特定、先行車両70の右折位置の特定、等を実行する。車車間通信装置23が、複数の車両と通信している場合、他車両情報処理部24は、自車両より前方の同じ走行レーンの車両を先行車両70であると特定する。または、直進性の強い電波を用いて、先行車両70とのみ通信してもよい。
【0020】
また、他車両情報処理部24は、先行車両70から受信した車速情報により先行車両70の右折開始ポイントを特定する。図4は、先行車両70の右折開始ポイントの特定を説明する図の一例である。図4では先行車両70の車速を時間に対し監視している。なお、車速を監視している間も、車車間通信装置23は先行車両70から位置情報を受信している。
【0021】
右折前の先行車両70は、断続的に徐行して提供右折ポイントまで接近し、対向直進車60が接近していないことや歩行者が通行を完了すると、右折を開始する。右折を開始することで、先行車両70の車速が急激に増大する。したがって、図4に示すように、車速が急激に立ち上がった時の先行車両70の位置が、右折開始ポイントである。この右折開始ポイントは、先行車両70が受信した位置情報から既知である。
【0022】
右折開始ポイントは、先行車両70が実際に右折した位置であるので、その交差点の道路形状に適した右折ポイントであると考えられる。他車両情報処理部24は、右折開始ポイントを右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0023】
右折待ちポイント補正処理部25は、提供右折ポイントと右折開始ポイントを比較して、提供右折ポイントを右折開始ポイントに補正する。
図5は、提供右折ポイントの補正を模式的に説明する図の一例である。なお、提供右折ポイントは常に補正する必要はなく、例えば、右折開始ポイントが提供右折ポイントより遠方である場合に、提供右折ポイントを補正する。こうすることで、右折支援のサービスエリアが狭くなることを防止できる。
【0024】
右折待ちポイント補正処理部25は、右折開始ポイントと提供右折ポイントとを比較して、ずれ成分を算出する。ずれ成分は、提供右折ポイントから右折開始ポイントまでの距離の情報及び提供右折ポイントから見た右折開始ポイントの方向の情報を有する。そして、右折待ちポイント補正処理部25は、提供右折ポイントをずれ成分だけ延長した位置をその交差点の右折ポイント(以下、最適右折ポイントという)に補正する。こうすることで、提供右折ポイントを、その交差点の道路形状に最適な位置に補正することができる。
【0025】
図2に戻り、GPS受信装置27は、4以上のGPS衛星から受信した電波を利用して自車両50の位置を検出する。GPS受信装置27は、サイクル時間毎に自車両50の位置情報を自車両情報処理部28に送出する。自車両情報処理部28は、自車両50の位置情報を右直衝突防止支援処理部26に送出する。
【0026】
右直衝突防止支援処理部26は、自車両50の右折を支援する。右直衝突防止支援処理部26には、最適右折ポイント及び自車両50の位置情報が入力されているので、右直衝突防止支援処理部26は、自車両50の位置情報が最適右折ポイントに到達するまで、右折を支援する。支援態様は、例えば、対向直進車60や歩行者の存在について自車両50の運転者に注意を促すものである。右直衝突防止支援処理部26は、対向車両情報が含む対向直進車60の位置情報と車速情報から、TTC(Time To Collition)を算出し、TTCが所定以下になると自車両50の運転者に警報音やメッセージにより対向直進車60の接近を知らせる。また、さらにTTCが短くなると、右直衝突防止支援処理部26は、自車両50のブレーキアクチュエータを制御して車速を低減させる、又は、強制的に停止してもよい。また、その他、TTCとの関係において、シートベルトを巻き上げる、カーテンシールドエアバッグを展開する衝撃の閾値を下げる、等を実行してもよい。また、歩行者の存在に注意を促す場合、特に、夜間であれば、近赤外線を投光して自車両50の前方を撮影し、パターンマッチングなどで歩行者を検出してもよい。右直衝突防止支援処理部26は歩行者を検出すると、自車両50の運転者に警報音やメッセージにより歩行者の存在を知らせる。
【0027】
本実施例の走行支援装置100は、提供右折ポイントを最適右折ポイントに補正するので、このような右折支援を、右折開始前に終了することを防止できる。
【0028】
図6は、本実施例の走行支援装置100が右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例を示す。図6のフローチャート図は、例えば右折レーンに進入したり、ウィンカスイッチを右方向にオンしたり、右折予定の経路が設定された交差点に接近すると、スタートする。図6のうち、路側の装置と通信する手順(図6の左側の手順)と、先行車両70と通信する手順(図6の右側の手順)とは、順不同に実行される。
【0029】
まず、右側の手順から説明する。車車間通信装置23は、先行車両70等の周囲の車両と通信し、右折支援のための情報と共に、受信した各車両の位置情報、車速情報を他車両情報処理部24に送出する(S10)。
【0030】
他車両情報処理部24は、各車両の位置情報に基づき、自車両50よりも前方で、かつ、右折レーンを走行している車両と通信したか否かを判定する(S20)。かかる車両と通信していない場合(S20のNo)、他車両情報処理部24は右折開始ポイントを取得できないので、受信した車両の位置情報及び車速情報を破棄する(S50)。この場合、図6の処理はステップS10から繰り返される。
【0031】
自車両50よりも前方で、かつ、右折レーンを走行している車両と通信している場合(S20のYes)、他車両情報処理部24はその先行車両70から右折開始ポイントを取得できるので、他車両情報処理部24は他車両の車速情報を監視する(S30)。他車両情報処理部24は、図4に示した、先行車両70の車速が急激に増大すると、その時の位置情報を右折開始ポイントに決定する(S40)。他車両情報処理部24は、右折開始ポイントを右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0032】
次に、左側の手順に移行する。路車間通信装置21は、路側の装置から、交差点の道路線形情報及び対向車両情報を受信する(S60)。路車間通信情報処理部22は、道路形状情報から提供右折ポイントを抽出する(S70)。路車間通信情報処理部22は提供右折ポイントを右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0033】
右折待ちポイント補正処理部25は、右折開始ポイントと提供右折ポイントとを比較して、ずれ成分を算出する(S80)。右折待ちポイント補正処理部25は、提供右折ポイントをずれ成分だけ延長した位置をその交差点の最適右折ポイントに補正する(S90)。
【0034】
右直衝突防止支援処理部26は、最適右折ポイントに自車両50が到達するまで自車両50の右折を支援する(S100)。
【0035】
本実施例の走行支援装置100によれば、先行車両70の右折開始ポイントに基づき、提供右折ポイントを最適右折ポイントに補正するので、その交差点に最適な最適な右折ポイントまで右折を支援でき、右折開始前に右折支援が終了することを防止できる。
【実施例2】
【0036】
本実施例では、対向直進車60の位置情報から右折待ちポイントを決定する走行支援装置100について説明する。
【0037】
図7は、本実施例の走行支援装置100のシステム構成図の一例を示す。図7において図2と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。本実施例の他車両情報処理部24は、車車間通信装置23が受信した周囲の車両の情報から、対向直進車60の位置情報を利用する。対向直進車60の位置情報と車速情報は、右直衝突防止支援処理部26が自車両50の右折を支援するために実施例1では路側の装置から取得したが、本実施例では車車間通信装置23が受信する。
【0038】
図8は、自車両50と対向直進車60とを模式的に説明する図の一例である。車車間通信装置23は、自車両50から所定距離内の車両から他車両の位置情報と車速情報を受信している。他車両情報処理部24は、例えば、自車両50が右折レーンに進入すると、位置情報から対向直進車60を特定する。対向車線を走行し、位置が徐々に接近している車両が対向直進車60である。
【0039】
そして、他車両情報処理部24は、対向直進車60の位置情報を時系列に連結して、リンク41を作成する。図9は、対向直進車60の位置情報から作成されたリンク41の一例を示す。黒丸点が対向直進車60の位置情報であり、それらを連結した線がリンク41である。このリンク41は、不特定の対向車線が交差点を通過することで作成できるので、他車両情報処理部24は交差点を通過した対向車両60から一連の位置情報を受信すると、位置情報から作成したリンク41を右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0040】
また、自車両情報処理部28は、GPS受信装置27が検出した自車両50の位置情報(図9の白丸)を時系列に取得すると共に、右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0041】
そうすることで、右折待ちポイント補正処理部25は、自車両50の位置情報とリンク41を利用できる。右折待ちポイント補正処理部25は、図9に示すように、リンク41に対し自車両50の位置情報から垂線42を下ろし、垂線42の長さを算出する。垂線42の長さは、右折するまではほぼ一定であり、右折を開始すると徐々に短くなる。また、垂線42の長さは、対向直進車60が通過する軌跡までの距離なので、垂線42の長さがゼロになった時、自車両50がリンク41上にいるということなる。したがって、垂線42の長さがゼロになる手前が右折待ちポイントになると考えられる。
【0042】
具体的には、右折待ちポイント補正処理部25は、対向車線の幅員を道路形状情報又は地図DB(Data Base)から取得する。そして、次式にしたがい、右折待ちポイントを定義する。
【0043】
右折待ちポイント: 垂線42の長さ < 対向車線の幅員/2
の判定式が満たされた時の、自車両50の位置
垂線42の長さが「対向車線の幅員/2」の時、自車両50は対向車線を一車線分空けた位置にいることになる。
【0044】
右折待ちポイント補正処理部25は、右折待ちポイントまでを右折支援するサービスエリアの終点に決定する。自車両50が路側の装置から提供右折ポイントを受信している場合、提供右折ポイントを右折待ちポイントに補正してもよい。
【0045】
対向直進車60の走行軌跡と対向車線の幅員とを考慮して、右折待ちポイントをサービスエリアの終点に決定するので、右折開始前に右折支援が終了することを防止できる。
【0046】
図10は、本実施例の走行支援装置100が右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例を示す。図10のフローチャート図は、例えば右折レーンに進入したり、ウィンカスイッチを右方向にオンしたり、右折予定の経路が設定された交差点に接近すると、スタートする。図10のうち、路側の装置と通信する手順(図10の左側の手順)と、対向直進車60と通信する手順(図10の右側の手順)とは、順不同に実行される。
【0047】
まず、右側の手順から説明する。車車間通信装置23は、先行車両70等の周囲の車両と通信し、受信した各車両の位置情報、車速情報を他車両情報処理部24に送出する(S210)。
【0048】
他車両情報処理部24は、各車両の位置情報に基づき、対向車線を走行している車両と通信したか否かを判定する(S220)。かかる車両と通信していない場合(S220のNo)、他車両情報処理部24は右折待ちポイントを取得できないので、受信した車両の位置情報を破棄する(S250)。この場合、図10の処理はステップS210から繰り返される。
【0049】
対向車線を走行している車両と通信している場合(S220のYes)、他車両情報処理部24はその先行車両70から走行軌跡であるリンク41を作成できるので、他車両情報処理部24は対向直進車60の位置情報を監視し、それらを連結してリンク41を作成する(S230)。他車両情報処理部24は、作成したリンク41を右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0050】
自車両情報処理部28は、自車両50の位置情報を右折待ちポイント補正処理部25に送出している。右折待ちポイント補正処理部25は、自車両50の位置情報からリンク41に垂線42を下ろし、垂線42の長さを算出する(S240)。
【0051】
そして、右折待ちポイント補正処理部25は、垂線42の長さを算出する毎に、「垂線42の長さ < 対向車線の幅員/2」の関係が成立するか否かを判定する(S250)。かかる判定式が成立しない場合(S250のNo)、自車両50の位置が、まだ、右折待ちポイントに到達していないことになるので、右折待ちポイント補正処理部25はステップS240からの処理を繰り返す(S280)。
【0052】
かかる判定式が成立した場合(S250のYes)、右折待ちポイント補正処理部25は、自車両50が右折待ちポイントを通過したと判定する(S260)。
【0053】
次に、左の手順に移行する。路車間通信装置21は、路側の装置から右折支援のための情報と共に、交差点の道路線形情報を受信する(S310)。路車間通信情報処理部22は、道路形状情報から対向車線の幅員を抽出する(S320)。路車間通信情報処理部22は幅員を右折待ちポイント補正処理部25に送出する。これにより、ステップS250の判定が可能になる。
【0054】
右直衝突防止支援処理部26は、自車両50の位置情報と対向直進車60のTTCに基づき自車両50の右折を支援する(S330)。
【0055】
そして、右直衝突防止支援処理部26は、ステップS260において、自車両50が右折待ちポイントを通過したと判定されまで右折を支援し、自車両50が右折待ちポイントを通過するとしたと判定されると右折の支援を終了する。
【0056】
本実施例の走行支援装置100によれば、対向車線の軌跡と幅員から右折待ちポイントを決定するので、右折開始前に右折支援が終了することを防止できる。
【実施例3】
【0057】
本実施例では、路側に設置された車両検知カメラ32を用いて車種毎の右折ポイントを提供する走行支援システム200について説明する。
【0058】
図11は、本実施例の走行支援システム200のシステム構成図の一例を示す。図11において図2と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。図11のシステム構成図は、路側システム90を有する。路側システム90は、路車間通信装置21、右折待ちポイント補正処理部25、車両検知センサ情報処理部及び車両検知カメラ32を有する。
【0059】
図12は、交差点の路側システム90の概略を説明する図の一例である。図示するように、車両検知カメラ32は、自車両50を撮影する。車両検知カメラ32の光軸は固定、又は、可動可能でも光軸が既知である。これを利用して、車両検知カメラ情報処理部31は、画像データを画像解析して、自車両50を特定し、検出された自車両50の時系列の位置情報を監視する。
【0060】
なお、車両検知カメラ情報処理部31は、自車両50の車種(セダン、バス、トラック、1Box等)も特定する。自車両50の車種は、例えば、各種の車種の分かった車両の標準テンプレートとパターンマッチングすることで特定できる。車両検知カメラ情報処理部31は、車種と位置情報を対応づけて、右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0061】
右折待ちポイント補正処理部25は、どの車種がどの位置で右折するか(特に、右折の開始位置)を決定する。こうすることで、路側システム90は、車種毎の右折ポイントを検出できる。
【0062】
図13は、右折ポイントの解析を説明するための図の一例である。具体的には、時系列の位置情報から車速が急激に増大し始めた位置、又は、交差点に進入した自車両50の進行方向が45度以上回転した位置、等を右折ポイントとして検出する。右折待ちポイント補正処理部25は、車種情報に右折ポイントを対応づけて、路車間通信装置21に送出する。なお、車種毎に右折ポイントを検出するのは、車体の大きさにより右折に必要なハンドル操作が異なり、また、車高や車重により見切り位置が異なるため、右折ポイントは車種毎に異なるからである。
【0063】
路車間通信装置21は、繰り返し、周囲の車両に車種毎の右折ポイントを送信するので、自車両50も路車間通信装置21は、各種の車種の右折ポイントを受信する。路車間通信情報処理部22は、車種毎の右折ポイントから、自車と同じ車種の右折ポイントを抽出し、右直衝突防止支援処理部26に送出する。
【0064】
右直衝突防止支援処理部26は、交差点において右折に最適な位置を右折ポイントに決定でき、自車両50が右折する前に右折の支援が終了することを防止できる。また、車種の違いによる右折ポイントの違いも吸収できる。
【0065】
図14は、本実施例の走行支援システムが右折を支援する手順を示すフローチャート図の一例を示す。図14の左のフローチャート図は、路側システム90が実行する手順を示し、右側のフローチャート図は車載された走行支援装置100が実行する手順を示す。図14の左のフローチャート図は、自車両50が検出される度に繰り返し実行される。右側のフローチャート図は、自車両50が例えば右折レーンに進入したり、ウィンカスイッチを右方向にオンしたり、右折予定の経路が設定された交差点に接近すると、スタートする。
【0066】
まず、左側の手順から説明する。車両検知カメラ32は、交差点で右折する車両を撮影する(S410)。
【0067】
車両検知カメラ情報処理部31は、自車両50が撮影された画像データを解析して、位置情報を時系列に検出する。また、車両検知カメラ情報処理部31はその自車両50の車種を特定する(S420)。車両検知カメラ情報処理部31は、時系列の位置情報と車種を右折待ちポイント補正処理部25に送出する。
【0068】
右折待ちポイント補正処理部25は、車種毎に右折ポイントを決定する(S430)。同じ車種が複数台、同じ交差点を右折すると考えられるので、右折待ちポイント補正処理部25は、例えば、車種毎の平均、又は、平均+2σ(σ:標準偏差)を右折ポイントに決定する。「平均+2σ」とすることで、右折支援が終了する位置を長めに取ることができる。
【0069】
そして、路車間通信装置21は、道路形状情報に加え、車種毎の右折ポイントを周囲の車両に送信する(S440)。
【0070】
このため、自車両50の路車間通信装置21は、車種毎の右折ポイントを受信する(S510)。
【0071】
路車間通信情報処理部22は、自車の車種に最も合致する車種の右折ポイントを抽出する(S520)。そして、路車間通信情報処理部22は抽出した右折ポイントを右直衝突防止支援処理部26に送出する。
【0072】
右直衝突防止支援処理部26は、自車両50の位置が右折ポイントに到達するまで、右折支援を提供する(S530)。
【0073】
本実実施例の走行支援装置100は、交差点において右折に最適な位置を右折ポイントに決定でき、自車両50が右折する前に右折の支援が終了することを防止できる。また、車種の違いによる右折ポイントの違いも吸収できる。
【符号の説明】
【0074】
21 路車間通信装置
23 車車間通信装置
25 右折待ちポイント補正処理部
26 右直衝突防止支援処理部
27 GPS受信装置
50 自車両
60 対向直進車
70 先行車両
100 走行支援装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の車両から位置情報及び車速情報を受信する車車間通信装置と
前記位置情報から右折レーンを走行する先行車両を特定し、前記先行車両の車速情報を監視する情報処理手段と、
前記車速情報の推移から先行車両の右折が検出された時の前記位置情報を右折ポイントに特定する右折位置特定手段と、
前記右折ポイントまで、自車両の右折を支援する右折支援手段と、
を有することを特徴とする走行支援装置。
【請求項1】
周囲の車両から位置情報及び車速情報を受信する車車間通信装置と
前記位置情報から右折レーンを走行する先行車両を特定し、前記先行車両の車速情報を監視する情報処理手段と、
前記車速情報の推移から先行車両の右折が検出された時の前記位置情報を右折ポイントに特定する右折位置特定手段と、
前記右折ポイントまで、自車両の右折を支援する右折支援手段と、
を有することを特徴とする走行支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図6】
【図2】
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【図10】
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【図6】
【公開番号】特開2010−211528(P2010−211528A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57089(P2009−57089)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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