説明

走路盤

【課題】レース途中で走行環境を変化させることができる走路盤を提供すること。
【解決手段】走行路に対して進退可能で進退位置によって玩具車両の通過を妨害する障害物と、障害物を走行路に対して進退させ当該障害物の進退位置を変更するためのモータと、モータを作動させるためのモータ駆動回路と、路面の一部を構成し、玩具車両が通過する際に当該玩具車両の重さによって下方に押圧される踏板と、モータ駆動回路に設けられ、常態でOFFであり踏板が下方へ押圧されている間ONされて当該モータ駆動回路を作動させる第1のスイッチと、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走路盤に関するもので、詳しくは、モータ動力によって走行する玩具車両の走路盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行路に障害物を配置して玩具車両の走行環境に変化をもたせて趣向性を高めた走路盤が知られている(例えば、特許文献1)。
この走路盤では、軌道に方向転換板,ジャンプ台等を設置し、玩具車両の進行方向と速度を不規則に変化させることによって、趣向性を高めている。
【特許文献1】特開平8−238385号公報(図1,図5,図6参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の走路盤では、方向転換板,ジャンプ台の角度を変更することはできるが、いずれも、その角度をレース前に予め設定するものであり、走行環境が固定的であることに変わりはない。
【0004】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、経時的に走行環境を変化させることによって、趣向性を高めた走路盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
走行路を走行する玩具車両の通過を検知する通過検知手段と、
前記走行路内で動作可能で当該走行路を走行する後続玩具車両の走行を妨害する障害物と、
前記障害物を前記走行路内で動作させる障害物動作機構と、
前記通過検知手段によって玩具車両の通過が検知された際に前記障害物動作機構を一時的に作動させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする走路盤である。
【0006】
第2の手段は、第1の手段において、前記通過検知手段は、路面の一部を構成し、玩具車両が通過する際に当該玩具車両の重さによって下方に押圧される踏板と、前記踏板が下方へ押圧されている間だけONされて前記制御手段への給電を行う第1のスイッチ手段と、を含んで構成されていることを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段において、前記制御手段は、前記障害物動作機構の動力源となるモータと、前記モータを作動させるためのモータ駆動回路とを含んで構成されていることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段おいて、前記モータによって作動される第1のカム機構と、
前記モータ駆動回路に前記第1のスイッチ手段と並列に設けられ、前記第1のカム機構によってON,OFFされ、ONのときに当該モータ駆動回路を作動させる第2のスイッチ手段と、を含んで構成されるタイマー手段を備え、前記第1のカム機構は、前記第1のスイッチ手段がONされて前記モータ駆動回路が作動している間に前記第2のスイッチ手段をONさせ、前記第1のスイッチ手段がOFFされた後所定時間経過後に前記第2のスイッチ手段をOFFさせる、ことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第1から3の手段のいずれか一において、前記障害物は、前記走行路の側端の軸を中心に回動可能で回動によって当該走行路に進入する進入位置と当該走行路から後退する後退位置とを取り得る第1の障壁から構成され、前記障害物動作機構は、前記モータによって作動される第2のカム機構を含んで構成され、前記第1の障壁は、前記第2のカム機構によって、玩具車両が通過する毎に当該進入位置と当該後退位置とを順次取る、ことを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第1から3の手段のいずれか一において、前記障害物は、前記走行路の側端の軸を中心に回動可能で回動によって当該走行路に進入する進入位置と当該走行路から後退する後退位置とを取り得る第2の障壁から構成され、前記障害物動作機構は、前記モータによって作動される第3のカム機構を含んで構成され、前記第2の障壁は、前記第3のカム機構によって、続けて2台の玩具車両が通過する毎に当該進入位置と当該後退位置とを順次取る、ことを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第1から3の手段のいずれか一において、前記障害物は、前記走行路の側端の軸を中心に回動可能で回動によって当該走行路に進入する進入位置と当該走行路から後退する後退位置とを取り得る第1の障壁および第2の障壁から構成され、前記障害物動作機構は、前記モータによって作動される第2のカム機構および第3のカム機構を含んで構成され、前記第1の障壁は、前記第2のカム機構によって、玩具車両が通過する毎に当該進入位置と当該後退位置とを順次取り、前記第2の障壁は、前記第3のカム機構によって、続けて2台の玩具車両が通過する毎に当該進入位置と当該後退位置とを順次取る、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1から第7の手段によれば、玩具車両が所定位置を通過すると、レース中に障壁の位置が変化するので、より変化に富んだレースを行うことができる。
【0013】
第4の手段によれば、モータの作動時間の延長によって障害物の動作時間を十分確保できるので、障害物の構成の自由度が高められる。
また、モータの作動をカム機構によって制御するので、障害物を確実に所望の位置で止めることができる。
【0014】
第5から第7の手段によれば、障壁を進入位置と後退位置で確実に止めることができる。
また、第7の手段によれば、二つの障壁を備えるため、レースをその分複雑とすることができるので、趣向性が高まることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態に係る走路盤を、図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る走路盤の斜視図である。
【0016】
本実施形態の走路盤1においては、図1に示すように、路面壁2aと両側壁2b,2bとによって走行路2が画成されている。
この走路盤1は、玩具車両50(図7参照)の走行方向の両端に突起2cおよび切欠き2dを備える。
そして、走路盤1は、突起2cおよび切欠き2dを他の走路盤の切欠きおよび突起に嵌合させることによって当該他の走路盤に連結される。また、他の走路盤はさらに他の走路盤に次々に連結され、これによって、サーキットが構成される。
【0017】
1.走路盤1
(障害物10,11)
この走路盤1には、路面壁2aの両側部に、障害物10,11が軸12,13によって回動自在に支持されている。障害物10,11は、特に限定はされないが、クランク状の障壁として構成されている。そして、この障害物10,11は、軸12,13を介して後述する駆動手段20によって回動される。
【0018】
(踏板32)
また、走路盤1の路面壁2aには、走行路2を横切る方向に長尺である矩形状孔2eが形成されている。この矩形状孔2eには踏板32が設置されている。踏板32は、常態では、玩具車両50の入口側部分が路壁面2aと同じ高さであり、入口側部分から出口側部分に向けて登り勾配を有するようにして設置されている。そして、踏板32は、玩具車両50が通過する際に玩具車両50の重量によって押圧され、出口側部分が下降する。
【0019】
(駆動手段20)
走行路2の路面壁2aの下方には、当該路面壁2aと所定の隙間を隔てて底板2fが配設されている。そして、底板2fには図2に示すように駆動手段20の主要部が設けられている。
駆動手段20は、図2に示すように、モータ21、減速歯車列22、障害物作動用歯車23,24、中間歯車25、カム26,27、カムフォロア28,29、カム30、カムフォロア31、踏板32、スイッチSW1、スイッチSW2、モータ駆動回路33(図3参照)および電池34(図3参照)を備える。
【0020】
このうち、モータ21は走路盤1の動力源となるものである。このモータ21は電池34を電源としている。
【0021】
減速歯車列22は、モータ21の回転動力を減速させて障害物10,11に伝達するためのものである。この減速歯車列22の入力側はモータ21に連結され、減速歯車列22の出力歯車22aは、中間歯車25を介して障害物作動用歯車23に連結されるとともに、障害物作動用歯車24に連結(噛合)されている。なお、モータ21から障害物10,11に回転動力を伝達する機構(モータ21及び障害物10,11を除く。)全体で障害物動作機構が構成されている。
【0022】
カム26はカムフォロア28とともに一つのカム機構を構成している。
カム26は障害物作動用歯車23の軸23aに設けられている。このカム26は、図2および図4に示すように、障害物作動用歯車23の半径方向外側に向けて拡開し、且つ、当該障害物作動用歯車23の円周方向に等間隔で並ぶ4つの扇形リブを含んで構成されている。扇形リブの存在部分と扇形リブの不在部分はほぼ同じ大きさの中心角を有している。そして、扇形リブの存在部分および不在部分がそれぞれカム26の山26aおよび谷26bを構成している。なお、山26aと谷26bの境界部には、カムフォロア28を動作させやすくするために斜面26cが形成されている。
カムフォロア28は扇形となっている。このカムフォロア28は、先端側(扇の天側部分)がカム26に当接し、基端側(扇の要側部分)が障害物10の軸12に固定されている。また、カムフォロア28は、スプリング35によってカム26に当接する方向に付勢されている。
この場合、カムフォロア28の基端側は、軸12に固定されていなくてもよく、クラッチを介して軸12と連結されていてもよい。そして、障害物10に過負荷が作用した場合に、カムフォロア28と軸12との連結を解除することで、過負荷による部品の破損を防止するようにしてもよい。
【0023】
カム27はカムフォロア29とともに一つのカム機構を構成している。
カム27は障害物作動用歯車24の軸24aに設けられている。このカム27は、図2に示すように、障害物作動用歯車24の半径方向外側に向けて拡開し、且つ、当該障害物作動用歯車24の円周方向に等間隔で並ぶ2つの扇形リブを含んで構成されている。扇形リブの存在部分と扇形リブの不在部分はほぼ同じ大きさの中心角を有している。そして、扇形リブの存在部分および不在部分がそれぞれカム27の山27aおよび谷27bを構成している。なお、山27aと谷27bの境界部には、カムフォロア29を動作させやすくするために斜面27cが形成されている。
カムフォロア29は扇形となっている。このカムフォロア29は、先端側(扇の天側部分)がカム27に当接し、基端側(扇の要側部分)が障害物11の軸13に固定されている。また、カムフォロア27は、スプリング36によってカム27に当接する方向に付勢されている。
この場合、カムフォロア29の基端側は、軸13に固定されていなくてもよく、クラッチを介して軸13と連結されていてもよい。そして、障害物11に過負荷が作用した場合に、カムフォロア29と軸13との連結を解除することで、過負荷による部品の破損を防止するようにしてもよい。
【0024】
踏板32およびスイッチSW1はモータ21を起動させるためのもので、通過検知手段として機能する。
踏板32は、図2に示すように、軸32aを介して、底板1fに付設した軸受2gに支持されている。この踏板32は、踏板32自体の重量又は図示しないスプリングによって自由端側が上方に付勢されている。そして、踏板32は、玩具車両50が通過する際に玩具車両50の重量によって押圧され、自由端側が下降する。
スイッチSW1は、踏板32の下側に設けられている。そして、踏板32の自由端側が玩具車両50の重量によって下方に押圧されて下降した際に、スイッチSW1がONされる。一方、スイッチSW1は、踏板32の自由端側が下方に押圧されない状態では、OFFの状態となる。
このスイッチSW1は、図3に示すように、制御手段を構成するモータ駆動回路33に電池34およびモータ21と直列に設けられている。そして、スイッチSW1がONとなったときにモータ駆動回路33が作動されてモータ21が駆動される。
【0025】
カム30、カムフォロア31およびスイッチSW2はタイマー手段として機能する。
カム30はカムフォロア31とともに一つのカム機構を構成している。このカム30は歯車形に構成され、中間歯車25と軸25aを共通にして一体的に設けられている。カム30の山30aは8個であり、8個の山30aは中間歯車25の円周方向に等間隔に設けられている。一方、カムフォロア31は軸31aを中心に回動可能のレバーとして構成され、先端の爪部がカム30に当接している。先端の爪部をカム30に確実に当接させるためにカムフォロア31と底板1fとの間にはスプリング31bが掛けられている。
スイッチSW2はカムフォロア31に近接して設けられている。このスイッチSW2は、カムフォロア31がカム30の谷30bに当接している間はOFFの状態を維持し、カム30の回転によって、カムフォロア31がカム30の谷30b以外の部分に当接している間はONの状態となる。
このスイッチSW2は、図3に示すように、モータ駆動回路33に電池34およびモータ21と直列でスイッチSW1と並列に設けられている。
【0026】
2.玩具車両50
玩具車両50は、図5に示すように、円弧状のフロントバンパ51を備え、その中央部に突起52を有している。また、この玩具車両50では、図6に示すように、左右の前輪53a,53bがそれぞれ付設された左右のナックルアーム54a,54bと、それらのナックルアームを相互に連結するタイロッド55を備える。ナックルアーム54a,54bは、軸56a,56bによってシャーシに回動自在に支持され、端部がピン57a,57bを介してタイロッド55に連結されている。
【0027】
そして、タイロッド55の中央部には、永久磁石58が設置されている。この永久磁石58は円板状に構成され、端面が上下方向を向くように設置されている。この永久磁石の一方の端面はS極、他方の面はN極になるように構成されている。一方、シャーシには、タイロッド55の中間の前方左右にコイル59a,59bが設けられており、それらのコイルの端部は、タイロッド55に設けられた永久磁石58の端面に対向している。コイル59a,59bはコアが存在しない丸形空芯コイルである。
【0028】
図7はコイル通電回路59の一部を示している。このコイル通電回路59は後述する制御装置のコイル通電制御部73によって通電が制御される。このコイル通電回路59では、同時に左右のコイル59a,59bが通電されるように構成され、この場合には、前記永久磁石58の端面に対向する側の極性が左右で異なるように構成されている。したがって、左右のコイル59a,59bに通電したときには、例えば、一方のコイル59aと永久磁石58との間で吸引力が働き、他方のコイル59bと永久磁石58との間では斥力が働き、これにより、タイロッド55は、図6において左方に移動することになり、前輪53a,53bが右方に向けられる。タイロッド55の移動方向を変えるには、コイル通電制御部73によりコイル59a,59bに流れる電流の向きをかえればよい。
【0029】
また、この玩具車両50の前部には、図5に示すように、赤外線を発する2つの発光部60a,60bと、赤外線を受光する受光部61が設置されている。発光部60a,60bは左右の斜め前方45°を中心に赤外線を発する。これらの発光部60a,60bは、互いに異なる赤外線λ1,λ2をいずれも例えば0.5〜0.7秒間隔で発する。一方、受光部61は、玩具車両50の最前部中央に設置され、発光部60a,60bが発して前方の障害物で反射した赤外線λ1,λ2の反射光と、後述する無線コントローラからのコントロール信号とを受光する。
なお、発光部60a,60bは、左右方向に位置する2つ以上の複数領域に向けて、それぞれ波長の異なる複数種類の赤外線を発するようにしてもよい。また、発光部60a,60bは、互いに別々のタイミングで赤外線λ1,λ2を発するようにしてもよい。この場合には、赤外線λ1,λ2を互いに異なる波長とする必要はない。
【0030】
図8は、玩具車両50に搭載された制御装置を示すブロック図であり、制御装置70は、速度制御装置71および操舵制御装置72を備える。速度制御装置71は、受光部61によって受信されたコントロール信号に応じてモータ出力を例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御することにより、玩具車両50の走行速度を可変制御している。操舵制御装置72は、発光部60a,60bと、受光部61と、受光部61が受光した赤外線の波長に応じて前輪の向きを所定の時間だけ障害物を回避する方向に変えるよう、コイル59a,59bへ通電して操舵装置を制御するコイル通電制御部73とを備える。すなわち、操舵制御装置72は、受光部61で受光した赤外線の反射光の波長を認識することにより前方斜め左右方向のどちらの領域に障害物が存在するかを検知し、その検知結果に応じて、コイル通電制御部73を通じてコイル59a,59bを制御して物体(例えば障害物)との衝突を回避するために所定時間だけ衝突を回避する方向に操舵させる。ここで、上記発光部60a,60bから発光される赤外線と、後述する無線コントローラ80から発進されるコントロール信号(赤外線)とは異なる波長となっている。
【0031】
無線コントローラ80は、図5に示すように、スピードボタン81とターボボタン82とを備える。スピードボタン81は、玩具車両50の走行速度を、通常速度と低速度との2段階に変化させることができる。この走行速度は、玩具車両50の起動時には常に低速度だが、スピードボタン81を1回押すと通常速度に、2回押すと低速度に戻るようになっている。ターボボタン82は、1回押すことで走行速度を低速度又は通常速度から最高速度まで一時的に急加速することができる。そして、最高速度を10秒間保持した後、自動的に通常速度に戻るようになっている。
【0032】
次に、玩具車両50の動作を図9の曲線走行路を走る場合を例に説明する。
玩具車両50は左右の発光部60a,60bから赤外線λ1,λ2を発する。このうち、赤外線λ2は、玩具車両右手前方の側壁2bで反射する。反射された赤外線λ2は玩具車両50の受光部61で受光される。赤外線λ2を受光すると、玩具車両50のコイル通電制御部73は、前輪53a,53bの向きを側壁2bとの衝突を回避する左向きの所定の方向へ変えるようにコイル59a,59bに通電する。そして、玩具車両50は変更された前輪53a,53bの向きへ進行方向を変える。その後、所定の時間が経過すると、コイル通電制御部73は前輪53a,53bの向きを直進方向へ戻す。このようにして、玩具車両50は前方の側壁2bとの衝突を自律的に回避する。
【0033】
上記の説明では玩具車両50が側壁2bとの衝突を回避する動作を説明したが、発光部60a,60bと受光部61とは断続もしくは連続的に発受光をしているので、例えば前方左右に断続して複数の物体(例えば障害物)が存在する場合においても、玩具車両50はこれら物体との衝突を回避して走行を続けることが可能である。
なお、回避対象の物体は定位置に設置された障害物に限定されず、例えば、同様の玩具車両50が前方を走行している場合においても、この前方の玩具車両50が赤外線の照射範囲に入ったときに当該玩具車両を検知して回避行動をとることになる。
【0034】
3.走路盤1の動作
(モータ21の動作)
踏板32の箇所を玩具車両50が通過する際に玩具車両50によって踏板32が押圧される。この押圧は、玩具車両50の車輪が踏板32を踏んでいるときだけでなく、シャーシの下側に踏板32が当接しているときでも継続される。
踏板32が押圧されると、スイッチSW1が作動(ON)し、モータ21が駆動される。そして、モータ21の動力は、減速歯車列22の出力歯車22aから障壁作動用歯車24と中間歯車25に伝達され、さらに、中間歯車25の動力が障壁作動用歯車23に伝達される。
また、中間歯車25の回転に伴ってカム30が回転し、カムフォロア31が作動する。そして、このカムフォロア31によってスイッチSW2が作動(ON)する。このスイッチSW2は、カムフォロア31がカム30の次の谷30bに当接するまでの間、ON状態を維持する。
すなわち、駆動手段20では、図10に示すように、踏板32の上に玩具車両50がある間だけ、スイッチSW1が作動(ON)し、玩具車両50が踏板32上を通過すると、スイッチSW1は、非作動状態(OFF)になる。しかし、実施形態の走路盤1では、図10に示すように、スイッチSW1が作動している間に、スイッチSW2が作動(ON)する。したがって、玩具車両50が踏板32上を通過した後も、モータ21の駆動が維持される。つまり、モータ21の駆動は、カムフォロア31がカム30の次の谷30bに当接するまで維持される。
【0035】
(障害物10,11の動作)
実施形態の駆動手段20においては、障壁作動用歯車23,24および中間歯車25の歯数は同一に設定され、カム26の山30aは4個、カム27の山27aは2個、そして、カム30の山は8個となっている。そして、玩具車両50によって踏板32が押圧される度に、障壁作動用歯車23,24および中間歯車25は1/8回転する。
その結果、図10および図11に示すように、玩具車両50によって踏板32が押圧される度に、障壁10,11は下記のように動作する。
【0036】
1台目の玩具車両50が踏板32の上を通過すると、スイッチSW1,SW2が作動し、カムフォロア28はカム26の山26aに乗り上げ、カムフォロア29も山27aに乗り上げる。この状態では、図11(A)に示すように、障壁10,11がともに走行路2から後退した状態となる。
【0037】
次に、2台目の玩具車両50が踏板32の上を通過すると、スイッチSW1,SW2が作動し、カムフォロア28はカム26の谷26bに落ち込む。一方、カムフォロア29は、山27aに乗り上げた状態を維持する。この状態では、図11(B)に示すように、障壁10が走行路2内に進入した状態になり、障壁11は走行路2から後退した状態に維持される。
【0038】
さらに、3台目の玩具車両50が踏板32の上を通過すると、スイッチSW1,SW2が作動し、カムフォロア28はカム26の山26aに乗り上げ、カムフォロア29は、谷27bに落ち込む。この状態では、図11(C)に示すように、障壁10は走行路2から後退した状態になり、一方、障壁11は走行路2内に突出した状態になる。
【0039】
次に、4台目の玩具車両50が踏板32の上を通過すると、スイッチSW1,SW2が作動し、カムフォロア28はカム26の谷26bに落ち込み、一方、カムフォロア29は谷27bに落ち込んだ状態を維持する。この状態では、図11(D)に示すように、障壁10,11が共に走行路2内に突出した状態になる。
【0040】
それ以降は、玩具車両50が踏板32の上を通過する毎に、以上の動作を同順序で繰り返す。
なお、上記実施形態では、障壁10が2回動作する間に、障壁11が1回動作するように設定しているが、障壁作動歯車23,24の歯車比を変えるか、カム26,27の山26a,27bの数を変えることによって、障壁10,11の動作を任意に設定することができる。
【0041】
(障害物10,11の働き)
実施形態の玩具車両50は回避機能を保持しているので、図11(D)に示すように、走行路2内に設置した障壁10,11に近づいたときには、玩具車両50は、回避機能により、障害物10,11に衝突することなく通過する。
一方、2台の玩具車両50が並走している場合や、走行路2の端を走行している場合には、玩具車両50は障壁11に衝突する。そして、この場合、運が悪ければ障壁10,11のクランク状角部に捕捉されてしまう。
これら、衝突および捕捉によって、後進する玩具車両50は走行を妨害されることになるので、スリル感が生まれ、趣向性の高いものとなる。
【0042】
4.変形例
上記実施形態の玩具車両50は、自動的に操舵させて進行方向を変化させる玩具車両であるが、例えば、コントローラによって操舵をさせる玩具車両であってもよく、要は、自走する玩具車両ならばよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施形態に係る走路盤の斜視図である。
【図2】障壁の駆動手段を示した平面図である。
【図3】駆動手段における保持回路を示した回路図である。
【図4】障壁の動作を示す要部斜視図である。
【図5】本発明に係る走路盤で適用される玩具車両の一例を示した平面図である。
【図6】その玩具車両の操舵装置を示した平面図である。
【図7】その操舵装置を作動させるコイルへの通電回路を示した回路図である。
【図8】玩具車両の制御装置を示したブロック図である。
【図9】サーキットのカーブにおける玩具車両の走行状態を示した図である。
【図10】障壁の動作状態を示したタイミングチャートである。
【図11】障壁の変化を示した平面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 走路盤
2 走行路
2a 路面壁
2b 側壁
10,11 障壁
12,13 軸
20 駆動手段
21 モータ
22 減速歯車列
22a 出力歯車
23,24 障壁作動用歯車
25 中間歯車
26,27 カム
28,29 カムフォロア
30 カム
31 カムフォロア
32 踏板
33 モータ駆動回路
50 玩具車両
SW1,SW2 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路を走行する玩具車両の通過を検知する通過検知手段と、
前記走行路内で動作可能で当該走行路を走行する後続玩具車両の走行を妨害する障害物と、
前記障害物を前記走行路内で動作させる障害物動作機構と、
前記通過検知手段によって玩具車両の通過が検知された際に前記障害物動作機構を一時的に作動させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする走路盤。
【請求項2】
前記通過検知手段は、
路面の一部を構成し、玩具車両が通過する際に当該玩具車両の重さによって下方に押圧される踏板と、
前記踏板が下方へ押圧されている間だけONされて前記制御手段への給電を行う第1のスイッチ手段と、
を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の走路盤。
【請求項3】
前記制御手段は、前記障害物動作機構の動力源となるモータと、前記モータを作動させるためのモータ駆動回路とを含んで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の走路盤。
【請求項4】
前記モータによって作動される第1のカム機構と、
前記モータ駆動回路に前記第1のスイッチ手段と並列に設けられ、前記第1のカム機構によってON,OFFされ、ONのときに当該モータ駆動回路を作動させる第2のスイッチ手段と、を含んで構成されるタイマー手段を備え、
前記第1のカム機構は、
前記第1のスイッチ手段がONされて前記モータ駆動回路が作動している間に前記第2のスイッチ手段をONさせ、前記第1のスイッチ手段がOFFされた後所定時間経過後に前記第2のスイッチ手段をOFFさせる、
ことを特徴とする請求項3に記載の走路盤。
【請求項5】
前記障害物は、前記走行路の側端の軸を中心に回動可能で回動によって当該走行路に進入する進入位置と当該走行路から後退する後退位置とを取り得る第1の障壁から構成され、
前記障害物動作機構は、前記モータによって作動される第2のカム機構を含んで構成され、
前記第1の障壁は、前記第2のカム機構によって、玩具車両が通過する毎に当該進入位置と当該後退位置とを順次取る、
ことを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の走路盤。
【請求項6】
前記障害物は、前記走行路の側端の軸を中心に回動可能で回動によって当該走行路に進入する進入位置と当該走行路から後退する後退位置とを取り得る第2の障壁から構成され、
前記障害物動作機構は、前記モータによって作動される第3のカム機構を含んで構成され、
前記第2の障壁は、前記第3のカム機構によって、続けて2台の玩具車両が通過する毎に当該進入位置と当該後退位置とを順次取る、
ことを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の走路盤。
【請求項7】
前記障害物は、前記走行路の側端の軸を中心に回動可能で回動によって当該走行路に進入する進入位置と当該走行路から後退する後退位置とを取り得る第1の障壁および第2の障壁から構成され、
前記障害物動作機構は、前記モータによって作動される第2のカム機構および第3のカム機構を含んで構成され、
前記第1の障壁は、前記第2のカム機構によって、玩具車両が通過する毎に当該進入位置と当該後退位置とを順次取り、
前記第2の障壁は、前記第3のカム機構によって、続けて2台の玩具車両が通過する毎に当該進入位置と当該後退位置とを順次取る、
ことを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の走路盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−88791(P2010−88791A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264164(P2008−264164)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】