説明

超仕上げ装置

【課題】 砥石ホルダを高速でスムーズに上下方向に往復移動させることができる超仕上げ装置を提供する。
【解決手段】 駆動シャフト連動部材17側が第1偏心カム37に接当されると共にバランスシャフト連動部材18側が第2偏心カム38に接当されて、カム部材15の回転により砥石ホルダ43を上下方向に往復運動させるようにした超仕上げ装置であって、駆動シャフト7及び砥石ホルダ43を加算した重量とバランスシャフト8の重量とを均一化するように、駆動シャフト7が中空とされると共にバランスシャフト8が中実とされ、駆動シャフト連動部材17の第1偏心カム37への押圧力とバランスシャフト連動部材18の第2偏心カム38への押圧力が同等になるように、前記上バネ24の付勢力よりも下バネ23の付勢力が大に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超仕上げ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超仕上げ装置には、支持フレームに左右一対の左支持部と右支持部とを設け、この左右支持部に駆動シャフトとバランスシャフトとを水平状態に配置して、互いに平行でかつ左右方向の軸心に沿って左右移動自在に支持し、駆動シャフトとバランスシャフトとの間に前後軸心廻りに回転駆動されるカム部材を設け、駆動シャフトに固着されかつバランスシャフトにその軸心(左右)方向に相対移動自在に外嵌保持された駆動シャフト連動部材と、バランスシャフトに固着されかつ駆動シャフトにその軸心(左右)方向に相対移動自在に外嵌保持されたバランスシャフト連動部材とを、カム部材を左右に挟んで設け、前記両シャフト連動部材の一方をカム部材に向けて右方に付勢する左バネと、両シャフト連動部材の他方をカム部材に向けて左方に付勢する右バネとを設け、超仕上げ砥石を先端側に向けて押圧するように保持した砥石ホルダを駆動シャフトの左端部又は右端部に装着し、前記カム部材は互いに逆方向に偏心した第1偏心カムと第2偏心カムとを有し、駆動シャフト連動部材側が第1偏心カムに接当されると共にバランスシャフト連動部材側が第2偏心カムに接当されて、カム部材の回転により、駆動シャフトとバランスシャフトとを左右方向に互いに逆向きに往復移動させて、二次振動を除去しながら砥石ホルダを左右方向に高速で往復運動させるようにしたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−11650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の従来の超仕上げ装置では、例えばトルク・コンバーターの入出力軸の外周面を超仕上げ加工する場合、トルク・コンバーターの入出力軸をワークとして、それを上下方向に配置して上下方向の軸心廻りに回転させ、砥石ホルダを上下方向に往復移動させながら、ワークの外周面に超仕上げ砥石を押し当てて超仕上げ加工するのが、ワークを支持する上で便利である。
【0005】
このような場合、単に従来の超仕上げ装置を前後軸廻りに丁度90度回転して、駆動シャフトとバランスシャフトとを互いに平行でかつ上下方向の軸心に沿って上下動自在になるように配置し、砥石ホルダを上下に往復移動させるようにすることが考えられる。
しかし、このようにすると、駆動シャフトの重量に、砥石ホルダの重量及び駆動シャフト連動部材の重量がかかるため、駆動シャフト側とバランスシャフト側との重量バランスが悪くなる。また、左バネと右バネとが上下に配置され(上バネ、下バネとなり)、その結果、駆動シャフトの重量、砥石ホルダの重量及び駆動シャフト連動部材の重量が下バネに対して該下バネを縮小させる方向にかかり、バランスシャフト及びバランスシャフト連動部材の重量が上バネに対して該上バネを伸長させる方向にかかり、上下バネのバランスも悪くなり、砥石ホルダを高速でスムーズに上下方向に往復移動させることができなくなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、砥石ホルダを高速でスムーズに上下方向に往復移動させることができる超仕上げ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、支持フレームに上支持部と下支持部とが設けられ、この上下支持部に駆動シャフトとバランスシャフトとが互いに平行でかつ上下方向の軸心に沿って移動自在に支持され、駆動シャフトとバランスシャフトとの間に両シャフト間を通る水平軸心廻りに回転駆動されるカム部材が設けられ、駆動シャフトに固着されかつバランスシャフトにその軸心方向に相対移動自在に外嵌保持された駆動シャフト連動部材と、バランスシャフトに固着されかつ駆動シャフトにその軸心方向に相対移動自在に外嵌保持されたバランスシャフト連動部材とが、カム部材を上下に挟んで設けられ、前記両シャフト連動部材の一方をカム部材に向けて上方に付勢する下バネと、両シャフト連動部材の他方をカム部材に向けて下方に付勢する上バネとが設けられ、前記下支持部に下バネの付勢力を調整する下バネ調整機構が設けられ、上支持部に上バネの付勢力を調整する上バネ調整機構が設けられ、超仕上げ砥石を先端側に向けて押圧するように保持した砥石ホルダが駆動シャフトの端部に装着され、
前記カム部材は互いに逆方向に偏心した第1偏心カムと第2偏心カムとを有し、駆動シャフト連動部材側が第1偏心カムに接当されると共にバランスシャフト連動部材側が第2偏心カムに接当されて、カム部材の回転により砥石ホルダを上下方向に往復運動させるようにした超仕上げ装置であって、
駆動シャフト及び砥石ホルダを加算した重量とバランスシャフトの重量とを均一化するように、駆動シャフトが中空とされると共にバランスシャフトが中実とされ、駆動シャフト連動部材の第1偏心カムへの押圧力とバランスシャフト連動部材の第2偏心カムへの押圧力が同等になるように、前記上バネの付勢力よりも下バネの付勢力が大に設定されている点にある。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、カム部材が低速回転から高速回転まで可変可能になっていて、カム部材の回転時に駆動シャフト連動部材側が第1偏心カムに対して接当状態を保持すると同時にバランスシャフト連動部材側が第2偏心カムに対して接当状態を保持するべく、カム部材の最大高速回転状態で上バネの付勢力と下バネの付勢力とが調整可能とされている点にある。
【0009】
また、本発明の他の技術的手段は、支持フレームにモータが取り付けられ、モータの出力軸に前記カム部材が外嵌固定されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、駆動シャフトと上下支持部及びバランスシャフト連動部材との間並びにバランスシャフトと上下支持部及び駆動シャフト連動部材との間に、加圧流体を封入していて軸心が上下方向を向いた流体ベアリングがそれぞれ設けられている点にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、駆動シャフトが中空とされると共にバランスシャフトが中実とされているので、駆動シャフトとバランスシャフトとが上下方向の軸心に沿って移動自在に支持されているにも拘わらず、駆動シャフト及び砥石ホルダを加算した重量とバランスシャフトの重量とが均一化され、駆動シャフト側とバラスシャフト側との重量バランスが良くなり、カム部材の回転により、駆動シャフトとバランスシャフトとを上下方向に互いに逆向きに往復移動させて、二次振動を効果的に除去しながら砥石ホルダを上下方向に高速で往復運動させることができる。
【0011】
また、駆動シャフト及びバランスシャフトが上下方向に配置されて、上下に駆動されるため、駆動シャフトの重量、砥石ホルダの重量及び駆動シャフト連動部材の重量が下バネに対して該下バネを縮小させる方向にかかり、バランスシャフト及びバランスシャフト連動部材の重量が上バネに対して該上バネを伸長させる方向にかかるが、駆動シャフト連動部材の第1偏心カムへの押圧力とバランスシャフト連動部材の第2偏心カムへの押圧力が同等になるように、前記上バネの付勢力よりも下バネの付勢力が大に設定されているので、上下バネのバランスも良くなり、この点からも砥石ホルダを高速でスムーズに上下方向に往復移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す超仕上げ装置の正面断面図である。
【図2】同超仕上げ装置の平面断面図である。
【図3】同超仕上げ装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3において、超仕上げ装置1の支持フレーム2は側面視コの字状に形成されて、上支持部3と下支持部4とが設けられている。この上下支持部3,4に駆動シャフト7とバランスシャフト8とが互いに平行でかつ上下方向の軸心に沿って移動自在に支持されている。
【0014】
駆動シャフト7とバランスシャフト8とは互いに左右に離間して上下方向に平行に配置されている。駆動シャフト7の上部とバランスシャフト8の上部とは上支持部3にそれぞれエアーベアリング10,11を介して上下移動自在に支持され、駆動シャフト7の下部とバランスシャフト8の下部とは下支持部4にそれぞれエアーベアリング12,13を介して上下移動自在に支持されている。
【0015】
駆動シャフト7とバランスシャフト8との間に両シャフト7,8間を通る前後方向の水平軸心廻りに回転駆動されるカム部材15が設けられている。カム部材15を上下に挟んで駆動シャフト連動部材17とバランスシャフト連動部材18とが設けられている。
駆動シャフト連動部材17は駆動シャフト7及びバランスシャフト8の下部側に配置され、駆動シャフト連動部材17の左右一端側は駆動シャフト7の下側中途部に外嵌固定され、駆動シャフト連動部材17の左右他端側はバランスシャフト8の下側中途部にエアーベアリング19を介して相対的に上下移動自在に外嵌されている。これにより、駆動シャフト連動部材17は駆動シャフト7に固着されかつバランスシャフト8にその軸心方向に相対移動自在に外嵌保持され、駆動シャフト7は駆動シャフト連動部材17と共に上下移動するようになっている。
【0016】
バランスシャフト連動部材18は駆動シャフト7及びバランスシャフト8の上部側に配置され、バランスシャフト連動部材18の左右一端側は駆動シャフト7の上側中途部にエアーベアリング20を介して相対的に上下移動自在に外嵌され、バランスシャフト連動部材18の左右他端側はバランスシャフト8の上側中途部に外嵌固定されている。これにより、バランスシャフト連動部材18はバランスシャフト8に固着されかつ駆動シャフト7にその軸心方向に相対移動自在に外嵌保持され、バランスシャフト8はバランスシャフト連動部材18と共に上下移動するようになっている。
【0017】
而して、駆動シャフト7と上下支持部3,4及びバランスシャフト連動部材18との間並びにバランスシャフト8と上下支持部3,4及び駆動シャフト連動部材17との間に、加圧エアーを封入していて軸心が上下方向を向いたエアーベアリング10,11,12,13,19,20がそれぞれ設けられている。
駆動シャフト連動部材17の下方に下バネ23が設けられ、バランスシャフト連動部材18の上方に上バネ24が設けられている。下バネ23は駆動シャフト連動部材17をカム部材15に向けて上方に付勢し、上バネ24はバランスシャフト連動部材18をカム部材15に向けて下方に付勢している。
【0018】
下支持部4に下バネ23の付勢力を調整する下バネ調整機構25が設けられ、上支持部3に上バネ24の付勢力を調整する上バネ調整機構26が設けられている。
下バネ調整機構25は、下支持部4に上下移動自在に螺合された下ねじ軸29を有し、下ねじ軸29を回動操作することによって下ねじ軸29が下支持部4に対して上下に移動して、下バネ23の付勢力を調整できるように構成されている。
【0019】
上バネ調整機構26は、上支持部3に上下移動自在に螺合された上ねじ軸30を有し、上ねじ軸30を回動操作することによって上ねじ軸30が上支持部3に対して上下に移動して、上バネ24の付勢力を調整できるように構成されている。
支持フレーム2の中央部に取付ブラケット32を介してモータ33が取り付けられている。モータ33の出力軸34の突出端部側に前記カム部材15が外嵌固定されている。モータ33の出力軸34の後部側はベアリング27によりモータ33のケースに回転軸心a廻りに回転自在に支持され、モータ33の出力軸34の前部側は取付ブラケット32の支持筒部35を介して支持フレーム2にベアリング36により回転軸心a廻りに回転自在に支持されている。
【0020】
前記カム部材15は互いに逆方向に偏心(周方向180°偏位)した第1偏心カム37と第2偏心カム38とを有している。第1偏心カム37と第2偏心カム38とは互いに前後にずれた位置にあって、第1偏心カム37は第2偏心カム38よりも前側にあり、第1偏心カム37と第2偏心カム38は、モータ33の出力軸34の回転軸心aに対して互いに逆方向に偏心した位置に軸心b、cを有している。第1偏心カム37に第1ベアリング39が外嵌装着され、第2偏心カム38に第2ベアリング40が外嵌装着されている。
【0021】
駆動シャフト連動部材17は下接当部材41を介して第1偏心カム37の第1ベアリング39に接当され、バランスシャフト連動部材18は上接当部材42を介して第2偏心カム38の第2ベアリング40に接当されており、モータ33の回転駆動によって、駆動シャフト連動部材17及び駆動シャフト7と、バランスシャフト連動部材18及びバランスシャフト8とが上下方向に互いに逆方向に往復移動するようになっている。
【0022】
下接当部材41及び上接当部材42の接当面にはボロンコーティングがなされ、これにより摩擦抵抗の低減及び耐摩耗性を向上させている。
駆動シャフト7の下端部に砥石ホルダ43が装着されている。砥石ホルダ43の先端に、超仕上げ砥石44が外方突出状に保持されると共に、超仕上げ砥石44を先端側に向けて流体圧力(実施形態ではエアー圧力)にて押圧するシリンダ手段が組み込まれている。従って、モータ33の駆動によってカム部材15を回転させることにより砥石ホルダ43乃至超仕上げ砥石44を上下方向に往復運動させるように構成されている。
【0023】
超仕上げ砥石44を押し当てて超仕上げ加工するワークWは、例えばトルク・コンバーターの入出力軸とされ、ワークWは上下方向に配置されて上下方向の軸心廻りに回転駆動される。ワークWを上下方向の軸心廻りに回転駆動させつつ砥石ホルダ43を上下方向に往復移動させながら、ワークWの軸外周面に超仕上げ砥石44を押し当てて超仕上げ加工するようになっている。
【0024】
超仕上げ装置1は、前記取付ブラケット32により超仕上げ装置1をX方向(例えば前後方向)とY方向(例えば左右方向)とに移動させる図示省略の移動機構に取り付けられる。
前記駆動シャフト7が中空とされると共にバランスシャフト8が中実とされ、またバランスシャフト8の上端部にバランスウエイト45が固着されており、これらによって、駆動シャフト7及び砥石ホルダ43を加算した重量とバランスシャフト8及びバランスウエイト45の重量とを均一化するようにしている。
【0025】
モータ33によってカム部材15は低速回転から高速回転まで可変可能になっていて、カム部材15の回転時に駆動シャフト連動部材17側が第1偏心カム37に対して接当状態を保持すると同時にバランスシャフト連動部材18側が第2偏心カム38に対して接当状態を保持するべく、カム部材15の最大高速回転状態で上バネ24の付勢力と下バネ23の付勢力とが調整可能とされている。
【0026】
例えば、砥石ホルダ43乃至超仕上げ砥石44の上下方向へ往復運動(オシレーション)の幅が1.5mmであれば、カム部材15の最大高速回転が2000rpm/minとされ、往復運動(オシレーション)の幅が0.5mmであれば、カム部材15の最大高速回転が4000rpm/minとされ、これら2000rpm/min又は4000rpm/minのカム部材15の最大高速回転状態で上バネ24の付勢力と下バネ23の付勢力とが下バネ調整機構25及び上バネ調整機構26によって調整される。この上バネ24の付勢力と下バネ23の付勢力との調整により、駆動シャフト7、駆動シャフト連動部材17、バランスシャフト8、バランスシャフト連動部材18、バランスウエイト45及び砥石ホルダ43の重量の、上バネ24への付勢力及び下バネ23への付勢力への影響を考慮して、駆動シャフト連動部材17の第1偏心カム37への押圧力とバランスシャフト連動部材18の第2偏心カム38への押圧力が同等になると共に、前記カム部材15の最大高速回転状態でも、駆動シャフト連動部材17側が第1偏心カム37に対して接当状態を保持すると同時にバランスシャフト連動部材18側が第2偏心カム38に対して接当状態を保持するように、上バネ24の付勢力よりも下バネ23の付勢力が大に設定されるのである。
【0027】
なお、47は保護カバーで、駆動シャフト7、バランスシャフト8、駆動シャフト連動部材17及びバランスシャフト連動部材18等の前面を覆っている。48は、エアーベアリング10,11,12,13等に圧縮エアーを供給するための配管ブロックである。
上記実施形態によれば、ワークWを超仕上げ加工する場合、超仕上げ装置1をX軸方向及びY軸方向に移動して、砥石ホルダ43の超仕上げ砥石44をワークWに軸心方向に押し当て、ワークWを上下方向の軸心廻りに回転させながら、モータ33の回転駆動により、砥石ホルダ43を上下に往復移動させて、ワークWに対して超仕上げ加工をすればよい。
【0028】
上記実施形態では、駆動シャフト7が中空とされると共にバランスシャフト8が中実とされ、バランスシャフト8の上端部にバランスウエイト45が固着されているので、駆動シャフト7とバランスシャフト8とが上下方向に配置されているにも拘わらず、駆動シャフト7及び砥石ホルダ43を加算した重量とバランスシャフト8の重量とが均一化され、駆動シャフト7側とバラスシャフト側との重量バランスが良くなり、カム部材15の回転により、駆動シャフト7とバランスシャフト8とを上下方向に互いに逆向きに往復移動させて、二次振動を効果的に除去しながら砥石ホルダ43を上下方向に高速で往復運動させることができる。
【0029】
また、駆動シャフト7及びバランスシャフト8が上下方向に配置されて、上下に駆動されるため、駆動シャフト7の重量、砥石ホルダ43の重量及び駆動シャフト連動部材17の重量が下バネ23に対して該下バネ23を縮小させる方向にかかり、バランスシャフト8及びバランスシャフト連動部材18の重量が上バネ24に対して該上バネ24を伸長させる方向にかかるが、駆動シャフト連動部材17の第1偏心カム37への押圧力とバランスシャフト連動部材18の第2偏心カム38への押圧力が同等になるように、前記上バネ24の付勢力よりも下バネ23の付勢力が大に設定されているので、上下バネ23のバランスも良くなり、この点からも砥石ホルダ43を高速でスムーズに上下方向に往復移動させることができる。
【0030】
また、カム部材15が低速回転から高速回転まで可変可能になっていて、カム部材15の最大高速回転状態で上バネ24の付勢力と下バネ23の付勢力とが調整可能とされているので、カム部材15の最大高速回転状態で上バネ24の付勢力と下バネ23の付勢力との調整により、駆動シャフト7、駆動シャフト7、バランスシャフト8、バランスシャフト連動部材18、バランスウエイト45及び砥石ホルダ43の総重量による、上バネ24への付勢力及び下バネ23への付勢力への影響を考慮して、駆動シャフト連動部材17の第1偏心カム37への押圧力とバランスシャフト連動部材18の第2偏心カム38への押圧力とが同等になると共に、前記カム部材15の最大高速回転状態でも、駆動シャフト連動部材17側が第1偏心カム37に対して接当状態を保持すると同時にバランスシャフト連動部材18側が第2偏心カム38に対して接当状態を保持するように、上バネ24の付勢力よりも下バネ23の付勢力が大になるように簡単に設定することができる。
【0031】
また、支持フレーム2にモータ33が取り付けられ、モータ33の出力軸34に前記カム部材15が外嵌固定されているので、モータ33の出力軸34の回転で直接カム部材15を回転駆動することができて、カム部材15を簡単な構成で精度良く回転させることができ、超仕上げ装置1全体をコンパクトになし得る。
また、駆動シャフト7と上支持部3、下支持部4及びバランスシャフト連動部材18との間並びにバランスシャフト8と上支持部3、下支持部4及び駆動シャフト連動部材17との間に、加圧エアーを封入していて軸心が上下方向を向いたエアーベアリング10,11,12,13,19,20が設けられているので、上下方向を向いたエアーベアリング10,11,12,13,19,20に対して駆動シャフト7又はバランスシャフト8の重量が上下方向に作用するため、エアーベアリング10,11,12,13,19,20の軸心に対して駆動シャフト7又はバランスシャフト8の軸心がずれることが少なくなる。
【0032】
即ち、従来のようにエアーベアリングが水平方向を向いて、駆動シャフト及びバランスシャフトが水平方向を向いている場合には、エアーベアリングに対して駆動シャフト又はバランスシャフトの重量がエアーベアリングの軸心方向と直交する方向にかかるため、エアーベアリングの軸心に対して駆動シャフト又はバランスシャフトの軸心がずれ易くなり、このため駆動シャフトの往復移動の精度が悪くなって超仕上げの加工精度も悪くなっていたが、上記実施形態の場合、エアーベアリング10,11,12,13,19,20の軸心に対して駆動シャフト7又はバランスシャフト8の軸心がずれることが少なくなり、駆動シャフト7の往復移動の精度を上げることができ、より高精度で超仕上げ加工を行うことができる。
【0033】
なお、前記実施の形態では、バランスシャフト8の上端部にバランスウエイト45が固着されているが、中実にしたバランスシャフト8の径を大きくし又は長くすることにより、バランスウエイト45を省略するようにしてもよい。
また、前記実施の形態では、エアーベアリング10,11,12,13,19,20が設けられているが、これに代え、油その他の加圧流体を封入していて軸心が上下方向を向いた流体ベアリングを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 超仕上げ装置
2 支持フレーム
3 上支持部
4 下支持部
7 駆動シャフト
8 バランスシャフト
10 エアーベアリング
11 エアーベアリング
12 エアーベアリング
13 エアーベアリング
15 カム部材
17 駆動シャフト連動部材
18 バランスシャフト連動部材
19 エアーベアリング
20 エアーベアリング
23 下バネ
24 上バネ
25 下バネ調整機構
26 上バネ調整機構
33 モータ
34 出力軸
37 第1偏心カム
38 第2偏心カム
43 砥石ホルダ
44 超仕上げ砥石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレーム(2)に上支持部(3)と下支持部(4)とが設けられ、この上下支持部(3,4)に駆動シャフト(7)とバランスシャフト(8)とが互いに平行でかつ上下方向の軸心に沿って移動自在に支持され、駆動シャフト(7)とバランスシャフト(8)との間に両シャフト(7,8)間を通る水平軸心廻りに回転駆動されるカム部材(15)が設けられ、駆動シャフト(7)に固着されかつバランスシャフト(8)にその軸心方向に相対移動自在に外嵌保持された駆動シャフト連動部材(17)と、バランスシャフト(8)に固着されかつ駆動シャフト(7)にその軸心方向に相対移動自在に外嵌保持されたバランスシャフト連動部材(18)とが、カム部材(15)を上下に挟んで設けられ、前記両シャフト連動部材(17,18)の一方をカム部材(15)に向けて上方に付勢する下バネ(23)と、両シャフト連動部材(17,18)の他方をカム部材(15)に向けて下方に付勢する上バネ(24)とが設けられ、前記下支持部(4)に下バネ(23)の付勢力を調整する下バネ調整機構(25)が設けられ、上支持部(3)に上バネ(24)の付勢力を調整する上バネ調整機構(26)が設けられ、超仕上げ砥石(44)を先端側に向けて押圧するように保持した砥石ホルダ(43)が駆動シャフト(7)の端部に装着されており、
前記カム部材(15)は互いに逆方向に偏心した第1偏心カム(37)と第2偏心カム(38)とを有し、駆動シャフト連動部材(17)側が第1偏心カム(37)に接当されると共にバランスシャフト連動部材(18)側が第2偏心カム(38)に接当されて、カム部材(15)の回転により砥石ホルダ(43)を上下方向に往復運動させるようにした超仕上げ装置であって、
駆動シャフト(7)及び砥石ホルダ(43)を加算した重量とバランスシャフト(8)の重量とを均一化するように、駆動シャフト(7)が中空とされると共にバランスシャフト(8)が中実とされ、駆動シャフト連動部材(17)の第1偏心カム(37)への押圧力とバランスシャフト連動部材(18)の第2偏心カム(38)への押圧力が同等になるように、前記上バネ(24)の付勢力よりも下バネ(23)の付勢力が大に設定されていることを特徴とする超仕上げ装置。
【請求項2】
カム部材(15)が低速回転から高速回転まで可変可能になっていて、カム部材(15)の回転時に駆動シャフト連動部材(17)側が第1偏心カム(37)に対して接当状態を保持すると同時にバランスシャフト連動部材(18)側が第2偏心カム(38)に対して接当状態を保持するべく、カム部材(15)の最大高速回転状態で上バネ(24)の付勢力と下バネ(23)の付勢力とが調整可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の超仕上げ装置。
【請求項3】
支持フレーム(2)にモータ(33)が取り付けられ、モータ(33)の出力軸(34)に前記カム部材(15)が外嵌固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超仕上げ装置。
【請求項4】
駆動シャフト(7)と上下支持部(3,4)及びバランスシャフト連動部材(18)との間並びにバランスシャフト(8)と上下支持部(3,4)及び駆動シャフト連動部材(17)との間に、加圧流体を封入していて軸心が上下方向を向いた流体ベアリング(10,11,12,13,19,20)がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超仕上げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−6129(P2012−6129A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146276(P2010−146276)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(596066024)西部自動機器株式会社 (11)
【Fターム(参考)】