説明

超伝導性物品、および製造方法

超伝導物品は、基板を含んで与えられ、そこでは、該基板は、テキスチャーされておらず、かつ、主にニッケル、および合金元素の約20重量%より少なくないもの、を含むニッケル系合金よりなり、かつ、そこでは、該基板は、本質的にモリブデン、およびマンガンを含まない。該超伝導物品は、さらに、該基板の上に横たわるバッファー層、および該バッファー層の上に横たわる高温超伝導(HTS)層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導性物品、および超伝導性物品の製造方法に関係し、より特定的には、特定の基板材料を利用する超伝導性物品に関係する。
【背景技術】
【0002】
超伝導体材料は、長い間、技術共同体によって知られてきており、理解されてきている。液体ヘリウムの使用を必要とする温度(4.2K)で超伝導特性を示す、低温(低TC)超伝導体は、およそ1911年から知られてきた。しかしながら、酸化物ベースの高温(高TC)超伝導体が発見されたのは、いくぶん最近である。1986年のあたりに、液体窒素の温度(77K)以上の温度で超伝導特性を持つ、最初の高温超伝導体(HTS)、すなわち、YBa2Cu3O7-x(YBCO)が発見され、それに続いて、過去15年にわたって Bi2Sr2Ca2Cu3 O10+y(BSCCO)、およびその他を含む追加的な材料が開発されてきた。高TC超伝導体の開発は、液体ヘリウムに基づく比較的より高価な極低温インフラストラクチャーよりむしろ、液体窒素でこのような超伝導体を動作させるコストに一部依存して、このような材料を組み込む超伝導体素子の可能な、経済的に意義のある開発の可能性をもたらして来た。
【0003】
可能性のある無数の応用のなかで、産業は、発電、送電、配電、および貯蔵を含む電力産業においてこのような材料の使用を開発することを求めてきた。この点に関して、銅ベースの商用電力要素の自然抵抗は、電力の損失において1年に何十億ドルにも達していると推定され、したがって、電力産業は、送電および配電電力ケーブル、発電機、変圧器、および無効電流阻止器等の電力要素において、高温超伝導体を利用することに大きな利益を得る。さらに、電力産業における高温超伝導体の他の利点は、従来技術に対する、電力処理能力の3割から10割の増加、電力設備の大きさ(すなわち、設置面積)の実質的な減少、環境に対する衝撃の減少、より大きな安全性、および増大した容量を含む。このような高温超伝導体の可能性のある利点が、きわめて競争力がある反面、高温超伝導体の製造、および商業化においては、数々の技術的挑戦が、大規模に存在しつづけている。
【0004】
高温超伝導体の商業化と関連する挑戦の中で、多くが、種々の電力要素の形成に利用することのできる超伝導テープの製造の周りにある。第1世代超伝導性テープは、前述の BSCCO 高温超伝導体の使用を含む。この材料は一般に、分離したフィラメントの形で与えられ、これらは、代表的には銀である貴金属のマトリックスの中に埋め込まれている。このような導体は、電力産業において実施されるに必要な延長された長さ(たとえば、キロメートルのオーダー)に形成されるが、材料および製造コストによって、このようなテープは、商業的に利用可能な製品を与えることができない。
【0005】
したがって、非常に多くの興味は、優秀な商業的実現可能性を持つ、いわゆる第2世代HTS テープで生み出されてきた。これらのテープは、代表的に、一般に、機械的支持を与えるフレキシブル基板、該基板の上に横たわる少なくとも1つのバッファー層であって、該バッファー層は任意に複数の膜を含むもの、および該超伝導性層の上に横たわる、代表的に少なくとも1つの貴金属より形成される、電気的安定化層を含む層構造に依拠している。しかしながら、今日まで、このような第2世代テープの完全な商業化の前に数多くの工業的および製造上の挑戦が残っている。
【0006】
種々のタイプの第2世代HTSテープの中で、2つの主要な技術が、RABiTベースの、およびIBADベースのHTS導体を、出現させた。RABiT技術は、2軸テキスチャー基板の使用に依拠しており、該基板の微細構造は、その上に横たわる層、顕著にはHTS層、のためのテンプレートを与える。対照的に、IBAD技術は、テキスチャーされた基板を利用しない;むしろ、IBADは、イオンビームアシスト堆積(IBAD)を用いて、基板上に2軸テキスチャーされたバッファー層を形成する。該堆積された2軸テキスチャーされたバッファー層は、HTS層等のその上に横たわる層のためのテンプレートを与える。
【0007】
IBADベースのHTS層の文脈において、産業は、構成層の形成における容易さを通しての改善された処理可能性、改善された性能、および改善された耐性を持つテープを求めてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,964,966号明細書
【特許文献2】米国特許第6,106,615号明細書
【特許文献1】米国特許第6,190,752号明細書
【特許文献1】米国特許第6,331,199号明細書
【特許文献1】米国特許出願第10/816,415号
【発明の概要】
【0009】
発明の開示
1つの側面によれば、超伝導物品は、基板を含んで与えられ、そこで、該基板はテキスチャーされておらず、かつ、主にニッケル、および合金元素の約20重量%より少なくないもの、を含むニッケル系合金よりなり、かつ、それにおいては、該基板は、本質的にモリブデン、およびマンガンを含まない。該超伝導物品はさらに、該基板の上に横たわるバッファー層、および該バッファー層の上に横たわる高温超伝導(HTS)層を含む。
【0010】
本発明のもう1つの側面によれば、超伝導性物品は、基板を含んで与えられ、そこで、該基板はテキスチャーされておらず、かつ、アモルファスである、あるいはランダムな方位を有するグレインよりなる多結晶であることができる。基板はまた、主にニッケル、およびタングステン、クロム、およびバナジウムよりなる元素の中から選択された合金元素の約20重量%より少なくないもの、を含むニッケル系合金を含む。基板はまた、本質的にモリブデン、およびマンガンを含まない。該物品はまた、該バッファー層が、その膜の面内および面外の両方において2軸整列された結晶を持つ少なくとも1つの2軸テキスチャー膜を含むように、前記基板の上に横たわるバッファー層、および、前記バッファー層の上に横たわる高温超伝導(HTS)層を、含む。
【0011】
本開示は、添付の図面を参照することにより、より十分に理解され、またその数々の特徴や効果は、当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、1実施形態による超伝導物品の一般化された構造を示す斜視図である。
【図2】図2は、1実施形態による超伝導物品を形成するプロセスのフローチャートである。
【図3】図3は、1実施形態による電力ケーブルとしての超伝導物品を図示する。
【図4】図4は、1実施形態による電力ケーブルとしての超伝導物品を図示する。
【図5】図5は、1実施形態による変圧器において利用される超伝導物品を図示する。
【図6】図6は、1実施形態による変圧器において利用される超伝導物品を図示する。
【図7】図7は、1実施形態による電力グリッドにおいて利用される超伝導物品を図示する。 異なる図における同じ参照符号は、類似した、または同じアイテムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態の説明
図1を参照して、超伝導物品の層構造が、図解の目的のために描かれている。該超伝導物品は、基板10、該基板10の上に横たわるバッファー層12、および超伝導層16を含む。任意に、超伝導物品はまた、代表的に貴金属層を含むキャップ層18を、前記超伝導層上に含むことができる。該超伝導物品は、代表的に非貴金属を含む、安定化層20を任意に含むことができる。
【0014】
1つの実施形態によれば、超伝導物品の形成は、基板10を与えることを含む。基板10は、一般に金属ベースのものであり、かつ代表的に、少なくとも2つの金属元素よりなる合金は、所望の、膨張係数、テンサイル強度、引っ張り強度、および伸長を含む、クリープ、化学的、および機械的特性を持つ。たとえば、Inconel(登録商標)金属アロイ、またはHastelloy(登録商標)金属アロイは、このような特性を発揮する。これらのような金属は、一般に、代表的にリールツーリール処理を利用する、超伝導体テープの製造に特に適切な、スプール状のテープの形態で商業的に入手可能である。しかしながら、以下で与えられる実施形態によれば、基板として使用される特定的な合金のさらなる記述が、与えられる。
【0015】
1つの実施形態によれば、基板10は、高い寸法比を有するテープ状形状をしている。たとえば、テープの幅は、一般に、約0.4から10cmのオーダーであり、かつ、テープの長さは、代表的に少なくとも約100mであり、もっとも代表的には約500mより長い。実施形態は、1kmまたはそれ以上のオーダーの長さを持つ基板10を含む超伝導テープを与える。したがって、基板は、10より小さくない、約102 より小さくない、またはさらには、103 より小さくないオーダーの、かなり高い寸法比を持つことができる。ある実施形態は、より長く、104 およびそれうおり高い寸法比を持つ。ここで使用されるように、用語“寸法比”は、基板またはテープの長さの、該基板またはテープの次に長い寸法、すなわち、幅、に対する比を示すのに用いられる。
【0016】
さらに、基板は、超伝導テープの構成層のつづいて起こる堆積に望ましい表面特性を持つように処理することができる。たとえば、該表面は、所望の平坦さ、および表面粗さにまで軽く研磨することができ、そののちには、該表面はまた、代表的に洗浄し、つづいて、アニーリング、およびイオン処理が行われる。このような技術は、参照によりここに組み入れられる米国特許出願第10/816,415号、2004年4月1日出願、により十分に記述されている。
【0017】
バッファー層12に返って、バッファー層12は、単一層であってもよく、あるいはより共通に複数膜からなっていてもよい。最も代表的には、バッファー層は、少なくとも1つの2軸テキスチャー膜、該膜は一般に該膜の面内および面外の両方において結晶軸に沿って整列された結晶テキスチャーを持つ、を含む。技術において理解されるように、2軸テキスチャー化は、IBADにより達成される。IBADは、イオンビームアシストデポジション、優秀な超伝導特性のために望ましい結晶学的方位を持つ超伝導層のつづいて起こる形成のために適切にテキスチャーされたバッファー膜を形成するのに有利に用いられ得る技術、の頭字語である。一般に、2軸テキスチャーされたIBAD膜は、参照によりここに組み入れられる、米国特許第6,190,752号明細書において定義され、記述されているように、かつ、実施形態にしたがってさらに以下で記述されるように、岩塩状結晶構造を有している。
【0018】
超伝導層16は、一般に、高温超伝導(HTS)層の形態をしている。HTS材料は、代表的に液体窒素の温度、77K以上で超伝導特性を示す高温超伝導材料のいずれかから選択される。このような材料は、たとえば、YBa2Cu3O7-x 、Bi2Sr2Ca2Cu3 O10+y 、Tl2Ba2Ca2Cu3O10+y、および、HgBa2Ca2Cu3O8+y を、含む。該材料の1つのクラスは、REBa2Cu3O7-x を含み、ここで、RE は、希土類元素である。上記のうちで、一般に、YBCO とも言われるYBa2Cu3O7-x は、有利に利用されることができる。上記超伝導層16は、厚いおよび薄い膜の形成技術を含む種々の技術のうちの任意の1つにより形成することができる。好ましくは、パルス化されたレーザ堆積(PLD)のような薄膜物理堆積技術は、高い堆積レートのために用いることができ、あるいは、化学気相堆積技術は、より低コストでかつより大きい堆積領域のために用いることができる。代表的に、該超伝導層16は、該超伝導層16と関連する望ましいアンペアレートを得るために、約1から約30ミクロンのオーダーの、最も代表的には、約2から約10ミクロン等のような、約2から約20ミクロンの厚みを持つ。
【0019】
キャップ層18、及び安定化層20は、一般に、低抵抗インタフェースを与えるために、および実際の使用における超伝導バーンアウトを妨げることにおいて役立つ電気的な安定化のために、含まれる。より特定的には、層18、および20は、冷却が失敗したとき、または、臨界電流密度を超えたとき、かつ、該超伝導層が、超伝導状態から移動し、抵抗性になったときに、超伝導体に沿った電荷の連続的な流れを助ける。代表的に、貴金属は、キャップ層18のために用いられ、安定化層と超伝導層16との間の不所望の相互作用を妨げる。代表的な貴金属は、金、銀、プラチナ、およびパラジウムを含む。銀は、代表的に、安定化層16から超伝導層20への構成元素の不所望の拡散を妨げるに十分厚くつくられるが、しかし、コスト(原材料、および処理コスト)の理由で、一般に薄く作られる。キャップ18の代表的な厚さは、0.5から約5.0ミクロン等の、約0.1から約10.0ミクロン内の範囲にわたる。種々の技術が、DCマグネトロンスパッタリング等の物理的気相成長法を含み、キャップ層18の堆積に用いられる。
【0020】
安定化層20は、一般に、超伝導層の上に横たわり、特に、図1に示される特定の実施態様においては、該キャップ層の上に横たわり、かつ直接接触するように、組み入れられる。該安定化層20は、厳しい環境条件および超伝導性消失に対する安定性を向上するための、保護/並列層、として機能する。該層は、一般に、密度が濃く、かつ熱的にかつ電気的に伝導性があり、かつ、超伝導層の失敗の場合に電流をバイパスするように機能する。それは、たとえば、プリ整形された銅ストリップを、半田、またはフラックス等の中間ボンド材料を用いて超伝導テープ上に積層することによる等、種々の厚膜及び薄膜形成技術の任意の1つにより形成することができる。他の技術は、物理気相成長、代表的に蒸着、またはスパッタリング、ばかりでなく、エレクトレスプレーティング、およびエレクトロプレーティング、等の湿式化学プロセスに焦点を当てている。この点に関し、キャップ層16は、その上への銅の堆積のためのシード層として機能する。
【0021】
図2を参照して、1つの実施形態による超伝導物品を形成するプロセスを図示するフローチャートが描かれている。図に示されるように、基板が最初に設けられる(201)。一般に、基板は主にニッケルよりなり、該基板の材料のほとんどはニッケルである。1つの実施形態において、基板は、約60重量%ニッケルより少なくない、のように、約50重量%ニッケルより少なくない、ものである。代表的に、基板は、約75重量%ニッケルより多くない、のように、約80重量%ニッケルより多くない、ものである。特定の実施形態において、基板は、約50重量%と約80重量%との間の範囲内のニッケル量を持つ。
【0022】
基板が、主にニッケルよりなるとき、残りの材料は、一般に、合金元素を含む。したがって、1つの実施形態において、合金元素は、約25重量%より少なくない量、あるいはさらに、約30重量%より少なくない量、等の、約20重量%より少なくない量が、存在する。特定の実施形態において、合金元素は、約20重量%と約40重量%との間のニッケル量を、持つ。
【0023】
合金元素は、一般に、グループVIB、またはグループVBの遷移金属元素のような遷移金属である。1つの実施形態によれば、合金要素は、グループVBの遷移金属であり、特に、W、V、またはCrを含む遷移金属元素であり得る。
【0024】
基板の組成に関して、基板材料は、本質的に、上記したように、特に、Mo、およびMnは含まない。ここで使用されるように、基板組成は、このような元素が、たとえば、約0.25重量%より大きくない、代表的に約0.05重量%より大きくない、ほとんどの場合には、代表的に1000ppmより大きくない、のように、約0.50重量%より大きくないような量だけ存在するとき、元素を“含まない”と考慮される。MoおよびMnの特定の要素に加えて、基板は、本質的に、Al、Co、Cu、P、Sb、Cd、As、Sn、およびCo等の他の不純物要素を含まないことができる。1つの実施形態によれば、基板は、本質的に、これらの不純物元素を、これらの元素の任意の1つが、約0.25重量%より大きくない、あるいは、約0.05重量%より大きくない、代表的には、1000ppmより大きくない、のように、約0.50重量%より大きくない量で存在するようなとき、不純物元素を持たない。さらに、基板は、すべての不純物元素の全結合量が、約0.5重量%より大きくない、あるいはさらに約0.05重量%より大きくない、のように、約1.0重量%より大きくないようなとき、本質的に、不純物元素を持たない。さらに、該基板は、本質的に、MoおよびMnを含むすべての不純物元素を、これらの元素の全結合量が、約0.25重量%より大きくない、のように、0.50重量%より大きくないようなとき、持たない。
【0025】
以前の実施形態で示されたように、基板テープは、減少された量の不純物を持つ。さらに、基板材料を作りあげる元素の全数は、減少されている。基板は、主にニッケルおよび合金元素を持つが、他の元素も存在し得る。たとえば、ニッケルおよび合金元素以外に、Fe、Si、またはB、またはそれらの結合、のようないくらかのトレース元素が少量だけ存在し得る。1つの特定の実施形態によれば、該基板は、4.0重量%より大きくないFe、あるいはさらに約2.0重量%より大きくないFe、のように、約5.0重量%より大きくないFeを含む。さらに、1つの実施形態において、基板は、本質的にFeを含まない。SiまたはBのような他の元素は、約5.0重量%より大きくない、約2.0重量%より大きくない、あるいは特に、約1.0重量%より大きくない、のように、同様の量だけ存在することができる。したがって、基板組成は、一般に、約5つの元素より多くない、ものを含む。1つの実施形態において、基板は、約3つの元素より多くない、のように、約4つの元素より多くない、ものを含むものであり、かつ特に、基板は、ニッケルと合金元素を含む2元合金である、のように、(マイナーな不純物内容は別として)、約2つの元素より多くない、ものを含む。
【0026】
基板にさらに言及して、基板テープの表面は、一般に、テキスチャーされておらず、実質的な結晶のオーダーを持たない。基板材料のモルホロジーに特に言及して、1つの実施形態によれば、基板は、短い範囲の、または長い範囲のオーダーを持たず、結晶構造を欠いているように、アモルファスであることができる。もう1つの実施形態によれば、基板は、該材料が、短い範囲のオーダーは持つが、しかし、長い範囲のオーダーは持たない結晶グレインよりなるよう、多結晶であることができる。したがって、多結晶性モルホロジーを持つ基板は、結晶グレイン、およびグレイン境界を現し、かつ、グレインは、グレインからグレインへの方位、またはテキスチャーがないよう、ランダムに方位付けされている。グレインは、一般に、約10ミクロンより小さい、あるいはさらに、約5.0ミクロンより小さい等の、約20ミクロンより小さい平均サイズを持つ。さらに、基板にテキスチャーがないことは、一般に30度より大きい、または、60度またはそれ以上、のように、約50度より大きい、大きいモザイク拡散により定量化することができる。
【0027】
適切な基板を設けることは、リールツーリールプロセスに耐え得る、ある物理特性の基板を与えることを、含み得る。したがって、基板は、一般に、約28x106psi より小さくない平均弾性率を持つ材料である。より特定的に、より高い弾性率が望ましく、1つの実施形態においては、基板の弾性率は、約30x106psi より小さくない、のように、29x106psi より小さくない。1つの特定的な実施形態において、平均弾性率は、約31x106psi より小さくない。基板は、また、処理の厳しさに耐えるよう十分な引っ張り強度を持つ材料を含むこともできる。1つの実施形態によれば、基板は、約35,000psi より小さくない引っ張り強度、あるいはさらに、約40,000psi より小さくない引っ張り強度、等の、約30,000psi より小さくない(アニールプロセス後の)引っ張り強度を持つ。
【0028】
上記物理的特性に加えて、基板材料は、一般に、長い長さの超伝導物品を形成するのに適した電気的特性を持つ。このように、基板は、代表的に、約80マイクロオームcm より小さくない室温での電気比抵抗を持つ材料を含む。1つの特定の実施形態において、基板は、約90マイクロオームcm より小さくない室温での電気比抵抗を、あるいはさらに、約100マイクロオームcm より小さくない室温での電気比抵抗を、持つ材料を含む。適切な電気的特性に加えて、基板材料は、一般に、超伝導物品の動作温度でパラ磁気的であるべきことが理解されるであろう。
【0029】
基板を設けることは、基板の研磨、および洗浄のような基板の追加的な処理を含み得る。一般に、上に横たわる層の形成の前に、基板は、水から、酸、酸化剤、有機溶剤、または、それらの結合、等の他の物質にわたる液体を用いて洗浄される。洗浄プロセスは、また、超音波設備、エレクトロ洗浄設備の使用を含み得る。さらに、基板は、研磨処理を受けることができる。研磨ステップは、電極、およびエレクトロ研磨溶液を用いたエレクトロ研磨を含むことができる。洗浄、およびエレクトロ研磨の後に、基板の表面は滑らかにされ、一般に、約0.05ミクロンより小さい、あるいはさらには約0.01ミクロンより小さい、のように、約0.1ミクロンより小さい表面粗さ(Ra)を持つ。
【0030】
図2のフロー図を再び参照して、プロセスは、バッファー層が、基板の上に横たわるよう形成される(203)ことを与える。上記したように、該バッファー層は一連の膜を含む。1つの実施形態によれば、該膜のうちの1つは、バリア膜であり、該バリア膜は一般に、基板の上に、かつ該基板と直接接触して堆積され、基板とHTS層との間でのあるスピーシーズの拡散を減少させる。該バリヤ膜は、スパッタリング、蒸着、および化学気相成長を含む技術を用いて堆積することができる。
【0031】
一般に、該バリヤ膜は、結晶性のオーダーを示さないテキスチャーされていない層であり得る。したがって、該バリヤ膜は、長い範囲のオーダー、あるいは短い範囲のオーダーを持たないアモルファスなモルホロジーであり得る。あるいは、該バリヤ膜は、結晶性グレインの形、短い範囲のオーダーを示すように、多結晶のモルホロジーを持つことができる。バリヤ層が結晶グレインを持つ多結晶性モルホロジーからなるこのような実施形態において、該グレインは、長い範囲のオーダー、あるいは、グレインからグレインへの整列、がないようにランダムな方位をとっている。
【0032】
該バリヤ膜は、一般に、基板と、その上に横たわる層、特にHTS層、との間でのあるスピーシーズの拡散を減少するのに適切な酸化物、特に、オキサイド化合物である。該オキサイド化合物は、Y23、SrRuO3、またはAl23等のセラミック材料のような金属オキサイド化合物を含む。該バッファー層は、複数のバリヤ膜を含む。1より多いバリヤ膜を利用するこのような実施形態において、各バリヤ膜は異なる材料からできていてよい。1つの実施形態によれば、該バリヤ膜は1つのオキサイド材料の単一層である。一般に、該単一バリヤ膜は、約0.1ミクロンより大きくない、あるいはさらに、約0.05ミクロンより大きくない等の、約0.2ミクロンより大きくない厚さを持つ。
【0033】
もう1つの実施形態によれば、該バッファー層は、バリヤ膜を持たない。このような実施形態において、テキスチャーされていないバリヤ膜は存在せず、2軸テキスチャーされた膜が、該基板の表面の上に横たわり、かつ、直接接触している。バリヤ膜のない構成を利用するこのような実施形態において、該基板は、特定の組成、適切には、主にニッケル、および約20重量%より少なくない合金元素、よりなり、かつ特に、Mo、Mn、およびすでに述べた他の不純物元素を持たない2軸合金を、持つことができる。
【0034】
以前に議論したように、バッファー層は、そのうちの1つは2軸テキスチャーされた膜である一連の膜を含むことができる。したがって、バッファー層は、一般に、少なくとも1つの2軸テキスヤーされた膜、代表的には複数の2軸テキスチャーされた膜、を含む。実際、バッファー層の膜の全ては、2軸テキスチャーされた膜であり得る。該2軸テキスチャー膜は、一般に、Al23、LaMnO3、La2Zr27、Gd2Zr27、MgO、NiO、YSZ、CeO2、Y23、Mn34、Fe34、Cu2O、およびRE23、 ここで、REは希土類金属である、のような材料を含むオキサイド材料であり得る。1つまたはそれ以上の2軸テキスチャー膜は、これらの材料、またはそれらの結合を含み得る。このような膜、または複数の膜は、約30度より小さい、または、約20度より小さい、または約15度より小さい等の、グレインツーグレイン結晶学的配列を示す緊密な面内モザイク拡散を持つことができる。
【0035】
1つの実施形態によれば、2軸テキスチャー膜は、イオンビームアシスト堆積(IBAD)技術を用いて堆積される。特定の実施形態において、バッファー膜は、テキスチャーが該膜の平面内および平面外の両方であるような2軸整列結晶よりなる少なくとも1つの膜よりなる。IBADプロセスは、代表的に100℃より低い温度を要求する。このように、1つの特定の実施形態によれば、2軸テキスチャー膜のIBAD処理の間の温度は、約75℃より低い。もう1つの実施形態において、IBADの間の温度は50℃より低い、あるいは、25℃より低い。
【0036】
図2をふたたび参照して、バッファー層を形成した(203)後に、高温超伝導層(HTS)は、該バッファー層の上に横たわるよう、形成され得る。上記したように、HTS層を形成することは、一般に、化学気相成長、またはパルスレーザー堆積のような物理的堆積プロセス、のような堆積技術を用いることを含む。HTS層は、REBa2Cu3x-7、ここで、REは、図1の説明と関連した上記の実施形態において述べたように、希土類元素である、等の材料を含むことができる。さらに、HTS層は、2軸テキスチャーされたバッファー層のそれと、同じ、または実質的に同様のテキスチャーを持つ。
【0037】
再び、図2のフローチャートを参照して、HTS層を形成した(205)後に、超伝導物品の形成は、キャップ層207を形成することを含む。上記したように、該キャップ層は、物理気相成長、または特に、DCマグネトロンスパッタリング等の種々の堆積技術を用いて形成することができる。また、上記もしたように、該キャップ層は、安定化層(キャップ層の上に横たわるように形成される)と、HTS層との間の不所望の相互作用を妨げるために、貴金属等の材料を含むことができる。代表的な貴金属は、金、銀、プラチナ、およびパラジウムを、含む。
【0038】
図2はまた、キャップ層の形成(207)の後に、安定化層が、キャップ層の上に横たわるように、形成され得る(209)ことを、与える。上記したように、安定化層209の形成は、一般に、半田またはフラックスのような中間的なボンド材料を用いることにより、超伝導テープ上にプリ整形した銅ストリップを積層する等により、種々の厚膜および薄膜形成技術の任意のいずれかを含む。他の技術は、代表的に、蒸着、またはスパッタリングである物理気相成長、ばかりでなく、エレクトレスプレーティング、およびエレクトロプレーティング等のウェット化学プロセスに、焦点を置いている。
【0039】
上記したテープ等の超伝導物品と関連した特定のアーチテクチャー、及びプロセス技術を超えて、実施形態はまた、このような伝導体を組み込んでいる産業上の、または商業電力要素のような構成要素に向けられている。ある実施形態はまた、電力ケーブル、広く電力発電機、およびモーターを含む“回転機械”として知られている電力要素のクラスに向けられており、かつ、他の実施形態は、変圧器に向けられている。
【0040】
超伝導導体の特定の構造から返って、図3および図4は、商用電力要素、すなわち電力ケーブル、における超伝導導体の実行を図示する。図3は、プラスティックまたはスチール導管である地導管40内を通って伸びるいくつかの電力ケーブル42を図示する。図3はまた、明確さのために導管41を示す。示されるように、いくつかの電力ケーブルが、導管40内を通って走ることができる。
【0041】
図4を参照して、電力ケーブルの特定の構造が図示される。超伝導性の電力ケーブルを、超伝導状態に維持するために、液体窒素がLN2ダクト44を通って該電力ケーブル内に供給される。1つ、または複数のHTS導体46は、ダクト44をカバーするように設けられる。従来のテープは、一般に、ダクト44上にヘリカルな態様で置かれるが、本発明の実施形態による導体は、ヘリカルに巻かれる必要はなく、しかし、他の実施形態においては、該電力ケーブルの縦軸に平行に伸びる。さらなる構成要素は、銅シールド48、構成要素の誘電分離のための誘電体テープ50、第2のHTSテープ52、複数のセンタリングワイヤ56を持つ銅シールド54、第2の、より大きなLN2ダクト58、極低音状態を維持することの助けをするよう設けられた熱絶縁60、スキッドワイヤ64を含む、構造的支持のためのコルゲートスティールパイプ62、および、外側包囲体66を含む。
【0042】
図5は、その周りに、一次巻線72および2次巻線74が与えられる中央コア76を持つ電力変圧器を模式的に図示する。図5は、性質上、模式的なものであり、該変圧器の地理的形状は、技術においてよく理解されているように変化し得る。しかしながら、変圧器は、少なくとも1次巻線と2次巻線を含む。この点に関し、図5に示される実施形態においては、1次巻線は、2次巻線より大きい数のコイルを持ち、入力電力信号の電圧を低下させる降圧変圧器を表す。逆に、2次巻線に比し1次巻線により少ない数のコイルを設けることは、電圧の上昇を生じる。この点に関し、代表的に昇圧変圧器は、電力転送サブステーションにおいて電圧を高電圧に増大して長距離にわたる電力損失を低減するのに用いられ、一方、降圧変圧器は、後段での電力のエンドユーザへの配電のために配電ステーションに一体化されている。1次巻線と2次巻線の少なくとも1つ、および好ましくは両方は、以上の記述にしたがった超伝導導体よりなる。
【0043】
図6に返って、発電機の基本構造が与えられる。該発電機は、技術において知られているようにタービン等により駆動されるローター86を含む。ローター86は、高強度の電磁石を含み、これは、電力の発生のための所望の電磁界を形成するローターコイルによりつくられる。電磁界の生成は、少なくとも1つの導電性の巻線89よりなるステーター88において電力を生成する。実施形態の特定の特徴によれば、ローターコイル、および/または、ステーター巻線は、上記した実施形態にしたがった超伝導導体よりなる。ステーター巻線において使用される低損失超伝導体は、一般に、実質的に、ヒステリシス損失を低減する。
【0044】
図7に返って、電力グリッドの基本模式が与えられる。基本的に、電力グリッド110は、代表的に、複数の発電機を収容する電力プラント90を含む。電力プラント90は、送信サブステーション94に電気的に接続されており、かつ、代表的に、共配置されている。該送信サブステーションは、一般に、昇圧電力変圧器のバンクを含み、これらは、発生された電力の昇圧に利用される。代表的に、電力は、数千ボルトのオーダーの電圧レベルで生成され、かつ、送信サブステーションは、ライン損失を低減するために、電圧が100,000から1,000,000ボルトのオーダーであるよう昇圧するように機能する。代表的な送電距離は、50から1,000マイルのオーダーであり、電力はそれらの距離にわたって送電ケーブル96により運ばれる。送電ケーブル96は、複数の電力サブステーション98(図10では、1つのみが示される)にルート付けされている。該電力サブステーションは、一般に降圧電力変圧器のバンクを含み、送電レベル電圧を、比較的高い値から代表的に10,000ボルトより低い配電電圧に低下させる。複数のさらなる電力サブステーションはまた、グリッド状の態様で配置されており、エンドユーザへの局所化された電力配電のために局所化された領域に設けられている。しかしながら、簡単のために、1つの電力サブステーションのみが示されており、下流の電力サブステーションは、直列に設けられ得る。該配電レベル電力は、そののち、電力配電ケーブル100に沿ってエンドユーザ102、これは、商用電力ユーザばかりでなく居住エンドユーザを含む、に送信される。また、個々の変圧器は、個々のエンドユーザ、またはエンドユーザのグループのために、局所的に設けられる。特定の特徴によれば、電力プラント90内に設けられた発電機、送電ステーション内に設けられた変圧器、電力ステーション内に設けられた送電ケーブル、および電力配電ケーブルは、本発明による超伝導テープを含む。
【0045】
上記した実施形態によれば、顕著に改善された処理可能性、性能、および改善された耐性を持つ超伝導物品が、与えられる。特に、現在の実施形態は、IBADベースの超伝導導体、特徴の顕著な結合、の文脈での特定の基板合金を利用している。このような特徴の結合は、一般に、Hastelloy またはInconelのような複合体ニッケルベース合金に一般に依拠するIBADベースの超伝導導体の技術の状態から顕著に離れることを示す。ニッケルベースの合金材料であって、(i) ニッケルよりなるもの、あるいは、(ii) 限定された合金元素を含むものは、RABiTベース導体の文脈で開示されてきた。たとえば、特許第5,964,966、6,331,199、および、6,106,615号を見てください。しかしながら、合金元素の量は、該基板の2軸テキスチャー化を可能とするために、一般に、約15重量%またはそれ以下と、きわめて限定されている。さらに、RABiTベース技術の技術状態は、合金元素の量がより多くあることは、適切な2軸テキスチャーを達成するのに必要なアニール温度を不所望に上昇させることを教える。さらに、RABiTベース技術における、比較的に少量の合金元素は、所望よりより低い引っ張り強度、抵抗力、および磁気特性、を持つ物品を生じる。
【0046】
対照的に、本発明者らは、IBADベースの超伝導導体の文脈での上記した特定の合金組成は、価値のある、かつ今まで達成されなかった改善を与えることを発見した。たとえば、本発明者らは、IBADベースの超伝導導体における特定の合金組成は、改善された層組成および全体的な層化アーキテクチャーを可能とすることを発見した。顕著なことは、層間でのスピーシーズの減少された拡散は、超伝導アーキテクチャー内でのより薄い、またはより数の少ない層を可能とすることである。処理する層の減少は、製造プロセスの全体的なスループットをかなり増大させる。本発明者らは、層化構造を通しての、減少された合金元素のマイグレーションおよび汚染を発見し、かつ、したがって、過度に厚いバリヤ膜への必要が減少したことを、発見した。
【0047】
またさらに、ここでの実施形態は、IBADベースの超伝導導体の文脈での、層剥離に対する増大した耐性を達成する。このような増大した耐性は、少なくとも一部は、基板内の不所望のスピーシーズの減少によるものと考えることができ、なんらの特定の理論に結び付けられることを望むことなく、発明者らによって、基板内でのMoの存在の減少が、超伝導導体の処理の間の気相成長の減少を生じることができ、ここで、この気相成長は、そうでなければ、機能的な超伝導層が基板から離れる剥離、の原因となるものであることが観察された。
【0048】
発明は、特定の実施形態の文脈で図示され、記述されたが、示された詳細に限定されるものではなく、種々の変形、および置き換えが、本発明の範囲からなんらかの方法で離れることなく、なされることができる。たとえば、付加的な、あるいは等価な置換物を用いることができ、かつ、付加的な、あるいは等価な製造ステップを用いることができる。このように、ここで開示された発明のさらなる修整、および等価物は、通常の実験を用いて当業者によって起こるものであり、かつ、このような修整および等価物は、以下のクレームによって定義される発明の範囲内であるものと信じられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを備える超伝導性物品:
基盤、ここで、該基板は、テキスチャーされておらず、かつ、主にニッケル、および合金元素の約20重量%より少なくないもの、を含むニッケル系合金よりなり、かつ、該基板は、本質的にモリブデン、およびマンガンを含まない;
前記基板の上に横たわるバッファー層;および、
前記バッファー層の上に横たわる高温超伝導(HTS)層。
【請求項2】
請求項1に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、約0.1ミクロンより小さい表面粗さを持つ。
【請求項3】
請求項1に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、アモルファスである。
【請求項4】
請求項1に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、ランダムな方位を持つグレインよりなる多結晶である。
【請求項5】
請求項4に記載の超伝導性物品であって、前記グレインは、約20ミクロンより小さい平均サイズを持つ。
【請求項6】
請求項1に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、Al、Co、Cu、P、Sb、Cd、As、Sn、およびSiよりなるグループから選択された不純物材料を、本質的に含まない。
【請求項7】
請求項6に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、約1.0重量%より多くない不純物材料のトータル量を備える。
【請求項8】
請求項7に記載の超伝導性物品であって、前記不純物材料の量は、約0.8重量%より多くない。
【請求項9】
請求項1に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、Feの約5.0重量%より小さい量を備える。
【請求項10】
請求項1に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、Feの約2.0重量%より小さい量を備える。
【請求項11】
請求項1に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、前記合金元素の約25重量%より少なくないものを備える。
【請求項12】
請求項11に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、前記合金元素の約30重量%より少なくないものを備える。
【請求項13】
請求項1に記載の超伝導性の物品であって、前記合金元素は、W、Cr、またはVよりなる元素のグループの中から選択される。
【請求項14】
請求項13に記載の超伝導性物品であって、前記合金元素は、Crである。
【請求項15】
請求項1に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、約4つの元素より多くないものからなる。
【請求項16】
請求項15に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、約3つの元素より多くないものからなる。
【請求項17】
請求項16に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、ニッケルおよび1つの合金元素を含む2元合金よりなる。
【請求項18】
請求項1に記載の超伝導性物品において、前記基板材料は、約28x106psi より小さくない平均弾性率を持つ。
【請求項19】
請求項17に記載の超伝導性物品であって、前記基板は、約30,000psi より小さくない引っ張り強度を持つ。
【請求項20】
請求項1に記載の超伝導性物品において、記基板は、約80マイクロオームcm より小さくない室温での電気比抵抗を持つ。
【請求項21】
請求項1に記載の超伝導物品において、前記基板は、103より小さくない寸法比を持つ。
【請求項22】
請求項21に記載の超伝導性物品において、前記基板は、104より小さくない寸法比を持つ。
【請求項23】
請求項1に記載の超伝導性物品であって、前記バッファー層は、Al23、LaMnO3、La2Zr27、Gd2Zr27、MgO、NiO、YSZ、CeO2、Y23、Mn34、Fe34、Cu2O、およびRE23、 ここで、REは希土類金属である、よりなるグループから選択された少なくとも1つの材料よりなる。
【請求項24】
請求項1に記載の超伝導性物品において、前記バッファー層は、該膜の平面内および平面外の両方において2軸整列された結晶を持つ少なくとも1つの2軸テキスチャー膜を備える。
【請求項25】
請求項24に記載の超伝導性物品であって、前記2軸テキスチャー膜は、前記基板の上に横たわり、かつ直接接触している。
【請求項26】
請求項1に記載の超伝導性物品であって、前記バッファー層は、前記基板の上に横たわり、かつ直接接触しているバリヤ膜よりなる。
【請求項27】
請求項26に記載の超伝導性物品において、前記バリヤ膜は、約0.2ミクロンより大きくない平均厚さを、持つ。
【請求項28】
請求項27に記載の超伝導性物品において、前記バリヤ膜平均厚さは、約0.1ミクロンより大きくない。
【請求項29】
請求項26に記載の超伝導性物品において、前記バリヤ膜は、テキスチャーされていない。
【請求項30】
請求項29に記載の超伝導性物品であって、前記バリヤ膜は、アモルファスである。
【請求項31】
請求項29に記載の超伝導性物品において、前記バリヤ膜は、ランダムな方位を持つグレインよりなる多結晶である。
【請求項32】
請求項26に記載の超伝導性物品であって、前記バリヤ膜は、酸化物材料よりなる。
【請求項33】
請求項32に記載の超伝導性物品において、前記バリヤ膜は、アルミナよりなる。
【請求項34】
請求項1に記載の超伝導性物品において、前記超伝導層は、約77Kより低くない臨界温度Tcを持つ、高温超伝導体材料よりなる。
【請求項35】
請求項34に記載の超伝導性物品であって、前記超伝導材料は、REBa2Cu3O7-x よりなり、ここで、RE は希土類元素である。
【請求項36】
請求項35に記載の超伝導性物品において、前記超伝導材料は、YBa2Cu3O7-x よりなる。
【請求項37】
請求項1に記載の超伝導性物品において、安定化層が、前記HTS層の上に横たわる。
【請求項38】
請求項1に記載の超伝導性物品において、前記物品は、超伝導テープよりなる電力デバイスであり、該超伝導テープは、前記基板、バッファー層、及び前記超伝導層よりなる。
【請求項39】
請求項38に記載の超伝導性物品において、前記電力デバイスは、電力ケーブルであり、該電力ケーブルは、複数の超伝導テープよりなる。
【請求項40】
請求項1に記載の超伝導性物品において、該物品は、電力変圧器であり、該電力変圧器は、少なくとも1次巻線および2次巻線を有し、ここで、前記1次巻線及び2次巻線の少なくとも1つは、超伝導テープの巻かれたコイルよりなり、該超伝導テープは、前記基板テープ、前記バッファー層、および前記HTS層よりなる。
【請求項41】
請求項1に記載の超伝導性物品において、前記物品は、回転機械であり、該回転機械は、少なくとも1つの巻線を有し、ここで、該少なくとも1つの巻線は、前記基板テープ、前記バッファー層、および前記HTS層により形成された超伝導テープよりなる。
【請求項42】
以下のものよりなる超伝導性物品:
(i) アモルファスである、または、(ii) ランダムな方位を持つグレインよりなる多結晶である、テキスチャーされていない基板、ここで、
前記基板は、主にニッケル、および合金元素の約20重量%より少なくないもの、よりなるニッケルベースの合金よりなり、ここで、前記合金元素は、W、Cr、およびVよりなる元素のグループの中から選択され、かつ、ここで、前記基板は、本質的にモリブデン、およびマンガンを含まない;
前記基板の上に横たわるバッファー層、該バッファー層は、該膜の平面内および平面外の両方において2軸整列された結晶を持つ少なくとも1つの2軸テキスチャーされた膜よりなり;かつ、
前記バッファー層の上に横たわる高温超伝導(HTS)層。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−509738(P2010−509738A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536534(P2009−536534)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/084451
【国際公開番号】WO2008/147452
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(505448796)スーパーパワー インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】