説明

超伝導高周波加速空洞の製造方法

【課題】ニオブ材の棄て料が少なく低コストで且つ短時間に製造可能な荷電粒子加速器に用いられる超伝導高周波加速空洞の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)円盤形状のニオブ材によるインゴットを得る行程と、(b)前記ニオブインゴットを支持した状態で、微小の浮遊砥粒を吹き付けつつ多重のワイヤを前後に振動させることにより前記ニオブインゴットを所定厚の複数枚のニオブプレートにスライス切断する行程と、(c)前記スライス切断されたニオブプレートに付着している前記浮遊砥粒を除去する行程と、(d)前記ニオブプレートを深絞り成形することにより所望形状のニオブセルを形成する行程と、の各行程を有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクロトロン等の荷電粒子加速器に用いられる高周波加速空洞に関し、特に、超伝導高周波加速空洞の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波加速空洞は、高周波電場を利用し、荷電粒子を効率良く加速するために特定の周波数の高周波を共振させるように工夫した金属製の空洞であり、シンクロトロン等の荷電粒子加速器に用いられる。
【0003】
高周波空洞は、高周波を発生させると発熱することになることから、熱伝導率が大きく電気抵抗が小さい金属材料が適している。従来は、このような高周波加速空洞の素材として銅が用いられてきた。しかし、加速電場の増大に伴って発熱量も増加するので、銅材による高周波加熱空洞では性能向上において限界があった。そこで、近年においては、超伝導空洞が提案され用いられるに至っている。そして、単体金属としては最高の絶対温度で超伝導転移を起こすと共に、金属として比較的加工しやすい利点を有することからニオブ材(本願では、ニオブ単体とニオブと他の金属(例えば銅)との合金を含めて、「ニオブ材」という)が用いられ、現在、ニオブ材による高周波加熱空洞の実用化が進められている。
【0004】
図9は、高周波加速空洞において、荷電粒子の速度を加速させる原理を説明するものである。一つのパイプの長さをd、高周波の周波数をf、波長をλ、周期をT、荷電粒子の速度をvとした場合、一つのパイプを通過する時間t=d/vが、周期Tの半分であるならば、荷電粒子は、連結された夫々のパイプにおいて加速される。ここで、v=fλであり、T/2=t=d/v=d/fλ=dT/λとなるので、一つのパイプの長さd=λ/2になるように設計する。これにより、連結するパイプの数を増やす毎に、荷電粒子は、各パイプからエネルギーを得るので、荷電粒子の速度を累積的に加速できるのである。
【0005】
ニオブは、灰白色の比較的軟らかい金属(遷移金属)であり、常温、常圧化で安定な結晶構造である体心立法格子構造を持ち、比重は8.56である。空気中では、酸化被膜が形成され耐食性及び耐酸性を有する。ニオブは単体金属としては最高の絶対温度9.2K(常圧化)で超伝導転移を起こす。
【0006】
ニオブ材による超伝導高周波加速空洞を製作するためには、厚さが数ミリ程度のニオブの薄板を大量に必要とする。
【0007】
従来技術において、厚さ数ミリ程度のニオブの薄板を得る方法としては、高純度のニオブインゴットから必要量だけ切り出した後これを鍛造及び圧延する塑性加工法と、直径が数十センチのニオブインゴットをバンドソー等によって薄く切り出すノコギリ法があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、塑性加工法では、製造行程が複雑で多くの行程を必要とすることから製造に長い時間を必要とするばかりでなく、圧延行程等において不純物の巻き込みによる材料の欠陥が発生してしまうので大量の棄て材が発生し、高コストを招来していた。また、ノコギリ法では、ノコギリの刃厚が大きいため、材料の概ね50%が棄て材となるばかりか、切削後の表面が粗くなるので追加の表面仕上げ加工を必要とするのである。
【0009】
超伝導高周波空洞においてその性能を左右するのは、ニオブ材料と表面処理技術である。表面処理技術としては、化学研磨と電解研磨がある。従来の多結晶ニオブ材から製作した空洞では、その結晶粒界での表面粗さ等の問題で電解研磨の方が化学研磨よりも優れた性能を示すことが知られている。これは、材料の結晶粒界の問題と考えられている。化学研磨で電解研磨並みの空洞性能を確保するには、空洞を巨大結晶あるいは単結晶ニオブ材で製作するしかない。化学研磨は、処理方法の簡易性などそれなりの利点があり、欧米では巨大結晶・単結晶ニオブ空洞の開発を行っている。その際、巨大結晶ニオブインゴットをノコ歯で機械的に切る方法や放電加工で一枚ずつスライスする方法が取られている。
【0010】
電解研磨では、多結晶・単結晶に関係なく空洞性能が確保できることが実験的に分かってきた。また、インゴットから製作した板材でもプレス加工の成形性に大きな問題が無いことが分かってきた。さらに、その方法では材料の品質が安定しメリットが大きい。そこで、インゴットから直接製作した板材を使って空洞を製作し、電解研磨すればインゴットの結晶粒径に関係なく性能が確保できると同時に材料費の大きなコスト削減が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記した従来技術の種々の課題を解決するものであり、荷電粒子加速器に用いられる超伝導高周波加速空洞の製造方法であって、(a)円盤形状のニオブ材によるインゴットを得る行程と、(b)前記ニオブインゴットを支持した状態で、微小の浮遊砥粒を吹き付けつつ多重のワイヤを前後に振動させることにより前記ニオブインゴットを所定厚の複数枚のニオブプレートにスライス切断する行程と、(c)前記スライス切断されたニオブプレートに付着している前記浮遊砥粒を除去する行程と、(d)前記ニオブプレートを深絞り成形することにより所望形状のニオブセルを形成する行程と、の各行程を有することを特徴とする超伝導高周波加速空洞の製造方法を提供するものである。ここで、前記ニオブインゴットは、ニオブ単体又は他の金属との合金である。
【0012】
前記行程(a)において、前記円盤形状のニオブインゴットは、ニオブ材を所定形状の坩堝内において電子ビームを照射させ溶解させることにより得る。
【0013】
また、前記浮遊砥粒は、オイルに混ぜた炭化シリコン(SiC)であり、前記行程(b)における前記ニオブインゴットのスライス切断の行程において、前記ニオブインゴットの上部はエポキシ樹脂で接着支持する。
【0014】
そして、前記行程(b)において使用される前記ワイヤは、0.16mm径のピアノ線であり、前記ニオブインゴットの厚さが20mmであった場合、6枚のニオブプレートを取ることを可能にしている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の超伝導高周波加速空洞の製造方法においては、要求されるニオブ円盤形状のニオブインゴットをピアノ線と砥粒を使ってスライスするので、材料の棄て材を大きく減らすことを可能にした。本製造方法においては、鍛造・圧延・アニール等の他の一切の行程を省けるので、製造行程が著しく簡単になり、生産性が上がると同時に大きなコスト削減を実現したのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
1.背景
超伝導高周波空洞の高電界性について、電解研磨(EP)の化学研磨(CP)に対する優位性が明らかにされた。その後、他の多くの研究所の追試により、多結晶ニオブ材板から製作した超伝導空洞でこの事実は確認された。この問題はニオブ材の結晶粒界に関係していることが予想され、複数の研究施設において、巨大結晶ニオブ・単結晶ニオブの超伝導空洞の開発が開始され、非常に有望な結果が得られた。
【0018】
単結晶ニオブ空洞では、現在、高電界性が得られることが明らかにされており、近年、単結晶ニオブインゴットの製造法の技術的検討、巨大結晶ニオブ空洞の性能報告、巨大結晶ニオブによる材料コスト削減などの検討が行われている。このような検討の結果、単結晶ニオブインゴットは、大きな開発コスト・長期の開発期間などから積極的推進には至らなかったが、コスト削減にはインゴットのスライス技術が鍵であることが明らかとなった。
【0019】
国際リニアイコライダー(ILC)においては、17000台のL−バンド9−セル超伝導空洞を必要とし、必要なニオブ材はセル材だけでも31万枚にのぼる。日産420枚規模の生産率が要求される。材料生産効率の向上、また材料の歩留まりの向上が重要となる。
【0020】
2.超伝導高周波空洞用ニオブ材の製造方法について
図1は、超伝導空洞用高純度ニオブ板材の製造行程を説明するものである。
超伝導空洞用の高純度ニオブ材は、図1に示すように、ニオブパウダーあるいは粗鋼ニオブインゴットから出発して、インゴットの真空電子ビーム多重溶解、鍛造、圧延、途中熱処理、表面研磨など複雑な行程を経る。また、この方法は鍛造品の皮剥ぎや、角板から円板切り出しの際に多くの棄て材が発生し、材料の歩留まりが55%程度になると推定される。また、圧延等の行程において、環境から異材を巻き込み、材料の信頼性を失いかねない。当然材料コスト高は避けられない。
【0021】
一方、従来において、巨大結晶ニオブの超伝導空洞の開発では、超硬金属ノコギリや放電加工でニオブインゴットをスライスしている。ノコギリ法は、使用するノコ歯の厚み(2mm程度)により材料の歩留まりが悪くまた、スライス面が粗く後研磨が必要である。放電加工法はスライス面の粗さには問題ないが、同時に多量の板をスライスするマシンの開発は、構造上の理由から困難と思われる。これらの方法は量産に適さず、より効率的でコスト安のスライス法の開発が待望される。
【0022】
本願の発明者は、このような課題を解決して、材料特性を損なうことなく大幅なコスト削減可能な方法を創案した。現在半導体技術で使われているシリコンインゴットのスライスマシンを使い、ニオブ板材を製作するようにした。この方法では、要求されるニオブ円板径(ILCでは270〜265mm)の丸棒インゴットを0.16mm径のピアノ線と砥粒を使ってスライスするので、材料の捨て材を大きく減らす(概ね15%、鍛造・圧延による現行法の1/3に低減)ことができる。また、鍛造・圧延・アニールの一切の行程を省けるので材料製造行程が著しく簡単になり、生産性が上がると同時に大きなコスト削減が期待される。
【0023】
3.ニオブインゴットのスライス行程
本発明においては、多重に張られたピアノ線(0.16mmの径)にスライス切断面の横からオイルに混ぜた#800(番手)のSic浮遊砥粒を吹きつけ、ワイヤに抱かせ状態にて、砥粒の付いたワイヤを動かし、ニオブインゴットを上から押し付けながらゆっくり摩擦切断する。
【0024】
スライスの際、インゴット上部はエポキシ樹脂でサポートに接着されており、インゴットが切断された後でもバラバラになることなくサポートに保持される。切断が終わった後、遊離材に浸してスライスした板をサポートから外すのでキズが付かない。切断時間38.9時間。板厚の切断精度は50ミクロン。従来の100ミクロンより2倍精度が良かった。スライス表面粗さは、円板中心部以外では3.5ミクロン。中心部で11.5ミクロン。中心部はプレス加工時に穴が空けられ、使用しない全表面3.5ミクロンと考えてよい。表面粗さを滑らかにする後仕上げ行程が不要である。表面には砥粒が飲み込まれて残留するが、軽くエッチングするだけで除去でき、クリーンな表面が得られる。使用した装置は、トーヨーエイテック(株)製E450−E−12Hの最大300φ、450Lシリコンインゴットをスライスできるマシンである。270φ、450Lのニオブ材をスライスする場合、インゴットのサポートをより強度のあるものに改良する必要があるが、大きな修正は不要であると思われる。
【0025】
ところで、半導体業界では、シリコンスライスマシンを使って300mm程度の大口径金属をスライスする経験がないために、この方法について多くの困難性が予想された。ニオブは、粘性を有する金属であること、板材がスライス中に反ってワイヤが切断し易いなどの指摘を受けた。また、スライスに使用するワイヤについて、最初ダイヤモンドを焼き付けた固定砥粒線を試みたが、大口径の金属スラスには旨く行かなかった。また、例えスライスが可能であったとしてもそのワイヤコストが高く、270φのニオブ1枚スライスに100万円のコストが掛かるとの危惧があった。
【0026】
そこで、従来の浮遊砥粒法に戻って、肉厚15mm、幅500mm、長さ300mmの厚板ニオブで試し切り離してから試した。そして150mm径のニオブ丸棒でスライス試験へと進んだ。色々な条件サーチの結果、大口径ニオブインゴットスライス製作の可能性が開けた。これらのスライス試験では4〜9μm(Ry)の表面粗さを得た。この表面粗さは空洞製作の要求を満たす。この試験に引き続いて275mm径のインゴットスライス試験に移った。
【0027】
一方、従来においては、180mm径のニオブインゴットを標準としていたが、今回の実験では275mmの大口径インゴットを試作した。
【0028】
図2は、そのインゴット用に製作した電子ビーム溶解用の坩堝を示し、図3は、製作した大口径インゴットを示す。
【0029】
このインゴットは6回の多重溶解で製作され、そのRRRは480であった。そして、20mm厚の板2枚をこのインゴットからノコギリで切り出し、スライス試験を行った。
【0030】
図4に、20mm厚の板をスライス装置にセットした状態を示す。板の上部はエポキシ樹脂でスライスマシンのサポートに固定されている。板の下には約3mmピッチで張り巡らされたワイヤが見える。速いスピードで動くこのワイヤの上に板を押し付けてスライスする。
【0031】
図5に、スライスされたニオブ板を示す。スライス後に表面をエッチングしたために、板には大きな粒界がはっきりと見える。いわゆる巨大結晶ニオブ材である。20mm厚のインゴットの2回のスライス試験で、それぞれ6枚の板がとれた。表面粗さ4〜10μm(Ry)を得た。スライス面の研磨は不要である。また、板厚の精度は、目標厚み2.80mmに対して2.86±0.01mmであり、厚み精度が従来のロール法より一桁良いことが分かった。スライス時間は40〜48時間であった。これは放電加工法と同じ時間である。
【0032】
4.スライス材の製作性能及び空洞性能について
図6は、スライス材からプレス成型したハーフカップ(左)とトリム加工後(右)のハーフカップの例を示す。
【0033】
スライスしたニオブ材料の評価を行うために、最初の20mm厚のインゴットスライス試験を用いて切り出した板材(巨大結晶)からL−バンド単セル空洞を製作した。多結晶ニオブ材を使って空洞を製作する従来と同じ製作法を使った。
【0034】
まず、270φ、2.8mmのスライス材をプレスして空洞のハーフカップを製作し、トリムし、電子ビーム溶接で空洞を完成した。プレス成型でカップ中央部に割れが発生した。しかし、その深さはトリム加工で取りきれる程度の深さであり空洞製作に問題がなかった。また、プレスカップの赤道には巨大結晶特有の粒界すべり構造が発生したが、これもトリム加工で取り除くことが出来た。総じて空洞製作に問題がないことが確認できた。
【0035】
完成したこの空洞は、図7に示すレシピで表面処理された。ここで強調されるべきことは、遠心バレル研磨行程である。巨大結晶材では、成型時に空洞内表面に粒界すべりによる粒界ステップが発生する。この粒界ステップを遠心バレル研磨のような機械研磨で十分滑らかにしておかないと、空洞にマイクロ波を入れた時、RF磁場のエンハンスメントが起こり、加速電界が制限される。また、今回は化学研磨のみを施した。遠心バレルで約80ミクロン機械研磨した後、10μmの化学研磨でその砥粒による表面汚染層を除去し、水素脱ガスアニールを行い、その後化学研磨160μm行い、純水を使って15分間の高圧洗浄、空洞組立、120℃48時間のベーキングを行った。図8に示すように、これら一連の最初の試験で42.6MV/mが達成された。スライス材でILCの目標性能を十分に満たす空洞性能が得られた。
【0036】
5.量産時のコスト削減効果と波及効果について
今回試作した270φ、450Lのインゴット一本から48時間で2.8mm厚の板が150枚スライスできると期待される。ILCについて、この方法によるコストの削減額を試算した。3年間で日産420枚とすると、必要なスライスマシン台数は予備を含めて8台である。このキャピタルコストと今回の試験から予想される消耗品、人件費、および利益率を含めた1枚当たりのスライス費はおよそ5千円程度である。この方法では、ニオブインゴット代+5千円となり材料コストの半減が期待できる。ILCでは150億円のコスト削減が期待できる。
【0037】
ニオブインゴットのスライスは、例えばX−バンドの銅空洞の製作にも応用できる。また、金属に限らずRF窓のセラミックに板材にも適用できる。今後色々な希少資源の枯渇化が心配されるが、この方法で棄て材の少ない材料取りができる。
【0038】
以上詳しく説明したように、本超伝導高周波加速空洞の製造方法においては、(a)円盤形状のニオブ材によるインゴットを得る行程と、(b)前記ニオブインゴットを支持した状態で、微小の浮遊砥粒を吹き付けつつ多重のワイヤを前後に振動させることにより前記ニオブインゴットを所定厚の複数枚のニオブプレートにスライス切断する行程と、(c)前記スライス切断されたニオブプレートに付着している前記浮遊砥粒を除去する行程と、(d)前記ニオブプレートを深絞り成形することにより所望形状のニオブセルを形成する行程と、の各行程を有する。
【0039】
これにより、例えば、2.8tのニオブ板材が39時間で146枚製作することが可能である。また、一台のマシンで年間155本のインゴットのスライスが可能である。スライス面の表面粗さは10ミクロン以下であり、特に表面仕上げの行程が不要である。この方法で、ILCに必要なニオブセル材(310000枚)のコストは、1枚当たり現行市販価格の半分程度までコストダウンでき、総額150億円のコスト削減が期待される。また、この方法で製作したニオブ板材のハーフセル成形性(プレス)にも大きな問題はないことが実証されたのである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、シンクロトロン等の荷電粒子加速器に用いられる高周波加速空洞に関し、特に、超伝導高周波加速空洞の製造方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】超伝導空洞用高純度ニオブ板材の製造行程を説明するための図である。
【図2】直径275mmのニオブインゴット用坩堝の例を示す。
【図3】製作されたインゴットの例を示す。
【図4】ニオブインゴットのスライス行程を示す図である。
【図5】20mm厚のニオブインゴットからスライスされた2.8tのニオブ円板(表面スライスのあと化学研磨でエッチングされた)の例を示す。
【図6】スライス材からプレス成型したハーフカップ(左)とトリム加工後(右)のハーフカップの例を示す。
【図7】空洞性能評価のために使用したレシピを示す。
【図8】スライス材で製作したL−バンド単セル空洞の性能試験結果を示す。
【図9】高周波加速空洞において、荷電粒子の速度を加速させる原理を説明するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子加速器に用いられる超伝導高周波加速空洞の製造方法であって、
(a)円盤形状のニオブ材によるインゴットを得る行程と、
(b)前記ニオブインゴットを支持した状態で、微小の浮遊砥粒を吹き付けつつ多重のワイヤを前後に振動させることにより前記ニオブインゴットを所定厚の複数枚のニオブプレートにスライス切断する行程と、
(c)前記スライス切断されたニオブプレートに付着している前記浮遊砥粒を除去する行程と、
(d)前記ニオブプレートを深絞り成形することにより所望形状のニオブセルを形成する行程と、
の各行程を有することを特徴とする超伝導高周波加速空洞の製造方法。
【請求項2】
前記ニオブインゴットは、ニオブ単体又は他の金属との合金である請求項1に記載の超伝導高周波加速空洞の製造方法。
【請求項3】
前記行程(a)において、前記円盤形状のニオブインゴットは、ニオブ材を所定形状の坩堝内において電子ビームを照射させ溶解させることを特徴とする請求項1に記載の超伝導高周波加速空洞の製造方法。
【請求項4】
前記浮遊砥粒は、オイルに混ぜた炭化シリコン(SiC)であることを特徴とする請求項2に記載の超伝導高周波加速空洞の製造方法。
【請求項5】
前記行程(b)における前記ニオブインゴットのスライス切断の行程において、前記ニオブインゴットの上部はエポキシ樹脂で接着支持されることを特徴とする請求項2に記載の超伝導高周波加速空洞の製造方法。
【請求項6】
前記行程(b)において使用される前記ワイヤは、0.16mm径のピアノ線であることを特徴とする請求項2に記載の超伝導高周波加速空洞の製造方法。
【請求項7】
前記行程(c)における前記浮遊砥粒の除去行程は、エッチングである請求項2に記載の超伝導高周波加速空洞の製造方法。
【請求項8】
前記ニオブインゴットの厚さが20mmであった場合、6枚のニオブプレートを取ることを特徴とする請求項2に記載の超伝導高周波加速空洞の製造方法。

【図1】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−40423(P2010−40423A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204318(P2008−204318)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(504151365)大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 (125)
【出願人】(508377510)東京電解株式会社 (1)
【出願人】(000133685)株式会社TKX (8)
【Fターム(参考)】