説明

超小型電子機構の所望寸法を測定するのに用いられる計測ツールにおける障害を識別する方法、該寸法を測定するのに用いられる計測ツールシステムにおける障害を識別する方法、及び、該システムにおける障害を識別するコンピュータプログラム(計測ツールエラーログ解析方法及びシステム)

【課題】超小型電子機構の所望寸法を測定するのに用いられる計測ツールシステムの障害を識別する方法を提供する。
【解決手段】システムの各計測ツールは超小型電子機構の所望寸法を測定するため、複数のレシピを実行し、各レシピは、超小型電子機構の少なくとも1つの寸法を測定するために一連の命令を含む。システムは、超小型電子機構寸法の測定の際に障害を記憶するエラーログを含む。方法は、計測ツールにより用いられたレシピに対して、正規化された数のエラーを、エラーログに記憶されている障害から決定する工程と、エラーログ内の最大の正規化された数のエラーを有する1つ以上のレシピを識別する工程と、最大の正規化された数のエラーを有する1つ以上の識別されたレシピを、測定ツールにより実行すべきジョブのリストにて識別する工程と、最大の正規化された数のエラーを有する1つ以上の識別されたレシピから1つ以上のレシピのエラーの原因を決定する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造に関し、特に、超小型電子機構の寸法を測定するのに用いられる計測ツールにおける障害の識別に関する。
【背景技術】
【0002】
超小型電子製造中、半導体ウェハは、超小型電子回路を形成する機構及び素子と、その他の機構とをウェハ基板上に形成するためにリソグラフィ処理を行う一連のツールにより処理される。リソグラフィシステムは、マスクパターンの像をウェハ上に投射することにより回路パターンを複製し、パターンを露光する撮像ツールと、基板を被覆し、ベーキングし、現像する処理ツールとから成る。寸法及び密度を変える機構をもってパターンを構成する場合がある。これら機構のすべては、設計に対する寸法忠実性をもって同時に印刷される必要がある。本明細書で用いられる限界寸法(CD)または限界幅とは、リソグラフィシステムにより製造できるパターンまたは機構の最小寸法を意味する。このような処理は、半導体、フラットパネル表示装置、マイクロマシン及びディスクヘッドの製造を含む広範囲の産業用途を有する。
【0003】
一般に、各処理ステップの後、ウェハ上の何らかのエラーが、超小型電子回路自体の一部か、または、ウェハ上に印刷された特定目標物のどちらかの寸法を撮像する計測ツールを用いて測定及び制御される。このような回路部分、目標物及びその他の機構は、他に特に規定がなければ、超小型電子機構と称するものとする。計測ツールは、いわゆるレシピを用いて所望の超小型電子機構を測定する。このようなレシピは、超小型電子機構のマッピングと、ツール測定素子で測定すべき特定の機構をウェハの回転及び平行移動により光学測定システムのツールと整列させ、必要なツール測定素子を用いるようツールへ命じることとを一般に含む。代表的なツール測定素子は、それぞれの測定値を得るのに純粋に光学方式を用いる場合がある。このような種類のツールの例として、オーバーレイ、散乱測定及び膜厚が挙げられる。他のツール測定素子は、走査電子、原子間力顕微鏡または、各ツール測定素子がチップ製造途中の特定処理ステップを測定するように設計された他の組み合わせと一緒の光学素子を含む。この時点から、超小型電子機構の所望寸法の測定は、限界寸法、オーバーレイ、膜厚、深度などの測定を意味する場合がある。
【0004】
計測ツールはますます進歩するようになるので、ユーザ側では、より高い技能が必要とされる。測定レシピを構築するのに必要な経験は急速に平均ユーザの手に届かなくなってきている。更に、計測ツールで測定される処理ステップの数は、新たな世代のチップ処理のたびに増大していく。65nmノードチップ技術に対して、チップは、処理の過程で約70回も限界寸法(CD)計測ツールを通過する場合がある。これら70回の通過の各々は、構築すべき固有のレシピを必要とする。無数の異なる種類のチップは65nmノードチップ技術を用いて製造され、各固有のチップに対して同一の処理ステップの各々は、他とは異なる計測レシピを必要とする。このようなCD計測のレシピ数は容易に千単位に達するおそれがある。
【0005】
確固としたレシピを構築するのに高水準の専門技術が必要とされると知っていても、多くのチップ製造業者は、これら何千ものレシピのすべてを必要に応じて確実に構築できる人材を充分に持っていない。多くの場合、構築されたレシピは、確実には実行されない。長期にわたると、このことは、完全に機能するチップを生産するのに必要とされるサイクル時間に直接影響を及ぼす重大な問題点になる。幾つかの極端な場合、このことは歩留りに影響を及ぼす。幾つかの計測ツールについてプログラム作成のレシピを習得するのに1年以上かかるおそれがあるので、下手に書かれた計測レシピにより、計測ツール管理、サイクル時間及び処理デバッグにおいて大きな問題を引き起こす。
【0006】
チップを製造する処理を監視するのに用いられる計測ツールに存在する何千ものレシピに伴い、最も問題のあるレシピを決定する効果的な方法が必要とされる。更に、特定の処理ステップの生産ロットに対して、この処理ステップを監視するのに構築された計測レシピによって故障する機会が多くある。チップ製造業者が、寿命の間、異なる処理ステップで、異なるチップをすべて測定する様々なCDツールを持っている場合では、下手に書かれた多くのレシピと結びつければ、レシピ障害量は、かなり短期間に何万というレベルに達するおそれがある。レシピ障害は計測ツールを一時停止するおそれがあり、確実には測定できないロットを保留し続け、検査を必要とするという結果を招く。この状況及び他の状況は、次に、チップを製造する速度を落とし、サイクル時間に直接影響を及ぼすおそれがある。問題のあるレシピを決定する効果的な方法がなければ、多くの時間及び資源を無駄にするおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、従来技術の問題点及び欠陥を考慮し、本発明の目的は、修正すべき最も問題のあるレシピを多数の計測ツールレシピ障害から識別する方法を提供することにある。
【0008】
本発明のもう1つの目的は、故障している計測ツールレシピを修正する処理をどこから始めるかを決定する方法を提供することにある。
【0009】
本発明の更なる目的は、最も問題のある計測ツールレシピに集中し、根本的な原因を決定する自動化法を提供することにある。
【0010】
本発明の更にもう1つの目的は、計測ツールに存在するエラーログを用いて計測ツールレシピ障害を識別及び修正する方法を提供することにある。
【0011】
本発明の更なる他の目的及び利点は部分的に自明であり、部分的に本明細書から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
当業者に明らかになるであろう上記の目的及び他の目的は、超小型電子機構の所望寸法を測定するのに用いられる計測ツールにおける障害を識別する方法に関する本発明で達成される。この方法は、計測ツールが超小型電子機構の所望寸法を測定するため、複数のレシピを実行し、各レシピが、超小型電子機構の少なくとも1つの寸法を測定するために一連の命令を含むステップと、計測ツールに対してエラーログを構成し、エラーログが超小型電子機構寸法の測定の際にエラーログに障害を記憶するステップとを含む。この方法は、計測ツールにより用いられたレシピに対して、正規化された数のエラーを、エラーログに記憶されている障害から決定するステップと、エラーログ内の最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上のレシピを識別するステップと、最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上の識別されたレシピを、計測ツールにより実行すべきジョブのリストにおいて識別するステップと、最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上の識別されたレシピから1つ以上のレシピ内のエラーの原因を決定するステップとを含む。この方法は、最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上の識別されたレシピ内に変化をもたらしてレシピ内のエラーを修正するステップと、変化をもたらした1つ以上のレシピを有する計測ツールジョブを追跡して、エラーの原因を修正したかを決定するステップとを更に含む。
【0013】
最も大きい正規化された数のエラーを有するレシピを識別する前に、この方法は、計測ツールにより用いられたレシピによりエラーが引き起こされたかを決定し、レシピにより引き起こされたエラーだけを用いて、最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上のレシピを識別し、レシピ内のエラーの原因を決定するステップを含むのが好ましい。エラーが、計測ツールにより用いられたレシピにより引き起こされなければ、この方法は、レシピにより引き起こされなかった障害を有する計測ツールを修正するステップを含むことができる。
【0014】
複数の計測ツールを用いることができ、各計測ツールは複数のレシピを有し、複数の計測ツールに対してエラーログが超小型電子機構寸法の測定の際に障害をエラーログに記憶している。この方法は、複数の計測ツールにエラーを有する共通のレシピを識別し、このような共通のレシピ内のエラーの原因を決定するステップを含むことができる。
【0015】
エラーログに記憶されている計測ツールの障害は、アライメントエラー、パターン認識エラー及び寸法測定エラーと、再起動の例を含むハードウェア障害及びソフトウェア障害とを含むことができる。この方法は、エラーログに記憶されている障害を要約し、要約された障害データをデータベースに記憶するステップを更に含むことができる。
【0016】
別の態様では、本発明は、超小型電子機構の所望寸法を測定するのに用いられる計測ツールシステムにおける障害を識別するコンピュータ可読プログラムを含むコンピュータ使用可能媒体を有するコンピュータプログラムに関し、計測ツールシステムは、超小型電子機構の所望寸法を測定するため、複数のレシピを実行するようになっている計測ツールを含み、各レシピは、超小型電子機構の少なくとも1つの寸法を測定するために一連の命令を含む。計測ツールは、超小型電子機構寸法の測定の際に障害を記憶するエラーログをデータベース内に有する。コンピュータ可読プログラムがコンピュータ上で実行されると、コンピュータ可読プログラムにより前記コンピュータは、計測ツールにより用いられたレシピに対して、正規化された数のエラーを、エラーログに記憶されている障害から決定し、エラーログ内の最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上のレシピを識別し、最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上の識別されたレシピを、計測ツールにより実行すべきジョブのリストにおいて識別する。
【0017】
コンピュータ可読プログラムがコンピュータ上で実行されると、コンピュータ可読プログラムによりコンピュータは更に、エラーログに記憶されている障害を要約し、要約された障害データをデータベースに記憶する。
【0018】
計測ツールシステムが複数の計測ツールを含む場合、各計測ツールは複数のレシピを有し、複数の計測ツールに対してエラーログは超小型電子機構寸法の測定の際に障害をエラーログに記憶している。このような場合、最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上のレシピを計測ツールに対して識別することができる。コンピュータ可読プログラムがコンピュータ上で実行されると、コンピュータ可読プログラムによりコンピュータは更に、エラーログに記憶されている障害を要約し、要約された障害データをデータベースに記憶することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
新規と考えられる本発明の特徴と、本発明の素子特性とは特許請求の範囲内で詳細に述べてある。図面は単に説明目的のためのものであり、実際のものに正比例して描かれていない。しかし、添付図面と一緒に詳細な記述を参照することにより、動作の構成及び方法の両方について本発明自体を最も良く理解することができる。
【0020】
本発明の好適な実施形態を説明する間、本明細書中で図1〜3を参照する。図中、同一の符号は、本発明の同様な機構を示す。
【0021】
本明細書中で説明する、超小型電子機構の所望寸法を測定するのに用いられる計測ツールにおける障害を識別する方法により、ユーザが、最も問題のあるレシピに迅速に集中し、どの計測ツールにも典型的に存在するエラーログを用いて根本的な原因を決定することができる。この処理を自動化することができ、周期的に実行すれば、この処理は、最も悪く行われているレシピに解決策をもって対処し始めるのに必要とされる情報をユーザに与えることができ、これにより、時間と共に障害率を減少させる。
【0022】
上述したように、計測ツールは、超小型電子機構を測定するためにレシピを実行している過程において障害に遭うおそれがあり、計測ツールエラーログは、あらゆるレシピ及びツールの障害を時間と共に記録する。このようなエラーログが既存のツールに存在しなければ、当業者はこれを確立することができる。エラーログの情報またはデータにアクセスし、または、エラーログの情報あるいはデータをデータベースに送信し、以下に記述する方法を用いて処理することができる。上記にも説明したように、各レシピは、所定の処理ステップを測定する時に故障するおそれのある多くの部分を有する。代表的なCDレシピは、エラーログの障害として捕らえられるカテゴリすなわち、光学GA(グローバルアライメント)、光学PR(パターン認識)、SEM(走査電子顕微鏡)GA、SEM‐PR、測定、手動測定及びその他を有する場合がある。
【0023】
光学顕微鏡を用いて測定を行う前にパターン認識を用いていかにしてウェハ搭載回転エラーを計算及び除去するかを計測レシピが決定している間、光学GA及び光学PRエラーが発生するおそれがある。次に、CD‐SEM計測ツールを用いて光学顕微鏡を電子顕微鏡に切り換える。電子顕微鏡では、高倍率のグローバルアライメントを用いて、ウェハの搭載エラーについて更に細かい訂正を行うことができる。光学GA及びSEM‐GAの作業のすべてを終了した後、超小型電子機構の測定を始めることができる。代表的に測定される各処理パラメータ(CD‐SEMの場合では、限界寸法)はパターン認識ステップ(SEM‐PR)を有し、次に、特徴測定(測定)を行う。必要とされるすべての超小型電子機構測定を行うまで、この処理をウェハ上で何度も繰り返す。前述のステップのいずれか(あるいはすべて)が故障するおそれがある。自動測定を行うことができず、手動測定を実施する場合(手動測定)に別の種類のエラーが発生する。レシピ障害の他の種類をその他のカテゴリの下に分類することができる。
【0024】
計測ツールシステムは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはインターネットのようなネットワークにより接続されている単一の計測ツールまたは複数の計測ツールを含むことができる。図1に示すように、計測ツールシステム20は、システムネットワーク32によりコントローラ26に接続されている計測ツール24a,24b,24cを含む。コントローラ26はマイクロプロセッサ28を含み、エラーログデータベース30にアクセスする。計測ツール24a,24b,24cは、コントローラ26のマイクロプロセッサの指示通りにエラーログデータベース30からの個々のレシピを実行して、ウェハ22a,22b,22c上の超小型電子機構の1つまたはそれ以上の寸法をそれぞれ測定する。超小型電子機構を測定する際に計測ツールが直面するレシピ障害及びレシピによらない障害は、エラーログデータベース30に記憶されている。
【0025】
本発明の好適な方法を実施する際、レシピ障害の各カテゴリを、ある期間にわたって何度も実行された所定のレシピについて要約することができる。この要約は、障害の度合いが高いと識別されると、レシピの何を修正するかを決定するようユーザを導く。情報の他のカテゴリを計測ツールエラーログに要約することができる。
【0026】
超小型電子機構の所望寸法を測定するのに用いられる計測ツールシステムにおける障害を識別する好適な方法100を図2に示す。この方法は、生のエラーログ情報が、計測ツールシステムと関連するデータベース、または、エラーログデータベース30(図1)のようにデータが前もってダウンロードされている別のデータベースに記憶されているステップ102から開始する。次に、データ情報にアクセスし、所定期間中の各レシピに対する要約統計値を計算する;ステップ104。複数の計測ツールがシステム内にネットワーク化されていれば、すべてのツールに対して隊全体の統計値を計算する。このような統計値の例として、障害の総数、実行したウェハ数、1ウェハ当たりの障害数、各ウェハの実行にかかる平均時間、ウェハ実行回数の3シグマ、ウェハ実行回数の範囲などが挙げられる。サイクル時間の問題点の更なる診断の診断法として、これら統計値の多くを用いることができる。好ましくは、過去の解析のために、これら要約統計値をデータベースに送信する;ステップ110。過去の解析を用いて、時間と共に修正されたレシピが修正されたままであるかを決定及び検証することができる。
【0027】
所定の期間中、単位ウェハ実行当たり最も多くエラーを有するレシピごとに、または、最も故障したレシピを決定する他の正規化標準ごとにレシピを分類する;ステップ106。最も問題のあるレシピを識別し;ステップ108、問題に対処する前に実際のレシピの問題点であるかを検証する。このステップは、ツールの問題点があるので、1つまたは複数の特定ツールが障害の大部分を引き起こしたということを無視し、エラーの大部分を有する幾つかのウェハが、プロセスオブレコード(POR)計測レシピを用い、逸脱して処理されたウェハであるかどうかを無視する。
【0028】
レシピの問題点が障害を招かなければ、代わりに他の問題点に対処する;ステップ112。他の何らかの問題点が障害の理由を明らかにすれば、このステップは、レシピを修正する無駄な時間を削減する。レシピの問題点が障害を招いたならば、最も多くの正規化された障害を有し、修正を必要とするレシピのリストすなわち、いわゆる重要物リストにレシピを加える;ステップ114。このステップでは、上述したカテゴリの種類につき障害をどれくらい受信したかを分類することにより、故障したレシピを解析することもできる。
【0029】
修正を必要とするレシピを識別した後、このレシピを用いる計測ツールに入ってくる次のジョブを識別し、その中のレシピを修正するために保留状態に置く;ステップ116。修正すべき(複数の)レシピの特定部分にも留意する。その後、修正を必要とする識別した(複数の)レシピを解析してエラーの原因を決定し、変化をもたらし、エラーを修正する;ステップ118。修正を必要とする(複数の)レシピを用いて実行されるジョブのリストを識別する前にも、解析及び修正を行うことができる。レシピを用いる計測ツールのジョブを次に追跡して、エラーの原因を修正したかを決定する。
【0030】
計測ツールのレシピを識別及び修正する方法はステップ104に戻り、反復し続けて、所定期間中、最も多くの正規化されたエラーを有する個数nのレシピのリスト例えばトップ10リストを作成する。時間と共にこの方法を絶えず取り上げて、最も問題のあるレシピを減少させる。
【0031】
図2のレシピ障害に対処する方法と並行して、本発明の方法は、図3に示すように、レシピに基づかない計測ツール障害、または、再起動、ハードウェアあるいはソフトウェア障害などのような特定ツールの問題に関する警報情報を識別する方法120も提供する。最初に、このようなレシピに基づかない計測ツール障害に関する生のエラーログ情報をデータベースから入力する;ステップ122。すなわち、この情報は、計測ツールシステムと関連するデータベース、または、データを前もってダウンロードした別のデータベースに記憶されている。データ情報にアクセスした後、次に、レシピによらないツール障害の各々に対する要約統計値を計算する;ステップ124。固有のツール警報を分類し、ツールごとに所定の期間にわたってカウントし、システムのツールの隊全体の統計値を計算する。レシピに基づかない計測ツール障害について時間と共にツール性能を追跡するため、要約データをデータベースに送信する;ステップ126。次に、レシピに基づかない計測ツール障害を検査し、解決する。好ましくは、所定の期間にわたって最も大きい問題を有するツールを優先する。
【0032】
本発明は、完全なハードウェア実施形態例えば計測ツールシステムのデータベース、完全なソフトウェア実施形態、または、ハードウェア及びソフトウェア要素の両方を含む実施形態の形をとることができる。好適な実施形態では、上述した本発明の方法は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードまたは他のコンピュータ使用可能プログラムコードを含むがこれらに限定されないソフトウェアで実施される。
【0033】
更に、本発明は、図1に示すコントローラ26及びマイクロプロセッサ28のようなコンピュータまたは何らかの命令実行システムにより用いられるか、あるいはこれと接続されているエラーログデータベース30のような、コンピュータコードを構成するコンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体からアクセスできるコンピュータプログラムの形態をとることができる。この説明の目的のため、コンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスにより用いられるか、あるいはこれと接続されているプログラムを含むか、記憶するか、伝達するか、伝播するか、または運ぶことができる装置とすることができる。媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線または半導体システム(または装置または素子)または伝搬媒質とすることができる。コンピュータ可読媒体の例として、半導体または固体メモリ、磁気テープ、取り外し可能なコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、固定磁気ディスク及び光ディスクが挙げられる。光ディスクの現在の例として、コンパクトディスク‐読み出し専用メモリ(CD‐ROM)、コンパクトディスク‐リード/ライト(CD‐R/W)及びDVDが挙げられる。
【0034】
プログラムコードを記憶するか、または実行するか、あるいはその両方を行うのに適するデータ処理システムは、メモリ素子に直接に、またはシステムバスを介して間接的に接続されているマイクロプロセッサ28のような少なくとも1つのプロセッサを含む。メモリ素子は、プログラムコードの実際の実行中に用いられる局部メモリと、大容量記憶装置と、実行中に大容量記憶装置からコードを取り出さなければならない回数を減少させるため、少なくとも幾つかのプログラムコードを一時的に記憶するキャッシュメモリとを含むことができる。
【0035】
(キーボード、表示装置、ポインティングデバイスなどを含むがこれらに限定されない)計測ツールの入力/出力またはI/O素子及びシステムコントローラを直接に、または、介在するI/Oコントローラを介してシステムに接続させることができる。
【0036】
介在するプライベートまたは公共ネットワークを介してデータ処理システムを他のデータ処理システム、遠隔プリンタまたは記憶デバイスに接続できるようにネットワークアダプタをシステムネットワーク32に接続することもできる。モデム、ケーブルモデム及びイーサネット(R)カードは、ごくわずかの現在利用できる種類のネットワークアダプタである。好ましくは、本発明の方法を用いるプログラムはツールエラーログの遠隔解析を可能にし、前にダウンロードされたツールエラーログの解析を可能にし、エラーログのデータベースに接続して、レシピに基づく計測ツール障害とレシピに基づかない計測ツール障害とに関する過去のデータの調査を可能にする。ツールエラーログの解析では、即時の解析または将来の解析のため、エラーログデータを遠隔コンピュータ34にダウンロードすることができる。
【0037】
ツールエラーログの解析は、ツールにより実行された各ウェハロットに関する情報例えば、ロットの時系列、それぞれのエラー数及び処理時間と一緒にシステム内の個々のツールエラーを要約するだけでなく、すべてのツールシステムエラーのリストを作成し、最も多くの正規化されたエラーを有するレシピを識別することができる。この解析は、最初に対処すべきレシピ及び問題についての指示を与えるため、カテゴリ例えば、光学GA、光学PR、SEM‐GAなどごとにエラーを識別することもできる。また、ウェハロットの解析は、製造または工学技術的なジョブが大部分のレシピ障害の原因であったかどうかに関する情報を提供する。このようにして、レシピに基づかないツール障害も分析することができる。
【0038】
従って、本発明は、修正する必要がある最も問題のあるレシピを多数の計測ツールレシピ障害の解析から識別する方法と、故障している計測ツールレシピを修正する処理をどこから始めるかを決定する方法とを提供する。本発明は、最も問題のある計測ツールレシピに集中し、根本的な原因を決定する自動化法と、現在の計測ツールに存在するエラーログを用いて計測ツールレシピ障害を識別及び修正する自動化法とを提供する。
【0039】
本発明を特定の好適な実施形態と併せて特に説明したが、上述の説明を考慮すれば、多くの代わりの実施形態、修正形態及び変更形態が当業者に明らかになること明白である。従って、特許請求の範囲が、本発明の精神及び真の範囲に入るこのような代わりの実施形態、修正形態及び変更形態を含むと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の方法を実施できる計測ツールシステムの概略図である。
【図2】本発明に従って、超小型電子機構の所望寸法を測定するのに用いられる計測ツールにおける障害を識別する好適な一般法を示すフローチャートである。
【図3】計測ツールシステムの1つ以上の計測ツールで特定の問題領域を識別する好適な方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
20 計測ツールシステム
22a、22b、22c ウェハ
24a、24b、24c 計測ツール
26 コントローラ
28 マイクロプロセッサ
30 エラーログデータベース
32 システムネットワーク
34 遠隔コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超小型電子機構の所望寸法を測定するのに用いられる計測ツールにおける障害を識別する方法であって、
計測ツールが超小型電子機構の所望寸法を測定するため、複数のレシピを実行し、各レシピが、超小型電子機構の少なくとも1つの寸法を測定するために一連の命令を含むステップと、
前記計測ツールに対してエラーログを構成し、前記エラーログが超小型電子機構寸法の測定の際に前記エラーログに障害を記憶するステップと、
前記計測ツールにより用いられた前記レシピに対して、正規化された数のエラーを、前記エラーログに記憶されている前記障害から決定するステップと、
前記エラーログ内の最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上のレシピを識別するステップと、
前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記1つ以上の識別されたレシピを、前記計測ツールにより実行すべきジョブのリストにおいて識別するステップと、
前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記識別された1つ以上のレシピから、前記1つ以上のレシピの前記エラーの原因を決定するステップと、
前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記1つ以上の識別されたレシピ内に変化をもたらして前記レシピ内の前記エラーを修正するステップと、
変化をもたらした前記1つ以上のレシピを有する計測ツールジョブを追跡して、前記エラーの原因を修正したかを決定するステップとを含む
方法。
【請求項2】
前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記レシピを識別する前に、前記計測ツールにより用いられたレシピにより前記エラーが引き起こされたかを決定し、レシピにより引き起こされた前記エラーだけを用いて、前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記1つ以上のレシピを識別し、前記レシピ内の前記エラーの前記原因を決定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エラーログに記憶されている障害を要約し、要約された障害データをデータベースに記憶するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の前記計測ツールが用いられ、各計測ツールが複数のレシピを有し、前記複数の計測ツールに対して前記エラーログが超小型電子機構寸法の測定の際に障害を前記エラーログに記憶し、前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記1つ以上のレシピが識別され、各計測ツールに対して前記レシピ内の前記エラーの前記原因が決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の前記計測ツールが用いられ、各計測ツールが複数のレシピを有し、前記複数の計測ツールに対して前記エラーログが超小型電子機構寸法の測定の際に障害を前記エラーログに記憶し、前記方法が、複数の前記計測ツールにエラーを有する共通のレシピを識別し、共通のレシピ内の前記エラーの前記原因を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エラーログに記憶されている前記計測ツールの障害が、再起動の例を含むハードウェア障害及びソフトウェア障害から成る群から選択された障害を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エラーログに記憶されている障害を要約し、要約された障害データをデータベースに記憶するステップを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記レシピを識別する前に、前記計測ツールにより用いられたレシピにより前記エラーが引き起こされたかを決定し、前記エラーが、前記計測ツールにより用いられたレシピにより引き起こされなければ、レシピにより引き起こされなかった前記障害を有する前記計測ツールを修正するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
超小型電子機構の所望寸法を測定するのに用いられる計測ツールシステムにおける障害を識別する方法であって、
複数の計測ツールを有する計測ツールシステムを用い、各計測ツールが超小型電子機構の所望寸法を測定するため、複数のレシピを実行し、各レシピが、超小型電子機構の少なくとも1つの寸法を測定するために一連の命令を含むステップと、
前記計測ツールシステムに対してエラーログを構成し、前記エラーログが各計測ツールに対して超小型電子機構寸法の測定の際に前記エラーログに障害を記憶するステップと、
前記システムの計測ツールにより用いられたレシピにより前記エラーが引き起こされたかを決定するステップと、
前記計測ツールシステムにより用いられた前記レシピに対して、正規化された数のエラーを、レシピにより引き起こされた前記エラーログに記憶されている前記障害から決定するステップと、
前記エラーログ内の最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上のレシピを識別するステップと、
前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記1つ以上の識別されたレシピを、前記計測ツールシステムにより実行すべきジョブのリストにおいて識別するステップと、
前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記識別された1つ以上のレシピから、前記1つ以上のレシピの前記エラーの原因を決定するステップと、
前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記1つ以上の識別されたレシピ内に変化をもたらして前記レシピ内の前記エラーを修正するステップと、
変化をもたらした前記1つ以上のレシピを有する計測ツールジョブを追跡して、前記エラーの原因を修正したかを決定するステップとを含む
方法。
【請求項10】
前記エラーログに記憶されている障害を要約し、要約された障害データをデータベースに記憶するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記エラーログに記憶されている前記計測ツールの障害が、アライメントエラー、パターン認識エラー及び寸法測定エラーから成る群から選択された障害を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記システムの複数の前記計測ツールにエラーを有する共通のレシピを識別し、共通のレシピ内の前記エラーの前記原因を決定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記エラーログに記憶されている前記計測ツールの障害が、再起動の例を含むハードウェア障害及びソフトウェア障害から成る群から選択された障害を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記エラーログに記憶されている障害を要約し、要約された障害データをデータベースに記憶するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エラーが、前記計測ツールシステムにより用いられたレシピにより引き起こされなければ、レシピにより引き起こされなかった前記障害を有する前記計測ツールを修正するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
超小型電子機構の所望寸法を測定するのに用いられる計測ツールシステムにおける障害を識別するコンピュータプログラムであって、前記計測ツールシステムが、超小型電子機構の所望寸法を測定するため、複数のレシピを実行するようになっている計測ツールを含み、各レシピが、超小型電子機構の少なくとも1つの寸法を測定するために一連の命令を含み、前記計測ツールが、超小型電子機構寸法の測定の際に障害を記憶するエラーログをデータベース内に有し、
コンピュータに、
前記計測ツールにより用いられた前記レシピに対して、正規化された数のエラーを、前記エラーログに記憶されている前記障害から決定させ、
前記エラーログ内の最も大きい正規化された数のエラーを有する1つ以上のレシピを識別させ、
前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記1つ以上の識別されたレシピを、前記計測ツールにより実行すべきジョブのリストにおいて識別させる
コンピュータプログラム。
【請求項17】
前記コンピュータプログラムが前記コンピュータ上で実行されると、前記コンピュータプログラムにより前記コンピュータに更に、前記エラーログに記憶されている障害を要約させ、要約された障害データをデータベースに記憶させる、請求項16に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記計測ツールシステムが複数の前記計測ツールを含み、各計測ツールが複数のレシピを有し、前記複数の計測ツールに対して前記エラーログが超小型電子機構寸法の測定の際に障害を前記エラーログに記憶し、前記最も大きい正規化された数のエラーを有する前記1つ以上のレシピが前記計測ツールに対して識別される、請求項16に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記エラーログに記憶されている前記計測ツールの障害が、再起動の例を含むハードウェア障害及びソフトウェア障害から成る群から選択された障害を含む、請求項16に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記コンピュータプログラムが前記コンピュータ上で実行されると、前記コンピュータプログラムにより前記コンピュータに更に、前記エラーログに記憶されている障害を要約させ、要約された障害データをデータベースに記憶させる、請求項19に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−3528(P2007−3528A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173043(P2006−173043)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】