説明

超親水性感圧接着剤を有する、皮膚のための医療用装置

指または足等の皮膚に使用されるクッション装置は、皮膚側および外側を有するクッション層とクッション層の皮膚側に結合された超親水性感圧接着剤層とを備える。特定の実施形態では、超親水性感圧接着剤層はクッション層に直接接触していてもよい。特定の実施形態では、超親水性PSAは少なくとも約1500グラム/m/24時間、少なくとも約2000グラム/m/24時間、少なくとも約2500グラム/m/24時間、または少なくとも約3000グラム/m/24時間のMVTRを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例となる実施形態の一部は一般的に様々の種類のクッションまたは薬用絆創膏等、装置の皮膚側に超親水性感圧接着剤を含み指または足に適用される医療用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小さな装置または物品の装着性能(wear performance)は多くの要因によって決まる。これらの要因には、特に、i)装置の体への張り付け箇所、ii)接着剤と皮膚間の面接触面積、iii)装置の外面の摩擦係数、iv)でこぼこな皮膚表面周りでの装置の適合性、およびv)皮膚からの経表皮水分に対する装置の通気性等がある。
【0003】
例えば、つま先、足の裏の底側面、足の親指近辺の湾曲した腱膜瘤領域等の一部の特殊な体の部位での小さな装置または物品の装着性能は、でこぼこな皮膚表面、様々な皮膚タイプ、ならびに靴および/または靴下内の足の特に湿った環境等の皮膚周りの湿潤環境のため達成するのが難しい場合がある。
【0004】
装置の交換時期には、皮膚の治癒箇所に対する損傷を回避するため十分にやさしく装置をはがすことが重要である。さらに、箇所近辺の糸くず、ほこりまたは微生物を捕捉することのできる接着剤の残りが最小限になるよう皮膚からきれいに接着剤を取り除くべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者らは、指または足に使用される装置に対し、改良された接着剤が必要であることを確認した。特に、彼らが認識したところでは、効果的な親水性感圧接着剤が高水蒸気透過率(MVTR:moisture vapor transmission rate)を与え、同時に、皮膚の最外側層(角質層)の水和と付随する弱化を減らすことによって皮膚接着性とより長い装着時間とを促進する、皮膚からの水分の高吸収能力を与える、経済的で性能のよい装置を提供することが望ましい。
【0006】
特定の例となる実施形態では、本発明は皮膚側および外側を有するクッション層と、クッション層の皮膚側に結合された超親水性感圧接着剤層とを備える、指、手、つま先または足に使用される医療用クッション装置を提供する。特定の実施形態では、超親水性感圧接着剤層はクッション層に直接接触していてもよい。特定の実施形態では、超親水性PSAは少なくとも約1500グラム/m/24時間、少なくとも約2000グラム/m/24時間、少なくとも約2500グラム/m/24時間、または少なくとも約3000グラム/m/24時間のMVTRを有する。さらに、特定の実施形態では、超親水性PSAは少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、および少なくとも約2.5%(全て、接着剤の重量に対するパーセント)の吸水率を有する。特定の実施形態では、超親水性PSAは少なくとも約1500グラム/m/24時間のMVTRを有し、装置の接着剤層は少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、または少なくとも約2.5%(全て、接着剤の重量に対するパーセント)の吸湿度を有する。特定の実施形態では、超親水性PSAは少なくとも約2000グラム/m/24時間のMVTRを有し、装置の接着剤層は少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、または少なくとも約2.5%(全て、接着剤の重量に対するパーセント)の吸湿度を有する。特定の実施形態では、超親水性PSAは少なくとも約2500グラム/m/24時間のMVTRを有し、装置の接着剤層は少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、または少なくとも約2.5%(全て、接着剤の重量に対するパーセント)の吸湿度を有する。特定の実施形態では、超親水性PSAは少なくとも約3000グラム/m/24時間のMVTRを有し、装置の接着剤層は少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、または少なくとも約2.5%(全て、接着剤の重量に対するパーセント)の吸湿度を有する。特定の実施形態では、接着剤はアクリル系感圧接着剤である。特定の実施形態では、超親水性感熱接着剤はDURO−TAK(登録商標)87−202AまたはDURO−TAK(登録商標)80−222A(National Adhesives;New Jersey, USA)である。
【0007】
特定の実施形態では、クッション装置は、指用クッション、魚の目用クッション、腱膜瘤用クッション、たこ用クッションおよび足底疣贅用クッションの形であってもよい。特定の実施形態では、クッション装置はクッション層の皮膚側に結合された薬用層を有する。特定の実施形態では、薬用層はクッション層と接着剤層との間にあり、薬用層内の薬剤は装置が貼られたときに接着剤層を通過して皮膚に到達するように構成されている。特定の実施形態では、接着剤層はクッション層と薬用層との間にあり、装置が貼られたときに薬用層の外周の外側に広がる接着剤が皮膚に接触するように接着剤層は薬用層の外周の外側に広がる。特定の実施形態では、薬用層はサリチル酸等の角質溶解薬をさらに含む。
【0008】
特定の実施形態では、クッション層は発泡合成ゴム、綿織布、合成繊維、編地、シリコーンゲルクッション材、ポリウレタンゲルクッション材、ポリウレタンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムおよび/または合成不織布からなってもよい。
【0009】
本発明はさらに、皮膚側および外側を有する薬用層と、薬用層の皮膚側に結合された超親水性感圧接着剤層とを備える指または足に使用される医療用装置を提供する。
【0010】
本発明はさらに、角化性病変を含む皮膚の領域にクッション性を与えるクッション手段と、クッション手段に結合しており、角化性病変の治療用薬剤を送達する薬剤手段と、クッション手段および薬剤手段に結合された超親水性感圧接着剤とを備える角化性病変治療用医療用装置を提供する。特定の実施形態では、角化性病変は、例えば魚の目、たこまたは足底疣贅であり得る。特定の実施形態では、クッション層を円盤、帯または包帯状に形成することができる。
【0011】
本発明はさらに、医療用装置の皮膚側の超親水性感圧接着剤を使用して指または足の皮膚の領域に該装置を貼り付けるステップを含む皮膚病治療方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は医療用装置の接着部内の超親水性組成物を使用して医療用装置内の水分を吸収して、この領域での角質層の水和を減少させるステップをさらに含む。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも約1500グラム/m/24時間、少なくとも約2000グラム/m/24時間、少なくとも約2500グラム/m/24時間、または少なくとも約3000グラム/m/24時間の、装置の接着剤層を介した平均水蒸気移動を与える。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、または少なくとも約2.5%、の装置の接着剤層の吸湿度を与える(全て、接着剤の重量に対するパーセント)。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも約1500グラム/m/24時間の、装置の接着剤層を介した平均水蒸気移動を与え、さらに少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、または少なくとも約2.5%の、装置の接着剤層の吸湿度を与える(全て、接着剤の重量に対するパーセント)。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも約2000グラム/m/24時間の、装置の接着剤層を介した平均水蒸気移動を与え、さらに少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、または少なくとも約2.5%の、装置の接着剤層の吸湿度を与える(全て、接着剤の重量に対するパーセント)。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも約2500グラム/m/24時間の、装置の接着剤層を介した平均水蒸気移動を与え、さらに少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、または少なくとも約2.5%の装置の接着剤層の吸湿度を与える(全て、接着剤の重量に対するパーセント)。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも約3000グラム/m/24時間の、装置の接着剤層を介した平均水蒸気移動を与え、さらに少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、または少なくとも約2.5%の、装置の接着剤層の吸湿度を与える(全て、接着剤の重量に対するパーセント)。
【0012】
本発明は、さらに、皮膚側および外側を有する薬用層と、薬用層の皮膚側に結合された超親水性感圧接着剤層とを備えた、例えば手または足等の皮膚に使用される医療用装置を提供し、この医療用装置は親水コロイド接着剤を備える医療用装置よりも長い皮膚保持時間を与える。
【0013】
本発明のさらなる適用分野は以下で示される例となる実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。当然のことながら、詳細な説明および特定の例は、本発明の例となる実施形態を説明しているが、例示目的のためだけのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
本発明は、例となる実施形態の詳細な説明および添付の図面からさらに十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1a】図1aは、本発明の例となる実施形態に係る指または足に使用されるクッション性医療用装置例の断面図である。
【図1b】図1bは、図1のクッション性医療用装置例の接着剤層の別の形状を示す。
【図2】図2は、本発明の例となる実施形態に係る別のクッション装置例の断面図である。
【図3a】図3aは、本発明の例となる実施形態に係る非クッション性医療用絆創膏シートを示す。
【図3b】図3bは、図3aに対応する上面図を示す。
【図4a】図4aは、本発明の例となる実施形態に係るモールスキン(moleskin)クッションの図である。
【図4b】図4bは、本発明の例となる実施形態に係るモールスキンクッションの図である。
【図5a】図5aは、本発明の例となる実施形態に係る腱膜瘤用クッションの図である。
【図5b】図5bは、本発明の例となる実施形態に係る腱膜瘤用クッションの図である。
【図5c】図5cは、本発明の例となる実施形態に係る腱膜瘤用クッションの図である。
【図6a】図6aは、本発明の例となる実施形態に係る魚の目/たこ用クッションの図である。
【図6b】図6bは、本発明の例となる実施形態に係る魚の目/たこ用クッションの図である。
【図6c】図6cは、本発明の例となる実施形態に係る魚の目/たこ用クッションの図である。
【図6d】図6dは、本発明の例となる実施形態に係る魚の目/たこ用クッションの図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記に説明される例となる実施形態は本質的に単なる例であり、発明、その適用または使用を限定するものでは決してない。
【0017】
表皮の最外側層である角質層の細胞は、角質層の脂質成分と共に水分蒸発の速度を遅くして皮膚を水和状態に保つのに役立つ蛋白質であるケラチンを含む。さらに、角質層の細胞は水分を吸収して皮膚水和に役立つことができる。しかしながら、これらの細胞は高水和状態になることもあり、皮膚が長時間水に浸かっていると指やつま先の皮膚がしわになったり、ふやけたりする。
【0018】
理論に拘束されずに、本願発明者らは皮膚と接着剤との間の接着破壊よりはむしろ、弱くなり水和状態になった皮膚の角質層内の凝集破壊のために、手または足に貼り付けられた装置がはがれ易くなることを観察した。このため、発明者らは皮膚の角質層の水和を減少させることもできる接着剤の適用が有利であると確信する。
【0019】
本発明の例となる実施形態の一部は手または足に使用されるクッション装置を提供する。クッション装置は、クッションの皮膚側に超親水性な感圧接着剤(PSA)を含んでもよい。この接着剤は、一つには角質層の水和を減らすことにより、改善された「くっつき」効果をもたらすことができる。本発明の別の例となる実施形態は、足底疣贅または魚の目を取り除くためのサリチル酸絆創膏等の薬用層の皮膚側に設けられ、同様の改善された「くっつき」効果を持つ超親水性感圧接着剤(PSA)を含む、手または足に使用される医療用装置を提供する。本発明の例となる実施形態の一部では、超親水性感圧接着剤の使用が手または足の皮膚の角質層の水和を減らすこともでき、これがひいてはより良い接着性、着け心地の良さ、および/または使用者の快適性をもたらすこともできる。
【0020】
本発明の別の例となる実施形態は、クッション装置または絆創膏等の、超親水性感圧接着剤を有する医療用装置を適用することにより指または足の角質層の水和を防ぐまたは減少させる方法である。さらに別の例となる実施形態では、本発明は超親水性感圧接着剤を含むクッション装置を適用することにより指または足の病気を治療する方法を提供する。
【0021】
以前の皮膚接着剤(すなわち、包帯、創傷の被覆等のための)は主に天然ゴム系PSA製剤に基づくものであった。その後、皮膚接着剤は粘着付与剤、可塑剤、油等と混ぜ合わされた合成ゴムに基づくものであった。最近になって、ゴム系接着剤は「アクリル」PSA(例えば、典型的なものとして2−エチルヘキシルアクリレートおよびアクリレート/メタクリレートモノマー)により広く取って代わられてきた。さらに、アクリルPSAは一般的に紫外線や熱劣化に対してより安定している。しかしながら、アクリルPSAは一般的に高価である。
【0022】
最近になって、ヒトの皮膚に適用することを目的とする高品質タイプのPSAが認められている。これらはClineらの米国特許第6,656,495号に記載されるような所謂「親水コロイド」PSAである。これらの親水コロイドPSAは一般的に他のPSAクラスより良い付着装着性能を示す。それらは通常ダイを通すホットメルト押出成形により生成され、約0.01〜0.03インチに最少厚さを限定するものであるが、これは溶液からコーティングされた典型的な溶剤系「アクリル」PSAよりずっと厚い。「親水コロイド」PSAを作るために使用される厚みはさらに大きく、押出成形工程は比較的遅いため、「親水コロイド」PSAは典型的な「アクリル」医療グレード皮膚PSAよりずっと費用効率の低いものとなる。
【0023】
本発明の例となる実施形態の一部では、超親水性PSAが使用される。親水性の分子(極性分子とも言う)または分子の一部は電荷分極され、水素結合が可能である。親水性の分子は一般的に油の中よりも水の中の方が容易に溶解または膨張する。本出願に記載される超親水性PSAは、一般的に粘着力またはその他の粘着性を大幅に下げることなしに従来のアクリルPSAに比べて大幅に向上した水蒸気透過率(MVTR)および吸湿度(本明細書中では「吸湿率」または「保湿能力」とも言う)を有する。別の例となる実施形態では、National Starch & Chemical社により供給される市販の超親水性のアクリルPSA(DURO−TAK 87−202AおよびDURO−TAK 80−222A)は3250グラム/m/24時間のMVTRと2.66%w/wの吸水率を有する。それに対し、従来の医療グレードアクリルPSA(DURO−TAK 80−1197)は1207グラム/m/24時間のMVTRと0.8%w/wの吸水率を有する。
【0024】
本発明の例となる実施形態における超親水性PSAは、粘着力が著しい内部結合力を失うことなしにヒトの角質層の水和レベルを大幅に減少させるものと期待される。超親水性PSAは従来の医療グレードアクリル皮膚接着剤より約3倍高い高MVTRを有する。超親水性PSAは、さらに、従来の医療グレードアクリル皮膚接着剤の約3倍の高レベルの保湿能力を有する。上述の従来の接着剤は、例えば、初期世代の従来のアクリル系皮膚接着剤である。このため、本発明の特定の例となる実施形態では、親水コロイド接着剤または初期世代の従来のアクリル系皮膚接着剤を備える同様の医療用装置より長い皮膚保持時間をもたらす医療用装置が提供される。本明細書中で使われているように、「皮膚保持時間」とは通常の使用時に医療用装置が皮膚にくっついている時間を言う。特定の実施形態では、皮膚保持時間は少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間およびそれ以上の時間になる。
【0025】
下記の例において適切な超親水性PSA接着材料は、上述のDURO−TAK(登録商標)87−202AおよびDURO−TAK(登録商標)80−222Aの名前でNational Adhesives、Bridgewater、NJにより販売される。接着剤は有機溶媒溶液の形で製造者により供給される、アクリル系で自己硬化タイプの感圧接着剤である。当然のことながら、超親水性を示す他のアクリルまたはアクリル−ゴム混成接着剤等の超親水性を示す他の接着剤を使用することもできる。本明細書中で使われているように、「アクリル系感圧接着剤」は本明細書中で「親水コロイド」接着剤として記載されている接着剤を除くアクリル系接着剤のクラスを指す。
【0026】
特定の例となる実施形態の一部を以下に説明する。本出願では、結合されたという言葉が、単一の成分内に組み込まれた、直接付着された、接着により接合された、または1つまたはそれ以上の成分を介して間接的に機械的に接続された等のいずれかの方法によって接続されたことを意味する。以下に説明する例および図面において、異なる例における同じ要素は同様の参照番号で示し、同様の材料から作製され得、ほぼ同様の機能を持ち得るが異なる実施形態において若干異なる形状および寸法を持つ可能性のある要素はダッシュ記号を用いて示す。クッションは通常、典型的には約0.04〜0.05インチの厚さを有する綿織布(時には「モールスキン」とも言う)、典型的には約0.13〜0.15インチの厚さを有する発泡合成ゴム(時には「ピーチフォーム(peachfoam)」と言う)、典型的には約0.016〜約0.125インチの厚さを有する低密度発泡ポリエチレン、および典型的には約0.02〜約0.04インチの厚さを有するポリウレタン成形ゲルの1つまたはそれ以上の層から作製される。
【0027】
図1aは本発明の例となる実施形態に係る指または足に使用されるクッション付き医療用装置例の断面図である。装置10は、例えば、魚の目、たこおよび疣を取り除くために使用することもできる。装置10は粘着性、水分の吸収および伝達性を持つ材料からなる接着剤層12を含めてもよい。この点で、層12の好ましい材料は既述の超親水性接着材料であればよい。魚の目リムーバとして使用される場合、層12は最大長約1.375インチおよび最大幅約0.50インチの菱形形状を持つこともある。しかしながら、超親水性接着剤層12は特定の用途によっては異なる形状および寸法をもつこともあり、特定の形状および寸法は本発明に関係しない。超親水性接着剤層12は靴または他の履物内で見られる環境等の多湿状態においてより良い粘着性を示す。このため、人の皮膚に貼られた場合、超親水性接着剤層12は人の皮膚にくっつき、人の皮膚の水分が増えても超親水性接着剤層12はその粘着活性を失わない。拠って、当然のことながら、液体および/または水分の存在下で超親水性層は角質層の浸軟および機械的強度の弱化を妨げるのに役立つはずであり、結果として装置10の接着剤保持力は従来のアクリルPSAが使用された場合に起こるようには早く減少しない。これは、従来のアクリルPSAを使用するクッションまたは薬用パッドより長い時間、装置10が人の皮膚に付着するはずであることを意味する。
【0028】
薬用層14を接着剤層12に結合してもよい。薬用層は固体、ゲル、クリームまたは硬膏等の様々な形の活性医療用材料を含んでもよい。角化性皮膚病変の治療用の一例は、約40重量%のサリチル酸を含むサリチル酸絆創膏製剤となるであろう。別の皮膚パッドはサリチル酸、乳酸、尿素、グリセロール等を含む保湿製剤および/またはメントール、サリチル酸メチル等を含む冷却製剤を含むことがある。図示の例では、薬用層は接着剤層12と直接接触していてもよく、これは、薬用層に直接塗布されればよい。別の例となる実施形態では、接着剤と薬剤層は別の層を介して間接的に結合されていることもある。さらに別の例となる実施形態では、接着剤層と薬剤層は薬剤と接着剤を両方含む単一の均質層に組み込まれることによって結合されることもある。
【0029】
装置10の例では、接着剤層12は薬用層14の境界線を越えて広がり、装置10が貼り付けられるときには完全に皮膚と薬用層との間に存在する。この構成は、薬剤が接着剤層を容易に通過する種類である場合に適している。あるいは、接着剤が特定の薬剤に対して透過性がない場合は、薬剤が図1bに示すように接着剤層を通過することができるように、例えば孔または開口を使って離散的に接着剤層を塗布することもできる。この場合、接着剤層に設けられた孔の大きさと数によって、少なくとも部分的に薬剤の薬用層14からの分散速度を制御することができる。別の例となる実施形態では、例えばクッション層内に溶剤に溶かした薬剤を分散させることによって、クッションと薬剤層を一体化することもある。
【0030】
製造時または流通時には、装置10の適用前に接着剤層を完全に覆うことができる、取り外し可能な剥離ライナー16を装置10が有してもよい。剥離層はコート紙、ポリエチレンコート紙またはプラスティックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート)であり得、これらの全てはシリコーン剥離剤または接着剤層に強く結合しない他の材料の非常に薄い層で被覆されることになるであろう。使用時には、人が剥離ライナー16の部分を引っ張り上げて剥離ライナー16から装置10を取り外す。その後、薬用層を取り除かれる魚の目、たこまたは疣等の治療される皮膚の領域のすぐ上にして、装置10を人の皮膚に載せる。接着剤層12はその上で装置10を固定する機能がある。装置10を固定する更なる手段を取ることもできる。
【0031】
装置例は、例えば発泡合成ゴム、綿織布、合成繊維、編地、シリコーンゲルクッション材、ポリウレタンゲルクッション材、ポリウレタンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムまたは合成不織布等であればよいクッション層18を有することもある。
【0032】
装置例は、剥離層と反対側の薬剤および接着剤層一面に備えられてもよい障壁層19を有することもある。特定の用途によっては、障壁層は透湿でも、非透湿でもよい。障壁層は、例えば、水から薬剤を保護することによって、装置に安定性を与えるようになっていればよい。
【0033】
装置10の例において、接着剤層12は薬用層14の境界線を越えて障壁層19の外周まで広がり、障壁層の外端が皮膚にしっかりと結合することを保証する。別の例では、様々な層全ての外周を揃えることができるであろう。
【0034】
図2は本発明の例となる実施形態に係る指または足に使用される別の医療用クッション装置例の断面図である。クッション装置20の例において、前述の例で示した薬用層14に組成が似ている薬用層14’は装置の皮膚側に位置付けられるとよい。親水性接着剤層12’は薬用層14’の上および周りに位置付けられるとよい。当然ながら、製造工程によっては、例えば接着剤層の外端を囲むドーナッツ状の接着剤を使用することにより薬用層上方の領域の全部または一部から接着剤を省くこともある。剥離ライナー16は接着剤層および薬用層両方の皮膚側を覆う。クッション層18’および外側障壁層19’を備えてもよく、これは前述の例で説明した相当する層と同様である。
【0035】
装置20の例では、超親水性接着剤層12’の裏側の中央に凹部を設けることもでき、薬用層14’は凹部の側壁から離れている。そのような場合、薬用層14’の一部は凹部から超親水性接着剤層12の下面より低い高さまで広がっていてもよい。
【0036】
図3aおよび3bは、各々、本発明の例となる実施形態に係る非クッション性医療用絆創膏シートの断面図と上面図を示す。シート30の例は、剥離ライナー16に超親水性接着剤層12”により付着された複数の薬用絆創膏層14”を含んでもよい。この構成により、複数の絆創膏を長時間にわたって症状の治療用に提供することができる。
【0037】
図4aおよび4bは本発明の例となる実施形態に係る非薬用クッションを示す。図4aはモールスキンクッション40の一例の上面図で、図4bはクッション40の対応の断面図である。図4aに示すように、クッション例は様々な形に穿孔または打ち抜かれており、使用者が所望の大きさおよび形の一片を容易に切り離すことができるように構成されていてもよい。接着剤層12”’はクッション層18”’により被覆されてもよい。当然ながら、例えば水ぶくれや擦傷を防ぐために、または不快感を減少して既に起こった水ぶくれまたは擦傷の治癒を促進するために、モールスキンクッション40を足または指の特定の領域に適した大きさにさらに切ることができる。別の実施形態では、より小さな事前にカットされたクッションを、円形、正方形、ドーナツ型リング等様々な形のうちのいずれかの形で剥離シート16上に備えることもできる。当然ながら、クッション例を薬用にして提供してもよい。さらに、当然ながら、例えばクッション性を与える1つ層と、摩擦を減らすためにその上に配置された別のより平滑な層とを使って、多層クッションを提供してもよい。
【0038】
図5a〜5cは本発明の例となる実施形態に係る非薬用腱膜瘤用クッションを示す。図5aと5bはクッション50の対応の底面図および上面図であり、一方図5cはクッション50の断面図を示す。図5cに示すように、腱膜瘤用クッション50の例はドーナッツ状のクッション層18””を同様の形をした超親水性接着剤層12””の上に有してもよい。装置を単に覆うまたは付加的なクッション性を有することもある上層52により、ドーナツ状構造のほとんど(あるいは全体)を覆ってもよい。クッション50の例を剥離シート16の上に設けてもよく、例えば複数のクッションを単一のシート上に設ける。
【0039】
図6a〜6dは本発明の例となる実施形態に係る魚の目/たこ用絆創膏を示す。同様の装置を別のタイプの角化性病変の治療に使用してもよい。図6aは絆創膏60の例の上面図を示し、図6bは底面図を示し、図6cは断面図を示す。図6cに示すように、魚の目用クッション60を剥離シート16上に設け、接着剤層12””’をクッション装置18””の外周に位置付ける。当然ながら、複数の絆創膏例を単一の剥離シート上に設けてもよい。また、当然ながら、装置60の例は円板として示されているが、例えば包帯の一部としての四角形の帯等の様々な別の形状で提供されても、または切って成形され得る大きな四角形のシートで提供されてもよい。絆創膏例では、薬用層14””’がクッション層18””の中央に位置付けられていてもよい。図6dに示す別の構造では、クッション性薬剤層が層62に組み込まれ、薬剤層から薬剤が周囲の皮膚領域に広がるのを妨げる閉塞性障壁層64により覆われてもよい。
【0040】
本発明のさらに別の例となる実施形態は、薬剤を皮膚の上または中に局所的に分散させることができるように指または足の皮膚の領域に上述のクッション装置のいずれかを貼り付けることにより、魚の目、たこおよび足底疣贅等の足または指の角化性病変等の皮膚病を治療する方法である。
【0041】
本発明の例となる実施形態の一部は、角質溶解薬としてサリチル酸を含み、疣、魚の目およびたこを取り除くための装置に関して説明されてきたが、当然のことながら、他の角質溶解薬、および/または抗生物質製剤、抗菌薬剤、抗真菌薬等の薬剤を使用してもよい。
【0042】
上述の例となる実施形態で得られる別の利点は、環境に負ける薬剤が少ないことである。これは、超親水性接着剤層と薬用層との組み合わせによるものである。結果として、装置は従来の装置と比べて長時間使用することができ、よりしっかりと持続する。
【0043】
添付の図面を参照して本発明の特定の好ましい実施形態を説明してきたが、当然のことながら、本発明はそれらの正確な実施形態に限定されず、当業者であれば添付の請求項により定義される本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく様々な変更および修正が達成可能である。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚側および外側を有するクッション層と、
前記クッション層の前記皮膚側に結合された超親水性感圧接着剤層と
を備える指または足に使用される医療用クッション装置。
【請求項2】
前記超親水性感圧接着剤層は前記クッション層に直接接触している請求項1記載のクッション装置。
【請求項3】
前記感圧接着剤は少なくとも約1500グラム/m/24時間の透湿性を有する請求項1記載のクッション装置。
【請求項4】
前記感圧接着剤は少なくとも約2000グラム/m/24時間の透湿性を有する請求項1記載のクッション装置。
【請求項5】
前記感圧接着剤は少なくとも約2500グラム/m/24時間の透湿性を有する請求項1記載のクッション装置。
【請求項6】
前記感圧接着剤は少なくとも約3000グラム/m/24時間の透湿性を有する請求項1記載のクッション装置。
【請求項7】
前記感圧接着剤は前記接着剤の重量で少なくとも約1%の吸湿度を有する請求項1記載のクッション装置。
【請求項8】
前記感圧接着剤は前記接着剤の重量で少なくとも約1.5%の吸湿度を有する請求項1記載のクッション装置。
【請求項9】
前記感圧接着剤は前記接着剤の重量で少なくとも約2%の吸湿度を有する請求項1記載のクッション装置。
【請求項10】
前記感圧接着剤は前記接着剤の重量で少なくとも約2.5%の吸湿度を有する請求項1記載のクッション装置。
【請求項11】
前記接着剤はアクリル系感圧接着剤である請求項1記載のクッション装置。
【請求項12】
前記接着剤はアクリル−ゴム混成接着剤である請求項1記載のクッション装置。
【請求項13】
前記クッション装置は、指用クッション、手用クッション、つま先用クッションおよび足用クッションからなる群から選択される請求項1記載のクッション装置。
【請求項14】
前記クッション装置は、魚の目用クッション、腱膜瘤用クッション、たこ用クッションおよび足底疣贅用クッションからなる群から選択された足用クッションを備える請求項13記載のクッション装置。
【請求項15】
前記クッション層の前記皮膚側に結合された薬用層
をさらに備える請求項1記載のクッション装置。
【請求項16】
前記薬用層は前記クッション層と前記接着剤層との間にあり、前記薬用層内の薬剤は前記装置が貼り付けられたときに前記接着剤層を通過して前記皮膚に到達するように構成されている請求項15記載のクッション装置。
【請求項17】
前記接着剤層は前記クッション層と前記薬用層との間にあり、前記装置が貼り付けられたときに前記薬用層の外周の外側に広がる前記接着剤が前記皮膚に接触するように前記接着剤層は前記薬用層の前記外周の外側に広がる請求項15記載のクッション装置。
【請求項18】
前記薬用層は角質溶解薬をさらに含む請求項15記載のクッション装置。
【請求項19】
前記角質溶解薬はサリチル酸をさらに含む請求項18記載のクッション装置。
【請求項20】
前記超親水性感圧接着剤はDURO−TAK(登録商標)87−202Aである請求項1記載のクッション装置。
【請求項21】
前記超親水性感圧接着剤はDURO−TAK(登録商標)80−222Aである請求項1記載のクッション装置。
【請求項22】
前記クッション層は発泡合成ゴム、綿織布、合成繊維、編地、シリコーンゲルクッション材、ポリウレタンゲルクッション材、ポリウレタンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムおよび合成不織布からなる群から選択される請求項1記載の装置。
【請求項23】
前記薬用層の上方に位置付けられた障壁層をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項24】
別の材料層が前記クッション層の前記皮膚側に加えられてもよい請求項1記載の装置。
【請求項25】
皮膚側および外側を有する薬用層と、
前記薬用層の前記皮膚側に結合された超親水性感圧接着剤層と
を備える指、手、つま先または足に使用される医療用装置。
【請求項26】
前記薬用層の前記外側に結合された被覆層
をさらに備える請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記薬用層の前記外側に結合されたクッション層
をさらに備える請求項25記載の医療用装置。
【請求項28】
前記薬用層は角質溶解薬をさらに含む請求項25記載の装置。
【請求項29】
前記角質溶解薬はサリチル酸をさらに含む請求項28記載のクッション装置。
【請求項30】
角化性病変治療用医療用装置であって、
前記角化性病変を含む前記皮膚の領域にクッション性を与えるクッション手段と、
前記クッション手段と結合しており、角化性病変の治療用薬剤を送達する薬剤手段と、
前記クッション手段と前記薬剤手段に結合された超親水性感圧接着剤と
を備える角化性病変治療用医療用装置。
【請求項31】
前記薬剤手段は角質溶解薬をさらに含む請求項30記載の医療用装置。
【請求項32】
前記角質溶解薬はサリチル酸をさらに含む請求項31記載のクッション装置。
【請求項33】
前記サリチル酸は前記薬剤手段内で薬剤材料の重量で約40%である請求項32記載の医療用装置。
【請求項34】
前記角化性病変は魚の目またはたこである請求項30記載の医療用装置。
【請求項35】
前記角化性病変は足底疣贅である請求項30記載の医療用装置。
【請求項36】
前記クッション層は円盤、帯または包帯状である請求項30記載の医療用装置。
【請求項37】
医療用装置を該装置の皮膚側にある超親水性感圧接着剤を使用して指または足の皮膚の領域に貼り付けるステップ
を含む皮膚病治療方法。
【請求項38】
前記皮膚病はハイパーケロティック(hyperkerotic)皮膚状態であり、前記医療用装置は角質溶解薬を含む請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記角質溶解薬はサリチル酸である請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記医療用装置の前記接着剤部内の超親水性組成物を使用して前記医療用装置内の水分を吸収することによって、前記領域での前記角質層の水和を減少させるステップ
をさらに含む請求項37記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1500グラム/m/24時間の、前記装置の前記接着剤層を介した平均水蒸気移動を与えることにより前記領域での前記角質層の水和を減少させるステップ
をさらに含む請求項37記載の方法。
【請求項42】
少なくとも2000グラム/m/24時間の、前記装置の前記接着剤層を介した平均水蒸気移動を与えることにより前記領域での前記角質層の水和を減少させるステップ
をさらに含む請求項37記載の方法。
【請求項43】
少なくとも2500グラム/m/24時間の、前記装置の前記接着剤層を介した平均水蒸気移動を与えることにより前記領域での前記角質層の水和を減少させるステップ
をさらに含む請求項37記載の方法。
【請求項44】
少なくとも3000グラム/m/24時間の、前記装置の前記接着剤層を介した平均水蒸気移動を与えることにより前記領域での前記角質層の水和を減少させるステップ
をさらに含む請求項37記載の方法。
【請求項45】
前記接着剤の重量で少なくとも約1%の前記接着剤層の吸湿度を与えることにより前記領域での前記角質層の水和を減少させるステップ
をさらに含む請求項37記載の方法。
【請求項46】
前記接着剤の重量で少なくとも約1.5%の前記接着剤層の吸湿度を与えることにより前記領域での前記角質層の水和を減少させるステップ
をさらに含む請求項37記載の方法。
【請求項47】
前記接着剤の重量で少なくとも約2%の前記接着剤層の吸湿度を与えることにより前記領域での前記角質層の水和を減少させるステップ
をさらに含む請求項37記載の方法。
【請求項48】
前記接着剤の重量で少なくとも約2.5%の前記接着剤層の吸湿度を与えることにより前記領域での前記角質層の水和を減少させるステップ
をさらに含む請求項37記載の方法。
【請求項49】
皮膚側および外側を有する薬用層と、
前記薬用層の前記皮膚側に結合された超親水性感圧接着剤層と
を備え皮膚に使用される医療用装置であって、
前記医療用装置は親水コロイド接着剤を備える医療用装置よりも長い皮膚保持時間を与える医療用装置。
【請求項50】
前記薬用層の前記外側に結合された被覆層
をさらに備える請求項49記載の医療用装置。
【請求項51】
前記薬用層の前記外側に結合されたクッション層
をさらに備える請求項49記載の医療用装置。
【請求項52】
前記薬用層は角質溶解薬をさらに含む請求項49記載の医療用装置。
【請求項53】
前記角質溶解薬はサリチル酸をさらに含む請求項52記載の医療用装置。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公表番号】特表2011−507620(P2011−507620A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539766(P2010−539766)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087317
【国際公開番号】WO2009/085890
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(398029706)シェーリング−プラウ ヘルスケア プロダクツ,インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】