説明

超電導複合線材および超電導ケーブル

【課題】少ない本数で超電導層を形成することができる超電導複合線材および超電導ケーブルを提供する。
【解決手段】超電導ケーブルの超電導層を形成するための超電導複合線材Sにあって、断面の幅と厚みを縮小された複数本の超電導テープ31と、テープ状に形成された補強板32と、で形成され、複数本の超電導テープ31が、互いに並行状態に配列されて、補強板32に一体化されている。その補強板32の幅は、超電導テープ31の両端間の幅よりも大に設定され、その超電導テープ31と補強板32は半田により一体化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば超電導ケーブルの超電導層の形成に適用することができる超電導複合線材と、その線材を用いた超電導ケーブルに関する。特に、複数本の超電導テープをテープ状の補強板に並行に配列してなる超電導複合線材に関する。
【背景技術】
【0002】
超電導線材として、Bi-Sr-Ca-Cu-Oテープ線材に代表されるBi系超電導線材が実用化されつつある。このBi系超電導線材は、例えばBi2223相からなる複数本の超電導フィラメントを銀などの安定化材中に埋設した構造のテープ線材である。その断面は、例えば図4に示すように、Bi系酸化物超電導体からなる多数本の超電導フィラメント21bを銀材等からなる金属シース(金属安定化材)21aで覆ってテープ状に形成される。このBi系超電導線材21により、例えば図5に示すようなケーブルコア9が形成される。即ち、ケーブルコア9は、内側から順に、フォーマ1、超電導導体層2、絶縁層3、超電導シールド層4および外層27を備える。フォーマ1は、Cuなどの常電導材料からなる素線を撚り合せた撚り線又は中空パイプ等で構成される。超電導導体層2は、フォーマ1の外周に層間絶縁25を介して巻回される複数層のBi系超電導線材21によって形成される。絶縁層3は、超電導導体層2の外周に巻回されるクラフト紙やクラフト紙とポリオレフィンフィルムをラミネートした複合紙等からなる。超電導シールド層4は、絶縁層3の外周に層間絶縁26を介して巻回される複数層のBi系超電導線材21からなる。外層27は、超電導シールド層4の外周に層間絶縁26を介して巻回されるクラフト紙などで形成される。このようなケーブルコア9は、その軸方向に引張力を作用させた状態下で3本が強制的に撚り合わされて、例えば図6に示すように、内管6と外管7で形成される二重断熱管内に挿入され、交流用の3心一括型の超電導ケーブルが形成される。
【0003】
一方、次世代超電導線材として、RE系超電導薄膜の開発が進められている(例えば特許文献1)。例えば図7に示すように、このRE系超電導薄膜11は、テープ状の金属補強板12上に順次中間層13、超電導薄膜14、保護層15を積層して形成される。具体例としては、例えば金属補強板12としてハステロイ(登録商標)、中間層13としてYSZ、超電導薄膜14としてY系123構造(YBa2Cu3Oy)薄膜、保護層15として銀が用いられている。通常、これら中間層13や超電導薄膜14はレーザ蒸着などにより金属補強板12の片面のみに形成される。このようなRE系超電導薄膜11は、厚みを薄く形成することができ、金属補強板12の存在によって引張力に対しては比較的に優れた強度を有している。このようなRE系超電導薄膜11を用いて3心一括型の超電導ケーブルを形成する場合にもBi系超電導線材21の場合と同様に構成される。
【特許文献1】特開2001-31418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図6に示すような3心一括型の超電導ケーブルに交流電流を流すと、超電導線材における微小な損失により僅かな熱が発生するため、温度上昇を抑えるための冷却が必要となる。交流損失が大きいと熱の発生も大きくなるため、大型の冷凍機を用意しなければならず、経済性が著しく損なわれる。交流の場合、導体周方向に磁場が形成されるため、超電導層(超電導導体層又は超電導シールド層)を形成する超電導線材の厚さを薄くする程、交流損失を低減することができる。
【0005】
従って、交流損失を低減するためには、テープ状に形成された個々の超電導線材(Bi系超電導線材21又はRE系超電導薄膜11)の厚みをできるだけ薄くすることが望ましい。ところで、現状の製造設備では、超電導線材の厚さを薄くすると幅も縮小せざるを得ない。しかし、個々の超電導線材の厚さと幅を縮小すると、超電導層を形成するための超電導線材の本数が増加するため、超電導線材を繰り出すリールが多数必要となり、既存の設備では製造ができなくなる。また、機械的な強度が低下して必要強度を確保できなくなったり、超電導線材の本数の増加によって巻回時に個々の超電導線材の間隔を適切に確保するのが困難になり、もつれや乗り上げが発生したりする等の製作段階における問題が発生する。一方、上述のような超電導ケーブルを直流用として用いる場合に、大容量化を図るために、超電導線材の本数を増やすと、交流用の場合と同様に製作段階での問題が発生する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされ、少ない本数で超電導層を形成することができる超電導複合線材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の超電導複合線材は、超電導ケーブルの超電導層を形成するための超電導複合線材にあって、
複数本の超電導テープと、テープ状に形成された補強板と、を備え、
前記複数本の超電導テープが、互いに並行状態に配列されて、前記補強板に一体化されていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、複数本の超電導テープが、互いに並行状態となるように配列されて、補強板に一体化されるので、超電導ケーブルの超電導層を形成するために必要な超電導複合線材の本数を少なくすることができる。従って、製作段階における巻回工程で、超電導複合線材を繰り出すリールが少なくて済み、既存の設備に対応できるようになる。また、補強板との一体化により個々の超電導テープを薄くしても所要の機械的な強度を確保することができる。従って、製作段階における巻回工程で、超電導複合線材が破断したり、もつれたり、乗り上げたりするようなトラブルの発生を少なくすることができる。
【0009】
そして、このような超電導複合線材を交流用の超電導ケーブルに使用する場合には、個々の超電導テープの厚みを薄く形成できるので、径方向に高い密度で巻装して超電導層を形成できるため、交流損失を少なくすることができる。一方、直流用として大容量化を図る場合、より少ない本数の超電導複合線材によって大容量化を達成できるため、巻回工程で、超電導複合線材が破断したり、もつれたり、乗り上げたりするようなトラブルの発生を少なくすることができる。尚、超電導層は、交流用の超電導ケーブルでは超電導導体層と超電導シールド層、直流用の超電導ケーブルでは内側超電導層と外側超電導層が該当する。
【0010】
このような超電導テープは、RE系超電導薄膜からなるものであってもよい。そのRE系超電導薄膜は、テープ状の金属補強板上に順次中間層、超電導薄膜、保護層を積層して形成される。例えば金属補強板として、ハステロイ(登録商標)、中間層としてYSZ、超電導薄膜としてY系123構造(YBa2Cu3Oy)薄膜、保護層として銀が用いられたもの等を挙げることができる。
【0011】
また、超電導テープは、Bi系超電導線材からなるものであってもよい。このBi系超電導線材は、例えばBi2223相からなる複数本の超電導フィラメントを銀などの安定化材中に埋設して薄膜状としたものである。
【0012】
前記補強板の幅は、3〜10mmに設定されてもよい。この程度の幅であれば、例えば銅やステンレス、これらの合金を素材として、必要な強度と充分な可撓性を確保することができる。また、これらの導電体を用いることによって、短絡電流が発生した場合には、補強板に短絡電流を流すことができ、超電導テープを保護することができる。尚、補強板の素材としては、このような導電性の金属材だけでなく、絶縁性と耐熱性に優れたポリイミドテープ等を用いることもでき、その場合には、交流損失を低減することができる。また、補強板の幅が3mm未満になると、所要の引張強度を確保するのが難しくなり捩れやすくなる。10mmを超えると、巻回して超電導層を形成した際に、その断面における外形が多角形化しやすくなり、特に、超電導導体層(交流用)又は内側超電導層(直流用)では、円形に近い形状に整えるのが難しくなる。
【0013】
前記超電導テープは、2〜5本に設定されてもよい。この程度の本数であれば、幅3〜10mmの補強板からはみ出さないように、並行に配列することができる。尚、2本未満であると、複合材としての要件を満たせなくなる。5本を超えると、補強板に整列状態に配列するのが難しくなる。
【0014】
前記超電導テープの片面にのみ、前記補強板が一体化されるようにしてもよい。このようにすれば、超電導テープを径方向に高い密度で巻装して超電導層を形成できるため、交流損失を少なくすることができる。
【0015】
前記超電導テープは、2枚の前記補強板間にサンドイッチ状に挟まれるようにしてもよい。このようにすれば、製作段階及び取り扱い段階等において、超電導テープを補強板によって保護することができる。
【0016】
前記超電導テープは、前記補強板に対して半田により一体化されるようにしてもよい。例えば半田ペースト等を使用すれば、作業性よく超電導テープと補強板とを一体化することができ、充分な接着強度と耐熱疲労強度を確保することができる。
【0017】
前記補強板の幅は、前記超電導テープの全幅よりも大に設定されるようにしてもよい。このようにすれば、補強板を超電導テープの端部よりも若干外側に突出させることができるため、製作段階及び取り扱い段階等において、超電導テープの側縁部を補強板によって保護することができる。
【0018】
前記補強板における前記超電導テープが一体化されていない側の両側端縁は、面取り状に形成されるようにしてもよい。このようにすれば、製作段階で、超電導複合線材の外周に絶縁紙を巻回する際に、絶縁紙が裂けるようなトラブルの発生を少なくすることができる。
【0019】
前記補強板には、前記超電導テープの補強板幅方向への移動を抑制するための規制部が形成されるようにしてもよい。このような規制部を形成することによって、超電導テープを補強板に一体化する工程から、超電導層を形成するために超電導複合線材を巻回する工程、ケーブルコアの撚り合わせ工程、を経て使用段階に至る間において、超電導テープと補強板とが種々の外力や熱の影響を受けても、超電導テープを補強板に対して安定した整列状態に保持することができる。このような規制部は、例えば補強板の長手方向に所定間隔おきの突起状等に形成することができる。また、補強板の長手方向に連続した突出状に形成されるようにしてもよい。その場合、例えば引き抜きによって補強板を形成する際に容易に形成することができる。
【0020】
一方、本発明の超電導ケーブルは、上述した超電導複合線材で構成された超電導層を有することを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、ケーブルの製作段階における巻回工程で、超電導複合線材を繰り出すリールが少なくて済み、既存の設備に対応できるようになる。また、補強板との一体化により個々の超電導テープを薄くしても所要の機械的な強度を確保することができ、超電導層が損傷しにくいケーブルを構成できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の超電導複合線材は、複数本の超電導テープが、互いに並行状態となるように配列されて、補強板に一体化されるので、超電導ケーブルの超電導層を形成するために必要な超電導複合線材の本数を少なくすることができる。従って、断面の幅と厚みが縮小された超電導テープを用いることができ、かつ製作段階における巻回工程で、超電導複合線材を繰り出すリールが少なくて済み、既存の設備に対応できるようになる。また、補強板との一体化により個々の超電導テープを薄くしても所要の機械的な強度を確保することができる。従って、製作段階における巻回工程で、超電導複合線材が破断したり、もつれたり、乗り上げたりするようなトラブルの発生を少なくすることができる。
【0023】
そして、このような超電導複合線材を交流用の超電導ケーブルに使用する場合には、個々の超電導テープに薄い超電導テープを利用できるので、交流損失を少なくすることができる。また、直流用として用いる場合には、より少ない本数の超電導複合線材によって大容量化を図ることができるため、大容量化を図る場合にも、巻回工程で、超電導複合線材が破断したり、もつれたり、乗り上げたりするようなトラブルの発生を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態に係る超電導複合線材について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
図1〜図3は、超電導ケーブルの超電導層を形成するための超電導複合線材Sの断面を示す。この超電導複合線材Sは、図1(a)に示す例では、断面の幅と厚みを縮小された2本の超電導テープ31を、互いに並行状態となるように配列して、テープ状に形成された補強板32の片面に、例えば半田接合によって一体化している。また、図1(b)に示す例では、2本の超電導テープ31を、2枚の補強板32,32の間にサンドイッチ状に挟持させている。図1(a)の例では、超電導複合線材Sの幅4.2mm、厚さ0.2mm、超電導テープ31の幅2.0mm、補強板32の幅4.2mmとし、2本の超電導テープ31の全幅よりも補強板32の幅を0.2mmだけ大に設定し、2本の超電導テープ31の両側から、補強板32を、それぞれ0.1mmずつ幅方向に突出させている。そして、補強板32における超電導テープ31が一体化されていない背面側の両側端縁eを面取り状に形成している。
【0026】
このような超電導複合線材Sは、2本の超電導テープ31が一体化されている補強板32を、例えば銅、銅合金又はステンレス等で形成することにより、所要の機械的強度(引張り強度及び曲げ強度)と充分な可撓性を確保することができる。また、2本の超電導テープ31を密に集合させて一体化しているため、超電導ケーブルの超電導層を形成するために必要な超電導複合線材Sの本数を少なくすることができる。従って、製作段階における巻回工程で、超電導複合線材Sを繰り出すリールが少なくて済み、既存の設備に対応できるようになる。また、フォーマの外周又は絶縁層の外周に超電導複合線材Sを巻回する際に、破断したり、もつれたり、乗り上げたりするようなトラブルの発生を少なくすることができる。
【0027】
また、超電導テープ31の両側から補強板32を若干突出させていることにより、超電導テープ31を補強板に一体化する工程から超電導層を形成するために超電導複合線材を巻回する工程、ケーブルコアの撚り合わせ工程、を経て使用段階に至る間において、超電導テープ31と補強板32が種々の外力や熱の影響を受けても、超電導テープ31を補強板に対して安定した整列状態に保持することができる。そして、補強板32の超電導テープ31が一体化されていない背面側の両側端縁eを面取り状に形成しているので、製作段階において超電導複合線材31の外周に層間絶縁や絶縁層などの絶縁紙を巻回する際に、絶縁紙が裂けるようなトラブルの発生を少なくすることができる。尚、Bi系超電導線材を超電導テープ31の素材として用いる場合には、その両側端縁は面取り状に形成される(図4参照)が、RE系超電導薄膜を素材とする場合には、その両側端縁を補強板32のように面取り状に形成してもよい。
【0028】
そして、このような超電導複合線材Sを交流用の超電導ケーブルに使用する場合には、特に厚みが縮小された超電導テープ31によって超電導層が形成されるため、交流損失を少なくすることができる。一方、直流用として大容量化を図る場合、より少ない本数の超電導複合線材Sによって大容量化を達成できるため、巻回工程で、超電導複合線材Sが破断したり、もつれたり、乗り上げたりするようなトラブルの発生を少なくすることができる。尚、図1(a)に示すように、超電導テープ31を補強板32の片面にのみ形成した超電導複合線材Sで、超電導層を形成する場合、超電導テープ31が形成されている側を外側にして巻回すれば、超電導ケーブルの接続部において、接続部材を超電導層に直接接続できるため、接続抵抗を低減できる利点がある。また、図1(b)のように、2本の超電導テープ31を、2枚の補強板32,32間にサンドイッチ状に挟持させる場合には、製作段階等において、超電導テープ31を補強板32,32によってより効果的に保護することができる。
【0029】
このような超電導テープ31の素材としては、RE系超電導薄膜又はBi系超電導線材を用いることができる。RE系超電導薄膜は、テープ状の金属補強板上に順次中間層、超電導薄膜、保護層を積層して形成され、例えば金属補強板としてハステロイ(登録商標)、中間層としてYSZ、超電導薄膜としてY系123構造(YBa2Cu3Oy)薄膜、保護層として銀が用いられたもの等を挙げることができる(図7参照)。また、Bi系超電導線材としては、例えばBi2223相からなる複数本の超電導フィラメントを銀などの安定化材中に埋設して薄膜状としたもの等を用いることができる(図4参照)。
【0030】
このような超電導テープ31の幅は、1.5〜4.5mmに設定することができ、2〜5本の超電導テープ31を補強板32に一体化することができる。その補強板32の幅は、3〜10mmに設定することができる。この程度の幅であれば、例えば銅やその合金、ステンレス等を素材として必要な機械的強度と充分な可撓性を確保することができる。また、これらの導電体を用いることによって、短絡電流が発生した場合には、補強板32に短絡電流を流すことで、超電導テープ31を保護することができる。尚、補強板32の幅が3mm未満になると、超電導複合線材Sが所要の機械的強度を確保するのが難しくなり、また、捩れやすくなる。10mmを超えると、超電導複合線材Sを巻回して超電導層を形成した際に、その断面における外形が多角形化しやすくなり、特に、超電導導体層(内側超電導層)では、円形に近い形状に整えるのが難しくなる。また、補強板32の素材としては、このような導電性の金属材だけでなく、絶縁性と耐熱性に優れたポリイミドテープ等を用いることもできる。
【0031】
図2(a)(b)は、補強板32に、超電導テープ31の補強板幅方向への移動を抑制するための規制部32aを形成した例を示す。このような規制部32aは、例えば長手方向に所定間隔おきの突起状等に形成してもよく、長手方向に連続した突出状に形成してもよい。このような規制部32aを形成することによって、3本の超電導テープ31を補強板32に一体化する工程から、超電導層を形成するためにフォーマ(又は絶縁層)に超電導複合線材Sを巻回する工程、ケーブルコアの撚り合わせ工程、を経て使用段階に至る間において、超電導テープ31と補強板32とが種々の外力や熱の影響を受けても、超電導テープ31を補強板32に対して安定した整列状態に保持することができる。尚、図2(b)の例では、上下の補強板32に規制部32aを形成しているが、片方の補強板32のみに規制部32aを形成してもよい。
【0032】
図3(a)(b)は2枚の補強板32,32の相対的な位置ずれを防止できるようにした例を示す。図3(a)の例では、2枚の補強板32,32に形成された対向し合う規制部32b,32cの対向面をそれぞれ凹状,凸状に形成し、その両規制部32b,32cを凹凸嵌合させることによって、補強板32,32の幅方向への相対的な位置ずれを抑制できるようにすると共に、その規制部32b,32cによって、3本の超電導テープ31の幅方向への移動を抑制し、補強板32に対して安定した整列状態に各超電導テープ31を保持できるようにしている。図3(b)の例では、一方の補強板32,32に形成された規制部32dの凸状に形成した先端部を、他方の補強板32に形成した凹状部32eに凹凸嵌合させることによって、補強板32,32の幅方向への相対的な位置ずれを抑制できるようにしている。尚、本発明は、実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜、必要に応じて改良、変更等は自由である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の超電導複合線材は、複数の超電導テープを補強板に一体化しているので、少ない本数で超電導層を形成することができるため、交流又は直流の超電導ケーブルを形成するために好適に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態に係る超電導複合線材の一例を示す断面図、(b)は別の例を示す断面図である。
【図2】(a)は同超電導複合線材の他の例を示す断面図、(b)は別の例を示す側面図である。
【図3】(a)は同超電導複合線材の異なる例を示す断面図、(b)は別の例を示す断面図である。
【図4】Bi系超電導線材の断面図である。
【図5】ケーブルコアの部分破断斜視図である。
【図6】3心一括型の超電導ケーブルの断面図である。
【図7】RE系超電導薄膜の部分破断斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 フォーマ 2 超電導導体層(内側超電導層) 3 絶縁層
4 超電導シールド層(外側超電導層) 6 内管 7 外管
8防食層 9 ケーブルコア 11 RE系超電導薄膜 12 金属補強板
13 中間層 14 超電導薄膜 15 保護層
21 Bi系超電導線材 21a 金属シース 21b 超電導フィラメント
25 層間絶縁 26 層間絶縁 27 外層 S 超電導複合線材
31 超電導テープ 32 補強板 32a〜32d 規制部
32e 凹状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導ケーブルの超電導層を形成するための超電導複合線材であって、
複数本の超電導テープと、
テープ状に形成された補強板と、を備え
前記複数本の超電導テープが、互いに並行状態に配列されて、前記補強板に一体化されていることを特徴とする超電導複合線材。
【請求項2】
前記超電導テープの片面にのみ、前記補強板が一体化されることを特徴とする請求項1に記載の超電導複合線材。
【請求項3】
前記超電導テープは、前記補強板間にサンドイッチ状に挟まれることを特徴とする請求項1に記載の超電導複合線材。
【請求項4】
前記超電導テープは、前記補強板に対して半田により一体化されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の超電導複合線材。
【請求項5】
前記補強板の幅は、前記超電導テープの全幅よりも大に設定されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の超電導複合線材。
【請求項6】
前記補強板における前記超電導テープが一体化されていない側の両側端縁は、面取り状に形成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の超電導複合線材。
【請求項7】
前記補強板には、前記超電導テープの補強板幅方向への移動を抑制するための規制部が形成されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の超電導複合線材。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超電導複合線材で構成した超電導層を有することを特徴とする超電導ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−48793(P2009−48793A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211076(P2007−211076)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】