説明

超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法、および自動取引装置

【課題】他人に暗証番号を知られる危険性を低減できる、自動取引装置を提供する。
【解決手段】超音波スピーカシステムA20は自動取引装置の利用者Xのみに音声が届けられる状態で設置されている。そして、利用者Xが複数桁の暗証番号を入力する際に、暗証番号の特定の個所に数字などを加えた状態で入力するように指示する音声を、利用者Xのみに聞こえるように伝える。この数字は、利用毎にランダムに変わる。このように、利用者Xが、ある数字を付加した状態で暗証番号を入力することにより、他人に暗証番号を知られないように自動取引装置を利用することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預け払い機(ATM)などの暗証番号を入力する自動取引装置に関するものであり、特に、指向性の強い超音波スピーカを搭載し、該超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法により、他人に暗証番号を知られる危険性を低減できる、超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法、および自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波をオーディオ信号で変調した信号を超音波振動素子等の超音波トランスデューサにより放出した場合に、パラメトリックアレー効果によって非常に強い指向性を持った差分周波数成分(自己復調音)を放出できる。
【0003】
超音波スピーカは超音波トランスデューサを備えており、通常のスピーカに比べて非常に指向性が強いため、音声情報を特定の場所にだけ伝達する等の目的で使用されている。例えば、超音波スピーカは美術館等の展示場において、ある作品の前に近づいて行くと、その近くの限られた範囲内の人にだけ作品に関する説明が聞こえてくるように設置されている。
【0004】
ところで、現金自動預け払い機(ATM)などの入力画面操作により暗証番号の入力が必要となる装置(以後、自動取引装置と表記する)を利用する際には、自動取引装置の設置環境によっては、暗証番号を他人に知られてしまう危険性がある。
【0005】
例えば、自動取引装置の利用者X以外の人(一例として、利用者Xが上記装置の利用を終えるのを待っている他人)が装置または利用者Xのすぐ近くにいる場合に、特に利用者Xのすぐ後方にいるような場合は、暗証番号の入力操作を他人に見られてしまい、入力した暗証番号を知られてしまう危険性がある。またATMの周辺にカメラなどが仕掛けられていた場合にも、同様の危険性がある。
【0006】
なお、従来技術の音声ガイダンス方式がある(特許文献1を参照)。この従来技術の音声ガイダンス方式では、自動取引装置の利用者が画面入力操作を行う際に、複数のスピーカを用いて音声ガイダンスを行い、利用者が操作ミスや不安を感じることなく円滑にかつ安心して自動取引装置を利用できるように工夫されたものである。この従来例の音声ガイダンス方式を用いることで、自動取引装置の操作が不慣れな人も円滑に操作を行うことが可能である。
【0007】
しかしながら、例えば「暗証番号を入力して下さい」などのメッセージが流された場合に、利用者だけでなく周囲の人にもそのメッセージを提供することになる。従って、これから暗証番号を入力する、などの重要な情報を利用者以外の人にも与えてしまうことから、上記従来例のように工夫された自動取引装置に関しても、依然利用者の近くいる人に暗証番号を見られてしまう危険性がある。
【特許文献1】特開平5−93660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように従来の現金自動預け払い機(ATM)などの暗証番号の入力が必要となる自動取引装置を利用する際に、装置の設置環境によっては、自動取引装置の利用者X以外の人が装置および利用者Xのすぐ近くにいる場合、特に利用者Xのすぐ後方に人がいる場合は、暗証番号を他人に見られてしまう危険性があった。またATMの周辺にカメラなどが仕掛けられていた場合にも、同様の危険性があった。
【0009】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、自動取引装置の利用の際に、他人に暗証番号を知られる危険性を大きく低減することができる、超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法、および自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、自動取引装置における暗証番号の入力方法であって、少なくとも1つの超音波スピーカシステムを暗証番号入力者に向けて音声を提供できる状態に設置する手順と、前記自動取引装置の制御部により、前記自動取引装置において前記暗証番号入力者が暗証番号を入力する際に、暗証番号に変化を加えて入力するよう指示する内容を決定する手順と、前記内容を音声化して前記超音波スピーカシステムから放出する手順と、を含むことを特徴とする。
【0011】
このような手順により、少なくとも1つの超音波スピーカシステムを暗証番号入力者に向けて音声を提供できる状態に設置されている。そして暗証番号入力者が暗証番号を入力する際に、暗証番号に変化を加えて入力するよう指示する内容を決定され、該内容を音声化して前記超音波スピーカシステムから放出する。
【0012】
これにより、自動取引装置の利用者は他人に暗証番号を入力する画面を見られた場合にも、他人に本当の暗証番号を知られる危険性が大きく低減する。
これにより、自動取引装置の利用者は他人に暗証番号を入力する画面を見られた場合にも、他人に本当の暗証番号を知られる危険性が大きく低減する。
【0013】
また、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、利用者が入力した暗証番号の正否を判定する自動取引装置における暗証番号の入力方法であって、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波によりキャリア波を変調し、該変調波により超音波トランスデューサを駆動することにより可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカシステムを1つ以上用意し、前記1つ以上の超音波スピーカシステムのうち少なくとも1つの超音波スピーカシステムAが、自動取引装置の利用者のみに音声を提供できる状態に設置する手順と、前記自動取引装置の制御部により、前記自動取引装置において前記利用者が複数桁の暗証番号を入力する際に、前記複数桁の暗証番号の任意または特定の個所に、少なくとも1つの任意または特定の数字、文字または記号を付加した状態で暗証番号を入力するように指示する内容の音声を、前記超音波スピーカシステムAを用いて前記自動取引装置の利用者のみに放出する手順と、前記自動取引装置の制御部により、前記任意または特定の個所および前記任意または特定の数字、文字または記号を、それぞれ自動取引装置の利用者が自動取引装置を利用する度にランダムに決定する手順と、を含むことを特徴とする。
【0014】
このような手順により、超音波トランスデューサを使用した超音波スピーカシステムを複数用意し、そのうちの少なくとも1つの超音波スピーカシステムAは自動取引装置の利用者のみに音声が届けられる状態で設置されている。そして、利用者が複数桁の暗証番号を入力する際に、上記複数桁の暗証番号の任意または特定の個所に、少なくとも1つの特定の数字、文字あるいは記号を加えた状態で暗証番号を入力するような指示音声を、超音波スピーカシステムAを用いて利用者のみに伝える。上記特定の個所および数字、文字、あるいは記号は、利用毎にランダムに変わるものとする。このように超音波スピーカシステムAを用いて、利用者に対し文字あるいは記号を加えた状態で暗証番号を入力する指示音声を出すことにより、利用者がある番号を付加した状態で暗証番号を入力する。
【0015】
これにより、自動取引装置の利用者は他人に暗証番号を入力する画面を見られた場合にも、他人に本当の暗証番号を知られる危険性が大きく低減する。
【0016】
また、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、前記1つ以上の超音波スピーカシステムのうち、前記超音波スピーカシステムA以外の少なくとも1つの超音波スピーカシステムBを前記自動取引装置およびその利用者の周囲の人に音声を提供できる状態に設置する手順と、前記自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者以外の人の有無を判別する人判別センサを配置する手順と、前記自動取引装置内の制御部により、前記自動取引装置が利用中でありかつ前記人判別センサが前記ある特定の範囲内に利用者以外の人を感知している場合に、前記超音波スピーカシステムAから、近くに前記利用者以外の人がいることを知らせる内容の音声を前記利用者に放出する手順と、前記自動取引装置内の制御部により、前記超音波スピーカシステムBから、前記自動取引装置の利用者が利用を終了するまでは、前記ある特定の範囲よりも外側で待つように警告する内容の音声を放出する手順と、を含むことを特徴とする。
【0017】
このような手順により、超音波スピーカシステムA以外の少なくとも1つの超音波スピーカシステムBを、自動取引装置および利用者の周囲の人に音声を提供できる状態に設置し、自動取引装置が利用中であり、かつ人判別センサが利用者以外の人を感知している場合は、超音波スピーカシステムAから、近くに利用者以外の人がいることを知らせる内容の音声を放出する。また、超音波スピーカシステムBから、自動取引装置の利用者が利用を終了するまでは、ある特定の範囲よりも外側で待つように警告する内容の音声を放出する。
【0018】
これにより、自動取引装置の利用者が暗証番号を入力している途中で他人がある一定距離内に近づいてきた場合に、利用者は他人が近くにきたことを知って暗証番号を知られないように配慮することができ、また同時に近くにきた他人に警告を発することができる。
【0019】
また、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、前記人判別センサに超音波センサを用いる手順と、前記超音波センサの送信機として前記超音波スピーカシステムBの超音波トランスデューサを兼用し、前記超音波スピーカシステムBから放出した超音波あるいはその反射波を前記超音波センサにより受信する手順と、前記超音波センサから出力される信号を基に、前記自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者以外の人の有無を判別する手順と、を含むことを特徴とする。
【0020】
このような手順により、人判別センサに超音波センサを使用し、超音波センサの送信機として超音波スピーカシステムBの超音波トランスデューサを兼用し、超音波スピーカシステムBから放出した超音波あるいはその反射波を超音波センサ(受信機)により受信する。
【0021】
これにより、超音波スピーカシステムBを超音波センサの送信機として兼用することができる。
【0022】
また、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波によりスピーカを駆動することで可聴周波数帯の信号音を再生するスピーカシステムを1つ以上設備する手順と、前記1つ以上のスピーカシステムのうち少なくとも1つが、前記自動取引装置およびその利用者の周囲の人に音声を提供できる状態に設置する手順と、前記自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者以外の人の有無を判別する人判別センサを配置する手順と、前記自動取引装置が利用中でありかつ前記人判別センサが前記ある特定の範囲内に利用者以外の人を感知している場合に、前記スピーカシステムから、前記自動取引装置の利用者が利用を終了するまでは前記ある特定の範囲よりも外側で待つように警告する内容の音声を放出する手順と、を含むことを特徴とする。
【0023】
このような手順により、可聴周波数帯の信号音を再生するスピーカシステム(例えば、ラウドスピーカ)を1つ以上設備し、このスピーカシステムを、利用者の周囲の人に音声を提供できる状態に設置する。そして、利用者の周囲に利用者以外の人が存在することを判別する人判別センサを配置し、自動取引装置が利用中でありかつ人判別センサが利用者以外の人を感知している場合に、上記スピーカシステムから、利用者以外の人に対し、特定の範囲よりも外側で待つように警告する内容の音声を放出する。
【0024】
これにより、利用者が自動取引装置を利用中に、利用者以外の人を遠ざけることができるので、他人に暗証番号を入力する画面を見られる危険性を低減できる。
【0025】
また、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、前記自動取引装置が利用中でありかつ前記人判別センサが前記ある特定の範囲内に利用者以外の人を感知している場合に、前記超音波スピーカシステムAから、近くに利用者以外の人がいることを知らせる内容の音声を利用者に放出する手順を含むことを特徴とする。
【0026】
このような手順により、自動取引装置が利用中でありかつ人判別センサが利用者以外の人を感知している場合に、超音波スピーカシステムAから、近くに前記利用者以外の人がいることを知らせる内容の音声を前記利用者に放出する。
【0027】
また、スピーカシステム(例えば、ラウドスピーカ)から、利用者以外の人に対し、特定の範囲よりも外側で待つように警告する内容の音声を放出する。
【0028】
これにより、利用者は、利用者以外の人が背後などにいることを知ることができ、暗証番号の入力を中断することができる。
【0029】
また、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、前記自動取引装置が利用中であり、かつ前記人判別センサが前記ある特定の範囲内に利用者以外の人を感知している場合に、警報装置により警告音を発する手順を含むことを特徴とする。
【0030】
このような手順により、自動取引装置が利用中であり、かつ人判別センサがある特定の範囲内に利用者以外の人を感知している場合には警報装置(例えば、ブザー等)により警告音を発する。
【0031】
これにより、利用者は、ブザー等の警告音を聞くことにより、利用者以外の他人が背後などにいることを知ることができ、暗証番号の入力を中断することができる。
【0032】
また、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、前記自動取引装置が利用者毎に専用のカード等を挿入するように構成されている場合に、前記カード等の挿入の有無により前記自動取引装置が利用中であるかを判別する手順を含むことを特徴とする。
【0033】
このような手順により、カード等の挿入の有無により自動取引装置が利用中であるかを判別する。
【0034】
これにより、自動取引装置が利用中であることを、容易かつ確実に判別できる。
【0035】
また、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、前記自動取引装置からある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者の有無を判別する利用者判別センサを配置する手順と、前記利用者判別センサから出力される信号を基に、前記自動取引装置が利用中であることを判別する手順と、を含むことを特徴とする。
【0036】
このような手順により、自動取引装置のある特定の範囲内において自動取引装置の利用者の有無を判別する利用者判別センサを用い、自動取引装置が利用中であるかを判別する。
【0037】
これにより、自動取引装置の前に利用者が実在することを検出することができる。
【0038】
また、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、前記利用者判別センサに超音波センサを使用する手順と、前記超音波センサの送信機として前記超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサを兼用し、前記超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサから放出した超音波あるいはその反射波を前記超音波センサにより受信する手順と、前記超音波センサから出力される信号を基に、前記自動取引装置からある特定の範囲内において利用者の有無を判別し、自動取引装置が利用中であるかを判別する手順と、を含むことを特徴とする。
【0039】
このような手順により、利用者判別センサに超音波センサを用い、超音波センサの送信機として超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサを兼用し、超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサから放出した超音波あるいはその反射波を超音波センサ(受信機)により受信することで、自動取引装置の利用者の有無を判別する。
【0040】
これにより、超音波の送信機として超音波スピーカシステムAを兼用して、自動取引装置の前に利用者が実在することを検出することができる。
【0041】
また、本発明の超音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法は、利用者の暗証番号をそのまま入力する通常の暗証番号入力方法を選択するための手順をさらに含むことを特徴とする。
【0042】
このような手順により、利用者がある数字等を付加した状態で暗証番号を入力する方法と、通常の暗証番号のみを入力する方法とを選択できるようにする。
【0043】
これにより、シンプルな暗証番号入力方法で取引を行いたい人は、通常の暗証番号の入力方法を使用できるようになる。
【0044】
また、本発明の自動取引装置は、入力された暗証番号の成否を判定する自動取引装置であって、少なくとも1つの超音波スピーカシステムが、暗証番号入力者に音声を提供できる状態に設置され、前記自動取引装置において前記暗証番号入力者が暗証番号を入力する際に、暗証番号に変化を加えて入力するよう指示する内容を決定する手段と、前記内容を音声化して前記超音波スピーカシステムから放出する手段と、を備えることを特徴とする。
【0045】
このような構成により、少なくとも1つの超音波スピーカシステムが、暗証番号入力者に音声を提供できる状態に設置されている。そして、暗証番号入力者が暗証番号を入力する際に、暗証番号に変化を加えて入力するよう指示する内容が決定され、該内容を音声化して前記超音波スピーカシステムから放出される。
【0046】
こ5れにより、自動取引装置の利用者は他人に暗証番号を入力する画面を見られた場合にも、他人に本当の暗証番号を知られる危険性が大きく低減される。
【0047】
また、本発明の自動取引装置は、利用者が入力した暗証番号の正否を判定する自動取引装置であって、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波によりキャリア波を変調し、該変調波により超音波トランスデューサを駆動することにより可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカシステムを1つ以上設備し、前記1つ以上の超音波スピーカシステムのうち少なくとも1つの超音波スピーカシステムAが、自動取引装置の利用者のみに音声を提供できる状態に設置され、前記自動取引装置において前記利用者が複数桁の暗証番号を入力する際に、前記複数桁の暗証番号の任意または特定の個所に、少なくとも1つの任意または特定の数字、文字または記号を付加した状態で暗証番号を入力するように指示する内容の音声を、前記超音波スピーカシステムAを用いて前記自動取引装置の利用者のみに放出する手段と、前記任意または特定の個所および前記任意または特定の数字、文字または記号を、それぞれ自動取引装置の利用者が自動取引装置を利用する度にランダムに決定する手段と、を備えることを特徴とする。
【0048】
このような構成により、超音波トランスデューサを使用した超音波スピーカシステムを複数用意し、そのうちの少なくとも1つの超音波スピーカシステムAは自動取引装置の利用者のみに音声が届けられる状態で設置されている。そして、利用者が複数桁の暗証番号を入力する際に、上記複数桁の暗証番号の任意または特定の個所に、少なくとも1つの特定の数字、文字あるいは記号を加えた状態で暗証番号を入力するような指示音声を、超音波スピーカシステムAを用いて利用者のみに伝える。上記特定の個所および数字、文字、あるいは記号は、利用毎にランダムに変わるものとする。このように超音波スピーカシステムAを用いて、利用者に対し文字あるいは記号を加えた状態で暗証番号を入力する指示音声を出すことにより、利用者がある番号を付加した状態で暗証番号を入力する。
【0049】
これにより、自動取引装置の利用者は他人に暗証番号を入力する画面を見られた場合にも、他人に本当の暗証番号を知られる危険性が大きく低減される。
【0050】
また、本発明の自動取引装置は、可聴周波数帯の信号波を生成する信号波発生源と、前記可聴周波数帯の信号波の振幅を調整する信号波振幅調整部と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給部と、前記キャリア波を前記信号波発生源から出力される可聴周波数帯の信号波により変調する変調部と、前記変調部で発生させた変調波の振幅を調整する変調波振幅調整部と、前記変調波振幅調整部で振幅を調整した変調波で駆動される超音波トランスデューサと、を有する1つ以上の超音波スピーカシステムと、前記自動取引装置と外部システムを繋ぐネットワーク機能部と、前記自動取引装置の利用状況の有無を判別する利用状況判別センサと、前記利用状況判別センサの情報を基に前記自動取引装置が利用されている状態かどうかを判定し、利用状況判別信号を出力する利用状況判別信号出力部と、前記自動取引装置の操作状況が暗証番号を入力する状況である場合に、暗証番号入力画面判別信号を出力する暗証番号入力画面判別信号出力部と、前記1つ以上の超音波スピーカシステムのうち少なくとも1つの超音波スピーカシステムA内に設けられる、前記利用状況判別信号と前記暗証番号入力画面判別信号を基に、予め用意された複数のオーディオ信号の中から、前記信号波発生源から発生させるオーディオ信号を選択する第1信号制御部と、前記超音波スピーカシステムA内に設けられる、前記第1信号制御部で選択されたオーディオ信号を識別する情報を出力する信号識別情報出力部と、前記超音波スピーカシステムAの信号識別情報出力部から出力される信号識別情報と、前記ネットワーク機能部を介して外部システムから取得した情報とに基づいて、前記自動取引装置の利用者が入力した暗証番号が正しいかどうかを判別する暗証番号判別部と、を備えることを特徴とする。
【0051】
このような構成により、信号波発生源により生成される可聴周波数帯の信号波を振幅調整し、この信号によりキャリア波を変調し、該変調波された信号の振幅を調整して超音波トランスデューサを駆動する超音波スピーカシステムを1つ以上設ける。また、自動取引装置の本体側では、利用状況判別センサにより自動取引装置が利用されている状態かどうかを検出し、自動取引装置が利用状況にある場合は、「利用状況判別信号」を出力し、自動取引装置の操作状況が暗証番号を入力する状況である場合に、「暗証番号入力画面判別信号」を出力する。そして、超音波スピーカシステムの内の少なくとも1つの超音波センサAでは、上記「利用状況判別信号」と「暗証番号入力画面判別信号」とを基に、予め用意された複数のオーディオ信号の中から、信号波発生源から発生させるオーディオ信号を選択する。そして、選択されたオーディオ信号の情報を「信号識別情報」として出力する。自動取引装置の暗証番号判別部では、上記「信号識別情報」と外部(例えば、本部のコンピュータシステム)から取得した「利用者情報」に基づいて、利用者が入力した暗証番号が正しいかどうかを判別する。
【0052】
これにより、自動取引装置の利用者は他人に暗証番号を入力する画面を見られた場合にも、他人に本当の暗証番号を知られる危険性を大きく低減することが可能となる。
【0053】
また、本発明の自動取引装置は、前記自動取引装置が利用者毎に専用のカード等を挿入するように構成されており、前記利用状況判別センサは前記カード等の挿入の有無により前記自動取引装置が利用中であるか否かを判別するように構成されていることを特徴とする。
【0054】
このような構成により、カード等の挿入の有無により自動取引装置が利用中であるかを判別する。
【0055】
これにより、自動取引装置が利用中であるかことを、容易かつ確実に判別できる。
【0056】
また、本発明の自動取引装置は、前記利用状況判別センサは超音波センサで構成されており、前記超音波センサの送信機として前記超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサを兼用し、前記超音波スピーカシステムAから放出した超音波あるいはその反射波を前記超音波センサにより受信するように構成されていることを特徴とする。
【0057】
このような構成により、利用者判別センサに超音波センサを用い、超音波センサの送信機として超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサを兼用し、超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサから放出した超音波あるいはその反射波を超音波センサにより受信することにより、自動取引装置の利用者の有無を判別する。
【0058】
これにより、超音波センサとして超音波スピーカシステムAを兼用して、自動取引装置の前に利用者が実在することを検出することができる。
【0059】
また、本発明の自動取引装置は、前記自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者以外の人の有無を判別するための人判別センサと、前記他人判別センサの情報を基に前記自動取引装置およびその利用者のある特定の範囲内に前記利用者以外の人がいるかを判断し、人判別信号を出力する人判別信号出力部と、前記利用状況判別信号と前記人判別信号とを基に、前記1つ以上の超音波スピーカシステムのうち、前記超音波スピーカシステムA以外の少なくとも1つ超音波スピーカシステムBの信号波発生源から発生させるオーディオ信号の制御を行う第2信号制御部と、をさらに備えることを特徴とする。
【0060】
このような構成により、超音波スピーカシステムA以外の少なくとも1つの超音波スピーカシステムBを、自動取引装置およびその利用者の周囲の人に音声を提供できる状態に設置し、自動取引装置が利用中であり、かつ人判別センサが利用者以外の人を感知している場合は、超音波スピーカシステムBから、オーディオ信号を放出する。例えば、他人に対して、自動取引装置の利用者が利用を終了するまでは、ある特定の範囲よりも外側で待つように警告する内容の音声を放出する。
【0061】
これにより、自動取引装置の利用者が暗証番号を入力している途中で他人がある一定距離内に近づいてきた場合などに、近くにきた他人に警告を発することができる。
【0062】
また、本発明の自動取引装置は、前記他人判別センサは超音波センサで構成されており、前記超音波センサの送信機として前記超音波スピーカシステムBの超音波トランスデューサを兼用し、前記超音波スピーカシステムBから放出した超音波あるいはその反射波を前記超音波センサにより受信するように構成されたことを特徴とする。
【0063】
このような構成により、人判別センサに超音波センサを使用し、超音波センサの送信機として超音波スピーカシステムBの超音波トランスデューサを兼用し、超音波スピーカシステムBから放出した超音波あるいはその反射波を超音波センサにより受信する。
【0064】
これにより、超音波スピーカシステムBを超音波センサの送信機として兼用することができる。
【0065】
また、本発明の自動取引装置は、前記自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者以外の人の有無を判別するための人判別センサと、前記人判別センサの情報を基に前記自動取引装置およびその利用者のある特定の範囲内に前記利用者以外の人がいるかを判断し、人判別信号を出力する人判別信号出力部と、信号波発生源Bと、信号波発生源Bの振幅を調整する信号波振幅調整部Bと、前記信号波Bにより駆動されるスピーカと、前記自動取引装置の利用状況判別信号と前記人判別信号を基に、前記信号波発生源Bから発生させるオーディオ信号の制御を行う第3信号制御部と、をさらに備えることを特徴とする。
【0066】
このような構成により、可聴周波数帯の信号音を再生するスピーカシステム(例えば、ラウドスピーカ)を1つ以上設備し、このスピーカシステムを、利用者の周囲の人に音声を提供できる状態に設置する。そして、自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において利用者以外の人の有無を判別する人判別センサを配置し、自動取引装置が利用中でありかつ人判別センサが利用者以外の人を感知している場合に、上記スピーカから、利用者以外の人に対し、ある特定の範囲よりも外側で待つように警告する内容の音声を放出する。
【0067】
これにより、利用者が自動取引装置を利用中に、通常のスピーカを使用して、他人に警告を与えることができる。このため、利用者以外の人を遠ざけることができるので、他人に暗証番号を入力する画面を見られる危険性を低減できる。
【0068】
また、本発明の自動取引装置は、ブザー等の警告音発生機と、前記利用状況判別信号と前記人判別信号の2つの判別信号を基に前記警告音発生機の制御を行う警告音制御部と、をさらに備えることを特徴とする。
【0069】
このような構成により、自動取引装置が利用中であり、かつ人判別センサがある特定の範囲内に利用者以外の人を感知している場合にブザー音等の警告音を発する。
【0070】
これにより、利用者は、ブザーの警告音を聞くことにより、利用者以外の他人が背後などにいることを知ることができ、暗証番号の入力を中断することができる。
【0071】
また、本発明の自動取引装置は、前記第1信号制御部は、前記利用状況判別信号と、前記暗証番号入力画面判別信号と、さらに前記人判別信号の3つの判別信号を基に制御を行う機能を備えることを特徴とする。
【0072】
このような構成により、自動取引装置が利用中であり、かつ人判別センサが利用者以外の人を感知している場合に、超音波スピーカシステムAから利用者に向けて、近くに利用者以外の他人がいることを知らせる内容の音声を放出する。
【0073】
これにより、利用者は、利用者以外の人が背後などにいることを知ることができ、暗証番号の入力を中断することができる。
【0074】
また、本発明の自動取引装置は、利用者の暗証番号をそのまま入力する通常の暗証番号入力手段をさらに備えることを特徴とする。
【0075】
このような構成により、利用者がある数字等を付加した状態で暗証番号を入力する方法と、通常の暗証番号のみを入力する方法とを選択できるようにする。
【0076】
これにより、シンプルな暗証番号入力方法で取引を行いたい人は、通常の暗証番号の入力方法を使用できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0077】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0078】
上述したようにATMなどの暗証番号の入力が必要となる自動取引装置を利用する際に、装置の設置環境によっては、暗証番号を他人に見られてしまう危険性があった。またATMの周辺にカメラなどが仕掛けられていた場合にも、同様の危険性がある。そこで、超音波スピーカシステムと自動取引装置の、双方の機能を融合した安全な暗証入力方式を採用した自動取引装置の構成例を示す。
【0079】
図1は、本発明による自動取引装置の構成例を示す図である。また、図2は、図1に示す自動取引装置1の概観を示す図である。図1に示す自動取引装置1は、自動取引装置本体部10と、これに設備される超音波スピーカシステムA20と、超音波スピーカシステムB30とで構成されている。なお、図1では、超音波スピーカシステムA20と、超音波スピーカシステムB30とを、自動取引装置本体部10の外部に示しているが、実際には、超音波スピーカシステムA20と、超音波スピーカシステムB30とは、自動取引装置本体部10に内蔵されているものである。
【0080】
ここで、図1に示す自動取引装置をATMであるとし、そのATMを利用している最中の人を利用者Xと呼ぶ。また複数用意した超音波スピーカシステムのうち、図1および図2に示すようにATMの利用者Xのみに音声を提供するように超音波トランスデューサ106Aが設置されているものが超音波スピーカシステムA20であり、単に、超音波スピーカシステムAともいう。
【0081】
また、図1および図2に示すように、ATMおよびその利用者Xからある特定の範囲内(ゾーン120)にいる人に音声を提供するように超音波トランスデューサ106Bが設置されているものが超音波スピーカシステムB30であり、単に、超音波スピーカシステムBともいう。超音波スピーカシステムBは、利用者Xには音声を提供しないように設置されていることが望ましい。本実施の形態では図1および図2に示すように、超音波スピーカシステムBの超音波トランスデューサを、利用者Xから1mの範囲(ゾーン120)内に音声を提供するように設置するものとする。(ただし利用者Xには超音波スピーカシステムBの音波は提供されないものとする。)
超音波スピーカシステムAと超音波スピーカシステムBは、可聴周波数帯の信号波を生成する信号波発生源101と、信号波発生源101から出力される可聴周波数帯の信号波の振幅を調整する信号波振幅調整部102と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給部103と、キャリア波供給部103で生成されたキャリア波を信号波発生源101から出力される可聴周波数帯の信号波により変調する変調部104と、変調部104で発生させた変調波の振幅を調整する変調波振幅調整部105と、変調波振幅調整部105で振幅を調整した変調波で駆動される超音波トランスデューサ106A、106Bをそれぞれ備えている。
【0082】
また、自動取引装置本体部10には、CPUやメモリを含み自動取引装置1の全体を統括制御する自動取引装置制御部11と、自動取引装置本体部10と外部システム(例えば、本部のコンピュータシステムなど)とを通信接続するためのネットワーク機能部108と、自動取引装置本体部10の利用状況の有無(例えば、カードの挿入の有無)を判別する利用状況判別センサ109と、利用状況判別センサ109から出力される情報を基に自動取引装置本体部10が利用されている状態かどうかを判断し、利用状況判別信号aを出力する利用状況判別信号出力部110と、自動取引装置本体部10の操作状況が暗証番号を入力する状態になっている場合に、暗証番号入力画面判別信号bを出力する暗証番号入力画面判別信号出力部111を備えている。
【0083】
また、超音波スピーカシステムAには、「利用状況判別信号a」と「暗証番号入力画面判別信号b」の2つの判別信号を基に、予め用意された複数のオーディオ信号の中から、超音波スピーカシステムAにおける信号波発生源101から発生させるオーディオ信号を選択する第1信号制御部112と、この第1信号制御部で選択されたオーディオ信号を識別するオーディオ信号識別情報cを出力する信号識別情報出力部113を備えている。
【0084】
また、自動取引装置本体部10には、信号識別情報出力部113から出力される信号識別情報と自動取引装置本体部10のネットワーク機能に基づいて、自動取引装置本体部10の利用者Xが入力した暗証番号が正しいかどうかを判別する暗証番号判別部114と、利用者以外の人の有無を判別する人判別センサ115とを備えている。
【0085】
また、超音波スピーカシステムBには、人判別センサ115からの情報を基に、自動取引装置およびその利用者のある特定の範囲内に利用者X以外の人がいるかを判断し、人判別信号dを出力する人判別信号出力部116と、自動取引装置本体部10で生成される「利用状況判別信号a」と「人判別信号d」とを基に、超音波スピーカシステムBの信号波発生源から発生させるオーディオ信号の選択および再生制御を行う第2信号制御部117とを備えている。
【0086】
ここで、上述した超音波スピーカシステムA、Bのうちの1つの構成について注目する。まずオーディオ信号を信号波発生源101から発生させ、さらに超音波帯域のキャリア波を103から発生させる。信号波発生源101で発生させたオーディオ信号は、信号波振幅調整部102によって、その振幅値を調整することが可能である。
【0087】
変調部104は、信号波振幅調整部102から出力されたオーディオ信号で、キャリア波供給部103から出力されるキャリア波を変調する機能を有している。ここで、変調手段には振幅変調、周波数変調など様々な手段が考えられるが、超音波スピーカシステムにおいては振幅変調が主に用いられるため、本実施例では変調部104で行なう変調方式を、一例として振幅変調とする。また振幅変調においても、DSB(Double Side Band)やSSB(Single Side Band)などの様々な方式がある。ここで、一般に超音波スピーカにおいてはSSB方式の方が復調音の歪みが小さいことが知られている。具体的には、DSB方式の場合は超音波スピーカを駆動する変調波の変調度が大きくなるほど、復調される信号の歪み率も大きくなるが、SSB方式の場合は超音波スピーカを駆動する変調波の変調度によらず、復調される信号の歪み率はほぼ一定で、かつDSB方式の場合よりも低い値となる。従って、図1に示す例では変調部104で行なう変調方式を、一例として振幅変調のSSB方式で行なうものとする。
【0088】
変調部104で発生させた変調波の振幅は、変調波振幅調整部105で調整することが可能である。変調波振幅調整部105から出力された変調波は、超音波トランスデューサ106A、106Bから放出され、空気中で変調波が歪むことにより、前述したオーディオ信号が差分周波数成分として自己的に復調され、聴取することが可能となる。
【0089】
上述のように、図1に示す自動取引装置はATMであるとし、複数用意した超音波スピーカシステムのうち、ATMの利用者Xのみに音声を提供する超音波トランスデューサ106Aが設置されているものが超音波スピーカシステムAであり、ATMおよびその利用者Xからある特定の範囲内(ゾーン120)にいる人に音声を提供するように超音波トランスデューサが設置されているものが超音波スピーカシステムBである。超音波スピーカシステムBは、利用者Xには音声を提供しないように設置されていることが望ましい。超音波スピーカシステムBの超音波トランスデューサ106Bを、利用者Xから1mの範囲内に音声を提供するように設置するものとする。(ただし利用者Xには音波は提供されないものとする。)
ここで、利用者の有無を判別する人判別センサ115は、利用者XがATMにキャッシュカードを挿入しているかどうかで感知するものとする。またキャッシュカードが挿入されている場合は、ATMが現在利用されていることを示す利用状況判別信号aが、ATM内の利用状況判別信号出力部110から出力される。以後、本実施の形態ではこのような状態を、利用状況判別信号aがアクティブであると呼ぶ。アクティブな信号を表す手段としては、例えば1Bitのデジタル信号を‘0’から‘1’にすればよい。また利用者XがATMを操作し、暗証番号を入力する画面まで到達したときに、暗証番号入力画面判別信号出力部111から、アクティブな暗証番号入力画面判別信号bを出力するものとする。
【0090】
ここで、利用状況判別信号出力部110から出力される「利用状況判別信号a」と、暗証番号入力画面判別信号出力部111から出力される「暗証番号入力画面判別信号b」とが両方アクティブな状態となった場合に、超音波スピーカシステムAの信号波発生源101で生成するオーディオ信号が第1信号制御部112により選択され、超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサ106Aから利用者Xに向かって再生される。
【0091】
第1信号制御部により選択されるオーディオ信号の内容は、利用状況判別信号aがアクティブになる度に、毎回ランダムに選択されるものとする。また、オーディオ信号の内容は、例えば、キャッシュカードの暗証番号(ここでは4桁であるとする)の特定の場所を指定し、その場所に特定の数字を付加した状態で暗証番号を入力するような指示とする。
【0092】
この場合、利用状況判別信号aがアクティブになる度に毎回ランダムに選択される部分は、暗証番号中の「特定の場所」および「特定の数字」となる。
【0093】
図3は、暗証番号の入力操作の具体例を示す図である。図3に示すように、一例として利用者Xの暗証番号が「1234」であり、超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサ106Aから利用者Xに「1桁目の暗証番号の後に、5を挿入した状態で暗証番号を入力して下さい」という旨の音声を提供する場合を考える。
【0094】
この場合利用者Xは、図3に示すように「15234」という番号を入力すればよい。選択されたオーディオ信号の内容、すなわち暗証番号中の「特定の場所」および「特定の数字」の情報は第1信号制御部112内の信号識別情報出力部113から出力される。そしてATM内の暗証番号判別部114は、利用者Xが入力した暗証番号が正しいかどうかを、信号識別情報出力部113から受信した「信号識別情報c」とネットワーク機能部108を介して外部のシステム(例えば、本部のコンピュータシステム)から得られる「個人データ」の2つの情報を基に判断する。
【0095】
図4は、本発明の自動取引装置における処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、上述した自動取引装置システムの機械的な動作の流れを整理して示したものである。以下、図4を参照して、その処理の流れについて説明する。
【0096】
最初に、利用状況判別信号出力部110から出力される「利用状況判別信号a」がアクティブ(活性化)になる(ステップS101)。
【0097】
「利用状況判別信号a」がアクティブになると、次に、暗証番号入力画面判別信号bがアクティブになったかどうかが判定される(ステップS102)。暗証番号入力画面判別信号bがアクティブになった判定されると(ステップS102:YES)、超音波スピーカシステムA内の第1信号制御部112において、暗証番号中の「ある特定部分」および「ある特定の数字」を表すアドレスがそれぞれにランダムに決定される(ステップS103)。
【0098】
そして、上記アドレスを基に、信号波発生源101で再生するオーディオ信号が決定される(ステップS104)。このオーディオ信号は超音波トランスデューサ106Aにより利用者Xに向けて超音波信号により放射される(このオーディオ信号は、利用者Xのみが聞くことができ、背後の利用待ちの他人には聞こえない)。そして、利用者Xは、上記オーディオ信号の情報と、利用者個人の情報(真の暗証番号)を基に、利用者が暗証番号(特定の数値を付加した暗証番号)を入力画面(タッチパネル)により入力する(ステップS105)。
【0099】
一方、第1信号制御部112で決定されたアドレス情報(信号識別情報c)が信号識別情報出力部113から暗証番号判別部114に向けて出力される(ステップS106)。これにより、暗証番号判別部114では、信号識別情報出力部113から得られたアドレス情報と、ネットワーク機能部108を介して得られる利用者の個人口座情報を基に、利用者が入力する暗証番号が正しいかどうかを判断できる状態となる(ステップS107)。
【0100】
そして、利用者Xが暗証番号を入力すると、暗証番号判別部114では、利用者が入力した暗証番号が正しいかどうかを判定する(ステップS108)。暗証番号が正しく入力されなかった場合は(ステップS108:NO)、利用者Xに対し暗証番号を入力し直すように指示する(ただし、回数制限は設けておく)。また、暗証番号が正しく入力された場合は(ステップS108:YES)、自動取引装置を用いた取引を行うことが可能な状態となる(ステップS109)。
【0101】
また、図5は、暗証番号判別部114の構成例を示す図であり、上述した暗証番号判別部114のシステムの具体例を示したものである。図5に示す例では、暗証番号判別部114は、メモリ(1)1141、メモリ(2)1142、メモリ(3)1143、および比較器1144とで構成されている。
【0102】
ここで、メモリ(1)1141は、4Bitのデータを記憶できるブロックが9個用意されており、実線のブロック内にはネットワーク機能部108から得られた情報を記憶する。この情報は、本部のコンピュータシステムの顧客データサーバ130から取得される。この例では利用者Xの真のパスワードが‘1234’であるので、‘1’、 ‘2’、 ‘3’、 ‘4’、の2進数(デジタルデータ)がネットワーク機能部108から送られ、メモリ(1)1141の各実線のブロック内に記憶される。
【0103】
また、メモリ(1)1141内の破線のブロック内には信号識別情報出力部113から得られる情報を記憶するものとする。この例では信号識別情報出力部113からメモリ(1)1141のアドレス情報とその中身に入力する値の情報を送るものとし、ここでは真の暗証番号の1桁目の後の破線ブロック内に、‘5’を示すデジタルデータ‘101’を記憶するような情報であるものとする。さらに、各破線ブロック内にデータが入力されない場合は、該破線ブロックのデータ出力線がハイインピーダンス状態となり、破線のブロックからはデータが出力されないものとする。
【0104】
上述したようなメモリ(1)1141の各ブロックから出力されるデータだけをメモリ(2)1142に順に記憶していく。メモリ(2)1142の記憶単位はメモリ(1)1141の各ブロックと同じである。
【0105】
次にメモリ(3)1143は、メモリ(1)、(2)と同様の記憶単位のブロックを持つものであり、利用者Xが入力した暗証番号を記憶し、比較器1144により、メモリ(2)1142に記憶されているデータと、4Bitのブロック単位で比較していく。全ての値が同じである場合(暗証番号が正しく入力された場合)には、自動取引装置を用いた取引を行うことが可能な状態となる。また、1つでも数字が違えば、利用者Xに対し暗証番号を入力し直すように指示する(ただし、回数制限は設けておく)。
【0106】
このように、超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法を用いることにより、他人に暗証番号を入力するところを見られた場合にも、他人に真の暗証番号を知られる危険性は大きく低減できる。
【0107】
次に、さらに他人に暗証番号を知られる危険性を減らすために、超音波スピーカシステムBを用いることを考える。
【0108】
超音波スピーカシステムBは、その超音波トランスデューサ106Bから音声(すなわち変調波信号)を放出していない場合に、キャリア波供給部103から生成される超音波帯域のキャリア波を、常に超音波トランスデューサ106Bから放出する。さらに人の有無を判別する人判別センサ115を、図1および図2に示すような位置に設置する。
【0109】
人判別センサ115の例としては、赤外線センサ、焦電センサ、カメラ等が考えられる。図6に示す例では、超音波を放射可能な超音波トランスデューサを用いていることを利用し、人判別センサ115の一例として、超音波スピーカシステムBに超音波トランスデューサ106Bから放出された超音波の床からの反射波を受信する受信機を備えるものを用いることにする。このように超音波の送信機と受信機を設けることで、超音波を発射してから物体に反射して戻ってくる迄の時間を測定する超音波センサとして用いることが可能である。
【0110】
ここでは超音波センサの送信機と音声提供用の超音波トランスデューサは兼用である。超音波スピーカシステムBの超音波トランスデューサから放出する超音波の情報と、超音波の床からの反射波の情報を基に、ある特定のエリアに利用者X以外の人がいる場合にアクティブな信号を出力する人判別信号出力部116を設ける。本例では特定のエリアを、図2に示す破線の範囲(ゾーン120)内であるとする。
【0111】
人判別信号dがアクティブの状態である場合に、超音波スピーカシステムBの信号波発生源101で生成するオーディオ信号が第2信号制御部117で選択され、超音波スピーカシステムBの超音波トランスデューサ106Bから、図2に示す破線の範囲内にいる人に向かって再生される。この例では、人判別信号出力部116から出力される人判別信号dがアクティブな状態でない場合は、信号波は何も選択せず(あるいは0の信号波を選択してもよい)、人判別信号dがアクティブな状態の場合は下記のような内容のオーディオ信号を選択するものとする。
【0112】
例えば、「ATMを利用中の人(本例では利用者Xにあたる)が利用を終えるまで、白線の外側でお待ち下さい」など、特定の範囲の外側で待つような指示を出す。このような音声を放出することで、ATMの利用者Xに近づきすぎた人に警告を出し、利用者Xの暗証番号を見られる危険性が低減する。前述したように、本例では白線の外側とは、図1および図2で示す利用者から1mの距離を示す破線の外側であるものとする。
【0113】
さらに、図6に示すように、超音波スピーカシステムA内にも人判別信号出力部116を設け、人判別信号dを第1信号制御部112に関しても送信することを考える。本例では人判別信号dがアクティブな状態の場合に、超音波スピーカシステムAの信号波発生源101で生成するオーディオ信号を選択する第1信号制御部112において、優先的に次のような内容のオーディオ信号を選択するものとする。
【0114】
例えば、「人が近づいています」などの、人が近づいていることを知らせるメッセージを出す。
【0115】
このような音声を放出することで、ATMの利用者Xは近くに人がいることに気付き、暗証番号の入力を途中で中断することにより、他人に利用者Xの暗証番号を見られる危険性が低減する。
【0116】
さらに、図7に示すように、利用者Xを検出するための利用者判別センサ118を設けけることもできる。図7に示す例では、超音波を放射可能な超音波トランスデューサ106Aを用いていることを利用し、利用者判別センサ118の一例として、超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサ106Aから放出された超音波の床からの反射波を受信する受信機を備えるものを用いることにする。このように超音波の送信機と受信機を設けることで、超音波を発射してから物体に反射して戻ってくる迄の時間を測定する超音波センサとして用いることが可能である。
【0117】
ここでは超音波の送信機と音声提供用の超音波トランスデューサAは兼用である。超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサ106Aから放出する超音波の情報と、超音波の床からの反射波の情報を基に、自動取引装置の前に利用者Xがいる場合にアクティブとなる利用者判別信号eを出力する利用者判別信号出力部116Aを設ける。この利用者判別信号出力部116Aから第1制御部112に向けて利用者判別信号eが出力される。これにより、自動取引装置の本体部10の前に利用者が実在することを直接検出できるようになる。
【0118】
さらに本例で使用した超音波スピーカシステムBに関しては、周囲への騒音をあまり気にしなくても良いような環境の場合は、オーディオ信号でラウドスピーカを駆動する通常のスピーカシステムで代用することも可能である。ただし、スピーカシステムAに関しては超音波スピーカであることが必要となる。
【0119】
図8は、ラウドスピーカを使用した例を示す図である。図8に示す構成例は、図7に示す超音波トランスデューサ106Bを、ラウドスピーカ140に置き換えた例を示したものである。このラウドスピーカ140はラウドスピーカシステム40で駆動され、ラウドスピーカシシテム40中には、信号波発生源101Bから発生させるオーディオ信号を選択するための第3信号制御部141と、信号波発生源101Bから発生されるオーディオ信号の振幅を調整する信号波振幅調整部104Bとが備えられている。なお、この例では、人判別センサ115として、超音波の送信機能と受信機能を備えたものが必要になる。
【0120】
また、利用者Xの背後等に他人がいることを人判別センサ116で判別し、超音波スピーカシステムAから利用者Xに対して警告の音声を放出することができるが、超音波スピーカシステムAから警告の音声を流すだけでなく、同時に、あるいは代わりにブザー等の警告音を鳴らすようなシステムにしておくことも有効である。例えば、一例として、図8のラウドスピーカシステム40内に警告音制御部151を設け、該警告音制御部151が人判別信号出力部116から人判別信号dを受信した場合に、ブザー150を鳴動させるようにもできる。
【0121】
ところで、ATMなどの自動取引装置は非常に幅広い年齢層で使用されることが想定され、中にはシンプルな暗証番号入力方法で取引を行いたい人がいることが想定される。そこで、本実施の形態で示したような超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法と、現在使われている通常の暗証番号入力方法(利用者の暗証番号をそのまま入力する方法)を選択できるような手段を設けておくことも有効である。一例として、自動取引装置を操作し、利用者が暗証番号を入力する場面まで辿りついた時に、「暗証番号入力方法を選択して下さい」等の選択画面を設けておけばよい。
【0122】
以上説明したように、本発明の超音波スピーカシステムを用いた暗証番号入力方法および自動取引装置を用いることで、自動取引装置の利用者は他人に暗証番号を知られることなくシステムを利用することが可能となる。
【0123】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の自動取引装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明による自動取引装置の構成例を示す図。
【図2】自動取引装置の概観を示す図。
【図3】暗証番号の入力操作の具体例を示す図。
【図4】自動取引装置における処理の流れを示すフローチャート。
【図5】暗証番号判別部の構成例を示す図。
【図6】本発明による自動取引装置の他の構成例を示す図。
【図7】利用者判別センサに超音波センサを使用した例を示す図。
【図8】ラウドスピーカを使用した例を示す図。
【符号の説明】
【0125】
1…自動取引装置、10…自動取引装置本体部、20…超音波スピーカシステムA、30…超音波スピーカシステムB、40…ラウドスピーカシステム、101…信号波発生源、102…信号波振幅調整部、103…キャリア波供給部、104…変調部、105…変調波振幅調整部、106A…超音波トランスデューサ、106B…超音波トランスデューサ、108…ネットワーク機能部、109…利用状況判別センサ、110…利用状況判別信号出力部、111…暗証番号入力画面判別信号出力部、112…第1信号制御部、113…信号識別情報出力部、114…暗証番号判別部、115…人判別センサ、116…人判別信号出力部、116A…利用者判別信号出力部、117…第2信号制御部、118…利用者判別センサ、120…ゾーン、130…顧客データサーバ、140…ラウドスピーカ、141…第3信号制御部、150…ブザー、151…警告音制御部、1141…メモリ(1)、1142…メモリ(2)、1143…メモリ(3)、1144…比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置における暗証番号の入力方法であって、
少なくとも1つの超音波スピーカシステムを暗証番号入力者に向けて音声を提供できる状態に設置する手順と、
前記自動取引装置の制御部により、前記自動取引装置において前記暗証番号入力者が暗証番号を入力する際に、暗証番号に変化を加えて入力するよう指示する内容を決定する手順と、
前記内容を音声化して前記超音波スピーカシステムから放出する手順と、
を含むことを特徴とする暗証番号入力方法。
【請求項2】
利用者が入力した暗証番号の正否を判定する自動取引装置における暗証番号の入力方法であって、
可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波によりキャリア波を変調し、該変調波により超音波トランスデューサを駆動することにより可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカシステムを1つ以上用意し、前記1つ以上の超音波スピーカシステムのうち少なくとも1つの超音波スピーカシステムAが、自動取引装置の利用者のみに音声を提供できる状態に設置する手順と、
前記自動取引装置の制御部により、前記自動取引装置において前記利用者が複数桁の暗証番号を入力する際に、前記複数桁の暗証番号の任意または特定の個所に、少なくとも1つの任意または特定の数字、文字または記号を付加した状態で暗証番号を入力するように指示する内容の音声を、前記超音波スピーカシステムAを用いて前記自動取引装置の利用者のみに放出する手順と、
前記自動取引装置の制御部により、前記任意または特定の個所および前記任意または特定の数字、文字または記号を、それぞれ自動取引装置の利用者が自動取引装置を利用する度にランダムに決定する手順と、
を含むことを特徴とする超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法。
【請求項3】
前記1つ以上の超音波スピーカシステムのうち、前記超音波スピーカシステムA以外の少なくとも1つの超音波スピーカシステムBを前記自動取引装置およびその利用者の周囲の人に音声を提供できる状態に設置する手順と、
前記自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者以外の人の有無を判別する人判別センサを配置する手順と、
前記自動取引装置内の制御部により、前記自動取引装置が利用中でありかつ前記人判別センサが前記ある特定の範囲内に利用者以外の人を感知している場合に、前記超音波スピーカシステムAから、近くに前記利用者以外の人がいることを知らせる内容の音声を前記利用者に放出する手順と、
前記自動取引装置内の制御部により、前記超音波スピーカシステムBから、前記自動取引装置の利用者が利用を終了するまでは、前記ある特定の範囲よりも外側で待つように警告する内容の音声を放出する手順と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の音波スピーカを用いた暗証番号の入力方法。
【請求項4】
前記人判別センサに超音波センサを用いる手順と、
前記超音波センサの送信機として前記超音波スピーカシステムBの超音波トランスデューサを兼用し、前記超音波スピーカシステムBから放出した超音波あるいはその反射波を前記超音波センサにより受信する手順と、
前記超音波センサから出力される信号を基に、前記自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者以外の人の有無を判別する手順と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法。
【請求項5】
可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波によりスピーカを駆動することで可聴周波数帯の信号音を再生するスピーカシステムを1つ以上設備する手順と、 前記1つ以上のスピーカシステムのうち少なくとも1つが、前記自動取引装置およびその利用者の周囲の人に音声を提供できる状態に設置する手順と、
前記自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者以外の人の有無を判別する人判別センサを配置する手順と、
前記自動取引装置が利用中でありかつ前記人判別センサが前記ある特定の範囲内に利用者以外の人を感知している場合に、前記スピーカシステムから、前記自動取引装置の利用者が利用を終了するまでは前記ある特定の範囲よりも外側で待つように警告する内容の音声を放出する手順と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法。
【請求項6】
前記自動取引装置が利用中でありかつ前記人判別センサが前記ある特定の範囲内に利用者以外の人を感知している場合に、前記超音波スピーカシステムAから、近くに利用者以外の人がいることを知らせる内容の音声を利用者に放出する手順を
含むことを特徴とする請求項5に記載の超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法。
【請求項7】
前記自動取引装置が利用中であり、かつ前記人判別センサが前記ある特定の範囲内に利用者以外の人を感知している場合に、警報装置により警告音を発する手順を
含むことを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法。
【請求項8】
前記自動取引装置が利用者毎に専用のカード等を挿入するように構成されている場合に、前記カード等の挿入の有無により前記自動取引装置が利用中であるかを判別する手順を
含むことを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法。
【請求項9】
前記自動取引装置からある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者の有無を判別する利用者判別センサを配置する手順と、
前記利用者判別センサから出力される信号を基に、前記自動取引装置が利用中であることを判別する手順と、
を含むことを特徴とする請求項2から8のいずれかに記載の超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法。
【請求項10】
前記利用者判別センサに超音波センサを使用する手順と、
前記超音波センサの送信機として前記超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサを兼用し、前記超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサから放出した超音波あるいはその反射波を前記超音波センサにより受信する手順と、
前記超音波センサから出力される信号を基に、前記自動取引装置からある特定の範囲内において利用者の有無を判別し、自動取引装置が利用中であるかを判別する手順と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法。
【請求項11】
利用者の暗証番号をそのまま入力する通常の暗証番号入力方法を選択するための手順を
さらに含むこと
を特徴とする請求項2から10のいずれかに記載の超音波スピーカを用いた暗証番号入力方法。
【請求項12】
入力された暗証番号の成否を判定する自動取引装置であって、
少なくとも1つの超音波スピーカシステムが、暗証番号入力者に音声を提供できる状態に設置され、
前記自動取引装置において前記暗証番号入力者が暗証番号を入力する際に、暗証番号に変化を加えて入力するよう指示する内容を決定する手段と、
前記内容を音声化して前記超音波スピーカシステムから放出する手段と、
を備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項13】
利用者が入力した暗証番号の正否を判定する自動取引装置であって、
可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波によりキャリア波を変調し、該変調波により超音波トランスデューサを駆動することにより可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカシステムを1つ以上設備し、前記1つ以上の超音波スピーカシステムのうち少なくとも1つの超音波スピーカシステムAが、自動取引装置の利用者のみに音声を提供できる状態に設置され、
前記自動取引装置において前記利用者が複数桁の暗証番号を入力する際に、前記複数桁の暗証番号の任意または特定の個所に、少なくとも1つの任意または特定の数字、文字または記号を付加した状態で暗証番号を入力するように指示する内容の音声を、前記超音波スピーカシステムAを用いて前記自動取引装置の利用者のみに放出する手段と、
前記任意または特定の個所および前記任意または特定の数字、文字または記号を、それぞれ自動取引装置の利用者が自動取引装置を利用する度にランダムに決定する手段と、
を備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項14】
可聴周波数帯の信号波を生成する信号波発生源と、
前記可聴周波数帯の信号波の振幅を調整する信号波振幅調整部と、
超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給部と、
前記キャリア波を前記信号波発生源から出力される可聴周波数帯の信号波により変調する変調部と、
前記変調部で発生させた変調波の振幅を調整する変調波振幅調整部と、
前記変調波振幅調整部で振幅を調整した変調波で駆動される超音波トランスデューサと、を有する1つ以上の超音波スピーカシステムと、
前記自動取引装置と外部システムを繋ぐネットワーク機能部と、
前記自動取引装置の利用状況の有無を判別する利用状況判別センサと、
前記利用状況判別センサの情報を基に前記自動取引装置が利用されている状態かどうかを判定し、利用状況判別信号を出力する利用状況判別信号出力部と、
前記自動取引装置の操作状況が暗証番号を入力する状況である場合に、暗証番号入力画面判別信号を出力する暗証番号入力画面判別信号出力部と、
前記1つ以上の超音波スピーカシステムのうち少なくとも1つの超音波スピーカシステムA内に設けられる、前記利用状況判別信号と前記暗証番号入力画面判別信号を基に、予め用意された複数のオーディオ信号の中から、前記信号波発生源から発生させるオーディオ信号を選択する第1信号制御部と、
前記超音波スピーカシステムA内に設けられる、前記第1信号制御部で選択されたオーディオ信号を識別する情報を出力する信号識別情報出力部と、
前記超音波スピーカシステムAの信号識別情報出力部から出力される信号識別情報と、前記ネットワーク機能部を介して外部システムから取得した情報とに基づいて、前記自動取引装置の利用者が入力した暗証番号が正しいかどうかを判別する暗証番号判別部と、
を備えることを特徴とする請求項13に記載の自動取引装置。
【請求項15】
前記自動取引装置が利用者毎に専用のカード等を挿入するように構成されており、前記利用状況判別センサは前記カード等の挿入の有無により前記自動取引装置が利用中であるか否かを判別するように構成されていること
を特徴とする請求項14に記載の自動取引装置。
【請求項16】
前記利用状況判別センサは超音波センサで構成されており、前記超音波センサの送信機として前記超音波スピーカシステムAの超音波トランスデューサを兼用し、前記超音波スピーカシステムAから放出した超音波あるいはその反射波を前記超音波センサにより受信するように構成されていること
を特徴とする請求項14に記載の自動取引装置。
【請求項17】
前記自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者以外の人の有無を判別するための人判別センサと、
前記他人判別センサの情報を基に前記自動取引装置およびその利用者のある特定の範囲内に前記利用者以外の人がいるかを判断し、人判別信号を出力する人判別信号出力部と、
前記利用状況判別信号と前記人判別信号とを基に、前記1つ以上の超音波スピーカシステムのうち、前記超音波スピーカシステムA以外の少なくとも1つ超音波スピーカシステムBの信号波発生源から発生させるオーディオ信号の制御を行う第2信号制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の自動取引装置。
【請求項18】
前記他人判別センサは超音波センサで構成されており、
前記超音波センサの送信機として前記超音波スピーカシステムBの超音波トランスデューサを兼用し、前記超音波スピーカシステムBから放出した超音波あるいはその反射波を前記超音波センサにより受信するように構成されたこと
を特徴とする請求項17に記載の自動取引装置。
【請求項19】
前記自動取引装置の利用者からのある特定の範囲内において前記自動取引装置の利用者以外の人の有無を判別するための人判別センサと、
前記人判別センサの情報を基に前記自動取引装置およびその利用者のある特定の範囲内に前記利用者以外の人がいるかを判断し、人判別信号を出力する人判別信号出力部と、
信号波発生源Bと、信号波発生源Bの振幅を調整する信号波振幅調整部Bと、前記信号波Bにより駆動されるスピーカと、
前記自動取引装置の利用状況判別信号と前記人判別信号を基に、前記信号波発生源Bから発生させるオーディオ信号の制御を行う第3信号制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の自動取引装置。
【請求項20】
ブザー等の警告音発生機と、
前記利用状況判別信号と前記人判別信号の2つの判別信号を基に前記警告音発生機の制御を行う警告音制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項17から19のいずれかに記載の自動取引装置。
【請求項21】
前記第1信号制御部は、前記利用状況判別信号と、前記暗証番号入力画面判別信号と、さらに前記人判別信号の三つの判別信号を基に制御を行う機能を
備えることを特徴とする請求項14から20のいずれかに記載の自動取引装置。
【請求項22】
利用者の暗証番号をそのまま入力する通常の暗証番号入力手段を
さらに備えることを特徴とする請求項13から21のいずれかに記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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